○
説明員(
小峰保栄君)
建設省の
経理につきましては、補助の
案件はあとにたくさん出て参りますが、国が直接に相当手広く
工事をや
つているわけであります。その
工事に関しましてここに相当数の批難が載
つたわけでございますが、先ず千六百二十九号でありますが、これは
予算がないのに機械を
購入した、こういう
ケースであります。栃木県の五十里ダム、これは御承知と思いますが、非常に大きなダムでありますが、これの必要な機械を、国費が足りなか
つたので、栃木県から一億円借りましてそして一時立替えてもらい、後年度の
予算でそれを返済したという
案件でありまして、
経理上は誠に面白くないのであります。二十六年の二月、三月でありますが、ケーブルクレーンほか二品目、一億二千四百万円という機械の
購入の仮契約を結んだのでありますが、当時これの
予算が全部はなか
つたわけであります。これが仮契約
通りに物が入りましたが、金が払えない、こういうので一億二千四百万円のうち五千六百万円だけを払いまして
関係の会社に全部分配させる。それからその不足分を補う意味と、更にそれ以外のもの、今申上げました以外のものを買うために栃木県から一億円借りまして、今の未払に
なつておりました六千八百万円を払うと同時にそれ以外のもの三千万円余を
購入した、そうして実際に買
つてしま
つたものを二十七年の四月に栃木県から一億円の機械を
購入したということで二十七年度の
予算から一億円を支出したわけであります。
書類をうそ作りましたことと年度違いという問題が
経理上残るわけであります。
それから千六百三十号以下三十六号までの七件の問題は、今申上げました国の直轄
工事に直接
関係いたしました
不当事項であります。七件ございますが、この七件のうち五件は国が直営で、
建設省の出先の
工事事務所が人を使い、
物品を買いまして自分でやる、請負に出さないで自分でやるといういわゆる直営の
工事に関する
案件であります。残りの二件が請負
工事ということに
なつております。
先ず千六百三十号、これは直営
工事であります。東北の北上
工事事務所、これは盛岡にございますが、これがやりました北上の支川の瀬川という川の付替
工事であります。これは瀬川というのは乱流しておりましたのをシヨートカツトいたしまして真直ぐに短く新らしく掘
つて新らしい川を付替えるという
工事でありますが、非常に曲
つておりましたのをシヨートカツトいたしますから、勾配が非常に急になるわけであります。これは現に新らしいほうの川は二百分の一という急勾配にな
つたのでありますが、大げさに申しますと小さい滝のようになる、そういうところの下の
工事を普通の工法でやりましたために急流に
なつたことと、下が非常に狭いのでありますが、上のほうが川幅が広くて下のほうが狭い、こういう
状態でありますが、そのために出水で下のせつかく作りました堤防がこわれてしま
つた。その結果更に念入りに護岸を作ること、或いはいわゆる床固と申しますか、階段型にいたしまして流れを緩くする、こういう工法をと
つてやり直ししたのであります。初めから当然今の二百分の一の急勾配、それから丁度上のほうが幅が広くて下のほうが細いというような川の
状態でありますから、そういうしつかりした工法でやるべきであ
つた。こういう批難であります。今のように一たん作りましたものがこわれたために五十三万円ほどの手もどりを来たしているということに
なつております。
それから千六百三十一でありますが、これはやはり東北でありますが、阿賀川の
工事事務所で、直営によりまして、福島県の河沼郡の宮川、これの新らしい水路を掘
つたのであります。ところがこれは設計
通りにやればよか
つたのに、設計
通りにやりませんで、余計な所を深く掘
つてしま
つたわけであります。その結果、又底を深く掘り放しにしておきますと、渦を巻きますので、又せつかく掘
つたところを埋めもどした、そういう
ケースであります。掘らんでもいいところを掘
つてしま
つて一万立米も土量を埋めもどした、そのために二十四万円余の手もどりを来たしておる、こういう
ケースであります。
それから千六百三十二号でありますが、これはやはり東北の宮城県の涌谷でや
つております江合川の
工事であります。やはり直営でありますが、築堤をするときに土取り場の選定がまずか
つた。そのために二十一万円ほど
工事費が余計に
なつた、こういう
案件であります。これは先ずこの江合川の右岸の築堤をするわけでありますが、土砂を取るのに川を隔てた対岸の左岸から機械を使
つて掘りまして、蒸気
機関車で運搬したのであります。ところがわざわざ対岸の左岸から取らんでも、川を隔てた向うから取らんでも、こちら側に適当な土取り場がある。というのは、こちら側の土が多過ぎまして、これは当然
工事計画上掘らなければいかんというところがあ
つたのであります。その掘らなければいかんところの土を持
つて来てこの築堤に使えばわざわざ反対側のところから機械で掘
つて機関車で運搬するというような手数をかけなくてもよか
つたはずだと、こういうのであります。これがそのために二十一万円ほど工費が余計かか
つている、こういうことに
なつております。
それから千六百三十三号でありますが、これは中部
地方建設局の津の三重国道の事務所、鈴鹿でありますが、三重国道事務所で三重国道の
工事をや
つておりますが、これの鈴鹿川を渡る橋の取付のところの土の運搬に関する問題であります。ここは鈴鹿川の改修
工事を鈴鹿川の
工事事務所というのでや
つております。それから鈴鹿川を渡る国道の改修
工事を三重国道
工事事務所でや
つております。これはもともと同じ事務所だ
つたのでありますが、
工事の
関係で道路
工事が大きくなりまして、特に独立の事務所を作
つたところであります。一言に申しますと、橋の取付に使う泥を遠くのほうから、而も
先ほどと同じようにわざわざ対岸から仮橋を架けましてそうしてこつちへ持
つて来る、ところが同じところで
工事をや
つております川の改修事務所にその泥を運ぶことを求められればこちら側の非常に便利な所にすぐにある。それを同じ所で仕事をや
つております鈴鹿川の
工事事務所のほうに頼まないで、自分のところでわざわざ対岸から橋を架けて、而もガソリン
機関車を使いまして、丁度この国道事務所のほうには安い、経済的に使えますディーゼル
機関車がなか
つたのであります。ガソリン
機関車を使いまして持
つて来た、そのために非常に高くな
つたのでありまして、これをどうせ川のほうの
工事で泥は使
つて運んでいるのでありますから、それを一緒に運んでもらえば非常に安くできた、こういう
ケースであります。大した大きな土量でもございませんが、今のように自分のところで不経済な
機関車を使
つてわざわざ橋を架けて対岸から持
つて来るというようなことをしないで、川の
工事と一緒にや
つてもらえれば、これが約五十一万円ばかり
経費が安く済んだ、こういう
案件であります。
それから千六百三十四号は、これは近畿の
地方建設局でありますが、福井県の九頭龍川の
工事であります。今まで申上げましたのは皆国で直営でや
つていた
工事でありますが、これは請負
工事であります。検収がまずか
つたために、設計
通りできたとして金を払いながら、実は出来高不足があ
つた。三百十八万円
払つたのでありますが、
工事が非常にぞんざいでありまして、そのためにコンクリートの強度も非常に弱く
なつているし、結局二十六万六千円ほど請負人に余計払い過ぎてしま
つた、普通にあるいわゆる出来高不足の
ケースであります。
それから千六百三十五号、これは近畿
地方建設局の淀川の
工事事務所の
案件であります。今のは請負でありましたが、これはやはり前と同じように直営であります。これは川の土砂を掘る
工事でありますが、一部はドラグラインという機械を使いまして掘る、他の部分は機械が使えないと、こういうことで人力で掘る、こういう計画を立てたのであります。ところが機械で掘るのと人力で掘るのは格段の値段の相違があるわけでありまして、機械ですと、ここにございますが、一立米が十三円四十銭でできる。ところが人間に掘らせると百八十九円かかる、こういう
ケースだ
つたのであります。この
通りでありますから、できるだけ機械で掘
つたほうがいいのでありまして、これが機械が使えるところなのであります。ところが今のようなことでや
つて参りましたが、機械で掘りましたのは四千百五十立米、それから手掘りでやりましたのが三千五百八十立米、こういう結果を来したのでありますが、ところが私
どもの調べで見ますと、当時大阪機械
整備事務所にはここで使
つておりましたドラグラインと同じようなものが一台遊んでいた、こういうことになるのであります。大阪の管内でございますとすぐそばにあるのでございますが、これを持
つて来て、人間で掘る代りに機械で掘れば、一立米百八十九円のものが十三円ばかりで掘れたはずだが、機械を使えなか
つたという理由は全然見当らないのであります。若し機械でやれば六十三万円ほど工費が浮いたはすだ、こういう
ケースであります。
それから千六百三十六号は、これは山陰の鳥取国道改良の
工事でありますが、これも
先ほどの九頭龍と同じ請負
工事であります。検収がまずか
つたために千八百万円の
工事のうち百四十三万円は払過ぎてしま
つたという
ケースであります。道路の改良で崖を切ります。先ず切土、それからそこに練積の石垣を、擁壁を作る。その切土の量も擁壁の量も請負人が手を抜いたわけでありますが、設計
通りや
つてなか
つた。そのために千八百万円の
工事のうち百四十三万円ほどは手抜きをされて余計に金を払
つた、こういう
ケースであります。
それから次の三件は保安隊の建築の
工事でありまして、これは私の局でなく二局でや
つておりますので、後ほど二局長から御
説明することにいたしまして、千六百四十号から
ちよつとお願いしたいと思います。
千六百四十から千六百四十五号までは機械の管理がまずい、こういう
案件であります。これは前年度もたくさん出たのでありますが、古く買いました、終戦後ではありますが、古く買いました機械が機械の効果を発揮しておらん、非常に能率が悪い。そのために使わないで遊ばしてある。或いは差当り必要のないところに機械をおいたためにそのまま放
つたらかしに
なつてしま
つた。こういう
ケースをまとめたのでありまして、先年に引続きましてここに数件ございますが、もうすでに古いほうの機械は私
どものほうの全国を調べました結果も出尽しまして、二十八年度ではこの種の批難は大体ない見込でおります。二十六年度、二十七年度で全国の古い機械は洗い尽した、こういうことに
なつておるように承知しております。
先ず千六百四十号でありますが。これは二十六年の十一月に本省で五百五万円で買いまして、九州に保管転換したラダーエキスカべーターでありますが、これは性能が悪く、約二カ年間全く使わないで放
つたらかしに
なつておる、こういう
案件であります。
それから千六百四十一号、これは東北
地方建設局で、二十三年であります、古いのでありますが、四十万三千円で買いました中古のドラグラインであります。これは北上川の
工事に使う予定で
整備を、塩釜にわざわざ送りまして修理をしたのでありますが、実際はもうその頃には北上川の
工事では要らなく
なつてしま
つた。こういうので、
先ほど出ましたが、阿賀川の
工事事務所で使うということで、今度は請負でわざわざ百五十三万円もかけまして全般修理を行
なつたわけであります。更に運賃をかけて阿賀川の
工事事務所に送
つたわけでありますが、さつぱりこれが使い物にならん、こういうので放
つたらかしになりまして、二十八年の四月不用品として
処分する、こういうことであります。もともと悪い機械でありますが、それに対して相当大きな修理費をかけましたが、やはり駄目だ、こういうことになります。
千六百四十二号、これもやはり東北
地方建設局の問題でありますが、二十三年に買いました中古のスチームシヨベル、これも先ず北上川の一ノ関地区に使うつもりで修理をしたのでありますが、でき上
つたときにはもう
工事のほうが完成してしま
つた。
先ほどのは転用しようとして大分
修繕費をかけましたが、これは転用もしないでそのままでき上
つた工事現場に放
つたらかしに
なつている、こういう
ケースであります。
それから千六百四十三号、これは関東でありますが、明治三十六年に買いました鋤簾ポンプ式シヨベルというのがあるのであります。明治三十六年、非常に旧式な機械でありますが、これは十年以上も使わないで放
つておいたのであります。それをこれをどこに使うという当てもなしに修理をしまして、六百四十九万円という大金をかけたわけであります。ところが修理をしたもののやはり使えない。その後そのまま放
つてあるので、これは用途廃止ということになりそうでありまして、どうも六百万円以上の大金をかけて修理をするのは
ちよつとふさわしくないのではないか、こう思うのであります。
それから千六百四十四号でありますが、これは九州であります。二十五年に買いました。パワーシヨベル二台、九百万円でありますが、一台は同じ管内の川内川の
工事に、鹿児島県でありますが、これに保管転換した。一台は使う当てもないので久留米の機械
整備事務所で保管していた、こういうのであります。ところがこの両方とも性能が悪くて故障が続出する、こういうことになるのでありますが、川内川に保管転換した一台は全然使わないで、又運賃をかけまして久留米の機械
整備事務所へ返してよこした。昨年
検査当時は解体したまま放
つたらかしに
なつている。それから
先ほどの久留米に保管させておきました一台も、三回修繕いたしましたが、やはりどうも使いものにならん、結局不用品にせざるを得ない、こういうふうに
なつております。
それから千六百四十五号、これもやはり九州でありますが、ドラグラインを百三十五万円で買いまして、久留米で一年半ばかり保管していた、数回に亙
つて修繕して、菊池川の
工事事務所に送りましたが、これもやはりどうもよくない。菊池川から又久留米に返して参りまして、久留米の事務所で保管している、こういうことに
なつております。幾つも古く買いました機械、二十六年度まででありますが、機械の中には、随分機械をたくさん買
つておりますから、その全体から比べればそう多い数ではございませんが、ともかくも相当に使いものにならんものがあ
つたわけでありまして、本年の
検査ではもうこの種のものは
先ほど申上げましたように洗い尽しましてまあ大体出ない、こう思
つております。
それから千六百四十六号、今までは機械でございますが、これは土運車であります。三立米入る土運車、こういうものがほうぼうにあるのでありますが、これの利用が面白くない。古鉄とかいろいろなことで、野天に放置したままあるのでありますが、一方で新らしい土運車を別な
工事事務所で買
つている、買うところにこの古いのを廻したらいいじやないかという
ケースであります。
先ず
最初の(1)が関東地区の利根川の上流
工事事務所であります。これは栗橋にありますが、見積値段で申上げますと、新らしく作れば一千二百万円もかかる。車体百三十九台、その車輪車軸三百四十三本、相当の数でありますが、これを
帳簿外に持
つておる。そうしてそのうち車輪軸百四本、車台四十一台、新品
購入価格は三百万円以上でありますが、
工事現場の高水敷に放
つてある。そうしてありながら一方において同所では新らしい土運車五十台を五百万円で直営製作している。こういうのを作りますのならば、今放
つてあるのを使えばいいじやないか、こういう
趣旨であります。
(2)は鬼怒川の
工事事務所でありますが、これも土運車百四十一台、こういうのを
使用しないで野天に放置してあるのでありますが、そのために一部は使いものにならなく
なつてしま
つた。併し残りの百四台は木部を取替えれば使える、こういうのであります。
次は広島の太田川の
工事事務所でありますが、これは車体が百九十六台、車輪車軸が三百三十六本、新品
購入価格二千五百四十八万円にもなるのでありますが、これも長い間放
つたらかしてあるのであります。これは丁度国道沿いの所に
工事場がございますので、或いは御承知のかたもあるかと思いますが、相当長い間車輪車軸なんかが置き放しにしてあります。