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説明員(
小峰保栄君)
只今運輸省の
当局から
会計検査院の
照会に対する解答ということを中心にいろいろ
お話があつたのであります。二十六年度は
運輸省はこの
検査報告にのりました
不正工事は五十八件であります。五万円以上のものが五十八件。それから二十七年は、今のは
工事数で申上げたわけでありますが、
工事数で申しますと百二十三件。
金額で多過
ぎたこいう補助金が四千九百九十六万円、こういうふうに殖えておるわけであります。で
ケースとしては二十六年度にありましたものは二十七年度でも殆んど全部同じようなものがの
つておるわけでありますが、それ以外に
農林省でたくさん出ておりました。二十六年度に出ましたように、
事業主体が
自己負担をしないで、
法律上当然しなければいけない
自己負担をしないで
補助金の
範囲内で
工事をや
つてし
まつた。或いは当然出すべき額だけ出していなかつた。
出し不足があつた。こういうような案件が二十七年度に新らしく出て来たのであります。今までもあつたと思うのでありますが、今まで
検査上、それが明らかにな
つていなかつたのでありますが、それが今年の百三十二
工事のうち四十八
工事というものが今のような大きな率を占めるわけであります。新らしい
ケースが二十七年度に見付か
つて来たという、こういうことが言えるわけであります。それで
検査報告にいろいろ書いてございまするが、この御
説明にありました点につきましての私
ども検査をや
つておるものの
考え方、見方というものを御参考までに申上げておくほうがいいのじやないかと思います。
先ず
査定でありますが、
運輸省は
建設省農林省と違いまして
実施査定の率は従来から多いのであります。これは何と言いましても、片方が何万という
工事を数えるわけでありまして、
運輸省は
工事の数が
お話にならんくらい少いのでありまして、数千、
検査報告に出ておりますが、大した数じやありません。二十六年度で言いますと、千九百八十台であります。ほかの省に比べますと一
県分にも当らないという
程度の数でありまして、実査の率が多いのは当然なんでありますが、
会計検査院の
実地検査の率もほかの省に比べまして大体多いのであります。大体半分近くは
現地を拝見できるということに現在な
つております。ほかは御
承知のように、前にも御
説明いたしましたように六%しかみなかつたとか、一一%しかみなか
つたというような
程度しかできないのでありますが、
運輸省の分につきましては
件数で言いますと半分くらいのものが
現地を拝見できる、こういうことにな
つておるわけであります。
運輸省でおやりになられた
実地査定も非常に多いのでありますが、これは併しながら数が多いということと、よく
現地についてお調べに
なつたかどうかということは、これは又別問題のように考えるのであります。と申しますのは、
先ほどお話がありましたように、
工事の内容が
水中に没した
部分が非常に多いのでありまして、
満潮のときに行きますとなかなかわかりにくい。私
ども検査に行きますときに、これでよくだまされることになるのであります。
満潮のときなんかに行きまして、水面に没して泥が幾らか入
つたといようなものには、なかなか
査定ができないのであります。
査定の上にも、そういう欠陥がつきまと
つているように私は思うのであります。
実地を
査定しても、そこを船で歩いてしまう、こういう問題は皆ではありませんが、中にはそういうことがあるということも耳にしております。これは
工事の
性質上、やむを得ないかと思いますが、そういうような点で実査をなさつたところが、必ずしも妥当な
設計にな
つているとは限らないということが、これは
運輸省関係の
水中工事としての
特異性に基くものだとは思いますが、そういうことがどうも言えるようであります。これは
陸上工事と
違つた一つの特徴と申しますか、そういうふうにな
つているようであります。
それから
先ほどの
検査院が
改良的な
予算或いは
防災的な
予算を殖やしたらいいじやないかというような
照会でありますが、これは但書が実はついているのであります。私
どもの
照会も
無条件で殖やせということは決して言
つていないのであります。現在の
実情は前から申しておりますように、
災害復旧に如何にも
便乗が多い。
検査報告で批難いたしましたのはよくよくのものなんであります。何分にも我々が
検査いたしますときには
工事ができてしま
つている。これは
運輸省に
相当に
事例があるのでありまして、
工事ができてし
まつた
あとで参りまして、
法律を盾にと
つて、これは
便乗だ、あれも
便乗だということで文句を言う。一応は
照会なんか出しますが、
会計検査をして正式批難いたしますと、これは全部
否認という結果にとかくなりやすいのであります。
せつかく工事ができて、
補助金も一応
政府がこれだけのものはや
つてよろしいということで、
補助金を渡して
工事ができて、その
あとで
検査院が
行つてこれは
便乗だ、
法律違反だ、こういつたようなことにな
つて全額否認というようなことがばたばた出て参りますと、これは村によ
つてはそれこそ破産してしまう、返せないというような村も
実情としては多いのでありまして、とかく私
どもこの
検査報告に載せるのに躊躇するのでありまして、
検査報告に載せるのは
便乗に関する限り、
件数はたくさん載
つておりませんが、よくよくのものだ、こういうふうに
御覧願つてもいいのでありまして、
運輸省についても数は必ずしも多くありませんが、
便乗として
検査報告に掲げておりますのは、必ずしも毎年多くないのであります。これはよくよくのものでありまして、それ以外に厳格に
法律を運用して行けば
便乗だ、若し
会計検査院が先に、
工事の着手前、
補助金を交付する前に、これを見つけていたら、
便乗だとい
つてお取消を願つたほうがいいのじやないだろうかというような
事例が非常に多いのであります。それで
便乗の数が
検査報告にたくさん出ないからとい
つてこれは少いというふうにお考え頂いては、これは実は
ちよつと事実と違
つて来るのであります。そういうような
関係でありますが、結局これは
災害復旧というものにもぐらしてしまいますと、
改良部分をもぐらして出しますと非常に
通りがいい、
災害復旧の
予算が非常に豊富なんでありますが、
先ほど出ましたように
部分改良とか
防災とかいうような
予算は非常に少いのであります。これは
正面切つて改良或いは
防災ということで申請を出しましても、なかなか承諾してもらえないというのが
実情であります。これは
運輸省に限らず、どこの省でもそうであります。それで
災害があるのを待
つている。
ちよつとした
災害があると、一緒にそれにもぐらしてしま
つて出す、
机上査定もあるというわけで、そのまま通
つてしまうというような事態が多いのであります。ところがこれは誠に変なんでありまして、
災害復旧は御
承知のように
国庫負担率が非常に高いのであります。
防災工事だとか
河川改良とかは
国庫負担率が
災害より遙かに低い、半分くらい、ものによ
つては四割とか何とかというものもあります。
災害復旧ということで出してしまいますと、
港湾につきましては、従来から
高率国庫負担の
適用がありますから、
事業主体が小さいところですと、八割九分とか九割五分だとかいうような
国庫負担率の
適用があるわけであります。こういうような高い率が
適用されて而もその中に幾分なりとも
改良的な要素がもぐ
つておるということになるならば、誠にこれはおかしいのでありまして、むしろ
予算を
災害復旧費からそちらへ組み替えて、
河川なり
防災なりの
予算に組み替えて、そうして正当な
改良工事なり或いは
防災工事なりで取扱うのが適当じやないか、こういうのを
条件付で実は申上げておるのであります。
無条件で国の
予算が殖えるようなことを申上げておるのではないのでありまして、
災害復旧費から仮に千万円組み替えますと、
災害復旧だと千万円の
工事なり、或いは千五百万円くらいの
工事しかできませんが、
防災なり
改良ということになりますと、これは二千万円くらいの
工事ができるのでありまして、
国庫負担率の減る
関係で、そういうことになるのでありますが、そういうことになすつたほうがいいじやないかという、こういうことを
照会したわけであります。私
どもといたしましては、
無条件で
予算が殖えるというようなことを決してお薦めしておるわけではないわけであります。
それから
町村等の小
事業主体の
工事について
府県の
委託を心掛けてはどうかということも
照会いたしたのでありますが、これはほかのものは、
港湾関係については聞いておりませんが、
土木の
仕事道路とか
河川というものにつきまして、
府県で
委託を受けて非常ないい
成績を挙げておるということは、この席上でたしか、前回でしたか前々回で申上げましたが、
港湾工事もやはり
河川とか
道路と同じように
府県の
土木部がや
つて監督する、それで
土木部の陣容如何という
お話が先ほでありましたけれ
ども、これは誠に
同感でありまして、
委託を受けるということになりますと、
土木部の陣容ということがものを言うのであります。大
部分の
府県はなかなか
府県営でさえせいいつぱい、
先ほどお話がありましたが、
府県が直接やる
工事さえせいいつぱいのところへ、末端、
下部団体のやる
工事まで、とても
委託ができないということが言える県もあると思うのでありますが、併し国会がそうおきめにな
つてし
まつたわけでありますし、駄目なんでありますが、現にどこかの県が、
土木部で
町村工事の
委託を受けて好
成績を挙げておるところもあるのでありますが、そうしてその県はそう大して大きな県ではありませんが、
相当、而も
港湾工事が多い県でありますが。そういうことをや
つておる。ですから
土木プロパーの
仕事が受けられるならば、
港湾についても
委託が受けられるのではないか、こういうことも考えられるわけでありまして、一概に
府県の能力がそれを受けるのに不十分だと、こうきめてかかるのはどうかと思うのでありまして、成るべくそういう方向にお向けになるようなことが望ましいのじやないだろうか、こう私
どもとしては考えておるわけであります。それで
先ほども話がありましたが、
第一線の
土木出張所の職員が手不足というようなことを仰せにな
つておりますが、これはそうどこでもあり余
つておるところはないのでありますが、
只今も申上げましたように、大体
港湾工事は
府県の
土木部の
河港課が
—港湾課というものを特に持
つておるのは少いのでありますけれ
ども、
河港課でや
つておるわけであります。名前の
通り川と港を扱
つておる課が川のほかに港の
工事をやりまして、
建設省関係の
工事と
運輸省関係の
工事と
両方や
つておるところが一番多いのであります。こういうところで、まあ
土木と同じ
程度にはや
つておるわけではありますが、どうも
港湾というと、そういうと甚だあれですが、とかく突つ掛けものとでも申しますか、河とか、そういうようなほうに力を注ぎ勝ちというような傾向は、これはなきにしもあらずということは申上げられると思います。
それから
成功認定が非常に遅いということは、これは
建設省あたりに比べますとまだ大分ましでありまして、二十五年度にともかく手を付けられておるのであります。
建設省はこの前も話がありましたが、二十一年とか二十二年とか言
つておるような
状態でありますから、その点については別に申上げることはありません。