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1954-10-08 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第12号 公式Web版

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  1. 昭和二十七年度一般会計歳入歳出決 (会議録情報)

    昭和二十九年十月八日(金曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            島村 軍次君            八木 幸吉君    委員            木村 守江君            白井  勇君            高野 一夫君            宮澤 喜一君            後藤 文夫君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            山田 節男君            深川タマヱ君   説明員    調達庁次長   山内 隆一君    調達庁総務部会    計課長     横山 正臣君    法務大臣官房経    理部長     竹内 寿平君    大蔵省印刷局業    務部長     木村 秀弘君    食糧庁長官   前谷 重夫君    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大沢  実君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)(黄変米問題)   —————————————
  2. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 只今から第十二回決算委員会を開会いたします。  本日は昭和二十七年度決算総理府所管調達庁法務省所管大蔵省所管印刷局特別会計を議題にいたします。なお本日は黄変米購入及び処分についての本委員会の決議後の措置について食糧庁当局から事情を聴取することになつておりますから、あらかじめお含みおき願います。  それでは初めに調達庁検査報告第四号、第六号、第二十六号、第二十七号、第二十九号、第三十号から第三十七号まで、是正事項第三十八号、第四十号、第四十一号を問題に供します。調達庁からは山内次長、湯原副監察官横山会計課長木下協力課長検査院からは第二局長上村君がお見えになつております。  先ず検査院の御説明を願います。
  3. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 先ず最初に四号から御説明いたします。四号は誤払金回収措置が適当でなかつたとこういう事態でございます。誤払金の約一千万円ができた事情は、当初ボイラー二十七基ほか三品目を含めて会社から借りておつたわけでありますが、途中におきまして只今申上げました品目賠償指定にされたわけであります。取扱いとしましては、賠償指定になりました場合には借上げ対象にならないとこういうことになつておりますので、そこからは借上料払つてはいかないと、こういう事態であつたわけでございます。にもかかわらず払つて行かれたために一千万円が誤払いになつたと、こういうことであります。併しさようなものにつきましても、その後においては借上げとしては対象になりませんが、何とか見なければならんとこういうふうな訳合いになりまして、その後におきまして只今申上げましたボイラー二十七基ほか三品目を含めたものに対しまして調達庁でその後に補償されたわけであります。そこがダブつた形になるわけであります。あと支払われます際に、前の誤払金回収して支払う、こういうことになれば前の誤払金回収も早くできたと、こういうことでありますが、その措置がとられなかつたと、こういうことでございます。これはその後におきまして二十八年の十二月全部回収済みになつております。  次は六号でございますが、六号は工事の途中におきまして設計変更があつた事態で、設計変更があつた場合に、それに照応した設計変更による更改契約をしなければならんわけでありますが、更改契約のされる場合に調査が十分でなかつたために、当然減額すべき金額以下のもので更改契約をされたという事態でございまして、この件につきましても、その後回収措置がとられております。  飛んでおつて恐縮でありますが、二十六号でございます。二十六号は洗濯機械設備等調達庁が借りておられまして、それが途中で解除になつたわけであります。従いましてそれを撤去する、こういうことになつたわけでありますが、業者は撤去費用がほしい、こういうことを要求しておつたわけでありますが、それで成るべく早く撤去費用を出した撤去させればよかつたわけでありますが、部内の手続きが非常に遅れた、連絡が悪かつたというために、相当長い期間そこに置かれたために管理費用を出さなければならん、こういう事態になりまして、その管理費用に対する補償として百七十三万円ばかりを払つておられますが、撤去に要する補償としては二十一万円くらいで済む、こういうふうな事態でありますので、成るべく早期に解決されればよかつた、こういうことでございます。  次は二十七号の建物借料に関する事態でございます。これは二十七年度の借料算定方法は時期を分つて多少違いますが、借料算定基礎になつておりますのに、固定資産税、或いは固定資産税基礎になります建物評価額借料基礎になつておるわけでありますが、その基礎になつております評価額建物所有者の申請によりまして減額されておる、こういう事態が起つてつたわけでありますが、その間の調査が十分でなかつたために減額される前の固定資産評価額等基礎とされて支払つたために、普通の場合よりも多く支払われた、こういう事態が起つたわけでございまして、検査報告を提出するときは一部回収されておりますが、その後過払い分については全額回収措置がとられております。  二十九号でありますが、これは不正行為でございまして、特に説明するところはございません。  それから次は三十号から三十三号まででございます。これは土地借料等支払いが適切でなかつたという事態でございます。この事案は土地借料支払われます場合、借料或いは補償になつておるものもございますが、借料に相当するものを支払われます場合に、土地所有者が耕作しておる場合でも耕作しない場合でも同じ基準で実、は借料が払われておる、こう事態でございまして、所有者が耕作しておるような場合には、その関係を見て多少の差等を設けるのが適当ではないか、こういうことでございます。この点につきましては、その後におきまして調達庁で耕作しておる場合については差等を設けるという取扱いをなされておるはずだと思います。画それから三十四、三十五でございますが、これは土地提供に伴います立毛離作等補償の問題でございます。これも先ほどの三十、三十二号と大体同じようでございますが、離作立毛補償をする場合には現実立毛を取除いておる、或いは取れないという事態、或いは離作しなければならんという事態、こういう現実事態がある場合に払われるのが適当ではないかと思うのでありますが、この補償等を決定される時期と現実に金を支払われる時期とに多少の隔たりがありまして、かような事態が起つたものとも思いますが、支払われる場合には、さような事態を勘案されて、現実に即したようにやつて行かれるのが適当ではないか、こういうことでございます。  次は三十六号と三十七号の立木補償の問題でございます。これはいずれも立木に損害がどれだけあるかということを調達庁のほうで調査されまして、その事実に基いて補償されたわけでありますが、私のほうで現実実地検査をいたしました場合に、調達庁基礎とされた立木の本数その他において相当の誤差がある、従いまして、その結果、調達庁基準において支払われる場合には、相当減額し得る余地があつたのではなかろうか、こういう事態でございます。尤も調査される場合に減収その他がありますので、相当困難な点はあろうかと思いますが、事態を成るべく十分検討された上で補償されるほうが適当であろう、こういうふうに考えておるわけであります。  それから三十八号は水道施設委託経営費精算処置に関する問題でありまして、これは委託しておりまして、経営費精算ができる事態であるのに精算されるのが遅かつたということでございまして、全額国のほうに返つております。  四十号でありますが、四十号は格納庫を購入される場合に、事実の調査が十分でなかつたために、購入される物件現実のある姿とは別なことで価格を決めておられるわけであります。この点を注意しました結果、適正な値段にいたされまして、その後回収されておるわけであります。  次は四十一号でありますが、これは借料過払いが生じた事態でございまして、この点も注意しました結果、歳入に全部入れておられるようすでございます。  簡単でありますが以上であります。
  4. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) では、御質疑のおありのかたは、御発言を願います。
  5. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 会計検査院のかたに伺いますが、いろいろ調達庁処置を誤つたために、国損を生じて、而もその金額が未だ回収されておらないという額は、合計すればなおいいですが、合計していらつしやらなければ、検査通告別でよろしゆうございますが、金額だけちよつと、ここに出ているものもありますけれども、出ていないものもありますので承りたいと思います。
  6. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 四号は、全額回収されておりますので、国損はありません。それから六号も回収されておりますので国損はございません。それから二十六号でございますが、これはちよつと計算しないと出ませんので……。二十七号は回収済みでございます。それから二十九号は五十五万円ほど残つております。  それから三十号から三十七号まででございますが、この点については一応お断りしておきたいと思いますが、大体差額計算は一応出ておりますが、これが果して国損というふうに言えるか言えないかという点については、多少疑問がございます。と申しますのは、補償或いは借上料等が、絶対的にこのものが適正であるかどうか、こういうことになると、多少問題があろうかと思います。私のほうで言つておるのが他との均衡その他を考えて、適正な均衡のとれた扱いをするほうが適当だ、こういうことで、大体考えておりますので、これをいちいち申上げる……。
  7. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 いや結構でございます。
  8. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) そういうことで御了解願いたいと思います。  それからあとのほうの案件は、大体是正済みでございます。
  9. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 会計検査院報告を拝見しましても、今伺つたような疑念が出るわけでありますが、今後会計検査院から御報告があります際に、こういう不適正な事態が発生したのはこういうことからだ、というその経過を御説明頂くのは、将来のいましめのために大変結構だと思いますが、同時に、その結論として、若し会計検査院が御指摘になりましたような注意が十分行き届いておれば、これだけの国損がなくて済んだのだという、つまり数字から見た、何と言いますか、批評ですね。それをあらかじめ一つ、これからお出でになるときに、そろばんを置いておいて頂きますと、例えば何号の件はこれこれのやり方がまずかつた、我々とすれば何百万円損しなくて済んだわけだ、こういうことを、最後のしめくくりをおつしやつて頂けるような御準備を各局ともして頂くならば、非常に問題の性質のウェイトが、ただ金高ばかりでウェイトがどうという意味じやありませんが、我々審議する上において参考になると思いますから、将来の報告調査準備として、これだけのことをお願いしておきたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  10. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 五日の日に総括的に二八年度の問題についていろいろ説明があつたわけですが、その際、調達庁の分として防衛支出金駐留軍のための物件購入とか移転の補償とかの問題のちよつと御説明がございましたが、その際に、微妙な関係でなかなかすぐ——固つていないのだという御説明を頂いたのですが、何か調達庁関係では、その微妙なというのは具体的にどういうようなところなんですか。
  11. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 只今お話物件購入は実はやつておりませんので、その点だけちよつと御了承願いたいと思います。  むずかしいと申しますのは、結局今の支出補償なり借上料というような事態であります。御承知のように借上料補償につきましては、新聞紙上でも御承知だと思いますが、いろいろな問題が出て来ているわけであります。そういうものを勘案しながら、果してこれが適正であるかどうかということを考えて行く場合に、非常にむずかしい問題がありますので、大体検討しているものは勿論ございますけれども、すぐこれがいいのだ悪いのだということがなかなか出しにくい、こういうことの意味でこの前申上げたわけでございます。
  12. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そうすると、補償費の適否の問題は、特に調達庁関係だけでなくて、全般に通ずる問題として微妙なと、こういうふうに解釈してよろしいわけですね……。
  13. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 御質疑ございませんか。
  14. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 調達庁のかたにお伺いしたいのですが、今度の二十七年度の決算報告に出ているかどうか存じませんが、二十六年度の決算を審議いたしました場合に、「特別調達資金に対する管理費等請求をしていないもの」と、こういう題目で、日本政府アメリカ合衆国政府との労務提供契約に基いて提供した労務者につき管理費等請求していないものが八百万円あつた。こういう会計検査院指摘事項がありまして、アメリカにまだ請求していない金が八百万円近くもあるのは、早く請求したらいいじやないかということを実は当時私は申上げまして、その間にはいろいろ外交上のデリケートの問題もあつてというふうな御答弁があつたのですが、かようなまだ請求していなくて、いわゆる貸しになつている勘定はまだございますか。
  15. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) 只今特別調達資金の問題についての労務費の未請求の分がどうなつたかというお尋ねでございますが、この問題は先ほどの当委員会においてもいろいろお尋ねがあつてお答え申上げて、まだ未解決の状態になつておることはお説の通りでありますが、その後この問題のみの取扱いではなくて、全体の調達資金関係アメリカからもらうべきものがどうなつて、こちらが或いは余分にもらつたものはどうかということは、非常に長い間かかつて検討いたしたわけであります。御承知労務基本契約が殆んどまあ九分九厘でき上つておりますが、まだ若干残つてつて全面的の発効をいたしておりませんけれども、その中の財務問題の項目をきめるについて、過去の問題を全部一つ洗いざらい出して、そうして解決しようじやないかということから、全体についての数字を非常に細かに検討いたしたわけでございます。その結果、今私数字を持つておりませんので、具体的の数字で申上げるわけには行きませんけれども、どちらかというと、日本側がもらい分が非常に多い。まあかなり多く見えるような恰好である。アメリカさんとしては非常に日本側はもらい分が多いじやないか、それを返したらどうかというような意味合いで大分強く迫つて来たわけであります。で、私どものほうとしましては、もらい分が足りないというようなことはどうしても出て来ませんけれども、非常に多過ぎるから、これを返さなければならんということは、実は了承いたしかねるので、その一つ定額償還を受けておる分につきましては、その内容が仮にそれより実際少くなつても、いやしくも一人幾らという約束でもらつた以上は、返す必要がないという基本的な考え方一つでありますが、まあ尤もそれについてはアメリカさんとしては、それはその通りではあるけれども、あれは商売をやつておるものの約束じやないので、国と国との約束だから、はつきりはわからんので、大ざつぱにああいう約束はしたものの、お互いに儲ける必要はないのじやないか、従つて余計に取つておれば返してもいいわけだし、又実際計算して不足ならば、如何に契約約束であつても、又アメリカ日本不足をまあ払うということも、これもあり得ることだから、そういう考えで行こうじやないかというので、それに対しては日本側としても、その根本の趣旨は了承したわけなんです。そんな関係がありましたが、どうももらい過ぎるような、如何に調べても日本側は少し余計にもらつているような恰好が出ますものですから、これは必ずしも調達庁のまあ労務者経費とか、或いはその事務に当つている職員の経費とか、これらは当然もらわなければならん。それから必ずしも調達庁だけではなくて、大蔵省であつても、或いは会計検査院であつても、ほかの省でやはりそういう仕事に当つているものは、皆間接的に日本がその労務仕事のために負担しているのだから、これらも考えてもらう必要がある。で、かれこれ全部考えて行けば、決してもらい過ぎでないと、まあこういうような最後はかなり苦しい説明をいたしまして、そうして向うとしては、それじやせめて調達庁だけでも詳細に調べるというわけで、過去に支払つた労務関係に携わる者の支払証票、書類を全部調べました。その結果、私どもの出した数字が必ずしも誇大ではない、偽りではないということも認め、それから日本側として必ずしも直接調達庁がその仕事に当つているものだけじやなくとも、ほかの省のものでも当つているならば、まあパーセントにすると、これは殆んどパーセントにのらんほどの僅かな金額かも知れませんけれども、それらのものも認めてもらわなければ困るというようなことで、大体了承されて、特にこちらから向うに返すということもいたしませんでしたが、その代り今のお話労務費について、労務管理費定額償還の約八百万円くらいと思いますが、その問題も、特にこれをもらうということなしに、全体としてまずまず妥当なりとして話がついた次第でございます。
  16. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 ちよつと非常に抽象的なお話で、これは外交関係もありますから無理もないと思うのですが、つまりこの八百万円棒引きしてしまつたということですね。八百万円、つまり何といいますか、労務者役務提供については、契約通り計算をすると八百万円もらう勘定になつている。併しその契約通りではなしに、ほかにもいろいろプラス・マイナスの計算があるから、八百万円はもう請求しないことにしてしまつた、こういうふうに承わつたのですが、そうなんですか。
  17. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) これは定額償還の問題でありますので、これをどこまでももう絶対的のものとしていけばお話通り請求しなければならん、現に調達庁は相当強く請求はいたして、あの当時も数回に亘つて催促はいたしておつたわけでありますが、全体の問題として考うべきものが多いからということで、向う償還に肯んじなかつたわけであります。その後のいろいろの折衝の関係で、只今も申上げた通り定額償還契約の分ではあるけれども、これは大体の見当をつけて一人幾らというふうにきめたのだから、従つてまあどこまでどちらが損しようが得しようが、その契約面からいえばきまりをつけるのは当然だけれども、これは国と国との間の問題であるから、そういう大体の見当をつけて契約できめたものを、或る国が非常に一方儲けているということになれば、儲ける必要ないじやないか、又実際やつてつた結果、その定額に足りないということになれば、如何に定額約束であつても、やはり足りないものは支払うのが当然であるというので、やはり定額契約であるけれども、実際の実情が利益があつたという場合には利益を取る必要はないから、それはお互いに返したりもらつたりして、まあ適当に処理したほうがいいじやないか、こういう考え方向うが強くなつて来たことが一つと、それからそれについて日本政府としても、国と国との約束でありますから、このために儲けるという必要もないということの趣旨においてはまあ了承せざるを得ない。そこへもつてきて全体の、向うからもらつたものと、こちらから支払つたものと詳細に調べた結果、先ほど申上げましたような事情になつておりますので、それらを全部ひつくるめて、結局日本側支払つた、而も間接のような支払いでもかなり無理をして説明して了解を得たというようなわけで、その問題はそういう全体の中に包含されて解決がついた、こんなふうにお考え願つて頂きたいと思います。
  18. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 昨年のことで、多少私も記憶間違いがあるかも知れませんけれども、当時は労務者提供する等のいわゆる管理費として一定の約束があつて、その約束金額を出してアメリカ請求した。ところがあとになつて、俗な言葉でいえば、これは高過ぎるからといつてアメリカから値切られて払つてくれない金が八百万円ある。約束約束なんだから、将来の問題は、高ければ契約を更改して下げるということはいいけれども、すでにきまつた契約で出た金額を、幾らアメリカだからといつて、それを値切るという、そんな馬鹿なことはない、八百万円お取りになつたらいいだろうということを実は私申上げた記憶があるのですが、今のお話伺つていますと、ほかの関係等いろいろ勘案して、これはこのまま結局値切られたままにしてしまつたのだというふうな御説明のように伺えるのですが、今の御説明会計検査院の立場からいつて納得なさいますか。
  19. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 只今調達庁の御説明では、実は納得いたしかねると思います。その論拠は只今お話になつた通りだと思うのですが、ただ事実関係が今お話になつた通りであるかどうかという実は疑問に思います。と申しますのは、八百万円は、私のほうの今係りからも聞いたのですが、大体順次その後請求されて取つておられるように、実は承知しておるわけなんであります。さように思いますが……。
  20. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 今の会計検査院お話調達庁お話は、甚だ違うことになるので、今ここですぐ伺つてもおわかりにならんかもわかりませんが、調達庁お話は八百万円まけちやつたというふうに伺えるし、会計検査院のほうは取つちやつたというふうに伺えるし、もう少し話を合わしてもらわんと納得が行きませんが、如何でしようか。
  21. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) ちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  22. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) では速記をとめて。    午前十一時三分速記中止    ——————————    午前十一時三十七分速記開始
  23. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 速記を起して。  先ほどの山内次長説明と第二局長説明に非常な齟齬があるので、なかんずく次長の御発言の中には第三者に誤解を招く虞れのある発言があるので、速記をとめた結果、会計課長担当者としての経緯を聞いた結果、局長説明とほぼマツチするものがあるので、もう一遍速記を起した現在、会計課長から説明を願いたいと思います。
  24. 説明員(横山正臣君)(横山正臣)

    説明員横山正臣君) 補足説明を申上げます。先ほど問題になりました八百万円につきましては、これは労務者の十五日未満稼働した者に対する日米間の貸借の問題でちよつともつれたわけでありますが、その後調達庁といたしましては、各府県に連絡いたしまして、そのものについても米側請求をする、こういうことになりまして、現実には各関係労務管理事務所におきまして、その労務者に対しまして請求いたしまして、現実問題において償還になつております。そうしてその各現地請求額を積み重ねた結果、先ほど次長の申しましたように償還になつた、結果的に償還になつたということになつて来ているわけでございます。この労務管理費請求は従来もそうでありますが、各現地において米側請求いたしまして、そうしてそれに基いて償還を受ける、その償還を受けた場合にどの請求したものについての償還であるかというのを一々私のほうでチエツクいたしまして整理しているわけでありまして、結局今までの整理の結果では請求した恰好になつておる、そういうことであります。
  25. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか。
  26. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 今の会計課長の御説明次長は御同意でありますか。
  27. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) 同意いたしております。
  28. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 会計検査院も御納得なさいますか。
  29. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 私も先ほど説明したことと会計課長説明は一致しておると思います。
  30. 山田節男君(山田節男)

    ○山田節男君 この問題と直接関係があるとは思いませんが、併し私はあるように解釈しておるのですが、日本は平和条約が発効してすでに二年半になつた。独立国家となると同時に、これは業務が縮小したというだけでなく、調達庁の任務が占領軍政下における場合と、独立国家になつて日米行政協定に基いての調達庁という政府機関としては、本質的に相当私は相違があると思う。そこでまあこれは一般の調達、向うのいわゆるPD、プロキユアメント・デイマンドによつて調達庁が調達の実施に当るのでありますから、一般的ないわゆる需品、向うからの何と言いますか、調達要求に関する基本的な契約というものは、これは勿論あるわけです。同時に労務に関する基本契約、これは向うが進んでこれは結びたがつているし、当然これは契約を締結しなくちやならん。向うが、アメリカ側が基本契約に関する案というものをもつてすでに二年有余を経ているわけでありますから、これが今日に至るまで依然として締結されないというのは、どこに一体最後的な隘路があるのか。そうしてこれは近き将来、この基本契約日米両国間において締結し得る見込があるのかどうか、これをちよつとお聞きしておきたいと思います。
  31. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) 労務者の基本契約が非常に交渉を始めてから長くかかつておりまして、労務者自身も困つており、又世間にもいろいろ御心配をおかけしておりますことは、勿論遺憾に存じております。現在の状態では殆んどもう、まあ九分九厘できておると申上げて差支えないと思いますが、残つておるものは給与の点だけであります。その基本契約のうちの主文は全部完成いたしておりますが、附属書の中の一つについて主に給与、それから退職手当、そういう給与関係を規定するものがまだ決定をみていないわけであります。どういう点に問題があるかと申しますと、二つありますが、一つは一般の給与についてアメリカ側は厳格なアメリカ式の職階制による給与をきめようとして今まで主張をして来たわけでありますが、日本側としては国家公務員についても職階制の問題が相当進んでいるようでまだ実施していないと同じようなわけで、まあ或る程度職階制は無論止むを得ないという態度で折衝しておりましたけれども、かなりそこに大きな食い違いがありまして、アメリカさんのほうでは殆んどアメリカ式のやり方を強いようとする。こちらはやはり日本でやるからには、如何にアメリカが使う労務者であつても、やはり日本式の給与を多分に加味してもらわなければうまく収まらん、そういうことで論議して参つたわけであります。この点がまだ解決しませんが、最近アメリカ側も日本に来て日本労務者を使うに当つてアメリカ式の職階制を強いるということは、これはやはりますいということに気がついたようであります。今後その問題については折衝が非常に楽になつて来て、解決も早いのじやないか、かように思つております。  それからもう一つは退職金の問題でありまして、これは現在非常に紛糾を続けております。アメリカの予算削減の結果、日本労務者を一万九千六百人ですか、これだけを整理することに最近発表されておりますが、現に北海道では、北海道の陸軍が内地に移動するについて北海道における労務者九千三百人が要らなくなる、整理をするのだというようなことから、退職金問題が非常に差迫つた厄介な問題になつております。それほど退職金はなかなかむずかしい問題でありまして、その点がどう片附くか、或いは現在折衝いたしております暫定的の退職金の話が付くならば、よほど前途の見通しもよくなるのじやないかと思いますが、その二つの点が残つているわけであります。併しこういう最近の整理問題或いはストライキ、暫定的の退職手当の問題が、かようにむずかしくならなければ、もう少し進行が早かつたかと思いますが、この問題が起つてからというものは、大分アメリカ側でもこのほうの関係者は当面の問題に忙殺されてしまいまして、今残つている問題の折衝は一時停頓したような形になつておりますので、当面の問題が片附きますれば、早速基本契約の今残つているほうに全力を注いで早く解決いたしたいと考えております。
  32. 山田節男君(山田節男)

    ○山田節男君 そうすると、向うが示した労務基本契約のいわゆる九割九分までは了解が成立している。ただ給与の問題だけが今両国間の折衝の過程にある、ということは事実上この基本契約の九分九厘というものは、もう両国間において署名調印はしていないけれども、実際においては実施されている、こういうような意味なんですか。
  33. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) 基本契約処置については署名調印をしているわけであります。わけでありますが、附属書が全部完結しませんと全体の発効はできない。従つて今まではその一部新らしい基本契約のすでに解決ついた分については、その趣旨従つて動いております。ただ大事な問題がまだ未解決になつておりますので、全面的な発効はできない、こういう状態にあります。
  34. 島村軍次君(島村軍次)

    ○島村軍次君 全体的の問題について二、三簡単に伺つてみたいと思いますが、現在調達庁の二十九年度の予算はいくらになつているか。それから終戦処理費の繰越がずつと続いて来ておりますのがありますかどうか。それから現在の調達庁関係の直接の人員はどのくらいおられるか。附加えて申上げておきますが、業務の縮小の過程におきまして会計検査院の批難事項を見ますというと、関係職員の執務上の緊張を欠いた結果、こういうことになつたということが二十七年度の結果から窺えると思うのです。事業が縮小して参つたのでありますから、そういう点については十分な御注意ができていると思うのでありますが、あとの始末の問題、或いは今後の調達庁の基本契約、或いは平和条約の発効に伴う調達庁の今後の業務というものは、どういうところに重点が置かれるのかということを伺つておきます。
  35. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) 調達庁の二十九年度の実行予算の中には、二十八年からの繰越しと新しく二十九年度に防衛支出金の中で大蔵省から見込んでもらつておる額と、まあ二つで執行いたしておるわけでありますが、大体の金額としては約九十億円、二十九年度の現在の繰越しも併せまして実行予算額というのは約九十億円であります。
  36. 島村軍次君(島村軍次)

    ○島村軍次君 そのうち繰越しは幾らでございますか。
  37. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) そのうちで繰越しが約四十八億になつておるかと思います。それから調達庁の今の定員としましては、三千七百四十八人かと思つております。御承知のように、今年二百二十五名の減を受けておりますが、これはその二百二十五名を引いたものでありまして、更に三十年度は三百三十二名、それから三十一年度には百四十四名減ぜられることに、すでに法律できまつております。その人員の減は、大体調達庁仕事が、仕事の種類によつては漸次なくなると見まして、仕事の減少に伴う減が主たる部分でございます。その範囲で現在のいろいろ輻湊した厄介な問題の処理に当つておる次第でございます。  それから現在の調達庁仕事の重点についてのお尋ねでございますが、御承知のように、調達庁駐留軍、元の連合国軍の国外におけるあらゆる需要を達成する、御用を足す、従つて需品とか役務とか工事とか、そういう仕事がむしろ調達庁の主たる仕事でありましたが、講和条約の発効から、そういう仕事は全部アメリカさんの直接調達で、みずから日本の業者と結びついて仕事をいたしておりますので、調達庁はその面からは完全に離れたわけでございます。従つて今の仕事としては行政協定に基く仕事をやるのが調達庁の使命でありまして、そのうちの一番大事な問題は施設区域の提供駐留軍の必要とするあらゆる施設区域を提供するということ、この施設区域は当然陸上の施設区域と海上とあるわけでありまして、海上は、こういう言葉はぴんと当てはまりませんが、水面を使用させるということでございます。従つてその施設区域の提供そのものが非常にむづかしい点はいろいろ時々起ります。基地問題で非常に紛争でありますので、御了承を願えると思いますが、その提供に伴つての最初の補償とか、或いは中間の補償とか、或いは解除になつた場合の補償とか、そういうようないろいろの面において補償問題が絶えずつきまとつておりまして、この決定が非常にむずかしい仕事であるだけ、たくさんな人手を要するわけでございますが、これは施設区域。それからその次には労務提供、これは現在国連と併せまして十八万余りになつておるかと思います。国連が一万二千、あとが十七万幾ら駐留軍ということになるわけであります。それからその労務提供は、まあ言葉は至つて簡単でありますが、非常にむずかしい問題を伴うことは、現在のこの退職手当問題につきましても御想像がつくと思います。なお又だんだんと整理を受けるという情勢でありますから、自然この就職問題、失業対策、こういう問題がなかなかむずかしい問題として、主として調達庁がやらなければならん仕事でございます。それからこの予算としては、先ほど申上げたわけですが、実は調達庁が国家の予算を使うのは、事業費としては先ほど申上げたのでありますが、労務関係から言いますと、殆んど一年間の収支は一千億からの出し入れをいたしておりますわけで、支払いそのものが決して簡単じやないところへ持つて来て、これが回収は見方によるとなおむずかしい。それはまあ結局はもらえるものでありますけれども、今の基金の状態から言えば、殆んど基金というものはないと同じで、形式上の特別調達基金でありまして、早く回収しなければその次の支払いに困るような状態になつておりますので、この仕事が非常な、まあむずかしい仕事であると申上げてよかろうと思います。それからその次は行政協定の十八条にアメリカ軍並びにその家族、使用人のこの行為から受ける、不法行為に基く損害補償という仕事が、これがなかなか毎日々々、いろいろ交通事故を始めとして、いろいろの事件が起きておりますが、それをよく調べて、そうして公務上か公務外かということをアメリカさんと相談してきめることがむずかしいので、そういうことから最後補償するまでにはなかなか幾段階の手続きを要しまして、非常に苦労をいたしております。それから次には賠償、公民有の賠償、機械器具の補償問題と言いますか、使用量をよく調べて支払う、こういう問題はすでに占領下における問題は解決いたしましたが、講和条約発効後の取扱いをどうするかということはまだ根本方針が若干未定の点がありまして、まだその緒についておりませんので、今軍と折衝を始め、大蔵省ともいろいろ折衝いたしおるような状態であります。  それからなお、物の関係ですが、解除物件、終戦処理費で曾つて提供して向うが使つてもう古くなつた、要らなくなつたものを解除いたします。それを受けて保管して早く適正な評価をして売却する、こういう仕事があるわけであります。まあその他いろいろの軍に関する厄介な雑務がありますが、省略さして頂きたいと思いますが、例えば飛行機が落ちますというと、自然人情から近隣の人が救護その他の応援に出かける、過去において大分こういう事件があつて、その応援に出かけた人はいわば犠牲を払つているわけでありますが、それを放任していることは適当でないということで、この仕事を又調達庁がやることになつております。  それからなお、これは軍というよりは、軍の行為によつて当然に直接の関係があつて補償しなければならんのは、先ほど申上げた通りでありますが、そこまでは行かない、影響としては間接の影響であつて、或いは民法その他の法律から言えば、なかなか該当するかどうかむずかしい、又補償を求めることも困難であるだろうが、現実の問題として放つておけない、何とかしなければならんという意味で、特別損失補償法というものを御協賛を得て、現に執行中であります。この仕事がなかなか間接のものでありまして、又その見方によると、影響というのは幾らでも次々と続きますものですから、この仕事も非常にむずかしい厄介な仕事であります。  大体調達庁の現在の仕事の極く大きなものを拾つて申上げれば、以上のようなことでございます。
  38. 島村軍次君(島村軍次)

    ○島村軍次君 もう一つ簡単に伺いますが、批難事項の二十九号の職員の不正行為によつて国に損害を与えたもの百八十六万五千二百九円のうち、二十八年九月末までの補填が百二万六千円でありますが、あとはどうなつておりますか、これはどちらからでも結構ですが。
  39. 説明員(横山正臣君)(横山正臣)

    説明員横山正臣君) 現在残額が五十五万円、従つて回収済み額が百三十一万五千二百九円。
  40. 島村軍次君(島村軍次)

    ○島村軍次君 これは、何というか、補填の見込みはあるのですか。
  41. 説明員(横山正臣君)(横山正臣)

    説明員横山正臣君) 現在残つておりますのは、一人分でありまして、この残つているその一人の名前は木村某でありますが、これにつきましては、現在本人に定収入がなく、親族も同様でありますので、回収は極めて困難ではないかと思つておりますが、なお具体的に厳重に督促中であります。
  42. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 検査報告の三十五ページの末段に、「連合国軍の調達要求に基き契約をし、平和条約の発効後においてアメリカ合衆国駐留軍および英連邦軍に提供した工事、役務、物品の代金等として終戦処理事業費から支出した二十一億九千七百余万円については、外務省を通じこれが求償方を相手国と折衝中である」、かようにありまして、その後幾らつているかということを、決算委員会の専門員室で調べたところによりますと、二十九年七月までに需品代金としてアメリカ側から入つたものは十七億八千五百余万円になつておる、こういうわけでありますが、この残額の四億一千二百万円はいつ頃入る見込みであるか。簡単に伺いたいと思います。
  43. 説明員(山内隆一君)(山内隆一)

    説明員山内隆一君) あとの計画については目下折衝中でございまして、問題の性質上、かなり困難な、むずかしい事情もありますので、いつ入るかということはちよつと今申しかねるのであります。
  44. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 困難な事情というのをもう少し聞いて見たのですが、時間の関係もありますので省略いたしますが、とにかく四億一千二百万円、この金額を、一つ先ほどの労務提供の問題と関連しての御答弁を伺つてみましても、一口で言えば、どうも腰が非常に弱いように思うので、できるだけ一つ強硬に早くとれるように御努力を頂きたいという希望だけを申上げておきます。  それからこの決算報告会計検査院報告に記載された事項の処分調査というものを出されておりますが、各官庁を通じてその処分の方法が軽いということはしばしばこの決算委員会での問題になるわけでありますが、処分も関係者に厳重注意を与えたという、例によつてお定まりの文句が書いてあるわけでありますが、当決算委員会におきましては、厳重注意というようなことは、これは当然のことであつて、処分のうちに入らんというのが殆んど全員の強硬な意見であります。従いまして国に損害を与えたような事態を生じました場合には、その事情に応じて戒告をするなり、或いはより以上の処分をするなり、いわゆる処分に該当するだけの、何人が考えても納得ができる処置をして頂きたいということを、決算委員会の名におきましてこの機会に強く要望いたしておきます。
  45. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑がなければ、総理府所管調達庁についての質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。
  47. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 次に、法務省所管検査報告第四十二、第四十三、第四十四、第四十五、第五十五、第五十六、第四十六号から第五十四号まで、是正事項五十七号を問題に供します。  法務省からは経理部長の竹内君が見えられております。先ず検査院説明を願います。
  48. 説明員(上村照昌君)(上村照昌)

    説明員上村照昌君) 最初四十二号の登録税につきましては、二十六年度も実は検査報告を出しておるわけでありますが、それに引続きまして本年度も同じような船舶についての登録税の問題を報告しておるわけでありますが、船舶につきましては二十六年の十月に法務府民事局長から評価基準というものを出しておられるわけであります。これは二十六年度当時の大体のこの出しておられる評価基準と実際の契約船舶を見ておりますと大体一致しておるというふうな形になつてつたわけでありますが、二十七年度になりますと、法務省から出されました評価基準よりも実際の船舶が四割くらい高い、法務省のほうの出された基準は実際より低くなつておる、こういう事態に一応なつておるわけでありますが、これに対しまして各法務局の課税の取扱いがまちまちになつておる、と申上げますのは、東京では法務省から出されました評価基準より一割くらい低い程度の価格を設定されておりまして、その認定価格の更に五割を減じたものを以て課税標準価格とされておると思います。それから大阪のほうは大体民事局長からの通牒によつておられる部分と、それからそれ以下の評価をされておる部分がございますが、そうして評価されたものから更に減額されたものを基準として課税標準価格とされているわけであります。ここに東京と大阪が違うわけでありますが、更に神戸のほうを見てみますと、神戸のほうは民事局長から出されました通牒をほぼ基準として実施されておる。三者を見ました場合に、如何にも均衡を得てないと、こういう状況になつておるわけであります。その後の状況につきましては、二十八度になりまして、外国航路に就航する計画造船のものについては、登録税の税率が半額に減少しておるわけでありますが、それに伴いまして法務省のほうから更に基準をお出しになつておりまして、その後におきましては、大体その基準でおやりになつておると、こういうふうに扱つておるわけでございます。  次は四十三号でございますが、これも登録税の課税標準価格が安かつたということでございます。これは土地建物の所有権移転登記に当りまして、課税標準価格を七百万円ということでやつておられるわけでありますが、この七百万円と申しますのは、裁判所で二十五年に買われた当時の価格でありまして、登記されたのは二カ年を経過したときでありまして、相当地所の値上りがしておるわけであります。で、この価格は実際の交換されておるのを見ますと千二百万円というふうな価格になつておるわけであります。これに対しまして、登記を申請する場合に裁判所のほうから七百万円という数字を挙げて、これは国有財産の登録価格である、こういうふうな表示がしてあつたわけでありますから、相当安いということは気を付けられればわかり得る状況であつたのでありまして、役所から言つて来るものは、大体それにおよりになつておる慣行があろうかと思いますが、こういうふうな事態の場合には適正な価格でやるほうが適当ではなかろうかと、こういうふうに考えておるのであります。  次は四十四号の刑務所の作業収入に関する問題であります。前年度の二十六年度は決算上の収納未済が三百六十万円くらいでありましたのが、二十七年度には収納未済が四千四百万円、十倍程度の金額になつておるわけであります。これは要しまするに、作業製品を売られる場合に代金を先に取るとかいうふうな正規の取扱がなされなかつたからでございます。特にこのうち大きい問題は、財団法人刑務協会にずつと以前から売つておられたわけでありますが、刑務協会の財政状況が悪くなつて、そのために刑務所の代金が納められない。そういうものが主でありますが、その他の事態についても二、三主なものを掲げてございます。成るべく正規の取扱をして収納未済をしないようにすることが望ましい、こういうふうに考えるのであります。  次は大阪刑務所の綿布の購入でありますが、これは天じく二A紺染を買われたわけでありますが、その単価を一ヤール当り百九円として購入されておるわけであります。ところがこの購入に当りましては法務省の矯正保護局から政府輸入綿で作るんだということで、政府輸入綿の割当がしてあるわけであります。ところが当時政府輸入綿と民間輸入綿とにつきましては、価格が民間輸入綿のほうが高い、こういうふうな状況であつたわけでありますが、只今申上げましたように、政府輸入綿を以て作るということになつてつたわけでありますから、その点を考慮されれば、買う場合に政府輸入綿による価格を基準にしてお買いになれば百九円が八十二円くらいで買えたのではないか、こういう事態でございます。それからなお最後のところに二十五年度中に物品の入らないのに物品代金を全額払われたと、こういう事態を掲記してございます。  次は四十六号から五十四号の不正行為でありますが、これは検察庁における関係職員が罰金、科料として納付された現金或いは収入印紙、領地物換価代金その他を正規の方法によらないで領得したというような事態が載つておるわけでございます。昨年も相当件数が載つてつたかと思いますが、これに対しましては、先般の当委員会におきましてちよつと説明しておきましたが、法務省におきまして相当の対策を立てて、今後こういうふうなことのないように努力されておる状況でありまして、私のところで現在わかる範囲では、二十八年度のほうが相当件数が減つておるのではないか、こういうふうに考えております。  それから五十五号の刑務所の作業の点でありますが、これは各地方から東京拘置所へ古自動車を送られて作業をされたわけでありますが、一応形の上で儲つたという形になつておりますが、運賃とか、そういうものを考えますと非常に損な作業になつているわけでありまして、中には運賃にも足らないような出来上り品になつておる、こういう次第でございまして、刑務所の作業はいろいろ行刑上の目的その他なかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、でき得べくんば余り損にならないように、その辺の御考慮も相当望ましいのではなかろうかと考えておるわけであります。  次は五十六号でありますが、これは長野刑務所で須坂町に油脂抽出工場付帯建物を建てられたわけでありますが、当時の状況から言いますと、さなぎを使つてかような作業をするということも非常に困難な状況でありまして、刑務所の作業計画を考えた場合に、かような建物をお作りになることは、作業の見込から申しまして相当無理な状況であつたのではないか、かように考えておるわけであります。  次は五十七号の是正事項でございます。    〔委員長退席、理事島村軍次君着席〕  この点は申上げるところはございません。順次法務省のほうでも全般の扱いを促進して行くというふうな方向に向つておられると思います。
  49. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 四十四号未収納金のことを伺いたいのですが、昭和二十七年度における収納未済額が四千四百八十六万七千円となつている。非常に多い金額だと思うのですが、例えばこの間当委員会で問題になりました黄変米の払下げ、農林省がなぜアルコール工場へやるのに、民間の会社を通過させたかという質問に対する答としては、通産省が品物を渡さなければ金を払わないというような手続きで、わざわざ民間の会社を通したというぐらい、官庁というところは非常に厳重に金銭の出入りをやかましく言われるところであるのに、この刑務所の品物を金をもらわずにどんどん渡してしまつて結局四千四百何十万円という金が収納未済になつているということは、官庁の取扱いとして私は非常に不思議に思うわけなんですが、将来は金が入らなければ一切物を渡さないという取扱いに、一体できんものであるかどうか伺つてみたいのですが。
  50. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 只今御質問の点でございますが、誠に御尤もでございまして、さようにいたすことに通牒もいたしておりますし、実行もいたしております。ただ前金ですべてやるということは、これは一概に言い切れない点もございまして、或いは担保を取つてやるということで、今後はこういう未収金がたまつて行くというようなことはないという固い決心を持つておりますし、実行もいたしておる次第でございます。
  51. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 今後は、そうすると金が入らなければ物を渡さない。前金でなくてもようございますが、品物は少くとも引換でなくては渡さない、或いは委託するような場合には、相当の保証を取るということを厳重に履行して、一文もこういつたことは起らないつもりだ、こういうふうに固く伺つてよろしゆうございますか。
  52. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) さようでございます。
  53. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、これは四十五号、綿布の購入にあたり処置当を得ないもの、こういうので、まだ四千万円近い品物が入つていないのに一億二千九百七十四万円払つていた、こういうことが書いてありますが、昨年二十六年度の決算報告のときも同じような問題がありまして、私そのとき特に申上げたのですが、どうも私自身は直接やつておりませんけれども、綿糸布の関係を私は持つておりますが、決算報告に出て来る会社の名前は、我々は一向聞いたことのないような名前がいつも出て来て問題を起していますが、もつと繊維、綿糸、綿布等を扱うときには、あそこならという立派な古い伝統もあり、確かなところがたくさんあるのに、法務省関係はいつも名前のわからないところに出しちや問題を起していますが、もう少しそんなことでなしに、相場のほうから言えば相場表もあるのだし、資本金その他内容を調べればすぐわかるのですから、もつと誰も納得の行くようなところで、問題を起さないようなところで、将来はできないものかどうか伺つておきたいと思います。
  54. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 誠に御尤もな御質問でございまして、最近はすべて、一流メーカーばかりではございませんが、メーカーを選びまして、名の知れない、わからないような業者から購入するというようなことはいたしておらないのでございますが、この批難に上げられました綿布の購入につきましては、昨年も七月、この席上で御答弁申上げたわけでございましたが、当時止むを得ないいきさつがあつたものでございますから、それでこういうことになつたものと考えます。
  55. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 先ほどの刑務所の作業の問題でなしに、四千万円近いものが入つていないのに一億三千万円近い金を払つちやつた。これも物が入らなければ金を払わんという原則から言えば、非常な間違いなんですが、将来はこういうことは一切せんという厳重な通達をなさつて、確信を持つてやるとお答えになつたと了承してよろしゆうございますか。
  56. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 先ほど申上げましたように確信を持つて処理いたしております。
  57. 理事(島村軍次君)(島村軍次)

    ○理事(島村軍次君) 私からちよつと伺つておきたいと思いますが、四十四号の刑務作業収入の徴収云々の問題について、会計検査院指摘によりますと、収納未済が二千三百万円残つているというのですが、これはどうなつておりますか。
  58. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 刑務協会の関係分につきましては、二十八年四月に協定が成立いたしまして、同年五月から毎月約六十四万円ずつ五カ年で完済するということによりまして、爾後実行中でございます。二十八年度中に七百五十六万八千六百七十九円の収納をいたしております。なお残りが三千二百五十二万一千二百五十三円ございましたのでありますが、その後本年になりまして九月末日までの計算によりますると、更に四百九十二万二千六百三十五円の収納をいたしております。ちよつとこの数字は六十四万がつちりそうなつてはおりませんのですが、引続き実行中でございます。山内自動車の関係につきましては、その資産状態を過信いたしたということに相成るわけでございますが、私どもからいたしますると甚だ申訳ないことながら、この悪辣な業者に引かかつたという感じをいたしておるのであります。これにつきましては二十八年の十二月当初訟務局に取立を依頼をいたしておりました。本年五月足立簡易裁判所におきまして、当事者間の和解が成立いたしまして、三十四年までに分割弁済を受けるということになつております。なお、二十六年度以前の未収納分につきましては、二十八年度中に百二十六万四千六百二十三円の収納をいたしました。その間五万八千九百八十円につきましては不能欠損の決定をいたしております。更に本年に入りまして、一月から九月末日までの間に五十六万八十九円の収納をいたしております。かような状況でございます。
  59. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 四十四号に関連してですが、財団法人刑務協会には、まだお売りになりますか。
  60. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) まだ売らないということにはいたしておりませんので、ただ取扱いが刑務協会であるが故に特別な取扱いをするというふうなことは絶対にいたさないということで、一般の業者と同じように取扱つて、若干の取引をいたして今日にいたつております。
  61. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 民間の固い商売人なら、一遍ひつかかつたら取引しないのが常識ですが、四千万もひつかかつてまだ引続いてやらなければならないという理由は、どういうところにありますか。
  62. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 刑務協会は御案内と存じますが、これは非常に古い歴史を持つたものでございまして、本来商売をするのが目的の協会ではないのでございますが、そのうちの事業の一環として目的を達成するためにそういう事業も合せてするということになつております。この刑務協会が今破産状態に、非常に苦しい立場に追込められておるわけでございますが、それを助けるために取引を続けておるのではございませんのですが、この刑務協会がつぶれてしまわないのであり、又確実な保証の下に取引するならば、現存しております以上、これを排斥すべき理由もないではないかという考えになつておるわけでございます。刑務協会は成るほど二十七年の夏になりまして、かような失態を暴露いたしたのでございますけれども、二十六年までは何ら今までさようなことはなかつたのでございまして、刑務協会をそのためにつぶしてしまうというよりも、何とか再建の途を当事者に講じたいというように考えておるわけでございます。  ちよつと序でながら申上げておきますが、刑務協会は前は大日本監獄協会と申しまして、明治二十一年にできて、その後名前が日本監獄協会、監獄協会というふうに変り、大正十一年に只今の刑務協会というふうに変つて今日に至つておりますが、牧野英一博士が会長でございますし、目的そのものが、本会は社会の福祉を図るため犯罪の矯正保護事業に協力して、進歩改良を図ると共に、広く社会に思想を徹底せしめ、犯罪防止に寄与することを以て目的とする、こういう目的を掲げた長い伝統を持つた事業財団法人でございます。それでその目的を果すために、或いは矯正施設の作業、製品に関する調査及びその紹介斡旋をするとか、或いは矯正施設に対する作業の委託、その他収容者の労力を活用する事業の経営をするとか、或いは矯正作業の援助及び協力をするといつたような事業を附随的にいたしておるのでございまして、刑務協会の矯正に対する過去の功績は輝かしいものがあつたのでございまして、今日こうなりましたからと言つて、一般の事業会社に対するそれのように、もう相手にせんというわけにもいかないのではなかろうか。ただ問題はそのために再びこういう目に合わないように処置するのが適当ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。そういう観点から若干の取引を只今いたしておる次第でございます。
  63. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 刑務協会が刑事政策上非常に功績があつたというお話でございまして、将来共にその見地から言えば必要であるというお考え、これは肯けるわけなんですが、それであれば、例えばそれに対して法務省から相当の補助金を支給するという点は、私は納得ができるのですが、それがために一方作業会計から未収納金を生ずるということは、筋道として私は混同していると、かように考えるわけでありまして、非常に確実な方法があればようございますけれども、今までとても確実ではなしに、こういう貸倒れができるとお考えにならずにやつていらしたのだろうと思うが、若し貸倒れができても止むを得ない、それが何か補助の一つだと、そういう馬鹿々々しいことを考えられたことは微塵もありませんでしようが、将来共に方法があるにいたしましても、やはり金が入らないという危険は一〇〇%ないかというと、私はそうはいかないだろうと実は思うので、やはり刑務所でできたものを売るということは、金の入る確実な方法をお考えになると同時に、刑務協会を育成して行くという面では、また別に補助金をあげるなり何なり、他にそれに最も端的に役立つ方法があるのじやないか。これは私は意見になりますけれども、それを混同するような結果が未収納金が殖えるということになれば、甚だ面白くないわけなんで、その点も一つそういう点を慎重にお考えになつてみたらどうか。私は刑務協会というものは不必要ということを決して申すのでも何でもないので、必要があれば補助金もお出しになるのがよかろうし、ただこういう混同した政策だと妙な結果になることが往々にしてあり得るわけですから、そこを劃然とお分げになつて、予算の面で相当むずかしいかも知れませんが、なおお考えになることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  64. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) 只今お示しの点は誠に尤もでございます。刑務協会の経理内容等につきましても、財団法人でございますので、主務官庁は法務大臣になつております。そういう立場から経理内容につきましても十分検討いたしまして、又同時に作業収入等の関係において十分考慮して、只今のような疑いがあるということのないように処置して参りたいと思います。
  65. 久保等君(久保等)

    ○久保等君 四十二号についてちよつとお尋ねしたいのですが、登録税の問題で、会計検査院指摘されておりまする内容を見ますると、まあそれぞれ地方によつて相当違つた均衡が出ておるのですが、この船舶の問題については、標準価格の認定について昨年の八月通牒も出されておるようですが、この問題の当時はこういつた通牒もなかつたというような関係で、こういうような問題も出て参つたのではないかと思うのでありますが、今後の問題としては、従つてこういつた事案が再び繰返されるというようなことは、殆んど絶無なのかどうか、そういつた見通しについてお伺いしたいと思います。  それから特にこういつた問題を扱う場合、余り専門家でない職員の方々であるだけに、十分にそういつた方面の知識の豊富な機関とも連絡をとつてやられることが必要だと思いますが、そういつたようなことも余りなさらなかつたというようなことで、こういう結果が出て来たのじやないかと思いますが、大蔵当局あたりと連絡をして十分に全国的に余りひどいアンバランスというようなことがあつては、相当問題だと思うのですが、特に今後の問題等についてお伺いたしいと思います。  それから更に、この登録税の問題で土地の問題もやはり一点ばかり四十三号で指摘されておるようですが、この問題についての改善策等については、何かやはり通牒とかそういつたような今後の処置の問題についてなされておるかどうか、加えてお聞きしてみたいと思います。
  66. 説明員(竹内寿平君)(竹内寿平)

    説明員(竹内寿平君) お答え申上げます。この登録税の関係につきましては、御承知通り登録税は登記申請のときに賦課徴収するのでございまして、登記官吏が認定する職権を持つておるのでございます。従いましてその登録官吏に向つて、こうせい、ああせいという命令を下すということは、建前としてとり得ないわけでございまして、その登記官吏を指導し、適正を期するということに結果としては相成るわけでございます。ところが只今お話のように登記官吏の地位、資格といつたようなものは、そうレベルは高いのではございませんので、非常にこの問題はむずかしいのでございます。で、船舶などは非常にその評価が困難でございます。これにつきましては専門的な知識、豊富な資料を必要といたしますし、経済的な変動にも対処して処理しなければならない、こういうことになるのでございまして、率直に申上げますと、この登記官吏の素質、それから与えられておる問題がむずかしいという点から考えまして、現在においては手に余るというような状況でございます。一応毎年の批難に対処いたしまして、本省といたしましては、二十八年の八月二十七日に民事局長通牒を以て船舶問題の解決をいたしております。これによりまして二十八年の実績を見まするとかなり是正されております。まあ大体この通牒によつてあとはベースを直していけば、登記官吏はそれによつて遺憾なく処理をすることができるということになると思います。又全国的にアンバランスを生ずる虞れもこの通牒によつてなくなるのではないかというふうに思つておるようでございます。又不動産につきましても、固定資産税の価格評価とバランスがとれるように考慮するということが語われておるわけでございます。この固定資産税の評価に当りましては、現地調査ということを市町村ではやつておるのでございますが、登記官吏につきましては予算の関係等でそういう現地調査をしなければならない案件が多々あるのでございますけれども、そういうところまで手が廻りかねておるという実情でございます。  そこで私どもといたしましては、この批難事項に応えるというだけでなく、この登記官吏と価格評価の価格の認定との問題につきまして、抜本的な解決策を考えなければならんというので、いろいろ研究をいたしましたわけでございまして、昨年八月四日に登録税法の改正がございましたが、その際に法務次官から大蔵次官に対しまして、この問題の解決の一方法として定額制を考慮してもらいたいという申入れをいたしました。この定額制と申しますのは、船舶について申せば、トン数に応じて価格をきめるというふうにするか、或いは又手数料制度にしてもう間違いなくやつてのけるというふうにいたしますとか、或いは土地、家屋につきましては、坪数によつて幾らというふうにきめるか或いは事項別に手数料をきめるかといつたようなことで、この問題を或る程度機械的に算定できるように、そういう配慮をして、何らかその点の工夫をしてもらえぬかという点の申入れをいたしたのでございます。これに対しまして大蔵省は登録税は年間百億を突破いたしております。二十八年の決算におきましては百十何億になるかと思いますが、こういうふうに百億を突破する収入があるのでございまして、登記の際にそれをとらなければなかなかとりにくいのだ。而も古い沿革を持つた制度でもございますし、そういうことを言わんで、何とかほかのほうで工夫をしてもらえぬかということで、この問題は実はお流れになつておるのでございます。  それでは登記官吏がもう少し実情を把握できるような何らかの予算措置考えたいというので、二十九年度の、本年度の予算におきましては、登録税徴収の適正化に必要な経費といたしまして、法務局関係で四百四十一万九千円、本省で二十七万三千円、合計四百六十九万二千円ばかりが認められた、これによりまして、或いは会議を催してお互いの登記官吏同士のみずからの話合いによつて、統一的なものへ持つて行くような協議会を開き、或いは現地調査のための旅費に充てたいといつたようなことで、その経費を使うことになつておりますが、これは又同時に市町村との連絡或いは税務署との連絡旅費等にも使われることになつております。かようなことで若干の経費を認められましたので、この面から多少改善されて行くというふうに思うのでございますが、何と申しましても、全国に二千カ所も登記所というのがございます。で、四百六十九万円ばかりの金ではどうにもなりませんので、まあ事務的に申しますと、一千万円も欲しいという状態でございます。さて今のところ制度的に、根本的にこの問題、絶対ございませんというふうに申上げることは或いは困難ではないかというふうに思うのでございますが、今申しましたような方法によりまして、若干ずつ是正して行きたいというふうに考えております。  それから船舶につきましては只今申した通牒によつてほぼ水準が維持されて行くのじやないかと思いますが、不動産関係につきましては、これはまあ昭和二十五年に固定資産税ができました際に、従来税務署が持つておりました賃貸価格という制度はなくなつたのでございますけれども、やはりこの賃貸価格というものに倍率を掛けて評価するという方式を只今もとつておりまして、各法務局、地方法務局ごとにこの基準を定めて、これに則つて処理する。法務省におきましては、それを大きく上から監督して行くという形で、この間の不均衡、不当なる評価を阻止するように、是正するように配慮しておる次第でございます。
  67. 理事(島村軍次君)(島村軍次)

    ○理事(島村軍次君) ほかに御質問ございませんか。……それでは一応これで法務省所管につきましては質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 理事(島村軍次君)(島村軍次)

    ○理事(島村軍次君) 御異議がないようですから、さように決します。   —————————————
  69. 理事(島村軍次君)(島村軍次)

    ○理事(島村軍次君) それでは続いて大蔵省所管印刷局特別会計検査報告百七号、百八号について検査院説明を願います。
  70. 説明員(大沢実君)(大沢実)

    説明員(大沢実君) 印刷局関係の百七号と百八号について御説明いたします。  百七号は石炭の購入方法でありますが、印刷局は御承知通り東京都内に市ケ谷、王子、滝野川に工場を有し、近郊には小田原のそばの酒匂、それから静岡、彦根及び岡山県の西大寺、こういう所に工場を持つておりますが、その工場の所要石炭は本庁で購入されて納地をそれぞれの工場にするということで契約されております。その契約方法が昭和二十七年度におきましては、特定の銘柄を指定して、例えば三井美唄の洗粉炭というふうに特殊の銘柄を特定して大体その山元と随意契約をする、三井美唄なら三井鉱業と契約するというように随意契約購入されておるわけです。ところが当時専売公社などで購入されておる方法は、一手に何カロリー以上で、例えば北海道の粉炭は何カロリー以上或いはそれと同等以上のものというように、相当銘柄に余裕を持たせて競争入札をさせる、その競争入札した結果と、印刷局で随意契約した結果とを対照してみますと、ここに書いてありますように相当価格に開きがある。でありますから、会計検査院といたしましては、これは石炭、尤も石炭と言いましても、例えば製鉄用炭とかいうような特定の用途に使う石炭ならば、或いは特定銘柄ということも必要かも知れませんですが、ボイラーに焚いて蒸気を起し、工場に送る、或いは暖房に使うというような石炭ならば、或るカロリーを限定して入札して購入することができるのじやないか、そのほうが有利ではないかという見地から検討しました結果が、そうすれば相当価格が軽減できたであろうというのが、ここに書いてありますように、専売公社の購入例と比較しておりますですが、専売公社の東京地方局及び岡山地方局、岡山地方局を出しましたのは先ほど申しました西大寺の工場と岡山の専売公社の地方局との購入の例を対照したわけですが、そうしたものを見ますと、トン当り千円から二千六百円程度の開きがある。これは競争入札すべきではないかという趣旨であります。なお本件につきましては、会計検査院指摘の結果もありまして、印刷局のほうではそのまま競争入札で購入するように方法を変えられております。  百八号は紙の購入でありますが、印刷局は御承知通りいろいろな印刷をするために、相当な用紙を手持ちしていなければならんことは、これは当然だと思います。ですから一般用紙と言いますか、絶えず使う用紙は或る程度ストックすることは止むを得ないと思いますが、ここに書いてありますのは、極めて特殊な用紙であります。これは相当それの受注の確実性があつてから手当しても遅くはないのではないか、それを見込みで購入したために、相当なものが余つてしまつておる、こういう結果になつております。  百八号の第一に書いてあります統計カード用紙、これは御承知の統計器にぶち込んでやる用紙でありますが、これは初めは恩給局等から注文があるだろうということを予想して三万ポンド購入されたわけでありますが、    〔理事島村軍次君退席、委員長着席〕  この統計カードというものは御承知通り大体日本の統計器というものは、入つておりますのはI・B・Mとかレミントンといいますか、ああした器械は、器械は貸すが、用紙はおれのところから買えということで紐付きで外国の用紙を使つておるのが主でありまして、そのために折角印刷局で用意された用紙も注文がなくて総額三万ポンド、そのほか前年度の繰越しを含めて三万九千ポンド繰越しになつてしまつた、こういうふうな状態になつております。こうしたものの購入をするには、更に細心な注意が必要であつたのじやなかろうかと考える次第であります。この分は現在もまだ大半が残つておるような状態であります。  第二に書いてありますホルダー用紙といいますのは、表紙にするような厚い固い紙でありまして、物を挿んで置くといいますか、そうした用紙であります。これは人事院が人事カードを入れるためにカード入れとして、注文をするだろうという予定で溝入されたのでありますが、人事院のほうからその注文がないために総額二十八年度へ繰越しておる、こういうわけでありまして、もう少し注文の見込みが確実になつてから手当してもよかつたのじやないかと考える次第であります。なお、本件はその後登記簿の用紙その他に使用されて現在全部使用され尽しておるというように承知しております。
  71. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 御質疑のかたの御発言を求めます。これに対して当局のほうから、この報告ののちに何か事情なり情勢なり或いは解決された問題がありましたら伺つておきましよう。
  72. 説明員(木村秀弘君)(木村秀弘)

    説明員木村秀弘君) 只今検査院からお話がありました通り石炭の購入につきましては現在では指名競争入札の方法によつております。  それから統計カード用紙につきましては三万四千ポンド残りがございます。ただこれは本年度防衛庁で以てこれを使うという予定になつておりまして、その所要量が大体八万ポンドくらいで本年度中にはける見込みでございます。  それから最後のホルダー用紙につきましては、これも検査院から只今お話がございましたように、登記簿に転用をいたしまして、現在では残つておるものはございません。
  73. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 御質疑ございませんか。……ほかに御発言もなければ、印刷局特別会計についての質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  75. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 速記を願いします。   —————————————
  76. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 食糧庁長官が間もなくお見えになりまするが、食糧庁からは桑原業務第二部長、岡村監査課長がお見えになつておりますから、去る九月一日の本委員会黄変米に関する決議後の措置が如何ようになつておるか、現在どのような御方針をもつてあれらの米穀を管理せられておるか、そういうことについてお聞きしたいと思うのですが、なお長官が見えられれば、当然長官のほうからそういう御回答、御意見を頂きたいのですが、差支えない範囲において部長並びに課長から只今での食糧庁の態度を御披露願いたいと思います。
  77. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 私第二部長でございますが、二部といたしまして外米の輸入方面を担当いたしておりますので、その後の経過を御報告申上げたいと思います。  現在計画いたしておりますのは、調査団を作りまして、これに対する予算を新たに頂きましたので、調査団を編成いたしましてタイ、ビルマ、台湾に現地調査に行つて頂く計画をいたしております。台湾が三名、タイ、ビルマ共にこれは七名ずつで、菌学者或いは医学者、それから検定要員、或いは穀物貯蔵関係のエキスパート、それから食糧庁のほうからこれに参加いたしまして、台湾は一カ月、タイ、ビルマは二カ月ずつということで調査に今月二十日過ぎに出発いたして参るという計画をいたしております。それからその際にどういうことをやろうかという問題でありますが、いろいろ細かな調査項目なりを今練つております。現地へ参りまして、いわゆる病変米の問題が日本でどうなつておるかということも説明いたさなければなりませんが、それと同時に、現地へ参りまして簡易な、簡易と言いますか、検定試験をこちらから準備いたして参りまして、これを現地の貯蔵状態なり、籾なり、原米なり白米なりというものにつきまして、検定試験をいたしてみまして、それからその結果によりまして、どうやつて参るかということが出てくるかとも期待いたしております。只今さような調査団の派遣を準備いたしております。これに対しましてタイ及び台湾からはこの調査団に早く来てもらいたいということを申して参つております。それから台湾につきましては、今年の六月下旬ごろから一期米を早く日本で買つてくれという話がありまして、価格の点で折合わないでずつと延びて参りました。ところが又加えるに黄変米問題が、病変米の問題がありましたので、今日まで延びておりましたけれども、一応台湾のほうといたしましては、我々が病変米を避けるために、いろいろ水分の問題とか或いは籾であるうちは予じめ検査してみて、その籾に菌のないというものを、精米して白米としてかりの貯蔵期間を短かくして、こちらに送つてよこすかどうか、或いは籾の水分を十四・五%以下にする、白米の水分を十三・五%以下のものを送つてもらいたいということを出しておりますが、かような点についてもすべて日本側の条件をのむ、それからなお調査団が参りまして、調査した結果によつて、なんらかこれに加える必要のある措置というものが出て参りましたときには、それも了承するから買つてもらいたい、それから値段は我々の希望いたしておりますあちらのFOBの百七十五ドルということで話がつきましたので、これはとりきめいたしたわけであります。従いまして調査団が今度台湾に参りまして、その調査の結果によつて引取る条件が整いますと、直ちに台湾かから積出して、一期米を日本に引取るという段取になつております。  それからアメリカの加州米でありますか、加州米については先般輸出精米所のグループが参つたわけでありますが、日本に非常に米を買つてもらいたいというようなことを言つておりますが、加州米につきましては、只今これは厚生省との話ができたようでありますが厚生省におきまして、権威者を二名、加州へ派遣してもらいたい、これによつて加州に行つて菌検定をいたしまして、無菌のものをずつと船積して日本に送りたいという話が出ておりまして、恐らくこれは厚生省のほうからは職員を加州に出張させるということにきまつたようにこれは加州の人たちが私たちに話して帰つたところであります。  それからイタリアでも非常に問題にしておりまして、イタリアの国の米の統制機関で管理しております籾の中で、優秀なものを一応籾で菌培養をし、検査をしてみて、合格したものを日本に送るようにいたしますから買つてくれないかというような話が出ております。  それから中共では籾で保管しておりますけれども、輸出契約ができたときに、精白しまして、白米としての貯蔵期間を短かくして日本に出すようにいたしたいから、そのへんで一つ話をつけてもらいたいという話が参つております。  これらにつきまして私どもとしましては、いろいろ更になお籾で保管しておる場合の試験とか、或いは先に申しました水分の問題とか、向うの船積みについての詳細な注意ということを申出ておりまして、日本に米がついてから、籾のときにはなかつたと思いましても、日本の港について食品衛生法の検査をやられた場合に菌が発見された場合において、このリスクをどうするかというようなことを、いわゆる積出国においての責任として認めてもらえるかどうかというようなことも話には出しておりますけれども、これについてのそこまで了承して日本に送ろう、輸出するのだという明確なものは今日まだ出ておりません。例えばタイにおきましては、日本の医学界においてどの程度まで明確に毒であるかということが判然としない限りにおいては、これを以て直ちにクレームの条件にすることは困るというような意見も出ております。それから現在におきましては、台湾米はさようなことで調査団も行きまして、いいとなれば買うということになつておりますが、その他のものにつきましては、一時停止と言いますか、輸入を中止しているというような形になつております。輸入関係につきましては大体さようなわけであります。
  78. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 現在病変米については、やはり何ですか、依然配給はしないということを保留したまま保管しておるというのですか。
  79. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) これは全部につきまして詳しくは存じておりませんが、一つの例として北海道で、これが厚生省の食品衛生法のほうの試験の責任者と協議いたしまして、再搗精をやつてみまして、その試験の結果いい結果が出て、要するにぬか等に菌が残つて、再搗精した米の白米の中には非常に菌がなくなつて来るということが出て、配給していいかどうか、そこで判断してやつてみようということがありまして、これは一つの例でありますが、試験してみましたところが、非常にいい成績がそこに出たのであります。出ましたので、これを北海道で道庁の承諾の上で配給をいたそうといたしたところまでは存じておりますが、さような例を聞いておりますので、方向としてはできることであれば、さようなことをいたしまして、配給し得るものは廻して行つたらいいという方法をとつておるものと存じております。
  80. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) その検査した結果、再搗精した結果、心配がないのだということをどういう方法で考慮されるか。ただ公表せずに黙つたままで手加減で配給の中に織込んでやるというのではないでしようか。何かそれに対する安心感の持てるような発表の方法なりを取つてなさると思うのですが、そのへんはどういうふうにお扱いになつておりますか。知らぬまに放任して、あとで調べたところが、再搗精したが病変米があつたということになると、又問題になるので……。
  81. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 北海道の例といたしましては、再搗精をいたしまして、出た試験結果というものを道庁に通知いたしまして、更に厚生省のほうから食糧庁に対しまして、これは配給して差支ないものであるという文書をとつて、それを添付して北海道庁に通告しまして、配給にのせようとしたということを聞いております。
  82. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 不徹底ですね。御質疑ございませんか。
  83. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 二十九年度と言いますか、今後一カ年間に外米輸入の予定量は幾らでございますか。
  84. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 十月から来年の三月までのいわゆる下期の予算を今いたしておりますが、これは米といたしまして、四十五万トンの買付をいたす計画になつております。但し来年の四月以降十月までいわゆる米穀年度で申しますと、今九十万トン程度のものを予定いたしておりますけれども、まだはつきり確定はいたしておりません。下期の四十五万トンははつきりいたしております。
  85. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 この四十五万トンの国別はどういうふうになつておりますか。
  86. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) この国別につきましては、いろいろ議論もございまして、議論と申しますのは、例えば台湾、ビルマの米を下期において幾ら買うかということによりまして、年間の買付量が想定されるわけであります。と申しますのは、三月一杯までに、タイ、ビルマの米を本当に現実に内地に到着させ得る数量がどれだけあるかということになりますと、タイ、ビルマ合せまして、昨年約八十万トン買つたものでありますけれども、三月末といいますと、恐らく十二、ミトンくらいしか着かないと思います。向うの出荷状況から見まして、これを相当量買うということになりまして、いわゆる病変米の問題がありますのは、これの一つの対策として、いわゆる雨期に入るまでに、これを内地に着けてしまいたいという、昨年やつた手でありますけれども、これをやろうということになりますと、三月までに現実に十二、三万トンくらいしか着かないであろうから、これだけしか買つておかないということになりますと、四月一日から船の事情もありますから、その面から行きますと、雨期前に相当量のものは引き取らなければならないという問題が出て来るわけであります。併しながら一方我々といたしましては、病変米の、特に危険性が多いと申しますか、この地帯がタイ、ビルマということにどうしてもなつておりますので、これについて我々といたしましては、余り大量なものを期待いたしたくないような気持もいたしておるわけであります。さようなことで四十五万トンの国別をどうきめるかという点につきましては、長官が外務省或いは運輸省、通産省と協議して頂くということになつておる。まだベンデイングになつております。総量四十五万トンということだけが決定して、閣僚懇談会を通過しておるものと知つております。
  87. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 私の伺うポイントをもう少しはつきりして伺つたほうがいいと思いますが、詰りタイ、ビルマ等の病変米の混入する虞れのある国からは入れたくないという気持ちがあるわけです。ところがタイ、ビルマとの通商関係、貿易上の関係から全然入れないというわけにも行かないというお立場もあるわけでありますが、その貿易上の関係は暫く抜きまして、病変米の混入を避けるという観点だけからいつて、この四十五万トンをタイ、ビルマ以外の国から入れる、こういうことが可能であるかないかということが私の質問の一つ。  それから今お話伺つて見ますと、台湾米につきましても、加州米につきましても、或いはイタリア、中共に致しましても、向うの心構としては、日本に病変米を入れないだけの考え方の用意があるというふうに伺えたわけなんですが、そういう用意がある、そういう気持のある国から、成るたけ不足の外米を輸入したい、こういう見地を貫ぬくとすれば、今の四十五万トンを只今お話のあつた台湾、加州、イタリア、中共、こつちから買う気になれば、全部買えるかどうかということも伺つて見たいというのです。
  88. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 今問題になつておりますのは、要するに総量四十五万トンの配分の問題でありますから、四十五万トン程度の米を買うには困難する問題はないと思います。例えば加州米につきましても、今年一割増産ということをいわれておりますけれども、加州米だけでも日本に買つてくれという希望をいた上ておりますのは、総量二十万トン、少くとも二十五万トン程度の話を持つて来ております。従いましてこれからまあどの程度選ぶかという問題があります。台湾にしましても、私たちとしては、今までに一期米三万トンということを申しております。二期米を合せましても、全体から申しますと七、八万トンのもの入るであろうと思つております。それから中共米につきましても、中共としましては、現在十万トンくらいを日本で買つてくれないかという話が出ております。或いはこれはちよつと状態がはつきりいたしませんけれども、朝鮮につきましても、相当量のものを日本で買つてくれないかという問題が出ております。それからアメリカにつきましても、加州米だけを申上げましたけれども、いわゆる南部米というものを持つておるのでありますから、こちらに入れまして準内地米でなく外米といたして扱つておりますが、これは南部において、昨年の米は十万トン程度不足になつておるということをいつておりますが、更に今年は新米が出て来るわけであります。四十五万トンをどこから買うかということは余り苦労ないと思います。ただ配分をどうするかということが、長官がよその省のかたたちと御相談願つておきめ願いたいという状態になつております。
  89. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 量の問題は今のお話解決できますが、値段の関係は如何ですか。どこが安くてどこが高い……。
  90. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 値段は先ほど申上げましたように、台湾につきましてはFOB百七十五ドルということにきめまして、これは百九十五ドルのいい値から始まつて、かようなところに来ているわけです。それから加州米のほうはまだ値段の話は出ておりません。それからタイは十月の、今月の二十五日過ぎから一応まあ米の話もいたして見ようかということにしております。これは値段は出ておりません。それからビルマにつきましても、十一月半ば過ぎからお話合いしたいというような話が参つておるところでありまして、これは値段関係は出ておりません。併しとにかく昨年よりも全体が下り傾向にあることは事実だと思います。従つて向うにいろいろな用意があるというような問題が出ておりますけれども、とにかく日本に是非買つてもらいたいということから来て、極力もみの時代で貯蔵してあるいいものをよこすとか、いろいろな話をつけて来ているわけであります。内地で菌が出た場合に、それを買収いたしますということを言うところはどこもないわけてあります。
  91. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 的確なる値段はきめられんでしようけれども、運賃その他のすべてのコンデイシヨンを考えの中に入れて、大体値段は似たようなものでございますか。余ほど開きがございますか。つまり台湾、加州、イタリア、中共、朝鮮、これらの中で運賃その他の条件を入れて、値段はこつちの交渉のしかたによつては変りませんですか。どこはどんなにうまく交渉しても高いということになりますか。如何ですか。
  92. 説明員(桑原信雄君)(桑原信雄)

    説明員(桑原信雄君) 私たちのほうで例えば今の台湾米の百七十五ドルということで折合つた話をつけるというようなことに行きます前提といたしましても、一応やはりこれは準内地米でありますから、加州米の従来の傾向とか、最近の作柄の様子とか、或いは台湾米、中共米というようなことも絡み合わして考えて行つておりますので、準内地米について船賃は多少問題はありますけれども、そう大きな開きの出るというところは、まず今年の、ように、売り込みの多く来ている状態でありますから、余り差がないんじやなかろうかというふうに見ております。ただ外米と準内地米の間におきましては、これは当然差がございます。
  93. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 長官見えましたからどうぞ。
  94. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 長官がお見えになりましたので伺いたいと思いますが、第一点は、配給不適格と厚生省がおきめになつた八万一千トン、そのまま現在でも在庫になつておりますか。
  95. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) すでに第二部長から申上げたかと思いますが、当委員会の御決議もございますので、これにつきましては、厚生省に対しましてこの現物を現在各大学の試験所で実験をしてもらつておりますので、実験の結果によりまして、十分学者間の御納得も得て、その上で措置いたしたいということで考えておりますので、これにつきましては手をつけておりません。
  96. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 その後、何か科学的に研究の結果、新らしい事実が発見されたでしようか。
  97. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) この実験につきましては、御承知のように、従来は病変菌を植付けまして、植付けたもので実験をいたしているわけでございまして、これは先般の東大の教授の御意見もございましたように、人為的に作つた病変菌を植付けましたものと、現実にあるものとの間には、相当の差があるだろうということは言われておりまするが、その差がどの程度にあるかということにつきましては、まだ実験をいたしておりませんから、わからなかつたわけでございます。従いまして現実にございますものにつきましては、実験を九月の確か二十四、五日頃から開始をいたしたわけでございます。まだ私たちといたしましては、中間的な報告を受けておりませんが、十月には中間的な御報告が頂場けるものと、かように期待いたしております。
  98. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 新聞で拝見したと思うのですが、再搗精の結果、非常に病毒のパーセンテージが減つた従つて北海道で一万トンでしたか、配給する予定があるのだというふうなことが新聞に出ておりまして、私ども実は一面喜び、一面驚いたわけなんですが、再搗精の結果、どの程度のパーセンテージが減つたかということの何か報告をお受けになつておるかどうか、或いはその結果、配給するというようなことが話題に上つたかどうか。
  99. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 再搗精によりまして低上をするだろうということは予想いたしておつたわけでございますが、この再搗精を北海道で実施いたしました結果は、非常に搗精度を低めましたから、殆んど防止をできるような見通しは持つております。併し只今申上げましたように、厚生省で折角中間的に現実の米につきまして試験を願つておりますので、その試験の結果を待ちたい、かように考えております。で、北海道では一応再搗精は実施いたしましたが、そのままにいたしておる次第でございます。
  100. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 再搗精の結果、非常に病毒のパーセンテージが減つたということは、非常にいいニユースだと思うのですが、その試験の結果の詳細を一つ至急にお取りまとめて、こちらに御報告頂きたいと思います。
  101. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 北海道のケースにつきましては御報告いたしたいと思います。ただ実は再搗精は北海道で実施しただけでございますので、私たちといたしましては、やはりもう少し各地で実験をしなきやいかんというふうに考えております。その各地での実験につきましては、折角厚生省のほうでいろいろ検討中でございますので、その結果を待つて全般的には実施したらいいだろう、ただ我々が試験的に、研究的にやつてみるということはいたしたいと思いますが、大掛りに配給数を前提といたしました再搗精は厚生省の中間的な御意見が固まりましてから、そうして配給を前提といたしました再搗精は実施いたしたいと、かように考えております。
  102. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 二十九年五月までの輸入外米の黄変菌の表は頂いておるのですが、五月以降に入りました外米のうちで、黄変米があつたかどうか、或いはあるとすれば、一体どれぐらいあつたか、その輸入数量総額と、これに対する病変米の数量、即ちパーセンテージ、これを伺いたい。
  103. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 詳しくは数量を持つておりませんので、別に御報告いたしたいと思いますが、御承知のようにまだ現在厚生省におきまする実験の時間的な関係でございますね、細菌を培養し、いろいろ検討をする期間が非常にまだ短縮することが困難でございまして、それにつきましては予備費で以て先般大蔵省のほうと話がついて、更にそれを強力にやりたいというふうには考えておりますが、まだ今の状態におきましては、時間的に相当の時間がかかつております。従いましてその後これは五月以降ということではございませんで、厚生省の結果、従来入つて来たもの、その後のものを合せまして、不適格として通知が参りましたのが更に八万トンよりも二万トンぐらい殖えたのじやなかろうか、詳細に私ども数字を持つていませんが、十万トン近くになつておるのじやなかろうかというふうに考えております。
  104. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 私の伺いたいのは、厚生省が、試験の結果、食糧庁のほうへ御通知になる期間は、短いのは二十八日、長いのは百五十五日、平均八十七日かかつているということが、この前の資料に出ておるのですが、一体三カ月近くも通知がおくれるというのはどこに欠陥があるのか、私は非常におくれると思うのですが、非常に早く通知をお送り頂くように絶えず努力して頂くのは勿論でありますけれども、私が申上げたいのは、この前資料を頂いてから後の最近までの外米の国別輸入数量と病変菌の有無、並びにその数量というものを一つ至急にお調べ頂いて表にしてお出し願いたいと思います。  それから次に伺いたいのは、検査方法の改善なんですが、サンプリングは厚生省のほうが担当していらつしやいますから、直接の御関係はないようなものでありますけれども、併しなんのために検査するというと、要するに配給のために適格、不適格をきめるのですから、本当の主人公はつまり食糧庁であるわけですが、今のサンプリングの方法は六百トンで三百といつたような非常に九牛の一毛にも達しないような少量の検査なんですが、人を殖やして検査の方法をもつと改善するということをこの前強く要望しておいたのですが、厚生大臣のここでのお答えでは、私は十一人ということを申上げたのですが、厚生大臣はほかの仕事も含めて検査に従事する人は二十四人だといわれた。これくらいの人で検査したつて、なかなかとても及びもつかない話なんですが、検査方法を、もつとサンプリングも信用性のあるものに、人間も殖やしてもらいたい。予備費は一億円請求しているということを大蔵省から聞いたのですが、その点について何か至急に改善したいということがあれば伺いたいし、こういうふうに改善するつもりだということがあれば、お伺いしたいと思います。
  105. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 只今の御指摘のように、サンプリングの方法といたしまして、我々も更にこれを合理的にサンプリングのとり方を考えて行かなければならない。私実はかように考えまして、私のほうからも委員を出しまして、これには統計学者その他サンプリングの統計的な考え方の人も加えまして、今小委員会を作つております。小委員会を作りまして、その小委員会によりまして、サンプリングの方法を具体的に検討中でございまして、まだ結論が出てない次第でございますが、その小委員会によりまして、より合理的なサンプリングの方法を検討して頂きたいということを今委嘱してやつております。  それからなお御指摘の厚生省におきましてのサンプリング試験要員の増加を大蔵省と予備費において交渉して、或る程度予算が決定したかと思いますが、具体的な決定の内容は私も承知いたしておりません。
  106. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 それから厚生省が不適格ときめました病変米を、その後お払い下げになつたことがありますか。今の八万二千トンをそのままというのは、お払い下げにならないように想像するのですが、その点如何ですか。
  107. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 払い下げておりません。
  108. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、この前請求しました資料の一部を頂戴いたしましたが、そのうちに日本糧穀株式会社に農林省が払い下げた数量と、それから会社から通産省へ売つた数量との間に百七トンの減耗がある。これは一体どういう訳であるか、食糧庁でも勿論であるが、法務省のほうでも調べてもらいたい、こういうことを私お願いして、その答えがここに来ているわけなんですが、つまり二%内外の減損はこれは止むを得んのだというふうな御答弁なんですけれども、私はこれは納得ができません。なお法務省の見解も伺つておきたいのですが、一体日本の内地へ一応来てから運送している間の減耗量の常識的の数量というものがあると思いますが、二%以上も一体米がなくなるということは大変なことじやないかと思うのですけれども、今まで運送している間に、恐らく入庫してから各県へ配給して最後の段階に配給するまでの目減りと言いますか、数量の減耗の一定の数字が出ていると思うのですが、何かそれの資料がございますか。
  109. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) このロスの問題はいろいろな事情によつて異なつておりますが、我々通常過去の実績からいたしまして、需給計画を組みまする場合、これは内地米、外米によつてそれぞれ統制との関係、それからその当時いろいろな事情によつてつて来ると思いますが、需給計画全体といたしましては、やはり二%程度のロスを一応見ている。ただロスの軽減につきましては二%はお説のように相当な数量に上りますので、これを軽減するためにいろいろな措置をとつておりますので、だんだん減少して参つておるということは考えられます。ただ需給計画といたしまして、通常考えます場合におきましては、二%のロスを一応考えておるわけでございます。実績はこれよりだんだん低下しているのであります。これをどういうふうな形で考えるか、これは場所によりまして具体的なデーターというのはなかなかないので、大体需給計画につきまして、従来から二%のロスをとつているのは、曾つてこのあれは昭和二十四、五年でございましたか、一度そのために調査したことがあるわけでございます。その当時の実績を基にして需給計画上、そういうロスを見込んで需給計画を立てております。併しこれは商社との関係もございますし、又我々の関係から言つても、相当減少しておるということは言えると思いますが、具体的にこれをまだ全般的に調査はいたしておりません。
  110. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 外米の入つた数量、つまり入庫数量と配給の、末端まで行かなくても府県に渡した数量なり、その間の全般的の減耗量の資料を一つお出し願いたいと思います。私はどうも二%一八という数字が出ていますが、四千トンで百七トンあれば二%四、五分になりやせんかと、算盤をおいておりませんので私何とも申上げられませんが、ただ日本糧穀株式会社に渡して、それが通産省に行つたというだけで、どうも二・二%以上の減耗というのは、いろいろ理由が書いてありますけれども、私は納得が行かないので、具体的にもう少しお調べを願いたいと思うのと、全般的のこれを裏付けるような一般の数量の事実の資料を頂きたいと思います。  それから和歌山県における黄変米の横流しについての資料が出ておりますが、この前私のお願いした趣意が十分食糧庁のほうに伝わつていなかつたのじやないかと思うのです。肝硬変症の発生したことについては確証がないというのでありますが、これは衆議院の決算委員会の資料をお調べになればすぐわかるのだし、衆議院の決算委員会にも食糧庁関係のかたがお出になつていると思うのです。私がこの事実を速記録の中から見てわかるぐらいのことが、御答弁がわからんはずがないと思つて、私はこの答弁に対しては非常に不満であります。というのは、衆議院の決算委員会においては、当時法務省が調べたところが、十一名の硬変症患者が和歌山県に発生した。併しこの硬変症患者は横流れの米とは関係があつたという確証は得られんということを法務省のかたが衆議院の決算委員会報告していらつしやる。私の伺つたことは、その段階においては、これはたしか今年の二月じやなかつたかと思うのですが、その段階においては、そうであるかも知らんけれども、とにかく肝硬変症と黄変米とは関係があるということを医学的に専門家が言つているのだから、その後において事態はどうなつた。若し厚生省或いは食糧庁にその点が解らなければ、民間の医者に聞けばすぐわかるのだから、その十一人の人の現在の体の状態をカルテによつて調べて報告してくれ、こういうことを私は申上げたので、誠意があればそんなことくらいすぐ調べられる。こういうあいまいな答弁を頂くということについては、私は非常に不満に思いますと同時に、大倉委員、今選挙をやつていらつしやる大倉委員は、長崎県かどこかのことで、大変肝硬変患者が出たということを新聞紙上で拝見したが、それは食糧庁知つていらつしやるか、いや知りません、それは初めてだ、調べて見るということで、この前の決算委員会は別れたのですが、その後実際お調べになりましたかどうか。
  111. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 私、衆議院の決算委員会に出ておつたのでございますが、その当時厚生省とも一緒でございましたが、厚生省もその当時は和歌山県においてそういう状態が発生したということを聞いてないというふうな御返答だつたと思います。只今の法務省の関係のときには私列席いたしておらなかつたかと思います。よく速記録を見まして法務省に問合せたいと思います。我々その当時問題が起きましてから、厚生省に伺いましたときにおきましては、そういう話は聞いておらないわけなんであります。それが第一点でございまして、第二点の長崎県の問題につきましては、事務所に連絡をいたしまして、そういう事実があるかということを聞きましたが、どうも専門家でございませんのか、事務所のほうではそういうことはわからないというような返事でございました。これはやはりそれの専門の方面で十分調べて頂かないと、我々としてはどうにもならないのであります。
  112. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 私の申上げたいのは、病変米が健康に如何なる影響を持つかということに対する当局の考え方が深刻でない、私はその点が実は非常に不満なんです。一体大倉委員は忙しい中を新聞記事でここでおつしやつて、食糧庁は初めてだということ自体がすでに食糧庁としては恐縮をしなければならん事態ではないかと私は思うのですが、すでにそういう発言があつた以上は、わざわざ人を派しても、それを調べればすぐわかることなんで、いずれ出張所やなんかに書面をお出しになつたか電話をおかけになつたか知りませんが、未だにはつきりせんということに、私は非常に不満を持つ。それから和歌山県のことは、二月頃の衆議院の決算委員会で、人数は十一人だと、忙しい中をちよちよいと会議録を見てすぐ私は発見するくらいの問題なんですから、いま少し誠意を以て部下のかたにおつしやれば、こんなこと調べられることは私は何でもないと思うが、根本は病変米に対する認識が、どうも厚生省とのなすり合いのように見え、私は食う問題だけに非常に深刻に考えているんです。だからもうちよつと親切と申しますか、慎重にお考えを願いたいということを強く私はお願いする。この和歌山県の問題はもう一遍至急に一つお調べを願いたい。これは法務省にお聞きになればすぐわかる、法務省の人がそう言つたのですから……。長崎県のことも大倉君は選挙で飛び歩いているでしようが、新聞の縮刷版を御覧になれば、すぐわかるのだから、もう少し問題を親切に取上げて頂きたいということを重ねてお願いをいたします。  それから私ばかり申上げて甚だ申訳ありませんが、もう一点だけ、私は病変米を配給すべからずという決議案にもあります通りのことを強く思つているわけなんですが、通産省にそれじやアルコール用として買えば、一体どのくらい買えるかということを資料として要求しましたら、生甘藷の消化に圧迫を生じない限度においては、二万トン程度をトン一万七千円見当なら買う、こう言つているでんすが、今持つている八万一千トンのうち二万トン程度をトン一万七、千円前後でならアルコール原料として通産省に直接お売りになるというお気持がありますかどうか。
  113. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) 私たちといたしましては、この処理については非常に慎重にいたしたいと思います。ただ先ほども申上げましたように、厚生省の一応の中間的な御試験を願つております。問題になりましたのは従来一%ということでやつておりましたのを二・五%というふうに率が上つた、併し日数は制限したということに問題があつたかと、学者間の御意見の違いがあつたかというふうに私は承知しております。それにつきましては、今申しました八万トンの中には〇・三%、一%に非常に少いものが相当入つている、従いましてこれを処理いたしまするにつきましても、何%以上のものをアルコールにする、何%以上のものは味噌とか醸造用にする、そういう新たな段階として検討が考えられますので、そういう検討がつきましてから、その処置をいたしたい。従いまして現在におきましては、アルコールにつきましてどの程度の数量をやるかということを通産省とは交渉いたしておりません。
  114. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 横流れの心配がありませんし、そういう心配もないから、余ほど支障がない限りは、少くともこの二万トン或いはもつと買つてくれという意味で、工業用の原料に通産省にお売りになるのが一番いいんじやないか。値段の点はどうすればいいか、結局言い換えれば、国損になるんですから、どの省が負担しようとこれは大した問題じやないという点をつけ加えて強く私はお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ、今頂いた資料の中に三万三千トンの、つまり厚生省が最初不適格ときめた十一万四千四百七十六トンのうち、八万一千トン残つている、その中で三万三千トンは民間にすでに出ちやつた、その行先がどうだと、こういうことを伺つたのに対する資料を、ここに頂いておるわけなんですが、この総計は二万一千六百三十一トンで、一万一千三百五十二トンは、これは厚生省が十一万四千トンを十万四千トンにあとで訂正したが、従つてこれだけの数量の違いが出てもやむを得ないということでありますが、そういたしますと、一万トンはすでに配給されてしまつたということなんですか。
  115. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) その通りでございます。
  116. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 いつ配給されたのでしようか。もう一つ、私質問の要点を変えます。それじやこの配給された一万一千三百五十二トンというものは、どの程度のパーセンテージの病変菌があつて、どこにどういうふうに配給されたかということの事柄を併せて資料として御提出願いたいということだけをお願いしておきます。
  117. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか。先ほど長官がお見えになるまでということで留保しておいたのですが、決議に対する食糧庁の態度は、この前伺つておきましたが、その後この決議に副つてどのような措置をとられておるか、長官から簡単に御説明願えれば結構なんです。
  118. 説明員(前谷重夫君)(前谷重夫)

    説明員(前谷重夫君) この件につきましては、御決議がございましたので、第一の国民が十分に納得するような科学的な裏付を基礎にいたしまして、これに対応する措置をとれと、こういう御意見でございましたので、先ほど申上げましたように、現在あるところのサンプルを以ちまして、一%からのもの、二%のもの、三%のもの、それぞれパーセンテージことに現実にある米を以て動物実験を今実施いたしております。その結果の中間報告が十月中には厚生省も或る程度の見通しの見当がつくのじやなかろうかということで、鋭意厚生省にその試験の促進をお願いいたしている次第でございます。  それから第二の点につきましては、まだ用途を決定いたしておりませんし、処分もいたしておりません。この厚生省の、第一におきまする検討によりまして、その結果に基きまして用途別の配分計画を立てたいと、かように考えております。勿論これは主食以外に、ほかの用途に流れないように、又従来御指定がございました問題点がないように、これは法務省とも、十分にこれを処理いたしますときには、連絡をあらかじめいたしておきたいと、かように考えております。  それから第三の、根本的に輸入の買付方法を改善いたしますために、先ほど業務部長からも申上げたかと思いますが、只今外交交渉で以て各国に要請をいたしております。その要請は、先ず第一に現地一つ試験をし、研究をする方法を講じたい。そこでタイ、ビルマ、台湾に対しまして、タイ、ビルマに対しましては約七名の専門家、学者、医者、細菌関係の人、厚生省の検査をする人、それから我々の係官というふうなものを二カ月の予定で派遣いたしたい。それから台湾につきましては一カ月の予定で派遣いたしたい、かように考えておりまするし、同時に相手国政府に対しましても、その協力方を要請しまして、タイ、台湾からは十分協力をするということでございまするし、又タイに対しましては、こちらにございます見本を送つて、あらかじめ向うでその研究を進めてもらつていると、こういう手をとつております。同時に買付につきましては、我々といたしましても、これを向うの保管状態の改善のために、でき得れば籾を指定いたしまして、その籾で検査して、それから精米に持つて行く方法をとれないかというふうな、買付方法の改善につきましては、いろいろ検討をいたしております。加州米につきましては、先般先方からも使節団が来まして、先方の金で以て厚生省の試験官を招聘いたしまして研究所を作りまして、そうしてその研究所において検査をして行く、こういう話が進行中でございます。タイなんかにおきましても非常に協力的に出ておりまして、これにつきましては向うの試験所の一室をすでに用意しておる、こういう事実もございまするし、ビルマも最近の使節団との話合いでは、できるだけ協力をしたいという傾向が出て参つております。
  119. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) わかりました。
  120. 八木幸吉君(八木幸吉)

    八木幸吉君 今決議の第三項の各項目別については、今日は時間の関係がございますから、食糧庁のお考えを書いたものを一つ委員会へお出し願いたいと思います。  それからこの三万二千トンとここに書いてあるのが二万一千トンしかありませんが、各府県にいわゆるお出しになつた黄変米の売却済数量、この数量の中の横のほうにパーセンテージを一つ入れて下さつたのをもう一枚頂きたい。パーセンテージだけのことで結構でございますが、パーセンテージがここに入つておりません。つまり〇コンマ幾らあるとか、病変米の混入パーセンテージですね、それを一つお入れを願いたいと思います。それから先ほどお願いしました資料は、後刻委員部のほうへ出して頂きたいと思います。
  121. 委員長(小林亦治君)(小林亦治)

    委員長小林亦治君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後一時五十八分散会