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1954-03-09 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月九日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            松平 勇雄君            宮澤 喜一君            宮田 重文君            奥 むめお君            東   隆君            菊田 七平君            平林 太一君   政府委員    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   柴田  栄君    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       大塚 常治君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (補助金関係批難事項に関する件)   —————————————
  2. 菊田七平

    委員長代理菊田七平君) 只今より第八回決算審査に関する小委員会を開催いたします。  本日は国庫負担法並びに国庫補助法に基く補助金につき、農林省関係のものにつき昭和二十六年度検査報告批難事項五百二十三号以下の案件並びに不当事実発生原因とその防止対策について前回に続き検討を進めたいと存じます。  本日は農林省より農地局長がやがて参るそうですが、災害復旧課長大塚常治君、それから林野庁長官が追つて参るそうですが、今見えているのが指導部長藤村重任君、それから林道課長藤本和平君、それから水産庁長官もやがて来るそうですが、現在来ておるのは漁港課長林真治君、以上のかたが来ております。  速記ちよつととめて。    〔速記中止
  3. 菊田七平

    委員長代理菊田七平君) 速記を始めて。  それでは専門員のほうから二、三事項に対してお気付きの点を申上げまして、それから質問いたして頂きたいと思います。専門員からどうぞ。
  4. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) この前も問題の所在を、一応気付いた点を申上げたのでありますが、それに対して当局のほうにおかれましても、いろいろと御研究のこととは思いまするし、又軽々しく解決をつけるというわけにも参りかねることと思いまするが、たとえ腹案若しくは研究中とは言いながらも、成るほど問題はこういうところにあるというところをお述べ頂ければ、誠にこの審議のために非常に参考になるかと思うのでございまするが、そのうちのつ、二つを先ず問題の糸口を引き出すようなつもりで申上げますが、農林水産業等に対する国庫補助法並びに土木事業災害復旧に関する国庫負担法、なおそのほかにもありましようが、それらの法律会計法規との間に連絡がなくて立法されているように思われる。それがために会計規則の点から見ると、どうも責任所在などが不明瞭であつて困るということをしばしば聞いておるのであります。特にその点は会計検査院方面において強く言つておられるように聞いております。どういうところで連絡がとれてないのか、又それをどういうふうにすれはうまく行くであろうかということについて、研究のためにお話を頂ければ結構かと存じます。  第二にお伺いいたしたいと思いますることは、まだ工事に着手しない初めに、設計書若しくは補助申請書といつたようなふうのものが誤りなくできておるように審査をしなければならないわけでありまするが、それを本省だけで以てあの多数の申請審査するということが果してできるかどうか。若しそれが事実行いにくいということであれば、府県のほうへ事務を委任するとか何とかということにでもならなければならないかと思いまするが、それらの点について過去の実績はどんな具合であつたろうか、又今後どういうふうに御改正になろうとしておられるのか、又仮りにそれを府県のほうへ委任したいというようなお考えであつたときに、府県における事務費その他の関係がどういうふうになるであろうか。又府県に委託するということの利害得失必らずしも問題は長所ばかりではなくて、地方的な政争を激化するといつたようなふうのこともありはしないか。それらの点について御研究の結果を、必らずしもこういうふうにするがよいという一本のお答えでなしに、利害得失もいろいろと並べてお聞かせを願つたならば、非常に審議の上に有益であろうと思うのでございます。
  5. 菊田七平

    委員長代理菊田七平君) 当局一つ説明を願いたいと思います。
  6. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 第一問につきましては検査院が御出席になつてから御回答いたしたいと思います。  第二の問題につきましては、これは法律によりますと、補助を受けるものが計画概要書を作成いたすということになつておりますが、実際の問題におきましては、ほかにも御指摘がありますように、補助を受けるものというものは大体において小さな規模の団体が多くて、或るものは技術力のないということから実際は県の吏員が代つてこの計画概要書を作成しているのが実情であります。従いまして県が審査をするということは、自分が作つたものを自分審査するということでございまして、ちよつとおかしなことになるのでありますが、実際問題といたしましてできませんので、県の係員が作つてつておるということでございます。ここでこの計画概要書に基きまして国が査定事務を始めるのでございますが、ここに不正不当の第一歩が胚胎するのじやないかと思うのでございますが、そのとき県の吏員が非常に公正な立場計画概要書を作りますれば問題はないのでありますが、場合によると地方の人の、或いは補助金を受けるものの利益を代表するような態度で過大なものとか水増しなものを設計するように委託をされるというような事実がないこともございません。従いまして御質問の審査というような面も、そういう考え方からスタートいたしますと、十分でない、こういうように考えております。  それから次の会計法との矛盾の関係は、現在の法律が直接補助の形でできておりますが、これは前回局長からも申上げましたように、これは実は私どもの真意でなかつたのであります。この法律ができましたときは日本占領下にありまして、自分だけの意思で立法することができなかつたような時代でございます。私ども過去に災害復旧事業を担当しておりましたときは間接補助でやつておりまして別に支障ないと思つておりましたのですが、こうした国の予算をもらうものと受けるものとの間に第三者が介在するということはナンセンスである。第三者が介在することによつて、ピンはねとか、何とかいうような事実も起るのであるからというようなことを言われまして、県の間接補助ということを拒否されたのであります。従いまして私ども事務能力にふさわしくないような法律を作らざるを得なくなつたのでありまして、当時の定員等から考えまして、たくさんの件数を持つ災害復旧事業が本当の姿の直接補助ということは初めから望むべくもなかつたのであります。従いましてその大部分の事務を県に委任する結果になつておりまして、補助金支払事務が県に委任されます。ここにおきまして県は財政法に基きまして支出官とか支出負担行為担当官県吏員であるわけでありますが、この場合の支出官出納長であり、支出負担行為担当官農地部長でございます。それに反しまして補助の指令は農林大臣出先機関である農地事務局長でありまして、その間は誠にスマートでないような、ややこしくなつております。従いましていずれが最終責任者であるかというような判定に迷うような事態も起るのでございますが、実務といたしましては、査定を終えましてその県の総額が決定いたしました後は、県が実際には割当から交付までを行なつておる状態でございます。その間に国に抗議をするというような制度もございまするけれども抗議をされた内容につきまして、それはいかんというようなことを国が言う、国即ち農地事務局長が言うようなことは余りないのが現在の真の姿でございます。従いまして私は法律上は明確は欠くとは言いますが、実際のやり方につきましては、間接補助と同じように、県に全面的に実務は委任してございますが、やはり何分にも幾分不明確なところがあるのは免れないと、こう考えております。
  7. 菊田七平

    委員長代理菊田七平君) 検査院から一つ意見を伺いたいと思います。
  8. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 最初に直接補助間接補助か、このお話から申上げたいと思います。この問題は実はいろいろな考えと、いろいろなまあ派生的なあれが出て来るわけでありますが、一概にどちらがいいと実はきめかねる点も多々あるのであります。参議院に検査院からお出しいたしました資料でもはつきりとどちらがいいということは申上げなかつたつもりであります。現在の直接補助を従来からありました間接補助の形にすることを検討したらどうかという趣旨のことは申上げたわけであります。どうも私ども検査の結果について考えますと、間接補助につきましても、いろいろこれ難点があるのでありますが、先ほどからお話がありますが、やつぱり利点のほうが多いのじやないだろうか、こう考えるのであります。一番大きなところは現在では府県が、まあ先ほど来小さい、農林には殊に小さい事業主体が多いというお話が出ておりますが、その通りでありまして、非常に小さい。大きな工事をやつて行く能力があるだろうかと疑われるような事業主体が非常に多いのであります。農業協同組合なんかその一例であります。中には受益者個人共同施工というようなのもございます。こういうのはむずかしい設計書を作つたり、請負人の工事施工監督したりするというようなことは、実際問題としてなかなかその能力がないわけであります。それを現在やらせているわけでございまして、    〔委員長代理菊田七平君退席、委員長着席〕  そこで府県側が事実上代行する、而もその府県も余りできない。こういうようなことになつて、いろいろな不在不当な経理が全国に山のように出ているわけであります。現在のようなやり方で行きますと、少々国をごまかしても、地元に余計補助金をとつてやろうというような考え方が、どうも府県には多いではないだろうか、どうも向きが事業主体と同じ方向を向いて国に向つているというような感じが非常に強いのであります。一日間接補助にいたしまして、府県予算を通すなりなんなりということにいたしますと、府県としては自分の金を、一旦国からももらいますが、ともかくも自分の金を補助するという関係に立つわけであります。そこに大きな差が出て来るわけなのでありますが、まあこれも考えようによりますと、府県が又一旦もらつた国庫補助を、事業主体に渡さないで自分が一時他に流用するというような弊害も、これは考えられるのでありまして必らずし府県予算を通すということが一〇〇%いい結果を生むかどうかという点は、これは又相当いろいろな面で監督統制の必要があると思うのでありますが、まあそれにしましても一応府県自分の金を事業主体補助をするという考え方にして行つたほうが、全体としてはいい結果を得るのではなかろうか、こういうことを私どもとしては考えているわけであります。検査の結果、そういうことをつくづく感じるのでありまして、現在でも府県によりましては、工事費の一割なり五分なりを府県で乗せてやる。国から六割五分補助が参りますと、例えば大阪、この近所では茨城、ここいらの県は一割ずつ乗せておるのであります。七割五分にいたしまして地元に渡す。それで三割五分を本来地元負担しなければいかんところを二割五分に減らしてやつているというような府県もございます。こういうようなところは正に府県を通したほうがいいのでありまして、こういう府県が一部を負担するというような傾向も、府県を通したほうが、間接補助のほうから、逐次助長して行くのではないだろうか、こういうように考えるのであります。県によつては五%、富山県なんかはその一例でありますが、五%県が負担しておる。今一割負担しておるところは幾つかございますが、そのほかに五%県が負担しているところもあるわけであります。  それからこの補助法規会計法規関係でございますが、これは現在の補助法規は、現在までもしばしばいろいろなかたから御説明いたしましたように、会計法ということは全然無視してしまつているわけであります。成功認定というような、ちよつとややこしい実際に合わないような最終段階行為も入つておりますが、これなどはまるつきり会計年度ということを無視してしまつておる。それで御承知のような支出負担行為制度というものができまして支出負担行為担当官なり或いは支出官責任というものが、会計法上は、補助につきましてもいろいろな制約を受けることになつたわけでありますが、それとまるつきり遊離してしまつておるということが、制度上から見た一つの大きな欠陥じやないだろうか。ただ制度を直しましても、現在の乱脈な国庫負担経理というものが、すぐに軌道に乗るということは言えないわけでありますが、その一助にはなると思うのであります。これを現在の補助法規国庫負担法支出負担行為制度というようなものと絡み合せて、会計年度というものを考えに入れた法規というものの制定が望ましいということは、これは言えると思います。ただそれをやりましても、今のような状態がすつかりよくなつてしまうというほどの即効的な効果は期待できないと思いますが、改善の一助にはなるということははつきりと申上げられると思うのであります。
  9. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは委員の方々から何か御意見がありましたらどうぞ。
  10. 東隆

    東隆君 私は今の直接と間接事業の施行の関係ですが、その場合に建設省関係農林省関係の場合ですね、これは当然分けて考えなければならん。というのは、大きい仕事は国でやつておりますし、それからその次に位するのは都道府県でやつております。それから直営の場合ですね、それで主として間接方向に向けるべき筋合いのものは、これは事業の分量からいうと、農林省とそれから建設省関係では、これはもう非常な違いがあると思うのです。それで農林省関係のものは対象が非常に小さいものが多いのですから、件数が非常に多い。こういう関係からいつて、どうしても間接施工する形をとらなければ、直接で以てやろうとする場合は、非常に人員を殖やして行かなければ、これはもうできないし、その形で行けば、頭でつかちのなんで以て、手足が動かない。こんなような形が当然起きておるのです。先ほどお話のありました、占領下において間接でやつたのはナンセンスだ、それで直接にやらなければいかん、こういうようなことで方向を変更された、こういうようなお話もありますが、私はもう一度、これは前に返つてもらつて、なにもそんな問題じやないと思いますが、系統を正してやつて行くという、そういう態勢をとるほうがいいと思いますが、こういう面はどういうふうに考えておられますか。
  11. 平川守

    政府委員平川守君) いろいろ検討いたしておりますが、大体においてお話のように農林省関係は細かいものが多いのであります。これを直接に一々の事業主体対象にして国が補助するということが、そもそも無理である。やはり大体の仕事は、県を通して県に委せて、間接補助するという形のほうがベターであろうというので、今それを検討いたしておりまして、成るべく速かに立法化することにいたしたいということに考えております。
  12. 東隆

    東隆君 私は補助をする場合、或いは仕事のいろいろな方面における監督、それから指導、そういう面はこれは当然どちらかの、若し農林省のほうでおやりになるということになれば、これは地方のものが十分に手下になつて手足になつて動けるような態勢を作らなければならんし、それから地方に委譲をしてやるという場合には、私は当然或る程度の、何と言いますか、系統を辿つてそうして班を分けて、そうして地方のものに力を与えるような態勢、そういうようなものを作らなければ、なかなか行かないと思うのです。それでなぜこういうようなことを言うかというと、協同組合のような場合に、仕事をする場合に、実のところを言うと、農業協同組合のような場合は、その上級に立つておる連合会は、指導監督の力を持つておらない。協同組合のようなものは、従つて下級の単協なるものが仕事する場合に対して、指導的なことは殆んどできません。併し役所の系統を辿つての場合には、これは監督権が十分に持ち得ると思います。たとえ自治体であつても、上級自治体というと語弊があるかも知れませんが、その場合における私は十分に監督指導態勢が立ち得ると思うので、その系統を私は十分にはつきりさしてやるならば、都道府県そのもの利益を受けるから、従つて勝手なことをやるというような、そんなようなことは私はないと思います。それでその関係はつきりさせてやるならば、占領下に今のような形になつておるものが、又元通りに復帰しても、影響はないと、こういうふうに考えますが、そんな点で、何か悪例があるのじやないか、こういう占領下示唆をされた中身ですね。そういうようなものも若しありましたら、それをお知らせ願いたいと思うのですが。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) これはどうも少しアメリカ人の頭で、こちらの実情に暗かつたという点もあるのじやないかと思いますが、前に間接補助制度をとつておりましたときに、向うの心配しましたような途中の県段階等で頭をはねるのじやないか、そういうような弊害というものは、少くとも県当局等につきましては、実際上なかつたのでありまして、恐らくそういう意味弊害というものはないのじやなかろうか。  ただ間接補助になりました場合に、国の監督県等監督関係でありますが、私どもの大体の考え方としましては、一定の規模以上の大きなものについては、国が直接に、例えば補助金査定等もいたす、計画審査等もいたす。それ以下の小さい規模のものにつきましては、県が査定をし又監督をする、その県の査定監督に対して、国は第二次的にこれを監督する、従つて実際上は抽出的な審査監督というようなことになろうかと思います。そういうような方法で行いますることが、現在の人員機構等から考えまして、これを急速に厖大なものにすることもできないわけでありまして、そういう実際の状況に鑑みまして、一番実効的であり、且つ弊害が少いのじやないか。当時これを改正しますときに、司令部方面示唆をしましたのは、私どもとしては必ずしも当らないのじやないかと思つてつたわけです。具体的にこういう弊害があつたために変えたということはございません。
  14. 菊田七平

    菊田七平君 私も今東委員がおつしやつたように、建設省のほうの問題と、それから農林省の問題はこれは別に考えなくちやならんと思うのです。併し補助金そのものに対しては、過日平林委員がおつしやつたように、補助金という名前そのものが、感じがまるつきり違うのじやないか。要するに自分の税金を割戻して来るのにもかかわらず、国からもらうというような感じが非常に強いのであります。役人のほうで、要するにおれがやつてやる、こういう気分になる、こういう根本的の土台が、すでに補助金には、そういうことで気分的に違つておる、これに一つ原因があると思うのです。  それから農村のほうへ行つて見ますと、要するに日本農村は、ごく零細な農村ですから、非常に小さい耕作地を持ち、而も仕事が三町歩、五町歩という大変小さい、まあそこらでも大きいほうで、非常に小さい耕地が多いと思うのです。こういう点はやはり国から直接殆んど目が届かない。やはり県が一番よく知つておるわけです。そういう意味から言つて、今農林省考えておられるような、やはり県に委託するというほうが大変いいのじやないかと思うのです。又半面から言うと、農村において仕事をするそのことが、非常に県によつて進歩した、要するに早く耕地改良をやつた所と、それから非常に遅れておる所とあるわけで、こういう点はやはり国が考えて、その県に対して仕事をよく考えてやつて、そうして公平な立場になるというようなことをお考えになる。こういう点に対して一つ農林省として、農地局として、どういうお考えを持つておられるか。
  15. 平川守

    政府委員平川守君) 県にできるだけ委せて行つたほうが、農林省仕事の非常に細かく且つ件数が多いという性質から考えまして、妥当であるということは、先ほど申上げました通りであり、御意見通りであります。これをただ運用いたしまする場合に、公正な運用ができるようにということにつきましては、先ほど申しましたように、大きいものについては、直接査定をし、監督をする、小さいものについては、県の判断に一応第一次的に委せて行くということによつて、大体行くのじやないか。特に県の査定そのものが公正に行くようにという一つの力として県自体に若干の負担をさせる。これもまるまる国の金だけでありますと、県として自分が自発的に公正な査定をするということに不十分であるかと思います。国が六割五分なら六割五分補助する、それには必らず県も自分財政から一割なり幾らなりの負担を伴うということにいたしますれば、よほど県自体も公正な査定をするという一つの力になろうかと思います。そういうことも併せて参りたいと、かように考えておるわけであります。  なお補助金について、一般地方が何かこれをもらうのだ、又役人が何か自分のものをやるような気分で運用するというようなことは、これは全く筋違いの話でございまして、これについては制度的にどうということも考えられないのでありますが、私どものほうでも職員にできるだけ注意をいたし、又なお陳情等に来られる人にも、実は私どもも率直に申しておるのでありまして、非常に金のない際でもあるし、我々のほうは決してそういうことがあつたからどうするとか、なかつたから少いとか、そういうことはないのであるから、そう殊に大勢お見えになる必要はありませんということを、むしろ率直に申しておるのでありますけれども、やはり地方気分がどうもそういう点がございまして、無下に我々のほうでそれをどうこうするというわけにも参りません。実はこれは困つたことだと思つております。我々のほうといたしましては、そういうことによつて、少くとも査定なり何なりに影響があるということでは、これは国の補助金役人が私で左右するようなことになりますので、そういうことがないようにということは努めております。そのためには、できるだけこういう計画等につきましては、衆議にかけるという方法を成るべくとつております。一人一人が個人で扱いますと、とかくそういう弊害が出ますので、成るべく衆議にかけて割振の決定をするというようなことで、そういうことのないように努めております。この点についてはどうも制度的にうまい方法はちよつと見当らないのであります。
  16. 菊田七平

    菊田七平君 今農林省の不正が非常に多いというような点につきまして、私ども考えますのには、今まで建設省関係は大体において補助金が非常に秩序立つている、昔からやつて来ておる関係で、そういう事務的或いは仕事に対して長い間の訓練を持つた人そのものがおると思うのです。ところが農林省関係は終戦後は非常に施設が殖えて大きな金額になつたと思うのです。そのために人もまだ訓練されていないし、それから事務的方面もまだそこまで行つていない、そういう点が手が足りないのじやないかというような考えを持つてつて、たまたま小さい部落の仕事になると、帳面の付け方も知らんし、伝票の切り方も知らん、そういうために非常に労力を出しながら、結局負担がしてないのじやないかというような検査院の摘発を受けて、そのためにどうも非常に苦しんで、もうこういう工事はやるものじやないというような声まで出るほど、非常に事務的方面においての訓練が足りないと思う。これはやはり事務的方面を非常に訓練さえしておけば、実際においての能力は出ておると思うのですから、こういう点は農林省としてどこまで指導できるかどうか、一つ伺いたい。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) 何分仕事が細かい、そうして非常に末端の技術力等も貧弱なところで工事をせざるを得んということで、技術的な訓練等にも非常に骨が折れる実情に確かにあるわけであります。私どもといたしましても、この刷新要項等にも語つておりまするように、できる限り一つ現在おる職員の技術なり或いは査定に対する心構えなりについて、講習といいますか、研修をやつて参りたい、その方法以外には、ちよつと急速にそういう力を充実すると申しましても、なかなかむずかしいものでありますから、そういう方法によつて質の向上を図りまして、そうしてでき得るならば、この査定というものを行うについて、一定の資格と申しますか、こういう査定をするだけの能力があると認められる人間を指定しまして、その人間にやらせるということによつて査定の公正適正を図つて参るということにいたしたいと考えておるわけであります。
  18. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは委員各位に差当り御質疑がないなら専門員のほうから一つ……。
  19. 波江野繁

    専門員波江野繁君) 御審議になります御参考に或いはなるのじやないかと思われますので、私が一、二の問題点を出しまして御参考に供したいと思います。  現在の農林省補助法について申上げますと、先般事務処理の各段階をお示しいたしまして、問題の所在点がどこにあるかということを一応現わしてあるのであります。その問題の所在点でいろいろな解決方法というものが考え出されるわけでありますが、この農林省の問題でどういう解決方法があるか、これについて私自体が疑問にいたしている点は、先ず第一には、先ほど支出負担行為担当官仕事は何であるか、この支出負担行為担当官仕事の範囲とその責任の問題であると思うのであります。結局補助金のこの仕事申請書を出す、査定する、工事監督をする、最後にその仕事ができ上つて、この補助金の精算をする、決算をつけるときに厳格な精算が行われまするならば、検査院のこの批難は起らんはずであります。ところがその締括りが適当でなかつたので、ここへ出て来るようなたくさんの不当事項が出ておると思つております。そこでその最後の締括りを誰がやるか、農林省本省のかたが最後の締括りのときには現場に立会つておられるようにも承わつておりませんし、本省のかたは、この締括りのときは、別段の加勢と申しますか、そこには何の行為も別段ないようであります。そうすると、普通の考え方から、私の常識からいいますと、支出負担行為担当官が、その仕事が、補助金対象となる工事が適当に行われたかどうか、これを検討しなければならないのじやないか、これがはつきりされておるかどうか、その仕事の範囲がどうなつておるか、それからそう仕事の範囲が若し明確になつたとして、一体これに間違つた処置をしたときに、責任を負わせ得るかどうか、こういうふうに考えて、この点が問題であろうと思つております。そこで先ほど検査院のほうでは、検査院のかたの御意見によりますと、その点の会計法規上の問題は今後何らか規定を整備する必要があるという御見解でありますが、その点につきましては、どういう規定をすればよろしいのか、どういう規定であれば作り得るのか、なおその責任所在はつきりさせるについては、どうすればよろしいか、その規定にどう書けばよろしいのか、その辺について何か具体的の御見解がありますならば、これを承わることは非常に参考になるのじやないかと思いますのでそれを一つお聞かせ願いたい。  それから第二に、これが非常に私は大きな問題と思いますが、農林省補助金については、ほかのいろいろの負担行為その他から見て、非常に特色と思われますのは、自己負担をやつていないという案件が非常に多いという点であります。二十六年度は農林省にはこれが非常に多かつたわけです。ほかの公共土木の負担法によつても出ておりません。但し二十七年度には幾らか建設省その他におきましても、自己負担の問題の案件があるようでありますが、二十七年度の批難事項を御覧になりますと、農林省の千何件かの中に自己負担をしていないというのが殆んど全部であります。この自己負担をしていないというこの案件の防止方法はどういう手があるか、これを一つ検査院のほうに何か御意見はないか承わりたい。といいますのは、今の仮に支出負担行為担当官が、最後の検査の締括りをする支出負担行為担当官のところで、先ほど申上げました通り、何らかの規定によつて、この仕事の範囲、従つて責任の範囲、従つてその責任所在というものが仮にはつきりし得るといたしましても、この自己負担を発見するところまで支出負担行為担当官責任を負わし得るかて支出負担行為担当官仕事の範囲としてこれを含め得るかどうかという点に、相当疑問があるではないか、こう思つております。なぜかと申しますと、私の非常に貧弱な知識によりますと、この自己負担をしていないということは、帳簿に初めから自己負担をしていないということなら、これはもう論外でありますが、帳簿には、その事業記載の帳簿には、負担をしたという帳簿になつておる。ところが検査院の手で調べて、一体この金はどこから出てどこに行つたかという流された先までお調べになつて見ると、この自己負担が実は架空であつたということから、ここに出ておる案件が非常に多いではなかろうかと思つております。この経理上の審査というものが、今の支出負担行為担当官が発見できるような仕組にし得るのかどうか、そこで発見できる仕組になるならば、この問題は解決できると思いますが、若し支出負担行為担当官責任はつきり、仕事の範囲をはつきりさせるといたしましても、その経理の内容について、今言つたような突込んだ調査は無理だとするならば、一体この案件を防止するについてはどういう方法があるのか。検査院の検討を待たなければ発見できない、ほかには方法はないと言うならば、この案件は事業主体が心を入れ換える以外には防止する方法はないということになります。そこで若しそういうような不心得な者がありましても、検査院検査する以前に、こういう手段によつて発見できる、防止できるという方法があれば、この案件は非常に減ると思いますが、二十七年度は非常にその点が多いものですから、これは非常な農林省関係の特色だと思いますので、その著しい点で気付きました点を御参考に申上げた次第でございます。
  20. 平川守

    政府委員平川守君) この支出負担行為担当官責任関係が明確でない、これは私ども確かにそう思つておるのでありまして、一応の法律上の関係は明らかになつておりまするけれども、とにかく国が直接補助をして、その支出負担行為担当官を県の職員に委任しておるというような恰好になつておるわけです。非常に複雑であり、間接的な妙な制度になつておりますので、これについては現在の制度を、先ほど申しました間接補助の形に変えることによつて非常にはつきりして来る。そういう意味におきましても、間接補助制度を立てたほうがよいのではないかというふうに考えておるわけであります。  それから自己負担をしないという問題ですが、これについては検査院のほうから御意見があろうかと思いますが、これは実は農業関係におきまして、特に非常に村々の小さい工場については、自分の労力で復旧工事をやる、この関係が非常に多いということが一つ原因であろうかと思います。非常に大規模な、県が直営いたしますようなものにつきましては、そういうことは殆んどないのでありますが、村単位などで行います工事、而も罹災者がその仕事をすることによつて賃金収入を得て、そうしてこれが一種の災害救済の実際の実を挙げることになつておる。そこの村の自分の労力を出して、それを自己負担として計算をするわけであります。この場合に非常にもともと負担力が乏しい災害地でありますし、前々のお話にありますように、村長なども、そういう場合には、村に実際の金銭負担をかけずに仕事を済ますことが、皆から希望されるというような実情にありまするために、非常にその点が多いのだと思うのであります。これに対してはやはり計算を明らかにさせる、そのためには帳簿等の関係はつきりさせるために、刷新要項等でも指導いたしたいと思つておるわけであります。  又非常に自己負担が多過ぎるために弊害が出ておるというようなことも、先般御指摘がありましたが、これに対しては農林漁業金融公庫の長期資金を補助金と合せて貸付けるというような制度もできておりまするし、又災害の状況に応じまして、その長期資金だけでも賄えないという場合には、農林中金等が一時金を貸すというようなことも併せて考えており、又実際に運用もいたしております。なお、非常な災害の激甚地等において、特に負担に堪えないという場合には、従来から補助率の高率補助を適用するというような制度もある、特に昨年度は非常に特別立法によりまして、九割国庫が持つというような場所が非常に多く認められたわけでありまして、そういうことになつて参りますと、只今の弊害も非常に少ない。そういうようなまあいろいろな方法によりまして、この点はそういうことのないように自制をいたして参りたいと、私ども考えておるわけであります。  なお、これについては、検査院のほうからも御意見があろうと思いますが、私どものほうとして考えておることを申上げました。
  21. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の先ず第一点でありますが、支出負担行為制度と実際の取扱い、これをどういうふうに制度化して行くかということでありますが、現在建設省と違いまして、農林省の農地関係においては成功認定というようなことが法律上ございません。根拠法が違うわけでありますが、農林省におきましても漁港につきましては、国軍負担建設省と同じことを適用するわけでありますから、そういうのがあるのでありますが、農地関係につきましてはそういうものがない。それで毎年補助金を交付いたしますときに、府県農地部長の部下と申しますか、技術者が検収をいたしまして、この通り間違いなく工事ができた、こういうことで立派な文書を作りまして判こを捺しまして、そうして金を払つておるわけであります。ところがこれがさつぱり内容を伴つていない。例えば現在支出負担行為担当官補助職務として、そういう手続をとつておるわけではないのであります。農林大臣から行政上の補助工事をその県が委任されておる府県知事の補助職務、こういうことになつておるようでありますが、この点がすこぶる明確を欠いておる。私どもとしては支出負担行為担当官として金を払う場合の会計行為、こういうことにして頂いたほうがいいんじやなかろうか、制度の上ではそう考えておるわけであります。ところがこの制度をいくら立派な……支出負担行為担当官としてすつかり割切つたものといたしましても、今のようにただ書類を作つてつて、現場は恐らく見ておらんと思うのでありますが、書類を作つて盲判を捺しているというだけはだめでありまして、やはり設計通りできたかどうかということは確めて頂かんといかん。そこにやはり事実、文書で書きました法律制度以上に実質を伴つたものにして頂かなければならん、こういうふうにつくづく感じるわけであります。そこで府県関係部門の強化ということが問題になるわけであります。私ども検査いたしますと、すぐに府県当局者のほうでびつくりされまして、これじやいかんというので、実質的な制度はそのままでありますが、内容を強化したという結果も一再ならず実はあるのでありまして、そういうところでは、翌年度に参りますとめつきり成果が上つておる、こういうことになるわけであります。  それから自己負担地元がいやがるという話でありますが、先ほど農林省から、例えば泥が農地に入つた場合に、それを除けるような場合は、これは大きなものは請負でやるのでありますが、そこで地元が労力を出し合つてやるという場合の例のお話がありますが、こういう場合はむしろ少いのでありまして、請負人に請負契約を結んで工事をやらせるという場合が多いのであります。請負の場合になりますと、地元の労力の提供ということは、直接には補助金の基本の工事費の中に入つて来ないわけであります。間接には請負人が地元の人を人夫として雇うという場合が非常に多いのでありますが、これも一応は請負契約、請負人から賃金をもらう、こういう形になるのでありまして、その賃金が高いか安いか、実際に村当の人夫を使う場合よりも非常に安いという場合はあると思いますが、直営で自分が直接労力を出し合つてやるという昔ながらの方式はそう多くないのであります。大部分の場合は請負という形で、工事請負人を通した上でやるのでありまして、こういう場合は請負契約というものがはつきりしておるわけであります。この請負契約は二重の契約を結ぶ。私ども検査に参りますと、すぐに出して見せるものは、農林省なんかにお出しするものと同じ地元負担を三割なり何なりにした書類ということになつておる契約書であります。それに基いていろいろちやんと立派なものができておるのでありますが、こういう嘘をついたものはすぐにまあぼろが出るわけであります。少しいろいろな角度から突つついて参りますと、すぐにぼろが出てしまう。そうして実はこういうわけで地元負担をしていない。請負人を値切つてしまつた、こういうことがあるわけでありますが、その典型的な事例は今申上げたような裏の契約を結んでいる。それはなかなか出しませんが、終いには結局出す。出さないと説明がつかなくなつてしまうというような事態になるのが多いのであります。先ほど専門員からお話もありましたが、農林省関係が千七百件以上も十万円以上のものが私ども検査の結果見つかつておるのでありまして、そのうち千五百件というものは今の自己負担をしていない。それが設計に水増しがあつたために自己負担をしないで済んでしまう、こういうのが一群あるわけであります。それから自己負担をしないで値切つてしまつたために、請負人にさんざん手を抜かれ、非常に悪い工事ができてしまつた。それの特に悪いものを疎漏工事として第二群として扱つております。それから値切つたために設計通り仕事をやつていない、いわゆる出来高不足、これが一番多いのでありますが、これが第三のグループとして、三つの部門に工事関係は分けたのでありますが、どうもこういうものが非常に多い。こういうものは、会計検査院であとから行つて見なくても、これは県なり農林省なりが本当に監督をおやりになればわかるはずであります。会計検査院が行つてから漸やくわかつたというのは、ちよつと私どもとしては解せないのでありまして、本当に文書ができて、或いは書類ができておる通り農林省なり県が監督をおやりになり、ちやんと検収をおやりになつて国庫補助金をお払いになつていたらわかるはずであります。そういう面で実はもう少し実施なり監督なり検収なり或いは国庫補助金を支出するときの手続なりで、書面と内容の実質とが伴つたものになつて頂きたい、こういうふうにつくづく感ずるわけであります。それから自己負担は、誰しも金を出すのはいやでありまして、自己負担をするのを嫌うわけであります。どうも査定のしつ放しという傾向も従来非常に強いように思われるのであります。検査報告にも顕著な例を挙げておきましたが、先般もちよつとこれに触れた御説明をいたしましたが、一つの村に七億八千万円或いは五億三千万円、こういうように途方もない査定をおつけになる、こういうところにも一つ原因があると思うのであります。七億とか五億とか一口に申しますが、これは大変な金額であります。この村に行つて見ますと、人口がせいぜい五、六千、それから村税収入が五、六百万円、こういうような所で、非常な災害を受けたことは事実でありますが、七億とか五億とかいうものの査定をつけられても、これは消化できるわけがないのであります。これをまともにやりますると、やはり七億ぐらいの高率補助になりますと、一億近いものを村で負担しなければいけない、そうしますと、労力を出しようにも人口が五千か六千、農家戸数にいたしますと千戸ぐらいにしかならん、こういうような所であります。そうしてそういう所で労力を出したところで、とても一億近いものが負担できるものでもありません。内容を検査してみますと、相当に水増しが入つておることも事実でありますが、設計通り仕事をやつていない。そうして自己負担は逃がれてしまつている、こういうような事実がはつきりして来るのでありまして、この一つの村で七億ついた、五億ついた或いは二億ついた、こういうことでも、もう一段進んだ資金の斡旋なり、先ほどお話が出ましたように、農林漁業融資の資金の道も開かれておるのでありまして、こういうようなものを借りますと、長期資金でありますので、なし崩しに返せるわけであります。こういう面を斡旋なさるなり何なりということも、これは考えて頂かなければいかんのじやないか、災害をたくさん受けたのだから災害復旧費が余計つくのは当り前だということで、何億というものをぽんとつけてしまう。あとは構わんでおく。それから工事の施行も十分に監督しない、金を払うときにはどんどん検収をやる、こういうことでは結局事業自体はよくならんのであります。地元が大災害を受けて誰が金を出すかということは事実上むずかしいのであります。こういう場合がひいては自己負担を逃れて、請負人との間に二重の契約、裏契約を結ぶというような傾向も助長しがちなのでありまして、こういうようなものにつきましては、是非一つ自己負担分の資金斡旋、それも適時に斡旋しておかんといかんのであります。工事契約を、裏契約を値切つて結んでしまつてから、金が行くというような斡旋では困るのでありまして、先般も申上げましたが、今の非常にたくさんの査定のついた村に行つてみますと、八千万円の預金があるというような事態も検査の結果わかつております。これは折角斡旋はされたのでありますが、非常に遅かつたために工事契約を値切つて結んでしまつたあとで金が来たわけでありまして、もう払いようがない、こういうようなのも、ございまして、八千万円というような金が農業協同組合の預金になつてつたというようなこともございます。こういう辺も多額の査定ということをする場合には、必ずその辺まで御配慮を願いたい。そうすれば問題も相当に減つて来るのじやないか。私ども検査いたしまして、実はそういうふうに考えているわけであります。
  22. 平林太一

    平林太一君 農地局長林野庁長官水産庁長官、三局長官が御出席になつておりますが、どうも補助金によります国の工事災害復旧工事というようなものですが、災害を受けました際に被害が非常に甚大であるということはどういうところにこの原因があるかというと、災害の程度ということが主要をなすわけですが、併し近年の災害に対する被害というものは、豪雨によりまするその量等に対処して、夏になりますと必ずちよつとしたあれで、昔はもうその災害と申しますと、連日、連旬に亘つて豪雨、いわゆる風雨があつたのです。そういう場合に災害というものは発生したことが我々の過去のその災害に対する強い記憶があるのですが近年はもう一晩か二晩で、豪雨があり、台風がある、そのためにもうその工事は皆崩壊しておる。こういう事実はどういうところに原因があるのか。何でも昔の工事というものは、割合国の指示、設計によらなくて、地方が、いわゆる当時は地方自体の災害に対処する孜々営々とした工事施設で、堤防にいたしましても防災にいたしましても、そういうものをなした。それも案外に堅牢なもんなんです。そしてこの災害の被害の程度は今日と比較いたしまして、昔のほうがその数は少なかつたように思うのですが、近年はもう夏になりますと、必ず災害があるというようなところに、どうしてもこれは何か工事の内容というものが、補助金というものの制度が、金によつて、つまり予算によつて工事をするのか、災害というものに対処することを第一義としてその補助金のいわゆる使途というものを立案するのか。その点を根本的に考えておやりにならなくては、これはいわゆる賽の河原で、幾らやりましても、ただ金だけでやるという、予算だけでやるということでありますればそれだけの範囲のもので、それだけの範囲のものは、一朝災害が来たときに対しての災害に対処するということとは関係がなくなつてしまうわけです。金を補助をし、予算をする以上は、そのする場所に対してのこの土地の事情、それから過去の災害の歴史等、そういうものを見まして、そうしてこれによつてこの流域、この河川又この砂防というものは解決し得るのだ、そういうふうな観点から、この補助金の使途、取扱い方及び補助金を通ずる工事の施設というものをお考えにならなければならないと思うのでありますが、その点はどういうふうに、これを補助金使途の目的に対してお考えになつておられますか。順次三局長おのおののお立場があると思いますので、この水産関係等におきましても、これはいわゆる海岸の僅かな改修等によりまして防波堤が崩れる。最近も昨年でしたか、丁度島根県へ参りまして、有名な関の防波堤が全然破壊されて、そのままになつてつたというような事態があるのでありますが、三長官から一つ全国的な、概論的なことでありますので、従つてそういうような将来の防止、それからまあ有効に補助金を、災害に堪える、災害に対処する、そういうことを根本にした補助金使途に対するそれぞれお考えがあると思いますので、それを伺いたいと思います。これは順序は農地局長林野庁長官水産庁長官三人から順次伺いたいと思います。
  23. 平川守

    政府委員平川守君) 私のほうは主として河川の決潰とか或いは山崩れというようなことで被害を受けるわけであります。我々といたしましても、災害復旧だけでなしに、できるだけこの災害を未然に防ぐということの最も効率的であることは申すまでもありませんので、できる限りそういう方向に努力をいたしたいと考えておるのでありますが、例えば溜池等につきましては、或る程度の年数がたち、或る程度老朽化しておるというものについては、これを補強することが先ず必要じやないか。ところがそういう種類の施業に対しての予算というものは、なかなかつきにくいのでありまして、一旦災害が起りますと、これの復旧に対する費用というものは割合に認められるのでありますけれども、事前にあれが危いのだということを幾ら申しましても、なかなかそれに対する補強の予算というものはつきにくい。而もやはりそれだけのことをいたしますには相当の費用がかかりますので、やはり国のほうで相当の助成をいたしませんと、なかなかそれは実行できない。溜池の補強につきましても、例えば農林省でこれだけ大きな予算を以て事業を施行いたしておりますけれども、昨年初めてこの僅か数千万円の助成金が認められた。認められましたけれども、これは三割の補助であるということで、地元としては到底負担に堪えないというので、折角のいい予算であると思いますけれども地元のほうで三割補助では困る、せめて五割ぐらい補助してくれないと実行できない、こういうようなことで、そういう種類の金はなかなか認められないというのが実情でございます。それから災害復旧にいたしましても、復旧をいたします場合に、安全度の高い工事をするということは原則として認められておりませんので、原形を復旧するということが建前になつており、特殊の例外の場合には若干改良工事として併せて認めるということもございますけれども、むしろ原則としてはもとの、原形に復旧する、こういうことであります。我々といたしましては、河川の氾濫等による被害は止むを得ない部分もありまするけれども、併しできる限り農地関係の施設そのものにおきましても、災害を未然に防ぐという方向に努力をいたしたいということで、そういう点については誠に御同感なのでありまするけれども実情といたしましてなかなかそういう種類の金はつきにくい実情があるということを申上げておきたいと思います。
  24. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは柴田林野庁長官
  25. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 只今平林委員からの御指摘の、最近の被害が非常に程度、瀕度等において多くなつておるのではないかというお話は、私どもといたしましては、その実情を見まして、その原因の大きな部分が私ども関係にあるということを痛感いたしまして、誠に申訳なく存じておりまするが、と申しまするのは、戦前におきましては林野の実情は大体植、伐、バランスがとれておりまして、極端な山の森林密度の減少というような局部的な現われが、比較的少なかつたのでございまするが、戦争以来軍需材、或いは生産資材その他に林産物が、過剰な負担を自給でかけられました結果、昭和十六年以降二十五年までぐらいの間に、現在残つておりまする林野の林木の総蓄積六十億石前後に対しまして約一割の減少を実は来たしておるのでございまして、それが現実の現われといたしましては、戦争以来伐採いたしまして、本来ならば伐採いたしました個所は直ちに植林をいたしましてあと成長を期待するというのが建前でございまするのに、植林が非常に手遅れになりまして、昭和二十五年度末には、伐採いたしまして当然植栽すべき個所で植栽未済で残つてしまつた所が百四十万町歩にも及んだ次第でございまして、これらが、勿論降水量の関係も、最近におきましては一つの周期がございまするのか、非常に多雨の周期に入つておるような気もいたしまするが、これを受入れる地上の状況が非常に悪い状態にありまするために、災害の程度が非常に高まつておるということを大変申訳なく存じておりますが、従いましてこれに対処いたしまするために、何としても植林は計画的にいたさなきやならんということで、御承知の通り第十国会におきまして森林法を根本的に大改正いたしまして、全林野に対しまする森林の取扱いを国の責任において計画化するという一応の形はできたのでございまするが、この際に植林に対しましても、森林所有者に是非ともお願いいたさなければならんと申しましても、森林所有者独力ではなかなかできないという現実の状態に対しまして、先ほど農地局長も申しました通り、国が施設すべきこともなかなか十分に参らない。従いまして当初はなかなか計画的に植林が実施できなかつた。最近におきましては、幸いに植林に対しまする国民的な熱意と、国家の造林補助に対しまする施設も、ほぼ計画的に実施できるような見通しは立ちましたが、その遅れがまだ現在も残つておる。更に災害のたびに山地の崩壊、或いは崩壊に頻するような危険な土地等が増加いたして参りまして、治山事業等も年々いたしておりますが、最近数カ年間の実績を見ますると、毎年新規崩壊いたしまするものが、年平均一万町歩前後、それに対しまして、毎年治山事業によりまして、崩壊箇所等の修復可能のところが一万二、三千町歩、既応の崩壊地、或いは崩壊耕地等が五十万町歩近いものを残して、而もなお新規に発生いたします崩壊箇所を修復することが精一杯というような状況にございまするために、一層災害の被害を大きくして参るこれがなかなか修復できない。こういう実情にあることが最近の天然災害に対しまする被害の目立つて増加して来ておる大きな原因をなしていやしないかということで、非常に申訳なく存じております。幸いに二十八年の九月に内閣に治山治水対策協議会が設けられまして、抜本的にこれを解釈しようということで御審議を願つてつた次第でございまして、まあ二十九年度予算におきましては、必ずしも満足すべき計画の実施は、なおこの緊縮予算で困難ではございますが、相当重点的にこれが対策を行い得るということに、その緒についたと申上げ得ると存じますが、併しながら御承知の通り山の仕事は、相当の期間を辛抱強くいたしませんと、なかなかその効果が現われて参らないというところに、今後も、近い将来においては相当の問題を残すのではないか、かように心配いたしておりますが、かような関係で、計画的な仕事が非常に遅れて参つた。そこで既応の施設に対しまして毎年天然災害が増加いたして参る。而も既応の施設の維持管理が十分にできてないところへ災害が参りまするので、災害の被害が非常に増大いたして参る。而も既応の事業の継続に対しては、なかなか国家施設も十分に参らないということで、申訳ない次第でございますが、現地におきましては、災害というものに非常に照応いたしまして、やや興奮状態ということも手伝いまして、便乗という危険が相当出て参る。これを、併しながら時間的に急速に修復しなければならんということで、これに対応いたしまする責任態勢を明確にいたしませんと、そこに便乗不正不当というようなことが重つて参るということで、これを何とか根本的に改めますためには、災害の防除のための根本的な対策を何としてもお考えを頂かなければならんと思いまするが、当面の問題といたしましては、先刻来いろいろ御審議意見を拝聴いたしておりまする通り、ただ形式的に国の直接施設補助という関係において、これを実行して抜け穴を多くするということよりも、非常に小規模の案件の多い私ども関係事業のごときにつきましては、間接補助の形式によりまして、而もなお責任態勢をそれぞれ系統的に明確にいたしまして、中央においても末端に対する監督指導を可能ならしむるような系統考えるということによつて、その妥当な施行を確保いたさなければならんのではないか、かような考えを持つておりまするが、この際私どもといたしましては、先ずそのよつて来たる災害の被害現象に対する根本的な対策を特急に進めさせて頂かなければならない、かように考えたのでございます。
  26. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今御質問を頂きました点でございますが、私どもの施行しておりまする漁港の災害復旧事業でありますが、御承知の通り漁港の災害、特に防波堤の災害をそのままに放置しておくということになりますれば、たまたまそれを利用する漁船はもとより、一旦風水害等がございまして、各方面の漁船がそれを利用するという場合におきまして、漁業に対する危険が非常に増大して参るということは申上げるまでもないのであります。而もなお災害をそのままに放置いたしますというと、ますますその後に起る風水害のために、災害が増大するということもありますので、災害復旧については、できるだけそれに所要の予算を見積りまして、それに必要な補助金を支出するということにいたしまして、災害復旧を速かに成就せしめるということにいたして行かなければならんと思つておるのであります。ところが実際問題といたしましては、只今御指摘もあつたのでございますが、予算その他の関係から、非常に復旧しなければならん場所が多いのでございますが、実際問題として全部に手がつけ得ないというような状況にあるのでありましてその点は私ども誠に残念に考えておるのでございますが、将来といたしましては、無論災害復旧についての予算の増額によりまして、できるだけ速かに災害箇所を復旧する、而も完全にこれを復旧するということが必要なんでございますが、許された財政の範囲内におきましても、先ほど御指摘がございましたごとくに、単に金の面においてのみ工事を施行するのではなくして、重点的にその災害を復旧するまでには幾ら要るかというような観点をはつきり掴みまして、完全なる災害復旧ということを眼目におきまして、予算の執行をいたして参らなければならんと思います。不完全な予算の執行をいたし、災害復旧工事をいたしますれば、次の災害によつて又崩れるということは御指摘の通りであります。そういうことでありましたならば、却つて予算を無駄に使うということになりますので、我々といたしましては、災害の実態に即応いたしまして、これを最も重点的に国策に副うように予算を実施して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、防災の点でありますが、その点は先ほども話がございましたが、私どもも漁港を見て参りましても、ちよつとこれに手を加えて行けば、この次に或る程度の嵐があつても防げるという防災的な工事が必要と思われる箇所が相当あるようであります。ところが実は災害の起つた場合の復旧予算は或る程度認められますけれども、防災的な予算というものが認められていないのであります。私どもといたしましては、何とかして防災的な予算も合せ獲得いたしまして、災害が起つてからの復旧は勿論でございますが、それよりも前にちよつと手を加えて工事をすれば、今度は少し大きい嵐が来ても防げる、こういう見通しのあるものにつきましては、防災的な工事を実施するということにいたすのが、最も将来災害の増大を防ぐゆえんだろうというふうに実は考えておるのでありますが、残念ながら、本年度も予算を要求いたしたのでありまするが、その実行を見ないままになつておるのでございますが、将来はその防災予算制度ということも、私どもといたしましては是非実施いたしまして、御趣旨に副うように進んで参らなければならん、こういうふうに考えておる次第であります。
  27. 平林太一

    平林太一君 只今御答弁を伺いまして了承いたしておりますが、総合いたしまして、全省に対する御苦心のお考え一つこの際して頂かなくちやならんと考えるのでありますが、災害復旧に対しましては、主として原形復旧を以て措置しておる、こういうお話でありますが、これは原形復旧に対しまして、もう少し何と申しますか、誠実と熱意というものをお示し願わなくちやならんことであります。やはり原形復旧を恒久復旧にする、今日も河川の状況、いわゆる物理的な、或いは科学的にも、もうこの程度なら過去何十年の災害、被害状況によつて対応し得るということは、これは机上においてもよくおわかりのことと、私のほうでは承知いたしております。それでありますから、その際鋭意恒久施設をする、取りあえずのつまり原形復旧というようなことを、非常な何かそういう形式的なことでなくて、丁度そういうところへ災害が起きたので幸いだ、この際一つ災害復旧と併せて、これに若干の積み重ねをして、恒久の復旧をする、そのために対しての予算はどうするかということに対しましては、非常な御誠意を以て御苦心になられますれば、必ずしも不可能のことでないと思います。当然災害復旧といたしまして、所要予算というものが被害地にその予算が措置されるのでありますから、それに対して恒久復旧ですから、いわゆる十の災害復旧に対しまして、二とか三、或いは五、六の予算をそこに充実しますれば、恒久的な施設が必らずできる。そうしてそういうことによりまして、現在のように夏になりますれば、必らず災害は起きるというようなことは、漸次そういうことの施設によりまして防止し得ることなんです。ところが長い惰性、習慣と申しますか、災害復旧は原形復旧だ、それを中央も地方も、そういうふうに考えておるところに、この予算をただ形の上で復旧をしたということだけで、非常災害の場合には、何らのそれが役に立たないということ、こういうことはあり得ないことで、併しその習慣、惰性というものほど恐ろしいものはない。そういうものは何か一応当然のごとく、これは措置されているが、補助金に対しまする無駄な役に立たない何が繰返されている、こういうことになりますから、これは一応一つ考え願いたい。そうして地方に対しましても、只今も会計検査院からお話のありましたように、地方でも八千万円ぐらい持つてつた村がある。こういうお話であります。それは一つの実例でありますが、そういう際によく地方のその該当地域の当事者とよく御協議になられまして、これこれで国の補助はあるのだが、そこで恒久施設をするには、これこれに対して今どれだけ、このぐらいあればいいのだ、それに対する何か用意はないか、それからあなたがたのほうでも考えてみたらどうかというようなことまで、この工事施行に対して、真実を持つてお進みになられるようにまあ願わなければならないことと思います。全体を総合いたしまして、只今のお話によりましても、例えばこの林野庁関係などにつきましては、電源開発に対しましての今日の国が処置いたしております資金というものは厖大なものです。日本開発銀行が貸付をいたしておりまするものだけでも驚くべき数字に達しております。又外国からも世界銀行等を通じて厖大な電源開発資金というのは参るのです。ところがその電源開発という名の通り電源を開発するには、発電所を開発するということが電源開発だけではない、より遥かに重大なことはその水力発電によりまする水源の涵養ということが最も基本をなすものである。ところが電源開発に対しましては、水源涵養というものに対しましては、全然只今のところでは処置されておらない。で、これはまあ非常に何か電源開発が独占企業として今日掌握されておるので、そういうような弊害から生じたものをも、非常に我々といたしましてはうなずける点がありますので、これはまあ改革をして、自発的な反省、掣肘、改革をしなければならんということは承知いたしておるのですが、それですから一カ所の発電所ができるときには、当然それに対しまする電源開発の所要中の開発資金の中から、水源涵養に対する予算というものが相並行して、これは出されなければならん。そうしてつまりこの水源地の発電所の、水力発電所の施設の上流地におけるいわゆる一切の施設というものが相並行してこれは行くべきものだ。それによりまして万世不易の水源の涵養というものができる。それで水力発電というものが維持されるわけです。これが全然等閑に付せられておる。これは私ども林野庁におきましても、いささか処置のとどかないものがおありのことと思う。もつと勇敢に勇気を持つて、これに対しまするその処置を政府部内においてお考えになるべきものだと思う。我々のほうでは当然それは双手を挙げて、そういうことに賛成するし、又その手配もいたすことにやぶさかでないわけですから、それでこういうような方向に、まあ一つの例でありますが、そうしてこの施設というものを、恒久の施設をするということ、それから更に植林の問題につきましても、今お話がありましたが、今日本材というものは金銀ですね、私の考えでは金や銀というものは地中にあるもので掘つてみなければわからない。併し木材というものは山の上にちやんと発生しておつて、もうその姿、実体が目のあたりに見ることができるものであります。将来に対しまする何と言いますか、価値というものは金や銀以上にこの木材というものは重要なものであるということが年々刻一刻これは増大して行くわけです。だからできるだけ今日国内におきましては、木材の伐採ということにつきましては、できるだけ国有林におきましては抑制して行くべきものだ、そうしてむしろMSAの協定も何か成立いたしたようでありますが、ああいう問題は当然もうこれに付帯して、木材のつまり我が国に対する米国からの、ああいう大きな山林国でありますから、大きな大国でありますから、木材などはもうどしどし米国から買入れる。そうして暫くの間我が国の山林というものは伐採を抑制して、そうして林野の充実を図るということにこれはしなければ、やがてこれは取返しのつかないような事態になるということを非常に心配いたしておりますので、どうか林野庁長官、その点をまあ十分お考えのことと思いますので、甚だ多岐に亘りますが、更に私どもはむしろ勇気づけて百尺竿頭一歩を進めてそうしてこれは林野庁長官としてのこの我が国の山林というものに対しまして、恒久的な経綸をお立てになられるようにやりたい、それでありますから、従つてこの施設の補助工事の不完全なために、そのためにその都度これが林野に被害を及ぼすというようなことは、まさにもう今日におきましては拙の拙なるものです。それですから、どうか一つ山林等に対しましては、山林を所有している所有主とか、又当然町村、県そういうものにただ補助金というものを出し放しにしてはいけない。補助金を出すときには、当然その恒久施設というものを、原形復旧ということでなくてこれは三長官に共通していると思います。原形復旧というその観念を一掃いたしまして恒久に施設するのだ、併しそのためには当然国においても、それだけのそういう基本が、あなたがたのほうにそういう強い信念が確立されていれば、国の予算というものももつとこれは獲得ができるわけです。原形復旧だから、やはりその原形復旧の線に沿つての復旧予算ということに、これは相成るわけなんです。よく考えてみれば、これは馬鹿々々しい話ですが、そういうことが行われておりますので、先ずそれはお職柄三局長御自身がそういう根本の観念をこの際一掃されてそうして災害があれば、却つて幸いだ、この機会にと……。いわゆる災害によつてそれが被害を受けた、その被害を受けたということがむしろ将来の大事を防ぎ得た。今年の災害によつてその或る場所が災害を受けた。併しもつと大きないわゆる暴風雨のあつたときには、もつとひどい被害があつた。併し今年の暴風雨は比較的少かつた、少かつたからこの程度で災害が治まつたのだということをお考えになられまして、もつと根本的に一つ考えになられて、そうしてそれを却つて災害があつて災害復旧予算処置をするということは非常にむしろ幸いであるというくらいにお考えになつて、そうしてその機会をつまり一つの基にして、そうしてその盤石不動の恒久施設という、ものを、次々に我が国の狭い山野の間にそれを施して行きますれば、やがて災害というものは根絶することができる。こういうような今日のごとく進んだ時代に、旧態依然として、いわゆる昔よりもまあ災害が多くあるというようなことは考え得られないことです。我々今日こうしてそういうことを考えましても、昔の我々の祖先に対しましては無知を如何にも露呈しておる。昔は無知は無知なりにその施設というものは実に営々とした、いわゆる積重ねた工事というものをしている。そうして災害を防止しておつたときには、林野の状況なんかも、今日とは違いまして完備いたしておつたということは、一応これは肯けるわけですが、そういうことをこの際十分に根本的にお考え願いたい、いわゆる原形復旧ということを恒久の施設ということにして、それに対しましては、どうすればいいんだ、どういう方法にすればいいのだというのは、いずれ最後は予算ということになるわけです。併しその予算に対しては、ですからあらゆる角度から恒久施設に対する所要予算の獲得ということを、視野を広くしてお考えになられたいわけであります。現在農林漁業金融公庫なども出ておりますから、ああいうのは極めて対象には、今日三長官対象にはなり得ないような零細な存在である。併しああいうものはもう地方へ進んで何といいますか、指導してある、指示してある。そうして中央負担の一部分にああいうものが利用されて、そうしてこの今の、只今の三局長お話のようなそれぞれの施設にあれが利用されておる。私は財政投融資というものは、非常に我が国は鉄鋼でありますとか、石炭でありますとか、船舶とかそういうものに非常に何か重点と言いますか、どれもこれも一つの惰性習慣です。そういうものに皆これが投資されておる。毎年三千億円のそれが全然こういう林野とか、港湾でありますとか、農地ということに殆んど対象になつておりません。日本開発銀行というものは、今日二千二百億円貸付けをしておる。今年におきましても六百億円、昨年は八百五十億円、こういうものが全然只今三長官お話になりましたものに何にも行つていない。それであり余るから船舶のリベートなんというものは出て来るわけであります。一隻の船を十億円で造れば、一億円は戻り金だと、一億円こういうようなものへかけたら、どのくらい有効になるか、非常にこれはそういうことになりますと、政治論になりますが、そういうことも一つ頭へ入れていい。あなた方の御関係ばかりではない。我々において改革しなければならないのですから、今日のような惰性した腐り切つた内閣のいたすことですから、こういうようなことになつているわけです。こういういわゆる開発銀行が六百億、而もこれは貸付返済期限は四十年。驚くべきことには、電源開発資源というものは財政投融資から出しておる、その返済期限、貸付期限というものは四十年だ。それから船舶の資金は十五年、最低ですよ。十五年以上若し船舶会社が損失をした場合には幾年でも延ばすというわけです。電力開発資源は三十年乃至四十年の貸付期限です。これらが只今三長官お話になりました港湾の施設或いは林野の保存、農地の保存というものに、その中に政治的性格において振替えられて行きましたら、如何に我が国というものは、これによつて国富の増大を来たすかということは明らかであります。国富の増大ということは、国民全体が、いわゆるそれだけの生活力の増強をするというわけです。只今の開銀の貸付けておるような、そういうような只今の実情は、皆独占企業の資本の皆餌になつてしまう。そういうものが暴露したのが今度のいわゆる船舶関係のああいう重大な問題ですから、それですから、こういうことは政治的にも、やはり三局長もそういうことは別の視野だとおつしやるが、それは表には言えないでしよう。併しそれを頭に入れて置けば、これに対しまする施設に対しまする方法というものがおのずから出て来るわけなんです。それですから、そういう点をこういう機会に私どものほうから強く申上げて、そうして一つの御職務に対して、非常な何というか、この自分の職務というものは、これによつてこの国というもののこの行政を、この施設を左右するのだ、そういうことを一つ考え願いたいと思います。ただこれが今のお話通りに、原形に復するのだということでやつてつたのでは、無駄の金を年々使つて、而もそれによつて年々被害を関係地方民というものが繰返して行かなければならんということになりますので、その点十分に一つ御考慮を願いたいと思います。併しまあ私只今申上げましたことで、予算等に対しまして、今日非常に支障を来し、妨げられておる、そういうようなものに対して何かそういうことを要求したか。それが拒否されたのでできなかつたとか、或いはこういうような予算を、例えば二十九年度において、こうすればこれができるのだというようなことがあれば、御参考までに御意見を三長官から伺つてもよろしいかと思います。私の質疑はその程度にいたします。
  28. 平川守

    政府委員平川守君) 只今の御意見については私どもも全く同感であるわけでありまして、これについては大蔵省のほうともいろいろ折衝をいたし、災害の復旧の場合にひとり原形復旧だけでなしに、積極的に災害を防ぎ得るような施設をするだけの事業費をつけてもらいたいということはしばしば申しておるわけであります。大蔵省も或る程度これは認めておりまして、ただその程度が非常に少いのであります。原則として、災害復旧は原形復旧を原則とする、併し個々の事情に応じて、この際ここはこういう改良工事を併せ行なつて、それによつて災害の防止を図るほうがより合理的であるという事案については、例外的にこれを認めるというような態度でおるわけであります。まあ御趣旨の点については誠に御同感でございますので、今後もなお具体的な事例につきましては更にその点を一層強化するように大蔵省とも話合いをいたして参りたい、かように考えております。  なお、先ほど申しましたように、ひとり災害の場合だけでなしに、災害がまだ起つておらんけれども、今度来ると非常な損害を受ける虞れがあるというものにつきましても、同様に保全の工事を事前に行うという意味仕事も要求をいたしております。これについても大蔵省は或る程度の理解をいたしておりますから、更にこれを強く盛込まれるように折衝をいたして参りたいと思います。
  29. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 簡単にお答え申上げたいと存じまするが、治山治水の根本対策に関しまして非常に有難い御意見を拝聴いたしまして、全く私どもも同じ考えを持つておりまするが、勇気の足らなさというよりも、力の足らなさを非常に申訳なく存じておりまするが、併しながら幸いに一つの輿論とでも申しますか、国全体の重要施策として治山治水に対しまする根本対策を恒久的に充実するという段階になりまして、二十九年度予算におきましては、勿論この計画に対しまして十分ではございませんが、先ず先ほど御指摘のございました重要な水源地域の国土保全、保安効果を急速に安定させるというための保安林の整備と併せて、これが管理経営に対しましては従来なかつた新らしい施設と予算を一応認められまして出発するような段階に進みつつあるという状況にございまするので、更に今後一層努力をいたしまして、併せて御支援を頂いて、これが理想的な強化を図つて参りたいと、かように考えておりまするが、電源開発地域等につきましては、電源開発の国家事業の効率発揮のためにも、電源流域の電源林、いわゆる水資源養成、増殖のための林野というものの計画的取扱いに関しましては、私どもも非常にこれ又大きな使命を持つておりまするので、上流地域が国有林等の場合におきましては、発電会社、電源開発会社とも十分な連絡をとりましていわゆる電源林施業というような考え方で参ります経済効果の発揮と、いわゆる水資源の増殖、培養による総体的経済効果の発揮というような観点から、これが施業を調整いたしておりますし、流域の民有林等に関しましては電源開発会社とも連絡をとりまして、電源開発会社としての開発事業の投資の一環として民業投資をもお考え頂くように、それぞれ連絡をとつておりまして近い将来に一部これが実現を見るのではないか、かような状態までなつておりまするが、一層御支援を頂戴いたしたい、かように考えております。  災害復旧に対しまする原形復旧にこだわるなというお話も誠に御尤もなお説でございまして、私どもも、特に私どものほうの施設は原形復旧と申しましても、原形復旧が却つて労して効果の少いような実情にある場合がございまするので、さような困難と不適当を生ずる場合には、効果を一層恒久的に発揮するような改良事業をお認めを願つて、復旧事業計画いたしておりますし、将来も一層恒久的施設としての完備への努力を続けて参りたいと、かように考えております。
  30. 清井正

    政府委員(清井正君) 只今の御意見誠に私どもにとりましては有難いお説でございまして、御同感に堪えない次第であります。  原形復旧の問題につきましては、只今農地局長林野庁長官から御答弁申上げたことと全く同一趣旨でございますので、今後私どもといたしましては、御趣旨の点に副いまして深く努力をいたして参りたいと考える次第であります。  又先ほどちよつと御説明申上げたのでありますが、私どもの漁港の仕事につきましては、防災の事業予算が実は現在ないのでございまして、防災事業を実施することが、却つて災害のために復旧に国費を費すよりも、大きな見地から見れば、却つてこのほうが有益でないかというふうに考えておりますので、明年度以降、私どもといたしましては、漁港の防災事業実施につきまして折角努力をいたしたいと考えております。
  31. 平林太一

    平林太一君 昨年島根県の関の防波堤に対しまして、前年度災害でそのままになつてつたということで非常に人心恟々としておりましたが、その後の状況はどのようになつておりますか。今おわかりにならないですか。
  32. 清井正

    政府委員(清井正君) ちよつと只今はつきりいたしませんので、帰りまして後刻……。
  33. 平林太一

    平林太一君 できるだけ一つ御心配をして……。
  34. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ほかに御意見ございませんか。それでは農林関係のほうは一応これを以て終りまして次にはほかのほうへ進みたいと思います。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時四十四分散会