○
説明員(
大沢実君) 四百十六ページ以降各個別に書いております前のことを概略申上げます。
四百十六ページで
事業損益を申上げておりますのは、大体においてこの当時の電気通信
事業特別会計及び
日本電信電話公社に移行しました一年間、これは七月三十一日を以て電気通信
事業特別会計が廃止になりまして、八月一日から電信電話
公社に
切替えられたのでありますが、この一年間の業績を通じてみますと四十三億
程度の黒字にな
つております。それを各
事業別に見ますると、国際電信電話部門の
利益が非常にそのうち多い。であるからこれが二十八年度以降国際電信電話株式会社のほうにその業務が移行されたならば、相当電気通信
事業の業績は困難になるのではなかろうかということを述べておるわけでありますが、この点は二十八年度の実績を見ますると、二十八年の八月に大幅な料金値上げがありましたのと、それから加入者が非常に増加した。又長距離回線が相当多くなりました
関係もありまして、利用度が殖えた
関係かと思いますが、国際電気通信部門が分離されましたあとで、いわゆる国内の電信電話
事業だけで二十八年度に約五十億の黒字にな
つております。従いましてここに書いてありますような、国際電気通信部門が分離してあと経営困難になるのではなかろうかという点は、結果から申しますと料金値上げその他によ
つて懸念がなか
つたということになります。併しながらまだ詳しい二十八年度の原価部門の分析はいたしておりませんのですが、依然として電話部門は業績はいいが、電信部門は悪い。従
つてこの末行に書いてあります電報中継の機械化ということが更に努力の必要があるのではないかと
考えております。この点は
公社におかれましても相当努力されて着々このほうに移されておるようでありまして、たしか水戸その他の電報局におきましては機械化による中継が行われていると思います。併しながらまだ施設は、建物はできたけれ
ども中に入れる中継の機械が十分に設計ができない等のために、将来機械化すべき建物が遊休しておるようなものが見られまして、一段と速かにこの機械化のほうに移行される御努力が必要ではなかろうかというふうに
考える次第であります。
次に財務諸表に書いてありますのは、二つに分けてありますのは、七月三十一日、特別会計時代の損益と、それから
公社にな
つてからの損益と書き分けたわけでありますが、この特別会計の当時の損益、つまり四百十七ページに出ております十八億という厖大な修正
計算上の
利益があるのでありますが、これは
公社に移行しまする場合に短期間に行われたために
計算がはつきりしなか
つたという点がありまして、次期の
公社になりましてからの
決算におきましてはこれがそれぞれ正当に表現されておるわけであります。そうしますると結果におきましてどういうことになるかといいますと、
公社に移行しまする場合に、電気通信
事業特別会計の資産負債は挙げて
公社のほうに移行されたわけでありまして、その額がいわゆる国の出資ということにな
つておるわけであります。まあいわば出資が十八億表面上少なか
つた、実際より少なか
つたということになるわけでありますが、これが若し民間会社に移行しますとしますれば、これは相当大きな問題だと思いますが、
公社も国の全額出資でありまして、この
利益は挙げて国に帰属するのでありますから、こうした多少の、多少のといいますか、誤
計算があ
つても結果においては別に弊害はなかろうかと
考えておる次第であります。
それから四百十八ページの末頃からずつと長く建設工事の進捗について申上げておるのでありますが、これはすでに二十六年度の
検査報告にも述べました点でありまして、建設工事が
予算通り施工が行われていない、繰越工事が多いという点を先ほど前からも指摘してあ
つたのでありますが、依然としてその傾向が、二十七年度の
決算を見ますると多少の改善の跡は見られるが、まだまだもう少し進捗率をよくすべきではないかということを例を挙げて掲げてある次第であります。そしてその進捗の遅れた
理由について調査しましたところを四百十九ページから四百二十一ページにかけまして分析してここに掲げてあるような次第であります。
こうした進捗
状況が遅れたためにどういうような弊害が出ておるかということを四百二十一ページの末のほうから四百二十二ページにかけて掲げてありますが、結局
予算の示達が遅れ工事が遅れるために、年度の前半においては遊休の人員が出ておる。職員が
仕事がなくて多少遊休して来るという点が、年度の前半と後半とを見ますれば如実に出て来ておるわけであります。この計数自身は或いは多少取り違えもあるかと思いますが、大体の感じといたしまして、例えば四百二十二ページの二行目に書いてありますように、前半においては二十一%からの遊休人員がある、それが後半においては九・七%にな
つておる。特に甚だしい北陸電気通信などでは前半が六九%、後半が二一%、どうしても前半のほうが遊休が多い、こうした弊害が出て、これを半分的に工事を施行されればもつと工事も進捗し、この遊休人員も減らすことができたのではないかというように
考える次第であります。この点は二十八年度におかれましては相当鋭意この点に対する御努力の跡が見られるように見ております。なおもう
一つ弊害として出ますのは、こうして
仕事が遅れるために、資材のほうを早く手当したけれ
ども工事ができないということで、資材を保管料を払
つて会社などに保管さしておるというような
事態にな
つておる次第であります。
それから次に四百二十三ページから書いてあります貯蔵品の運用、この点は従来よりも相当いわゆる死蔵品といいますか、従来持
つていた品物を転用して活用するということに対する努力が相当現われておるというように見られております。併しながらまだもう少し努力の必要があるのではなかろうかというように
考えております。なお資材等が調達されまして、これは勿論活用されるためでありますが、例えば東海の通信局へ搬入された資材を、そこでは使えないので、今度は東北の通信局のほうへ保管転換されるというような
事態が相当ありますので、こうしたものは最初準備される場合にもう少し注意を払
つたならばこうした保管転換が相当節約できるのではなかろうかという点を掲げてある次第であります。
不当事項の前に書いてありますことをまあ極めてかいつまんで申上げたわけでありますが、次に不当事項の千八百四号、四百二十四ページ及び千八百五号で、これは両方とも同じような
事態でありまして、
一つ仕事をされるのにこの通信局とか或いは本社、通信局、それから工事する現場というような
段階におきまするいろいろな手続が非常に遅れまして、そのためにもつと早く工事が完成して開局できたと思われる
仕事が非常に遅れている。開局すれば相当な電話収入が入るのでありますが、それが遅れたために電話収入が入らなか
つた、非常に遅れて来たということを掲げてある次第であります。
それから四百二十六ページの千八百六号、これは
ちよつと非常に入り込んだ問題でありますが、むしろ四百二十八ページの図面を見て頂くとわかるかと思うのでありますが、この四百二十八ページの図面に出ております点で、つまり大崎から川崎のほうへ、都内から川崎の市外のほうへの回線を増加しようという計画をされたのでありますが、そのうち蒲田、川崎間、これは線路を増設する必要があるのでこれを増設されました。これの一連として蒲田と大森の間は昔からの線路で十分なのでありますから、手を著ける必要はないのでありますが、大森と大崎の間に線路の増設が必要であるとい
つた場合に、これを全部がはつきりと初めから設計ができておりますれば、大崎、大森の間と蒲田、川崎間を同時に施工されれば比較的早く工事が完成したことになりますが、当時設計上の多少の手違いがありまして最初に大崎から荏原間、これはまあ回線があるわけでありますが、それから荏原から大森へ線を入れて、この分を増設しようという計画がされたわけであります。ところがその後詳細に調べて見ると、ここから入れるほうが工事費は余分にかかる。なお且つこの荏原、大森間に線を敷いても又大崎、大森間に少し線を補充しなければならん。それならばむしろ大崎から大森へ直接に増設したほうがいいというような結論に達せられまして、大崎、大森間の工事をされた。そうした計画、設計変更等のためにこの大崎、大森問の線路の開設が遅れまして、折角蒲田、川崎間は相当早く完成していたのに全体の開通が遅れたという結果でありましてこれも当初から設計を十分にされておれば殆んど同時に完成して、早くからこの市外通話が活用できて、その電話料収入も収入し得たんではなかろうかと、こういう
事態であります。
それから千八百七号の問題は、これは豊島分局を開局する場合に、従来その分局を開始しようとする局舎を事務局舎として
使つていたので、その職員の事務庁舎を別に作らなければこの局舎が空かない。だから先ずその事務局舎を作ろうということにしたのでありますが、部内の連絡が十分でないために、事務局舎はあと廻しにして先ず機械局舎、つまり電話装置を入れる局舎のほうが必要だというので、まあ事務局舎はあと廻しにしようというので、普通の事務局舎でなくて、これを作らなければ電話局舎、機械局舎のほうが空かない。先行すべき事務局舎の工事が遅れて
しまつた。従
つて電話局舎がなかなか空かずに工事が遅れて、その間に相当な月数を経て
しまつた。若しも初めから計画
通り事務局舎を作
つておれば、いち早く従来の事務庁舎として
使つてお
つた機械局舎が空きまして、そこに装置を入れて早く開通できたのではなかろうか、こういう
事態であります。
次に四百三十一ページの千八百八号は、これはまあ同じような
事態でありますが、機械工事とそれから建築工事、これが先ず建築工事ができて、そこへ機械を据付けて開通する、これがまあ当然順序でありますが、当初の予定
通り建築工事が進まなか
つた。ところが機械の開通工事のほうは逐次進んで行きましたため、建物のできないうちに先ず電話を開通しなきやならんということになりまして一応仮に従来の局舎に新しい増設をしまして、そしてこの建物のできるのを待
つてそのほうへ一度仮に施設した機械を移送するという必要ができまして、そのためにこの点では約六十二万円ぐらいの移送費を要するというような結果に
なつたわけでございます。実際は六十二万円ほどかか
つているようでありますが、こうしたことも先ず建物が先行するのが当然でありますから、この建物の工事と中の機械工事、これの間の密接な連絡があればこうした一度架設してそれを更に移送するというような手もどりのことは生じなか
つたのではなかろうかというように
考える次第であります。
以上大体千八百六号を除きましては同じような
事態でありますが、こうした部内の連絡不十分であ
つた。或いはいろいろな処理が遅れたということは、この特別会計から電信電話
公社に移行するというような機構上の大きな改革があ
つたためにいろいろな点で遅れたことは認めるのでありますが、もう少しよくされればこの点は相当早く
仕事ができたのではなかろうかというように
考える次第であります。
次に四百三十二ページから四百三十三ページに亙
つております土地の交換の問題でありますが、これは元座間に電気通信
事業特別会計時代からの研究所の敷地がありまして、殆んど
使つてなか
つたわけでありますが、これを現在の研究所でありますところの隣接地と交換使用、これはむしろ座間の町のほうからこれをくれ、その代り交換渡地を研究所の隣接地の
富士産業の土地を買
つて渡すということで話合いができて交換されたのでありますが、この評価を見ますと、こちらが渡したところの土地の評価は全部農地としての売払
価格、農地調整法に基く農地としての売
渡価格で先ず田畑を
計算し、それから山林のほうは固定資産の評価基準、こういうもので評価されている。そうして受けたほうの土地は、これは座間町が
富士産業から
買つた値段に多少のアローワンスを付けて受けている。受けたほうの土地の評価は一応妥当と見ましても、渡したほうの評価が何分にも低いのではなかろうか。これがいわゆる農地法に該当しまして、農地として開放しなければならんということが確定しておる土地ならば、農地売
渡価格で評価されるのも止むを得ないと思いますが、座間町のほうの要請は、ここに住宅を作ろうということで、住宅や緑地帯を作るということで交換の要請をして来ているような次第でもありますし、この分の評価はもう少し高く評価すべきでなか
つたのではなかろうかというように感ずる次第であります。そうして事後におきましてこの土地を評価しましたところによりますと、この田は売渡しの、交換のときの評価では十六円ということにな
つておりますが、大体坪
当り二百八十円ぐらいである。それから畑は評価では七円とな
つておりますが、その後の調査によりますと二百三十円ぐらいだ。それから山林はこれでは十二円という評価にな
つておりますが、大体二百円ぐらいである。坪
当り二百円ぐらいであろうというのが東京建物株式会社という会社の評価で、これだけに依存するわけには行きませんですが、大体そのくらいな評価をしているというような
状態でありまして交換渡地の評価が安か
つたのではなかろうかと感ずる次第であります。
なおこの立木七千石を三百二十万円と評価して交換の対象にしており、又家屋を交換の対象にしておるのでありますが、国有財産法から言いますと、立木、又家屋と土地と交換するということは、これは国有財産法で認められていないのでありまして、この交換は国有財産法からい
つて、申し遅れましたが、これはまだ電気通信
事業特別会計法の頃の交換でありますから国有財産であ
つたわけですが、国有財産法からい
つて違法な交換ではなか
つたか。なお当時電気通信
事業特別会計法の内部の規程によりますと、交換の場合には大臣の指示を受けろということにな
つております。本件の交換は通信研究所長限りで交換の手続をされておるような次第であります。そうした内部規程からも違反しているのではなかろうか、こういうふうに
考える次第であります。
次の千八百十号「国際電信電話株式会社に対し
物品を無償で譲渡したもの」というのがあります。これは大体この国際電信電話株式会社に譲渡するものはそれぞれ資産に計上いたしまして、その帳簿
価格で、或るものは帳簿
価格、或るものは評価によ
つて譲渡されているのでありますが、そのうち各現場に
払い出されて、もう帳簿上には
決算で使用されたようにな
つているが、事実は相当残
つているもの、これは本来ならば年度末に全部一応資産のほうに繰入れて、そうしてその分は国際電信電話株式会社に譲渡する場合に表示しまして、その分の対価を収受するという
方法をとるべきであ
つたものを、一応
払い出したままで移行して
しまつたというために約千六十三万円のものがまあ当時におきましては一応この会社のほうへ無償で渡
つた格好にな
つたのであります。なお本件につきましてはその後本院の指摘によりまして、この代金は千六十二万九千円
程度であ
つたと思うのでありますが、会社のほうから
公社のほうに納付させております。
それから四百二十六ページの千八百十一号は、これは
買つた品物を全然使わずにそれぞれの部署で持
つてお
つて、とうとう使えなくな
つて廃棄するの止むなきに至
つたという
事態でありまして、防火塗料としてのタフペイントいうのを相当量
購入いたしまして、それを各電話局その他へ配付したわけであります。ところがこれはすぐに使わないと変質するようなものであ
つたらしいのでありますが、配付されたほうでは使い途がよくわからなか
つたといいますか、いろいろな点でありまして、そのままで保管してお
つた。その保管の
方法も適切でなか
つたと思うのでありますが、暫らくた
つたところが、それはもう使えんということで廃棄処分した。それが価額にいたしまして約百二万円というものは
買つたまま廃棄処分にな
つてしまつた。こういう
事態でありまして、当初買うときの計画も悪か
つたと思います。又これを配付されたところの使用
方法、保管
方法も悪か
つたと思いますが、結局こうした損失を生じたのは適当でないと
考える次第であります。
最後の千八百十二号、千八百十三号の
不正行為は、両方とも
手持の資金をそれぞれ資金前渡官吏或いは繰替払出納官吏が領得いたしまして費消したというような
事態であります。
以上であります。