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1954-11-06 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月六日(土曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            雨森 常夫君            石川 榮一君            白井  勇君            田中 啓一君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            後藤 文夫君            亀田 得治君            久保  等君            永岡 光治君            森崎  隆君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            堀  眞琴君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    文部省管理局教    育施設部長   田中 徳治君    文部省管理局教    育施設部助成課    長       赤石 清悦君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第十七回決算委員会を開会いたします。  本日は昭和二十七年度決算文部省所管及び厚生省所管についてを議題といたします。  初めに検査報告五百七号から五百三十二号、補助金関係二十六件及び是正事項五百三十三号を問題に供します。先ず検査院から本件についての一般的説明並びに二十八年八月公立学校施設費国庫負担法制定後の実情についても御説明を願います。
  3. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 文部省関係の二十七年度補助金内容説明につきまして小委員会で御説明いたしましたので、二十七年度問題点とその後の経過を主として御説明いたしたいと思うのであります。  二十七年度に私のほうで見ましたのは災害復旧関係工事を見て行つたわけでありますが、その場合に災害復旧とも思われないようなもの、或いは災害復旧をするに当りまして大破とか中破とかいろいろな区分がございますが、そういう点が不明確なためにいろいろな問題が起つておるということを取上げておるわけでありますが、結局只今申上げましたように、そういう事態が起りましたのは、災害に対する被害区分が、大破とか中破とか全壊とか半壊とかいうふうに区分してありますが、この区分が明確になつていなかつたというところから起つたものと、それから一面学校校舎老朽或いは危険であるために、そういうものを成るべくいいものにして行こうというために便乗的な点が相当つたということと、それから現地調査が必ずしも十分に行われなかつたためにいろいろの事故が起つて来たということと、もう一つ補助金を考慮におきまして文部省及び教育委員会仕事をやつておられるわけでありますが、教育委員会の実際やつておられる仕事責任というものが必ずしも明確になつていなかつたというような点からこういう問題が起つて来ておるわけであります。  これに対しまして二十八年の八月に公立学校施設費国庫負担法、それから危険校舎改築促進臨時措置法というような法律ができまして、一応法的な裏付ができて来たわけでありますが、その結果といたしまして、只今申上げました被害区分の不明確という点につきましては、実際の被害実額によつて補助金を渡すという措置がとられたわけで、この点は一応解消して来ておるわけであります。それから現地調査の不十分という点につきましても、これは法律関係ではございませんが、災害関係については現地調査をその後相当つておるのじやないか、問題が相当少くなつて来ておるというふうになつております。それから老朽危険校舎を便乗して二十七年度にやつたという事態につきましては、只今危険校舎改築促進臨時措置法ができたために、そのほうで救済されるということになりまして、問題は一応起らないというような形になつて来ておるわけであります。  それから責任関係におきましても教育委員会でいろいろの事務を扱うということが法的に明確になりまして、必ずしも十分とは行きませんが、教育委員会でやられる熱意相当変りつつあるのではないか、責任を持つてやろうという熱意が少しずつ出て来ておるのではないかと、こういうふうに見て来ておるわけであります。  只今申上げましたのは二十七年度災害復旧批難事項を主として、その後の経過を申上げたわけでありますが、只今まで検査をしておりますところからいろいろの事態が起つておるわけでありますが、その起つておる事態はどういう事態かと申上げますと、学校整備につきまして補助する場合には、学校生徒数とそれから現在の学校校舎保有坪数、こういうものが基準になつて幾ら補助するかということがきまつて来るわけでありますが、現在まで見ました結果によりますと、その人員が、基準とすべき時期の人員でなかつたり、或いは保育坪数が実際の保有坪数よりは少く報告されて、そのために補助金基準から行きますともつと少く行かなければならんものが多く行つておる、こういう事態相当つておるわけであります。それでかような事態が起りますのは、現地調査が、これは一般災害以外の分が主でありますが、さような事態が起りますのは現地調査が不十分だというような点もございますが、実態を見てみますと、生徒数基準となるべき時期が、例えば二十八年度におきましては二十七年の生徒数をとる、ところが二十八年度におきましては生徒数実態は或る程度まで変つておる、こういう事態もございます。そういう関係生徒数を殖やして行くというようなことも行われておつたわけでありますが、この点につきましては二十九年度からは当該年度生徒数をとるというふうに改められましたので、幾分その点は緩和されて、今後としては比較的運営が容易になるのではないかと、こういうふうに思うわけであります。それから保有坪数は二十八年度につきましては二十八年度保有坪数基準としてやつておられるわけでありますが、これがどういうわけで実際保有坪数より少いということで補助金がつけて行かれるかと、こういう点を見ますと、結局保有坪数になつておるものに校舎の非常にいいもの悪いものいろいろあるわけであります。それで市町村といたしましては成るべくいい学校を建てて行きたい、こういう意欲と、それに対する財力が伴わないということから、幾分でも補助金をもらいたいというような傾向があるのではなかろうかと思うわけであります。それともう一つは、二十八年度におきましては補助する金額を決定します場合に、先ほど申上げましたように生徒数保有坪数とが基準になるわけでありますが、幾らほどそこの学校校舎を持つたらいいかという場合に、大体生徒数一人当り〇・七坪ということで二十八年度はなつてつたわけでありますが、実情から行きますと〇・七坪では少い、多くもらいたいということも大いに関係しておつたと思うのであります。その一人当り〇・七坪という点につきましてもその後においては一人当り一点何坪というふうに多くなりましたので、多少は市町村の要望にも応えることになつて補助金経理もうまく行くような傾向になるのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。併し只今申上げましたように、保有坪数の中には非常に粗末な学校がある或いは立派な学校もあるという場合に、非常な粗末な学校は成るべくいい学校にして行きたいという場合には、どうしても又間違いが起る元になるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。それから只今申上げましたような実態の把握が十分でなかつたという点につきましては、今後文部省当局においても十分実態を把握されて、実情に適されるような方法をとつて頂きたいと、こういうふうに考えておるわけであります。  で、検査しました結果から申上げますと、教育委員会のほうでもこれでは必ずしも十分な実態調査ができていなかつたということで、大いに今からやらなきやならんというふうな意欲が見えておるということだけは私のほうも、感じておるわけであります。  それからもう一つ検査しました結果問題になりますのは、二十七年度においては老朽校舎危険校舎というものが補助対象になつておらなかつたわけでありますが、二十八年度法律制定と共に補助対象になることになつたわけでありますが、ところが危険校舎とはどういうものをいうかという点で必ずしも法律上は一応政令に譲り定められることになつておるわけでありますが、まだそこまでの十分の基準文部省のほうでおできになつていなかつたということから、危険校舎という認定が各地方まちまちであつて、実際見ました場合に、これが危険校舎であるとかないとかという点が非常に不明確になつておる。従いまして危険校舎として補助されたものは、危険校舎を取りこわして、新たなるものを建てるという場合でも、実際は従来の危険校舎と称されるものに補強してそれを使うというような事態も起つておりまして、危険校舎の、どういうふうなものが危険校舎ということがはつきりしていなかつたことからいろいろ不均衡な面が起つておるのではなかろうか、こういうふうに考えておるのでありますが、この点も恐らく近く文部省において明確な基準を設けられて順次適正化されて行くのではなかろうか、こういうふうに考えております。  これを要しますのに、順次改善されつつあるということだけは申上げていいのではないか、こういうふうに思います。併しまあ実態調査につきましては今後なお十分の御努力を願いたい、こういうふうに思つております。  それから補助のほうはそれでおきまして、五百三十三号は、工事出来高不足でありまして、注意した結果、これを手直しされた事態でございまして、特に説明するほどのことはございません。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 本省からは田中施設部長中尾計画課長赤石助成課長が見えておられます。御質問のおありのかたは御発言を願います。
  5. 八木幸吉

    八木幸吉君 この五百十一号から五百三十二号までをずつと拝見しますと、災害を受けた建物を一年とか二年とかまだ使つていると、こういうことが書いてありますが、現在でもまだ復旧を要する建物でお使いになつている建物があるかどうか。又使つて児童に危険は一体ない程度のものかどうか、危険の観点から心配をするわけなんですが、この辺の事情伺つてみたいと思います。
  6. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 災害校舎復旧でございますが、先ほど検査院から御指摘のありましたように、多少経理の当を得ないものもあつたのも誠に遺憾でございますが、この災害復旧に際しましては、教育上支障ないように校舎改築をしなくてはならんという点が非常に現地におきましては大きな問題になつておりまして、そのためには危険なものは一時応急修理をいたしまして、改築をいたしました後にはこれを取りこわしております。検査院指摘の中にはまだ残つたものがありますが、すでに改築の済んだものは取払つております。併しその間におきまして危険であるかどうか、万一の事があつたらどうなるということにつきましては、現地のほうにおきましても、大丈夫の程度の補修をいたしまして、暫定的に残して、改築あとに取りこわしております。ですからすでに改築を済ましたところは全部取りこわしておりまして、基準坪数だけは現地においてももうすでに実施しております。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 私の伺うのは、坪数が広いとか狭いという意味ではなくて、応急修理をしなければならん建物自体を現在でも使つておる。そのことが児童の上に多少の危険がないかどうか、殊に台風の来るような地帯はしばしば来るわけですから、何号台風か又やつて来て、こわれて子供けがをするというような虞れは絶対にないかどうか、その辺の十分責任のある御答弁を伺いたいと思うんです。
  8. 田中徳治

    説明員田中徳治君) この補助金の取扱いでございますが、大破半壊全壊というようになつておりますが、併し大破補助金のあるものでもすでに危険のものもあります。というのは老朽校舎がその中に入つておるものですから、併し老朽改築のためには当時はまだ予算がありませんで、多少老朽災害が便乗したという形になつております。従いまして大破でも危険のものはすでにあるのでございますが、地方財政関係からいたしまして、改築まで手が伸びず、止むを得ず大破を一時応急によりまして修理して使つておるところもございます。併し改築予算は別途に市町村では取上げまして改築をやつておるところもありますし、なお全壊或いは半壊のものはすでに新築をいたしまして、而も保有坪数に達したものに対しては、老朽校舎は全部取りこわしております。
  9. 八木幸吉

    八木幸吉君 私の質問趣旨がまだ徹底していないように思うんですが、つまり危い校舎で金がないからやれないんだ、危い校舎がまだあるんだ、こう承わつていいのか、危い校舎はないんだと承わつていいのか、心配だから伺うんですが、その点どうですか。
  10. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今の問題は危険校舎の問題かと思いますが、二十八年度におきましては危険校舎補助金はありません。従いましてその当時は今の危険なものも残つたはずでございます。併し二十九年度以降は危険校舎補助金が出ることになりまして、その実態は目下文部省でも調べておりまして、現在全国におきましては二百数十万坪の危険校舎が存在しておるようなことになつております。
  11. 八木幸吉

    八木幸吉君 決算の問題と多少離れるようで、決算を中心の御答弁になるので話が食い違うように思うんですが、もつと私は突込んで申上げますれば、たまたま台風校舎大破した。それに便乗して改築をやつたと、従つて会計検査院から指摘されるような事態が起きた。こういうことでここに表面に現われたわけなんですが、そういつたような便乗するような台風もないところにも、今仰せのようなところにも、全国ではいわゆる危険と称される校舎があると思うんですが、併し自分の家の子供学校にあずけておるとすれば、そんな台風が来れば崩壊してけがをするというような校舎子供をあずけることは、両親の立場から言えば非常に困るんで、無論坪数が広くなるとか狭くなるとかという意味ではなく、災害に対して十分安全度を持ち、文部省としては責任の持てるだけの補強工作をしているかどうか、金がないから危険でも補強をしていないんだとおつしやるのかどうか。財政の許す範囲内で、非常な未曾有の強烈な台風なら別だけれども、先ず普通想像し得る程度のものなら子供に安全な方途を講じているのだということを責任を以て言えるかどうかという点を実は伺つておるので、決算を離れて、その意味での御答弁を伺いたいと思います。
  12. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 現在の校舎状態でございますが、非常に大きな災害のあつた場合におきましては相当部分が崩壊するであろうというふうに考えております。が併しそう大した台風等でない場合におきましては大体大丈夫であろう。併し実際問題といたしましては、個々学校を一々調べました際におきましては相当に危険なものがあります。これは常々委員会を通じまして、できるだけ学校建物維持管理のほうに意を注ぐようにということには慫慂しているのでございますが、実情はなかなかその通りに参つておらんような状態でありまして、文部省といたしましてもこういつたことは常々修繕費による維持管理を十分徹底いたしまして、多少の台風等に対しましては災害の起らんように、或いは児童被害の生じ得ないように是非善処して欲しいということは始終指導しております。が併し戦争中からすでに地方におきましては、これは国家資金面なり或いは資材面の統制によりまして、ずつと校舎が荒れておりまして、それに六三制の校舎の増築問題が起りまして、むしろそのほうに地方資金なり或いは注意、関心が寄せられまして、結局やはり建物維持管理の面が疎かになつたということは否めないのでありまして、そのためには実は文部省といたしましても是非老朽改築補助金が欲しいということはすでに四、五年前から大蔵財務当局のほうには要求いたしておるのでございますが、幸い二十八年に至りまして漸くこれが認められまして、全国義務制学校は最も悪いものから着々改築に向つているような状況でございます。
  13. 八木幸吉

    八木幸吉君 この間も法務省関係決算をここで審議いたしました際に、非常に法務省関係では建物が立派で何十億という金を使つておる。現に私が自分で見たところでも福井裁判所は四億六千万円以上も金を使つて立派なものができている。ところがその裁判所の近くにある福井の小学校というものは、もう一遍いつかの地震でも来れば倒れちやつて子供けがをするのではないかというような非常に憐れな学校がその近くにあります。それで私は法務当局に、同じ国家の金を使うのに、裁判所は非常に立派だ、子供の行つている学校災害があれば子供けがをしないかというくらいに憐れなものだ。国の金を使う上においてもう少しその金の国家的見地から見ての効用というものを頭において財政上から按配するのが妥当である、こういうことを実は申上げたわけなんです。  先ほど来の御答弁伺つていますと、ちよつとした風が吹いてもこわれるような校舎相当あるかのような御答弁、これは文部当局としては、予算がないから非常に自分たちは苦慮いたしているのだという立場でのお話だろうと思いますが、併し子供をあずかつている文部省、若しくは子供をあずけている父兄の立場から言つて、風が吹きやけがするかも知れんというような学校子供を託する、若しくは子供をあずかるということは、これは非常に大きな問題であつて、私は文部省大蔵当局に向つて、さような危険の一日も早く除去されるように、国の金の使い方をもう少し全般的に見て、政治力の普通弱いといわれている文部省のほうへも金を廻わせということを強力にお話し願いたい。今の御答弁伺つて私は実に驚いたのですが、併しこれはむしろ文部委員会或いは予算委員会の問題であるかも知れませんから、これ以上は申上げませんけれども、危険校舎相当つてどうも止むを得んのだという考え方には、私は非常な疑念を持つ、危惧の念を持つわけでありまして、たまたまこの大破して改築を要するという校舎でもなお一両年使つているということがこの決算面に出たものですから、そのこと自体についてすら私は驚いたものですから伺つたわけですが、これ以上は本委員会としては話を突き進めるのは妥当であるとも思えませんので、希望、見解を申上げて御参考に供します。
  14. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 御趣旨御尤もでございまして、文部省といたしましてもできるだけ御趣旨に副うように努力したいというふうに考えております。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 先に、こういつたような経理当を得ないものが出て来たということに対して、「現地調査が行き届きかねて査定が適確に行われないまま申請どおり国庫補助金を交付し、その後の是正監督も不十分であつたことに因るものと認められる。」、こういうふうにまあ検査報告には載つているわけですが、実際の場合に現地調査がどの程度なされているのか、それについてちよつと具体的に御説明願いたいと思います。
  16. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 現地調査におきましては、本省係員並びに県の教育委員会係員現地に参りまして、当時におきましては全国被害校の約一〇%乃至一五%程度のものだけしか実は調査することができなかつたというような現状にあります。これは勿論係員が非常に少いというようなことに起因するのでございますが、その後におきましては大蔵財務当局等現地立会の上で以て、約三〇%を目標といたしまして今後は現地調査をしようというふうに考えております。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 まあ大蔵省のほうで立会うということも結構なんですが、実際は文部省自体がやはりそういつたものについてやられて行かなくちやならんと思うのですが、まあ法律制定伴つて教育委員会責任を持たせてやるようになつたというところで、具体的に更によく調べることができるようになつたことは結構だと思うのですが、特にこの後半の「補助対象工事の実費が補助基本額に達しないもの」の中で、例えば愛知県名古屋市の場合の、額は少いですが、七十三万円に対して三十六万五千円、実際の工事費が六万八千円程度しかしてない。こういうふうな点については、額は小さいけれども、全くこれはでたらめだというふうに考えられるわけなんです。そのほかにも大体それに類似の例が五百二十六号から五百三十二号に亘つてつておりますが、こういつたものに対して、一体事後の措置としてこれを見るというと、単に処分として注意々々とこう書いてあるわけです。私はこういうふうな余りにも馬鹿々々しい不当経理に対しての措置として、単に注意だけで、これはいいものかどうか、この点についてやはり所見をちよつと伺つておきたいと思うのです。
  18. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 名古屋市の場合でございますが、これは検査院の御報告と、文部省内容を調べました内容と多少違つているのでございまして、実際は新築と増築との区分けがはつきりしなかつたためにこういう数字が出て参つておるわけでございますが、実際はこれ以上に実施しておりますし、なおこの工事残り部分につきましては次年度におきまして全部実施しております。これは地方財政的の裏付けのその年にできなかつたようなところもありまして、或いは土地の選定というようなこと、そういつたことからいたしまして多少工事が遅れたために、二十七年度中の工事が非常に少なかつた。併しこれにつきましては、その後地元におきまして新たに予算を立てまして、そしてこの基準額に相応するものはすでに実施しております。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 ちよつとその説明を私はおかしいと思うのですが、要するにここに出て来ている事例というものは、まあその年度内において工事を完了すべきものと私は思うのですが、それをやはりそういうふうに延ばして来た。而もこれが災害復旧という名ならば、そんなに遅滞を許されるようなのんべんだらりんとした事業なのかどうか、私は疑いたいと思うのです。だからいろいろ事情があると思うけれども、単に名古屋市の事例だけではなくて、そのほかに事例が幾つもあるわけです。こういつたような事例に対してそのあとでこれを手直ししたということは結構なのですが、そういうふうなその手直しをするという前に、補助金をもらつてそれを使わなかつた、而もそれが非常に額がひどい、こういう事例に対しての注意というものが緩慢ではないのかと、こういうふうに思うわけなのです。この点についてどうですか、会計検査院のほうから指摘されるというのが不満であると思うのだが、まあ意見を聞かしてもらいたいと思う。
  20. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今の当然使途すべきものをその年に使わなかつたということと、並びにそれに対する指摘事項責任者処分注意程度ではどうかと思う、こういうお話でございます。この点につきましては一々これは個々内容はおのおの違うのでございますが、指摘の後に、県の教育委員会を通じまして地元の各学校並びに公共団体のほうに連絡をとりまして、指摘内容不十分の点を如何にするかにつきましては、指示に基きましてこの予算十分実施、遂行するよう処置したのでございます。従いまして多少年度違いなつた例もあります。或いはその年度工事費使い方が非常に少く、あとの使途が不分明な点もあつたのでございますが、これらの点につきましては指示によりまして、一応この予算を消化するだけの工事はすでに実施しておるのでございます。  なおこれに対します注意程度ではいいかどうかということもございますが、この点につきましては、従来法令的にははつきりした委員会に権限もなかつたのでございまして、まあ併し文部省で実施いたします点につきまして委員会の協力を得まして、そして適正な整備をやつてつたのでございます。その関係上、一応県にも委員会にもミスがあるのでございますが、この点につきましては一応この補助額を適正にとは言いませんが、検査院の指示によりまして、或る程度その内容を盛つたものをすでに実施しておるのでございまして、更にこういつたことのないようにという意味におきまして注意を喚起しておるのでございます。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 どうも私は文部省自体補助金に対する観念が非常に希薄じやないかと思います。補助金を支出する場合に対する処置に対しての取扱いが実に簡単に考え過ぎているのじやないかと思います。例えば災害復旧でこれこれの工事をしたい、それについて補助金をこれこれもらいたいということに対して、急速にそれを復旧しなくてはならんというのでこれを補助金を交付した。その間において当然要求した工事量というものは実施されなければならないのにそれをその次年度に延ばした。更にその次に延ばしたという形で、それも止むを得なかつたというふうなことでは私はならんと思う。事情として止むを得なかつた事情があるとしても、補助金を申請して、その補助金を期間内に使用しないということに対して文部省自体が、それも止むを得ない、これも止むを得ないというような態度では、こういうような不当事項を是正して、私は効率を挙げることにはならんと思う。而もただ注意なんということだつたらばどこでもやることで、注意なんということは私は処分にならんと思う。そういう点でちよつと文部省自体補助金を軽く見ておるのではないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
  22. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 文部省といたしましても適正な配分と工事の実施につきましては決して軽くは見ておりませんで、委員会を督促いたしまして適正な工事の実施を図つておるのでございます。併し二十七年度におきましては多少不備な点がございました。というのは現地調査の不完全なること、或いは委員会仕事、分担上の明確化した内容が伴つていなかつたというようなことでございます。この点につきましては公立学校施設費国庫負担法によりましてはつきり明確にいたしまして、工事区分内容なり、或いは実施の面或いは監査の面、こういつたことにつきましては委員会に当然この算定の内容の審査、意見を付すことにいたしまして、そしてなお監査の点におきましても、その一部を都道府県の委員会に委任いたしまして、今後こういつた間違いのないようにすでに法制的にははつきりした線が出ております。二十七年度におきましては、結果において誠に遺憾の点があつたのでございますが、今後におきましてはそういうことのないように、文部省といたしましても決して補助金の配付或いは指示につきまして疎かに考えておるというようなことのないようにいたしたいというふうに考えております。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 注意ということについて、これは処分であると、こういうふうに思つておりますか。ここに処分として注意々々とあるが、これはどうなのです。  もう一遍言いますが、こういつたような事項に対して処分欄に一応注意としてあるのですが、注意するというのは当然なことであつて、何ら行政処分ではないというふうに考えられるわけです。一般に今までほかの省においても厳重なる注意とか単なる注意とかいうことで相当大きな問題が看過されておるわけだが、そういうふうな点について今後教育委員会なら教育委員会にそれを任して、こういうことが繰返されるよな。ことがあつた場合にどういうふうにお取扱いになるか、その考え方を聞かしてもらいたいと思う。
  24. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 二十七年度におきましては、法令内容がはつきりしていなかつた点がございまして、従来の慣例によりましてまあ「注意」となつております。併し二十八年度以降におきましては法令関係がはつきりしております。従いまして今後は相当これを強化するなり或いは適当の処置を講ずるようにいたしたいというふうに考えております。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 この五百二十六から五百三十二まで、ここに挙げられておる、「補助対象工事の実費が補助基本額に達しない」という例がここに掲げてあるわけですが、この差額は文部省のほうでこれを回収したのですか。
  26. 田中徳治

    説明員田中徳治君) これは検査院の御指摘によりまして、その後工事は全部実施しております。
  27. 山田節男

    ○山田節男君 回収したのですか。
  28. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 回収して、全部実施をしておるのでございます。
  29. 山田節男

    ○山田節男君 この二十七年度以降においては、教育委員会の、都道府県の教育委員会の権限を明記して、責任の所在を明らかにしたと言つてありますが、都道府県の教育委員は、これは各都道府県の選挙でやられるものであつて、飽くまでこれは地方自治体の教育委員である。そういつたような都道府県の教育委員会に査定、工事の費用の算定、それから成功認定、それからこれは私推察するのですが、その支出負担行為も府県の委員会がやる、こういうようなことをするというところにここに挙げられておるような、いわゆる県の何と言いますか、悪く言えばこれは飽くまで過大に見積つて金を余計取ろう、それを構築、増築、或いは改築に使うという例がここに挙げられておるわけですが、これは他の建設省、それから農林省の補助金の行政に当つても共通の現象であつて、この点我々強く会計検査院等に指摘して、漸次改善されつつあるわけですが、今あなたのおつしやるような都道府県の教育委員会において工事費の算定から成功認定まで権限を与えるというようなことで、全国に画一的に監督が文部省としてできるのであると思われるのかどうか、この点一つお聞きしておきたい。若しそういう自信があれば、今度こういう教育委員会に対して特別のそういう責任の所在を明確にするような法律を作つたという、その内容を私知りませんが、この権限についてのこの法の内容一つ示してもらいたい。
  30. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 災害調査実態調査なり或いはその成功認定でございますが、或いは監査、この点を委員会に一応或る程度の権限を持たしております。が併し、最後は文部大臣がこれを認めるという形になつております。今の支出負担行為担当官を或いは県に委任するということにつきましては、これは大蔵省からもその御指摘がございましたのですが、他省関係との釣合もあるのでございまして、それらを見合せた上で以て最後の線を出したら如何というふうに考えております。
  31. 山田節男

    ○山田節男君 これは農林省或いは建設省のような多額なものを、補助金を使うということにおいてはこれは勿論当然でありますが、文部省にしてもこういつたような災害復旧のために要する費用というのはこれは年々多額になつておるわけなんだ。この査定から成功認定まで地方自治体の選出した教育委員会に任すということは、これは私は必ずしも中央集権制を謳歌するのではないけれども、事会計に関してはこれはやつぱり責任を持つて中央の官庁がそれこそ統制を持つてやらなくちやいかんと思う。今のように都道府県の教育委員会が出したものを、監査して出したものを文部大臣が机上においてこれを認めるというようなことは、これは非常にルーズなやり方だと思う。ですからこの点は私は、たとえ教育委員会の権限を明記して責任の所在を明らかにしたと言われますけれども、これはまあ今年度決算をまだ見ませんけれども、恐らくこういう事態がこれは決して絶滅できないというように私は思うのです。この点を一つ。まあ補助金に対しては先ほど永岡委員も言われましたが、少し文部省は甘い考えを持つておられる。ただ単に人員が足りないとか何とかいうことでは口実にならん。  それから先ほど八木委員指摘された危険校舎の問題でありますが、各県にモデル・スクールと称して鉄筋コンクリートの建物を盛んに建つておるように思うのですが、このモデル・スクールがあるために、他の現在まで所在しておるところの学校はもう非常にその施設が悪いわけです。それにあまつさえ危険校舎がたくさんある。こういうようなことの現状から見て、あのモデル・スクールというものは漸次各府県にこれを普及さして行くという意味なのか。或いは現在作つておるモデル・スクールはただあれだけのもので、あとはただあれを見本にするというだけのもので、全国にこれを普及するという文部省としての根本方針があるのかどうか。この点を一つお伺いしておきます。
  32. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 現在、モデル・スクールといたしまして相当の数の学校を指定してやつておりますが、このモデルという意味は、終戦後におきまして新らしい学校建築の実施をできるだけ地方に普及いたしたいという意味合からいたしましてこれを指定したのでございます。従来の観念のモデルは立派な校舎という意味のように普通解釈されておるのでございますが、文部省といたしましては、これは一つのサンプルである、新らしい過渡的の学校建築の内容をサンプルとして取上げたのでございまして、必ずしも立派な校舎ということではございません。終戦後におきましては、新らしい学校の木造の規格もできております。或いは鉄筋の新らしい校舎の規格もできております。これは文部省といたしましては建築学会と一体となりまして、学界の権威者を集めて案を作つたわけでございまして、実際の図面を全国に配付いたしまして、講習会もいたしております。が併し実際のものがない以上は、なかなか周辺の学校もこれに見倣うことができないために、僅かながら毎年このモデル・スクールを作つておるのでございますが、今後は優秀な学校をすべてモデル・スクールといたしまして指定もいたしたいと考えております。できますればなお多くのこういつた校舎が続々できることを文部省は考えておるのでございます。併し半面又ひどい校舎も残つております。この点につきましても、老朽校舎改築当りましてこれらのモデル・スクールを見倣つて立派な校舎を建つて頂きたいというのが文部省の念願でございまして、立派な校舎、非常に贅沢な校舎を作るという意味のモデル・スクールというものは、今後文部省としても実施して行きたくないと考えておりますが、なお今後地方におきまして、少数学級の学校等におきましても非常に不十分な学校が多いのでございまして、現在はむしろ地方の小さな学級数の学校をモデル・スクールとして取上げまして実施しておるようなわけであります。その意味におきましてこれが普及いたしますれば、モデル・スクールとしての意味がなくなりまするから、今後これは実施して行きたいと考えますが、なお過渡的には辺鄙な地方の少数学校等は非常に不十分でございまして、こういう意味におきまして、地方の少数学級の校舎でもモデル・スクールとして取上げて行きたい、こういうように考えております。
  33. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど八木委員質問にもあつたのですが、老朽校舎でいわゆる危険な建築と認められるものが相当全国にある、併しこれは国の経費の関係上そのまま放置されておる。こういう意味田中部長の御説明つたと思いますが、一体最近は洞爺丸事件にしても、或いはほうぼうで劇場或いは公会堂とかが崩壊して、多数の人命を死傷に至らしめておるということが頻々として起きておるわけです。少くとも文部省はああいう小さい子供、次の時代を担うべき子供をあずかる校舎とすれば、そういつたような人命の危険というものは殊に文部省としては百パーセント以上に確保しなければならん。幾ら文部省政治力がないといつても、子供の人命に関する危険を冒してまで学校で学習せしめるということは、文部省の根本的な道義的責任だと思う。これは政治責任ではなくて人道上の問題である。今日までそういうような危険校舎として指定されておるものがそのまま多数残つておることは、これは国会の責任もあるかも知れませんけれども、文部省は人道上から考えても許すべからざることじやないかと私は思う。であるから先ほどのような非常なハイカラぶつたモデル・スクールというものを県に四校、五校、六校作つてみたところで、そういつた校舎があるということは、これは非常に文部省教育政策が矛盾しているのではないか。殊に文部省がそういうハイカラがつて新らしがる必要は私はないと思う。  問題は、これはどこを見ても、木造建築の学校は北欧にはあります。まま見受けられますけれども、少くとも西欧、アメリカにおいて木造の学校というものは非常に数は少い。少くとも鉄筋コンクリートか石造でやつて行く、こういう根本方針においてどうもやはり政府は日本全般の気持の、人命を軽んずるという気持が非常に澎湃としているのではないかと思う。であるから、一体今日文部省が見て、危険な校舎として見られるものが全国に一体何校あるのか。その危険校舎は何年計画で以てこれをなくすという計画があれば、それを一つ御明示願いたい。
  34. 赤石清悦

    説明員赤石清悦君) 危険校舎を何年計画ぐらいで解消しようとしておるかどうかという御質問の御趣旨でございますが、その前に学校建築は、非常に法律的な形式的なことでございますが、義務制学校といえども原則として設置者である地方自治体の責任というのが現在明治からずつと一貫して通つておる方針でございます。併し急激に六三制及び危険校舎の新造、改築化の必要性がございますので、例外として中学校を年限延長として補助対象とするし、それから昭和二十八年度から危険校舎について補助率三分の一、これは負担金ではございません、補助金として政府も若干の援助をしよう、こういう制度が中学校、小学校義務制危険校舎改築に制度として採用されているわけでございます。勿論単に補助金だけで逃れるというわけではございません。補助があろうがなかろうが文部省として当然これは制度上処置しなければならん問題でございますが、補助金として昭和二十八年度から改築しよう、改造しようとしている計画は五カ年計画でやりたい。その場合いわゆる心配である危険校舎は一体数字はどのくらいであるかということでございますが、これは非常に技術的にむずかしい問題でございます。  先ほど会計検査院からも危険校舎であるかないかという限界が不分明であるという御指摘があつたのでございます。私ども率直に不分明であることを認めざるを得ません。併しながら分明にするまで時をかしてこれを放つたらかすわけには参りませんから、昭和二十八年度から補助率三分の一で補助金を頂戴しておる。こういうふうに考えておりますが、現在のところまだ百数十万坪は危険校舎があると私どもの数字はつかまえております。然るところ昭和二十八年度において補助対象になりましたのは二十数万坪、昭和二十九年度において二十万坪でございます。まだ私どもが最初大蔵省に対して要求いたしました百六十五万坪の僅かに数分の一でございます。従つて危険校舎であるかないか、不分明であるということを分明にしなければならないということは、むしろここ一、二年で早く整理しなければなりませんが、昭和二十八年度昭和二十九年度におきましては一刻も早く現実の危険校舎を解消しなければならないというところに重点が置かれておつたのでございますが、併しこれをいつまでもはつきりしないものは明確なものにこれはしなければいけませんので、いろいろ関係各省と連絡をとりまして、今年の実態調査は耐力の調査、これは学界その他権威者のいろいろのお知恵を拝借いたしまして、大掛りな調査をいたしましてやつております。ただ何としても文部省が、文部省の専門家が全国の何万という学校を一々調べるということは技術上、又事実上も不可能でございます。そこで文部省がきめました耐力度、力に耐える度、耐力度調査という一つの一定の基準によつて全国教育委員会の専門家、若し教育委員会に技術者がいなければ、知事の部下である建築課の職員をも動員いたしまして、徹底的な調査をいたしました。但しその調査は、何点以下が危険校舎だと初めから結論を出して調査いたしますと、やはり補助金を余計もらいたいということと絡み合つて来て、必ずしも正確な調査ができなかろうということでございますので、何点以下を危険校舎にするということは未だに明らかにしておりません。それらの全部を調べて、各県が文部省がきめた基準をその通り、バランスがとれて不公平がないようにやられておるかどうかを調べ、又各県が、まだ持つて来ないところの県が一県ございますが、それらが全部揃つてからもう少し時間をかけてきめよう、こういうふうにいたしております。それがはつきり出て参りまして、何点以下を危険校舎とすると、こういうことになりますれば、国が危険校舎について補助対象とすべきいわゆる責任坪数、及びどの程度までが危いか、人命に危険性を与えるものかということがはつきり出て来るということになろうかと思います。  ただそれが出ない間放つたらかしたということでございますが、只今申上げましたように、むしろそのことのほうは放つたらかしはできませんので、私どもは昭和二十八年度から補助金も国会の御審議によつて二十数億頂き、又自治庁、大蔵省の理財局、いわゆる融資関係でも起債を従来よりも遥かに多い単独起債をも殖やして頂いて、この危険校舎の解消を一刻も早くやりたい、こういうことで全力を挙げている次第でございます。
  35. 山田節男

    ○山田節男君 これは今の赤石助成課長答弁を聞いて、やはり私が指摘したように、どうも人命を尊重するという本当のまだ気持は、教育者の立場として、教育を所管する文部省の態度としてどうも私は不満に堪えない。一体そういうような百数十万坪の危険校舎があるということがわかつておるなら、そういうただ県から届けて来るのを待つとか、或いは過大な見積りをして補助金を余計取ろうとするかも知れないと、こういうただ机上の議論ではなくて、若しもう少し文部省熱意を持つて、人命の尊重という考えを持つておれば、むしろやはり出掛けて行つて、人が足りなくても、何人要してもいい、これは年に二十万坪としても百六十万坪では八年かかる。ですからこのことは危険なもの、極く危険なものは直接文部省が行つていろいろ査定して、補助金はもうそういう場合には、やはりその自治体で以て負担に堪えないようなところに限つて危険校舎が多いと私は思う。そういうことに対して法の改正を以てどうですかと、もつと真剣な態度がないと、私はこれはどこかの小学校老朽校舎で以て児童が百名か二百名くらい死んだ場合に、そのとき初めて新聞の問題になり、文部省も空騒ぎすることになる。これは得てして日本の政府の特徴である。  これはもう洞爺丸の問題にしてもそうなんです。もう事後にどんなことをしてもこれは間に合わないのですから、今の説明員のような説明では、私はやはり文部省自体がもつと人道主義的な気持にならなくちやいけないと思う。熱意がない。そんなことでは百年河清を待つて危険校舎の絶滅ということはできない。次々に、木造の校舎が多いのだからして、年を加えればこれはもう危険校舎の中に入つて来るのです。そういうことでは少くとも教育行政において、こういう危険校舎の処理というものに対して、私は根本的にもう精神問題からこれは入れ替えなければいかんと私は思う。只今報告を待つというのじやなくて、みずから出かけて行くというくらいの少くとも気魄を持たなければこういう問題は私は解決しないと思うのです。だから私は、希望になりますけれども、文部省自体がそういうような、私らが言えばこれは無責任だ。そういうことで予算が要るならばうんと予算を出して、文部委員会なり予算委員会に声を大きくして叫ぶべきだ。それをしないというところに私はどうも熱意がない。そのことは日本人通有の人命を尊重しないという問題になつて来るのです。文部省としてはこの点はもう少し私は熱意をもつて、もつと責任感を持つてこの危険校舎を絶滅するという何年かの、三年、五年の計画を立ててこれはやるというだけの気魄を持つてもらわなくては、この問題は永久に片付かない問題として残るだろうと私は思う。これは私は強く要請しておきます。
  36. 森崎隆

    ○森崎隆君 部長さんにお尋ねしますがね、今の質問、御要望に関連して、二十九年度予算では、当初文部省が要求いたしました危険校舎の改修、或いは災害復旧関係その他の義務教育学校校舎の建築関係予算とか、要求した数字と実際二十九年度予算で決定したという数字との比較の資料は今ございませんでしようか、なければあとでも出して頂きたいと思います。わかれば大体一応お聞きしておいて……、その辺にも問題があるのじやないかと思います。
  37. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今資料を持つておりませんが、危険校舎におきましては三十六億の予算要求に対しまして二十億の予算となつております。
  38. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の災害関係ではどうなつておりますか。
  39. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 災害はこれは大体一致しております。災害は二カ年間でやることになつております。前年度とその年度のもの……。
  40. 森崎隆

    ○森崎隆君 その数字は幾らですか。
  41. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 約十億でございます。
  42. 森崎隆

    ○森崎隆君 この今の危険校舎二十億というのは実際二十億ぴつたりですか。私が聞いたところでは十九億になつておる。
  43. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 予算の節約のために五分が実は今削減されまして、十九億になつております。
  44. 森崎隆

    ○森崎隆君 それからモデル・スクール関係は……。
  45. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今年はモデル・スクール関係予算として別に見ておりませんのです。
  46. 森崎隆

    ○森崎隆君 それはどこから出ているんですか。
  47. 田中徳治

    説明員田中徳治君) やはりこの一般予算の中から、当然の割当を受けた中から優秀な学校を取上げてモデル・スクールというふうにしているのでありまして、別にモデル・スクールのための予算というものは見ておりません。
  48. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の問題に関連して極く簡明に一、二点お伺いしたいのですが、例えば二十メートルの台風が吹いた、若しくは三十メートルの台風が来た。そうしたらこわれる虞れのある校舎が幾らある。日本でまあ災害と言えば風と地震ですが、地震のほうでも例えば中震程度の地震が来た場合には崩壊する虞れのある校舎が幾らあるといつたような調べをお取りになつたことは恐らくないと思いますが、一つ至急に或る一定の基準を示して、風若しくは地震に対する危険の校舎がどの程度あるというお調べを一応お取りを願つて資料として私拝見したいと思います。
  49. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今申されましたように、二十メートルから三十メートルの風が吹いた場合におきましてつぶれるであろうというような技術的の調査は非常に困難ではなかろうか、正直に申しますと。併し建築基準法におきましては、地域なりによりまして何メートルの風にもつような建物を作る、或いは地震は震度なんぼ以上のものにもつような建物を作るということになつておりまして、そういつたことにつきましては、文部省におきましても学会と連絡を取りながらその規格を作りまして、そうしてこれを基準の中に取入れまして実施させることになつておりますが、現実に何メートルの風が吹いたといつても、その学校にこれが当る場合もありますし、その学校の所在地なりの環境によりまして大分違うのでございまして、一概にこういつた数字に基く当該校舎がなんぼあるかということは非常に技術的に困難じやないかというふうに考えるのでございます。
  50. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は新らしくものを建てるときの基準言つているのじやないので、例えば台風の径路に当る鹿児島県とか高知県とか、或いは兵庫県とか福井県とか、毎年台風の通るところは大体きまつている。そこの老朽校舎子供をやつている親の立場から、文部省はもつとお考えになつたらいいと私は思う。例えばこの校舎が三十メートルの風が吹けば倒れる虞れがある。虞れがあるかないかというくらいのことは、専門家が真剣に調べれば私はわかると思う。だから常に二十メートル以上三十メートルくらいの風が来る虞れのある学校子供をやつている親の立場でもう少し真剣に私はお考えになる必要があると思います。そんなことを調べるくらいのことは何でもないことだと私は思うのです。当該地の技術官に指令を出して、三十メートルなら三十メートルの風が吹けば倒れる虞れのある校舎がどれだけあるかということを文部省から各府県に通知すれば、そんなものはすぐ私は返事が来ると思います。やろうという気がないからむずかしいと言うので、自分子供老朽校舎にやつているその親の立場でお考えになれば私は何でもないと思います。地震のほうはこれはどうもなかなかわからんけれども、台風は毎年日本としては来ているのだから、もう少し真剣にこの問題をお取上げ下さることを私は強く要求いたしておきます。  それからこの会計検査院報告の問題ですが、五百二十六から五百三十二について、先ほどから岡委員お話があり、山田委員からもお話がありましたが、つまり実際工事費よりも国庫の補助金交付額のほうが多い場合には回収して実施するといつたような御答弁で、甚だ御答弁がはつきりしませんでしたが、具体的に私は申上げますが、五百二十九の補助対象としての工事費が七十三万円のものに対して、国庫から三十六万五千円の補助金を交付した。実際の工事費が六万八千円であつた。これに対しては三十六万五千円と六万八千円の差額は国庫にこれは回収するのですか、しないのですか。
  51. 赤石清悦

    説明員赤石清悦君) これはこの愛知県の学校は、災害復旧とそれから生徒増のための新築、増築、二つ絡み合つている学校の例でございますが、よくこれはほかの学校にも例がございまして、まあ生徒も殖えるし、災害でもいたむしというふうなとき、一時にその改築と増築をする例がございます。このケースは多少見解の相違というふうにも取られるのじやないかと思いますが、その災害改築分としてはその分だけやつていないというふうな御指摘のようでありますが、私どもの調査によれば、その工事全体としては二百三十四万だけやつているわけであります。従つて私どもの見解によれば、これは災害分もその中に入つておりまして、補助対象分は十分これはしている例というふうにまあ考えているわけでございます。
  52. 八木幸吉

    八木幸吉君 五百二十六から五百三十二の各項目について補助金交付額が実際工事費よりも少なかつた例は二つしかありません。あとはみなもらつた金よりも使つた金のほうが少いのですが、その差額は一体初めからの申請から言えば当然返すべきだと思うのですが、会計検査院どうですか。
  53. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 返す返さぬの問題の前に、大体どういう事態だということを一応御説明したほうがよかろうかと思うのですが、最初災害関係で御説明いたしましたように、これは災害による大破だとか全壊だとか半壊だとかいうことに応じて、半壊の場合だつたら幾らかかるのだということを一応きめまして、それに対する補助金を流して行つたわけです。そうすると実際は半壊にもなつていないようなものが半壊だということで申請が来ますと半壊補助金が行つている、そうすると実際使う場合には少く済む場合がある。その場合に、工事を実施される場合には災害分をやられるだけで終始される場合もありますし、そのほかにやはり老朽なら老朽校舎としては金をかけなければならんところがあると、こういう場合にそのほうに金がかけられておる事態もあるわけです。本件は結局災害復旧としては一応そういう形で金の来ましたものが、まあ災害の認定が悪かつたという点もありましようが、一応金は当初予定していたよりも少くて済んだ、こういう事態で、その金はどうなるかと言いますと、結局その災害部分にかけられるというよりも、余つた金をほかのほうの校舎にかけて行かれるというような事態になつているわけです。それを年度の途中で見ますと、結局こういうことになるわけで、全体の校舎にはかけられておる、災害部分にはかけられておらんということなんです。  それで金を返すほうがいいか悪いかということの問題になりますと、普通の場合から言いますればこれは返すのが当然じやないかというふうに考えるのが常識じやないかと思う。ところがこういう事態が起りましたのは、文部省がそういう方針でおやりになつたというところに多少のミスがあるという場合に、責任をどこが持つか、こういうことになりますと、補助団体から返すということを文部省措置をおとりになることも非常に困難じやなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  54. 八木幸吉

    八木幸吉君 私が会計検査院に伺いたいのは、つまりいろいろな過大な計画で金を取ると、早く言つてみればほかへ流用する、流用した金は当然返せというのが筋道だと思うのですが、どうですか。
  55. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 只今仰せの通りだと思いますが、今の五百二十六号から五百三十二号までの間と、それからそれより前の五百七号から五百二十五号の問題ですが、これは認定の問題になりますが、災害に便乗してやつたという事案であります。これも厳格に言いますとなかなか区分は不明確でありますけれども、思想から言えば返さなければならん問題があるわけです。これを如何に……、これを前の分とあとの分を区別してやるかということも非常に困難な問題があるのじやないか。その点私どものほうとしましては、補助指令からすれば返させることができると、こういうことがございまして、文部省只今申上げましたように返させるのが筋だと思うのでありますが、文部省の結局災害に対する補助金の交付される過程において非常にミスがあると、言い方は悪いかも知れませんが、そういう事態にすぐ返せということ、お取りになることは困難じやないか、そこで文部省の行政措置に一応委ねよう、こういうふうに考えているわけであります。
  56. 八木幸吉

    八木幸吉君 例えば具体的に申して五百二十九号の場合、補助対象としての工事費が七十三万円と初めきめられた、ところが文部省の弁明を読んで見ますと、初めは補助でやるつもりであつた。ところが名古屋市ではその建物の命数を考えて改築することを適当と考えた。改築という字が使つてありますが、その次の行を見ますれば、即ち改増築をするということにして補助して六万八千円程度のことでやめておいて、増築のほうにそのほうの金を廻した。第五百二十九号の文部省の弁明でも私は弁明になつておらんと思うのですが、つまり流用したということを自分で承認しているようなことで、流用自体がよろしくないのだ、嘘を言つて金を取ることはよろしくないのだという頭がまるで一つも答えになつて私は出ていないと思う。非常にそれは不満なんですが、補助で金を取れば補助であつて、増築は増築で別に申請して金を取るべきである。こう行くべきであるのに、スライドしてなだれ込んでいる形ですが、これは会計検査院では許すべきでないと思いますが、どうですか。
  57. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 純理論から言えば八木委員のおつしやる通りだと私も思うのでありますが、今の五百二十九号の事態をとつて見た場合に、五百二十九号は、一回補修をやられた或いは又改増築をそのうちでやられたわけなんですが、そうすると前のほうの関係から言いますと、前のほうは一時にさつとやつてしまつたという次第になるわけであります。その前のほうの半分は、一応形で言いますと補助金を渡したものに相当する工事は一応できている、こういうことになつているわけです。そうすると一時にやつたものと途中一部分しかやらないで、これは勿論程度は越えておりますが、それを翌年にやつたものと、これは区別することはなかなか困難なわけであります。そういう関係上すぐこれだけを返すということをやるのが実際の問題として穏当であるかどうか。ということは前のものも厳格に区分して返す方法を講じなければならんと思うのですが、そういうことが現在の事態においては前のほうをこれだけということが、当初の被害区分というものが明確にとつていないというところに起因しておりますが、そういう関係上それが返せないという事態であるならば、今の年を分けてやつたものも返すということになれば前のほうとの均衡を却つて失する、こういうことで取り返せないという処置も必ずしも全面的に悪いということも言いかねる、こういうふうに考えております。
  58. 八木幸吉

    八木幸吉君 ごまかしはいかんという気持があるということだけ申上げて、これで質疑を打切ります。
  59. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 今の点でございますが、これは文部省補助指令もはつきりしていなかつた点がございます。半壊の場合は三分の二、大破の場合は三分の一、新築の場合は何と、そういつた基準になつておりますが、併し中には老朽校舎もございまして、みすみすこの区分を付けても又翌年災害を受けるということがあつては困る。ですから場合によつて新らしく改造するのは地元負担によつてつて、その中に災害補助費を含んでやつて差支えないというような実は指令を出しておきました。ここの場合におきましては六万八千というのは、既存の校舎をそのまま使うわけに行きませんので、暫定的に屋根の補修なりをいたしまして、六万八千円で補修いたしまして、そして地元資金を以て、同時に新らしい校舎を建てまして、そうしてこの古いほうの校舎はすでに壊しております。六万八千円の補助金を以てやつた暫定応急の補修の校舎は取壊して、新規に工事を実施しておるのでございますが、考えようによつては新規工事が百坪ございます。これは二百三十四万で実は実施済みでございますが、この中に国庫負担金の三十六万五千円から六万八千円引いたものが含まれているのでございますが、そういつた過渡的のものでございまして、止むを得ずこういうふうになつておりますが、むしろ地元は大きな自己負担において新規工事を百坪やつておるのでございます。こういつた特殊のケースでございます。
  60. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の文部省のお答えについて、一、二私は全般を通じて不安が残るのでお尋ねをしたいと思います。それは危険校舎調査をするに当つても、文部省自体ではそういう技術陣営の持合せがないということなんです。そういうことから大体考えると、特に突発的に起る災害復旧等に関して、その災害の査定をしたり、或いはそれから事後に起つて来る監督であるとか、工事の竣工認定、そういうことは恐らく技術的には十分の持合せがないように判断されるわけですが、併しそういう二十七年度のここべ掲げられておる幾つかの批難事項は、二十七年までは特別の法律がなかつたので、こういう不正不当が行われたというふうに、大体会計検査院の御説明では判断をされるわけですが、併し昭和二十八年の八月に新らしい二つの立法がなされて、そうして法律上の事務の委任が明確化されたとか、或いは事業の施行、監督等についても権限が府県の教育委員会に委任された、こういうことになつておるけれども、事実はこれは責任の転嫁であつて実態に対しては何らの私は進展を示してないと思うのです。若し内容においても一段の進展があるということであれば、会計検査院がこのことを指摘した後において、文部省ではこれが発生を防止するための具体的な措置、即ちさつきの老朽校舎等も含んで、これが調査或いはその他の技術陣営がどういうふうに増強されておるか、それを一つ聞かせて頂きたい。  そして第二にはこれを受けて立つ府県の教育委員会のこの技術陣容をみると、詳しいことはわかりませんけれども、関係責任者処分状況調を見ると、いずれも決定者若くは実行者という欄には、それぞれ府県の教育委員会の庶務課長であるとか、或いは総務課長であるとか、財政課長であるとか、或いは稀に施設課長であるとか、そういつた名前が掲げられておる程度であつて実際こういう災害の実地の査定であるとか、或いは監督であるとか、竣工検査をやるとか、そういつたことを、従来のこういう不正、不当を繰返さざるためのこういつた一段の措置が一体どういうふうにその後講ぜられておるのか、そいつをこれまでの数字に比較して、それ以後のそういつた府県教育委員会におけるこういう直接の仕事に携わる、殊に技術陣営の計数を一つ聞かして頂きたい。  それから更に第三の質問は、こういうことで権限が委譲されることによつて、従来建設、農林、運輸等の場合に、もうしばしば行われておつた災害復旧等に対する過大見積、補助金をたくさんとりたいという、そういつた地方的な意欲を大きくこそすれ、小さくすることは恐らくあるまいと、こういうふうに我々は決算委員会の過去のたくさんの事例から判断されるわけですが、そういう危険性というものは、文部省では全然この法律を作られたときに感じていないのかどうか。それらの三点について簡明卒直に計数を挙げてお答えを願いたい。私はその点がどうも心配でならない。
  61. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 具体的の数字を申上げることは今できませんのでございますが、その後の処置におきましては、先ほど来も申上げたように、法制の制定によりまして教育委員会の権限もはつきりしております。これに対しましては都道府県教育委員会職員の認識を高めるために、最近は相当の数の講習会を開いてやつております。勿論直接の場合もありますし、或いは側面的の学校建築の講習会というようなものもありまして、実際の技術面の指導なり或いは法制講習会をやつております。  なお、現地調査におきましては、現在文部省におきましても、部内関係の技術者を総動員いたしまして、災害の実地の調査をすることになつております。これは大蔵財務当局と同時に現地調査をするということになつております。  次に、委員会のその後の情勢でございますが、委員会といたしましても、定員の増加ということは非常に困難な事情でございまして、この点につきましては種々部課の職員も動員いたしまして実地調査をやるように指導しております。現にやはり又技術陣営を動員いたしまして実際は調査をやつておることと考えます。  なお、過大見積の点でございますが、この点は法令内容におきまして非常に厳格に規定しておりまして、今後はこれが十分その通り実施されるというふうに考えておりまして、過大見積の点は解消されたのではないかというふうに考えております。  なお、技術者の増員のことにつきましては、たびたび大蔵省とも折衝しておりますが、行政整理等の関係におきまして、遺憾ながらまだこの増員の実践ができないというような段階になつております。
  62. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は技術者をあえて増員しろとは申上げない。こういう法律に従つて権限が委譲された道府県の教育委員会実態が、実際こういうことを受けて立つだけの実情にあるのかどうかということを明らかな数字を挙げて、そうして説明して頂けば、それで納得ができるのかできないのか、こいつは我々の判断である。そういう抽象的な説明だけでは、要するに文部省責任転嫁ではないかという心配がする。そういうことは建設或いは農林等の場合でも、補助金に関していわゆる間接補助と称して府県に権限を委託して、そういつた場合にも起り得る同様の懸念です。まして道府県の教育委員会では、我々の知る限りでは、そういう技術陣容というものは極めて貧弱なものであろうということが考えられもするし、この書類等について或る程度類推できるので、その点を懸念しておるわけでありますから、これは資料をもつて、その点を次の機会にでもはつきりして頂きたいと思います。
  63. 田中徳治

    説明員田中徳治君) 御趣旨の点御尤もでございまして、十分調査いたしまして資料を提出いたします。
  64. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは文部行政に関しては、各委員から強い要請がありましたので、十分善処して頂くことにしまして、文部省所管については質疑を一応終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり]   —————————————
  65. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないようでありますから、次に厚生関係、五百三十四号、五百二十五号から五百八十一号まで、補助金四十七件、五百八十二号の不正行為及び五百八十三号から五百九十九号までを問題に供します。  先ず検査院から御報告を願います。
  66. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 厚生省関係の二十七年度報告してあります件数は六十六件でございます。そのうち補助関係が四十七件の大多数を占めております。補助以外では、不正行為と、それから保険料の関係でございます。もう一件は物件の関係が提出されております。で、補助につきましては、小委員会において一応の御説明はいたしておりますが、先ず最初の物件の五百三十四号から御説明いたします。  五百三十四号は予算の使用が効率的でなかつたというわけでございます。国立予防衛生研究所で、昭和二十八年の三月、年度末にマツダX線装置というもの及び附属品を買われたわけでありますが、この装置を据付ける場所がきまつておらないというような事態なのに、物品だけお買いになつたということでございまして、その後も場所の決定が相当ひま取りまして、現在におきましては、場所も決定して、現在工事中で、二十九年度には恐らく据付けられることになるのではなかろうか、こういうふうに思つておりますが、いずれにいたしましても、予算の使用上効率な使用でない、こういうことでございます。  次は補助金でございますが、厚生省関係には、補助金相当多数ございまして、ここに掲載してありますのは公衆衛生に関する補助金及び国民健康保険に対する補助金と、それと出納に関する事項が掲載してございます。大部分のものは補助金の精算に関する事項が占めておるわけでありますが、補助金の精算に当りましては、実際かかつた経費から、事業に伴う収入を控除して、それに対する補助率をかけて、補助金が幾ら要るか、こういうことを計算するわけでありまして、その計算の結果、もらつた補助金が多ければ返すということになつておるわけであります。ところが事業主体から出ました補助金の精算書は、補助金をもらつて過不足がない、或いは多少もらい過ぎだ、或いは不足だというようなものが出ておりますが、これを調査しました結果は、相当なお返納を要する事項が多いわけであります。かような事態は、結局事業費に実際かからない経費が入つておる、或いは収入を引かなければならないのを収入を引かないで精算書が作つてあるということから起つて来ておるわけであります。そういう事態が起りますのは、事業主体が補助金をもらいたいという点も多分にありますが、一面厚生省の補助金は複雑なものがございまして、補助金をもらつた事業、例えば保健所で行う事業が相当占めておるわけでありますが、保健所では補助事業だけでなくて、府県の固有の事業も行なつておるわけであります。ところが事業費は府県の単独の事業と一緒になつ経理がしてある、或いは収入の面においても、一緒になつ経理がしてあるというようなことから、なかなか実態を見ることが非常にむずかしい。こういうものもありまして、実態に即さない精算書が出ておると、こういうふうな事態相当あるわけでございます。それからかような事態が起りますのは、結局におきまして精算書を出します際に、府県を通じて厚生省に出て来るわけでありますが、府県は一応経由するだけの形になつておりまして、又厚生省におきましても、これに対して実情がどういうふうになつているかという調査が十分でないというところから、かような事態が起つておるように考えるわけであります。で、かような事態に対しまして、厚生省の補助は多種多様でありまして、実態調査されるということが、人手の関係その他相当むずかしいかと思いますが、現在のような状況であれば、なお、こういう事態が或る程度続くんではないかと、こういうふうな気がするわけであります。厚生省といたしましては、最近は現地調査を幾分やつておられるようにも聞いておりますが、なお、補助金経理が適切に行くように指導監督されることが非常に望ましいんではないかと、こういうふうに考えております。  補助金は大体これくらいで終りまして、次に五百八十二号の不正行為であります。それから次は五百八十三から五百九十九の保険料の徴収不足でありまして、これを検査院注意して是正されたという事項でございます。この保険料に関しましては、本年見ました結果は、多少取扱が変つた点もございますが、それに関連しまして調査も割合やりやすくなつたというような関係上、保険料収入のほうは相当こういう事態が起つていない、こういうふうな関係になつております。
  67. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 厚生省からは、堀岡会計課長、山口公衆衛生局長、田辺水道課長、館林予防課長、尾崎防疫課長、五十嵐予防研究課長、保険局庶務課長の牛丸君、菅野国民健康保険課長、黒木社会局庶務課長が見えております。少し遅れて保険局長の久下君が見えられるそうであります。御質疑の方は御発言を願います。会計課長が見えられておりますが、弁明ありましたら伺いましよう。
  68. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 只今会計検査院より御指摘がありました通りでございまして、誠に申訳ない次第でございます。一応簡単に厚生省としての弁明だけを申上げさせて頂きたいと思います。  五百三十四号の物品購入にあたり処置当を得ないものにつきましては御指摘通りでありまして、ただ当時国立予防衛生研究所は狭隘のために、旧海軍大学の跡へ移転することにいたしておりまして、これにつきましては、昭和二十八年度予算に移転費等を計上いたしておつたのであります。ところが向うの接収の関係がありまして、官庁建物でありました等の関係もありますか、予想以外に延びましたので、ついついかような始末に相成つた次第でありまして、当時といたしましては、早晩接収解除あるものということで、そこへ移れるものと、こういうふうに思つてつたのでありますが、こういう結果になりましたことは、誠に遺憾でございます。先ほど検査院のほうからも御説明がありましたように、先般接収解除になりまして改造等の工事はすでに着手中でございますので、御了承おきをお願いいたします。  それから補助金等につきましては一括一応御説明申上げたいと思いますが、御指摘のように、精算の不十分であるというふうなことから、各号に亘る御指摘が多数ございますが、誠に申訳ない次第でございます。実は精算につきましては、率直に申上げますというと、在来補助金の交付に当りまして、交付の基準について若干不分明なところがございまして、その関係上解釈の余地を残すというふうな点も多々あつたので、御指摘のような精算の結果が不十分であるというふうなこともあつたかと思います。  なお、又先ほど指摘のように、保健所等における府県の単独の事業と、それから補助対象事業との併行等もございまして、それらの関係上、歳入面を除くべきものを除かないで精算をされたというふうなことがございましたことは、これらにつきましては十分な指導が至らなかつたことの結果でございまして、誠に申訳ないと思つております。なお、府県経由の点につきましては、大部分が府県を対象にいたしておりますので、府県は必ずしも素通りだけはさしていないのでありまして、十分調べるようにとは、平素指導いたしておりますが、十分手が廻りませんで、かような結果になりましたことは、申訳ない次第でございます。当省といたしても十分手が廻りませんし、補助金の種類が非常に多うございますので、かような結果になりましたことは、申訳ございませんが、その後はでき得る限り実地につきまして精算の指導等に当るようにいたしております。なお、補助金の精算基準等も逐次詳細にいたしておりますので、今後はこの種の件につきましては、できる限り少くして行くという方針でおりまして、御了承おきを願いたいと思います。  なお、五百八十二の不正事件でございますが、たびたびこういう種類の事件を発生いたしておりまして、誠に申訳ございません。これにつきましては、何とも申訳ない次第でございまして、今後はこの種のことについては、厳重注意をいたしまして、発生の防止に努めたいと存じます。  なお、未収金の問題或いは徴収不足の問題等につきましては、只今会計検査院のほうから御説明がありましたように、その後若干制度の改廃もいたしましたので、恐らくは、相当この問題は是正されて来るというふうに考えております。  以上簡単でございますが、一応の弁明を申上げた次第であります。
  69. 小林亦治

    委員長小林亦治君) なお、建設省計画局水道課長の岩井君も、お見えでございます。
  70. 山田節男

    ○山田節男君 この五百三十五から五百八十一号までのいわゆる補助金の超過払いと申しますか、超過補助なつたものは、速力に国庫に返納させるということになつているのですが、現在まで返納さした件数と総額はわかつておりますか。
  71. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 十一月一日現在で、事項別に、御面倒ですが、申上げておきますが、五百三十五号は未回収でございます。五百三十六号は全額回収済みでございます。五百三十七号は未だ残つております。五百三十八、三十九は全額回収済みでございます。五百四十はまだでございます。五百四十一は回収済み、五百四十二はまだでございます。五百四十三は回収済みでございます。四十四、四十五、いずれも回収済みでございます。それから四十六、四十七は未だ回収しておりません。四十八、回収済みでございます。それから四十九、五十はまだでございます。五百五十一は回収済みでございます。五百五十二は未だでございます。五百五十三は回収済みでございます。それから五百五十四は未だでございます。それから五百五十五、五百五十六は回収済みでございます。それから五百五十七は未だでございます。それから五百五十八、五百五十九、五百六十は回収済みでございます。五百六十一につきましては未だでございます。五百六十二は済みでございます。五百六十三は未だでございます。五百六十四は回収済みでございます。五百六十五、五百六十六は未だでございます。それから次に五百六十七、五百六十八、五百六十九は回収済みでございます。それから五百七十につきましては未だでございます。それから五百七十一は済みでございます。それから五百七十二につきましては、未だでございます。それから五百七十三から五百七十七までは未だでございます。
  72. 山田節男

    ○山田節男君 厚生省から、社会事業団体といいますか、いろいろの種類の社会事業団体がありますが、社会事業団体に補助金を与えた場合に、厚生省自体としての監査、これは社会事業団体においていろいろ社会福祉事業をやるおのおののケース、これが補助金を与えた趣旨、或いは与えた額に値するだけのサービスを社会事業団体がやつているかどうかということは、社会事業の与えるサービス、それから補助金が適正にその途に使われているかどうかということは、これは厚生省で誰か専任のそういう監査官がおつて、常時そういうものを検査しているんですか。
  73. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 只今質問の、専任の者が常時やつておるということはいたしておりません。
  74. 山田節男

    ○山田節男君 これはいろいろの種類のものが、大体民間のいわゆる社会事業団体、これは地方自治体は別個として、私のやつているそういう事業団体に対する補助金の総額は年間どのくらいですか。例えばこれは本年度でもようございます。昨年度でもよろしい。それと団体数がわかればいい。
  75. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) ちよつと今手元にその数字を持合せておりませんので……。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 それでは後刻資料を提出して頂きたいと思います。
  77. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 承知いたしました。
  78. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちよつと本問題と離れるかも知れませんが、社会福祉施設というのがありますね。福祉事務所と申しますか、各府県であれは全体で幾ら金を使つておりますか、全国で……。
  79. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 正確な数字は覚えておりませんが、概算千と思います。金額でございますが、これは平衡交付金のほうの金額でございますが、ちよつと手許に数字持つておりませんけれども、それと両方合算しなければなりませんので……。
  80. 八木幸吉

    八木幸吉君 場所が千でございますか。人数で五千人くらいでありますか。福祉司というのは……。
  81. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 人員は約一万二千でございます。
  82. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 五百三十四号ですが、こういう事態は非常に決算委員会としても関心を持つのですが、この問題となつた旧海軍大学の接収解除、この当時は具体的な予見は何もなかつたのですか。今年の七月になつて漸く解除になつた。こういうことになるのですか。そういうところから推すと、三月になつて折角ある予算だから使つておこうといつたような、いわゆる予算消化のために無理してこれを使うといつたことに相似ておるような事案に見受けられるのですが、非常にこういうことは我々も嫌うし、批難の度の高い事案だと思う。その点如何ですか。
  83. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 只今仰せられたことにつきましては、絶対さようでございませんというしらを切るつもりは毛頭ございません。強いて弁明的に申上げますというと、予防衛生研究所の、業務上どうしてもX線装置というものがいる。ところが二十八年度予算はその当時すでに国会で御審議中でございますが、要求しても入れられなかつた。それで二十七年度予算の残がありましたので、殊にそういうことにつきましては十分承知の上と思いますが、当時止むを得ずそういう措置をとつたと了解しております。御指摘のようなことにつきましては、そうではございませんというしらを切るつもりは毛頭ございません。
  84. 小林亦治

    委員長小林亦治君) つまり二十九年、今年の七月に解除になつておるのですが、その当時は最小限度二十八年度の早い機会あたりに解除になるだろうといつたような見通しはどうなつたのでしよう。
  85. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 先ほど冒頭に申上げましたように、二十八年度の予防衛生研究所の予算には旧海軍大学に移るという前提のもとに移転費並びに若干の経費を計上されておつたのであります。当時この問題につきましては、大蔵省の財務局と外務省が、向うが接収いたしておりますので、それらとの関係で案外早いのではないかというふうなこともありまして、なお又予防衛生研究所は御案内のことと思いますが、電研と一緒になつておりまして、非常に狭隘をきわめております。電研のほうも早く出て貰いたいという要求がございまして、庁舎新築等の問題も、大蔵省とよりより相談して参つたのでありますが、こういう時節でありますから、庁舎の新築ではなしに、あるもので間に合わすという話合いで進んだのであります。従いまして只今お話のように、八年度秋早々に解除になるとは考えなくても、大体相当早い機会に、或いは年度中には確実に接収解除になる、こういうふうに思つてつたのであります。ところがその後の折衝で意外に駐留軍のほうで、ああでもない、こうでもないという話がありまして、なお又官庁の建物でありましたので、接収解除が後廻しになるというので、殊にこういう事態になりましたことを申訳ないと思つております。御了承願います。
  86. 小林亦治

    委員長小林亦治君) これは大臣なり政務次官なり、最高首脳部がお見えになつた機会に厳重に申上げなければならないことなんですが、折角課長も見えておるので、一つ部内にお伝え願いたいと思います。この五百三十四号の場合は、これはあなたのほうの本省から言えば、これをやつた御連中は功労者かもしれない、部内から言えば。そこでこの注意が重いとか軽いとかということではない。処分したりとする調書が、いずれも皆注意。もう前々、当委員会においては各省に申上げておることなんですが、注意なんというようなことは、当然のことなんで、常時毎日あなたがたが下僚に対して注意を加えておらなければならない。そんな当然のことを、処分したということの名目で報告を出されるということは、非常に何というか、報告をなめてかかつておるといつたように我々はとるわけです。毫も行政上の処分ではないんで、今後、これは重い軽いというのではないのです。処分したりと言わんがためには、やはりこの国家公務員法の八十二条による処分をなした場合にのみ処分したりという報告がなさるべきであつて、かようなものを処分したというように報告をされるということは、甚だ了解に苦しむ。従来かようなことで、国会の両院を通つてつたようなんですが、参議院としては十九国会の終り以来、かようなものは処分でない。若しも処分に該当する場合は、正規の処罰をかした上でなすべきである。こういう決議をしてあるんですが、今後はかようなものを処分なりとして報告するような、いわばごまかしをなされないように、一つ課長から部内の上層部に対してお伝え願いたいと思う。今回のことは仕方ないと考えますが、その点一つ善処してもらいたいと思う。
  87. 八木幸吉

    八木幸吉君 厚生省は、一年にお買いになるいわゆる物品購入の総額というものは幾らくらいのものですか。
  88. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) ちよつと今その見当つきませんけれども、いろいろの種類がございますので、若し何でございましたら、後日資料として提出いたしたいと思います。
  89. 八木幸吉

    八木幸吉君 簡単にできますものですなら、各月別に資料を桁えて頂きたいと思います。非常に手数がかかれば、強いて必要ありませんが、簡単にできるものでありまするならば、一年に幾らくらい買うか、三月にどのくらい買つていたか。三月分は恐らく非常に多いと思いますが、各月別に物品の購入の表ができれば、非常に急ぐわけではありませんが、手数がかからないものでありましたら、一つ拝見したいと思います。
  90. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 承知いたしました。
  91. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑ございませんか。ほかに御発言がなければ、今の八木委員の資料ですね、できるだけ早い機会にお出し願うことにいたしまして、厚生省所管については質疑を一応終了したことにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと思います。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十九分散会