運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-03-02 第19回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事      石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君           小笠原二三男君            田中  一君   政府委員    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省住宅局長 師岡健四郎君    建設省営繕局長 木村 恵一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告建設行政に関する調査の件  (過年度災害に関する件)  (昭和二十九年度建設省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では只今より建設委員会を開会いたします。  本日は前回に引続きまして住宅営繕関係の御質疑を願い、その次に災害関係の残れる御質疑を、そして最後に佐久間ダム視察報告を承わりたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 田中一

    田中一君 先に報告してもらつたらどうですか。ほかの委員もいませんから。
  4. 石川榮一

    石川榮一君 私もそうしてもらえば都合がいいのです。しまいになるとちよつと留守になるので……。
  5. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ではさようにいたしますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ではさよう変更いたします。佐久間ダム視察報告を願います。
  7. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私ども委員会の議を経て、田中委員小笠原委員私と三名の者が土曜日の二十七日に立ちまして、秋葉発電所及びダム建設予定地、それから電源開発会社佐久間建設事務所、又ダム地点及びバイパストンネル工事現場、こういうような所でそれぞれ現場事情説明を聞き、その日は浦川まで宿泊の関係で行き、翌る日も又宿舎を出て、建設所説明補足聴取をいたし、なお、労務管理の面から間組の飯場、更に発電所建設工事現場を再調査いたしまして、浜松に出て、昨一日に戻つて来たわけであります。  それで大体の模様を御報告したいと存じますが、天竜川渓谷の先ず概要について申上げますと、天竜川中流部三十三キロの間、丁度平岡ダム放流水のすぐ下の所まででありますが、それから佐久間ダムの間が約三十三キロになるわけですが、この間の部分を使つて落差百三十八メートルを利用して最大出力三十五万キロワツト、年間十二億六千万キロワツト・アワーの電力を発生せんとするものでありまして、ダム右岸愛知県北設楽郡豊根村、左岸静岡県の盤田佐久間村に位置しておりまして、直線重力式溢流型コンクリート造りで、高さは基盤岩盤上百五十メートル、ダム体積コンクリート量で百万立米貯水池容量は三億立米、こういう規模のものでありまして、発電所貯水池の水を延長千二百五十メートルの圧力隧道二本で、国鉄飯田線佐久間駅のすぐ上手の所に導いて、九万三千キロボルト・アンぺア発電機四台を動かす、総工事費予定は約二百六十億の予定なのであります。  問題であります水利権の点でありますが、本工事を行うについて、水利使用許可申請昭和二十八年一月七日付で以て電源開発会社から提出されておる。だがまだ認可はされていないのであります。そこで会社としては一応このパイパス及び発電所建設工事は、直接河川の水量に影響を及ぼすというほどのことでないからとして、愛知静岡県知事河川敷の一時使用並びに土木工事施行許可によつて現在工事を進めておる、こういう段階であります。  現場について見ますと、約二十万立方米トンネル掘鑿によるズリが河川敷に捨てられておるというような問題もありますが、まああれだけの突貫工事をやつたからといつて、いろいろ疑問があつても止むを得ないようにも思われる点がある。なおこの水利使用権は三月の四日頃には許可になる予定だと現場でも期待し、それを待つておるようでございます。  工事状況でありますが、本工事電源開発会社間組及び熊谷組とヂヨイント・ベンチヤーの形式を以て昭和二十八年四月十六日付で工事請負契約を行い、別にアメリカ銀行、バンク・オブ・アメリカから三ヵ年契約、これは利子が四分五厘でございますが、七百万ドルの借入枠を設定して、アトキンソン会社を通じて約四百五十万ドルの建設機械を購入して、これを両社に貸付けると共に、この両社アトキソン会社技術援助契約を結んで工事をやつておるという状況であります。間組分担区分は、材料運搬道路及びダム工事一切であつて、現在の労働者数約四千名、熊谷組のほうは発電所建設を分担しておりまして、労務者約二千名、工事進捗状況はセメント、骨材運搬道路は大半でき上りまして、バイパス、これは直径が十メートルという非常にまだ日本としても作つたことのない大きなものであります。これは二本でございますが、そのうちの一本はあと二、三日で完成あとの一本は今月末までに完成目標として非常な力を入れておりました。発電所基礎掘鑿は昨年の十二月開始して、総量十八万立方メートルでありますが、そのうちの十三万立方メートルが終了しておるという段階でございます。その他飯田線の付替工事佐久間駅側の引込線工事、これも着手されております。  それからアトキンソン会社は、現在技師長以下三十六、七名が現地に滞在して、機械取扱その他の技術指導をやつておる。施工時期の関係梅雨期前にはどうしても締切を行いたい、その完全締切予定が五月でありまして、鋭意その締切目標の時期までにそれぞれの仕事を何としてもしなければならない。こういうことで、一にこの締切目標としてすべての面が非常な進捗努力が注がれておるような状況でありまして、建設機械として現在盛んに活動しておりますのはシヨベル及び十五トン・ダムプトラツクでありますが、すでに現場到着済みのもの約百五十万ドル分、横浜港のもの約五十万ドル分、来年度中には全部現場着予定であるというように聞いて参りました。  で次に、補償の問題でありますが、水没による補償の対象となる町村佐久間ダム関係長野県が二ヵ町村愛知二方町村静岡県で三ヵ町村合計ヵ町村、その下に作ります秋葉ダム、これは四方町村で、合計が十一ヵ町村に跨がつているわけであります。これについては地元側として天竜川水系総合開発対策三県連合協議会というものを作つて佐久間の村長が現に会長として団体交渉を行うこととしております。でだんだん進んで参りまして、実際の折衝になりました今日としては、その団体交渉了承の下に各町村でそれぞれやることになつておりまして、その補償は二十八年七月初めに閣議決定の線に沿つて補償基準の呈示をしたわけであります。これは二十八年の三、四月の物価水準によつてつております。  で先ず一番最初最も水没関係の強い富山村等の交渉に昨年の九月入つて、十一月の二十日に妥結、で次いで城西村と十二月二十日に妥結、現在は豊根村、佐久間村、水窪町と交渉中で、今後まあ二、三ヵ月中に完了する予定のようでありますが、富山村におきまする決定基準は、畑が坪当り八百五十円、水田が千円、これはいずれも離作料を含んでおるのでありますが、こういつた価格でありますし、林地のほうはまあさまざまのこれについては事情があります状況でありますが、造材林で約百円、薪炭林で六十円、住家のほうはAクラスと申しますか、最もあの地区として一番補償しなければならんというAクラス級のものが三万三千円、第五階級、五段階に分けているようでありますが、最低が一万二千円、それから非住家のほうはまあ千円から一万二千円までの間で大体等級を分けてやつておるようであります。で、あそこのところは非常に林産地域でありますので、筏師という特殊な運搬業者がいるわけでありますが、これは日当の三年分を補償していると説明しておりました。でこの基準は特別の事情のない限り他の町村でも殆んど同一となる見込みである。但しこの一番先に最も難関であつた富山村が交渉妥結して、その後他の町村をやつております場合に、当然違うべくして違うところの理由から出て来る高い補償がきまることについてはあえて異議はないけれども、そうでない事情からいわゆる高い補償が結ばれなければならんような状況であるとすれば、富山村には遡つてその分については同じように見ましよう。こういうことで先ず富山が先にきまつたという状況のようであります。補償総額個人補償として湛水地域ヵ町村に対して七億七千万円程度で、工事現場に対して二億三千万円程度合計して十億円程度、それから公共補償のほうは約十四億、それから国鉄飯田線の付替でありまして、大嵐、佐久間間十三キロ五分というこの付替工事が約三十八億円、合計して六十二億円というのが想定されているようであります。補償基準についてはいろいろ問題もありますけれども、おおむね我々も妥当ではないか。併し工事を急ぐというようなことからして公共補償、殊に国鉄の付替等については、まあもう少し内部を検討して、特にいやしくも過大であるというふうに言われないような手を一つ打つというような、私ども意見も申して来たのでありまして、いわゆる道路問題としては、三県知事から、この貯水池の両岸に代償道路補償費を以て新設することの申入れがあつて、まあ紛糾を続けて来たのでありますが、去る二月の十七日の佐久間ダム開発に伴う水没地対策に関する覚書というものにおいて、建設大臣、それから三県知事及び電源開発会社副総裁が調印して、国の道路計画決定に従い会社応分費用負担をするということで一応落着したようであります。併しこれにつれついては国土総合開発の立場から経済審議庁当局意見もあり、なお将来に問題が残されろことだろうと考えられます。  次に、この労務者の事故の発生についてでありますが、現地で提出された資料によると、昨年五月の工事着手以来、本年一月末までの死傷者は、間組で千五百三十二名、熊谷組で百四十七名、その他二名となつております。更に二月に入りまして、間組死者が比較的続出したような形で、十一名の犠牲者を出しております。死者合計二十四名に上つております。この多数の死傷者を出した原因として、まあ当事者の説明を聞いたところじや、何としても第一番に立地条件が極めて悪いということ。それから第二には労務者移動が多く、移動率は二五乃至三〇%である。で移動する者の定着期間は誠に短くて、一ヵ月内外だということである点。それから第三には、仮設工事中であるというような点が挙げられていますけれども、なおこのほかにも労務管理の不十分なこと、工事を非常に急ぐということの理由が当然考えられると存ずるのであります。でこれが対策としては、会社業者間に安全委員会を作り、或いは安全競争をやつて、好成績の者を表彰すると、こういつたような種々努力が重ねられております。又労働基準局浜松監督署では、十九名の定員のうち二名をここに常置して監督指導に当つているのでありますが、佐久間ダム建設事業規模から考えると、まだまだこれが不十分であつて監督署定員機動性というものについては考慮をする点があるように思われる。まあ根本的には労務者指導を徹底し、その質の向上を図ることにあるということで、関係者それぞれ非常な努力をしておる、こういう状況であります。  あのいわゆる国家的に要請された早急な電源開発工事、そうして而も、従つて出水期前までにバイパス二本を完成して、この時期を五月初めにどうしても仕上げたい、若しも仕上げなければ相当大きな、五千万、六千万といつたような損失が恐らく起るだろうと思われるような工事事情からして、まあ相当各面で無理な、従つてそれだけに非常な協力をして事業進捗を図つている姿というものは私ども十分了解して来た点であります。あの場所が地理的に非常な便利の場所にあるというような事情からも、労務者の出入りがかなり多いということも考えられますが、なお詳しくは私どもいずれ書面で以て出したいと存じますので、簡単でありますが、以上で終ります。
  8. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今の御報告に対しまして御質疑でもございましたら、御発言なさいますか。
  9. 石川榮一

    石川榮一君 誠に御苦労様でした。大分よくわかりました。問題は例の道路の問題、愛知静岡の長い間の紛争ですが、これが十七日に妥結したということは、これは完全に妥結したのですか。
  10. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 結局ここにも申上げたように、まあ全体の計画従つて、その際にはいわゆる開発会社のほうから応分のいわゆる協力をする、こういうことで、そういう総括的な意見の一応の一致を見たというふうに私どもは取れたのですがね。だから言葉を換えて言えば、問題をあとに残すといいますか、全体の総合開発としての内部の問題がきまるに応じ、その際に問題を解決するという態度両方で確認した、三者が確認した、こういう形のようです。
  11. 石川榮一

    石川榮一君 そうしますと具体的な案が提示されて妥結したのでなくて、大体の、何と言いますか、妥結方針だけを決定したということですね。あとは具体的な問題によつては必ずしもそれが妥結が必ずできるということも言い切れないのですか。
  12. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私どもはそういうふうにそれをとつております。併しその間は、つまり誠意がわかつたから、そういう線の基本的な態度で一応納まつた。湖水になるべき周辺の道路についてはね。そういうことと私どもは了解しております。
  13. 石川榮一

    石川榮一君 河川局長に伺いますが、このダム洪水調節には何ら役立たないように私ども承知しておりますが、河川局としまして、あの大きなダム建設洪水調節を加味する必要がないという方針にきまつておるのでしようか、その点を伺いたいのですが……。
  14. 米田正文

    政府委員米田正文君) この問題について、この計画ができる前にその問題をいろいろと討議はいたしました。けれども下流天竜川の現在の治水計画との関連において、ここでは水力開発のみにして洪水調節は行わないという計画決定をいたしたのであります。
  15. 石川榮一

    石川榮一君 天竜川災害は、他の河川に比較しては比較的軽度だとは思いますけれども、折角大きなダムを、例え電力が緊急の要請であるといたしましても、天竜川自体水利計画というものにマツチしましてこれに或る程度洪水調節を加味させるほうが水利計画上いいのじやないかと思います。それを全面的に、それは水力電気のみに使用させるのだということにしますことは、私どもまだ納得行かないのですが、若し今のような方針で何ら洪水調節には役立たないのだということにきめておられました場合に、下流調節問題等はどうなりましようか。
  16. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは天竜川下流計画洪水量というのがございますので、建設省としての全体の洪水調節計画は御承知だと思いますが、むしろ天竜上流が非常に災害を年々受けておる。而もあれは渓谷を流れておる河川でありまして、河道改修を十分広くとつてやるということは困難でありますので、上流三峯川、小渋川という支川では洪水調節中心とするダムをやり、且つ砂防を実施するという方針にいたしました。で、下流計画洪水量はその後計画をオーバーしたことがありませんので、我々としては今計画洪水量の改訂をいたして、むしろこれは減らすことにするということにはいたさない。むしろ現在の河状計画洪水量を十分持つから、更によくするためには下流河道浚渫をやろうという計画にしております。従つて現在の計画洪水量下流の問題は解決できるという自信を持つてつておりますが、ただ佐久間ダムができますと、これは今お話のありましたように、非常に容量の大きいダムでありますので、中小洪水は殆んどなくなるという計画上は載つておりませんけれども、実際運営の上においては非常に洪水量軽減のためには役に立つことになつておりまして、その点はあの工事治水費用を分担しないでも、洪水量軽減には相当役に立つ部面はございます。
  17. 石川榮一

    石川榮一君 一応わかりますが、現在の天竜川改修計画、それに対する決定流量等はきまつておりましようが、最近は御承知通り北九州に非常な多量な豪雨をもたらして、五百ミリ、六百ミリというような予定をしないような豪雨が降るというようなわけでありますので、全国の河川改修においてそういう場合も考えるというように我々考えておるのです。ですからあの辺の流量をきめます場合に、既往の流量のみによつて安全を期するということは相当危険度を増したというように考えるのですが、そういう点から考えますれば、天竜川改修計画につきましても、できるだけ余裕を持つということが必要ではないか。余裕のあるほうが間違いはないですから、佐久間ダムのような大規模のものをやる場合に、若干の治水費を加えますれば、相当洪水調節に役立つのだから、将来そういう思わざる豪雨が、北九州に襲つて来たような豪雨が仮にありました場合でも磐石のかまえができるのではないかと思うのですが、この際まだ着工中でありますので、その辺のところも御研究なすつていらつしやいますかどうかを伺いたい。  それからもう一つは、上流の今お話が出ました諏訪湖下流美和ダム、その美和ダムのごときは、私ども最近地元から非常に激越な手紙をもらつておるのでして、そのダムサイドに対して或る部落が結束して血眼の反対をしているようです。これは表面を見ますと、長野県側でも建設省側でも、すでに妥結したかのような安易な気持でやつているようでありますが、事態は非常に悪化したように思うのです。これも一つ、今美和ダムの話も出ましたから、美和ダムダムサイド決定等については、地元との了解もどの程度に進んでおりますかを二点お伺いしたい。
  18. 米田正文

    政府委員米田正文君) 最初の問題で、大きいダムをこしらえるときには同時に洪水調節をやるべきだという御議論については原則的には我々も賛成でございます。現に木曾川水域では、丸山のダムについては洪水調節をやることにいたして水力電気洪水調節を共同の建設で現在実施をいたしております。これは木曾川の下流計画洪水量が、どうしても洪水量をカットしないと計画が成立たないのでやつております。只今お話のありましたように、洪水量というものは少ければ少いほどいいというお話は御尤もでございますけれども、一応計画といたしましては、やはりきちつとした限度をきめて、こういう計画洪水量に対して工事をやるのだという基準にいたしておきませんと、少ければ少いほどいいというような原則には事務的になつて参らんので、止むを得ず下流計画洪水量変更に伴う上流洪水カツトという問題として事務的には扱うことにいたしております。  で、じや天竜についてはどうかと申しますと、先ほどから申上げましたように、下流について、実はここは相当昔から大きな川幅を持つているのであります。御承知通りでございます。それで川幅も十分あるので、計画洪水量も十分取つてあるところでありますから、この問題は計画洪水量変更はいたさんという原則にいたしたのであります。ただあの川も、汽車の上から御覧になつてもわかりますように、非常に川底が土砂で上つております。この土砂浚渫については二十九年度からも一部着手いたしたい考えでございまして、洪水量軽減の措置としましては下流浚渫をやる、こういうふうに考えております。併し今後各地にできます大きいダムについては、それぞれについて河川全体から見ました洪水計画的な配分という点から、できるだけそういうものは利用して行くという方針については御説の通りでございます。  それから上流美和ダムお話がございましたが、これは美和三峯川の洪水調節と、下流発電、灌漑等を兼ねました多目的ダムを直轄として建設中でございます。で、ダムサイド調査を今日までやつておりました結果、ダムサイドがやや下流に移りましてそのために、そのためのみではございませんが、地元補償了承をいたさないために、補償がまとまつておらないのは事実でございます。私どもといたしましても、決してあすこはもう補償問題については問題はないのだ、簡単だというふうにも考えておらんのでございまして、今地元了承については極力努力をいたしておる途中であります。できるだけ早く、新年度になります前に了承を得たいと、こちらの建設省としてももう極力誠意を披瀝して折衝中でございます。
  19. 石川榮一

    石川榮一君 まあ、第一の問題はこれは意見の相違でありますからやりませんが、ややもすると電源開発国家的要請が緊急というのに押されまして、河川水利計画を或る程度で無視されてしまう。水力電気ダム建設をするその圧力が強いために、ややもすると建設省技術陣圧迫をこうむる、政治的にも圧迫をこうむるというようなことがあります。将来非常に大きな問題を残すことになると思いますが、この問題は更にお尋ねいたしませんが、或いは電源開発によつて起るダムにつきましては、優先に治水計画の万全を期することを根抵として、不動の精神を以て一つつて頂きたいと共に、私ども佐久間ダムの詳細なことはわかりませんが、少くとも大きなダムを本川に作る以上は洪水調節……、これは中間的な洪水調節に役立つと思いますが、中間的なものでなくして、洪水は最高の水位の時が恐しいのでありまして、普通の増水程度のものはあえてそんなに気にすることはない。そういう点もありますから特に御留意を願いたい。それから美和ダムの件でありますが、私ども昭和二十七年の十二月でしたか、建設委員として派遣されまして、当時の小川委員と共にあの反対の熾烈なダムサイドに参りまして、いろいろと地元の激しい反対陳情を受けたのであります。当時地元意向といたしますと、絶対反対でありましたが、若しもう一ヵ所上流に、美和から今の現位置から約一キロくらい上流ですが、その地点に立派なダムサイドがある、そこだつたら割合に農村に対する影響も非常に少くなる。現位置でありますと、美和村の中心をなす沃野が全部水没してしまう、あの山奥にあつて非常な沃野に恵まれておるというので、非常ないわば他の村から羨望されるというような部落水没するということは、何としても耐えられないというような切々たる陳情を受けたわけであります。それについて絶対反対するということに対して、何とか打開策はないかと思つて、話合つておるうちに、もう一ヵ所我々の指定するものを一応調べてもらいたい、調べてもらいまして、現在の建設省がここだという所と、我々がもう少し上流の約一キロばかり上流にあるもつといい所だと信ずる所と両方を調べて、それを科学的に検討を加えまして、それでも現位置のほうがよろしいのだという結論が付けば、私どもはあえて反対を余りしようとは思つておりませんが、そのくらいの手配はしてほしい、こういうことであります。当時そのことを建設省にはお話したのでありますが、最近来た手紙によりますと、何らその後手を著けておらないで、長野県、建設省側も殆んど地元の我々の部落に何らの話もなく、工事を着々進めておるような傾向にある。これに対して私どもはもう部落生命線を奪われるという建前から闘う以外にない、我々の行動が鈍というようなことを大分やかましく言つて来たのです。それを私は別に気にするわけではありませんが、なかなか事態容易ならん決心を持つて闘いつつあるように思いますから、まあさわらぬ神に崇りなしというので、安易なつもりで時間を稼ぐということは却つてどうかと思いますから、できるだけ地元折衝できるような方法を講ぜられて、特に長野県の、県庁が調停をもう少し積極的にやつて地元意向も聞いて、妥結をみろようにして頂きたい。そういたしませんと、工事が途中にして大きな紛争を起すのではないかと思うのであります。一応御注意かたがた善処方を要望します。私の質問は終ります。   —————————————
  20. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ほかに佐久間ダム関係の御質疑がございませんようでしたら、木村営繕局長が見えておりますので、営繕関係の御質疑を御継続なさいますか。
  21. 田中一

    田中一君 ちよつと木村営繕局長に伺いたいのですが、前回の委員会で営繕局が受持つておる事業量が二十八年十二億から七億に減つた。なおその上に保安隊、保安庁関係並びに駐留軍関係の仕事がある。だから行政整理する一方百七十何名の定員増を図らなければならない、こういうような御説明があつたわけでありますが、無論それは実態に即した定員増であるものは結構であると思いますが、御承知のように事業量によつて常に左右される定員であるので、これはほかの河川局その他のほうにも言えますけれども、現在保安庁では民間にも設計を依嘱しておるのです。同時に営繕局へも相当数のものを委託しておる。そこでその定員増百七十三名の定員が、三十年度三十一年度にも無論差支えないだけの事業量があるものとしての見込で考えられておるのだと思いますけれけれども、保安庁関係でも二百何名かの営繕関係定員を増す。そういう際に、建築士法によつて資格を持たれておる建築士に対して、かかる建設省が受諾しなければならないものを委託するような方法をとつたらどうか。現に駐留軍関係工事でも設計でも民間に委嘱して、或いは請負の相当スタツフを持つておるところにも依嘱しておるという実情から見て、将来政府の営繕に関する見通しというものは、どういう程度はに考えておられるか、伺いたいと思うのです。
  22. 木村恵一

    政府委員(木村恵一君) 将来の営繕のあり方につきましての御質問だと思いますが、私がそれについてのお答えが簡単にできるとは思いません。私にとつては荷が重いのではないかと思いますが、私だけの考えを述べさせて頂きたいと思います。  先ほどお話がありました保安庁の関係のものを民間に設計を委嘱しているという問題は、あれは保安庁病院の設計を民間に委託したのでありまして、それの経緯はいろいろあると思いますが、日本で非常に大きな病院の設計なので非常に稀なケースである。それには相当な経験者が、設計期間も非常に短いので、それで相当民間のエキスパートにやらせなければ間に合わないのじやないかというような意見がたしか出たのだと思いますが、あとのケースは民間の設計委託はしておらないと思います。  それから根本の問題になりますが、官庁営繕を民間の設計にやらしたらいいじやないかという問題、私も個人としては尤もな点があると思います。但し国の営繕の中の予算と言いますかが、割合に年間を通じて或る程度の量はいつでもステツデイに持つている。そういうものは国で直接設計を管理したほうが得じやないかという考え方が大正の終り頃にすでにあつたと思います。そういう考え方に従つてあの当時大蔵省に営繕官財局というものができた。常にステツデイのものをそこでやるという考え方であろうと思います。  そこで今般の駐留軍関係の問題ですが、これはステツデイの問題じやないじやないか、非常に短期間の問題だから、この短期間の問題のために人を多く殖やすことは国として好ましくないじやないか、そういう面は一つ民間の力をできるだけ活用したほうが利益じやないか、但し監督の面を民間に任すということはこれはよくない、これは是非とも官みずからやりたい。設計は基本を我々官で考えてドロ——を民間に委託ということがいいじやないか、そういう面で今回できたのだろうと思います。  それで今後も、私個人の考えになりまするが、ステツデイな範囲は国でみずからやる、応急のものはそれぞれの場合を考慮して民間の力を借りるなりその他いろいろの手立てを講じたらいいのじやないかと思つております。
  23. 田中一

    田中一君 今日の新聞を見ましても、大きな建築物の建築制限をしようというような構想が政府か或いは自由党の内部かにあるように見たのですが、年々建築技術家、いわゆる建築士としての有資格者は増大するわけです。一面行政整理をし、又不確定の事業量というものを見込んでの定員増というものは、結局人間の整理をしなければならんというところに帰着すると思うのです。駐留軍関係工事についても資料としてお出し願うようにお願いしておるのでありますけれども……。それ以外のものは民間の手によつて設計されており又監督されておるのです。こういう現状からして、政府としての本当の営繕に関する見通しというものがなければ大胆な増員はできんと思う。一方民間の有資格者は失業状態に陥る。こういうことは私は善政ではないと思う。併しながら飜つて我々が官庁営繕法を制定した精神からいつて、他の部分にあるところの官庁営繕を全部総合して統一してそうして官庁営繕法に則つて一本の仕方で以てこれがなされるというならば、これは又別の観点から見なければならんと思うのです。従つてこれは局長に伺つたのでは、局長から政治的なそういう見通しの問題についての答弁はできないと思いますけれども、官庁営繕法の精神に則つた統一ということが考えられておるのですか、どうですか、政府としては……。
  24. 木村恵一

    政府委員(木村恵一君) 営繕局長としてはこの答弁は非常に困難だろうと思いますが、実地に携わつている我々といたしましてはできるだけその点に副うように努力いたしたいと思つております。
  25. 田中一

    田中一君 では百七十三名今度定員増という政府の決定、これをめぐりまして、なお行政管理庁のほうの意見を一遍聞きたいと思うのです。それで局長としてはこれは答弁できないと思いますから、大臣なり何なりが出て来たときに重ねて答弁するように留保いたします。
  26. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では次には災害関係の残れる御質疑をなさいますか。
  27. 田中一

    田中一君 先だつてお願いしておきました営繕のほうの国家警察の木造庁舎、この庁舎というものは無論留置人も入れるでしようし、私は単なる警察庁舎というものは人も誰もいないものとは考えられません。従つて住宅と扱つてもいいのです。その点について国警の経理局長と、それから大蔵省の主計局長又は次長の出席を要求します。
  28. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) さよう取計らいます。
  29. 田中一

    田中一君 一緒に木村営繕局長も交えて質問したいと思います。   —————————————
  30. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 米田河川局長に対しまして災害関係の御質疑をおい願いたします。
  31. 田中一

    田中一君 今日は時間がないので、私は要求するのは、三県の海岸堤防の対策はどう進捗しておるのか。もう少しこういうものだけでなくて、資料でなくて、具体的な契約の方法、それから施工の仕方、それから材料の骨材、その他の資材の点、輸送の点、そういうところを細かい資料で提出してほしいのです。なぜそれを言うかと申しますと、あの工事だけは大体出水期までに或いは台風期までに一応の原形復旧の程度にしておかなければ効果がないという突貫工事であります。従つてこれに事故がありますと、万々事故はないと思いますいますけれども、若し事故がありますと、今までやつたものがゼロになつてしまう。一遍水を食いますと、高潮を一遍食えばゼロになつてしまう。そういうところは十分慎重にやつておられると思いますし、又新しい部を作つてこれをやつておりますけれども、海岸堤防に対して本当にエキスパートをそれほど建設省は持つておらないと思う。こういう人たちをどこから持つて来てやつておるか、どういう形式でやつておるのですか、こういう現状を知りたいのです。間違いますと相当な損失になる。原形復旧に何十億の金がかかりますけれども、それがゼロになるというところに我々心配しなければならない。その資料を一つ、この三県の海岸堤防につきましてはこの資料をお出し願つて、或る機会を見てじつくり御説明願いたいと思います。
  32. 米田正文

    政府委員米田正文君) 愛知、三重の海岸についてはお話通りこの今年の高潮期までに一応原形復旧の高さまで、程度まで復旧することが必要であります。勿論これで十分かというと十分ではありませんけれども、一応の仕事としては、この程度の仕事が必要であるという目標で現在仕事を進めております。これには今のお話のように監督員の問題、設計技術者等の問題等もいろいろ苦心をいたしております。それから業者の選定も終りまして、建設省工事委託を受けております。今お話の輸送の問題もこれ又重大な一つの問題であります。御要望の点等を整備して、資料として差上げて御説明をいたします。
  33. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 過年度災害の質問の継続中でございます。
  34. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この間説明過年度災害等について伺つてみまして、大蔵省のほうのいわゆる見方と建設省の見方とが随分食い違つているように思うわけです。例えば公共土木の二十八年度災害等は補助については大蔵省はこの金で四〇%、建設省ではその分の二〇%見当だと思うと見ておる。こういつた見方の相違というものが随所に出て、二十八年度以前の過年度災害についての見方についても、いわゆる言葉通り、しぼりにしぼつて大蔵省としては一応こういつたいわゆる数字を出しているわけですが、私どもこれについては、これは建設省の御当局に伺つただけではどうも本委員会としてもその究明ができないので、かねてから赤木委員が御要望のように、いわゆる財政当局の責任者、それから建設関係のいわゆる責任者、こういう一連の関係の方々がお集まりになつた席でないと、この質疑については極めて不十分な形になるわけでありますから、その機会を私も又待つているのですが、今日は建設関係だけでありますから、その点はその機会を待つことにして、このそれぞれ食い違つた問題について、一体建設関係は今後どういうふうにしておやりになつて行くかという考え方をこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  35. 米田正文

    政府委員米田正文君) 当年災、二十八年災の復旧について、大蔵省と我我のほうと内輪の問題でございますが、意見の食い違いがあり、どの点かと申しますと、その災害復旧額についての意見の相違でございますが、過年度災についても残額についての削減をするという処置について、その率についての意見の粗連があります。今後の対策としてどうするかというお話でございますが、我々の取扱つております公共土木施設に関しまては、御承和のように公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律で実施をいたしております。従つてその法律の主管大臣は建設大臣でございます。その災害額の査定をいたしますのはそれぞれの所管省でございます。従いまして我々の考え方といたしましては、それぞれの法律があつて、それぞれの所管省があつて決定して行くべき性質のものであつて、大蔵省は財源的な面からの意見であります。筋といたしましては、各省の所管大臣の決定によるべきだと私どもは考える。ただそれを財政的に、国の財政的に大蔵省がいろいろと意見を出すことはこれは又当然であります。従つてその間の調整は勿論いたす必要がありますけれども、私どもはこれらの災害についてのいろいろな法律がございますが、これらの法律の所管省というものが最後の責任を負うべきものだと考えております。
  36. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私、責任の問題という問題もだんだんとは出るにしても、そこの結論に至るまでの間に建設の当局としては、例えば二十四年、二十五年度の残事業というものは半分でいいんだ、こういうふうに言つてみたり、その他のほうの災害復旧のほうは、一応計画建設省通り一に応認めるけれど、その金を非常にしぼつて来ている。更に実績においては四%に減らしたほうがいいというふうにだんだんしぼつて来ているのですが、そのしぼり方というのは、いわゆる机上の空漠たる、漠然たる点から絞つているようにも思われるのです。ところが最近の災害等の復旧等について見ても、いわゆる金の面もあるが、同時に技術上結果においてはこういうふうにしておけばごうもならなかつたものをというような、まま欠陥を暴露しているところの現象が随所にもあるという。従つてその復旧に当つてもつと全体としての国費、或る程度長い目で見ての国費の効果的利用を、責任を持つてつて行くという立場の担当省から言えば、ただ単に金についての権力者である大蔵省の言分に従つて責任が逃れない面が当然残つて来るんだろうと思うのです。私はこういうような点は、つまり施工のいわゆる種類或いは箇所、その単価、こういうようなもので技術的な立場からいつて、今日のような財政状況であるからということを頭に描きながら、まあこの辺でいいんだという程度の線で収まるならいいんだけれどもですね、どうもこの数字ではなかなかそういうふうに行かないような点が私はあるんじやなかろうかと思うんです。その点を私はどういうふうにして、実際国費を効果的に無駄なく、復旧らしい復旧を仕事として残して行くかということについての御苦心の点なり今後のとらなければならない考え方ですね、それをお聞きしたい、こういう意味なんです。率直に一つお願い申上げます。
  37. 米田正文

    政府委員米田正文君) 大蔵省と我我の見解の相違は、結局まあ各省別の設計について大蔵省側が一口に言いますのは、改良面が非常に含まれておるということを非常に主張します。で、我々はこれが最初の改良面だという主張をする、そこが非常な主張の一つの問題点だと思います。併しこれはどうしてそういうふうになつて来たかと申しますと、災害の復旧をだんだんやつておりまして、どうも原形復旧ではいかんということがだんだんわかつて来て再度災害を受けない処置をしておくことが災害復旧の根本だというふうに観念が変つて来ておるのであります。これは建設省のみならず、各省もそういうふうな傾向になつて来て、これは現実に過去の実績がそういうことを示して来たのでありまして、我々としては再度災害を受けないだけの処置を、最小限の処置をするという原則に立つている。それが大蔵省は、どうも多過ぎるという主張をします。で、具体的に申上げますと、大蔵省は昔はその改良面、いわゆる超過する分が大体一割ぐらいだつたじやないか、今は三、四割、各省別に違うけれども、三、四割になつておるじやないか、三割ぐらいになつておる、こう言うんです。そこでその三割になつておるのを一割ぐらいに抑えたらどうかというような意見を持つておる。併しそれは昔の災害は成るほど災害復旧費は一割程度の超過であつた時代もあります。けれどもそれではいけない。実績がだんだん今日の情勢にまで来ておるから、我々としては災害の再度災害を受けないという原則は堅持したいという考えを持つておりますので、大蔵省のその考え方は我々の線に直してもらおうという努力をいたすつもりでおります。  これが一つの問題でございますが、もう一つは、どうも架空の工事があるんじやないかということを大蔵省は、よく新聞等でも言います。が、まあほかの省は別といたしまして、建設省についてもそれが絶無だということは今日まだ言えないのは甚だ残念でありますが、絶無とは申上げられませんけれども、終戦直後に比較しますと非常に減つて来ておりまして、これは会計検査院も建設省災害は非常に今日よくなつたということを言つておるくらいでありますからして、この問題はもう我々としてはさほど大きな率を占めておるものではないというふうに考えます。  で、昨年一年間かかつて建設省で実態監査を災害についてやつたのでありますが、その結果は改良面に属するものが多過ぎるという点及び架空的なものを合せまして大体一七%ぐらいは減らしてもいいのじやないかという一つの監査の結果が出ております。まあ一七%とといいますと、大部分は今の改良の面を減らしたらいいのじやないかという意味のものです。がこれは災害全体といたしましてはずつと率は減るのでありまして、一七%というのは残工事の一七%ですから、全体としてはその半分ぐらいの率になります。がそんな程度の率のものがまだ今日ある実情でありますので、これは我々としても今後極力こういうものはなくする努力をいたすつもりでおります。
  38. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この二十八年の災害予算計上状況調の中に国費という欄があります。総事業費、国費、この国費は、例の昨年議員立法で成立した、いわゆる高率適用の関係についてはどういうふうに考えられておられるのですか。一部にはあの高率適用では到底今日の財政上文その他を考えて見て不適当だから、率をもう少し下げて行く、つまり昨年の高率適用法律を眠らせて行くなり、もう少し率を下げて行かなければならんという意見が政府に強くあつて、その修正案参が政府から出されるやにも聞いておるわけでありますが、この国費を見積る場合どういう考え方でそれをお見積りになつたかということが一つと、それから今改良と復旧との関係お話が出ましたが、今度は新らしく災害関連事業費補助という問題が各費目の事業費の中に現われておりますが、このことは結局今お話になられた災害復旧に関連して止むを得ない改良工事の部分を入れたのを、なかなか大蔵当局としても議論があつて認めがたき点があるようだか、建設関係としては、どうしてもそれはやはり改良すべきものはこれは遠慮はできない、しなければならないものは遠慮はできない、更に大きな災害のもとになるということから、新らしい項目をお作りになつて、一部災害復旧と関運して改良の部分をしようとした面を切り離してここに新らしい項目を出し、そうして併せて率は下げてこれを改良して行こうという意図があつてのこの新らしい災害関連事業費なのかどうか、この二点ですね
  39. 米田正文

    政府委員米田正文君) ここにお手許に差上げました二十八年発生災害予算計上状況調で計上しております国費は、今度の特別措置法に基く補助率ですべて計算をしてございます。で、まあこの中で特に問題になりましたのが地辷り対策であります。これは内輪のお話を申上げることになりますが、実はざつくばらんに申上げますと、これが実は非常に問題になりまして、これは現地の設計を立ててそれを見たのでありますけれども、これはまあ非常にほかの工事よりも対策を立てるべき範囲及び程度というものに非常に幅のあるものでございまして、従つて大蔵省もこれについては非常に難色を示しておりまして、できれば一般砂防でやつてもらいたいという希望が非常に強く述べられました。で我々としても今日の国の財政から到底負担ができないという現実も加味しなければなりませんので、そういう観点からではもう一度一つ検討しようということを言つておりますけれども併しこの法律があります以上、必要最小限のものはやはり特別措置法による高率補助で行きたい。でその率を、その率が今後どのくらいになるがは別といたしまして、そういう考え方は持つておりますが、まあ大部分のものは一般砂防へ切替えて行くという方途をとらざるを得ないのではないかというふうに考えております。で他は皆特別措置法の一般補助率、高率補助をいたしております。  それからもう一つの今の災害関連助成費の問題でございますが、これはまだ実は内容については十分検討いたしておりません。今後なおこれは各省間で打合せをすべき問題が多々残つておりますが、これは新しい項目でありますだけに、残つておりますが、要は二十八年度災害が非常に大きかつたので、できるだけその災害額を削減すると、そのために削減し放しでは困ると、で削減するにはそれの手当をしなければならんであろうというようなことが主なる趣旨として組まれたのであります。でこの補助率も一般改良補助率と同じでございますからして、今のお話のように補助率は災害に比べて下ることになりますが、要は極力災害総額の圧縮を図ろうと、その跡始末としての予算だと、こういうふうに今考えておるわけでございます。  具体的な問題は今後なお各省間で折衝する部分が残つております。
  40. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この今の二十八年度災害ですね、発生災害の分は、高率適用すべき条件のところはその率で計算してある、こういうことですが、これは結局率は変えるという修正の法律は政府側はお出しにならないのですが、現在の状況はどういうふうになりますか、ちよつとその点を先ず一つ
  41. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 私からお答えいたしたいと思いますが、お手許に先般配布しました資料で御計算頂きましてもわかると思いますが、二十八年度発生災害の公共土木施設の国庫負担の割合は八九・六%に計上いたしております。それから計算は、過年度は、二十七年度前の災害については七三・三%、そこに挙げております数字の事業費と国費とを御比較になつてもその数字は出て参りませんけれども、先般ちよつと御説明いたしましたような大蔵省の計算方法によりまして事業量を圧縮してはおりますけれども、その上での話でありますが、国庫負担率はそういうふうに二十七年度前の災害の国庫負担率と二十八年発生災害の国庫負担率に非常に差を付けております。特例法そのままを遵奉しようと、こういう趣旨に考えております。  なおこの災害の特例法を将来どうするかということについてのお尋ねでありましたが、大蔵省におきましても、過去発生した災害の国庫負担の問題をどうこうしようというところまでは考えていないようであります。建設省におきましては、勿論過去の発生災害の復旧方法なり国庫負担の割合を再検討しようというようなことは目下のところは考えておりません。
  42. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の官房長のお話は、過去二十八年度以前の災害についての国庫負担率七三・三%というのは大蔵省から見た七三・三%、二十八年度災害について数字を御説明になりましたが、ちよつともう一度その点……。
  43. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 二十八年度災害につきましては、公共土木施設についてでありますが、八九・六%を計算の基礎にいたしております。
  44. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると今のお話によると、いわゆる去年の立法に基く、定められた期間についての高率適用については条件さえ合えばあの法律のままに行こうと、こういう態度だと承わりましたが、そうなつて来ると、先ほど地辷り対策の問題が出ましたけれども、こういうふうにして、何と言いますか、極めて少額のものが本年度予算に計上されている、あとは砂防のほうに持つて行きたいという問題なんですが、あの地辷り対策についての二十八年度発生の特別補助費は特別高率ですね。あの問題自身は我々建設関係の者としては高率に過ぎるということで、私当時水害対策にいた際も、事業量というものを或る程度しなければならんのに、いわゆる非常なる高率、十分の九といつたようなことをやることは、昭和二十五年か何年かのときに占領軍方面の意向等もあつて一〇〇%やつた、つまり丸々国費でやつたことがあるやに思うのでありますが、あの際に丁度施行をしてもらうように組まれた町村乃至団体は非常にいいけれども、そうでない所は全く手を著けてもらえないという形になつて、非常な不満と不便を感じたのは御承知通りですが、この地辷り対策についてもこういつた七千万円といつた非常に少い額を以て、二十八年度残事業量七十四億四千三百万円の分はどういうふうにおやりになられますか、その点参考にお聞きしたい。
  45. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはここにございますように、国費総額が七十五億三千五百万円に対して二十八年度計上額が八億三千七百万円でございまして、まあ殆んどこれで一応の緊急な処置をしようという数字でございます。これは山のことでございまして、林野庁及び我々のほうの砂防と同じような行き方になつておるのでございますが、今大蔵省と折衝いたしておりますのは、この程度では果して今の法律の緊急止むを得ない著しい災害の所だけか片付けられないではないか、或る程度この法律の趣旨を活かすためにはもう少しやらなければならんのじやないかという点を今後検討しようと、併し大部分は一つ一般砂防に移してもらいたいというのが大蔵省の非常に強い要求でございます。我々といたしましてもそういう趣旨で今後検討いたして行きたい、一割強の予算でございますので、いずれたしても八十三億の事業量に対しての予算としては非常に少いのでございますので、この点はもう一度我々としては再検討をいたすつもりでございます。
  46. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の八億三千万というのは、つまり二十八年度の補正でやつた分ですか。
  47. 米田正文

    政府委員米田正文君) そうです。
  48. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それですから、あのときはあのときで止むを得んとしても、二十九年度を今論じておるのですが、その点から言えば、先ほど申上げたように七十四億四千三百万円の事業量、それの国費負担と思われるもの六十六億九千八百万円、これに対して七千万円という、いわば百分の一になりますか、程度のものがあのときの御調査によつて、二十八年度のこれは発生地辷りだと、これは特殊扱いをするのだといういわゆる形に追い込まれたわけですね、政府側は一応……。そこへ持つてつて百分の一の今度予算をくつ付けたと、それは十分の九だ、高率だと、そういうことになると、非常に施行を希望することから言えば、いわば富くじみたいな工合に百ヵ所のうち一ヵ所、まあ平均率で言えば百分の一しかないのだから……、そういうような状態にしておいて、そうしてそれは一般砂防のほうに持つて行くように大蔵省側としては努めろと言うのだけれども、どういうテクニツクでそういうふうに移行さして行くことができるか、なかなかこれは御苦心の点であり、随分面倒だと思うのです。これなどもあなたのほうだけにとやかく言つても殊にしようがない問題なんですが、一体この問題をどういうふうに扱つて行かれるおつもりか。大蔵当局等が出ました際にも、当然その大蔵省の言うところの希望の線にどういうふうに持つて行くかを聞かなければならん点ですけれども、どういうふうに考えますか、これは。非常に辛いだろうということは重々わかる。
  49. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは七千万と申しますのは、六十六億に対する処置というわけではございませんので、二十八年度に実施をいたしました八億三千七百万円の中に工事がたくさんございますが、その中でどうしても足りないという事業の分の追加に相当する部分でございまして、実は殆んど二十八年度だけで一応始末をしなければならんというような実情に追い込まれておるのでございます。今後この点については非常な開きがございますので、先ほど申しましてように検討をいたしたい。
  50. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 なかなか解決は行くまいと思いますから、問題の所在だけを明らかにしたいと存じますが、今の御説明によりますと、この二十八年度早急取りかかつたところの地辷り事業というものはこの七千万円で一応事業は終えたい、あとの残つております七十四億四千三百万円に当る事業量箇所、これについては今のところ大蔵省の査定等の結果から見て全然手が著かない、全然手が著け得ないのだ、そうして問題は、その全然手を著け得ない七十億四千三百万円のその事業箇所というものは一般砂防のほうに移行して行く、そこで問題は、二十八年度地辷り地として認定、査定された箇所、そうして従つて非常な高率な政府の補助を得られる箇所を何とか地方団体等に納得させて普通砂防のほうに持つて行きたいんだ、こういうのが卒直だと……こういうふうにとつていいのですか。
  51. 米田正文

    政府委員米田正文君) 大体そういう趣旨です。
  52. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今の三浦委員の質問に関連して……、私は今日は質問しない考えでありましたが、そこまで話が進めば一応御意見を承わつてみたいと思います。先ず第一に、この次までに承わりたいのは、二十八年度予算に計上されました八億三千七百万円の事業をどこどこにされておるか。これをすつきりさせて欲しい。なお先ほどの局長のお話で、七千万円というのはそれに関連して仕事する分だとおつしやいましたから、その設計上からどういうところの仕事がなされるか、これを承わりたい。これは今設計をお持ちでありませんから、この次の委員会まではどこの場所、はどういうふうにしてなされておるのか知りたい。  もう一つ辷地り対策と申しますのは、事実としては私は砂防事業というような関連を持つと思いますが、これは当局としてはどういうふうなお考えですか。
  53. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは地辷り対策でございますけれども、一般砂防の性質を多分に持つておるものでありまして、ただ二十八年度災害は非常に災害量が多かつたというので、財政的な軽減を図ろうという意味で高率になつたものだと承知をいたしております。性質としては私どもは一般砂防としてやるべき問題だと思つております。ただ御承知のように現在地辷り対策としての項目がございますが、これは二分の一補助になつておるようでございます。一般砂防は三分の二の補助になつておるのでありまして、これも私どもかねてからどうも均衡上面白くないという考えもございますので、地辷りも一般砂防も同じ率に持つて行くことを理想として努力をいたしたいと思つております。
  54. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大体私の考えも局長の考えも一緒なんです。つまり特に地辷りというふうな名前を付けていましても、これは事実は砂防工事の一種に過ぎない、こういう観念を私は持つております。従つてここに特に約九割にも相当する補助を付けたということについて非常に疑問がありますが、これはできたことでありますからしようがありません。  そこで承わりたいのは、とにかく八十億も要するような新規崩壊と私は言います。地辷りと言いましても崩壊と言つても同じごとですから。八十億にも担当する新規崩壊ができたのに対して、この砂防費の組み方は、建設省を責めるわけではありませんが、大蔵省は僅か五十何億と、馬鹿々々しいような少い費用を以て而もこれを処置せい、そこに非常に馬鹿々々しいことがあるのです。つまり予算の足りない分を全部砂防に持つてつてしまつて、そこにしわ寄せてしまつた。こういう観点で、こういう無理なことがありますから、これは私はあなたではしようがありませんから、大蔵大臣、主計局長、河野次官、又砂防関係の人を一遍呼んでもらいますから、そのときに三浦さんと一緒に糾明してみたいと思います。これはあなたを責めても止むを得ません。今恐らく私の考えも建設省の当局の考え方も同じことだと思つております。だから飽くまでも大蔵査にこの馬鹿々々しい予算を組んで、而もあれほど世の中で砂防を重点的にやらなければならん、殊に治山治水協議会においても砂防を重点的にやらなければならんと言つておりますから、これを無視したということは、大蔵省当局の重大責任であつて、緒方副総理に対してもどこまでも糾明したいと思つております。それで私はこの問題は今は質問いたしません。
  55. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 次に師岡住宅局長と中原国家地方警察本部会計課長さんが見えておりますから、残つておる御質疑を御継続下さいますか。
  56. 石井桂

    ○石井桂君 それではちよつと住宅局長にお聞きしたいのですが、住宅問題じやないのです。国会図書館の懸賞設計に絡んで建築界で非常に大きな問題になつておる問題があるのですが、建築著作権の問題なんです。あの規定が建築著作権の精神に触れたり、或いは建築士法の精神に触れるのじやないかというので非常に学界等も騒いでおるのですが、住宅局長は多少御関係もあることですから、どういうふうにお考えになつておるか。この際、建築士法にも触れないか、或いは著作権法にも触れないか、或いはこれはこのまま放つておいてもいい問題であるかどうか、或いはあなたが何かそれに対して対策を考えられておられるか。そういう点について御意見を承わりたいと思います。
  57. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 実は不勉強でありまして、新聞では承知いたしておりますが、まだ十分な報告も聞いておりませんので、後ほど検討いたしましてお答えいたしたいと思います。
  58. 石井桂

    ○石井桂君 それは不勉強は不勉強でもいいですが、どういう事柄がそういう建築士法の精神に触れ或いは著作権法に触れているのだというようなこと、どういうことが触れているのだと言われていることは御存じでしようか。
  59. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 実情を十分に承知いたしておりませんので、問題点は十分にわかつておりません。
  60. 石井桂

    ○石井桂君 甚だどうも心外でありまして建築士法はたしか住宅局長の所管事務だと思うのです。では御参考までに申上げますが、国会図書館を非常にいいものにして国民に差上げよう、こういうことで懸賞を広く一般から募集する、その懸賞規定の中に、入選作をもととして図書館を作るけれども、併し場合によつてはそれを変更することがある。変更するときには入選者の意向を汲まないことがある。こういう規定があるのです。このことは著作権の問題から行けば非常に工合の悪いわけで、剽窃とか、そういう問題が起る。併し著作権法とかそういうものにはそういう詳細な規定がない。従つて極手がないということです。  それからもう一つの問題は、建築士法に、建築士が設計したものは濫りに変えられない、変えるときには設計した人の承諾を得なければいけない、こういう規定が建築士法の十九条にある。それもしない。こういうことですから建築士法と著作権法の精神に触れるわけです。この問題は建築界の大きな問題で、学界あたりでも委員会を設けて恒久策を講じようとしているわけです。ところが図書館長或いは関係御当局の良識を以て、応急問題としは片付いたわけです。併し恒久的な大きな問題になるのでありますので、どうぞまだ御承知なければ、十分御研究の上、対策を立てられることを、私は希望するのですが、御研究を早急にされて対策を立てられるお気持がおありになりますかどうですか。
  61. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 是非とも検討して対策を立ててみたいと思います。
  62. 石井桂

    ○石井桂君 了承いたしました。
  63. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それではちよつと速記をおやめになりまして……。    〔速記中止〕
  64. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を起して下さい。  では本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会