○
政府委員(米田正文君) 前回
官房長から
建設省全体の
予算の御
説明を申上げましたときに、
河川関係に関する
予算についても、お
手許に差上げてあります表に
従つて一応の御
説明を申上げておきましたので、その点は省略をいたします。ただそのときに
田中委員から御注文のありました
内訳書の準備を今いたしております。今日間に合わせるつもりでしたが、まだ間に合いませんが、次の機会には多分間に合うと思いますから、そのときに提出をいたします。
それで今日私からお話申上げます点は、極く
事業の性質についての
方針を申上げたいと思います。
私どものほうで所管をいたしております
事業は、大きく申しますと河川等
事業費という項のものと、それから
災害復旧の項のものと、それと砂防
事業と、大別すると三つになるのでございます。河川と砂防につきましての二十九
年度の施行の
方針は、御承知の治山治水対策協議会で成案を得ました
計画がございます。その
計画の線の第一
年度として実施いたしたいと
考えております。
計画の
内容は曾
つてお配りをいたしたのでございますが、その
計画案の第一
年度と
考えております。ただ当初の
計画は十カ年
計画として第一
年度をやります場合と、今
年度実際に今
予算要求をいたしております額が非常に変
つておりまして、当初の我々の
建設省の
考え方からいたしますと、今
年度の
要求予算は三分の一
程度にな
つておりますので、前回においても御指摘のありましたように、画にかいた餅ではないかというような御批判もございました。けれども我々といたしましては、この前立てました治山治水
計画案は今後どうしてもやらなければならない
事業のみを盛
つてあるので、この
計画案の完成には絶対努力をいたす覚悟でございます。ただ年次
計画等で問題がございますので、これは財政
関係がございますので、近く治山治水対策協議会の財政小
委員会において
決定をお願いいたす準備をいたしております。でこれが我々の申しておりましたような十カ年
計画がそのままにはきまらないで、相当違
つて来るではないかとも思われますが、いずれにしても、その財政小
委員会で
決定をして頂く予定にしております、そういう趣旨でこの二十九
年度の河川等
事業費及び砂防
事業費はできておるのでございます。この前
官房長の申上げましたような項目でございますが、主要項目について補足的に御
説明申上げたいと思います。
河川等
事業費のうちで、第一の
直轄河川改修費でございますが、これは全国で利根川初め七十八本の河川を
直轄河川として工事を実施中でございます。今
年度熊本の白川が非常に
災害を受けましたので、
直轄河川としてやろうという準備も進めてお
つたのでございますけれども、
政府部内の財政上の都合で、今
年度計上を取止めることにいたした次第でございます。本数は二十八
年度に実施した本数と変化はございません。
内容的に申しますると七十八本の河川をや
つておるけれども、そのうちでも特に重要な河川に重点的に
予算をつけて行くという
政府部内の
方針にな
つたのでございます。ここに計上してございます九十九億という
予算は、今から各河川について細部に亘
つて二十九
年度の
事業実施の
計画を立てるつもりでございますが、重点的に、効果的に効率的に案を作りつつあるのでございます。これは
あとの表にも出て参りますけれども、
北海道の国費河川が十一本ございます。これは一番
あとのほうに
北海道という欄がございまして、十一本でございます。これも二十八
年度に家施をいたしておる本数と変化はございません。石狩川を初めとする十一本でございまして、重点的には石狩川を中心に
考えて参りたいという
方針でございます。
それからその次の主要項目としては維持費を飛ばしまして、
直轄河川総合開発
事業費でございます。これは御承知のように平たく申しますと、
直轄でダムをや
つておる
事業でございます。
内容は雄物川、天龍川、岩木川、和賀川、荒川、由良川、肱川、球磨川及び猿ケ石川の一部の残りというようなものを予定いたしておるのでございます。これも新規のものを今
年度は一カ所も認めないで、従前から引続いてや
つておるものの早期完成を図るという
方針でございまして、そのうちでも岩木川、和賀川、荒川、由良川、肱川、球磨川の六本は二十八
年度に
着手したものであ
つて、雄物、天龍はその以前に二十七
年度に
着手したものでありますので、特に雄物、天龍に重点を置くということに
考えております。
直轄には実はこのほかに鬼怒川初め三本と、藤原初め三本と、六本のものが項目を別にしてございます。それがお配りしてあります表の鬼怒川ほか二河川と書いてございますそれでございますし、その次に利根川ほか二河川と書いてございます。これは同じ
直轄河川でありながら項目が別にな
つておるのは、これは継続
事業費として項を別にいたしておりますので、性質は同じでございますけれども、鬼怒川ほか二河川と、その次の利根川ほか二河川というのは別項にな
つております。性質は今申上げたのと同じでございます。継続
事業費に設定されておるという点が違うのみであります。このうちで二十九
年度には高知県の物部川のダムは完成をいたす予定でございます。
それからその次の項目としては、
調査費を飛ばしまして、河川改修費
補助でございますが、これは前回も
ちよつと御
説明しましたように、
内容としてはその中には中小河川の改修の
補助と、河川局部
改良の
補助と、それから
災害助成の
補助と、この三つから成
つておるのでございます。中小河川は二十八
年度に施行しておりますもののうち、八本完成する予定でございます。全部で二百六十七本二十八
年度に実施中でございます。そのうち本
年度八本の完成の予定でございまして、その残りの二百五十九本というものを二十九
年度に引続き実施を続けて行く予定でございます。それから局部
改良は、これは二十八
年度には五百七十六カ所を実施いたしております。これはどういう違いがあるかと申しますと、中小河川
補助というのは、中小河川について一定の河川
計画を立てましてそれを、まあ公認されたものではありませんが、取扱上年次
計画を立てて一定
計画を進めておるのが中小河川改修
補助でございまして、局部
改良はそういう全体の
計画はないのでございますが、局部的に、例えば一河川の非常な屈曲の、曲りのひどい所をまつすぐに直すとか、或いは岩盤等のために河床の非常に隆起しておる個所を直すとかいうような、局部的な個所を
改良して行く趣旨でございます。それから
災害助成と申しますのは、毎年
災害が非常にひどかつたところの河川について、
災害復旧だけをやつたんでは
改良的な意味がなくて、
災害を復旧するなら、そのときに同時に
改良工事も併せてやると非常に効果的である。で、その河川全体も中小河川改修をやつたと同じような効果を発揮するというような所について
災害助成という
改良費を
災害復旧費に抱合せにして工事を施行するものでございます。これは二十八
年度においては九十一河川実施をいたしております。で、それに対して二十八
年度中に完成するのが大体十三カ所の予定でございますが、その残りの七十八河川を二十九
年度に引続き一施行すると共に、二十八
年度に新たに非常に
災害を受けました河川三十一河川を新たに
災害助成として取上げて、合計百九河川について二十九
年度は実施をいたしたい
考えで準備を進めております。
その次に海岸堤防修築費
補助というのがございますが、これは又中がいろいろ分れておるのでございまして、この中には海岸堤防の修築費
一般補助と、それからこれも局部的に改修する局部
改良の
補助と、それから海岸の浸蝕対策の
補助と、それからこれもやはり
災害助成の
補助というように
内容が分れておるのでございます。で、この中で特に御
説明申上げます点は、今
年度の海岸の助成では、愛知、三重の海岸堤防が非常な
災害を受けましたので、あれの
災害復旧をいたしますけれども、
災害復旧だけでは十分でない、
改良費として
災害助成分を抱き合せにして工事を施工する必要がある部分について、新らしく六億の助成費をこの中に予定をいたしておるのであります。
その次には河川総合開発
事業費
補助でございます。これは平たく申しますと、各府県で実施をいたしますダムに対する
補助でございます。これは徳島県の那賀川それから山形県の赤川、小丸川、宮川一迫川、古座川、佐波川、赤谷川、真名川、担保川、矢部川、芹川、綾川という十三本を二十九
年度は引続き実施いたす予定でございまして、新規のものは一切二十九
年度にはとらないということにいたしました。二十八
年度に今までや
つておつたものを引続いてや
つたのですが、今
年度完成をいたしますものが五カ所ございまして、山口県の木屋川秋田県の小又川、愛媛県の銅山川、岡山県の旭川、山形県の野川という五カ所は本
年度、二十八
年度で完成をいたす予定でございます。残りの十三本、十八カ所や
つておりますうち五カ所が今
年度二十八年で完全しまして、残りの十三本を二十九
年度に引続き実施をいたします。
その次に、河川
事業調査費補助は省略いたします。特別鉱害対策
事業費
補助、これは特別な名前でございますので
ちよつと、
内容を御
説明申上げますが、これは特別鉱害復旧
臨時措置法という
昭和二十五年に出た
法律がございまして、それによ
つて実施をいたしておるのでございます。
法律の年限から言いますと、二十九
年度にこの
法律の期限が切れることにな
つておるものでございますが、これは、趣旨は戦時中に強制採炭によ
つて炭鉱が荒廃して、そのために起きた鉱害に対する
補助でございます。これは福岡県のみでございます。そういう特別のものでございます。
それから地盤変動対策
事業費
補助というのがございます。これはどういうものかと申しますと、各地で、特に南海地震で瀬戸内海沿岸一帯が非常に地盤の沈下を来したのでございまして、そのときの
措置が中心になりまして、地盤が沈下してそのために潮が非常に入
つて来る。今まで全然潮の入らなかつたようなところが潮が入
つて来るように
なつた、そういうところに堤防の施設をするとか或いは水門の
改良をするとかいうような或いは
橋梁を上げるとかいうような性質の
事業をや
つておるのでございます。
それからその次の
一般鉱害対策
事業費
補助も、これも
ちよつとわかりにくい
法律でございますが、これは先ほど申上げまし鉱害は福岡県だけの戦時中の強制採炭によるものでございましたが、これはその他
一般の鉱害に対する
事業費
補助でございまして、
法律の名前は臨時石炭鉱害復旧法というのが
昭和二十七年にできておるのでございます。それによ
つて実施いたしております。これは現地に炭害復旧公団というのができておりまして、それがこの
事業実施の中心にな
つております。これはやはり九州だけでございまして、福岡、長崎、佐賀、熊本、大分の五県でございます。
その次の鬼怒川外二河川は
只今御
説明をいたしましたのでございますが、これは継続
事業費として、設定をされておるのでございまして、三十
年度に鬼怒川は完成をいたす予定でございます。それから次の物部川は、今申上げましたように二十九
年度で完成をいたす予定でございます。北上川の猿ヶ石堰堤はこれは
ちよつと問題がありますが、継続
事業費としてはこれで、本
年度で終りまして、一部残
つておる問題がありますので、それは二十九
年度で別の費目で
措置いたしたい問題がございます。
その次の利根川外二河川総合開発
事業費は藤原の堰堤、十津川の猿谷堰堤と、江合川の鳴子堰堤と三つからな
つておるのでございますが、これも継続
事業費として設定をされておるものでございまして、項が別にな
つておりますが、利根川の藤原堰堤は三十
年度には完成いたしたい予定でございます。それから奈良県の十津川の猿谷堰堤というのは、これは三十
年度には完成をいたしたい予定でございます。その次の江合川は、これは宮城県でございまして、これも三十
年度には完成をいたす予定で進んでおります。
北海道についてお話し申上げますと、
北海道河川等
事業費というのがその次の紙にございますが、これは先ほど申上げましたように、
北海道の
直轄河川改修費と申しますのは、石狩川初め十一本の河川からな
つておるのでございます。十七億七千九百万、その十一本とそれから特殊河川と申しまして、これは以前
北海道では拓殖費で
全額国費で改修をいたしておつた河川がございます。それを現在は特殊河川改修と呼んでおりますが、これも今の十七億の中に含まれております。現在や
つております本数は十本でございます。
それからその次の河川
事業の
調査費を省略いたしまして、改修費の
補助でございますが、これは
北海道については二十八
年度には二十三本の、これは
内地で言う中小河川でございますが、二十三本実施をいたしておりましたのを、二十九
年度も引続き新規のものを採択しないで二十三本を実施する
方針でございます。
あと次はもう省略いたしまして、幾春別川総合開発
事業費というのがございます。これは幾春別川のダムでございまして、桂沢、芦別という二つの堰堤をやることにな
つておるのでございます。これも継続費として設定をされておりますので、項が別にな
つております。これは二十七
年度から三十一
年度に至る期間で完成をする予定で継続費が設定をされておるのでございます。それで
北海道の
関係を終ります。
その次に砂防がございましてお
手許の紙の三枚目に砂防
事業費五十七億四千九百万という
要求予算のものがございます。これは
直轄砂防
事業費としては、現在利根川を初め、
直轄河川水系二十四水系について実施をいたしておりますものと、それから表六甲河川、神戸の
昭和十三年の大水害による
あと始末として、表六甲の水系、これは中小河川の水系でございますけれども、
直轄事業として実施をいたしておるのでございます。それを合せますと、二十五水系を二十九
年度も引続き実施をいたす予定でございます。
それから
調査費を省略いたしまして、砂防
事業費
補助でございますが、これは二十九
年度は四十一億一千一百万円でございますが、これは中が又分れておりまして、普通の砂防、通常砂防と呼んでおりますが、通常砂防及び特殊緊急砂防、緊急砂防、地辷り対策、この四つからな
つておるのでございますが、そのうち、特殊緊急砂防と申しますのは、当該
年度に起きた
災害のために必要に
なつた砂防の
措置の
費用でございますので、二十九
年度当初には挙げてないのでございまして、
年度途中に
災害があれば計上すべきものでございます。
それから
調査費補助は省略いたしまして、
災害関連事業費補助というのがございますが、これは六千六百五十三万三千円でございますが、これは今
年度、二十八
年度の
災害の
あと始末と申しますか、
災害を圧縮したために生じた
あと始末等に使用する経費でございます。
それで砂防を終りまして、次に河川等
災害復旧事業費に移りたいと思います。次のページの一番上に、河川等
災害復旧事業費というのがございます。これは
直轄河川
災害復旧事業費三十一億五千九百万円でございます。それから
災害復旧土木
事業費
補助が二百九十七億三千七百六十二万七千円で、この二つからな
つておるのでございますが、そのうち
直轄河川については、
直轄河川のこれが全体の
災害の額とどういう割合にな
つておるかということを御
説明を申上げますと、二十八
年度以前の
直轄河川は、全部二十八
年度で完了をいたしております。そこで
直轄河川としての二十九
年度に持ち越す
災害は二十八
年度に起つた分のみでございます。二十八
年度に
直轄河川
事業費というのが幾らあつたかと申しますと、七十二億一千一百万円ございました。そのうちすでに二十八
年度内に支出しましたものが約三十五億ございます。で、二十九
年度に残りの三十七億というものを翌
年度に持ち越しまして、今
年度即ち二十九
年度の
予算要求額、三十一億とな
つておりまして、全体といたしますると、二十八、二十九の
予算の総額としては支出総額は六十六億になりまして、七十二億に対して六十六億支出し得ることになります。
従つて全体の率から申しますと、九二%を出す、支出済みになるのでございます。で、
予算の非常に窮屈でありました
関係で、この九二%で七十二億の経費を極力完成をさせるように努力をしようというのが
政府部内の申し合せでございます。どうしてもできなければ止むを得ないのですが、今後この九二%の支出によ
つて全額全体ができるように
一つ努力いたすという
考えであります。そういうことで
直轄災害は二十八
年度災害は二十九
年度で完成するという
方針をとりたい。それに対しまして一方各都道府県でや
つております
災害の復旧は非常に率が悪いのでございまして、
災害復旧土木
事業費
補助のほうにつきまして申上げますと、二十八
年度の
災害総額が
事業費で一千一百二十七億、これはそのうち国費の持ちます分が一千十一億でございます。そこで、二十八
年度に支出しましたものが、支出しましたものというのは
ちよつと
説明がむずかしいのですが、実はまだ二十八
年度に予備費で持
つておるものがございます。
大蔵省がまだ予備費として持
つておるものがございます。それらももらうことを、
只今そのうのち一部は
建設省としてもらう予定をいたして百五十一億を二十八
年度中に実施をいたしたい。そういたしますと、大体一三%でき上ることになります。それから二十九
年度に今ここに
予算を計上いたしてありますものが
予算で二百七億、
事業費にいたしますと二百三十億でございます。そういたしますと、二十九
年度は総額に対して二一%を実施することになります。合計いたしまして二十八、二十九合せますと三四%を済ませることになるわけでございます。ところが現地の実情を申しますると、特に二十八
年度で一三%に相当するものの
予算を出したのですが、それでは非常に不足だということでございまして、その不足の分はどうしておるかと申しますと、この前国会で非常にやかましかつた例の
災害の融資でございますが、融資を全体で各都道府県に対して百二十億
程度を融資をいたしておるのでございますが、そのうちの我々の
関係の土木
関係に廻
つて来ましたものが大体八十億でございます。その八十億で不足のところを今補
つて実施をいたしておるのでございまして、その八十億は
災害予算の割合にしますと約八%に相当するのでございます。いや、七%に相当するのでございます。八十億は七%に相当するのでございまして、その七%を二十八
年度中に実施するといたしてみますと、若しそれが融資を受けたものは二十八
年度中に返済しないということにしますと、二十八
年度の
予算と合せますと二〇%という勘定になりますので、私どもは極力この二〇%の線を確保したい、
大蔵省は必ずしも私どもと同じ
考えではないようでございまして、貸した金は返せという
考えが相当にあるようでございますが、これは今後の
折衝に残された問題でございます。のみならず、二十九
年度の進捗においても、二十九
年度におきましても、これでなお或る
程度足りないものが出て来れば、融資の問題になると思いますが、現在のところ、二十九
年度における融資という問題は、まだ
調査が十分できておらないのでございますが、差当りは二十八
年度の融資の問題を、例の八十億というものを極力活用するように、
大蔵省と
折衝いたしておる次第でございます。
河川局所管の項目の概要は以上の
通りでございます。