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1954-02-16 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十六日(火曜日)    午後一時四十七分開会   ————————————— 昭和二十九年二月一日決算委員長にお いて本委員を左の通り指名した。            植竹 春彦君            谷口弥三郎君            長谷山行毅君            松平 勇雄君            宮澤 喜一君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            大倉 精一君            岡  三郎君            小林 亦治君            山田 節男君            菊田 七平君            平林 太一君            鈴木 強平君 二月五日委員長互選の結果左の通り決 定した。    委員長     谷口弥三郎君   —————————————   委員の異動 二月十二日委員宮田重文君辞任した。 同日委員小林亦治君辞任につき、その 補欠として東隆君を決算委員長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            長谷山行毅君            飯島連次郎君            奥 むめお君            大倉 精一君            岡  三郎君            東   隆君            山田 節男君            菊田 七平君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    建設省河川局防    災課長     浅村  廉君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (補助金関係批難事項に関する件)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今から第三回決算審査に関する小委員会を開会いたします。  本小委員会付託案件は二月十二日の理事会並びに委員会におきまして、昭和二十六年度の決算補助金関係批難事項並びに補助金関係の諸問題の調査でありますが、その点につきまして再び確認をされたので、この際ちよつと御報告いたしておきます。本件につきましては審査並びに調査につきまして、前回専門員から補助金に関することについて一言されたのでありますが、本日は引続いて国庫負担法に関する補助金関係不当事項発生原因などについて説明を聴取したいと思つております。実は前回は速記をつけておりませんので、専門員がこの前話しましたことも同時に簡単にお話を願いたいと思います。専門員の御説明を願います。
  3. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 先ず御配付になつております資料について申上げますが、この大きい紙を綴じた資料農林省関係のものでありましてそれから四角い紫色の判が押してありまするのが建設省関係のものでありまして、そのほかに運輸省関係のものが、丸い判が押したものが一つございますが、こういう書類が出ておりまするわけは、農林省関係のその大きい資料で申しますると、それの一番お終いにありまする、第八頁となつておりまする一番お終いにありまするのが会計検査院局長から農林次官宛に二十八年四月十四日付で注意を喚起された書面なのであります。そのあと検査院におきましては、検査院長から大臣宛改善意見を正式に送られたのでありまするが、それが第五頁からあとに二十八年七月二十五日の日付で、検査院長から農林大臣宛改善意見が出ております。そのあとすぐそれを追つかけまして、それの一番初めにありまするように、二十八年八月一日付で、検査院事務総長から農林事務次官宛に詳細な意見書が出ているのであります。農林省のほうからはそれに対する回答はまだ文書では出ていないように聞いております。丁度それと同じような関係建設省のほうにもございまするが、二十八年七月二十五日付で、検査院長から建設大臣宛改善意見が出まして、すぐ続いて八月六日付で、検査院事務総長から建設事務次官宛に照会が出ております。そうして十二月五日付で、建設事務次官から検査院事務総長宛にそれに対する回答が出ております。本日はこれらの建設省関係のものを中心にいたしまして御審議を願いますれば、あとの前後の関係から見まして工合がよろしいかと思つておるのでございます。  なお、そのほかに会計検査院へこちらからお願いいたしまして、建設省関係についてお気付きのところがあるならばお報せ頂きたいとお願いしましたのに対して、書いて下すつたものが別にガリ版刷りになつてございます。恐らく本日は小峰局長からこの書類中心としながら、なおいろいろ御意見を伺うことができるであろうと期待しておる次第でございます。  それから専門員室ガリ版刷りにいたしましたものがそこにございますが、それの第一頁と第二頁だけを前回申上げたのでありまするが、簡単に繰返して申上げます。  先ず補助金種類を申しますると、随分たくさんな問題がありまするが、法律関係などを分類いたしますると、ここに掲げましたように、先ず第一に公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に関するもので、その関係官庁建設省中心で、運輸省及び農林省関係を持つております。その次には農林水産業施設災害復旧事業国庫補助暫定措置に関する法律、その法律に関するものは、関係官庁農林省だけであります。それ以外に、ここに並べましたように幾つかのものがありますが、これらが多少の程度において検査報告不当事項として出ておるのであります。勿論政府補助行政は随分広い範囲に亙つておりまするので、まだこのほかに無数のものがあるわけでありまするけれども、ほかのものはそう大して問題というほどのことは起つていないわけなのでございます。  それで若し先ほどから申上げておりまするような工合に、建設省中心とするところの公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この法律を先ず第一に取上げて頂きますれば、今後の審査の上に便宜が多かろうがと思いまするので、それについて一言申上げます。  補助金に関する事務処理、その段階を御参考に申上げますると、先ず設計書及び目論見書が提出されまして、それを主務省において査定をする。査定が許されたならば、改めて国庫補助金申請書を提出せしめることになります。それに対して国庫補助金交付の指令があり、又国庫補助金が令達されるということになります。そうしてその国庫補助金が支出されるわけでありまするが、ここで工事が始まれば、工事指導監督をよくやらなければならない。仕事が終れば事業主体検収をする。その上で補助金精算をし、決算報告となり、最後成功認定申請することになりまして、主務省において最後成功認定をする、まあこのような順序に聞いております。  次に、不当事件発生原因を分けてみますと、このガリ版の四ページに書いたわけでありまするが、先ず大きく分けまして1と2と二つに分れます。その1というほうは、工事査定その他事前審査が不十分なことによるものでありまして、まだ仕事に着手しない以前、事前審査であります。二十六年度の決算検査報告に記載されておる事項の中でこの部類に属するものは架空の工事を含めて災害復旧国庫負担の対象としたもの、災害復旧に名を籍りて改良工事等施行したもの、二重に査定を受けて余剰を生じた工事費を以て査定外工事施行したもの、工事設計が過大なもの、原形超過工事原形復旧として処理しているもの、これらが建設省関係のものでありまするが、ほかの省について見ますると、多少事情は違つておりまするけれども、大体同じでございます。  次にいよいよ工事が始まつてからあと方面を見ますると、その監督の不十分、その他工事施行についての欠陥によるもの、それは工事設計及び施行が当を得なかつたために災害復旧の目的を達していないもの、それから工事出来高が不足しているもの、こういうような種類でありまして、これが相当多数検査院で指摘されて、一覧表の形になつて決算報告に出ているのでございます。  それではどういうわけでこういうような事件が起るのであろうか。一つ一つその最初のところから順序を逐うて考えてみました結果を、又当局なり検査院のかたなどにいろいろ御足労を煩わしまして、共に研究いたしました結果をその次に記したのでございまするが、不当事実の発生原因及び防止対策としまして、注意すべきところがこんなところにありはしないか。先ず第一に設計書及び目論見書内容について見ますると、事業主体即ち府県なり市町村などから、先ずこれを主務省に提出すべきはずでありまするが、その中に災害もなかつたのに災害があるようなふうに書いたりしておるものがあるわけでありますが、責任のある申請をさせるのにはどうすればよいか。次にその事業主体市町村である場合には、府県知事を経由してこれを主務省申請せよというふうになつておりますが、府県知事を経由するのはただ手続だけのことのようでありまして、知事はその内容審査はしていないようでありまするし、又法律には知事審査権は認めてないのでありまして、この法律施行令を見ますると、知事はその申請を整理する、整理という文字が書いてあるだけで、審査しという文字は出ていないのであります。その点はどういうものであろうか。なお、当委員会から各府県実地調査に出張されたことがありまするが、その場合、行先によりましては、これに対する答えが多少違つているのであります。或る県におきましては、知事は十分に内容審査しているというふうに言つているところもありまするが、又他の県では、審査権がないのだから審査しないのが当り前だ、こういうふうにも言つておられた例があるのでございます。  それから次にその目論見書などが主務省に参りますれば、そこで工事費査定、この場合は主務省では全国多数の何万という場所に亙りまして、一々実地調査をするというようなことも恐らくできますまい、机上査定が多いのではないか。従つてそれが不当事実発生の有力な原因になつているのじやあるまいか。若し仮に現地査定をことごとくやろうとするならば、どれくらいな経費及び人員主務省において持たなければできないのであろうかというような問題があります。なお府県工事主務省実地査定をすることは当然でありますけれども市町村工事であるならば、これをその府県へ委託をする、府県をして実地調査をやらせるということにしたならば、よつぽど調査が行きとどくのじやないかということも考えられまするが、その点はどんなものであろうか。  次に工事がいよいよ進みますれば、そこで指導監督という問題が起りまするが、事業主体、各市町村なり或いは府県なりがその行なつている工事指導監督を十分に行なつているだろうかどうだろうか。殊に市町村などにおきましては、十分な指導監督の力もないじやないか、技術者がいるかどうかというような点、それから工事の途中において設計変更の必要が起つた場合に手続をやればよいのですが、その手続をやらないというものが検査報告の中に相当たくさん出ておりまするが、なぜそういうことを、なぜその手続を一々励行しないのかというような点が問題になろうかと思います。  それから府県知事市町村工事につきましては、工事指導監督権限主務大臣から委任をされているのでありまして、それは施行令の第八条に出ているわけでありまするが、果して知事は十分にこの権限を行使しているかどうか。若し又それを府県知事が十分に行うとするならば、どの程度経費人員を必要とするであろうか。経費が足りないというようなことをよく言われるのでありまするが、なお又この場合に、市町村指導監督、それから府県工事について府県自身指導監督、それから市町村工事について府県監督すること。なお、それにつけ加えて最後主務省自体指導監督を行うべき必要もあるであろうと思いますので、十分に行われているであろうかどうであろうか。  その次は、工事終つたときには、事業主体検収をするはずでありまするが、その検収が十分よく行われているかどうか。特に小さい町村などの場合には技術者もおりませんので、検収能力が殆んどないのじやないかという問題、次にでき上つた仕事竣工検査をいたしまして補助金精算するという段階に入りまするが、事業主体市町村でありまする場合には、市町村から工事竣工あと出来高調書を提出して補助金精算の要求がなされるわけでありまするが、そのときに支出負担行為担当官と申しまするのは、通例は各府県土木部長本省から任命されて担当官となつているわけでありまするが、その人が竣工検査を行なつた上で精算をしているかどうか、精算をするとなれば検査をして、検査に合格した上でなければ、金を払うとか精算をするということはできないわけでありまするが、竣工検査が不十分であるが故に、いろいろな不当事項が指摘されているのではないか、その辺の関係はどうなつているだろうか。殊に担当官はただ書面の上で設計書と同じだけの仕事ができさえすれば、ただ金を払いさえすればよいというように軽く見ておられるのか、それとも本当に検査をしなければならないという責任を十分に果しているかどうか、その辺のところに一つ問題がありはしないか。次に事業主体府県であるという場合には、この担当官に任命されておりまする土木部長は、一方には府県の職員として事業主体のために検収する、同時に国の官吏として担当官として竣工検査をするという理窟になるわけでありまするが、その辺のところが十分に行つているかどうだろうか、又その担当官に任命されている府県土木部長は、こういう検査を行う義務があるかどうか、どうもこの辺につきまして法律規定を見ますると、一体この法律行政上の関係規定しておりまするが、この裏には会計法などという法律があるわけであります。その二つ法律の間に連絡が欠けているのじやないかというふうに思われる点もありまするので、どうも責任所在がはつきりしないということがあつてそれがいろいろな不当行為を生じているとか或いは生じているものを看過しているというような結果になるのじやないか。  その次に最後成功認定ということでありまするが、そもそも成功認定というのは一体どういうことを言うのであるか。この前に申しましたように工事終つたならば竣工検査を行なつて、その上で金銭精算をするわけでありまするが、そこで検査をしたならば、そのあとで又改めて本省の役人が成功認定をするというのが、どういう意味を持つか。仕事場を二度見に行くというのは念には念を入れよで結構でありまするけれども会計法上の責任という点から見たならばどうなるであろうか。よく検査報告に対する当局弁明書を見ますると、いずれ他日成功認定行つた上で、不適当なことを認めたならば、是正をさせるといそような意味回答が書いてありまするが、その成功認定ということがどうもよくわからない点があるのであります。と申しまするわけは、農林水産業補助法、つまり農林省関係災害復旧に対する国庫補助法律を見ますると、成功認定ということは、そこにはないはずであります。同じ種類仕事、全然同じと申してもよろしいかと思いまするが、それが一方建設省なり運輸省なりの場合には、成功認定というものがわざわざ重ねてありまするが、農林省関係のほうにはそれはなくてやつておる、そこの関係がどうもわかりかねるのであります。  それから市町村工事について、その次にちよつとガリ版の書き誤りがございますが、施行法と書きましたのは施行令の間違いで、それから十二条の三と書きましたのは十二条の一項三号が正しいわけであります。ちよつと初めから言い直します。市町村工事については施行令の十二条一項の三号に、府県知事災害復旧事業成功認定に関して検査を行い、主務大臣承認を得て成功認定をするというふうに書いてありまするが、この規定は一体どういうふうに動いて行く規定なのだろうか、知事のほうから申請をして、主務大臣承認を得た上で成功認定をするというのですが、どんな場合に申請をするのだろうか、市町村工事でありまするが、いつそそのくらいならば市町村工事は、全部府県知事に初めから委任してしまつたらどうなのだろうか、どういう場合だけを許しているのか、これらの点について少し不明瞭なところがありますが、又仮りに極く少数の場合にこれが特に許されるといたしまして、それを知事は果して十分に適切に行なつているだろうかどうだろうかという問題もあります。殊に本省のほうで行いまする成功認定というのは、全国に亙りまして数が多いものでありまするから、恐らく机上処理が多いのではあるまいか、勿論実地調査もやられていることは聞いておりますけれども、全部に行亙らないであろうということは想像し得るところであります。殊に聞くところによりますれば、この成功認定というものが二年三年遅ていれるのはむしろ普通で、甚しきはそれ以上も遅れているというふうに聞いております。どうしてそんなに遅れるのか、又そんなに遅れながら成功認定をすることによつて初めてこの工事が完全に行われた最後の点にまで達したかというならば、それ以前の決算金銭の支払、それらの点は誰が一体責任を負うのだろうかというような疑問が起つて来るわけなのであります。なお、又仮に本省成功認定全国に亙り十分に行わしめるということにすれば、どれだけ経費なり人員が必要であろうかというような問題があります。  先づ一応これで以て仕事順序は終るわけでありますが、なお、附け加えて申上げますれば、業者の選定、請負業者仕事をさせまするが、それを選んだり或いは入札をするというときになりまして、或いは政治的な圧迫もありましようし、殊に地方にはよく顔役とかいうようなものがありまして、どうにも手のつけようがないということがしばしばありはしないか。それらの点についての注意事項、なお又、補助の率につきましては、一方から言えば、補助の率が高すぎるから、各市町村などは全部の費用を政府に頼ろうとして、自分自身何割かの補助をすべきものをせずじまいに、手を抜いたような仕事をするということになるのじやないか。補助という以上には、事業主体に相当の部分を負担させて、補助は本当に僅かばかり補助するのが、本当の補助だというような御意見が一方には出ておりますが、その反対に、又負担能力の少ないところも多いのであり、地方財政が困難ありでまするから、十分な補助を与える。或いは進んでは、もう全額補助といつたようなところにもつて行くべきではないかというような、全然その相反する二方面意見があるようでありまするので、この点も一つ取上げてみたわけであります。  それから国が補助をするのでありまするが、現在のところでは、国から府県へ或いは国から市町村へというふうに、国と事業主体と直結するという形で行われております。この場合に事業主体市町村でありますれば、県が真中へ入るわけでありますけれども、県はただ仕事のお手伝をするだけで、直接の関係は国と市町村ということになつております。ところがそのやり方を改めて、間接補助という方法に持つて行つたならば、どうであろうか。確か戦争前にはこんな方法が行われておつたこともあつたように聞いておりますが、それは国から府県に向つて補助をする、府県はその補助金を一旦府県の収入に入れまして府県から間接的に町村補助をするというようなやり方でありまするが、どちらがいいであろうか。現在は直接補助方法がとられておりますし、これを間接補助に改めますれば、現在のところでは、本省監督が徹底していないわけでありますから、間接補助に改めますれば、府県自身町村を直接監督するということになつて、一層監督が行き届くのではないかという説もありまするし、或いはその反対府県にそんなことをやらせれば、今日の弊害がなお一層激しくなるばかりだというような意見もあるようであります。  それから次に災害復旧工事をやつておりまする途中で、再び災害遭つたというような場合、今までやつて来た部分については打切り精算をする必要があるのでありますが、その打切り精算がどうも十分に正確に行われていないように見受けられるというお話がございます。  それから次に二重査定という問題でありまするが、或るところの工事補助を一方には農林省申請し、他方には建設省申請するというようなこともあるようでありまするし、或いは又同じ一つ役所に対しても、甲の局と乙の局と両方申請をするということも事実あるようであります。これは一つ工事がどちらへも該当する、例えば堤防なら堤防というふうに見ますれば堤防でもあるが、道路として見れば道路でもあるというような場合に、双方へ願書を出しましてどちらか一方許されたほうを取上げて、他のほうはすぐさまこれを断つてしまいさえすればよいということでありますが、これがどうも役所役所との間、或いは同じ役所の中でも部局が違いますると、連絡が十分とれていないために、両方から許しが出る。それを申請者はいいことにして、両方からお金をもらう。そうして余つたお金で、まだほかにいろいろやりたい仕事がありますから、ほかの仕事もするというようなことがありますので、それを何とか役所の間で連絡を密にするようなことが必要じやあるまいか。  最後に、制裁の問題でありますが、何らか制裁を与えなければ不当事実は根絶しないであろう。ところが現在までのところを見ますと、悪いことをしても見つからなければそれきり。万一不幸にして見つかつたとしましても、それだけの金を返せばよいというのでありまするから、きたない言葉を使いますれば、悪いことをしなければ損だというような理窟になるわけであります。これに対して、例えば百万円のお金を返させる場合には、二倍の二百万円の金を返還せしめるというような工合に、多少実質の伴つた制裁をつけるというような方法でも考えなければならないのではあるまいかというような点も考えられるわけなのでございます。それで私どもがいろいろと考えてみました問題の所在点は、まだ勿論ほかにもたくさんあろうかと思いますけれども、大体只今のところで、或る程度必要なところを抑えているのではあるまいかと思いましたので、御審議の御参考に供したわけでございます。
  4. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは次に会計検査院から補助金全般についての説明並びに見解を聴取いたしたいと思います。
  5. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今専門員から建設省中心といたしました補助工事全国の概況、それに対しましての原因或いは対策、こういうようなことをお話頂いたのでありますが、私から会計検査院としてこの数年間、農林省建設省、それから運輸省も入りますが、この公共事業関係補助工事というものを検査して参りまして現在或る程度の結論を得ておるわけでありますが、これについて御説明申上げたいと思います。検査報告昭和二十六年度の審議でございますが、事実は二十七年度の検査はもう終りまして、一層に、二十六年度よりも顕著な事実がわかつておりますので、これを取り混ぜまして御説明して行きたいと思います。  この検査報告で御覧の通りに、災害復旧中心といたします公共事業補助工事というものは、非常に不当工事が多いのが現在の姿でございます。私ども建設省につきましてはすでに三年間、それから農林省関係につきましては、運輸省も同じでありますが、二年間、全国に亙りまして工事検査をいたしまして、その検査報告を年々お出しいたしておるわけでありますが、実は会計検査院の能力の関係からいたしまして、全国全県を一応は廻りますが、非常に薄い検査しか現在できない状況なのであります。と申しますのは、工事の数が非常に多い。具体的に計数で申上げますと、昭和二十七年度は、農林省工事現場は全国で約六万六千でございます。それから建設省が四万一千、両方合せまして十万七千近いという工事現場があるのであります。会計検査院として工事現場を検査いたしましたのは、農林省では僅かに三千八百余りであります。建設省は四千六百余り、率で申しますと、農林は六%弱、それから建設は一一%弱、こういう程度しか実は検査できないのでありますが、工事のようなものはまあ全国的に同じようなことをやつておりますので、大体これだけでも検査いたしますと、全国的の傾向は一応窺えるんじやないだろうか、人間の考えることでございますから、そうそう奇想天外な手口というものもどうもないようであります。大体これだけの数を検査いたしまして、相当のたくさんの不当事実というものをつかみまして分類いたしますと、その種類というものは八種類か、せいぜい九種類くらいになつてしまう、こういう状況になつているわけであります。従つてその原因とか、或いは対策とかいうものもややつかめるようになつて来たわけであります。  それで今申上げました農林省が三千八百三十、それから建設が四千六百十と、この現場を検査いたしまして、これは不当だということで検査報告で取上げました件数を御参考に申上げますと、二十六年度で申上げますと、農林が二百七十二件、建設が百七十三件、これは一件十万円以上で整理してございます。二十七年度は、これを個別に批難いたします分は二十万円以上に金額を上げましたので、検査報告の批難件数とは、これは合つておりませんが、便宜肩を揃えます意味で十万円で整理して申上げておるわけであります。二十六年度は今申上げましたように、農林が二百七十二件、金額にいたしますと一億三千万円、建設が百七十三件で、金額にいたしますと一億五百万円、二十七年度は農林は著しい増加ぶりを示しまして、千七百五十七件、金額にいたしまして六億八千七百万円、それから建設が三百二件、一億八千七百万円、農林に比べまして建設の増加ぶりは少いのでありますが、これは前年度の百七十三件のうち、七十五件という大きな数を占めておりました原形超過工事というものが、法律が改正になりまして、二十七年度では批難の対象にならない、こういうことになりまして、前年度の七十数件というものが、こつそり落ちたわけであります。その関係で比較的増加が少かつたわけでありますが、それにいたしましても、百七十三件が三百二件になつたわけであります。農林が非常に目立つのでありますが、建設も相当数が検査報告に載つておる、こういうことになつておる次第であります。  それでこういうふうにたくさん私ども見つけまして批難いたしましても、結局年々それを繰返しておるだけのことでは何にもならないのでありまして、この原因を究め、対策を考えて、事態の改善、将来再び同じようなことが起きないようにということに力を尽したい、こう考えまして、いろいろ原因を究め、対策を考究しておりまして、一応の成案を得ましたときに、丁度昨年の六、七月の水害、それから台風、こういうような大きな災害が参りまして、これをこのまま放つておきますと、又従来と同じような不当経理を繰返すのじやないだろうか、こういうことで、早急にそれまでに練りました原因対策というものをまとめ上げまして、関係建設省運輸省或いは農林省、こういう所に照会の形或いは改善意見という形でお出ししてあるのが、先ほど専門員から御紹介になりました去年の夏の照会なのであります。それでこの参議院の決算委員会からも、原因はどうか、或いは対策はどういうものがあるかというので御要求がありまして、資料の形としてお出ししたのが、今お手許にあるものでございます。建設省農林省とに分けましてお出しした次第であります。これは一つ一つ先ほど専門員からも御紹介がありましたように、何百件という不当工事ではありますが先ほど申上げました通り、所詮は人間の考えたことでありまして、そうたくさんの種類はないわけであります。八つか九つになるわけでありますが、それぞれの種類につきまして、共通的な原因対策、或いはそれぞれの種類の特有の原因と、これに対する対策という形で、ここに少しくどかつたのでありますが、一々原因対策をお書きして御参考に供したわけであります。それぞれの間に共通的な原因もありますし、共通的な対策もたくさんございますので、一々これを読上げることは省略いたしまして、まとめて対策というものを御参考に供したいと思うのであります。  今まで会計検査院検査の結果、現在までに得た結論的な対策でありまして、これは二十七年度の検査報告の百六十六ページに項目だけ掲げてございます。ここには簡単に項目だけ書いたわけでございますが、先ず先ほど専門員から御紹介がありましたように、会計検査院法の規定による改善意見として正式に意思表示をした「支出負担行為制度の整備、」ということであります。先ほど専門員から御紹介がありましたように、現在行政手続としての成功認定、それから会計経理の手続としての支出負担行為、この制度がチャンポンと申しますか、入り乱れておりまして、お互いの間に連絡もなく、そうして両方が別々にやつておる、そうしてその結果両方とも成果を挙げておらん、こういうのが現在の姿なのでありまして、成功認定工事竣工後三年も二年もかかるというような御紹介がありましたが、まさにその通りでありまして、これは会計行為としての支出負担行為制度と両方絡ませて改善の必要があるのではないだろうか、こういうふうに私どもは考えております。一本にしてよろしい、農林省では成功認定というような制度は、ございません。建設省運輸省だけがこういう制度を持つていて、而も大した成果は挙つておらん。もう工事ができて三年も四年もかかつてから成功認定というようなことをやるようではどうにもならんのでありまして、支出負担行為のほうは、これは年々会計行為といたしまして、年度ごとにきちんきちんとやつて行かなければいけないものであります。むしろこちらのほうを整備、徹底させることによつて、現在の成功認定制度というようなものはやめてしまつてもいいのじやないだろうか、こういうふうな考え方も一つ浮ぶわけであります。ただ先ほども御紹介がありましたが、府県の公務員のやることと、国の公務員のやること、こういう点でいろいろ複雑な問題はあると思いますが、併し制度をよくしようという心がまえさえあれば、そういうような点は自然に解消するのではないか、こう考えておるわけであります。先ずこの第一が支出負担行為制度の整備であります。  その次が「机上査定の減少」ということが書いてあります。不当工事種類が幾つかございますが、査定が悪かつたということのために、そこに原因があるというものが種類としては非常に多いのであります。検査報告で取上げました架空工事、全然災害も受けておらん、而も従つて工事もやつていない、そういうようなのに対して補助金が行つているというような事実も幾つか出ているのであります。又先ほど御紹介がありましたように、農林省建設省両方から査定をとつてしまつて補助金を二重にとつておる、こういうような誠にどうも面白くない事実も相当に出ておるのであります。又たくさんにございますいわゆる便乗工事というようなものも相当にございますが、これらはいずれも査定がまずかつたところに原因があるのでありまして、こういうものにつきましては、結局査定を十分にやつてもらうほか対策はないのでありますが、この査定がまずいというものが一番多いのは、このいわゆる机上査定であります。現地の工事費を決定するのでありますから、当然に工事現場を見なければ決定できないはずでありますが、人員関係などでそれをおやりにならん、やつておる率が非常に低い、そのためにただ書類審査だけで工事費をきめてしまう、そこに不誠実な事業主体なんかおりますと、設計を水増ししたり或いは改良工事、便乗をもぐらせる、こういうような結果が出るわけでありますが、この査定を厳正にする、机上査定をうんと減らすということが相当大きな改善の対策ではないかと、こう考えておるわけであります。今度の昨年の大災害では建設省では非常に、まあ従来から会計検査院も随分これはやかましく言つておる関係もあるそうでありますが、現地査定を非常にたくさんおやりになつた、その結果が私ども今、後ほど申上げますが、早期の検査を、早目の検査をやつておりますが、その結果にもはつきりとそれが出て参りまして、農林省建設省との差、二十七年度の検査報告では非常に件数に差が出ておりますが、それが一層拡大されるのではないか、これを言い換えますと、建設省机上査定を減らして現地査定を一生懸命おやりになつたということによつて、相当の不当の経理工事が減つて来るのではないだろうかということを私どもとしては現在予想しておるわけであります。  それから「高率補助の活用と事業主体負担分の適時融資」、これも相当大きな問題でありますが、先ほど高率補助がいいか悪いかということについては、全然反対意見があるということを専門員から仰せになりましたが、その通りでありまして、ただ非常にひどい災害を受けたようなところには、これは何としても相当の補助を交付しなければ災害復旧はできないというのは、これはもう現実であります。これをうまく高率補助というものを活用して頂くことが必要じやないだろうか、それから自己負担、事業主体の自己負担というのが、これは相当負担するわけでありますが、これに関連する問題というものは非常に多いのであります。地元が自己負担をしたがらない、補助金の範囲内でやつてしまう、それからひどいのは補助金の頭をはねておる、補助金を残しておるという事態も相当に私ども検査ではわかつておりますが、結局財政の貧弱な事業主体として、なかなかその法律の案ずる自己負担ができかねるという問題が、相当にこれは全国的に大きなあれになつておるわけでありますが、これを融資によつて解決する、而もそれは適当な時期に金が先方に届くような配慮をしなければいかん、これは折角融資を斡旋をしても遅れたために、地元がその融資を使わないで、国庫補助金の範囲内でやつてしまつたという事実も相当に私ども検査の結果明らかになつております。  それから「改良費補助の増額」、これは先ほど申上げた便乗工事と関連するわけでありますが、改良的な工事、防災的な工事に対しては補助金は非常に少いのであります。その結果、現在では災害復旧がありますとそれにかこつけて便乗工事、改良的な工事をもぐらせるという事態が全国的に非常に多いようでありますが、そうして国は又御承知のように、改良補助よりも災害復旧のほうが国庫負担の率が遙かに高いのでありますから、結局高い補助金をまあ取られているというような妙な結果になつているのでありまして、これは改良補助をむしろ増額して、増額と言いましても災害復旧費から廻せばいいのでありますが、廻して適正にやつて行くということが必要じやないだろうか、こう考えているわけであります。  それから「小事業主体工事の合併施行」、これでありますが、先ほど府県に、町村工事なり農業協同組合あたりの工事を委任するということを専門員からちよつとお話がございましたが、これはすでに実行いたしまして、相当の成果を挙げている県がございます。小さい町村や組合などでは大きな災害復旧工事をやるような能力は実のところないのでありまして、それが何千万円、何百万円という工事事業主体ということになりますと、なかなかうまい工事はできない。どうかすると請負人にごまかされる、こういうような事実が相当見受けられるのであります。これは府県がまとめて委任を受けるなり、合併して委託を受けるなりしてやるというようなことが、非常にこれはいい結果をもたらすのでありまして、それをすでに実行いたしまして、いい結果を得ている県も見受けられるのであります。  それからあとは「適正な実施設計の作成」、これも相当大きな問題でありますが、査定のときには非常に急ぐ関係もりまして、現地をなかなか見ないで、標準設計を作るというようなことが行われております。併し実際に工事をやるときは、これは現地について現地に適合した設計に組直すということが原則なのでありますが、実際には組直さないで査定設計のままやつてしまう、そういうような事態が相当に多いのであります。  それから「不誠実な事業主体および請負人に対する補助取消または指名停止」、こういうようなことも県によつてはすでに考えておられる県があるようでありますが、如何さま、そのいろいろなものを水増したり、相当悪い事態もあります。それから請負人の中には手抜きをするという者も相当見受けられるのでありまして、そういうものに対しては現在のまま放つておくのはどうだろうか、こういうことで考えているわけであります。  それから「工事監督機能の充実」、これも先ほど専門員からお話がありましたように、監督とか検収とか、そういう機構が県によつては相当しつかりしたところもありますが、そうでないところが相当にある。そうしてそのために出来高不足の工事とか、或いは疎漏工事というようなものが出まして、ちよつと水が出ますと又壊されてしまう、又補助金をもらつてやり直す、結局災害復旧国庫補助との悪循環というような感じも身受けられるのでありまして、こういうものは、府県工事監督機能の充実ということをお考え願うほかないんじやないだろうか、こういうふうに考えているわけであります。  大体非常に、各種類毎にこの資料は作りましたので、大変長くなつておりますが、全部まとめて考えますと、そういう今申上げましたことが主なところになるわけであります。私どもといたしましては、先ほど申上げましたように、従来は工事が出来上りましてあとから見まして、そこで設計通り出来ていないのに金を払つているとか、或いは地元が正当の負担をしていないために工事が手抜きされたという、そういうことで検査報告に掲げて批難しているのでありますが、当局に事実を並べて照会するわけでありますが、それに対して金を返しますとか、或いは工事の手直しをしますとか、こういう回答があるのでありますが、実は果して回答通りに金が返つたか、金が返つたのはわかるのでありますが、工事の手直しをしたというのは、一々見て歩く余裕が実際今までないわけであります。ところが写真を付けて、この通り直しました、こういう回答も頂くのでありますが、実は会計検査院回答するために工事をやつた写真、言い換えますと、写真を撮るところだけ手直しした、こういうような事実も従来あとでわかつたのであります。誠に遺憾でありますが、我々も結局そういう回答を頂いて、手直しをするなら果してしたかどうかというところまで検査しなければいかんのじやないか、国会にそれも御報告しなければいかんのじやないか、こういうことで今年初めてでありますが、これから全部手直しの事実を調べて廻ろうということで、特に旅費もございませんので、予算の配慮を願いまして、それをこれからやる予定であります。  それからもう一つ、悪い事項を見つけましてあとから批難だけいたしておりましても、なかなか事態を改善することができませんで、どうしても、工事に着手する、着手したばかりのとき、或いは着手前、これに早期に検査をいたしまして、便乗工事とか、水増し設計とか、こういうようなものを洗い出してしまわないといかんのじやないか、こういうことで、これも今年初めてでありますが、現在一月早々から、昨年の災害で相当に災害復旧費の補助金のつきます県を選びまして、早期の検査を今年初めてやつております。或る県のこれは農林関係でありますが、一県で百二十億円も査定がついたという県がありますが、これは非常な巨額でありますが、そういうところの検査をすでに終えまして、まだたつた一つでありまして、現在盛んにやつておるのでありますが、この結果も計数的に大体わかつたのでありまして、これについては当局なり、地元なりの納得も得たわけであります。それが今のところ一県でありますが、非常に驚くべき結果が出ているのでございまして、全国そういうことにはならんと思いますが、これは非常に顕著な県だとは思いますが、全体の百二十億のうち三分の一強を検査、三分の一強しか検査できなかつたわけであります。三分の一強を検査、四十数億の検査をいたしましたところが、十五、六億減る、こういうようなところも今までにわかつております。非常に大きいのでありまして、三分の一あまりのものが減る。而もそれは減ることに対して県の当局なり事業主体のかたはもう納得しておられる。こういうような事態も現在わかつております。全国がこんなだつたら大変なんであります。ほかの県はそういうことはないと思いますが、そういうようなひどい例もすでにわかつております。早急にまとめまして御報告したい、こう考えておる次第であります。
  6. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは建設省の河川局の浅村防災課長も見えております。会計検査院第三局長とか、或いは浅村防災課長などに御質問御意見等ございましたら、どうぞ御質問して頂きたいと思います。
  7. 山田節男

    山田節男君 小峰第三局長ちよつと質問するのですが、只今の農林、建設、運輸、この二十六年度並びに二十七年度のいろいろ検査された結果を述べられたのですが、これは我々が大体予想しておつた以上に乱脈を極めております。まあ一事が万事であつて、これを押して行けば、政府の各省の行政部門に亙る支出というものが、如何に無駄なことが多いかということがわかるのであります。  そこで会計検査院として、こういつたような批難事項が殖えないように、これはまあ先ず第一に各官庁の会計の、何と言いますか、扱い方、それから現品の扱い方、それから現地検査やり方、こういうようなものを大体政府の各省、各エイジェンシーがやるものに対して、共通な一つの何か、何と言いますか、フォームというものがあると思うのですね。なぜ私がこういうことを申しますかというと、私アメリカを実地に見て非常に感心したことは、例えば官品である以上は、一品といえども、これは無駄にできない。これは前にも申上げたかも知れませんが、例えば日本に今駐在している英連邦軍の文書の往復を見ても、あの封筒を私用に使つた場合においては、法律の第何条によつて罰するものなりということがちやんと書いてある。スタンプを捺して下に印刷してある。更に感心したことは、この封筒は返信にも使えるというような工合に考案してあります。これらも軍のみならず、各官庁にも共通なこれは型で以てやつておる。これは便箋を使うとか、封筒を使うということの極めて些細なことでありますが、これは一事であるが、万事がそういつたように非常に計画的に、それからこれはやはり人間というものは、金を持てば、そういつたようなつい誘惑を受けて金を持逃げする、或いは建設、運輸、農林等で示されておる悪辣極まる金の使い方、いわゆる国家の、国庫の補助金を濫用する、これは人間の性質といいますか、こういう誘惑はあるのでありますから、これはあくまで一つの制度組織で以て、こいつをチエツクするような方法表考えるのが、およそ近代国家としての重大な、これは重要な一つ仕事として、政府がいろいろ過去の経験に顧みて、いろいろ考案しておるわけです。そこでこれは各省はもとより実地に即したことをやつておると思いますが、会計検査院として、こういう政府官庁の全般のこういう乱脈を成るべく少くするという建前から、何か全般的な現在の簿記制度、こういつたようなものを改めさせるようなことを研究せられたことがあるか、或いは研究しておられるか、或いは又そういうことは現在では不可能である、こういう断定なのかどうか、この点についての小峰局長の御見解を伺いたいと思います。
  8. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 山田さんの御質問にお答えいたします。国庫補助工事が非常な乱脈を極めておるということに関連いたしまして、国全体の制度というものに対する考慮を会計検査院として払つたことがあるか、こういうふうに伺いました。これはどうも、アメリカのお話が出ましたが、イギリスのお話も出ましたが、外国では役人というものがいわば納税者のためにというような観念が非常に強いのであります。アメリカなどでは殊に強いようでありますが、どうも日本の場合、お互い同士個人的なつきあいになりますと、騙したり、ごま化したりするというようなことがありますと、忽ち排斥されてしまうわけでございますが、相手が国の場合には、金なり補助なりもそうでありますが、それから役人が物を使う場合もそうでありますが、どうも粗末に扱う、それから騙してうまいことをする、国を騙して、補助などは大体そうでありますが、こういうことは平気で行われておるのでありますが、誠にどうも遺憾なことでありますが、併しどうもこれにつきましては、会計検査院として、とやかくと言うわけにもちよつと参りません、制度といたしまして。結局はそういうような社会風潮にあるところを、うまく地に落さないでやつて行くということが、これは必要なのであります。全般を通じる共通的な、例えば簿記とかいうような話もございましたが、そういうことに対しましてちよつと考えることは、例えば補助或いは一般の国の直接の経費、こういうようなものを通じましてのことは、ちよつと考えることはむずかしいのではないか、今までも私はそこまではちよつと考えたことはないわけであります。補助なり、個別の具体的の一つ一つの部門につきましては、勿論会計検査院としてもそういう事態は考えておるのでありまして、補助につきましては、先ほど申上げました通り、すでに関係省に対しましては制度の改善、或いは監督なり査定なりの機構の充実、こういうようなことも御勧告しておるわけでありまして、これは何も人を殖やすばかりが能ではないのでありましてちよつと機械力を併用するとか、そういうことで相当に成果を挙げられるのでありましてもうすでに会計検査院の忠告を素直にお聞きになつて機動力を殖やす、そういうようなことで監督機構の実質を非常に充実したというような府県もあるのでありますが、全般につきまして共通的なものということになりますと、ちよつと考えるのかむずかしいのじやないだろうか、こう考えておる次第であります。
  9. 山田節男

    山田節男君 まあ我々国会で通過させる毎年度の予算の中で、非常なパーセンテージを含んでおる千数百億に及ぶ公共事業が、大体常識として多額な、公共事業費の二割はこれはどこかへ消えてしまつて仕事にならないのだというのが、今日の常識のようになつております。今小峰局長の例を聞くと、もう三分の一しか実際工事になつていないということを述べられたと思うのでありますが、これは勿論日本の国民全体の一つの道義観念ということに、勿論これはよるのでありますが、今私の申上げたのは、現在の会計検査院の陣容を以てしては、例えば今局長が言われたような、二十六年度ですか、農林関係が六%、建設省関係が一一%くらいしか実地検査ができない、一割に足らないのですね。それを以てしても相当多額な国費が補助金の形で民間に浪費されておるということは、これはもう事実なんであります。そこでこういつたようなものがますます、殊に戦後の状況なんかを見ると、年々批難事項が多い。これを何とかチエツクしなければならんということは、これは私は国民全体の大きな問題だと思うのでありますが、併しこれは多分に技術的な操作を考案しなくては、これはチエツクできない。で、今申上げたように、人間性の弱さというものがあり、又殊に日本のような公共の金の使い方というものに対しての道義性が欠けておるところは、これは取れば取るほどいいのだ、これは昨年の六月七日のあの風水害の特別措置法を作る場合におきまして、各県知事その他の者が来て、もらうものは一文でも余計取ればいい、こういうような風潮が国会にもう満ちておるわけであります。そこで支出の場合、検査院の現在の陣容で以ては、とてもこれは不可能じやないか、会計検査院にも曾つて私はそういうことを言明したことがあるのでありますが、そこで私は外国の話をするようでありますが、例えばアメリカにおきましても、こういつたような会計検査を厳密にやらなければならんということは、国会で何度も問題になつておる。例えばフーバー・コミツテイーでありますか、一九二九年でありますか、これは官庁の事務の用品、これを標準化させることによつて国費を節約させるというようなことから出発しまして、最後には会計検査の問題にまで及んで来ておるわけであります。そしてアメリカにおきまして、これはイギリスにおいても然りでありますが、或る程度の何というか、政府の国庫の金を扱う者、或いは物品を扱う者においては、例えば物品を出すとか或いは金を支出する場合、その出す受取る、それから使つた末端における金の授受、物品の受渡し、受取り、こういつたようなものが一目瞭然にわかるようにする。もうどこでも、例えば本省におりましても、或いは中間の日本で言えば県庁におきましても、或いは地方の土木出張所に行きましても、これが一目でずつとわかるようになる、こういつたようた考案は、私は農林、建設、運輸或いは文部その他におきましても、大体私は金の支出の仕方というものは同じじやないかと思うのでありますが、そこにやはり共通な、国家として国庫の金を支出するのは如何なるときにおいても、こういうようなシステムに則つてやらなくちやいけないというようなところを、私は是非考えるべきじやないか、それがためには会計検査院自体でできなければ、これはやはり民間の学識経験者まで動員して、もうこれほどの国民の税金が乱脈に使用されておるというこの事実に対しては、公共土木費千五百億の二割や一割の金を使つても、二年三年の時間を費しても根本的にこういうことをいろいろチェックすることについては、私は国家としてもう少し考うべきではないか。会下計検査院としては、外国事例等を精細に研究されて、如何にこれをチェックするかということは当然研究さるべきことじやないかと思う。今の小峰局長お話によると、まだそういつたようなことをやつておらないように伺うのでありますが、これは国家として重大なる問題であるから、会計検査院はこの点について、何かの新しい、人間が何とかしようとしてもできないような機構を作るということが私は必要なんじやないか、かように考えるからその点。  もう一つの私の質問はこれは先ほど食糧庁の長官を呼んで、外米の輸入の点についていろいろ各委員から質問があつたのでありますが、これはこうして決算委員会に来て、各省の政府委員或いは説明員が来て、会計検査院から不当支出或いは批難事項として指摘されたことを、ただこれはもう会計検査院が指摘された通りでございます、遺憾に堪えません厳重に注意いたします、或いは免職、訓戒をいたします、これで国会の決算委員会においては話が済むように思つている。成るほどそれは金を横領したもの等については、免職をしたというような事実はございますが、金額の大きな極めて知脳犯的な国庫の濫用に対しては、濫用したような考に対して、或いは国民に非常な損害を与えたような者に対しては、えて厳重に注意をするということで、すべてこれは今日まで済んで来ておる。これはあなたも御存じだと思うけれども、曾つての戦前の貴族院におきまして、決算委員会において、例えば五百万円六百万円以上……百万円以上の金が不当の支出をされたという事態が摘出された場合に、所管大臣初め関係の局部長は当然辞職或いは免職になつたものです。併し今日この終戦後におきましては、我々面前で、大臣以下局部長が来て、互いに遺憾でございます。厳重に注意いたします、これで国民の税金を無駄に使うというようなことは了承されたことになつておる、これは非常に遺憾だと思う。昨日平林委員から強くこのことを指摘されましたが、これを単なる減俸や免職、免職は最後でございますが、厳重な注意ということで今日の腐り切つた風潮の中で、それでこういうような乱脈をチェックできるかどうか。この罰則規定というものに対して会計検査院は何かこれに対する一つの案を持つておるか。例えば百万円以上のものについては、これは今後これだけの処罰をする。或いは百万円以下であつても、その性質によつてはこれは極刑とも言うべき免職をするとか、刑罰的な意味からこういう不当なる事実をですね。チェックするようなことを考えられたことがあるかどうか。この点を伺います。
  10. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 山田さんからいろいろ御質問ございました。お答えいたします。最初にちよつと御了承を得たいのでありますが、先ほど私が申上げました件の早期の災害復旧費の検査した中で、三分の一ほど事業費が減る結果を来たした。結局廃工なり何なりにするわけでありますが、検査の結果、或いは便乗工事或いは設計の中に水増しがある。こういうものが約三分の一近くあつたわけであります。これはそれで今申上げましたような便乗なり水増しがそれだけあつたために、結局工事着手前に災害復旧事業費をそれだけ減らす。こういう意味で申上げたのでありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。  次に災害復旧事業工事関係で二割ぐらいが減つてしまうことは常識だというお話がありましたが、私どもはいろいろそういうことは耳にしておるのでありますが、形式的には、現在の国庫補助というものは、末端の事業主体まで一文も減らずに行つておることはこれは事実であります。ただ国庫補助を獲得するために、別の面の事業主体経費を出費している。例えば東京に陳情に来る、いろいろな関係で別な出費を伴うということも、これも事実のようでありますが、国庫補助金は途中で消えるということは現在の制度ではない。一応末端まで国庫補助金そのものは必ず届いておるということは原則的にいえるのでありまして、決して国庫補助金が途中で二割なり三割なり消えてしまうということは形式的にはこれはないのでありまして、ただ実質は今申上げました通り、仮に百万円の国庫補助を獲得するために、東京へ多勢で陳情に来る、或いはいろんな金を使う、そのために二十万円使つてしまつたと、これは別のほうから経費が出ますから、実質的には二割の出費があつたということはいえるかも知れませんが、国庫補助金そのものからはそういうものは直接使われるということは現在の制度の上からいつてできないということになつているわけであります。  それから不当事項、不当経理というものがたくさんに年々出て参る、これに対する経理的な手続というようなものの改善を会計検査院として考えるべきではないか。誠に御尤もでありまして、外国の例もお引きになりましたが、アメリカのフーバー・コミツテイの例、こういうようなものも一応は調べてございますが、アメリカではこの会計検査院が指導権を持ちまして、大統領直属の予算局というものと協同してやるということに制度がなつております。日本はこれは遺憾ながら現在そういうふうになつていないのでありまして、むしろ経理手続というものの改善の指導権は大蔵省に制度上はあるわけでありまして、私どもといたしまして検査の結果知りました事実を大蔵省に一応現在もしておりますが、参考に供するというようなことは、これはできるのでありまして、私どものほうとして大蔵省を差置いて、そういうことをどんどんとやつて行くということは、意見として出す分にはこれはよろしいかと思いますが、制度の上では現在は大蔵省が経理手続というような面につきましては、共通的な改善事項というものの音頭をとるということに現在はなつているわけであります。これは決して会計検査院として責任を逃がれるという意味で申上げたのではないのであります。御了承願いたいと思います。  それから不当事項責任者に対してのむしろ処罰の、行政罰というようなものを会計検査院として考えるべきではないか、こういうのが最後にあつたようであります。これは現在のところ予算執行職員に対する責任に関する法律というものがございまして、これに該当するものにつきましては、会計検査院としては勿論やつておるのであります。その他のものにつきましての現在の各省の取扱いが非常に緩いということも、これもまさに事実でありまして、国民の立場からいたしますと、先ほどもお引用になりました昨日の食糧の問題、二十七年度にはもつともつといろいろたくさん食糧関係の大きな問題が検査報告に載つておるのであります。こういうものを取扱つておりますと、誠にこんなことでいいのか、国民に対して誠に済まないのじやないかという印象をつくづく私どもとして受けるのでありますが、現在のところでは会計検査院といたしまして、個人的な身分に関する処分のイニシアテイブをとるということにも、実はなつていないのでありまして、これも会計検査院としてもつと強く処分ということを考える必要はあるかと思いますが、制度の上では現在のところそういう状況であります。御了承願いたいと思います。
  11. 山田節男

    山田節男君 最後に、この今の各省の政府委員が来て不当事項、不当経理、或いは批難事項に対して、申訳ございません、遺憾でありますということ言うて、これこれの処置をいたしました、免職ということもありますが、非常に厳重に注意しますとか、或いは注意をいたしましたとかいうようなことは、これは私詳しく知りませんが、公務員の何か服務紀律か何かに、或いは公務員法の中に会計上不当な行いをした者に対しての何か処罰的なものがあるのですか。それともこれは、今あなたは専門家だからお伺いするのですが、欧米諸国でこういつたような不当な国庫支出をしておる者に対して、会計検査院として処罰の認定をして、これは免職をするという刑事民事の問題になる前に、そういう事態が明らかにされた以上は、公務員として当然免職にすべし、減俸にすべし、減給にすべし、注意すべし、そういうような会計検査院一つ査定をすることがあるのか、こういう点お伺いしたい。
  12. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 現在各省で処分をしておりますが、これは厳重注意というようなものは、曾つての官吏服務紀律によるものであります。現在では国家公務員法で免職、停職、減給又は戒告、この三色が認められております。正規の懲戒処分であります。それから外国の例でありますが、幾つかの事例も調べたこともございますが、会計検査院が免職しろとか、或いは減俸しろとかいうことについてのイニシアテイブをとるということを私は寡聞にして存じておりません。アメリカではこれは法律違反、アメリカは御承知かと思いますが、法律が非常に細かいのでありまして、日本のように、日本は昔から法律が割合大ざつぱであります。最近は非常に細かいのが出ておりますが、大綱を法律できめるというような方針を昔からとつておるのであります。アメリカでは細かいことまで、手に手をとるようなことまで細かく法律規定しておりますが、それはそれで、違法事項というのは、法律に、直接文字の上でぶつかる、抵触するという事項も、日本に比べて非常に多いのであります。日本は今言いますように法律が大ざつぱでありますから、法律に、直接文字の上で正面衝突する、抵触するというのが比較的少い。事態にぶつかつてみますと、法律の条理の上では確かにこれは悪いというようなものでも、法律の、文字の上から行きますと適用条項というようなものがないというようなことを、私ども始終経験しておるのでありますが、アメリカでは適用条項が非常に多い。そこで法律違反の事項はことごとく弁償の対象になるという制度を昔からとつております。違法の事実は弁償する。そうして金を支払つてしまつても、債権者に対して支払いましても、それは無効だ、こういうようなことが昔から行われております。現在でもそれが一般に制度化しておるのであります。この違法かどうかという判定は、会計検査院に相当する役所がやるというのがアメリカの制度でありますが、そうして今の会計検査院が違法だということを認定しますと、それは弁償するなり取戻すなりということが必要になるわけであります。そのために今度は逆に信用保険ということが発達しておるわけでありまして、会計検査院からそういう認定を受けますと保険会社に払つてもらう、こういうことが一般に行われております。本人が払うということは保険料だけ、実際には、個々のケースに対しては保険会社が払う、こういうのが非常に広汎に行われておるのであります。日本ではまだそこまで勿論行つていないのは御承知の通りであります。それからアメリカも今の金銭賠償ということは相当徹底しておりますが、行政罰ということになりますと、これはやはり各省各庁の事項でありまして、会計検査院がそれに対してイニシアテイブをとるということは聞いておりません。
  13. 山田節男

    山田節男君 それに関連して、今の小峰局長のおつしやることからいうと、決算委員会に各政府委員が来て、この事項についての責任者はかように処罰しますという公務員法できまつている免職、減給、戒告或いはここでは厳重に注意するというようなことを言つているのですが、このことは各省が主観的にそういうことを査定しているのか。若しこれが例えば減給であるとか或いは戒告であるとか、戒告したと、こういう各関係省が査定をして処罰をした場合に、会計検査院が見られてこれはどうも戒告では軽過ぎる、これは減給或いは免職すべしというようなことも現行法では発言権がないということを意味しているのですか。
  14. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今の御質問でありますが、これもまだ具体的のケースは会計検査院で問題になつたことはないのであります。例えば公務員法上の正規の戒告をやつたという事案に対しまして会計検査院としましてはこれは甘過ぎる、当然に減給すべきであるというようなことが問題になりました具体的なケースはないのでありますが、今先ほど御紹介いたしました予算執行職員等の責任に関する法律、これの解釈といたしましては、私どもで個人的な研究はしておるのでありますが、その結論によりますと、どうも公務員法上の処分というものは任命権者に専属するということが、現在の公務員法なり何なりの法制の建前であります。これが仮に間違つた会計検査院で認める、具体的に申しますと、軽過ぎるというような処分をしたといたしましても、会計検査院としてはこれに対してどうも直接にそれは軽いからもつと重くしろ、こういうことはできないんじやないだろうか。会計検査院といたしましては、若しそういう事態がありましたらば、この検査報告に載せまして、ケースを具体的に載せまして、この処分は不当に軽過ぎると思うということを国会に報告するという以外には方法はないんじやないだろうか。それから若しもその処分が不当ということになりますれば、これは人事院が公務員法の執行機関といたしまして、人事院は発動できるのであります。現在の公務員法によりますと、不当事案に対しての人事院としての発動権はあるようであります。会計検査院としまして、公務員法の規定を読みましても、ちよつと積極的に軽過ぎる、重くしろ、こういうことは今のところできないんじやないだろうかということは、  一般の見解になつております。先ほど申上げましたように、個々のケースがまだ問題になつておりませんので、会計検査院としての公的な解釈というものは、まだないわけでございますが、いろいろ勉強しておりまする者が持寄つた意見では、そういう結果になつておる。結局非常に不当に軽いという場合には、検査報告に掲げてその事実を国会に批難的に御報告する。そして国会の御判断を願う。こういうほかに現行法の解釈としては方法はないんじやないか。こういうふうに私どもは私見として考えております。
  15. 山田節男

    山田節男君 今のおつしやることは、日本の会計検査院には、いわゆる司法的な処分権といいますか、そういう一つの処罰に対する査定権はない、又それを指摘し、実行せしむる権限はない、こういうようにおつしやるんですが、会計検査院として、これはただ不当な経理を摘発して、そしてこれを関係各官庁に指摘する、そしてこれを国会に報告する。これが若しも日本の、何といいますか、人心といいますか、道義心が非常に高ければ、これは私はそれでいいと思います。殊にアメリカの労働関係法規、争議の調停、仲裁、斡旋等を見ましても、極端にいえば、刑罰ではなくて要するに輿論に訴えて、或いはそれを国会に論議をさして、道義的な面からこの不当な労働関係を調整するということになつているが、併し日本の現実はまだそこまで行つていない。そこで今任命権がある者がそれを処罰することについては、会計検査院としてはなんら発言権はない、いたし方ないと言われますが、これは現在は、現行法によればそうかも知れん。併し会計検査院の任務とする、少くとも国庫の支出金の不当な支出をチエツクするということになれば、私は会計検査院一つの司法的な権限を持たなければ、その任務は徹底しないんじやないか。日本の現行法ではないんでありますが、外国の例で、司法権といえば、非常に強く聞えますが、何かそういつたような制度を持つた国があるかどうか、若し御存じならば、その点をお伺いしたい。
  16. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 私の申上げ方が先ほどちよつと足りなかつたので補足さして頂きますが、先ほど申上げました予算執行職員等の責任に関する法律に該当する案件につきましては、会計検査院として弁償責任ということをきめるというのは勿論であります。これは会計検査院独自の見解で弁償金額とか、そういうものはきめるのでありますが、それから減俸とか戒告とか、こういう懲戒の内容というものも、例えば減俸十分の一で二カ月間が適当だ、こういうような具体的な意見は相手方に対して表示するのであります。これはあくまでも予算執行職員等の責任に関する法律の該当案件だけについて、そういうことが現在認められておるわけであります。これは意見の表示、適当と認める処分というものを表示して、意見の開示をするというだけでありまして、建前としては任命権者である各省各庁の長が、それを採用するとしないとは、建前としてはこれは自由であります。実際上は今までのところことごとく会計検査院意見通りの処分が行われておりますが、建前としてはそれを決定するのは任命権者にある、こういう建前になつております。  それから外国の例でありますが、どうも会計検査院といたしましても外国の例は相当に勉強しているのでありますが、身分上の処分権というものまで持つているという例は寡聞にして知らないのでありますが、イギリスもアメリカも或いはフランス、ドイツ、みんなそれぞれ違つたその国柄に応じた会計検査制度を持つておりますが、身分上のあれまで持つているという所はちよつと知つておらないのであります。現在の会計検査院制度は、御承知のように、昭和二十二年、従来のあれを根本的に改正して作られたのでありますが、そのときにも今の会計検査院法の三十一条と思いますが、この中で懲戒要求の規定がございます。このときも、アメリカ側の相当圧力が強かつた時代でありますが、アメリカ側の意見では、会計検査院が懲戒したらいいじやないか。それからもう一つ三十三条か四条でしたが、犯罪嫌疑のある事実を見つけたときには、会計検査の結果、そういう事実がわかつたときには、検察庁に対して通告するという規定がございます。これも会計検査院が告発したらいいじやないかという意見がアメリカ側では相当強かつたのでありますが、今までの制度、それから現在の公務員の身分上の法規、そういう関係において、それは無理だということになりまして、今の、会計検査院が懲戒するということはやめまして、会計検査院が懲戒すべきものと認めて本属長官に通知をする、こういうふうに現在の法律はなつております。それから告発も、みずから告発することは刑事訴訟法にはございますが、会計検査院法といたしましては、検察庁に対して事実を通告する。そうして告発は向うの検察庁の手にまつ、こういうようなことを現在の制度としてはとつているわけであります。
  17. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちよつと小峰さんにお尋ねとお教えを願いたいのですが、先ほど専門員が言われたように、まあ不当不正のことをして、そうしてそれがわかつた場合には、その金額を返せばよろしい。まあ、わからなければそのまま、結局悪いことをしなければ損だという言葉があつたと思うのですが、私は適切にそうだと思う。これは単にこういう会計検査だけでなくて、日本の選挙そのものがそうだと思うのです。法定選挙費用というものを堂々と作つておきながら、これを守つて落選する馬鹿がいるか、天下の大臣以下この範を垂れているのだから……。ところがそれを連座制にするかという声が出るというと反対するのですね。どことなく反対する。そういうことを考えて、まあ世の中は、特に現在の世の中は真面目にやつている者は馬鹿だというように私はとれるとも思われる。そういうふうな点から、会計検査の場合に、昭和二十六年度から二十七年度に移るにつれて、予算も増額されたけれども不当事項の件数はものすごく増加している。まあこの本が随分厚くなつているのをみても驚く限りだと思う。そういうのを見て、まあ実質的に相当会計検査院が御尽力なされていると私も思つておりまするけれども、麻袋の件にしても同じことが繰り返されている。こういうような点についてですね。やはり会計検査院自体としてはもうちよつと、国費を濫費したり不当に使用することについて、強い意見というものをもう少し、その都度々々ですよ。今度の場合なんかにおいても、不当件数何件と新聞なんかに取上げておりますけれども、もう少し注意を喚起し、或いは政府に、そういうことを強く何らかの方法で抑制するような方式をお考えになつたことがあるかどうか、ちよつとその点お伺いしたい。
  18. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 冒頭にごまかしをやるものは得だ、正直者は馬鹿を見る。誠にこういう事実が行われて、横行しておりますことは、お互いに私どもとしても非常に遺憾に思つているのであります。現在はまさに仰せの通りでありまして、補助金などいい加減にごま化してとつている、会計監査の結果見つかれば、それを返せばいいじやないか、こういうようなことで、先ほど専門員からちよつと今までほかで聞かなかつたような御意見で、実は倍にして返せとか三倍にして返せ、こういうようなことは今まで実はほかで伺つたことはない御意見でありますが、拝聴したわけでありますが、確かにそういうことを考えたくなるほど現在の事実はどうもよくない。全国で十万も、今年はもつと多い、昨年は災害が非常に多うございましたから、十万をはるかに超える件数になると思いますが、これを私どもはせいぜい今年は五%か或いはうつかりすると四%くらいしか検査はできないのじやないかと思つておりますが、見つけて一生懸命になつて洗い出しましても、全体から見ますと、逃げてしまうほうが多いというような事実でありまして、これは本当に何とかしないといかんのじやないかということを、痛切に感じるわけであります。昨日の食糧の問題も御引用になりましたが、誠にああいう問題が繰返されるというのは、私どもとしては遺憾千万に思つているのでありまして、殊に麻袋の案件などは、丁度会計検査院で二十六年問題にいたしまして、農林省もいろいろ折衝している最中に起つた。二十七年度の検査報告ができる直前に買つたのでありまして、私どもとしては実にどうかと思つて、当時も甚だむしろ腹が立つたのでありますが、ああいうものが平気て行われるという事態につきましては、誠にこれは残念なのでありますが、会計検査院といたしましては、新聞発表或いは新聞社が会計検査院から出ましたこれを種に自由な書き方をしたわけでありますが、会計検査院としては、現在のところ、この検査報告は誠にお読みずらいと思うのでありますが、官庁の正式発表文書とすると、結局こういうように骨と皮ばかりみたいなごちごちした文章になつてしまうというのでありまして、何とかこれをうまい方法で国民全体に了解して頂くというような方法をとつて頂くというような方法をとつたらいいじやないかということは、意見としては院内にも相当あるのでありますが、まだなかなかこれを具体的に実行するには、何分にもこれはヴオリユームにしますと相当なものでありましてこれを全般的にあれするか、或いは中から重要なものをピツクアツプして出すかという点につきましても、何かいろいろやろうとすると、意見が出ましてなかなか具体的に行かないというのが現在の実情であります。
  19. 岡三郎

    ○岡三郎君 それからもう一つは、先般新聞にも出ていたのですが、会計検査院の機構ですね、まあ二十七年度のが渡つて来ているわけで、こういう点についても非常に敬意を表するわけですが、併し当委員会審議状況というものは、大体二年ぐらいずつ遅れているわけです、実際は……。だからその当時不当なことをした役人がどこかに行つたりやめたり、それでまあ縁も縁りもないというと変ですけれども、新参の人が責め立てられて行く、こういう現象についてどうお考えになりますか。
  20. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の御質問、会計検査院局長としては甚だ申し上げにくいことでありますが、国民として考えまして、もつともつと早く一つ是非御審議が願いたいということを前々から私個人としては雑誌なんかにも書きましたし、いろいろ書いておりますが、何とか会計検査院、まだできないのかと言つてお待ち頂くくらいに一つできるものなら何とかして頂きたい。仰せの通りに、どうも責任者はやめてしまう、或いは偉くなつてほかに行つてしまう、そうして昨日の食糧にいたしましても、前谷長官は何ら直接には責任はないのでありまして、前任者或いは前々任者のことを、あれだけ皆さんのいろいろな角度からの御質問を受けて、もう一生懸命汗びつしよりになつて答弁しているのでありまして、誠にそれ自体としては妙な感じさえ受けるのであります。二十七年度も出ておりますが、待ち構えて一つつて頂けるように、何とかこれは、私どもとしては実は申上げるべきあれじやないのでありますが、お考え願いたい。これは国民としても本当にそれを衷心から望んでいるのじやないだろうかと、前々から考えている次第であります。
  21. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ極力そのような方向で我々も努力するつもりですが、もう一点、イギリスあたりで果して、私は直接行つて向うの件について専門的に調査したわけじやないけれども、罰金制度みたいなものですね、こういつたものが非常に額が多い。だから一遍悪いことをするということは、一生涯もう助からないというふうな仕組みになつていると、私はちよつと聞いたのですが、つまりそれほど不当なものに対しては懲罰的な額を科しているということを私は聞いたわけです。こういつた点はお調べになつたことがあるのですか。
  22. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 一般の罰金についてのイギリスの例ということは遺憾ながら私存じません。会計検査の面で申上げますと、イギリスは比較的成果を挙げている国の一つと言われております。これは各国大体会計検査の狙いというのが一つ二つなのであります。日本のようにいろいろな面を狙つて不当も違法も同じように扱い、行政の領分にも日本の検査は昔から相当に入つているわけでありますが、こういうようなところは比較的少いのであります。それだけに変なことになりますが、日本の会計検査のほうが比較的、或いはこれでも勿論十分じやありませんが、いろいろの変化に富んだ批難事項というものが多い。各国の検査報告よりも、むしろそういう面では進んでいるというと、これは或いは又お叱りを受けるかも知れませんが、そういうような傾向が多分にあるのであります。アメリカは先ほど申しましたように専ら違法事項であります。法律違反でなければ会計検査という面からとり上げない、ただ調査事項として国会の報告事項とする、行政的な改善というようなことは調査事項、本人の責任者の弁償というものを伴わない改善事項として勧告をし、議会に報告をするというやり方をとつております。イギリスは予算目的違背というものを探すことに主力を傾けているのであります。イギリスの、会計検査院に相当するもの、或いは決算委員会というものの生い立ちから見ましても、当初は予算目的違背を見付ける、予算目的違背というのは日本では軽く考えておりますが、これは議会をだましたことになるのでありまして、議会から或る目的のために或る一定額の金をもらうことに同意を得たわけであります。その当初の目的に使わないというのが予算目的違背なんでありますから、これは議会をだましたことになるわけであります。日本では予算目的違背というものは比較的軽く考えておりますが、イギリスでは非常に重要に見ております。そうして会計検査の主たる狙いは、予算目的の違背を探すということが狙いのようであります。罰金ということは存じませんが、予算目的に反したというものにつきましては相当に議会はやかましく、而もこれは大蔵省が大体日本とは大分違うのでありますが、大蔵省は議会と同じような立場におつて各省を監視するというようなことが昔から行われているようでありまして、議会は会議体である、議会というのは断続的になりますから、のべつ監視をして行くということはできないのであります。大蔵省が議会に代つて各省を監視し、国会で批難された事項についての是正ということを大蔵省がやる、こういう制度がずつと行われているようであります。最近のことは存じませんが、最近も変つていないだろうと思うのでありまして、各国そういうふうにそれぞれの成長の過程において違つた面があるようであります、罰金のことは遺憾ながら存じません。
  23. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一つ、大体不当事項をずつと通覧して、それぞれ係り係りでいろいろとやつておられるようですが、会計検査院として大きな事件ですね、大きな問題というような問題をまあ取りかかつて行く場合において、実質的に会計検査院の独立性というものと政治との相互関係というものは、私は微妙に生まれて来るのじやないかというふうに考えておつたのですが、会計検査院が独自にこういつた調査を進めて行く間に、政治の干渉というものが絶対になかつたのか、この点をちよつとお聞きしたいと思います。
  24. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 会計検査院の独立性ということは、世界中のどの国でもこれは考えていることであります。正しい会計検査ができるような配慮というものは、まあ小さい国は知りませんが、もう名前の知れた国ではどこの国でも考えている。政治それから強大な行政権、これからの干渉から守るということは、どこの国でもこれは考えていることであります。国柄によりまして同じものはございませんが、それぞれ或いは検査官の身分保障とか或いは会計検査院の財政の独立とか、こういうようなことをどこの国でも、これは考えているのでありまして、日本でも、これは明治二十二年に、旧帝国憲法ができましたときに、会計検査院が近代的な姿でできたのであります。そのときからその点は相当に考えておりまして、ただ考え方が実情に合わないので、まあ外部からの干渉ということは受けませんでしたが、ほかにいろいろな弊害が出た。こういうことで昭和二十二年に現在の会計検査院法ができたのであります。このときにも従来の弊害を除去する、而も外部の強大な内閣とか、或いは政治の圧力、こういうようなものに対して、そういうものに煩わされないで、公正な会計検査をやつて行くということは、これはもう現在の会計検査院法でも、十分にいろいろな配慮がしてあるわけであります。細かく申すのも何でありますから省略しますが、その結果とも思いますが、現在までのところ、私の知る範囲において、外部からの力によつて検査の結果を曲げるということは絶対にございません。これはですから外部から随分いろいろなかたがいろいろなことをいつて参りましたが、私どもが知らないことで、ああ、そうだつたかという事実を知ることはございます。そういうことはこちらが認識不足であつたわけですから、そういう面はいろいろ意見を伺つて、私どもの違う点を直すということは、ちよちよいやつておりますが、決してこれは圧力によつて不本意に、本意でないのにそういうふうに変えるということではないのでありましてそういうことは今までのところ絶対に私の知つている範囲ではございません。
  25. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはあつたなんていつたら大変だから、そんなことはいえないと思いますが、私どももそういうふうにありたいと思うわけです。それで会計検査院自体というもの、これについて、これは違うのですが、例えば数年前に、三菱化成が大きな脱税をやつた。そこに徴税官が行つてこれを調べる。いつの間にか帳簿を調べていた担当官が転勤を命ぜられて、そうして公正妥当な額ではなくて、もつと低額な税の割当になつたということは、我々最近、もう少し前ですが、それを見たわけであります。こういうことは非常に行われているのでして、例えば税務官吏がいろいろとこの税の割当てをしている場合に、これに対して監督官みたいなものがありますね、制度としては。ところがそれは課長以上には地方においては干渉しないというふうなことになつている。こういうふうな点について、なぜ課長以上を監督官が監督しないのかというようなことも不思議になつて来るのですが、こういうふうないろいろと制度上において問題がある点について、具体的に会計検査院がそういつたような事柄を知つた場合に、それを改善するための方式を、何らか各省にこうしろ、ああしろというふうに示唆し、そういつたものを推進することができるわけですか。
  26. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 検査の結果、具体的な不当事実がわかりまして、これが経理に直接に関係がある、こういうことになりますと、現在の法律改善意見ということが出せることになつております。先ほどの国庫補助にいたしましても、支出負担行為制度というものが、先ほど来、専門員からもお話があり、私からも申しましたが、これなども改善を要する事項として、正式に会計検査院法の規定によりまして改善の意見を表示するわけであります。その他にもこれは相当ございます。それから正式の表示ででなくても、局長なら局長名の照会という形で、こういう事実があるが、これはこうすべきだ、こういうふうな意見を一般にこれは出しております。
  27. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の監督官が課長以上は監督しないなんということについては、あなたの意見はどうですか。
  28. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これはどうも具体的の制度の一つの運用でありまして、課長以上は監督すべしという条項を入れるわけにもちよつとあれなんですし、具体的の一つの制度の運用という面になるのですから、これはそれぞれの役所で、やはり技術的によい運用をやつて頂くよりほかにないのだろうかという、こういうふうに考えております。
  29. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一つ会計検査をして行く場合に、この前虎の門事件あたりで、会計検査院の役職の人がこの問題の渦中に入つていろいろとこうやられた。こういうことになるというと、非常に問題がむずかしくなるわけですね。それで実質的に職員の訓練をしなければならんとかいうことを、検査院としても、これは院長が言つているわけですね。そういうふうな事柄が仮りにしばく起つたらですね。お家の安泰は危なくなる。そういう点で十分注意せられていると思うんですが、こういうふうなことを、ずつと終戦以来通覧して、どの程度つたかお伺いしておきたいんですがね。
  30. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 誠に私どもとして痛い御質問なんでありますが、これは虎の門事件のことに関連しまして、会計検査院の職員の者が、これは下つぱの者でありますが、二名ほど介入いたしまして検察庁の御厄介になつた、こういうような問題が出たわけであります。実はあの問題は私が所管局長のときに見つけまして、火をつけたわけなんであります。当時私の部下であつたわけでありますが、非常に残念に思いましたし、申訳なく感じているわけであります。会計検査院としては、従来しばしば皆さんからも伺うのでありますが、皆さんに相当に強く信用して頂いており、これが国民全般の間で、そういうあれが強いということは私どもも伺つて大いに感激もいたしますし、変なことをしては相成らんという気持も相当に強く持つているわけなんであります。ほかの省を引合いに出しては何ですが、ほかの省に比べますと、ほかの省と事件が同じにあつたら大変なんでありますが、今までのところそのために検査の上で問題を起しまして、検察庁の御厄介になつたという例はそう実は多くないのでありまして、この間のあれは稀に見る例なのでありまして、あれによりましても、これは院長以下皆相当に相済まないということを痛切に感じているわけでありまして、職員の訓練、殊にただ業務上の仕事をおぼえる訓練というよりも、徳性上の、人間としての向上と申しますか、こういう面も相当に会計検査院ではやかましくしておりまして、かくのごとき大事件にならんでも、ちよつとしたような事件がありましても軽い者は課を変えてしまう、そして出張に出さん。或いは重い者はすぐに辞表の提出を求める、こういうようなことがほかの省に比べて相当厳格に行われているのではないだろうか、こう思つておる次第でありまして、これは皆様の御信頼に是非応えて行きたい、こういうつもりでやつておるのであります。間々稀れな例でありますが、ときどき馬鹿ものが飛び出して、えらい信用を落してしまう。誠に私どもとしては残念に思つておる次第であります。
  31. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も一、二お伺いしたいと思いますが、特にこの小委員会で取上げている補助金の問題に関しては、その中核をなすものは、やはり如何にしてこれを改善するかということに我々の主目的があるのですから、従つて先ほど専門員やら、或いは小峰局長の極めて概括的な説明を伺つてみても、こういつた補助金行政をめぐる不正、不当支出というものが決して減つておらないのみならず、かなり件数等から言うと殖えておるという傾向にあるわけでありますから、これを何としても未然に防がなくちやならないし、こういうことを一年々々改善して行かなくちやならないと思うのですが、そのためには、これは我々が取扱つているのは、昭和二十六年、七年という古い事件を主として取扱つておるわけですから、そういつた古い事実ではあるけれども、この古い事実の中から、私はこれから起ろうとする不正件数を予防する措置があるとすれば、私は結局そういつた不当不正の責任者に対しては、適正な処置をするということにかかつていると思うのです。これに関して先ほど各委員からいろいろ御質問がありましたが、我々決算委員が、特にこの点を痛感しておるだけでなしに、恐らく国会全体の問題であり、こういつた事実をあまねく国民が承知をすれば、もう国民挙げて、この点に関しては現状に放任することは承知しない。従つてども決算委員をやつて今日まで二年近くなりましたけれども、一番遺憾に耐えないのはこの点である。しかもれつきとした国家公務員であり、国民の公僕として信頼のもとに、こういつた国民の血税の予算執行をやるに当つて、依然としてこういうことがもう終戦後今日まで改められておらないで、ひとり補助金のみならず、批難事項というのは、件数においては年一年と多くなる一方なんです。これは検査の技術の向上したということもありましようけれども、併し検査をもつと量を多くしてやつて行けば、更に私は件数というのは殖える一方だと、こう思うのです。ですからそういう点から考えても、我々がこの件に関して痛感しておるだけではなしに、このことに専念しておられる会計検査院で、これを改善する対策については、私は相当具体的な案をお持ちになつておることを、実は期待しておつたわけです。只今の質問等によつては、まだ私どもの聞いたところで、はつきりもいたしませんが、この問題については、特に参議院の決算委員会としては、私はどうしてもこのままで推移することは許されない問題だと思うのです。これはこの機会に徹底して、これが対策を我々委員会として考究をして、そしてさつきのお話のあつた予算執行職員等の責任に関する法律なり、或いは公務員法なり若しくは会計検査院法なり、そういつた既成の法律の改正等によつて、これが可能であれば、これが改正等について我々として意見をまとめることも必要だと考え、なお、こういつた既成の法律に若干手を加えるという程度では、どうしてもこれが予防なり或いは軽減、改善の措置ができないとすれば、我々議員としての立場で、別途にこれが対策一つ協議することが必要ではないかと思います。私は特に補助金を取上げた小委員会として、一番のやはり狙いはそこにあると思う。これは一つ参議院の決算委員会としても、前々からの懸案でありますから、特にこの点について、この機会に私は国民のために、我々としては最善の努力を以て、これが改善と予防に対する明確な措置をこの機会にとりたい、こう私は熱望しておる一人でありますので、先ほどの小峰局長の諸外国の事例等についての参考の御意見等もありましたが、私は本日は建設省関係審議に入ることを止めて、若し速記をつけぬことによつて、多少でも個人的な見解なり、或いは個人的な今までの調査研究等の試案等も、恐らくお持ちになつていることだと思うので、できれば関係以外の方には一つ出て頂いて、若干の時間を借りて懇談の時間でも得られれば、今後のために私は仕合わせだと、こう思います。これを一つ委員長に提案をいたします。
  32. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今飯島委員から御提案がございましたが、速記をまず止めて、そうして今の点について懇談をしたいということでございますが、如何でございましようか。
  33. 山田節男

    山田節男君 私それに反対いたしませんが、先ほどの飯島委員が提案されたこの試案ですか、これは私最初から小峰局長に質問して、検査官或いは院長に質問を当然すべきことを、今日小峰局長にしたわけでありますが、小委員会としては補助金に対する審査をする特別な委員会になつているわけであります。これはほんの序の品でありまして、今後会を重ねて会計検査院と同時に、各関係官庁責任者を呼んで、補助金の運用について審査すれば、これはいろいろの事態が出て来るだろうと思う。今日小峰局長から会計検査院としての概括的な説明或いは対策に対する意見等を聞きましても、とにかく補助金というものが非常に濫用されているということは、これは事実です。飯島委員が言われたように、これを如何にチエツクするか、これを防止するか、これが主眼でなくちやならん。これは会を重ねて後に、私は結論として各委員に、小委員会にお諮り願つていいと思いますが、大体そういう飯島委員が言われたような目標をおいて、そうして結局は会計検査院の機構の改正であるとか、或いは拡充強化であるとか、先ほど来、小峰局長に質問申上げましたように、もつと多額な費用と人材が余計要るかも知れないけれども、併しそれを以てなおペイするのじやないか、それだけの金を使つて会計検査院を拡充強化し、又検査方法をもつと科学的にならしめるということが、結局国から言えば、むしろそのほうが有利じやないか、ここらが私は今後の審査によつては結論が出るのではないかと、私個人はさように感じております。ですからこの小委員会としまして補助金に関する特別の審査を付託されたわけでありますから、親委員会に対しても、この小委員会としていろいろ審査をした結果について報告する際には、これが対策というものに対する相当具体的な案を私は報告すべきものだと思う。従つて補助金の運用に関する会計検査院意見を聞くと同時に、関係各官庁の実際を調査いたしまして、その結果はやはり今飯島委員の言われたような目標に持つて行くという議事の進行をして頂けば、これは非常に私は有利だと思うのです。  それからもう一つ、これは親委員会で申上げることかも知れませんが、例えば昨日中途で質問を打切つたわけでありますが、例えば二十六年度の会計検査院の報告の七百七十二号ですか、その金額の莫大なこと、これは二十六年、二十七年、二十八年、二十九年の、もう一千五百万以上の金を使つている、この事案についてのこれは一つの批難事項でありますけれども、こういつたようなものは、これは補助金としては勿論別個の問題でありますが、併しこの小委員会として補助金補助金だけである、更に例えばこの食管特別会計というものは金額においても、量においても莫大なものであります。そういつたようなことも、補助金の濫用の状況を調査するということと同時に、当委員会としてはやはりその審査の過程においてこういつた食管特別会計のような、こういうようなものを、これは一つの類推解釈すれば、実にこれはもう恐ろしい私は問題を控えていると思う。ですからそういうようなことも、一つこの委員会として考えながら、目的は会計検査院を主体として、如何にこれを防止するかという具体的な方策を、各委員から意見をまとめて、それを親委員会に報告する、こういうふうに一つお運び願えれば私は結構だと、かように考えます。
  34. 東隆

    東隆君 飯島さんの話もなんですが、私はこの間違つたものを罰するという、その点も当然必要だと思うのですが、この場合に考えなければならんことは、会計検査院とそれから各省との間に批難事項に対する見解の相違があるのがあるのです。こういうようなものや、それから会計検査院検査の場合においても、情状酌量をしなければならんようなものが相当あると思う、それは私はそういうようなものは、背後に法律が悪いとか、或いは制度が悪いとか、そういうようなものが相当あると思う。それで前の原形復旧の問題なんかは、これは原形復旧をすることは、それ以上のものがやつて来たときには又やられるということなんで、常識から考えてもおかしいので、改良工事をやらなければならん、こんな問題を、これはまあ当然な話なんだけれども、併し予算がないからそこでとどめておつた、こういうことだろうと思う。従つて検査をする場合には、法律規定しているところによつて、それを検査する、又そのような事態が発生する場合が非常に多いと思います。それで審議をするに当つて意見の対立をしているもの、或いは情状酌量を要するような中味のもの、そういうようなものに対して、どこに欠点があるか、そういうようなことを私は審議を通して明らかにして、そういうようなものを基礎にして、もう一歩進んで法律規定、制度そういうものに対する意見をまとめて行かなければ、会計検査院の結果だけを見て、そうしてかれこれ言うようなことは、私はそこの点に決算委員会として集中すべきものがあると思う、こんなような考えかたがいたしますので、これは結局飯島さんの言つたことと一致することになると思いますけれども、そんなような考えかたで審議一つ続けてやつて頂きたい、こう思うのです。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も帰するところは同じでして目的はやはりこれを防止するということにあるわけですから、それに到達するための経過措置としてはいろいろあると思うのです。ですから我々に与えられている資料というものは、過去の事例を基礎にしてその目的に到達する以外にはないと思います。私は特にさつき申しましたが、予算執行の職員等の責任に関する法律であるとか、或いは会計検査院法に規定されておる、さつきちよつと話のあつた、曾つても問題のあつた三十一条であるとか、三十四条の問題であるとか、或いは公務員法の中に規定されておる身分関係の点であるとか、或いは同じく会計検査院法に規定されておる改善に関する意見を具陳するというような問題、それらに関しては、我々以上に会計検査院のいろいろなそれぞれの部局においてかなり、たとえ総合されてはおらなくとも、或る程度意見というものがあり、資料があると思う。ですからそれらをこの小委員会に、できれば専門員等で一つ関係方面に手配をして、審議をする場合の資料として提出をして頂きたいと、こう思うわけです。私が今申したのはほんの二、三の事例でありますが、目的は如何にしてこれを防止するかということにあるわけですが、それの参考になる必要資料を、今すぐとは申しませんから、できるだけ詳細なものを頂いて、そして審議の過程において、これを一つ十分参考にして行きたいと思います。その資料一つ提供して頂きたいと思います。
  36. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今の飯島委員の言われたような資料をできるだけ早く集めて差上げることにいたします。  なお先刻来、山田委員並びに東委員の仰せられたような各省との部分についても十分検討をしたり、殊に先刻説明されました専門員のほうにおきましても、ずつと条項を挙げて出しておりますから、こういう点も一緒に審議をして頂いて、そしてとにかく最後の目的は、こういう事例が次々と起らんように、いつまでもこれを防止することができんような状態では、国民に対して相すまんわけですから、是非一つ防止策をこの委員会においても大いに検討するということにいたして進めてみたいと存じます。  それからなお、先刻飯島委員の話のうちにもございましたが、今日は建設省のかたも来て頂きましたけれども、今日はこの辺で一応終りたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十一分散会