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説明員(小峰保栄君) 岡さんの、焦点はどこにあるかという点でありますが、焦点という
考え方でありますが、私
どもといたしましては、先ほど
建設省当局からも
お話がありましたように、大体この
不当事項を分析して見ますと、
査定の欠陥によるものと、それから
工事の実施上の欠陥によるものと、この二つに大別することができると思うのであります。先ほど申上げましたように、架空
工事とか、二重
査定とか、或いは出来高不足とか、こう分類してみますと八種類くらいにな
つてしまいます。この
原因がどこにあるかということを
一つ一つ分析いたしまして、細かい資料をお手許に差出してありますが、これを見て頂きますとわかりますが、今の
査定上の欠陥と、それから
工事施行上の欠陥、この二つに大別できるわけであります。先ほど
建設省当局からは、御自分がおやりにな
つておる
査定の面について重点的に
お話があ
つたようでありますが、まさにこの
机上査定というものが現在の一番大きな欠陥であるということはたしかでありますが、これだけなくしましても、今の施工上の欠陥というものはなくすことができないのでございます。この検査報告を御覧になりましてもわかりますけれ
ども、施工上の欠陥に基くものが圧倒的に多いのでございます。これは建設、農林、運輸を通じて同じことが言えるのでございますが、
全国的にどの県にもこの施工上の欠陥に基くものが多いということが言えます。そうしてこの施工上の欠陥は、もう少し掘り下げてみるとどういうことがあるかというと、先ず受給者のほうの、心構えの問題でございます。なんとかごまかして余計取
つてやろうと、こういうよろな気持があるように見受けられます。というのは、法律上当然自分で
負担しなければならん一割なり、一割五分なり、或いは三割五分というものを、丸きり
負担していない、或いは一部
負担不足があるというような事態が非常にわか
つております。これは農林省
関係で見つけたのでありますが、二十七
年度につきましては、
建設省関係のも
相当検査報告に載
つております。こういう事態になりますと、いくら
査定陣を強化しても、決して改まらないのであります。これは心構えを改めてもらわなければならないのでありますが、せめて
工事の
施行に対する
監督の面を強化してこれを未然に見つけると、国が金を払
つてしま
つて、
会計検査院が九カ月も経
つてあとから行
つて見つける前に、
監督者としてこれを未然に見つけて頂いて、金を減らすなり、或いは
工事の手直しをさせて頂くほかないわけです。先ほど岡さんから
お話がございましたが、私
ども初め請負人の手抜きだとばかり思
つていたのでございます。非常に悪い
工事をや
つて、折角作
つたものが又流れてしまうというのが
全国的に非常に多いのであります。初め請負人の手抜きのものが多いと思
つて、そちらに重点を注いでいたのでありますが、ところが実際は、それもありますが、そればかりではない。
事業主体が
工事費を値
切つてしまう。三割五分も値切られたら、まともな
工事はできないのであります。又
事業主体のほうも、値切
つた手前、設計
通りやれとは言えないのであります。そういうような事態が
全国的に
相当多いように見受けられるのであります。、心構えを変えて頂くことを
会計検査院が云々するわけには参りませんので、私
どもといたしましては、どうもやはり
監督の面を強化して頂いて、そういう人が悪い淵に落ちるのを防いでもらうというほかはないのではないかというふうに
考えておるのであります。そうなりますと、
建設省のほうの
中間検査の励行ということが先ず第一番に
考えられるわけでございます。これは
防災課でおやりになるわけでございます。国としての直接の検査の
方法は、
中間検査という
方法がございます。
工事ができる前に行
つて御覧になるわけでございます。この
意味から、
防災課の陣容強化ということは非常に結構なことだと思うのでございます。
机上査定を減らすということばかりでなく、
中間検査を是非や
つて頂きたい。成功
認定を減らすというようなことは、法律上は非常に重大な問題でございますが、差当り早く実行できるものではありません。そういうことを
考えましても、
中間検査をや
つて、よい
工事を早めて行くということが実質的にはいいことかも知れません。先ず
中間検査をして頂くようにお願いする。これは国がやることでございますから、私
どもとしてもお願いできるのでございます。もう
一つは、
府県の
監督強化の問題でございます。
府県が現在、
査定設計というものが、先ほ
どもお話がありましたように、非常に急いで作らなければならん
関係上、泥とか石の運搬とかも標準設計で作らざるを得ないわけであります。県内、皆一本の距離で設計を作
つてしまう。そうして大体の
工事費というものの枠をきめるというようなことをや
つておるのであります。
査定のときは止むを得ないのでありますが、毎年
工事を分けて実施して行くときには、実
施設計というものを作
つて行くのであります。このときには、例えばその辺に石がころが
つておるところなら、十キロも先から石を運んで来るというようなことをしないで、現場で石をとるように設計をしてもらう。私
どもがよく歩いて見ると、すぐそこに石があるのに七キロも十キロも先から石を運んで来るというような設計にな
つておるものが
相当多いのでございます。こういうようなものの
監督、正当な実
施設計を作
つて行くということになると、これは
府県の独壇場になるわけでございまして、そう国が一々……、少い年でも四万から五、六万くらいありますから、昨年などはもつと多いのでありますから、そういうものを一々国が見て行くということは実際問題としてできません。それで、やはりこれは
府県の
監督という面の強化ということをや
つて頂きたい。これがどうも私
どもとして、独立の
公共団体である
府県に対して真正面からお願いするということにもなかなかなりかねるのであります。いろいろ検査のときなどお願いしておきまして、殊に問題の多い農林
関係などは、県の首脳者がこの面に目覚めて頂いて、
相当強化して頂いた県もございます。いろいろ
お話がございますが、建設は農林に比べますとまだこれでもましなのでありまして、農林は
あとで出ますが、
相当にこれはひどいのでありますが、そういうような面の改善ということも心掛けて下さ
つた県もございます。
それから先ほど県が委託を受けて
工事を
施行するという
お話がございましたが、これで見事に成果を挙げておる県もあるのであります。大きな
工事は全面的に県が委託を受ける、
町村から
地元負担金をあらかじめ出させた上で
工事に着手する、こういうことを強行されまして、見事な成果を挙げておる県もあるのであります。これは私が知
つているのは
一つでありますが、こういうような方向に県がや
つて頂くということになりますと、
相当に改ま
つて来るのではないか。ただこれをやるには、やはり県の
監督能力、実施能力というものの問題になるわけであります。なかなか県によ
つては能力の貧弱なところもあるわけでございます。今のように全面的に委託を受けて
町村に代
つてや
つてやるという能力を持
つておるところも、現在のところ多くないわけでございます。どうも
補助につきましては、ここを押えればすぐよくなるというきめ手がないわけでございます。
間接補助の
お話も出ましたが、これなんかもまさに考究を要する問題でございます。弊害もございますが、どうも私
どもの見るところでは弊害よりも利点のほうが多いのではないかということを私としては感じておるのでございますが、いろいろな面から部分的に改善して行きませんと、なかなかこれは改まらない。やはり一番大きな問題は、国から少々ごまかしても成るべく余計に取ろう、自分の出すものは出したくないというのが、一番大きな問題ではないかというように
考えておる次第でございます。