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1954-04-02 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二日(金曜日)    午後三時八分開会   —————————————   委員の異動 四月一日決算委員長において長谷山行 毅君、宮澤喜一君及び宮田重文君を委 員に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            植竹 春彦君            小沢久太郎君            奥 むめお君            東   隆君            山田 節男君            菊田 七平君            平林 太一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    運輸省港湾局管    理課長     安井 正巳君    建設省河川局防    災課長     淺村  廉君    会計検査院検査    第三局長    小峰 保榮君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書補助金関係批難事項に関する  件)(内閣提出)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今から第十二回決算審査に関する小委員会を開会いたします。  前回までにおきまして文部、厚生、農林、通産、労働、各省所管補助金関係批難事項につきましては一応審議を終了いたしたので反ります。建設省及び運輸省関係国庫負担法に基く補助金批難事項については不当事実発生原田及びその防止対策につきましては、一般的質問を行うたまま、具体的事項については、まだ質疑を終了いたしておりませんので、本日は両者についての質疑を続けることにお願いしたいと思います。なお共に、負担法に基く補助金批難事項中心といたしまして、本小委員会結論をまとめるための一つの段階として御質疑並びに御協議をお願いいたしたいと存じます。  建設省関係の九百八十五号以下補助金全体を議題に供する次第でございます。専門員から一応御説明いたします。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今小委員長からお述べになりました通り前回には建設省に関しまして災害土木工事国庫負担法そのもの中心に取出しまして、そうして現在法律上どんな欠陥があるだろうか、又実際の事務の取扱いの上にどんな欠陥があるだろうか、どういうふうに将来それを改めたらばよかろうかというようなことについて、全体的の御審議を願つたわけでございましたが、その際に批難事項の第何号から第何号というような工合に、一つ一つ事件議題にすることはなかつたのであります。従つてこのままでこの小委員会審議を終了することにいたしますると、何となく形式的に不完全といつたような嫌いもないではございませんので、今日は只今もお述べになりましたように、九百八十五号から千百二十四号までの問題、及び少し離れて書いてありまするが、是正済みではありまするが、千百二十九号から千百穴十一号、これ全体が議題となりまして、それぞれについて御審議を願いたいと思うような次第なのでございます。  数が多ございまするが、内容は殆んど同じことでありまして、ここに折込みになつておりまする一覧表の一番右側のほうを御覧下さいますと、事柄の種類は七種類ばかりになるわけでありまするが、架空工事を含めて災害復旧国庫負担対象としたもの、それが九百八十五号から九百八十八号まで、それから災害復旧に名をかり改良工事等を施行したものというのが九百八十九号から九百九十九号まで、以下省略いたしまするが、こういうような工合になつておりまして、多数の案件が出おります。これを一つ一つ内容を聞きましても、結局は例えば工事が不完全であつたとか、或いは設計書には何メールとなつておるものが、実際行つて見ると、その出来高が足りないとかいうよう工合に、いろいろな多少の事情は違いましても、結局はもう同じことなのでございます。  それで検査院の御指摘に対して当局ではこれをどういうふうに受けておられるかと申せば、当局からの説明書のほうに出ておりまする通り、殆んど全部はそのまま検査院の御指摘通りで、そのようにいたしますという答弁か出ておるわけであります。ただこれが出ましたのは、昨年の国会へ提出されたのが昨年の二月のことでありまするし、従つてこの原稿をおまとめになつたのはそれよりもなお何ほどかの日数が前のことでもありますので、その後検査院当局との間に多少意見の相違するものなどがあつた場合には、その後絶えず折衝を続けておられまして、只今のところでは殆んど全部それぞれ問題は解決に至つておる。いわば意見対立ということはもうなくなつておるわけでありまして、ただ一件だけちよつと留保させて頂きたいと思う問題がございますが、それは番号で申しますと千五十六号というのでありますが、これはその当時の係の課長が病気のためにちよつとここを休んでおられますので、それを確かめるのが、ちよつと困難な事情にありまするので、これが検査院当局との間にすつかり了解済であるということでありますれば、これでよろしいかと思いますが、若し万が一にもそうでなくて、こちらのほうで御審議願つて、いずれかに決定をして頂かなければならないような場合がありますれば、この次のときにでも御審議をお願い申すようにいたしたいと、こういうふうに存ずる次第なのでございます。それ以外には別段特に申上げることもございません。いずれにいたしましても多少の意見の差があつたところは当局検査院との間にその後相当日数も経つておりますので、だんだんと話合いがつきまして、問題自体としてはもう解決をしておる。ただ何故にこんなふうな不当事項が起つたのかということにつきましては、一つ々々の場合、それぞれ事情が違うわけであろうと思います。併し大体もうここに分類して書かれておりますものを、一分類々々々見ますると、ほぼ同じようなことばかりやつておるというような状態なのであります。
  4. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは先ず検査院のほうにおいて、それについて何か附加えて言うて頂くことがありますれば、一つお願いいたします。
  5. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 二十六年度の批難事項はたくさん出ておりますが、只今専門員からお話がありました通りであります。特に補足する必要はございませんが、千五十六号がちよつと両者話合いが整つていない点もございますが、もう少し事情を聞く必要がある、こういうふうに考えております。それ以外にも実は話は相当両方対立と申しますか、意見の合わないものがたくさんあつたのでありますが、だんだんにお互いに歩み寄りまして、私どものほうも或いは行過ぎも、これだけございますと、なきにしもあらずでございます。そういうものはないはずでありますが、一つ建設省の見解も御修正を相当お願いしまして、ここに出ておりますものが、そう大きく変るというものは、実は一つもないのでございます。今の千五十六号も小さい問題でありまして、或いは従来よりも程度のよい工事をしたわけであります。これは堤防の護岸でありますが、検査院側では原形超過としてここに批難しておるわけであります。建設省としてはこの程度超過原形復旧と認めるのが至当じやないだろうか。こういう点の食違いでありまして、そう大きな致命的な食違いではございません。これは両者話合いがついているはずのものでありますが、ちよつと事項が多うございまして、ここでもう少し時間がありますと申上げられるのでありますが、即座に何とも申上げかねるわけであります。大きな問題ではございません。これは特にこれから御報告しなければいかんというほどのものでは或いはないのじやないだろうかとも思つておりますので、御了承願います。
  6. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは当局のほうにおいて何か付加えておつしやることはありませんか……。今の千五十六号はこの次になお一回ここで審議したいと思いますからその他のほうを……。
  7. 淺村廉

    説明員淺村廉君) 二十六年の決算報告におきまして、非常に多くの事項を御指摘を受けておりますことは誠に申訳ない限りでございます。勿論この表にもございますように、相当種類にその内容が分れておりまして、一番件数の多いのは原形超過工事原形復旧工事として処理しておるという、この表の一番下の欄の計の一つ上の最後分類に属する事項かと存じます。これは全体で二百九十三件の中の百四十一件が原形超過工事原形復旧工事として処理しておる、こういうふうにお叱りを受けておるわけであります。まあこの問題につきましては、現在の法律におきましてはかような問題が起る危険性が少くなりましたので、大変喜んでおるのでありますが、当時は法律が現在の法律と違つておりまして、原形復旧の分の国の負担率とそれから原形復旧を超えた部分国庫負担率というものが相違しておつたのであります。原形復旧の分よりも原形を超えた分の負担率が安いという形になつておりましたために、少し解釈を拡げ過ぎまして、この部分原形であるということで取過ぎますと、少し高い率で余計とつたのではないかということになるわけなんでございます。そういう点でいろいろ検査院のほうから御指摘を受けまして、受けた後にこちらの調査等によります御意見も申上げて参つたわけでありまして、大部分検査院のおつしやる通りでございます。ただ私のほうでこういう解釈でやつたのであるということが、現地で十分に御説明のつかなかつたような点につきまして、東京でいろいろ御説明申上げて、そうして成るほどそういうことかということになつた極く小さい点であります。要するに一番件数の多いのがこの問題でありまして、これは私どもといたしましては、たとえ原形であると解釈をいたしたものでありましても、客観的に見て如何にもそれは原形を行過ぎておる、この部分超過部分ではないかということになりまして、解釈が非常に間違つた問題もありますし、それから明らかにその原形超過というふうに分けておりましても、計算上非常に法規等が当初動いておりましたために不慣れな点がございまして、計算間違い等で処理してしまつてお叱りを受けたというものもございます。これは現状を調査いたしました上で、出し過ぎた金は国庫に還付させるなり、或いは今後の交付において調整のできるものは今後の交付、つまり帳簿面から落してしまいまして、今後交付をしないということで処理をするというふうな方針整理をいたしております。  一番上の「架空工事を含めて災害復旧国庫負担対象としたもの」という御指摘がございますが、これは実際にその工事をやらないで災害があつたということにして金だけもらつておいて、そうして別なほうに金を、別な工事をやつたというような余り質のよくない批難事項であります。これはその一つ下の「二重に査定を受けて余剰を生じた工事費をもつて査定外の工事を施行したもの」、これと同じように余り質のよくない問題であると思います。二重に「査定を受けて」云々と申しますのは、私どもでは農林省の関係法規的にやや解釈のあいまいな点がございまして、どちらでもとれるような面が法規の上で或る面に起るものでありますから、そういう場合に二重に両方査定をしてしまつて、そしてその金が二重についたという例が従来遺憾ながらあつたのであります。それをすぐに返せばいいのでありますが、それを十分整理をしないで国から金が来た、ところが工事が済んでおるために、たまたまほかの工事改良工事ができずにあつたのをやつた、或いはその後増加したような所をちよつと手直しをしたというような所に用いまして、あとでお叱りを受けたようなことをいたしておるのであります。この二種類のことは私は非常によろしくないと考えておりまして、これに対して私どもといたしましては、特に厳重な態度を以て臨んでおるのであります。とにかく行過ぎなものはどんな事情があつても還付をさせる、或いは今後の交付において調整がつくものであれば、厳密に調整する、正確な調整を行うということを、特にこれについては仮借なくいたしております。  それから「災害復旧に名をかり改良工事等を施行したもの」という二番目の問題でございますが、これも相当批難事項としては重要な部分を占めておりますが、これは私ども査定官は、これはまあどの程度改良に属し、どの程度災害復旧であるかということは、一応内部で絶えず方針議論もいたしておりますし、実際に当つて査定もいたしておりますので、間違いはないというふうに私どもは思つておるのでありますが、やはりこの机上査定と申しますか、たびたびここで問題になりました机上で、現地を見ないで図面によつて、写真によつて一応査定を行なつたという事例が従来非常に私どもとして多かつたのであります。かようなことから、こういうような問題がやはり起つて来たのではないか。実際現地に当つて見ておりますれば、かような遺憾な事例は生じない。一番初めの架空工事等査定も同じことでありますが、現地に当つて調べておれば、かようなことは先ず私はないという自信を持つているのでありますが、机上査定において、遺憾ながらかような事態を惹起するということであります。そこで私どもといたしましてはいろいろ内部議論もいたしまして、机上査定をもう少し何かの方法で科学的にやるのがいいか、或いは実際に草鞋履きで行つて現地を歩いて調べる、嵐つぶしに調べてやつたのがいいのか、どつちがいいのか、能率的であるのかという、いろいろな角度から研究をした結果、二十八年度におきましては、とにかく実地に見て、実地検査するという以外に方法はないということから、実地検査を断行したのであります。そこでどんどん実地にやりましたところが、非常に災害が昨年は多かつたために、当初全部実地査定を見込んでやつたのが、遺憾ながら七割ぐらいしか実地査定ができなかつた。昨年の末までに七割ぐらいしかできなかつたという状態であります。そこでやはり三割ぐらいの机上残つたのでありますが、それについてはこの百からどんどん再度出かけておりまして、実地に再調をいたしております。二十八年のことで恐れ入りますが、二十八年の分につきましては、すでに西日本一帯の分は見直しをやりまして、はつきり申しますと見直ししましたところが、やはり幾ら気をつけても、机上でやりますとミステークがありまして、平均いたしまして机上で取つた分の一割から一割五分くらいがとり過ぎであつたという結論只今得たわけでございます。まだ全部に行き渡つておりません。北のほうの雪に埋もれているとか、非常に離れ小島であるというようなところはなかなか参れませんが、西日本一帯をやつて参りましたところが、さような結論が出たわけであります。とにかく実地主義でやつておりますので、まあ二十八年については自信があるというのはちよつと口幅つたい言い方でありますが、二十六年の机上の多かつた年に、かような事実が特にあつたのではないかというふうに私は考えているわけであります。  それから「工事設計及び施行が当を得なかつたため災害復旧の目的を達していないもの」、これなどは非常に設計についてお叱りを受けるというようなことは、誠に我々としても申訳ない、建設省としてだらしのない話だと思います。これも私どもはやはり机上査定が災いをしているというふうに考えております。実際に当つてよく見れば設計が粗漏だというようなことは先ずない。少し行き過ぎるくらいに設計をとることは、これはあり勝ちだと思いますが、粗漏の設計を持つてつて来るということは、先ずく考えられない。これは結局やはり机上査定の弊害が現われているのじやないかというふうに考えております。  それから「工事出来高が不足しているもの」、これは従来の批難事項の中に非常にしばしばございましたのですが、出来高不定ということは結局検収が足りない。検収が不徹底だということでございます。これはたびたび問題になりましたように、成功認定という制度がございまして、結局一年で解決のつかない、何年にも亘つて予算が出て来るのでありまして、工事が分割して行われておりますこの災害復旧事業につきましては、とにかくでき上つた上で、これを法規に基いて認定をいたします。そうして精算をするという制度になつておるものでありますから、とにかくまだ進行中であるということで、十分にその検査が行届いていなかつたというような部分相当に入つております。さようなものも、併し実際は金が毎年参りまして、工事ができて行くのでありますから、出来高が悪いということは毎年々々一応はつきりしていなければならんわけであります。そこに問題がありますので、制度の問題は大変むずかしい問題でございますが、私どもは現在は毎年々々とにかく工事をよく調べて、そうしてどの程度にその年の工事が進行したか、設計と比べてどうであるかということを検査をしようということにいたしております。これは法規的には中間検査という言葉で現わされておりますが、中間において検査をして、そうして設計出来高が不足しておるというような所は容赦なく、これは手直しを命じて行くということで、解決をすることで、只今陣容を整えておるわけでございます。陣容につきましては、幸いいろいろお察しを願いまして、行政整理の非常にきつい現在も、私どもに対しては相当を人数を増して頂きましたので、こういう面に主力を用いまして、査定よりもむしろ査定したのちの不始末の起らないように、あまりお叱りを受けることのないように、中間検査を励行するという面にその陣容を用いまして、やつて参りたいというふうに考えておるわけであります。ここで御指摘になつておりますこの出来高が不足しておるという批難事項に対しましては、一々申上げると大変時間がかかりますが、手直しを命じております。すでに手直しを完了したものも相当にございます。ただ手直しができたと申して参りましても、これは又見てみないと本当に手直しをしたのかどうかという点が疑わしい、一度こういうことがありますと、最後までつきつめて、だめ押しをしなければいけないというふうに考えておりますので、手直し完了というような届けが参りましても、私どもはまだ信用はいたしておりません。なお、もう一回調べてみて問題の結着を付けようというふうに考えております。  「工事設計が過大なもの」、これはそこまで取らないでも、再度災害防止という現行法の趣旨に副えるのではないか、少し取過ぎではないかという御批難を受けておるのであります。これも私はいろいろ調べてみましたが、机上査定に属する部分が殆んどであります。結局これも実際に当つてよく設計を組まないから、こういうことになるので、図面等でごまかされて取過ぎるからこういうふうなものが行われるんではないかというふうに考えておりまして、これも実地検査ということが励行されますれば、相当解決が付くというふうに考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、過去において、かように多くの批難事項を出しましたということは誠に申訳ないというふうに考えておりまして、この後始末につきましてはどんどん只今検査院とも御相談いたしまして手配を進めておるような状況であります。
  8. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは委員の方々、何か御質疑がございますか。
  9. 山田節男

    山田節男君 この二十六年度についての建設省補助金関係の今説明会計検査院それから建設省からあつたわけですが、二十七年を見ると、やはり補助金関係に対する批難事項が殖えておるとも減つていない。更に昨年の六月、七月以来水害、而もこれは異常な水害であり、又九月の初めには第十三号台風があつて、これも建設省関係は厖大な災害復旧事業を処理しなければならんわけです。我々最近殊に西日本、それから近畿、中部等から昨年の六月、七月の水害の救済のための参議院、衆議院の特別委員であつた人々に対して、かなり強い請願陳情を寄せられておるわけであります。というのは地元からの陳情共通点を申せば、昨年の六月、七月のあの水害のために二十幾つかの特別法国会が可決して法を作つたわけです。ところが政令の問題については、御承知のように政府がいろいろな事情から必らずしも我々の国会水害対策特別委員会の意図していたようにこれが十分徹底しなかつた。そこでいよいよ災害復旧事業が始まり、国庫補助金もどんどん支出されておるわけです。これらの請願陳情の一番大きな共通点は、会計検査院が来て三割頭をはねてしまう、そうしていろいろ検査をする。そうして例えば今ここに問題になつておるような災害復旧に名をかりて改良工事を執行する、これは二十五年も然り、六年、七年も然りであるが、こういう過去の例から類推すると、二十八年度は今あなたが説明されたように非常に損害が多くて、そうして箇所が多いのでありますから、金額的にいつても、例えば二十六年でいえば約五〇%の、この補助金指摘されておるものは、災害復旧に名をかりて改良工事をやる、二十七年度も大体このパーセンテージである。そういうふうにすると、昨年の水害に対してどのくらいな改良工事災害復旧に名をかりてやつておるだろうか、これは相当付くわけなんです。併しさつきあなたから一割とか、これは非常に不要のものと見て頭をはねた、こういう意味じやなかつたか。二十六年度、二十七年度から見て、二十八年度は昨年のあの異常な災害ですから、その復旧に対しての建設省の監督は、これはもう行政整理についても、特にこの点は国会も考慮し政府も考慮してやつた。過去の事例から見て、昨年度においてはどういう特別の今の実地査定机上査定を極力これを少くして査定をするというのは、どの程度までの努力が払われているのか。それから我我が聞いておる、会計検査院が頭から三割というものをはねて、そうして工事の実際のまあ査定といいますか、検査を行う、こういうのですが、この点が会計検査院からもこれはいろいろ事情があるだろうと思いますから、建設省としてはこれを一体机上査定でやつておれば、今みたように三割じやない。五割も六割もかかる。極端に言えば、もう半分以上は補助金でやつてしまおう、補助金で全部の復旧工事改良工事もやつてしまおうというのがあるのじやないかと思います。現に我々が香川県の一部のものの個所を見て、一個所のごときは明らかにこれはもう補助金ですべての復旧工事をやつてしまおうという肚でやつておるわけです。ですから、こういうようなもう宿命的に今の制度では付いて来る、こういう悪弊を昨年は特にどういうふうなことを処置したか、どういう処置の方法をとつたか、これはまあ二十八年度の問題だけれども、私は関連してお伺いしたい。会計検査院には今言つたようにこの三割、例えば一千万円のものなら七百万円、こういうふうに見て、現地で非常にシヴイアな査定をやるという非難が国会に来ているわけです。こういう点が一つ建設省会計検査院両方から簡単でよろしうございますから、現状一つ説明願いたい。
  10. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは淺寸防災課長
  11. 淺村廉

    説明員淺村廉君) 昨年の大災害に際しまして、従来机上査定を殆んど大部分と申しますか、八割ぐらいを机上査定をいたした弊風を改めまして、むしろ全部実地検査というほどの強い方針を立てましたのであります。これは実は大災害に対して立てたと申しますよりは、正直申しますと、こんなことをいつまでも繰返しておつては誠に申訳ない。批難事項が相変らず同じように出て参つたのではこれは誠に申訳ないので、建設省としてはとにかくいろいろ検討の結果、実地査定ということに結論が出たのだから、今年から一つ強行しようじやないか、こういうことになつたのであります。ところが陣容から申しますと、私ども防災課というのが只今四十数名おりますが、これが必死になつてつておりまして、陣容的に申しますと、非常に足りないわけでございます。どうするかということを言われましたのですが、結局何としてでもやろうじやないか、河川局だけで間に合わなければ、建設省には道路局もあるのだし、或いは地方建設局というものを持つているのだから、この機構はともかく動員してでもやるべきことであるという非常に強い意見がありまして、その体制を立てましたのであります。ところが昨年は大災害が相次いで起つて参りましたので、まあ一時は途方にくれたわけでありますが、かような際にこそ弊害も多く発生するのではないかということから、実はこれを強行いたした結果、只今申しましたように、年末に七割ぐらいの実地検査が終つたのであります。ところがどうしても如何に気張りましても三割ぐらい残つてしまう。ところが早く査定をしませんと、災害復旧事業費の国庫負担率がきまらないのであります。と申しますのは、建設省災害復旧事業費、それから農林省の復旧事業費、運輸省の復旧事業費、この法律に基きます復旧事業費はこの三つでございますが、三つ合計いたしまして、その県なり市町村なりのその都市の標準税収入と比較をして、スライド制で負担率がきまるという関係がございますので、早く締切りませんと人様にも迷惑をかけますし、いつまでも負担率がきまらないということでは、予算執行上非常に問題が起りますので、一応締切りをしなければならんということから、まあ机上の分は借りたということで一応締切つたのでございます。それで今年の一月から机上査定をいたしました三割程度の分をなお見直しをいたしておりまして、そうして只今私が一割五分と申しましたのは、机上査定を見直してみますと、遺憾ながらやはりそのうちの一割五分くらい、マキシマム一割五分くらいどうもあやしいやつが出て来たということになつたのであります。これはまあどんどん是正をいたしまして、西日本一帯の分はとにかく終つて、あとの分は只今どんどん実施中でございます。まあ建設省としては、二十八年の災害については、それだけの努力をいたしておるわけでございます。それから原型超過工事と原型工事との問題でございますが、まあ只今法律は必ずしも原型に拘泥しないで、原型復旧ができない場合、或いは原型復旧することが著しく困難又は不適当な場合、これは原型通りでなくてもいい、それが災害復旧事業負担率災害復旧負担率でやつてもいいの、だということになつておりますので、この問題は非常に今後は批難事項として上る件数は少くなるのでありますが、併し現行法解釈からいつて建設省は少し幅を広く解釈し過ぎているのではないか。例えば泥でできている堤防が殴れた。それを石積みにしたりコンクリートを張つたりすることは贅沢ではないか。泥で殴れたものが、とにかく泥で相当つてつたのだから、泥でいいではないか。まあいろいろの見解が出るわけでございます。これはまあ大蔵省におかれましても、いろいろな見解を持つております。私ども絶えずデスカツシヨンいたしておるのでありますが、現行法解釈については、或いはその運用について非常に問題が実はありまして、私どものように工事の実施に責任を持つ立場にあります官庁の意見と、それから大蔵省のように予算を実際にそれに対してつけるという立場にある官庁の意見というものがなかなかむずかしい。まあ一致する点を見出すのにむずかしいということはございます。併し最近回を重ねまして、実は検査院はまあこの検査をなさいます立場でございますので、私どもとしては大蔵省と再々打合せを重ねておりまして、どうかしてこの現行法の適正な解釈、運用の基準というものを見付けようということで努力をいたしておるのであります。これは恐らく何かの形で近くまあ事務的な話合いがつくと思いますが、実はそういう点に、解釈をどこに持つて行くかという点に若干の問題があることは事実であります。
  12. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 山田さんから降車の災害につきまして、会計検査院検査で歩いて来まして、三割ぐらい査定してしまう、こういうお話がございました。そういうのが地方からお耳に入つておるということでありますが、そういうことは絶対にございません。殊に会計検査院査定権を御承知のように持つておりません。それで建設省なり農林省なりからの査定内容につきまして、これは直ぐに国費の支出を御承知のように伴うのでありますから、すでに昨年の十二月から相当額の国の補助金が出ております。こういう事実もございますしするので、私ども今までやつたことのない早期の検査になるわけでありますが、従来のたくさん手許にありますように、あとから一年経ちましてから見て歩きまして、たくさんの批難事項が出る、これを何とか早めに防ぎたいということで査定内容ということの調査をして歩いているわけであります。昨年の六月、七月水害、それから十三号台風によります復旧工事というものは、御承知のように国庫負担にいたしまして千五百六十五億ぐらいになるというような大きなものであります。二十八年度といたしましても、国庫の支出だけで三百億というような大きなものでありまして、而も御承知のように九割、大体において九割以上は国庫負担、こういうことになるわけであります。従来のように平気で便乗工事とか、二重査定とか、架空工事とか、こういうことが行われるようだつたら大変なことになるわけであります。そういうことを成るべく早く防ぎたい、従来のように工事ができ上りましてから見たのではもう遅すぎるわけでありまして、検査報告を御覧頂きましても、便乗工事という批難が比較的少ないわけでございます。災害復旧工事で、改良工事をやつたというような批難が上るのは少ないのでございますが、これはみつけるのは非常にたくさんみつけるのでございます。併しながら何分にもできてしまつたものに対して、あとでうつかりすると、全額国庫補助金を返さなければならないような事案が多いものでありますから、こういうものに対して、私どもも正面切つて批難するということが弱気になつてしまうことが、相当多いのであります。今度の九割国庫負担で、こういうふうなことをどんどんやられては非常に大変だという考えも手伝いまして、早目に検査なり、調査なりをして歩いておるわけであります。個々の案件につきまして、一つ一つの現場を見た上で、私どもとして机上設計が多すぎるのではないか、或いはこの部分はこの工事の中で少し改良的な要素が強いのではないか、災害復旧の範囲を逸脱しておるのではないか、こういうようなことを一つ一つ実は洗つておるようなわけであります。その結果は、農林省が殊にひどいのでありますが、建設省関係でも二十数億というものを、大体今当局にお示しして、これは直して頂いたほうがいいのではないかということを申上げておるものが出ておるのであります。建設省関係で二十数億、農林省関係で六十数億というものが出ております。これは驚くべきことなんでありますが、私たち歩きましたのは、九州の四県、北九州の福岡、熊本、大分、佐賀であります。それからあと近畿地方の和歌山、京都、三重、この程度しか実はいろいろな人員の関係とか、旅費の関係で歩けないのでありますが、それでなお且つ今のような大きな金額が出て来るのでありまして、これは殆んど全部が検査報告の批難事項として上げないで、総括的な御報告をしたい、こう思つておるのであります。年度内に大部分がこれは直して頂だける筋合のものでありまして、決算が確定する前にこれは直して頂ける、こういうふうに私は期待しておるのであります。一つ一つの番号をつけた批難事項としては、お手許に出す段階に至らないうちに直せるのではないか。繰返して申上げますが、今の農林関係で六十数億、それから建設省関係で二十数億というものが、一応私どもの調べた結果、暫定金額として申上げられるわけであります。これにつきましては査定の変更という権限は、あくまでも建設省、農林省がお持ちになつておるのであります。私どもは訂正の勧告をして行く、こういうつもりでおるのでありまして、先ほど三割頭から査定してしまうというような、これは決して会計検査院としては考えてもおりませんし、又してもいないのであります。どうも一つそういう点は御了解願いたいのであります。それから歩いて調べますと、便乗工事相当多いのであります。そうでないものも相当にございます。詳細な資料は建設省のほうは、全部まとめておるのを持つておりませんが、ちよつと農林のほうで申上げますと、種類は建設も同じであります。二重査定、こういう建設省と農林省両方へ申請を出してしまつておる、こういうものが相当に多いのであります。それから便乗的な工事も多うございますが、あと設計過大、非常に忙しいときに、設計をいたしますので、頭の中で例えば泥を何キロ持つてつて捨てるとか、或いは砂利は何キロ先から運んで来て工事をやるという、一々現場の実情にあつたことをやつている暇がないので、それで標準的な設計で全部やつてしまうというような、相当激しい過大設計をしておるのでありますが、こういうことが一般に行なわれている。そのために過大設計というので、今やり直ししなければならないという問題が出て来るのであります。それから又石垣に石を使うにいたしましても、大体はこれの大きさというものは、標準があるわけでありますが、そういうものよりも遥かに大きい石を使つておりましたり、或いは例えば木橋が流れたというときに、立派なコンクリート橋にしてしまつたという設計になつておる。こういう場合には今の九割以上も国庫が負担するというようなあの昨年の大きな災害災害復旧の多い場合に、その範囲を超えて、仕事をやつてもらつてはいけないのではないか、先ほど防災課長から話がありましたが、私どもとしても、再度災害——法律的にははつきり現われていないわけでありますが、原形復旧が著しく不適当と思われる場合には、原形を超えたものでもいいという規定がございます。これを活用いたしまして、成るべく再度災害を受けないものを作つてもらいたいということは、私どもとしては、たえず心がけて検査しているのでありまして、そう災害復旧原形復旧なりという原則にこだわつて検査をしておるわけではございません。如何にも賛沢なものについて、私どもとしては、これは少し行過ぎではないかという意見を申上げたのでありまして、飽くまでも私どもは、査定権は持つておりませんしいたしますしので、それから殊に今度は今までと違つて、早めに悪いことの起きるのを防止するということでやつております関係で、相当実は従来にまして、控え目な検査をしているのでありまして、金額も一応両省の当局、運輸省も出ておりますが、詳細をお出しいたしますが、その上で十分に地元の言分も伺い、それから現に伺つてもおりますが、できるだけ私どもとしては言分のございますものは減らして行くという態度をとつておるのであります。先ほど申上げました農林省関係の六十数億というものも、ちよつと御参考に申上げますが、全体の工事費が四百三十一億でありますが、そのうち百八十八億の検査を私どもいたしたわけであります。約四割であります。それに対しまして一応六十三億六千万円ばかりのものが出たわけであります。そのうちもうすでに一億六、七千万円というものは、どうもこれは検査院が来てそんなに荒らされては困るという言い分も出まして、成るほど御尤だといつて減らした。まだこの六千余億が現在残つておりますが、これも十分に言い分を伺いまして、私どもとしてはこれを決して固執するつもりはないということで進んでおります。先ほどの建設省からのお話でも、非常に机上査定相当あるわけでありまして、私どもとしては昨年のようなひどい災害のときには、成るべくいいもの、しつかりしたものを作つて、再び災害が起きないようにやつて行くようにやつて行くことが本当に望ましいわけであります。決して三割天引をしてしまうとか、そういう無茶なことをするつもりはございません。又いろいろ先ほど山田先生からお話のあつたような噂も私どもの耳に入つているのであります。昨日あたり衆議院でもそういう御質疑を受けたのであります。いずれも私どもとしては予想外の意外な御質問が非常に多いのでありまして、いろいろな経路を経て耳にお入りになると思いますが、どうも私どもが知つておりますこと、又やりましたことと非常に違つた情報が飛んでいるようであります。一つ一つにつきまして何か御質問がございましたら幾らでも御説明いたしますが、私どもの気持としては、決してそんな荒つぽいことをやるつもりはございませんし、一つ一つ工事を調べました上で、先ずお互に誰が見ても妥当なところというところに落ちつかせる気持でおるわけであります。どうぞ一つ御了承願いたいのであります。
  13. 山田節男

    山田節男君 これは今小峰局長の説明で大体事情もわかりますが、とにかく先ほど申上げましたように、この西日本、近畿地方の被害地のものから我我国会議員、殊に昨年のあの特別委員会の委員であるものに対していろいろな陳情請願があるわけなんです。もう一つの点は前の御質問と関連しますが、要するに検査院が非常に、何と言いますか、厳格であつて一つ検査院のフアツシヨだという。無茶苦茶に来てやつて行く。これが又共通した陳情の点ですね。これは私は決算委員として補助金の情勢を見ますと、これはまさに補助金ブーム、こういう点、これは非常に厳格であるということは、これはもう厳格であり過ぎるということは現実においてはないと思う。私は何もそれを責めようと思うのじやないのですが、もう一つお聞きしたいことは、結局二十六年度も二十七年度もいわゆる災害復旧に名をかりた便乗工事、いわゆる改良工事ですね。この点についてもやはり西日本、近畿地方の地元の代表とは言えませんが、とにかくそのほうから来た人の陳情によると、例えば和歌山県下で非常な水害で、もう道路も流れてしまつて、川が氾濫して、堤防も一部は残つておるが、川の位置も変えなければならん。従つて道路の位置も変えなくてはならん。そういう場合に災害復旧として堤防も、川も変るのですから堤防も変つて来る。従つて道路の位置も以前と変つて来る。そういうような場合、会計検査院は非常にやかましくて、そういう工事を認めんというようなきつい意見が出されておる。工事を中止するわけには行かんしというようなことまで、これは言うのですが、先ほど防災課長のお話があつたように、やはり建設省として会計検査院とやはりこの便乗工事か否かということの見解が、これは法的にもそうだが、実際的にもいろいろこれは論争の種になる私は十分の理由があると思いますが、併し要は再び災害が起らないように、或いは便乗工事になるかも知らんが、併しもうひどい昨年の水害というもので、川も道路も流れてしまい、堤防もなくなつてしまつて、新規に道路と川を作らなくちやならない、こういうようなところのいわゆる災害復旧と言いますか、こういうものについては、やはりこつちが改良工事原形復旧かというようなことは、これは私は建設省が技術的に現場のそういつたようなものを、実際、ああいう異常な災害ですから、全く罪作りだというような工事が多いのですね。多いというか比較的多いわけです。こういうような点を私は建設省がよく説明すれば、検査院つて、これはまあ数が多かろうという予想の下に申上げるのですが、二十八年度の災害復旧で、便乗工事批難されるようなことは少いのじやないかと私は思うのですが、こういう点を建設省として一体会計検査院と、こういう批難事項になるかならんというような技術的な、或いは必要性ですね、どうしてもこれはもう道路も新規に造り、川も新規に造る。それが今後災害を再び繰返さないのだというような場合に、そういつたような会計検査院と見解の相違というか、或いは会計検査院批難事項としてこういう五〇%も上つておる改良工事。これは一面においては建設省の情勢如何によつて弊害を矯正し得るし、従つて会計検査院批難事項とならなくて済むものがあるのではないか。殊に昨年のような場合、建設省としてはこの点はやつぱり現地にあつて止むを得ない必要があるだろうと思う。こういう点を私は地元のこれこそ本当の実地査定によつて私は会計検査院にもそれは承認せしむるというような努力をやるべきが当然じやないかと思うのですが、そういつたような処置を少くとも昨年の災害、台風十三号による災害については処置をしておられるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  14. 淺村廉

    説明員淺村廉君) 昨年の大災害は従来にちよつと例のないような、只今お話のございましたように、川つぷちの道路がすつかり飛んでしまつて一つの部落が孤立してしまうとか、それから地辷りで以て幹線道路がすつかり壊れてしまつて、道路の付替えをしなければ復旧ができないとか、従来何と申しますか、想像もつかなかつたような大規模な災害が非常に起つたのであります。そこで私どもとしては、これは今の現行法解釈からして再度災害防止という線、それから機能の復旧という線、こういうものはもう崩すわけに参らない。例えば災害が如何に大きかろうとも、こういうものをとらんというわけには参りませんので、そういう意図から相当建設省としては議論をいたしまして、そうして例えば橋が飛んでしまいまして全然交通ができない場合に、仮橋を架けるというようなことを今までは災害復旧で取らない、そういうような一つの習慣がございましたけれども、ああいうような場合に、災害復旧でそれを取らないと申しますと、而も国庫負担の対象として取らないということでありますが、そういうようなことになりますと、これはとても収拾がつかないので、仮橋というものは一応災害対象に取つたほうがいいのではないか、取るべきだという結論を出したり、或いは道路がすつかりなくなつた場合の付替え道路を造るということが、勿論原形と非常に異ります。原形ではないのでありますが、仮に道路を造るということは機能復旧の意味から当然のことだというので、災害査定をいたしております。検査院のは少し問題がむずかしくなりまして、どうもこれは解釈上問題がありはせんかと思われる場合には、検査院に御相談に上りまして、いろいろ御意見を伺う場合も再々ございます。特に二十八年の問題についてどうということはございませんが、検査院に御相談に上る事例が、二十八年の災害が大きかつただけに多かつたと思つております。  それから現在の法規解釈の問題、先ほど申上げましたが、これはいろいろ解釈のまだ分る点もございますので、これについては実は検査院のほうでもいろいろ御心配頂きまして、どういうふうに法規解釈するのが最もいいのかということについて、いろいろ私のほうの意見ども徴されておりますし、私どもも伺いまして事務的にいろいろ御説明をいたしております。で、結局昨年の大災害等も一つの大きなそこに原因があつたと思いますが、法規解釈をもう少し明らかにしなければいかん、機能復旧というのはどの程度までが認められるのか。木橋が落ちた場合に、これを永久構造の橋にするということが一本如何なる場合に許されるのか、どの程度まで許されるのかというような問題、これはなかなか法規にも書けませんし、法律に書くというわけには参りませんし、そうかといつて政令に規定するというにしても、余り問題が細か過ぎて一つ一つとても網羅して書けませんし、要は何か一つの運用の方針というものを相談してきめておくよりしようがないということで、先ほど申しましたが、大蔵省と相談をいたしておりますし、検査院にも伺いまして、いろいろ御説明をいたしておりまして、何とかこれは一つの線を出しましてそして解釈の分れることがないように持つて行きたいというふうに、私どもとしては考えておるわけであります。
  15. 山田節男

    山田節男君 それから農林省との二重査定の問題ですが、ここにも、二十六年度にもやつているし、二十七年度もやつておられるのですが、これは悪意にやれば両方から金を取ろう、こういうこともあり得るし、それから災害地としてはどつちか両方へ出しておけば、とにかく早くどつちからか金をもらうことによつてそれをやろう、こういうことは善意に解釈すれば、そういうのもあるのじやないかと思います。で、こういつたような二重査定の問題については、とにかくそれを建設省なら建設省がこれを認定する場合には、一応やつぱり農林省と出先の機関もあるのですから、何か連絡をして、横の連絡をとつてやれば、こういうような無駄とか、こういう不正な事実が現れつこないと思う。過日神奈川県の県庁に行つて、あそこの農地部長とかそのほか建設関係のかたと話したのですが、さつぱり横の連絡が一つもないのですね。これでは全く今みたような不正な、批難事項が絶えつこない。殊に昨年のような異常な災害の場合、これは悪意でなくても、やはり金のない地元となつて来れば、両方出しておいてどつちか早いほう、こういうふうに考えるのが当然だと思うのです。そこらあたりが、私はちよつと常識的に考えて、なぜ横の連絡をやらないか、こういつた点が、どうしても有機的な動きがないというところに、これは悪意でなくても、こういうような事態に至らしめるような原因を殊更作つているように思われる点もあるのですが、そういう横の点が、本省はもとよりであるが、出先において横の連絡がとれないことはない思うのです。而もこれほどの補助金が乱脈を極めて費消される。結局これは農林と建設両省の本省はもとより、出先末端のそういう有機的な連絡活動をなぜとらないか、この点についてどうですか。何か農林省なり或いは建設省として、これはもう成案があつて然るべきだと思うのですが、少くとも昨年のような場合何かの手を打つておくべきが至当だと思うのですが、昨年度のような場合においても、やはり二十六年、七年と同じように、何ら横の連絡がないのか、又それを連絡するような意図を以て何か案を両省が考えておるのか、この点一つお伺いしておきたい。
  16. 淺村廉

    説明員淺村廉君) 二重査定の問題は只今お話の通りでございます。只今私なぜこういう二重査定というようなみつともない問題が起るのかということを大分研究してみたのでありますが、結局最近の事例といたしましては、まあとにかく横の連絡を十分とらないで、法規で以てどちらでもとれるものでありますから、農林省の関係の、府県の県庁で申しますれば農地部というのでありますか、そういう部局から設計が出て査定の申請が出る、それから土木関係からは建設省に対して丁度そこを抱き込んだような一つの個所についての設計が出るということで、決して県の立場に立つて弁解をするわけでも何でもありませんが、それほど悪意があつてやるのでは私はないのじやないか。勿論悪意の場合もないとは申しませんが、悪意よりはむしろ横の連絡が非常に欠けておるということから、だらしのない事務処理としておつて、結局そういうことになるのではないかというふうに実は痛感をいたしたのであります。そこで然らば、本省同士でいきなりそこへ来る前に、これはなかなか建設農林両省と申しましても、建設省は本省で査定をいたしておりまして、本省の査定官現地へ出掛けて、農林省は農地局のほうから査定官を出されておるようでありまして、そういう自己の出先においてやつておられる、査定の時期も違いますし、なかなか一緒に落ち合う機会もないということから、なかなか本省同士の相談ということも、非常にこれは実際にはむずかしいのじやないかと思いましたので、県の土木部長二、三を呼びまして、どうしてそういうみつともないことがあるのか、簡単に済むことではないか、図面の上で昨日来た査定官にこことこことここを査定済だということを両方の部が或る時期をきめて相談したら一日で済むのじやないか。そんなことがなぜできないかということを私は申したのでありますが、土木部長はそれは確かに横の連絡が悪い、これは是非ともこういうみつともないことは今後ないようにしたいと申しまして、横の連絡をとる方法を、まあ非常に彼らも考えて只今おるわけであります。これで私は相当にこれは防げるのじやないか。県がやる気があれば、そのようなこともできないはずはないのでありまして、一つの知事の下にあります二つの部が打合せがつかないというために、国が中央においてすべてのものを寄せ合せて、つき合せて相談をし合うというような大変な仕事をもたなければならないことは、どうも非常に割り切れない感じがいたしますので、県をも少し督励いたしまして、そうして実は私はその結果をみようというふうに、只今まで考えておつたようなわけであります。どうしてもこれができないようなことでありますれば、当然これは建設農林両省に何らかの方法を考えまして、査定の結果をつき合せでもやつてやる以外に方法がない。その前にもう少し私のほうは県に督励をいたしまして、この弊を一掃するような措置を講じさせたいというふうに考えてかような方法只今指導いたして、おるわけであります。
  17. 山田節男

    山田節男君 さつき小峰局長の、これは中間報告といいますか、昨年の六月、七月の水害並びに第十三号台風災害災害地へ行つていろいろ検査しているわけですが、で、今の説明を聞いてみても、もう莫大な金が、不正な支出というものが、妥当でない支出をされているということが明瞭になつて来ているわけです。これは二重査定の数は少いかも知れないが、併しとにかく全体として見れば、国費が少くとも放漫に濫費される危険にさらされていることは事実なんです。そこで今あなたのおりしやつたようなことでは、昨年の殊に六月、七月以来の問題については、依然として横の連絡がとれてない。我々この間神奈川県へ行きましたのは、二十七年の災害を見て、そこに何ら連絡がない、これは全く奇異に感じた。今あなたの御説明を聞けばいろいろその弊を認めておられるのですから、少くとも昨年度のあれほどの異常な水害による災害については、よりよき緊密な連絡をとつてつておられると思つた。併し今の御説明だと、やはり依然として一様なありさまで、セクシヨナリズムで以て個々別々にやつている。これは何としても、私はこれは建設省農林省という問題でなく、政府自体がこういうものに対して計画的でない、又科学的でないと私は申上げざるを得ない。今のお話によりますと、そういう構想は持つているけれども、実際に効果を上げるような、例えば県庁或いは地方事務所の末端機構、行政機構を利用して、どうするというような具体的な案は、現在農林省はもとより建設省もお持ちにならん、かように解していいのですか。
  18. 淺村廉

    説明員淺村廉君) その問題は、只今ここに具体的にこういうふうに出すつもりですということを、ちよつと申上げる段階に行つておりませんが、私の申しましたのは、とにかく一度査定を受けましたら二重査定を受ける、結果として二重査定なつたということは勿論よろしくないことでありますが、事務所の手違いのため、とにかくそのようなことが起つた場合には、つき合せをすれば済むわけでありますから、片方だけすれば済むことなんでありまして、その仕事が十分行われていない。何か査定を受け放しという非常に悪い弊風が公共団体にあるのでありす。これはまあ県の当局者を呼びまして、二重査定の問題について、この間いろいろ懇談しましたところが、それは県のほうでも確かにこれはみつともない、現に二重査定相当地方の新聞で指摘を受けた県もありまして、特にこの点については神経をとがらしておりますので、県のほうで一つ方法を研究するからということになりましたものでありますから、今その方向で私どもの行うは指導いたしておりまして、農林省とこういう方法で打合せるというような具体的な研究はしておりません。併しながらこれはそうかといつてつておけない問題でございますから、県の様子等によつて、到底横の連絡がとれない、そういうことが期待できないということになれば、これは建設省として農林当局とつき合せ等十分相談をするだけの方法を考えなければならんということを考えております。
  19. 東隆

    ○東隆君 私は感じを申上げたいのですが、これは今ここへ出ているいろいろな関係のものは、現行の法規がまだ改正にならない前の状態ですがね、それで原形復旧とそれから改良工事、これが区別されない前に原形復旧を主としてしなければならん、こういう意味での法規だと、そして而もその補助の対象になるのが十五万円以上、こういう制限付のときですね、それでそういうような場合に、これは非常に不自然なことがあつたので、二十六年に法律の改正をして新らしい法律を出したわけですね。それで今の現行法規になつて、そしてここに出ておるのは、その法規がまだ今の、現行法規でもつてつたわけじやないわけですね。だからこれは私は法律の不備から出て来たものが相当あると思うのです、この中に批難事項として出て来ておるものがですね。ここに出ておるのは殊に原形超過工事原形復旧工事として処理しておるものというのは全体で二百九十三件のうち百四十一件である。それから一番最初のものにしても、これは二番目の災害復旧に名をかり改良工事等を施行したもの、こういうようなものは考えようによつて法律の不備から出て来たものかあるのじやないかと、こう思いますがね。  それから二十七年になつて来ると、建設省関係が割合に減つて来た。というのは、私は法律の改正によつて出て来た面が非常にあるんじやないか、農林省のほうは、それに反して一年遅れたわけですね、あの法規が。それで二十七年にたしか災害復旧関係国庫負担の法規がきまつて、そして十万円にそれを下げたのも、同じような条件でもつて農林省とそれから建設省法律の改正をやつておるわけです。それで二十七年度に農林省がべらぼうにたくさん出て来た。というのは、結局十五万円のものを十万円に殖やして、そして非常に今度はその対象が殖えて来た。問題は一つ対象がたくさん出て来て、その関係からやはり批難をされる事項が多くなつて来て……、いやそうじやない。農林省のほうはそうじやなくて、まだ法規が改正されないでたくさん出て来ておる。前の建設省の二十六年と同じような条件でもつて農林省は二十七年の場合に出て来ておる。それであの法規の改正というのは、建設省とそれから農林省の関係両方通して考えますと、私は改良工事でやらなければならん部面というものは、これは相当、あまり国民を悪人扱いをしないで或る程度情状酌量をしてやらんければならん余地のあるものじやないかと思うのですがね、その点はどうですか。
  20. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 東委員の御質問にお答えいたします。法律改正の経緯は今東委員からお話になつ通りでありまして、最初の起りは二十五年に原形復旧を全額国庫負担にする、それから原形超過という観念を認めまして原形超過は在来通り三分の二国庫負担、こういうことで二十五年の特例法が出たわけであります。二十六年から原形超過も認める、そして原形復旧と同じ国庫負担率にする、但し全額国庫負担ではない、高率の国庫負担にはいたしますが、原形超過の分は結局原形復旧の中に原形超過を入れるということであります。負担率は全額国庫負担をやめる、こういうことになりまして、農林省関係は一年それが遅れたわけであります。それで二十六年度の批難事項の中で原形超過原形復旧として扱うという事項が非常に多いのでありますが、それは今の関係であります。それから二十七年度からはこの批難がなくなつてしまうわけであります、法律改正によりまして。但しこれは飽くまでも原形のあるものに限るわけであります。原形のないものはやはり従来と同じように便乗と、こういうことになるわけであります。それで、改良工事を積極的に認めるという趣旨は法律にはないわけでありまして、ただ原形のあるものを幾分原形超過させる工事を認めてそして再度災害を少くしよう、こういう考え方であります。  それから私ども実は先ほどもちよつと申上げましたが、改良工事に対する便乗工事に対して批難は非常に消極的であります。検査報告を御覧願いますとわかりますが、実地検査へ参りますと、便乗工事というものは至るところに実はたくさんございます。照会は、程度のひどいものに照会を出します。併しながら批難して国会に御報告する、これは、延いては全額国庫負担の取消となるものも出るわけであります。折角、工事が便乗かも知れませんが、ともかく立派なものが出来ておれば、まあぞんざいな工事をしてすぐ壊れてしまうというようなものが多いのでありますが、こういうようなものよりは遥かにましじやないか、こういうような考え方で、年々の検査報告を御覧願いますとわかりますが、非常に少いのであります。今、表で申しますと、上から二つめの欄でありますが、たつた十二件であります。建設省関係が、二十六年度でありますが、三百六十七件集つておるのにたつた十二件であります。これは検査に行つて見付けますとこんな量ではない、非常に多い。二十七年度でも同じことが言えますが、ここに挙げますものはよくよくのものを実は挙げておるわけであります。一つ一つ御覧願いますとわかりますが、誠にひどいものというのがここに挙るのでありまして、大部分は私どもとして、先ほどの東さんのお言葉を拝借いたしますと、悪者扱いにしたくないのでありまして、こういうものは成るべく挙げない、それよりもむしろ補助金をもらつていながら非常に手を抜かれてしまつて、ぞんざいな工事をして又すぐ壊れてしまう、或いは壊れそうな虞れがある、こういうようなところに検査報告の重点をおきますし、批難の重点もおいている、こういう形になつているわけであります。ただそれが如何にも多いものでありますから、昨年の災害のように九割も国庫負担する場合に、それを全国でやられたんではこれはとてもたまりません。非常に負担が大きくなりますので、そういうものに重点をおいて、その金をあらかじめやろう、工事をやつてしまつたものはなかなか批難ができませんから、手を付ける前に見付けようこういうことでやつておるわけであります。  それから立ちましたついでと申しては恐れ入りますが、先ほど来、大分山田さんの御発言の中に、会計検査院として御説明しておいたほうがいい事項がございますので、ちよつと補足させて頂きますが、最初の和歌山の便乗工事で、会計検査院が非常に厳格だということで引合にお出しになりましたが、和歌山では最近便乗工事について会計検査院批難したことはありません。検査報告を御覧願いますと、二十六年度、二十七年度もないのでございまして、今まで報告したところでは批難したことはございません。それから最近の災害では、これは先ほどの川の付替のお話で流された道路の復旧のお話がございましたが、これは会計検査院でも、川の付替は必要があつて、川の流れを調整するために、例えばシヨート・カツトするんですが、これは非常な金がかかるわけでございます。新らしく川を掘るわけでございます。それから流されました道路を立派に復旧する、前よりも立派なものが出来ますが、こういうものもすべて災害復旧国庫対象として認めているのでありまして、決してそういうものを否認するというようなことは絶対にやつておりません。  それから検査が非常に厳重だというお話でございましたが、これは勿論会計検査院として、相当正しい適正な検査をやつて行くのには、どうもこれは止むを得ないのでありまして、お受けになるほうから見ますと、非常にからいという御印象があるかも知れませんが、国費の支出というものに対して、私どもとして厳正な検査をやらざるを得ない。先ほどから申上げますように、国庫補助に対しましては、私ども相当考え方はあまい面もあるのでありまして、改良工事なんかにつきましては、今までの取扱いは相当にあまいわけでありますが、そうせざるを得ないということでやつておりますが、方針としては厳正な検査をやつて行く、こういうことも考えておるわけでありまして、御了承願いたいのであります。  それから二重査定のお話で、大分御当局のお話を承りますと、まあみつともないというお話がございましたが、まさにそうでありまして、両方から補助金をもらつてしまう、そして現在相当使つておりますが、これはまだ十分の機会もございますが、従来この検査報告で幾つずつか出ておりますが、これは完全に両方とも金をもらつてしまつておるものであります。こういう事態が出ますのは誠に面白くないのであります。そしてこの査定のときにこれを甘くして両方付けておきますと、片方が見付かつたとき、ほかへ使つてしまうのであります。返すということを余りしないのでありまして、ほかに何とかかんとか理窟を付けて、ほかの工事をやつてしまう。大抵は便乗工事でありますが、そういうふうに使われますので、査定のときには特に厳重にやつて頂きたい。今度私どもは北九州で見付けたのでありますが、一本の川を、同じ川を別の名前を付けて、両方から査定を出して、両方から補助金のOKが出たと、いういうような事情もあります。一本、同じ川であります。建設省でこれは見付けたのでありますが、農林省へ名前の違つた川が出ておる。どうも私どもおかしいというので地図を両方出しまして対照してみますと、同じ川に違つた名前が付いておる。これは故意か或いは俗称が偶然入つてしまつたのかわかりませんが、そういう極端な例もありますが、どうもこういうのは県のほうでもよく見て頂かなければなりませんし、先ほど農地部と土木部の連絡というお話もございましたが、川については割合に多いのでありまして、川の主管官庁はこれは建設省でありますから、農林省なり何なりで川に影響のあるような工事をおやりになるときは、一応建設省に通報するというようなことでもおやりになつたらどうだろうかと、これも改善意見一つとして私どもそれを文章ですぐお出ししてあるわけであります。誠にこういうものが出ますのは遺憾でありまして、ないように是非お願いしたいと、こう考えておるわけであります。
  21. 東隆

    ○東隆君 今の二重査定の問題で、私は灌排水だの、それから道路、それから堤防、こういうような方面の二重査定は、私はこれはもう連絡をとつてつていいと思うのですが、これは役所のセクシヨナリズムから出て来る問題が非常に多いと思うのです、その問題にしても。殊に私は長野県なんかを見ますると、これは山腹砂防を、それから川の堤防を、道路にしたわけなんですね、それで建設省の治水関係でしたか、そつちのほうと、それから山腹砂防、道路のすぐそばの崖になつておるところを両方つたので、批難事項になつたのかしれませんけれども、そういう事件を見せてもらつたことがありますが、これなんかも結局砂防、山腹砂防とそれから治水関係とのぶつかつておる事例だと思います。そんなようなことがあつて、私は役所の機構から出て来る二重査定があると思います。それでこれも私は余り、成るべく金がたくさん来て、そして仕事がうまく行くほうを希望しておるのですから、乗せられるような機構を拵えておくところが多いと思うのですね。そういう点は当然考えて然るべきだと思います。これは二十六年以前の問題ですからね。それで私は法規が改正されない以前の問題だから、成るべく情状酌量すべきじやないかという、こういう観点から、そういう点を申上げたのです。  それからもう一つは北海道のような場合は、これは河川を見ますと、自然河川が多いのですね、自然河川が決壊をしたりなんかしたときに、原形復旧なんかをしたらこれは何も問題にならんわけです。そんなものは常識から考えてみても、原形復旧にすれば又やられるというだけの話で、だから常識を越えた問題なんですけれども、そういうような場合が、この二十六年以前にはあるわけですね。この二十六年以前には非常にたくさんあると思います。それでそういう問題についてどういう解釈をされておるか、それもお聞きしておきたいと思うのですね。
  22. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 二重査定のお話と、それから今の天然河川のお話でありますが、二重査定ももう一つ先ほど東委員のお話に関連すると思いますが、先ほど私は一本の川を農林省と建設省両方で付けた、これは四千五百万ほどの非常に大きいものでありますが、それからもつとひどいのは同じ農林省内で、先ほど林道の治山工事の話が出ましたが、同じ農林省で灌漑排水工事、耕地整理関係災害復旧、これがダブつておる例があります。同じ農林省、同じ農地局内で課が違つておりますが、これは決算報告に出ておりますが、二十七年度の百七十ページの非常に大きな代表案として挙げておるが、愛知県の例でありますが、これは災害復旧と同時に土地改良的な区画整理をやつた。一例を申上げますと区画整理で新しく道路を作る場合には、災害で入つて来た土砂を取除いて、除けて道路に持つて行けばいいわけなんです。それを災害復旧としての土砂の取捨ては何キロ先に捨てる。それから土地改良としての区画整理の土はほかから持つて来る。こういう結果にしておいた。結局二重査定ということになつてしまつた。こういう例もこつちに検査報告の古い例として上つておる。それから最近見つけたが、林道と町村道をダブらせた。これも意識的か無意識的かわらない。町村道も台帳に載せる。御承知の通り町村道の距離が長くなると、平衡交付金を余計もらえる。ところが災害に流されて、町村道の台帳に載つておるにかかわらず、林道だということで林野庁から補助金査定を受けたという例がある。これは新しく見つけて私ども驚いたのでありますが、こういうのは一二の府県にとどまらないのでありまして、こういう面も調整をやつて行かなければならない。役所のセクシヨナルリズムの問題ですが、同じ局でしたら何とか調整方法があると思うが、こういうのは検査報告に挙げてあります。それから天然河川が昔は全然原形がない場合に認めないということだつたと承知しておる。例えば北海道、青森県のような河川改修の遅れておるところ、これは幾ら水でやられても、災害は受けつ放しということで、河川は疲弊して来たが、現在は水が入ることによつて著しく公共の利益に反するというようなものにつきましては、堤防なり護岸なりを認めて行くという建前をとつておるというように承知しております。私どもとしても、勿論そういうものについては、建設省と歩調を一にした検査をしておるのでありまして、そういうことをしたからといつて検査院で文句を言うことはいたさないのであります。どうか一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  23. 東隆

    ○東隆君 今の最後のような場合に、実はこれは設計過大に非常に関係があるのではないかと思うのですが、そうではないのですか、小峰さん、今のような場合ですね。最後のあとのような場合ですね。設計過大という意味はですね。そういうような場合に、このまだ法律が改正されない前においてはですね。設計過大という批難事項の該当する事項があるのじやないですか。今の自然河川の場合における、前のよりも立派な堤防を持えて、前のよりも、自然にできた堤防よりも、もう少しいいやつを拵えると、こういうような場合、これがお小言を頂戴することになつたんじやないかと思うのですが、どうですか。
  24. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今のは結論から先に申し上げますが、入つておりません。設計過大でやります、そういうものは批難しておりません。設計過大で批難したものは、検査報告に書いております。古いほうを申しますと、二十六年度百七十九ページ、「工事設計が過大なもの」ということで、表の前に前文が書いてありますが、大体参考に申しますと、この文章の三行目の下のほうからでありますが、「実地検査したところ、審査に当り設計実地との対査が十分でなかつたなどのため、砂利、砂等のコンクリート骨材は工事現場附近が採取することができるのに他から搬入することとしたり」していると、こういう種類が多いのであります。農地の流入土砂を過大に計算したり、或いは工事が非常に簡単な土質のところを、はつぱをかけなければ壊れないというように設計をした、こういう種類のものが多いのでありまして、先ほど御指摘のようなものは設計過大とは考えておりません。
  25. 東隆

    ○東隆君 これは実は農林省関係の仕事なんで、客土の仕事ですね。その前に客土は、これは土を持つて来なければならないわけです。ところが普通一定の箇所から土を持つて来ると、こういうふうにきめられるわけです。というのは、その何についていつまで土を取つたかということがはつきりわかるようなその場所でないと、あとで検査をするのに非常に不便だと、こういう問題があるわけですね。ところが箇所を変えて、極く近くの所から土を上げれば、それよりも労力をかけないで、そうして実は見事にやれる所があるわけです。今のような場合、そういう場合、客土の土を持つて来る場合がある。そういうようなことがままあるらしいのですが、客土のような場合には、最初から相当距離が遠い所で、そうしてそこから運ぶとき取つた跡がわかりますから、そこでどれだけの土が取られたかと、こういう計算がはつきりわかるようなことを考えるらしいのですね。事実耕地の上に客土をした量を計算するのは、これはやつかいだから、そういうまあことが行われておるわけです。そして批難されるときには、なぜ設計に当つて、ここから土を取らなかつたかと、こういうわけでやられる場合があるらしいのですが、それでここの場合なんかも、私は恐らく計画がそういうようなことでなかつたかも知れませんけれども、或いは砂利を取る箇所が指定をされてしまつてあると、そのことのために出て来たところのなにを有効に使つたことが、これが批難されると、そんなようなことも私はあり得ると思うのですが、この事案については私はわかりませんけれども、そういうことがままあるんじやないかと思うのですが、客土の場合には、非常にそれが多いのです。そういうことが、そしてそれが一々お小言の対象になつておるわけです。
  26. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) その方面のことに詳しい東さんの御質問なのですけれども、私ども寡聞にして、その後の検査なり監督のために、土取場を選定するとか変更とか、もつと適当な経済的ないい所があるのに、事業の監督のためにわざわざそういう不経済の所に変更するというようなことは、実は聞いたことがないのでありますが、或いは多少はそういうことがあるかも知れませんが、私ども検査いたしまして、そういう事態は今まで聞いておりませんし、仮にぶつかつて現にそこから土を運んでおりますれば、私どもとしては決して設計過大というような批難もしないのでありまして、大体は逆な場合を批難しておるのであります。設計では非常に遠い所から運ぶことにしているが、実際行つて見ると、土取場の跡地の検査というようなことも大体私ども必ずやるのでありますが、そういう場合、実際にはもつと近い所から取つてしまつている。千メートル、二千メートルも先から取るように設計になつているのに、実際はすぐその前にあつたとか、或いは三百メートルぐらいで済んでしまつた。こういうような場合、補助金を過大に評価した結果になりますので、そういうのをここに挙げたのであります。先ほどの逆のような場合は、今まで挙げたということはございません。
  27. 東隆

    ○東隆君 いや今のような場合も、遠いところから取るのは非常に不自然だ、だから近いところから取つたほうがいいじやないかということを考えておりますね。考えて、そうしてそういうことをやつた場合に、実は小言を……。それは別に会計検査院というわけじやないのですよ。農林省の出先のほうからそういうことになつた。そんなような問題があつたものですから、聞かされておつたものですから……。それからもう一つこの関係でですね。ここに批難されている事案が、これは殆んど二十三年度の災害、それから二十四年、二十五年ですね、主として。二十六年はないのです。全然あるわけはないのです。二十五年以前のもので、それ以前のもので、実はそれに先ほど言つた関連した事案が、前の事案なものですから、今の現行の法規から類推して、前に遡るというわけには行きませんけれども相当に情状酌量してもいいのじやないか、こういう気がするわけであります。併しそのために甘いものだという感じを起させる必要はないと思うのですがね。私は情状酌量して、そうして相当考えてやるべき筋合があると思うのです。  それからもう一つは、この二十六年の関係のものについてのいろいろな役所関係のもので以て、まあ悪いことをした者は、これは皆例の恩赦で助かつているのですね、大体は。ひどいのは大抵助かつています。そういうそのなにで、全体から眺めて見て、私は官庁、それから役所関係の者は、実は非常に軽くなつて、そうして実際に助成金をもらつてですね、そうして仕事をやつている者のうちで、まあ正直にやつているのだが、併しいろいろな法律の不備その他によつて出て来たところの返さなければならない金額、そういうものですね。甚しいものは、私は言いませんけれども、そういうようなもので割引ができるようなものは、これは或る程度考えたほうが、これは両方考えてみて、いいのじやないかと、こういう気がしますが、この点はどうですか。
  28. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 二十三年から五年までの災害、非常に古い時代に対するものだから、法律のまあ不備だついかんのじやないかと、こう思うのであります。  それからちよつと先ほど私の言い方がごたごたして間違つているといけませんので、はつきりと申上げておきますが、二十五年の法律では原案復旧は全額、それから超過工事というのが初めて認められまして、これは従来の原型復旧と同じようにこれは三分の二を国庫が負担する、こういうふうに申上げたつもりであります。それから二十六年度はこれは全額をやめまして災害程度によつて御承知のようにスライドして行く、こういうふうになるのもあります。それから超過工事は二分の一、これは改良工事と同じように見まして、二分の一を国庫か負担する、二十七年度は両方一緒にいたしまして、スライドの負担率を適用する、こういうことになつて、一年々々変つておりまして、現在ではこの二十七年の法律が来ているわけであります。超過工事は認めますが、便乗工事は認めないという制度がそのままになつているわけであります。
  29. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは建設省関係は千五十六の一件につきましては、又あとで書類を見てということにして、一応建設省関係はこれで終えたいと思います。  次に運輸省関係審議に入りたいと思います。八百四十二号から、八百八十三号を議題に供したいと思います。これについて専門員のほうから一応御説明して頂きます。
  30. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 運輸省の問題につきましても、只今建設省関係と同じように工合に、前回には一般的な不当事項防止対策、その他法律欠陥とか、行政事務の扱い方の改良すべき点とかいうようなところについて御審議を願つたのでありまして、ここに現われておりまする第何項と一々の案件については御審議を願わなかつたものでありますから、本日それをお願いいたしたいと思うのであります。  ちよつと御参考に申上げまするが、検査報告の二百三十八頁から始つております。その二百三十八頁のところに八百四十二号乃至八百四十四号というものは、港湾改修工事に対しての国庫補助という問題なのでありまして、更にこれは一つ法律関係などが違つているのであります。  それからその次に、その次の頁に八百四十五号以下が六、七頁に亘つて出ておりまするが、それらは丁度先ほどの建設省の問題と同じように公共土木事業の災害復旧に関する国庫負担の問題で、法律関係及びその事業の性質、内容など、建設省関係のものと全然同じと申してよろしいようなことなのでございます。
  31. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 会計検査院のほうから何か……。
  32. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 運輸省関係の案件につきましては、只今専門員からお話がございましたように、二百三十三頁以下に書いてございますが、根拠法も今御紹介がありましたように建設省と全く同じでありまして、それから検査院検査の結果見つけました事項も、ここに挙げましたものも全く同じでございます。原形超過工事などは農林省では二十六年にはあまり問題に私もしなかつたのでありますが、運輸省では建設省と同じように二十五年度以来、これを取上げておるのでありまして、先ほど農林省のときに一年の法律にズレがあると申しましたが、農林省関係では漁港だけが、こちらの国庫負担法の適用を受ける。運輸省では全面的にこの関係が適用されておるのであります。特に申上げることはございません。質問がございましたらお答えいたします。
  33. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) どうぞ専門員から。
  34. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今申上げるのを落しましたが、ここに指摘されておりまする幾つかの案件につきましては、当局においては全部検査院の御指摘通りでありまして、それぞれ御指摘通り適当な処置をつけましたということなのでございますから……。
  35. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 運輸省当局から何かありますか。
  36. 安井正巳

    説明員(安井正巳君) 私のほうの本日ここに問題になつておりますのは四十二件でありまして、やはりこの内容を見ますと、半分程度がやはり原形超過関係でありまして、根拠法規只今専門員のかたからお話がありましたように同じ法律であります。従いまして常に建設省ともよく連絡をとつてつておるわけであります。又検査院等の関係におきましては、いろいろ御指摘を受けました点については、十分によく連絡をいたしまして協議の結果、検査院の指示に従いまして、それぞれ手直しをすべきものは手直しをさす、又国庫に返納さすべきものは返納さすということの措置をとることにいたしまして、更に又翌年度調整できるようなものは翌年度において調整をするという趣旨にそれぞれに応じて適当な措置をとつております。  それでともかくこういつたような不正事項不当事項検査院のほうから指摘されまして、当委員会の御足労をわずらわすことは非常に我々としても遺憾に思つておるところでありまして、こういうものを今後未然に防止する対策というものにつきましても先ほど建設省からお話のありましたように、現行法中心にしまして、我々としましてもこれに参加して、共同で今どういうふうにこれをやれば未然に不正が防止できるかということの研究をやつておるのでありまして、問題になつておるような個所を言いますと、例えば国で災害復旧国庫負担の対象にする金額はどの程度がよかろうかというようなこととか、或いは補助をするにしても、市町村については直接補助がいいのか、間接補助がいいのか、或いはその補助率についてもどういうふうに見るか、或いは現行法で適用除外についても字句が必ずしも明確でないものもありますし、更に災害査定官災害を採択いたします場合におきましても、或る程度その基準があいまいでありますために、査定官の裁量の余地が相当あると思わるる点のようなものもありまして、そういつたようなものについて、関係各省の間で、大蔵省も入つておりますが、どういうふうにやるかということを目下研究いたしておるわけであります。  それから先ほど建設省のほうから二十八年災について特別にやつた措置について御説明がありましたが、我々のほうとしましても、まあ我々のほうは建設省ほど二十八年災は厖大なものはなかつたわけでありますが、やはり査定については十分に注意をいたしまして、二十八年災については約八割程度実地査定をして、査定による過誤をなくするように、まあ我々の持つております人員とか、或いは予算の許せる範囲内において、まあ最善の努力をいたしておるというようなわけであります。これ以上別に申上げることはございません。
  37. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 委員の方々から何か御質疑がございますか。
  38. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちよつと伺いますが、この三つの件は県が主体になつているのですね。県でするとなると、全く悪意でしたとしか考えられず、同情の余地はないのじやないですか。前のほうの何で見ると、検査していらつしやつた数は、実地検査なすつたのは割合に少いのじやないですか。こういう県のは幾つになりますか。地方公共団体が施行する港湾災害復旧工事に対して全国に亘つて検査なすつたのは全部でございますか。この三件が出たというのは非常に私は最も悪質なものじやないかと思いますけれども……。
  39. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 運輸省の補助工事建設省農林省に比べまして、数が比較的少いのでございまして、二百三十三頁、三十四頁にかけまして書いてございますが、国庫負担金を二十六年度で交付いたしましたものは千七百五十カ所であります。そのうち会計検査院検査いたしましたのは九百五十八カ所であります。ほかの農林省や建設省は五・何%とか、一〇%とか申上げておきましたが、箇所数の%で参りますと、五四%ほど運輸省関係検査を済ましておるわけであります。それから今奥先生の御指摘になりましたのは二百三十八ページの案件と思いますが、これは三件とも港湾改修工事でありますが、県が事業主体になつておりますが、このあとのほうを御覧頂きますと、県のほかに町村或いは市というものが事業主体になつておるのが多いのであります。どこも県が自分でやります工事というものは、割合に私どもで文句をつけなければいかんようなものが少いのであります。これは農林省でも建設省でも同じなのでありますが、私どもとしては成るべく小さい事業主体はやめてもらつて、大きな県なり何なりがやつてほしいということをいろいろな機会に申上げておるわけでありますが、参議院のこの委員会にお出しいたしました改善意見というものの中にも、そういうことを詳しく書いてございますが、どうも県の分につきましての批難事項というものは、考えようによりますと、今御指摘がありましたように、逆に言いますと質がよくないということも或いは言えるかも知れませんが、県営工事というものは比較的批難すべき事項が少いのが一般の例でございます。
  40. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) よろしゆうございますか……。  それでは運輸省関係は、一応本日これを以て終りたいと思います。  本日はこれで散会したいと思います。どうもありがとうございました。    午後五時四分散会