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説明員(
稻浦鹿蔵君) 午前中に申上げましたように、
建設省の
仕事は自然のいろいろな現象を相手に取つ組んで行かなければならんものですから、相当科学的な基礎の上に立
つて仕事をして行くことは当然なことであります。
従つて現在土木試験所、建築
研究所というものを持
つておりますが、土木試験所はこれは内務省時代から非常に古い歴史を持
つておりまして、相当有意義に
研究を進めて来たのですが、過去におきましては非常に何と言いますか、抽象的な
一つの現地との繋がりが余りなくして、学問の
研究というような形でずつと参
つて、
研究報告など相当毎月一回ぐらい、もう数十回発行しておりますが、これもまあ
日本の建設技術を発展さす上において必要ではありますけれ
ども、
建設省としましては、河川とか道路、現地との繋がりが最も必要だと思いまして、私
次官に就任いたしまして、その翌年二十五年でしたか、
アメリカヘや
つて頂いて、
アメリカの工兵隊の
研究所であるジャクソン、それからビつクスバーグですか、それから、あれはデンバーの、これは
日本で言えば内務省でしようが、デンバーの
研究所など実際に見まして、いろいろそこで調査して参
つたのですが、まあ勿論
アメリカのほうは財力もありますから非常に大規模な
研究をしておりますが、全部やはり現地と密接な連絡をと
つた研究をや
つておる。例えばミシシつピイ河のごときはミシシつピイ河全体の模型を作
つて、あれは二千分の一でしたが、長さは約一キロ近い大きな模型を作
つて、そこでいろいろな現象を
研究してや
つております。それから水制一本出すにしたところが、それの実験の結果設計に移しておる。又ダムの形とか或いは余水吐きの形のごときは実際のものと
研究と連絡してや
つております。非常に金はかけてや
つておりますから、そのときに非常に試験
研究に金をかけておるのは羨やましいが、
日本から見ればかけ過ぎているように見えるがと
質問をしたところが、それはここでできるだけ
費用を使
つて最も経済的な、最も技術的、効果的な基礎を作
つて設計すると、現地において莫大な
費用の
節約になるのだ、そうしてそれの理論的な基礎の上に立
つて設計するのだからいろいろなものが安心できるものができるというようなことを頻りに
言つておる。これは勿論当然のことでありますが、
日本としても是非そういうことをしなければならんというので帰りまして、試験所を見直しましたが、試験所は先ほど申しましたように非常に古い間から相当な学者がおりましてこれを築いて来たのですから、
日本としては相当立派な試験所を持
つております。併し規模が小さいし、又設備も不十分でありましたので、逐次
予算も要求をやりまして、今では大体八千万円か、午前
ちよつと申上げましたように事業費から持
つて行きまして、約一億くらいの一年間の
研究費を使
つております。そうして現地と直結して
仕事をしておる。例えば江戸川の問題のごときも、やはり模型を作
つて江戸川の実際の問題と対照してや
つておる。そういうことをや
つていますが、これでは物足りませんので、結局もつと施設を拡充して行くということと、それからそれに
従つて予算の拡大を図
つて行くということ、煎じ詰めればそれに帰するのだと思います。それからもう
一つは現地で実験をや
つております。例えば利根川の下流の銚子の河口のごときは、非常に漂砂のために河口が埋りまして、船が入らんというのでいろいろ検討した結果、導流堤を出したのでありますが、導流堤もその形とか
方向、或いはその位置とか長さによ
つていろいろ現われて来る結果が違いますので、試験所が利根川の下流の実物を対象としてそこで作りまして、そして現在それによ
つて成功いたしまして、大体船が出入りのできるようになりました。それから小さい例は鳥取県に由良川というのがあります。これも漂砂のために入口が埋
つてしま
つて、そうして上流のほうの相当広範囲の耕地が非常に浸水して困
つてお
つたのですが、これも試験所のこれの
関係の係官が参
つていろいろ検討して、試験的に仮設備をやりました結果、相当効果がありまして、上流部の湛水がここ二年ばかりなくなりまして、現地が非常に喜んでくれておりますので、これを更にもう少し突込んで今度は実際の永久施設をやりたい。そうするためにはやはり旅費とか、その場所における
研究費が相当かかりますので、そういうものを要求しておりますが、
大蔵省あたりもこれに対しては認めてくれまして、或る程度
予算をつけてくれますが、まだなかなか
アメリカあたりに比べてはとても問題にならない。あの程度まで持
つて行くことは
日本の国力として到底むずかしいのですが、その目標に向
つて進んで行きたい。そして毎年の
予算要求にはそうした気分でや
つておりますが、どうしても枠だけでできないという場合は、これは余り好ましい方法ではないのですが、
公共事業費から或る程度これに注ぎ込むことを
大蔵省に承認してもら
つてや
つておるというふうな状態でありますので、これは非常に効果のあ
つて当然しなければならない、又すれば相当経済的に
工事が
節約できるというこ ともよくわか
つておるのですが、いま一歩、いま一息というところでまだ満足な結果にな
つておりません。今年もそうした気分で試験所のほうでいろいろ
計画を作りまして、現地と必要に応じて連絡をと
つて行く、そうした意欲でや
つて行こうとかように
考えております。勿論年度初めに各
地方建設局とそれから試験所といろいろそういう問題を打合せ合
つて、この問題を
一つやろう、来年度はこのところまで進んでおるのだからこの
研究を
一つ未解決だから解決してもらいたいというような連絡をと
つて最近はや
つておりますので、要は設備の完備をもう少しやらなければならん、そして経費の拡充をや
つて行くという二点に尽きておると思います。いろいろお気付きの点を御注意願
つて、
日本の土木試験所としては相当古い由緒のあるものでございますので、これを有効に利用して行きたいとかように
思つております。
大臣も恐らく十分にその
研究の必要なことはよくおわかりにな
つておるのですが、私連絡ができなか
つたものですから、まだ御意思は聞いていないのです。その間まだ出張しておりまして、昨日帰
つて来たものですから、一応又これからよく確かめてみますから、足りない点はあとで
お答えいたしたいと思います。