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説明員(
大沢実君) 第四局で
検査を担当しておりますのは、国の
会計から申しますと郵政省、これは
一般会計とそれから郵政
事業、簡易生命保険及び郵便年金並びに郵便貯金の特別
会計、これを全部担当しております。そのほかに大蔵省の
印刷局と造幣局の特別
会計、それから
あと運輸省の中のいわゆる造船利子補給、この補給金だけを四局で担当しております。国の
会計として
検査を担当しておりますのは以上であります。そのほかは
政府関係機関、公社及び銀行、公庫等の
政府関係機関、これは全部四局で
検査を担当しておりまして、そのほかにも出資法人が入れられますが、大きなものはそうしたものであります。
そこで二十八年度の
検査を総括して見まして、先ず全般を通じて申上げられますことは、これは従来のような同じ
検査の目で見た結果においては従来よりも
不当事項は激
つて来ているのではなかろうか、大まかな観察であります。これは併し全部
経理がよく
なつたということもあるでしようが、又一面
会計検査院の
検査する目、見方ということは、偏つたその面においてはもうなく
なつた、併しほかの面からもつと目を変えて見て行かなければならないことが多いのではないかということが反省されているわけでありまして、将来においてその点を十分
検討して行きたいと思
つております。
そういうわけでありますが、今度は個別に大まかを申しますれば、郵政省の各特別
会計、これは今年の
検査の結果によりますると非常に
改善されておるのではないかというように感じます。ただこれは法規の制約と実際との間の止む得ないというか、ギヤツプにな
つているのじやないかと思われますのは、例の郵便貯金は法律上一人十万円ということにな
つております。それから簡易生命保険の分は今度の改正によりまして十五万円ということにな
つておりますが、実際におきましては貯蓄増強募集その他の努力によりまして、集めますときにどうしても一人宛それ以上超過した保険が附加されたり、或いはそれ以上超過した貯金が実際やられておる例がある。これは法律上から見ると確かに違法だと思うのですけれ
ども、これが果して違法としてそれ以上どうしてしまえということを
検査院としてどうするかということに関しましては、現在非常に頭を悩ましておりまして、いずれ最終
決定を以て
検査官のほうの会議にお願いしたいと思
つておる次第であります。
申し落しましたが、各省の各庁、
公社等の
検査も四月から八月頃にかけまして
地方のいわゆる
地方局というようなものが大体終りまして、その後引続きまして本庁のほうの
検査も一応終りまして、出張
検査としましては一応終
つたのでありますが、その結果出張主任官の
報告だけではどうしても不十分、不備な点がありますので、文書を以て照会いたしておりますが、この照会に対する相手方の回答がなかなか参りませんので、果して出張官が見て来た
事項がその
通りであるかどうかという最終結論に達していないのが大半でありまして、これから一カ月半ぐらいの間にこれを督促しまして、回答を取り寄せまして
検討して、最終結論には達したいと思います。それを最初に申上げるのを忘れておりました。郵政省としましてはそのほかには特に申上げることはありません。
それで又大蔵省の
印刷局、造幣局の現業特別
会計でありますが、これに対しましても、昨年の
検査報告には用紙類など買い過ぎたという点を
批難してありましたが、そうした多少改正の点は今後も見られておりますが、大きな点で問題として申上げることはないかと思
つております。
それからもう一つ国の
会計としましては造船利子の補給の問題でありますが、これは特にああした問題にもなりましたので、できる限り多くの船会社について実地についてこれを
検討しようということにいたしまして、補給を受けているといいますか、補給を受けるのは金融機関でありますが、その間接に
補助を受けている船会社が五十四社ありますが、うち現在までに十八会社の帳簿につきまして内容を
検討いたしました。
その結果を極くかいつまんで申しますれば、先ず第一に、これはあの補給法の法文が不備ではないかと思われる点があります。といいますのは、具体的な例を申しますると、あれは利益が、
決算上に計上した利益が資本金の一割を超えたときは補給金は船会社から取上げるのだぞ、こういうことにな
つておりますが、ただ
決算上計上した利益というものはどうして計上するかというその根本原則がないわけでありまして、各船会社の思い思いの
会計経理によりまして利益を計上する、それがそのまま利益という恰好にな
つている。だから税務計算上或いは否認されるべき損失、或いは又否認さるべき利益というものが全部陰に隠れてしま
つて利益計算の標準になるというような法文の建前に現在な
つております。これはおかしいじやないか。少くとも何か
一定の財務諸表の原則に基いて利益というものを算出して、それによ
つて補給金を出すか云々ということをきめるべきじやないかと思いまして、この点は
運輸省に対しまして文書を以て照会いたしました。
運輸省のほうでも現在
検討中でありまして、最近船会社の財務諸表だけは統一するようにたしか官報で告示いたしまして、財務諸表の統一を図
つております。それでなお且つ資本金の一割を超えるという場合にも、その資本金というのは一体
事業年度の初めの資本金なのか、
事業年度末の資本金なのか、或いはその平均資本金をいうのか、こういう点も法律上はつきりされていない。これな
どもやつぱり法律或いは施行令によ
つてはつきりさせるべきじやないかという点、そのほかそうした法律の運用問題になる点がありまして、そういう点をまとめまして
運輸省のほうへ現在
改善方、
検討方を照会中であります。
それから個々の船会社の内容を見ますると、御
承知の海運不況でありまして我々が税務計算の面を見まして、いわゆる会社の
決算を一応ばらしましてそれに損失が隠されていはしないか、利益が隠されてはしないかということを一応ばらしまして組立ててみました結果によりましても、
検査しました十八会社におきましてはやつぱり欠損にな
つておりまして、これは補給金を出すのは止むを得ないのじやないかという結論に達しております。
そのほかに今度は船価、いわゆる建造価格という中にリベートはないか、これが問題でありますが、もうすでに司法沙汰になりました飯野海運とかその他の会社につきましては現在証拠書類全部を検察庁に押収されております。まだこうした会社についてはこちらも
調査、
検査はいたしておりません。
そのほか現在まで
検査しました十八会社につきましては、これはリベートとして出て来たのはないのであります。発見し得なか
つたのであります。併しながらリベートに準ずるものとして考えて行くべきではないかと思われますのが、例えば十億で船を作る、そうする相手方に九億を払
つて一億はまだ未払金のままでずつと残している。こうしたのは九億で或いは決済が済んでいるのではないか。一億というのは未払金として残
つているけれ
ども、実質上必要ないのじやないかという疑問を持たれるものがあります。又十億払
つて逆に造船会社から、
金額は仮定でありますが、一億ぐらい借りている、十億払つたけれ
ども逆に借りている。これな
ども九億が本当で、
あとはリベートと考えられるのじやないかと思われるものもあります。これなどは感ずるだけで極め手がないので、現在
運輸省のほうに照会しまして保留
事項にな
つております。こうしたことがあるかどうかというので
決定を求めている次第であります。
大体国の
会計に対する
検査の概要はその
程度でありまして、
あと公社
関係、専売公社、これらは昨年の
検査報告で取上げたものは余りないのでありますが、本年度調べました結果によりまして、一つ今まで余り出て来なかつたというか、こちらの
検査が徹底しなかつた点は塩田の
改善に対して
補助金を専売公社に出しております。或いは塩田の
災害復旧に対して
補助金を出している。この改良
補助金或いは
災害復旧の
補助金の内容を見ますると、いわば
補助指令
通りにできていないという出来形の不足のものもありますし、或いは最初から
補助しても
効果を期し得ないのじやないかというところに
補助している例もありまして、こうしたものもそれぞれ照会を発しまして現在取りまとめまして最終
決定を得たいと思
つております。そのほかには一つ一つ見ますと余り大きな問題ではないのでありますが、例えば写真機をたくさん買込んだとか自転車をたくさん買込んだとかいうように各
地方局で必要以上のいろいろな備品類などを買込んでいるのではないか。いわゆる予算消化の
傾向が
相当あるのじやないかと思われる点が、個々には小さな問題でありますが、全体を見ますと
相当たくさんな件数がありますので、こうした面も
検討してみたいと思
つております。
それから電電公社でありますが、これは昨年において特に力を入れましたのは、予算をたくさん取りながらも部内の連絡の不十分なためやその他のために、十分
工事ができずに
相当繰越している。予算の使用が非常にまずいのじやないかという点を主として
検討したのであります。これは電電公社の
当局におきましても
相当この点は真剣にな
つて取組まれてやられたと見えまして、二十八年度の
決算面から見ますると、繰越が二十七年度百数十億ありましたのが、たしか五十億ぐらいの繰越にな
つております。非常に繰越が減りまして、それだけ
工事が進んだというわけであります。
併しながら一面内容は個々に見まするといわば予算消化、或る
意味の予算消化でございますが、これは急ぐの余り年度末になりまして貯蔵品で持
つております機械を、まだ
工事ができないのに
決算品としていわゆる
工事のほうに
決算いたしまして、そしてまだ未竣工施設として残
つているという操作をされたのが
相当ありますために、未竣工施設、稼動でない施設というものが
相当殖えているというような
状況でありまして、まだまだいわゆる
工事の促進ということにはもう一歩進んだ
検討が必要じやなかろうかというように感ずる点があります。
そのほか個々の問題、例えば二十五年度から六年度にかけまして生じましたような架空
経理の問題というような問題は、最近におきましてはないと申上げるのは、或いは当らないかも知れませんですが、
検査の結果では発見した
事項はありません。そうした架空
経理の点で公社につきましては
相当改善されているというように見ております。
それから日本国有鉄道でありますが、国鉄に関しまして、先ず真先にいわゆる連帯運輸の収入とか、或いは貨物の後納運賃というようなものの収入金の取立て、これがまあ非常に緩慢ではないかということが昨年の
検査報告で掲げた
事項でありますが、これに関しましてその後縷々国鉄側と折衝してお
つたのでありますが、二十八年度におきましては、まだ遺憾ながらその点は余り改ま
つておりません。併しながら極く最近でありますが、九月になりましてから、いよいよ国鉄でもこれに対して抜本的な
方法を講じたいというので、後納運賃に関しましては或る
基準を設けまして、一カ月か二カ月か今ちよつと忘れましたが、とにかく遅れたものは即座に後納契約を取消すという根本方針をきめました。実施を九月の半ばからしたいと言
つてお
つたのですが、まだ実施したという
報告を聞いておりませんが、最近実施すると思います。後納運賃の取立てにつきましては、
相当抜本的な
方法を講ずることになりまして、連帯運輸に関しましても、ついでやりたいという意向のようであります。そうした未収金の問題に対しましては、
相当まあ二十九年度においては
改善されるんではないかと思
つております。
それから次に土地、
建物の使用料の問題であります。これも我々も指摘し、又行政管理庁のほうからも指摘のあつた点でありますが、この分も二十八年度は遺憾ながら、田舎と申しますか、
地方において一部の改訂があつた
程度で、本格的な改訂にはな
つておりません。二十九年度に入りまして本格的に改訂をすることになりまして、
地方の管理局は
相当値上げされたというように
報告を聞いております。併しながら一番肝心な大きな収入になるところの東京、大阪というものが、
一定の方針はきめられて、価格評価
委員会か何かの答申によ
つてきめられたのでありますが、借りている相手方の反対が非常に強くて、現在まだ収入を増加したということの実現には至
つておりません。これは最近にな
つて確定するということにな
つておりますですが、そういつた遡
つて二十九年四月から適用するということにな
つておりますが、現在ではまだ遺憾ながらその点には達しておりません。
二十七年度の
検査報告に掲げましたことで、そのほかにもう一つは主として電気
工事でありますが、こちらで貯蔵品を支給してやれば
相当安くできたと思われるやつを、材料を請負業者持ちにしたために、
相当高くな
つているんではないかと思われる次第がございまして、昨年も
注意したことでありますが、この
傾向は今年も依然として残
つております。特に電気
工事においては、業者というものを非常に制限している。これは国鉄側に言わせますと、例の国鉄法に基きまして、オープン・ビツドと申しますか、誰でも入札に参加できるという制度が二十四年度でしたか、国鉄法ができましたときに法律がな
つたのでありますが、その結果いわゆる悪徳業者が非常に入
つて来て、それで鉄道保安上非常に支障を来しているので、適格者を制限したということでありますが、その制限が何か非常に強過ぎるのではないか、もう少し門戸を開放してもいいんじやないかという感じを持ちまして、できるだけ折衝しているわけでありますが、
検査院としても、この業者を入れるべきじやないか、この業者もいいじやないかという、個々の業者については言うことはできませんし、自信がありませんが、少くとももう少し門戸を開放してもいいんじやないか、そうすれば入札率が上るのじやないか。現在余り縛られているため、そういつた人たちは、曾
つて国鉄に勤めておつた人が相手方の会社に入
つているために、予定価格をどうして作るかということまで大体相手方も知
つている。ですから入札とは言いながらも、実際は筒抜けの契約にな
つているんではないかという疑問さえ持
つてるような契約が多いのであります。この点に対しては、まだ依然としてそうした
傾向がありますので、なお、
検討して見なければならんと思
つております。
それからもう一つ国鉄の二十八年度
決算の上の特異な点でありますが、御
承知の
通り二十九年度の予算におきまして、鉄道の
建設費が非常に削減されまして、このことは二十八年度の年度末には当然予算編成上わか
つておつたわけでありますが、この年度末におきまして、各
建設線の工務施設、つまり宿舎ですとか、倉庫、こうしたものを、各
建設線の工務施設を
相当年度末において作
つているのが多い。これは予算が削減されて
相当工事を抑えなければならんということがわか
つているときに、予算消化をや
つたのではないかと思われる点が多いのであります。これはほうぼうにに出ておりますが、まあ併しこれはこちらがそう思
つているだけでありまして、個々の事情は正式な回答を待
つて検討しなければなりませんが、そうした点がありますので、なお、
検討いたしたいと思
つております。
それからもう一つ、これは二十七年度からの継続の問題でしたが、二十七年度分に二件ほど出ております石炭殻の
処理の問題でありますが、これはいわば今まで
会計検査院といたしましても、石炭殻というような国鉄として非常に副次的な問題に対しての
検討が不十分であつた。これを一つ全面的に
検討してみようということになりまして、今年
相当全面的に
検討しました結果、やはり田舎のほうではむしろ石炭殻を捨てるのに土地がありますからあれでしようが、
需要もないというので取捨ててや
つている。これはやむを得ないと思いますが、東京、大阪というような石炭殻自身を
相当埋立てに使うというような有価値なものとして取引きされ得る場合におきましても、国鉄側で取捨費まで負担して渡しているというような例がありましたので、これは妥当でないじやないかという点で、現在これを
改善方に対して折衝していることがあります。
なお、この席をお借りしましてちよつとお詫び申上げておきますが、新聞で御
承知と思いますけれ
ども、石炭殻の
検査の問題に関しまして、鉄道の
検査を担当しておりました一職員が収賄容疑で現在検挙されている次第でありますが、次第は、ただ若い者一人にやらした点も悪か
つたのでありますが、業者がそれに対して饗応したということに聞いております。甚だどうも
監督不十分で申訳なかつたと一応この席をお借りしましてその点はお詫び申上げておく次第であります。
そうした問題がありましたけれ
ども、これは一つどうしても、
相当問題がありますが、まとめたいと思いまして現在
検討中であります。
そのほか鉄道の
関係につきましては、
資材の準備が先ほど
総長より
お話ありましたが、去年も
相当資材の準備が、何と言いますか、不徹底、連絡不十分だという点を指摘したのがあります。この点が依然として本年度散見されます。例えば例を言いますと、一個、一個というのは何ですが、百個買
つてくれという要求に対しまして百組買つた。ところが一組というものが部品が八個ぐらいついている、だから結局八倍くらいのものを買つたという、
購入をやつた例があります。具体的な例はほかにありますが、そうした例に対して
資材の
購入に対する連絡ということが依然として不十分じやないかと思われます。
このほかの各金融機関、特に
中小企業金融公庫と、
農林漁業金融公庫、これは融資した先の金の使い方ということを
調査して見たのでありますが、その結果によりますと、遺憾ながら初めの融資したときの条件に反した使い方を借受人がや
つている例が多い。これに対して
相当注意を促しました。
注意した結果は大体におきまして、これを
農林漁業資金や或いは中小公庫の資金から外すと言いますか、市中金融機関が委託機関にな
つておりますから、その市中金融機関プロパーの貸付けに振替えまして、そして公庫のほうの貸付金を解消するという
措置を
相当と
つております。そうしたことによ
つてこの財政資金が最も有効な方向に使うということにな
つて行くように、逐次な
つているように見ております。
甚だ雑駁なあれですが、大体現在の
傾向を御
報告申上げた次第であります。