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説明員(小峰保栄君)
只今専門員から詳細に御紹介がありました、公共
事業関係の
補助工事の件、そのうち
農林省の分でございますが、この種の
工事は、先般来建設、運輸両省についての御
審査がありましたが、
農林省関係が特に問題も多いのであります。
検査局にも非常にたくさん、
建設省の数倍に亙るものが挙
つている、こういう事態にあるわけであります。二十六年度で、私ども実は前二十五年度につきまして、
建設省の全国的な
検査ということを初めて実施したわけであります。これは原形超過と原形復旧というような問題が新らしい
法律によりまして出て参りまして、それを契機として、
建設省について初めて四十六の
都道府県を一年間に全部歩くということをや
つてみたわけであります。全部歩くと申しましても、先般来申しましたように、
工事の数で言いますと一〇%か一二%しか見られなか
つたわけでありますが、それで私ども思いがけなく、今まで噂などでは聞いておりましたが、具体的にはなかなか掴めなか
つたような問題が続々と出て参りました。二十六年度の
検査につきましては、
農林省も
建設省と同じ局の中で
検査をするということになりまして、二十六年度の
補助につきまして、実は初めて
農林省に対しましても全国的な
検査を実施したわけであります。やりましたのは、四十六
都道府県一応歩きましたが、何分にも四万三千も
工事がございます。それが
工事箇所数で申しますと、約六%弱でございます。金額で申します。と一三%余り、非常に僅かしかできなか
つたのでありますが、併しながら大体
補助工事は
先ほど森先生もおつしや
つたように、まあ人間の考えることでございまして、そう悪いことと言いましても、そう何十
種類もあるわけではないのでありまして、何百という悪いものの数が見つかりましたが、分類して見ると八
種類か九
種類にな
つてしまう。こういうことで、割合に事実を見るのは、まあ簡単では、ございませんが、比較的数の割合には容易に判断できるようなところも得たわけであります。
それで二十六年度には
検査報告にもございますが大体分けまして、架空の
工事とか便乗
工事とか、
先ほど特にお話がありました二重
査定、疎漏
工事、出来高の不足、設計の過大というようなものが、
建設省と同じようなものが出て来たわけであります。ところがこれは
建設省では発見しないで
農林省で発見したわけでありますが、
事業主体か正当九自己負掛をしていないというケースであります。これは噂には随分聞いておりました。
補助金の範囲内で
工事をや
つてしまう。そこで本来御承知の
通りに、
法律上なり予算の上で全額国庫
補助というものはあまりございません、原則として……。例外はございますが、三割五分は地元で
負担をしてもらわなければいかんわけであります。国が
補助するのは六割五分、こういうことに農地
関係はな
つておりますので、三割五分の
負担をしないで、六割五分の範囲内の
工事に仕上げてしまう。
工事費を値切る、こういうことの具体的な事実が続々と二十七年の後半にわか
つて来たわけであります。
請負人も三割五分承値切られますと、とてもまともな
仕事はしてくれません。値切
つた手前十分な
監督もできない。こういうことで非常に粗雑な
工事が全国に多いということがわか
つて来たわけであります。これも噂には随分聞いておりますし、ときには
補助金の範囲内で仕上げてしまうのは腕のいい
技術者だとさえ言われておるような人でありますが、ともかくもそういうようなことに具体的に細かくわか
つて来たのであります。又二十八年の
検査、二十七年度の分の
検査でありますが、これにつきましては、全国につきまして、今の果して正当な自己
負担をしてや
つたかどうかという点まで掘下げまして、
農林省関係については全部や
つたわけであります。そうしますと、驚ろくべき結果が出て来たわけであります。二十七年度の
検査報告を御覧願いますとわかりますが、これは
会計検査院で非常に固くいろいろ整理をいたしまして、
ちよつとでも疑問のあるものは皆な不問にしてしまいまして、本当に間違いのないというものを
検査報告に上げるのでありますが、十万円以上のもので千七百五十七件、こういう大きな数がわか
つたわけであります。その中で自己
負担をしていない、中には自己
負担をしないどころか、国庫
補助を余らしてしま
つたというような悪い事態もございますが、ともかくも自己
負担をまともにしていないというものが千五百十五件、千七百五十七件のうち千五百十五件というものがまともな自己
負担をしていない、こういうことが実はわか
つたのであります。これは非常に私ども驚ろいたのであります。二十七年度の
検査報告はそういうようなことで整理をしたわけであります。二十六年度は私どもとしては第一年度で、事実の確認ということも必ずしも十分ではなか
つたかと思いますが、これから二十七年度の
検査報告に挙げました
検査の結果によ
つてわかりました事実を
中心にしてお話を申上げたいと思います。
二十八年の
検査でもやはり五・八%、
工事数でいいますと五・八%、それから金額で申上げますと一三・四%、こういう僅かのものしか
検査できなか
つたのでありますが、一応四十六の
都道府県を全部お邪魔した、こういうことにはな
つておるわけであります。それで大体
先ほど申上げましたと同じような分類をいたしますと、二十七年の
検査、二十六年度の
検査が同じような分類、架空の
工事、それから便乗
工事、二重
査定、疎漏の
工事、それから設計
通りの出来高ができていない。設計が非常に過大だ、こういうようなものが
相当数上
つておるわけであります。それから今の特徴といたしましては、
事業主体が正当な自己
負担をしていない、今度は
農林省では、一体その結果、まともな
負担をしないためにどういう結果を来たしたか、又その原因がどこにあ
つたか、こういうようなことも少し突込んで見たわけであります。そういたしますと、まともな自己
負担をしていないために、
工事が非常に疎漏だ
つた。もう壊れてしま
つたものもある。壊れかか
つているものもある。
工事ができ
上つた翌年に我々が
検査に行くわけでありますが、もう壊れてしま
つた、或いは壊れかか
つているものが全国に四十二件、こういう数が出て来たわけであります。出来高が設計
通りのものにな
つていない、これは手抜がある。これは千百件、こういう大きな数が出て来たわけであります。それから設計がまずか
つた、そのために
請負人を値切
つてみたが、大体まともな
工事ができてない、こういうような設計過大、こういうものが三百二十数件、こういうような分類が一応できたわけであります。
それで
先ほど専門員からも
ちよつとそれに似た御発言がありましたが、私どもといたしましても、こういう事態をただ見付けて歩き廻わ
つていることを何年繰返しましても、これはもう百年河清を待つという言葉がございますが、その
通りでありまして、何とかこれを早く直して頂きたい。で、丁度そういうことを考えまして、原因は一体どういうところにあるだろうか、これに対してどうしたらいいだろうかというようなことを考えておりましたときに、丁度昨年の夏の大水害がありまして、それでこのまま放
つておきますと、又従来の轍を踏んで、非常に悪いものが
あとでぶつかるのじやないだろうか、こういうことで実は急いで原因、対策、こういうものをまとめまして、
当局に紹介なり或いは
会計検査院等の
規定による正式の改善意見、こういうことで昨年の夏にお出ししたわけであります。私どもとしましては昨年の水害というのは全国的に亙りまして非常に大きな金を、国の
負担が殖えたわけでありますが、これを何とか今までのような悪い結果にならないように、こういうよう
なつもりで紹介をお出しするなり、或いは今の改善意見の表示ということをや
つたわけであります。その結論的なことはこの二十七年度の
検査報告の百六十六頁にございます。
先ずここに対策として書いてございますが、先ず第一に支出
負担行為制度の整備、これは先般来もこの席上でも
専門員から詳細に御紹介があ
つたところであります。それから
査定がまずい、その
査定がまずいために架空の
工事だとか、或いは二重の
査定だとか、便乗
工事だとか、こういうものがみんな交
つて入
つてしまうわけであります。その主たる原因が机上
査定で、これを成るべく少くするというところに帰するわけであります。で、更に高率
補助の活用と
事業主体負担分を適当なときに融資をする、こういうことも対策として考えられる。それから便乗が如何にも多いのであります。
あとで
ちよつとその後の
検査の状況を申上げますが、便乗がいかさま多い。こういうようなものも
査定を厳重にすれば減るということを考えたわけであります。それから
先ほど車門員からもお話がありました
通り、
農林省関係が
建設省関係あたりに比べて特に悪いのは、
事業主休が小さいということが
一つの大きな原因のように見受けられるのであります。
建設省や
運輸省の
工事は一番小さい
事業主体が
町村でありますが、ところが
農林省は
町村というのは大きいほうでありまして、農業協同
組合であるとか、土地改良区、或いは個人の共同施工、こういうようなものが
相当に多いのでありまして、
検査報告の批難を御覧願いますと、この種の小さい
事業主体が担当したものに特に問題が多いということが言えるのであります。それから実施設計がどうも甚だ適正なものができておらん。
査定のときにはこれは非常に急ぎますもので、ざつとした設計ということになり勝ちなのでありますが、実施のときには現地に即したという点で細かい設計をしてもらわんと困るのでありますが、実施設計をや
つておることにな
つておりますが、実際は机上
査定のときの設計をそのまま実施設計に表紙だけ変えてしまう、こういうような例もあるのであります。そのためにいろいろな不当な結果を生んでいる、こういうところも実施設計を完全にや
つてもらう。それから不誠実な
事業主体、及び
請負人、こういうものに対して何らかの制裁
方法を考えるべきじやないだろうか、
補助の取消し、或いは
請負人の指名停止、すでにこの
請負人の指名停止などは県によ
つては
相当きつくや
つているところもございます。それから
査定と並んで一番大きいものは、
工事監督機構の充実、これが一番大きな原因のように思われるのであります。結局
府県なり国の
監督機構というものを充実して頂かなければいかんのじやないだろうか、これは
事業主体がまともな
工事を自発的におやりになるような時代が来ますと、
監督機構なんというものは、これは
相当現在のように貧弱なものでもいいわけでありますが、今のところやはり
監督を強化して行かない限り、どうも駄目じやないか。こういうことで、大体大きいところはそういう事項があります。それだけよくや
つて頂きますと、今の不当
工事というものは大部分が消えてしまうのじやないか、こういうふうに私どもとしては考えておるわけであります。
先ず第一が
査定でありますが、これは甚だどうも
農林省のかたのおいでの前で言いにくいことでありますが、私ども農林、建設、運輸、こういうものを同じ目で、同じ方針で
検査いたしますが、そういたしますと、実は農林が一等悪いのであります。
査定なども、建設も今まで子の席上で随分いろいろ御質問がありましたし、御批難もありましたが、それにも増して
農林省は悪い。これは率直に申上げますと、そう言わざるを得ないのであります。
あとで御紹介いたしますが、二重
査定などで随分ひどいのでありますが、同じ
農地局内で
査定していながら、例えば耕地整理と
災害復旧がダブ
つている、こういうような例もございます。それから
査定のやり方につきましても、机上
査定というものが旧態依然としておる。
建設省はこの前にもお話がございましたが、一昨年までは二割見当しか実施
査定をや
つておりません。昨年は大
災害地につきましては、緊急
査定の部分は殆んど全部現地
査定をや
つておる。そうして全国平均でもこの前御紹介がありましたように、六割五分の現地
査定をや
つておられるのであります。私どもも現在
査定の欠陥を早く直して頂くという意味で、去年の
災害のひどか
つた所を
相当馬力をかけて現在や
つておるのでありますが、今
建設省が現地
査定を非常に強化されて、これは我々がやかましく申上げたことも
一つの原因だと思いますが、ともかく
建設省は大部分の
工事は、昨年のものについては現地
査定をや
つておる、これがはつきりもう現われております。ところが
農林省は依然として従来のごとく二割以下のような状態であります。これがやはり私どもが
あとから見て廻りますと、その結果が
建設省と格段の相違がもうすでに出ております。これは二十八年度の
検査もいずれこの席上にも出るかと思いますが、一体どうして
建設省で六割五分なり何なりができるものが未だに
農林省では二割内外であろうかという点も私どももよくわからないのであります。
建設省は非常に努力をされたという点は事実でありますが、ともかくもそれが便乗
工事の防止とか設計過大の防止というような点に、私どもは若干の県を歩きましたところでは、はつきり出ております。
農林省も是非
一つ、どういう点に欠陥があるのか、これは研究を要すると思いますが、もう少し机上
査定というものを
一つ積極的に減らして頂きたい。これがはつきりと今の便乗
工事というような点にすぐに現われて参ります。
建設省の
検査結果と
農林省の
検査結果を、若し御質問がありますれば、最近の調を御紹介してもよろしいのでございますが、
農林省の最近の
検査は驚ろくべき——これは最もひどい例でありますが、或る県に対しまして百二十億の
災害復旧費の
査定をしておる。私どもが参りまして、従来一三%か、そこらしか見られなか
つたのが、四十七億というものを
検査して見たのであります。そうしますと、もう十六億ぐらい減らしておる。そういうようなことが具体的に出ております。これは十六億というのは
当局が御納得に
なつた数字であります。四十七、八億のうち十五億も十六億も減らすというようなことが、これはもう
工事の出来高は、まだ
工事ができておらんやつでありますから、結局
査定が悪か
つたという点を繰返さざるを得ないのでありまして、こういうような驚ろくべき結果が最近の
検査ではわか
つておりますが、これらのところは少し
査定の強化ということを考えて頂きたい。それから
建設省は前にも御紹介がありましたが、中央で河川局の防災課というのが僅か四十七、八人くらいの人でありますが、これで全国のをや
つております。
農林省は出先の
農地事務局、全国に六つございますが、そこの
災害復旧課というところで
査定をや
つております。全体の人数を集めますと、恐らく
建設省よりも遥かに多いのであります。こういうやり方でいながら、どうも
査定の結果を見ますと、誠にいやなことを申上げて恐縮でありますが、そういう結果にな
つておる。これは
一つ是非何とかお考え願わんといかんのじやないだろうか、こういうふうに考えております。
それから
査定の結果による不当
工事なり不当
経費というものは、非常に多いのでありますが、
査定のやり方としてこれも
建設省ではこういうことけ余り見受けませんが、非常に厖大な
査定をお付けになるという例が会度ありますが、今までも
相当顕著なものがあります。これは
検査報告に書いてございます。二十七年度の百六十七頁でありますが、ここに山口県の佐波郡の出雲村、これは二十四年災だ
つたと思いますが、七億八千万円を
一つの村につけております。これは
ちよつと御覧になると何でもないようでございましようが、これは人口五、六千の小さい村であります。それから村税の一年間の収入が五、六百万円、大体日本の農村というのはそういうのが多いのでありますが、村の一年間の税収が五、六百万円よりも以下のところに七億の
査定をつけておる。成るほど
災害も大きか
つたのです。これは事実かも知れませんが、それを私ども
検査しましたところによりますと、
相当水増しがあ
つたのであります。同じ佐波郡の八坂村、五億三千五百万円、こういうものを一体村が受けましても、とても消化できるわけはないのであります。これは七億というか、五億だというような
査定をつけますと、今までの自己
負担というものが、少くともこれは高率
補助にはなりますが、数千万円というものを
自分で
負担しなければいかんのであります。結局不正
工事ということに、
相当負担をしませんとそういうことになりますが、こういうものをつけてつけつばなしでありますが、今までもこれはやはり
災害が大きか
つた場合には、一村で四億、五億という例が必ずしもないわけじやないのであります。昨年の
災害なんかでもやはり一村で二億、三億というのが
相当ございますが、こういう場合には、自己
負担分についてもやはり
当局が何とか
一つ御斡旋願いたい。これは農林中金から融資するとか、いろんな
方法があるのでありまして、
建設省関係なんかで非常に成績のいい県もあるのでありますが、そういうところは大体資金運用部資金を早く斡旋を受けて、とにかく
工事をや
つているというところが多いのでありますが、こういう大きな
査定の結果、言い換えると、非常な
災害を受けた場合には、とても
自分のところでは何千万円というような
負担を出すことはできないのでありまして、こういう場合には
一つ査定のしつぱなしをしないで、自己
負担分の資金の斡旋ということまでお考え願
つたらどうだろうか、そうすると、いい
工事ができるのでありまして、但しそれを適当なときに、適時に現金が届くように御配慮願わなければいかん、こういうわけであります。山口県の例でありますが、八千万円ほどの自己
負担をそれをぐずぐずしておりましたために、地元では値切
つてしま
つて国庫
補助金だけで
工事をや
つてしま
つておる。そこで
工事を
請負いに出してしま
つてあとで、八千万円が届いた、とても使いようもないというので、
検査に参りましたときに、この八千万円を預金にしてしま
つてお
つたという例もございます。これはすぐに還してもら
つたわけでありますが、これら資金の斡旋ということも是非お願いしたい。同時に適時にや
つて頂かなければいかん。こういうわけで、ここに特に適時という字を書いたわけであります。こういうふうに一億以上、二億というものは幾らもある。今山口の例を挙げましたが、大阪にもございました、愛知県の幡豆郡の福地村、三和村、これなんかも大きいわけであります。これなんか非常に大きい二重
査定であります。これは
あとで御
説明申上げますが、同じ
農地局内で耕地整理と
災害復旧の二重
査定をや
つて両方で同じような
補助金をつけてしま
つておる。その結果かも知れませんが、一村で二億近い
査定がついておるというようなことでありまして、こういう点は誠にどうも私ども
検査いたしまして驚いたわけでありますが、こういう点は
一つ十分お考え願
つた上で
査定してもらわなければいろいろな問題が出て参ります。それから昨年の大水害のときにおきましても、
地方によりましてはこの二重
査定というものが非常に多いのであります。一本の河をそつくり
農林省と
建設省で
査定をつけてしま
つておる。それが四千万円以上の二重
査定というようなものが、今まで例になか
つたものが、今度は幾つか見付
つておりますが、こういう点も各省間の
連絡、殊に今申上げました愛知県の福地村、三和村は同じ
農林省内の同じ
農地局の二重
査定であります。こういう点の
連絡も十分お考え願わなければいけないと思います。
それから大体
農林省は今年は非常に数が多いので、
農地局関係と
水産庁の漁港
関係、それに
林野庁の林道この三つに分けて
検査報告に載せてあります。
先ず第一に
農地局関係であります。百六十七頁からずつとございます。これは
先ほど申上げました架空
工事、便乗
工事が一
通り農地局関係で出ております。そのうちの代表的な事例五件ほどここに文章で書いたわけであります。非常に件数が多いものですから、表にいたしまして、
あとにたくさんつけておりますが、なんぼめく
つても
農地局が出て来るというようなふうに数が多いのであります。そのうちから代表的な、
先ほど私申上げました架空とか或いは二種
査定とか、便乗とか、こういうものにつきまして
一つ一つ代表的なケースを百六十九頁以上に書いたわけであります。
先ず(1)として秋田県の例でありますが、これは架空
工事二十九万円ほど、小さいのでありますが、それ以外に設計が過大であ
つた、或いは出来高不足であ
つたとかいろんなものが混淆している例でありますが、これなんかは
相当に大きいケースであります。
最初に二十九万円の架空
工事は
災害を受けておらないのに、
災害を受けたものとして
補助金を取
つてしま
つた。それから水路の断面の設計を非常に小さいものを
作つてお
つた。結局のところ
工事費は国庫
補助金以下でや
つてしま
つて、地元は四百二十万円
負担することにな
つていたが、それもまるきり
負担しないばかりでなくて三百三十二万円
補助金を余らしてしま
つた、こういうようなケースであります。誠にどうもこういうものが
相当にあるというのはどうかと思わざるを得ないわけであります。
それからその次の(2)が愛知県の例であります。これは高潮
災害復旧と地盤沈下対策、区画整理、この三つをや
つておるわけであります。そういたしますと、さつき申上げましたように、区画整理と
災害復旧がダブ
つている。これは割合別々の設計をいたしますとダブるのでありますが、例えば区画整理で道路を作るときに泥をほかから持
つて来る。その掘
つて持
つて来るのが丁度
災害復旧で溜
つた泥、こういうことになりますが、そうしますと、そこできれいにダブ
つてしまうのであります。水路に泥が入
つてその泥を使
つて堤防の蒿上げをするとか、或いは区画整理をするというようなときに、
災害復旧のほうでは泥をほかへ捨てるというような設計をしておるわけであります。ところが耕地整理なり高潮対策では何キロも先から泥を持
つて来る、こういうような設計によ
つて別々な課へ出すわけであります。そうしますと、両方の間の
連絡がございませんから、両方ともオーケーということにな
つてしま
つて、
災害復旧の捨てる泥をそのまま耕地整理なり高潮対策の地盤の蒿上げに使
つた。これなんか二重
査定の手のこんだほうであります。同じ
農林省の同じ
農地局であるが、課が違うところでやるので、こういうことになるわけであります。こういうところを
連絡をつければ、二重
査定というようなものは少くなるわけであります。これなんかもこのために地元としては大きな
工事でありますのに、自己
負担をまともにしておらんわけであります。
それから(3)、これは京都の例でありますが、これは設計過大の例であります。
災害で河から押上げました泥をそのまま耕土として使
つておるというのがありまして、設計ではこの泥は一応捨ててしま
つて、新しい耕土を持
つて来るという設計にしてお
つたために、その村ではやはり
相当の金を余しております。千四百万円の国庫
補助金の交付を受けて、そのうち百六十九万円というものは余してしまう、
補助金以外で
仕事をしてしま
つた。こういう例もあります。
(4)は大阪の溜池の粗漏
工事でありますが、大阪、和歌山辺は非常に溜池が多いのでありますが、あの溜池は非常に私どもが見ておると危いのであります。あの溜池が決壊して大
災害を起しましたが、ああいうものが
ちよい
ちよい起きるのではないかという、ぞんざいな
工事をや
つているのが多いのであります。九十七万二千円で溜池の堤とうを復旧したのでありますが、
行つてみますと、九十七万円の設計がた
つた十七万五千円しか使
つてない。これなんか非常にひどいのでありまして、九十七万円かかるというので
補助金をもら
つた。ところが
補助金が六十三万円であります。実際には十七万五千円しか使
つてない。
ちよつくと直しただけです。これはどうかと思いまして、非常に危い、又
あとやられる虞れがありはしないか。これは
災害を受けていないのです。
災害を受けたと称してや
つたのであります。私どもは十七万円、いかにもひどいからとい
つて、いろいろ手を尽して調べたのでありますが、どうもこれ以上殖えなか
つたのであります。
それから(5)は、溜池が、一部が壊れたわけでありますが、それを直すとい
つて補助をもら
つたのでありますが、実際は壊れていなか
つた。そして堤とうを蒿上げしまして貯水量を殖やした。もう
一つ別に満足だ
つた溜池を潰してしまいまして、そこに中学校を建てた。中学校の敷地にしてしま
つた。結局
災害を受けないのに
災害を受けたとして、
二つ分に
相当する溜池を作り直したわけであります。
一つのほうは埋めてしま
つて、中学校を建てた、こういうケースであります。いろいろな便乗の中には随分ひどいのがあります。学校のプールを
農林省の
補助をもら
つて温水溜池だと称して作
つたというような例もあります。これは或る県、
二つほどの県で見まして、私どもどうも学校のプールを
農林省の
補助で作られては、これはかないませんので、全国に波及しては大変だということで、いろいろお願いして、これは波及を防いでおる、こういうような実情であります。農地
関係はそのぐらいにしておきます。これはいろいろなケースがありますが、今のようなものが代表的なものであります。
次に簡単に漁港施設を申上げます。二百五十七頁に漁港がございます。これは三件ほど顕著な、代表的なケースを挙げておきましたが、漁港を
検査して歩きまして、私ども特に感じたのは、漁港は実査が非常に多いのであります。これは本省の
事務局に任しませんで、
水産庁が直接おやりにな
つている
実地査定が非常に多いのでありますが、どうも私ども
検査して参りますと、結果が面白くない。
査定のやり方が非常にぞんざいという印象を
検査に行く者が皆受けておるようであります。従いまして漁港につきましては、
運輸省あたりに比べますと、遥かに多数のものが批難される、そして而もその中に
相当質の悪いのがあります。こういうことが全体として
検査の結果受ける印象であります。
それから二百六十七頁に林道を
中心とした山林施設を挙げております。これにも
二つほど代表的なケースを抜きまして書いてありますが、林道の
検査をしておりますとき、殊に感じるのは、便乗
工事が非常に多い。と申しますのは、林道は御承知のように
市町村道と違いまして、公共的な色彩が薄いのであります。私道に近いものであります。山林の所有者なり、
組合なりが伐
つた木を出すための道でありまして、公共的な色彩は薄い。そこで改良的な
補助はないのであります。
災害復旧だけは
補助がある、率は低いのでありますが。そういたしますと、
ちよつとした
災害を受けるのを待
つているんじやないか。
災害を受けますと、それつというわけで、一緒に改良部分を突つ込んでしま
つて査定を受ける。これも
林野庁関係の
査定は非常に
実地査定が少いのでありまして、例えば従来、今までの林道は、大体荷馬車を標準に作
つたものが多いのであります。これは
昭和の初めにできたのが多いのでありますが、現在はトラックが入らない。こういうようなものが林道には多い。それで
ちよつとした
災害がありますと、崖崩れしたり何かすると、全部道幅を拡げてしまう、こういうようなケースが割合多いのであります。私どもとしては、トラックが入らなければ困るということは確かであります。何とか
補助をこれにつけるわけには行くまいか、丁度私道に国庫
補助がないのと同じでありますから、
補助の範囲を拡げるわけには行くまいか、何とか長期資金の斡旋ということをお考えに
なつたらどうか、林道というものは一般の公道と違いまして、収益を生むものでありますから、長期資金を借りて年々収益によ
つて返して行く。ことは比較的容易なわけであります。長期資金の斡旋ということを考えたらどうかということを
当局に申しておるわけであります。
大変長くなりましたが、大体大雑把でございますが、一応
検査の結果というものを報告したわけであります。御質問がありましたらお答えいたします。