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説明員(小峰
保榮君) 北海道開発局の案件が相当たくさん出ておりますが、簡単に御
説明申上げます。
先ず第五号でありますが、これは札幌の開発建設部で丁度二十五年度二十六年度に建設省で再三出ましたいわゆる
架空の人夫賃名義により捻出した金を、他の
工事の費用に充当したという案件であります。この幌加内川の改修
工事、これは二十六年度に請負に出したのでありますが、請負人が途中で投げてしまいまして、大部分の
工事は残
つたまま、請負人が途中で投げたわけであります。その残
工事を今度請負を直営に変えまして継続
施行したのでありますが、まだ
工事が全部でき終らないのに、その年度で
工事ができたことにして
整理してしま
つたわけであります。ところができたことにいたしましたが、
工事のほうで残
つておりましたので、
あとの
処置に困りまして、翌年度に先ずここにございます幌加内村の農業協同組合、こういうところから金を借りまして繋ぎをやり、それからほかの全然
関係のない
工事から人夫賃などを捻出いたしまして、合計二百七十二万円というのを前年度の残
つた工事に注ぎ込んだ、こういう案件であります。
架空経理の案件は建設省当時も非常に問題にな
つたのでありますが、こういう
経理をやるということは甚だよろしくないわけであります。
それから七号。六号を飛ばしまして七号以下であります。先ず七号八号は、これは隧道の
工事をいたします際の当初の
調査設計がまずか
つた、こういう案件であります。七号はちよつと言葉で申上げると非常におわかりにくいかと思うのでありますが、これは小樽の開発建設部、与市の北のところの海岸でありますが、あの辺は非常に断崖にな
つておりますが、そこに道路を作るというのでいわゆる半隧道、あの丁度熱海のほうに参ります途中で、伊豆半島の途中で汽車があかりとりの横についている隧道を何遍か潜りますが、あれ式の隧道であります。断崖のところに道路を造る場合にはよく用いる方法なんでありますが、この百十メーターほどの隧道でありますが、断崖を切取りまして、そこに道路を造る、そしてその道路の上に半隧道を被せるわけでありますが、これを
最初の
調査設計で隧道のテンパの厚さを四十センチということにしたのでありますが、それの計算は、丁度隧道の上に水平に一メーター、一番高いところで一メーターでありますが、一メーターは上に土を置く、こういう計算でや
つたわけであります。それは上が岩盤でありますから上から石がどんどん落ちて来ますから隧道を傷めてしまいますので、その保護のために上に土を被せておくわけでありますが、その土を持
つて来まして隧道のコンクリートの上に置くわけでありますが、この土をほかから持
つて来たわけであります。ところが実際の
施行に当りましては今申上げましたように隧道の上に水平に一メーターから一メーター以上も置くということになりますと、上から石がどんどん落ちて来ますから隧道が危いわけであります。こういう種類の
工事はこの上に斜に土を置くということが通例であります。そういたしますと、石が落ちて来ても斜に滑
つて海の中に落ちてしま
つて隧道には悪い影響を与えないのです。こういうことになるわけであります。それで実際の
工事をやるときには、水平に一メーター置くというのを斜に傾斜をつけておきました。そういたしますと、水平に一メーター余り置くのですと千百十六立米で済むのでございますが、これを斜にずつと積みますと三千三百立米土がのつか
つてしまいました。約三倍に
なつたわけであります。それで隧道は四十センチくらいの隧道ではひびが入
つてしまいます。そうして一、二日経つとたちまちそこにクラツクができた、それで非常に危いというので、折角できましたコンクリートの中に突つぱりをや
つて一時抑えて、そして上に乗
つている三千三百立米余りの土の約半分というものを取
つて捨てるということをや
つたわけであります。中にひびが入りましたから、その補強も行わなければならん、こういうことで
工事に相当に手戻りをした、百三十万円の……。結局ここで三千立米も余計に置いた土を、これを又半分ばかり捨てたわけでありますが、その余計な土を運んで又捨てたというために百三十万円ばかり手戻りを来たした。又中にクラツクができたので又補強する、こういうことで七百四十万円ばかりも余計かか
つてしま
つたという案件でありますが、これは
最初の
調査がこの種の隧道で水平に土を置くということは余りやらないのでありまして、これはさつき申上げましたように隧道の上に斜に土を被せまして、石が落ちてもそれが海の中に転がり込んでしまうようにするのが普通なんでありますが、
最初の
調査が悪いために、こういうような結果を来たした、そういうことにな
つております。
それから八号でありますが、これは八百メーター余りの砂利道に八本の隧道を造る、こういう
工事であるわけであります。函館の管内でありますが、江差の少し北のほうの、やはりこれも海岸の非常に
工事のむずかしいところであります。ここに八本、二十六年度素掘りで高さ四メーター半という隧道を掘
つたわけでありますが、ところがこの四メーター半、これが二級国道になりまして四メーター半では不十分だ、こういう
現地当局の認定によりまして、これを五メーター半に切り拡げよう、こういうことを考えたわけであります。ところが御
承知のように一旦掘りました隧道をただ拡げるということは非常に危険なのでありまして、八本のうち三号隧道というところで、これをやりましたところがこれが
工事ができないというので、途中でやめてしま
つたわけであります。ところがそういう経験がありますのに、八号隧道、最後の隧道で又三号と同じように
工事を始めたのでありますが、これも三号と同様非常に地盤が悪い、こういうことで途中でやめるというので、又そこで国損を来たしたわけであります。隧道は初めから五メーター五十なら五メーター五十ということで
計画いたしまして、そのつもりで突つぱりも余計入れるとかいろいろして掘
つておけば、そうむずしかしいんでないんでありますが、一旦四メーター五十で
計画いたしまして、それを拡げるというのは、相当にむずかしいということにな
つております。爆薬もかけますし、振動回数なんか非常に殖えて参りますので、これは非常にむずかしいのでございますが、そのために
工事費で二百四十万円という手もどりを生じた。おまけにこの隧道は崩れてしま
つた、こういうことにな
つております。
それから九号以下、ここで九号から十七号まで相当数が多いのでありますが、これはいずれも
工事の出来高が不足しているという案件であります。例えば百の
工事をや
つても百に相当する代金を請負に払いました
あとで、
会計検査院で現場を
検査すると、それが九十しかできていなか
つた。或いは九十五しかできておらなか
つた。百に対する代金を払
つたのは、結局過払いにな
つているという案件であります。個々の
一つ一つのケースは違いますが、全体を通じてそういうことにな
つておるのであります。
先ず九号は、農林
関係のものでありまして、美唄の幹線排水改良
工事ですが、すき取及び盛土の量が、実際に金の払
つていた額よりも、計
つてみると少なか
つた。これが出来高不足が百九万円、こういうことにな
つております。七百八十万円の
工事のうちで、百九万円の出来高不足でありますから、相当大きい
経費不足であります。
それから十号でありますが、これは運輸省
関係の港湾の
工事でありますが、函館の開発建設部でや
つた工事であります。これは海岸に防波堤を造りまして、それの根固工を
施行するために捨石をやるわけであります。防波堤の捨石は御
承知のように波の荒いところでは、相当大きなものでないとすぐ流されてしまう。ここでは波が相当強いので、
計画では五百キロ以上の石を使うということにな
つてお
つたのであります。ところが実際にはそのうちの大部分というものは、二百キロから三百キログラム程度の小さい石を使
つていた。小さい石は量目で計りますと大きな石よりも安いのでありますが、これでは出来高不足にな
つている。而も私たちが
検査に行きましたときには、その石が小さい石を使いましたもので、一割五分くらいのものが流されてしま
つていたという案件であります。
それから十一号以下は、建設省
関係の道路
工事、そういうことでありますが、十一号は開拓道路などで、やはり土量の計算が、カーブを作るときに設計
通りのカーブにやらないで、請負人が
仕事のやさしそうなカーブで道路を造
つてしま
つた。これが主たる原因でありますが、そのために土量の切取の量、或いは低いところへ持
つて来る盛土の量、こういうものが設計よりか少なくて済んだ、それに伴
つて芝を張る、その芝なんかも合せて少なくな
つてしま
つた、こういう案件であります。四百八十万円の
工事に対しまして六十九万五千円の出来高不足にな
つております。
それからその次の十二号は、これはやはり道路の
工事でありますが、石垣の量が不足してお
つた。設計
通りできていない、而も方法が非常に粗雑であ
つたために
検査の当時もう崩れてしま
つてお
つた、こういう案件であります。
それから十三号は、これも川の護岸でありますが、川の護岸には御
承知の
通り、じやかごで護岸をいたしますが、じやかごは、鉄線を編んでやる
関係で、中に入れる石が一定以上の大きさがございませんと、水が流れて来たときに漏
つてしま
つて、石が網の目をくぐ
つて流れてしまう、こういうのでありますが、この
工事では流れた量が相当に多い、規格では十五センチ以上の石を使え、こうな
つているのに実際には十センチ以下の小さいものを相当に使
つていた。そのほかに詰石の量も設計だけ入
つていなか
つた、こういう案件であります。これが三百九十万円に対しまして四十万円余りの出来高不足、こうなります。
十四号でありますが、これもやはり道路の
災害復旧工事であります。これは石垣が練積の石垣をや
つたのでありますが、裏込の砂利を使
つていない。練積にならんわけでありますが、非常にぞんざいな石垣をや
つている。それが主たる
批難の内容にな
つております。
それから十五号でありますが、これは道路の改良
工事、これも切盛の土量が不足していた、こういうケースであります。
それから十六号は、これも道路の改良でありますが、これもやはり切盛の量が不足し、それに伴
つて側溝とか芝、そういうようなものから敷砂利、こういうようなものが皆設計から見ると不足していた、こういうケースであります。
最後の十七号でありますが、これは川の護岸でありますが、これも先ほど申上げたように、じやかごの詰石の量が設計よりも不足していた、こういうケースであります。
補助工粟は出来高不足というのは、御
承知のように非常に多いのでありますが、国の直轄
工事では、こういうさつき申上げたように、払
つた金に相当しない
工事がそのまま検収されてお
つたというのは誠に面白くないのであります。昨年北海道
関係では相当出ましたが、今年はほかの種類の案件は出ておりますが、この種のものはいいあんはいに相当に減
つたように見受けられます。