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説明員(
淺村廉君) 二十六年の
決算報告におきまして、非常に多くの
事項を御
指摘を受けておりますことは誠に申訳ない限りでございます。勿論この表にもございますように、
相当の
種類にその
内容が分れておりまして、一番
件数の多いのは
原形超過工事を
原形復旧工事として処理しておるという、この表の一番下の欄の計の
一つ上の
最後の
分類に属する
事項かと存じます。これは全体で二百九十三件の中の百四十一件が
原形超過工事を
原形復旧工事として処理しておる、こういうふうにお叱りを受けておるわけであります。まあこの問題につきましては、現在の
法律におきましてはかような問題が起る
危険性が少くなりましたので、大変喜んでおるのでありますが、当時は
法律が現在の
法律と違
つておりまして、
原形復旧の分の国の
負担率とそれから
原形復旧を超えた
部分の
国庫負担率というものが相違してお
つたのであります。
原形復旧の分よりも
原形を超えた分の
負担率が安いという形にな
つておりましたために、少し
解釈を拡げ過ぎまして、この
部分は
原形であるということで取過ぎますと、少し高い率で余計と
つたのではないかということになるわけなんでございます。そういう点でいろいろ
検査院のほうから御
指摘を受けまして、受けた後にこちらの
調査等によります御
意見も申上げて参
つたわけでありまして、大
部分検査院のおつしやる
通りでございます。ただ私のほうでこういう
解釈でや
つたのであるということが、
現地で十分に御
説明のつかなか
つたような点につきまして、東京でいろいろ御
説明申上げて、そうして成るほどそういうことかということに
なつた極く小さい点であります。要するに一番
件数の多いのがこの問題でありまして、これは私
どもといたしましては、たとえ
原形であると
解釈をいたしたものでありましても、客観的に見て如何にもそれは
原形を行過ぎておる、この
部分は
超過部分ではないかということになりまして、
解釈が非常に間違
つた問題もありますし、それから明らかにその
原形と
超過というふうに分けておりましても、
計算上非常に
法規等が当初動いておりましたために不慣れな点がございまして、
計算の
間違い等で処理してしま
つてお叱りを受けたというものもございます。これは
現状を調査いたしました上で、出し過ぎた金は
国庫に還付させるなり、或いは今後の
交付において
調整のできるものは今後の
交付、つまり
帳簿面から落してしまいまして、今後
交付をしないということで処理をするというふうな
方針で
整理をいたしております。
一番上の「
架空の
工事を含めて
災害復旧国庫負担の
対象としたもの」という御
指摘がございますが、これは実際にその
工事をやらないで
災害があ
つたということにして金だけもら
つておいて、そうして別なほうに金を、別な
工事をや
つたというような
余り質のよくない
批難事項であります。これはその
一つ下の「二重に
査定を受けて余剰を生じた
工事費をも
つて査定外の
工事を施行したもの」、これと同じように
余り質のよくない問題であると思います。二重に「
査定を受けて」云々と申しますのは、私
どもでは農林省の
関係と
法規的にやや
解釈のあいまいな点がございまして、どちらでもとれるような面が
法規の上で或る面に起るものでありますから、そういう場合に二重に
両方で
査定をしてしま
つて、そしてその金が二重についたという例が従来遺憾ながらあ
つたのであります。それをすぐに返せばいいのでありますが、それを
十分整理をしないで国から金が来た、ところが
工事が済んでおるために、たまたまほかの
工事、
改良工事ができずにあ
つたのをや
つた、或いはその後増加したような所を
ちよつと
手直しをしたというような所に用いまして、あとでお叱りを受けたようなことをいたしておるのであります。この二
種類のことは私は非常によろしくないと考えておりまして、これに対して私
どもといたしましては、特に厳重な態度を以て臨んでおるのであります。とにかく行過ぎなものはどんな
事情があ
つても還付をさせる、或いは今後の
交付において
調整がつくものであれば、厳密に
調整する、正確な
調整を行うということを、特にこれについては仮借なくいたしております。
それから「
災害復旧に名をかり
改良工事等を施行したもの」という二番目の問題でございますが、これも
相当批難事項としては重要な
部分を占めておりますが、これは私
どもの
査定官は、これはまあどの
程度が
改良に属し、どの
程度が
災害復旧であるかということは、一応
内部で絶えず
方針を
議論もいたしておりますし、実際に当
つて査定もいたしておりますので、間違いはないというふうに私
どもは思
つておるのでありますが、やはりこの
机上査定と申しますか、たびたびここで問題になりました
机上で、
現地を見ないで
図面によ
つて、写真によ
つて一応
査定を行
なつたという
事例が従来非常に私
どもとして多か
つたのであります。かようなことから、こういうような問題がやはり起
つて来たのではないか。実際
現地に当
つて見ておりますれば、かような遺憾な
事例は生じない。一番初めの
架空工事等の
査定も同じことでありますが、
現地に当
つて調べておれば、かようなことは先ず私はないという
自信を持
つているのでありますが、
机上査定において、遺憾ながらかような事態を惹起するということであります。そこで私
どもといたしましてはいろいろ
内部で
議論もいたしまして、
机上査定をもう少し何かの
方法で科学的にやるのがいいか、或いは実際に草鞋履きで
行つて現地を歩いて調べる、
嵐つぶしに調べてや
つたのがいいのか、どつちがいいのか、能率的であるのかという、いろいろな角度から研究をした結果、二十八年度におきましては、とにかく
実地に見て、
実地に
検査するという以外に
方法はないということから、
実地検査を断行したのであります。そこでどんどん
実地にやりましたところが、非常に
災害が昨年は多か
つたために、当初全部
実地査定を見込んでや
つたのが、遺憾ながら七割ぐらいしか
実地に
査定ができなか
つた。昨年の末までに七割ぐらいしかできなか
つたという
状態であります。そこでやはり三割ぐらいの
机上が
残つたのでありますが、それについてはこの百からどんどん再度出かけておりまして、
実地に再調をいたしております。二十八年のことで恐れ入りますが、二十八年の分につきましては、すでに
西日本一帯の分は見直しをやりまして、はつきり申しますと見直ししましたところが、やはり
幾ら気をつけても、
机上でやりますとミステークがありまして、平均いたしまして
机上で取
つた分の一割から一割五分くらいがとり過
ぎであつたという結論も
只今得たわけでございます。まだ全部に行き渡
つておりません。北のほうの雪に埋もれているとか、非常に離れ小島であるというようなところはなかなか参れませんが、
西日本一帯をや
つて参りましたところが、さような
結論が出たわけであります。とにかく
実地主義でや
つておりますので、まあ二十八年については
自信があるというのは
ちよつと口幅
つたい言い方でありますが、二十六年の
机上の多か
つた年に、かような事実が特にあ
つたのではないかというふうに私は考えているわけであります。
それから「
工事の
設計及び施行が当を得なか
つたため
災害復旧の目的を達していないもの」、これなどは非常に
設計についてお叱りを受けるというようなことは、誠に我々としても申訳ない、
建設省としてだらしのない話だと思います。これも私
どもはやはり
机上査定が災いをしているというふうに考えております。実際に当
つてよく見れば
設計が粗漏だというようなことは先ずない。少し行き過ぎるくらいに
設計をとることは、これはあり勝ちだと思いますが、粗漏の
設計を持
つて帰
つて来るということは、先ずく考えられない。これは結局やはり
机上査定の弊害が現われているのじやないかというふうに考えております。
それから「
工事の
出来高が不足しているもの」、これは従来の
批難事項の中に非常にしばしばございましたのですが、
出来高不定ということは結局
検収が足りない。
検収が不徹底だということでございます。これはたびたび問題になりましたように、
成功認定という
制度がございまして、結局一年で
解決のつかない、何年にも
亘つて予算が出て来るのでありまして、
工事が分割して行われておりますこの
災害復旧事業につきましては、とにかくでき
上つた上で、これを
法規に基いて
認定をいたします。そうして精算をするという
制度にな
つておるものでありますから、とにかくまだ進行中であるということで、十分にその
検査が行届いていなか
つたというような
部分が
相当に入
つております。さようなものも、併し実際は金が毎年参りまして、
工事ができて行くのでありますから、
出来高が悪いということは毎年々々一応はつきりしていなければならんわけであります。そこに問題がありますので、
制度の問題は大変むずかしい問題でございますが、私
どもは現在は毎年々々とにかく
工事をよく調べて、そうしてどの
程度にその年の
工事が進行したか、
設計と比べてどうであるかということを
検査をしようということにいたしております。これは
法規的には
中間検査という言葉で現わされておりますが、
中間において
検査をして、そうして
設計の
出来高が不足しておるというような所は容赦なく、これは
手直しを命じて行くということで、
解決をすることで、
只今陣容を整えておるわけでございます。
陣容につきましては、幸いいろいろお察しを願いまして、
行政整理の非常にきつい現在も、私
どもに対しては
相当を人数を増して頂きましたので、こういう面に主力を用いまして、
査定よりもむしろ
査定したのちの不始末の起らないように、あまりお叱りを受けることのないように、
中間検査を励行するという面にその
陣容を用いまして、や
つて参りたいというふうに考えておるわけであります。ここで御
指摘にな
つておりますこの
出来高が不足しておるという
批難事項に対しましては、一々申上げると大変時間がかかりますが、
手直しを命じております。すでに
手直しを完了したものも
相当にございます。ただ
手直しができたと申して参りましても、これは又見てみないと本当に
手直しをしたのかどうかという点が疑わしい、一度こういうことがありますと、
最後までつきつめて、
だめ押しをしなければいけないというふうに考えておりますので、
手直し完了というような届けが参りましても、私
どもはまだ信用はいたしておりません。なお、もう一回調べてみて問題の
結着を付けようというふうに考えております。
「
工事の
設計が過大なもの」、これはそこまで取らないでも、再度
災害防止という
現行法の趣旨に副えるのではないか、少し取過ぎではないかという御
批難を受けておるのであります。これも私はいろいろ調べてみましたが、
机上査定に属する
部分が殆んどであります。結局これも実際に当
つてよく
設計を組まないから、こういうことになるので、
図面等でごまかされて取過ぎるからこういうふうなものが行われるんではないかというふうに考えておりまして、これも
実地検査ということが励行されますれば、
相当に
解決が付くというふうに考えておるわけであります。
いずれにいたしましても、過去において、かように多くの
批難事項を出しましたということは誠に申訳ないというふうに考えておりまして、この後始末につきましてはどんどん
只今検査院とも御相談いたしまして手配を進めておるような状況であります。