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1954-10-06 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月六日(水曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員の異動 十五日委員片柳眞吉君辞任につき、そ の補欠として飯島連次郎君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            白井  勇君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            奥 むめお君            後藤 文夫君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            山田 節男君            深川タマヱ君   説明員    北海道開発政務    次官      山本 正一君    北海道開発庁次    長       谷口 明三君    北海道開発庁企    画室主幹    柏原益太郎君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保榮君    最高裁判所事務    総長      五鬼上堅磐君    最高裁判所事務    総局経理局長  岸上 康夫君   —————————————   本日の会議に付した事件派遣議員報告昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第十回決算委員会を開会いたします。  去る六・七月行いました議員派遣について報告を聴取いたしたいと存じます。  第一班は裁判所所管工事農林省所管農業施設補助金関係実地調査、雨森、島村平林三君、第二班は、厚生省所管水道事業補助金関係谷口、岡、東三君、第三班は、運輸省所管海上保安庁不当経理関係飯島永岡両君でありました。報告につきましては、前例により、報告書会議録に掲載することとし、本日は特にお気付きの点を簡単にお話願いたいと存じます。  それでは初めに第二班岡君からお願いいたします。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 谷口、東両先生がおりませんから、私から代つて報告いたします。  昭和二十七年度決算検査報告中の愛媛福岡両県下における、厚生建設両省所管水道事業国庫補助金に関する批難事項実地調査報告を簡単に申上げ、詳細は印刷物で御了承願いたいと存じます。  我々三名が視察した期間は、昭和二十九年七月十六日より同月二十一日までの六日間であります。愛媛県の問題は、越智郡の波止浜町の上水道地盤変動復旧事業国庫補助に関する問題であります。もう一つは、福岡県の問題で、福岡山田市における上水道施設特別鉱害復旧事業国庫補助に関するもので、検査報告番号五百八十号並びに五百八十一号のものであります。  今回の視察は、水道事業補助金について批難事項の中に累年計上されて参つておるのでありまするが、基本的に厚生建設両省に共管するという問題が、これらの批難事項発生原因にもなつておるように検討されて参つたのでありますが、実地について調査したわけであります。両事項とも、実地調査の上から見て、悪意はないととれたのであります。但し、補助金運用についてやや軽卒な点があつた。こういうふうなことについて、厚生省からは補助金の返還について、これを返還せしめないでもよろしいような取扱いを願いたいというふうに出ておりまするので、それらの点についても実際に調査したのでありますが、実際の状態厚生省が申しておる通りに我々も受取つて参りました。この問題は単にこれら一、二の問題でなくして、先ほど申上げました通り厚生建設両省共管の問題について、やはり当委員会としても結論を出して、この問題の処理に当らなければならんと考えておつた通りでありまして、これらの点について十分今後とも検討せねばならんと考える次第であります。  以上簡単に申上げて詳細の点は記録でお願いしたいと思います。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御苦労さんでした。  では第三班の永岡君。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 第三班は海上保安庁関係の国費の不当使用及び経理紊乱について第二管区海上保安本部実情調査するため私と飯島委員が去る七月十一日より十六日に至る六日間宮城県と青森県に出張いたしましたので、私より調査概要を御報告いたします。  海上保安庁関係につきましては、昨年第六管区海上保安本部不当経理問題が本委員会調査事件として取上げられた際、小委員会において慎重な審議がなされた結果、当時の東委員長より会計検査院長及び石井運輸大臣に対して海上保安庁職員綱紀粛正並びに是正について要望事項申入れがなされているのでありまして、そのうち運輸大臣に対する申入れの要旨は次のごときものでありました。  第六管区海上保安本部不当経理問題が呉市警調査によつて明らかとなつたが、これは海上保安庁経理紊乱していることにより発生したものであるから、これを是正するため次のような処置をとられたい。  一、海上保安庁職員自粛自戒、  二、事件関係者について起訴された者以外の者を厳正な懲戒処分に対すること、  三、懲戒処分の範囲を事務取扱職員に限らず、決定又は監督の任にあつた者も厳格に適用すること、  四、経理紊乱機構制度欠陥によるものは速かに改善処置を講ずること、  五、不当経理によつて購入した宿舎等については速かに事実に適した措置をとること、大体以上のような趣旨のものでありまして、この申入れと同時に海上保安庁長官に対しまして口頭を以て警告を与えているのであります。  今回私どもが調査した昭和二十七年度決算検査報告中の海上保安庁関係批難事項は、この申入れが行われる前にすでに発生していたものでありますが、要望事項の中には第六管区海上保安本部以外に関係するものもありますので、第二管区実情調査するに当りまして、特にこの点につきまして注意しながら批難事項に関する調査を行なつたのであります。以下簡単にその経過及び結果を申述べることにいたします。  一、要望事項について  要望書の第一項に海上保安庁職員自粛自戒がありますので、第二管区本部においては先ずこの点について本部長以下幹部に質問したところ、第二管区としては昨年度以降、特に綱紀粛正に重点を置いて、常に海上保安庁公報等に掲載される諸訓示伝達等を厳重に守り、その実践に努めており、殊に会計事務の執務については、本部職員現地派遣現地関係職員本部招集等を通じて、研修、事務講習等をするばかりでなく、常時会計監査を行い、事故の防止に努めておる状況が詳細に説明されたのであります。なお、末端における自粛自戒状況を知るため、八戸又び青森海上保安部においては会計事務職員について質問したところ、これらの職員昭和二十八年三月の海上保安庁公報に掲載された長官訓示を体して厳正なる職務の執行に努めておるとのことでありました。  併し綱紀粛正等の実質的な効果は次回の決算報告における同庁の批難事項より判断するほかないものと思われ、調査当時の現状よりすれば、本部の方針に基いて実施されている各種の事項を忠実に実行している状況を見て、一応自戒自粛に努めている点が認められた次第であります。  参考までに海上保安庁当局が実施している綱紀粛正のための措置を挙げますと次の通りでありましてこれは別の記録を以て報告することにいたしまして、これを読上げることを省略いたします、これに基いて各管区本部措置がとられているものであります。  次に、今回調査した昭和二十七年度決算検査報告中の海上保安庁関係批難事項について申上げます。第千五百十七号は簡単に言いますと、海上保安庁発足当時宿舎事情が極めて悪く、業務遂行支障が多かつたため架空経理により資金を捻出し、これに民間からの寄附金を合せて、職員宿舎及び敷地建築並びに購入に充てたものでありまして、これを国有財産として処理しなかつたものであります。本件会計検査院より経理紊乱として指摘されており、これに対して当局指摘通りで誠に遺憾であり、今後厳重に注意するといつているものであります。  第二管区関係の分は架空の修繕費から五十六万八千五百円を捻出し、民間からの寄附金四十七万六千五百円と合せて合計百四万五千円の資金職員宿舎三棟及び敷地百九十二坪を新築又は購入したものであります。これらの宿舎は一棟を市の名儀で、二棟を海上保安協会の名儀で登記し、これを無償で借入れることに処理していたものであります。  同様の事件が第一、第五、第六、第七及び第九の各管区にもありまして、海上保安庁発足当初出先機関である各管区本部の所在地が戦災等のために極めて宿舎事情が悪かつたことを物語るものであります。このような状況下において宿舎購入予算がないため、正当な予算外から捻出した資金以つて購入した宿舎でありますため、国有財産に編入することをためらい、一時市及び海上保安協会の名儀で登記し、後日名儀者から寄附を受けて寄附採納の形で国有財産とする予定のところ、その途中で会計検査院指摘を受けたものであります。  本件善後処置については、これらの宿舎がいずれもその後移転登記を完了、正式に国有財産として処理されておりまして、要望事項のうちの事実に適合した処置が完了しているものと認められます。  民間からの寄附金とありますのは、第二管区関係の分としては主として海上保安協会からの寄附でありまして、同会の性格は警察に対する治安協力会とか、消防署に対する消防協会等のごとく単なる互助共済機関であり、まして同協会宿舎購入に援助したもので、その後海上保安協会との間に不明朗な関係は認められておりませんが、発足当時の責任者も資料もないので、寄附金の内訳について詳細にすることができない実情でありました。  第千五百十八号は旅費流用でありまして、検査院より経理紊乱指摘を受けているもので、当局指摘通り誠に遺憾であると説明しているものでありますが、現地調査した結果、機構制度欠陥に基くものと認められたのであります。  第二管区関係の分について見ますと、船員旅費から十八万四千八百九十二円、警察旅費から三万五千四百九十円、捜査旅費から二万三千百四十四円、航海日当から一万二百三十五円をそれぞれ捻出し、船員等に対する報酬金五千九百六十円と合せてこれを職員旅費流用したものでります。  従来海上保安庁においては旅費が一本であつたので問題もなかつたのでありますが、昭和二十七年度は警備救難費のうちの旅費職員旅費船員旅費捜査旅費及び響乗旅費に細分され流用が禁止されていたのであります。然るに海上保安庁業務は機動的な性格を持つものが多く、絶対量の少い旅費予算が細分され、而もこれが流用禁止されることは業務遂行支障が大きく、ことに予算が使用された後に発生する事件についても出動しないわけには行かない業務でありますから、流用禁止海上保安業務については不合理が認められるのであります。本件の場合は、これらの旅費灯台長会議のため使用されているのでありますが、第二管区には約三十カ所の導灯標識事務所があり、これらはいずれも交通不便な地点にあるものが多いので、灯台長会議の回数は極めて少く、普通年一回開かれている状況であり、それも経費関係で困難な実情にあつたので、本件架空経理が発生したものと認められるのであります。  同様の事件が第六管区及び第八管区の両方にもありますが、当局においてもその後検討の結果、昭和二十八年八月十四日の閣議において流用が認められることとなつていますので、現在では各種旅費プール計算により、その困難を克服しているとのことであります。従つて本件要望事項機構制度改善に該当するものと認められるものであります。  第千五百二十号は必要のない工事を施行したものと指摘されているもので、当局もこれを認め遺憾の意を表しているものであります。  事件概要は、青森港第三号灯浮標昭和二十七年三月の暴風雨により流失沈没したが、同灯浮標青函連絡船航路要点にあるため、早急復旧の要があるとして、同年六月第二管区本部では応急復旧工事を実施、同年七月に完成し、航路標識としての機能を十分に発揮していたにかかわらず、その後災害復旧費予算示達があつたため、更に昭和二十八年二月鬼正平をして同灯浮標の取替工事を実施したものであります。この際、災害復旧予算示達をまつて工事を施行したのでは、相当長期間を要し、その間に思わぬ事故の発生も予想されたので、管区本部としては、既達予算浮標維持費以つて予備用器材を使用して応急工事を施行したのであります。  而してこの工事が完成して機能を発揮した頃、ようやく災害復旧予算示達があつたので、当局としては正式の災害復旧工事として更にこれが交換工事を施行したもので、役所仕事の欠点と認められるのであります。これを経費の点より見ますと、応急工事、即ち仮復旧浮標維持費八万八千五百円、ほかに官給材料三十九万九千三百五十七円、災害復旧工事、即ち本復旧の際は十四万三百円、ほかに官給材料七十七万一千五万七十円の経費を費しておるのであります。後者が前者を上廻る額を示すのは器材及び工賃等の時価の差によるものでありますが、工事の種類やその規模は殆んど同じものであります。これについて現地説明では、維持費によるものは飽くまで仮復旧であり、災害復旧費によるものが本復旧であるとする当局の従来の考え方が認められ、余りにも官庁方式欠陥と認められるのであります。  併しその後当局もその非を認め、災害を受けた浮標等購入にとどめ、交換工事、これは十四万五百円でありますが、これは差控えるべきであつたと遺憾の意を表しておるのであります。  当局説明によれば、灯浮標については年一回取替工事をしておるので、本件の場合も仮復旧によつて機能完全ではあつたが、復旧後すでに八カ月を経過していたので、定例の取替には時期尚早であつたが、工事費示達があつたので、更に本復旧工事を施行したとのことであります。  海上保安庁の規程では五十万円以上の災害復旧については本庁承認を要することになつておりますから、本件の場合も正規の手続により予算示達が請求されておるのでありますから、事務的には本庁承認の際、仮復旧によつて機能完全な点をも考慮検討すべきものあつたのではないかと思います。  以上簡単ではありますが、調査概要報告いたしましたが、詳細は速記録によつて承知頂きたいと存じます。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御苦労さんでございました。   —————————————
  7. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 第一班については島村君から報告されますが、これを後廻しにしまして、本日の議題に入ります。  本日は昭和二十七年度決算裁判所所管並び総理府所管北海道開発局議題といたします。初めに裁判所所管検査報告第二号、三号を問題にします。裁判所からは五鬼上事務総長岸上経理局長がお見えになつておりますが、検査院の第二局長から御説明を願いたいと存じます。
  8. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 第二号の問題でございますが、これは裁判所建物及び土地に関する事項でございます。そのうち建物につきましては、最高裁判所ほか三カ所で、昭和二十四年から六年までの間に大阪家庭裁判所ほか七カ所の庁舎新営をなされたものがあるのであります。これにつきましてはこの二号のあとのほうに別表が付いておりますが、大体分けて三つのグループになるわけでございまして、最初福岡高等裁判所宮崎支部ほか二カ所の一の点でございます。これの施行方法は全体の大きい計画施行する、こういう予定で進めて行かれまして、途中で予算その他の関係で、その一部分工事をやめてしまう、こういうふうな工事施行状況になつておる事態であります。次は二の甲府地方裁判所庁舎の新営ほか二カ所でございます。これは全体計画のうちの一区間、例えばコの字になつております型の一つ区劃を先ず仕上げてしまうということで着手されまして、これをほぼ完成するというふうな状況になつておるわけであります。それから第三は大阪家庭裁判所堺支部及び福井地方裁判所庁舎新営でございまして、これは全体計画をやるということで、ほぼ全体計画遂行されるという事態に立至つておるものでございます、ところでこの工事につきましてみますと、第一グループに属しますものは、全体計画一部分工事をやめられる結果、或いは基礎工事等におきまして全体計画の加重を考え施行しているので、途中でやめられたところから見れば、非常に余分な仕事になつておる、こういうふうな事態も起つておるわけであります。それから第二のグループにおきます一区劃施行されたものにつきましては、一区劃施行された関係上、全体が完成して初めて非常に便利に使われるというような点で、非常に不便及び不経済な点も起るような状態であります。全体を施行されたものにつきましても、一部未完成のものもございますが、施行されたものにつきましても、これば裁判所特殊事情その他がございましようが、我々の見たところ、他官庁その他から比べると、相当大規模状況になつておるわけであります。全体を通じまして、さような状況でございまして、予算使用が効率的になつていないのではないか、こういうふうに考えるのでございます。このうち例えば一つをとつて見ました場合に、基礎工事をしつかりしたものをやつておいて、六階造るものを二階でとどめておくという場合に、後に工事施行する場合には大きい計画でやつておいたほうが或いは将来のためにはよろしい。それから又立派なものを造つておけばこれは非常な結構なことである、こういうふうな考え方も一部々々をとつて見た場合にはあろうかと考えるのでありますが、全体的に見て裁判所庁舎施行状況が少し拡げ過ぎられた感じがあるのではなかろうか、こういう点について批判余地がおる、こういうふうに考えておるのでございます。  それから第二点は裁判所庁舎敷地購入の問題でございます。これは二十四年から二十六年の間に三十二カ所の庁舎敷地として四万四千余坪を購入されておられるのでありますが、これも殆んど使用されておらない。一部使用されて、その後使用され或いはされつつあるものもございますが、殆んど使用されておらないというような状況でございます。およそ土地を取得する場合には、建物をいつ建てるかということを考えなければなりません。で、その場合に建物を造る直前に買うということは不適当な場合があろうかと思います。併しかように多くの場所が買われて、そうして使われておらない。こういう事態を見ました場合に、土地購入について少し放漫過ぎたのではないか、こういうふうな批判をする余地があるように考えるのでございます。これで大体二号のほうは終りまして三号のほうに移ります。  三号のほうは保管金の取扱い方が十分でない、不整理のものがある、こういう事態でございます。これは人手不足その他の関係もあつたろうと思いますが、その後検査に行きまして、係のものが見ましたところ、裁判所においては鋭意この整理に当つておられるというふうに承知しております。現在のところ全部は整理できておりませんが、誠意を以つてつておられる、こういうふうに承知しております。  大体のところはそういう状況でございます。
  9. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 五鬼上総長がお見えになつておりますから、多少余計買い過ぎたというような検査院批難なんですが、その点如何ですか。
  10. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 詳しいことは経理局長から御説明を申上げますが、私のほうから大体申上げますと、確かに今の御批難事項があつたのでありますが、先ず土地の点を今委員長がおつしやいましたが、御承知通り終戦後、裁判所が従来地方裁判所だけで各地にあつた。ところが同じような家庭裁判所を新たに造らなければならん、簡易裁判所を六百近く全国に造らなければならんというような、非常な急激な営繕をやらなければならない。それには土地が先ずない。土地を手に入れなければならないというようなわけで、いろいろこの裁判所関係者弁護士会或いは地方の方々の御世話によつて、大体この裁判所敷地として適当なものをというところを購入しておつたのであります。ところが裁判所営繕予算が最近に至りまして非常に激減いたしましたために、建てたくても予算の制約からどうにもらない。例えば昨年度の予算と申しましても僅かに二億数千万円、これが大体今年度そういう状態で三分の一に減つておるというようなわけで、土地をそのために遊ばしておるところもありますが、かような事情から建築ができないというような有様であります。  それからその他の建物につきましても、御承知の道り戦災で大体四分の一の戦災を受けて、そのほかに裁判所建物というのは、御承知のように非常に古い建物が多い。すでに三十数年以上経過しているものがかなりある。そのようなものも建て変えて行かなくてはならん。現在もその通りなんでありますが、殊に戦時中修繕とか一切やつていなかつたといつたようなことからして、裁判所庁舎の腐朽というのは非常に甚だしいのであります。これに対していろいろ二十三年あたりから計画を立てまして、いわゆる不燃焼建物各地に重点的に建てて行くという将来の計画を立ててやつてつた次第でありますが、それが最近になりましていろいろ朝鮮戦乱の勃発とか或いは予算の削減とかというような事情によつて最初計画を余儀なく変更せざるを得ないような状態に立至つたようなわけなんでありまして、そのために小倉の一例をとつてみましても、この辺は非常に狭い、そのために例えば弁護士控え所なんかも特別に車庫の傍を狭めてまでやるというような、いろいろ工夫をいたしておるのでありますが、これもやはり今日の予算の上から来る止むを得ないものだとは思つておりますが、将来においてこの計画はやはり予算と睨み合せて最初計画は成るべく実現して、一般裁判所関係に出入りする人々の便利に資したい、かように考えておる次第であります。なおその他のことは経理局長一つ……。   —————————————
  11. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 島村君が見えられましたので、第一班の御報告を願います。
  12. 島村軍次

    島村軍次君 第一班は私と平林委員と両森委員と三名でありまして、大阪府並に福井県における裁判所並農林省関係現地調査を行なつたのでありますが、農林省関係は別の機会に譲りまして、裁別所関係に関して極めて簡単に御報告申上げまして、あと報告書で御覧を願いたいと存じます。  会計検査院指摘は、要約いたしますと裁判所庁舎が多数の戦災を受けて、全国亘つていわゆるこれの再建の計画をお立てになつておるのでありますが、ところが非常に数が多くてなかなかできない。而も予算は極めて少くて、効率的使用がやられてないというのが会計検査院指摘要点であつたのであります。  そこでそういう見地から具体的にこの、三カ所について簡単に申上げますと、例えば神戸の簡易裁判所建物は、もとのマツチ会社煉瓦造りの、誠にお粗末なもので、中の設備も全くバラツクであつて、これが一体一般の住民が簡易裁判のいろいろな事件を持つて行くのに、誠に刑務所に入るような感じがいたしまして、体を成していない。至急に改築してもらいたいという切なる要求があり、相当利用率があるにかかわらず、さような状態でありますので、市を挙げ、或いは弁護士会等も一様にさような希望を開陳しておつたのであります。  それから大阪簡易裁判所は、目下建築中でありますが、そのうちで、堺支所庁舎と、それから大阪家庭裁判所と両方見たわけでありますが、大規模庁舎を数年に亘つて継続施工の計画で着工したものでありますが、差し当つて地上二階で中止しておるのであります。基礎工事に当つて必要限度以上の工事を施工した結果となつておる。地上三階、四階程度の鉄筋コンクリート造りの建物のようでない。こういう指摘会計検査院はしておられるのでありますが、要するにこれは将来のことを考えれば、最初計画通りにやるべきであつて、途中でやめたそれ自身、それが悪いのであると、こういう結論になると思うのであります。要するに予算の不足がかくならしめたということの結果のようであります。堺支部の庁舎におきましては、大体主要な建物は完成をしておるのでありますが、これも数年に亘つてつてたために、まだ完成までには漸次繰越して使用しておる、こういう状況であります。  福井裁判所一つのモデル・ケースとしてお建てになつたようでありますが、ともかくも極めて立派な、あの福井戦災の跡地には誠に珍らしいような建物であります。併しまだ一応の完成をいたしておりますが、あとの内部の施設等、外装工事が十分にできていない。なお、その他の設備についても不十分な点があるようであります。  総体的に申上げまして、裁判所工事そのものは極めて良心的に工事は進められておりますが、当初計画された裁判所の考えと、予算と漸次物価騰貴に伴うその計画とがマツチしてない。而も全国多数に亘る裁判所のうちで、或るところは非常に立派なものができ、或いは途中なり、或るものはそのままに放置しておるというような、誠にびつこのような建築施行であるということは、確かに指摘することができると思うのでありまして、我々は全体の裁判所建築に関しては、もつと裁判所自身もそうでありますし、財政当局においてもつと抜本的な考え方を持たない以上は、明治二十何年前に建つたものが、まだ現に現存しておるような実情から見まして、誠に遺憾だと思うのであります。むしろこれらの建築に対しては継続費の設定をしてやるべきではないかというような考えも持つておる次第であります。  なお、詳細については報告書によつて御覧を願うことにいたしまして、簡単に御報告申上げます。
  13. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御苦労さまでした。   —————————————
  14. 永岡光治

    永岡光治君 検査院のかたに質問したいと思うのですが、只今裁判所庁舎の問題ですが、四万坪あつて、そのまま放置してあつて建物が建つてないという、こういう話ですが、これは往々にして、過去の実績の例を見ますと、敷地買収と庁舎の分があるわけですが、その庁舎の分をも敷地買収に振向けて、できれば敷地を先ず確保したいということがよく行われておつたのですが、敷地は正当に予算できめられたものがあつて、そうして庁舎も別に建つべきものは、これに相応するものは予算として認められたのですが、そういう敷地敷地として四万坪の分が予算に計上され、そうして建物建物として三十二建つものが予算に計上されておつて、なお且つ、敷地建物とが一致しない。工事費その他の関係もあつたかも知れませんが、そういう関係で、こういう食い違いが出たのか、こういう点からこういう開きが出て来たのか。
  15. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 決算書を持つておりませんので、正確にちよつとお答えできませんが、今の四万四千坪というのを買いましたのが八千九百万円くらいだと思います。各年度の土地予算と睨み合わすと大体建物関係から流用されたとはちよつと思えないような状況でございます。それから建物のほうは建物のほうでやられた、こういうように考えております。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 それでは裁判所のほうにお尋ねいたしますが、敷地だけは四万坪是非確保しろということで計上されて、建物はその当時何局分くらいを予算に認められたのですか。
  17. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) 当時四万四千坪を買いましたのは二十四年度から二十六年度までの三カ年度に亘つているわけでございます。只今検査院上村局長からお話がありましたんですが、土地買収費は土地買収費として幾らというふうに予算書に盛りまして、その範囲で買つて来たということでございます。それから建物のほうは具体的に申上げますと、土地を買つて、その次の年度くらいに建物の要求をするというのが多かつたと思いますが、具体的に個々には記憶がございませんが、大体建物の分も予算要求には載せて要求はした。併しながら査定の結果、全体の枠がしぼられました結果、止むを得ず重点的に、順位の緊急度の高いところだけ実際工事施行して来た。それ以外のところは予算措置ができなかつたということで、結局未使用土地がこれだけ、こういうことになつているわけでございます。だから予算要求は大体はしておるのでございますが、結局結果において認めなかつたということになると思います。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、これはこういうふうに解釈してよろしうございますか。予算は適正にその通り実施したのだけれども、結局敷地の買収だけはうまく行つたけれども、建物が、それに応じての予算を認めてくれなかつた。こういう結果になると解釈をするわけです。従つて敷地を認めた以上は、当然建物を認めるべきであり、建物を認めなければ敷地を認めたことが誤りだつたということになろうかと思いますが、この点検査院のほうでもうちよつとよく把握できないのですか。批難事項の買過ぎたというそのことが、どうも余りよく今の御説明を承わりますとちよつと考えさせられるようなところがあるのですが、その点もう少し御説明願いたいと思います。
  19. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 先ほど申上げましたように、土地購入土地購入予算の中からやつておられる。これは事実のわけです。それから建物のほうは建物のほうでおやりになつているわけでございます。で、敷地建物予算とがびつこになつている。こういうことでございますが、さてそれならば、敷地を選定して買つたという場合に、一体敷地予算はあるのだから、何でもかんでも買つていい、こういうことに一体考えてよろしいかどうかということもあろうかと思います。と申上げますのは、例えば二十七年にいたしましても、予算要求は恐らく予算が通過したより以上のことで恐らく要求されておるわけであろうと思います。そして予算は削減されておるわけであります。で、年々最近になつて来ると、ずつと少くなつて来ておりますが、そういう事態から勘案いたしまして、こういう数カ所に厖大な金額の建設予算をもつて行けば、或いは敷地のほうだけ考えておつても廻らんということは常識で考えられるのじやないかとこう思うのです。それで、そういう点を勘案せられないで、結局建物なり敷地なりの予算がびつこな形で執行されておる。予算がちよん切られたということだけに考えてよろしいかどうかという点については、非常に疑問を持つておるわけであります。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 大体その話はわかりましたが、これは国会の責任も非常に多いと思う。そういうことを認めるような、予算を通す。敷地買収をどんどん通し、必要な、今、島村委員の話を聞いても庁舎が非常に足りないということで何とか造らなければならない。にもかかわらず、国会においては庁舎予算を認めない。こういうことになると、あとで国会自身としても私は相当考慮しなければならん問題だと思うわけで、この点は大体わかりました。  そこでもうちよつとこれを掘り下げてお伺いいたしますが、非常に建物敷地の間のギヤツプのひどい年は、いつが一番ひどいのですか。
  21. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) ギヤツプがひどい、特に多かつたというのは、今具体的にちよつとすぐお答えできないのですが、要するに建物予算は二十六年度まで大体僅かずつ毎年殖えて来ていましたのです。二十六年度が約十億です。その後二十七年度以後にそれがずつと減りましたけれども……。で、そういう関係でありますが、その毎年の、つまり土地を買つたその次の年か或いはその次の年ぐらいに建てるのがいいのですが、今申上げました予算関係で建たないのがたまりたまつてこういうことに、現在の結果に相成つておるのでございます。何年度に一番余計買つたかということはちよつと今具体的にわかりませんが、恐らく二十六年度頃が一番多いのじやないかと思いますが、正確のところはのちほどよかつたら調べまして申上げたいと思います。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 これは最近の傾向といたしまして、私たちが感ずることは、やはり庁舎が必ずしも十分でないという官庁が非常にたくさんあるように見受けるのです。その際にとりわけ土地の値段が極く最近まで非常に急騰しておりました関係から、土地だけ確保して庁舎あと廻しにするという傾向がよく各官庁に見受けられたと思うのですが、そういう観点から考えても、なお且つ検査院としては非常にこれは国家に損失を及ぼす見方によつては何ですね、私は安い敷地を一年か二年程度ならば早く買つておいたほうが国家に損失と言いますか、余分な経費を支出しなくても確保できるのじやないかという意見も一応考えられるわけですが、まだ実情をよく聞いておりませんので、個々のケースで果して適切であつたかどうかよくわかりませんが、この際そういう比較検討して見て、なお且つ批難されるべき事項だ、こういうようにお考えのように承わるのですが、もう一度その点をお尋ねしたいと思うわけですが。
  23. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 土地を買つておきまして、国家的に損失であるか利益であるかという観点から見ますと、買われた当時から言えば、土地の値段は値上つておりますから、国の財産としてはこれは得になつている。これはございます。併しそういうことを予算の執行上やり得るかどうかということは又別ですが、一応経済的に見た場合には得になつているだろうと思います。  それから他官庁を比べましてどういうふうな関係になつているかと申しますと、他官庁のほう、私の知らないところも多分にありますので、多少あれかと思いますが、私の承知している範囲ではこれは裁判所が一番多い。これは多い理由は、一つには実はあると思うのです。あると思いますのは、建替えなければならんところが非常に多いという点も一つ原因していると思いますが、多いことは裁判所ほど多いものは恐らくなかろう。而もここで掲げておりまする三十数カ所のうち現在手をつけられているというのが数カ所に過ぎないというような状態から見て、少しどうも行過ぎじやないか。こういうことを申上げたわけであります。
  24. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今裁判所が大変多いという、何が多いのですかちよつとはつきりしませんが……。
  25. 上村照昌

    説明員上村照昌君) これは建物を建替える、改築するのがいろいろの面で多いというわけでございまして、ただこれが一つ一つが果して的確にそうしなければならんかどうかということについては、私のほうで再検討しなければ確答できませんが、そういう意味で申上げたわけです。
  26. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 総長に伺つておきたいと思うのですが、裁判所構成法が廃止されて裁判所と検察庁は独立しましたね。ところが余りどうもかけ離れているんで、機構は独立でも建物は同じ場所においたほうが便利だ、検察官とか弁護士、或いは裁判官のみならず、一般にもそのほうが非常に便利だ、こういう声を往々にして聞いている。ところがバラツク建の検察庁が最近の時勢になつて、漸く本建築が可能になるという時勢を迎えているので、裁判所の構内に検察庁舎を持つて行きたい。こういう機運も間々ある。ところが聞くところによりますと、裁判所のほうがどうもけちなんで、頑固なんで、余つている敷地を提供したがらない。折角建てる場所があり、要望に応えられるような環境にありながら、裁判所の考えが窮屈なためにできないということを聞いておりますが、そういうことはあるかどうかですね。あるとすれば何かにこだわつていやしないか。若しこだわつておるとするなら、そういう考えを捨てなければならない。裁判所だけが提供したくないということは理由にならないので、輿論がそれを要望し、関係者がそれを希望しておるとするならば、一つ裁判所が考えを拡張されて、それらの便宜に供すべきだと考えるのですが、その点如何でしよう。
  27. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 何か裁判所がこだわつておるのじやないかというようなことですが、決してこだわつておるのじやございません。従来建物を建てる場合に、裁判所と検察庁の建物が近接しているということは、一般国民にも便利であり、又裁判所こも検察庁にも便利であるという建前から、お互いに成るべく近接したところの土地を探して、そこに建てて行くというような方針で参つたのであります。ただこの建物の問題につきましては、裁判所が分離した当時の法制審議会において、どうも検察庁と従来裁判所が一緒にしているのはよくない。裁判所が独立した以上は、やはり建物も別にしたほうが国民にははつきりと裁判所の独立がわかるということで、建物は独立して裁判所が建てる、こういう大方針が司法省当時にきめられまして、只今でも大体そういう方針を踏襲いたしておるのであります。併し非常に離れて検察庁があるとか、或いは離れて裁判所が建つとかいうような場合には、成るべくその近所において土地を求め合つてそういたし、或いは一つ土地でもできることならば、双方の話合いで、一方はこの部分は検察庁の土地とし、この部分は裁判所土地とするように購入いたすようにやつておるのであります。ただたまたまいろいろなところで問題があると思いますのは、例えば検察庁が離れておつて非常に不便だ、そこで裁判所の構内に検察庁を持つて来よう、こういう場合に、一面土地使用関係から、これは又検査院のほうからお叱りを受けるかもわからんが、そういう場合に裁判所建物をこわさなくちやならん。そうすると、こわすというと裁判所はどこかに行かなくちやならん。その裁判所予算がないというような何で、成るほど便利であるということを知りつつ、止むを得ずそういうことになつているようなところがございますが、これはまあ予算その他の関係上止むを得ない処置であると思いますが、なお、今後もさような成るべく近接するところに行くように我々としても考慮いたしたいと思います。
  28. 小林亦治

    委員長小林亦治君) この第三号の関係ですが、一億三千万円ぐらいが二千四百万円ぐらいになつておる。これは局長の御報告では漸次処理せられるとおつしやつているのですが、この処理の経過ですね。時効になつたり、或いはこのほかに権利者の所在が不明になつたり、そういうものはかなりあると思うのですが、そういう関係どうでしようか。
  29. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) この東京地裁の関係の問題は、先ほど来お話ございますが、検査院上村局長も言われましたように、私どもといたしまして鋭意地裁を鞭撻いたしまして整理しております。何分件数も相当多い。そうしてまあ具体的に申しますと、保管金提出書、保管票その他関係書類を照合して整理して行くという、かなり細かい手数のかかる仕事でありますものですから、まだ完全に全部は済んでいないという状況でございます。  で、只今お話の権利者が不明になつておるのもあるのじやないかというお話でございますが、そういうものもあるかと思います。大分時間がたつておるものもございましようから。そういうものはまあできるだけ方法を講じて、権利者を探して、そうして処置するというふうにやつておるわけであります。
  30. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか。
  31. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この二号に関連してお伺いいたしますが、裁判所関係庁舎整理について、昭和二十四年度から二十六年度までに大阪家庭裁判所ほか七カ所の庁舎新築で十一億一千九百八十七万九千円使つておられるということが出ているわけでございますが、いろいろ予算関係で今この仕事が途中で中止されているようなことになつておりますが、これを当初の計画通り施行されましたならば、これ以上幾ら金がかかる現在の物価の基準といたしてお見込でございますか。
  32. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) ちよつと今すぐに計算を実はいたしておらないのでございますが、大体従来の実績から見まして、一坪あたりの単価にいたしますと約十万、ものによつてはそれよりやや出ているのがございますし、九万台でもございますが、大体平均して十万かかるというふうに考えてよろしいかと存じます。それでちよつと坪数が全部で幾らになりますか、計算すれば出るのでございますが、大体申しますと……。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 今のに関連して。それは昭和三十年度のですね。恐らく建設予算の要求を大蔵省と今日折衝していると思いますが、何億ぐらいに要求されているのですか。
  34. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) 三十年度の営繕予算の要求は只今要求書を出しておりますのは全部で三十八億ぐらいでございます。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 それで全部が完了するわけですか。敷地の買収分です。
  36. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) 敷地の買収分は大部分は参りますが、全部はいかんと思います。一部残るのがあると思います。というのは、全部敷地のあります分、全部入れますと、もつと大きな数字になるわけでございます。そこで私どもといたしましては、現在の庁舎状況、それから事件の数等を勘案いたしまして、いずれ建てなければいかんのであるが、先ず三十年度ではその緊急度の最も高いものというのを拾いまして、今申しました三十八億ほどの要求に相成つておるわけでございます。更にその次になお建築費を要する。こういう関係でございます。
  37. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今私の伺つたのは、もう一つ御返辞がはつきりしませんでしたが、観点をそれじや変えまして、三十三カ所を少なくとも建てなければならんものがある、こういういわば当切の理想案、それには幾らお金がかかるという予定でございますか。
  38. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) 只今問題になつております三十三カ所に建てるとして幾ら要るかというお話でございますが、実は今すぐにちよつとお答えいたし兼ねるのですが、計算いたしておりませんものですから……。およろしければ、後ほど計算いたしまして、正確な大体の見込数を御報告できるかと存じますが、今そらで覚えておりませんものですから……。
  39. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私三年前に新聞で拝見していると記憶していますが、その当時驚いたのです。記憶が間違つているかも存じませんが裁判所関係庁舎新築に要する費用として百五十億円予算を要求された、こういう記憶があるのですが、大体その見当でございますか。
  40. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) たしか二十七年度だつたと思いますが、そういう要求だつたというふうに記憶いたしております。恐らく百五十億で裁判所のほうとしてやらなければならないところ全部であつたかどうか正確に記憶いたしませんが、その大部分はそれに含まれておるんだろうと考えております。で、現在、抽象的になりますが、戦災を受けた庁舎のうちでまだバラツクにおるもの、それから古い庁舎で四十年以上もたつておる木造のうちで、もう修繕がきかない程度のひどいもの、それから終戦後新らしくできました家庭裁判所、それから簡易裁判所庁舎がない、或いは借物でやつておる、非常に困つておるので、是非新築しなければならないものというものだけを拾いまして、大体不燃の鉄筋で建てるといたしまして、約百億ぐらい要るという見通しでございます。併しそれは何と申しますか、緊急、もう現在誰が見ても改築しなければならんと思われるという分を拾い上げて約百億ぐらいになる。で、そのほかに更に改築したほうがいい、或いはもう少し増築したほうがいいというのもございますが、まあ辛棒できる程度のやつは我慢をするといたしまして、どうしても緊急度の非常に高いものと思われるもので大体百億ぐらいであるという推定をいたしております。
  41. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この二十年から二十六年度までの十二億円弱の支出をして、工事が中途半端になつておると、こういうことでありますが、それ以上幾ら要るかということは今わからんというお話なんですが、一体工事が途中で中止になつて会計検査院の言葉で言えば、非常に利用価値が少くなつておるといつたような、途中で中止をしなければならんような計画を杜撰にお進めになつた、予算もとれておらないのに、そういうことになつたということの起つた原因は一体どこにあるのか、どういうふうにお考えになつておりますか。
  42. 岸上康夫

    説明員岸上康夫君) 只今の点は終戦後裁判所が制度が新らしくなつたということから、裁判所庁舎のあり方と申しますか、規模と申しますか、というふうなものについて新らしい裁判所にふさわしいものを持ちたいという考え方から、全国的に一定の庁舎の基準というものを考えまして、例えば裁判官が何名おるところには法廷は何個要る、それから法廷は合議法廷ならば大体の広さは何坪ぐらいという基準を考えまして、その基準に基いて各棟についての坪数を出しまして始のだというのが事実でございます。今問題になつておりまする大阪家庭その他の庁につきまして、そういう基準ではじきましたのですが、その基準ではじいた数字が、相当検査院のほうのお考えによれば大きいということに相成るのでございますが、これは見方の問題かと思います。ところがそういう一定の基準に基いて始めましたところが、今申しました二十六年度までは、まあ予算が大体少しずつ殖えて来た、ところが二十七年度以後それが逆に減少して来たということから、最初計画いたしましたときならば、まあ何年間、二年或いは三年ということで大体完成するだろう、そういう見込だつたものが、逆に予算が減りまして、とてもそれでは予定通りできないということ、それから一方予算の折衝上、それだけの、例えば大阪なら大阪について六千坪、六階分の予算を認められない、これは地上二階でがまんしたらどうかというふうな、予算上の折衝の結果、それ以上の予算は認められないということで、止むを得ず予算の認められた範囲で差当りは打切つて一応使う。そうして今後更に財政上余裕ができた際に、建増すという方針の下に、そこで計画を変更した。而も変更するならば、その時期が技術的にも先ず変更して差支えない時期だということで変更いたしましたのです。ですから結局最初計画裁判所の案として一定の基準に基いて始つたのですが、途中で予算的にそれだけの裏付が得られなかつた。従つて止むを得ず変更した、こういうことに一口に言えば相成ると思います。
  43. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は両三年前に、裁判所関係庁舎新築に要する費用として百数十億の予算を要求されたという新聞記事を拝見しましたときから、どうも裁判所のお考えは司法権の独立、最高裁判所の独立といつたような点をお考えになるのは、これは国民として非常に結構なことであるが、併し建物を立派にするということと、これとはおのずから別問題であつて、一体敗戦の日本としての現在の国力相応ということをお考えになつておるのかどうかという点に、非常な実は不満の念を持つて、その記事を拝見したのでありますが、現に私はこの決算委員会の用務で北陸に参りましたときに、その間の時間を利用いたしまして、福井裁判所を拝見に上つたわけなんです。非公式に参りましたから、十分御説明を伺わずに、ただ私は外観だけ拝見して来たのでありますが、非常に立派なものができておる。廊下なんかも非常に広い廊下がとつてありましたが、ここにもちよつと出ていますけれども、外の装備はまだ仕上つていない。ところがあの裁判所の近くに、同じ福井の学校が、極めて老朽な校舎があつて、もう一つひどい地震でも台風でも来れば潰れてしまつて、子供が多くの死傷者を出しやしないかというぐらいなボロ校舎を私は見まして、非常な実は奇異な感に打たれた。と申しますのは、同じ国家の費用で建てるものが、教育のほうの学校はこんなにボロ校舎である。裁判所はここにも出ていますが、四億六千万円もかけた裁判所が建ててある。これで一体国の費用の使い方として妥当であるかどうかということを、私はつくづくそのときに感じたのでありますが、私は従いまして裁判所当局に、この問題が出ました機会に、特にお願い申しておきたいのは、十分必要なものはおやりになるのは結構でありますけれども、申すまでもなく、国民の税金でやることでありますから、どうか国の現状を十分お考えになつて、そうして我が国にふさわしい最小必要限度で建物をおやりになる、而もこの国家の費用をボロ校舎に使うほうが国家のためにいいか、裁判所を立派にするほうがいいか、刻下の効率からいつてどちらがより以上に必要性が差迫つているかということを先ずお考えになつてから予算の請求をされる。各省間のバランスを十分省としてもお考えになり、また裁判所としてもお考えになるという立場にお立ちを願いたい、こういうことを私は痛切に思うのでありまして、何階建ての建物が途中でやめられておる、その原因が予算が足りなかつた、或いは理想的なものをするのには幾らかかるという金の計算をしておらんというふうなことでなしに、もう少し費用の使い方ということについて、或いは建物を建てるよりも裁判官等の待遇をよくするほうに金を使うほうがより必要な問題じやないかといつたような、いろいろな問題がある思うので、私は一体公共の建物が立派に建つということは、敗戦の日本としては非常に悪い傾向だと、常々そういう持論でおまりすので、たまたまこういう問題が出ましたのと、福井裁判所を私が現実に拝見をし、学校と比較をしましたその感想を申上げまして、将来の御参考に供したい、かように存じます。
  44. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 只今の御意見、将来も営繕の問題に十分取り入れて考慮して行きたいと思います。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 今のと関連するわけですが、私もいろいろお話を承わつておりまして、これは国会の予算を審議する私たちに非常に考えさせられるものを感じているわけです。そこでこれは恐らく裁判所のほうでも非常にあせりを感じて、敷地はここまで確保したということも見受けられるわけですが、承われば、改築、新築を要する庁舎も大分あるというふうに今の報告でも承わつておりますが、地方に参りまして、官庁別に見ますと、非常にいいところと、つまり行き渡つて比較的立派なところと、非常に依然として行われていない官庁と私はあると思うので、その不均衡をつくづく感じているわけですが、将来私たちは決算委員としては予算委員会のほうにも予算の審議の際には十分尊重して頂きたいという観点から、これは大蔵省の所管になるか、或いは会計検査院が資料を集められるかわかりませんが、新営費、局舎関係庁舎関係の建設費関係の、何と言いますか、局舎の現状ですか、庁舎の現状、そういうものと予算の、恐らく会計検査院では各官庁の建設勘定の使途について検討されておるときに、そういう点を感じられておるんじやないかと思いますが、官庁別の非常な不均衡、そういうものを一つ一覧表みたいにして、何かわかるようなものを是非ほしいと思うのですが、大蔵省でやれば、大蔵省で結構ですが、本委員会で是非これは要求して頂きたいと思うのですが、会計検査院のほうでわかりませんか。
  46. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ちよつと簡単にわかりませんが。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 何年以上の庁舎は何戸あつて、総延坪数何ぼあるというようなことが各官庁別にほぼわかると思うのですが。
  48. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  49. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 速記を起して。  ほかに御質疑がなければ、裁判所所管については一応終了したいと存じますが、なお、只今の質疑の中にはたくさんの注文がございましたので、事務当局でも十分に委員会の注文を活かし下さるように、今後の運営に善処願いたいと存じます。それでは裁判所所管については一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  51. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 次に総理府所管北海道開発局第五号、第七号から第十七号まで及び是正事項の第三十九号を問題に供します。先ず検査院の御説明を願います。
  52. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 北海道開発局の案件が相当たくさん出ておりますが、簡単に御説明申上げます。  先ず第五号でありますが、これは札幌の開発建設部で丁度二十五年度二十六年度に建設省で再三出ましたいわゆる架空の人夫賃名義により捻出した金を、他の工事の費用に充当したという案件であります。この幌加内川の改修工事、これは二十六年度に請負に出したのでありますが、請負人が途中で投げてしまいまして、大部分の工事は残つたまま、請負人が途中で投げたわけであります。その残工事を今度請負を直営に変えまして継続施行したのでありますが、まだ工事が全部でき終らないのに、その年度で工事ができたことにして整理してしまつたわけであります。ところができたことにいたしましたが、工事のほうで残つておりましたので、あと処置に困りまして、翌年度に先ずここにございます幌加内村の農業協同組合、こういうところから金を借りまして繋ぎをやり、それからほかの全然関係のない工事から人夫賃などを捻出いたしまして、合計二百七十二万円というのを前年度の残つた工事に注ぎ込んだ、こういう案件であります。架空経理の案件は建設省当時も非常に問題になつたのでありますが、こういう経理をやるということは甚だよろしくないわけであります。  それから七号。六号を飛ばしまして七号以下であります。先ず七号八号は、これは隧道の工事をいたします際の当初の調査設計がまずかつた、こういう案件であります。七号はちよつと言葉で申上げると非常におわかりにくいかと思うのでありますが、これは小樽の開発建設部、与市の北のところの海岸でありますが、あの辺は非常に断崖になつておりますが、そこに道路を作るというのでいわゆる半隧道、あの丁度熱海のほうに参ります途中で、伊豆半島の途中で汽車があかりとりの横についている隧道を何遍か潜りますが、あれ式の隧道であります。断崖のところに道路を造る場合にはよく用いる方法なんでありますが、この百十メーターほどの隧道でありますが、断崖を切取りまして、そこに道路を造る、そしてその道路の上に半隧道を被せるわけでありますが、これを最初調査設計で隧道のテンパの厚さを四十センチということにしたのでありますが、それの計算は、丁度隧道の上に水平に一メーター、一番高いところで一メーターでありますが、一メーターは上に土を置く、こういう計算でやつたわけであります。それは上が岩盤でありますから上から石がどんどん落ちて来ますから隧道を傷めてしまいますので、その保護のために上に土を被せておくわけでありますが、その土を持つて来まして隧道のコンクリートの上に置くわけでありますが、この土をほかから持つて来たわけであります。ところが実際の施行に当りましては今申上げましたように隧道の上に水平に一メーターから一メーター以上も置くということになりますと、上から石がどんどん落ちて来ますから隧道が危いわけであります。こういう種類の工事はこの上に斜に土を置くということが通例であります。そういたしますと、石が落ちて来ても斜に滑つて海の中に落ちてしまつて隧道には悪い影響を与えないのです。こういうことになるわけであります。それで実際の工事をやるときには、水平に一メーター置くというのを斜に傾斜をつけておきました。そういたしますと、水平に一メーター余り置くのですと千百十六立米で済むのでございますが、これを斜にずつと積みますと三千三百立米土がのつかつてしまいました。約三倍になつたわけであります。それで隧道は四十センチくらいの隧道ではひびが入つてしまいます。そうして一、二日経つとたちまちそこにクラツクができた、それで非常に危いというので、折角できましたコンクリートの中に突つぱりをやつて一時抑えて、そして上に乗つている三千三百立米余りの土の約半分というものを取つて捨てるということをやつたわけであります。中にひびが入りましたから、その補強も行わなければならん、こういうことで工事に相当に手戻りをした、百三十万円の……。結局ここで三千立米も余計に置いた土を、これを又半分ばかり捨てたわけでありますが、その余計な土を運んで又捨てたというために百三十万円ばかり手戻りを来たした。又中にクラツクができたので又補強する、こういうことで七百四十万円ばかりも余計かかつてしまつたという案件でありますが、これは最初調査がこの種の隧道で水平に土を置くということは余りやらないのでありまして、これはさつき申上げましたように隧道の上に斜に土を被せまして、石が落ちてもそれが海の中に転がり込んでしまうようにするのが普通なんでありますが、最初調査が悪いために、こういうような結果を来たした、そういうことになつております。  それから八号でありますが、これは八百メーター余りの砂利道に八本の隧道を造る、こういう工事であるわけであります。函館の管内でありますが、江差の少し北のほうの、やはりこれも海岸の非常に工事のむずかしいところであります。ここに八本、二十六年度素掘りで高さ四メーター半という隧道を掘つたわけでありますが、ところがこの四メーター半、これが二級国道になりまして四メーター半では不十分だ、こういう現地当局の認定によりまして、これを五メーター半に切り拡げよう、こういうことを考えたわけであります。ところが御承知のように一旦掘りました隧道をただ拡げるということは非常に危険なのでありまして、八本のうち三号隧道というところで、これをやりましたところがこれが工事ができないというので、途中でやめてしまつたわけであります。ところがそういう経験がありますのに、八号隧道、最後の隧道で又三号と同じように工事を始めたのでありますが、これも三号と同様非常に地盤が悪い、こういうことで途中でやめるというので、又そこで国損を来たしたわけであります。隧道は初めから五メーター五十なら五メーター五十ということで計画いたしまして、そのつもりで突つぱりも余計入れるとかいろいろして掘つておけば、そうむずしかしいんでないんでありますが、一旦四メーター五十で計画いたしまして、それを拡げるというのは、相当にむずかしいということになつております。爆薬もかけますし、振動回数なんか非常に殖えて参りますので、これは非常にむずかしいのでございますが、そのために工事費で二百四十万円という手もどりを生じた。おまけにこの隧道は崩れてしまつた、こういうことになつております。  それから九号以下、ここで九号から十七号まで相当数が多いのでありますが、これはいずれも工事の出来高が不足しているという案件であります。例えば百の工事をやつても百に相当する代金を請負に払いましたあとで、会計検査院で現場を検査すると、それが九十しかできていなかつた。或いは九十五しかできておらなかつた。百に対する代金を払つたのは、結局過払いになつているという案件であります。個々の一つ一つのケースは違いますが、全体を通じてそういうことになつておるのであります。  先ず九号は、農林関係のものでありまして、美唄の幹線排水改良工事ですが、すき取及び盛土の量が、実際に金の払つていた額よりも、計つてみると少なかつた。これが出来高不足が百九万円、こういうことになつております。七百八十万円の工事のうちで、百九万円の出来高不足でありますから、相当大きい経費不足であります。  それから十号でありますが、これは運輸省関係の港湾の工事でありますが、函館の開発建設部でやつた工事であります。これは海岸に防波堤を造りまして、それの根固工を施行するために捨石をやるわけであります。防波堤の捨石は御承知のように波の荒いところでは、相当大きなものでないとすぐ流されてしまう。ここでは波が相当強いので、計画では五百キロ以上の石を使うということになつてつたのであります。ところが実際にはそのうちの大部分というものは、二百キロから三百キログラム程度の小さい石を使つていた。小さい石は量目で計りますと大きな石よりも安いのでありますが、これでは出来高不足になつている。而も私たちが検査に行きましたときには、その石が小さい石を使いましたもので、一割五分くらいのものが流されてしまつていたという案件であります。  それから十一号以下は、建設省関係の道路工事、そういうことでありますが、十一号は開拓道路などで、やはり土量の計算が、カーブを作るときに設計通りのカーブにやらないで、請負人が仕事のやさしそうなカーブで道路を造つてしまつた。これが主たる原因でありますが、そのために土量の切取の量、或いは低いところへ持つて来る盛土の量、こういうものが設計よりか少なくて済んだ、それに伴つて芝を張る、その芝なんかも合せて少なくなつてしまつた、こういう案件であります。四百八十万円の工事に対しまして六十九万五千円の出来高不足になつております。  それからその次の十二号は、これはやはり道路の工事でありますが、石垣の量が不足しておつた。設計通りできていない、而も方法が非常に粗雑であつたために検査の当時もう崩れてしまつてつた、こういう案件であります。  それから十三号は、これも川の護岸でありますが、川の護岸には御承知通り、じやかごで護岸をいたしますが、じやかごは、鉄線を編んでやる関係で、中に入れる石が一定以上の大きさがございませんと、水が流れて来たときに漏つてしまつて、石が網の目をくぐつて流れてしまう、こういうのでありますが、この工事では流れた量が相当に多い、規格では十五センチ以上の石を使え、こうなつているのに実際には十センチ以下の小さいものを相当に使つていた。そのほかに詰石の量も設計だけ入つていなかつた、こういう案件であります。これが三百九十万円に対しまして四十万円余りの出来高不足、こうなります。  十四号でありますが、これもやはり道路の災害復旧工事であります。これは石垣が練積の石垣をやつたのでありますが、裏込の砂利を使つていない。練積にならんわけでありますが、非常にぞんざいな石垣をやつている。それが主たる批難の内容になつております。  それから十五号でありますが、これは道路の改良工事、これも切盛の土量が不足していた、こういうケースであります。  それから十六号は、これも道路の改良でありますが、これもやはり切盛の量が不足し、それに伴つて側溝とか芝、そういうようなものから敷砂利、こういうようなものが皆設計から見ると不足していた、こういうケースであります。  最後の十七号でありますが、これは川の護岸でありますが、これも先ほど申上げたように、じやかごの詰石の量が設計よりも不足していた、こういうケースであります。  補助工粟は出来高不足というのは、御承知のように非常に多いのでありますが、国の直轄工事では、こういうさつき申上げたように、払つた金に相当しない工事がそのまま検収されておつたというのは誠に面白くないのであります。昨年北海道関係では相当出ましたが、今年はほかの種類の案件は出ておりますが、この種のものはいいあんはいに相当に減つたように見受けられます。
  53. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 三十九号願います。
  54. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 是正事項を申上げます。これは港導流堤の災害復旧工事であります。導流堤を、災害復旧の場合にそこの土を掘る、水中掘さくをやるわけでありますが、これを計算違いいたしまして、水中掘さくの量を間違えましたために、桁を違えたわけであります。八百立米掘つたということで金を払いましたところが、実際は八十立米で済んでおつた。請負人のやつたのも八十立米で工事が終つたわけでありますが、これは単純な計算違いでありますし、それから私どもが注意いたしましたら、百十四万円取返す、こういうことにいたしましたので是正事項、こういうことで整理わけであります。
  55. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 政務次官の山本君が見えておられ、それから次長の谷口君、企画室主幹の柏原君がお見えになつております。御質疑を願います。
  56. 永岡光治

    永岡光治君 只今会計検査院のほうから報告があつたわけですが、この処分状況、それから実際の返還金等の回収状況というのは、非常に徹底を欠いておるように思うのですが、どういうようになつておるのですか。例えば関係者に対する厳重なる注意、皆厳重なる注意で済まされている。返還金等の回収は開発庁ではどういう態度をとられたか。
  57. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) 第五号の問題でございますが、只今検査院のほうから御説明がありました通りでございまして、甚だ遺憾なことと考えておるのでございます。この事件の経緯につきまして、なお又その事由につきまして若干補足的に説明させて頂きたいと思います。  只今御説明がありましたように、本件につきましては昭和二十六年の七月に指名競争入札に附しまして、その結果難波組という会社に仕事をさせることになつたのでございますが、契約後一月有余を経ましても、なかなかその工事がはかどりませんので、開発建設部等におきましては頻りに督促をいたしたのでございます。ところがその組といたしましては、契約履行の見込が立たないということの理由によりまして、解約を申出て参りました。そこで現場検査の上に、工事金を精算いたしまして解約いたしたのでございます。なお、その請負者に対しましては、規定に従いまして二カ年の指名停止という処分を行なつたのでございます。それで一応これは落着いたしたのでございますが、これがもとになりまして、この工事施行の適機というものが失われまして、御指摘になりましたような問題を引起すようになつたのでございます。そこで残工事の問題でございますが、御承知のように幌加内という地方は非常に交通の不便な所でございますし、又労務者を集めますにも、資材等を運搬いたしますにも、非常に困難な場所でございます。加えまして、秋頃になりますと、非常に雨量が多い所でありますし、又十一月にもなりますと、非常に雪が多くて、工事がなかなか困難になるという事情がありましたので、適当な請負者を探したのでございますが、なかなか適当な請負者が見つからないということで、この残工事につきましては直営で施行するということにいたしたのでございます。ところが直営でやつてみますと、連日雨が非常に多かつた、なお又労務者もなかなか集まらないし、収入も少いために、その工事はなかなか居着かないというような事情もございまして、非常に困つたのでございますが、十一月の中頃から漸く天候もよくなりまして、順次工事がはかどつてつた。それで十二月下旬頃になりますと、雪のために工事が非常にやりにくくなるのでありますが、それまでに相当工事の成績が上つたのでございます。当時の予定といたしましては、残工事のうち極く僅かな部分を残しまして、年度内に工事が終了できるという見通しがついたのでございます。それで本工事につきましては二十六年度中で工事を打切りまして、極く僅かな部分だけは翌年度の別途工事として施行するということにまあいたしたのでございます。従いましてこの工事は冬場を通じまして続行されたのでございまして、建設部長といたしましても、その工事予定した通りに続行されて完結されたものと、そう心得ておつたのでございます。ところが翌年の、二十七年の五月頃になりまして、これはあとで判明したことでありますが、三月下旬の雪どけのために、完遂に近かつた、極く僅か残つてつた工事の部分が流失をいたしまして、相当の手戻りがあつた。それで残工事としては、極く僅かな金額で仕上るのだという予想を立てておつたところが、実際はかなりの金額をこれに投入しなければならないということがわかつたのでございます。それからそれに対しまして現場の施工責任者といたしましては責任を感ずる余り、そういつた工事がかなりの金額に上るということを、責任を感じて上司に隠しておつた。それで労賃の支払にも困るというような状態工事を続けておるというようなことになつてつたのでございます。  それでこの既成事実はこういうようになつておりますので、この処理に窮したのでございますが、結局二十七年度当初のことでございますので、早急に正式の予算の獲得の見込も立ちませんし、他方又現場の仕事をやつておりますので、それを一時中止させるということもできないし、労賃の支払もそれ以上遷延するということもできないというような非常に切羽詰つた窮境に陥つたのでございます。それで他の工事の費用をその残工事の完成のために流用するということもいたしたのでございます。それは雨龍川の河道の整理工事でございますが、この工事の元の設計は人力が掘さくをするという設計になつてつたのでございます。これを建設部で持つておりますブルドーザーを使いましてやりますと、相当能率も上りますので、予算の余裕を生ずる見込が立ちましたので、この工事の分から架空の人夫賃の名儀を使いまして支払いにかけて、その金を別途経理してやつたわけでございます。
  58. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ちよつと柏原君に御注意いたしますが、それを聞いている意味ではないのです。どうもこの処罰が軽いが、どういうわけかというのじやないのですか、永岡君、そうじやないのですか。
  59. 永岡光治

    永岡光治君 それをあなたは先ず説明されて、それに移ろうとしているわけですね、そうですね。
  60. 小林亦治

    委員長小林亦治君) まあ成るべく簡略に、事実は大体わかつておりますから、疑問とする点をお答え願つてそうのんべんだらりと全部最初からおしまいまでお述べにならなくてもわかつておりますから……。
  61. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) それじや簡単に……。そういうことで他の工事予算流用したと、そういうことでございますが、これに対しましては現場の施工員である小林技官、これに対しましては昭和二十八年の一月一日に、公務員法による三カ月間俸給五分の一の減俸処分に付したのでございます。それから分任前渡資金官吏に対しましては、公務員法によりまして、戒告処分として戒告をいたしたのでございます。それから建設部の建設部長、技術部長、それから分任資金前渡官吏の大友喜男、この三人に対しましては書面を以ちまして厳重に注意を与えたのでございます。それから実地検査の当時残額九千六百八十円が手許にあつたのでございますが、この金は二十八年度の十一月二十五日に国庫に納付済でございます。
  62. 永岡光治

    永岡光治君 第五号の批難事項に対する処分はまあここに出ておりますが、各官庁の処分の状況に比べて私は不当に軽過ぎるような印象を受けてならんわけです。これは併し別といたしまして、あとのこの七号以下の問題については厳重なる注意ということになつているのですね。それからこの反還金の、これはまあ回収の状況ですが、国家としてこれも重要視しなければならない問題ですが、返還を約束しているものがあるわけです。会計検査院からもこれは返還を指摘せられていると思うのですが、一向に回収されていない。で、私はこれらの事件について一体どのように開発庁当局は努力をしやつているのか、その辺のところがとんとわからんので、その状況と熱意のほどを知りたいわけですよ。一体どういうふうになつているのですか、この返還金等についてはないということになつているのですが、この返還金等の回収状況ですね、これはどういうふうになつているのですか。
  63. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) 手直し工事の分につきまして、出来高不足の分につきましては手直し工事をやつておりますので、それで済んでおります。
  64. 永岡光治

    永岡光治君 これはちよつとこの資料ではどうも殆んど回収されていないものだから、そういう質問をしたのですが、後ほどこの資料が出ておりますので、ちよつと見なければわからんと思います。これは後ほどに譲りますが、只今この五号の分で工事がですね、残工事が三月の雪どけで流れてしまつて、もう少し早くしておればそれで済んだのにかかわらず、相当の経費を使うことになつた。而もそれはまあ隠しておつたということですが、大体他の工事から予算流用して来たということを今説明されたのですが、それは開発庁当局は下のほうで勝手にやつたことでないと思う。恐らく流用する以上は予算的手続が必要と思うのですが、そういうことについてもうちよつと詳しい説明がほしいのですが、当局はそれを認めたわけですか、それともどういうところでこれを流用したのか、その段階ですね、その段階はどこでこの流用を認めたのか。
  65. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) お答えいたします。他の工事から予算を持つて参りましたのは、二つございまして、一つは雨龍川筋河道整理でございます。一つは島松川の改修工事でございます。雨龍川筋の河道整理のほうから予算に余裕を持たしまして、それをそつちのほうに廻すということにつきましては、建設部のほうでそれをそういうことにいたしたのであります。ところが更にそれで工事ができ上りませんので、島松川の改修工事のほうの予算流用した結果になつたのでございますが、これは現場施工員の小林技官がひたかくしに隠しましてやつたことであります。
  66. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると予算流用というのは、例えば開発庁の経理当局予算の組替を、流用ですね、大蔵省と折衝の上で認めてもらつたというのではなくして、金そのものを、これは非合法に流用した、こういうことになつていると解釈してよろしうございますか。
  67. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) さようでございます。不当に経理したわけでございます。
  68. 永岡光治

    永岡光治君 それからこの返還金ですね。返還金等の回収状況ですが、要約してお尋ねしたいのですが、返還をさすべきものは全然ないと言うが、今のところそういう工事のものについては全部回収済みである、こういうことに解釈してよろしいですか。つまり聞きたいのは、返還を要するものは現在は一つもないと……。
  69. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) 今お尋ねの通りでございます。
  70. 小林亦治

    委員長小林亦治君) なお関連して、何か永岡君質問の準備をしておるようですから、関連して伺いたいのですが、これはいつも決算委員会で問題となつて、特に昨年からは大問題となり、政府にも強く注意を与えたことなんですが、一体この上司が下僚に対して職務上の注意をする、行なつたことに関する注意を与えた、こういうことを君たちは行政上の処分と一体思つているのかどうか、この点如何でございますか、政務次官どうですか。つまりね、答えやすいために申上げますが、こんなことは当り前のことなんだ、上司が下僚に対して行政上行なつたこと、行わんとすること、そういうことに注意を与うるということは、これは当然のことなんだ、国家に飼われているからね。飼われている同僚同士であるから、お互いに何も関係がないのだというものじやないのだ。殴つたりひつぱたいたりはこれは悪いでしようが、いろいろ注意を与え、訓練をし、鍛練をすることは、これは当然の上司の任務である。然るにかかわらず、君らはかような不都合な、而もまずい行いをしでかした者に対する行政上の処分をしたり、注意をあたえたことが処分であるというようなことでごまかしておる。こういうことはけしからんことであり、この官僚同士がお互いにかばい合つて、国民をごまかす一つの手なんだといつたような意味合いから、私どもは両三年以来、かようなごまかしをやつちやいかん、国家公務員法にちやんとあるのである。処罰が段階に区別せられておる。免職から戒告までですか、五段階か四段階ともかくある。それを使わないで、単に厳重注意とか、注意は一つの処分でありますというがごときことをおやりになつたということ、而も報告書にも恬としてそれを載つけておる。そういうことが処分をしたりと称する、国民に対するごまかし以外の何物でもないが、不都合な者、不当な者、過失の大なる者に対してはよろしく国家公務員法上の処分を期せなければならんということを当決算委員会でも決議をしまして政府に与えたわけなんです。副総理でしたか、総理でしたかが、今後はそのようなことのないように、法律上の処分を以て綱紀を肅正しますという誓約を、本会議場でせられたわけだ。まあこれはその前の処分ですから強くは申しませんが、一体かようなことを国家機関として、公務員として不都合に対する処罰であると思つておるのかどうかということは如何ですか。
  71. 山本正一

    説明員(山本正一君) 事柄は正しく委員長仰せの通りの趣旨なんでありまして、たまたま発生いたしました怠慢、若しくは過失の事故に対しまする担当官吏の自覚反省というものが、今行われておるごとき程度のもので、果して国家、国民に対して十分に徹底するかどうかということについては、私も委員長の仰せと同様の感じを持つておるものであります。将来の問題といたしましては、それらの点について政府としては十分なる改善を加えなければならない。御趣旨の点は長官たる副総理にもよくお伝えをいたしまして、仰せの御趣旨に副い得るように運びたいと考えておる次第であります。
  72. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 了承しますが、くどいようですが、これで見ると数十万円或いは百万、それ以上に亘つておるものが、これが個人の民間の会社であるとか、ほかの団体であるといつたような場合には、これはもうその地位に……、もう全部に根本的な問題であろうかと思うのであります。官庁なるが故に、ただ上司からの注意で事が済んだということは、これはもう常識で納得しないところなんです。従来この責任者の処分を、注意とか、厳重注意、こういうことでやつてつた。その不当を私どもは両三年以来弾劾して参つておるのであります。昨年度からは政府からも言明を得、今後の綱紀粛正の上にはその言明通りの実が挙がるものと期待しておるのでありますから、一つ私どももこれは頭を切換えてやろうじやないですか、こんなことが処分じや……、当り前のことを処分なりとして報告するという、まあ強く言えば不遑な話なんです。当り前ですよ。上司が下僚に対して注意を与えるなんてことは当り前なことなんです。上司は不断に叱つたり試したりして使うことは当然なんです。事務以外のことを発言しちやならんというようなわけのものじやないのです。次長も如何ですか、そこのお考えを伺つておきたいのです。こういうことが行政上の処分であると思つておるのかどうか、当り前のことを処分として報告しておるということの不都合を聞いておるのです。
  73. 谷口明三

    説明員谷口明三君) お答えいたします。官吏の懲戒処分等につきましては、只今委員長の御意見の通りでありまして、当該本人を戒めると同時に、他の多数の職員の戒めのために処分は厳重にしなければなりませんこと、お説の通りであります。併しながら、処分をするに至るにつきましてはいろいろの事情があるのでありまして、私どもここに指摘されましたたくさんの不正不当の工事につきましては、その処分に当りましては、最も慎重に、又現状とそのよつて来たる事情を十分調査いたしまして、又この処分につきまして、単に開発庁ばかりでなく、農林省、建設省、運輸省等の関係もございまするので、それらの関係各省と技術的にも十分研究いたし、又場合によりましては、検査をされました会計検査院とも協議いたしまして、これがまあ妥当だろうというような処分をいたしておるのであります。処分すべき案件に対しまして、一応注意をして、それで終るということでは決していけないのでありまして、これが重いか軽いかということはおのずから見方があると思いまするが、決して簡単に処分をしてそれで終るというような考えは毛頭持つておろませんことをこの機会にお答えをいたしたいと思います。
  74. 小林亦治

    委員長小林亦治君) そんなことはわかつていることだ。それなら聞きますがね、戒告と注意との差はどういうものですか。戒告というものはどういうものですか。
  75. 谷口明三

    説明員谷口明三君) 注意は御指摘通り官吏の懲戒処分ではございません。戒告は御承知通り最も軽い懲戒処分一つだと考えております。
  76. 小林亦治

    委員長小林亦治君) そんならなぜ戒告を使われないのですか。つまり責任者の処分というからには、少くとも最低の戒告ぐらいでなければ処分とは言われまいと思うのです。注意だけでは処分をしないことに私どもは解釈をするので、念のために伺うのです。極く軽いのが戒告なんだから、かような具体的事案の場合には戒告に値すると私は思う。痛くも痒くもないのですから、本人は戒告なんというものは、ただ本人の身分上のいろいろな場合に、そういう事例があるとすると考慮せられる一点点を引かれるといつただけのことなんです。そんな程度のものをなぜ使うのかというのです。注意とか、厳重注意なるものも処分なんと称することがよくないということなんです。戒告にも値しないものならば処分なんということはおつしやらないほうがいいんです。そこでごまかしだと、こう見られやすいというのが私ども危惧する点なんです。政府でもいやしくも処分に値する場合には最低の戒告は用うべきであるということは去年も言つてある。今気付いたのか、そんなことと言つたところが、さようでございますと言つたようで頭を下げておる。君だけだ、そんなことを強弁するのは処分しなければならんものは最低の戒告をやればいいじやないですか、如何でしよう。
  77. 谷口明三

    説明員谷口明三君) 只今の御意見の通り、注意は懲戒法上の処分とは考えておりません。
  78. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ですから注意は処分でありますか、私は、処分じやない、当り前のことだというんです。上司が下僚を注意したり戒めたり、これは事実上当り前のことなんです。それを殊更に報告文書に盛る処分なりと称することがごまかしだ。何もやらんにひとしいということです。ともかく失態のあつた者は懲戒法上最低の処分を与えろと政府は言つておるのですよ。あなたは政府よりも寛大に扱うつもりかどうか。そういうことは全国の末端の各官庁に徹底させよということを命じてある。当委員会に政府はやりますというのでもうやつたようなんでしよう、見ていませんか、あなたは。
  79. 谷口明三

    説明員谷口明三君) 承知しております。その方針に従いまして、あの御注意があつて以来は特に厳重にやつておるつもりであります。
  80. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 食い下るようで甚だ非礼で恐縮なんですがね、是非そのように願いたいと思う。そうでないと各省のどなたがお見えになつても同じようなことをこの決算委員が繰返して、そのような失礼な質問をしなくちやならないようになる。是非今後からは処分したりと称するがためには、少くとも戒告以上のものでなければ私どもは行政上の処分、或いは上司の下僚に対するところの戒めとは受取れませんからお含み願いたいと思います。
  81. 永岡光治

    永岡光治君 九号以下出来高不足、これが非常に多いのですが、これは原因はどういうところにあると見ておられますか、そうして又その対策はどういうふうに考えられておりますか。
  82. 谷口明三

    説明員谷口明三君) 五号以外の案件につきましては、関係の各省から事案の説明があると存じまするが、今お尋ねのように、いろいろの不当批難工事がたくさんあるのはどういうことかというお尋ねに対しまして、極く一般的なことをお答えいたしたいと思います。もとよりこれは言い訳なり弁解ではございません。実情をお話しするのみであります。御承知通り、北海道は積雪寒冷の地域でありまして、屋外の工事は四月から十一月までがやつとであります。十二月から三月までは殆んど工事ができません。ところがこれはもとより政府部内の問題でございまするが、当該年度の予算が決定いたしまして、流れて来ますまでに相当な時間がかかるのであります。予算示達がありまして、初めて工事に著手し、諸般の準備をいたしましてかかるのでありまして、もとより事情によりまして違つておりまするが、おおむね六月でなければ仕事ができない。役人の常といたしまして、できるだけたくさんの仕事をいたしたいと念願いたしますので、その年度の金はできるだけ雪の降るまでに仕事をしようと努力するのでありますが、どうしても無理が参りまして、十月、十一月になるのであります。ここにいろいろなことが屋外工事上起るのでありまして、工事に非常に無理が行く。それから先ほど来いろいろ御指摘がございましたが、当該官吏の出来形検定が非常に困難である。例えば雪を掘り起して見るとか、その他いろいろあります。そういうようなことがやはりいろいろの批難事項が多く発生する原因の一つであります。又これも弁解になると存じまして、誠に恐縮でございますが、北海道開発の仕事が本格的になりまして、御承知のような機関ができましたのが僅か三年前のことであります。即ち開発庁はもとより現地開発局にいたしましても新らしい役所であります。即ち人間が非常に不足な役所であるということであります。なかなかかような戦後の情勢でありまして、増員というようなことは困難だ、これは本州、九州等いわゆる内地における農林省関係出先機関及び建設省関係の地建等の定員とその事業量を比較いたしますというと、今日現地開発局の人間は現状におきましても更に約二千名近くの増員をしなければ一人当りの事業量が建設省並みにならん。内地の地建や農林省の仕事並みにならんというような現状であります。非常な無理をして仕事をしているということも一つの私は理由ではないかと思います。これがために増員の関係は非常な努力をしておりますが、今日一般の大勢が定員減、節約の時代でありまして、なかなか思うようにうまく行つておりません。その他北海道には、その地質が内地と違いまして泥炭地とか或いは火山灰地等が多うございまして、そういう所に伺つて行われるところの工事も相当ございます、これらは常に冬等においては或る程度の地質の変動を来たすのであります。こういうようないろいろの内地と違つた特殊の事情がありまして、かような結果に、十分注意をしておりまするけれども、かよう事案ちよいちよい生んでおるのでありまして、誠に申訳ないと思つております。  これが対策につきましては先般参議院におきまして、特に北海道に対しては予算示達を早くするようにという書類が廻つて参りました。今後大蔵省に折衝いたしまして、できるだけ早く予算の配分、示達が早く来るように努力したいと思つております、又増員につきましても、機会あるたびに増員の努力をしておりまするが、今後この問題につきましても十分努力しなければならないと考えております。なお各事項につきましてはそれぞれの建設省、農林省、運輸省のかたが来ておられますのでお尋ねを願いたいと思います。
  83. 永岡光治

    永岡光治君 まあ原因がそういうことで、殆んど自然現象によるものが多いよりに思われるのですが、増員の問題は別といたしまして、そうしたらこれは出来高不足ということはちよつとこれは将来は直すことができないというような結論に達しそうですがね、四月から十一月までのこの期間は恐らくどう改正してみたところで北海道はそれ以外にちよつと工事はできないと思うのですが、何か事実上の対策はできないのですか。
  84. 谷口明三

    説明員谷口明三君) これは国損の問題を考えまするならば、いいことか悪いことかわかりませんが、後請保証というような制度も考えまして、請負者に手直しを責任を持つてさせるというようなことも一つの方法だと存じております。ただ冬期間に無理をして仕事をするということをやめるかやめないかという問題でありまして、仕事の性質によりましてはまあ多少無理をしてもできるものもありましようし、又非常な欠陥を生ずるようなこともありまするので、十分注意はしておりまするが、若し或る程度の無理をしてその冬期間にやりまするならば、常に或る程度の出来高不足というものは生ずるのではないか、又先ほど申しました通り出来形検定の問題にも関連するのでありまして、出来形検定が十分でないということもあり得るのであります。これも弁解みたいになりまするので誠に恐縮ですが、寒くなりまして雪の降つた頃に出来上る、即ち関係の監督官は出来形検定をいたすのであります。その際に雪を掘り起してやる、相当な時間と費用もかかりまするし、ときにはその出来形検定というものが十分でなかつたのではないかと思われるような事案もあります。又先ほどの人員の問題でありまするが、検定官が非常に不足というようなこともあるのでありまして、もとよりこれは幾ら注意いたしましても絶対に防ぐことのできない事案かというお尋ねでありまするならば、それはそうではないとお答えを申すことができると思います。
  85. 永岡光治

    永岡光治君 これはこの検収がやはり私は結局不十分というところになると思うのですがね。その際雪で困難だという場合、これは相当な経費を要するということは経理の問題になるかも知れませんが、会計上どうなるか知らんけれども、翌年少し雪のとけ始めた頃に検収をしてやる、恐らく三月頃までには何とかなるのじやないかと思います。そういうことは講じられないかどうか。  それから検査院のほうにお尋ねしたいのですが、こういう事案を見て、今原因は、説明を聞かれた通りですが、それから対策もお立てになつたそうですが、どうですか、こういう問題、検査院から見て批難すべきことだから批難しておるわけで、そうだと思うのですが、やはり私はこれは防げると思うのですが、どうも今のお話を聞くと、結果的には北海道の特殊事情として止むを得ないと思われるような節もあるように思うのですが、一体会計検査院はどういうように見ておられるのですか。主としてこのいろいろな対策について聞きたいのですがね。    〔委員長退席、理事八木幸吉君着席〕
  86. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 只今のお話でありますが、どうもお話が少し古いのではないかと思うのであります。と申しますのは、二十七年度に批難しましたのは皆十一月、十二月にできておるのであります。予算が前は少し遅かつたのでありますが、二十八年度なんかは四月に付いております。現に私ども相当厳重な検査をいたしましたが、二十八年度には、先ほどちよつと御紹介いたしましたが、この種の出来高不足は殆んどなくなつてしまつたのであります。小さいものは少し見付かつておりますが、来年はこんなに大きな出来高不足はできないのでありまして、先ほどのお話は前のことをおつしやつておるのじやないかという感じを受けた次第であります。決して北海道だからといいまして検収をおろそかにやつていいというのじやございませんし、私ども随分やかましく言うたのであります。とにかく現在は北海道は出来高不足ということは減つております。これは私冒頭に申上げた通りでありまして、大体解決しておるのじやないか。後請保証など大分古いお話が出ましたが、ああいうものは以てのほかでありまして、これは雪期間を越してあとまで請負人に責任を持たせる制度であります。昔北海道でやつていたのでありますが、これは請負人にとつては実に迷惑な話でありまして、二月なり三月なりに工事ができまして、それを五月頃の雪のとけるまで置いておいてそのときに雪どけやなんかでこわれたものを請負人に保証させる、請負人にとつては実に迷惑であります。そのために一部の代金を払わないでおくということを昔やつていたのでありますが、これは私ども幾ら北海道でもそんなことはいかんということでやめていた制度でありまして、こういうことを又蒸し返させるということはこれは却つて弊害のほうが多いのじやないか、こういうふうに思つておる次第であります。
  87. 八木幸吉

    ○理事(八木幸吉君) ほかに御質問ございませんか。……では私三十九号について伺いたいと思います。三十九号は「請負工事代金の決定において、水中掘さく量の計算を誤つたもの」、こういう題目であります。つまり水中掘さく量は八十立方メートルであつたものが八百立方メートルと誤算したがために、二百七十万九千六百四十七円の請負の中で百十四万六千百四十九円削減しなければならない、こういう会計検査院の御指摘でありまして、北海道開発庁はその通りである、かような御答弁があるわけであります。  私の伺いたいのは、場所詰コンクリート百五十三立方メートルという意味がはつきりいたしませんが、水中掘さく量が一割しかないというのに、減額が約半額に充たないという意味がはつきりいたしませんのですが、場所詰コンクリート一立方メートルの費用、それから水中掘さく料の一立方メートルの費用等を御説明頂いてこの数字の出た根拠と会計検査院から御説明頂きたいと思います。
  88. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは工事を起しますと、大きな工事でも小さな工事でも、今の床掘そのものの経費はこれは正比例いたしますけれども、それ以外に正比例しないものも相当多いわけであります。本件の場合は八百立米で水中掘さくが百二十五万六千円、これは掘さくだけの経費であります。それが八十立米になりますと、直接的な経費は一割になつてしまいます。百二十五万六千円が十二万五千六百円になつたのであります。差額が百十三万円出たのであります。それにあと経費の相当額が一万六千円、こういうことになりまして、差額が百十四万六千円になつたのであります。それ以外に防波堤等ほかの工事が相当にあるわけでありまして、それは動かないわけであります。全体から見ますと減らす量は、今の水中床掘に直接入つておりませんが、それに対する諸経費がありますので、全体の工事から見ますと減りかたは少いのでありますが、この点で間違いはございません。これは立ちましたついでに申上げますが、二十八年の十月に全部返還させております。
  89. 八木幸吉

    ○理事(八木幸吉君) そこで私北海道開発局の御当局に伺いたいのですが、とにかく八十立方メートルのものが八百立方メートルと誤算された、非常に簡単直載な誤算なんですが、設計並びに工事の監督人もおられるし、その上に開発検査部長もおられるというふうに、順々にこれはいずれ、二百七十万円内外の工事でありますから、書類で御覧になつていると思うのですが、かような簡単な間違いが、何人かこれは御関係になつておりまして、開発庁のお出しになりました調書によりましても関係のかたが五人おありになるのに、誰も発見できなかつたということは、私は常識で非常にどこかに欠陥があるのじやないかと実は不審に思うわけなんですが、それでこれは言葉で御説明を伺つても仕方がありませんので、この工事の設計書それから仕様書、申請書、承認書並びに減額されてからの支払伝票と現実のこれに関連したいろいろな係員の判を捺された書類を一遍当委員会に御提出を頂いて拝見したいと思うのです。これは大抵民間の会社などで三百万円近い請負工事があつて、そのうちで百万円もの間違いがあつた、その間違い方が単位が一つつてつたということは、五人の関係者がおれば、誰かが発見するのが常識で、会計検査院指摘しなければめくら判を捺して通つてしまつたということは、私としては如何にも不手際であるが、一体制度の上でどこを直したらといいかいうことを調べてみたいと思うので、現実の書類を資料として当委員会に御提出頂くことをお願い申上げておきます。
  90. 谷口明三

    説明員谷口明三君) 関係書類の提出につきましては承知いたしました。ただ本件運輸大臣現地仕事につきまして初めからしまいまで監督して、設計書の承認等全部やつておられるのでありまして、運輸当局と協議いたしまして、書類の提出を速かにいたしたいと思います。
  91. 八木幸吉

    ○理事(八木幸吉君) ほかに御質疑ございませんか。ほかに御質疑がありませんでしたら、北海道開発局関係批難事項については一応質疑が終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 八木幸吉

    ○理事(八木幸吉君) 永岡さん、何か……。
  93. 永岡光治

    永岡光治君 異議はありませんですが、その三十九号の資料提出ですが、運輸大臣現地を指導したという話があつたのですが、どういう意味ですか。
  94. 谷口明三

    説明員谷口明三君) お答えいたします。参議院の決算の専門委員室からお手許に決算の審査資料というものが出ておるようであります。これによつて承知通り、当北海道開発庁は事業の開発計画を立てまして予算を取り、これを編成いたしまして、そのできました予算はそれぞれこのお取りになつた文書に書いてあります通り関係の各省に写し合いをするのでありまして、農業関係は農林省、港湾関係は運輸省、その他の土木工事につきましては建設省に写し合いをいたしまして、事業の執行につきましては建設大臣或いは運輸大臣、農林大臣のみが現地の開発局を指揮監督するのでありまして、当北海開発庁は事業の執行そのものにつきましては事態を余りつまびらかにしておりません。ただ法律には開発の推進をしなければならんということが書いてありますので、その点におきましては勿論大体のことは承知いたしておりまするが、事実上の事業執行の諸般の問題につきましては先ほど御要求になりました書類等一切開発庁は持つておらないのであります。その事情は、ここに決算専門委員室におきまして、積極的にお作りになりましたことで御了解願いたいと思います。この決算委員会におきましてこういう資料が出ておりますこと、私非常に喜び又敬意を表しておるのであります。ただこういう実情というものがいいか悪いかということは、これは別途の問題でありまして、現状はこういう仕事の運び方がされておるということを御了承願いたいと思います。    〔理事八木幸吉君、委員長着席〕
  95. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後一時二十分散会