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1954-11-11 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十一日(木曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員森崎隆君辞任につき、その補 欠として木下源吾君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君            平林 太一君    委員            雨森 常夫君            石川 榮一君            白井  勇君            田中 啓一君            飯島連次郎君            奥 むめお君            亀田 得治君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            森崎  隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            堀  眞琴君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大沢  実君    日本国有鉄道副    総裁      天坊 裕彦君    日本国有鉄道経    理局長     石井 昭正君    日本国有鉄道資    材局長     小林 重国君    日本国有鉄道営    業局長     唐沢  勲君    日本国有鉄道施    設局長     佐藤 輝雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第二十一回決算委員会を開会いたします。  昭和二十七年度決算日本国有鉄道の部を議題といたします。  初めに検査報告不当事項千七百八十一号から千八百号まで、不正行為その他千八百一号から千八百三号までを問題に供します。先ず検査院から御報告願います。
  3. 大沢実

    説明員大沢実君) 日本国有鉄道検査報告について御説明申上げます。  三百九十頁から三百九十一頁に書いてあります点は事業損益財務諸表について掲げてあります。そこで財務諸表につきまして三百九十一頁に(1)、(2)(3)として掲げてあります点は、一つ会計経理上の我々の一つ希望点を掲げてあるのでありまして、第一の点は、国鉄修繕費でいろいろな工事をされて財産ができるという場合に、その財産を一応財産に計上されて、同時に財産額相当額補充工事引当金という名義で、一種の減価償却引当金と同様に引当金に計上されている結果から見ますと、一応計上された財産は、一事業年度内に一応償却されたという恰好になつている。これは経理上余り妥当な経理ではないのではないか。やはり財産に計上されたならば、或る年度減価償却年度におきまして、逐次償却して行くのがいいのではないかという点であります。  第二は、財産を撤去いたしました場合に、撤去する財産はまだ再評価しないところの元の低い価格で計上されております。ところが撤去したため出た発生品、これは現在の時価で評価して受入れられますので、むしろ撤去するとプラスマイナスで、本来なら撤去してマイナスになるところをプラスが出て来る、そのプラスを未整理負債というような恰好で計上されて繰延べておるわけでありますが、これも撤去して利益が出るというような経理そのものは余り妥当ではないということと、差額だけを未整理負債に挙げておる、これは撤去したものの損失は落し、発生した材料を利益として計上するほうがいいのではないかと思います。  (1)(2)の両点は、国鉄におかれまして固定資産の再評価をされれば、当然これは問題が解消する問題であります。固定資産再評価に至るまでの過渡的な問題といたしまして、一応こういうことになつておるかと思いますが、ともあれ余り妥当な財務諸表経理状況ではなかろうと考えます。むしろこれは速やかに固定資産再評価をされて、こうした問題が消えるようにするのが妥当ではないかと考えます。  それから(3)に掲げてありますことは、その年度経費に落しました一部を振替車両保守引当金施設保守材料引当金というような引当金として留保されまして、翌年度で使用されておるということでありますが、一応当該年度経費で出すべきものを当該年度とし、翌年度経費で出すべきものは翌年度経費で出すということが妥当ではないか、同時に若しも経費を各年度均分にするという意味におきまして、或る程度の引当金を計上するとするならば、どういう基準でこの引当金を計上するかという基準を設けておく必要があるのではないか、只今のところは予算の残額のうちから、一定額引当金という名義で翌年度に実質上の繰越しをして、それを翌年度で使用しているというような状態になつておりますので、この引当金制度ということに対する再検討が必要ではないか、こう考える次第であります。  尤も(1)、(2)、(3)は、国鉄のほうとされましては、現在のところこのままの方法を維持したいという御意見であります。それでも別にそれをしたから特に悪いということにはならんかと思うのでありますが、できるだけ正当な財務諸表を作るという方向にすることが必要ではないかと存ずる次第であります。  次に工場経理について三百九十二頁に書いてありますことは、工場原価計算制度、その他一応規定上は整つておるのでありますが、実際にこれを実地検査をされまして各工場経理状況を見ますと、ここに書いてありますように、改造工事として資産に計上すべき仕事を、修繕工事としてやつております。或いは一応この材料修繕は、これだけの金額でできるという指定修繕費というものを示達されますと、それに合うように決算のほうを持つて行く。そのために車両の修繕には使わなかつた材料を、故意に車両が修繕されたように計上しておる、或いは或る工場で現在余つておる材料を、ほかの工場保管転換の成規の手続きをとらずに移しまして、そこで使いまして、今度は受けたほうの工場でできたものを又後になつて返すというような点が正規の保管転換を行わずしてやつておる、その他工場経理原価計算上、相当まだ改善を要する点があるのではなかろうかと思われる点をここに掲げた次第であります。そのほかにも工場帳簿外物品相当つておる、これはいわば一つ緩衝帯といいますが、それを使つて工事をやつて、それが決算に正規に出て来ないということが相当見受けられますので、これは工場経理についての一段の整備ということが必要ではないかと考える次第であります。  次に三百九十二頁から三頁に掲げてあります志免鉱業所工事予算の問題でありますが、これは甚だ技術的な問題で困難かと思うのでありますが、申上げようとする趣旨は、一つの資本を投資するならば、その投資が有効に活用されるという目安がついてから、巨額な投資がされるべきではないか、これが、例えば林道をつけるとかいうような、林相がはつきりしておつて、そこに大きな林道をつけて枝葉を分けるというものならば、最初に大きな林道をつけるということはいいのでありますが、土の下の坑道を掘さくするというような場合に、断層やしゆう曲があつて賦存状況相当変更することがある、それに当初から大きな立坑、それから横の坑の余り大きなものを、そこに投資するということはどうであろうかということを考えて、掲げておる次第であります。  次の三百九十三頁の末行から次に書いてあります建物の部外使用は、具体的な事例があとにありますから、一応除外しまして、その次の受託工事費予納、これは決算委員会でも前にいろいろ御意見があつたかと思うのでありますが、原則としましては、これは当然契約する前、或いは事務費ならば、その一カ月分を前月末までに予納さして仕事させる、そういうことにしなければ、契約して予納金がないと、そのために仕事が行かないという懸念もありますので、そうした根本方針をとるべきでありますが、先ほど来御論議になりました鉄道会館の問題とか、或いはその他車両工場等予納金を受けない先に契約して、尤も支払うときは予納金は支払つておるのでありますが、受けない先に契約しておる事例がありますので、こうした点は考慮を要する、やめなければならんと思います。それから予納金を納める場合に、成規の出納機関でない、例えば工事事務所というのは出納機関はないのでありますが、この工事事務所受取つて、それを管理局出納機関のほうに渡しておる、いわゆる現金を正当な出納機関でないものが一応受取つておる事例がありますので、こうした点は当然正規の出納機関が収受すべきであると思うのであります。  次に工事用資材の交付についてと書いてあります。これは特に電気工事において多い例でありますが、国鉄におかれましては、資材局相当材料費を調達されて、それを各資材部のほうに配給されて、工事の場合に、主体のものは大体鉄道のほうから支給されるという方針でやつておられます。例えばレールとか電線とかその他を支給されるような方法をとつておりますが、この電気工事を見ると、こうしたものはむしろこちらで購入して支給すると安く行つたのではないかと思われる材料を、請負人持ちでされておる事例相当多い、これは二十八年度の今度の検査におきましては相当あるのでありますが、これはこちらで調弁しておつたのでは支給に間に合わない、その他の理由が多少あるかと思いますが、できるだけこれをこちらから購入したものを支給するということによつて工事費の節減を図るべきではないか、支給しても、向うが業者持ちでも別に変りがないのではないかという感じもするのでありますが、これは一つ予定価格をつみます場合、こちらから支給した材料については、相手方は金の手当もいりませんし、購入のためにはいろいろな手続きも要りませんので、大体その諸経費というものは五%程度見れば十分であるという予定価格を作つております。ところがこれを請負人持ちにしますと、工事費全体で曾つて大蔵省がきめました基準によりますと、二〇数%の諸経費を見るということになりまして、例えばもとの価格が同じでも諸経費率を余計多く予定価格に組むということになりまして予定価格に組んでいる。勿論契約価格が下廻ればいいのでありますが、ややともすれば予定価格に近い金額契約するということになりますので、できるだけ支給の方法をとつたほうがいいと思う次第であります。  次の物品の調達管理についてとして(1)に書いてありますのは死過蔵品の整理でありますが、これは従来国鉄におかれまして相当な死過蔵品を保有していた。絶えず我々としましてもこれは速かに利活用又はいよいよやむを得ないものは処分しなければならんのじやないかということで要求して来た次第でありますが、この二十七年度には相当大幅な死過蔵品整理計画を立ててこれを実行されたわけであります。まあその結果売渡差損はここに書いております一億四千万円ほど出ました。併しこれはこの差損が出たこと自体を呑めるわけではありませんが、この売渡の場合に死過蔵品が溜りますと、大量に売渡せばどうしても引受手がないので、勢い需要供給関係で安くなるというような関係もありますので、将来の問題としまして、なるべく死過蔵品を出さんように、陳腐化になつたものは速かにこれを利活用するなり或いは処分するなりということを個々の場合にもつと考慮して行けば、こうした死過蔵品を生じて、結局最後において売渡差損を生ずるというようなことがなくなるのではなかろうかと考える次第であります。  それから(2)に書いてありますことは揮発油調達納入の方式でありますが、この油類は契約によりますと、いわばどこへ納めても同じ値段だということになつております。そこで実際にはどうしているかと言いますと、一応用品庫に納めてそれから別に輸送賃払つて、それぞれ所要個所へ配給している。だからこれは何とか検収は業者のところで検収するなりしまして、或いは相当大きなところにはそれぞれ検収機関もありますから、それぞれの所要の現場へ直送させて、そうしてこの輸送費の節減を図るべきではないか。まあセメントにつきましても同様なことが言えるのでありますが、セメント相当大口は直接所要個所へ配給されております。それで揮発油、油類も最近相当又直接所要現場へ配給するという方針がとられているようでありますが、これはもつと徹底すべきではないかと考える次第であります。  それから(3)に書いてありますことはこれは枕木の保管料というものを日通その他に一本について一円か何かのものを払つて、いわゆる保険料的のものを払つて、若しもなくしたら弁償するんだぞということで保管料というものを払つているのでありますが、実績を見ますると、弁償さしたものは一つもない。ということはそれだけなくならないように世情が落ちついたわけであります。終戦後の混沌時代にはなくなることが多くて弁償もあつて、この保管料というものは一種の保険的なものとして効果があつたのであります。最近のように世情が落ちついて枕木などを盗むというものがなくなつた状態におきましては、こうした保険料的な保管料というものは払う必要がないのじやないか、こう考える次第であります。なお、これについては国鉄側でも検討されまして、もうこうしたものはやめて、現在まだ東北と北海道ですか、このほうをまだ残して検討されているというような状態であります。  以上総説に掲げましたことは、いろいろな見地から見まして将来それぞれ再検討を要するではないかと思われる点を述べた次第であります。  次に不当事項の千七百八十一号に入りますが、この千七百八十一号から八十四号まで、四頁程度に亘つて掲げておりますことは、一括して申しますれば、国鉄未収金に対する徴収意欲というものが非常に足りないのではないか、これが若しも自分の金になるのならば、こうまで放擲していないのではないかと思われるのであります。  千七百八十一号は私鉄との連絡運輸収入でありますが、これがここに書いてありますように一年以上も遅滞しておるものがある。それでも依然として連絡運輸契約を続けておられる。六カ月以上で十七会社、そのうち一年以上が五会社、こうしたものは運輸政策といいますか、その面でいろいろな困難もありましようけれども、国鉄一つの企業でありますから、いつまでも金を払わんところの会社連絡運輸を継続して行く必要はないのじやないか。速かに処理をすべきじやないかと考える次第であります。  次に千七百八十二号に掲げてありますのは、今度は運送会社等に対する貨物の後払運賃徴収であります。これもこの表に掲げてありますように非常に遅れている。大体後払は一カ月後払を契約上は認めておるのでありますが、実際はこの表でもわかりますように非常に数カ月或いは甚だしいのはもつと溜つている。これに対してこれは契約上は相手方が納めなければ後払契約を解除して正規な我々の、我々のといいますか、普通の運賃を払つて輸送する、この方法に移行することになつておるのでありますが、それの処理が遅れて後払運賃相当未収のまま溜つているという状況であります。これも速かに解除するものは解除して、そうしてその債権の取立てをするということに対する真剣な努力が必要ではないかと考える次第であります。なお、この点に関しましては最近におかれまして相当強固な一つ方針をとつて回収に努力するというような方針を決められたように承知しております。  次の千七百八十三号の土地建物使用料徴収処置、これもここに書いてありますものは大きなものを掲げた次第でありますが、まず貸しておつて徴収決定をしていない、契約もしていないという事例もあります。それから徴収決定はしているのだけれども、なかなか相手方が納めないのに、そのままにしておるという事例があります。これは契約上はこうした料金は予納、あらかじめ納めさせることになつておる。でありますから、予納しなければ当然契約解除その他の方法を講じ得ることになつておるのでありますが、ややもすれば、これが非常に遅れまして、非常な金額徴収漏れになつておるという事例を掲げてあります。まあこれはその貸付料の安いという点もあります。貸付料の安い点につきましては最近それぞれ評価委員会のほうに付議されまして価格の引上を策せられているようでありますが、取立てということに対しては、遺憾ながらまだ十分ではないと考える次第でありまして、もつと徴収についての真剣な努力が必要ではないかと思うのです。特に土地建物使用料はややもすれば国鉄本来の業務から見ますれば全体の金額も大して多くはないし、まあ副次的な収入だというような気持で取立てが少しおろそかになつておるのではないかというような気がいたしまして、併しながら全体としますると、相当金額になりますので、これの取立てに更に努力を払う必要があると考える次第であります。  次の千七百八十四号、これは食堂車で同じようにありまして、四月と十月に納入させることになつておる分を一年たつてから或いは半年たつてから、二十七年の四月と十月に納めさせる分を二十八年の五月にようよう納めさせておるというような状態でありまして、徴収処置が緩慢ではないか。今まで千七百八十一号から八十四号までの一連の問題としましてどうも未収金に対する徴収処置或いは徴収決定の処置というものが緩慢ではないかと考えられる次第であります。  次の千七百八十五号の石炭がら処理当を得ないものといいますのは、これは極めて微妙な経理をされたのでありまして、先ず岡山の鉄道管理局で各駅で石炭がらが発生する、これを取片付ける必要がる。これを広鉄工業株式会社にやらせる。ところがその金がないというわけで、結局ほかのほうでその財源を捻出して、それにやらせようということで、一部は石炭がらを安く売つて、七円で売つたやつを広鉄工業は四十数円で転売しておる。そこで立米当り三十何円という利益が出る。その分は全部が百十七万円くらいになる。それに今度は国鉄工事石炭がらを使用する場合であります。この場合には工事請負人が当然その石炭がらを積んで持つて行つて向うへ行つて作業する、或いは貨車に積んだところで受取れば、それからあとで作業することになるのでありますが、この場合にはあたかも表面上はこの工事請負人が積んでこの作業を行なつたということにしまして、立米三十円というものを価格に加えて、工事費に加えておる。ところが実際はその積込み作業は直営でやつたり或いは別個の請負でやつておる。いわば空に三十円というものを加えておるということになつておりまして、その三十円というものを広鉄工業のほうへ工事請負人から廻してやる。こうすると、それで約百十七万円、併せて二百三十四万円くらいの金が浮く。これで先ほど申しました各駅の石炭がらの取片付けを請負わせるのだとこういう方式をとつたのでありますが、まあ極めて奇妙な方式でありまして、国鉄で、岡山鉄道管理局で二百三十四万円ほどの炭がら片付け料が、鉄道経費は出ないわけもなかろうと思います。何もこうした隠れた経理をして姑息な手段を弄する必要はなかつたと思います。と同時に、今度は実際に、ではその二百三十四万円の仕事をやつたという各駅の状況、これは全部を把握できませんですが、その一、二につきまして広鉄工業のほうの出面会社のほうに頼みまして見せてもらつたのであります。広鉄工業のほうで使役したという人夫の出面と当時別途管理局が直営で使用した人夫の出面が、同じ人間が同じ日に出役しておるというような事態もありまして、この二百三十四万円という金を一体清掃に使つたかどうかということも非常に疑問も持たれるのであります。そこでそいつを我々の調べた範囲におきましては、その出面は両方ダブついておるというのは七十二人程度でありますが、まだそのほかにもそうした事例があつたのではなかろうかということを考えられる次第でありまして、この点はその後国鉄内部で精査されまして、もう少し余分に出面が重複したのがあつたということにして、その分だけが回収されておりますが、全体にこうした経理方針をとることは極めて妥当でないというふうに考える次第であります。  次の千七百八十六号は無線機発動発電機等の取替えをやつたのでありますが、これは発動発電機をいわば持つてつてくつつけて調整するという作業でありますので、発動発電機のメーカーから購入してこれを各方面に支給して、そして取付け費だけを、取付け工事だけを請負わせればよかつたのではないかと思われますが、それを日本電設とそれから新生電業という二つの会社発電機の調達から取付けまでの全体を請負わしましたために、これは約百万円ほどのものが我々の見たところでも高価になつておるのではないかというように考える次第でありまして、先ほど総論のところにかかげておりました支給材料とすればよかつたということも一つの現われであります。  次の千七百八十七号から千七百九十一号までに書いてありますのは、資材の調達の場合に、こういうものを欲しいという要求元の誤りやその要求を受けて買おうとする人の誤りやその他の誤りによりまして、所要のものが手に入らずに、ほかのものが手に入つたとかいうようなことで、相当のものが残つてしまつたというような事態でありまして、いわばこうした事態がありましたために、死過蔵品が殖えるのではないかと思われるのであります。  最初の千七百八十七号は百平方ミリメートルの硬銅より線を要求したのに百五十平方ミリメートルのものを買つてしまつた。だから直接必要がなくてその分が残つた。  次の分は車両に塗るところの防火塗料アルビーRというのを資材局で購入されて、各工場に配給されたのでありますが、各工場では、初めこちらが要求したのに関係がないので、何を何にどう使つていいかわからんというようなことで、そのまま相当の間退蔵されておるという事態になつております。  それから次の千七百八十九号は各要求元では移動式の台ばかりをほしいという要求に対しまして、購入される場合に固定式の据え付ける台ばかりを購入してしまつた。ところがそれを配給したところが各工場ではそれを据え付ける経費がないということで、当分台ばかりが遊休してしまつた、こういう事態であります。  それから千七百九十号は千八百メートルの鋼索を欲しいという要求に対しまして、間違つて一万八千メートルのものを買つてしまつた。そのために相当なものが使わずに残つてしまつたということになつております。  それから千七百九十一号はこれはちよつと又別の見地でありますが、大阪の用品庫相当手荷物切符に使うところの用紙が残つてつたわけでありますが、これは莫大な数量でありまして、とても大阪地区だけでは捌き切れん数量であります。でありますから、こういうものがあるということを各方面に熟知さしておれば、これを一応支給してこの手荷物切符用紙を印刷させるという方法がとられたのでありますが、これをただ持つてつたままでありますので、ほかのところの北海道地方資材部やほかでは別にこの用紙を交付するという方法をとらずに同じ手荷物切符相当なものを購入しておる、こういうような状態でありまして、各用品庫資材部間の連絡が十分であれば退蔵されておつたものも活用できたではないかと、こう考える次第であります。  以上一連のものはもう少しこの部内の連絡を密にすれば防ぎ得たところの退蔵品の生ずる一つの現われではないかと考える次第であります。  次の千七百九十二号、これも少し奇妙な話でありまして、ボイラーの中に入れるところの清罐剤、これはもともと本庁資材局が調達して各方面に配給されることになつております。国鉄内部では本庁調達品と地方調達品とに分けて清罐剤というものを本庁で調達して配給するということになつております。ところが広島の鉄道管理局ではその本庁から来るものがすでに品切れになつたということによりまして、別に同じような清罐剤をセイコー防蝕剤という名前になつておりますが、同じ仕事をやるのに清罐剤を購入されたわけであります。ところが会計検査院で調査してみますると、この購入された頃はすでに本庁から正規の清罐剤相当配給されておる。だからもともと購入する必要はなかつたものである。而もその購入したものは普通の清罐剤に比べて約倍という非常に割高のものである。而もその性能はどうかといいますと、大体成分としましては清罐剤と同じようなものであります。それから性能の点につきましては、確たる資料はないのでありますが、当時国鉄の一職員に鑑定してもらいましたところが、まあ五、六割くらいの使用効果ではないか、こういうようなことを言つております。まあ五、六割の点は一応除外しましても、清罐剤と同じようなものだとしましても、倍ほどの高いものを購入していた。而もこれがもうどんどん先ほど申しましたように普通の清罐剤が配給されますので、そのまま購入したものは殆んど使用されることなくして、二方四千キログラムの使用量のうち二十八年の三月我々が見たときには、まだ二万キログラムというものがそのまま使用されずに残つてつたという状態で、その後国鉄において使用されて現在は殆んどないようであります。こうした不要の而も高価のものを購入したことは極めて妥当でないというように考える次第であります。  次に千七百九十三号インド炭の購入、これは簡単に申しますれば、一応契約してインド炭が入つてしまつた。入つてしまつたあとで、あれは運賃が相当騰貴したために値増ししてくれという要求がありまして、次の数量の追加契約をされる場合に、遡つて前に入つてしまつたインド炭に対しましても値上げをして更改契約をした。そのために千二百八十万円程度のものが値上げとして支払われた。こういう状況になつおります。併しながらいろいろ調べてみますると、一応契約しまして、その後船賃が騰貴したというような場合は、大体においてこれは売主が負担するというのが普通らしい。ただ特約条項として運賃が変更した場合には、それだけのものは買主が負担するぞという契約でもあれば格別、それでなければ売主が負担するのが普通である。本件にはそうした特約がないのでありますから、当然これは当初契約した値段で購入されて然るべきであつて、その後更改契約して千二百八十万円の増額をする必要はなかつたのではないか、こう考える次第であります。  次の千七百九十四号、これは汐留の用品庫の深川貯材堀の原木の検収なのであります。ここに書いてありますように、この検収処置というものは、簡単に言えば殆んどなつていないと言つていいのではないかと思われるのであります。書いてありますように、樹種の違つた物が入つて来たのを、前の正規の契約の通りの物が入つたとして検収して払つておる。或いはまだ入つていないものを入つたとして検収して金を払つておる。それでまあ検査の頃は入つてはいたけれども、支払つた頃はまだ入つていなかつた。それに対して代金を払つたあとになつて物が入つたというもの、それから今度は深川の貯材堀で降さずに直接大井、大宮の鉄道工場に輸送するものがあるのでありますが、こうしたものは降したりする経費が節減されるという意味におきまして、相当金額を引いておるというのが従来の契約様式であつたのでありますが、本件の場合にはそうしたことをせずに、深川の貯材堀に入つたものとして、事実は大井、大宮に直送したものを深川貯材堀に入つたものとして検収しておるというようなものがある。こうしたいろいろな点がありまして、非常にこれは検収処置がルーズであつた。これを指摘しました結果、書いてありますように、先ず樹種相違或いはその他未納になつてつたというようなものに対しましては、その契約通りの品物はないので、仕方ないのでその後、米松だつたと思いますが、その他の材木を入れさせましてそれを評価しまして、それで契約のときの評価の原木の価格と、今度入れた原木との間でいわゆる代物弁済をさせた、一部は代物弁済をさせた。それから一部は大井、大宮に入れた場合の運賃の差額だとか、それから物は入つたといつて払つてから実際物が入るまでの間、その間の延滞償金、こうしたものを計算いたしまして、総額五百三十六万円というものを相手かたの木材業者に求償するということになりまして、そのうち三百五十七万円を検査当時収納しておりましたが、まだ百七十九万円というものが残つてつたのであります。その後調査してみますと、これは延滞償金のうちの一部は国鉄検査院の指摘に基きまして、全面的の調査をするために一時木材業者から納入を差しとめておいたという事実があるのであります。その差しとめておつた期間の延滞償金も弁済しております。この分は延滞償金から除いていいのではないかと考えられる分が、四十万円ほどのものがあると思います。だからその分はとることは或いは困難かと思いますが、そうした状況になつております。こうした検収の処置が非常によろしくないと思います。  次の千七百九十五号も九十六号も、やはり検収の問題でありまして、千七百九十五号は関東地方資材部の中央用品試験場で、これはいろいろ試験基準がございます。例えば反物は五千ヤードから一部を抜き出して、そうして検査するとか、或いは長靴は千足から一足を抜き出して検査するというような検査規準があるのでありますが、そうした検査をしたところが不合格になつたものを、今度はもう一度同じものの中から別の試料を持ち出して検査して合格したということにして、検収をしておるというものが相当あるようであります。これが大体そうしたものの納入されたものの金額を合わせますと八千三百万円ぐらいに上つておる。そのうち五千万円程度のものは例えば千足から一足を引き出して検査するというのは五千足の購入ならば五足検査することになります。その五足が全部規準に合格しなかつた、試験に合格しなかつたというものを、今度はその中から別のものを持出して試験に合格したということにして検査しておるというものが、契約金額につきまして五千万円からあるということで、折角検査基準を設けても、その検査基準が無視されておるというような状態になつておりまして、極めて検収処置が粗漏であると考える次第であります。  次の石炭の検収処置の点も同じでありますが、大体国鉄で石炭を購入される場合の試験は毎月三回以上試料をとつて、そうして平均値でカロリーを見るということになつてつたのであります。ここに掲げてあります上田鉱業の四月に納入した分は四回試料をとつて試験を行つた結果で、一応平均カロリーを出して代金を決定しておつたのでありますが、そのうち一回は極めてカロリーが低かつたというので、今度はその後におきまして、極めてカロリーの低い分だけを別扱いにしまして、その分は低いカロリーで検収して、あとの三回の平均でほかの分は平均カロリーをとる。一番悪いやつだけ除外しましたから、平均カロリーは上つた。そうしてその値段を追加払いした、こういうことになつております。その他同じようなことをやつたのでありまして、こうした折角きまつた検収方法でやつたやつを、その後になつて更正して追加払いをするということは妥当でない、こういうように考える次第であります。これはその後国鉄におかれましても、その妥当でない点を認めまして、その分は追加払いした分は回収したというように承知しております。  次の千七百九十七号、これは入札の場合に、大宮工場でいわゆる土砂、塵芥、石炭から、こうした屑を搬出しようという場合に搬出の入札をしたわけでありますが、一番安いのは予定価格立米当り六十円ということで入札したところが、零円で、搬出するというのに、入札したのがありまして、そこで、併しただでは少し心配だというので、その人に三カ月間契約して、その後に応じて又その契約を打切つてほかの人間と四十五円で契約しておる。こういう事例でありますが、零円で搬出するということに入札するならば、その零円で入札さして搬出させていいのではないか。むしろそれから考えますと、これは売り得るものではないか、売却すべきものではないかというようにさえ考えられる次第であります。少くとも零円搬出の入札があれば、それで入札通りに出してよかつたんではないかと考える次第であります。  次の千七百九十八号のドラム罐の洗滌修理契約、これは横浜の用品庫に集りますところのドラム罐を洗い、修理するという契約を入札したところが、一番札は日栄工業、それから二番札が鶴見油脂株式会社が入札をしたのでありますが、その場合に初めの入札の心得には横浜用品庫に集つたものを持つてつてやるんだぞということになつておりましたが、入札の結果二番札の鶴見油脂に、一番札を入れた日栄工業の値段まで下げさせて、そうして品物は鶴見駅の新興駅で渡す。それで新興駅へ集まらんものは横浜用品庫又は鶴見駅で渡すということの契約を更改されたわけであります。鶴見油脂という会社は新興駅のそばでありますので横浜用品庫で引取るよりも新興駅で引取つたほうが引取賃が非常に有利になるわけであります。若しもそうならば、その分の引取賃の差額というものは当然入札価格から更に引いて契約すべきではなかつたかということを考える次第でありまして、若しもこれを更改契約その他の方法で減額するとすれば五十万円程度のものが減額できたのではないかというふうに考える次第であります。  それから次の千七百九十九号、これはちよつと契約書の文章の点で問題になつたのでありますが、広島鉄道局でやはり石炭がらの片付けでありますが、これを請負わしてこれが契約書はあくまでも単価契約になつております。四十四円から五十八円であるから、単価契約ならば作業の実績に応じてその単価を掛け合わした金額を払えばよい、こういう議論でありますが、実際に払つたのはどうかと言いますと、当初に総括概数を見て、そして入札さして実は総価入札であつたのだ、いわゆる炭がらが出たものは全部で金額幾らで片付けるという総価入札であつたのだ、こういう国鉄側のお話なのでありますが、契約書を見ますると、あくまでもこれは単価契約、或いは契約書自体の作成の不備ということかも知れませんのですが、こうした非常にあいまいな契約書を作ることも極めて妥当でない。又我々が見ましたところは、少くとも契約書面上単価契約になつておれば単価に基いて実績を掛け合わして支払つて十分ではないか、こう考える次第であります。  それから千八百号、これもさつぱりわけのわからんということなのでありますが、安治川口の用品庫の貯材堀で枕木引揚、用品庫の貯材堀に入つて沈んでしまつた木を引揚げるという作業を請負わしておるのでありますが、この引揚をいつどうして引揚げたということの引揚数量が一部その帳簿が紛失しておつたりしまして、その数量の確認ができないわけなのであります。そして而も残つている引揚明細帳を見ますと、同じ木番号のものが二回引揚げたことになる、又買つたものが引揚の数量の中に入つているということになつておりまして、尤も木でありますから一度引揚げたものが又沈むということも考えられますが、余りにもその間の入繰りが多過ぎるのではないか、どうも引揚数量の実績というものが確認できないという次第であります。  千八百一号、二号に掲げてあります不正行為の一のほうは川崎駅で出納役が銀行と話合いまして、銀行のほうに納めたことにしまして、金を実際に納めずにほかへ使つてしまつたということで百万円という欠損を生じておるという次第であります。  それから二号のほうは吹田操車場、ここには別に会計官吏と言いますか、支払担当官がいなくて、すべて鉄道管理局のほうへ支払請求書を廻して来て、支払つているのでありますが、そのほうがいろいろ水増しをしました請求書を廻して来て、そしてそれによつて金を領得しておつたという事態でありまして、これなどそのために百五十万円の穴を生じた、こういう次第であります。  それから千八百三号に書いてありますのは、これもどうも理由が判然しないのでありますが、大阪の鉄道管理局経理部長が支払命令に判を捺して、それが出納課長のところに廻つて、そして窓口へ払うわけでありますが、経理部長が判を捺したやつが、その後金額を改ざんされまして、千五百三十八円という支払伝票に判を捺したやつが、窓口に行きましたところが五百九十万四千円というふうに改ざんされてしまつた。そして窓口へ、はつきりしないのですが、誰か受取りに来たのに、伝票がそうなつているからというので五百九十万四千円を払つてしまつた。そしてその後小切手でありますが、それは銀行へ行つてつてそのままわからなくなつた。これはその鉄道の内部におきまして、こうした改ざんが行われたというふうに考えられるのでありまして、これは大阪の鉄道公安室でも相当いろいろと調査、検査されたようでありますが、未だ現在に至つても、その原因がわからない。これは支払機構に非常に不備の点があつたということを我々認めまして、その後支払機構のいろいろな点につきましては、我々としても申上げ、又国鉄としても事後処理としてはいろいろな方法をとつておられますが、こうした事態ができたのは極めて遺憾であると存ずる次第であります。  一応御説明をいたします。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 国鉄からは天坊副総裁、石井経理局長小林資材局長、唐沢営業局長、篠原臨時財産管理部長が見えておられますので、本日の案件はいずれも批難度の強い、甚だ不当なものが非常に多いのでありますが、千八百、千七百八十三号、これに関連する問題で、いわゆる国鉄の民衆駅なのでありますが、去る十八国会以来、当委員会としては慎重に調査を進めて参つたのであります。十九国会におきましても民衆駅の建設運営に関する基本的諸問題、特に構内の営業規則改正要項等については、副総裁に対してもその他首脳部に対し、この規則の改正実施後の状況を暫らく見守るということで、今日に至つておるのでありますが、そこで本年七月に構内営業規則が改正せられて実施されたのであります。その後の状況を簡単に副総裁から御説明を願いたいと思います。構内営業規則が改正せられて、具体的にどういうふうに実施せられて、その効果が上つておるものがありますれば、それらも加えて一応御説明願いたいと思います。
  5. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 前国会或いは前々国会からと申したほうが相当かも知れませんが、この国鉄土地建物使用に関しまして、いろいろ私どもの取扱い方について十分反省してやるようにという御注意を頂きまして、私どもといたしましても、先ほどもお話がございましたように、これらの問題に対する態度というような点についても、まだ至らんところも十分ございました。或いは又現在国有鉄道でやつておりました財産管理規則或いは構内営業規則、そういうような規定類の不備といいますか、時代に合わない、実情に合わないというような点或いは考え方が非常に古いというようなことに原因しておるものもございましたし、そのほかそういう使用料等の取立てに対する熱意の問題も非常に欠けておつたという点もございまして、それらの点をそれぞれ個別的に改正すべきものは改正するという方針の下に、又料金その他につきましても、第三者と申しますか、専門の方々の御意見というようなものも十分お聞きいたしまして、一人合点と申しますか、ひとりよがりのような恰好のままでやつていてはならないというふうに考えまして、それぞれの面について対策を講じて参つたのでありまして、この前の当委員会におきましても御説明申上げたかと思うのでございますが、財産管理規則そのものも改正いたしましたし、或いは構内営業規則もあの当時丁度改正実施いたします直前であつたかと思うのでございますが、その内容を御説明申上げたかと思うのでございますが、構内営業規則の不合理な点を改めまして、今年の七月一日から改正の構内営業規則を実施して参つております。而も一方予算面で今までこうした料金の額が非常に不当に安かつたという点もございまして、予算上もそれらによる増収という点も考えなければならないという点を併せ考えまして、相当思い切つた料金値上げという面を積極的に打出して、それぞれの使用者或いは利用者から料金を取つておるわけであります。ただ併し丁度あいにくと申しますか御時勢が悪くなつて参りましたような時期で、余り又常識をはずれて何十倍というふうなものを一挙に高く上げるというふうなことも、いろいろ事情を考えますと、一遍にそうすることも不合理なというふうに考えられる点もございまして、大体平均いたしまして全体で二倍程度になるわけでございますが、そういうふうな恰好にして現在それぞれきめました通りの料金を取るように手配をいたしております。まだいろいろ個々の問題に対しましては、もう少し理窟上もどうしたらいいかという疑問のある点もないではございませんが、大体に当委員会そのほかで御論議を頂きました問題については、方針的にも相当改むべきものは改めたというふうに見て頂けるのじやないかというふうに考えておるわけでございます。なお、個々の点その他につきまして御質問がございますればお答えいたしたいと存じますが、概略の今までの経過を申上げた次第であります。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは各委員の発言の便宜上委員長からも念を押しておきたい点が二、三あるのですが、十八国会以来の問題となつた点は、いわゆる外郭団体が非常に多過ぎる、国鉄の歴史の上から、鉄道院或いは鉄道省となつてつたために、運輸は官治行政でなされておつた。そのために当然国鉄がサービスをなすべきいろいろなものを他の外郭団体によつてやらしておつた。ところが公社になつて以来は、それらの外郭団体がいわば公社に当然継承をせらるべきものだ、にもかかわらず、鉄道会館という新たな外郭団体を作り甚だけしからんではないか、そういうものの収益の余地があるならば、いわば国鉄コンツエルンといつたようなものを考えて、その上に乗せてその利益は、ことごとく運賃の値下げとか或いは国鉄そのものの利益になるように吸収すべきにもかかわらず、殊に鉄道会館のごときは加賀山との個人交渉によつて、而も随意契約によつてつたと、こういうことが批難の焦点になつてつたわけであります。その点に関する何か新たに考えつかれた点があれば、それを伺いたいのであります。できたものはしようがないというようなことでは、この委員会の審査も結びがつかない。若しあなたがたのほうで自発的にそうしたものに対する改善策というものがないということになりますと、やはり今申上げたような基本観念から当委員会としても考えを一つまとめて、政府に勧告或いは本会議に報告というような激しい行動に出るようになりますので、でき得るならば、そういう面を、我々がそうした行動に出でなくてもすむように、あなたがたのほうで事前に調整を願いたいと、こういう希望を持つて今日に参つたのですが、その点如何でしようか。今申上げるように、できたものはしようがないというようなお考えであるのか、こういう面から改正をしたのであるから、この程度で承認をしてもらいたいとおつしやりになるのか、この点は今日の問題の焦点だろうと思う。長い間の問題でもありますので、その後御研究の結果がどういう考えに到達せられておるか、それを伺つておきたいと思うのてす。  それからもう一つ、絞つて申上げますが、具体的にいろいろな条文は調べて参つておりませんが、鉄道会館の場合は国鉄の所有土地の上に会館を建てさした、一階は国鉄が使用するのだが、それ以上は会館の所有に任せる、譲渡とか担保の供与、そういうものが禁止せられておるのに、名前は賃貸であるが、殆んど永久的な権利を譲渡したような形になつておるので、国有財産法或いは国鉄の法規ですか、これらの真正面の上からは、いろいろな疑義、解釈の問題はあるが、ともかくそれらの法律の趣旨に反する、そういう契約じやないか、これも大きな問題になつておりますので、この点に関するその後の御研究或いは措置というものがありましたら伺つておきたいと思うのです。
  7. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 先ほど副総裁から前回の五月十四日の本委員会において御説明申し上げ、又いろいろ御注意を受けました以後の経過について大体申上げたのでございますが、只今委員長からのお話もございますので、いささか重複するかと思いますが、その点も最初に述べさして頂きたいと思うのでございます。そのときに、大体あの五月十四日の委員会におきまして、大体構内営業規則の改正の要旨或いは民衆駅等の問題の諸点等について申上げたのでございますが、その後構内営業規則につきましては、一番料金の立て方というものについていろいろ複雑な、複雑なというか、相当根本的な考え方の修正がございましたので、その点に手間取りまして、六月ぐらいの予定のが七月一日の実施となつたのでございます。それでこの料金の立て方を従来と変えまして、一番この構内営業の簡単な形であるところの立売業とか小さな箱番のようなところで売店をしておるようなものにつきましては、売上げの千分の十一を取る。それから大きな建物、民衆駅等の例があるのでございますが、相当大きな場所に一体としてそこを貸付けまして事業をするというような場合に、その土地が全体としてその場所の価値を判断できるというようなところにつきましては、地代を査定してそれで一本で行く。それからその中間的に構内のあちらこちらに相当の面積を持つて営業しておるものにつきましては、その場所々々による適正な地価の評価ということはなかなか困難でありますので、一応の平均した地代を見て、それに営業売上げの千分の五を附加する、こういうような方式を採用することにしたのでございまして、この点につきましては、元来が非常に小さなホームや或いは通路などで小さな売店をしておるというのを基準にしまして、営業料金の何分の一ということを主にした従来の営業料金の立て方を根本的に変えたわけでございます。こういうことになりましてきまりましたので、この規則を七月一日から実施したのでございますが、さてこの実際の地代というものの評価ということが非常になかなかむずかしい問題でございまして、従来もこの点については、十分に手の廻りかねたというような点もございまして、その都度適正に評価替をしていなかつた点もあり、或いは又その契約をしたときが非常にずれがあつたりしまして、或いは又千差万別の状態でございますので、これをどういつた方針で統一、統一といいますか、適正な価格を見い出すかということが、非常にむずかしい問題でございまして、これにつきましては、東京と大阪には土地評価委員会というものを設けまして、これを部外の権威者にお願いしまして、その委員会において審議して頂いたのでございます。ところがその専門家の方々から構成されておりますこの委員会におきましても、非常にこの問題はむずかしいというのでございまして、研究すればするほど、いろいろなケースが出、或いは又いろいろな角度から検討を要するというようなことになりまして、大変それが遅れまして、その答申もつい最近に頂いたというようなわけでございまして、勿論そういう答申を必要でないところの地方につきましては、どんどんその値段を更改しておつたのでございますが、この附近につきましては、最近十月になりまして答申を得たような次第で、それに基きまして、すぐにそれに基いた規則を適用しまして値段をきめまして、これを通達しまして、営業料金を徴収する事務にとりかかつているのでございます。尤も構内営業につきましては、従来の率による料金を前もつて上半期につきましては収入するということになつておりますので、その分は大部分は納つておるのでございますが、更改した新らしい料金につきましては、この答申に基いて、まあ局によつて事情は違いますけれども、この附近におきましては、新らしい料金をきめて、通達して徴収事務を開始しておるというような次第でございまして、この料金は四月から遡つてやることになつておるのでございます。これによりまして構内営業料金も、先ほど御説明申上げましたように、大体二倍の見当でございまして、例えて言いますと、鉄道会館のごときは三倍くらいになります。又場合によりましては秋葉原会館のごときは、従来と立て方が違いますので、相当安くなるようなところもございますが、平均いたしまして二倍程度になる計算でございます。そういうようにしまして、大変遅れましたことは今申上げましたような事情でございますが、決定いたしまして徴収事務に入つおるので、いろいろ御指摘もございましたように、こういつた事務についての熱意をますます発揮しまして、この仕事を進めて行きたいと思うのでございます。  又この前の委員会におきましても、いろいろこういう民衆駅等のあり方等について、いろいろ多種多様であるし、又その間の例えば出店業者とそれから出店業者がいろいろな便宜上組合のようなものを組織しておれば、その組合の関係、或いは実際の、建物を寄付したところの市とか、そういうところの関係というようなものについても、不明確だというような点もございましたので、これらについても改善して行きたいというふうに努力を今以て続けておるのでございますが、すでにこういうふうにできてしまつたものにつきましては、従来の関係を明確にする、それから少くとも構内営業規則というようなものに違つておるところは改めるというふうにするのでございますが、その作業も今料金の改訂と同時に着々進めておりまして、それぞれの民衆駅につきましてばらばらに承認していたものは、そこに強固な組合というようなものを作つて、それに一括承認をする方法であるとかいうよう趣旨の方途をとりまして、その間を明確にするようにしておりますが、いずれにしましても、相手もあることであり、又契約をした今までの契約も存続しておりますので、話合の上で進めなければならないので、その線に副つてその間の関係は明瞭になると思いまして、その問題につきましては、別にいろいろいざこざも起つておるようなことは聞いておりませんので、適当な時期には必ずそういう点も明確にさして行くことができると確信しております。  それから只今お話のございました鉄道会館の問題でございまして、ただこの問題につきましては、この今の料金の問題、そのほか或いはその一部、例えば所有権の帰属の問題とかというような問題もございまして、或いは契約そのものの仕方の問題というようなものもございましたのですが、契約の形式というようなものにつきましては、この料金の問題と同時に、合せて契約の形ももう少しはつきりしたものにしたいということで、今それは立案をしておるような次第でございますが、今お話の主体につきましては、特にこれを会館というような恰好でなく、ほかのものにやらせるかどうかというようなことは非常なむずかしい問題ではないかと思いまして、そういう点につきましては、いろいろ御指摘の点を取入れて、不公正、不公正といいますか、妥当を欠くようなことのないように処置して行きたいというように考えておるような次第でございます。  又この国有鉄道の管理しております財産を部外に使用する場合の契約の問題につきましても、これが一般の私法上の契約であるとかいうような問題につきまして、いろいろ論議がありましたのですが、これはなかなかこういう点を明確にするための立法というようなことも必要ではないかというような御意見もあつたように思いますが、いずれにしましても、なかなかむずかしい問題と思いますので、いずれこの点は明確にすべきだと思いますが、まだ立法措置をどういうふうにしたらいいかというところまでは研究ができておらないので、やはり従来通りの考えで、これをいわば公法上の契約といいますか、これを使用させておるというような考えで今のところ進んでおりますが、更に今後はどういうふうにすべきか、立法的の措置まですべきかということについては、なおよく考えなければならないと思つておるような次第でございます。
  8. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは委員の数も少いようですから、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩    —————・—————    午後一時三十四分開会
  9. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。  御質疑のあるかたの御発言を願います。
  10. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 只今鉄道会館を初め民衆駅に対するお取扱いについての、その後の御当局の御研究についての御説明がございましたけれども、どうも私どもとしましては、もう一つ卸尤もだという気持にはなり切れないのでありまして、例えば鉄道会館の問題にいたしましても、その契約の形式なり条項、或いは国有財産だという所有権に関する問題、それから適正な使用料と言えるかどうかといつたような問題につきましても、まだ十分御研究が徹底しておると考えられるわけにも参りませんし、もう少し具体的な、且つ突つ込んだ筋の通つた研究の結果を当委員会に御報告を頂きたい、かように考えまして、過日来の決算委員会も、すでに今日で一応今回における会は閉じて月末に再び開かれる、こういう予定にもなつておりますので、それまでやつた今までの審議経過を十分御検討頂きまして、もつと各委員納得の行く、且つ具体的な、而も筋の通つた、今申したような諸条項についての御研究を頂いて、そうして次回の決算委員会までに具体的の案を持つて、この委員会にお臨み頂きたいということを、委員長からお話をして頂いたらどうか知らん、かように考えます。
  11. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 如何でしよう。只今八木委員のおつしやつたように、まだ研究の過程にあられるそうなんですが、それにしても副総裁以下、極力当委員会の要請に応えるべく努力中であるような御発言も副総裁からありましたので、この御熱意を期待して、今月の二十九日、三十日と委員会が持たれますので、会館問題、即ち千七百八十三号、これだけを月末に開かれる委員会に持越すことにしまして、その他の案件について本日審査を願つたら如何かと思うのです。これを一つ残してあと全部本日済むと思いますので、そういうふうに計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないようでありますから千七百八十三号を本月の二十九日に持越しまして、本日はその他の件について御質疑願いたいと存じます。
  13. 島村軍次

    ○島村軍次君 鉄道会計は、他の公社と比較しまして相当厖大な内容を持つて一つの独占企業としてはなかなか経理も困難だということはおおよそ想像がつくのでありますが、先ず第一に事業の損益計算の大要を拝見いたしますと、予算にも関係のあることなんですが、前年度の損失に比較してもまだ十三億八千五百万円損失になつている。そこで二十八年度決算についてすでに会計検査院のほうでもお調べになつておりましようし、国有鉄道として御説明を願つてもいいわけですが、どちらからでも結構ですが、事業損益の概算がどうなつているか。それから二十九年度の今日までの情勢がどういう状況にありますか、先ずその点から一つ伺いたいと思います。
  14. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 二十八年度決算はすでに完了いたしまして、法規に従いましてこれは監督官庁及び会計検査院に御報告申上げておりまするが、今細かな決算表を持合わせておりませんので、大変恐縮と存じますが、大体期間外損益と合せまして約五億程度の二十八年度決算では一応利益という計算になつております。それから二十九年度予算案実行上の問題でございますが、これにつきましては、只今大蔵省或いは運輸省方面といろいろ折衝、お願いをいたしておるのでございまするが、大体の大枠を申しますと、本年度におきまして、御承知のように年度当初から行いました約百五十億近いところの給与ベースの改訂に伴う原資増加を必要としたために、私どもといたしましては、できるだけこれはいろいろ経営を合理化いたしまするが、どうしても足らん分、それから減価償却が完全に行われていないということによりまして、施設の荒廃が非常にひどくなつてつておりますので、できるだけこの更新をいたしたいという意味で、自己資金によります施設の取替えを一段と殖やして頂きたいという意味から、甚だ申しにくいことではございまするが、運賃改訂をお願いいたしたい。もともと国鉄運賃につきましては、ほかの公共事業の料金或いは一般の物価というものとひどくかけ離れた低位にございまするので、そういう点も合せ考えて御考慮願いたいということをお願いしたのでございまするが、緊縮財政という一点から見まして、この際運賃値上げは見合わすべきであるということでございまして、そのために非常に無理をいたしました予算を組まざるを得なくなつたのでございます。その無理の第一点は、こういうようなデフレ経済という状況におきましては、今まで毎年増送、増収というような現象を重ねて参りましたが、運輸量の増加に基く増収というものが期待できないのみならず、場合によつては逆に減収というような状態になるのではなかろうかという見込みでございまするのに、先ほど申しましたような予算上運賃値上げをしないで、約百五十億に近い原資を要するベース・アツプを呑むために、どうしても収入のほうで非常に水増しと申しては甚だ語弊がございまするが、収入をできるだけ大き目に見ておるというような点が一つの不安であつたわけでございます。それからいま一つは、災害に対する予備費でございまするが、これは二十億予算に計上されてございます。大体過去の実例で申しますると、四十五億乃至五十億程度の災害がございまして、昨年は特に御承知の大水害がございました関係で、かれこれ百億近い損害、災害があつた。本年は、これは非常に楽観的でございますが、災害が少いという見通しをいたしましても、二十億という予備費ではとても賄いきれない場合もある。勿論我々といたしましても、災害が出たらすぐ国家におんぶするというような考え方をとらず、できるだけ私どもの経理の賄いで災害の経費をこなして行きたい、さように考えておりますが、大災害が出た場合は、先ほど申しましたように、収入の面では非常に楽観的に組んでおる。支出の面は極度に膨脹する経費を切りつめて辻棲を合わしております。いわゆる予算の弾力性というものを殆んど喪失しておりますので、できるだけ一つ大災害が出た場合は、別途お考を願わなければやつて行けないのではないかという点と、いま一つは、資金の調達の点につきまして、鉄道の公募債券を百二十億という予定にいたしておりましたが、それが金融市場の情勢から見まして、デフレ経済から見て、とても金融市場でその起債を消化する能力がないじやないか。この外部資金の調達が百二十億期待できることは無理でないかということを、予算編成当初から非常に危惧しておつたわけでございます。甚だ残念なことには、それらの危惧は本年度に入りましてから今日までの間にほぼその通りになつてつたということが言えるのではないかと存じます。大体貨物収入が特に悪化いたしまして、その分で参りますと、収入といたしましては、年度末までにかれこれ三十億程度不足を来たすのではないか、かように考えておるわけでございます。それで一方支出のほうでございまするが、支出のほうは約五十億程度の災害が十四号台風までに発生いたした。これは御承知のように、本年度は十五号台風までは大災害というようなものはございませんでした。併し件数は非常に多うございまして、梅雨が非常に長く続きました関係もございまして、五月の初めには北海道の十勝地方に風害がございました。それから梅雨期にありましては三回に亘つて大水害がございまして、各所で死傷者も生じましたし、鉄道のほうで見ますれば、線路が分断されたというような事例がございました。それから台風時期に入りますと、八月に五号台風がやつて参りました。それから九月に入りますと、十二号、十四号、十五号というふうに追つかけて参りました。これらの台風自体は十二号台風が若干多くて、約十一、二億の損害でございますが、それ以外の災害は大体一件五億程度の、スケールとしてはそう大きなものではございません。件数が非常に多うございましたので、かれこれ十四号台風までに五十億になつたわけでございます。ところが、私どものほうの見通しといたしましては、当初の予算に組んでございましたものよりは、石炭の単価が予想よりはいくらか下つているので安く購入できた。二百五十円程度値下りを見込むことができた。その他の物件費につきましても、デフレ経済というようなもので極力節約をいたすことによりまして、三十億の節約を立てておつたわけでございます。従つて、その三十億の節約と予備費と合せますと、大体におきまして十四号台風までならば何とかこれはやりくりもできるじやないか。勿論それに見合う収入が必要でございますが、そのほうはそのほうとして、努力いたしますといたしましても、何とかこれはできる、予算上はこなせるという見込みを持つてつたのでございますが、十五号台風で御承知のように青函連絡船五はいも一挙に沈没いたしまして、而も洞爺丸におきましては、申訳のないことで、千人に上る遭難者を出した。なお、その他の貨物船におきましても船員が多数遭難いたしております。船員とこれが旅客と合せますと約千四百人という誠にたくさんの遭難者を出しましたわけでございます。そこでこれらの救助、或いは遺体引揚げ等の作業等にも相当経費を要しております。なお、その後に沈船の引揚げ、或いは今後の輸送力を増強するために沈没した船に代るべき新造船の発注というような経費も莫大になります。のみならず、これがこの十五号台風は海難関係ばかりじやなくして、陸上関係におきましても非常な猛威を振つたのでございまして、その風害の程度は普通の台風の約十倍になつておるわけでございます。これらの経費も、損害額も約二十六、七億に相成るかと考えております。海難関係を合せますとはつきりした数字を申上げかねますが、約七十八億程度になるかと思つております。そういう数字になつたので、結局被害額といたしましては全部で百二十億程度の被害に相成つております。そこでそれを、併しながら本年度経費と翌年度に亘る経費とを仕分けいたしますと、約本年度経費といたしましては七十億程度、来年度が四十数億というふうに相成ろうと思つております。で、これらの経費のうち、私ども予算的には、先ほど申上げました二十億と或いは予備費のうちの若干を使つてこれを切抜けるといたしましても、なお、七十億程度というものは資金的に不足となる。これは先ほども申上げましたように収入が三十億程度不足する見込みということになりますので、総体といたしまして只今では約七十億程度資金不足になる。予算のほうは、これは鉄道債券の発行が二十四億程度どうしても今年度中に消化しきれないという見通しと、それから先ほど申上げました三十億の節約と両方合せまして五十億程度は、これは節約をいたして、工事の繰延等もいたしておりまするので、予算面から見ますると、ほぼ二十億程度の不足になるのでございます。資金的には五十億債券発行の不足分と収入の不足分というものが足りなくなるというような大変苦しい立場になつておりますので、只今これにつきまして、運輸省並びに大蔵省にお願いをいたしまして、適当な方法を以て本年度国鉄の財政を切抜けると共に、災害の収拾をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  15. 島村軍次

    ○島村軍次君 あとまだお尋ねしたいのですが、ほかに用事がありますから、ほかのかたに先に……。
  16. 山田節男

    ○山田節男君 先ず最初に総括的な質問をいたしたいと思うのですが、午前中会計検査院当局からここに千七百八十一号から千八百三号までの不当事項についての説明があつたわけです。我々今日まで政府の各省、それから政府諸機関の決算報告をいろいろ審査したのですが、日本国有鉄道の場合、これは数は二十数件で、誠に数は少いのでありますが、会計検査院の説明を聞きましても、非常に我々遺憾に堪えないことは、余りにどうも非常識と言いますか、我々としてどうも何と言いますか、非常識といつちや失礼かも知れんけれども、余りにこの事項が正規の、正当な管理をされてれば、こういうことは起り得ないんじやないかというものが起きているというような印象を受けるのですが、これは副総裁並びに各関係局長来ておられますが、こういつたような馬鹿らしい事態が国会に報告されなくちやならんというような事態が発生するということは、これは公社、日本国有鉄道が公共企業体として、これはもう日本においても殆んど第一といつてもいいくらい大きな公共企業体であつて、その事務の煩雑であるということは、十分わかるのです。のみならず、特にこの鉄道公社としても、それぞれ優秀な人材を揃えておられるのですから、而もそれが誠実にやつておられるということは我々認めるのですが、結果において、かような、我々国民代表としてもちよつと非常識にも思われるような事件が摘発されているわけです。こういう事態が本当に公社として、我々が公社法を作る場合に、これは日本に最初にああいつたような公共企業体を作るときに、飽くまで自主独立の採算主義で能率を高める、それが経済的である、サービスがよくなる、これが国会で日本国有鉄道の公社を作つた、これはもう根本の眼目であつたわけです。然るにその後、爾来もうすでに数年を経ているわけですが、副総裁或いはその他の首脳部として、これだけの厖大な資産を抱えて、又産業的に言えば非常に重大な使命を持つている、而もこれが安全な運営をいたさないということで洞爺丸のような事件が起る、こういうような企業体を、これは人間のやることですから過ちがないということは、これはもう勿論私はそういうきつい要請をするわけじやありませんが、こういう事態は少しでも少くするというためには、私はもう少し科学的な経営と言いますか、マネージメントというものを私は根本的に考える必要があるのじやないか。我々の外部から見ますと、やはりこれは鉄道院、鉄道省、運輸省というような、いかにも官僚の伝統が未だに払拭しないというところに、こういつたような誠に不幸な事態が起るんじやないかと、まあかような印象を受けるわけですが、殊にここに摘発されている当然公社が徴収すべきものを徴収を遅らせているとか、或いは調達補給の部面、それについての検査基準、こういうようなものが会計検査院から指摘されているのも尤もだと私は思うのですが、こういつたようなことを、もつと根本的に私は公社としてお考えになる必要があるのじやないかと思うのです。たしか他の公社における経営委員会というものか、経営審議会かなんかあると思うのですが、こういう点、私はもう国有鉄道としては、もうすでにお考えこなつてるんだろうと思うのですが、何かもう二十八年、二十九年、三十年に行けば、こういう事態がますます減少して来るというような傾向が一時も早く現われることを我々は要望するのですが、こういう問題について根本的にお考えになつたことがあるのかどうか。それから殊にこの指摘されている調達、補給という部面は、これはもう最も重要な部面だと思うのです。そういつたような方面は現在営業局とか、施設局とかになりますが、これは一体どこが主眼になつてつておるのか、その点を一つ一応御説明を頂きたい。
  17. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 各局部長がお見えですから、先ほどの検査院のほうからの指摘せられた事項に対して弁明なさるなら結構でございます。
  18. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) それでは大変恐縮でございますが、先ほど会計検査院からいろいろ御指摘のありました点につきまして、一応私どもの考え方、或いはその経緯等につきましていろいろ御参考にして頂きたいと思うような点を申上げさして頂きたいと思います。最初に総論のほうでいろいろお話がございましたが、これは御指摘というより御注意というふうにお話もございましたので、極く簡略に申上げたいと思うのであります。三百九十一頁の(1)から(3)までの問題は、これは会計検査院のほうからもお話がございましたように、会計整理の建て方の問題でございまして、そのうち多くの部分は資産評価というものが只今まで完全にやつておりません関係で、その間の処置をどうするかということについての建て方、やり方の問題でございます。最初に補充工事の問題は、これは私どものほうといたしましては、特にこの補充工事によつて耐用命数を延長をするというようなことでございませんので、一般の減価償却に対しまして、その下足分を取替補充、特別補充取替費という形で整理をいたしております。それと同じやり方でやつて参りたいと、かように考えておるわけでございます。  二番目の財産の除却でもつて、差益が出る、これを未整理負債として留保しておりますのは、これは純然たる資産取引から発生いたしましたもので、これをやはり一つ積立留保しておきまして、資産評価の際にこれを整理するほうが、一般の経費取引と区別いたしたほうが妥当であろう。こういう考え方でやつておるわけでございます。  それから修繕引当金の問題につきましては、これは毎年度当然行うべき修繕を翌年度に繰越した場合の措置として、期間計算として当然やるべき年度に計算したほうが正しいのではないか、こういう観点でやつておるわけでございます。  次に工場経理の問題につきましてはこれは御指摘の中にありましたように、いろいろ事務の粗漏の点も確かにございました。こういう点は十分今後注意をさせたいと思つておるのでありますが。ただ車両工場関係につきましては、車両修繕に要した経費原価計算につきましては、いわゆる標準計画原価というもので整理いたしておりますので、実際に合せるとその点が喰い違いができておるという点もございます。これは仕事のやり方の問題ではなかろうかと思つております。その他の点につきましては、検査院の御注意を十分に取入れる、御注意は誠に御尤もでございます。私どももこういうことのないように十分注意させて、今後もますますこの点の仕事の整備を図りたいと思つております。  志免鉱業所工事予算の過剰投資ではないかという問題でございまするが、これも細かに申上げると大変時間がかかりまするので、極く簡略に申上げまするが、一時断層に遭つて炭層を見失つたことは事実でございまするが、併し炭層は必ずあるということがいろいろな観点から立証されておりまするので、その後炭層の存在が確認して参つておりまして、只今では予想いたしましたのに対して九一%程度確認いたしておりまするので、従いまして、当初の予想と大体狂いはないのでございまするので、投資も過剰投資というふうな結果にはなつていないのではないか。又、未稼働施設につきましても、これはこういう事柄の性質上、一部が完成いたしましても、全部が完成しない間はどうしても本格的に稼働ができないのでございますので、その間、未稼働となつたことは誠に止むを得ないと存じまするが、二十九年度初頭におきましては殆んど九〇%が採炭に利用されておるのでございます。  次の土地、建物部外使用につきましては、これは先ほどからいろいろの御注意御意見もございましたし、又これに関連いたします問題は次回の御審議にお譲りになりましたので、省略さして頂きます。  それから受託工事費予納の問題などにつきましても、これも検査院の御指摘もいろいろございまして、誠に御尤もでございまするので、そういうことのないようなふうに、すつかりやり方も改めております。併し今までにおきましても、決して国鉄が先に金をもらわないうちにやつたというようなことはない、できないという原則でやつてつたんでございまするが、なお併し手続上不備の点があつて、若干その点いろいろ御指摘を受けるような結果がございましたのは誠に恐縮に存じております。出納機関でないものが現金を収受したという事例も誠に申訳のないことでございまするが、これも実情によりますると、自動車の例えば修繕の代金など、これをやはりその現に委託した者のところまで取立に行つたというような事柄が、結果として出納機関でないものが収受したというような結果になつたようなものもあるのでございまして、決していい扱いではございませんが、悪意に出たものではないということを御了承願いたいと思うのであります。  それから工事用資材の交付は、これはもう検査院のおつしやる通りでございます。併しながら電気関係工事につきましては、これは非常に主体工事と附帯した工事が多いのでございまして、それと同時に材料が非常に多種多様に亘つておりますので、どうしても勢い業者持ちにして整理をするということも間々免れない。実際問題としては免れないのでございますが、私どもとしても検査院と全く同じ気持で、できるだけそういうことを避けるということでやつておりますし、又割掛にいたしましても、一般の基準を必ずしも守る必要はない。支給材料があつた場合は、支給をすべきものを、業者持ちにした場合には、その材料にかける割掛は、一般のものよりも、もつと減らしてやるべきだということを強く指導しておりまして、今後はできるだけ支給材料でやるという原則、そして例外的に業者持ちというようなことが止むを得ない場合におきましては、この割掛等については十分検討して差を付けるというやり方を指導いたしておりまして、検査院の御趣旨に副いたいと思つております。  物品調達管理につきましても、死過蔵品その他の整理についていろいろ御指摘がございましたが、この点につきましては、私どももここ数年来非常に努力をいたして参つておりまして、何分にも戦時中、終戦当時並びに戦後におけるまだ物資不足の時代の入手品がまだ或る物は粗悪でございます。又或る物は今日ではちよつと陳腐化して使えないというようなものが多いことでございまして、いろいろたくさんそういうものが出ましたために、棚卸にいたしましても、売却契約にいたしましても、早急な手が取れなかつたために御指摘を頂いたような次第であります。  それから石油の納入方法でございますが、これは結局現場まで直送いたしました場合の検収と実際の二段階級になります、二段輸送になります経費とのどつちが有利かというバランスの問題でございまして、検査院の御指摘も御尤もではございますが、又、私どもといたしましては、この油のような専門的に化学分析をしなければならないというものにつきましては、やはりそれ相当の専門的な検収方法がとり得る場所において収納するということも必要にして欠くことができないことではないかと、かように考えておりまするので、その辺のバランスを見まして、直送しなければ輸送経費が非常に高くなるものにつきましては、これは御指摘のように極力直送という方法をやつて参りたい。併しながら原則といたしましては、これはやはり用品庫というように立派に検収の設備を持つており、又その専門家のおるところで検収したほうが間違いがないというふうに考えている次第であります。  それからまくら木保管料の問題でございまするが、これは検査院のほうからもお話がございましたように、保険料的なものでございまして、従いまして保険金はとれなかつたからといつて不必要なものであるというようなことにも直ちに言えないのではないか。併しながら社会情勢も安定いたしまして盗難等の虞れも減少して参つたことも事実でございまするが、御指摘の場合も十分参酌いたしまして、東北、北海道というような大量の買付をしまするところ以外はこれを廃止いたした次第でございます。  次に不当事項としてございます未収金の問題、千七百八十一号の連絡運輸収入の問題でございますが、これはもうおつしやるまでもなく、私どもといたしましては極力この徴収について努力をいたしておるわけでございまするが、何分にも事柄が非常に重要な問題でございまして、私どもといたしましては、これを単に契約連絡運輸を廃止するというようなことで、そのまま債務が完全に確保できるという観点になかなかなり得ないと申しますのは、連絡運輸を停止いたしますれば、当該会社にとつては致命的な打撃を受ける、率直に申せばその会社が潰れてしまうというものが大多数でございます。そこで会社を潰してしまつても、とれないものなら潰してとれるだけとつてしまえばいいというのが、一応普通の企業ではそういうことも言えるかと思うのでございますが、地方交通というものの上から申しまして、地方民並びに国民の生活上多大の影響を持つております事業でございまするので、私どもが連絡運輸を廃止するということが、業者に対する一つの何と申しますかこれが刺激で、直ちにそれによつて資金が生まれて私どもに納まるということならば当然やるのに躊躇はしておらないのでございます。これをやりますれば恐らく会社は潰れてしまうものが殆んど大部分でございますし、そして又同時に地方交通の上からいつて大問題となると思うのでございます。そうでございますから、私どもといたしましては、できるだけ今までの溜つております債務を少しずつでも経営の改善によつて納めてもらう、そして今後新たに遅滞という事態が起らないようにして参るということが、一番これが望ましい方法ではなかろうかと思つてつたことでございます。併しこれでは到底整理がつかないというものもございますし、従つて、私どもとしては、これに対しましていろいろ御要望、御指摘があるような最悪の、まあ最悪と申しますか、もう万やむを得ない手段をとるということをいたしまして差支えないだろうかどうかということについて、目下監督官庁である運輸省と御相談をいたしておるわけでございまして、この点につきまして運輸行政をお預かりになつている運輸省のほうとしても、もうこういう状態であればやむを得ないというようなことになりますれば、これは最後の手段をとつて整理をいたしたいと、かように考えているのでございます。甚だ連絡社線の点につきましては生ぬるいというお叱りもあるかも知れませんが、一面非常に社会的な大きな影響のある問題でございますので、できれば会社を潰して地方民に迷惑を及ぼすということでない恰好で収拾いたしたいために、今日までいろいろとこういう状態になつたわけでございます。  千七百八十二号の貨物の後払運賃の問題でございます。これは全く御指摘の通りいろいろとこれも溜つているのがございまするが、これにつきましては、先ほど申上げましたような私鉄の場合と多少様相も異にしておりまして、後払いを停止することによつて会社が潰れるというような状態になりましても、さほどこの一般の方々に、国民の方々に御迷惑になるということも言い切れないのでございます。ただ私どもといたしましては、会社を潰してしまつては元も子もとれないというような点に若干の未練を引かされておつたという点も確かにあつたかと思うのであります。その点ございましたので、本年に入りましていろいろ検討いたしました結果、これらに対して一定の措置を考えまして、そうして一応今までに溜つたものを分割納入させる、今後は絶対に騙されないというシステムで、各会社と、もう一遍こういう会社契約をし直しまして、そして今度はその分割納入なり或いは今後発生いたしました債務を、滞つた場合には遅滞なくこの後払いの契約を取消すということにいたして整理をすることにいたしまして、その方針を立て、決裁を得て、目下現地におきまして各会社管理局とのほうで折衝をいたしまして、その具体的な額等についてきめている最中でございます。で、まあそうは申しまするが、今までの中にも相当どうにもならないものはすでに後払いを停止したものも数件ございます。今後は一切貨物運賃の後払いというようなのは将来の事態としては起らないというふうにやつて参るつもりでございます。  それから千七百八十三号でございますが、これは先ほど次回の御審議にして頂きましたので御説明を省略させて頂きまするが、御指摘のようにこういうものにつきましては殆んど只今までに処理が済んでいる、或いは処理の済まないものについてはかような事由であるということをはつきり申上げられる資料を全部整えてございます。  それから千七百八十四号の食堂車使用料でございます。二十七年度におきましては、徴収が、使用料の計算方が遅れました結果徴収が遅れた。誠に申訳ないと存じております。二十九年度からはこのようなことのないようにその後はきちんきちんと収納をいたしおります。  それから千七百八十五号の石炭殻の処理当を得ないものでございますが、この件は大変事案の内容が複雑でございますので、ちよつと簡単に御説明しにくいのでございまするが、大ざつぱに申しますと、当初発生する見込みの数量が、岡山の操車場の工事をやることになりましたために、外へ売却する数量が予定よりは減つたわけでございます。減つたために結局初めそれだけのたくさんの数量があるつもりで請負つた会社といたしましては、この清掃の経費というものが、数量が半減いたしましたので、まあ計算が立たなくなつたということになりましたので、その際に改めて原契約をやめまして、新らしい清掃契約を結べばよかつたわけでございまするが、ところがそのときの処理の仕方に、先ほどお話のありましたように、改良工事を請負つた請負者の側に立米当り三十円というものを負担させて、それを一応鉄道が請負会社に払い、その分をこの石炭がらの清掃をしております広鉄工業のほうに廻さしたというようなことが難でございまするが、大変これは経理の仕方としては間違つた経理の仕方でございまして、申訳がないと思つております。そのほか人夫の数等に食い違いを生じております。この点も申訳ないことでございますが、これは先ほどお話のありました通り、よく調査をいたしまして、全部過払い分につきまして返納いたしたわけでございます。又関係者に対しましてもこれは処分をいたしたわけでございます。  それから次の千七百八十六号の無線用発動発電機の取替えが当を得ないという問題でございまするが、これはおつしやる通り、会計検査院の御指摘の通り、この機械部分を買いまして、そうしてやらせれば、確かに若干安くできたことは事実じやなかろうかと思うのであります。無線機発動発電機の総合調整を必要とするということで、一括工事会社に責任を負わせたほうが、その後の補償等のギャランティを処理する上におきまして都合がいいのじやないかと考えた結果だと思うのでありまするが、併し誠に御指摘の通り経費を縮減するという点では注意が足りなかつたことは事実でございます。申訳がないと思つております。関係者に対しましても十分今後こういうことのないように注意をいたしました次第でございます。  それから千七百八十七号の硬鋼より線の寸法を間違えて買つた件でございます。これは全く事務粗漏と申しますか、一応資材の購入を担当いたしておりますほうの資材局におきましては、使用個所に確かめて買つたのでございまするが、使用個所のほうがそのときは間違いないということでこれを発注いたしました。ところが結局まあ、すぐあとから、やはり間違つていたということがわかつたのでありまするが、もうそのときは契約も済んで製作にかかつておりましたので、やむを得ずこういうような結果になりました。これはその後多量ではございまするがその後逐次消化いたしておりまして、只今までに相当部分一応使用をいたしておる次第でございます。従つてこの点につきましては、関係者に対しましても十分注意をいたした次第でございます。  千七百八十八号の輸入の防火塗料を買つたのでございまするが、これはたまたまこれは輸入品でございまして、使用方法が普通の塗料と違つて非常に面倒くさい使用方法、併し効果は非常に十分あるいい品でございます。使用方法が非常に面倒で、而も輸入品で、英語が主なものでございます。現場で使用にちよつと億劫だつたという結果、会計検査院に御指摘を受けた、誠に申訳ないと思います。これは十分使用方法を指導いたしまして、殆んど二十八年度中にこれは使用をいたした次第でございます。  それから千七百八十九号の台ばかりでございまするが、これも要求個所と購入個所の連絡が十分しつくり行つていないために、移動ばかりが欲しいというのに対して、買つたのが台ばかりでございまして、そのまま据付が遅れておつたわけであります。只今では据付けて使つておりますが、関係者に対しましては十分注意をいたした次第でございます。  それから千七百九十号。これは全く桁違い、一桁違つて注文したので、何とも申訳けがございません。全く事務粗漏というほかはないのでございます。ただこれは外側に油を塗つております品種でございますが、これは使用する個所は少いのでございます。裸のままで使う部分と同じ寸法で、又値段も変りございません。裸のものを使うところに只今代用して使つております。従つて一桁間違いました点は大変恐縮でございますが、その後の処理といたしましては一応余り大きな実損のないように工夫をいたしておる次第でございます。これも関係者に対しましては十分注意をいたしました次第でございます。  それから手荷物切符用紙の問題でございまするが、これは当時、最初用紙は本庁調達でございましたのを地方調達に切換えたのでございます。併しその結果として非常に各種の用紙が入つて、この落札と申しまして輸送途中に落ちるような事故が相当多くなりましたので、そこで本庁で事故のほうを担当いたしております公安局のほうから、やはり一定の規格をはつきりして物を作つてもらいたいという使用個所のほうからの要求が出まして、それではというので又本庁調達に切換えました。その二段の切換えの際に、こういう手持品の調査がそのまま一応されることは非常に完全にそういう引継ぎができなかつたという点で、御指摘のような結果を招いたのでございます。そこで只今では全部これを交付材料としているところに保管転換をいたしまして使用するように指示いたしまして、関係者に対しましても厳重に注意をいたした次第でございます。  それから次の清かん剤の代用品を購入した件でございまするが、これは一時本庁から配給がなかつたためにやむを得ず代用品を購入したのでございますが、これほど数量は多くございませんが、ほかのところでも代用或いは補助のために買つておるので、その値段と比較いたしますと高くはない買い方でございましたが、ただ本庁でまとめて清かん剤として買えば相当安いものであつたという点については誠に申訳がないのでありますが、切れておりましたので、その間を何とか収拾しようということでこういう購入要求を出した。ところが購入要求を出したあとで、現物が入らない前にすでに本庁から配給があつたということを先ほど検査院のほうからもお話がありましたのでございますが、その通りのようでございまして、従つてその際に購入をやめるべきであつたことは確かでございます。これはこの点誠に申訳のないますいやり方をしたということは言えると思うのでございます。ただ検査院のほうで使用効果が五割から六割だというお話もあるのでございまするが、これは成分その他を調べましても全部同一でございます。従つて使用効果も決して変りはない品でございます。ただ検査院検査の当時、現場の担当者か或いは誰かが五、六割という勝手な推量を申して、検査院に対して却つて誤解を生ぜしめたということは申訳ないと思つております。調べましたところでは遜色はございません。ただそういう意味で、市販の値段よりも高く買つたわけではないということと、粗悪な品を買つたわけではないが、結局本庁から来るのが遅れた。その繋ぎをやつたときに、たまたまもうすでに本庁から配給になつたにもかかわらず購入をしてしまつたという点は、誠に申訳のないことと思つておりまして、これは関係者に対しましても処分をいたした次第でございます。  それから千七百九十三号の印度炭の問題でございまするが、これは御承知の、当時、炭労ストがございまして、鉄道といたしましては、この印度炭を早急に輸入しなければ非常に列車運転上困る事態になつてつたわけでございます。で、そのときに、まあたまたま海運賃騰貴ということで、その後に増額をいたしましたのも、やはりそういう特殊な事情のあつたことが一つと、もう一つ契約書に書いておきますと増額が売手の権利となる。そういうようなことでは却つて相当高い増額をさせられるんではないか。従つてまあ契約になければ一応増額の要求があつても強みはむしろこちら側にある。相当まあいろいろ折衝上都合がいいんではないかという考えで、特約条項を特に入れなかつたというような購買のほうの当局の気持もあつたようであります。併し形式上から見ますれば、確かに検査院の御指摘の通り、契約通りのことをやるのが当然で、売主に負担させるということになるべきではないかということになると思うのであります。実情は先ほど申上げましたような非常に印度炭購入に逼迫しておつたということと、それと、むしろそういう特約条項のないほうが増額要求に対してむしろ利益であろう、こういうような購買上の観点からこういう措置をやつたのでございます。併しながら形式的に見て正しいやり方ではないというようなふうにも考えられます。今後は検査院御指摘のように、特約条項をそういう虞れのある場合には入れて措置すべきであるというふうにいたしたいと存じております。  それから千七百九十四号の車両用の原木の検収の問題でございまするが、これは誠に御指摘の通りの不始末があつたのでございまして、申訳がないと存じております。この点につきましては、先ほど検査院からもいろいろ御指摘のあつたような点に調査をいたしまして、そうしてこの延滞償金なり、或いは過払代金なり、或いは契約更改により減額することができたと思われるような運賃差額をすべて計算いたしまして、これは全部二十九年三月までに収納いたしました。そうして直接責任者は退職させまして、その他の関係者も厳重な処分をいたした次第でございます。大変申訳のない事件であると考えております。  それから千七百九十五号の被服材料の問題でございますが、これは確かに検査院の御指摘の通り、再試験をした上、検収をいたしたのでありまするが、これは民間のほうにおきまして相当しつかりした検査機構がございまして、それに合格した一流メーカーの品物でございますが、こちらの再試験に対してもう一遍試験をやるべきではないかという気持が働いたのでございまして、その結果、再試験をした結果差支ないということで検収をいたしたようなわけでございます。例えば日本紡績検査協会或いは綿スフ検査協会、織物染色検査協会の検査でA級合格品というような品物でございますが、一応これはこちらの第一回の試験だけで結論を出すのはどうかという配慮で再試験をしたということでございます。まあ併しながらそういう点につきまして、何分のそういう試験があいまいなものであるならば、これは試験の権威がないではないかという御指摘については誠に御尤でございます。この点につきましては、今後そういうことのないようにはつきりした試験基準を作つて、二度とこういうことのないように注意いたしたいと思います。  それから千七百九十六号の石炭の検収処置当を得ないもの、これは契約によりますれば、殊に適宜三回採取試験の結果の総平均で以てカロリーで計算するということになつて、その通りやつたのに対して、非常に悪い一つのものだけ別にはねて、それはその分として値引をいたしました。それ以外のものでやつたということでございますが、これはその当該採取試料をとりましたときに、山元の事情がいろいろな事件がございまして、これはいろいろ立証されておりましたので、例えば山に殺人事件が起つてそのために鉱夫が働きに出なかつた。そういうことで、止むを得ず外にある非常に悪い炭を積んだというような事件があつたということが立証されておりまするので、担当者といたしましては、それを以て総平均を計算するというのは苛酷であろうということで、それを除いて計算したというような結果になつたわけでございます。ところがそういうことは、確かに契約面から申しますと、違つたことをやつたわけでございます。実情としては、そういうことは考えても考えられないことはない。従つて当然そういう事件に、業者がそういうことを申入れてそれが実際であるということがわかりますれば、上局の指揮を仰いで行うべきであつたかと思うのであります。ところが係員が、たとえそういうような実情にあつたといたしましても、契約に違つたことをされているということは、これは申訳がない、従つてそういう点の情状も酌量することは取扱方としても間違つてつたであろう、こういう観点に立つて、結局追加払をした分を返納せしめたわけでございます。内容的に申しますと、只今申上げましたようないろいろな実情があつたわけでございます。  それから千七百九十七号の、只で塵埃を引取るというものを三カ月で打切つたということでございますが、御承知のようにこの問題は、ああいう種類の仕事をしております人たちの職業等からみまして、なかなかこの信用度というものにつきましては、とかく疑念を挾まなきやならん。遺憾ながらそういう場合もあるようでございます。ところで、この事件は、当時工場のほうの所管が変りまして、庶務課と経理課、どちらがやつておりましたか、庶務課がやつていましたのが経理課に移つたのでございますか、とにかくそういうふうに変つたときに、最初にやりましたところが零円というような、ちよつと予想外の入札が出た。併し俗に只より高いものはないと申しますか、とにかくそれでは先行き不安である、又、作業工場の中でやつておるので、いろいろな物品もあるところでございますので、ちよつとも監視の眼を離すわけにも行かないというような問題もございますので、結局一応三カ月で打切つて、その後は資力調査或いは納税証明書、そういうようなものを徴しまして、一応の資格をきめて指名入札をさせたというやり方に変つたために、四十五円という契約単価ができたわけでございます。この点は事務不慣れで、新らしくやつたところが、一般の競争入札をあつさりやつたところが、非常にまあ大勢のそういう職業の人が集つて、異様な雰囲気になつて、そして意外な入札結果が出た。こういうやり方を、期限を変えたというようなことをやつたわけでございます。そのこと自体はよくないかと思つておりますが、併しだから、果して只のまま一年間続けさすことが当時の状況として工場管理者としてようできたかどうかという点は、多少御寛容の余地があるのではないかと思つておるわけでございます。  次に千七百九十八号のドラム罐の洗てき修理契約でございます。これは鶴見油脂に請負せたために、鶴見油脂としても輸送費が節約できる、それを値引させなかつたことはよろしくないという御指摘でございます。これはこの鶴見油脂が専用線を持つております新興駅、この新興駅まで、それより以東の分は横浜まで持つて行くよりは新興駅で引渡したほうが、国鉄としても、非常に輸送費が助かる。そこでそういう観点から、そういう新興より東の分は新興で引込線を利用してやるということにいたしたのであります。その際に国鉄としても、六十万円ほど輸送費は計算すれば助かる計算になるかと思うのであります。ただ併しながら自分のほうの節約だけを考慮に入れまして鶴見油脂のほうもそれでは助かるのだということが、一般公開入札をいたしましたために、公開入札の最低落札であるからというので、更にお前のほうも儲かるから値を引くべきだという交渉まで注意が行届かなかつたということは誠に申しわけないと思います。その点では関係の者に対して十分注意いたしたのでございます。  千七百九十九号の単価契約において実績と関係なく支払をしたもの。これは率直に申上げますと、実質的に従来のそのままの引続いたやり方、それから又取扱つておる内容をみますと、総価契約でまとめて、いわゆる一括した契約内容でございましたが、契約書が如何にも単価契約のような恰好をとつておりまして、この点、不備と申せば誠に不備な点でありますが、実質は総価契約でございまして、そこで総価契約に対しまして、取扱い数量は、これは実際の発送量に対して運搬距離その他で換算数量がきまつておるわけでございます。で、その換算数量を加えた数量が実際に払つた数量と違うという御指摘を受けたのであります。これは飽くまで私どものほうで、広島鉄道局で契約したときは換算数量のつもりで契約しておりました。その計算をいたしますと、換算数量としては、金額を支払つた数量よりも遥かに多い作業をやつておるわけであります。契約では、総括契約でございますから、一括してきめたその換算数量の分に相当する金額を支払つたわけでございます。つまり実際よりも安い値段を支払つた、安いと申しますか、数量の少い計算で支払つたということになるわけでございます。ところが契約書が誠に不備で、もうどう見てもこれは単価契約にしか見えないぞと、こう御指摘を受けると、又その通りになつておりました、その点は申訳がないと思つております。二十七年度の下半期から早速この点がはつきりするような単価契約に改めまして、関係者に厳重に注意いたしたわけでございます。  それから千八百号の請負作業の実績が確認することができないものは、これは検査院の御指摘の通りでございます。これは例のジエーン台風によりまして、安治川口一帯は全く収拾つかないような状態になつてしまつたために、当時の、まあ大いにそういうものの整理努力はいたしたようでございますが、これらを立証するだけの資料その他ができませんで、全く明細がわからないというような結果になつておりました。大変申訳がないと思つております。これらも厳重に関係者は処分すべき性質でございます。ただ例の講和発効の恩赦によつて行政責任が免除になつております。一応処分は行うことができませんので、厳重に注意をいたした次第でございます。職員の不正行為が二件ございまして、これはこの事案に書いてある通りで、誠に申訳ないことだと思つております。関係者はいずれも処分をいたした次第でございます。  千八百三号の出納事務の過誤によつて現金を亡失したものは、これは誠に知能的な犯罪で、部内の事情を十分に知つて、而も帳簿類その他の取扱い方も本当に知つておるものでなければできないような詐取を行われたのでございます。早速大阪鉄道局としましても公安職員が調査に当り、検事局にもこれを移牒いたしまして、いろいろ取り調べたのでございますが、遺憾なことには未だに犯人が出て参つておりません。大変申訳ないと思つております。で、この関係者に対しては十分注意もいたしますし、又この仕事のやり方の粗漏であるという点も、こういう乗ぜられる隙があつたことに対しましては、監督者に対して処分を行なつた次第でございます。  大体各件ごとにつきまして概略の私どものほうの経緯を申上げまして御参考に供したのでございまするが、詳しいことは又主管の各局長も列席しておりますので、御不審、御疑問の点がありましたら重ねてお答えいたしたいと思つております。
  19. 小林亦治

    委員長小林亦治君) では先ほどの山田委員からの質問について……天坊副総裁。
  20. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 先ほど山田委員からの御質問は、国有鉄道が公共企業体になつてもう五年も経つておる。その間いろいろ期待された能率経営ということについて、今のところどういうふうになつておるか。而も現実の問題としては、こういうふうに毎年いろいろと不当なと申しますか、いろいろともつと企業意欲といいますか、能率運営に対して逆な方向の事実が次々と現われているんだが、これらに対してどういうふうな考え方をしているかという意味での御質問だつたのでございますが、全く毎年いろいろと会計検査院の御指摘を受けるような申訳ない事例が相も変りませず出て参りますような恰好で、恐縮に存じまして、又申訳ないと存じておる次第でございますが、ただ御承知の通り、公共企業体になりまして、いろいろ私どもそれと同時に機構の改正というようなこともございまして、又、先ほどもお話がございましたが、最高の機関といたしまして、国鉄の内部に経営委員会、初めは監理委員会という名でございましたが、その後、経営委員会という名に変りまして、重要な施策についてはそこで御審議頂くというような機構ができまして、民間からの財界、金融界、その他交通界等の方々がおいでになつて、毎週一回定例的にいろいろ重要な事項について御審議、御検討つておるようなわけでございまして、まあその後、何と申しますか、御承知の戦争直後の非常な輸送の混乱というような、或いは又輸送の混乱と並行いたしまして、いろいろとモラルが落ちたためのいろいろな問題といつたようなことも、全く国有鉄道の中にたくさんいろいろな事例が出て参りまして、それをどうして切り抜けて行くかということでございましたのですが、御承知の通りだんだん社会情勢そのものの落ちつきを取戻すというようなことと並行いたしまして、まあまああの当時から比べること自体が、やや無理があるかと思いますが、大体のところ、只今戦前のいろいろな輸送の実情と比べまして、まあまあというところに辿つて来たというふうに私ども考えておるのでございますが、ただもう一息という段階おいて、非常にもたもたいたしておることも事実でございます。その間、合理化のためには、御承知の通り、鉄道の職員なども最高時は六十二万というような人を擁しておつたのでありますが、その後、整理等をいたしまして、四十五万の線というものをここ数年間維持いたしておりまして、人間もそれ以上殖やさない、減つたら減りつぱなしというようなことで、ずつと続けて参つております。而も一方、戦争直後、輸送の数量というようなものも非常に減つたのでございますが、それを殖やしつつ、これはもう御承知の通り、各区間や各線区ごとに汽車の回数等も一時非常に減つておりました。それがまあだんだんもとに近く直して参りました。これはまあ車ができ上る、車の整備がよくできる、新らしい車ができるというようなことと絡んででございます。或いは又石炭等が非常に入らなかつたというような時代が過ぎまして、とにかく燃料に不足はない、或いは電力についても十分供給を受けられるというようなこと等もございますが、とにかく汽車の回数、或いは走りますキロというものを殖やしつつ、人間は殖やさないでやつてつたわけでありますが、ただお話の通りもう一息という段階におきまして、いろいろまだ私どもも十分満足といえない状態にあるのでございまして、その点については、ふだんいろいろとどうすればいいかというようなことを検討を怠つていないつもりでございますが、御指摘の通りな事実があるので、まだまだこの上ともに努力いたしたいと考えております。殊に本年は御承知の通り、公共企業体の合理化審議会というようなものもできまして、約半年に亘りまして非常に熱心にいろいろ御討議願いました。国有鉄道の部門につきましても、いろいろ実情その他について御検討つたわけであります。大体結論も出たように伺つておりますが、そのお話の中でも、一つ御指摘になつております項目でございますが、国有鉄道のやり方として、民間事業のように、非常に金策について、割合に今まで楽に金融がついておつたというような点から、その辺の有難味について十分苦労が足りないというような意味の文句があつたように記憶いたしておるのでありますが、その点につきましては、確かに私どももまだまだ考えなければならんという点も多いと思います。できましたことを前にして言訳をいたすばかりが能でございませんので、今後にいろいろ反省をいたしまして、できるだけ努力をいたしたいと存じております。ただ私どもの仕事といたしまして、ときによりますと、非常に急を要する場合がある。それから、ものによつて非常に遠方、各地に偏在いたしておりまして目が届かないというような場合もあり得る。いろいろ特異性もあるわけでございます。併しながらそれに応じた機構もあるわけでございまして、できるだけ全体として、先ほどの事故のお話がございましたが、安全に而も正確に、又迅速にやつて行かなければならん、全体としての運営がそういう恰好でなければならんという点は、十分承知いたしておるわけであります。又而も一方いろいろ技術的に或いは科学的に進歩いたして参ります。いろいろな新らしい研究というものもできるだけ取入れて参らなければならんという点も、十分考えなければならんと思つております。  部内の機構といたしましては、それぞれ主管部門がございますが、同時に経理局の中に監査課というようなものを設けております。又総裁室に監察役というものを任命いたして、いろいろ部内の監察に、そうして全体的な能率の上るように、毎月いろいろ運営の指標をとりまして、それによつていろいろ全体を検討いたしております。  なお資材等についての機構はどうなつておるかというお話でございましたが、現在こうした調達につきましては、資材局というものを本庁に置きまして、出先地方には地方資材部又は資材事務所というようなものを設けて、調達はこの系統一本に集中してやつておるわけでございます。できるだけ回転をよくし、いい品物を安く買えるようにというふうに考えておるのであります。何分千億近くの購入でございまして、片方で余つておるものを片方で買つておるというようなことも、事実としてまだなくならないという点、十分ございます。又長い間たまつて稼働しないと申しますか、資材がたまつておるというような点もございまして、それらの点も十分、余計なものは売つてしまうとか処分をして、その資金を有効に回転できるようにというふうに考えておるわけでございますが、今後とも私ども十分注意をいたして、努力いたしたいと思いますが、一つよろしくご指導のほどをお願いしたいと思つております。
  21. 山田節男

    ○山田節男君 それは今、天坊副総裁のお言葉、よくわかるのですが、我々国会において、たしか第五国会か第六国会かと思いますが、最初にごういつたような官営の輸送機関を公共企業体にするということは、要するにサービス事業であつて、これの運営に当つては、もうあくまでも前垂れ式の商人になつたつもりでやつて行かなければならん。当時の運輸大臣もその点を非常に強調していたわけであります。これだけの厖大な企業体でありますと、複雑な機構を持つておることでありますが、これはやはり日本人としての能力というものに対しては、非常な自信をつけるか失わすかという非常に大きな問題ではないかと思うのです。これだけの厖大なものを極めてサービスをよくするように、それを科学的に、又こういつたような事件が、もう絶対ということは言えませんけれども、つとめてこういう事態が起らないように改めるとか、これはいろいろな問題があるだろうと思うのです。これは単なる技術とか何とかいう問題ではなく、人の問題だから、先ほど申上げましたように、従来のいわゆる官僚主義の古い伝統を払拭しきれないのではないか。前垂れ式になるというならばその根性を入れ替えなければならない。日本人の能力を以てして、これだけの厖大なものを、極めてニートに経営できないということはないと思うのです。日本人のそういう経営の能力をためす一つのテスト・ケースだと思うのです。而も相当に優秀な人がおられるのでありますから、そういう点、科学的に、能率的に、ニートに、流線型的なマネージメントをするということは、これは重要なことです。ですから経営委員会があり、又更に総裁以下執行部に優秀な人がおるのですから、こういうことは私は常に研究しなければいかん。それが利用者に対するサービスの形となつて現われる。それは時間が正確であるという点においては私は世界に誇るべきものであると思います。併しスピードの点においても、或いはその他の諸般の車内におけるサービス、或いはその他の駅のマネージメント等においても、我々が部外者として、利用者の立場から見ても、もう少し気がつきそうなものだということが気がつかない。殊に海外を旅行して、一流の国ならばいざ知らず、スペインとかイタリーとか、こういつたような二流、三流の国に行つてみても、自動車が非常に進んでおるから、それに対して更に競争をする気持が起きたということも言い得るかも知れんけれども、とにかくスピードにおいも、サービスにおいても、又経営の点においても、かなりうまくやつていると思うのです。  ですからこれは希望になりますけれども、この点は日本人の能力でできないことはないと思うのです。公共企業体いうものが、国鉄一つのテストケースとして、最初に我々が立法して作り、専売公社を作り、更に電々公社を作りました。我々はこれらの会社に対しても飽くまでも自主的に、もう経営の権限を持つているということは、独立採算でやり、能率をよくし、サービスをよくするということが根幹なのです。ですから、この点は只今の副総裁のお言葉よく分るのでありますが、これはもう常時不断にこのことは研究してやらなければならない。  それから重ねて質問いたしますが、これだけの厖大な施設を動かして行くことには、どうしても調達、補給、これは過日も保安庁のときにもいろいろ質問が出たのでありますが、調達とか補給とかいう面をもう少し合理化するという部面があるのではないか。この点におきまして、私は少くとも国鉄としてはいろいろ御研究になつているのだろうと思うのですが、根本的に、ただ資財局或いは経理局といつた一部の局が分担してやるということが、通信、交通の発達した今日において、そういつたようなことは、企業形態において、殊にサービス産業になつて来れば、これは困難な問題です。ですから、この点に対する私の認識といいますか、従来の資材局或いは経理局にやらして行くということ自体が研究を要する問題ではないか、かように私は考えたから、調達、補給についての、何かこれよりベターなものを作りたいということを研究しておられるかと質問申上げたのですが、今の御答弁がないから、今日の、現状の資材局その他の機構で十分賄える、やつて行けると、こういう確信をお持ちだというふうに了解してよろしいのでございますか。
  22. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 只今のお話の調達、補給の問題が全体として非常に重要な部門であるということは、十分私どもも了承しております。ただ私どもも少し型にはまり過ぎておる点もあるかとも思いますけれども、相当長い経験と実績とを持つておりまして、その間いろいろ機構の立て方等についても変遷もあつたというふうに記憶いたしおりますが、その後もいろいろ論議を重ねました結果、やはり各主管局で必要なものを要求する、要求したものを集めて資材局で購入して必要なところに配る、こういうことならば、結局調達というものの目的はそういうことにしかないわけでございますから、一時必要な所で必要に応じて買えるというような仕組も或る程度考えたこともあるのでありますが、片方で非常に迅速に行くという面もありますが、又ときによると無駄な買い方になる、高い物を買つておるというようなこともしばしばあつたのでありまして、只今の結論といたしましては、現在の機構でやつて行けるのではないか。ただ併し現在の機構のままと申しましても、全体にやはりもう少し能率的にやれる方法はないかというようなことは、或いは本当に使う面での十分な満足を得ておるかどうかというような点については、まだまだ問題もないわけではありませんので、そうした面はできるだけ考え、或いは直しつつ、大筋としては現在の機構でやつて行けるのではないかというふうに私は考えておりますが、若し更に御質問がございますれば、資材局長も参つておりますから、資材局長の意見等もお聞き下されば結構だと思います。
  23. 山田節男

    ○山田節男君 資材局長としてもいろいろ御意見があるだろうと思いますが、ここで只今私が申上げた、殊にサービス事業ですから、生産財ではなく消費財の調達、補給ですから、そういう建前での近代経営ということを考えれば、調達、補給ということはこれは困難な問題で、今日の企業経営の通念から言えば、もう一つの原則になつておることです。この点がどうも重きをおかれていないというところに、いろいろなここに指摘されておるようなこともやはり出て来ておるという可能性があるわけであります。その点一つ、私はただ抽象論でありますけれども、原則論として、今後重要な課題として、首脳部の間で、他国のこういう国営或いは公共企業体或いは私企業としての経営については、いろいろこれは研究しておられるだろうと思いますが、更に今日の経営振りも十分勘案して頂いて、一つこの際十分再検討して頂きたいということをお願い申上げておきます。  それからこれは直接この決算問題に関係はありませんが、さつき石井経理局長が、今年度の……昨年ですが、貨物の輸送が三十億円の減収だというような御説明があつたのですが、これは恐らく今日、貨物自動車が、東京—大阪或いは東京—広島或いは広島—福岡というように、非常に、何と言いますか、長距離の貨物運送が殖えて来た、こういつたようなことの競争の結果減収したのじやないかと私は想像するのですが、このことは、例えば旅客輸送におきましても今日九州或いは中国の西部等は、一等の汽車に乗るよりも飛行機に乗つたほうが経済的である、金銭的にも時間的にも経済的であるというので、利用者は非常に殖えておる。私たちもそうですが、昔に比べれば利用者が殖えて来ておる。この点は一に、汽車の、殊に急行列車の速力——スピードの問題にかかつておる。今日は東京—大阪間が、特別急行列車にしても八時間を要する。広島まで行くには十七時間を要するというようなことは、これは狭軌という一つの制限もありますけれども、もう少しスピード・アップする余地はないものかどうか。例えば大阪までを五時間で行くとか或いは福岡までを十八時間或いは十七時間で行くとかというようなスピード・アップということが……安全な限度においてのスピード・アップをしなければ、旅客の点においても今の貨物輸送で減収を来たしておると同じような傾向になると思う。更にこれが道路が整備されることになれば、ますます私は貨物旅客の輸送において国鉄の将来というものは非常にダークなんじやないか、ダークであるべきだと思うのです。自然の趨勢から言えば、それに対抗するのには、要するにスピードを上げるということより私は方法がないんじやないかと思う。国鉄当局として安全確実ということは勿論これは大前提であります。その前提の下に今日の全国に対する少くとも急行列車の通う主要な都市を通過する急行のスピード・アップということに対して、技術的にいろいろ御研究になつているのだと思うのですが、どのくらいこれがスピード・アツプできるかどうか、概略的に御説明できればお示し願いたいと思います。これは誰か関係の局長にお願いいたします。
  24. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 只今の御質問でございますが、鉄道のスピード、特に旅客急行列車等のスピードについての御質問でございますが、大体只今急行列車はまあまあ戦前に近いところまで時間も直つて参りました。併しところによりますとまだ戦前の時間よりも遅いところがある。例えば上野、青森間、上野、札幌間というようなところでは戦争前よりも遅いというふうなところもございます。今後線路その他に手を入れまして、例えば東京、大阪間につきましては、やり方によれば数個の列車はもう二時間ぐらいは短縮できるというふうに考えておりますが、全体といたしまして、結局一本とか二本とかいう特別な急行列車をそういうスピード・アツプするために非常にほかの汽車が犠牲を受けるというような点もございますので、それらの点をどういうふうに考えて行くかという点が今後の大きな問題であろうと考えておるわけであります。どう競争いたしましても、国鉄と飛行機との関係においてはなかなかもう私は無理があると思う。而も鉄道といたしましては、そういうお客さんが主たる対象とは必ずしも言えませんで、むしろ何と申しますか、三等旅客の数多い大衆の問題でございまして、これらのかたがたについても、結局全体としてのスピード・アップができなければ、やはり十分御満足も得られないのではないかというふうにも考えておりますので、東京、大阪間等につきましては、まだ若干やり方によつてスピード・アップは可能でございますが、全体としては現在のような輸送量、まあお客さんの数は、先ほどお話がございましたが、戦前に比べて三倍以上になつております。或いは又貨物列車等におきましても、東海道線についてはもう殆んど一ぱいと申しますか、東海道線の輸送力が殆んど持たないくらいのようなまあ数字になつておるのでございます。これは非常に景気のいい、貨物がうんと出たときの話で、併しながらこういうものがいつまで続くかという問題も勿論ございます。九州の関係におきましても若干はまだ時間は詰つて来るというふうにも考えられますが、先ほど申しましたように、一本だけそういう非常に早い汽車をこしらえるのがいいかどうかという点もいろいろ議論もございまするので、全体として線路をよくし、例えば勾配がございます点を直すとか、カーブを取りますとか、こういう点ではまだまだ速度の制限を受けておるところもございますので、少しずつはよくなつて参ると思いますが、そう大きく飛躍的な格好で期待できるかどうかという点については私は相当困難があるというふうに思います。非常に抽象的でおわかりにくかつたかと思いますが……。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 今の私の質問は余り抽象的であつたからおわかりにならなかつたかと思いますが、私の質問は、要するに今日あらゆるものが日進月歩である。航空機或いは自動車の発達ということ、非常に通信交通が発達して来ている。日々進歩するのが今日のまあ文明の一つの大きな特徴だ。然るに鉄道輸送は二十年、十年も前と今日と比べて見て、全般的に汽車のスピードが上つていない。今のような御説明によれば、戦前のレベルにも達しないのがある。こういうことは、これは三等だろうが二等だろうが、一等だろうが、距離の長短にかかわらず、今日の文明の趨勢から言えば、輸送機関がスピード時代であるということはこれは申すまでもないことであると思います。ですから安全であるという限度を超えない範囲においてはいろいろ技術的な工夫をして、たとえ十分でも或る一定の距離を早くするということは、これはいわゆるサービスの改善になつて来るわけです。ですからそういうような意味において、ただ一本の特急を殖やして、それをむちやくちやに働かして、東京、大阪間を五時間で行くのがいいということを私は申上げているのではない。全体のスピード・アツプが十年、二十年前と今日と比べて、以前と同じような鈍行状態だということは、国鉄の経営者としてこれが果していいかどうか。たとえ三等に乗る者だろうが近距離の者であろうが、時間において早ければそれごそサービスの改善になつて来るわけです。そういう意味で、日本が狭軌鉄道としての限界に来てしまつておるのか。それはダイヤの編成とかいろいろなことがありましようが、これを更に再検討して、全般的にもう少しスピード・アツプするということができるのかどうか。そういうことは首脳部として研究したことがあるのか、又将来そういうようにして改善する余地があるのか、こういう意味での全般的な問題として質問申上げておる。
  26. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 現在御承知の通り、戦後非常に車の数等が減つた事態がございましたので、そのために支線区等について分岐する場合に、連絡駅で非常に接続のための時間というようなものがございまして、皆さん御経験がございますように、地方においでになると、地方によると二十分、十分というような長い間同じ駅にとまつているというようなものも相当現在残つているわけでございます。そうした点は、これから車が殖えますに連れて回数も殖えるということになると、連絡の接続時間も非常に少くて済むという点がございますので、そういう点で相当まだまだ全体としての時間が早くなるという点もございます。それから同時に先ほど申しましたように現在いろいろ線路が相当老朽になつて参りまして、そのために速度の制限を現実に設けているところが相当ございます。これらが或る程度施設が復旧整備されますと、速度制限が取れて参るということによつて、もう制限なしに走れるためにスピードは早くなる。それから更に現在非常に輸送量は殖えて車が非常に少くなつたために、或いは又旅客の車を非常に大型にして来ましたために、非常に詰めて、回数を少くしてやつてつたのでありますが、只今のお話にもございましたと思うのですが、結局旅客サーヴィスは、一方では回数が一つの問題であります。早いことと同時に回数が何回もある。一日に四往復というようなところがまだ地方によつてあるのでございますが、それをところによつては八回とか六回とか、或いは十回とか、こういうふうに殖やして行く、軽い車輌にいたしまして走つて行けば、結局相当スピードも上つて参るというところもございまして、只今ディーゼル・カーというようなものもお蔭で大体五百輌近くになつて参りました。更にこれももう少し殖やして参りたいと思つておりますが、これの単車若しくは二輌、若しくは三輌というようなデイーゼル・カーを相当それを動かすことによつてスピードも上つているのが実情でございます。ただ根本的に全国を通じまして単線区間が大部分でございますので、そうした部面での制約というものは或る程度避けられないと存じておりますが、お話の通りこれはスピード・アツプは地方の皆さんの御要望でございます。私どももできるだけ少しずつでも上げて行きたいというふうに考えておりまして、少しずつは時刻改正いたしますたびにスピード・アップはされておるのが現状でございます。
  27. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 審査事項についての御発言はございませんか。
  28. 山田節男

    ○山田節男君 不当事項の千七百九十七号の件ですが、先ほど経理局長からの御説明があり、その前に会計検査院からの説明があつたのですが、この場合は会計検査院の見解では向うが金を出しておつた。だから国鉄から言えばこれはもう売れたんだ。然るにこういつたような結果になつた。〇円で落札した。二番札は一円、三番札は四円五十銭、こういうような事態が事実とすれば、先ほど経理局長のおつしやつたことはどうも私はよくわからないのですが、こういう極めて何と言いますか、非コンマーシャル、余りに非コンマーシャル的な処置というものがどうも了解できないのですが、何とか若し補足的な御説明ができれば一つして頂きたいと思います。
  29. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これは率直に申上げますと、いわゆるこういう古物商と申しますか、俗にバタ屋と申しますか、そういう人たちが一般競争入札になつたというので、いろいろデモンストレーシヨン的なことをやつて、無理にこれを、入札を下げたというような状態でございまして、そこで工場といたしましては、糞尿汲取について曾つて非常に安い単価で落札した者があつた。結局契約を綿結してからなかなか取りに来ない。非常に糞尿の処理に因つた事例もございますので、こういうふうに非常に安い価格というようなことをやりますときには、必ず何かそこに心配になる点が出て来るのじやないか。特に入札当時の状況が、そういう連中が集つて非常な、何と申しますか、異常な空気で行われたのでございまして、いろいろ価原計算書等も提出して検討したのですが、結局塵埃は一カ月三千八百円ぐらいだというようなことを言つている。常識から考えまして、一カ月僅か三千八百円ぐらいでこれらの大量の塵埃処理を請負というようなことはまあちよつと不安がある。何かそこにいろいろなことをしやしないかという心配も相当つたと思うのでございまして、実情的に申しますと、    〔委員長退席、理事島村軍次君着席〕 そのために作業に入つております際に相当たくさんの監視員をしよつちゆう付けていなければならないというようなことをいたしまして、結局工場作業員のそういうふうの、目に見えない経費がそういう点ではかかるわけでございます。そういうような心配な状態を続けて行くということよりは、やはり信用のできる者だけで指名入札をやつたほうが妥当であろう、こういうことで三カ月で一応打切つたということであると思うのでございますが、実際問題といたしましては、率直に申しまして、古物を取扱う者、いわゆるバタ屋というような人たちのやり方、殊に入札後のいろんなことについて相当注意もほかの方面からも受けたというようなこともあつてし直したのでございまして、私の申上げようが悪かつたかも存じませんが、実際に管理をいたしております工場当局者としては、そういう目に見ふないほかの苦労、その他出費になるかどうか知りませんが、とにかくそういういろいろの監視その他のために要するいろいろの苦労というものを併せ考えましてこういう契約を切替えたと思うのでございます。  実際に持つて参りますものを、金を出しても買つてつて行くものがあるんだという御見解に対しては、これは純然たる土砂、塵埃、石炭がら、カーバイト屑というだけで、それ以外のものは全部選別してこちらに取つておきまして、これは別に売却をいたしておるのであります。そういうような品物ではないと私は考えております。
  30. 山田節男

    ○山田節男君 これはまあ全国、今相当大きな駅では石炭がら、塵埃、カーバイト澤の処理物があるわけですが、大体今経理局長がおつしやつたような方針でおやりになつているのですか、全国的に。
  31. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これは主としてこういうものが多量発生いたしますのは、これは工場でございます。工場につきましては只今申上げましたような建前でやつておると存じます。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 工場はまあそういうこともあるのですが、工場でなくて、我々汽車に乗つてつても、ちよつと大きな駅になれば、電化してない地区には相当石炭がらがたまるわけです。こういうようなものの処理は、先ほど経理局長がおつしやつたような方針で全部処理していらつしやるのかということなんです。
  33. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) ガスがらにつきましては、これは発生箇所もたくさんございまするので、いろいろの処理方法が区々になつておりまして、そのために或いは随意契約処理をさしておるところもございますし、或いは工事等のため必要なものは直営でやつておるところも、取片づけておるところもございます。いろいろございます。ただそのやり方、担当場所等につきまして、業務分担必ずしもはつきりしていなかつた点もございまするので、私どもといたしましては、これを全国的にはつきり、発生箇所ごとに駅の構内のピットに発生したもの、それから機関区の構内に発生したもの、その他の構内、線路に発生したもの、それから駅以外の、駅間の線路で発生したもの、それから只今工場、それから発電所もございます。そういうふうな発生箇所ごとに分けまして、線路側への集積作業はどこの責任である、それから貨車の積込み作業はどこがやる責任であるというようなことを、業務分担を只今はつきり全国的に統一いたしまして、その立案をいたして、近く全管内に指示するつもりでおりまするが、只今までのところは各管理局或いは工場管理局ごとに多少区々に亘つた取扱いをいたしておるように存じております。
  34. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 主として貯蔵品等の問題でありますが、先ほど私行政管理庁の監察部の昭和二十九年度における監察業務実施状況という書類を偶然入手しましたので、極くざつと目を通したのですが、行政管理庁で本年の一月から十月までの間だ国有鉄道管理局の現業機関、工事事務所等が全国で六百八十九カ所のうちで百七カ所、約一割五分を調査した結果がここに出ているのですが、それによりますと、調査対象現業機関の二十八年度末の在庫額が十二億一千万円ある。そのうちの一億四千万円は在庫期間が一年以上であつて、而も一年以上の長期在庫品の一割は三年以上であり、更にその半分は五年以上の長期在庫になつておる。こういうことが書いてあるのですが、そこで死過蔵品整理に極力努力をなすつていらつしやるということはよくわかるのですが、現在死過蔵品金額は大体どれぐらいに全国ではなつておるでしようか。
  35. 小林重国

    説明員小林重国君) 死過蔵品につきましては今回の会計検査院の御指摘もございますが、二十六年頃まで終戦後の混乱のひどい時代でございまして、物の獲得にも非常に苦労いたしますし、物によりましてはほかの物と抱合わせでなければなかなか売つてくれないというような事情もございまして、相当無理をして買つたもの、或いは終戦後の品質の悪いものを大分買つております。その後産業状態もどんどんよくなりまして、品質のいいものが出て参りますと、そういつた昔の品質の悪いものはもう使う時期を失してしまう。こういうような格好で相当厖大な死過蔵品が発生しているように見受けられたのであります。二十七年頃から大体経済情勢も落着いて来まして、現場でほしいと思われる物も我々のほうで十分調達できるような状態になりましたから、二十七年に今までの垢を一切洗い落そうじやないかということで、二十七年に死過蔵品整理を大々的にやつたわけでございます。そのときの経過がここに指摘してございますように約十一億程度の死過蔵品を見たのであります。こういつた品物は何しろ品質が低下しているもの等が多かつたので売却いたしまして、差損が一億四千万円くらい出たのでございますが、そのうち二十七年度中に整理し切れずに二十八年度に越したものもございます。二十八年度におきましても引続き売却をいたしまして、二十八年度におきましては帳簿上約七千万円くらいの黒が出たような次第でございます。我々としましては二十八年度徹底的にやりましたので、もうそんなに死過蔵品残つていないのではないかという気持を持つておりましたのですが、我々は二十七年度はもうすでに物の需給は楽になつたのではないか、こういう考えを持つておりましたが、現場のほうではまだそこまで現状を十分把握しておりませんので、物によつては又配給が悪くなるのではないかというような不安がありまして、品質の悪い物も出さずに抱きかかえているというような傾向が見受けられたのであります。今年になりまして、二年も経過いたしましたので、もう経済情勢もだんだん緩和いたしまして、    〔理事島村軍次君退席、委員長着席〕 どこでも物があり余るような状態で、現場でもそう配給が悪くなると不安を抱いて抱きかかえて置く必要もないのではないか、思い切つてこれを出して頂く、こういう考え方で二十八年度に又死過蔵品整理と申しますか、それをやつたわけでございます。今回の数量はここに手許に資料を持つて来ておりませんのではつきりした数字は申上げかねますが、主として現場の倉にありますものを整理いたしました。二十八年度はどつちかと申しますと、用品庫にあります品物の整理が中心になつておりますが、今回は現場の第一線にある物の再整理、これに重点を置きまして、もう本当に最近は物の需給もよくなつたのだから、使いたいときにはいつでも配給して上げるのだから、要らんものを抱えて置くのはよしてもらいたいということで全部出して頂きまして、それはむしろ用品庫のほうへ戻してもらいまして、用品庫で再整理いたしまして、使えるものは使えるようにする、それからまだほかの用品庫に廻しまして、ほかの使用個所で使えるようなものはそこで使わせる、こういうような処置をとりつつあるようなわけでありますが、その結果やはりまだ使う見込のないものも出て来ております。これは更に再使用につきまして全国睨み合わせまして、再使用を勧奨いたしまして、その結果どうしても使いものにならないようでしたら売却処分に付してしまいたいと思つております。それでこれが済みますと、大体死過蔵品はなくなつてしまうのかと存じますが、先ほども会計検査院の御指摘の、数字の桁を間違えて買い過ぎましたり、そういつたものは将来多少は止むを得ず発生するかも知れませんが、これはもうできるだけ早く状態をつかんで、倉にしまつて置かないで早く転活用する、こういう点に注意して行きたいと思つております。
  36. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 金額は幾らか、それを一番聞きたい。
  37. 小林重国

    説明員小林重国君) 金額ははつきり記憶しておりませんが、四億くらいじやなかつたかと思つております。
  38. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に同じ報告の中に現場確認調査所八十六ケ所のうち四十二カ所で実際に使わない未使用決算品が約九千二百万円ある。これは実は私非常に驚いたのですが、未使用決算品といえば結果帳簿上のものになつておる。これは不正の原因を作るものですが、ここで調べたものだけで九千二百万円なら全体としては何億という金額に上るのではないかと思いますが、どれくらいありますか。
  39. 小林重国

    説明員小林重国君) 未使用決算品の状態はなかなか実情がつかめないのでございますが、昔のようにそう多額のものは残つていないのじやないかと思います。昔はとかく予算の窮屈な点をこの未使用決算品でカバーするというようなきらいもございましたが、最近はその点につきまして十分注意をいたしておりますし、物の配給の悪いときにはそういう傾向が強くなるのでありますが、最近のように物の配給もよくなつて参りました現状におきましては、現場としてもそういう品物を持つ必要はないのでございまして、そう全国的には数量はないのじやないかと想像いたしております。
  40. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この行政管理庁の九千二百万円、その見当は御承認なさいますか。
  41. 小林重国

    説明員小林重国君) その数字につきましては、大体行政管理庁と私のほうと両方で確認しておるような姿でございますので、間違いのないところだと思います。
  42. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 調べた個所が局限されておりますから、これの何倍がやはりあるのじやないかと思いますが、如何でございますか。
  43. 小林重国

    説明員小林重国君) それは調べました個所か全部でございませんので、推定いたしますれば、調べました個所と全国の個所との割合で推定するのが当然でございます。
  44. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 幾らぐらい御推定になりますか。
  45. 小林重国

    説明員小林重国君) 今その数字を持つて来ておりませんですが。
  46. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大体あなたの常識でわかることじやないですか。
  47. 小林重国

    説明員小林重国君) 一億くらいのものではないかと思つております。
  48. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうすると八百万円だけしか殖えないのですか、おかしくはないですか。
  49. 小林重国

    説明員小林重国君) その調べました個所も行政管理庁として疑問を持たれる所を調査されたと思いますので。
  50. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次の機会にもう少し具体的な、未使用決算額というのは非常に決算面としては不都合な実は数字ですね、ですから、これは相当金額の多少にかかわらず私は重要な点だと思いますので、もう少し具体性のあるところをお調べ頂いて、月末においでになりますときに一つお知らせを願いたいと思います。
  51. 小林重国

    説明員小林重国君) 承知いたしました。
  52. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから先ほど山田委員から縷々お話がありましたが、石炭がらの問題ですけれども、数日前の新聞に石炭がらの払下げの問題に関連して会計検査院のかたが汚職問題を起しておるということを読売新聞十一月の四日の新聞で私見たのですが、汚職問題を起すくらいな値打のあるものであれば、一体石炭がらというものは、先ほども経理局長から〇円で足りないから云々というようなお話かございましたが、相当やはりうまい汁があるのではないかということを想像するのですが、そこで私の伺いたいのは、一体国鉄で一年に石炭をどれくらいお買いになるのか、又がらをどれくらい払下げられるのであるか、この二点が伺いたいのと、先ほど私が引用いたしました行政管理庁の監察部の報告では、国鉄が運転用並びに焚料用の石炭荷役を、形式的には競争入札にしておるけれども、実際は日本海陸運輸株式会社一軒だけがその入札に入つておる。これは非常に問題だと、そういうことが指摘されており、且つ又単価が非常に安過ぎるので、行政管理庁のそろばんによると、現行の契約単価を適正に統制すれば年間約七千二百万円の節減が可能である、こういう報告が出ているんですが、とにかくこの石炭の問題は国鉄としては相当大きな問題であり、数字に基いて簡単に且つ的確に一つお話を伺いたいと思います。
  53. 小林重国

    説明員小林重国君) 事業用の石炭につきましては毎年購入いたしております数量が約六百万トンであります。半期三百万トンであります。そのうち五十万トン程度は志免の鉱業所で出炭いたしますので、購入いたしますものは半期二百五十万トン見当になつております。二百五十万トンのうち約五十万トンから六十万トン程度は煉炭として使用いたしておりますので、粉炭にピッチを入れまして加工いたしまして煉炭にしましたものを私のほうで購入いたしております。石炭、生のままで購入いたしますものが約二百万トン、こういうような状態になつております。  それから発注いたしますアソシユの数量でございますが、これは私のほうで数字をつかんでおりませんので、経理局長からお話し願うことにいたしまして、次にこれの荷役の問題でありますが、これは従来全国一本で行なつておりました関係上、海陸運輸が実際一社入札するというだけの状態でございまして、能力から申しますと、日本通運も入札し得るはずでございますが、従来日本通運のほうは入札したことがございませんで、海陸運輸だけが入札しておるという現状でございまして、折角競争入札をするのでありますから、もつと競争者が現われまして、できるだけ安い単価で契約できるように努力すべきでございまして、この点につきましては会計検査院からもいろいろ御指摘もございましたので、本年度から地区を分けまして、北海道炭の発送地区、積出し地区、それから揚げ地といたしましては裏日本、表日本、それから九州炭につきましても、九州炭の発送地、それに揚げ地区を瀬戸内海及び中国、阪神地方、それから四国地方、こういうふうに地区を分けまして入札に付することにいたしました。これによりまして多少とも競争者が出る可能性を多くしたということでございます。現実にはこの荷役事業自体が許可事業になつておりまして、そう簡単に競争相手は出て参らないのでございますが、そういう方法をとつておけば、将来或いは省炭の荷役を扱いたいという希望の業者も出て来るかも知れんという意味におきまして現在の業者を牽制し得るということで、そういう方法をとることにいたしたような次第でございます。  従来契約いたしました際に全国一本で契約いたしておりました関係上、個個の地区について調べますと、或る地区は利益が上つておる、逆に或る地区では利益が上らないというような状態になつてつたわけでございます。全国的に或る地区を拾い上げてみますと、海陸運輸が暴利をむさぼつたじやないかというような見解を下されることもございます。併し他方他の地区では相当の下請料金を払つておりまして、利益が殆んどないというような地区もございますので、これは全国平均してみるか、個々の地区をみるかによつていろいろ見解が違つて来る点もあろうと思います。それにいたしましても我々といたしましては、通運料金につきましては、一応認可の料金或いは届出の料金等がございますけれども、できるだけ安くやるように業者にも慫慂いたしまして、特別の認可を受けさせるというような方法も講じて参つております。
  54. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この管理庁の七千万円節約できる、契約の炭価が甘過ぎるという批難、それは必ずしも当つていないという御見解ですか。
  55. 小林重国

    説明員小林重国君) 行政管理庁の指摘されました七千万円がそのまま我我の妥当だと思う金額だとは思つておりません。
  56. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 このうちでどれくらい成るほどそうだというお考え、これは半分はこの通りだとお思いになるか、全然でたらめというか、見当違いだというお考えでしようか。
  57. 小林重国

    説明員小林重国君) それは全然でたらめの数字だとは思いませんが、我我といたしましても、通運料金、それから海運、海の荷役につきましては届出で料金等がございますので、そういつたものを基礎にいたしまして計算いたしますと、それほど不当なものではないと思つております。
  58. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大変御答弁がお上手で、遠慮深いものだから、どうもぴんとしないところがございますが、あとから考えてみると行政管理庁のほうで言われる七千二百万円のうち二千万円くらいは向うの言う通りだとか、まるで見当違いだとか、金額の点をお見解があれば一つ承わつてみたいと思うのですが、どうでしようか。
  59. 小林重国

    説明員小林重国君) これは金額と申しましても数量によつてきまることでございまして、それから業者にも或る程度利益というものを必ず見なければならないわけでございまして、そう不当の利益だとは思つておりません。又我々としまして現在の料金が妥当だとも思つておりませんが、もう少し我々としても検討して、できるだけ安くするように努力する余地は多分にあると思います。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もうこれ以上伺つても仕方ありませんからやめますが、問題も変えますが、志免鉱業所というのはこれは直営の石炭の山ですか。
  61. 小林重国

    説明員小林重国君) これは戦前は海軍において経営しておりました炭鉱でございますが、終戦後、鉄道におきまして引継ぎましてずつと経営をして参つたものでございます。
  62. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 出炭の能率は、例えば一人当り二十トンとか十五トンとか、やはり標準があるそうですが、大体どれくらいですか。
  63. 小林重国

    説明員小林重国君) 現在大体一人当り月十一トン見当になつております。
  64. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この間経済安定委員会で竪坑に対する財政投融資の問題があつて、そのときに石炭の出炭能力を伺つたのですが、一番能率のいいところでは二十トン、能率の悪いところは十トン、こういうお話が出まして、国家からも金を出して現に竪坑をやつておるところが、山野といいましたか、あるという。今承わつてみれば、日本の平均から言えば非常に能率の低い炭山ということになるわけですが、民間の炭山のもつと能率のいいところから安く石炭を買つたほうがいいのじやないかということを考えるのですが、如何でしようか。
  65. 小林重国

    説明員小林重国君) 現在志免の能率といたしましては、先ほども申上げましたように一人十一トン見当になつております。九州のほうは炭鉱が大体古くなつてつておりまして、あの附近の大手の能率も大体十トンから十一トン前後でございまして、志免といたしましては民間の炭鉱に比較いたしまして特に能率が悪いというような実情ではございません。最近のように炭価が非常に崩れて参りまして、むしろ民間からのほうが安く買えるというような実情になりますと、志免を持つておる必要はないのじやないか、むしろああいうものは処分してしまつて、安い単価の炭を民間から買つたほうがいいんじやないかというような考え方も多分にあるわけでございますが、この経営能率を上げることにつきましては我々としても徹底的に努力をいたさなければなりませんし、なお現在の十一トンを十二トンに上げるというような努力を続けてみたいと思つております。  ただ民間におきましては、最近はございませんが、炭労のスト等がございましたが、二十七年のストのとき、このときは民間から殆んど石炭を入手し得ないような状態にございました。このとき志免は非常に努力してくれまして、平常よりもむしろ能率を上げて出炭をしてくれました。そのために列車の運行を或る程度確保できたと、こういうような実情でございまして、そういつた不時の際の利益等も考え合わせましてどうすべきかを考えるべきじやないかと、こういうふうに思つております。
  66. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 千七百八十二号ですが、高知通運に四千六百万円も滞りがあり、その延滞償金が千七百万円ある。地方で非常に多いですが、これは一体今どれくらい金が入つてあとどれくらい残つておりますか。
  67. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 高知通運はこの九月末で回収済が九百六十万円でございまして、残が四千六百五十万円になつております。
  68. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 最後に、先ほどの山田委員の御意見にも関連するのですが、鉄道全体の多角的経営という問題でありますが、無論全体に対してその精神は強く吹込まれなければならんのは当然でございますけれども、特にこういつて決算報告、会計検査院の指摘する事項を拝見いたしますと、物品関係の問題についてまだく非常に改良の余地があるように思うわけでありまして、勿論鉄道も長い伝統もあり、非常に常々御研究をそれぞれの角度からしておられるということは先ほど副総裁のお話にもあつたわけでありますが、又おかめ八目ということもあるわけでありまして、これは私の単なる意見でありますけれども、例えば物品の購入、或いはそれの検収、貯蔵、払出し、更に死蔵品の売却、こういつたようなものが入つて出る面を特に先ず第一に取上げて、そうして民間にも例えば前に人事院におられた上野陽一氏など、特殊の観点から相当能率的な研究もやつてるわけで、私の承知いたしているところによれば、東京都でも大阪市でも、これは事務能率の改善のために相当の人を使い、金を出して研究しておられるということを聞いているのですが、民間の会社ではいろいろな観点からいろいろああやつているし、御承知の通りアメリカなんかはこの点は非常に進んでいるのです。  それを私どもは特に副総裁に御参考までに申上げたいと思うのですけれども、例えば上野氏なら上野氏をお呼びになつて、或いは何十万円か何百万円か、期間にして三カ月、六カ月というふうにお切りになつて物品の動くほうを思い切つて一つ研究をして案を立ててみる。自分のほうの事務系統の人も相当これに協力させる、こういうので、ほかから何物にも捉われない立場で、改善の方法を立案さして御覧になつて、そこで副総裁或いは経営委員会なりでその案を更に御検討になり、どうも毎年々々決算報告を見れば、実にばかばかしいような、又御当局としても弁解のできないようなルーズなことがたくさん出て参つて、これは一生懸命やつておいでになるのだけれども、どこかに欠陥があつてこういうことが起るというわけなんですから、これは一つ観点を変えて、専門家を入れて立案さしてみて、そうしてそれを無論ああいう立場でおやりになると、実際面ではそうは行かないということもたくさんありますけれども、又同時に非常にこれはいい考えだから、こうすれば大変改善されて、不正事項も少くなるし、経費も少くなる、能率も上るということは、民間の会社でも我々多少経験がありますが、多々あるわけですが、一つそういう方面相当の金を使い、思い切つて一遍おやりになつたらと言つたら、そんなことしなくても研究しているよと言うけれども、そんなことじやいけません。これは毎年出て来るのですから、これは特に副総裁に勇断を以ておやりになるということを特に一つこの際お願い申上げたい、こう思いますので、最後に一つ申上げております。
  69. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はこの各項についての問題は、大体皆さんから詳しく御質疑になつたようでありますから、この際先に副総裁からお話のありましたこの三公社の合理化審議会ですか、これに関してこういうこの決算関係があり、いわゆるこの資材関係のある事項について合理化審議会はここまで踏み込んで審議されたかどうかということを参考までに承わりたいのですが、如何ですか。
  70. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 合理化審議会におきましては、この本委員会のほかに鉄道部会というふうな分科会が設けられまして、その分科会に国鉄の各般の部門の問題について十分御検討を頂いたわけでございまして、現在の国鉄資材の全体、従つて調達、配給、いろいろな問題につきまして御検討を願つたことになつております。そのときの御議論といたしましても、やはり或る程度資材の回転率の問題というような点は相当議論されたというふうに記憶いたしております。
  71. 島村軍次

    ○島村軍次君 会計検査院は無論この合理化審議会には直接御関係はなかつたと思いますが、先に新聞へ答申案というものを、まだ答申は正式には出ていないかも知れませんが、出ておつたと思うのでありますが、こういう問題について会計検査院は御研究になつておりますか。
  72. 大沢実

    説明員大沢実君) 合理化審議会は政府内部の組織でありますので、直接は関係なかつたのでありますが、特に合理化審議会の委員長のほうからお話ありまして、会計検査院意見も聞かしてくれということがありまして、会計検査院意見としては申上げかねますが、四局長の見解として申上げるということで、公社のあり方について多少申上げたことはあります。そしてこの最後の答申の結果はまだ拝見しておりませんですが、各部会の答申はそれぞれ拝見した次第でありますが、これから後は、私の私見でありますが、拝見しますと、結論から申しますると、審議会の答申が非常に生温い、現状維持の答申ではなかつたかというような感じがするわけであります。その場合にも答申には只今御指摘の資材の点その他には触れておらず、むしろ機構とか予算の編成方針、そうした問題であります。ただ私特に強調いたしましたのは、公社の内部の監察機構というものをもつと拡充して、これを経営委員会なり総裁なりの直轄機関といたしまして、そしてもつと内部で監査を充実してくれなければ我々外部検査の少数の人員では到底十分賄い切れないということを強調いたした次第てあります。
  73. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは私は素人ですから或いは間違つているかも知れませんが、先ほど山田委員の御指摘になつたように、公社になると同時に一つの目標があり、やはりサーヴイス本位でやるということから考えて、非常な伝統をお持ちになつておる国有鉄道相当御研究はなつておるのだろうと思うのですが、やはりどうも昔の官庁型で、事務の取扱い等もやはり昔の型がそのまま残つておる。一面には予算経理に束縛を受けてなかなかうまく参らんというような点があるのじやないかと思うのであります。その結果が毎年指摘されるこの財務諸表に関する指摘の点、或いは一般的に挙げられておりまする点から見るというと、やはり各員の御指摘になつたように、もつと抜本的な改革と言いますか、改善を要するのじやないかということが考えられると思うのでありまして、この点については今具体的には八木さんが御指摘になつたような問題について一つ虚心坦懐に御研究になることがこの際特に必要じやないかと思うのであります。  これも希望でありますから御答弁は要しませんが、なおこの三百九十ページから前段に指摘されている事項を拝見いたしますと、これは必ずしも鉄道としては全面的に承服しておられないという事項もあるようであります。具体的に承わることは省略いたしまするが、これらはやはりそういう根本的な問題から出ていることであつて、要約すればやはり特殊の業体であるということに関して十分な思い切つた検討を願いたいことを希望いたしておきます。  それから、ちよつと中座をいたしましたので、或いは質問が出たかと考えますが、会計検査院の説明の中に資産評価の問題があつたようでありますが、御答弁があつたかも知れませんが、再評価についてどういうふうな処理をやつておりますか、御答弁がありましたら、先に答弁したということで御答弁は結構ですが、その点を一つ……。
  74. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 資産評価につきましては先ほどお話が出ました公共企業体の合理化審議会でも、資産評価が財政の健全化の基礎としての先決問題であるというような趣旨の御意見で御答申があるようでございます。私どもといたしましてもその準備を只今整えております。何分にも厖大な資産で、且つ戦争中の経過が不明瞭なところも相当ございますので、非常にやり方について苦慮いたしておるわけであります。成るべく早い機会に資産評価を完了して、正規の財務会計の処理ができるようにいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  75. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで私は一般的に、特に国有鉄道の厖大な、而も多数の人員を擁せられている会計経理につきましていろいろ検査院の御指摘があり、且つ御答弁によりますと、殆んど申訳ないということを前提としての御答弁であつたようでありますが、少くともかような公共企業体として、而も国の企業体としては最も大きな鉄道におきましてこういう事項を繰返すことは、今後よほど改善の跡を見るということの検査院の報告は勿論のこと、変つたという点を明らかにして頂くためにはいろいろの方法もあろうと思いますが、特にこのいわゆる信賞必罰の制度を励行されまして、この企業体としての、これは合理化審議会の答申にもあつたように私拝見しましたが、特に能率が上つた場合には奨励制度を設ける。或いは特殊な、何といいますか能率給というか、或いは能率に応じた支給をするというような方法を講ずると共に、いやしくもこの検査院の指摘にあるような事項に対しては、どうも他の各省のを拝見しましていろいろ御意見も出たのでありますが、特に成績がうまく行つたということを考えると同時に、この厖大な指摘の事項を、恐らく全体を通じて計算をしてみますると相当多額な、言い換えれば国損を来たしたような結果になつているのではないかと考えられると思うのです。その重要性に鑑みて、もつと処分の問題等については厳正な態度でやつてもらいたいと思う次第です。特に希望を申上げておく次第であります。  当初会計検査院の院長が変りました当時の各局の本年度の審査報告によりますと、国鉄の或る部分については相当の改善がなされたようでありますが、なかなか相当特別に成績が非常によくなつたという御報告もなかつたように考えるわけでありまして、この点は一つ併せて御希望申上げておきます。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 千七百九十七号の石炭がらの問題ですが、先ほど会計検査院のほうでの説明では、これを売れるのだと、買う人があるかも知れないという説明があつたのですが、或いはこれは埋立てをしたりなんかするので欲しいというような場合にこれは買うということも考えられるのですが、ちよつと今思い付いたことは、この石炭がらから例のゲルマニウムという希少金属が出るわけです。でこれはトランジスターと言つて、真空管の代用ですね、非常な真空管の革命といいますか、その原料がゲルマニウム、而も石炭がらからとるというので、東京ガス会社のごときは、これを一つの主要な副産物として石炭がらを非常に大事にしてやつておる。そして或る計画を立てて、将来は輸出するに至るまでのゲルマニウムを生産するということを言つておるのでありますが、只今承わると、年間六百万トンくらいの石炭をお使いになる。そうすると相当石炭がらが出るわけです。先ほど経理局長の御説明によると、今後これは各監督局に対しても一律的な指令を出すというようなことを言われたのですが、国鉄としては石炭がらがゲルマニウムという希少金属の一つの原料になつておるのだと、これを若しその地方によれば……、例えば大宮のごときはこれは鉄道貨物、貨車で持つて来ても、或いは東京ガスが買うかも知れない。こういう点を御研究になつたことがありますかどうか。幸いそういう石炭がらで希少金属が今抽出されておるのでありますから、そういう面からむしろ廃物利用というか、公社とすればその六百万トンのうちたとえ五十万トンでもそういう方面に向けられるということになれば、私は大きなこれは希少金属生産に寄与するのではないかと思うのです。こういう点については何らまだ研究されておらんのですか。
  77. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) ゲルマニウムのお話でございますが、確かに石炭の中には、特に私よく知りませんでございますが、第三紀層で産出する石炭にはゲルマニウムが含まれておるという話で、ガス会社でも、あれは煤の中から私はとつているんじやないかと思うのですが、今お話のような石炭がらからそれを経済的にとれるかどうかということは、私素人でよくわからないのでございますが、とにかく非常な莫大なああいう嵩のあるものでありまして、果して経済的に行くかどうかということは私は少し疑問じやないかと思つているのでありますが、国鉄といたしましては、まだこれは研究しておりませんです。ただ国鉄といたしまして、この石炭がらの処分につきまして、まだほかに使う途はあるのでございまして、私たちこれをただ処分するのでなくして、できればこれを国鉄の中のいろいろな工事の盛土に使うということをやつております。それから特に線路の草の生える所、そういうところにはこれを置きまして雑草の生えないようにする。それから北海道のような凍上区間でありますと、冬になりますと、十センチ、二十センチ、このレールが上ります、凍上によりまして……。これを防ぐのにやはり下の路盤を石炭がらに置き替える、これが一番いい方法だというので、こういう方法も講じております。或いは寒地の建築物、建造物の基礎にそういうものを持つて行く、こういうような使い方をいたしまして、極力内部で有効に使えるようにしております。で、どうにもそういうことができない場合について払い下げて行くというような格好をとつておる次第でございます。
  78. 久保等

    ○久保等君 会計検査院にちよつとお尋ねしたいのでありますが、不当事項のうちの未収金の中で、千七百八十一と八十二のこの両項目に該当するもので、昭和二十八年度検査はすでに終了せられておるというようなお話なんですが、二十七年度のここに挙つております連絡運輸収入の場合約一億六千万円、それから貨物後払運賃徴収の面におきましても、やはり延滞料を含めますとほぼ同じの一億六千万円程度になるわけですが、金額の面でこれより殖えておるのか減つておるのか、二十八年度検査状況をちよつとおわかりになつておれば御説明を願いたいと思うのです。
  79. 大沢実

    説明員大沢実君) 連絡運輸収入のほうから申上げますと、二十八年度末で調べましたところが、納期が経過して未収になつておりますのが総額四億五千四百万円ございます。これはまあ一カ月遅滞したものも含めてですが、そのうち三カ月以上といいますのは約一億七千万円、昨年の検査報告に出ておりますが、一億六千万円で大体同じくらいです。会社の数も六カ月以上遅滞しています分が少し殖えまして二十二会社になつております。これが七千四百万円程度になつております。それから一年以上、これはこの五会社、依然として指摘しました五会社そのままでありますが、この五会社が総額で二千七百万円というのが一カ年以上の遅滞になつております。収納状況は決して好転してはおりません。  それから後払運賃のほうは、ここに掲げられておりますもののうちで後払契約を解除されにものもありまして、又その後新らしく後払運賃が滞納しているものもあります。そのほうの結果はちよつと只今まとめつつあるのでありますが、まだはつきりした計数は出ておりません。
  80. 久保等

    ○久保等君 先ほどもいろいろ国鉄の経営の問題で御意見が大分出ていたようですが、この未収金の問題を眺めて見ましても、非常に我々ちよつと驚くわけでして、一般の利用者から見れば、すぐ現金で収めているというようなものが、会社国鉄の問においては一カ月以上たつてなお且つ収納されておらないというようなことは誠に私はこれはのんびりしているというか、ルーズというか、異様に実は感ずるわけなのですが、特に民間のこういつた関連する運輸会社或いは貨物等を扱う通運、こういつた方面に対する経営状況というものは、国鉄は非常に私は重大な関心を持つて日頃調査をしておられる問題じやないかと思うのですが、こういつた方面に対して一体毎月こういつた会社の経営状況、そういつたものを特にこれはまあ公社あたりで私は相当科学的なといいますか、相当専門的にこういつた問題を扱つておられる部局もあると思うのですが、全国のこういつた会社等の経営状況国鉄で十分に毎月の状況等について把握をしておられるのかどうなのか。こういう問題が出たと思つてから、出てから実はそうであつたかというようなことで、あとの祭だというようなことにもなつているのじやないかと思うのですが、先ほどの局長でしたか、説明によりますと、ここに挙げられている不当事項については、いわば会社が非常に苦しい経営状態になつて、余り強いことを言えば会社がつぶれてしまうのだ、従つてまあなんとかよちよちしながらも、殺してしまつては意味がないので、これ以上どうにも実はならないのだというようなふうに理解されるような御答弁もしておられたのですが、私は併しそういう状態が何もにわかに出て参つたということじやなくて、やはり会社と当初契約をせられるときには、或る程度会社の実情等もわかつておられるはずであるし、そういうことから行くと何か止むを得ないということよりも、そういつた会社に対する経営状況の把握が非常にルーズだと、そういうことから出て来た結果がこういう金額にして相当莫大な未収金というような結果になつて来ているのじやないかというふうに考えられるのですが、そういつた点について国鉄ではどういう一体見解を持つておられるのか。或いは又どういうふうにこういつた会社状況を把握せられているのか、御答弁を一つ願いたいと思います。
  81. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これは連絡運輸のいわゆる社線と、それから貨物のほうの運賃と、同じ未収金でございまするが、先ほど御説明申上げましたように、大分性質と申しますか、観点が違つておるのでございます。先ほどお話がございましたように、まあつぶれてしまうということが、果してつぶしてしまうということが妥当かどうかという点は、この社線につきましては先ほど繊々申上げましたように、何とも私どもだけで強い措置をとるということは余りにも行過ぎる点があるのではないか、監督官庁のほうともよく御相談申上げなければ、そういう国民の利害、地方民の利便に関することは重大な問題であろう。従つてできればまあ少しずつでもいいから分轄で返して頂いて、そして今後の分には遅滞を起さないようにするようにやつて行くという方法が私たちとして望ましいということでありまするが、遺憾ながら連絡社線のほうは、業績の改善というのがなかなか考えられるものは少のうございます。私どもは各会社ごとについても十分業績の程度を見ておりますし、毎回分轄納入なり何なりの計画を立てさせて、それを実施せしめるように努力しておるのでございまするが、率直に申しますと、もうどうにもならないところに来ておるものもあると思うのでございます。従つてこれは何とか決断をつけなければならないというふうに私どもは考えておりまして、その意味で只今運輸省のほうにも御相談申上げて、とにかくつぶれてしまつても止むを得ない、そしてその地方民のかたが御迷惑をこうむつても止むを得ないというような決意をとつて頂かなければ、私どもとして処置のしようがないという段階に来ておるのがあると思います。私鉄につきましては、全く経営状態の悪い私鉄については、私どものほうから見まして、もう本当にこれ以上どうにもならないのじやないか、むしろ待つていても国鉄として、決して今までの分が回収される見込が出て来るというものばかりとは言えないという状態にあることは確かでございます。これは是非一つ政府のほうでもはつきりした態度に出て、私どもがそういう連絡運輸をやめて、会社がつぶれてしまうということも国鉄の経営上やむを得ないという御判断をして頂きたいものと考えておるわけでございます。  貨物のほうにつきましては、これは全く私どもといたしましては、会社の業績その他についても十分検討を重ねていなければならないわけでございますが、この免許をいたしますのは、運輸省の監督になつておりまして、免許権は運輸省の行政でやつておるのであります。免許を受けました業者に対しては一応当社としては公平な取扱いをするのが建前であろうということでやつておるのでございます。その後、併しながら後払の成績が悪くなつたものにつきましてはできるだけ早く措置すべきであつたのであります。その点につきましては確かにお説のように、業者のほうがまあもう少し待つてもらえれば必ず納めるからというようなことで引ずられて来たというような点もなきにもあらずでございます。先ほど検査院からもお話がございましたし、今年度になりましてから十分検討をいたしまして、この点につきましては今後の処置ははつきりとるという方針もきめまして、先ほど申上げましたように、各現地において滞納しておる業者ごとに完済計画を立てさせまして、そして今後の発生した債務について滞納があれば直ちに後払を停止する、完済計画以後一月でもこれが遅れれば、これも直ちに後払を停止するという方法、それを公正証書で取りまして、そして実行力のある契約を結んで、直ちにまあ厳然たる措置でやつて行くことにいたしたい、かような考え方で本年度只今作業しておる次第でございます。
  82. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 速記を起して。
  84. 久保等

    ○久保等君 それでは私は只今の二項目についての質問はあるのですが、ただ一つそれでは資料を一つお願いする程度にとめまして、なお又後日の機会に質問をいたすことにしたいと思うのですが、千七百八十二号のこの挙つております各会社について滞納運賃並びに延滞償金の金額が挙つておりますが、これの償還計画といいますか、どのくらいの間に返済するというようなことの話合いも今の御説明からするとほぼでき上つているのじやないかと思いますししますので、その返還計画を一つ文書で以てお出し願いたいと思います。そのことだけ今お願いしておきます。
  85. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは私最後にできれば運輸大臣にも出席してもらつて、是非とも所見を承わりたい問題として今から申上げるわけであります。元来いうと、この検査報告を見ますと、特別な補助金関係を除きまして、大体運輸省関係が非常なスペースを取つている。各公社等の関係を見ましても……。大体大蔵省が第一位の四十件になつておりますが、運輸省関係を見ますと、この不当事項の件数が二十三件、こういう厖大な数字に上つて、まあ第二位になつているわけですが、これは国鉄が全国的な仕事をやつておりますし、大きな産業の動脈を持つておりますから、従つてこの業務の内容も随分複雑な而も多岐に亘つているものもあると思うのでありますが、そういう関係から生じたものと言えないことはないと私は思うのであります。併しながら、これは見方によりますと、巨大な経営をやつておられますその全般を完全に把握、統制している、その点において多少欠けている点があるのじやないかということを痛感させられる。今までの過去何回か亘つてのいろいろな審議を見ましてもそういう感じを受けますが、取りわけ鉄道会館とか民衆駅等の問題に関連いたしましても指摘されております固定資産の管理運営、この面における欠陥というものが、明らかに私は統制機構が弱点であるから、そこから招来しているのじやないかと、こう思われるものがあると思うのです。まあよく問題になつております最近の洞爺丸事件の問題等も、言つてみれば統制問題の弱点が原因になつているのじやないかと言われる節もあると思われるのですが、更にまあ私は最も大きな問題にしなければならんと思うのは、ここに延滞等の問題で出ておりますし、土地建物使用の問題でも出ておりますが、外廓団体ですね、従来国鉄の外廓団体というのは、国鉄の経営発展に寄与するというところがなくてはならないと思うのですけれども、現実の問題でいろいろ指摘された事項等から考えてみましても、どうも国鉄の利潤を却つてこちらのほうで食いつぶしているというような印象がなきにしもあらずで、これは非常に国民からも疑惑の目を以て見られているわけですが、これは結論から言いますと、私はその意味では国鉄の全経営についての統制といいますか、統制力の不足ということが大きくこの際指摘されなければならんと、こう思われるのです。  先般の新聞では、石井運輸大臣は料金の値上げをしなければならんというようなことを言つておりますが、こういう例えば延滞金の問題にしても、外廓団体の問題にしても、まだ尽すべきものを尽していないで料金値上げをするということになりますれば、これは恐らく国民は承知しまいと思います。これを放置して、なぜ料金の値上げをするのだということになるわけですから、こういう意味で私は相当国鉄当局には全般に亘つての統制力をこの際特に要望しなければならんと思うのですが、この点について一つ取りわけ事務関係については副総裁がタッチされておると思うのですから、その点を強く要望し、所見も併せてこの際承わつておきたいと思います。
  86. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 先ほども申上げたのでございますが、私どもといたしましては、公共企業体として発足いたしましてから五年間、いろいろと私どもなりに全力を挙げて公共企業体に切替えた趣旨に副つて能率が挙がるように努力して参つたつもりでありますが、結果的に見ますとまだまだ至らん点も多々あるようなわけでございまして、事実としていろいろ申上げられないような事例もあるのであります。ただ全体の統制が悪いのではないかというようなお話もございますけれども、こうしたいろいろ会計検査院の御調査によるような問題について把握と申しますか、全体的に欠ける点が現実に出ておるという点も、これは事実でございまして、私どもとしては十分気を付けて参らなければならんと思つております。  ただ国鉄の運営の貨物旅客を無事に送るという本来の業務の遂行につきましては、いろいろ御批判もございましようけれども、先ず先ず十分な統制が取れて運営ができておるのではないかというふうに私ども考えておるのでございます。又従事員の士気というような点でございますが、或いは先般お聞きでございましようが、これはそれ自体まだ問題もあるわけでございますが、或る広島管内の局の機関士でございますが、自分が惹起した運転事故、これは事故としては、被害といいますか、大きな結果を招来しておるわけではなかつたのでありますが、その事故を惹起したという責任感を非常に痛感いたしまして、子供を連れて自殺したというような事例もございました。これは非常に特殊な事例でございまして、それを以てそれ自体大いに私ども別に考えなければならん面もあるわけでございますが、併し現場の従事員におきまして責任感というものを十分に感じているという点は私ははつきり言えるのではないかというふうにも考えておるわけでございます。併しながらまだまだやはり何と申しましても全体としてお客さんのサーヴイス、これは一日一千万人、貨物にいたしまして一日四十万トンという数量を取扱つておる中で、朝のラツシユアワーは非常なこみ方で、又荷物の取扱い方についても粗末に投げ飛ばしておる、こういう事例を私ども自身も現実に見ておるのが実情でございまして、まだまだ直して参らなければならんというふうに考えております。そしてまだ至らん点のあることは十分承知いたしておりますが、併し全体として決して下りカーブでないという点を一つ御了承願いたいと思うのでございまして、できるだけ今後も努力を続けて参るつもりでございますので、十分御支援のほどをお願いいたしたいと存ずるわけであります。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は下部の、今言つたような事故を起したかたが責任をとつてやめなければならんと、そういうところまで追い込んでいる統制、それがいいとは言えないと思うのです。今私が問題にしているのは、そういう統制が取れているとかいないとかいうそういう意味の統制でなくして、余りにも徴収をすべき料金にいたしましてもそうですが、三年も四年もに亘つて濫りに放置しなければならないというだらしなさが許されていていいかどうか、そういう点については少し気合がかかつていないのじやないか、そういう統制の機構、これはやはり国鉄として考えなければならない問題じやないか。何しろこの件数を見ましても、大蔵省に次いでの大きな件数を数えておりますし、企業体からいつて大きいことは私は先ほど前提として申上げましたが、全国的な機構であり、複雑な機構と承知するけれども、何分にもそういう問題があるし、又外廓団体についてのいろいろな疑惑を国民の眼からややともすれば受ける、こういうようなことは、国鉄としては十分この際考えてみなきやならんのじやないか。運輸大臣は料金の値上げをしなきやならんというような談話を発表するこの際ですから、このままで放置して、それで国鉄は赤字でございますと言つたところで、これは国民が承知しないだろう。従つてそういう意味でこういうものをなくす、そういう意味で私は統制の機構なり、そういうものが十分この際なされていないのじやないか。この点を強く感じておりますので、その点について十分一つ御考慮を頂かなきやいけないじやないか、こういうことを申上げて置きます。
  88. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先ほど能率専門家を物品会計のほうに御使用になつちやどうかということを申上げたのですが、おやりになるお気持がありますか。内部へ外のやつが入つて来ちや困るという……副総裁の御意向如何でございますか。
  89. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 先ほど私が御返事を申上げなかつたのでございますが、上野先生は実は数年前から私どもの嘱託をお願いしておりまして、単にこの資材面のみならず、私どもの作業の全体のタイム・スタデイ、その他能率の指標をこしらえることは、計画に参画して頂いておるのでございます。従いましてその後最近私直接に余りお目にかかつていないので、或いは一段落したというようなことで嘱託の関係が切れたかどうか、ちよつと私今現在覚えておりませんが、確かにそういう専門家のかたのこの頃の新らしい管理方式というようなものについての研究は私は必要だと思つております。ただすぐ上野先生だけにそういうふうにお願いしていいかどうか、ちよつと研究を要しますが、そうしたかたに診断をして頂くという点につきましては十分考えて善処したいと思います。
  90. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは千七百八十三号は次回に留保せられました。この千七百八十三号を除く全部、この辺で質疑を一応終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。御苦労様でした。  なお本日を以て第三次の閉会中の日程は全部終了いたしたわけでありますが、第四次の来る十一月の二十九日、これは月曜です、三十日の火曜日の両日黄変米及び食糧庁の千五百三号、只今国鉄の千七百八十三号について開会することに只今のところ予定をきめておりますから、お含み置きを願いたいと存じます。なお、二十九日は午前九時三十分から理事会を開きまして、千五百三号の集荷奨励金問題についてその取扱いを御協議申上げたいと思つております。十時からは普通の委員会を開いて、只今国鉄の案件、黄変米の両問題を議題に供したいと存じますから、あらかじめお含み置き願いたいと存じます。  本日はこれを以て散会します。    午後四時三十九分散会