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会計検査院長(
東谷傳次郎君)
只今石川さんの御
質問でありまするが、第一点の
不当事項の絶滅といいますか、防止といいますか、しこれはお示しのように綱紀粛正といいますか、官紀の昂揚ということは勿論やらなければならんのでありまするし、
血税の認識の上に立つ
遵法精神を昂揚するということは勿論でありまするが、
只今お示しの
補助工事などについて、それでは何か対策はあるかというようなことでありますが、実は
補助工事は全部見たのではないにかかわらず、
会計検査院の批難事項として非常に多いのであります。二十六
年度が五百件、二十七
年度が千件以上に
補助工事だけでたしか及んでおると思うのでありまするが、そういうふうなわけでありまして、どうしてこうなるのかと言えば、根本的に言えば、先ほ
ども申上げました基本的一考え方が足らないということにもなるのでありまするが、細かく申しますると、例えば、地方から災害がこれだけあつたとい
つて申達して来ます。それの
復旧費は幾らかかるというと、非常に
只今お示しのように、件数が多くて、而も早急を要するという災害
復旧でありまするので、えてして机上
査定と言いますか、坐
つてお
つて査定をする。従いまして、ふつかけて来てもそのままが
査定される。そうして
査定するときには、御案内とは思いまするが、相当強力な方々がこれで
査定しろというようなことを当局に迫られるのでありまして、場合によると、橋も落ちてもいないのに、橋が落ちたと
言つて来る。成るほど落ちたというのだから落ちたのだろうとい
つて復旧費を認める。私のほうで行
つてみると、参謀本部の地図で見ましても、何を見ても橋はなかつたというようなものもありますが、要するに机上
査定は、そのとき限りでやらなくてはならないような早急の場面に当面しておりまするの場で、当局のそういう机上
査定もまあいたしかたなかつたと思うのでありまするが、そういう点な
どもございまするので、
補助工事につきましては、農林、建設、文部、厚生の各大臣に対しまして、
検査院長の名において
是正を求めるというので、たしか去年の暮でありましたか、出しておるようなわけであります。例えて言いますと、机上
査定をしないで、実地
査定をしなければいけない、できるだけ実地
査定でや
つてもらいたい、それからでき上つたものに対しては、
工事の検収と申しまするか、机上の竣工
検査でなしに、やはり行
つて検査をしてもらいたいという、こういうことなどを数項目に亘りまして、改善すべき点をお示しして当局に
是正改善の方策を、私のほうのみる方策を示しておるようなわけでありまして、それではその後どうな
つてるるか、今年実は二十八
年度の
検査をしました結果を聞いてみますると、
会計検査院と同じような立場で非常にきつく
検査なり、
査定をしてや
つておられる一例として、大阪府などは非常に、建設省の
関係の
補助ですが、よろしいというように報告を聞いております。これは結局
会計検査院の改善の要求に対して、当局が即応してや
つておられる一例だと思うのでありますが、大体におきまして、
補助工事は、県或いは各省の当局がその気におなりになりまして、机上
査定の数も非常に少くなりまして、大体大きなものは実地で見る、竣工
検査は行
つて見るというように、
人員も殖やされまして、よほどよくな
つておるのでございます。従いまして、二十八
年度の
補助の
関係の
検査報告の
不当事項は幾らか減るかと思うのであります。ただ
会計検査院は、公共事業については
徹底的に調べてお
つたのであります。一般
補助の
関係につきましては幾らか手薄でありますが、今年はその点にまで手を伸しておりますので、総体的にそう
補助の件数は減らんかと思うのでありまするが、公共事業の
関係においては相当減るのではないかというような見通しを
只今持
つておるようなわけであります。よく
会計検査院の
検査の結果、いいものはほめてやつたらいいじやないか、これはよく昔から聞くのであります。
只今もそのお話がありましたが、
会計検査院も何かはめてるということをしようじやないかというようなことを、よく話合
つておるのでありますが、賞状を渡すというようなことまでは至
つておりません。
只今申しましたような特定の個所の特定の場所が非常によくな
つておるというふうな場合には、当局に局長名その他で、非常によくな
つておるから、そちらのほうで何かはめてやつたらどうだというようような
意味合のことは連絡いたしておるのであります。
それから
補助についてでありまするが、二十八年災、去年の災害は非常に大きなものでありまして、而も局部的に災害の深度が非常に深か
つたのでありまして、特定の県に非常にたくさんの
補助費が行
つているというので、普通ならば
工事をや
つておる、或いは
工事ができたという場合に
検査をいたすのでありまするが、それではあんな大きな災害の
復旧に対して今までと同じような
検査ではどうも遅過ぎるということになりはせんか、国の
予算を適正に使うという上において少し早目に
検査をしたらどうかというので、今年の二月、三月を期しまして、二十八年災の災害の或いは、
支出負担
行為ができたというような場合におきましても、現地の災害状況をみまして、この
支出負担
行為は、実際に橋は落ちていないじやないか、この堤防はそんなに切れていないじやないかというようなことを衝きまして、まだ
工事にかか
つていないで
支出負担
行為をしておる、或いは契約しただけのものに対して
是正をさして、数十億というものの
予算執行を節約せしめることができるような
現状にあるのであります。