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1954-02-23 第19回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十三日(火曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   委員の異動 二月二十二日委員河合義一君辞任につ き、その補欠として小林孝平君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君            田中  一君   政府委員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 渋江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   —————————————   本日の会議に付した事件建設行政に関する調査の件  (昭和二十九年度建設省関係予算に  関する件)  (国土総合開発に関する件)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今より建設委員会を開会いたします。  本日は前回説明を承わりました昭和二十九年度建設省計画局関係予算に関連いたしまして、総合開発問題について質疑をお願いいたします。この中には都市計画が入つております。なお経済審議庁より佐々木計画部長及び横田総合開発第三課長が見えております。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 二十九年度総合開発事業費補助が四分の一に計上されておるのですが、その理由をちよつと説明して頂きたいと思う。
  4. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 従来三分の一でございましたこの総合開発調査費地方に対する補助率でございますが、これが四分の一に切下げられたのでございますが、これはひとりこの総合開発調査費補助だけの問題ではございませんで、全般的に本年度予算編成の上におきましては、地方財政の、地方に対する補助費につきましては、一方において平衡交付金その他によりまして地方財政に対する別途の財源措置を講ずるという建前と関連せしめまして、この補助率を切下げると、こういう結果になつたわけでございます。
  5. 田中一

    田中一君 この費用は、十九の特定地域と、八つでしたか六つでしたかの例の調査地域ですね、この地域だけに交付される予算なんですか。
  6. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) お説の通りでございます。即ち十九の特定地域並びにそのほかの調査地域に対するそれぞれの調査テーマに対する費用補助、こういう形になつておるわけでございます。
  7. 田中一

    田中一君 別の形で以て補助金が行くのだから、実質的には前年度とちつとも変りはない、こういうことになりますか、それとももつと増額になつておりますか。
  8. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 補助率が下りました点を除きましては大体従来と変りがないと、こういうふうに考えております。即ち先ほど申上げましたように、これに対する財源措置は、地方側から余計負担するという関係になつて参ります。この地方側の負担に対しましては、平衡交付金その他によつて別途財源措置を講ずると、こういう建前になつておるわけであります。
  9. 田中一

    田中一君 従来特定地域事業決定というものは、もう二つ、三つ決定されておるのです。そうしますとその分は別の形で以て調査費が計上されなければならないのではないかと思うのです。従つて従来よりも調査量は減つておるということになるわけでございますが、その点はどうなんですか。そういうところにもまだ重ねて補助金を交付するということになつておるのですか。
  10. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 調査の対象となりまするいろいろの問題点でございまするが、これは例えて申上げますれば、水没地帯補償乃至は生活立直しの調査、そういつたような問題がございますけれども、これは只今お話が出ましたように、閣議決定によつて、もうその問題についての調査を要すべき問題点は全部片が付いて、閣議決定となつておるものばかりでもございませんで、いわゆるその問題については今後の調査を待つてなお細目な補償費の額なり、それに対する開発計画なり、そういつたようなものを閣議決定後におきましてもなお調査を要するという問題が残されております。例えて申しますれば、北上総合開発計画につきましては、閣議決定は済んでおりますけれども、これに対してやはり調査を要すべき事項はなお残されております。それらの点は、調査が全部完了いたしますれば、勿論それに対する調査補助は打切つております。別な新しい地域調査に対する補助の手当をする、こういう関係にいたして処理をいたしておるようなわけであります。
  11. 田中一

    田中一君 そうしますと十九の特定地域調査地域だけに、この事業が完成するまでは調査費というものは必要なんですね。従つてこの二十七の地域だけに年々こういう調査費というものを計上して行くということになるのではなかろうかと思うのですが、その点はどうなんですか。今のように北上阿仁田沢なども決定したのでしたね。それだけのものがあれば軽減されなければならんと思うのです。どういう方面に使つておるか、前年度の内訳どうなつておりますか、あれば資料で一遍出してほしいと思うのです。
  12. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 各調査項目につきまして、それに要する費用、それに対する国の補助、それらを前年度と比較いたしました表を別途作りましてお示しすることにいたします。
  13. 田中一

    田中一君 これは河川局長も同席で一つ聞いて頂きたいのですが、一応十九の特定地域として指定した区域において相当民間資本民間資本というのは電源開発会社その他の資本を以て相当開発事業が行われておる。これに対しまして、ただ予算をやればよい、或いは閣議決定できめたからよいのだということで、一切のことをその地域に任せ切りになつております。或いはその施行されておる総合開発事業そのものに対する管理といいますか、監督といいますか、そういう建設省、或いは経済審議庁じや駄目だと思いますけれども、建設省が持つておるところの監督権というものはどこまで及んでおるのですか、その点伺いたいと思います。
  14. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 総合開発法建前といたしましては、御承知のように済経審議庁、それから建設省、まあこれがそれぞれ権限の分野を分けまして、あの法律施行に当つておるわけでございますが、建設省の与えられておりまする権限というのは、主として地方に対する窓口、つまりそれぞれの府県の立てた計画に対する窓口としてこれを受け、それを経済審議庁建設省意見を加えまして提出する。こういう形に計画を作ります段階としてはいたしております。  それから先の総合開発全体に対する計画監督、乃至は公般的総合開発法施行に伴う監督につきましては、これは主として経済審議庁が当つておるということになつております。併し総合開発計画に基く個々の事業執行、これに対しては、例えて申しますれば、多目的ダム開発事業がその計画の中に織込まれておるということでありますれば、そのダム開発事業に対する監督権はその所管をあずかつております建設省がする。土地改良計画がありますれば、それに対する事業面監督といたしましては農林省が行う、こういう形になつておるわけでございます。
  15. 田中一

    田中一君 天龍佐久間ダムのような場合、これは中部電力ですか、この場合にはこの施行に対して監督はどこでやるようになるのですか。
  16. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほどの渋江さんのお話と若干ダブるかも知れませんが、委員の方もよく御存じのように、特定地帯の各事業でございますが、例えば公共事業実施に関しましては、それぞれ主務官庁、主として建設省なり或いは農林省なりが当つておるわけですが、そのほか電気或いは鉄道施設といつたようなものに関しましては運輸省なり、或いは通産省におきましては電気施設許可に対して直接の監督権を持つておりますから、そちらで監督するということになつております。ただ各省予算のそれぞれの事業における優先順位といいますか、これが必ずしも特定地帯であるが故に最優先だ、例えてみますると、そこに鉄道を敷くにはほかの一切の鉄道を敷くよりも最優先だというような序列になつておりますかと申しますと、そこが非常に問題でございまして、運輸省には運輸省鉄道施設序列が、優先順位があり、或いは道路におきましてはやはり建設省道路局でそれぞれ全国亘つて道路優先順位表を持つておるわけでありますから、仮に特定地帯というふうに掲げてきめた際には、私たちといたしましてはできるだけその地点は最優先に、従いまして各事業はそれぞれ各省順位があつても、その従来の順位を、できますればこの特定地帯優先性を御認識下さつて、そうしてそこにそれぞれ予算化実施化に協力してもらうというふうな恰好になりますと、問題はないのではなかろうかと思いますが、そこまで今のところはまだ参つておりませんので、各省と相談しながら、少くとも特定地点としてきまつた地点に関しましては、事業がちんばにならないように、総合的に実施できますように、何とか一つ協力して、少い金でも効率的に使えるようにやつてもらいたいということでやつております最中でございまして、御質問の点から申しますと、計画そのものに関しましては審議庁が総合的な責任官庁ではございますが、実施予算の直接の施行ということになりますと、それぞれ各省に分属いたしまして権限を持つておる次第でございます。
  17. 田中一

    田中一君 ここに一つの例を申上げるのですが、昨年五月から御承知天龍佐久間ダムが今建設中であります。ここで非常に大きな事件が相次いで起きております。丁度私が集めました資料で見ますと、これは或るAという請負人がやつておる現場なんです。今年一月になつてから死者が四名、重傷者が八十八名、軽傷者が百六名、二月には現場で十名死んでいるのです。そうして昨年のトータルが、Aという請負人死者が八名、重傷者四百十八名、軽傷者九百二十名、今年になつても一月、二月で十四名の死者が出ておるのです。それからもう一つのBというところは、昨年は死者が一名で重傷者が五十四名、軽傷者が六十一名、このような大きな災害が起きているのです。  そこで先般調査行つて見ますと、新聞記者もその現場に入れない、入れば必らずどこからか知らん石が飛んで来たり岩が落ちたりして、到底入れないというので、浜松の毎日、朝日の支局員調査行つてみますけれども、到底近寄れないというような現状にあるのです。これは無論別な面の法律で以て規制されねばならん問題だと思いますけれども、少くともこうした総合開発仕事が現に行われておる。併しながらそのような生命に関するような大きな事件が起きているということに関しては、これは経済審議庁なり建設省所管ではないかもわからんですが、何かの手を打つて実地を調べなければならんと思うのです。これはあなたのほうにそういう報告が来ておるかどうか知りませんが、現在労働基準局で調べたものですら、本年になつてから十四名も死者が出ておるのです。こういう点窓口で割当すればいいのだ、あとはその計画で進んでおればいいのだということになつたのでは問題だと思うのですが、その点はどうですか、報告が来ておりますか。
  18. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) その問題の詳細な報告は私実は承知しておりませんので、恐らく請負業者から開発会社へ、開発会社から通産省へというルートで報告は来ておると思いますが、私のほうには通産省から直接まだ報告参つてないというように承知しております。
  19. 田中一

    田中一君 ではこの水利権の問題は決定しておりますか。
  20. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 水利権の付与の問題に関しましては、今まであの地帯のいわゆる総合開発計画の三県の話合いと申しまするか、それに対する中央の関係官庁との話合いと申しますか、こういうものが或る程度できまして、そうしてその上で実際の公共事業的な補償の問題をどう処置するか、特に道路の問題が中心でございますが、この問題が或る程度話が付きました際には、工事施行に差支えない時期におきまして成るべく早く水利権を下したいというので、いろいろ今まで話合いを進めておつたのでありますが、極く最近に水利権が大体下りるのじやなかろうかと承知しております。
  21. 田中一

    田中一君 そうすると大体どつち側に水利権許可されるのですか。
  22. 米田正文

    政府委員米田正文君) では私から……。お尋ねの水利権許可の問題でございますが、これは水力発電事業をやります場合には、水利権許可の問題と発電事業許可二つが必要になるのでございまして、御承知のように発電事業のほうは通産省所管許可になつております。それから水利権許可建設省所管許可でございます。それで御承知のようにこれは総合開発事業の一環として、発電事業電源調整審議会において決定をされて昨年から着手せられたのであります。が事務手続上の問題から申しますと、水利権許可及びそれに伴う実施認可の問題と、二つが事務的に残つております。そこでこの二つの許認可がないと正式に着手ができません。そこで国として電源開発の趣旨からこの事業着手したので、水利権許可の問題を早急に進めたいというので、地元の三県が今まで強力に推進をして参りました。併し御承知のようにこれに伴う補償問題、個人的な補償及び公共的な補償の問題は非常に多岐に亘つておりまして、なかなか解決をいたしませんでした。極く最近までなかなか解決をいたしませんでしたが、今月に入りまして漸く各三県と電源開発会社、これは電源開発会社工事を担当いたしておりますので、電源開発会社との間に基本的な協定ができまして、それは内容はどういうことかというと、いろいろありましたけれども、最後まで残りましたのは、貯水池になります地域道路の問題でありました。道路をどちらにつけるかというのが最後まできまらないで残つた問題でありましたが、この方針について三県並びに電源開発会社との間の協定建設大臣立会つて話をまとめたのであります。この線に沿つて早急に水利権許可をするという準備を今進めておりまして地元に対して意見を求めております。これが予定では、今月の二十六日には地元意見が全部出揃うことになつております。その上でできれば今月内、遅くとも来月早々までに許可をいたしたいということで、そういう予定準備を今進めております。ただ問題はそういうふうに進めてはおりますけれども、実施認可等の問題は内容が非常に複雑でありますので、極力会社が急がないと間に合うことがむずかしいので、会社を非常に今督励をいたしております。その上で許可をいたしますが、今すでに工事をやつておるのはどういうわけかということについて一言申上げておきますが、今日は我々のほうといたしましては、川に直接関係のある、即ち水に直接関係のある工事着手をしてはならないという原則でやらしております。で今のところは各県の、各県と申しましても特に静岡県ですが、静岡県の土木工事取締の規定によつて、水に直接関係のない分だけを許可するという方法をとつております。
  23. 田中一

    田中一君 どうも苦しい答弁なんで、許可してないものがどんどん仕事をやつて、そうして強行しているという現実はこれは河川法違反じやないですか。
  24. 米田正文

    政府委員米田正文君) その点我々も前例もあることでありまして、佐久間ダムについてはそういう無許可のままで工事着手させるということを初めから考えたわけでございます。それで極力事務手続を完備するつもりでありますけれども、併しそれを待つておられない。又他の事情もあつたので、止むを得ざる処置として、今のように土木工事取締規則によつて、水に直接関係のない部分だけを施行させるという止むを得ざる処置をとつたのであります。
  25. 田中一

    田中一君 そんな馬鹿な話はないですよ。河川局長佐久間ダム現場行つてみましたか、水の管理者として……。
  26. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私は曾つて参りました。現状承知をいたしておりませんが、大分前に行つて参りました。
  27. 田中一

    田中一君 それで私伺うのですが、そうした違法行為を犯して、何か知らん政治力か何かで仕事をやつておる、これは無論国全体から見れば一日も早い開発が望ましいのです。併しながらそうして六千名からの人間が入つて、それこそ既成事実を作ろうというので一生懸命仕事をやつておる。それに足踏みもしないで……審議庁はやつておりますが、そういう問題についてこれから合理的な手続をいたしますというのでは納得できないものがあるのです。そういうことでは本当意味国土総合開発というものは完成しません。そういう違法行為を犯してまでしなければならないという弱い政府でもないはずです。国土総合開発の問題につきましては、超党派的にみんな一生懸命に関心を持つてつているのですが、それが法を犯して、現場においては或いは曾つての監獄部屋的なものがあるかも知れない。これは労働基準局ではどうにもならんと言つているのです。どういう仕事を行なつているかと思いますと、これは私不安に堪えないのです。審議庁では現場行つてみましたか。
  28. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私通産省公益事業局の人と一緒に十二月の初めでございましたか、行つて参りました。
  29. 田中一

    田中一君 私はこれは労働基準局調査報告とつたわけです。非常に地元は騒いだのです。新聞記者行つても入れないのです。新聞記者が入つてカメラを向ければ、どこかから石が飛んで来て到底入れないのです。何がためにそういうように新聞記者の取材を妨害するか、背広を着ている人間は道も通れないというのです。そうして基準局報告によると、本年度になつてすら十四名も死者があるのです。こういう現実を、無論法を犯して、水利権許可もなしに、工事着手許可も何もなしに、法律の適用を受けない形で以て強行されている。この問題に対しては相当建設大臣としては責任をとらなければならんと思うのです。こういうことでは本当意味国土総合開発は完成できません。幾らでも合理的な方法があるのです。
  30. 米田正文

    政府委員米田正文君) その問題については今申上げた通りですが、事務的手続を完備するのを待つておられない事情もありましたので、止むを得ざる処置としては、全然法規に関連なく無許可工事をやらせるわけには参りませんので、そういう区分けをして、陸上の工事、いわゆる準備的な工事については土木工事取締規則によつて実施をするということでそういう許可をいたしております。
  31. 田中一

    田中一君 もう一つの実例を申しますと、御承知の、昨年大分問題になりました赤石川の流域を変更するという問題、これは地元協定書ができ上つております。協定書に調印されて、今では請負人が入つて仕事をしておると思いますが、この流域変更をされた後も、水の利用権といいますか、水の運用といいますか、こういうものを十名の利用者委員を以て水の扱いをしようという協定ができたわけなんです。そのうちその水を使つて農耕をやつておる七つの部落から一人ずつ代表が出、それから東北電力一名、青森県一名、地元の村から一名、十名で水の運用について協議をするということになつておるのです。こういうような前例一つできたわけです。そうするとこういう問題も何ら法文化されていない、この水利権というものは東北電力会社が持つているわけなんです。そういう場合、そうした問題が常に総合開発というものを阻んでおるわけです。従つてそういうものを国としては法文化しよう、明文化しようというような意思はないのですか。
  32. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今のお話のような事例が各地でございます。併し我々の今の考えは、水利権主体許可主体は今都道府県知事になつている。で、一度許可をいたしました水利権についても、都道府県知事河川法によつて公益上の必要があればいろいろな処置を命ずることができる建前になつております。ですから地元の人のいろいろな不安を除去する権限を持つている。で、私はそういうものについては強く水利権権限者としての、許可者としての権限を十分発揮させることによつてそういう処置はできると思います。ただ今お話のように、いろいろの委員会等ができる傾向にございますが、これは私は知事がそういう権限を執行するに必要な一つ委員会という意味では承知をいたしておりますけれども、それが河川法水利権者権限を侵すというのでは却つて弊害がある。その知事が行う権限について誤まりなからしむる委員会であらせたいと私は思つております。
  33. 田中一

    田中一君 今度は観点を変えて伺いますけれども、どこの総合開発にいたしましても、先ほど言つたような私権ですね。個人が持つている権利というものに対して侵害をしなければこれは事業の遂行ができないですね。そこで昨年の四月何日かに閣議決定で一応電源開発会社補償要綱が出ておりますが、ああしたものをただ閣議決定ということでなくして、明文化して、安心して総合開発に協力する態勢に持つて行くというような意図はありませんか。
  34. 米田正文

    政府委員米田正文君) 御承知のように補償問題、特に総合開発、特に多目的ダム、そういうものの補償問題がまあ非常にむずかしい問題に今日なつて来ております。これはもう御承知通りでございます。我々も現状のままでいいとは思つておりません。先般審議庁でこしらえた補償要綱にしましてもまだまだ不十分な点もございますので、我々としては最近いろいろな事例がたくさん出て参りましたから、そういうものを参考にして将来の補償に対する明確な方針を立てることが必要だと痛感いたしております。まだ併し具体的に準備をいたしておるという段階ではありません。
  35. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 申上げます。只今の時間は総合開発のほかに都市対策についても御質疑を願つております。
  36. 石井桂

    石井桂君 大変迂遠なことを聞くようですが、まあこれは建設委員会だから総合開発の問題を主としても、まあダム建設に終始しておるようなふうに取れるのですが、総合開発と言えば、まあ例えば鉱工業地帯の造成とか港湾の整備とか、或いは地下資源の発見だとか、いろいろな計画が一律に同時に計画されて調査され、その計画実施に移されておると思うのですが、まあ幸い経済審議庁部長さんがお見えになつておるそうでありますから、電源開発以外の計画がどういうふうに進められているか、御承知範囲で結構ですが、お話し願いたいと思います。
  37. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 総合開発法によりますと、御承知のように計画範囲が四つ分れておりまして、一つ全国総合開発計画一つ特定地帯計画あと二つは県の計画並びに地方計画というふうに分れるのでございますが、県の計画並びに地方計画のほうはどちらかと申しますと、一種のこれは基準計画でございまして、というのは、その開発に対する基準を定めるという程度に過ぎないと考えております。が、特定地帯並びに全国総合開発計画に関しましては、若干意味が違いまして、特にその中でも特定地帯計画のほうは一種実施計画的な色彩を中に帯びてございますが、只今質問のございました、主として、若干違いますが、或いは河川中心にいたしました特定地帯計画という意味よりも更に大きい範囲工業立地全般の問題、或いは地下資源開発問題等に関して、総合開発計画としてはどういうふうな着眼でやつているかという御質問と思いますが、当然この問題は全国総合開発計画の問題かと思いますので、その方面から御説明を申上げてみたいと思います。  全国総合開発計画の立案に関しましては、今までいろいろと策案しておつたのでありますが、大体只今までのところは、昭和四十年でございますかを大体目安にいたしまして、そのときまでの人口の伸び等を大体想定し、はつきりこのままやるというわけじやございませんが、そういう場合には例えば電気或いは石炭或いは何々産業というものがどのくらい必要になるだろうかという一応の想定をいたしまして、そうしてこれから作業に入る手順になつてございますが、その想定をエネルギー或いは食糧グループ或いは国土保全グループというようにいろいろ分野を分けまして、そうしてその問題点なり今後のそれの解決策というふうなものを根本的に究明いたしたいという点になつております。  一例を申上げますと、例えば電力にいたしましても今後そういう十何年か先を考えますと、今後更に一千万キロぐらいの電力を起さなければならないというふうな計算が出て参りますが、果して日本の今の水力の状況から或いは石炭の状況からして、日本で更に千万キロの電気というものを起す資源的な余地ありや否やということが、実際やつてみますと非常に問題になつて参ります。そこでどうしても従来のエネルギーの資源のみならず、更に新しい資源も加味し、そうして今後のあり方というものをその際根本的に研究し直す必要があるのじやなかろうかというふうな考え方で目下進めつつございます。  勿論或る程度考えが……と申しますか、作業が進んで参りますと、その都度審議会の委員の方たちにお諮りいたしまして御指示を受けるわけでございますが、只今までのところそういうグループをきめまして、そうして工業立地の問題、或いはそういう総合エネルギーの問題、或いは国土の保全の問題、或いは食糧全般の対策の問題等、十ばかりにグループを分けまして、これから研究しようという、現に研究も進めつつありますが、進んでいる段階にあります。
  38. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、実際にこの国土開発計画実施に移つているのは今の電源開発事業だけですね。
  39. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) いわゆる総合開発と申上げますと、全国総合開発計画と申上げますとむずかしい地点になりますが、全然他の開発をやつておらんかと申上げますと、そうではないのでありまして、従来ともそれぞれ各省で、先ほど申上げましたように鉄道鉄道で、港湾は港湾で、或いは河川の改修、治山は治山と、こういうふうに進めております。その間の連関は勿論予算面で調整しながら進めつつあるわけでございますが、それを更に全国開発計画を将来の日本の資源と睨合わしてどうあるべきかという観点から検討を進めつつありますので、その検討が済みますれば、或いは現在の進む方向がこの方面に対しては更に重点を加える、或る面に対しては新しい視野から問題を取上げるというようなことの変更が加わるかも知れないが、現実進んでおらないかと申しますと、そうではないのでありまして、現実にはそれぞれ進んでいるのであります。
  40. 石井桂

    石井桂君 実は私も長いこと役人をしておりまして、昭和十年頃地方計画、国土計画ということが非常に盛んであつたのであります。その時分からも本年まで二十年くらいたつておりますが、二十年くらいたつたものをまだ研究しておられるのですから、いつ頃その研究のめどが、一体我々生きている間にはまとまるものと思いますが、例えばさつきもあなたのおつしやつていたような事柄を二十年くらい前から各役所では仕事をやつておるわけですよ。それがそういう計画をおまとめになるのはお宅の役所ですが、それが二十年たつても何年たつても研究中じやいつまとまるかちよつと見当つかんことですからね。そのお見込、或いは実際研究中だけではちよつと頭に入つて来ないので、具体的には一つの例をとつてもようございますから、どういうふうに進行して、実際に計画に移るものは十か二十の研究中に一つ二つあるかどうか、具体的にお話し下さい。
  41. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 戦前の様子に関しましては、私実はつまびらかではございませんが、今の仰せられました進行状況に関しましては、実はさつきも申しましたように総合的な計画といたしましてはないのでありまするが、但し例えば電力開発の五カ年計画とか或いは合成繊維の開発の五カ年計画であるとか、或いは鉄道新線建設の五カ年計画或いは食糧増産十カ年計画とかそれぞれの分野がございまして、その分野でそれぞれ目的を持ちまして、大体これだけの必要があれば、まあ今の国民経済のうちからいつて建設に無理がなかろうということで、実施に移すものは着々実施に移してございます。その一番目的の通りむしろ進んでおるものは電源開発でございますが、その他の部門にいたしましても、食糧等は若干或いは予算の面で窮屈な面もございますけれども、今申しましたような少くとも五カ年先くらいの問題に関しましては、主要な点は実施に移しております。それを国土総合開発と言うならば、それは開発計画をやつておるのでありますが、じやそれ以外に、今申しましたように治山治水或いはエネルギーの根本対策というような国の本当の大元を固めるという問題がもう一つございますが、その問題にいたしましても現実実施はしておるのでございますが、更に掘り下げて研究いたしまして、そうして今やつておる当面の施策、或いは五カ年計画を目指してやつておる施策がそれだけでいいのかどうかという点を根本的に考えたらどうかというこういう趣旨でございまして、後者のほうの根本問題に関しましては、私の考えといたしましては、お説のように研究を長くすれば限りがないのでありまして、例で申しますと、電気の水力開発と言つても、今のままでは水の調査その他が不十分でございます。ですから根本的に水の調査をやり直さないと、日本の水力資源というものはどれほどあるかという見当がつかん。言つてしまえば、何年かかけて更に水の調査をしろということで解決は長引きますけれども、取りあえず研究をもつとする、現場だけで判断いたしまして、できるだけ早目に或る程度の一時的な結論を出して、その中で主要な問題がありますれば各種の問題を深めて行きたい、そうしてそれぞれ予算化の必要があれば、全部というわけには行きませんけれども、それぞれ予算化して実施したい、こういうふうに考えております。
  42. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、各分野の計画というものはずつと推進められておりますけれども、そういう各分野のものを集めた、何と言うか、国全体としてのまとめる計画というものはないわけですね。
  43. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 前の国土総合開発計画と、それから何と申しますか、国家経済計画というふうにダブつて説明した関係上、若干おわかりにくい点があつたかも知れませんが、いわゆる経済計画と称するものは今若干変つておりますが、審議庁といたしましてはほかの構想というものがございまして、そうして三十二年度を目標にして貿易なり或いは国民所得なり或いは鉱工業なりといつたものをどういうふうにしたらいいかという点は、施策は作つたのでございますが、今のお説のようなそれがすぐ国土総合開発かと申されますと、若干考え方が違うのでございまして国土総合開発計画と申しますと、少くとも全国総合開発という問題になりますと、ますます資源面或いは新しい科学と申しますか、科学的な面或いは国土保全面等、根本的な問題として考えて行かなければならんものでありますから、例えば農業の問題にいたしましても、何カ年なんぼ出すということは、土壌そのものをどうするかという問題にまで入つて行きませんと本当の国土総合開発計画にならんと思いますので、何かと申しますと、当面のものは国土開発計画とは言われないのでありますが、一応やつたのでございます。ただ本来の意味総合開発計画ということになりますとそういうふうにむしろ問題は深めつつあるというふうにお考え願えれば結構と思います。
  44. 石井桂

    石井桂君 国土総合開発計画のことはそのくらいにしておきます。
  45. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ちよつと申上げます。お諮り申上げますが、米田河川局長只今から知事会議にどうしても御出席なさらなければいけないそうでございますので、米田河川局長に対する御質疑を先に伺つたらと思いますが。
  46. 田中一

    田中一君 今私のところに集まつた資料河川局長にお目にかけておいたのですが、佐久間ダムの問題も一つ至急詳細にお調べになつて委員会に御報告願いたい。そうして一体あの中に入つておるいろいろな資料もあるでしようが、アメリカかなんかの機械なんか持つて来てやつておる、外資を何らかの形で以て導入しておるかどうかの問題と、それから三十五万キロと言われているあの電力をどういう方面に使うということになつているのか、現在の進捗状態、こうした点も併せて御報告願いたいと思います。  なおできるならばその扱いを、こういうような大きな問題になつておりますから、建設省報告を待つて、できるならば参議院の建設委員会現場を、近いところですから、土曜、日曜日でもかけて行けば行つて来られると思いますから、調査派遣方を御協議願いたいと、こう考えております。
  47. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今ですか、あとで……。
  48. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それに関連して、天龍川の総合開発の主なるものは佐久間ダムでなかつたでしようか、どうでしようか。
  49. 米田正文

    政府委員米田正文君) その前に、今の調査お話は、工事の実態等も早速調べて、その他今の御注文の点もできるだけ関係のところとも連絡をして、調べたものでも差上げます。
  50. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 只今佐久間地区の天龍東三河と思つておりますが、あの地区の総合開発上主要なものは、勿論佐久間開発も非常に大きい一つでございまするが、そのほかに農林と申しますか、下流地帯土地改良の問題或いは工業立地の整備の問題、或いは川上の林業の整備の問題等ございまして、必ずしも電気そのもので終るというわけでないのでございますが、御承知のように、中心は少くとも初期の出発時におきましては佐久間ダム建設というものが非常に必要になつておるのでございます。
  51. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 十九地区の総合開発はありますが、北上川とか利根川とか或いは阿仁田沢、最上は発足したばかりで、実際その緒にもついていないというのがたくさんございます、併し天龍地区はまだこれは総合開発の全体の計画としてはできていないはずなんです。併しその主要部分の佐久間ダムはすでに着々と事業着手しておる。そうすると総合開発というのは一体何か、非常にその間に矛盾があるのです。ちよつと委員長、私は河川局長さんが向うに御用があるならば、私はよろしうございます。
  52. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 河川局長お急ぎのようですから、私からこの次にお尋ねしたいというか、資料を、恐らくあると思うのでお願いしたいのですが、それは最近水利権、つまり河川法の改正に関連して、水利権などの処置をめぐつていろいろと建設省はこういうふうなことを考える、又こういうふうなことも考えて迷つているとかいろいろ巷間伝えられるのですね。私はこの委員会では随分前から、河川法の改正というものを恐らくおやりになるだろうが、できれば要綱等ができた場合には成るべく早く一つお示しを願つて、いろいろと問題も多い或いは又摩擦等も多いのだが、併し或る程度いじらなければならん段階に来ている河川法を早く研究を進めるように一つ希望するということでお願いしたのですが、ここにはまだ全然出ていない。併し巷間には盛んにそういうことを言われているのでありますから、この次には一つ要綱程度のものを、現段階における要綱、考え方、こんなものを一つお示し願いたい、これだけお願いしておきます。
  53. 米田正文

    政府委員米田正文君) 水利権の問題についても、それも河川法改正のうちの一つの問題でございます。河川法の改正の問題については実は省内で今一生懸命勉強して準備をいたしているところでございます。ところが先ほどお話のありましたように巷間にいろいろな話のほうが先に非常に拡がつておりまして、実は我々非常に困つておるのでございますが、実はまだまとまつておりません。まとまり次第私どもも是非委員会には、案文にならんでも、骨子の方針が確定すれば是非お話をして、御意見を承わりたいと思つているのでございますから、そういう準備のでき次第提出いたします。
  54. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 恐らくこの国会にどういう法律を出すかなどといつたような審議をされる場合においては当然省議を経てお出しになる。私はこの間、この国会に出される予定法案を見ますと、河川法の改正が上つておる、私は省議にお出しになつた際のその程度で結構なんです。一つ早くお示しを願いたい、こういうことを要求しておきます。
  55. 米田正文

    政府委員米田正文君) できるだけ早くいたします。
  56. 田中一

    田中一君 これは曾つて河川局長にお願いしておいたのですが、これはあなたの前任者にお願いしたのですが、この日本の河川に対して水利権を与えたものが未だ着工していないという河川がたくさんあるということなんですが、この表を出して頂きたい、資料を。恐らく明治時代から許可しながら未だにそれに対して着工していないという所がたくさんあるのです。これをもうあなたがさつきおつしやつたように着工一年とかになつているはずですけれども、違法ですけれども一応黙認しているという御答弁があつたんですが、それを全部出して頂きたい。それから直接国がやつておる多目的ダム、これに対して発電権といいますか、電力を発電する権利を付与したところに対して幾らの負担金を県とか或いは電力会社とかいうものに払わしておるか、その比例を、金額と比例ですね、建設費とそれから何キロ出力があるか、それに対して幾らの負担をさしておるかというような表も資料としてお出し願いたいと思います。この二つお願います。
  57. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今の御注文ですね、直轄事業でやつておるものであつて、そのダム施行に伴ういろいろ諸経費がございますが、その諸経費を事業別に分担をし合つて行くという意味ですか。
  58. 田中一

    田中一君 直接に国がやつておるものですが、多目的ダムです。結局これに対して灌漑用水その他の問題、そういうものいろいろな目的があるはずです。そのうち電力を作るという県或いは電力会社にしても、その施設をする場合に、ダム事業費に対する負担をさしておりますね。この負担を、どの河川は幾ら何会社に負担さしておる、それに対しては電力は幾らと予想しており、その工事費は幾らになつているかということを出して頂きたい、それが一つと……。
  59. 米田正文

    政府委員米田正文君) それが我々が呼んでおりますいわゆるダムのアロケーシヨンと言つておりますが、それのことでございますか。
  60. 田中一

    田中一君 そうそう、もう一つのあれはわかつておりますね。
  61. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは石井さん、先ほどの御質問継続中であつたようでございますが、御継続なさいますか。……では佐々木政府委員
  62. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 赤木委員にお答え申上げます。  御質問の趣旨は、国土総合開発法と電源開発促進法との関連如何という点が一番中心問題だと思いますが、前々から御説明申上げております通り国土総合開発法のほうが優先的な法律でございまして、この国土総合開発法でそれぞれの計画がきまり、所定の手続閣議決定等がありますれば、その計画に従いまして電力或いは道路開発、或いはその他の開発が進められるのが当然の道筋かと思いますが、御承知のように総合開発の実際の立案をする際には、あの法案の趣旨から申しまして民主的な法規と申しますか、成るべくは下の話合い中心にして、そうして話合いのついたのを上に持込んで行くという恰好になつておりますので、数県に跨つているような地点に対しましては利害が相当錯綜しておりますのでなかなか話合いがつきません。例えば只見川の例などはいい事例かと思いますが、そういたしますと電気のほうは一方押詰められました需給関係上逼迫した関係になりましたので、どうしても電源開発促進法がきまりました一昨年の七月でございますが、急いでとにかく最も必要な個所は開発しようという緊迫した状況でございましたので、実際の扱いといたしましては、国土総合開発法に規定されました総合開発計画がきまります前にではありますが、できれば電気開発をやつてもその計画全体に齟齬を来たさないようにという考えで、県等が第一次、第二次的に出して参りましたものを大体頭に置きながら、その線に沿つて、大きな矛盾を来たさん範囲で電源の開発というものを先んじて、それを決定して開発するという恰好になつておるのでございまして、従つて電源開発計画を実際に施行いたしますためには、できますればそれと並行いたしまして早くその地帯総合開発計画がきまるのが一番望ましいわけでございますから、天龍川、三河地区等に関しましては、それぞれたくさんの特定地域の地区の申込がございましたが、特に最優先でこの地区の審議を進めまして、只今電源開発をやつているのと並行いたしまして総合開発計画のほうも先ほど河川局長お話がありましたように、近く水利権の問題もきまると同時に、又向うの総合開発自体の計画も審議会で御決定願おうかというような順序の段取りになつておるのであります。  以上のような次第であります。
  63. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 いずれにいたしましても国土総合開発は非常に大きなもので、而もこれは閣議の決定においてやることで、電源開発はこれとは違いますが、天龍川のあの地域国土総合開発の主なるものは今の佐久間ダムなのであります。併しこれは著々仕事をされております。一方天龍流域の国土開発の関連にいたしては何らまだ進んでいない。何かその辺に非常に矛盾があるのです。そういうふうな矛盾のあるものは国土総合開発で全部やつたらどうですか。
  64. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 只今説明申上げた通りでございまして、決して天龍三河地区の総合開発計画が遅れておるわけではございません。先ほど申しましたように、十九の地域のある中で、ほかの地区に先んじまして特にこの地区だけを優先的に取上げて、目下何と言いますか、各省間で検討中でございます。従いまして近くこの計画総合開発計画として閣議決定に上る予定でございますが、それを待つていますと、電源開発をやるかどうかという問題は、たしか一昨々年の九月の問題でございますから、なかなか総合開発計画というものはそう急にきまるものではありませんので、一方電力のほうは急いでやるという関係上、止むを得ずああいう手段をとつたのでありまするが、併しながら飽くまでも総合開発計画と矛盾を来さないようにという観点で、例えば佐久間ダムをやる場合に、ただ佐久間ダムだけを考えてやつたのではありませんで、あれをきめます際には当然下の秋葉地区の逆調整池の問題も考え、その結果は、下の農業水利その他を加味しておるが故に逆調整池の問題も起つて来るのでありまして、そういうものを加味して考えてはおるのでありますが、なお全体の計画といたしましては、先に申しました道路の問題とか或いは工業用の将来のための問題とか、いろいろございますので、そういうものを優先的に研究しながら、もう近々閣議決定の運びになりつつございますので、前後の関係は勿論ございますが、そうひどい矛盾はないのではなかろうかというふうに考えております。
  65. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 天龍川地区の総合開発計画の全体の費用に対して、佐久間ダムは何%ぐらい占めているのですか。今お手許にお持ちにならなければ、今でなくてもいいのですが……。
  66. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御説明を申上げます。大体これはまだ先ほど申しましたように最終約な案にはなつておらんのでありますが、総事業費が千六百二十七億になつてございまして、その中で大体電力の分が四百億であります。それは佐久間だけではございませんで、秋葉地点とそれから川上の長野県において美和、あの地点を合わしたものでございます。それから佐久間地区だけでございますと三十五万くらいでございますから三百六十億、まあ四百億くらいの見当かと思います。
  67. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 あれに関連しておる電力のための総事業費が四百二十億のように私はちよつと考えております。そうしますと千六百億だと、あとの千二百億というものは主にどういうものにお使いになるのですか。
  68. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 災害施設と申しますか、工業地帯の整備の問題、或いはさつき申しましたように土地改良の問題或いは治山面に伴う植林の問題等が主なものでございます。
  69. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 あの下流の豊橋ですか、あの方面土地改良とか或いは農業方面の改良、それは無論この地域総合開発の一部でしようね。
  70. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) その通りでございます。
  71. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 併し千六百億の中で四百億現に着手しておるのです。そうするとほかの総合開発計画に比べますとよほど実行に移つておるわけなんです。北上川に比べましても、利根川はまだ見ておらないので知りませんが、そういうふうにどんどん着手しておるものに対して、先ほどから何遍も言う通り、まだ総合開発の案も出ていないというのは私は、北上川のほうですでに案ができまして今着手しておりますが、そのうちの一部が農林省関係ダムが非常に途中で齟齬をして事業を中止するとかいうようなことが新聞に出ておりましたが、ああいうふうなことがあるので、私は主観としては、十九地区をそう一遍に日本の今日の財政ではできやせんから、とにかく一番有効なものから根本的に調査して、それからなされというのが私の主観なんです。どれもこれも調査して、而も施行中に調査する、これは総合開発委員会でも飯沼氏は答弁しましたが、私はそういうふうな調査は呑み込めない。いわゆる根本的な調査をして、それからやつて欲しい。それが本当総合開発の進むべき途だと思つておるのです。今の総合開発に対する調査は、私は非常にすべてが杜撰であると思う。仮に北上川の問題にいたしましても、さつきの田中委員の御質問によりますと、まだ今でも調査費が付いておるように窺われますが、一体北上川にこの前の調査費と今後の調査費とどれほどの割合に付いておりましようか。仮に以前に付いた調査費と二十九年度調査費が付くとすると、わけがわからないのです。そういう調査費が実際言うと付くはずがないのです。もつと根本的な調査をなさるのが本当だと思いますが、それは一体どうやつておるのですか。
  72. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 只今の赤木委員からの御質問でございますが、成るほど調査の完璧を期して計画決定されるという運び方をするのが、私もそのほうがよろしいと考えております。ただ総合開発法一つの行き方の大きな問題点は、事業実施面はこれは個々の事業主体、それぞれの事業主体河川なら河川道路道路、電力は電力という個々の事業主体がそれぞれ現状のままにおいてその計画を取りまとめて行くという形を少くともとつておるわけです。そういう観点から来る矛盾が、只今御指摘になりましたように、調査の上においてもかなりございます。それを結局総合開発法は、各地元の府県を中心として取りまとめてくれという形に一応なつておるわけです。そういう考え方におきまして今の調査費補助等が出されておるわけでございまして、成るほどこの総合開発計画そのものが赤木委員の仰せになりますような方向において実行せんとするならば、これは少くとも個々の事業実施は一応この計画決定するまでストツプして、而も計画決定をして、その上で出直せという形を、まあ極端な表現のようでありますけれども、ならなければならないようでありますけれども、現状はなかなかそういう形に動かすことは極めて困難であります。困難でありますので、その計画閣議決定できめて行く。併しその間における調査を待つて計画決定するということでありますれば、只今佐々木部長からも御説明申上げましたように、各事業部門のそれぞれ急いでやらなければならないという要請を一応ストツプしてやらなければならないというようなことにまで問題はなつて行くと、かような関係がございますので、その辺につきましては、私どもも事実その事務を取扱つておりまして、これで十分という考えは持ちません。持ちませんが、併し日本の総合開発計画の今の行き方としては、こういう形も一つやはりとらざるを得ないというふうな考え方で進んでおるわけであります。御指摘になりましたように、十九の地区をできるだけ絞つて、少数の地域に対してさような調査費でありましても或いは計画の立て方でありましても、重点的な努力を各省一体となつてつて行くという、こういう考え方に対しては私もさようにありたいと思います。只今閣議決定方法なり取上げ方につきましてもおおむねそういう線に沿つているのではないかというふうに考えております。  十九地域をただ指定されたが故に、これを一つの画一的な同順位、或いは同じ取扱いにおいて並行的に開発計画を進めて行く、このことは財政の上からも極めて困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  73. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はこの総合開発の問題が起りました一番初めから関係しておりまして、一番初めは五十四の地区が出たんです。一体五十四の地区を一一検討してみますとわけがわからん。皆これは、政党関係から自分の選挙の関係で、どうしてこういうふうにほうぼう出しておるのかわけがわからん。それをやかましく言つて十九地区になつている。十九地区も日本の図面の上から見ますとやはり妙なもんです、実際。本当には十九地区が総合開発として価値があるかないか、やるなら私はもつと全部を、今できないか知りませんが、民主主義と言つても、今のやり方がいいか悪いか、これは疑問がある。やはり水力発電なら水力発電でいいのです。根本的に起すとかそういうことをしないと、こんなことをやつておつたら何もならんと考えていますが、あなた方はやはり折角こういうふうになつていますから、根本的なところから本当に正しい線にやり直すというふうなすつきりとしたお考えをお持ちにならんですかな。
  74. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) その考え方につきましては申上げた通りでございますが、少くとも政府決定として出された十九地域の取扱いを、これを全然白紙に戻すということは、これは私は困難でもあり、又責任ある政府決定が朝令暮改式に改められるということは好ましくないものと考えております。併し十九地域のそれぞれの計画を完全に遂行するという立場に立ちますれば、やはりその間におのずから緩急、順序、重点的な地域という姿がおのずから私は出て来るというふうに考えられます。そういう点において電源開発一つの楔で、これに関連する地域が重点的に取上げられるというのも一つの大きな意味の国の政策から割出された開発計画の取扱い方であります。それを先ほど佐々木部長から申上げましたように、総合開発法との調整の上で施行に移して行く、これも地域の取扱い方を或る程度重点的にさばいて行く一つ方法かというふうに考えておるような次第でございます。
  75. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先ほど私がお尋ねしましたこの北上総合開発に対する二十九年度調査費、これは一体どれほど付くのです。その調査費が今までお付けになつ調査費と殖えていますか、減つていますか。
  76. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 詳細は表を改めて作りまして、その際に御説明申上げさせて頂きたいと思います。
  77. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 重ねて私言いますが、調査費の付くことも結構ですが、北上川にたくさん調査費の付くことは非常に総合開発の、どこの国にでも行う理念に相反している。というのは、根本的に先ず調査費をうんと付けて、そうして十分の調査をしてやるのが総合開発の行き方で、途中でそういうふうにいろんな事項が起るから調査すると、これは何ですよ、試験所で試験する場合に一つのテーマを持つて試験しますね。その試験中にいろんな事項が起る場合には、これは予期せん事項が出て来る、それを先ず研究することが重要なことなんです。それから多くの研究の、又多くの世人の知らない理論の発見になる。これは非常に重要なことでありますが、そういうふうの試験所の研究と違いますから、初めに少くとも調査をなさる場合大体の数は十分調査費を以て調査できているはずなんです。それを先ほど言つた通り北上川の農業関係の堰堤が中心になるというふうなことであつては、これは一体総合開発は何を調査しておるか、そう言いたくなつてしまう。この次でもよろしうございますからして、一体どれほど調査費が付くのか、併しそれも今すぐわからんければ今言いません。私の理念はそういう考えで、もう一遍総合開発調査というものについて考え直して欲しい。併しこれもすでに閣議で決定して、いろいろなことがありますから、できんとおつしやればそれは止むを得ませんけれども、私は今のやり方は根本的に間違つておるということを指摘したい。まあ取りあえずそれだけ指摘しておきます。
  78. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私もこの調査費補助の取扱いの上からいたしまして、少くとも大きな開発事業を行う前提条件として、計画を立てる上において必要な調査費というものは、これは相当な調査費がなければ精密な計画はできない、赤木先生の御主張には私はその通りだというふうに考えております。ただ現実の問題を申上げますと、個々の事業にはそれぞれの事業費の調査費というものが又別途組まれておるという形をとつております。従つて計画のための調査というものと、それからそれの一環といたしまして事業実施段階にまで至る調査、これを全部一つ計画をまとめる前において十分な調査をしておくということが、今赤木先生のおつしやつた趣意にまさに副うものではないかというふうに考えますけれども、現在の総合開発実施の上の予算措置の形におきましては、計画を立てる段階までの調査は一応立てる。それから事業費の調査はそれぞれの事業所管の上において別途調査を改めて行うというふうな、やや二重投資的な形の調査というものが予算の上では少くとも現われる、こういう形になる。そこら辺において実際の問題の処理、予算編成をめぐつての処理の上で現実的にはかなり困難な問題があるわけでございます。  それからなお私どもの考え方で以てこれは現実その通り行われておりませんけれども、調査主体というものが果して府県であつていい場合もありますし、他の調査主体がこれに従事することがいいという場合も考えられる。一応私どもの建前といたしましては、府県を通じて調査をするという形を、これを総合開発法建前からいたしましてもそういう形をとらざるを得ないことになつておりますので、そこら辺の点につきましてはなお研究すべき余地もあるかと思います。計画を今検討し、閣議決定に至るまでの段階にそういう矛盾を含みながら、いろいろな計画を立てて行くということ自体については改むべき余地は今後においてもあるというふうに考えておる次第であります。
  79. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この調査のことについてもう一つ。仮に利根川なら利根川で申しましても、利根川を治水の観点から河川のほうも調査費が付いておる、直轄の部分で直轄の調査費が付いておる、府県の河川に対しては府県の調査費が付いて来る、総合は総合の調査費が付いておる。道路も直轄と府県の調査費建設省にはそういう総合開発の一環となるべきその調査費が付いている。そうすれば農林省関係のほうでもそういう調査費が私はあるんじやないかと思う。そうするとその各省、各局で集めた調査、それをこの総合開発法の元締のほうで調査なさるというが、一体各局各課で調査したものを集めるだけが総合開発のほうの調査の役目なんですか。(「大体そうだよ」と呼ぶ者あり)
  80. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 調査主体の項目の上で各事業部門のやつておる調査の重複というものはこれは避けるべきでありますし、又そういうふうな努力を払つて考えておるつもりであります。各事業部門のやる調査総合開発法による調査という形で重複調査をするということは、これはいたしておりません。ただ各事業部門の調査がそれでは総合開発計画を立てる上において必要な調査の全部を網羅しておるかということになりますと、その点についてはやはり調査すべき事項がありながらこれを怠つておる問題がかなりございます。そういうものに対しての私どもとしては調査主体にいたしまして、これに補助をするという根本原則に立つてこの補助費の使途を考えておるような次第でございます。
  81. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は今度は審議庁のほうにお伺いしたい。今渋江局長はおつしやいましたが、各局で調査しているもの、それでは不十分なるがために、審議庁として総合開発の観点から特に調査されたものはどういうものがあるか。
  82. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私これはまだ問題のある点かと思いますが、いわゆる総合開発調査というものはどういう性格を持つておるのかという点に関しましては、只今渋江さんからお話通りと思います。ただ要するに特定地帯というその一区画に対しましてそれぞれ各省が、港湾は港湾で運輸省調査をし、電気開発会社なら開発会社調査するというふうに、それぞれ国の機関或いは国の調査機関が調査しているわけでありますが、その調査各省でやつております。これは国営でございまするから無駄のないように、或いはその調査の結果の計画が又合理的に科学的にできますように、それをばらばらにやらないで、調査の面或いは計画の面で調整をとるという必要も一つあろうかと思います。  それからもう一つの観点は、先ほど申しましたようにその地帯だけの調査でございまするから、或いは土地の、従つてその県と申しますか、その地区に実際に住まつて一番関心を持つておる方たちが、その地点を如何にすべきかというので、その地点そのものを自分の観点から、自分たちの特に利害関係の深い視野からいろいろな諸問題を調査もし検討を深めるというのが、これが一つの県の態度かと思います。例えば中央から考えますと、そういう事業はやらんでもいいじやないかと思つても、県としてはそういうものはどうしてもやりたい、こういうことがあるかも知れません。従いまして、中央の官庁がやる調査を無駄のないように統轄するという点と、もう一つは県或いは地方がその特定の地帯行つて、その現地の調査機関或いはその地点関係機関が自分でそれぞれの観点から調査をするというものを如何にまとめるかという二つの問題があろうかと思います。そのいずれを今狙つておるのかと申しますと、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、いずれとも言いかねるのでありますが、今赤木さんのおつしやいましたのは、前者のような調査をすべきだという御質問なのか、或いは後者のような、各現地でそれぞれ特定地帯として地方的必要上この調査をまとめて行くというふうな調査が望ましいという御意見なのか、その点よくわからないのでありますが、現在の調査地区に対する調査費というのは主として後者の点、地方でやる調査に対していろいろ援助を与えまして、そしてこの計画を現地的にと申しますか、地方的に合理的な総合的なものにしたいというのが主たる趣旨でありまして、併せて国でその地区で調査するのを無駄なしにやれるように調整をとるというのが副次と申しますか、調査の狙いになつておるように考えるのでございます。従いまして例えばさつきの北上地区等に対して調査をどうするのだという問題に関しまして、一応全然更の、丁度アメリカのTVAとか或いはアフリカの開発とかいうものでありますれば、これはもう計画がすつかり調査がきまつて、更地でございますから、きまつた所へその建設をすればいいのでございますけれども、御承知のように北上にいたしましても日本のあらゆる地点というものはもうほぼ開発がされまして、そうして非常に利害関係の深いことになつておりますから、新らしく調査を進め、そうしてその調査が全然完成しないと事業着手してはならんということになりますと、なかなか渋江さんもおつしやつたようにむずかしい問題が起りますので、調査を進めてその結果合理的な開発を進めますが、同時に各省でそれぞれ今まで継続的に事業をやつておるものは特定地帯或いは総合開発地帯であつてもどんどんそのままお進めを願いたい。併し余り不都合なものであれば、それは調整をとりまして、無駄の経費のかからないように総合的に調整をする、こういうふうなことになるのではなかろうかと思います。従いまして何地区にどういう調査費を出すのだというのは一口になかなか割り切れないのでありますので、その地区の特殊性等に従いまして、或いは中央官庁調査を統轄するという重点の強いところもありましようし、或いは地方計画に対して中央から補助を与えまして、そしてその補助でその地区の計画というものを立派な計画に作り上げるというふうなものもございましようし、一口にはなかなか画一的に申上げられんのじやないかと思います。
  83. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 いや、私の申し方が誤解を招いて甚だ失礼いたしました。私はもう一遍言いますが、つまり河川なら河川調査しておるし、道路なら道路として調査しておるし、砂防は砂防として調査しておるし、又農業方面は農業方面として各所管官庁調査しておりますから、つまり審議庁と申しますか、そこでは別に調査なさらなくても各省、各局各課の調査したものを取りまとめておられるのが役目で、無論その調査の中で悪いところはそれはあなたのほうで訂正されるでしよう。併しあなたのほうとして特に進んで調査なさるところはありましようか、今まで特に調査されたものがあるでしようか。
  84. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御承知のように経済安定本部時代には河川総合開発協議会等がございまして、何億かの予算を以てボーリングを打込んで、自分の手で調査したわけでありますが、只今におきましてはそういうことはございません。各省調査しておりますのを統轄する程度でございます。
  85. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そうするとあなたのほうでは別に調査費は付いていないのですか。
  86. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 付いてございません。
  87. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 全然調査費は付いておりませんか。
  88. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) いわゆる特定地帯に対する調査費或いは調査地区に対する調査費というものは建設省予算に付いておりまして、審議庁予算には付いてございません。
  89. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そういうものは何ですか、くれぐれも申上げますが、各省調査したものをあなたのほうでおまとめになつて、これが総合的にいいか悪いかを是正し或いは決定なさる、そういうことなんですね、あなたのほうは。
  90. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) その通りでございます。但し誤解のないように申上げておきますが、土地調査というものがありまして、測量とか或いは土壌の調査とか或いは水の調査とかいつたようなものは、これは予算を盛つてつてございます。いわゆる調査と申しましたが、今赤木委員のおつしやる特定地帯に対する調査に限定しての御質問だと思いますので、おつしやる通りだというふうにお答え申上げたのであります。
  91. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私も土地調査を、あれは法律などに関係しておりましたからよく知つております。実際土地調査は何の必要があるか、それを質問した一人なんですが、ほかのほうも調査しておられれば、別に土地調査ということに大分たくさんの金が出ておりますから、ああいうことは二重になりはせんかということで私も大分質問しました。だからそういう点は十分よく知つております。そうするとあなたのほうとして特に立派な技術的なスタツフを置いて、そうして各省調査したものをこれを総合的の観点からこういう線に持つて行く、そういう立派なスタツフは一体要らないのですか。
  92. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ちよつとその前にあれですが、土地調査というのは、土地そのものを調査するのではございませんで、測量でございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。  それからあとの問題でございますが、審議庁のほうといたしましては、一応各省から優秀な技術者の方にお集まりを願いまして、そうして総合開発第一課から第四課まで四つの課がございましてその四つの課長さんも全部技術者でございます。殆んど全部と申してもいいくらい技術者の方が大部分でございまして、趣旨といたしましては、各省はそれぞれ自分の専門の分野から自分の専門の立場で調査をするのであるから、審議庁といたしましては飽くまでも各省のエキスパートが集まつて、技術的に総合して、常に総合的な観点でものを見るというふうな立場をとるべきじやなかろうかというので、そういう立場で以ていろいろ問題を処理しておるのでございます。
  93. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 例えて申しますと、水に関しては農林省は利水の観点からこれを調査すると、そうして建設省は治水の観点から調査する、同じ水をその両方から取扱つています。でありますからして、まあこれは理想的に言うならば、一つの省で治水利水を一貫して行うのが本当でしよう。それをやつていないために農業用水或いはその治水関係の水も取扱わなければならんという点で今までごたごたのあつたことはよく知つています。そういうふうなことで、あなたの今おつしやる通り各省で水そのものを合理的にうまく調整して行くということは、恐らくあなたも安定本部におられたときに、なかなか不可能ということはよく御承知と思います。でありますからして一体今日の情勢であなたの今お話のような立派な調査が、各省に関連した水事業に対してですよ。立派な調査ができているとお考えになりますか。
  94. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 大変どうもあれですが、例えば、水の調査で申上げますと、これはまあ自分のほうで調査しておりますから内情を御説明申上げますが、国土調査課というものがございまして、その測量の問題と同時に水の調査もやつております。河川もたしか五河川くらいかと思いましたが、これに関しましては各省でそれぞれ自分の立場からその地点調査してございます。仮に一つの例をとつてみますと、そういう地点、仮にまあ平地でありますれば何キロ、どのくらいの範囲でこういう観測所をこういうふうにやつたほうが一番合理的だというのが先進国の定例になつておりまして、そういうことで先進国がやつております。それから或る一定の傾斜地に対してはどういうふうに配置すれば一番水の調査というものが確実に行くかというふうなのは、これはそれぞれ先進国ではできておりまして、そういう総合的な観点から調査してございますが、日本の現状はどうかと申しますと、そうじやないのでありまして、飽くまでも各省は、例えば電源会社でありますれば、渇水期の問題はどうだろうというので、それを中心調査します。農業でありますれば農業用水、特にまあ水の必要なときにどういうふうになるかという調査をしますし、建設省でありますれば工事の問題を主として調査するというような恰好でありまして、なかなか配置自体も総合的に参りませんし、調査の狙いもそれぞれの専門のと申しますか、一番必要な分野から調査してございますから、総合的に水を使うというのは困難なような情勢かと思います。  そこで、できますればこれをまあ一本にして調査したほうが無駄がないのじやなかろうかということで、まあ赤木先生御存じのように、安定本部当時に国土調査課というものを設けまして、そうして水の調査も同時にそこでやるということでやつておるのでございますが、なかなか実際問題といたしましては予算の点、その他で思うように参りませんので、まあ先ほどから御議論がありましたように、重点的にやろうというので、僅かの予算ではありまするが、何と申しまするか、数カ村に限つてつてございます。その結果から申しますと、各機関にばらばらにやらして集計をとつて、そのとつた集計と、そういう近代的な配置によつて調査した結果では非常な大きな違いがございまして、ものによつて相当違うところもあるのでございますが、そういう観点からいたしますと、さつき二、三の委員の方から御質問がありましたように、水そのものの根本的な調査というものは必要な段階とも考えてございます。そういうふうでございまするので、できますればそういうふうに統轄して一番合理的な方法で国として調査を進めるのが一番ベターかと思つておるのでございますけれども、まあ御承知のような財政の状態でございますので、なかなか思うように行きませんような状態でございます。  今申しましたのは国土調査課というところでやつております実際の調査現状でございますが、いわゆる特定地帯という問題に関する調査に関しましては、これは先ほど申しましたように、建設省のほうで予算が付いております。建設省のほうで各府県なり各関係者なりにそれぞれ補助金を付けて調査をやつておりますから、そちらのほうでやつております。
  95. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 これは一つの例についてお尋ねいたしますが、只見川の開発については雪の量の調査というものは非常に大きなものであります。あの雪に対しての調査が十分できていましたか、どうでしようか。
  96. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私もこの只見川の問題は、去年の夏ですか、きめる際に、この問題が一番大きな問題として最後まで弱つた問題でありますが、古い資料があるだけでございまして、而もその調査方法が一体どういう方法現実調査をやつているのだということになると、甚だ科学的とは申せないような古い方式だと思いますので、今のところはそれほど精密な調査ができているというふうには考えておりません。
  97. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そういうふうな調査だから、私は欠点があると申しまするのは、実は只見川の雪の問題については、今アメリカに行つている北海道大学の雪専門の中谷君と一緒に調査しようと言つて現にその水源の一部です。立派な調査班を作つて調査しかけた。これは電力会社のほうから頼まれてやつたのですが、電力会社のほうでは中途でその調査をやめてくれということでやめたのでありますが、だから科学的の立派な調査方法があると思う。それがありながら今以てしておらないということは、これはもう大体あなた方のやつておられる、ほうほうの日本の十数地区の調査をやつているが、あれさえなつておらん。そのときに土砂の量も一緒に流れる量も調査しようということでやつたが、併し電力会社の依頼でいよいよ踏み出したときにちやちやが入つてやめましたが、そういう事態をほうぼうで知つているのです。実際にありますからこう申したのでありますが、もう少し今日の技術、科学でできることは随分あると思うのでありますからして、而もやりかけたことも中止されたようなにがい経験を私は持つている。そういうこともありますから、殊に只見川のごときは雪の調査をして行かなければ、本当に水力というものはわからないのです。そういう点でもつとお考え願いたい。
  98. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御趣旨の点はよくわかりましたので、よく研究いたしたいと思います。
  99. 田中一

    田中一君 もう一つ伺いたいのは、今井田君が休職になりましたね。利根川の問題をああやつてあんなに急いでおつたにかかわらず、そのまま荏苒日を送つているわけですが、利根はいつ総合開発ができるのですか。
  100. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 実はああいうことになりまして、一番事務的に急いでおりましたのは、御承知のように天龍の問題でありまして、それは水利権の問題或いは佐久間工事の進捗状況を見まして、一日一分も忽せにできない問題でありましたので、取りあえずあの問題に今なけなしのエネルギーを注ぎまして、利根のほうも研究しているが、若干問題を少し延ばしたという恰好になつておりますが、先ほど申しましたように天龍の問題もほぼ目鼻がついて参りましたので、利根の問題にもう一遍真剣にかかろうと思つているのであります。
  101. 田中一

    田中一君 さつき河川局長は何か建設省で以て水利権の問題で結論が得そうだとか言つておりましたが、我々が今まで了解したところでは、どちらにもつかんから経済審議庁で出さなければならん、線を出してくれということになつておるというふうに聞いておりますが、それはどうなんでしようか。
  102. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 審議庁のほうで腹案をお示しいたしまして、そうして両県、特に愛知県並びに静岡知事お話をしておつたわけでありますが、その後開発会社のほうも問題の引き延ばしもできませんから、真剣にそのラインで検討いたした結果、さつき局長が申しましたように建設大臣でございますが、仲立ちになりまして、そして事実上は問題を解決したというふうに考えております。
  103. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 ちよつと関連していますが、調査の問題ですけれども、予算の問題も重要でございますが、今日技術者が、まあ全国ダム総合開発ができたために調査能力がある技術者が、非常に数が少いのじやないか、この点どうお考えになりますか。
  104. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私も技術のことは専門外のことでありますから、その点について私自身からお答え申上げるのは或いは適当でないかと思うのでありますが、調査能力の問題と言わんよりはむしろ何と申しますか、この技術者の良心としましては、できるだけ十分な調査をして、そして精密な計画を立てて事業実施に移したい、これが恐らく技術者の方々のそれぞれ考えておる根本的な態度でないかというふうに考えております。ただ実際の上でこの事業をいろいろの部面から迫られるような事態がないとは限りません。それでそういう場合における考え方として、十分な調査がまだできないのであるから、これについては事業着手は困難であるということも一応言えるわけでございますけれども、併し時と場合によりましてはそれに並行して調査をやる、それでそれを確定して、なお計画の完璧を期するというふうな方法において行われる事業がないとも言えない。そういう点が今鹿島委員の御指摘になりました、事業着手後におけるいろいろの調査の不備という問題が出て参りまして好ましからざる問題を起すというようなこともありますが、これは建設省内部でもいろいろ論議いたしておりますが、今後におきましてもできるだけそういうことのない方法において私どもは解決を図つて行くべきじやないかというふうに考えております。技術者の能力がそういう点について不十分だというふうに私どもは聞いておりません。
  105. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 私の考えで、いろいろ事業してみて感ずる点は、有能な調査能力のある技術者の数が少い、能力において不十分である。これは何も日本の技術者が欧米の技術者に比べて能力が劣つているという意味ではない。これは私しばしばアメリカの技術者に会いますけれども、戦争中まあアメリカだけがこの電源開発そのほかダム建設をやつていて、日本初め全世界は第二次戦争中約十年間ストツプしていた、それだけアメリカのほうが進んでいる。この進んだ能力を買つてもらいたいということを言つておりますが、これは確かに一部の真理はあると思うのです。今日技術者の数とそれから能力が、今までの、つまり戦争中のギヤツプの、電源工事等がなかつたために遅れていたという点については、これは私は非常に日本では損していると思います。そこで徒らに手を拡げるよりも、技術者の数とそれから能力を養成或いは向上させることが私は急務じやないかと思うのですが、どういうふうにお考ですか。
  106. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 今日は事務次官も参つておりませんので、これは建設省全般の問題にも関連しますので、事務次官から答弁して頂くことにいたします。今日帰りましてよく伝えておきます。
  107. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 特にこれは新しいダムの形式、例えば具体的に美幌の例をとつて見ますと、あれはロックヒル・ダムの形がいいか、或いは重力ダムの従来のグラビテーがいいかということは未だきまつていない。この問題が起つてから何年にもなりますが未だにきまつていない。それでこの開発会社の顧問をされておるドクター・サーヴエーヂ氏が来て、これは経済的の問題だ、ロックヒル・ダムでもできるし、重力ダムでもできるが、どちらが経済的であるかということは計算してみなさい、こういうことをしばしば言われておりますが、その計算が未だにできてないようですが、これは佐々木さん何かできておりましようか。
  108. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私の承知しておる範囲では、調査そのものに対しましても補償問題等について非常に不自由の点もありまして、思うような調査もできてないというようなことも聞いております。実際調査した地点に関しましては、土壌の性質その他から、初期に考えておりましたものより大変困難な地点ではなかろうかというような中間報告も出ておるように聞いております。只今お話のありましたロックヒル・ダムがいいか、重力ダムがいいかということは未だきまつていないように承知しております。主たる主務官庁通産省でございますので、私はまだ最後的の話まではよく承知しておりませんが、今まで私が聞いておる範囲ではこういう状況になつております。
  109. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 それから今ロックヒル・ダムの話をしましたが、アーチ・ダムという形になりますと、非常にこれは経済的に安くなるのですが、日本の技術者はとかく従来の自分のやつたやつだけを、経験のあるものに傾きがちである。如何に国民経済の立場からいつて安くできましても、新らしいタイプのものに移ることを好まない傾向があるのですが、これは是非一つ国民的経済からできるだけ安くていいダムができるようなふうに一つもつと研究して頂きたいと思います。私はこれで終ります。
  110. 石井桂

    石井桂君 私は区画整理のことについて御説明を承わりたいと思いますが、この間の渋江局長の御説明では、五大都市の区画整理は、戦災復興都市で六七%、その他の都市が八八%はでき上つておるというお話がございました。併し私は実際にはそんなにできておらないだろうと思つて地元の東京を少し調べて見たのですが、事実は四〇%も実際の完成はできておらない状態であります。その理由をいろいろと研究してみましたのですが、昭和二十四年から二十九年までの五カ年計画をなすつたその当時の計画は、二十三年の予算単価で組んだままの予算である。そうすると五年後では非常に経費も高くなつておるので、当初四十万円でできたものが百四十万円もかかる、四十億でできたものは百四十億もかかる。東京に例をとれば、これは戦災都市の一番大きな例なのですが、実際は御説明のように六七%の部類にも入つておらなければ八八%の部類にも入つておらない。で東京はどの部類で御計算されたのですか。
  111. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私どもの事業進捗率の一応のめどといたしましては、予算的に現われました事業量と現在まで超過いたしました事業との比較から、六七%ということを平均いたしまして五大都市の関係について申上げたわけでございます。御指摘になりましたように物価の上昇その他によりまして、当初考えられておつた事業計画量というものが、実際の事業執行の上からいたしますれば極めて窮屈な状況になつておるということは承知いたしております。物価改訂につきましては、当初の事業量をそのまま踏襲してはおりませんでこれに対しまして物価改訂による換算をいたしまして、事業量を相当修正をいたしております。この修正の仕方は、一応日銀等の調べによる物価指数を基礎といたしておりますので、従つて現実の問題といたしまして、或いは補償費の問題、その他家屋とか土地とか、そういう不動産に対する物価指数はもつと上つておるということも言えるかと思いますが、そういうような観点から、この事業量が予算面で進捗率を弾いたのと、実際面における事業進捗とはやや違うということは、私どももさようであるというふうに考えておる次第でございます。これに対する手当としては、これは予算説明のときにも申上げましたけれども、残事業というものを一応別途に抜き出しまして、これによつて手当をしてこの事業完遂を図りたい、かような考え方で現在進んでおるような次第であります。
  112. 石井桂

    石井桂君 渋江局長はそうすると今までの代表的な都市の区画整理事業を御覧になつて、実際発表された六七%とか八八%の平均の事業の完成率が実際妥当だと思われておりましようか、私どもが拝見しますと、実際にまあ東京で片付いたなどというのは殆んどないのです。新宿然り、高円寺然り、どこへ行つても皆掘りくり返したままです。移転もしてないし、そこらの人は区画整理が遅れていることで非常に先のことを心配している。生業にいそしむことができないような調子で、お話通りのパーセンテージで進んでおるとすれば、これは私は国民も安心して行くだろうと思いますが、どうも御発表のパーセンテージまで行つていない。而も私が先ほど言つたように仕事の上の単価というものはときどき改訂しておられるとは言いますけれども、余りに実際の問題とかけ離れた単価のように聞いておるのです。五年前の経済のことですから、よほどそのときの標準と今日とでは、私は、まあ勤労者のべース・アツプも随分された今日、その収入も違つておると思う。それに対する営業補償とかいろいろな問題があるだろうと思うのですが、それがあなたの御説明のようにうまくどうしても私は行つているとは思えないのですが、若しあなたが本当に御発表の通り行つていると思われれば、一体どこどこがそういうふうにうまく行つておるのか、私の知つている限りでは区画整理事業は御発表のようにうまく行つているように思えないのですが。
  113. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 東京は地元でありながら、実際問題として進捗が非常に遅れているということは概括的には言われますし、現地の事情を拝見いたしましても、その点についてはまだ努力すべき余地が随分あるというふうに私ども考えております。お話のように仮に家屋の移転補償等の問題にいたしましても、国の予算面或いは事業費面で考えられておる補償額が実際に妥当するであろうかどうかということになりますと、私は率直に申上げまして、これは十分の補償とは言いがたいものがあるというふうに考えております。従つてこれの補償その他の取扱いについては、これは現在の事業量の範囲内においてもつと伸ばしてくれという、こういう予算編成における要求というものは、その年度々々におきましてかなり強くいたしておるつもりでございますが、実際はどういう解決方法になつておるかと申しますと、それに対する各都市としましては、結局事業分量を少くするよりほかに方法がない。移転戸数を当初予定した計画量よりも縮小して、個々の補償の措置を、これは十分とは申しませんけれども、当事者と或る程度解決し得る線で家屋の移転その他を行なつて行くという、こういう姿をとつて参るわけであります。従いまして今石井委員の御指摘になりましたように、事業量を縮小する結果として、こういう事業量なり何なりの上の比率はかなり高く行つているが、実際の事業の消化がその予算面に現われているほどには行つていない、こういう形になつて現われて参つているわけでございます。それに対する手当は、私どもといたしましては、結局所定の事業量の枠内では消化し切れないものをあとへ残す、いわゆる繰延べられるような形になりますが、それの事業消化方法はなお残事業としてこれは別に予算的な措置を必要とする、こういう方法で現在進んでおるわけでございます。
  114. 石井桂

    石井桂君 今の残事業として残る分を重要都市整備事業、そういう計画でカバーがすつかりできる計画がおありになりますか。
  115. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) これは六大都市と申しますから、この六大都市についてはまだその事業量全体をつかんでおりません。併し大体六大都市を除きましたほかの都市につきましては、これは都市数にいたしまして三十九都市ございますけれども、その分については、三十九都市と申しますか、この大体事業進捗が極めて順調に運びまして、二十九年度以前に大体所定事業量は終る、消化し尽すという都市につきましては、全体として、事業量として百六十億ということを、先般そのための特別の審議会の研究の結果といたしまして百六十億という事業量が一応現われております。これを大体基礎に私どもは今やつているわけであります。
  116. 石井桂

    石井桂君 戦災都市における区画整理のやり方についてはいろいろ方法があると思いますが、一番地元の東京が遅れているというのは、一番盛り場で以て一番むずかしいところから手を著けたことにあると思うのですが、そういうような場合がこれから起るといたしまして、仮定をいたしまして、所管官庁建設省としてはどういうふうな所から手を染めるかというようなことまでも御指導にならないと、私は八幡の藪知らずのような都市計画になつてしまうと思うのですよ、そこで、併し一遍注ぎ込んだものでありますから、中途半端な区画整理で終つてしまうわけに行きませんので、幸い重要都市整備事業計画がおありだそうでございますから、これは一つ飽くまでも完遂するという御決意でやり抜いて頂きたい、そういうことを希望してそのほうは終りますが、なお、空地地区の、都市計画区域内の空地地区の解除について先般私が委員会か、或いはあなたのお部屋まで参りまして、いろいろと御調査をお願いしておきましたが、この調査はどのくらいのところまで進んでおりますか、まだ何もやつておりませんかどうでしようか、お聞きしたいと思います。
  117. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 只今東京周辺にありますいわゆる緑地帯、これに対するむしろ宅地としての利用という御要望が実は出ておつたのであります。この点はこの前の国会にもお話がございました。その後におきまして私どもといたしましては首都建設委員会と私どものほうと、東京都と三者これに対する対策を検討して行こうということで、現在それぞれ首都建設委員会は首都建設委員会、東京都は東京都というそれぞれの立場におきましてこの検討を進めて頂いておるわけであります。まだ結論を申上げる段階になつておりませんけれども、私の一応現在試案的に考えておりますことは、或る程度建蔽率の度合というものを、地区によりまして、いわゆる市街地化し得るであろうという地区を或る程度想定いたしまして、これに対する建蔽率は従来よりも若干緩和する、緩和するにいたしましても、これを二通りの緩和の仕方というような方法でなくて、三段階か四段階くらいの建蔽率の緩和の仕方という方法が地区的に考えられるのじやなかろうか。さような見当を以ちましてそれぞれの範囲程度といつたようなものを結論を出すべく、現在只今申上げたような方法において検討を進めておるようなわけでございます。
  118. 石井桂

    石井桂君 先ほど空地地区と言つたのは間違いで、緑地地域のことだつたのです。まじめに御調査を進めておられることを聞きまして大変私は嬉しいと思います。どうぞ早く結論をこれもお出し願いたいと思います。  なおこの前のやはり国会におきまして御発表になつたと思うのですが、東京はどんどん、或いは大阪の過大都市になつて行くのを防止するのに衛星都市の計画をお持ちになつて、プリントを我々に配付されたようでありますが、それらの計画については実際にどういうその後努力が払われて御計画を進めておられますか、承わりたいと思います。
  119. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) この問題は極めてむずかしい問題と現在なつておるのであります。根本的には只今御指摘になりましたように、過大人口都市の防止という施策はどうしても実行に移さなければならないというふうに私ども考えております。そこで建設省の立場といたしましては、新らしい住宅地の造成、これを既成市街地内に求めることなく、むしろ衛星都市的な環境の地域に求めて行くという手段方法を両面から考えて行こう。その一つ方法は住宅局が宅地開発という面で考えて行こうという方法と、もう一つ都市計画の上で区画整理の手法を使つてそういう地帯を選定し、ここに区画整理事業実施に移しまして、道路、或る程度の街路、或いは水道の施設、公園の用地の確保といつたような、いわゆる都市の一つの公共施設の環境を整備するという区画整理の方法をとりながら、そういう区画整理の手法をとりながら公共施設の完備を図つて、いわゆるその宅地化の基礎条件を作つて行く、こういう考え方と二通り方法を考えたわけであります。  現在までこれを実行に移すべく一応昨年度といたしましてはそれの候補地の調査をいたしたのであります。これは主として首都建設委員会が行なつたのでございます。この選定いたしました候補地を今申上げましたような方法において事業化に移すべく、これは相当の事業量を伴いますので、国の予算等も必要とするという観点におきまして予算要求もいたしたのでございますが、不幸にいたしまして、これの具体化までには至りませんでした。いずれにいたしましても、方法といたしましては恐らく只今申上げました二つ方法以外には出ないのではないかというように私ども考えておりますので、そういう条件を更に検討しながらもう一遍精密な調査に目を向けて新らしい事業計画を立てて参ろう、そういう努力を払つて行こう、こういう考え方で現在進んでおります。
  120. 田中一

    田中一君 今二つ方法を局長は説明なさつたのですが、一体衛星都市というのはどういう定義を持つているのですか。
  121. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私どもの考え方では、結局目的は過大人口都市の抑制を図るにあるという考え方で進んでおるわけでございます。これについてはいろいろ論議がございます。衛星都市的な環境を都市周辺に作ることが却つて逆に過大都市の助長になつて行くような結果になるのではないかというような話もございますけれども、少くとも地方の農村から移入する人口の受入態勢としての衛星都市というものを考えるか、或いは既存の東京その他に居住しておる人口の移住地と認められる衛星都市を作るかという問題がいずれにしてもあると存じますが、私どもといたしましては、いずれの方法においてもそういう方法をとらなければ、現状のままを以てすれば都市に人口が集中するという傾向を防ぐことはできない、そういう観点においての衛星都市整備という問題を考えておるつもりでございます。
  122. 田中一

    田中一君 二十九年度予算において五十万円の調査費を見込んでおりますけれども、併し実際自分で衛星都市とは何かという定義さえわからずして何のためにこれをやるのか、あなたはまさか、大島土地が相模原地区に何十万坪、何百万坪持つておるか、そこへ持つて行こうという意図を持つておるのか、私は若しあなたの言つておる二つの考え方という形で考えておるなら実際ナンセンスです。それよりもあなたの言つておる宅地を求める方法も、或いは人口を離散させる方法も、新しい土地がなくちやならんという理由はないのですね。衛星都市という考え方からすれば……。全然別個の都会として作るならいざ知らず、幾らそういう考えを持つてやつたところが、これは東京なんというところでは、そういうあなたの言つた衛星都市的のものを十作れば十一緒になつてやはり大都市になつてしまう。そういう考え方で考える前に、もう少し私がいつも申上げておる空間の高さの利用ということを考えるほうがもつと金もかからないで、摩擦も少くて作れると思う。私は五十万円の調査費というものがありますけれども、どういう意図を持つておるか、詳しく御説明願いたいと思います。
  123. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 先ほど来石井委員並びに田中委員からお話がありました東京都の過大都市になることを防止する措置についてでございますが、昨年来実は首都建設委員会並びに住宅局で相当法案、予算案等も一応準備いたしたのでありますが、お話通り方法についていろいろ議論百出いたしまして結局結論を得なかつた。予算化もせず、法案も提出をやめたような状況でありまして、まあちよつと考えて見ましても、衛星都市を作ると、相当強制力を持つた法制措置もとらなければ却つて東京都を大きくしてしまうというようなこともありましようし、東京都の周辺に衛星都市を作るくらいならば、或いはほかのほうに工業都市のようなものを作つたほうが却つていいじやないかというような議論もありましたし、それから又その前に、東京都内の本当に交通機関なり水道施設なり何なりが完備すれば、もう少し東京都内を高くすれば、もう少し利用の方法がありはせんかというようなことで、もつともつと議論を尽さなければいかんということで今度の国会には法案なり特別の予算案を提案しなかつたのですが、五十万円というのはやはり衛星都市、東京都の過大都市化を防止する、そして機能を十分発揮せしめるような東京都を作るというようなことを調査するために計上しておると考えております。
  124. 田中一

    田中一君 これは五十万円はどういう方法で使うのですか。これも首都建設の問題なら改めて首都建設の政務次官でも呼んで頂きます。
  125. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 承わりました。
  126. 石井桂

    石井桂君 もう一つ問題を残してしまつたのですが、私はこの予算の中に立体交叉という予算がありますね。昨年だと思うのですが、池袋のところの国鉄の遮断機によつて、西側に火事があつたときにポンプが行けないで、十分くらい停車したので大火事になつた。ああいうような所は交通にも不便であるし、一刻も早く立体交叉にしたほうがいいと思つているところに、ここに立体交叉という予算が載つておるのですが、実際に東京のみならず、大阪でもどこでもそうだと思いますが、すぐでも立体交叉にしなければならん場所が随分都内に多いと思うのです。こういう例は道路が非常に三十メートルから四十メートルあつて、そして鉄道の線路のところに行くとあれは跨線橋の関係なんですか、非常に絞られて五分の一か四分の一くらいに狭くなつている。そこで交通が混乱しているというような場所が随分あります。立体交叉の問題とからんで交通上非常に何といいますか、危い場所を改善する費用が甚だ少いと私は思いますが、建設省当局はどういうふうにお考えになつて予算を組んでいらつしやるか、それをお聞きしておきたい。
  127. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 立体交叉の問題につきましては、都市の交通上の問題としましても相当重大視いたしておるつもりでございます。現在も事業費はそう十分とは申せませんけれども、立体交叉の問題で一番具体的にひつかかります問題は、国鉄側との費用負担の関係一つ問題に出て参ります。いずれにしても国鉄の線路敷の下を地下道で通すか、或いは跨線橋にして通すかという場合におきましても、それぞれ地元公共団体、それに対する建設省補助と、それから国鉄側の予算と抱合せましてこの事業を直さなければいけないという問題が絶えずからまつて参りまして、そのためにかなり難航いたすのであります。それからもう一つは、これが普通の街路の改良その他と違いまして、かなり工作物としては金のかかる事業になつておるのでありまして、そういう点からいたしまして、全体の街路その他に対する改良事業ほど事業量が相当組まれても、それの整備の箇所数その他の関係からいいますと、現実の問題を解決するのに極めて割台としては低い、こういう恰好になつて参るのであります。これに対しましては私どもとしましても、大体現在のところはその地点における交通量、それから遮断時間等を睨合せまして、できるだけ重点的に考えており、その上でなお国鉄側の費用負担関係の措置がとられたかどうかという点を睨合せまして箇所選定をいたしておるようなことで、御要望の点はできるだけ私ども調査をいたしまして、今まだ箇所的な問題はきめてはおりませんけれども、いずれにいたしましても今までひつかかつておる継続分がかなりございまして、殊に本年度は新規の箇所選定については厳重な予算編成上の措置がとられておる次第でございますので、今後の計画として検討いたしたい、かように考えております。
  128. 石井桂

    石井桂君 只今の問題につきまして、私も実は運輸省の方に政策審議会のときた来て頂いて御質問したのです。そうすると鉄道の分担の費用よりも建設省の分担の費用のほうが余計かかるだろう、それで鉄道はいつでも受入態勢が整つているが、建設省かやらないのじやないですかという意味のことを私ども聞いたのですが、それでお前は幸い建設委員だから今度建設省に十分厳談したらよかろうというような趣旨の御答弁だつたのです。そこで若しそういうような状態であれば、一つもう少しお骨折り願わなければならんと私は思うのですが、如何ですか。
  129. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私どもの聞いておるところではむしろ逆に話を聞いております。併し実際問題としまして国鉄側については十分その手配ができておる、それが建設省補助予算関係において隘路になつておるということであれば、それに対する問題は極めて局限された問題に私はなつて来るのではないかと思います。継続箇所その他の手配が十分ついて、なお新規事業についてのさような国鉄側の手配等の関係において話もあり、特例の取扱いができない代物ではないという判断がつきまして、私どもといたしましてはさような重点箇所の事業をあえて引き延して放置しておくという考えは持つておらないつもりでございます。
  130. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私簡単に首都建設の問題がありましたから、或いはこれは計画局長には御関係ないかも知れませんが、若し関係なかつたら私の誤りであります。  新橋の近所のどぶ池ですか、あれをあの上に一号同速度道路を作つて、一部貸家にするとかいうようなことをちよつと或るところで聞いたのですが、これは無論首都建設委員会に重大な関係があると思いますので、やはり計画局長は首都建設委員会に御関係をお持ちでしようか。
  131. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 関係をいたしております。会議等にもそれぞれ出向きまして、建設省関係官の一員として会議の審議等にも参加しております。
  132. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 では首都建設委員会といたしましてはあすこを埋立て、高速度の道路を作るということにはこれは無論関与されたわけですね。
  133. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) この問題については私どもも関与いたしました。又これに対する意見も立てまして処理をいたしたつもりでございます。
  134. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 併し首都建設委員会はこれに関係したでしようか、それは御存じないでしようか。
  135. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 首都建設委員会の立場としてはむしろ全体の……、これは工作物の建設計画は、いわゆる高速度道路の一部としてああいう工作物を作り、将来の東京都内の高速度道路網の一環に結び付けたいということのようでございます。まあそういう関係においては首都建設委員会もこの問題について検討いたしたというふうに考えております。
  136. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そこで私の知りたいのは、この次、先ほど田中委員の御質問で首都建設政務次官をお呼びになつていますから、首都建設委員会が若しもこれに関係していないというふうなことなら私は非常に大きな質問がある。と申しますのは、中央官衙の問題でさえ首都建設委員会は非常に大きな関心を持つていましたから、一般の都民に重大関係のあるあのどぶの埋立については当然首都建設委員会が重大発言をしているはずだと思いますから、これを次に田中さんの質問に関連いたしまして、それに関する質問を私は保留します。
  137. 田中一

    田中一君 赤木さんの今の質問、私もしようと思つたので、これはゆつくりあとでこの次にやりましよう。  そこで計画局長に伺いたいのは、先だつて土地区画整理法ですか、何とか名前は何ですけれども、そうした意味の区画整理法案を今国会に政府提案するというお話が官房長からあつたのです。そこで現在今石川委員が指摘したように継続事業が遅々として進まない地区がたくさんあるのです。それで或る場合には或る地区では建設省の設計に対する認証も受けず、認証というか何というか、それから工事着手許可も受けずして仕事をやつている場合もある。土地区画整理法を若し出すとするならば、それまでにそのような地区の区画整理事業を一遍中止させる、差とめるというような意思はありませんか。
  138. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 現在進行中の事業をこの新しい土地区画整理法案の審議と申しますか、制定を差控えてとめるという考えはございません。
  139. 田中一

    田中一君 いつ頃土地区画整理法は国会に提案されますか。
  140. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 只今最後の仕上げとしまして、法制局と法案のそれぞれ審議をいたしております。これがまとまりましたならば閣議決定を経まして政府提案にいたしたいと、かように考えております。来月の初旬程度には提出の運びにいたしたい、かように考えております。
  141. 田中一

    田中一君 二十九年度で一応戦災都市の復興計画は終止符を打つわけですが、先だつて予算説明のときにあつたように、何らかの形で二年間延長というような意図があるように伺つていますが、この際今までの区画整理というものは先だつて申上げたように法によらない方式で施行しておる。それが非常に民主的な、市民も又事業施行者も納得する形の新しい法案が出るということなら、少くとも二十九年度計画はこの法律によつて是正されるという考え方も我々は持つのです。そこで今度の法案の内容において、この法律が通つた場合施行期間はいつ頃からやるようになつておりますか。
  142. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 施行期日につきましてはやはり新しい新法の施行は一年くらいの余裕期間をおきたい、かような考え方でございます。
  143. 田中一

    田中一君 計画局長は現在遂行しつつあるところの区画整理の方法ですね、これは一番正しくて一番民主的で、一番誰も歓迎するものと考えておりますか。
  144. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 新しい土地区画整理法案を出そうということは、まあ国会にもいろいろ御論議がございまして、やはり現在の土地区画整理の方法が必ずしも完璧ではないという御意見がございましたし、それらを参照いたして新らしい法案を出したいと、かように考えたわけでございます。それが相当の動機になつていることは事実でございます。
  145. 田中一

    田中一君 現在今構想としてこの新しい法案の内容が一年間くらいの施行期間を置こうという意図ならば、その間に戦後のどさくさできめられた区画整理委員ですね、この身分に対してもやはり同じように一年間そのまま延長するという考えを持つておりますか。
  146. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) いずれにいたしましてもこれは新法に基いた新しい委員の選任その他がきまりまするまでは、従来の委員はそのまま任期を継続して行くよりほかに方法はないのではないかというふうに考えております。
  147. 田中一

    田中一君 そうしますと現在の施行している方式、これによるところの区画整理委員というものは大むね正しい委託職務をやつておると考えていますか、それとも任期のない、身分保障が永久に事業が済むまであるといつたような形で行つた場合、そこに数々の不明朗なものがあるという事例をお持ちでないのですか。
  148. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) これは田中委員から御質問を受けるまでもなく、私どもとしてはそういう不合理をできるだけ是正したい、それも早い機会に是正したい。委員の任期制がとられておらなかつたこと、それから選任当初の事情必ずしも明朗でなかつたという点の御指摘がございました。それが全部とは私ども考えておりませんけれども、一部にさような事態がないということは、これは私は必ずしもそう考えておりませんので、そこでできるだけ公正な選任方法による区画整理委員というものの選任を早い機会に求めたい、かような考え方で新しい法律を出しておるので、その提案を考えておる点から田中委員の御質問なり何なりに対する私の考え方というものはおのずから御理解願えるだろうと思いますが、そういう考え方に立つておるわけでございます。
  149. 田中一

    田中一君 若しも今度出る法案が一年間の施行の猶予期間があるとするならば、私は何もない法律に対する改正ということはできません。やはり現在区画整理委員という者はどの法律によつて身分付けられておるかということを一つ局長に御説明願いたいと思うのです。現在の区画整理委員という者はどの法律によつて身分付けられておるかということをお教え願いたいのです。
  150. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私の考え或いは間違つておるかも知れませんが、現在の戦災都市における区画整理委員の身分としては、特別都市計画法、これが曾つての耕地整理法、それらを援用して実施いたしておるわけでございますから、その法律的な根拠に基いて身分というものはきめられておる、かように考えておるわけであります。
  151. 田中一

    田中一君 区画整理委員の問題についてはいろいろ問題が各所にあります。そこで若しも一年間の猶予期間を持つという新法の精神なら、私はここで近いうちに二カ月、三カ月後に区画整理委員を改選するというような単行法を議員提案で出したいと思うのですが、こういう点についてはあなた方専門家として考えて立法上の方法ございますか。
  152. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 私どもは区画整理委員その他の選任方法につきましても新らしい法律で規定をいたしたいと、又そのつもりで今立案に取りかかつておるわけでございます。その立案されたものを御審議願いまして、議会の協賛を得ましたならば、それに基いてできるだけ早い機会に選任の実際の手続の運びに移したい、かように考えておるわけでございまして、田中委員の仰せられることも、まあ結局新らしい区画整理委員の選任はできるだけ早い機会にということに尽きるであろうと思うのであります。現在の委員の任期を実質上できるだけ早くピリオドを打つて、新らしく選任された方で新らしい委員の体制に移るべきだ、こういうお考えに結局尽きるのじやないかと思います。そういう点については私どもの法案を提出する意図、それから又それによつて手続をできるだけ速かに運びたいという考え方、これらによつ十分御趣意の点は達せられるのじやないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  153. 田中一

    田中一君 いや、法案が出ないのにこんなことを申上げちや、その機会にしやべればいいわけですが、結局政府が出した提案というものは、やはり提案者はそれを固持します。修正されることは好まない。従つて我々は三十一年度までに戦災都市の事業を完成しようと言つておるのにかかわらず、来年度から又やる二年間のための法律なんです。そんなことがあつちやならんと思うのです。今の問題は石井君も言つておるように現在の問題をどうするかが大きな問題なんです。そこで提案者のほうで一年間の猶予期間を以てやるなんと言えば、そんなこと話にならないわけですよ。従つて私はもう最短、幾ら長くても三月以内に、この法案が施行されたなら三月以内にすべての区画整理委員その他を改選するのだというような原案の出し方にして頂きたいからそんなことを申上げておるのです。あなたのお考えのように一年間猶予期間を持つなんと言えば仕事は終つちやいますよ。又そのうちに来年になつたら防衛費はもう少し殖やさなければいかん。一年待とう、待つちやいますよ。待つちやつたら法律は通つても何もならない。法律の適用を受ける期間がなくなつちやう。こういう点については私は局長が、苦し立案して出すなら、少くとも法律ができてから三カ月以内にその法律によつて実施するというくらいの決意がなければ、これは別に単行法を出して、せめて区画整理委員の身分だけは取消す、新らしい選挙をするというような単行法を出さなければならないと思う。この点局長の決心だけ聞かして下さい。
  154. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) この区画整理委員の選任その他につきまして具体的なやはり選挙その他の手続関係を睨み合せて、私どもとしましてはできるだけ最短期間に実行に移す方法にしたいという点については、田中委員の御意見とそう食い違つておらないと私たち考えております。考えておりますが、その点につきましてはいずれ国会の御審議を願うことでございますから、その際におきまして十分政府提案の誤れる点、そういつた点につきまして、私どもも最善を尽して立案をいたすつもりでございますけれども、さような点につきまして十分御審議を願つて頂きたい、かように考えておるわけであります。
  155. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今田中委員計画局長との間の質疑は、大体意図するところはわかつたようですから、これを打切つて、一応次の題目に入るなら入る、こういうふうに一つお願いいたします。
  156. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) お諮り申上げます。少々遅くなつておりますけれども、石破官房長は随分早くお出ましになつてつて頂きましたので、短い説明らしうございますので、ちよつとお聞き願いとうございます。  二十八年発生災害予算計上状況調及び都道府県災害復旧事業年度進捗状況調につきまして御説明を願います。
  157. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 初めに委員長お話になりました件のほかに、その前に一つ私のほうから御報告しておきたいという点があるのでありますが、昨年発生いたしました大災害に対して多くの特例法が制定施行されたのでありますが、これには先ず特例法を適用するのには政令で地域を指定することになつております。ところが政府におきましては政令に全部の府県、市町村を書くというのも、これも技術的に問題がありますので、政令は更に告示に譲つております。  その指定の状況を申上げておきたいと思いますが、これは地方自治体でありまして、府県と市町村、こう分れておりますが、建設省関係しております指定につきましては、府県のほうはすでに昨年中に二十三府県を指定を終つております。今後これはもう殖える見込は目下のところありません。次に市町村の指定でございますが、私のほうのは、例の公共施設の災害復旧費が当該地方公共団体の標準税収を超えるところを指定するという基準一つと、それから災害救助法による支出がその標準税収の百分の一を超えるというのを指定するという二つの物差によつてつておるわけでございますが、市町村のほうにつきましては、すでに一月の二十九日に六百七十七の市町村の指定を終つております。近く第二次分として千四十ばかりの市町村を第二次分として指定するつもりでございます。ただこれにつきましてはこれで尽きるわけじやありませんので、まだ農林省の災害報告などを待ちまして更に追加しなきやならん分が二百乃至五百くらいはあるだろうと思います。この地域を指定しませんと特例法が適用になるかどうかわからん。自治庁で配ります特別平衡交付金も配りようがない。例えば厚生省で簡易水道の特別の措置をしてやれることになつておるのですが、この指定がないとできないというので、非常に地方には迷惑をかけておると思いますけれども、何分にも非常に多種多様に亘る災害復旧費を合計しなきやならんという関係上、そういうことで遅れておるのです。誠に申訳ありませんが、できるだけ急いでやつております。遅くとも二月末なり三月の十日頃には全部指定を終りたい、かように考えております。  次にお手許にお配りしております資料について御説明申上げます。二枚ありまして、初めに都道府県災害復旧事業年度進捗状況調というのから御説明申上げますが、これは二十三年から二十七年までに発生した公共土木施設の災害復旧の状況であります。一番右の欄を見て頂きまして、二十八年度という欄がございますが、その右のほうに進捗率というのを書いております。そこを見て頂きたいと思います。その一番上の二十三年発生災害につきましては二十八年で全部事業を完了した、進捗率一〇〇%、二十四年発生災害につきましては七三%が完了する、二十五年発生災害につきましては五五%が完了する、二十六年災害は五二%、二二十七年災害もやはり五二%、結局これを総合計いたしますと六七%完了するつまり三三%が二十九年度に持ち越される事業に相成るわけであります。これに対しまして約七百億の事業になるのでありますが、これに対しまして二十九年度予算に計上しておりますのは、その註の欄に書いております通り八十九億八千七百七十一万九千円であります。これでどれだけの復旧が二十九年度中にできるかという問題でありますが、大蔵省の予算の積算した説明によりますと、残事業の約三割がこの金額でできると、こういう計算であります。建設省といたしましては、ちよつと説明がなかつたと思いますけれども、若干違つた考えを持つております。大蔵省がなぜ八十九億で三十%程度できるかと言つております一応の説明を申上げながら、これについての建設省の考えを申上げさせて頂きたいと思います。  大蔵省が八十九億を計上してそれで三〇%はできるんだ、こういう説明を、私のほうで聞いておる範囲で申上げてみますと、二十三年から二十七年までに発生した災害については先ずこういうことを考えているようです。二十三年発生災害の残事業はもう今日までやらずにおられるというのは、大体それはもうネグレクトしてもよかろう、打切る、こういう説明に相成つておる。私のほうのは幸い二十三年発生災害は二十八年度で完了しておりますから問題はありませんが、そういう考えのようです。それから二十四年発生災害と二十五年発生災害はその二分の一はもう打切つてもよかろう、こういう考えであります。二十六年と二十七年は一応そのまま、こういうことで計算して出ます数字が事業量でありますが、生の数字でございますと七百十一億、これに対して今申上げましたような操作をいたしますと、五百四十一億円に事業量は圧縮されるわけであります。この五百四十一億というものを出してみて、更にこれについて大蔵省が財務局等を使つて監査の結果、相当節約ができると見てそれを引く、削減率を二一・四%と計算しております。その結果は五百四十一億が四百二十五億に圧縮可能である、こう言つておるようであります。更にこの四百二十五億というのを更に四%減すとこう言つております。これも監査の結果と言つておりますが、それはどういうことかと申しますと、工事を請負に出す場合に、その予算額と入札額との差額には、大体過去やつた例を見てみると四%くらいの開きがある、これは切つても差支えなかろう、こういうような説明をいたしております。そこで四%切つて四百二十五億を四百八億にする、こうして圧縮いたしまして四百八億という事業費を出して、これに国庫負担率を七割三分三厘と計算して、所要の国費を二百九十九億とし、それの三割つまり八十九億を予算に計上した、こういう説明になつております。私のほうの考え方は、実はこの大蔵省のやり方が果して何だか、非常に科学的なことをやつておるようではありますけれども、実際にこれが合うものかどうかというようなことは非常に疑問を持つておりまして、金額の点はこれは国の財政上止むを得んというのならばそれはいたし方ないけれども、併しこういうやり方で私どものほうは計算するのは困ると言つております。昨年来建設大臣並びに事務次官が当委員会でもしばじば申上げております通り、過年度災害は成るべく節約して、不要不急な災害復旧はこれをやめて、積極的な河川改修費に廻したいということをしばしば申上げております通り建設省としましては独自の見地からこの災害復旧費を減らそうという考えで、昨年度各府県の土木部長等の協力も得て、相当百億近い金がすでに県からは自発的にこの分だけはやめてもよろしいというような申出もあつておるような状況でありますし、更に新年度開始までには過年度災害の再調査もいたしまして、事業費を実際に合うように節約をして工事をやつて行きたい、こういうふうに考えております。従いまして、私のほうとしては大蔵省のように三割はできるというようなことは承服しかねますけれども、と言つて今日のところ何割できますということもしつかりしたことが申上げかねる状況であります。  次に二十八年度発生災害について二十八年発生災害予算計上状況調というのを手許にお配りしておりますが、一番初めに公共土木、それからその次に水防資材、地辷等対策、都市、泥土排除、道路修繕、災害公営住宅、これだけの項目に分けて、その下に註を付けております。その一だけを読んで頂きたいと思いますが、本表は災害特例法の規定による事業の種類によつて分類したものでありまして、必ずしも予算の科目とは一致いたしておりません。予算科目で言いますと、例えて申しますと、災害公営住宅は公営住宅施設費のほうにぶち込んでありますが、実質上災害復旧費と思われる分はここに抜き出しておるような状況でありますが、そういうふうな考えであります。  一応この表を御説明申上げますが、これらの総事業費は、公共土木の千百九十九億を初め左の欄に書いております通りの金額になつております。これに要する国費の見込額をその次の欄に書いております。千二百八億、こういうことになつております。これに対して二十八年度にどれだけの予算措置をしたかというのをその次に書いておりまして、予備費と補正予算と両方あるわけでありますが、合計百九十四億国費を出しております。更にその次の欄に、二十八年度の今後予備費充当見込というのを書いておりますが、十一億三千四百万、これはこの表を作りましたときはそうだつたのでありますが、すでに丁度この十七日の日の閣議で予備費支出がこれだけの分は決定いたしまして、これから府県のほうに配る予定にいたしております。なおこのほかに大蔵省のほうにおきましてはまだ若干の予備費を残しているようであります。これは或いは年度一ぱい一ぱい持つていなければならん程度の僅かな金だと思いますが、この中から若干はまだ交渉すれば出る余地があるのじやなかろうかと思つております。  なお、只今ちよつと私御説明を間違えましたが、公共土木の八億三千四百万、それは補助分でありますが、これは閣議決定いたしております。その次の水防資材一億と書いておりますが、これはまだ正式には決定いたしておりませんが、内々大蔵省とは話しておる問題でありまして、今後突発的の災害がなければ、恐らく水防資材にこのまま取れるであろうと思つております。  その次の泥土排除の二億はこれは決定いたしております。従いまして閣議で決定いたしましたのは十億三千四百万円、今後見込のありますのが一億、こう御了解願いたいと思います。これだけの措置を二十八年度にすると仮定いたしまして、二十八年度末の残事業がその次の欄に書いてある数字でございます。これに対する国費が千二億ということであります。然るにこれに対する二十九年度予算計上額は、合計いたしまして二百五十七億、こういうことになつておりまする  なお摘要欄を御覧願いたいと思いますが、ほかに二十九年度予算中に災害関連事業費として河川道路、都市、砂防等に合計十一億の予算を計上いたしております。なお表の註の(2)をお読み願いたいと思いますが、総事業費は今後異動がある見込でありますし、特に地辷り対策については相当額の異動があるかも知れない、かように考えております。更に総事業費が動きますほか、国費額が総事業費の異動に伴い、又特例法の適用ありやなしやによつて、更にこの国費の額は違つて来るかも知れない、かように考えております。  なお、これでどの程度の復旧ができるかということでありますが、公共土木から簡単に御説明申上げますと、公共土木のうち直轄分につきましては、これは九五%程度、ほぼ直轄工事はこれで完了する。三十六億残つておるわけでありますが、それに対して三十一億、ほぼ完成に近いものであります。国有海岸のほうはもう二十八年度で終つておりますので、二十九年度には関係ありません。補助の分でございますが、これで何ぼできるかと申しますと、やはり大蔵省のほうの考えではこれで残事業の四割できるものと、こういう積算の基礎でこれだけの金を計上いたしております。これは非常に又計算がややこしうございますので、更に御質問によつて詳しく御説明いたしたいと思いますが、四割は復旧できるということであります。私のほうの考えでは、大体二割見当であろう、かように考えております。それから水防資材、今年予備費一億取れれば二十九年度は残事業はない見込であります。それからその次の地辷り対策、これが事業費が、計算上は七十四億、国費にして六十六億残つておるわけであります。それに対して七千万しか予算が計上されていないわけでありまして、これは非常に今後問題があるものの一つであります。それから都市の災害復旧でありますが、残事業に対する国費五億六千八百万円、これに対して三千九百万円の予算計上でありますから、これも二十九年度でとても完了するというわけには行かないことに相成ります。泥土排除でありますが、これは残事業が十億で、国費は全額国庫負担でありますから十億、これに対して予算を十億計上いたしております。これで都市、村落等の泥土排除事業は全部できるものと一応考えております。ただここで問題になりますのは、泥土排除の特例法によると、単に都市、村落だけでなしに、河川等に堆積した土砂を排除するというものも入るわけでありますが、これは実は手が著かない、全然手を著ける余裕はなかろう、かように考えております。それから道路の修繕は二十八年度でもう手当が済みましたので、これも終るという……、二十九年度には関係なしであります。それから災害公営住宅は全体で一万七千五十一戸復旧しなければならぬわけでありますが、これは特例法によりまして二十八年度と二十九年度にこれを全部建ててしまえということになつておるものでありますが、二十九年度に四千戸分、七億五千万計上すれば、これで完了ということになつております。  大体以上で御説明を一応終りたいと思いますが、私はやはり公共土木の問題と地辷り対策の問題、それから泥土排除の問題、これにはいろいろ御意見があろう点かと考えております。
  158. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) お諮りいたします。只今の御説明に対する御質問は次回に譲りましようか、それとも只今御進行なさいますか。
  159. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はこれは質問がたくさんあります。併し今日は何だと思いますから、次回に譲ることを希望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  160. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会