○東隆君 飯島さんから詳細な何がありましたが、私は少し方面を変えてお聞きしたいと思いますが、この
補助金関係の何をずつと続けて参りまして考えたことは、
会計検査院を
充実して、そうして
検査をますます強くやればやるほど、こういう事案がますます殖えて行くのじやないか、それからそうかとい
つてやめるわけには行かないと、こういう非常に疑問を抱くわけです。それで少し方向を変えて見たときに、
建設省と
農林省関係で、
建設省よりも
農林省関係のほうが多い、こういう問題ですね。それでこの問題については、私は
建設省関係が主として対象が非常に公共的な色彩を持
つたものが、
工事その他各方面のことをやるものを対象にしてや
つておるわけであります。それから農業
関係のものにな
つて来ますと、非常に農民に直接関連のある面、それで農業を私企業と考えたときに、非常に私企業に直接
関係のある面に助成の対象がおかれておると、こういうところに非常に問題があると思うのです。それで例えば市町村のようなものに助成金をやる、そうして
仕事をやる、こういうような場合は、私は勿論村民の
負担にはなりますけれ
ども、全体の枠のうちからそれに渡される、或いは融資を受けて直接響いて来ない。そんなような
関係で、
仕事が割合に苦しまないでや
つて行けるわけです。ところが農業の場合には、その
関係は逆であ
つて、助成率が低ければ低いほど
負担金がますます増して来る。それは直接農民の肩にかか
つて来る、こういうようなところで、できるだけ出さないようにしようと、こういうところで農民らしい考え方で以て、いろいろなことを私は計画をするだろうと思う。これが私はいつもこれは
補助金詐欺であるとか、或いは
補助金の取過ぎであるとか、こういうふうに叱られる
原因をなしておると思う。そこで私は農業というものを考えて見たときに、今の農地の所有
関係は農地改革をした後における
状態と、それから以前の場合における
状態とでは、非常に違
つておると思う。戦前の地主はこれは助成金をもら
つて、そうして自分が或る
程度の
負担をして、そうして土地改良なり或いは開墾なりなんなりや
つても、地価の高騰その他によ
つてペイすることが十分であ
つたわけです。だから
仕事をやれた。それから間違いのない
仕事をやる、こういうことがあり得たと思う。ところが今回の場合はどういうふうにな
つて来たかというと、土地改良をや
つても、それからいろいろな農業
関係の施設をや
つても、どういうことになるかというと、生産は上るかも知れませんけれ
ども、米なんかは価格がもう決定をされておるのです。それで地主の性格というものがどこに重点がおかれておるかというと、地主は私は国が地主だと思う、こう考えたほうがいいと思う。それで完全な耕作権を農民が持
つておるのだから、こういう考え方に立
つて来ると、おのずから考え方が違
つて来るわけです。そうすると、井堰のような仮に問題を考えてみたときに、私は当然これは全額国家で持
つて井堰を修復をしたり何かすることも、施設をすることも、これは地主である国家がやるべきじやないか、こういう考え方が当然出て来ると思う。そういうふうに考えて来ると、
負担が非常に多いから、そこでごまかしをやるというような考え方でなくて、国家が直接やるという、全額助成の形で以てやるという形が出て来るわけです。そういうふうにすると、私はもう今まで起きてお
つたいろいろな問題は相当な
部分解決される。それから土地改良のような非常に今度は個々の直接の農家に
関係をしておる部面、こういうような部面は、これはどちらかというと、直接農家に響いて来る問題です。従
つてこれに対する
補助金なんというものは、これは私は場合によ
つては、今の
補助金の形態を融資に全部切替える、こういうようなことも考えられると思います。併し今の融資の場合に金利をとるかとらんかという問題、それから年限を非常に長期なものにする。それは例えば百年という期限を考えると、一%払えばいいのですから、これは農民の経営から十分に出して行けるわけです。そういうような考え方をとるべきではないかと思う。それは
補助金を出して、そして只でくれてやるという考え方から見れば、相当な金額を長期に融資をする、こういう形態は、これは計算上成立
つて来ると思う。そういう考え方に立たなければ、これはなかなか上下こもごも利をと
つてや
つておるときですから、私は先ほどこの中に出て来ておるようなことが出て来るのは、私はこれはもう当然のような気がして仕方がない。それで根本的な考え方を私は変えて行く必要があるのではないかと、こういう考え方が
一つ出て来るわけであります。それで当然日本の何は……、それから先ほど外国の例なんかの
お話もありましたが、私は外国は例えば貿易にした
つて、自由貿易か保護貿易かというような考え方で、そうして幼稚な産業を発展させるためには保護貿易というような形態をとるし、それから日本のようなところでは、農業というものはもう明治以来ずつと助長
行政で以てや
つて来たわけです。助長
行政でなければ立
つて行かないわけです。そしてその助長
行政は今度は戦争後に大きな変革が起きて、そして変
つて来たことは、私が先ほど言
つたような考え方にな
つているわけです。ですから昔のいわゆる例えば農民運動なんかも性格が変
つて来て、昔の農民運動だ
つたら、これは地主対小作人が、これは農民運動だ
つた。今の農民運動は地主対小作人の運動でなくて、農民の運動というものは、国家にこういうような施策をや
つてくれ、こういう農業政策を立ててくれ、こういうところで農民運動というものはありを得ると思う。そういうような考え方で相手はやはり国家であ
つて、そうして或いは自治体、そういうようなものを相手にしてやるのが、これが本当の新らしい時代における農民運動だろうと思う。だからそういうような考え方からい
つても、私はこの
補助金だのなんだのという問題というものは、これはおのずから性格が変
つて来ると思う。
それでこの場合に、私は北海道は非常に資本が足りないし、弱いところだし、開発するところだから、
府県よりも助成金を少し余計やらなければならん、率を高くしなければならん。こんなようなことはこれは国が恩恵を施しているような考え方になるけれ
ども、そうじやなくて、当然国がやらなければならんところの途じやないか、方法じやないか、こういう考え方が出て来るわけです。私は農業というものは非常に公益的な性格を非常に持
つたところのもので、そうして少くとも資本構成から考えて土地資本というものが非常に大きな中味を持
つている。而もその土地資本の中心、土地資本を構成しているところのものは誰が持
つているかというと、これは国が持
つているのだと、こういうふうに考えて来ると、この助成の
関係なんかは大分違
つて来て、そして
補助金の
関係なんかは考え方が大分整理されて、そして融資にする部面と、それから
補助金にする面と、こんな面がずつと出て来ると思う。私はそういう
意味でいろいろ考え方があると思うけれ
ども、私はこんな考え方から見て来ると、大分違
つた考え方で国家が農業を助長し、或いはその他公益的な、公共的な施設を如何にして行くか、こういうような問題が私はおのずからはつきりして来るのじやないかと、こう考えるのですが、そいつはできないのだと、それから
会計検査院の場合には現行法規の下に照してや
つて行くのだと、こういう
お話になるだろうと思うのですけれ
ども、併し政策というものはやはり基本的な考え方から立
つて、そうしていろいろ政策を持
つて来なければなりませんし、そういうような考え方から見て、私は今の百姓を余り悪く
解釈をするというよりも、農家のほうに
責任をおい被せて行くのじやなくて、この
会計検査院の
仕事のやはり対象は、中心は各官庁その他が対象になるべきものだろうと、こう考えるわけです。従
つて各官庁がどうすれば不正な
事項だの何だのが起きないようになるか、こういう点から考えて、法規だの、それからその他のものを考えて行かなければならん、こういうことが私はどうも思われて仕方がないわけです。
それでこの前の時から、少しずつこれらの返さなければならんようなものには、情状酌量をしなければならんじやないか、こういうようなことを言い出したわけですが、この点は私は先ほど言
つたように、現行の法規に照らしているくおやりにな
つている
会計検査院のほうでは、そんなことはできないと、こう一言で言われると思いますけれ
ども、私はそういう点を考えなければならないのじやないか、こう思
つたので、それについて、これはおおつぴらに若しできないようでしたら、
速記を止めてでも
一つお話を伺いたいものだと、こう思
つておるわけです。