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1954-04-01 第19回国会 参議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月一日(木曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 三月二十五日委員永岡光治辞任につ き、その補欠として湯山勇君を議長に おいて指名した。 三月二十六日委員湯山勇辞任につ き、その補欠として永岡光治君を議長 において指名した。 三月二十七日委員宮澤喜一君及び石川 榮一君辞任につき、その補欠として大 谷贇雄君及び石坂豊一君を議長におい て指名した。 三月二十九日委員大谷贇雄君石坂豊 一君及び宮田重文辞任につき、その 補欠として宮澤喜一君、伊能芳雄君及 び長谷山行毅君を議長において指名し た。 三月三十一日委員青山正一辞任につ き、その補欠として宮田重文君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            植竹 春彦君            島村 軍次君            岡  三郎君            菊田 七平君            平林 太一君    委員            青柳 秀夫君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            西川彌平治君            長谷山行毅君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君            大倉 精一君            高田なほ子君            東   隆君            山田 節男君            八木 幸吉君   政府委員    内閣官房長官  福永 健司君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員補欠選任の件 ○昭和二十八年度一般会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和二十八年度一般会計災害対策予  備費使用調書(その1)(内閣提  出、衆議院送付) ○昭和二十八年度特別会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和二十八年度特別会計予算総則第  九条に基く使用調書(その1)  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今より第十七回決算委員会開会いたします。  初めに小委員選挙についてお諮りいたします。決算審査に関する小委員松平勇雄君が三月二十三日、宮澤喜一君が三月二十七日、富田重文君が三月二十九日それぞれ委員辞任せられましたため、小委員が三名欠員となつておりますが、この際補欠選挙をいたしたいと存じます。つきましては先例により委員長による指名選定にいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。  それでは委員長より松平君の補欠として長谷山君を、宮澤宮田両君補欠としてそれぞれ宮澤宮田両君指名選定いたします。   —————————————
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは本日の議題に入ります。  昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和二十八年度一般会計災害対策予備費使用調書(その一)、昭和二十八年度特別会計予備費使用調書(その一)、昭和二十八年度特別会計予算総則第九条に基く使用調書(その一)、以上四件を一括して議題に供します。これらの案件財政法第三十六条の規定により承諾を求むるため国会に提出され、去る三月十八日本委員会に付託せられたものであります。これにつきまして政府説明は去る三月八日予備審査の際すでに聞きとつてありますので、只今より質疑に入ります。先ず専門員から予備費使用に対する事後承諾の件につき概略の説明をいたさせます。
  5. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 提出されました書類並びにその後補充的にガリ版刷で提出されました書類がございます。これらについてその内容を見ましたところ、例えば予算のときに特に削られたようなものがこの中に現われていやしないか、或いは又世間でえらく問題になつたようなものがこの中にありはしないか、或いは又全然無用と思われるようなものがこの中に入つているようなこともありはしないかというような点だけを見ましたところ、別段特に注意すべきものはないように思いました。ただ従来からしばしばこの問題について政府に向つてこの委員会において注意を喚起している問題が一つありまするので、そのことを申上げたいと思いまするが、この前に同様の案件審議されましたのは二十八年の七月の二十日でございますが、そのときの議事録に詳細申上げておきました。要するに予備費は予期しない必要に充てるために内閣が自己の責任で自由に支出してもよいということにはなつておりまするけれども、明治二十何年以来、国会予算審議権を尊重するという精神から、旧憲法の下においては第一予備金と第二予備金との区別を付けて、第二予備金国会開会中には支出しないという慣習がれつきとして慣習法として成立していると思われるのであります。それが新憲法になり財政法が改正されまして、第一予備金、第二予備金区別はなくなりましたけれども内閣においては常に閣議決定におきまして、国会予算審議権を尊重するという精神から、国会開会中にはこれこれのものは支出をしないということをたびたび議決して来ておられるのでありました。ところが、昨年の夏頃と思いまするが、閣議決定を改めて、全然それらの問題を取除いてしまう、勿論法律的に申しますれば、内閣が自由に支出してよいというのでありまするけれども、単純な法律論で済ませるものではなくして、政治問題であり、憲法慣習の問題と思われるのであります。そうしてたびたび政府国会審議権は尊重する精神に変りありませんということを述べておられるでありまするが、この点について或いは今後の問題としましても、重大な問題を含んでおるのではないかということを、気付く点がございまするので、これを御参考に申上げておきたいと思います。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) では大蔵当局から説明を願います。
  7. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今専門員森先生かち先般来御審査を願いました点につきまして御報告を頂いたのでありまするが、私どもといたしましては、只今の御指摘の点につきましては、従来からも当委員会におきまして、非常に重大なる御忠告を頂き、又私どもとしましても、進んでこの問題については極めて慎重な態度で臨むべきであるというふうに心得ておるのでございます。お話通りに、昭和二十七年度につきましては、閣議決定を以ちまして国会開会中には、特に指定いたしましたような経費を除きましては、予備費使用は行わないことを原則とするということを謳つておりまして、その点につきまして、すでに御指摘のように、当委員会におきまして、そういう決定があるにかかわらず、これこれの支出をした事例についてどうであるかというふうな点につきまして、重ねて御審議願つたのでございますが、大体只今森先生がおつしやられましたように第一予備金いわゆる補充使途という系統であつたものでございますが、こういうものは当時の閣議決定の文句では、事業量増加等に伴う経営の経費、法令又は国庫債務負担行為により支出義務が発生した経費というような表現で言つてつたのでございまするが、そういうものに限定をいたしまして考えましても、実際問題といたしますると、なかなかそれだけでは済まされないようなこともございまして、その他比較的軽微と認められる経費というふうな一項を設けまして、比較的軽微なものをお認めを願い、なお、その他やむを得ない場合には、その都度閣議におきまして決定をする、即ち原則に対する例外閣議決定をいたしまして支出をするというやり方をとつて参つたのでございます。そこでその点につきましていろいろ御指摘を受けたのでございまするが、たまたま昭和二十八年度につきましては、この点につきましてやはりその都度閣議において決定をするという方針で、当委員会において御指摘になりましたような慎重さをもつて臨むということであるならば、一般的に事前閣議で抽象的な決定をしないで、個々にそのケース・バイ・ケース閣議決定をするというやり方で行くのが正しいのではないか、いわば自繩自縛と申しますか、閣議で立派に一つ方針決定しておつても、それに対する例外が相当出ておるということでは、これはかねて当委員会で御指摘になりましたような矛盾を感ずるような点もございましたので、その点は一般的に今申上げたような昭和二十七年度のような原則を調うことはしないで、個々ケースについて同じような精神で臨み、なお更に慎重を期するという建前で臨むべきではないかということで、二十八年度の閣議決定からは、一般方針というものは除外されたのでございますが、その都度従来以上に慎重な態度で、只今読上げましたような補充使途的な経費、極めて軽微な経費、その他特にその件その件について閣議において例外的に扱わなければならんような事案というふうな考え方を以て、予備費支出をいたしまして、その支出調書を取りまとめまして、只今承諾を求めておるような次第でございます。只今お話になりましたように、国会開会中につきましては、法律の上におきましては、もとより政府支出権限決定されておるのでございまするが、予備支出憲法上いわゆる国会事前議決に対する重大な例外でございます。従いましてこの重大な例外我我として濫用するようなことがあつては、これは全く申訳のないことでございます。従いましてその例外をお認め願つておる精神を体しまして、只今申上げたような方針も厳重に励行すべきことを当然と心得ておるような次第でございます。  ただ一言附加えて申上げますならば、二十八年度は御承知のように災害が相次ぎまして、予備費等支出につきましては相当応接に暇なきような状態でもございました。これはまあ全くの例外的な事態であつたのでありますが、そういう点もございましたので、結局その事案々々につきまして同じような精神閣議先議をするという建前で臨んだのでございます。私どもといたしましては、只今指摘のような予備費特殊性並びに予備費支出に関する多年の確立せられた慣行というようなものに鑑み、又最も重大な国会の御意図を体しまして、今後ともこの予備費運営につきましては、一層慎重を期し、特に国会開会中におきましては、只今読み上げましたような種類経費に極限をいたし、又それの例外をなすような事案につきましては、閣議におきまして十分慎重に検討した上で支出をすべきものと考えておつたような次第であります。  一応森先生の御指摘に対しまして私ども考えを申上げまして、今後の運営の心構えを申上げたような次第であります。又只今御願いをいたしております承諾案件につきましては、御質問によりまして内容亘つて説明を申上げたいと思います。
  8. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑のかたはどうぞ御発言を願います。予備費承諾ですから、本来なら総理大臣、今総理が御病気中なので、それを代行せられておる緒方総理出席を求めましたが、差支えがあるので、主計局次長お出で願つたのですが、どうぞ御発言を願います。
  9. 平林太一

    平林太一君 委員長総理お出でになるということですが、これは当然のことですが、又総理代りの副総理も来られないで、副総理代り主計局次長として正示君がお出でになられたのですが、当然お打合せになつて来られたと承知いたすのでございますが、緒方君は吉田君の病気状況についてはどういうことをおつしやつておるか、今日来られないということですから、そういうことをお受継ぎになつて来られたのでしようが、それを一つ承りたい。吉田総理大臣病気の現状を承りたい。
  10. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、私実は主計局事務当局でございまして、総理の御病状等につきましてはよく存じませんのでございますが、この予備費支出事務につきましては大蔵省におきまして全責任を負つておりますので、この予備費使用調書を御承諾賜わる点に関しましては、私どもとしては責任を持つて答えたいと思います。
  11. 平林太一

    平林太一君 あなたのお話はそれで無理もないことと思いますが、これはやはり責任緒方君が何らかそういうことをあなたにやはり来られないということは話合いがありまして参るのが然るべきだと思いますが、それですから、これは次回の委員会までに今日のこの経過を緒方君にお話になられて、そうして次に緒方君が出席なさるなら、事務当局といいましても、これはいわゆる政治基本でそこに事務というものが発生するわけですから、事務があつて、それで政治があるというわけじやないのですから、これはやはり当然これに相併行して、関連でなく基本になつて、これはいたすべきである。それであなたの御職分も事務当局とおつしやつているが、今日主計局次長として来られたあなたのいわゆる地位というものは、そういうふうに私は軽くお考えにならないほうがいいと思う。立派な内閣における主計局次長というのは事務ということだけではないわけです。その点私は申上げておきます。  それから只今申上げました災害予備金支出に対しまして、専門員のほうから御指摘がありました。指摘であると同時に、これは一つの批難をいたした一つ行為ですから、それに対しましての只今の御説明がありましたが、これは閣議においてそういうなには全然無視しておやりになつたのか、そういうことを承知しながら無視しておやりになつたのか、それからこの国会のほうのことに関しては、何ら予備金として我々の権限関係ない、国会のことは関係ないのだということでおやりになつたものであるか、若干その際、当然主計局次長としては閣議に列席せられておるのは当然ですから、そういうときの状況はどういうふうであるか、それを伺いたい。
  12. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。閣議決定の原案というのは私どものほうで慎重に審査をいたしまして、閣議決定をお願いいたしておるのでございまして、只今平林委員の御指摘になりました国会開会中の支出につきましては、閣僚におかれましても、大蔵大臣初め各閣僚におかれましても、十分憲法なり財政法精神を体し、又当委員会におかれましてもかねがねいろいろお示し下さいまして御意図は十分に了承をいたしておるのでございまして、そういう御意図に即応して、個々事案決定に際し先議をいたす。こういう含みを以ちまして決定をみたような次第であります。従いましてそういう精神から個々事案が不当の支出をいたしておるというふうなものがございますれば、これは私どもとして十分反省をいたさなければならんのでございますが、まあ先ほど大体専門員森先生お話し下さいましたように、個々事案といたしましては、私どもは先ほど申上げたような注意十分払つて参つており、又閣議もその線に副うて先議になつておられる、こういうふうに存じ上げておる次第であります。なお、私が事務当局としてお答え不十分でございましたが、幸い大蔵政務次官も見えましたので、先ほど来の問題につきましては政務次官からお願いいたしたいと思います。
  13. 平林太一

    平林太一君 大蔵政務次官から一つ只今事態がどうなつているかお聞きしたいと思います。
  14. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 本委員会に対しまして総理若しくは副総理等の御出席の御要求に対しましては、総理は私の存じております範囲では、御病気のために静養中のためにお伺いいたしかねておるというのが実情だと存じております。又副総理は他の国会要務のためにほかのほうとの差支えで、どうしても御出席いたしかねておる、かように承知しておる次第でございます。
  15. 平林太一

    平林太一君 そこで今吉田君は御病気だと言うのですが、政務次官病気ということについては、病気ということはいろいろ種類もあるわけだし、それから容態というものもあるわけです。出席ができないということはどういう病気容態であるか、こういうことは当然政府としては、ただ病気だなんということで、それで出席しない。出席しないということは、これは重大な問題なんですよ。我々は如何にもそれは病気で来られないのだ、そうするにはその病気程度がこれこれの程度で来られないのだということが立証されなくちや困るのです。それを一つ承わりたい。
  16. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。甚だ遺憾でございますが、私御病状、御病名等については存じませんので、若しどうしても御必要あれば他の適当な政府委員を呼んでお答え申上げさしたら如何かと存じます。
  17. 平林太一

    平林太一君 政務次官のあなたの御職務上それでは私はならんと思うのですが、政務次官というものは大臣代りとして政府は置くわけですから、いわゆる他の委員会とはこれは違いますから、そういうことはあらかじめ、あらかじめでない。当然わかつていなくてはならない。それから又政府としては少くとも政務次官局長或いは次長というような程度にまでは病気状態がどうだというぐらいなことは毎日発表して、毎日受領して然るべきものなんです。まあ本質的には違いますが、陛下の御病状というものは毎日発表したものです。今日の吉田君の地位というものは、或いは民主的に見て、それと同様と見て然るべきだ、毎日発表すべきだ。脈博が幾つあるとか、神経痛なら痛みの崖がこれこれだ、それで国民は成るほど国会にこれじや出られないのだということがわかるわけです。全然そういうものを発表していないのです。そんなことは普通考えますれば何でもないようなことですが、容易ならんことですよ。総理大臣病気に対しまする実態ですね、病状というものに対しまして、ただ病気だと言つてそれで事を済まそうという、如何にもそれでは何と言いますか、国民というものを愚にした態度です。そういうことに対して、あなたは政務次官として当然今日においては政府において一番いい代表的な地位でおいでになつておるのですから、而もあなたがそれを知らないなどということじや、これは政務次官の見識にかかわる問題ですよ。そんなに総理大臣に対して、何と言いますか、無批判的に追従、従属した存在じやないと私は思う。その点もう一つ承わりたい。容易ならんことです。何にも発表していない。総理大臣病気というものに対して、これはもううつかりしておつたということであれば、それまでですけれども、まあその点を承わりたい。
  18. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お叱りをこうむりまして誠に恐縮に存じます。先ほどざつくばらんに承知しないので承知しないと申上げたのであります。只今内閣の適当なる政府委員に来て頂くように連絡いたしましたので、さよう御了承願いたいと存じます。
  19. 平林太一

    平林太一君 それじや私はこれで保留しておきます。
  20. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑ございませんか。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 一応国会開会中に支出決定したものを例外として、いろいろ説明されたのですが、この中で閣議決定したものはどれとどれですか。
  22. 柳澤英藏

    政府委員柳澤英藏君) お答えいたします。お手許に差上げております予備費使用調書説明のところにいつ決定したということが書いてあります。これを御覧願いたいのでありますが、十三頁にございますサン・パウロ市四百年祭参加に必要な経費千四百九十一万三千円ございます。これにつきましては十二月二十二日閣議決定を経ております。その次の近東パレスタイン難民救済計画に必要な経費、これにつきましては十二月二十九日閣議決定を経ております。二十七頁の航空機検査等件数増加に伴い必要な経費、これにつきましては十二月二十五日閣議決定を経ております。二十七頁に世界気象機関分担金の支払に必要な経費、これにつきましては十二月二十五日閣議決定を経ておるような次第であります。  それから二十七頁の車輌検査件数増加に伴い必要な経費、これにつきましても十二月二十五日、それからその次の海難審判件数増加に伴い必要な経費、これも十二月二十九日に閣議決定を経ておるような次第であります。それから次の船舶検査等件数増加に伴い必要な経費、これも十二月二十五日閣議決定を経ております。更にその次の和歌山水害による流木等の処理に必要な経費、これにつきましても同じような状態であります。それからその他マーカス島気象観測業務に必要な経費、それに帰還輸送に必要な経費等でございます。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 大体先ほど専門員並びに政府当局から一応予備費支出について国会開会中に生ずる例外、その他の事項について説明なり指摘があつたわけですが、改めてここで一応注意を喚起しておきたいことは、国会予算審議権を尊重するという立憲政治に基いて重夫なる事項に関する支出などは、国会開会中には支出しないと憲法においても確立しておるわけであります。こういう点について重大なる事項については、なかなか限界の問題が出て来ると思う。送いう点で一応従前このような決定を見ておるということを更に尊重せられて、国会開会中に支出決定する問題等については慎重な態度で取扱つてもらいたい、こういうふうに希望申上げます。
  24. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 今の岡委員の要請に対して御意見ありませんか。
  25. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今の御先言は誠に御尤もなる御発言でございまして、私ども従来ともでき得る限りの、この点に対する留意を払つて参つたつもりでありますが、今後ともなお一層御趣旨を体して運営いたして参りにいと存じます。
  26. 小林亦治

    委員長小林亦治君) では委員長からお聞きするのですが、昭和二十七年の四月五日の閣議決定で、比較的軽徴と認められる経費等を除いては、国公開会中は予備費使用は行わない、こういう政府原則閣議決定されてある。ところが局長政務次目憲法精神を尊重してとおつしやるのでが、それは逆になつているように思われる。というのは二十八年の八月の十四日の閣議決定では、国会開会中に予備費使用を行わないという制限を撤廃してしまつた、こういうことは逆なんであります。みずから長い間の憲法解釈従つて自立自戒して参つた規則を、殊更に閣議を開いて、それを撤廃する、こういうことは憲法の明文にはなかつたにしても、一つの確定的な慣習なんです。デモクラシーが発達するに従つて、それの慣習というものは、ますます政府が守らなければならないはずなんです。今おつしやるところによると、それらを守つておるのだと言うのですが、殊更それらを撤廃して政府の自由の枠を拡げておるということはどうかと思うのです。その点どうなんですか。
  27. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。私個人的には当時政府関係しておりませんでしたので、詳細なことは存じませんが、この問題につきまして、大蔵省説明を受けたところによりますと、今回の八月の改正による分におきましては、従来の分の、国会開会中は云々という問題については、その条項は外れましたけれども、それは予備費支出の当然の条理として、国庫予備金支出ごとにその態度で行くことは余りにも勿論のことのためにこれを外して、而も一面におきまして、八月十四日の閣議決定をおつしやるだろうと思いますが、これによりまして、第二項で災害対策予備費支出について、やはり規定をいたしております。この規定を置くに至りました前後のいきさつは、御承知のように、去年の六、七月台風による災害対策を当時国会でいろいろ御審議つておる最中であります。最中でありますが、併しどうしてもその議決を待つまでに至れないほんの応急的経費、中には応急復旧区別の困難なものもありますが、その中味を見ますと、応急復旧に要する費目を上げております。こういうものについては、どうしても御議決を待つことのできないような急務のものもある。そういうものを或る程度どうしても出して行かなければ事態に善処できない。こういうことの結果、この第二項の分ができたのであります。この第二項の分は或る意味から考えまして、軽微かと申しますと、決して軽微ではないが、去年の災害の大きな実情から考えますと、極めてその災害応急費のうちの、而もほんの一部分である、その意味から考えますと、極めて軽微と考えられる。従つてこの際、政府の立場としてはその災害に一日も手を拭いておるわけにも参りません。それでいわゆる融資その他の方面で善処し得ない場合、最少限度予備金を出して行く必要があるというので、この第二項を掲げました。今申しました従来の第二項にあります軽微な事項云々という事項を外したけれども、それは当然のこととして、個々予備金支出ごとにその態度で臨んで行く、こういう方針で改正したのだというふうに私も承わりまして、成るほど止むを得なかつたのかと感じておる次第でございます。
  28. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 災害の場合はともかく、一般予備費の場合も、この枠を外せば自由にできることになるのでしよう。不便だからとおつしやるが、その不便さがなければいけないので、政府予備金支出が便利では困るのです。憲法精神を尊重する、確定しておる財政慣習を尊重すると言いながら、なぜそういうことを殊更に外したのですか、その理由が明らかにされない、そういうことを政府が勝手に閣議決定とか或いは政令ではずして、そういつた答弁でお茶を濁すというなら、これは立法化して旧憲法六十九条がああいうふうに第一予備金、第二予備金というものをはつきりきめて、予算外の支出、或いは予見しがたいところの第二予備金ですか、それらのものをはつきりきめないと、これは非常に問題が起きた場合に政府の批難が強くなる、不便だからというふうなことは言訳にならんですよ。不便にしてあるのですから、その不便さをみずからとつたことがいけないと我々は言つておる、御答弁になつていないのですが、もつと研究してもらつて、これについて善処してもらうような御答弁がないと、本日のこの承認はできないと私は考えるのです。それでいいと政務次官もお思いですか。はずしたのはよくないんだ。そんなことを平気でいて政府がやるなら、それは旧憲法六十九条に副うように会計法の改正をやらなければならない。更に君らのほうから進言し、或いは意見を奉つて、そういう元の規則を生かすだけの誠意があるかどうか。勝手なものを勝手に、閣議権限はないかも知らんが、これは国会も輿論も承認しないものを削つて、そういう自律的な規則の枠がなくなつたからやりましたというのでは、これは通らない、どうなんですか。
  29. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 私は不便だから八月十四日の去年のこの改正を見たと申上げているのではないのでありまして、私の個人的な見解をそれでは失礼でございますけれども申上げさして頂きます。私の個人的な見解といたしましては、いわゆる去年の八月十四日のこの閣議決定はいわゆる第二項の書き方がまずかつたんじやないか、私をして言わしむるならば、むしろその従前の第二項にありますように、「国会開会中は前項の経費及び次に掲げる経費を除き予備費使用は行わない」という本文はこのままに置きまして、そうしてその次に一、二、三と列挙がしてございますが、この一、二、三のあとに、更にいわゆる改正後の第二項に掲げてありますような、こうした経費については、いわゆる災害応急処理に善処するために止むを得ず出したい、こういう閣議決定をしたほうが、最も適切じやなかつたかと私は個人的にかように存じます。そこで今後の方針といたしましては、御趣旨のように行くことは勿論でありますから、政府としてもこれについて今回の国会におきましても、皆様の御意見、御論議等を十分体しまして、適当なる方策を樹立して、今後臨むべきではないかとかように存ずる次第であります。昨年の問題といたしましては、私はこういうような改正をしたけれども、併し政府個々予備金支出に当つては、従前の第二項の本文にあるような趣旨は十分に体して審議しておつたんだという説明を聞いて、止むを得なかつたのかなとかように存じておると、こう申上げた次第でございます。
  30. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 衆議院でも若干問題になつたように聞いておるのですが、衆参の両委員会ともこれを撤廃したということについては面白くないんですよ。ですから今おつしやるように、そういう見識の下に復活させるというような抱負を持つてもらわんと、何か失敗した場合の批難が非常に強くなる、その点を御努力なさるように要請したいと思います。
  31. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 誠意を以て極力善処いたしたいと存じます。
  32. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか、御質疑はないようでございますから、御質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。
  33. 平林太一

    平林太一君 私のほうの総理病気の取扱い方に対しては、これは予備金支出問題に対していろいろ関連を持つわけですから、これは質疑は私のほうは保留してありますから、その取扱いは委員長はそういう何を汲まれて便宜取扱いをしてくれるように願いたいのです。
  34. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは五分ぐらいして官房長官が見えるそうですから、それを伺つてからお諮りすることにしましよう。  では、その前に御質疑があればどなたからでも……。
  35. 山田節男

    ○山田節男君 大蔵省にちよつと聞くのですが、この二十八年度の一般会計から災害対策予備金を約百二十億、百十億円ばかりやつておるのですが、これは昨年の六月、七月、それから九月の初めに第十三号台風、それから国会でも言われている問題だと思いますが、これは御承知のように、六月、七月の西の水害が起きて国会に特別委員会ができて、大野国務大臣が西日本、九州のほうに水害対策本部を設け、それから内閣の中にも特に緒方総理が本部長官となつて、水害対策本部というものを作つたのであります。この人件費というものは相当なものだと思います。大野伴睦氏のごときは向うに随分長くおつて、又更に一応こちらへ帰つて又向うへ行かれたのですが、それで向うでのああいう水害地ですから、非常に質素にやられるだろうと思いますが、いろいろ議員としては聞いているわけなんですね、そういつたような費用はどこで賄つておるのか、この項目の中で総理府から出るのか、その支出はどういうところにこの中では現われておるのですか、
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、使用調書の四十三頁にございます「西日本災害対策関係事務処理に必要な経費」といたしまして、百三十八万一千円を内閣官房において出しております、内訳は御覧の通りに、諸謝金、職員旅費、庁費、会議費というふうに分れておるのであります。    〔委員長退席、理事菊田七平君着席〕  現実に国務大臣その他がどの経費をお使いになつたかは、私どももとより承知をいたさないのでありまして、内閣官房には御承知のように、既定の予算等もございますので、まあ旅費等はここに予備金で出しましたものは、或いはその他の旅費等をお使いになつて、それぞれ現場の調査等に当られたものというふうに了解いたしております。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 このこういつたような災害ですね、殊に昨年の六月、七月の異常な水害、それから第十三号台風、国会にも特別委員会を設けて、そうして政府もしよつ中、例えば九州はもとよりでありますが、農民に対する、或いは漁民に対するつなぎ資金というものを出す、まあ当時政府としてはいろいろ無理をしてやつたわけですが、もとよりこれは緊急を要するので、あの場合も総額において幾らとか、これは大蔵省でわかつていることでありますが、あれほどの金を融通して、その前にどうしても予備金支出しなければならんという、緊急止むを得ないというのがここにあるまあ百十億何ぼ計上されておるわけでありますが、ああいうような異常な水害があつた場合に、予備費支出をし、同時に一般会計から特にああいう財政的な処圏をしたのですが、こういう場合に予備費として支出したものは、当然あとから出て来るいろいろな救済の、災害復旧のための各県別の割当が出たわけですから、そういつた場合に、予備費というものの性質というものが、必ずしもその先を見越して、国会でもそういう活動をしておるのですから、予備費で出さなくても、あとから出るであろう金で賄うということが私はできるのじやないかと思うのです。これは今の法規上、或いは大蔵省の処置として会計法上、そういうことができないのかどうか、その点を一つお聞きしたい。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。只今山田委員の御指摘の点は、既定予算或いはあとで出て来る厖大な災害対策費等で支弁できるような経費までも予備費で一々出しておるような事例があるじやないかというような御趣旨かと拝聴いたしたのでありますが、これはまさに仰せの通りでございまして、それぞれの役所の予算の経理ということは、常に大蔵省としては見ておる次第であります。比較的何と申しますか、大世帯のような役所でございますると、事務費等も比較的融通がつくわけでございまして、災害が起つた、すぐ調査に出掛けるというような場合におきましても、割合にこの既定予算を差繰つてやると、結局あとで足りない面も、全体として見るというようなこともできるわけでございますが、まあ内閣官傍のごときは比較的小さな世帯でございまして、職員の数も少く、又旅費等も比較的少いのでございます。そういうところへ大きな対策本部が設けられるということになりますと、どうしても先ず財源措置をいたさないと活動ができないということになりまするので、先ほど申したようなことも考えたのでございます。これらは私どもといたしまして、常に各省各庁の予算の経理実情を把握いたしまして、国会議決を願つた予算で間に合うものは先ずそれで間に合わすと、どうしても間に合わないような場合に止むを得ず最小限度見ると、こういうやり方をやつておるわけであります。従つて、そういうところは、あとで全体としての災害対策費が出るような場合に、その事務費等も併せて考える、これは補正予算等で国会議決を求めるような場合には併せて考えるというようなこともいたし、どこまでもやはり国会議決ということを最も重要な要件と考えておるのでありまして、予備費支出は飽くまでも必要最小限度の例外であると、こういう扱いをいたしておる次第でございます。
  39. 山田節男

    ○山田節男君 例えば二十八年の例の凍霜害が起きて、これは国会でも問題にして、緊急の対策を講ぜよということを言つたわけでありますが、これに対して四億八千五百五十五万円ですか、対策費を予備費として農林省が出しておるように報告になつておるわけでありますが、これは農林省でないとわからないかも知らんけれども、こういつたような五億に近いような予備費を凍霜害の対策として出すということは、この金額の細かい内容は要りませんけれども事務費と実際の凍霜害を受けたものに対する、この場合においては復旧費というよりかむしろ私は補償費用じやないかと思うのですが、この内訳ですね、この内訳を極く簡単でよろしゆうございますから、どういうものであるか、お示しを願いたい。
  40. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは五十五頁に大体の内訳が出ておるのでございますが、御指摘の点につきましては、先ほどお答え申上げたような方針で査定をいたしたのでございまして、先ず主体は、凍霜害対策費ということで四億八千五百五十五万円、そのうち最も大きな費目は、病虫害防除薬剤費補助金一億四千六百六万五千円、樹勢回復用肥料代金補助金、特効肥料でございますが、これが一億四千二百四万三千円、次に養蚕技術指導強化費補助金が五千八百四十万円、凍霜害農家営農資金利子補給補助金四千三百四十万円、蚕種代金等補助金が同じく四千三百三十三万三千円、その他蚕桑凍霜害対策特別講習委託費、これが三百万円、凍霜害調査試験研究費補助金九百三十万九千円その他となつております。この分といたしましては、農林本省の職員の旅費等は見ておらないのでございます。ただその下にございますように、蚕糸試験場というのがございまして、ここには若干の庁費及び賃金を見ておるのでございますが、これは先ほど御説明申上げましたような現場の機構でございますると同時に、世帯も比較的小そうございまして、而も今度この試験場に与えられました仕事が相当大きかつたものでございまするから、必要なる庁費、賃金をこの予備金で出しまして、その使命の達成に遺憾なきを期した次第でございます。
  41. 菊田七平

    ○理事(菊田七平君) 御質問ございませんか。福永官房長官が参りました。
  42. 平林太一

    平林太一君 今官房長官福永君おいでになりましたので、ちよつとお伺いしたいのですが、昭和二十八年度一般会計予備費予算が三十億円でありますことは御承知通りでありますが、このうち八億二千九百五十余万円を昭和二十八年四月二十五日から同年十二月二十八日までの間において使用したしたということでありまして、これは殆んどかかつて責任のあることと思います。同時にこの予備費の使途につきましては、戦争当時のことを回顧することは甚だ喜ぶべきことではないが、この予備費というものが、当時如何に国家の方向に対して非常な結果において禍いを来したかということは、福永君よく御承知のことだと思います。又そういうふうにこれは政府の独断によつて使用されやすい傾向が非常に濃厚である。今日の時代におきましては、相当政治意図を持つてこれが使用されるということも、これはあり得ることなんです。従つて、これを通じて予備費に対しまする厳粛な使用というものを確立しておかなければ困るわけなんです。そういう意味で、この際予備費に対する、今政府使用いたしております、又今日までいたして参りましたことに対しまする詳細な説明を求めたい。これで一応おわかりと思います。  それよりも遥かにここで第一にお尋ねしたいことは、首相吉田君が今期国会中殆んど、我々の常識から以ていたしますれば、総理大臣国会開会中の出席率が極めて数字的に僅少である、僅かしか来ていないというようなことは、恐らく私を以ていたしますれば、終戦前の各内閣においては稀れのことなんですが、併しながら、終戦後におきましては吉田内閣というものが殆んど大半を費しておつた従つて、明治政府時代におきましても、こういう前例は殆んどないことです。これに対しては、今日たた出場の習慣と申しますか、物事をいわゆる正を正として邪を邪として究明しないという滔々たる国家の惰性によつて吉田君自体の国会出席するということが、何かその中にぽかされて、そして極めてこれが軽く取扱われておる、このことですが、そういう事態はすでに昨日の参議院の予算委員会における運び方の実情を見てもおわかりのわけなんです。昨日三十一日を以て上らなかつた。これはどこに責任があるか。これは皆総理大臣吉田君自体が出席していなかつたということが最大の原因なんです。これは又、そういうことであるべきことなんです。それだから私は、福永君はこれに対するこれこれであるという御理由を十分にこの際御発表を願わなくちやならない。それからその次には、ただ今日まで病気々々と言つておるが、病気は、国会出席できないというのだから、できないというところの病状というものはどの程度であるか。どの程度であるかということは、医学的にこれは立証されなくちやならんわけです。例えば発熱何度である、脈榑が幾らであるとか、それから神経痛の痛みがあるのであれば、医学的に神経痛なんというものは何人にも今日あるのです。私は国会に出ておる人の中にも多数神経痛の人はあると思う。神経痛というものは、一つの惰性的の病気である。そういうものを押して出席して事欠かない人も多数あるわけなんです。ただ神経痛じや困るのです。国会に出て来られないという限度がおのずからあるわけなんです。そういうものが全然今日まで発表されておらない。これは国民ひとしく非常な奇異の感に打たれておる。のみならず非常に困ることは、こういう事態がある。一般の善良な国民というものは、さすがに吉田さんという人は偉い人だと、国会まで自分の自由によつて気分の悪いときには行かないのだと、吉田というのは国会以上に、国会すらもうなんでもなく思つておるのだ、偉い人なんだと、こういうような滔々たる世論、何と言いますか、一般の民情にそういうものを起さしめる。これは我々国会責任なんだ。そういうふうになつたら、どえらいことになる、そういうことを当然のこととするようなことだと……。吉田君という人は実はそのくらいのことは平気でやる人なのである。だから福永君は、そういうことを物理学的に、或いは医学的にここで立証されたい、又病気以来の毎日の経過というものは、当然あなたのお手許にあるのだから、今日は休んでおられるが、この前は風邪だと言つてつた。今度又神経痛だと言つておる。毎日の病状日誌というものがおありでしようから、これは会議録にとどめなければならん。一々毎日の病状日誌をここで承わりたいと思う。これは重大な問題である。予算も流れてしまう。流れるということは、一日この通り延びちやつたわけですから、ここにおいて私は非常な責任問題が起ると思う。それを明確にしなければ、この予備費に対するこういう問題に対しては、吉田総理大臣責任においてこれは行わしめるように相成つておるのですから、その内容については我々としては十分に究明しなければならん、こういうことなんです。御答弁を承わりたい。
  43. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 予備費支出を厳正に行わなければならないという点と関連いたしまして、只今平林先先からいろいろと御注意がございましたのでございますが、もとより政府におきましては、そうした精神をよく服膺いたしまして処理しなければならない次第でございます。過去においてもさような考え方の下に善処いたしておるわけでございます。法律の定むるところによりまして大蔵大臣予備費は管理いたしておりまするので、詳細はむしろ大蔵当局から申上げることにいたします。これによつて御了承を頂きたいと存じます。  なお、これと関連いたしまして、総理大臣病気出席していないということで、只今いろいろお話を伺つたわけでございますが、総理大臣は決して国会を軽視しておるわけではない次第でございまして、できるだけ出席いたしまして諸般の質疑等にお答えすべきことは、当然でございます。本人ももとよりさようの心組でおるわけでございますが、これはまあ医学的に云々と言われますと、私医者ではございませんので、ちよつとどうもその表現、なかなか医者のように正確な表現はもとよりできないわけでございますが、相当猛烈な神経痛をやつております。前々から一日も早く、一刻も早く出たいという気持でおりましたために、まあ本人ももう二、三日も経てば出られるかというようなことを幾たびか申して、だんだん延びて参りましたことにつきましては、どうも言つていたことの通り行かないじやないかというような印象を与えておりますことは、これは遺憾に存じますが、こえはもとより少しでも早く出たいということから起りまする、一寸刻みに、何日間ぐらい休まして頂けば出られるであろうというようなこと、又医者のほうにおきましても、なんとか早く出られるようにしたいというようなことで、そういう一寸刻みのことが重つた次第でございます。現状におきまして、今日も電話で容態等も私聞いておるのでございますが、もう余り日数を経ずして是非出たいというように強く本人も念願しており、医者ももうあと僅かで出られるように是非したいものだというような考えで努力をいたしておるようなわけでございます。まあ神経痛という症状でございますので、脈榑が幾らとか血圧が幾らというような報告を私は毎日受けておるわけではございません。ございませんが、決して国会を軽視しサボつて出て来ないというような状況ではないのでございます。まさしく国会出席することが困難なような状況で今日まで推移して参つたわけでございます。前回は風邪でございましたが、今回は神経痛でございまして医者の話では前の風邪の影響もあつて今度の神経痛を来したのではないかというような見方もいたしておるわけでございます。さようなことはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、現実に相当日数国会に出られなくておりますということは非常に遺憾な次第でございまして、療養に専心これ努めまして、一刻も早く国会に出て来ることに本人も努めるようにもいたしておりまするし、又医者その他の関係のものもそういう心組みで、できるだけ速かに出て参りまして今まで休みましたことについてのとり返しもしなければならんと、私ども周囲のものも考えておるような次第で、御了承願いたいと思います。
  44. 平林太一

    平林太一君 只今福永君からのそれは官房長官としてのいわゆる職務上の御答弁としては極めて誠実な御答弁だと思いますが、併し私のほうでこの際質したいと思いますことは、そういう何か観念的な或いは愛情的な情愛的なものではない。こういう問題につきましては、総理大臣の職責というものは、それによつて片付けられるべきものではない。個人の病気の場合におきましては、病気というものに対してはそういう考えでよろしいのですが、総理国会出席しないということ、病気に対する取扱い方というものは私はそういうふうに考えるべきものではない。同時に只今国会を軽視する私のほうからするならば、吉田君が国会を軽視しておるとは一度も言つておりません。非常にこれは何と申しますか、国会を軽視するというようなことは政府の当事者としてはそういうことは口にすべきものじやない。そういう限界、つまり総理国会との関係というものは、さようにこれはあなたのほうから国会を軽視するのだというような、そういう関係のものじやない。国会総理大臣というものは指名したものだ。国の行政をさせるためにいわゆる番頭手代として吉田茂君という総理大臣を指名しておるのである。その番頭手代たるものが主人公たる国会に対しまして軽視するのだということは、そういうことは言葉の上でも成立たないものだ。誰が軽視するのか、いわゆる番頭が主人を軽視するというようなことは世の中にあり得ることではないわけだ。そういうものなら直ぐやめさせるという二とば当り前のことですから、そういう関係ではありません。国会に認められた吉田総理にいやしくも国会が軽視されるというようなことは私は毫末も考えておりません。そういう意味で今日の病気に対することを申上げておるわけではない。ただ事によると、ああいうような吉田という人は性格の人ですから、軽視ではない、いわゆる驕慢不遜です。人を人と思わない、そういう性格が、国会に対しましてもそういう態度をするということが、病気程度がどの程度かということがおのずからそこに立証されなければ、それがいわゆる本人が国会に来ないということを、そういう自分の性格的なものから来ないのだということを、私どもはこの際よく究明しておかなければ困るからお尋ねしておるわけです。さてそれであるならば、これはいわゆる医者の病状日誌というものが必ずあるわけです。それを官房長官としては、少くとも今回の神経痛だけではない。前回におきましても風邪だと言つて十数日間国会を休んでおる。それならその日その日の病状というものは大磯のいわゆる吉田私邸からあなたの手許にとつて来なければならん、記録として……。そうしてこれは国会審議に重要な資料としてこれが立証されなくちやならんわけです。今後もそういうことでなくて、ただ病気だと言つて国会に来ないということであれば、これは総理のそういうような我儘な行為というものが、何ら秩序規制がなく、それが行われて行くということになるならば重大な問題です。ですからこれは恐らく前の風邪を引かれたというとき以来から今日までの毎日の病状に対する医学的な、今日は脈搏幾ら熱が幾らあつてこうだということになれば、それによつて世間の常識から成るほどこれだけの高さの熱なら国会に出られないということを承認し、首肯するわけです。神経痛といつても神経痛の痛みがおのずから医学的に立証される、一つの医師としての診断を発表される、立証するところの一つの記録というものがおのずからあるわけです。そういうものをあなたはお取りになつていないのかおるのか、そういう点を一つ明らかにいたしたい。これは遡つてこの前の風邪だといつてお休みになられたときの数日間も、この際、決算委員会ですからそういうことも当然併せて、一つその点に対する御答弁を承わりたい。
  45. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 病床日誌といつたようなものを取つてはおりませんが、医者からは、できるだけ総理病状等につきまして、いろいろ報告を受けるようにしなければならない次第でございます。必ずしも毎日正確というわけではございませんが、大体の経過につきましては、常に医者と連絡を取つてつたわけでございます。ただ只今指摘のように更に一層医者との連絡を密にして、病状等についてより明らかにするようにということにつきましては、只今のお言葉を服膺いたしまして、今後そういうように更に努めたいと存ずる次第でございます。先ほども申上げましたように、体温とか脈搏とか或いは血圧とか、そういうようなことを報告させまして、それによつて判断するというような種類病状のようには、私どもはこれは素人考えではございますけれども、神経痛の場合、そういうようにも思いませんので、そうした意味での数字的のチーターというようなものを一々報告を受けてはいないわけでございますが併しさりとて病状について関心が薄いというわけでは毛頭ございません。今後一層気を付けたい所存でございます。
  46. 平林太一

    平林太一君 それは非常に福永君の苦衷はよく拝察ができるわけであります。併し私は吉田君の人となり、性格から行けば、官房長官に対して、あなたのような侍従が、そういうことを本人に、吉田君自体にそういうところまで打ち込んだ、国会に対して病気状況を報告するということは、これはお言いになれないのじやないかと思う。それだからなおこのことを心配するわけなんです。国会の意思だということで本人に反省せしめなくちやいけない、こういうことを言つておるのです。そこで今のお話から言いますというと、病状日誌というものもないのだというようなことであり、そういうことは発表できないのだ、何か自然にあなたのほうでも今おのずから話を申上げるに至つたように、あなた自体も漠然として、誇大に申上げれば驚いたのです。そういうことを私は非常にお互いに国のために、こういうことをよく明らかにしておかなければならんのだから申上げるわけですが、そういう今お話のように何か漠然とした病気だというようなことであれば、実際は国会に出られないという病気状態ではない。これは実は自然に立証せられるわけです。そういうものが病院に入つていれば、必ず看護婦というものが、毎日病床日誌を、熱が幾らあり、これこれこうだということが、毎日出ておるわけです。私は恐らく大磯の私邸には看護婦もおるでしようから、毎日何は素人がやつておるわけではないでしよう。素人がやつておる程度では病気ではないのですから。いわゆる国会に対する本人の気まかせで、国会に出て来たいときには出て来る。気分が自分がすぐれないときには出て来ないのではいかんのです。こういうことになると、これは改めてこの際非常にあなたも怠慢である、総理大臣国会出席しないということに対して、病気の取扱い、つまり国会に出られないという病状に対する取扱いということが、あなたは私設の秘書官ではないのです。官房長官なんですから、吉田首相の何か私的の一つの存在じやないわけです。一つの国家の行政機構としての総理大臣に対する官房長官なんですから、それはあなたはやはり国民の側の、国民のいわゆる行政の行為を行う官房長官だから、或る場合には総理大臣に相対決してその是非というものを、その職務を果さなければならんと思う。それだから官房長官という制度があるわけです。そういうことはいわゆるただ大磯の吉田邸へ行つて、あなたが官房長官だということは何か地位にあります。私設秘書のようなことでは、それは困るわけでは。あなたの地位というものは遙かにそれより高いのですから。それでありますれば、あなたは大磯に行つて総理の様子を見て、この程度なら本人のやつぱり怠慢で今日は国会に行かんのだ、それからこの程度ならば、実際に国会に出られないという病状だということは、あなた自体も今後頭に置いてお考えにならんと困るのです。そういう意味におきますれば、当然今日までの病気の経過というもののを、前回の風邪を引いたときの病気の経過及び今日までの休んでおります十数日に及んでおる、而も結果におきましては、参議院の予算というものは昨日あのような状態なつた。これは衆議院が先議で当然その効力の発生というものは時間的に解決する、併しそういうことは昔でありますれば、貴族院がこういう行為に出ますれば、内閣というものは政治上のいわゆる責任において当然辞職すべきものですよ。それが憲法というもののいわゆる憲政政治というものが、そこに確立するわけなんです。だけれどもこれは総辞職するしないの問題は今後の問題でしよう。良心があれば当然しなくちやならんし、又遠因するところに種々理由はあるのですが、昨日の状態では恐らく総理大臣自体が予算委員会出席しておれば、或いは否決になつたかそれは議決されたかは別個の問題だが、ああいう事態は起きなかつたわけで、だから病気というものに対しては、最終的に今日はいわゆる総理自身の病気に対する取扱い方というものは、この際明確に究明して、そしてその趣意を明らかにして頂かなければならん。それだからこのことを申上げておくことに相成るわけですが、それだから従つて具体的のこととしては一つ前回の、今申上げた通り病気に対する毎日々々の日誌がありましようから、それを一つお出しを願いたい。これからのことは一つそういうようなことにいたしましよう。何ら具体的のものは今の御答弁には何もないのです。これは一つ至急大磯へあなたのほうからおいでになられて、連絡を取つて、そうして今期国会中における今申上げた通り欠席をいたしておりました毎日の病状のいわゆる現状というものを発表せられたい、お出しになられたい。これは決算委員長の許へお届けを願いたい。私どもへ出せとまでは申上げません。そこで今申上げておきますことは、今後どの程度に休まれるか、国会へ出て来られないか、会期はまだ五月十日なり十五日まであるわけです。ですからそれは即日、明日からでも駐日官房長官からは少くとも国会の両院の議長の手許までは、その日の病状というものを、いわゆる昨日の病状を今日でいいでしよう、昨日はこれこれでしたということでなされなくては困ることなんです。かようなことが許されるなんということはあり得ないわけです。如何に自由党が数を以てやろうとしたつて、そういうことは国民的な常識によつてしてはならないことなんです。この点に対しまして福永君はどうお考えになりますか。
  47. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 総理病気が漠然としたものではもとよりないわけでございます。ただ私が申上げますことは、神経痛というような性質の病気はなかなか素人にはちよつと見たところではよくわからないわけでございます。従いまして私が総理の顔色、態度を見ただけで的確にどうこうというようなことは、なかなか素人としてはそういう点に客観的な判断をすることは困難でございます。だが併し今まで出て来ることが困難ということにつきましては、医者の話も聞き、本人の話も聞きまして、私は全く困難であつたと思つておるわけでございます。病床日誌のことはないということを私申上げたのではございません。私が毎日そういうものを報告を受けておるわけでございませんと申上げたわけでございます。ただこの点につきましては、医者から大体必ずしも毎日でなくても、大体の見たところ何日くらいは無理だとか、現在のところどうだというような連絡は受けておるわけでございます。毎日ではございませんが、議長の手許、又そのときどきの事情によりまして運営委員長その他にもできるだけ連絡をいたすことに私はいたしておるわけでございます。ただどうも只今平林先生のお話で、決算委員会へ病床日誌を出せとおつしやるのでございますが、私これは一つ研究さして頂きたいと思います。それは医者がどう申しますか、問題の性質上ちよつと私どものほうでも研究さして頂きたい。おつしやる意味はよくわかります。そういうふうにして厳正にもとよりできるだけ国会によく努めるようにしろという意味で、御趣旨はよくわかりますので、その線に副つて善処いたしたいと思いますが、いろいろ関連することもございますのでよく研究さして頂きたいと思います。
  48. 平林太一

    平林太一君 それは今の御答弁に対しては私もこれはできるだけ寛大に、あなたのお心持を了承して、苦衷もあることを察するわけですから、ただそのことを私のほうで了承いたします。併しこれは良心的に何かそういうことであなたのほうから何かしたからということではなくて、官房長官としては職務を誠実に遂行すること、それから先刻申上げた通り官房長官というものは公的の性格において、総理大臣に従属、隷属した、何事もただ総理大臣の個人的なものにまで隷属したという機関ではないんだ、そういうことにさしたくないということを私は今後とも心配するからそういうことを申上げるわけなんです。それを一つ福永君御自体の対吉田君との個人関係はよくわかるんです。併し官房長官という一つのいわゆる公職ですね、公的な性格というものは、あなたの体は半分は国民の体なんであり、半分は総理大臣の体かも知れない、或いは六分七分は国民の体であるべきものなんです。私の申上げるのは、その点を一つこういう機会に考慮してもらいたい。そうすればおのずから吉田首相に対しても、あなたがいやまあ一つどうです、この程度じやおいでになつたほうがいいでしよう、国会へ。こういうことをあなたに言わしめたい。ああいう人の人柄に対しては、或るときには、いわゆる両方色をなして国会出席するしないということは争うくらいまでに、今日の私は吉田君という人の性格からみれば、あなたの御職務ということはそのくらいのなにを持つべきだと思います。併し今日までの状況ではそういうものは亳末もない。あそこへ行つて、ただ向うの、それどころか、機嫌がいいときは非常になにして、機嫌の悪いときは来ないんだというようなことが多分にあると思う。それを私は官房長官というものはそういうような卑屈なものにしたくないのです。それは今後の事例にもなりますから、それだから、取りあえず一つどういうふうに、向うはそういうことは仕方がないことだから、あなたはおやりになるに少し苦痛かも知れません。これは自発的に明日からは両院議長、過去のことは私は決算委員長に申上げておきますが、明日以後のことは、両院議長に対して毎日前日の病状の経過というものを、いわゆる医学的に立証したものを毎日お届けになり、休んでおる間はこれは当然すべきだと思います。かようなことが許されるというようなことは、これは今日の我が国会のこういうときには……国会の権威のあるときにそういうことは申しません。いわゆる国会と対行政立法の両機関の性格から言つて当然これはいたすべきことである。こちらから要求がなくてもこれは行政の、行政府としては、そういうことを国会へいわゆる手続きして行くことに、これはいたすべきものである、こういうふうに深くそういうことを思うので申上げるので、今日それを私どもから、あなたはこれ以上つきつめて、じやあ明日から出すとか出さんとかということは、ちよつと今日では、私のほうでも、あなたのほうでも御苦衷がありましようからそのことは申上げておきませんが、当然明日から、明日の休みは病状というものは明後日早朝に両院議長にお出しになり、その神経痛は今のお話から申上げますれば、何か医学的にそれを明確にすることはできないというお話ですが、これはこの間何か副総理から緒方君からのお話だと、丹波篠山からこの前名医をお呼びになつたということなら、ただ揉んだりさすつたりするわけじやありますまい。そんな馬鹿げた名医がありつこない。医学的に注射を一日に何本した、効果はどういうふうに現われた、これはおのずから現われるわけなんですから、それを明後日から一つお出しになることを、この際要求いたしておきます。
  49. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 明確云々ということは、決して私医学的に明確ではないという意味で申上げたのでございませんので、平林先生のほうから官房長官として文句を言わんかというような意味でおつしやいましたので、なかなかどうも素人の私どもでは病状そのものについて医者と同じような的確な客観的な判定ということが困難でありまするという意味で申上げた次第でございます。この点は御了承頂きたいと思います。いろいろ御鞭撻を頂きまして非常に恐縮に存じます。決して私も卑屈であるとは思いませんが、御注意を頂きました点は気を付けたいと存じます。平林さんの表現の言葉を借りて申上げますならば、良心的に誠実に相勤めたいと存ずる次第でございます。  なお、これは私どもがどうでございますということでは、客観的に意味のないことなのでございます。できるだけ医者から頻繁に且つ詳細に報告等を受けまして、両院のほうへも連絡することに努めたいと存じます。そのときの事情によりまして、医者がずつとついている日もありますし、或いは状況で一日くらい間を置くというようなこともあり得ると思いますが、その日その日によつて若干事情は異なると思いますが、只今お話精神に従いまして、できるだけ両院へも連絡を密にいたしたいと存じます。
  50. 山田節男

    ○山田節男君 只今平林委員からもいろいろ御質問や御意見が出ましたが、これは今の吉田総理の御容態が悪い、これは本当かも知れない。併し第二次吉田内閣ができて以来五年有半になるけれども吉田総理国会に出ることを非常に億劫がられるということは、これは事実であります。第何国会であるか忘れましたが、増田君が官房長官をしているとき、丁度十二月の上旬で、いろいろ忙しい国会のさい中どうしても出て来ない、病気だと、そうして夕刊を見ると吉田総理か銀座でクリスマスの買物をお嬢さんとやつている写真が出たことがある。病気か、さもなくんば渉外事務でマツカーサ治司令部に行く、この二つの理由になつている。とにかく国会出席することが非常に、何といいますか、我が儘なんです。一国の総理として国会に当然出て来て、これは答弁もし又説明もするのが今日の総理の当然の任務なんです。それをやらないというところに今日衆・参両院を問わず、国会としては吉田総理は非常に我が儘だ、ワンマンだと、こういう定評があるのです。でありますから、今あなたが吉田総理容態を言われても、それは嘘だろう、こういうことになつて来る。これはもう過去にそういうことが重なつていたために、どうもそういうことは、これはしようがない。イソツプ物語にも狼が出る、狼が出ると、嘘ばつかりいつていると、本当に狼が出たときにもあれは嘘だろうと、今平林君が言われたように、病床日誌を出しても、これは福永官房長官がごまかしのために出したんだ、こうなつて来る。それですから国会に、吉田総理が寝ているという証明にならない。過去六年に亘つて吉田総理国会に対する態度を見れば、これは明らかに国会軽視であり、誠意を持たない我が儘だということはいわれてもしようがない。官房長官としてはこうして予算の問題もいよいよ最後の段階になつた。併しながら重要法案が更に今後、参議院におきましては、これから本審査に入る。当委員会といたしましても、我々二十六年、二十七年の会計検査院の決算の報告を聞きまして、今我々審議しているのです。そうすると、吉田内閣の政策の重要なものの一つとして綱紀粛正ということをいつているにかかわらず、我々こうした会計検査の報告書を土台として、各省からの政府委員を呼んで調査してみると、もう年々会計検査院が指摘する批難事項というのは非常に多いわけなんです。こういうことは吉田内閣が政策として掲げていることと決算報告を見ると逆な方向に行つている。こういう点に関しても決算委員会としては吉田総理に対していろいろ究明しなくちやならんし、吉田総理も進んでここへ来ていろいろ説明もし、責任のあることを私は十分吉田総理として言明しなくちやならんと思う。で、差当つて今日ここに二十八年度の一般会計並びに特別会計の予備費の問題、国会の承認を与えるかどうかというところに来ているわけなんです。併し今政務次官が見えておつて、たまたま吉田総理国会に出られない理由を究明するということで、ここで停滞しておるわけです。これは何としても、決算委員会としても、吉田総理が出て来られて、内閣の首班としてこの問題に対する究明をしなくちやならんと思うのでありますから、福永官房長官として、今週は出られないから、来週の月曜からは出るとか、大体の目安があると思うのであります。若しあなたのおつしやつたような、大変よくなつて来たと言われるのですが、土曜日から出るのか或いは月曜日から出られるのか、これは決算委員会としても、議事の日程を計画する上においても、吉田総理がいつ大体確実に出られるという目安がなければならない。この予備費の承認にいたしましても、その他の重要な案件にいたしましても片付かない。ですから福永官房長官の御判断、或いは総理御自身の、来週の月曜は出る、或いは明後日から出るという、そういう見通しはどういうものですか。この点を一つお知らせを願いたい。
  51. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 今御注意を頂きましたことにつきましてはよく善処するように努めなければならんと存じますが、的確に何日頃から出て来られるかというようなことにつきましては、ちよつと、私も……。先ほども申上げましたように、だんだんいいと言つておりまするから、もう余り長く休むということはなかろうと期待しております。ただ何日には出て参りますということはちよつと……。申上げて又間違つても何でございますので、殊に又医者とはちよつと立場が違いますので、余り見当を申上げまして間違いましても恐縮に存じますから、これはまあ一つ御勘弁頂きたいと思いますが、いずれにいたしましても、そう長くはないように思います。来週あたりは出られそうに私は確かに思いますが、こう申上げて若干それに狂い等が生じますと、違つたことを言つたというのでお叱りを受けるかも知れませんが、これは本当の私の見当でございますので、そういう意味でお聞きを頂きたいと思いますが、そんなにもうあと長く休むということはなさそうに私は考えておりますので、非常に漠然としたことで恐縮でございますが、御了承を頂きたい。
  52. 山田節男

    ○山田節男君 それは官房長官として責任ある御発言としてはとれないと思う。これは参議院の議運でも、過日この問題についてはあなた並びに緒方総理に対しているく質問もあり、答弁もあつたのでありますが、そんなことではこの国会の議事の進行として、総理大臣責任を持つべき段階に、いつ来るかも知れないということであれば、国会審議はそれだけ遅れる。過日カナダの首相が来たときは、吉田さんお元気で、間もなくリユーマチになつた。これは老体だからそういうことも考えられますが、先ほどから申上げておりますように、どうも吉田総理国会に出ることを億劫がられておる。国会議員全部がそう印象ずけられておる。本当に容態が悪いにしても国会はそれを信じない。これは吉田さんの罪ですから、官房長官としたら、もう大分暖かくなつたのでありますから、少くとも来週の月曜日から無理しても引張つて来るということぐらいのことは言明しなければ、今の政局は自由党にとつては、吉田内閣は断末魔的なことになつて、而もあなた御存じかどうか知らんけれども、外国からのいろいろ何があつて、いろいろ我々情報を得ておる。吉田総理が出て来ないということは、私から言うならば吉田は出て来られない、そういうような客観的な情勢から、我々判断して吉田さんというものがやはり国会を軽視して出て来ないのだ、併しそれじや審議が進まない。でありますから、官房長官としてはもうそれほど容態がいいのなら、来週の月曜日までは九分九厘までは引張つて行きますということを言わないと、これたけの言明ができないと官房長官としての職責が勤まらない。あなた、何のために大磯へ行つたりしているのだ。官房長官の職務を行うということができない。側近で茶坊主みたいなことをやつておるのでは、国会の連絡係としての任務が果せない。二十年も国会におるのでありますから……、来週は九分九厘まで無理でも私は参議院へ連れて参りますというくらいのことを言わなければ、何のために我々貴重な時間を一時間半に亘つて、あなたをここへ迎えて質疑をするということの意味をなさないと思う。それではあなた自身が国会を無視したということになる。吉田さんの病気があなたにまで移つて来たということになる。だからあなたが吉田さんの気に入つておるということになる。これは非常に遺憾なことである。少くとも責任のある官房長官としてはただそれだけの御答弁でもつて済ますということは、国会議員を侮辱したものと言わざるを得ない。もう少し具体的にはつきりとおつしやらないと我々了承できない。この点如何です。
  53. 福永健司

    政府委員(福永健司君) カナダの総理大臣のサンローラン氏が参りましたときに、只今お話のごとく元気で迎えに行つたり、いろいろなことをしておりました。ただサンローラン氏の滞在中に大使館で招待がありました時に、夜出まして、その時に非常に神経痛がひどくなりまして、その会の途中で、非常に失礼なことでありましたが、そういうことは今まで殆んどしたことがない吉田総理でありますが、途中で失礼して帰つて参りました。あと寝込んでおりましたような状況でございまして、そんな次第で、只今お話のごとく確かにサンローラン氏の参りました時も初めのうち非常に元気でいろいろ応対等もいたしておりましたわけでございまするが、併しそれから間もなく神経痛に悩まされるということになつたわけでございます。なお九分九厘までは、何日までには連れて来ると言えとおつしやるわけでございますが、どうも病人のことでございますので、私まあ官房長官という立場は、もとよりこういうようなことにつきましても、でぎるだけ的確に見当をつけなきやならないのはもとよりでございますが、まあ九分九厘とまでは申上げがたいことでございますが、先刻申上げましたように、そうもう長くは休まないだろうと思いまするし、私どもできるだけ速かに出て来られるように努力をしなければならんと思います。今までも随分無理でも出てもらえないかというようなことを勿論言つておるのでございます。いろいろ皆さんからの御注意等もございますので、今後一層今のお話のような点につきましては気を付けて善処いたしたいと、こう思つております。
  54. 山田節男

    ○山田節男君 これは議事進行ですが、今議題になつているこの二十八年度の一般会計それから特別会計の予備費支出の問題に対して承認を与えるかどうかという問題、これは先ほど政府責任者を呼んで吉田総理の御病態を究明してからきめたいとこういうように平林君からも御発言があつたようです。これは一つ、今福永官房長官が言われるような吉田総理の病態である、間もなくもう出られるだろうと、かような御意見なんですが、これをどういうように扱うか、一応一つ委員にお諮り願つて、これはまあ採決でやるか或いは採決しなくても、今の福永官房長官の言われることを、我々だまされるかも知れんけれども、併しこれは我々としてはもう誠実な言葉であるとして、これをどうするかというように一つお諮りを願つて、何もこれは我我は意地悪くするのじやないので、成るべく早く議事を進行さして、たくさんの問題があるのですから、一応一つ委員長からお諮り願つて、どうするかということをおきめ願いたいと思います。
  55. 菊田七平

    ○理事(菊田七平君) 只今の山田委員からのお話、如何取計らつたものでしようか
  56. 奥むめお

    ○奥むめお君 私はこの昭和二十九年度の予算審議の過程を通して見ましても、或いはその前のいろいろなでき事から考えましても、まあ吉田内閣は五年も続いております間に、やはり惰性的に国会審議権というものを軽んずる傾向が随分著しいものがあると思うのです。ですから予備費の今度の問題を認めるか認めないかというようなことを、これは閣議で枠を拡げて、そうして自由にできるようにしたということ、そのことからやはり根本に問題があるように考えますので、今日ここで承認するかどうかということをきめるよりも、一応来週まで延ばせば責任ある吉田総理が出ていらつしやるとしたならば、決算としてはこういう重大な問題をきめることはちよつと待ちたい、こういう意見を申上げておきます。
  57. 平林太一

    平林太一君 これは同感ですね。その理由は、昨年八月の閣議決定において、これは具体的に国会予算審議権主無視するという態度政府が出て来た事例ですね、これに対しては二十八年度のこの予備費に対しまする取扱い、これが将来のいわゆる一つの前例になるのですから、この第一回にこういう行為をいたした予備費の使途、政府のいたしたこの予備費に対する取扱い、こういうものはこの際やはり首尾を明確にしなくちやならんと思うのです。従いましてこれに対する承認というものは、今日早急を以ていたすべきものじやないということを申上げておきます。
  58. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今日は小林委員長もおられないようでありますし、今の取扱いにつきましては、理事会を開きましてきめて、この次に持越したら如何かと考えます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 菊田七平

    ○理事(菊田七平君) それじやあ今長谷山先生がおつしやいましたように、今日は小林委員長もおられませんから、この次の理事会に諮りましてからにいたしまして、今日はこの程度でとめておきます。
  60. 島村軍次

    ○島村軍次君 予備費の承認の問題はそれで結構だと思うのですが、幸い官房長官がお見えになつておりますが、決算の審査に当りましては、従来の慣例から言うと、各省ごとに主として局長がお出になるのがせいぜいだという程度です。勿論問題によつてはそれで、会計検査院の説明とそれから局長説明によつて了承し得るものもあるわけであります。ところが只今どなたかが御発言なつたように、引続きの決算を審査いたしておりますというと、不当不正の支出が累年激増しておる。これに関しては、承認の場合に委員会は勿論本会議において相当の警告を発して来たのでありますが、どうも昭和二十四年度の警告を発し、二十五年度の警告を発したにかかわらず、二十六年、二十七年と漸次に激増しておるばかりでなく、今回の決算審議に当つて国家予算使用に関しては、国会としては相当皆さん御不満があるということが、今日の発言の一角とも私は認めることができると思う。そこで結局、主務官庁である各省がこれらに関して十分な注意をせねばならんということは勿論でありますが、これは内閣全体として、すでにたびたび声明しておられるいわゆる綱紀粛正にも重大な関係を持つことであつて、本日平林委員から総理大臣病状について御質疑のあつたのも、そういうところから出ておるのであろうと私は推察いたしたのであります。従つて内閣全体として、この経費支出、決算の情勢から見た今後の国費の使用に対するはつきりした御観望及び御意見等もこの際官房長官を通じて、若しそれが無意味であれば、総理大臣出席を求めても、その点は千分に質しておきたいという気持にほかならぬと思うのであります。この点に対して官房長官の御所見なり御意見を承わつておきたいと思います。
  61. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 只今予備費のみならず、一般国費の支出に関連してのお話もあつたように拝聴いたしますが、政府といたしましては、もとより不正なる支出があつてはならない、又不当なるものもあつてはならないわけでございまして、その精神を以て終始努力しなければならないわけでございます。吉田内閣も御承知のごとく、しばしば綱紀粛正を強調いたして参つておるわけでございます。にもかかわらず、まあ一部には遺憾なことも過去において起つているということは非常に遺憾な次第でございますが、予備費使用は申すに及ばず、一般国費の使用につきましては、これを極めて厳正に、正当且つ妥当な方途において行われなければならんと存ずるわけでございます。吉田総理もこの点につきましては、非常にやかましく常に言つておる次第でございまして、各省におきましても、その精神を以て終始しなければならんわけでございます。閣議等におきましても、その話はしばしば出ているわけでございます。そういうわけでございますので、只今の御質問の点等もよく肝に銘じまして、政府としては善処して行かなければならんと存じます。
  62. 島村軍次

    ○島村軍次君 一般的なお考えについてはたびたび承わつていることおりますが、審査の過程において一番遺憾に考えますことは、やはり責任の帰属というものについて、責任の処置についての現在の法令の範囲では不充分な点が相当あると思います。従つて、具体的にこれらの問題に対して、どういうふうな処置をやつて行くか、或いは責任の所在を明らかにするためには、例えば公務員法の一部を改正するとか、或いは一般的な法制を作るとかというような問題に関して、具体的に御研究になりつつあるか。或いは又何か具体的なお考えをお持ちになつておるかどうかという点について承わりたいと思います。
  63. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 只今お話責任を明らかにするということは、今非常に大切なことでございます。政府におきましても、この点に特に留意をしなければならないのは当然でございます。これらの点につきましては、もとよりすでに法毎の規定もあることではございますが、更に一層検討はしてみたいと存じます。只今特にそのことのために法律の改正案等を準備しているとかというところまでの域には行つておりませんが、今後とも一層検討いたしまして成果を得ました場合には、これによつて国会の御審議等を煩わしたいと思います。
  64. 大倉精一

    ○大倉精君 ちよつとこの際折角の機会ですから、二、三お伺いしておきたいと思うのですが、今の御質問に関連をするのですけれども、たしか昭和二十五年度の決算の承認の場合に、緒方総理も本会議において以後こういうような事態が起らないように善処しますということを言われております。只今の御答弁にも同じようなことを言われた。併しながら、これは一つの作文を読むようなことでは仕方がないと思うのです。問題は中味なんです。先版も決算委員会で、例えば麻袋の問題が問題になつておりましたが、これが、昭和三十六年度に三百万枚を買つたというので、その点で衆議院で問題になつて決算委員会で取上げるかどうかということが問題になつたことも聞いておるのですが、そうしてそういう批難事項が挙げられておるにもかかわらず、その次に、五百万枚のときにその責任者の食糧庁の長官が盲判を押したということが言われておる。従つて、私はそのときに申上げたのですが、一体そういう場合に、会計検査院がいろいろ苦心なすつて、そうしてこの批難事項を挙げて来られるのですが、そういうものを大臣は、或いは長官とか責任者は見ておられるかどうか、或いは報告を受けておられるかどうか、こういう批難事項について関心を持つておられるかどうか、官房長官は、そういう例えば当時の長官が問題になつておるそういう案件について、而も少しも関心を持たずに盲判を捺した、而もそれが大きな問題に発展して来ておるという事実について、今の御答弁からどういう御感想を持つておられるか、それを伺いたいと思います。
  65. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 批難事項等につきまして、もとより各省大臣等が重大関心を持つて臨むべきであると存じます。只今指摘の具体的の場合につきましては、私は事案の詳細はよく存じませんわけでございますが、所管大臣において、まあすでに今までにも検討をいたしておると存じますが、連絡いたしまして、更にそうした事態について責任を明らかにするように私からよく只今お話を伝えたいと思います。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこの具体的な事実に対してどういう御感想を持つていらつしやるかということをお伺いしているのでありまして、これはこの決算委員会に現れたほんの一つの現象なんですけれども、恐らくこういう現象というものがこの批難事項を年々殖やしている私は原因だろうと思う。今この報告書を見るというと、年々この厚さを増している。こういうような状態は、各省の関係担当者がここに来られて、そうして答弁をして行つて、それなりに終るということで、結局そういうものに対して、本当に良心的に関心を持つてこれからこれを直して行こうという、そういう何と言いますか、責任観念というか、そういうものが私は欠如していると思う。そこに私は年々こういう大きな批難事項が出て来る。或いは汚職が発展して来る。或いは綱紀の弛緩ということが年々累加して来る。恐らくこれは批難事項が年々殖えているということは、それと正比例して綱紀の弛緩が年々累加される。こういうように私は考えざるを得ない、国民も又そう考えていると思うのです。  従つて今私のお尋ねしていることは、年々関係が殖えて行く、或いは盲判を捺すというような、そういう事実に対して、今官房長官は善処するということをおつしやいましたが、恐らく将来もそういう答弁をされると思うが、それは私は一片の作文だと思う。そういうことでは批難事項に対する善処ということはできない。非常に綱紀の粛正とおつしやいましたが、そういう間違いが起ると、お前は責任をとつてやめろと言つてやられますが、こういうようなことが非常に問題だと思います。この点について一つ御意見を伺いたい。
  67. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 只今の御指摘のような点につきましては、それぞれの諸官庁におきまして上から下まですべての者が責任観念に徹しなければならん次第でございます。最近御指摘のような傾向があるということは、非常に遺憾でございまして、この点につきましては、最も高い責任者でありまする大臣以下が、特に御指摘のような点をよく気をつけまして、深い関心の下に善処をしなければならないわけでございます。まあ先ほどお話のように、比較的下の地位の人たちの間で問題になつて、そのままで過すということのないように、下の者も上の者も十分認識をいたしまして善処するように努めたいと思います。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後にちよつと聞いておきたいのですが、そういう御答弁の中身を参考のために伺つておきたいのです。これは直接私は総理乃至は副総理にお伺いしたいのですが、これからそういうことが起らないように注意する、善処する、或いは下の者だけが罪をかぶつて、上の者がそのまま過すことがないようにするとおつしやいましたが、その具体的な措置の方法を、具体的な措置の内容について、何かお考えになつているか。これは今始まつた問題ではなくて年々これが出て来るのですから、年々これは御覧になつていると思いますが、前からもう考えておられると思いますが、今後特にこういう問題に善処する具体的な方法について、いわゆる善処の中身について、何かお考えになつていることがあつたら、参考のためにお話し願います。
  69. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 実はまあいろいろの面から只今指摘のような点は対策を立てて行かなければならないわけでございます。具体的にはいろいろあるわけでございますが、例えばこれも非常に閣議等でやかましく話に出まして、そういう方向に行つているのでございますが、行政管理庁の行政監察部あたりでも、この種のことにつきまして従来よりはずつときびしく監察を行わなければならないというような閣議等の申合せの下に、昨年から相当の成果を挙げていると思うのでございます。まだこれを以て十分なりとは、もとより言えないわけでございまして、その他一般公務員の責任観念の明確化ということにつきましても、いろいろの措置を講じて行かなければならんことがあると思うわけでございます。各省それぞれにおきましても、右のことにつきましては、それぞれ各省内でも善処の万策を立てて、これを実行いたしておるわけでございます。ただ御指摘のごとく単なる作文であつてはならないわけでございまして、如何に実績を上げるかということが問題なのであります。この実績を上げることに一瞬留意して行かなければならんと存ずる次第でございます。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこういう問題については、ただ当事者を処分するとか、訓戒するとか、或いはどうこうするというだけではないと思うのです。やはり政治責任と言いますか、政治的の道義というものが伴つて来るかと思うのであります。この政治責任を明らかにしなければ、こういうものは私は根絶できないと思います。最近におきまする汚職、疑獄の問題にしましても、例えば衆議院の予算委員会あたりの総理大臣の御答弁を聞いておりますというと、司直の手にかかつておるのだから、いずれ明らかになつてから善処する、その措置が悪かつたら批判してくれというような答弁があつたように思うのです。ところが私はこういうような問題は、法律にかかつたからとか、或いは規定に反しておるからとかいう以外に、そういうものにかからなくても、これはやはり道義というものがあると思う。法律で定めないものは道義が裁くと思う。特に、例えば先般の中曽根君の発言にしましても、運輸大臣と、それから大野国務相が百万円もらつておるという発言があつた。併しながらああいう席上において発言されておる。これは御両人は明らかにするのだと言明されておりますが、又その後において、中曽根君が懲罰動議にかかるというようなことになりましたので、その後においてこれは私は黒白が明らかになると思つておりましたところが、どういうわけか、これも取やめになつてしまつた。こういうような問題について、今の内閣は一体、そういう国民が全部疑つておるようなことについて、御本人たちも明らかにしたいと言つているのに、政府はどういう方向でそういう問題を明らかにされるつもりでおるのか。それから更にもう一点は吉田首相が言われるように、いわゆる法律にさえ引つかからなければ差支えないのだというような、一般庶民と言いますか、闇業者の言うようなことで済して行かれようとするのか、或いは司直の手にというようなことで、この事態を黙つて過して行かれようとしておるのか、こういうところの政治責任というものは非常に重大な関連があると私は思う。従つてそういうような点について、政府内閣のお考えなり方針なりを私は伺いたいと思います。
  71. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 政治道義を高揚し、政治責任を明らかにするということは、もとより大切であり、且つ必要であると存ずるわけでございます。具体的の事例をお述べになりました中曽根君の懲罰の問題、あの経緯等の、この事案の取扱自体は国会の問題でありまして、政府がどうごうという問題ではもとよりないわけでございますが、まあ政府はそういうことによつて事態をうやむやに終らせようという意図は毛頭ない次第でございます。又只今お話の、法律にさえ引つかからなければ何をやつてもいいのだというようなことを、政府考えておるわけではございません。ただその当時その言葉だけですと、やや誤解を生じやすいわけでございますが、まあ事態が明確になつた上で処置する、善処するというゆえんのものは、まあ責任ある立場の者が余り明確でないようなことによつて、そう軽々に出所進退すべきでないということと存ずる次第でございます。ただそのことははつきりそうでなければいい加減にしておくのかという反問を受けるかと思いますが、もとよりそういうような頬かぶりで行くのだという意味ではないわけでございます。常に政府の申しておりまする通り、綱紀の粛正につきましては、上のほうはもとより特に深く留意しなければならないことであります。今後ともその考えによつて終始して行かなければならないと存じます。
  72. 大倉精一

    ○大倉精一君 依然として同じような御答弁ですが、事態が明白になつてからということですが、併しながら私はもう事態は明白になつておると思う。明白でないというのは政府だけである。いわゆる事態の明白ということは何を意味するかわかりませんが、恐らく検察庁の取調べによつて、これが法律に引つかかるとか引つかからないということだけで、いわゆる事態の明白云々ということを言われておるのだと思う。私の言うのはそうじやなく、政治責任というものはそういうものじやないと思う。この前の本会議で、平林議員からか、木下議員だつたかも知れませんが、ビキニの灰をかぶつたというような表現かありました、国民はそう思つておると思う。従つてこの政治を明朗にし、そしてこういうような問題に対しては明らかに黒白をつけると同時に、政府みずから進んでその政治責任というものを明らかにする。こういう態度を積極的に示されなければ、やはりこの時局というものはやつて行けないのじやないか。併しながら最近の政府の動きを見ますと、そういうものについては依然として検察庁の進行だけを見ておる。或いは事態が明白になつてから云々と言われながら、最近保守合同というような動きが盛んに出ておる。これではますます国民の疑惑を招く原因になりはしないかということを心配をするわけであります。私はこういう汚職、疑獄の問題については、政府みずから進んで責任をとるという決意がおありになるかならないか、こういう点を最後にお伺いしておきたい。
  73. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 政治責任を明らかにして行くということは、もとより必要なことと存じます。ただ御指摘の具体的の場合におきまして、常にこの事体が明らかであつてというようにお述べになるのでございますが、この点に関しましては、いわゆる事態に対する認識というものは、これはまあ立場々々で必ずしも同じであるということには行かんかと思いますが、私どもの場合におきましては、政府といたしましては御指摘事態は、今仰せのようには私どもは認識いたしておりませんので、それぞれの具体的な事情によりまして、もとより政府は立派な態度で終始しなければならないのでございます。具体的な場合を、只今常に事態が明白で、これによつて責任を云云というふうにきめつけられておるようでございますが、私どもはさような事態でないと認識いたしておるわけでございます。併しいずれにせよ、更に一層明らかにされるものは明らかにされて、万々一何らかそういう責任を明らかにすべき事態でありまするならば、これはもとよりその点考慮しなければならんと思いますが、私ども只今さような責任云々というほどの事態であるとは認識していない次第でございます。
  74. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁でまあ明らかになつたことは、こういう事態になつても、これは政府責任ではない、政府には責任がないんだという御答弁のように私は承わつたのであります。まあそこまで行けば何をか言わんやで、私はあると思われる、あなたはないと言われる、まあ相違で、それは国民が判断すると思う。そこで具体的な問題として石井運輸相とそれから大野国務大臣、これが衆議院の予算委員会において、中曽根君から、百万円もらつたということを指摘をされた、国民は全部知つているわけです。その御両人はこれに対決して黒白を明らかにするという工合に言明しておられるのですが、これは政府としてどういう方法で黒白を明らかにされるおつもりか、その点について何かありましたら、一つお伺いしたいと思います。
  75. 福永健司

    政府委員(福永健司君) 石井、大野両氏の点についてお話があつたわけでございますが、中曽根君が申したようなことはないと政府は信じておりまするし、本人たちも御承知のように言明をいたしておるわけでございます。ただかくのごときことに明白にするということは、まあ当人たちだけの話だけでなくて、客観的に明らかにされなければならん問題でございます。政府こそが、こういうことでそういうような発言等がありましただけに、重大関心を持つて最も速かに明らかにせられることを望んでおるわけでございます。ただそういう発言の問題と関連しての懲罰云々のこの取扱いは、もとより政府がどうこう言うべきところではございませんが、いろいろ今後の事態の推移によりまして、おのずから明らかになることであるとは信じております。まあいろいろの調べ等も進行しおりますので、これは日ならずして、そういうことが明らかにされるものはされて行くだろうと確信をしておるわけでございます。従いましてまあ政府としてもとよりそういうような話が出るというようなこと、このことは非常に国民に影響するところも大きいわけでございます。今申しましたように、速かに明らかにされることは、もとより政府で望んでおるわけでございます。いろいろの司直の調査等が進めば進むほど、我々の信じていたことが明らかになるだろうと期待しておるわけであります。
  76. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 只今いろいろと大倉委員のほうから質問がされて、官房長官がまあ一応答弁されておるわけでありますが、大倉委員の言われること自体は、いろいろと言われているけれども、結局は本決算委員会において審議されている二十六年乃至今出されている二十七年度の政府のまあいろいろなやつて来たことに対して、実質的な不当な事項なり或いはその他是正事項が顕著に多くなつて来ているという点で、この原因は一体奈辺にあるのかという問題から、いろいろ関連して質問されておると思うのです。そこでまあ今御答弁を聞いておるというと、従来と同じように、司直の手にすべてを任せて、事態の成行きを静観しているのだということになれば、この問答は一応平行線を辿つて終局に着かんと、そういうふうに委員長私は見たわけであります。そこでその問題については、一応又十分に、今後只今官房長官が言われたことが作文にしか過ぎないのかどうかということについても、事態は更に判明して来るわけです。そのときに又長官に来てもらつて、十分我々も苦言を呈するということにして、一応大倉委員のほうには申訳はないのですけれども、全体のあれもあるからここら辺で一つ進行を計つたらどうか、こういうふうに思うわけであります。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 いいんですが、ここで打切つてもかまわないのですが、私はこの問題は当然このままで質疑を打切るつもりはないのです。私は今こういう質問をしておるのは、一つの事実をこの質問の中から掴み出して、そうしていわゆる政治責任というものが、この決算委員会におけるところの批難事項というものがどんどん殖える一つの原因だ、そういう政府の頬かぶり主義的なことでは、我々が一生懸命に口を尖がらせてやつてみても、結局決算委員会でやつていることがさつぱり片付かないということを指摘したいので、今動議がありましたから、一応これは保留をしますけれども、今の御答弁でずつと見てみると、これはもうますます私は奇怪至極だと思う。もう少し私は締めくくりまでやつて行きたいと思つておりましたが、動議があつたから、一応これでやめますけれども、そういうようなことが、私はもう根本的な問題だと思う。私はこの際政府は明瞭に責任をとるというところの、そういう態度こそ、私は望ましい、こういうことを考えておるのですが、もうここで動議が出ましたから、一応質疑を打切ろうと思います。
  78. 菊田七平

    ○理事(菊田七平君) 二十八年度の予備費議題に関しましては、今日はこの程度でとどめておきまして、理事会に諮りましてから、追つて御通知を申上けます。  今日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会