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1954-09-02 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員長谷山行毅君辞任につき、そ の補欠として古池信三君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            雨森 常夫君            石川 榮一君            剱木 亨弘君            古池 信三君            高野 一夫君            田中 啓一君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            大倉 精一君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            千田  正君   —————————————    会計検査院長  東谷傳次郎君   事務局側    事 務 総 長 芥川  治君    参     事    (庶務部長)  渡邊  猛君   説明員    会計検査院事務    総局検査第一局    長       池田 修藏君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第四回決算委員会を開会いたします。  本日は初めに昭和二十七年度決算三件、国会所管の部、検査報告第一号を議題に供します。  先ず検査院から御説明を願います。
  3. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 第一号の参議院におきまする架空経理でございますが、本件は二十七年度分の会議費等予算余りましたので、それを翌年度において使用する意図を持ちまして、二十八年の四月におきまして二十七年度として実際の支出の理由がないのに支出をいたしまして、これを翌年度に持越しまして支出したものでありますが、ただそのうち五十一万二千円はまだ使い残しがございまして、実際は現金で持つておられたものを検査院において発見いたしまして注意いたしましたところ、その残額現金保有分は返納になりましておるものでございます。  支出の内容から申しますと、非常に悪質とも思えませんが、このような架空経理が行われますことは、延いて経費支出上全般に紊乱を来し、又そういう現金を持つておるということは将来不正の起る温床ともなるものでございまして、私ども検査の立場からこういうものを非常に好ましくないと思つておる次第でございまして、本件を批難した次第でございます。以上終ります。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 次に参議院当局から弁明を求めます。
  5. 芥川治

    事務総長芥川治君) 本件会計検査院只今の御指摘のごとく、会議費交際費予算残額九十七万五千二百円を架空支出いたしまして、そのうちから交際会議等のために四十六万二千七百円を支払い、これを只今会計検査院から御報告ありましたようにその残額の五十一万二千五百六十円を昭和二十八年八月二十九日に歳入に納付したものであります。  御承知のように会議費交際費物価値上りに比しまして予算増額が少いために、国会役員に毎年少なからず御不自由をおかけしておるのであります。二十七年にはたまたま予算の残があり、翌二十八年には半数改選によりまして国会役員の更迭があるため、平年度より多額支出が予想されました関係から支出官がこういうことをしたのではないかと思うのであります。併し本件は誠に遺憾な事件でありまして、深くここでお詑びを申上げる次第であります。  本件につきましては直ちに責任者懲戒処分に付しますと共に、その他の関係職員につきましては配置換えを行なつて部内の刷新を図つたのであります。なお制度上も事務局の職制を改正いたしまして、会計課庶務部に入れて、従来会計課長支出官でありましたのを改めまして庶務部長をこれに充てる等の措置を講じまして、一層監督を厳重にして、将来このような事件を絶対に起さないように期しておる次第であります。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑のおありの方は御質問を願います。
  7. 島村軍次

    島村軍次君 説明があつたのかも知れませんが、谷川外六名というのはこれはどういう人なのですか。
  8. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 谷川外……。これは参議院議員会館のクラブであるとか、それから院内食堂であります東洋毎とか、そういつたような業者を指すわけであります。
  9. 山田節男

    山田節男君 清水会計課長懲戒戒告となつておりますが、本人の申出によつて待命を承認したのですから、結局本件の解決といいますか、責任をとらすために清水会計課長待命にした。こういうことは他の一般会計を扱う官庁の……、従来政府が、予算の不正な行為或いは批難に値する行為に対しての行政罰というものは、本委員会においてどうも軽過ぎるのじやないか、例えば懲戒であるとか或いは厳重なる注意、だとか戒告だとか、こういう程度で済まされて、而も本件以上の多額の金であつた場合でも大体その程度で済ましている。本件におきましては百万円足らずの金ですが、これは結果において、申出によつて待命を承諾した、そういうことでありますが、責任をとつてこれを待命処分にしたということは言えると思うのです。これは他の官庁の場合も我々は懲戒をもつと厳重にすべしということを言つておるのですが、参議院職員の場合、こういう待命処分をされたということは、私はむしろこれはあとを粛正する意味において非常によいと思いますが、現状官庁行政罰からいえば少し強過ぎるのではないか、かように考えますが、事務総長のほうではこういつたようなことを取扱う場合において他の官庁懲戒戒告程度と比較検討されたかどうか、この点伺いたい。
  10. 芥川治

    事務総長芥川治君) 私といたしましては、他の官庁等のそういう処分方法等も十分検討いたしまして懲戒処分に一応いたしたわけでございます。なお本人の申出もあり、待命処分にいたしたのは、本人が特に責任を感じてこういう処置にしてもらいたい、こういうことによつて処置をしたわけであります。
  11. 山田節男

    山田節男君 さつき庶務部長でしたか、谷川以下というのは業者ということでありましたが、その業者はどういう業者ですか。
  12. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 会議費食糧費関係するものでありまして、飲食業者であります。
  13. 山田節男

    山田節男君 院内食堂のですか。
  14. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 院内もございます。谷川というのは外部の料亭でございます。
  15. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか……。それでは私からお聞きしますが、半数改選によつていろいろ多額支出が予定されたとおつしやるのですが、どういう方面の支出が予定されておつたわけですか。
  16. 芥川治

    事務総長芥川治君) 三年ごとに半数改選になりますことは御承知通りでありまして、過去の経験によりましつても、議長、副議長が更迭され、各常任委員長が更迭されますと、必ずそこで会議費交際費等が平常の年よりも余計に要ることが予定される、そういう意味であります。
  17. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 議長、副議長交際費というのはどういうふうになつておりますか。
  18. 芥川治

    事務総長芥川治君) 議長、副議長交際費、これは議長交際費として予算書にはつきり挙げてあるわけでありまして、その中から常任委員長のほうの関係にも一部廻します。それから副議長のほうにも廻します。それはすべて議長に御決裁頂きまして、それによつて支出を行なつておるわけであります。
  19. 小林亦治

    委員長小林亦治君) その額はどのくらいですか。
  20. 芥川治

    事務総長芥川治君) 議長交際費は二百二十七万五千円であります。
  21. 小林亦治

    委員長小林亦治君) そうしますおるというと、この額からはよほど議長の純交際費というのは少くなるわけですね。
  22. 芥川治

    事務総長芥川治君) 誠にその通りでありまして、議長は御承知のように各国は相当交際費を持つておるわけでありますが、我が国緊縮予算関係もありまして、この増額はなかなか認められないわけであります。一方物価のほうは相当値上りになつてつて議長が相当部外から御招待を受け、それに対して議長から又それをお呼び返しするという場合に非常にお困りになつておるのが現状でございます。
  23. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御質疑ございませんか。……御質疑がなければ、本件検査報告第一号に対する質疑は一応終了をしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。検査院長あと五、六分で見えますから、何かこの間に事務総長に御質問でもあれば御発言願いたいと思います。
  25. 山田節男

    山田節男君 今幸い事務総長がおいでですから私からお尋もし、又希望意見を述べてみたいと思うのですが、一体衆参両院国会の、議事堂の維持管理、例えばこういう電灯なり或いは室内の清掃、或いは化粧室、そういつたようなものに対する予算が幾らあるのか。それから維持管理のために、参議院、衆議院を加えて、参議院だけでもよろしうございますが、どのくらいの人員を使つておるのか、そういうことを聞きたいのです。
  26. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 正確な数字は後ほど予算書によつて説明いたしますが、大体修繕費として八百万円、そのほかに修繕費に類するというのが約五百万円、千三百万円くらいで、そういう各所修繕その他に充てておるわけでございます。正確な数字あと予算書によつて御報告いたします。
  27. 山田節男

    山田節男君 その維持管理ということは、要するに院内の修理もありますが、例えばシャンデリアが曇つているのを磨くとか、窓を掃除するとか、そういつたような清掃といいますか、こういうものに対してどのくらいの人員、どのくらいの金を使つているのか、今のは参議院だけの金額ですか。
  28. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) さようでございます。
  29. 山田節男

    山田節男君 そういう意味のものはどのくらいですか。
  30. 芥川治

    事務総長芥川治君) 詳しい数字は後ほど御説明いたしたいと思いますが、概略のことは私から申上げますと、両院の、修繕関係に使います費用は、我々が要求いたしましても、殆んど毎年査定をされ、なお且つ本年度等はそれに更に査定を加えられたような状態でありまして、この間も大池事務総長とも私相談いたしたのでありますが、この調子だつたら維持管理ということは不可能に近い。ときどき臨時支出がそれに伴いまして、御承知通り、今やつております窓の清掃等は、これは臨時に人を雇いまして、アルバイトで実はやつてもらつているわけでございます。営繕関係の人間が今十数名おるわけでありますが、それが主としてそれをやる。それからあと警務部に、これも二十人から約三十人おると思うのでありますが、これが毎日の絨氈やら院内清掃に当つておる、こういう状況にあるわけであります。予算面も、これは来年度あたりから相当根本的に要求をいたしませんと、この中の維持というものは非常に困難に陥るのではないかということが考えられます。
  31. 山田節男

    山田節男君 具体的に申上げますと、例えば議長サロンシャンデリアであるとか、或いは各議員控室のこういう電球の笠だとか、非常に塵埃が溜つちやつて、もう院内に入つて来てみて玄関から然りです。真鍮のドアがさびておつてシャンデリアが曇り、電燈の笠に塵が溜つているということになれば、これは日本人は勿論、殊に海外の人が来た場合の印象は、もうこの維持管理の仕方で大体国会権威というものはわかるのです。そういう点が非常に維持管理がまあ不行届だといえば少し過ぎますけれども、とにかく十分でないということが言える。これはまあ予算上、従つて人員上とてもそれに手が及ばないということが言えるだろうと思うが、併しこのままであつちやいけない。これは何としても国会権威に鑑みて、殊に日本一般官庁というものの維持管理が、折角新築してももう数年を経ずして汚れてしまう。それできたなくなる。整頓がますますなくなつてしまう。ですからこのことについては国会権威からいつても、国会の尊厳ということから見ても、一つできるだけのことをやつてもらいたい。  それからもう一つ、殊に国会の建物として遺憾なことは、婦人議員も今相当おられるわけです。然るに男女共用化粧室ということは、これはもう世界にないわけなんですね。これは何としてしこういうことを許しているということがすでに、日本民主化なんということをいいますが、男女同権なんということをいいながら化粧室手洗所に男も女も共通に入つて行く、これは婦人は入らるべきものじやないのです。そういう根本的なエチケットといいますか、風習といいますか、国会において男だけの便所、それに婦人議員並びに婦人が入つて行く、ということは、これを外国人から見たら野蛮行為です。これは許すべからざる、紳士のやることじやないのです。そういうことは常識的であるにもかかわらず、依然としてああいうことをやつておるということは、一体事務総長何しているということになる。これは金の問題じやないです。私ももう七年間見ておるけれども、依然としてこれを改善するという気持はない。これは私は予算のないあるの問題じやなくして、今日の国際風習から見て、男女が同じところの便所に入るなんということは許さるべきことじやないし、これは極めて猥褻極まる慣習だと思う。これはもう少し国際的な礼儀の見地から、ああいうものを金がないからということでいつまでも放置することは、これは許すべきことじやないのです。これは一つ事務総長、今年度予算においても何かの方法男女別洗面所にすることをこれは即刻やるべきだと思う。これは金の問題じやありません。それくらいのことは芥川総長わかるだろうと思うから申上げておく。  それからもう一つ洗面所に対して。夏になれば使用人が、控室の、或いは参議院一般職員かも知らんが、あそこで髪を洗つたりしています。それから議員に供するお茶の湯呑、そういつたものをあそこで洗う。それからその他洗濯物をしておる。ハンカチなんかああいうところでゆすぐべきものじやないものを、ハンケチ以上の大きなものをあそこで洗濯しておる。而もそれが女の子です。こういうようなことが公然として洗面所で行われておる。そういう国際礼儀上許すべからざる、洗面所の中で髪を洗い、洗濯物をし、而も議員に供するお茶の茶器を手洗の水道で洗うなんていうことは、こういうことは私しばしば目撃をしておるわけです。こういつたようなことがこの議院内で行われるということは全く日本人の、国会議員にしてもすでに礼儀なし、使用人がかようなことをしておるのだということになれば、これは国会権威にかかわることなんです。このことは事務総長、即刻職員、それから各会派の所属の給仕或いは職員に対して再びかようなことをしないように厳重な注意をしてもらいたい。  ついでだから随分やかましいことを言いますが、細かいことのようだけれども、今の洗面所の問題は何としても予算の問題以上の問題である。これは事務総長として御認識できるだろうと思う。即刻これに対して何らかの対策を講じてもらいたい。  それから繰返して申上げますが、一般官庁の、殊に日本公共物をないがしろにするという弊風がこの国会においても平然として行われているということは、これはもう実に私遺憾です。ですから予算上の問題とか何とかでなくて、やはり常時これに責任を持たして、窓を拭くとかシャンデリアを拭くとか、或いは電燈の笠を拭くとか、或いはそれを注意する職員が一名くらいはここに当然あるべきだと思う。今日の多数の職員の中で維持管理、どこが汚いとか、どこがどうなつているということを見るべき人が一名くらいなくちやいかん。そういう維持管理という金がないとは言われますが、金の許せる範囲で、又現状職員で利用できる範囲でもう少し維持管理を、一つ几帳面な国会だというように先ず玄関口をやつてもらいたい。細かいようですが、私多年このことは気になつてしようがなかつたけれども、まあ今日こういうようなことでお見えになつたから、速記をとつてお願いしておきますが、一つ事務総長でできるだけの範囲で最善の努力をして頂きたい、これはお願いしておきます。
  32. 芥川治

    事務総長芥川治君) 只今山田先生から御高説拝聴いたしまして、一々御尤もであります。私といたしましてもできることは即刻いたします。又予算の必要なものは要求いたしまして、御趣旨に副うように努力いたします。
  33. 小林亦治

    委員長小林亦治君) じや事務当局御苦労でした。
  34. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 次に今回新たに就任せられました東谷会計検査院長が見えておりますから、この際に新検査院長から御抱負なり御方針なり伺いますと共に、委員各位からも不正不当事項是正、防止のために御意見の交換をいたしたいと存じます。  その前に新院長から委員各位に何か御挨拶があるそうであります。どうぞ。
  35. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 私東谷と申します。今般佐藤前会計検査院長が七年の任期が満了いたしまして退官をしたのであります。それに伴いまして勧業銀行の会長である山田君が新たに検査官に任命されまして、去る日に認証式もあつたのであります。そこで三人の検査官が揃いましたので、去る二十五日に三人揃いまして委員長の互選の選挙をいたしたのでありまするが、測らずも私が一致で院長にということに互選いたされまして、その旨を内閣に通知をいたしまして、先週の金曜に閣議を経まして、同日付を以ちまして、会計検査院長に任命されたのであります。誠に不肖でありまするが、せいぜい勉強いたしたいと存じておりまするので、これまでも御指導、御支援を願つてつたのでありまするが、今後とも従来同様御鞭撻、御指導を願いたいと存ずる次第であります。  御挨拶のついでと申しては甚だ失礼でありまするが、この際におきまして私考えておりまする所懐の極く一端を述べさして頂きまして御参考に供し、かたがた御挨拶といたしたいと思うのであります。  我が国財政経済現状に鑑みまして、御承知のごとく二十九年度予算は従来の均衡財政或いは超均衡財政を更に引締めまして、緊縮財政一本で政府国会で議決されまして、ここに一兆円予算の、一般会計の一兆円予算が定まつたのでありまするが、財政需要は御承知のごとく非常に今までにないほどの需要があるのであります。私が申上げるまでもなく、終戦後の復興復旧災害関係復興復旧というようなことがたくさんにあるのであります。又地方の財政を見ますると、これも御案内のごとく、二十八年度決算におきましては四百億以上の赤字が出ようとしておるのでありまして、或るものはもう財政の破綻に瀕しておると言つても過言ではないと思うのであります。こういう政府はといいますか、国家財政が財布を締めておりますにもかかわらず、一方においては財政需要が非常に多いというときにおきましては、よく申しますように、最小経費最大効果を挙げなければならんのは勿論でありまするので、私ども会計検査院に職を奉じておりまする者は、このときこそ従来にも増して検査徹底を図り、最小経費最大効果を収めるように検査徹底して行き、検査によつて現在の予算執行乃至は将来の仕事に是正を加え、改善を加えて行きたいという考えでおるのであります。  私ども検査目標は御承知のごとく院法に掲げてあるのでありまして、会計検査院法の第二十条を見ますると、「会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」ということになつておるのでありまして、これを私ども検査目標とし、血税行方をどこまでも探究して、血税の安住の地を定めなければいかんと思つておるのであります。これは私が申上げるまでもなく、国会でもいつも論議されるところでありますが、長年私が会計検査院におりまして不思議に思いますことは、我人共税金が高い、膏血である、膏血を我々は納めておるのだと言つて、或る場合には税務署の役人を鬼のごとく言つて、場合によると税金を納めない同盟まで作つてやるというような世相でありますのに、一度税金を納めてしまえば、その税金行方余り関知しないで一般におるというような気持がするのでありまして、誠に不思議に私は思つておるのであります。これは会計検査院血税行方を見定めて行くということであるから安心しておられるのだと思えばそれまででありますが、誠に不思議に感じておるのであります。  さようなわけで会計検査院は上下一致してその気持でやつておるのでありまするが、何分にも人員は十分でないのであります。千百人余りで、予算も三億九千万円ばかりでやつておるのでありますが、これらのことも、人員も少いし予算も少いのでありまするが、只今申上げましたような緊縮財政折柄でありまするか、忍びがたきを忍んで、少数の人員で少額の予算でできる限りの成績を挙げたいと思いまして折角頑張つておるような次第であります。さようなわけで、人は割合に少いし、予算が少いというので、いつも年度の初めにおきましては検査官会議を開きまして、今年の検査はどういう方向に重点を指向すべきか、全部重要なことではありますが、なかんずくどういうものが重点であるかということを勘案いたしまして、事務総局検査執行部に流して美行さしておるようなわけでありまして、例えて申しますると、そのうちの一例を申しますると、今年も、二十八年度も引続いて補助費関係徹底的に検査をさす。或いは検査方法としては抜打ち検査も加味して行く、これは御承知でありましようが、会計検査院抜打ち検査はやらないことに従来の帝国憲法時代院法ではなつてつたのでありますが、現在の院法におきましてはそれを排除しておりまするので、抜打ち検査も従つてできますから、抜打ち検査を原則といたしてはおりませんけれども抜打ち検査の面も非常に多くいたしまして、折角研究をいたしておるような次第であります。それにいたしましても不当事項が年々儀々殖えるのでありまして、誠に遺憾に思つておる次第であります。二十六年度は千百件余り、二十七年度は御承知のごとく千八百件に及んでおるのでありまするが、どうしてこう殖えるのであろうかということでありまするが、まあいろいろの原因はございまするが、特に終戦このかた、社会万般といいますか、よく一言に申しますると道義が頽廃しておると申しますか、もつと会計検査院的に申しますると、予算執行する面において血税の認識の上に立つていないのじやないかという気持がいたすのであります。そういたしまして、折角国会において基準をお示しになる法律をお作りになりましても、法律を守つて行くという精神が稀薄である。それからもつと細かく申しますると、辻棲を合わせておけばよろしい、補助なんかの場合におきましてそれが甚だしいのでありますが、一千万円の工事はやつていない、五百万円か六百万円の工事しかやつていないが、一千万円の工事をやつたかのごとくに書類を整えておけばそれでよかろうというようなことが非常に多いのでありまして、誠に遺憾に堪えないのであります。ここを以ちまして会計検査院におきましても、その病源がわかつておりまするので、各省に対しましてその遵法精神徹底化というようなことについては常に注意をいたしておるような次第でありまするが、なお不当事項の跡を断たないのは誠に遺憾に存じております。  会計検査院国会と申しますか、いつも国会におきましては私ども検査につきまして御指導、御鞭撻を得ておるのでありまするが、私ども院法に示しておりますように、適正を期し、是正を図るということを目標として検査をいたしておるのでありまして、大体において国会決算の御審査の目標と同じではないかと思うのであります。結局私ども法律的、事務的に事態を見極めておるのでありますが、国会におかれましては政治的効果を主としてといいますか、政治的効果を目的としておらるるように思われるのでありまして、いわば会計検査院国会の耳目として同じ方向に向つて働いておると、こういうふうに考えまして、常に国会の御指導、御鞭撻を得て更に検査徹底を期したいというふうに考えておるのであります。  私が就任いたしましたにつきまして、常々考えておりまするものの一端を述べさして頂いたわけであります。(拍手)
  36. 山田節男

    山田節男君 これは私決算委員を代表する資格もありませんし、そういう意味でお許し願えればそういうことになるかも知れないが、私個人としまして一言院長に御祝辞を申上げたいと思います。そうして希望も申し上げたいのであります。  多年この検査院の事務に携わつておられた東谷検査官が今回院長に当選になつた。これは私は国家的に見ましても、殊に国会としまして誠に私どもは慶賀に堪えないと思います。只今院長から述べられた所信の一端でありますが、これは会計検査院の全くのこれは骨子である。この点を今後東谷院長の多年の御経験と、又優れた才能によつてその使命がいよいよ発揮されるように心からお祈りする次第であります。  この際私は従来決算委員としまして会計検査院長、会計検査官並びに事務総長、各局長、いろいろ我々決算委員会としまして感謝しておるのですが、曾つて我々決算委員会の者が会計検査院にお伺いしまして、院長並びに検査官事務総長、局長と懇談をいたしたことがあります。これは実は我々二十六年度決算検査報告を審査し、又その途中に我々の手に提出されました昭和二十七年度決算検査報告を見まするというと、只今東谷院長が言われたように予算執行上における不正な行為が非常に殖え、そうして会計検査院職員が並々ならん努力をされておるにかかわらず、かような遺憾な事態に立至つている。これを私は非常に遺憾に思いまして、会計検査院に参りまして、いろいろ会計検査院の首脳部の方と懇談いたしました。そのときに我々決算委員の同僚の諸君から期せずして意見が出たことは、今日の一千数百人の職員、三億円ばかりの予算を以てこの厖大な検査事項が完全にできるかといえばこれは勿論できない。例えば建設省にいたしましても農林省にいたしましても、こういつたような事業量の多いところにおきましては、例えば農林省におきましては五%、建設省関係におきましても一割内外というような、全般からすればもう極めて小さい一斑しか検討できない。こういうようなことから人員を少し、二倍くらいにすべきじやないか、予算も三億を倍にして、検査の陣容を一つ整備して、もつと積極果敢にやつてもらいたいという意見がその会合に出席された決算委員の諸君から御発言がありました。このときに佐藤前検査院長は、検査に従事する職員の訓練というものはこれは容易でない。とても一年や二年では十分でない、そういう特殊の訓練を要することからして、人員をこれを急に殖やすということは至難である、こういお言葉があつた。その他いろいろ会計検査の機構の強化、検査の強化拡充ということについて、我々決算委員として強い要望があつたのでありますが、佐藤前院長はああいう人柄でもあり、又我々とは違つて内容をよく御存じだからそうだつたかも知れませんが、とかく我々から見ると非常に何と申しますか穏健であり、消極的なような感じを受けたわけであります。併しこのことは会計検査院自体の首脳部を責めるのではなくて、今日我々国会議員として会計検査院予算上において。或いは機構を強化する上において幾分熱意が足りなかつたということも私は自省しなくてはならんと思います。とにかく佐藤院長は非常に慎重を期しておられたのでありますが、只今東谷院長の御挨拶の中にあつたように、予算には非常に熱心であるけれども決算においては国民、従つて国会議員もこれに対して非常に無関心である、これはお言葉の通りなんです。国会としても決算に対してより熱意を持つということは当然でありますが、その執行機関である会計検査院においては前佐藤院長以上に一つ、今御挨拶の趣旨にも従つて会計検査院を強力なものにするということについて国会或いは政府に対してより一層の一つ御努力を願い、又我々国会としましては、会計検査院のそういう御意図に対しては予算上その他の方面において御協力申上げる意思は十分あると私は申上げて差支えないと思います。ですから只今も御挨拶の中にあつたように、今日の新らしい憲法の下におきましては、曾つての天皇の直属機関であつた会計検査院が、これは英米とは違いまして、国会の直属機関ではないけれども、併し国会の耳目として会計検査をやり、内閣国会に報告され、それが国会において政治的に批判され是正をせられる、そういうこの会計検査院の建前から見ましても、東谷院長によりまして国会とのより密接な関係を打立てることに努力なさると同時に、国会におきまして、殊に決算委員会におきまして会計検査院の強化ということについての熱望のあることは、これはもう東谷院長も御存じのことでありますから、こういう点は、私は個人の意見として申上げますが、恐らく他の決算委員の同僚諸君も同じお考えじやないかと私は想像して申上げるのですが、どうぞ東谷院長として今の御抱負を実現されるためにも、又従つて日本予算執行を正しく効率的にするという意味においても積極的な、もつと会計検査の職能を発揮する大胆な一つ御方針を打立てられて、国会の要望なり、又国民の輿望に応えるるというだけの決意を一つより一層強めて頂きたいということをこの際強く要望いたしまして、御祝辞と希望とを申上げておきます。
  37. 小林亦治

    委員長小林亦治君) どなたか御質問ございませんか。
  38. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 どうも細かいことでございますけれども、先ほどのお言葉の中に補助の使途に対しまして非常に批難事項が多いというお言葉でございましたが、そして又具体的に例えば五百万円或いは六百万円の工事をしておきながら、一千万円の工事をしたことくにそれを整えておる例が非常に多いというお言葉でございましたが、私はありそうなことであると習います。そこで具体的にはどういうふうな径路を辿つて発見されるのでしようか、まあ工事ができ上りましたら、多分会計検査院のほうから検査においでになるんだろうと存じますが、専門家の目で御覧になるのですから、どうもこれは怪しい、一千万円かかつている道理がない、まあ五百万円くらいで済ましているなんていう疑惑をお持ちになりましたら、その跡始末ですが、刑事事件になるのであろうと思うけれども、それを会計検査院みずからの手によつて、請負業音とか或いは事業主に対して直接会計検査院の手で御調査になるのですか。裁判所の手は煩わさないで……。
  39. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 只今深川さんの御質問でありまするが、これはまあ補助検査は非常に件数が多うございまして、又会計検査院が大きな工事ばかりを実はピック・アップして大体は見ておりまするが、それにしてもその件数が非常に多いのであります。従いまして経験が積んでおるわけでありまして、例えば小さい町村に参りまして、一千万円なら一千万円の補助工事をやつておる。自己負担が二割なら二割ということになつて二百万円、その町村の財政規模は百五十万とか一百万の財政規模でという場合において二百万円の自己負担ができるわけはないというのが、そういうケースに百おいてはそれが先ず来るのであります。それでこれは一千万円の工事であるけれども、そんなに実際一千万円の工事はしてないだろうというので、現地に行つて調べて見ますると、コンクリートの厚みが極めて薄くなつておりましたり、或いは堤防であれば、堤防の長さが千メートルが八百メートルとか五百メートルになつておるというようなことで、実地に調査いたしますと、自然にそれが出て来るのであります。ただそのときに勘をどう働かすかということは、その場合によつて違うのでありまするが、会計検査院で発見いたしておるのでありまして、検察庁の手は煩わしておらんのであります。
  40. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それからもう一つ、えらい失礼なお尋ねですけれども、最後の仕上げを検査においでになりました会計検査院の方が買収されまして、うやむやに葬つてありますことがあとで発見されたというような事例があなた様の現職在任中に随分ございましたでしようか。
  41. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) そういうことは実は聞いておりませんのですが、或いはお聞き及びの点がございますればお漏らしを願いたいのですが……。私が暫つて事務総長時代に、これは補助工事ではないのですが、ちよつとしたことで新聞記事になつたような職員がおりまして、その際には懲戒には付さなかつたのでありまするが、直ちにやめろというので退職を迫りまして、退職を二、三名さした例はございます。絶対買収されないようにまあ教育はしておるのでありますが、補助工事について買収された事例はございません。こういうふうにやつておるのでありますが、実は少し会計検査院が堅過ぎるという非難を今受けてお陥るのでありまするが、地方に参りますと、一日に補助工事を一件二件でなしに、五件も六件も、七件も見るのでありまして、どこで昼食になるか実はわからん場合があります。併し予定すれば、どの町村のどの工事を見たとき昼食にするということはわかるのでありまするが、その昼食の時間はあらかじめ予定をいたさないで、宿屋で弁当を作つてもらつて行きまして、そして河原でも、或いは事務所へ行けば事務所で弁当を開いて食べる。このくらいにしておるのでありまして、実は私の耳に入つたのもあるのでありますが、そんなにまでしなくても、弁当くらい食べたらいいじやないか、何も買収する意思はないのだからというようなことを聞いたことはあるのでありますが、買収してやつてうまかつたとか、あれは買収されたというようなことは聞いた記憶はないのであります。
  42. 石川榮一

    ○石川榮一君 新院長の抱負を伺いまして非常に私ども意を強くしております。私は別な方面から御意見を伺つてみたいのですが、会計検査目標は今お話の通りでありますが、綱紀の粛正の根本を衝いて行くという点から考えまして、批難事項が激増いたしますることを防止するためには如何にしたらいいかということは、恐らく各主管行政官庁において研究しておると思うのですが、会計検査院におかれましても多数の工事検査せられまして、その結果二十六年、七年のごとく激増する傾向にありますことは非常に遺憾でありますが、これを是正するにはどうしたらいいか。これはまあ勿論精神的な面から強く綱紀粛正を叫び、信賞必罰を徹底しなくちやならんのでありますが、その方途としてどうしたらいいかということが恐らく会計検査院におかれましても御意見としてあるのではないかと思うのでありますが、若しそれがありましたら、批難をなさると同時に、批難事項を列挙せられまして国会に送付して頂くと同時に、かくすればこういうものは防ぎ得るというようなことがありましたならば国会にも御報告を願い、又行政官庁の三管大臣にも意見を付して頂くということができるものかどうか。  もう一つは、峻厳な検査をして頂くのは勿論でありまするが、たくさんの工事の中には恐らく非常な良心的な工事をした責任者もあると思うのであります。でありまするから、信賞必罰の意味も含めまして、本当に予算執行に遺憾なきを期した、思い切つて完全な工事をしておるというような工事等が若しありましたならば、その工事の状況を主管大臣に報告せられまして、表彰するのではありませんが、或る程度の報告をせられまして、そうしてその責任者にその行政官庁の長官が賞状をやる、或いはそれを発表して他の模範にするというような、いわゆる賞の方面も御研究をなすつて頂くことができるかどうかということが一つ。  それから先ほど来お話がありましたように、農林省にしましても建設省にしましても、災害が非常に激増して参りました。恐らくこれはますます激化して参ると思うのでありますが、予算が足らないために、災害の復旧工事が停滞する。同時に多数の何十万という被害者出てまいりますことは、これは必至だと思います。でありますから、それを監督するところの行政官庁の手抜かりも随分あるだろう。勿論地元の方々の、先ほど来御指摘になりましたような、いわゆる血税に対する認識が足らない。ただその場逃れをすればよろしいのだ、補助金を以て工事をすればよろしい、自分の負担はしたくないのだという気持が恐らく災害地方には多いだろうと思います。そういうことを見逃さないような機構が恐らく農林省にも建設省にもあるだろうと思います。これは我々は各地を視察したときに考えるのでありますか、会計検査院は多数の職員を以て厳重に審査なさつて、その批難事項が殖えて参りますと同時に、これをどうしたらその監督を厳重にして行けるだろうかというような案が恐らく生れて来るじやないかと思うのであります。いわゆる峻厳に不正工事を摘発して国会に報告する、十分な検査院の審査を受けることも必要でありますけれども、一方にそういうことを防ぐにはどうしたらいいかということを会計検査院の立場から御研究をなさつて一つの案を国会或いは行政官庁等に御報告願うことができます。かどうか、そこを伺つて置きたい。
  43. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 只今石川さんの御質問でありまするが、第一点の不当事項の絶滅といいますか、防止といいますか、しこれはお示しのように綱紀粛正といいますか、官紀の昂揚ということは勿論やらなければならんのでありまするし、血税の認識の上に立つ遵法精神を昂揚するということは勿論でありまするが、只今お示しの補助工事などについて、それでは何か対策はあるかというようなことでありますが、実は補助工事は全部見たのではないにかかわらず、会計検査院の批難事項として非常に多いのであります。二十六年度が五百件、二十七年度が千件以上に補助工事だけでたしか及んでおると思うのでありまするが、そういうふうなわけでありまして、どうしてこうなるのかと言えば、根本的に言えば、先ほども申上げました基本的一考え方が足らないということにもなるのでありまするが、細かく申しますると、例えば、地方から災害がこれだけあつたといつて申達して来ます。それの復旧費は幾らかかるというと、非常に只今お示しのように、件数が多くて、而も早急を要するという災害復旧でありまするので、えてして机上査定と言いますか、坐つてつて査定をする。従いまして、ふつかけて来てもそのままが査定される。そうして査定するときには、御案内とは思いまするが、相当強力な方々がこれで査定しろというようなことを当局に迫られるのでありまして、場合によると、橋も落ちてもいないのに、橋が落ちたと言つて来る。成るほど落ちたというのだから落ちたのだろうといつて復旧費を認める。私のほうで行つてみると、参謀本部の地図で見ましても、何を見ても橋はなかつたというようなものもありますが、要するに机上査定は、そのとき限りでやらなくてはならないような早急の場面に当面しておりまするの場で、当局のそういう机上査定もまあいたしかたなかつたと思うのでありまするが、そういう点などもございまするので、補助工事につきましては、農林、建設、文部、厚生の各大臣に対しまして、検査院長の名において是正を求めるというので、たしか去年の暮でありましたか、出しておるようなわけであります。例えて言いますと、机上査定をしないで、実地査定をしなければいけない、できるだけ実地査定でやつてもらいたい、それからでき上つたものに対しては、工事の検収と申しまするか、机上の竣工検査でなしに、やはり行つて検査をしてもらいたいという、こういうことなどを数項目に亘りまして、改善すべき点をお示しして当局に是正改善の方策を、私のほうのみる方策を示しておるようなわけでありまして、それではその後どうなつてるるか、今年実は二十八年度検査をしました結果を聞いてみますると、会計検査院と同じような立場で非常にきつく検査なり、査定をしてやつておられる一例として、大阪府などは非常に、建設省の関係補助ですが、よろしいというように報告を聞いております。これは結局会計検査院の改善の要求に対して、当局が即応してやつておられる一例だと思うのでありますが、大体におきまして、補助工事は、県或いは各省の当局がその気におなりになりまして、机上査定の数も非常に少くなりまして、大体大きなものは実地で見る、竣工検査は行つて見るというように、人員も殖やされまして、よほどよくなつておるのでございます。従いまして、二十八年度補助関係検査報告不当事項は幾らか減るかと思うのであります。ただ会計検査院は、公共事業については徹底的に調べておつたのであります。一般補助関係につきましては幾らか手薄でありますが、今年はその点にまで手を伸しておりますので、総体的にそう補助の件数は減らんかと思うのでありまするが、公共事業の関係においては相当減るのではないかというような見通しを只今つておるようなわけであります。よく会計検査院検査の結果、いいものはほめてやつたらいいじやないか、これはよく昔から聞くのであります。只今もそのお話がありましたが、会計検査院も何かはめてるということをしようじやないかというようなことを、よく話合つておるのでありますが、賞状を渡すというようなことまでは至つておりません。只今申しましたような特定の個所の特定の場所が非常によくなつておるというふうな場合には、当局に局長名その他で、非常によくなつておるから、そちらのほうで何かはめてやつたらどうだというようような意味合のことは連絡いたしておるのであります。  それから補助についてでありまするが、二十八年災、去年の災害は非常に大きなものでありまして、而も局部的に災害の深度が非常に深かつたのでありまして、特定の県に非常にたくさんの補助費が行つているというので、普通ならば工事をやつておる、或いは工事ができたという場合に検査をいたすのでありまするが、それではあんな大きな災害の復旧に対して今までと同じような検査ではどうも遅過ぎるということになりはせんか、国の予算を適正に使うという上において少し早目に検査をしたらどうかというので、今年の二月、三月を期しまして、二十八年災の災害の或いは、支出負担行為ができたというような場合におきましても、現地の災害状況をみまして、この支出負担行為は、実際に橋は落ちていないじやないか、この堤防はそんなに切れていないじやないかというようなことを衝きまして、まだ工事にかかつていないで支出負担行為をしておる、或いは契約しただけのものに対して是正をさして、数十億というものの予算執行を節約せしめることができるような現状にあるのであります。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 この際、東谷院長に申上げて、一応お伺いしたいことがあるわけでありますが、それは本決算委員会においても、昨日黄変米に対する決議をしたわけであります。この問題は特に白色病変米というものが検出されてから、非常に問題がむつかしくなつて来ておると思うのであります。前にも巨額なる国損を招来し、現在八万有余トンが一体どうなるのかというような大きな問題にもなつておるし、今までの政府説明を聞いても、今後まだ白色病黄変米というものが外米の輸入に伴なつてつて来る危険がうんとあるると思う。そういう点から考えて、政府のほうに対しても決議文の内容として、これに対するいろいろな根本方針に対して至急措置をするように要請しておるわけですが、会計検査院のほうとしても、このまま放置するならば、国民的な問題と共に、会計上においても国損の招来というものが見えて来るわけですな。そういうふうな点から、これは業者とか或いは政府だけではなかなか観点が多角的に行かないので、根本問題に触れない面も私はあるのではないかという心配をしておるわけです。それで前国会においても、この決算委員会において一つ会計検査院が積極的にビルマならビルマ、タイならタイの現地に行つて、そうして業者の買付方式とか、その他具体的にいろいろと風聞を聞いておるので、そういつた点について改善する方式がないのか、つまり未然にこれらの国損の招来することを防ぐ方と式いうものが、会計検査院としてとれないものかどうかというふうな点について、我々も期待をし、検査院が乗出すことを積極的に支援をしたいし、そういうふうなことについて、まあよりより決算委員長を中心として話を進めて来ておるわけなんですが、こういう点について会計検査院として一つ積極的にやはり国損の未然防止というふうな形を一つつてらえないか。我々もそれに対して極力応援し、予算上の問題は予算上の問題として、政府にも我々と」て交渉する面があるならば交渉するし、又そのほかいろいろの外交上の問題があるとしても、そういつた問題も国民的な課題として、全国会挙げてこの問題について当るような決意を持つて一つつて行かなければならないのじやないか、こう考えておるので、検査院長が今のような観点についておやりになる意思があるかどうか、こういつた点について一つ所信を伺いたいと思うのです。なかなか今すぐどうこうという返事がむずかしいとしても、やはりそういつた点について一つ御検討を煩わしたい、こう思うわけです。
  45. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 只今の点でございまするが、黄変米、病変米、誠に遺憾に堪えないのでありまして、只今病変米が八万トン余りございまして、これを抱えておれば倉敷料だけでも大変なのでございます。この白色病変米についての会計検査院の態度というものは、今いろいろ実は考慮中であるのでありますが、それはそれといたしまして、只今の買付の現地に行きまして、その状況を視察して国損を未然に防ぐ方式をとつたらどうだ、そういう方式をとつておる面は実はほかの工事とか買付には余りないのでありますが、併しこれは非常に大きな問題でありますし、実は岡さんが只今仰せになりましたが、この前に決算委員会でそういうお話もございましたので、実はビルマのほうに二、三各派遣いたしまして実地の状況をも視察し、できればこういつた国損の起ることを未然に防ぎたいものだというふうに、会計検査院としても考えまして、実は予備金の要求をいたしたのでありまするが、まあ先ほども申しましたように緊縮財政の折からでもあるし、まあ会計検査院の行くのはよしてもらえないか、随分強力に当つたのでありますが、そういうわけで談判不調に終りまして、只今のところ実は外国旅費を会計検査院は持つておりませんので、出張いたすことができないのであります。ただ考え方といたしましては、三十年度予算にはできれば何とかしたいという考えを持つておるのであります。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ緊縮の折から経費を節約する点はわかるのですが、結局放置するならば、みすみす国損というものが招来するということがはつきりしているわけなんです。それでこれは国民的なまあ栄養の問題にも直接かかわつて来ておる。そういう理非明白なものに対して、国費を使うということは国民は挙つて喜ぶことだし、国会も何人も反対は私はしないと思う。ただ問題は向うに行つて実効が上るかどうかという問題ですが、併しそれも結局専門的に検討して、それ以外の手がない、現行で行く以外に手がない、このままやつて行く以外に手がないのだということがわかれば、わかつたところで又新たに外米を本当に輸入しないで、麦なら麦で本当の主食改善に積極的に乗り出すか、そういうふうなふん切りができないような状態の中で、科学的にこれをいろいろと研究して、この毒が何%まではいいとか悪いとかいう論争も、これも時日をかけてもなかなか結論が出ないように、我々は見ているわけなんです。そういう点で一つ国損を招来しないという面だけからも、一つ買付方式とか、そういつたものについても、現地に行つて会計検査院としてこれを真剣に取組んでみるというふうな考えの下に、積極的に推進して私はもらいたいと思う。決算委員会においても或いは農林委員会においても或いはその他の各委員会においても、国会全体挙げてこれについては私は協力して行けると思うのですから、その点については一つ強力にお願いしておきます。
  47. 千田正

    ○千田正君 東谷さんに御依頼すると共に一つ御注文を私は付加えておきたい。  種々御報告頂いております批難事項の中に、先ほども石川委員から御要望があつたようでありますが、批難すべき不正事項と、それからそのうちに、やむを得なくこういうような工事をしなくちやならなかつた実情とか、二つの面があると思うのであります。我々はそういう面を追及していつた場合に、建設省なり或いは農林省なり、現業官庁にこの面を追及した場合によく口を揃えて言うことは、予算が足りないのだ、十分やつてやりたいのだが予算が足りないのだという答えをよく聞くのでありますが、常識的にいきましても、例えば水害、或いは風水害等についても、徳川時代において作つた堤防がこわれないで、科学が長足の進歩をして、技術もそれに伴つておるというにかかわらず、最近の工事というものは誠に情けないような、御報告にもあるような状態でありまして、この点を我々は国政の上から真剣に考えなければならんと思うのであります。そこで不正の点は、当然決算委員会として十分これは追及もしなければなりませんが、同時に例えば乏しい町村の会計にかかわらず、やむを得ず立替工事等をしている。そういう立替工事をしておつても、過年度災害に対するところの支払さえも政府は十分やつておらない。こういうような不正工事がなぜ生まれて来るか、或いは非常に悪い人間がいて、ただ利益を追及するために起きて来る不正工事と、十分な予算がないために、やむを得ずとにかく防がなくちやならなくて出て来る不正工事と二つあると思いますので、そういう面を、今度は不正摘発のみが仕事じやなく、やはり国政に一歩新らしい進歩の跡を我々は見ていきたいと思う点から、特にどういうわけで不正工事が行われているかという点は、今申上げました立替工事等は、或いは予算の不足なくちやならないという点も相当あると思います。こういう面を科学的にもつと強く調査の結果を御報告して頂けば、予算の配分なり、或いは予算に対するところの要求等に対して、決算委員会の立場から国の財政に対して十分な意見を具申できると私どもは思いますので、この点を更に一層御研究願つて御報告願いたいことを一つ注文申上げておきます。
  48. 石川榮一

    ○石川榮一君 今の千田君の御質問に付加えたいのですが、千田君のお話の中の一例をちよつと申上げておきます。  山口県の批難事項を私どもは一応検査して廻つたことがあるのです。何といいましたか、八雲村とかいいましたか、二カ村ばかり二十六年災で非常な災害を受けた。その村の批難事項が挙つておりました。今千田先生の言われたような形のものであります。その村は財政規模が約一千八百万円であります。ところがその農地災害の額は五億乃至六億に達しておる。そうなりますと、今の補助の率から考えまして、最高限補助を十分に与えるといたしましても、少くも一億四、五千万円はその村が負担しなければならんという状況に追込まれている。そこでこの村ではいたし方がないものですから、或る業者に特に補助金だけでやるというように、いわば窮した結果、放任しておけないものですから、みずから一億数千万の財政の負担は到底できないというので、止むを得ずそういうようなことをやつたと言われておるのですが、これは真偽はわかりませんが、私どももこの点について非常に考えさせられた。財政規模が二千万或いは一千五百万程度の小なる町村が数億の災害を受けた場合に、今の形でもつて強く批判をいたしますと、これは補助を受けないで放つておく、荒廃のままにしておく、それより手がないということに帰着するのであります。そうなりましては至るところ災害が発生いたしまして、小なる村は皆破綻に瀕してしまい、国土は荒廃に帰してしまうというふうな、政府予算措置が悪いと言いますか、補助率が適正でない、そういうふうな負担は全額負担すべきだという建前を私はとるべきだと思うのです。そういう建前をとらさせるためにも検査院等におきましては、批難をされると同時に、こういうものはこうしたらいいというような積極的な建設的な意見も付加えて御報告願いますれば、非常に我々はやりよくなると思うのであります。補助率の軽減を唱えられておりますこの際でありますが、一方にはそういう大きな災害があつた場合には全額国庫負担をしてやるという建前をとらなければいかん。そうしなければ、今の会計検査院検査に脅えまして、もう放つてやらない、その村ではやらないと言つております。そうすると、荒廃したところの耕作地が永久に残るわけであります。実に悲惨なものであります。その点も考えますので、政治のいわゆる貧困といいますか、眼の届かないといいますか、そういうような面も起つて来るのであります。でありまするから、批難事項を十分に追及して頂くと同時に、その村の状況等を勘案せられまして、こういうような場合にこうしたらいい、もう少し国家は奮発して補助率を上げてやればいいというようなことを率直に、将来そういうことがないようにさせるために、又国土を保全させるために御検討願いまして、御研究なすつたものを御報告願い、同時に政府のほうへも意見を具申して頂くというようなこともお考えを願いたいと思うのですが、如何でしようか。
  49. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 千田さん、石川さんの御意見でありますが、実は補助工事は地方でも困つておるのでありまして、最近ばかりではない、従来もそうでありましたが、補助を幾らやると言つておきましても、財政の都合によりまして、その補助率が違いまして、金額が違うということで、従来から非常に困つておるようであります。最近におきましても御承知のごとく三、五、二で補助をしてやると言つておきましても、財政の都合でそれが三も行かない、五も行かない、僅かずつ行く。併しながら災害の復旧は一日急を要するのであります。三は当然のこと、だから四くらいやつておこうという、一方はやるというので自然に立替の工事ということ炉起るのでありまして、立替工事が起れば、どつからか金を借りる、金を借りれば利子が要るということで、ますます地方の財政は疲弊するのでありますが、この立替工事につきましては、私どものほうも検査ではよく実情は見ております。それからなお、石川さんからのお話でありますが、私ども会計検査院におきましても、よりく話しておるのでありますが、何と言いますか、災害が非常に多くなりまして、従いまして補助工事が非常に多い、それから災害でなくても、或いは言葉が少し過ぎるかもわかりませんが、最近は補助で何かをするということが非常にはやつておると言つてはおかしいのでありますが、何でも補助でやる。従来ならば村においても町においても改築はしないで一年や二年は我慢するのであるが、併し補助はもらえるのだから一つ申請しよう、申請すれば補助がつくというようなことで、補助が非常に多いのであります。補助の稼働数が多くなればなるほど、予算は緊縮しておるのでありまするから、結局補助のパーセンテージが少くなる。少くなつても、自己負担をして村がやるかと言うと、村の財政は非常に窮迫を告げておりまするから、結局仕事をやりたいが自己負担はできない。補助はもらつたということであれば、補助範囲若しくは補助に少し毛の生えた程度工事をやつて、自己負担をやり得ないというのが彼此皆然りであります、そこで昨年あたりは、国会におかれてもその点をお考えになつて、高率補助ということに災害の復旧がなつておりますが、高率補助にいたしましても、何がしかというものは自己負担で高率補助をしなければならぬような状態においては、各町村においては財政負担はできないのじやないかと私は思つております。従いまして私個人の意見として申しますれば、只今石川さんのお示しのような、やはりそういう場合には、特別に高率補助というより、むしろ全額負担して行くというよりほかないのであります。私どもがやはりこの間或る県に行つて見たのでありますが、殆んど村が皆な流れておる。そういうときに復旧する、高率補助言つても五%なり六%は自己負担する。自己負担どころの話ではないのであります。従いましてそこでは国においても融資の面倒をみるというのでありますが、一体借りるという能力すらないのじやないかという気もするのでありまして、どう補助全体につきまして、これは私どもが言うべき分野ではないのでありますが、お考えを願いまして、法律或いは予算などにもお示しのようなことが現われるようにして頂きたいと思うのであります。こういうことを申上げるのは甚だ失礼でありますが、私どもはいやしくも法律ができておりまして、この法律においては復旧しか認めないということになつておれば、復旧以上の改良をやつておれば、改良の分は予算の違背じやないか、この法律にそむいておるのじやないかというので、この超過分だけは返せ、補助を外せというような、或いは外せというのではなしに、改良の補助に乗り替えろ、低率補助に乗り替えろということになるのでありまして、折角お示しのお言葉がありましたので、そういうふうになつたらという気持は、これは私一個でありますが、感じておるのであります。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 只今の問題に関連するわけですが、これはやはり今たまたま公共事業費の問題が出ましたが、ほかのほうにもやはりそういう例がたくさんあろうかと思います。例えば災害を受けました鉄道の復旧乃至は電信電話の復旧という問題にしても、一日も速かに開かなければ公衆の利便を図り得ないので、突貫工事をやらなければならない。ところが予算できめられた単価は極めて低い。従つて闇の人間を使わなければならない。高い賃金を使わなければならない。そこで数字で工作をするわけです。百人雇つたものを二百人雇つたことにして補つて行く。そういつた会計検査院から指摘されているのと同じような例があると思う。これは今会計検査院にいろいろ注文をつけておりますが帰するところは、結局そういう予算を作つた国会責任ということになると思う。みずから反省しなければならぬのでありますから、そういう問題でしばしば私は会計検査官の方々にもお願いしているわけですが、不当事実がございましたという責めつけばかりでなくて、一体そういう所はどういうところに原因があつたのか、従つて予算の単価の作り方がおかしいとか、或いは何がおかしいという、立法府として参考になるべき、そういう誤りを再び起さんようなヒントを与える意味で、会計検査院としての考え方を、不正工事の指摘と同時に附加えて御折元願うならば、立法府として予算乃至法律を作る上において、非常に参考になると思いますので、それはいろいろ検討した結果、別な又観点が出るかも知れない、立法府としては……。併し検査をされた長い間の、これは何十年間とされておるのですから、大体の事故の発生の原因は、これはもうすでにわかつておると思うのであります。そういう意味で今後ともそういうような観点から御指摘を願いたい。只今の問題はやはり立法府としては責任があると思うのであります。そういう予算を作つた、そういう法律を作つた国会責任がないと私は言われないと思うのであります。山口県の例のごときをとりましても。従つてそういうことが国会として是正されるようなヒントを与えて頂く項目を是非とも検査院の立場でこれは指摘して頂くことをお願いしたいと思うのであります。
  51. 島村軍次

    島村軍次君 大分時間も経過したようですから、二、三希望を込めてお伺いいたしたいと思いますが、会計検査院の報告は、例えば現在審議中のものが二十七年度、二十六年度をやつと終つた。一年経過後にやるというのが従来の例になつておるようであります。これは我々としては、決算委員会としては、むしろもつと早く、未然に防止するということと是正するものは速かに是正する、これが目的でなければならんと思うのでありまして、そういう点から言いますと、全体をとりまとめてやられることには相当時間も要することであろうが、これは法律的にもそういうふうになつておるかも知れませんが、一つは重要な案件については中間報告をやるということが制度上できるかどうか、或いは又そういうふうなお考えがあるかどうかということを、ちよつと伺つておきたいのであります。  それからもう一つは、長い間の報告を見まするというと、会計検査院の指摘に対して厳重なる注意をしたというくらいな報告書には、もう飽きるくらい、そういうことでおしまいを付けておるというのが現状であります。各省の審査に当りまして、その問題を注意いたして見まするというと、結局盲点は何か特別立法をやるか或いはそれに対して特別な措置を講ずるという必要があるということを、我々かねがね考えておるわけで、いろいろ検討も加えておるのでありますが、これに関して建設的に会計検査院がこの問題に対して、どうしたらよいかというような率直な御意見があれば一つつておきたいと思います。  ほかにもありますが、二点だけ一つお伺いいたします。
  52. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 先ほど永岡さんからお話がありましたが、どうも私どもから、立法府へ指示するとか、申上げるというのもどうかと思うのでありまするが、先ほど申しましたような補助関係などに一例をとると、そういう感じを私はしておるということを申上げたのであります。若し今後そういうふうに気付きましたものがありまして、申上げる機会がありますれば、申上げるようにしたいと思います。  なお、只今島村さんから中間報告を重大なるものについてする意思があるかどうか、できるかというようなお尋ねでございましたが、実はこれは私の希望でありまして、又或いは言い過ぎになるかもわからんのでありますが、これは実は私感じておるのでありまするが、非常に国会におかれましては、御熱心に御審議を決算について願い、私ども常に御指導、御鞭撻を受けておるのでありまするが、いつも会計検査院決算の審議は遅過ぎる、一年も二年も三年もかかつておるじやないかといつてお叱りを受けるのでありまして、誠に申訳なく感じておりまするが、まあ私どものほうで希望があれば、言つてみたらどうだというので、若しあれば、甚だあれでありますが、二十七年度検査報告は昨年の暮でしたか、今年の一月でありましたか、私のほうの手を離れましたのは、政府へ出しましたのは昨年の暮でございまして、国会に出ましたのも、今年の通常国会の開会中に出たのでありまして、なろうことならば、二十七年度はそういう際に御審議を願いまして、そうして二十八年度の私ども検査の御鞭撻を願うというようなことができたらという希望は実は持つておるような次第でありますが、中間報告は成るべく早く、今二十七年度の分をやるのもさることながら、二十八年度なり、もつと新しいものをやりたいということで、聞きたいというお話でありますが、これは従来とも、国会からこの事件について中間報告をしろというようなことがございますれば、私のほうで検査を早急にすませまして、検査官会議へもかけまして、こちらへ御報告し御説明をいたしておるのでありまして、今後とも検査報告の一部という意味ばかりでありませんで、国政調査という御関係で御要望になるのでありますから、その点には応じて御説明或いは報告書を提出したいと思つております。  なお、処分関係でありますが、私どもも実は島村さんと同じような感じを持つておるのでありまして、公式な院長の名前を以てはやつておりませんが、部長、課長若しくは私どもが直接に会いましたときには、この事項に対する処分は少し軽過ぎるじやないか、こういうことでは不当事項の根を絶つことに役立たんぞというようなことを申しておるのでありまして、今後どういうふうにやるかということであれば、実は国損を与えたり甚しく違法の事態に対しましては、懲戒要求なり、その他の責任を追及して行きたいと考えておるのであります。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単にお祝いをかねて希望を述べたいと思います。  道義の頽廃と綱紀の弛緩は、我々は非常に寒心に絶えないものがあるわけでありますが、国民として今頼みに思つておるのは、司法権の厳正公平な発動と会計検査院の絶えまない機能発揮であると思うのであります。勿論我々としましては、行政の簡素化、経費の節約、執務能率の増進ということは、つねに要望しておるところでありまして、この要望に対しては会計検査院もまた除外例をなすものではないのでありまして、その方面には十分な御研究を飽くまでも希望するものでありますけれども、現在の膨脹したこの財政計画におきましては、先ほどもお話のありました通り、今の会計検査院の機構なり人員なり又は経費では到底その本来の目的を達することはむずかしい。僅か一千数百名の人員を擁し、三億五千万円内外の予算では、到底その使命を達成することはむずかしいのではないか、災害の復旧費の検査等の実情を見ましても、僅か六、七%検査されて、それで非常な多くの不当事件が出ておるというような実情でありますので、どうか来年度予算の請求をされますときには、先ほど山田委員からも縷々お話がありましたように、思い切つて人員を殖やし、経費の増加要求をされるということを、画期的に一つ御決心になつて政府に強硬に御要求になることを、国会殊に決算委員の一員として私は強く要望を申上げたいと思うのであります。  更に先ほど岡委員のお話に関連いたしましてお話がございましたが、今回の病変米による国損を未然に防止する一方策として、海外に会計検査員の派遣の問題も、予備費の支出を要求したにもかかわらず、大蔵省でこれを拒絶したというお話がございましたが、その金額は幾らぐらいか、この機会に併せて私は承わつてみたい、かように思うのでございます。  先ほどの院長の御挨拶をを聞きまして、非常に心強く感じますと同時に、どうか会計検査院の機能の拡大、活動の十分なことに、なお一層一つ御努力あらんことを願うものであります。
  54. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 只今いろいろと会計検査院のことにつきましての御意見として誠に私ども有難く拝聴いたしたのであります。吏道の頽廃その極に達したというふうに見るかたもあるのであります。私どももやはりそういう感じなきにしもあらず、こういうふうに考えておるのであります。予算の要求にしましても、只今お話がございましたが、私どもにおきましても又一方においては財政の状況も、よくわかりますので、睨みながら人員増加の及び旅費、その他経費の増加を要求すべく、只今準備中で実はあるのであります。なお先ほど岡さんからでしたか仰せになりましたことにつきましてお触れになりましたが、ビルマの方面に参りまする旅費でありますが、大体三百万円ぐらいの旅費の額でございます。
  55. 山田節男

    山田節男君 今の永岡君、それから八木委員の御質問に関連してでありますが、一応委員長にお諮りを……。東谷検査院長の前で、各委員の御意見をまとめて頂きたいと思とのです。今、八木委員からの御質問によると、三百万円の支出については、只今これが事務折衝において支出の余地なしということになつて、この話が駄目になつたという院長の御報告なんです。我々が二十六年のタイの砕米、二十七年度の黄変米、これに又タイ米輸入に関する麻袋の問題、これは皆現地に関係しているのです。すべてこれは治外法権の地域で行われたというので、我々の調査のしようがない。併しこの結果において、二十六年度において数百億円、二十七年度において五百億、と言つては過言でありますが、やはり三百五十億以上の国損を来たしている。又二十八年度におきましては更に輪をかけたような国損をしておる。こういうことがありますから、十九国会決算委員会で、会計検査院から数名、できれば農林省の食糧庁関係の者一名を一つ調査に派遣すべし、これは国会としても決算委員会の中の有志がこれ又行を共にするか或いは別個に現地に派遣すべしということの決議があつた。これは私は十九国会でもその例を申上げましたが、アメリカ大使館の横の、衆議院の議員宿舎のうしろにありますアメリカで作つた二戸のアパートがあります。これはペリー・ハウス、ハリス・ハウスと言つて非常に豪華なアパートが、米人専用のものができておる。これが非常に過大な費用を使つたというので、今年の五月でございますが、アメリカの上院、下院の決算委員会の者二名、会計検査院のほうが二名参りまして、三週間現地調査をいたしております。で、たまたま私の友人のレイモンドという設計者が、あれを設計した関係上、そのレイモンド君のごときも、十日間このアメリカの上院、下院の決算委員会に調べられた。こういう事例がある。それに比べて見ても、年年といつてもよろしい、この数百億円ずつの国損を来たす外米の輸入、而も国民の主食に関することであります。これに対して国会が無視できないといつて、ああいう決議を作つた。私はこれは見ようによつては、今回の吉田総理の外遊よりも国民生活にとつては重大な問題だ、これを大蔵省において僅か三百万円と申しますと、これはもう八千ドル近くのものである、それすら許さんというようなことは、私ども決算委員として、この食糧庁の外米輸入については審議の経過を見ましても、これは了承できない。そこで私は会計検査院のほうでも事務的にその派遣費が取れないということをはつきり明言されておるのであります。で、その決議をしました本委員会としまして、これで済ますのか。なお、又これと同時に決議しました議員を、調査員を派遣するということについて、今後これをどういうふうに扱うかということを一つ委員にお諮り願つて、明日は大蔵大臣もお見えになるやに聞いておりますが、これに対してやはり本委員会としても御意思を決定して頂きたい、さようにお願いしたい。
  56. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 会計検査院のほうからも現地派遣の要求をなさつたそうでありますが、それが容れられなかつた。併し財政の面から言えば、やはり予備費の支出になろうと思うのでありますが、同じ目的を以て会計検査院のほうでは請求されたとしましても、他に方法なきにしもあらずなんです。今おつしやる通り、本委員会でその必要があれば是非やらなければならないということに相成れば、正式な決議を以て議長に申入れる。議長はこれを恐らく議運におかけはなるでしよう。その上で財政当局に本院の名において請求する。こういう段取になるらしいようなんであります。実は先ほど事務総長から、ここに見えてもらつてその相談をしたのでありますが、やはり現在のところでは海外費というものは本院には一銭もない。そこで新たに何か今申上げましたようなルートを作り上げて請求したら、或いは希望を持てるかも知れないという、こういうような御意見であつたので、明日理事会が開かれます。御案内の通り大蔵大臣も見えますから、理事会でさようなことにきまりますれば、早速本委員会にかけて、大蔵大臣に先ず折衝する、こういう段取にしたいと思つておりますが、その点御了承願いたいと存じます。なお、検査院長におかれましても、今年駄目であつたが、来年必ずしも希望なきにしもあらずとおつしやるので、その点、一つ次の機会に強硬に御要求願いたいと思います。  ほかに御質問なければ……。
  57. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 二十八年度決算報告でございますけれども、これも非常に緊急性を持つているものであつたら、国勢調査の名の下に幾らでも中間報告して下さるというお言葉を承わりまして、誠にこれはいいことを伺つたと思うのですけれども、昨年のことはそれでわかりましたが、今年度のことでございます。予算はすでに三月末に通過いたしておりまして、その後は実行に入つているわけなんでありますけれども、問題の性質によりますと、私たち最近の事情を知りたいと思うものもございます。例えば戦死者の遺家族の援護法というのは一昨年通つておる法律でございますのに、なかなか実行が遅れておりまして、人間が少いからだというので、予算人員を殖やすようにもいたしておりますのに、どうもなかなか捗りません。民間ではいろいろな声が聞えます。それから請負事業なども予算で取つておるのですから、てきぱき払えばいいのに、なかなか民間業者に請負つた金を払わないということもございますので、会計では支出責任者がおるのですから、予算の流用ということはあるまじきことで、そういうことはないとは思いますけれども、でも相当信用できません。現に今日だつて、私たちの机の上に、ここに配付しておる紙でも、ちやんと会計の数字が違う事実もあるのですから、こういうこともないと限りませんので、極く最近の事情なんかも知りたいと思うのですが、二十九年、今年でございます。今年の予算につきましての、特にこの問題につきまして、最近の事情を知りたいというような問題につきましては、どの期間くらいまでのならば聞かして頂けるのでしようか。今年のは全然駄目でございましようか。
  58. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 二十九年度でありますが、まあ二十九年度も実行に入つておりまして、会計検査院の常時検査の建前で、検査はいたしておりまするが、やはり国会にお出しいたしますものは、検査が私どものほうの事務総局の部局で、一つ事件につきましても終りまして、それを検査官会議にかけまして、検査官会議でこれでよかろうということで、実は確固たる、途中の生のものではいけませんので、やはり固く固めまして、間違いないところで御報告することに相成つておりまするので、その域に達しておれば二十九年度の分も、若しお示しが、この分について報告願いたいということが、委員長からのお示しがありますれば、只今のような状況になつておりますれば御報告することができると思つてあります。
  59. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は今まで縷々各委員から御質疑なり要望がありましたから、敬語とそれから蛇足を一切省略いたしまして、一言お尋ねいたしたい。これは冒頭に山田委員から、恐らくこれは決算委員の全員の意図であろう、こういつた前置きで、会計検査院に対する拡充強化の参議院決算委員会を挙げての要望は、すでに前院長時代から会計検査院御当局全部に浸透しておる問題だと思う。そこで昭和三十年度のこれに対する新院長としての、予算上少くとも最小限の拡充人員に対する具体的な目標があつたら、差支えない範囲でお示しを願いたい。
  60. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 拡充強化につきましては、従前から御鞭撻を受けておりまするし、又会計検査院といたしましても、そうあるべきものと信じておりまするので、三十年度予算の要求におきましては、これを実現したいと、こういうふうに考えて折角今審議中でございます。ただ、まあ拡充というけれども、どの程度にやるかという問題になるのでありますが、これは、例えばアメリカあたりの会計検査院と比較いたしますと、非常に人員が少いのでありますし、私どもの感じから言いましても、現在非常に少いのであります。それで拡充強化はしなければならんということは、私どもも考えておりますが、それならばこういう財政の窮屈な時代に、どの程度にやるか、それからやるにしてもどの面からの拡充、検査目標をどの面において、どの点から拡充をして行くかということで、折角今審議をいたしまして、概算の要求をいたす心組みをいたしておるのでございます。
  61. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 更に、これ以上追及はいたしませんが、数回の、そういつた我々の要望に対する佐藤前院長のお答えは、会計検査院が新しい法律の下に誕生して、僅か三百名程度であつた職員が、飛躍して千名近くになつた、従つてこういつた人たちの検査能力を向上せしめるための内部的な隠れた努力、そういうことのために払われた御苦心というか、内部指導の御努力は、私どもまあよくわかるつもりです。ところが少くとも昨年の段階においては、そういつた若い、而も新しく会計検査の事務に入られた人たちの検査能力も漸く同上して参つた。これがやはり更に人員を増加して、そしてさつき新しい抱負を述べられた、安住の地を見極めるという、そういつた御意図に対しては、私はやはり一兆円予算の枠はありますけれども、折角最小経費を以て、最大効果を挙げるという大方針からすれば、一兆円予算の名前におびえて、徒らに躊躇逡巡をするのは、私は新院長として就任なさつて遅疑逡巡すべきときではないと考えまして、従来の会計検査院を挙げての大体の御方針は、そこにあるかと推測するわけです。従つてこれはなかなか予算の折衝もそう安易ではないことは勿論想像もできますが、我々参議院決算委員会としては、終始変らざる態度をもつて、これが要望と、少くとも内面的な協力は惜しまずにして参つたつもりでありますし、現在でも、小林委員長委員長とする、この現在の委員会における恐らく全員、この点については異議をさしはさまれるかたはないと確信をしておるわけです。それらの点も一つ院長として十分肚におさめて頂いて、これに対しては極めて強い方針と、そしてさつきの新しい抱負を実現するための第一着手として、これだけは一つ我々の要望にも十分実を以て応えてほしいと、こう思うのです。なお、必要があれば、委員長におかれても、私どもの所期することは、やはり会計検査院の健在というか、この健全なる活動に期待するところは極めて大きいわけですから、我々決算委員会としても、これに対する協力の方法なり、措置については、更に協議の要があろうかと考えますので、これは委員長にも合せて要望を申上げます。
  62. 田中啓一

    ○田中啓一君 先般から伺つておりますと、恐らく全員一致の考えであろうということをしばしば皆さんおつしやいますけれども、少くとも田中はそれほどまだ決心はいたしかねておるのです。各委員会が、大体関係官庁の行政費の充実を大いに強調される、必ずしも悪いことではないと思うのでありますが、実は私は予算委員会決算委員会はそうではないと思つておりました。併し、たまたまここには会計検査院という大事なものがありまして、これは無論その健全なる十分な活動をして頂かなければならんことは言うまでもないのでありますが、さりとて外米の問題にいたしましても、或いは又只今会計検査院予算の問題にいたしましても、私は十分になお検討する必要があると、もう先へ何でも行くんだ、何でも拡げるんだと、こうまでは実は私は同調しかねるぬけであります。外米のごときものも、私は確かにまずい点はあるであろうと思います。そこで一体直ちに会計検査院が行かれるとか、或いは又政府の役人が行くとか、或いは議会から行くとかいうことの前に、どうしても行かなければ、これは解決がつかんかどうかというところまでぐらいは、少し究めて行くべきではないかというような実は気がするのでありまして、これはまあ本日申上げるのは、少し早過ぎたかも知れんと思いますけれども、恐らく全員一致であろうという非常に御強調の向きが多うございましたから……。まあ私はまだまだそこまでは行つておりませんと、率直に申上げたわけでありまして、どうぞ一つ、この委員会でその辺は御検討願いたいと実は思うのであります。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  63. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御発言ありませんか……、それでは田中君に申上げますが、実は只今まで各委員の新検査院長を囲んでの質疑応答の中には、少くとも過去二カ年以来のいわば当決算委員の方針と伝統が今敷衍されたわけなのであります。あなた個人のお考え、個人的な御発言はどうでも結構なんですが、若しそういうようないわば異論といつたようなものに似た御意見がおありならば、その理由をお聞きしたいのです。あなたは決算委員におなりになつたのは極く最近だと思うのですが、そこで折角今後御努力を願わなければならんのですから、当決算委員会の歴史も、極く最近の経緯も一つ御研究を願つて只今の御意見のあるところは、これは結構なんです。どうかそれも次回御発言までに一つ御研究を願いたいと思います。ほかに御発言がなければ、本日はこれで散会し、なお明日は十時から開会いたします。    午後零時四十五分散会