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1954-02-18 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十八日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            長谷山行毅君            飯島連次郎君            大倉 精一君            岡  三郎君            東   隆君            山田 節男君            平林 太一君   政府委員    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君   説明員    建設省河川局次    長       植田 俊雄君    建設省河川局防    災課長     浅村  廉君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (補助金関係批難事項に関する件) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今から決算審査に関する小委員会を開きます。本日は、補助金関係批難事項のうち、建設省、農林省及び運輸省関係のものについて、前回に引続いて御検討を願いたいと存じておりますが、先ず最初前回専門員室で印刷して御配布いたしてありますところの書類にいろいろの問題点が記されおりますからして、それを中心にして先ず建設省当局からお考えのほどをお伺いしたいと思います。第四ページの一番しまいのところから五ページの始めのところにかけまして、不当事項、不当事実の発生原因及び防止対策というようなことについて、次々とお話を願いたいと思います。先ず第一番に、植田河川局次長
  3. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 災害復旧工事につきましては、どの年度を問わず、いろいろ不在、不当の事件が出て参りまして、決算委員会にいろいろ御迷惑をかけておりますことを、誠に相済まなく思う次第でございます。災害は御承知の通り年々のように起りまして、而も一挙に参りますので、先ず被害事実の認定をいたしますところの査定というものを極めて短時日にいたさなければ相成りません。又査定を受けますためには、その施設管理主体でありますところの府県でありますとか、市町村が、これ又短時日の間に準備書類を作らなければならない。而も各年度の情勢でございますが、査定金額を早くきめまして、それに対する予算措置を早くつけなければ、全体として、又地元としても収まりがつかない、こういうふうな関係で、急がざるを得ない。従いまして、その間にどうしても間違いの入る余地があるということも、これも否めない事実であろうと存ずるのであります。なお災害復旧工事につきましては、只今のような経過を経まして決定いたしました査定工事内容なり、工事金額というものが、これがその年度ですぐに解決いたしますれば、これ又割合に不正不当事実の介在する余地が少いのでございますが、国庫補助予算額都合がございまして、建前といたしましては三年で竣工することにいたしておりますけれども、それが延び延びになりがちでございます。その上に、その被害地点に全然被害がなくて、そのままの姿で工事ができるならばともかくでございますが、その途中におきまして又災害が起りまして、形が変つて来る、従いまして工事やり方を変えなければならんということになるわけでございます。勿論そういう場合におきましては、計画変更手続を認めておるわけでございます。又、私どももそれが不当でない限りは計画変更承認を与えておるわけでございますが、地元といたしましてはそういつた手続に慣れませんから、又煩瑣と考えましてか、そういうことをいたさないままにやつてしまう場合があるわけでございます。こういつた事情。及びもう一つ、これは本質的な問題はございませんけれども何分にも全国に数万カ所もあります災害箇所でございますので、本省といたしましては、査定に続きまして、中間検査成功認定等をいたすことにいたしまして、力の許す限りにおいてはやつておりますが、それも必ずしも十分に手が廻りかねることは実情であろうかと思いますが、一方、中間にありますところの府県というものが、府県が必ずしも市町村工事については完全な責任体制にあるとは言えない。これは、完全にと申すのは、監督を依頼しておりますけれども予算の面から申しますと、国から直接に市町村補助するという体制になつております。これは専門員室でお出しになりましたこれにも明らかでございますが、曽つては一度国庫から府県補助をいたしまして、府県から市町村補助する。時によりまして、若干の足し分を府県がいたしまして市町村補助する。従つて県といたしましては、市町村工事については財政上の関心を持ち得たわけでございますが、現在のところはそういう途もないので、査定をいたしますのは国でございまして、その金額を、中間で県の職員が、会計上、支出官なり支出行為担当官になつて介在するだけ、それからその間に県の土木部職員市町村工事について監督を国から依頼されてやつているに過ぎない。こういう形式的な問題になるわけでございます。只今申しましたところは極めて形式的な問題でございまして、それでは県といたしましてはそれほど市町村工事に対しましては水臭い処置をいたしておるかというと、決してこれはそうじやございません。県知事としましては、県下の市町村工事につきまして、これが早く災害復旧ができますこと、及びこれがいい工事ができますことについては、十分の関心を示してくれておるわけでございますが、何分にも建前がそういうふうなことでございますので、場合によつては、これが、県としては、地方に対する責任逃れの言葉にもなる場合があろうかと考えるのでございます。なお災害復旧工事そのもの従つて法律の改正という問題ばかりではなくて、全般的の問題を申上げますれば、これは地方団体財政の窮迫というふうな理由も挙げられるかと思うのでございます。私どもとしましては、地方財政の欠乏ということの理由を以ちまして、ここに批難事項に挙げられたと思いますようなことの弁解として、逃げ口上いたす考えは毛頭ございません。この問題はこの問題でと、別個に検討せらるべき問題でございまして、私は、現在の災害復旧に対する国庫予算配賦状況、及び府県監督状況、その他の線におきまして、改善いたす面が多々あろうかと思うわけでございます。この点につきましては、委員の皆様の御指導を得まして、いい案がございますれば、それを実行いたすにやぶさかではないと思つておる次第であります。一応簡単に御説明申上げます。
  4. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではちよつと速記をとめて。    午前十時四十九分速記中止    午前十一時十五分速記開始
  5. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは速記を起して下さい。  どなたか御質問がございますればどうぞ……。
  6. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは防災課長にお尋ねしたほうがいいのかと思いますが、いつも問題になる災害復旧進捗率ですね、これが過年度災害が未だかなり残つておる状態ですが、これが進捗しない一番大きな理由というのはどこにあるのですか。例えば二十四年災がまだ残つておりましたね。二十四、二十五、二十六、二十七、二十八は勿論ですが、そいつは予算が足りないということもありましようが、そのほかにも理由があると思いますが、その理由ですね、幾つあつて、どういう重さになつているか……。
  7. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 只今はまあ二十七年以前の古い災害過年度災と申しておりますが、過年度災復旧事業の残額が二十八年度までで約七百億ぐらいあります。国の負担金に換算いたしますると、五百億円程度に相成るかと思いますが、これがなぜ今まで残つておるかという問題でございます。これはまあいろいろ理由もあろうかと思いますが、私どもとしては、やはりこの予算をつけてもらえないということが一番大きい原因じやないか、私は、はつきりそう思つております。例の三・五・二というような災害復旧一つの線が前々から出ておりまして、そうして決してその通りつていないということが、このようなことになつて来ておるのじやないかと思われますけれども、なかなか災害も毎年々々大きなものがございますし、二十七年度災害は幸いに非常に少なかつたために、やや三・五・二は軌道に乗るかと糠喜びをしたわけでございましたが、二十八年度にごそつと大きな災害が又起りまして、遂にこれも一つの目標にとどまつて、実施困難というような状況に現在なつたのは、非常に遺憾でありますが、そういう古い災害が現在残つております。そこで、これに対してどうするかということをいろいろ考えおるのでありますが、勿論この中には不当なものも監察の結果出て参つておりますし、それからまあ河床が変化したとか、道路状況が変つたというような関係で、もう復旧工事は要らなくなつた。早く復旧をやつておれば、それだけのものは当然注ぎ込まれておかしくもなかつたのでありますが、長らく放置してあつたために状況変つて、河の流れ等変つて、その復旧工事は要らなくなつたというものも含まれております。かようなものを整理いたしまして、果して結果的にどのくらいのものになるかということは、実はまだ結論を得ておりませんが、整理した上で、その再度の災害防止という面から重点的に見直しまして金をつけて行けば、恐らく非常に過年度災というものは進捗して来るのじやないかというふうに考えております。この整理するということは、法規的にいいますと非常に問題でありまして、一度査定をして負担として義務の生じておるものを、簡単に国が変えるということは法規的に私は不可能だと思つておりますけれども、実は私のほうでも監察官制度がございまして、私ども監察官が、曽つて過年度災害の、而も机上査定査定をしたものを調べましたところが、極く僅かなものを対象にとつたのではございますが、約一七%程度は金を切つてもいいと、給論的にみずからそういう結論を得ておりますので、去年の暮も全国土木部長を集めましてそのような事情説明いたしまして、みずから県が申し出て、不要不急、まあ不要のものはこの際遠慮してもらいたいということを申渡しましたところが、県当局においても、災害にはもうむしろ疲れておるのでありまして、そういうようなことは是非協力して行きたいということで、土木部長のほうから、と申しますよりは、県の知事から大体このくらいのものは遠慮したいと只今申して来ておりますものが、全国的に約一二%だつたと思いますが、それくらいの数字になつております。とにかくいずれにしても、その中に一部整理可能のものがあるということは明らかなことでありますから、この際、只今申上げたような措置を構じて解決を促進して行きたい。なお大蔵省も非常にこの点は関心を持つておりまして、来年度過年度災の再査定をする旅費相当建設省に計上してくれております。必ずこの点は相当に面目を一新して参るものと只今考えております。
  8. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 机上査定を再査定すると一割七分減つたり、或いは又、現地から一割二分も遠慮して来ておるというような状況でありますが、結局限られた予算で、災害復旧等がきまつても、帰するところは査定にかかつて来るというわけですね、その適否を判定するのは。
  9. 浅村廉

    説明員浅村廉君) その通りでありまして、その意味から、私どもは、非常に残念ではありますけれども、というのは、余りに非科学的な方法のように思いますけれども、かような土木関係のこういう性格の事業というものは、実際に実地に行つて調べなければだめであると結論を得ましたので、何としても、この実地検査を行うその場合に、実地検査ができないで残つたものは、あとからでも必ず追つかけて目で見るという方針を確立して、二十八年の災害からはそういう意味で改めてスタートしておるわけであります。
  10. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この問題は二十八年度災が起つてからやかましい世論の下にそういうふうな方針に変えられたわけですか。机上査定に関する批難は、会計検査院の報告に徴しても、これは去年初めて起つた問題ではなくして、これはずつと引続き前からの問題で、それに対しては特に建設省ではこれが対策について考えられたことはなかつたのですか。
  11. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 二十八年度と申しましたのは少し強くなり過ぎたかもしれませんが、勿論、机上査定が悪いということはかねがね御指摘を受けておりますので、これはできるだけ実地実地ということで、その気構えで我々はやつてつたわけであります。併しまあいろいろな都合がありまして、例えば一日にそんなに多くの箇所は見れんじやないかといういろいろな問題がございますし、それからいろいろ実際にこの仕事をやつております防災課職員のいろいろな実態と申しますか、健康状態とかいうよう問題もございましたので、従来そう十分に成果が挙らずにおつたわけでありますが、二十八年度からは特にその点をもう少し強化してやる方法はないかというようなことから、少し無理を強いてその実地検査を励行するということに邁進をしておるようなわけであります。
  12. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 不当事実発生の一番有力な原因としては、机上査定であるということは、恐らく万人の認めるところだと思います。結局今度の批難事項等を拝見しても、ポイントはここに帰すると思うわけですが、さつきの御説明によると、昭和二十八年に三割机上査定が残つておる。これを今見直し中である。それによつて又一割五分くらい減るという予想なんです。こういうことですから、査定を一度やつて、又更にこいつをやり直す、こういうことによつて減額されるという経費というものは、昭和二十八年度災については、金額件数というのはどのくらいになりますか。
  13. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 二十八年の災害につきましての私どもで頂きました旅費は百四万円でございます。少し端数がつきますけれども、それで対象になります件数は大体七万件程度でございます。この災害が起りますと、実は私どもは率直に言わして頂きますならば、少しゆつくり査定さして頂きたいと思つておるのであります。何分にも災害直後は非常に現地事情も荒れておりまして、人心等も荒れておりますし、それから実際国土の実情も荒れておりますので、できれば災害発生後二カ月なり三カ月なり間を置いてから査定に出したいのでありますけれども、遺憾ながら只今さようなことがなかなか許されませんので、災害が起るとすぐに数日後に、査定はまだかまだかという声が起つて参ります。私どもはその点を勘案いたしまして、余りお叱りを受けない程度にはゆとりを見て査定に出しておるのでありますが、やはりいろいろな関係で、全部その際に実査をして参るということができない場合が多いのであります。というのは、この旅費等も、只今百四万円と申上げましたのも最初から持つておる旅費ではありませんので、やはり予備費から逐次頂戴して参るのでありまして、現在持つております旅費と相談の上で仕事をやつて、そうして足りない場合にはまあ予備費から頂いて、改めてプランを立ててやるというようなことにこれは勢いならざるを得ないというような関係もありますので、最初から全部片つ端から実地検査をして、一つ机上を残さずに、一年済んだら全部実地が片ずいたというわけには行きません。一回出て一部机上でやつておりまして、そうしてあと旅費を頂いてそれをやるというようなことは、これは止むを得ずやつておるわけであります。
  14. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 七万件というのは全額にするとどのくらいになりますか。
  15. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 只今申上げましたような事情で若干変ると思いますけれども事業費にいたしまして千百二十七億円と言つております。それからそれを国庫負担金に換算いたしまして千十一億円という数字を私ども只今記憶いたしておりますが、併しこれは机上分を若干見直しまして減る面もございますけれども、別に殖える面もあります。というのは、昨年の十一月一日に職種別賃金値上りになりました。労働省の告示によつて値上りになりまして、約一割五分程度つたのじやないかと思います。さようなわけで、設計を改めて再検討いたまして、値上り分をどうしてもプラスしなければならんという問題がございますが、現在その作業が全部完結いたしておりません。予算折衝の他のいろいろな問題もございますので、私どもは大体腹で線を引きまして千百二十七億、負担金で千十一億というところに只今整理をいたしておるわけであります。
  16. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はこういうことを知りたいのですが、つまり年度別査定に直接参加した人員の、つまり査定件数とそれからその金額ですね。これが二十八年度、八年度は完了しませんが、七年度、六年度、五年度、遡つてできれば過去三年くらいの資料を、今すぐはないでしようから、できたら一つ調べて、次回でも結構ですから…。
  17. 浅村廉

    説明員浅村廉君) それは只今すぐにはできませんが、調べまして、まあ古いものになりますと、いろいろほうぼうの応援を求めまして、まあ防災課だけでなくほうぼうから人を繰り出してやつておるような例がありますから、いろいろ調べますのに相当時間がかかると思います。
  18. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の百四万円という旅費は、これは何ですか、さつきの四十名の防止災課人員に対する旅費ですか。
  19. 浅村廉

    説明員浅村廉君) これは実際査定に従事した者の旅費でございますから、防災課で手不足の場合には、例えば道路局或いは地方建設局というような方面からの応援を求めまして、それらに対する旅費等はすべてこれから賄つております。
  20. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう一つ伺いたいのは、さつきの話の昭和二十九年度予算に対して、査定に必要な人員百名を要求されたというお話ですね。そうすると、この百名があれば、大体今まで指摘されておるような査定めぐつての、つまり不正不当等はほぼ完全に予防できるという見込ですか。
  21. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 只今申上げましたのは六十名要求して、まあ只今四十名持つておりますから、合計して百名になるということを申上げたのでありますが、仮に六十名全部頂きましたならば、全部の不正不当事項を一掃できるかということでお尋ねを受けておるわけでございますが、六十名全部仮にもらつたとすれば、もう机上査定ということは全然あとを絶つわけであります。而も査定のために病気になつたというようないまわしい事例も一掃できる。一日に三十件、四十件の個所をめぐり歩いて夜なお徹夜でやるというような、そういう馬鹿々々しい仕事やり方ではなくて、落ち着いて立派な仕事ができるということは、これは、はつきり申上げられます。ただ問題は市町村工事に対していろいろまあ不当な事項指摘されております。これに対するいろいろ監督の問題あるとか、その他いろいろございますが、やはり現行制度でこのまま行つた場合に、果たして災害のそういういろいろな事例が根絶できるかどうかということは、正直なところ私も断言いたしかねます。ただ机上査定を一掃いたしまして、机上査定であつたが故に批難を受けたという事例は、完全に一掃できる自信を持つて折衝したわけでございます。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、次には、主として市町村工事の場合ですが、これには知事監督権限が与えられておるようですが、これが不徹底なために結局こういういろいろな不正不当が起つて来ておるわけですが、さつき説明を聞いて見ても、どうしたらこれが根絶できるかということについて明確に我々も納得が得られなかつたのですが、経験のある建設省のお立場からは、これが対策としてはどういうことが一番適切ですか。
  23. 浅村廉

    説明員浅村廉君) この点は、これはいろいろ現在の公共土木施設災害復旧制度に対しての議論がございますので、私の私見はちよつと申上げかねますが、まあ余り細かくに亘つての私の私見を申上げかねますが、結局、町村をじかに国が監督をして行くということは、いろいろな意味でやはり支障があるのじやないか。やはりその間に、府県という、府県知事というものが介在して、これに対して監督権を縦横に行使して参つて、国が間接立場にあるということのほうがいいのではないか。昔はそうであつたように私は聞いておりますが、どうもそのほうがいいのではないかという気持を持つております。ただ現行法におきましても、この予算のほうは、まあ直接補助で、国から直接市町村に流れるような形になつておりますが、例えば工事施行とかその他いろいろの点については、知事市町村に対する監督権というものは、はつきりして、やつておるのであります。而もこれが励行されていないということは、先ほど申上げましたように、府県に対しての、府県における人員が足りないとか或いは事務費が足りないとか、いろいろなことを申して来ておるのであります。事務費の点を申上げますと、市町村監督事務費としては、只今市町村工事に対する百分の二であつたかと思いますが、事務費として府県に交付しておるのでありますが、それが非常に不足であるというようなことを言つて来ております。併しこの事務費が足りないとか足りるというような問題は、これは軽々に判断すべき問題ではございませんので、よほど実態を調べまして、その上でなければ、私どもとしては如何ともいたしがたいということで、そのようなことをまあ研究はすると申しておりますが、まだ具体的な段階には参つておりません。現行の百分の二の率で金を渡しております補助金の直接の補助の行き方を、或いは間接補助へ切換えて、そしてすべて町村に対しては当面は県知事が矢面に立つといつたような形で行つたほうが、或いはいいのじやないかというふうに私は考えておりますけれども、併しこれはまあいろいろ議論が出ておる問題でありますので、私の考え方が正しいかどうか、実は余り自信は持つておりません。
  24. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 市町村工事については、施行法の第十二条ですかの規定に、よつて知事から申請があつたときに主務大臣が正当に承認を与える、こういうことになつておりますが、建設省のほうでは、人員が若干増したからこの関係は従来よりも非常に進捗するというさつきの御説明でしたが、県以下の段階は依然として従来のままですから、若しこの市町村工事に関して、監督なり或いは検収なり、成功認定等が若し遅れるとすればその大部分の理由というのは、さつきの県以下の知事権限に属する監督或いは地方自治体の事業遂行上の能力が欠けておるというところに帰着するわけですか。
  25. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 公共団体の内部の人員のやりくりの問題は、これは公共団体の長である知事権限に属しますので、私どもで直接は何ともいたしかねる問題でありますが、まあいろいろな結局災害復旧というものに対しての認識が改まらない限りは、問題はやはり解決されないのじやないか。いろいろ御指摘もありましたように、何かこの災害復旧費というものはもらうほうが得だというような考え方が従来あつたというのではないかというようなことが、ちよいちよい言われておりますが、そういうふうな公共団体における考え方というものがやはり改まらない限り、これは結局むずかしい問題がいつまでも残るのじやないかというふうに思います。公共団体は私の直接所管ではございませんが、財政的に非常に昨今は逼迫しておるような状況でありまして、何か財政上の問題と合せて或る程度考えてもらいませんと、災害復旧の面からだけ、或いはこの公共事業費公共土木施設災害復旧事業費国庫負担というような面からだけ考えましても、なかなかこの根の深い問題は解決がむずかしいのじやないか。結局、公共団体財政問題という問題が相当に改善されまして、そうして、こういう面倒な手続でいろいろ縛られてまで何する金をただむやみに獲得に狂奔するというようなことがなくなるような気分が、公共団体一つは出て欲しいというふうに私は考えております。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 二重査定とそれから架空工事、これの件数が二十七年度ではどのくらいありますか。
  27. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 只今の御質問は二十七年度でございますか。二十七年度のものは資料を持つておりませんので。
  28. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 では二十六年度でも……。
  29. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 会計検査院で見付けまして、検査報告に載せましたものが、十万円以上を申上げますと、架空工事が四件であります。二重査定が三件であります。個別の批難は、このうちの二十万円以上を出しておりますもので一件々々載せてありますものは、架空工事で三件、二重査定金額が小さいので三件のうち個別には一つも載つておりません。十万以上で申上げますと、最初に申しました数になります。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 さつきの制裁の問題ですが、批難をされて事業主体から還付した例が幾つありますか。
  31. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 二十六年度の決算報告において、会計検査院から御指摘を受けておるものにつきましてはいろいろございまして、手直しをさせることにいたしておりますもの、或いは取り過ぎの負担金を還付させるべきもの等々いろいろ言いますが、負担金を還付させなければならんものは、只今まだ国庫に還付させたというものは殆んどございませんが、これはここで御指摘になりましたものについて還付させるということに決定した以上は、直ちに還付させるという運びにいたすわけでございます。還付させるということで会計検査院お話をつけておりますものは相当にこの中にございます。これはもういろいろ只今その事務の準備をいたしておりまして、間もなくその手続が終るものと思つております。
  32. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今二十六年度については還付させた実例がないというお話ですが、今まで一件もないのですか、現実に行なつたのは……。この前でも、二十六年度でなくても。
  33. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 只今詳しい資料を持つて参りませんでしたが、例えば昭和二十五年度の決算について六百六十六件還付しなければならんというような事案が出ておりまして、これは殆んど還付を済ませております。少しズレておりますけれども、これはやかましく申しおりまして、どんどんこれは国のほうに還付させております。
  34. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 この還付させるにはどういうふうな調べをして、どういう手続でやることになりますか。還付を決定するまでの手続は……。
  35. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 実際の手続は、これは会計検査院から御指摘がありますと、会計検査院と必ず相談申上げます。いろいろ私ども考え方も聞いて頂きまして、査定官の意見等も聞いて頂きました上で、いよいよ御指摘通りであるということになりますれば、私のほうで直ちに県に対して、建設大臣から、これは所定の手続がございますので、それによつて国庫に還付を命ずるわけでございます。
  36. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 一応、県を通して事業団体に行きますか。県知事を通して事業団体に行くのですか。直接事業主体にあなたの建設大臣から行くのですか。
  37. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 私ども事業主体に対して直接はいたしません。これは責任者であります公共団体の長に対してやるのであります。
  38. 岡三郎

    ○岡三郎君 小峰局長にちよつと伺いますが、各省の不当事項なり或いはその他の事件について、まあ終戦以来の一応の傾向があると思います。それに対して建設省関係は、最近においては相当改善されたように聞いておる。大体会計検査院で当つたいわゆる感じというと非科学的のようでありますが、そういつた点についての所感をちよつとお伺いしたいと思います。
  39. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 建設省関係の経理が終戦後どのように変つて来たか、如何に改善されたか、こういう御質問のように聞きました。大体、建設省関係の経費は大づかみに分けて二通りに分けられると思うのであります。先ず第一は、ここに現在問題になつております補助関係公共事業費であります。それから第二と申しますか、これは建設省が直接にお扱いになる公共事業費であります。これは大きな河とか、道路とか、砂防とか、そういうようなところに、いわゆる直轄河川とかという名前で、例えば利根川とか江戸川とか、こういうところで建設省が出先を直接的にお持ちになつて自分でお扱いになる。これがなかなか大きいのであります。二つに分けて考えますと、順序としまして最初に直轄を申上げまするが、これは終戦後に大分経理が乱れまして、それで、いわゆる幽霊人夫と申しますか、幽霊人夫やカラ材料を使つてどんどん予算を現金化する、それこそ手づかみで持つてつて、右から左に工事費に廻したり、ときには予算超過のオーバー・タイム、超過勤務手当に廻したり、一部を接待費に廻す、こういうことで、経理が数年前に相当に問題になりまして、国会でも強くお取上げになりまして、昨年この小委員会でも架空経理ということを特にお取上げになつたわけであります。これが二十五年度頃、検査院でもこれは大変なことだということで、全国的にこういう面を見つけることに全力を挙げたわけであります。二十五年度に非常に大きな取引が、四億何千万円というような取引が検査の結果見付かつたわけでありまして、強く建設省当局にも改善を要望しまして、これが契機となつて、先ほどお話が出ました建設省でも監察官をお作りになつたのであります。この面では改善にお互いに一生懸命にやつたわけであります。第一線にも、そういう傾向は非常によろしくない、国民の税金を使うのにそういう手続違反をやらんでもいい、そういうことを要望しまして、これは大体一年半くらいかかりまして、現在では全国的な傾向としての架空経理というものは一掃されております。勿論まあときどき突発的な事故としては、これは或いは将来もあるかも知れません、終戦後、二十二年頃からひどかつたようでありますが、そういうような、全国的に当り前だというような違法な経理をやつておるという傾向は一掃されたのであります。この直轄の経理では、もうすでに私どもとして今申上げたようなことをはつきりと申上げる段階に来ているのでありまして、これは非常にお互いに喜ばしいことなのであります。補助は、実は会計検査院でも、これを直接に、全国的に手を着け出したというのは、比較的遅いのであります。昭和二十五年度に、御承知と思いますが、災害復旧が非常に地方負担になりまして、地方相当負担をするのはやり切れない、こういうようなことがございまして、二十五年が、この一年金額国庫負担なつた年があるのであります。全額を国が負担して、災害復旧公共団体にやつてもらう、こういう年があつたのであります。そのときに、私どもとしては、全額国庫負担の法律の解釈運用の上でいろいろな疑義がございまして、二十六年度の検査報告に載つておりますが、例えば原形超過工事を原形復旧として扱つたというのが二十五年度、二十六年度の検査報告にたくさん載つておるのでありますが、これなども全額国庫負担について、原形復旧は全額国庫負担、原形超過部分は一部を地元に持つてもらう、こういうような区別が法律上出て参りまして、原形とは何ぞや、或いは原形超過とはどういうものであるか、更にその程度を超えた便乗とはどういうものか、そういうような事案について判断する必要に迫られたわけであります。これをやりませんと非常に不公平になつて、ずるい者がうまい書類を作りまして、原形復旧だと言つて全額国庫負担で便乗工事をやる、こういうような結果も出て参りますので、二十五年度に初めて、非常に微力ではあつたのでありますが、四十六都道府県全部見よう、こういうことをやつてみたのであります。そうしますと、今の特別法律の運用以外の問題が一緒にぞろぞろと出て来たわけであります。これではいかんというので、その法律は二十六年度に改正になり、二十七年度からはすつかり法律が変つたわけであります。引続き、全国的に、非常に薄いのではありますが、ともかくも四十六都道府県というものを目標に全国を歩こう、こういうことで引続きやつておるわけであります。実際に検査しますのは一〇%とか一〇何%とか、誠に貧弱なんではありますが、ともかくもここで初めて傾向としての国庫補助経理の実態、いわばよく言われておりますが、氷山の頭を掴んだということが、二、三年かかつてこういうことが申上げられると思うのであります。幾つか、何百というものが検査の結果挙つておりますが、これを分類いたしますと、大体まあ前回申上げましたように、人間の智慧で気が付くことでありますから、そう奇想天外なものもないということがわかつたわけでありまして、大体八種類くらいに分類できるわけであります。それを検査報告に掲げて御報告申上げた次第でありまして、国庫補助は、終戦後からいろいろな噂を聞いておりましたが、私どもとして、実態を、まあ氷山の頭にもせよ、ともかくも実態を掴んだのは、実は昭和二十五年度からのことでありまして、これを先ほど申上げました地建の直轄経理の架空経理と同じように、早く何とかきれいなものにしたい、こういうことで、私どもつておるわけであります。
  40. 岡三郎

    ○岡三郎君 この小委員会も、今、小峰局長が言つた趣旨に応じて大局的に補助金関係の経理をまあここで一応調べております。今、建設省のほうでいろいろと言われた中において、まあ制裁の問題なり、或いはこれを直接に監督をしたり、或いは間接にやつたり、これはいずれがいいかというような意見があつたのでありますが、結局災害関係というものは土建屋の領分に属すると言つてもいいわけであります。土建屋と政治、土建屋と官庁関係のコネクシヨン、非常に終戦以来太いものが私はあるのじやないかというふうに考えるわけです。特にこれは農林関係で言わせると、政党の内部において、相当徒党を組んで、かなり強引にやつた方々が大臣になつた場合においてなかなかずぶとい事件相当つているというふうにも我々は一応検討しているわけです。そういう点で、まあ人を殖やして調査する、それから旅費を取る、確かにこれは問題の焦点を浄化して行く一つの方便であるかとも思うけれども、根本的には対人関係ではないかというふうに私は思う点が相当あるわけであります。泥棒をつかまえてみれば我が子なり。なかなかその点むずかしい点があるのじやないかというふうにも思うわけであります。そこで制裁という問題について、補助金関係の交付をする場合に、負担金をそのあとにおいて手加減する、こういうような点について、今、課長から話があつたのでありますが、具体的にそういう例について一、二聴取したいと思うのだが、お答え願いたいと思います。
  41. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 具体的にという事例は、只今ちよつとここに持ち合わせておりませんが、私が申上げましたのは、例えば私のほうで、災害復旧予算、それから海岸関係のいろいろな仕事予算というようなものをいろいろ扱つておりますので、このような予算を配賦いたします場合に、単に、事業が幾ら残つているとか事業はどの程度の幅であるということでなくて、その公共団体の成績というものを算盤に置いて金を配賦すべきであるという考え方から、従来のいろいろなデータをとりましてそれで、さような場合に当つては、そういうものを考慮に入れて行くようにだんだん考えておるということを申上げましたが、いろいろな具体的な事例というのはちよつと只今つておりません。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 現在のような制裁制度相当効果は上ると自分は思う、こういうお答えがあつたわけですね。だから、そういう点について、具体的にこういうふうにやつたから、こういうふうにそういつた事件が或る程度まで抑えられたというふうな点が……、ボヤツとしていて、ただそういう制度行つたから、それでよくなるだろう、こんなようなことでは私はまだ確認ができないと思う。問題は、やはり幾つかの問題があるけれども、キチツとした制裁制度というものはやはりあるけれども、抜本的には、その事柄について干渉はできないとしても、事後においてやはり慎重に、そういう設計なりその他の問題について建設省の手数を煩わせることが少くなる方法を、当局としては進めなければならぬと私は思う。そういう点で制裁ということも相当考えてみて行かなければならぬのじやないか、という問題がこの前の小委員会にも相当出て来たと思う。そういう点で、折角そういうふうな構想に立つならば、いわゆるそういつたものにおいて実績が上るようにやはりやつてもらいたいし、そのような具体例があつたならば、そのようなことを我々のほうにもやはり知らしてもらいたいと思うわけだが、そういう点で、今直接にそういう資料がないというならば、あえてここでどうこう言いませんけれども、そういうように一つ真劔にやつてもらわなければ困るというふうに考えます。  それから間接補助の問題ですが、都道府県を経由してやつたほうがよろしいと、こういうふうな点についてまあいろいろと言われたと思うのですが、都道府県を経由して、いわゆる都道府県市町村監督させるというふうな方式というものを過去にやつたことがあるのでしようか。
  43. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 過去におきましては、この災害復旧事業に対する補助金は県径由で補助いたしておりまして、最近のようになりましたのは、シヤウプ勧告時代におきまして、先ほど小峰局長からお話がありました災害復旧全額国庫負担と、ああいう状態になりました際に、而も国と府県市町村というものはそれぞれ別個の人格だということを強調された時代に、そういう制度なつたわけでございます。従いまして、先ほど県知事市町村に対する監督のところにおきましても、整理という非常に漠然たる言葉を使つております。実は私、当時会計課長で、若干この法律のできます準備には関係いたしたのでございますが、やはり監督と書いてはあの当時としてはいけなかつたのであります。整理という言葉でぼかしたのではないかという記憶を只今つております。併し、それではシヤウプ勧告時代にできました現在の法律が間違つてつて、それで間接補助のほうがいいのかどうかということになりますと、それは研究の問題ではございますけれども間接補助ができたからこの災害復旧の不正不当工事に対する監督が一段と強化できるがどうかということについては、これは十分研究いたさなければならん問題で、それができればすべてが解決できる問題でもございませんし、又間接補助にいたしますと、理論的には、又、県と市町村との間に補助金の交付時期等におきましていろいろ問題の起る可能性もあるわけです。これは具体的な例があつて申すわけではございません。これは理論といいますか、観念的な問題でございますが、或いは県の財政に入れますと、市町村補助すべき金が県の財政で遊ぶか、或いは若干ほかのほうに運転されるということも恐れなければならん問題でございます。これは皆さんも御承知の通り、五大都市に対する補助金を国が直接補助いたす例が多うございますが、これは県経由になりますと、若干その間に半月でも一月でも概算の補助金の到着いたすのが遅くなりまして、県と市町村との間に妙な、疑心暗鬼といいますか、そういつたことが起る虞れもありますので、間接補助にすることが、会計法上から言いますと、又、私どもの事務的の立場からいたしますと、非常に便宜ではございますけれども、それが根本的な解決方法であるということにはならんかと思います。併し、只今指摘されておりますようないろいろな事案に対しての一つ解決策としては、研究していい問題であろうと考えております。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の間接補助なり直接補助の問題についても、まあ大分、人心が安定して来れば、それは余り目に余る事柄というものがなくなつて来ることは当然だと思うのです。併しそれがやはり内攻して、だんだんだんだんそういうふうな不正なり架空工事というものに対する知慧というものも一方においては進歩して行くと私は思うのです。そういう点で、この問題については、やはり建設省として確信を持つて間接なら間接やり方のほうがいいのだというふうなことについて、やはりその当否について検討されておると思う。だからその点について、過去にやつたことがあるのだから、その場合におけるところの欠点、長所、現在直接補助の形でやつている場合の長所短所という問題についての一つまとまつたものがあれば、簡略のものでもお出し願いたいと思うわけです。
  45. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 只今お話の点、誠に御尤もでございまして、私どももこの制度を今のままで決していいと思つておるものではございません。只今の御指摘の点も私ども当然考えるべきでございまして、又、私ども漠然としてではございますけれども只今お話になりましたような線に沿いまして、又関係各省とも相談いたしまして、資料を作つて、できるだけ早い機会に御覧に入れたいと存じます。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 先ほど小峰第三局長から、建設省の直轄工事は大体よくなつた、ただ補助金関係の取扱い方が非常に遅れて、この問題については一応或る程度の目安はできたけれども、今後に待つところが非常に多いのだと、こういう話があつたわけなんです。我々も同じようなことを繰返すわけだが、この点については非常にはやり問題にしておるわけです。二十六年度から二十七度に比べても相当増加しているわけです。これは今増加の一途を辿つていると言つても過言ではないと思うのです。これに対する調査の仕方もまだ不十分です。そういう点で、この委員会としても、この問題に対するところの結論を出さなければならんと思うのですがこれは会計検査院のほうにちよつとお伺いしたいのだが、補助金関係の中でここにいろいろと出ておりますが、問題は一体どこにあるのか。この補助金の使い方についての焦点は一体どこにあるのか。まあ言えないこともあるけれども、もう一遍そこのところを教えてもらいたいと思います。
  47. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 岡さんの、焦点はどこにあるかという点でありますが、焦点という考え方でありますが、私どもといたしましては、先ほど建設省当局からもお話がありましたように、大体この不当事項を分析して見ますと、査定の欠陥によるものと、それから工事の実施上の欠陥によるものと、この二つに大別することができると思うのであります。先ほど申上げましたように、架空工事とか、二重査定とか、或いは出来高不足とか、こう分類してみますと八種類くらいになつてしまいます。この原因がどこにあるかということを一つ一つ分析いたしまして、細かい資料をお手許に差出してありますが、これを見て頂きますとわかりますが、今の査定上の欠陥と、それから工事施行上の欠陥、この二つに大別できるわけであります。先ほど建設省当局からは、御自分がおやりになつておる査定の面について重点的にお話があつたようでありますが、まさにこの机上査定というものが現在の一番大きな欠陥であるということはたしかでありますが、これだけなくしましても、今の施工上の欠陥というものはなくすことができないのでございます。この検査報告を御覧になりましてもわかりますけれども、施工上の欠陥に基くものが圧倒的に多いのでございます。これは建設、農林、運輸を通じて同じことが言えるのでございますが、全国的にどの県にもこの施工上の欠陥に基くものが多いということが言えます。そうしてこの施工上の欠陥は、もう少し掘り下げてみるとどういうことがあるかというと、先ず受給者のほうの、心構えの問題でございます。なんとかごまかして余計取つてやろうと、こういうよろな気持があるように見受けられます。というのは、法律上当然自分で負担しなければならん一割なり、一割五分なり、或いは三割五分というものを、丸きり負担していない、或いは一部負担不足があるというような事態が非常にわかつております。これは農林省関係で見つけたのでありますが、二十七年度につきましては、建設省関係のも相当検査報告に載つております。こういう事態になりますと、いくら査定陣を強化しても、決して改まらないのであります。これは心構えを改めてもらわなければならないのでありますが、せめて工事施行に対する監督の面を強化してこれを未然に見つけると、国が金を払つてしまつて会計検査院が九カ月も経つてあとから行つて見つける前に、監督者としてこれを未然に見つけて頂いて、金を減らすなり、或いは工事の手直しをさせて頂くほかないわけです。先ほど岡さんからお話がございましたが、私ども初め請負人の手抜きだとばかり思つていたのでございます。非常に悪い工事をやつて、折角作つたものが又流れてしまうというのが全国的に非常に多いのであります。初め請負人の手抜きのものが多いと思つて、そちらに重点を注いでいたのでありますが、ところが実際は、それもありますが、そればかりではない。事業主体が工事費を値切つてしまう。三割五分も値切られたら、まともな工事はできないのであります。又事業主体のほうも、値切つた手前、設計通りやれとは言えないのであります。そういうような事態が全国的に相当多いように見受けられるのであります。、心構えを変えて頂くことを会計検査院が云々するわけには参りませんので、私どもといたしましては、どうもやはり監督の面を強化して頂いて、そういう人が悪い淵に落ちるのを防いでもらうというほかはないのではないかというふうに考えておるのであります。そうなりますと、建設省のほうの中間検査の励行ということが先ず第一番に考えられるわけでございます。これは防災課でおやりになるわけでございます。国としての直接の検査の方法は、中間検査という方法がございます。工事ができる前に行つて御覧になるわけでございます。この意味から、防災課の陣容強化ということは非常に結構なことだと思うのでございます。机上査定を減らすということばかりでなく、中間検査を是非やつて頂きたい。成功認定を減らすというようなことは、法律上は非常に重大な問題でございますが、差当り早く実行できるものではありません。そういうことを考えましても、中間検査をやつて、よい工事を早めて行くということが実質的にはいいことかも知れません。先ず中間検査をして頂くようにお願いする。これは国がやることでございますから、私どもとしてもお願いできるのでございます。もう一つは、府県監督強化の問題でございます。府県が現在、査定設計というものが、先ほどもお話がありましたように、非常に急いで作らなければならん関係上、泥とか石の運搬とかも標準設計で作らざるを得ないわけであります。県内、皆一本の距離で設計を作つてしまう。そうして大体の工事費というものの枠をきめるというようなことをやつておるのであります。査定のときは止むを得ないのでありますが、毎年工事を分けて実施して行くときには、実施設計というものを作つて行くのであります。このときには、例えばその辺に石がころがつておるところなら、十キロも先から石を運んで来るというようなことをしないで、現場で石をとるように設計をしてもらう。私どもがよく歩いて見ると、すぐそこに石があるのに七キロも十キロも先から石を運んで来るというような設計になつておるものが相当多いのでございます。こういうようなものの監督、正当な実施設計を作つて行くということになると、これは府県の独壇場になるわけでございまして、そう国が一々……、少い年でも四万から五、六万くらいありますから、昨年などはもつと多いのでありますから、そういうものを一々国が見て行くということは実際問題としてできません。それで、やはりこれは府県監督という面の強化ということをやつて頂きたい。これがどうも私どもとして、独立の公共団体である府県に対して真正面からお願いするということにもなかなかなりかねるのであります。いろいろ検査のときなどお願いしておきまして、殊に問題の多い農林関係などは、県の首脳者がこの面に目覚めて頂いて、相当強化して頂いた県もございます。いろいろお話がございますが、建設は農林に比べますとまだこれでもましなのでありまして、農林はあとで出ますが、相当にこれはひどいのでありますが、そういうような面の改善ということも心掛けて下さつた県もございます。  それから先ほど県が委託を受けて工事施行するというお話がございましたが、これで見事に成果を挙げておる県もあるのであります。大きな工事は全面的に県が委託を受ける、町村から地元負担金をあらかじめ出させた上で工事に着手する、こういうことを強行されまして、見事な成果を挙げておる県もあるのであります。これは私が知つているのは一つでありますが、こういうような方向に県がやつて頂くということになりますと、相当に改まつて来るのではないか。ただこれをやるには、やはり県の監督能力、実施能力というものの問題になるわけであります。なかなか県によつては能力の貧弱なところもあるわけでございます。今のように全面的に委託を受けて町村に代つてつてやるという能力を持つておるところも、現在のところ多くないわけでございます。どうも補助につきましては、ここを押えればすぐよくなるというきめ手がないわけでございます。間接補助お話も出ましたが、これなんかもまさに考究を要する問題でございます。弊害もございますが、どうも私どもの見るところでは弊害よりも利点のほうが多いのではないかということを私としては感じておるのでございますが、いろいろな面から部分的に改善して行きませんと、なかなかこれは改まらない。やはり一番大きな問題は、国から少々ごまかしても成るべく余計に取ろう、自分の出すものは出したくないというのが、一番大きな問題ではないかというように考えておる次第でございます。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ結論に行くというと、それも選挙費用の問題、選挙制度の問題になるのではないかと私は思うのだが、それは今ここで言つても仕方がないが、要するに補助金をもろうためには運動費が要るということは常識なんだ。この常識があとを絶たない。その補助金を取る運動のためには誰が関係して来るかというと、政治家なんです。特に与党の政治家なんです。これは権力を持つておる。参議院のほうはそういう点は甚だ我々が非難するに当らないとも思うけれども、衆議院のほうはちよいちよい解散があるから、非常に多額に上ると今推察されておるわけです。それで、建築屋が請負うためには、いわゆる運動費をリベートしてもらわなければ誰も出し手がないから、又そんなものを町村費で負担して行つたら、町村費が多くなつて町村会のほうからブレーキをかけられるということになつて、いつまで経つてもやまないわけです。そこで今何々議員連盟というものはやめようという話が出て来ておるわけで、まあ唾を我々みずからが受けるという形にも私はならんとも限らんと思う。その間において、官吏が手先になり、或いは又業者と結び付いて、そうして悪循環をやつておる。殊に農林省関係は甚だしいものがあると私は思つているのだが、そういう点で、建設省についてもその弊なきにしもあらず、まあ比較的農林省と比べてよいと言うけれども、それはほかの省と比べたら又別の考え方も出て来るということになるとも思う。そういう点で、大体は問題の焦点に馬鹿でない限りはピントが合うのだけれども、のど元過ぎれば熱さを忘るで、今のような汚職とか、こういつたことが騒がれておるときには、やれ選挙制度の改正とか何とか言われておるけれども、これが揉み消したり何かして済んでしまうと、又これがどこかへ行つてしまうということになると私は思つておるのです。そういう点で、建設省説明員のかたに、ああやれ、こうやれと言つてもこれはしようがないので、これは一つ大臣に来てもらつて、個々の問題よりも、大局に立つて、こういう問題については十分我々は質問申上げたいこともあるのだけれども、ただ私がお願いしたいことは、建設省なら建設省というものの役人も、非常に尨大なる金を用意して仕事をやつているのだから、特にこういう際であるから、弊を改めて行こうというところの実績を更に上げてもらいたい。これは小峰さんから言われたことについて、或る点、私も調べて快しとする点もあるので、この点については今後の建設省の努力如何を待つて、又二十七年度の決算が出て来ておるわけで、この点については我々としては指弾したいところは指弾をするわけだけれども、いわゆる直接の担当官としては実績を上げるように一つつてもらいたい。若しも上げたということで、あなた方が職場転換をされるということがあるならば、これは又我々のほうとして当を得た処置をすればよいと思う。まあ相当圧力があると思うけれども一つ実績を上げるように希望して、私は今日はこれで終ります。
  49. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではほかに……。  ここでちよつと小委員会の運営についてお諮りをしたいと思います。御承知のように当小委員会は毎週火曜と木曜の一週二回やることになつておるのでありますが、この次の火曜日の二十三日の日の小委員会には、丁度私はほかの用事でどうしても出られんような関係もありますので、そういうふうな場合のために、或いは副委員長をお置き頂くか、又はどなたかにそのときには、支障があつたときにはお願いしておけばいいというようなことをここでおきめ願えれば都合がいいと思いますが、如何でしようか。
  50. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 副委員長を置くのも一つ考え方かも知れませんけれども、副委員長、それから正委員長ともに両方都合が悪いというふうな場合もあり得ると思いますので、この際はどうでしようか、臨時にそのときによつて委員のうちから委員長委員長の代理を都合のいいかたにお願いするというふうな取りきめにでもしたほうが、むしろ実際の運営上は都合がいいのじやないか、こういうふうに考えます。
  51. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 如何でございますか、今の長谷山さんの御意見……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではそういう何か事故がありました場合には、その際に小委員の中で御相談をして頂いてきめて頂くということにいたしたいと思います。
  53. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 委員長から指名して頂きたいと思います。
  54. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体長谷山さんの言つたところでいいのですが、あらかじめわかつておるときに大体連絡をとつておくほうが負担が少いと思います。そこで親委員会のほうでも委員長が欠席したときには島村さんがやる、島村さんがおられないときには誰がやるということになつておるので、そういう一つのコース、副委員長とかなんとかという形でなくして一応きめておけばいいと思います。そういう点で、私は飯島さんなら飯島さんにやつてもらうなり、或いは東さんなら東さんにやつてもらうなり、そのほか自由党のかたにやつてもらつても結構だから、その点は一応きめて、名前はどうでもいいから、スムースに運営されるようにきめてもらえばいいと思います。
  55. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、今きめるのがいいか、あとで発表していいでしようか。    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  56. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではその場合には都合よく行きますように委員長としてやることにいたします。  本日は一応これで審議を終ることにいたします。    午後零時二十四分散会