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1954-10-07 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月七日(木曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            木村 守江君            白井  勇君            高野 一夫君            宮澤 喜一君            三浦 辰雄君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            山田 節男君   説明員    自治庁財政部長 後藤  博君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    法務政務次官  長谷山行毅君    法務省訟務局長 浜本 一夫君    外務政務次官  秋山俊一郎君    外務省欧米局渡    航課長     針谷 正之君    会計検査院事務    総局検査第一局    長       池田 修蔵君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算 ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算 ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書国家財政経理及び国有財産の管理  に関する調査の件  (国有財産虎門公園地原形復旧  に関する件)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第十一回決算委員会を開会いたします。  初めに理事補欠互選についてお諮りいたします。  理事谷口弥三郎君が九月九日委員を辞任せられたため理事一名が欠員となつておりますが、九月十三日同君が再ひ委員となられましたので、先例によりこの際再び同君理事指名選任することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。それではさよう決しました。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 本日の議題に入ります。  本日は昭和二十七年度決算総理府所管保安庁及び自治庁並び外務省所管について議題といたします。  なお、本日はかねて調査事件となつている虎の門公園地原形復旧に関して本院の質疑の経緯について午後三時頃法務当局が見える予定でありますから、あらかじめお含みおき願います。  それでは保安庁について検査報告十八号から二十五号までを問題に供します。  先ず検査院説明を求めます。
  5. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 保安庁関係でございますが、十八号から二十四号までの七件は物品購入中不急と認められるようた事態のグループに属する問題でございます。  第一の十八は、折畳寝台を買われたのでございますが、買われる際に、実際買われたのは七千三百八十八台を買つておられるわけでありますが、七万五千名の定員に対しましては、二千八百余りで実はいいことになつておるわけでありますが、これを部内の取扱い上の間違いから七千三百余台を購入されたという事態が起つたわけでございまして、七万五千名が十一万名になりましても、なお相当の余剰ができると、こういうふうな事態でございます。  十九号は、看護婦用被服類を約一千万円購入されたわけでありますが、二十七年度当時は、看護婦を入れる病院の、実は建設の計画もなかつた。こういう事態、而も看護婦を採用されましたのは、二十七年度においては、僅かに予定の三百八十四名に対して、五十七名にしか過ぎない、こういうふうな事態でありますのに、急いで全員の被服だけを購入された、こういう事態でございます。  それから二十号は、セミトトレーラー低床型二十トンを百三十四両購入されておるのでありますが、これにはトラクターが大体八十両ほど必要ということになつておるのでありますが、これをけん引するトラクターが二十七年度末に、僅かに三十二両が購入契約をされておる、こういう事態でありまして、ものの調達について両者を勘案することなく、ただ一方だけを購入されておる、こういう事態でございます。  二十一号は、靴の補修用当て皮を一万四百坪購入されておるのでありますが、当時の必要量その他を勘案しますと、これほど購入される必要はなかつた、こういう事態でございまして、当時の手持を使われて、購入されたものを合せまして、なお二十八年の八月になつても二万四千坪が各補給廠に残つておる、こういうふうな事態でございまして必要量を勘案して購入すべきという事態でございます。  次は二十二号でございますが、これも靴補修用ゴム本底を五万個余り購入されておるわけでありますが、このゴム本底は大修理に使うためのものでございまして、当時の保安庁におきます靴の補修状況から申しますと、部隊補修し、或いは工場補修する、こういう仕組みにはなつておりますが、部隊人員その他が整備していないという関係上、小修理をも工場修理されなければならない。こういうふうな状態でございまして、当時の人員等資材整備状況から申しますと、かように大量に購入されても、直ちに消化方法がない、こういうふうな事態でございます。  実は二十三号でございますが、二十三号は地図用特殊フイルムを百四十六ダース購入された件でございまして、このフイルム地図複製車号カメラセットがあつて初めて十分な用を達するわけでありますが、購入される当時に六号カメラのセツトの仕様も決定していないというふうな状況下におきまして、而もフイルムのように命数に限りあるものを早目購入する必要がなかつた、こういう事態でございます。  二十四号は、無線電話工事用の本柱を千二百余水購入されたのでありますが、この購入されるに当りましては、実際に部隊状況所要昂が幾らであるかというふうな点を十分勘案されないで、ただ一部隊が五十本から三百本というふうなことで購入された結果、その購入計画が杜撰であつた結果、部隊におきましては、実際これを受取りました部隊におきましては、本来の用途に使用することができなかつた、或いは送つてもらいましたところではすでに仕事が済んでいる、不要になつている、他に転用するというふうなことをしなければならない、こういうふうな事態が起つているわけであります。以上かような事態が起りましたことは、結局物を購入されるに当りまして部隊人員とか施設、機械の整備状況、いろいろの点早言勘案されなかつたために、かような事態が起つたものと思うのであります。考えますに、役所その他の機構が十分整備したところでは、こういう事態は比較的少かろうと思うのでありますが、特に保安庁のように新らしい、而もいろいろの器材その他を整備されなければならない、こういうときには殊更にいろいろの面で十分連絡或いは研究をされて、その物品購入資材調達をされることが望ましいのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。  それから次は二十五号でありますが、これはトラックを購入されるに当りまして注文当時に納地をきめておられましたのでありますが、その後において納地を変更するという事態が起つたわけであります。その起つた時期にはまだ会社から当初納入予定地には発送されていなかつた、こういうふうな状況下でございまして、そういう場合には、会社連絡して適宜の措置を取れば直送ができる、それだけ運賃も安くできるということでございまして、そういうふうな措置が取られなかつたために、運賃が約五十万円要つておりますが、今申しましたように、直送措置が取られたならば、九万円程度くらいで済んだのではなかろうか、こういうようなふうに考えるのでございます。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑のおありのかたの御発言を願います。
  7. 山田節男

    山田節男君 この今指摘されておる自衛隊物品購入に対する不当批難事項指摘されておる点について感じますことは、自衛隊として大体これほどの多量のものを購入しなくもやならんということは、これはもう当然のことであつてただこれを如何に計画的に又経済的に購入するか、その所管は例えば調達局であるとか、とにかく調達に関する専門の部局があるだろうと私は思うのですが、    〔委員長退席理事島村軍次君着席〕 と同時に、今二十五で指摘されておるような機宜の処置をとらない——これはむしろ補給に関する問題でありまして、補給に対する計画性のないところに、こういう事態が起きて来るのだ。そういたしますと、やはりあれほど多額な物件購入しなくちやならんという建前から、調達とそれから補給という、而もこれが全国広汎な地域に亙つた長距離輸送をしなくちやならんというような補給の必要からいえば、調達補給というものが、やはり何といいますか、有機的にこれが運用されないところに、一つの弱点があるのではないかと思う。こういう事態に鑑みて、調達補給というものに対して当局は一体改善するのにはどういうようにするつもりであるとか、改善したいとかいうことの改善に関する御意見があれば、一つつておきたいと思います。
  8. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 調達の先ず面でございまするが、これは御承知であると思いまするが、本年度の前の国会におきまして防衛関係の二法案を御審議願いましたときに申上げましたように、調達関係につきましては、調達実施本部というものを附属機関として作りまして、陸上、海上、航空の三幕僚監部を通じまして調達業務の一元化をいたした。従いまして従来のように各幕僚監部におのおの調達関係部局がございまして、それがおのおのの幕僚監部内部において動いているのと違いまして、これを全体に見まして発注補給というような面から見ましての十分な神経を働かすように、人数を本年度は非常に増加をいたしておりまして、第一幕僚監部にございました調達実施の当時に比べまして陣容も非常に強化をせられておるわけでございます。その調達の実際のやり方につきましても、御指摘のございましたように、いろいろ発注方法にいたしましても、補給方法にいたしましても、いろいろあるわけであります。調達現実やり方といたしましては、調達実施本部の中に部を、部ということになつておりますが、三人の副本部長というものを置いて、これが契約関係原価計算関係検査関係、それと全体の締め括りの関係というようなものにおのおの責任を持たせまして、その間の統一的な調整をいたして行きたい。これが現在動き出しまして三幕一本にいたしました機構として動き出しておりまする一番顕著なる点であります。  補給の点につきましては、この事項の中にも現われておりますように、補給廠というもの、これは陸の関係でございますがございまして、これが非常に大きな役割を果しておるわけであります。ただこの中に御指摘を頂きましたよに、当時におきましては、相当補給廠発足はいたしておりましても、設衛の関係或いは施設関係、そういうふうな関係で期待せられたような動きにまで達しておらない。その後におきまして大体二十七年、二十八年というふうに整備をされまして、大体現在のところは、各地区補給廠或いは中央補給廠というものが、今の御指摘をこうむつておりまするような修繕の関係、そういうような施設にいたしましても、或いは物を蔵置いたしまして、蔵に入れましてこれを補給いたしまする倉庫を逐次整備を重ねております。従いましてこの補給のほうの関係の非常に大きなものであつて整備の足りなかつた補給廠というものが、この一、二年の間に相当急速に整備をされたという点が、これが山田委員の御指摘の第二点の補給関係におきましての最近におきます顕著な点でございます。  大体今までに本件御指摘以後にやつておりまする主たる点はそのようなものであります。
  9. 山田節男

    山田節男君 調達補給海次機構を強化拡充することによつて、今経理局長が言われたように整備されるものと期待します。そうなくちやならんと思いますが、二十九年度の保安庁令に、自衛隊予算で船体を発注する場合に、現在の会計法によれば、これはもう競争入札しなくちやならん。ところが船艇という特殊な性質から見て、競争入札ということになれば、安いほうがいいということは言えますが、やはりあの船艇性質上、そう安いからいいというのでなくて、相当立派なものでなければいかん。そこにやはり随意契約或いは指名によつて良心的な堅牢な、又予算がとつてあるのでありますから、少くとも予算を割らなくても予算の全部までも使つて良心的にできれば、私はこれに越したことはないと思う。私拝関するところによると、今年度の船艇発注においては、会計検査院の了解を得て随意契約にした、こういうことなんです。これは私は国会としても、こういつたような性質のものに対しての随意契約ということは、これは私は決して責めるのでない。むしろそれは適当な妥当な処理じやないかと思う。ところがこうして殊にそれはそれとして、ここに指摘しているような主として消費物件というものは、これはこれで見ますと、競争入札でやつておられるものと解釈されます。併し例えば被服であるとか或いは所用毛布であるとか、こういつたようなものは、これはかなり多量多額なものを要する。年々これは消費物資として消費の額というものの見当がつくわけであります。これは御承知のように、終戦前は歴史的な必要もあつたのでしようが、陸軍なら陸軍海軍なら海軍、殊に陸軍被服廠或いは施設補給廠製絨所、こういつたような資材の製造までやつている。併し今日以後において、かような必要はないと思いますが、少くともこういうような不当事項が起ることを防止するということと、それから隊員の使用するものが飽くまで堅牢である、良心的の生産品を使うということになれば、経理局長物品購入ということは、私は相当これは考えなくちやならんことじやないかと思うのです。  そこで私のお伺いしたいことは、こうして船艇以外の消費物件の中でも、競争入札によるよりも随意契約によつたものが、先ほど申上げたような、より良質でより廉価なものが得られるのじやないかと思うのですが、今までの御経験で、こういつた消費物件に対するものは、飽くまで競争入札でいいというお考えか。或いはその中の大部分については、やはり船艇と同じような意味においての一つ随意契約を許してもらいたいというようなことを希望される品目等があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  10. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 只今お尋ねの現在の指名競争或いは一般競争によつておるもので、随意契約に出たほうがいいと考えられるのじやないかというお尋ねでございますが、現在会計法におきましては、契約性質或いは目的が効を奏しないという場合におきまして、随意契約方法があり、その他若干の規定があるわけでございまして、現在会計法の下におきまする運用をいたしております。従いまして会計検査院あたりともいろいろ御相談をいたしながら、現実運用山田委員指摘のような弊害に陥らないように極度に気をつけてやつているわけであります。  そこで前のことを申上げますれば、若干古い会計法におきましては、例えば軍艦の買入というようなものは、頭から随意契約でやつていたという時代もございますし、私どものほうは一般の官庁の物資と違います特質を持つておるものが若干あるわけであります。従いまして、そういうようなものにつきましては、何らか今の会計法違つた頭で考えて見る必要があるのじやないかという議論は内部にないわけではございません。そういうような点につきましての検討の点でございまするが、これは私ども今後も内部におきましてどういうようなことが最小限度必要であるかという点は検討して見たいと思います。現在発足の早々でもございまして人員におきましても、機構におきましても、まだ十分に整備をいたしていない点もございまするので、そこら辺のことも睨み合せまして、余ほど慎重に考えて見ませんと、現実契約実施の面におきまして、若干の故障を生ずるというようなこともあり得ると思います。目下のところは、会計法の枠内におきまする運用で、随時会計検査院あたりとも御相談をしながら、できるだけ間違いのないものが、而も廉価に手に入るというような方法を考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  11. 山田節男

    山田節男君 これは私は業者としての経験ではありませんが、進駐軍の組合の関係者として、しばしば横浜にあるアメリカJPA、これは調達部のような仕事をしているところでありますが、そこにおる首脳部或いは幹部等としばしば会見してそのときにまあいろいろ私も質問したり、見て感じますることは、あれだけ厖大な購入を、海外買付をやるのでありますから、勿論相当な陣容を整えて、相当な費用を使つて、そして言語習慣を異にする業者をつかまえて、そうしてできるだけ金に値いするだけのものを調達するということについての、私から見れば殆んど涙ぐましい努力をしている。同時にその半面においては、日本業者は全く出血販売を強制されておるというような事態も実はあるわけなんです。併し私はそういうことは一応問題外として、アメリカの税金を以て調達するということになれば、これはもう非常に厳密な査定、それから技術的或いは品質検査等においても、これは私は保安庁或いはその他直接公社等の非常に大きな消費物件のために金を使う政府関係は、実際私は知りませんけれども、併しこのJPA現状を見ると、これは非常に科学的に、そしてビジネス・ライクにやる、金を生かすということに重点を置いているわけです。これは自衛隊調達補給というようなことについては、私はもう当然今後のこれは問題として十分に検討されていると思うのですが、一体現在の調達事務というものは、これは経理局長の管下にあつているのか、調達部経理局の、いわゆる向うで言えばコントローラー(支出官)であるが、同時にそういつたような発言権を持ち得るような機構に私はすべきじやないかと思うのですが、こういう点は不当事項の発生に鑑みて、相当私は今後の機構上においては、一つ構想を持つておられるだろうと思う。現状と将来のこういうものに対する構想というものがあれば、一つこの際お示し願いたい。
  12. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 部内構成のほうのお答えを申上げますると、調達実施本部がございましてここに本部長があるわけです。これは長官の下におきまする附属機関でございまするから、従つて一応本部長の命令で参るものと思います。併しながらその中の重要な調達につきましては、これは当然長官の承認を得ることになつておりまするので、方針の問題のみでなく実施の問題につきましても、重要なものにつきましては、内局と申しまするか、内部的な相談を受けております。ただ内部部局構成といたしましては、装備局という局がございまして、この装備局がそういう物品調達などの方針の基本をきめ、全体をとりまとめてやつておりますので、局の組織といたしましては、装備局事務になるかと思います。経理のほうから申しますと、これは御承知のように、毎四半期支出負担行為という制度がございます。従いまして防衛庁といたしましては、防衛庁の整理いたしました予算を各幕僚監部機関に割当て、この支出負担行為を受けますのは、内局経理局が発案をいたしまして、長官の御決済を頂きまして配付いたしますので、この支出負担行動を受けます場合において、当然経理局としての案を作るわけでございます。それから支出関係におきましては、これは調達実施本部会計課長支出官であります。  そこでお尋ねの全体の運営につきまして、只今指摘のありましたようなJPAのような、簡単に申せば弾力があると申しますか、さような運営で行くほうが国費の節約にならないかという点であります。私はJPA現実運営余りよく存じておりませんが、私ども承知しておりますところでも、簡単に申せば、日本買い方に比べまして弾力がある、例えば入札をいたしましても、最低の落札者に対して必ずしも落さないでいいんだ、低いほうの人間を何人か呼びましてそこで非常に値踏みをするというように承知しております。これは山田委員もいろいろ御指摘のようにプラスかマイナスかの問題があるかと思いますが、そういうことから申しますれば、安い調達ができるという点につきましては一つ方法かと思います。そういうような調達やり方の規則、それが日本アメリカとの間に相当な違いがあるわけです。これは主計局におきましても勉強して参つているようであります。私どものほうでも、どういうような点でその弾力を持たせることが、山田委員の御指摘なつたような濫用の弊を来さないで、而も安い調達ができるかというようなポイントになるかと思うのであります。今の会計法をそのまま適用して行つたのでは、どうもいろいろ余分の負担が出て参るというような事実、或いは一般競争のために、殊に安いかも知れないが、非常に性能を重んずるようなものにつきまして、性能の点での必要な程度を満たさないということ、ここら辺のところは我々のほうの規格をきめまする問題、これは規格が相当よくきまつておりますれば、その規格に合つているということで、大体諸要請を満し得るが、なかなか性能というものは微妙なものでございまして、現在きめきつている規格だけでは、それがとらえられないというようなこともございまするので、何らかそこにうまく解決する方法がないかという点は、これは幕僚監部のほうにおきましても、私どものほうにおきましても、研究いたしております。ただ先ほどもちよつと申上げましたように、極く簡単に申上げますると、非常に各個の場合に適正に動くような法規、この法規を動かす主体と申しますか、機構と申しますか、人員と申しますか、そういうようなものの訓練、或いは信頼性というような言葉がございますが、そういうようなものが、それを十分に振り廻わせるかどうかということにもかかる、そういうような観点と睨み合せまして、どういうようなことを考えたらいいか、これらにつきましては、会計検査院のほうにも御意見があると思いますが、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、何らかの特例みたいなものを考えてはどうかというような考え方は勿論あるわけでございます。ただ今日明日にじやどうだということになりますと、なかなかそれは慎重に考えなければならん問題じやなかろうかというふうに考えております。
  13. 八木幸吉

    八木幸吉君 この二十七年度の会計検査院報告を今拝見したのですけれども、随分物の買い方計画性がなくて乱暴なように思うのでありまして、例えばベット一つ買つても七千三百八十八台買つて、四千台近く予備に残さなくちやならん。或いは看護婦の服を買つても、まだ病院の敷地さえきまつていない、どこに一体連絡の不備があるのか。我々民間の会社等の多少の経験のある者の目から見れば、実にどうも不整理極まるという感がするのでありますが、例えば十八、十九等の事項について、どんなところにこういう問題を起した欠陥のポイントがあるかという点について伺つて見たいんです。
  14. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 別に、「昭和二十七年度歳入歳出決算検査報告に関し国会に対する説明書」という参照書を差上げておりますので、若しお持ちでございましたら十八頁のところから今お尋ねの十八が始まるわけであります。全体といたしまして、八木委員指摘になりましたように、非常に何と申しまするか、右の手でやつておりますことと左の手でやつておりますこととの間の連絡が悪いというお叱りは誠にその通りでございまして、これは甚だ、発足句々と申しましても三年ほど経つておりますが、まあ増員の関係がございましたし、手不足である、或いはまだ十分に人員訓練ができていないというような点がございまして、そういうようなことから、こういう事柄を惹き起したのでありまするが、十八のほうのお尋ねに対しましては、定数というものが御承知のようにございます。これは各部隊に対しまして、武器の、例えば特科の一個大隊は砲が何門であるというような武器の話から、一般の車輌、通信機材、あとの備品類に至りまするまで、一応定数というものがあるわけでございます。従いまして特定の部隊編成に対しましては特定の定数があることは御承知通りであります。そこでこの最初の時期におきまして、定数を揃えて参りまするのに、当時の事情として止むを得なかつたことと思いまするが、アメリカの装備定数というものを基礎にいたしまして、それを基礎として考えて参つたわけであります。その際に装備品の種類というものが非常に多数ございまして、これを書き卒しまして、その書き卑しましたものに基きまして、いろいろな発注なり何なりの材料としたわけであります。  その次は誠に申訳ないことでございまするが、ここに書いてございますように、二千八百八十八という数字を七千三百八十八というふうに見違えて書いた。その結果といたしましてまあこれは十分にチエツクをいたしましたときに、或いは気のつき得ることであつたかも存じませんが、何分にも装備品というものが非常に種類が多いものでございまするから、これはでき上つたものをずつと眺めて見ましても、ここの七千三百というものはどうも間違いだというようなことは、ちよつとわかりにくい状況であつたかと思うのであります。そういうような間違いが因になりまして、この調達をいたしたのではないか、非常に何と申しまするか、簡単だと申しまするか、ちよつと弁解のいたしようがないような間違いをいたしているわけでありますが、事柄といたしましては、そういうような経緯を以ちまして、写しがえをいたしましたその写しがえに基きまして調達の数が間違つている、こういうことに相成つているわけであります。  それから看護婦の定員の十九番のほうのお話でございまするが、これはこの計画に書いてございまするように、東京、札幌、福岡、ここにおきましておのおの三百床、六百床というような大きな病院を考えている。これは二十八年度の国会こおきまして御議決を願いました予算にあるわけであります。それで一応予算を御議決を願つたのでありまするが、二十七年度はここにございまするように、国会の解散などによりまして成立が遅れました結果、成立の時期が遅れた。そのためにこれらの工事に着手をいたしまするのに時間がかかつた。ところが前段にもございますように、福山の病院と針尾病院は既設のものがございましたので、この既設のものにつきましては看護婦を入れる、従いましてそこの看護婦の服を発注いたすという必要か起つた。そこで五十七人というものだけにつきまして発注をいたしますればよろしかつたわけでありますが、予算にきめられておることでございまするし、まあ工事が済みますれば看護婦が入る、従つてそういうようなことを織込みまして一括して量のやや多いほうを発注したほうが安いという関係も考えまして、一括して発注いたしました。ところがなかなか用地の問題というような問題もいろいろ非常にかかりましたために工事が遅れまして、ここに御指摘を受けましたような時間にズレが起つた。概括的に申上げますると、この二十七年の御指摘になつておりまする事百項を通じまして器材と申しまするか、物品のほうの発注施設乃至設備の充実とが時間的にズレました。これは一つは用地の取得というような問題もございます。もう一つはそういうような装備の持ちます規格と申しますか、どういうものがよろしいかというような規格の点でズレてそういたしますと、八木委員指摘のように、それを中央の一貫した神経で睨みを利かしておかないと、右の手と左の手とすることが食い違つて来る、この点では非常に御指摘のように残念であります。二十七年度の当初におきましては、まだ句々のときに相当な増員をいたしました関係もございまして、今のような十分に神経の行き届い、統一的な睨み万というものを、この点で物品調達事務というものを一括して眺めてみますると、その辺の神経も行き届くようになると思います。当時におきましては御指摘のような事情でございます。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 事情は今の御説明でよくわかりましたけれども、例えば十八号の数字を読み違えたというようなことは、これはもう議論の余地はありませんが、少し読み違えて一千万円物を余計買つたというのは、随分金の使い方としては私は乱暴な話で、いろいろ監督もありましよう、組織もあるでしようから、どこかでわかりそうなものだ。もう少し国の費用を慎重に使うように、十分平生から上からやかましく言つてもらいたい。千万円で済むところを千八百万円も買つたといえば、どこに原因があるかといえば、実は書類をちよつと読み違えたのだ、二千八百八十八と書いてあるものを七千三百八十八と読み違えたのだ、一千万円余計買つたというんじや、今の国家の財政の現状からいえば申訳のない、弁解のできないことじやないかと思う。看護婦の問題にいたしましても、成るほど予算があれば、とにかく買つておこうというような、これは官庁を通じての私は悪い癖だと思いますが、要するにまだ病院が三カ所も建つていないのに、看護婦も無論募集していないのに、もう被服を先に買つてしまうというのは、これは一体金利というようなものを考える民間の会社等の考え方からすれば、非常にこれはお大名的な、金持の道楽仕事みたいなふうに見えるので、もう少し国家の現状から緊張して一つつて頂きたいということを、これを全体を通じて私は特に最高幹部の方にお願いをしたいのであります。  そこで私はもう一つ伺いたいのは、例えば被服費とか或いは衛生医療品、靴、油類といつたような、一言でいえば消耗品ですね、これの消耗品は、一体一年の需要量の中で何カ月分あらかじめ常備しておく必要があるかという、その在庫品の数量の基準というものを品種別、物別におきめになつているかどうか、その点を一つつてみたいと思います。
  16. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 全体の在庫準備と申しますか、ランニング・ストツクと申しますか、これだけの一応部隊運営をし、これだけのものを、消耗するものに対しまする物の準備の関係でございますが、この点につきましては、二十七、二十八の両年度の予算におきましてストツク及びリプレースというものをいたしております。ストツクと申しまするのは、大体今御指摘のございましたような考え方でございまして、大体或るものを動き得る状態においておきますためには、車輌なども故障ということも当然ございます、大体或る程度の余裕がなければ先ほど申上げた定数というものは持てない。それを大体二割見当というふうに抑えまして、ストツクの調整をいたしておるわけでございます。リプレースと申しますほうは、これは何と申しますか、消耗の補充というようなことで、物が物理的に消耗いたしますのを待ちまして補充をいたすか、それとも毎年々々消極的に補充をいたすか、両方ございますが、比較的防衛庁のように急速な成長をいたしましたものにつきましては、或る物理的消耗の時期を待ちまして補充をいたすということになりますと、相当に波がある。或る年度或いはその近所の二、三年度にかけまして非常に大きな支出をする、それ以外の年度は少くていい、こういうことになりますので、これはむしろ全体を通じます方針といたしましては、毎年々々リプレースと申します、例えば十年持つものは十分の一ずつ償却して行く、こういうような方針をきめまして、これは御指摘のありました寝具でありますとか、そういうような備品の類から車輌以下の装備品に対するまで、大体その方針で行つて参つた。ただこれは八木委員承知のように、二十九年度でありまして、今回二万名の増員をいたしまするに際しまして、財政の非常に辛い時期でございますので、そのうちの八十九億というものをこの増員のための必要な消耗に充足いたしまして従いまして物によつてでこぼこはいろいろございますが、残つておりまするストツク乃至リプレースの金額は四、五十億にとどめております。従いまして最初に考えましたストツクにおきまして二カ月、リプレースにおきまして、大体現在のところは使い出しまして耐用年数の来ておりますのは被服を除いてございません。リプレースのうちの大部分は、実は八木委員お話のようになつておりますが、これの殆んど三分の二以上がなくなつている、こういう状態であります。これをどう補填するかということは、前回におきましていろいろ御質問があり、今後の財政状況を見てということでありますが、大体の目標としまして、これは今申上げたようなところであります。
  17. 八木幸吉

    八木幸吉君 例えば靴だとか或いは被服、あれは恐らく官給だろうと思うのですが、靴なんかはどれくらい一年に補充されますのですか。或いは耐用年数をどのくらいに御覧になつておりますか。
  18. 石原周夫

    説明員石原周夫君) ちよつと只今手許にございませんので、調べまして御説明申上けます。
  19. 八木幸吉

    八木幸吉君 例えば寝具だとかいろいろなものがあると思いますが、私はそういつたようなものの基準を成るたけ細かく品目別に明細をお作りになつて、それで購入の係りの責任者がそれを持つておれば、一体物を倍も買うなんていうことはあり得ないことなんです。そういう自分自身でチェックする方法を制度的にもう少し研究をされて、間違いの起らんように、至急に一つ基準をお立てになつたほうがいいのじやないかと思います。  それからいわゆる消耗品と言われるものの一カ年の購入総額はどのくらいになつておりますか。
  20. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 前段のほうのお答えを申上げまするが、只今お話のありました耐用命数、これはちよつと手許にないのでお答えできないわけでありますが、これは無論お話のような命数をきめてございまして、それのきめておりまするところは、これははつきり訓令の形できまつておりますので、物の担当者は持つているわけでございます。ただそこら辺の十分な神経が行き届くような事務やり方として、そういう点を十分チェックしているというふうに承わつております。  次のお尋ねの消耗品の問題でございますが、これはちよつとここに挙つておりまする課目の分類は、必らずしも八木委員のおつしやいます消耗品というのと正確に合いません。被服について申上げますと、二十七年度の決算額が支出済額におきまして二十五億八千九百万円でございます。それからこれは大体まあ消耗品的に考えられますものが三割弱だと思いますが、器材費という項目が百九億ございまして、この中にやや小さい消耗品的な支出も含んでおります。それからあとは庁費の中でございますが、庁費は総額で二十四億でございますが、これは当然電気、ガス、水道というものが入つておりますので、必らずして消耗品でございません。
  21. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つお伺いいたしますが、十八号に予備品にしたとこう書いてございますが、例えばこういつたような予備品はほかにもあるでしようけれども、それを今直ちに使われないで在庫になつている予備品の総額というものは幾らぐらいですか。
  22. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 先ほど概数を以て申上げましたストツク及びリプレースの使用残額が大体四、五十億見当だと思つております。このうち現実に消耗いたしまして補填いたしたものもございます。従つてここに言うところの予備品と言われるもの、これはストツク、リプレース両方合わせまして、四、五十億よりも少ないのではないかと思います。
  23. 八木幸吉

    八木幸吉君 今お話のストツクは毎月と言いますか、隔月と言いますか、棚下しをなさつていらつしやいますか。
  24. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 全部調達実施本部に現在高の報告が来ております。
  25. 八木幸吉

    八木幸吉君 それは毎月でございますか。
  26. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 私は正確に覚えておりませんが、毎月来ていると思います。
  27. 八木幸吉

    八木幸吉君 それはどこで監督なさいますか。
  28. 石原周夫

    説明員石原周夫君) これは監督とおつしやいますと、在庫の報告を受けてこれを握つておりますのは、調達実施本部でございます。それから当然内部部局に行つております。従つてそれを常時見ておりまして、調達の手心と申しますか、たくさんあるものを買わないというようなことは当然でございます。調達実施本部で主としてそれを利用いたしまして、物の調達をいたしているわけでございます。
  29. 山田節男

    山田節男君 会計検査院上村第二局にお尋ねするのですが、前回の決算委員会で池田事務総長それからあなたの二十八年度の決算報告に対する概略の説明があつたと思いますが、そのときに一体この防衛庁のほうはどうも物品購入に対する計画性を欠くと申しますか、不当な購入、今批難事項が殖えていると言われたかどうかそれは知りませんが、とにかくそういうものが依然として絶えないという御報告があつたように記憶するのですが、二十八年度においての会計検査から見ての物品購入並びに防衛庁としての会計上の不当事項とされるものは何件あるのか、ここには八件しか挙つてありませんが、二十八年度は件数がどのくらいあるのか、その中で物品購入に対する計画性を欠くもの、機宜の処置をとらないというのが何件あるのか御説明を願いたいと思います。
  30. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 前回の決算委員会で二十八年度の概略の御詳明をいしたました。その際、只今お話のように二十八年度においても二十七年度のような事態が相当あるということを申上げておるわけであります。で、只今の何件ぐらいあるかというお話でございますが、検討中でございまして、正確にどういうふうになるかということは、今後の検討、調査の結果によりますので、正確に申上げられませんが、本年程度は少くとも同じような事態があるのではないかとこういうふうに考えております。
  31. 山田節男

    山田節男君 これはまあこうして報告書に挙がる以外に、会計検査院としては防衛庁当局に対しているくと注意される、これは通例だと思うのです。で、ここに挙つておる以外に二十七年度において、或いは二十八年度において、この決算報告に批難事項としては出さないが、併し当局はこういう点を今後注意さるべきだというようなことを防衛庁に対しても発せられておるのか、その注意はどういうような注意であつたか、これは先ほど石原局長に、調達補給というものに対して今後の機構上の構想如何ということを私は質問申上げた。その点が私は非常にこの将来を、防衛庁又はその前は保安庁、その前は警察予備隊、とかくこういう物品購入についてはどうもルーズな点がある。ただこれが出発早々であつて人員が足りない、そさくさのためにこうなつたという石原経理局長の御説明だが、警察予備隊から言えば、すでに年から言えばもう四年五年ぐらい経ておるわけですから、如何に言つても、私は先ほど八木委員も言われたように、どこかに一つの盲点というか弱点があるんじやないかと、こう思うのですが、そういうことのためにも、あなたのほうから防衛庁に警告、注意されておるのはどういうようなものか、件数と内容と、ちよつと簡単に御説明願いたい。
  32. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 只今の御質問の御回答には或いはならんかと思いますが、先ほど防衛庁経理局長から調達実施本部ができて、そこで統括的にやるので、今後はそういういろいろな問題は起らんだろう、こういうふうなことでありまして、調達実施本部ができてからのことはちよつとわかりかねますが、今まで見たところから言いますと、二十八年度の簡単な例を申上げますと、例えば枕の枕カバーを買うという場合に、枕がすでに買つてあるのはくくり枕、枕カバーは大きい枕にかけるこれくらいの大きい袋が買つてあるということで、部内連絡が二十八年度で見ても、相当やはり二十七年度と同じような事態があるのではないか、それから或いは規格のような面にしましても、品物を買われました場合に、その品物とくつつく品物との関係が必ずしも検討が十分でない、こういうような事態もあるわけであります。で、総合しまして考えますのは、物を調達される場合に、結局そういうものの総合して検討して行くという段階が、少くとも二十八年度までには十分でなかつたのじやないか、私のほうで考えますには、そういう点の検討というものを今後十分やつて頂きたい。で、只今お話のありましたように、調達実施本部ができて十分おやりになることとは思いますが、やはり結局調達実施本部でされる仕事の内容と、調達を要求されるほうの側との関係の連繋というもの、その当否というものを相当十分どこかでやはり見て行かれないと、同じような事態が起り得ることもあり得るのじやないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
  33. 山田節男

    山田節男君 これは石原局長或いは江藤政務次官でもよろしうございますが、今まで我々予算、これは警察予備隊以来、或いは保安隊になり自衛隊になり、予算の審議の過程に、こういう予算について年度の繰越が非常に多いように思うんです。で、併し今経理局長が言われるように、調達に関する主管の本部ができて、今後はそういうことはない、そういうことをおつしやいますが、例えば今年度で言えば、二十九年度の予算、それに対する調達予算というものがあるわけです。で、今日殊に四月以来半カ年近くのものを経ておるわけですが、予算を今日までどれくらいこれを消化しておるか、例えば予算の半分を消化し得ているか、この辺はどういうようになつておりますか。
  34. 石原周夫

    説明員石原周夫君) ちよつと今手許にその計数を持つておりませんのでございますが、この間調べました現在では、八月末現在であつたかと思つておりますが、この現在におきまして繰越を含めました前年度予算額に対しまする支出負担行為済の割合は三割ぐらいだつたと思つております。前年度の同期に比べまして二、三%上廻つておるということになつております。本年度のほうが前年度よりも二、三%上廻つておる、こういう状況でございます。支払金額のほうにおきまする。パーセンテージも、やや、こんなところかと思つておりますが、これはちよつと正確に今記憶がございませんが、二〇何%という数字が出ております。正確なところは今ちよつと手許にございませんので概数だけを申上げました。
  35. 山田節男

    山田節男君 これは直接会計との関係はないような質問になりますが、私そうしよつ中は行つておるわけでないですから、或いは私の判断が間違つているかも知らんけれども、例えば今の本部へ行つて、隊員の装備、服装、それから衣食住に関するものを見ても、かなり、何と言いますか、アメリカ式な、非常に洋式なものが顕著に見える、前の軍隊に比べますと……。やはり経済的、能率的意味から、私はあながちこれは悪いと思わん、思わんが併しやつぱり日本自衛隊であり保安隊であれば、もう少しやつぱり日本的なものでやつたほうが、むしろ経済的であり隊員もより気持もいいし、という点が、具体的にというと甚だこれはむずかしい問題で、私の得た印象では非常にその点が印象に残つておるわけです。こういう点は例えば、こういう物件購入の場合、又物件発注する場合にも、アメリカのほうで何かの示唆があるのか、その示唆によつて作るというものもあるのか、そうでなくて、これは全く日本の当事者が独自でやる、これは尤も私の言うのは、武器その他は、これはやはり日米安全保障条約等の関係から共通なものを使う、或いは同じサイズ、同じ何と言いますか、部分品を相互に共通に使用し得る、これは私は決して異議はありません。ただ衣食住等に使うものが余りアメリカ式であつて、ああいうむしろ純朴な隊員に対してはぴつたり来ないもので、いわゆる不適当にアメリカ化しているということ、それが物件購入等においても相当私は現われておると思う。こういう点やはりアメリカの示唆があるのか独自の立場でやつているのか、こういう点について若しおわかりならばお聞きしたいと思う。
  36. 石原周夫

    説明員石原周夫君) この二十七年度の決算の御指摘をこうむつておりまする十八号にもありましたように、最初におきまして、警察予備隊以来、最初にいろいろな衣食住に亙りまするものを装備して参りまするときに、向うの装備の表、定数表というようなものを大体基礎にして作りましたことは、そういうふうに私も伺つておるのであります。最近におきまして、どういうものを装備いたすかということにつきましても、先方のサジエツシヨンというものはございません。なかんずく今御指摘のような衣食住の点につきまして、どういうものでなければならんというようなことが、向う側からこちらに対しまして要請されているということは承知いたしておりません。そこで、じや今ありまするもので非常に改善を要するものがあるかどうかということになりますると、私も具体的に巨細の点を存じておりませんですが、これは御承知のように規格というものを毎年々々きめておる。これは毎年々々改めているわけではございませんが、だんだん、個々に具体的にきめてやつておりますその規格を検討し、規格をきめておりまする個々のプロセスにおきまして、山田委員指摘のような日本の生活に適合したようなものに直して行きつつあるというふうに承知をいたしておりますので、それが特にどういうところに行くかという点は具体的に承知いたしておりませんが、今の規格、今の装備というものは、果して適当であるかどうかという点から、仔細検討さるべきものだと思います。
  37. 山田節男

    山田節男君 これは希望意見も入りますが、先ほども会計検査院上村第二局長の御報告を聞いても、石原経理局長はもう開庁早々であつて人も足りない、経験もなかつたということで、まあ二十七年度においてこういつたようなもの、むしろ醜態、八木委員の言われるようにこれはむしろ醜態だと思うのですが、こういう馬鹿らしい物件購入の仕方をする、これがあるがために、私は先ほど局長にも将来の機構というものに対する構想というものを、  これは当然持つておられなくちやいかんと思うのです。そういう調達本部ができたとおつしやるから、又過去の経験に鑑みて、今後はこういう会計検査院から指摘されるような事項は殆んど皆無に近いものになるだろうということを希望もし期待もするわけです。するわけだが、併し何と申しても、これは国の機関の中では物件消費する私は一番大きいものだと思う。非生産的という言語は語弊がありますが、確かに生産的なものではない。而もそれに多額の国費を使うからには、やはり物の調達補給ということについては、もつと規格的に科学的にやるのは、これは当然の話だ。日本におきましても国鉄或いは電々公社というようなかなり多額の資材を年間購入しておるところもあります。我々は国鉄、公社に対してもこの点についてしばしばやかましく言うけれども、やはり石原局長の言われるような口実で、とかくこの決算委員会で以てその場を濁すというと語弊があるが、弁明をされる。これはやはり本当に将来ますます厖大になつて来るという予測に立てば、これはもつと保安庁はその調達補給に関して、国内の政府諸機関の経験或いは現制度の長所を採用し、或いは外国の類似の制度も研究する、こういう点をおやりになつておると思いますが、もつと一つこれは積極的に早急に整備するようにやつてもいいと思います。ですから、この制度は強化し整備しておかないと、とかく今日までこういう保安庁或いは特別調達庁或いは運輸省の海上保安庁というような極めて不愉快な事件がとかく起りやすいと思う。ですから、この点は二十九年度以降においては一つ是非そういう点を、事保安庁に関する限りにおいては、非常なこれは国費を消費するという事情であるからには、私は一層科学的な規格的な調達補給購入ということは一層一つ厳重にやつて頂きたいと思う。それが故に先ほどもあなたが、或いは政務次官にしても、そういうものに対する構想を十分練つていらつしやるだろうということを申上げた。これに対する御答弁はない。ないが、これは自明の理として御答弁がないものだと私は了承しますが、この点は一つ十分研究されて、或いは会計検査院等の援助も求められて、国の最も大きい消費体の一つとしての保安庁としては一層一つ研究をされることを強く要望しておきます。
  38. 八木幸吉

    八木幸吉君 資料をお願いしたいと思います。一つは品目別の耐用年数の一覧表、それから第二にですね。いわゆる消耗品の一カ年の使用数量及び予定金額並びに常時準備を予定されている在庫数量の割合、それから第三に在庫品目の棚卸しの総括したもの、それから四番目に物品購入の詳細な機構図、いずれも私はこういう不急な物品購入物品購入の処置が誤らないような参考に、防衛庁自身としてもなりはせんかということも考えまして、その資料をお手数であろうと思いますが、お願いしたいと思います。
  39. 山田節男

    山田節男君 ちよつと関連して……。防衛庁のほうで国内での物件購入ということは今いろいろご説明があつたのですが、これは外国からの物件購入というものがあるのかどうか、あればどのくらいの金を支出されておるのか、わかれば一つお示しを願いたい。
  40. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 外国からの物品購入は若干ございます。調べを差上げますが、ちよつと伺つておきますが、八木委員のお話も山田委員のお話の資料も、いずれも年度ということになりますと、二十九年度予算ということに承知いたしてよろしうございますか。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは私は少くとも警察予備隊ではなくて、保安庁以後の日米安全保障条約ができてから後の資料を若し一つできれば知りたいと思います。例えば飛行機の貸与でなくて購入があればそういうものを含めての購入ですね。
  42. 石原周夫

    説明員石原周夫君) では二十七年度からのものはできると思います。
  43. 島村軍次

    理事島村軍次君) 私から総括的に一つ希望を申上げておきたいと思いますが、二十七年度の批難事項に関する処分の調書を別途調べたところによりますと、監督者及び決定者及び実行者に関する措置が、いずれも訓戒となつてつて返還金等の措置はないようでありますが、訓戒の程度はいわゆる何と言いますか、どういう程度のものか。非常に実質的には不注意によつて例えば数字の誤認というような問題は、これは非常な過失ではないかというような気もするのですが、そういう問題に対しての処分上の限界というか、そういう点について不十分だと思いますが、この点に対する……。
  44. 石原周夫

    説明員石原周夫君) この処分の問題でございまするが、この十八番の問題は二十七年度の購入にかかるものでございまするが、この誤記いたしましたことが二十六年度中のことでございまして、平和条約の際におきまする恩赦にかかるものでございます。そこら辺のところも一つ考えましたことと、事柄の性質が誤記でございまするので、これはまさに弁解のいたしようのない間違いでございますが、非常に短時間の間に早々に厖大な装備品の数を移すということも何分大変な仕事であつたと思われますので、この程度の処分が適当ではなかろうかということでございます。
  45. 島村軍次

    理事島村軍次君) 十九以下は、処分については訓戒いずれもなし、検査院指摘の十九号から二十五号までは全くいずれの処分もやつていないということですが、これで適当だというお考えであつたかどうか。これは私希望を申上げておきますが、もつと処置上については突き進んだ調査を進めて、処分上については実効の上るようなことをお考えになり、且つ処置、処分をされるべきじやないか。一々について申上げるわけじやありませんが、そういうことを、希望を強く申上げておきます。  ほかに御質疑ありませんか。
  46. 山田節男

    山田節男君 今の委員長指摘された行政処分の処罰の問題ですが、これは、経理局長おわかりになれば御説明願いたいのですが、第十八号の批難事項に対して訓戒で済ましておる。幕僚部の監督者は別で、決定者を実行者が訓戒の処分を受けておる。返還金は全然さしておらない。而も十九から以下は全部訓戒もしない、こういうことは、先ほども申上げたように、やはり防衛庁は、これは一種の軍隊ということになれば、軍隊の一つの規律という点から見ても、これは一般の政府機関よりは、特に私はこの点は厳重にしなくちやいかん。開店早々というようなことも、これは理由になると思いますが、これは各官庁とも、どうもこういつたような会計上の批難事項に対する行政処分が余り甘過ぎるということは、これは前国会決算委員会でもしばしば各省に指摘、注意されて、十九国会において二十六年度の会計検査報告に基く我々の審議過程において、或る政府機関によつては相当なこれは苛酷と言いますか、厳重な処分処置をとつておると思います。こういして防衛庁のを見ると、恐らく各政府関係の機関の中で、私はもう一番これは甘いのじやないかというような印象を受けるわけです。そこで私は今委員長が特に強く要望された点だと思うのです。これは私は全然同感です。ですからこういうことからみても、開店早々の不整理ということも勿論ありますが、防衛庁性質からみても、この点もう少し私は厳重にさるべきものだと思うのです。今の委員長の御注意は私も同感であり、又より一層一つこの点は厳格にやつてもろうということを、委員長の言われたことに更に私は附加えてお願いしておきます。
  47. 八木幸吉

    八木幸吉君 会計検査院のかたにもう一点伺いたいのですが、防衛庁関係検査報告十八から二十四までの間の、仮に会計検査院がお考えになつたように適切に物品購入しておれば、金を寝かさなくて済んだ、こういう結果になるわけですね。その寝かさなくて済んだ金額の総額は幾らになるか御計算になつたことがありますか。
  48. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 今おつしやいましたのは、寝かした金額とおつしやいますのは金利の問題でなくて……
  49. 八木幸吉

    八木幸吉君 そう。
  50. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 例えば買い過ぎたという場合にその買い過ぎたものの金額の……
  51. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまりこの十八号で言えばベットを適当に買つておれば、三千九百八十台は予備品として置かなくてよかつたと、こういうことになれば、それで一千万円一応買い過ぎたことになるんだ、結局金利の問題になるんですが、どつちでも同じことですが、お調べになつたことがありますか。
  52. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 調べておりますが、これは一件々々で、総計はちよつと計算しませんと、総計の金額は出ませんけれども、一件々々なら。
  53. 八木幸吉

    八木幸吉君 五つばかりですから早口て一つおつしやつて下さいませんか。
  54. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 十八号が千二十二万八千円、千円代で切ります。それから十九号が一千十三万七千円、それから二十号が二億二千五百十六万二千円、二十一号が百五十三万五千円、二十二号が三百八万四千円、二十三号が三百三十九万八千円、二十四号が五百三十五万九千円、以上でございます。
  55. 八木幸吉

    八木幸吉君 ありがとうございました。
  56. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに御発言がないようですが、保安庁関係質疑は終了したものと認めまして、一応終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 島村軍次

    理事島村軍次君) 御異議がないようでありますからさように決定いたします。
  58. 島村軍次

    理事島村軍次君) それでは次に、自治庁について、検さ報告第二十八号を問題に供します。自治庁の財政部長がおいでになつておりますが、衆議院の行政委員会との関係で三時までということであつたのでありますが、もうすでに三時前で時間がないようですけれども、一応検査報告を伺つて、時間の許す限り御質疑になつて、成るべく議事を進行して頂きたいと思います。委員の各位に御承知を願つておきます。それでは検査院報告を願います。
  59. 池田修蔵

    説明員(池田修蔵君) 只今のこの自治庁の平衡交付金に関する二十八号の案件でございますが、これは実は二十五年からできました制度、二十五、六、七の三カ年に亙つて、毎年検査報告指摘してある案件でございます。二十五年に初めてこの制度ができまして、初めは不慣れな点もありましたでしようし、規則も相当面倒でございましたが、もうすでに三カ年を経ておるにもかかわらず、なお、こういう過ちが行われておると聞いて、各府県なり各市町村の間のもらうべき交付金に非常な不公平が出ておるということは非常に遺憾に存ずる次第でございます。逐次よくなりつつあるようでもございますが、まあそう大した変化はございません。こうなりますのも結局この五十五ページに書いてありますように、いろいろの欠点がありますということが、これが各地方団体に対するこういう過ちの原因でございますが、もつと更に根本に遡りますと、制度そのものが、非常によくはできておりますが、あんまりよすぎるために、府県の実際の事務を担当する職員が十分よく呑み込めない。それからこれが毎年よりよくするためという非常に善意の結果ではありますが、非常に変つて参ります。だんだんよくなつて参りますが毎年変る。甚だしきは一年のうちに仮決定のときと本決定のときで又変るというふうで、実務を担当する職員が習熟のいとまがないという欠点もございますし、それから短時間のうちに非常に面倒な計算を算出するというように、そういう制度そのものの根本の欠陥も相当あるのではないかということが考えられるわけであります。それで担当者がこれを早く習熟するということに努力することは勿論のこと、制度そのものについても、もう少し或いは単純化したほうがよくはないかというふうに私たち思つております。  以上説明を終ります。
  60. 島村軍次

    理事島村軍次君) 御質疑があれば御発言を願います。  私から、この二十八の報告によりますと、過少評価に計上された財源不足額というのは数県に亙つてあるようですが、これは検査院でその内容について一々お調べになつたのですか。
  61. 池田修蔵

    説明員(池田修蔵君) これは全部調べた結果でございます。
  62. 山田節男

    山田節男君 この二十八の事項は、結局これは技術的ないわゆる計算上の誤りでこうなつたのかですね、或いは過大に評価されて計上された府県、こういつたものが何か政治的な圧力でもあつて、まあ陳情或いは国会議員の動き等でそういうようなことになつたのですか。これはただ算術上の誤りであつたと了解していいのですか。
  63. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私のほうから、毎年の非常にむずかしい計算でありますので、間違いを起しまして誠に申訳ないと思つておりますが、二十七年度のこの錯誤の原因でありますが、財政需要のほうから申しますと、大まかに申しまして、台帳の整備が非常に不十分であるということから起つております。例えば道路の現況調査を道路台帳によつてやりますが、この道路台帳、それに非常に不備の点が多い。これが改められなかつたものがありますし、又錯誤が相当ある。それからいろいろな統計資料を中心に計数を出しておりますが、例えば商工行政費等の総計を統計資料を基礎にして出しておる場合にやはり統計資料自体に間違いがある。それから市町村並びに府県の報告数と本省の各省の集計の数とが、集計いたしました結果間違つておる。そういうところからの数字が合わないということから起るところの錯誤がございます。そういう統計その他台帳の不備から起るところのものと、それからそれ以外に統計の原簿を集計する場合に、いつを基礎にするかという時の問題がございます。時により多少異つて参ります。そういうことから起つて来る問題、それから又単なる計算間違いも勿論ございます。そういう客観的な資料そのものに問題がある場合でございます。政治的に全然問題はないと私どもは考えております。  それから次に歳入のほうでございますが、これもやはり原簿の関係で、例えば鉱区税につきましては、試掘原簿と採掘原簿というものが通産省関係にございますが、そういうものを調べまして、それを基礎にいたしまして、私ども計算をいたしております。ところがその帳簿自体にやはり不整備の点がございます。そういうところから間違いが起つて来る。それから狩猟者税でございますが、県庁の中で林政課と税務課との間の連絡不十分のために、計数のとり方が間違つておる。自動車税につきましては、陸運事務所の統計資料を用いておりますが、これはガソリンの配給との関係がございまして、必ずしも陸運事務所の資料が正確でなかつたというようなことからいたしまして、歳入のほうの間違いが起つた。こういう根拠になります資料自体に間違いがある、錯誤があるということから起つて参りまして、こういう結果になつたわけでございます。
  64. 山田節男

    山田節男君 会計検査院がこうして実地調査して、こういう一つの差が数字的に現われて来たわけですが、自治庁はもうこの点についてならば、これは政府機関であるから、会計検査院が調べてわかる程度のものは、自治庁においてももう当然おわかりになつていなくちやならないと思いますが、こういつたように、会計検査院が実際に調べたものと、自治庁でやられたところの誤差があるということは、これは原因はどこにあるか。例えば、自治庁の人員が足りないので、又予算上の節約等から、十分台帳の整備或いは調査ということができないから、こういうことができておるのか、これは防止し得るかどうか、注意によつて、ただ単に今後の注意によつて防止し得るものか、或いは自治庁として、どうしても或る程度の定員を増加して、費用も、予算ももう少し殖やしてやられないと、毎年こういうことを繰返す危険があるかどうか、この点は如何ですか。
  65. 後藤博

    説明員(後藤博君) 先ほど局長のほうからお話がございましたように、短時間のうちに集計を見まして、算出して決定するわけでございます。なぜ短時間ということになるかといいますというと、できるだけ近い統計を取りたいという考え方から、短時間に集計、或いは収入のほうの関係からいたしまして、どうしても近い数字を取るために短時間ということになります。その関係で非常に集計、算出する場合に発見できない場合がある。それをどうするかということでありますが、やはり人手は勿論足りません。で、我々も現在の陣容では十分な指導もできません。従つてその点につきましては、毎年大蔵省に予算の要求をいたしておりますが、なかなかそちらのほうがうまく行かない。もう少し監督指導を十分に徹底いたしたいと考えまして毎年度やはり同じような要求をいたして来ております。私どものまあ指導の不十分な点もございますが、併し計算の基礎になりますところの台帳の整備というものもやはり併せて考えれば、やはり間違いが或る程度あると思います。だんだん間違いが出てこなくなつて来ておりますが、まあ増員をして頂ければよくなつて行くことは明らかであります。技術的に非常にむずかしい点がございますので、私どもも非常に困つておる。指導の徹底を更に期して行きたい、かように考えております。
  66. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに質疑は如何ですか……。  私から伺つておきますが、本年度から制度が変つて来たわけですが、計算の基礎は基準額というものは大体その従前の財政平衡交付金と同じようなことで資料は集めておられると思うのですが、簡略になつた点もあるわけでしよう。そういう点に対する今後の措置は、増員等の問題もありますが、増員をやらんでもよほど簡便になつたということも考えられるのじやないかと思うのですが、その点はどうですか。
  67. 後藤博

    説明員(後藤博君) 本年度から御承知通り交付税制度になりましたが、計算の仕方は前の交付金制度のときの計算の仕方をいたしております。で簡単な方式にできるだけ持つて行きたいと考えておるのでありますけれども、簡単な方式にすればするほど地方団体によりましては非常に激変をいたして参ります。激変を与えることはこの現在の地方財政の状況では困るだろう、こういう建前から今年は余り大きな変化を与えないで従来のような計算をいたしておるのであります。ただ根拠になります数値をできるだけ近いところの数値に持つて参つた次第であります。
  68. 島村軍次

    理事島村軍次君) それからもう一つつておきますが、この説明書によりますと二十七年、八年で調整をしたのが大部分でありますが、まだ残つておるところがあるのじやないかと思いますが、残つておるのは京都府だけですか。
  69. 後藤博

    説明員(後藤博君) 二十七年度の分につきましては二十八年度に大体措置いたしまして、補正をいたしております。残つたものはないと私ども考えております。
  70. 島村軍次

    理事島村軍次君) この二十三ページですね。これによりますと「山梨県、京都府分については、昭和二十八、九両年度にわたり調整するもの一と書いてあるのですが、これは二十八年度で済ましてしまつたものですか、これは別途の調書にあるかも知れませんが、その点どうですか。
  71. 後藤博

    説明員(後藤博君) 今申しましたのは間違つておりました。山梨県でしたか、二十八年度で措置すべきものが非常に大きかつたので、二十九年度に半額だけ措置いたしました。
  72. 島村軍次

    理事島村軍次君) 京都府は済んだのですか。
  73. 後藤博

    説明員(後藤博君) 京都府は二十八年度で終えたつもりでおります。
  74. 島村軍次

    理事島村軍次君) 如何ですか、ほかに御発言ございませんか……。  それでは自治庁関係については質疑を一応終了したものと認めまして御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 島村軍次

    理事島村軍次君) 異議ないと認めます。   —————————————
  76. 島村軍次

    理事島村軍次君) 次に外務省所管検査報告五十八号を問題に供します。先ず検査院の御報告を願います。
  77. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 外務省の関係の五十八号でございますが、一口に申上げますと旅券の買い方が多過ぎた、こういうことでございます。旅券は大臣発給用と在外公館長発給用とございますが、二十七年度にいずれも五万枚ずつを買われたのでございます。前年度からの越しがございますが、大臣用発給が一万一千ばかり、それに五万を買われたわけです。それから(館用は二万五千枚ばかりの前年度からの越しがありましたのに五万枚を買われたわけであります。  で、この旅券の発給実績を大体見ますと、大臣用が年間約一千冊、それから在外公館長用が九百冊というようになつておるわけでございまして、さような事態から考えましても、二十七年度に五万枚ずつお買いになるのは非常に多過ぎるのではないかと、かように考えておるのでございます。その後における使用状況を見ましても、やはり買い方が非常に多かつたと、こういうような結果になつておるわけでございます。
  78. 島村軍次

    理事島村軍次君) 五十八号外務省所管について御発言を願います。
  79. 八木幸吉

    八木幸吉君 外務省のほうに伺いますが、殆んど一年に十万冊お買いになつて八万五千冊繰越された勘定になつておるんですが、これに限りませんが、物をお買いになるときに在庫数をお調べになるような措置になつておらないですか。
  80. 秋山俊一郎

    説明員秋山俊一郎君) 勿論在庫の数は調べまして、それに対して必要な分と考えて製作をするわけでありますが、この二十七年度までにおきましては余り渡航の事実はなかつたんでありますけれども、丁度平和条約が締結されまして、日本が独立いたしますというと、海外に出て行く者のもにわかに多くなるだろう、又移民の問題もこれによつて以前に返りましてだんだん多くなつて来るんじやないか。更に又船員が約一万三千ばかりあるようでありますが、これが従来船員手帳で行つておつたものが、これを切替えなければならんというような見込もございまして、平和条約発効と共にまあ急増するという見通しの下に、実はおのおの在外公館用とそれから本省用の旅券を五万冊作つたわけであります。勿論在庫のもののあることはわかつておりまして、その在庫の数量も一万一千万ほどあつたわけであります。それにそれだけのものを作りましたが、作つてみましたところが、平和条約発効直後に見込んだほどの渡航者がなかつた。又船員の旅券につきましてもだんだんこれを、今の船員手帳というものを旅券に代、えるという傾向にはなつておるのでありますが、当初においてはそういう事実も必要もなかつたために、非常にたくさんのものが残つて来たわけであります。併しこれはその後、二十八年度においては全然製作いたしませんので、漸次繰越したものを使つておるということで、本年度におきましてはほぼ平常に復したような形であります。ただ見込が違つたということは、これは確かにまずかつたと考えております。
  81. 山田節男

    山田節男君 直接これに関連ありませんが、これは会計検査院なり外務省にお聞きするのですが、こういう在外公館が今日までかなり多数に上つておるわけですが、在外の公館で購入する物品、これは在外公館の予算によつて購入していると思うのですが、こういう方面の会計検査はどういうふうになるのですか、机上検査しかできないのか。それがために外地へ行つたということは聞きませんが、併し戦後、近くは私よく知りませんが、在外公館の検査というような名義で外遊しておるような例があるように私は聞くのです。こういう点は会計検査院としてどういう処置をするのか、この点一つお伺いしておきたい。
  82. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 在外公館で使われる経費の点でございますが、現在は外務省から公館のほうへ金を送つておられまして、その使い途関係の書類を外務省で整備されまして私のほうに持つて来ます。書面として、計算書と証拠書類を添えて出て来る、こういう建前になつておりますので、その計管汁書と証拠書類に、よつて書面の検査をやつております。  で、実地検査をする点につきましても、勿論外国に行つて実地検査ができることは問題はございません。ただ予算その他の一般検査を兼ね合して経費の使用面での他を考え合して行くか行かないかという点は、そういう方面も考え合して決定したい、こういうふうに考えております。
  83. 山田節男

    山田節男君 例えばこのインドの大使館、又は御存じの借家を、土地もすでに買い、あそこに大使館を建設することになれば、これは相当の予算を必要とするだろう。その他いろんな所で既設の家屋を買い或いは土地を借入れる、相当の金を使うと思うのです。恐らく数千万円以上の金を使う。そういうようなものも今おつしやつたような机上調査というか、外務省から出したものを目で見るだけでは、これは妥当な支出であるかどうかということはこれはわからんわけですね。こういつた点は従来あつたかどうか知りませんけれども、少くとも例えばニユーデリー、ああいつたような立派な場所に土地を購入し大使館を建設することになれば、これは相当金が要るだろう。そういうようなものすら従来のような会計検査の極めて形式的なものですね、満足し得るかどうか。又これに類した問題が単に外務省に限らず他の官署においても将来あり得ることだと思うのですが、ですからこの点は一つ会計検査院として、これは前の委員会に申上げたけれども、こつちへアメリカの駐留軍関係で以て立派なアパートを作つてということになれば、国会決算委員会でも会計検査院の者が出張して来て、これはもう徹底的に調べるというようなことは、今日の会計検査院国会に直属をしていないけれども、内閣よりも国会に近い関係があると考えます。国会に対する責任上においても、今まで例がないからやらんのだというのではなくて、むしろ今後そういう例は積極的に作つて行くということが会計検査院としては必要じやないかと思います。  これはまあ上村局長にそういうことを申上げても、これは何か場所が違うかも知れんけれども、併しこのことはやはり会計検査院として十分将来研究される事項として、或いは事務総長なり委員長には私も建言してもらいたい、こう思います。
  84. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 只今の点は確かに行つてみないとわからん点が相当あると思います。私のほうでもそういうことで御趣旨に副うような形で実は検討もしておりますが、なお御趣旨の点を上司に帰つてよく伝えたいと思います。
  85. 島村軍次

    理事島村軍次君) 外務省所管についてはほかに御質疑はございませんか。
  86. 山田節男

    山田節男君 外務省は誰が見えておりますか、政務次官以外に……。
  87. 島村軍次

    理事島村軍次君) 大滝会計課検査室長、針谷渡航課長
  88. 山田節男

    山田節男君 これは渡航課長でも会計課長でもいいですが、旅券の発行ですね、これを見ると十万冊で一千三百万円、単価が百三十円かかつておる。これは各国のというと非常に語弊があるが、旅券も日本も最初のものに比べれば最近よほどよくなつたと思います。昭和二十四年頃のは実に粗悪なものだつたけれども、最近少しよくなつた。併しこれを各国のものと比べてみると、どうもやはり非常な貧弱とは言えないけれども、イギリスとかアメリカ、それから海外によく行きますが、各国のと比べてみるとそういいほうではない。この点は何もパス・ポートの発行によつて国威を発揚するということは勿論あり得ないが、戦前はちよつと革のような恰好をしたものを使つておりましたが、最近は黒い人造の革のようなものですが、極く最近のものは、百三十円もお使いになるならもつと立派なものができるのではないか。それから只今の旅券下付についてたしか千七百円くらい取られる。これは手続料として取られるのですが、或いはこの旅券の百三十円も含まれて手続料としてのあれは料金なんですか。
  89. 針谷正之

    説明員(針谷正之君) 最初の旅券の体裁の件でありますが、これは私たちもできるだけ立派なものにしたいと考えまして研究しておりまして、更に今後研究を続けたいと思います。それから只今一般旅券の発行につきましては、手数料千五百円印紙で納めるというふうに法律できまつております。法できまつておりますが、必ずしも旅券の単価等の関係は恐らく何も考慮しないで作つたものと思います。ですからこの関係というものは必然的にはないと私たちは解しております。以上です。
  90. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに御発言もないようでありますから、外務省所管は一応終了したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 島村軍次

    理事島村軍次君) 御異議がないようでありますから、さように決定します。
  92. 島村軍次

    理事島村軍次君) それでは法務政務次官が見えましたから、かねての虎の門公園地原形復旧について本院の決議後における経緯並びに法務当局の決意を伺いたいと存じます。  初めに政務次官にその後の経緯についてお話を願いたいと思います。
  93. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 私から概略を申上げまて、詳細は訟務局長のほうから御説明申上げたいと思います。  虎の門公園地原形復旧の件につきましては、会計検査院から御指摘を受け、又参議院の当委員会におきましてもこれについていろいろの点から慎重に御審議をなされ、昨年の七月にはこの件につきましてこれが原形復旧のために政府は速かに適切なる措置を講ずべきであるという決議がなされた次第でございます。そこで政府といたしましては、この決議の趣旨に従いまして、これが実現方についていろいろ研究を進めた上、その第一段階として現在の占有者の建物の収去と土地の明渡しをしなければならないというような点からして、本年の四月二日に国が原告となりまして、現在その占有者であるところのニユー・エンパイヤー・モータース株式会社代表取締役が吉岡照義というかたですが、これを被告といたしまして、建物の収去、土地明渡し等の請求事件として民事訴訟を提起し、その訴訟は現在東京地方裁判所民事部で審理中でございます。そうしたその間の経過につきまして、又現在の訴訟の進行状況につきましては、浜本訟務局長から詳細御説明申上げたいと思うのでありまするが、法務省当局といたしましては、参議院の決議の趣旨にも則りまして、その処置について最善の方途を講ずるつもりでいる次第でございます。
  94. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) この点につきましては、私のほうでは依頼を受けましたのが昨年の十月十五日附の文書を以ちまして、東京法務局を経由しまして文書で訴訟の依頼を受けたのでございます。そうしましていろいろと慎重に調査いたしました結果、只今政務次官から御報告がありましたように、四月二日に本訴を起しました。本訴を起しますと同時に、相手方のほうでは現状変更する虞れが感ぜられましたので、四月三日に先ず仮処分の請求をいたしまして、四月五日に仮処分決定を得まして、四月七日にこの仮処分決定の執行をいたしました。そうして本訴のほうといたしましては、五月と去る九月十五日と二度準備手続を経まして、次回の期日は十一月一日ということになつております。その請求の趣旨は、今政務次官がおつしやられましたように、現存する建造物の収去と土地の明渡し、それからその請求の原因といたしましては、これは只今大蔵省が普通財産として管理しておるのでありますので、相手方は国に対する関係において何らの権限なくして占有しておるものであるという理由で、所有権に基きまして不法占有を原因として明渡しを求めておる次第でございます。相手方はこれに対しまして東京都から借受けるに当つて国のほうも承知をしておつたのであるからして、借地法の適用があるのだという前提で賃借権を国に対抗できるのだという抗弁で向うでは争つて来るように思われるのであります。現在そこまで進行しておりまして、私のほうから各種の文書、甲一号証から十六号証まで提出しまして、その間の事情を立証し、相手方のほうでは乙一号証から二十二号証まで出しまして、やはり同じようにその主張を根拠付けようとしておる模様であります。現在はそのような段階に立至つております。
  95. 八木幸吉

    八木幸吉君 東京都が虎ノ門公園の敷地六百五十坪を昭和二十四年一月一日から昭和二十八年一月末日までの四年間の期限を附して、一時使用の許可条件でニユー・エンパイヤー・モータースに貸したのは、行政処分による公共用地の使用許可と大蔵省が解しているようでありますが、法務省もこの見解に御同意でございますか。
  96. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 文書の上ではまさにさようになつておりますので、それを然らずということは言えないのではないかというふうに考えております。
  97. 八木幸吉

    八木幸吉君 若し行政処分による公共用地の一時使用とすれば、東京都は行政上の代執行を行い得ると言われておるのですが、こういうことはできますか。
  98. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) おつしやいますように、行政代執行法によりますと第二条に、「法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反写ると認められるときは、」云々と、こうありますので、これに該当しますならばこの代執行法による代執行ということも可能かと思うのでありますが、本件は私どもの研究いたしましたところでは、この第二条によることを得ないものである、こう考えました次第であります。但し私のほうが訴訟依頼を受けましたときには、すでにもう東京都から大蔵省が返還を受けました後でありますので、私のほうといたしましては、民事訴訟による以外に手はなかつたと思うのであります。
  99. 八木幸吉

    八木幸吉君 本件に関する衆議院決算委員会での委員と政府御当局との質疑応答の会議録を拝見しますと、若し東京都が行政処分による公共用地の使用許可という建前を貫けば代執行ができたのだ、にもかかわらず、大蔵省へ普通財産として引継いだからこれができなくなつたのだ、こういうふうな質疑応答があつたのを拝見したのですが、逆にこれは非常な素人考えかも知れませんが、今もう一遍東京都に返しても、一応中断されていますからもはや代執行はできない、こういうことになりますのですか。  もう少し言葉を具体的に申しますと、もう一度大蔵省が東京都に公園用地として無償で貸す、つまり前の状態に返せば、遡及して東京都が代執行を現不法占拠者に対して行い得ると、こういう一体便法と申しますか、そういつたようなことはできないものであるかどうか、法律的の見解を伺つてみたいと思います。
  100. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 一見さように思える節がないわけではないと思うのでありますが、今日までの経過からいたしますと、東京都で大蔵省に返還いたします直前に虎ノ門公園というものを廃止いたしまして、その告示をすでにしてしまつておるのでありますから、さようなことはちよつと困難ではないかと考えます。
  101. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ伺いたいのですが、仮処分は、つまり六百五十坪の前に東京都が一時使用を許可した土地と、それから全然不法占拠しておる千百三十六坪のうちで六百五十坪を引いた四百八十六坪に対してもやはり同じ仮処分をなさつていらつしやるのか、或いは全然一時使用を許可しない所は別に取扱つていらつしやるのか、その辺のところは如何でございましようか。
  102. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 東京都が一時使用をいたしました坪数と、今訴訟で問題になつております坪数とは、おつしやる通り範囲が広狭の差がございます。それはこういつた経過から起きておるのであります。即ち本件の被告は六百五十坪について一時使用の許可を受けて受けると同時に実はその坪数を超えた現在占有している坪数全体を使用いたしました。こういたしまして一時使用の許可があろうとなかろうと、私どもの見解に従いますと、国に対する関係におきましては、全地域について同じく不法占有という関係が成立いたしますので、そこに何らの区別をいたしておりません。
  103. 八木幸吉

    八木幸吉君 建物が建つていない、つまり今の不法占拠の四百八十六坪に対しては使用禁止の仮処分をして、そこに塀をめぐらしてしまう、全然向うの出入りを禁止下るということは、一体法の力でできないものでございますか。
  104. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 事案によつてさようなことを裁判所からお許し頂くことができる場合もないとは言えんのでありますけれども、長い間の裁判所の取扱い、その他の関係から、確定判決を待たずして、すでに訴えと同時にさような断固たる処分というものはなかなか許されないものなのでございます。ですから本件の仮処分におきましても、その仮処分決定の内容はさようにはなつておりません。ちよつと御参考までに仮処分決定の主文の内容を申上げますと、   一、債務者の別紙目録の土地に対する占有を解いて債権者の委任した東京地方裁判所執行吏にその保管を命ずる。   一、執行吏はその現状を変更しないことを条件として債務者にその使用を許さなければならない。  但しこの場合においては執行吏はその保管に係ることを公示するため適当の方法をとるべく債務者はこの占有を他人に移転し又は占有名義を変更してはならない。  かような三項目からなつている次第であります。
  105. 八木幸吉

    八木幸吉君 私の申上げた趣意は、法律には素人ですから、用語に不備があるかも知れませんが、とにかく東京都ニユー・エンパイア・モータース会社が六百五十坪を六カ年間で使用許可を受けた。その他の四百八十六坪については全然不法占拠である。こういう事態なのです。そこでこの不法占拠のほうの四百八十六坪は多少の工作はしておりますけれども、要するに自動車が通るくらいのことで、公園ではありませんけれども、建物がまあ建つていない所が大部分なわけです。そこで私の希望することは、とにかく国の財産を、東京都のどまん中で堂々と不法占拠して、いつまでも国家が何ら手をつけられないということは、国家の威信の上からいつても甚だどうもけしからん話だと思つて、私は非常に憤慨をしているわけです。今問題になつている六百五十坪については、これは私法上の争いが仮にあつても、そうでない四百八十六坪については改めて国のほうが使用禁止の仮処分を申請して、あそこが出入りできないようにしてしまいたい。一体それくらいの権能が国家にないということは、法律のことは私はわかりませんが、どうも納得が行かない。そこで使用禁止の仮処分ということを国の代表者が申出て、それを一体裁判所が取上げないということはなかろうと、つまり公園たるの原形を、又建物を建てられるかも知れんという非常に危険があるのだから、その公園たる原形を変更しないという意味の仮処分であつて、向うがそれを使わないように、使用禁止の仮処分ということを更にもう一遍やれるものならやつてもらいたい。国家の威信の上から申しましても、先ほど或いは政務次官が仰せられたように、本件はとにかく参議院としては本会議で院議で決議案をしてまでいることが、一民間の会社にただ図々しければそれで済んでいるということは、どうも私はその国会の権威の上から言つても、国の権威の上から言つても納得ができないのです。そこで少くとも不法占拠の四百八十六坪に対してだけでも使用禁止の仮処分ということは、法の許す範囲でできないものだろうかということを常々実は考えるものですから、何とか一つそこのところを考えて頂けないかということが、私の質問なり希望のポイントなんですが、これに対して何かお考えがあつたら承わつてみたい。
  106. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 只今の燃ゆるごとき正義感からお抱きになるお気持至極同感とするところであります。併しながら、私権の上の争いは飽くまで判決の確定を待ちまして行政執行する。判決の確定するまでは触れることはできないというのが、今只今つております建前なのでありまして、仮処分といいますと、その後になつて判決が確定した場合、その判決の確定の執行を妨げられないように、確保して置くというのが仮処分なんでしよう。仮処分の執行によつて、今判決が確定した場合には、確定判決と同じ状態を実現してしまうということは法律上許されないわけであります。当事者は仮に国でありましても、これは如何ともいたし方がないのでありまして、その代り一方におきましては、確定判決の執行されるまでは、それによつてこうむる損害は損害金として請求できる建前で謝りまして、本件の扱いにおきましても、やはりそういつた建前から明渡しを求めると同時に、判決を執行されるまでの間の損害金は、相当な金額を請求いたしているのであります。ちよつとむずかしいのじやないかと思う次第であります。
  107. 八木幸吉

    八木幸吉君 今損害金のお話が出ましたが、大蔵省の関東財務局長が、今年の二月か三月の衆議院決算委員会で仰せになつたところによる、二十八年の六月一日から明渡しの日に至るまでの使用料相当額の損害金の請求をしていると、こういうまあ御説明があつたのですが、使用料は御承知通り一坪僅かに五円十銭、今の地価にいたしまして非常に法外に安い直なんですね。今この関東財務局長の仰せられたことが、そのまま裁判所の損害金になつておれば、坪当り五円十銭の損害金の請求じや一向損害金の実体をなしておらんと私は思うのですが、今法務御当局が請求されておりまするこれに対する損害金は一体どれくらいであつて、どういうふうに御計算になつているか、伺つてみたいのですが……。
  108. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) その点は本訴の請求の趣旨の二項にございますのですが、被告は原告に対して金五百十六万九千九百六十七円及び昭和二十九年四月一日から右明渡しに至るまで一カ月金五十一万六千九百九十七円の割合による全員を支払えとの判決を求める、こういう金額を請求いたしておりますので、おつしやるような些少な金額ではございません。この計算の根拠といたしましては、管財局のほうに一定の標準がございますそうでありまして、本件の土地の時価を諸般の事情から考慮いたしまして、ちよつと今正確な総額は覚えておりませんが、坪十四万円の時価といたしまして、その収益率が年四分というふうな計算の根拠になつておつたかと思うのでありますが、それで計算をいたしまして、この金額が出て来たわけであります。
  109. 八木幸吉

    八木幸吉君 次にもう一点伺いたいのですが、訴訟は一体長引くものなんですけれども、これのお見込は、最終判決はどれくらい先になつたら得られるという、まあ訴訟常識の上から伺つてみたいのですが……。
  110. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) おつしやる通り、従来の民事訴訟の経過を見てみますと、繁閑によつて勿論違うのでありますが、一審、二審、三審を経まして、いよいよ執行できる段階に至りますまでには相当の日子を一般に要している状況でございます。私の本件に対する見込といたしましては、極めて訴訟関係は明瞭であり簡単でありますので、従来世間で非難の的になつているほどは長引かんと思つているのですが、さてそれが一年でいいか半年でいいかとおつしやられると、ちよつと明言いたしかねるのですが、そこら辺をお汲み取り願いまして、相当有効に訴訟は進み得るものという見込を持つていることをお察し願いたいと思います。
  111. 八木幸吉

    八木幸吉君 非常に素人臭い質問かも知れませんが、二年くらいの間にこれはけりはつきますか、というのは、これはもう図々しければ幾らでも延ばしておけばそれでよろしいということは、非常に腹が立つてたまらんのですが、何とか早くやる方法はないのですか。
  112. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 前回九月十五日の準備手続の期日に次回期日をきめられます際に、相手方のほうもむしろ期日を早急に、早くきめてもらいたいという希望があつたようで、そういう事情から参酌しますと、先方のほうもそうねばり強く長引かすという意思はないものと想像されますので、先ほど申上げました事情を考慮しますと、まあ二年くらいの間には解決しなければならんかと、こう一応思われるような気がしますが……。
  113. 山田節男

    山田節男君 この件は会計検査院の会計検査報告に端を発してまあ当委員会もこれを審議したわけなんですが、そうしてその間会計検査院から批難事項として取上げられた後に、これは当建設省、大蔵省と極めて迅速に、成規の手続によつて、表面は全くこれは合法的な処分になつている。で、併しその間の事情を我々がこの決算委員会においていろいろ審議しまして、その過程に、如何にこれを考えても、これは合法的に恰好はついているけれども余りにこれはけしからんというのが、当決算委員会の全会一致の意見でありまして、あれだけもう成規に大蔵省の管財局、阪田君が管財局長をしておつたと思うのですが、とにかく大臣の判をついて、そうしてこれを普通財産にしちやつてもう処分しちやつている、それにもかかわらず、当決算委員会は勿論、本会議において決議を以てこのことを速急これはもう原形に復旧すべしと、これはもう全く異例なことで、で、あなたはそういうこの法律の専門家として、筋道からいえばいろいろな、今後あなたが原告となつて、国を代理してニユー・エンパイヤー・モータース会社を訴える、この法規上から言えば、これは表面上は恰好はついているけれども、併しついているにかかわらず、国会がこれを決議まで付してこれを重要視し、これはもう即時原形に復旧すべしとなつた、この意味は、これはあなたはこの法律の専門家として、殊に原告の当事者として法務省としては相当これは法理的には疑議があるのじやないかと、こう思うのですが、これも非常に素人臭い話ですが、今八木委員のおつしやつたような、今までのああいうふうなことになる過程を見ると、誠にこれは国有財産を或る一会社の利益のためにこれが勝手に、結果から言えば合法的な恰好はついているけれども、極めて不当なやり方をしているということになつているのですが、訟務局長としては、これは必ず勝訴になると、これはもう裁判の結果を待たなければわからんと言えばこれはそれまでですが、併し原告として少くともこれは勝訴の見込があると、これはもう裁判の結果を、判決を見ないでそういうことを言うことは、誠に妙な質問ですが、勝訴の確信がありますか。
  114. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今本件について勝訴の見込があるかどうかというお尋ねでありまするが、これは法務省としては十分勝訴の見込あるという確信の下に訴訟を提起した次第であります。この事件につきましては、関東財務局から法務大臣に訴訟の依頼があつたのは昨年の十月十五日でございまするが、その後十一月四日に訟務局のほうにこの問題を引移しまして、その後数カ月、十分検討を加えまして、その上で訴訟を提起した次第でありまして、そういう意味から、法務省の専門家の者が全部研究に研究を重ねた上に訴訟を提起しだような次第でありまして、その間の事情を御賢察賜れば、法務省としては十分勝訴の見込を持つて訴訟を提起したというふうに御了知願いたいと思います。
  115. 山田節男

    山田節男君 この被告のニユー・エンパイヤー・モータース会社の会長は参議院の同僚である村上義一君であるやに聞いておるのです。社長が吉岡君、訴訟状における被告の代表として社長たる吉岡君を選んで、会長たる村上義一君を選ばないというようなのはそこに何か理由があるのか、根拠を承わりたいと思います。
  116. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) その点は只今どういう事情にあるか了知しておりませんが、訟務局長のほうで何か伺つておれば申上げます。
  117. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) 会長にあらずして社長だとおつしやいましたが、今の事情私ども実は初耳でございまして、何もその点について了知いたしておりません。ただ従来の訴訟の起し方といいますか、私どもが関知しておる限りでは代表取締役が一人だけが名を連ねるのが普通でありまして、代表権がある社長、会長その他の専務とかいう人みんなずらつと連名で訴訟は起されるというようなことは殆んどございませんので、そこはどういういきさつから代表権のある数名のお方のうちのお一人だけが代表者になられておるか、私どもわからんのでありますが、通常はみんな大体一人だけが代表者になつて起されるのが慣習であります。
  118. 山田節男

    山田節男君 殊にこの訴訟手続上の場合に、団体の代表ということになれば会長、社長、これは社長も代表重役である、会長もこれは代表重役の取締役のように常識的には考えるのですが、それを社長を代表取締役と見て、会長は会社の代表と見ないというようなことは、これは訴訟法上の、訴訟上の一つのこれは慣習なのかどうかということをお聞きして置きたい。
  119. 浜本一夫

    説明員(浜本一夫君) ちよつと今私見当違いの答弁を申上げたかと思うのですが、私どものほうが訴訟を起しましたわけでありますから、どなたを代表者にするかということは代表権のある人一人だけ名を出せばよろしいのでございまして、登記所に参りまして資格証明書を取りましたところが、社長の資格証明が取れた、それでその人を、社長を代表者にした、こういういきさつでございます。別に特段にどなたを、何らかの意図があつてその方を選んだというわけのものではございません。
  120. 山田節男

    山田節男君 さつきの八木委員の御質問によつて大体二年以内にはまあ片付くだろう、事件の内容からいつても簡単でもあるし、こういう答弁ですが、国会がこういう案件について意思を表示したというようなことは、これは極めて稀な例じやないかと思うのです。それだけに私はこれは法を超えてということは申さないが、少くとも国権の最高府である国会が、これは早急原形に復するような措置をとるべしというようなことを言つたことは立法府が言つているのです。そういうふうになれば、今言つたように勝つ見込は十分だとか何とか言うだけ野暮なんであつて国会の意思がそこまで強く出ておれば私はこの事件というものは普通の訴訟の手続を経ずしても、相手方にしてももう抗弁の余地というものが非常に狭められて来るのじやないかと私は素人的に考えるわけであります。これが時期が長くなることによつて我々の国会が表明した意思というものが非常に存在の価値を失うと思う。そのことが一日遷延することによつて一日向うがそういう事態になるということ、そこにいろんな政治的な何と申しますか、国会がああいう意思表明したということに対する意思に反した事態が生じて来ると思う。これは私は重大な問題だと思う。ですからこれは一つの訴訟の当事者の原告から早くしてくれということも、又実際早めるということも無理かも知れませんけれども、併し幸い国がこれは原告でありますから、法務省が国の代理としてやる以上は、国会のそういう意思を背景としてやるからには、これは通常の場合よりは遷延することの意義という、重要性というものがはつきりしているだけに、二年じやない、もう少くとも数カ月にしてこれを第一審は片付ける。更にそれから第二審に行けば、控訴すれば二審、三審、少くとも一年以内にこれを片付けるくらいのことはしてもらわないと、国が原告になるこのいきさつを見て、私はただこれは政治的にものを申上げるのじやなくて、一つの法の存在する、いわゆる正義、これを守るという意味から見ても、私は法務省が当事者になつているだけに、この点は一つ早く黒白をきめるという方面になお一層の一つ御努力を続けられんことを当局に強くお願いしておきます。
  121. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに御質疑はありませんか。
  122. 八木幸吉

    八木幸吉君 虎の門の問題が済みましてから法務当局へ資料の要求を適当な機会にしたいと思います。委員長一つお諮り願いたい……。  外航船舶の利子補給の問題の資料をいろいろ整えてから委員会でもこれを検討するということになつておりますので、融資並びに利子の補給関係、又犯罪捜査に関する費用等の関係から資料の御請求をお願いしたいと思うのです。  第一は昭和二十七年度以降の刑事事件とならなかつた造船会社から海運会社べ提供せられたいわゆるリベートの総額と、その詳細。  それから第二が刑事事件の対象となつたリベート、二億六千七百万円の詳細、無論この中には政界に流れたと言われている一億一千九百六十万円も入つているわけであります。  それから第三点は佐藤榮作氏の逮捕処分請求の稟請書の写し、これは検察庁から法務大臣に提出されたものであります。それからこの稟請書に附随しました、当時佐藤氏逮捕の請求をしなければならんといわれた理由となつた証拠隠滅の虞れを釈明する疏明資料、これはこういう言葉を衆議院の決算委員会で佐藤検事総長がおつしやつているのですが、つまり佐藤榮作氏を逮捕しなければならなかつたのは、証拠隠滅の虞れがあつたからだ、それを釈明するいろいろ証拠資料わ以て説明をしたのだ、こういう御説明があつたわけです。他のところでは疏明資料といわれておりますし、或るところでは証拠資料というような言葉を使つておられますが、要するに稟請書に附随した、稟請書の裏付けになつた証拠資料ですね。  それから五番目には、犬養法務大臣が検察庁法第十四条に基いて検事総長べ佐藤榮作氏の逮捕請求の許可の請訓を許さなかつた文書の写しを頂きたい。これは文書で通達されたということが出ていますので、文書の大体の要点は新聞等でわかつておりますが、正式文書の写しがあればそれを拝見したい、こういうわけです。  それから最後は、八月十日の御承知の吉田総理の発言に対して釈明が文書で法務大臣に来ておる。その趣意を検事総長か何かの回答で法務大臣がおつしやつたということが会議録等に出ているので、その吉田首相から来た、自分の真意を説明するために出された文書の写し。この六点を成るべく詳細に頂寺たいと、かように思います。
  123. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今の資料の中で、御承知のように衆議院の決算委員会でもいろいろ法務省のほうの、これの問題について何が発表できるかどうかということについての意見を述べている次第でございまするので、只今御請求の資料が全部このまま提出できるものかどうか、私としてここで即答いたしかねますので、大臣のほうにお伝えした上で適当に処置したいと思います。
  124. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一点、これは又話が別なんですが、この機会に政務次官に伺いたいのですけれども、この間佐藤榮作氏が二十九日でしたか、出発されて外遊にお出ましになつた、この前緒方副総理がここにおいでになつたとき私伺つたのですが、起訴されている方が一体外遊されたという事例が、最近例えば両三年のうちにあつたかどうかということを伺いましたが、自分にはよくわからんという御返事だつたのですが、ほかの委員からも同じような趣意のお話がございましたが、そういう例が一体ございますか。
  125. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今私もその例があるかどうかということは調べてもおりませんので即答いたしかねる次第でございますが、ただ起訴されておる事件の公判に差支えないように外遊されたように私は聞いておるわけでございまするが、それ以上今までのそうした例があるかどうかということについては今即答しかねる次第でございます。
  126. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点、例えばああいつたような起訴された方が外遊されるという場合には法務省へ、外貨獲得のために、或いは外務省といいますか、関係官庁から法務省の意見を徴せられるというような手続があるのでございますか、ないのでございますか。
  127. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 今の御質問の趣旨が……。
  128. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまりいずれ外国へ行かれるのですから金も要るでしようし、旅券の交付もされるでしようし、金の関係においては大蔵省、旅券の関係においては外務省、佐藤氏が起訴されているが旅券を発行して差支えないか、外貨の割当は差支えないかということを私は当然法務省へ連絡があつて然るべきものだと思うのですが、そういうことがあつたか、ないのか。若しくはそういう慣例があるか、ないか、こういうことをお伺いするのであります。
  129. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今承知しておりませんので、次の機会にでもお答えいたしたいと思います。
  130. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会