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説明員(大沢実君)
検査報告の三百二十一ページから三百二十五ページに亙
つて書かれております郵政事業
特別会計の
一般的な問題について簡単に御
説明いたしたいと思います。
郵政事業
特別会計は二十七年度では八億九千万円の黒字を示しまして、今までの赤字からようよう多少脱却した状態に
なつております。二十八年度はなお十四億の黒字を示しておりまして、繰越欠損金が五十二億六千八百万円というように減少して来ております。併しながら、ここで次の財務諸表にも絡み合
つての問題でありますが、郵政事業
特別会計の
決算におきます黒字又は赤字を出すということが、いわゆる会計原則によります一貫した
会計処理によ
つて出ているのではない面がありますので、この点は将来
相当考究を要する点があると思います。と言いますのは、例えば年度末の三月分の未収なり未払は、これはその年度の
決算として
処理するのか、翌年度の
決算として
処理するのかということに対しまする一定の方針がないのでありまして、現在の郵政事業
特別会計法及び会計法施行令によりますと、一応
特別会計法によりましては、債権債務その他は発生の時期を以て区分するということに
なつております。この原則から言いますれば、当然三月分の未収、未払は当該年度の
決算に計上されなければならんことになりますが、今度は会計法施行令に、政令であります施行令に参りますると、年度所属は、収入又は支出の
調査決定した日の属する年度にするということに
なつております。でありますから、例えば三月分の未収金を四月に
なつて
調査決定いたしますれば、これは新年度の
決算になる。まあ三月分だけはそういうように毎年繰越すように
なつておりますれば、一応
期間損益はそれによ
つて平衡を保つわけでありますから、まあそれで差支えなかろうかと思うのでありますが、時によりますと二月分までも
調査決定を延ばして四月に
なつて
調査決定する、そうすると新年度になるということで、
決算というものが非常に浮動的なものになるという点があるのであります。例えばこの三百二十三ページの財務諸表のほうの三行目に二億三千八百万円の未払金の計上を漏らしたと
会計検査院が
指摘しておるのがありますが、これは国有鉄道に払いますところの郵便車の
使用料その他でありますが、こうしたものは従来は三月分までも
調査されまして、三月中に
調査決定されて、当該年度の
決算に上げて未払金に計上されておる。ところが二十七年度になりまして、三月分は翌年に延ばします。二月分までを
調査決定されて、未払金をそれだけ減らしている。こういうことになりまして、二億三千八百万円の、全部ではありませんが、このうちの一億三千万円程度がそうした
数字に入
つております。こうした点がありますので、将来この
特別会計の損益をはつきりさせるという意味におきましても、何月分までの未収、未払は当該年度において必ず
調査決定して当該年度の
決算にするというようなはつきりした基準を設ける必要があるのではなかろうかと思
つております。この点はなお二十八年度の
決算に対し
只今審議しております
決算審議においていろいろと検討しておりまして、来年度の
検査報告にも更に詳しく述べたいと思う次第であります。
次に三百二十三ページ渡切費の
経費について述べてありますが、これは結局しますれば、渡切費というものの範囲を余り拡げ過ぎているのではないかという点と、渡切費が少し多く出し過ぎているのではないかという二点になります。第一点の、範囲を拡げましたというのは、ここに書いてありますように、従来は渡切費ではなくて、それぞれ正規に支払
つておりましたところの通信費とか或いは切手類売さばき手数料とか、その他のものを渡切費として今度は切替えたわけでありますが、この通信費というのは電話電話料であります。こうしたものは電々公社のほうからの請求によ
つて支払えばいいので、特に渡切費にしておく必要がないのではないか。又切手類売さばき手数料、これも売さばき額に応じてパーセントがきま
つておりますので、売さばき額が
決定いたしますれば当然自動的に
金額もきまるものでありますから、渡切費にしておく必要がないのではないか、こういうように考えられる費目が全部渡切費に移されたということに
なつております。更に
金額の点におきましては、後段に書いてありますように年度末において一億千四百万円という渡切費の残が出ております。尤も特定郵便局は全国で一万からありますから、一郵便局にしますれば一万円程度のものでありますが、少し四半期ごとの
経理報告書、渡切費をどう使
つたかということの
報告書を検討して、次の渡切費支給の場合に考慮されればこうした残が出なくても済んだのではないか、こういう点が更に改善の要があるのではないかと考える次第であります。
次に三百二十四ページに入りまして、物品の
経理を書いてありますが、これは大体において物品の保有額が余り多くては
資金を拘束するので、保有額は必要最小限度にとどめるべきであるという見地から見ますと、全体では二十七年度は前年度に比べて多少減少しておりますが、併しながらそのうちの消耗品だけをピック・アップして見ますと、
相当な量を保有している。これは後に千五百八十九号及び千五百九十号で過大調達の点を
指摘しておりますが、こうしたようにいろいろな式紙類その他の消耗品の調達がややもすれば過大になる結果ではないか、この調達についての規制ということが更に必要ではなかろうかと考える次第であります。
次の郵便物の運送料、これは例の逓送料の問題で、すでに
相当御審議に
なつた問題でありましてここに記述してあります事項は、
郵政省におかれましてもその後検討されまして本年の七月三十一日ですか、八月から
検査院の意図するような方向に改正されまして、それによ
つてや
つております。この点は前に御審議があ
つておりますので簡単にさして頂きます。
それから不当事項に入りまして、一千五百八十七号の真空管の調達でありますが、これは郵政事業
特別会計の仕事ではなくて、二十七年度から
郵政省の
所管に入りました
一般会計の電波監理局の問題でありますが、この真空管、これの購入
状況を見ますと、非常に多過ぎるのではないかと感ずる次第であります。三百二十六ページの表を御覧に
なつて頂ければわかるかと思いますが、二十六年度末の残高がすでに九カ年分から一年分も保有しているというような状態で、二十七年度では購入する必要は殆んどなか
つたというのを更に購入して、非常な多くの残高を生じたように
なつております。尤もこの表では二十五年度から二十六年度に繰越した分はもう一応除外しております。この分は大体ここに書いてあります各品目に応じまして僅かに平均百個ぐらいづつ残
つておるかと思います。大分もう古く
なつているのを除外しても、こういう厖大な数量を調達したということは、調達計画がよろしくなか
つたのではないかと考える次第であります。
次に千五百八十八号の「給与の支給額が
予算総則の限度をこえたもの」という点でありますが、これは従来郵政事業
特別会計におきまして、別に
予算総則で給与総額を抑えるということはありませんでした。ただその
予算に給与の
予算がそれぞれ上
つておるということであ
つたのでありますが、二十七年度の補正
予算におきまして、この給与総額を
予算総則できめるということをされまして、年度の途中でもありましたので、二十八年の一月から三月までの問に支給する給与総額はこれに書いてあります
金額、百三億二千六百万円とする、こういうように
予算総則に
決定されたのであります。尤もそれに弾力条項がありまして、弾力条項によ
つて五億四千万円というものが出されたわけであります。そうすると総額百八億六千六百万円の範囲でなければならないのに対しまして、二十八年一月から三月までの問に支給された
金額が百十一億四千六百万円少し超過しておるという問題であります。これは年度の途中でそうした新らしい方式をとられたので、どれぐらい実際に必要な額になるかということの算定に、
郵政省としても
相当短
期間にされましたので、そこに或る程度の誤差があ
つたのかと思います。又一部は二十七年十二月までに支給すべきもので、何かの都合で支給
決定が遅れてお
つて、二十八年一月に
なつて支給
決定されたという
金額も含まれておるようにも見られます。
金額ははつきりいたしません。併しながら何分にも
予算総則におきまして、一月から三月までの問に支給する
金額はこれこれであるという
決定をしてをる
金額を超過しておるのではないかという点を
指摘した次第であります。尤もこの
予算全体の二十七年度
予算としましては、給与は
予算の範囲内において流用によ
つて処理しておる次第ではありますが、総則に抵触しておるのではないかと考える次第であります。
次の千五百八十九号の式紙の過大調達、これは保険の
契約申込書を調達したわけでありますが、その場合に各郵政局からこれぐらい要るという準備要求の数量を基準として計算された、その準備要求の数量が千三百万枚というものが準備要求が出て、それを基準にして計算されたのでありますが、二十七年度の
郵政省におきます保険の募集目標件数というものは一応六百万件ということに目標を定めておられたのでありますから、各郵政局から千三百万枚という要求も一応考慮する必要があるかと思いますが、少くとも六百万件という募集目標、大体今までの募集目標がそう大巾に二倍にもなるということはないのでありますから、これを基準にして調達計画は立てられるべきではなか
つたかと感ずる次第でありまして、結果から見ましてもこの調達のために年度末の量が非常に多く
なつておるわけであります。……失礼しました。今のは二十七年度と申しましたのは二十六年度の問題で、当時
検査がまだ完了しておりませんで、
検査未完了、未確認として残
つておる
事態であります。
次に千五百九十号の「物品を過大に調達したもの」といいますのは、これはスタンプの中に入れます肉じゆう、黒い墨でありますが、これを購入される場合にどれぐらい絶えず在庫を持
つてお
つたらいいかということを、一応標準在庫量を設定されまして、そして不足量を購入する、こういうような
方法をとられたのでありまするが、その標準在庫量が
本省及び各郵政局を通じて二万二千かんというものが標準在庫量とされてお
つた。ところが過去におきます二十五、六年度の払出しの実際を見ますと、平均一万六千かんぐらいしか払出されていなか
つた。そうすると二万二千かんという標準在庫量は過大ではないか、こうした過大な在庫量を基準として調達されたために、非常に多くのものが調達されたのではないかと考える次第であります。標準在庫量を
幾らに置いていいかということは、いろいろ技術的に困難はありましようが、大体において少くとも四半期分くらいのものを標準在庫されておれば、こうした市場でいつでも購入されるのでありますから、それ以上の多量を保有する必要はないのではないかというように感ずる次第であります。まあこうした過大調達の結果、やはり年度末の保有量は、一年間の払出量を上廻る
数字を保有しているというような状態に
なつておるわけであります。
次に千五百九十一号から千六百七号までの「
職員の不正行為に因り国に
損害を与えたもの」を掲げてありますが、これを大約しますと、三百三十ページに記述してありますように、先ず第一に窓口の
職員が貯金を受入れたときに、その受入れの相手方にはそれだけ受入れた判を捺してや
つても、受入れの
報告を漏らしてしま
つて、入らなか
つたように
処理しておるというような
方法で、窓口でその金を取
つたりなどしたというもの、これが具体的に言いますれば、千五百九十一号から表に
なつておりますところの最初の浅草郵便局、それから次の千五百九十六号の妙高の郵便局、それから隅から二行目にあります千六百二号の岸和田稲葉の郵便局、それから次の紙の千六百五号以下、大井その他の郵便局、こうしたものが大体今の範疇に属するのであります。
それから次は、集金に出掛けまして、集金人が、相手が貯金して、相手方へ領収書を渡しながら、帰
つて来て、それがまだ集金されていないように書類を作
つた、或いは一応受入れたことにしておいて、その書類を破棄した、その他の
方法によ
つて領得したというものが次の範疇に属するものでありまして、具体的に申しますると、千五百九十五号の松本郵便局、
一つ飛んで九十七号岐阜郵便局、千六百号の奈良郵便局、千六百四号の尾道郵便局というようなものがこれに入るわけであります。
そのほかに「窓口におよび集金
関係に属しないもの」といいますのは、例えば特定郵便
局長自身が自分の
保管しておる
資金を横領した、或いは
架空名義で付掛により支払いまして、その
金額を横領したというようなものがその他として入
つておるわけであります。この不正行為は昨年も
相当ありまして、多少本年度に掲げておるのは減少はしておりますが、依然として
相当な件数に上
つております。この原因は従来からいろいろと御論議もあ
つた点でありますが、何と言いますか、もう少しこの特定郵便局の内部のチェック。システムと言いますか、一人がせずに、必ず二人の間でやるということがもう少し徹底したならば、このうちのいくらかでも生じた事故は防げるのではないかというように考える次第でありますが、この特定郵便
局長自身がや
つてしまうということに対しましてはなかなか防止の
方法は困難かと思いますが、そうした点が出て来ておるのは甚だ遺憾に存じております。
以上簡単でありますが御
説明を申上げました。