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1954-02-05 第19回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月五日(金曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            植竹 春彦君            島村 軍次君            岡  三郎君            菊田 七平君    委員            雨森 常夫君            入交 太藏君            谷口弥三郎君            松平 勇雄君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            八木 幸吉君   政府委員    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    農林省農林経済    局統計調査部長 安田善一郎君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君    会計検査院事務    総局検査第三局    農林検査第一課    長       吉田 信義君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 菊田七平

    理事菊田七平君) では只今より第三回決算委員会を開会いたします。  本日は、昭和二十六年度決算三件、厚生省及び農林省一般会計の部を議題といたします。  初めに厚生省関係批難事項四百七十一から四百八十四を問題に供します。先ず専門員より説明をいたさせます。
  3. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 別紙にしたためておきました通り厚生省関係で四百六十六号乃至四百七十号は、補助金に関する問題で、小委員会で審議されることになつておりまするので、その関係から只今議題となりましたのは、四百七十一号以下でありまするが、四百七十一号は建築工事を請負わせる場合指名競争に付したようなときには、十分信用のある業者指名競争させるわけでありまするから、最低価格というようなものを設けることが適当ではない。必ずしもそれが会計法の中に明記してあるわけではありませんが、精神から言えばそれはよくない。それを厚生省でやらせた例があるので、今ここに指摘されているのでありまするが、当局においても、不注意で、そういうことをやつたから将来は改めるということであります。  次の四百七十二は診療報酬支払に当り算定当を得ないもの、これは整形外科病院なものでありまするので、整形外科患者はもともと身体は健康なわけでありまするから、手術をしてもらうとか或いはギブスをはめるとかというようなときに、その病院にいることは必要でありますが、その前日あたりちよつと外出をしても差支えない、そういうような事情でありまするので、つい病院に泊つていないことがありまするが、そのときに当局のほうでは相変らずその入院料払つてつたということを検査院指摘しまして、注意を与えましとこたろが、全くその通りであつたというので、適当な処置をとつたということなのであります。  その次の四百七十三号から四百七十四号は、結核の検診の委託費支払うに当りまして、資料調査が不十分でありましたので、つい必要以上に払つてしまつたというわけであります。例えば四百七十三号を見ますると、その場に居合せたところの者にもついでにレントゲンを写してやつたとかいうようなことがありまして、厳格に言うと、被保険者でない者の費用までもこちらで負担するというようなことは適当でないということ、その次の四百七十四号も同様でありまして、同じ家の家族の人にもそういうふうの手術を及ぼしたとかいうことで、要するに調査が不十分な結果、こんなことになりました。当局においてもそれは悪かつた言つて、適当に改める処置をとつておられるはずであります。  次の四百七十五号は船員保険の場合でありまするが、これは年金を支給するに当りまして普通は死んだ人にはやる必要がないものでありまするから、生存届出を出させて、生きているということを確め支払うべきはずを、ついその手続を誤つたがために、資格のない者にも与えてしまつたという失態を演じたという実例がそこに上つているわけであります。  次に四百七十六号から四百八十四号まで、一括しまして国立病院において病院収入取扱いなどの経理が当を得ないという、この問題が上つております。この前の二十五年度においても、同様な事件を相当多数指摘されておつたのであります。短い記事でありまするから、検査報告の百三十四頁にありまするものをちよつと読ませて頂きましよう。   「国立病院で、社会保険診療報酬支払基金等から収納する診療収入金納入から直接日本銀行に払い込ませることができたのに市中銀行病院口座を設けてこれに受け入れ、又、収入官吏が収納した現金はすみやかに日本銀行に払い込むべきであるのにこれを払い込まず、その間みだりに病院経費等に使用したり、あるいは職員に領得されたものが次のとおりある。   従来国立病院国立療養所で、社会保険診療報酬支払基金等から診療収入金を収納するに当り、これを市中銀行口座に受け入れ、預金として保有することが広く行われていたが、適法な取扱いでなく、経理弊害を伴うことも多いので、昭和二十五年六月本院からその改善方を要求した結果逐次改められ、直接日本銀行に払い込むことになつている。」  というような次第でありまして、そのあとにその一々の例がちよつと十ばかりも上つているのであります。  で、以上申上げました事柄の中で、初めのほうの部分はもう比較的簡単なことで、当局取扱いが誤りというのに過ぎません。  最後病院収入取扱云々の点につきましては、一応当局なり検査院なりのほうから詳しい御説明をお聞き下されば事情がよほどわかるのじやないかと思いますが、ちよつと御参考までに……。
  4. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に会計検査院のほうから御報告願いたいと思います。
  5. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 四百七十一号でありますが、これは競争に付する場合には、最低入札者契約するということが大体会計法規上の趣旨だと思うのでありますが、にもかかわらず制限を設けられました結果、二番札と契約されるような事態になつたという案件であります。  それから四百七十二号は、事実自体には只今の御説明で特に申上げることがございませんので、過払いになりましたものはすでに返納済になつております。  それから四百七十三と四百七十四でありますが、これは同じような事態でありまして、実際検診しない人、或いは委託費の対象にならない被保険者でない者に対する分を払つた、こういう事態でありまして、これは結局実際の資料等について見ますと、そういう事実はわかるわけでありますが、その調査を十分やられなかつたために、こういう事態が発生したものと思います。なお、四百七十三号につきましては、一人当りの費用が六十五円で、他の府県の五十円と比べますと、少し高いように思いますので注意しましたところが、二十七年度分についてはすでに契約をしておられましたのに契約を更改して単価を下げる措置を取つておられます。  それから四百七十五号でありますが、これは只今説明がありましたように、保険金支払う際、事実がどういうふうになつておるかという点を調査されるために届けをするということになつておりますのに、その届けが出ていなくて、而も保険金支払つてはいけないというような事態になつておりますのに、その調査ができておらなかつたために保険金支払つた、こういう事態でございます。  それから四百七十六号から四百八十四号まででありますが、これはいずれも病院における診療収入等収入を直ちに国庫に払込むべきものでありますのに、これをその払込前において、或いは修繕費、或いは交際費等に使われた、或いはその間において取扱者が横領した、こういう事実でございます。で、こういう事態が発生しましたのは、もともと病院収入社会保険診療報酬支払基金等から受けます場合に、直ちに国庫に入れるのが当然でありますが、一旦基金から入りました金を銀行預金をいたし、その上で後刻納入報告書を発行して、銀行預金してある金から払い込む。こういうふうな取扱いがなされておつたことから発生しました事態でありまして、このことにつきましては、先ほど御説明がありましたように、二十五年の六月会計検査院からこの措置を改めるように厚生省のほうに改善方の要求をいたしまして、厚生省では二十五年の七月、国立病院或いは療養所に対してこういう取扱方を改めるように指示されておるのであります。ここに載つております事態はそれより以後の分も幾分載つております。それから又惰性で多少厚生省から注意されたより後まで引続いておるように見受けておるのであります。併し現在におきましては、大体全部の検査をしておりませんので、事実全部見たというわけじやありませんが、大体においてこういう取扱いはなくなつておるのだと考えております。
  6. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に当局説明を伺います。
  7. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 四百七十一につきましては、会計検査院指摘通りでございまして、法の趣旨からいたしますと、最低制限価格を設けないで、指名競争に付すべきであつたのが、さような取扱いをいたしておりませんことは誠に遺憾に存ずる次第であります。今後はかような取扱いのないように十分注意いたします。  それから四百七十二号でありますが、これも会計検査院指摘通りでありまして、過払いとなりました五十一万二千百九円につきましては、二十八年三月五日で全額回収済でございます。今後このようなことのないように十分注意をいたします。当時の責任者にも厳重な処分をいたしております。  それから四百七十三乃至四百七十四でございますが、いずれも支払いに当りましての資料調査不十分によそ結果でございまして、会計検査院指摘通りでございます。  四百七十三号並びに四百七十四号、いずれも過払いの分については回収済でございまするし、なお単価につきましては検査院指摘通り、東京都の分につきましては契約を更改いたしまして単価は引下げております。今後このようなことのないように、十分注意いたします。  四百七十五号の年金の後払いを生じているものでございますが、右も会計検査院指摘通りでございまして、年金給付でございますので、これの支給に当りましては受給資格を正当な法の規定によつて調査をし、生存届を出させる等の措置を講ずべきでありましたのを、相手が農漁村の寡婦或いは療養者等であつたということのために、十分な指導ができませんでしたので、ついかような結果になりましたのであります。過払いとなりました百十二万四千七百九十一円のうち、二十八年十二月末日現在四十六万八千四百八十二円が回収済となつております。残額につきましては、鋭意回収に努力中でございます。今後このようなことのないように十分注意いたしますと共に、責任者につきましては十分なる処置を与える次第でございます。  次に国立病院関係の四百七十六号乃至四百八十四号でありますが、右は会計検査院指摘通りであります。各病院にこれが取扱い適正化について当局より十分注意したのでございますが、検査院から御指摘を受け注意いたしました以後におきましても、若干の事例を生じておりますことは誠に残念に思う次第であります。現在はかような取扱いをいたしておるところはないと存じております。なお診療報酬支払基金につきましても、国立病院については、市中銀行に預け入れる等の措置をとつてはいかんというようなことも指示いたしております。今後はこういうことは絶対にないように厳重な注意をいたします。只今のところはまあ収入金を直接市中銀行のほうに、或いは収入現金を勝手に病院経費に使うというようなことはないものと存じております。御了承願います。
  8. 菊田七平

    理事菊田七平君) 只今の問題について御質疑ございませんか。
  9. 雨森常夫

    雨森常夫君 検査院のかたにちよつとお聞きしたいのでございますが、四百七十一号の問題に関してでありますが、そのときの発注するときの仕事の関係、或いは指名する業者関係等によりましては非常にとてつもない安い値段で受合つてやるというような場合が往々にしてある。そういうふうなことを防ぐために最低価格を設けたいという意向でやつたんじやないかと思うんですが、この場合内容を知りませんが、そういうふうな場合には法規では許されないかも知れんが、実際はすでにそのほうが当を得た措置のように思うんですが、どういうふうにお考えになりますか。
  10. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 只今の御質問御尤もだと思いますが、本件についてまず最初御説明いたしますが、本件指名競争入札なんでございます。従いまして甚だいかがわしいような請負者はこれは指名さるべき性質のものでないのでございますから、これについては問題は恐らくなかろうかと思います。一般的の一般競争なり、或いは具体的な事例については法規建前から言えばかんばしくない事態でありましても、事態に即応して考えるということは私のほうでも考えてはおりますが、これは事態がはつきり認識された場合には、法規上の趣旨から言えば不適当であつても止むを得なかろうという処理はいたしております。
  11. 雨森常夫

    雨森常夫君 今のお話を承るというと、その場合によつて最低線を引いてもいたしかたないということになりますか。
  12. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 私のほうから申上げますれば、最低線を設けるということについては反対であります。これは勿論原則として反対を取つているわけでありますが、そういう事態に、最低線でなしに、制限価格を設けられる場合に、これはいかんということはそう申上げますが、いけないが、具体的事例弊害がない、或いはむしろそのほうが適当であつたという事態も場合によりますればあろうかと思うので、そういう事態の場合にはそういう事態に即応した判断をする、こういうことであります。
  13. 菊田七平

    理事菊田七平君) あと御質疑ありませんか。  それではその次に進みまして、四百八十五より五百二号までを議題に供します。先ず専門員から説明をいたさせます。
  14. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 四百八十五号は、国立の津の病院で、非常に経理紊乱があつたという事実を詳細に1、2、3と挙げて報告されているのでありまするが、内容はお読み下さればわかるかと思いまするが、ちよつと別紙事柄の筋をわかり易いようにと思いまして書いたのでございます。  先ず第一に、予算示達もないのにそれを見込して工事を施行させた。それを支払うために物品購入代金支払いに当てるための小切手を出して、それを正当債権者に渡さないでそれを利用して、工事予算の一部を払つたりしたというようなこと。  それから次に、予算示達を受けまして、白井という者に改修工事を請負わせた。ところが白井という者は高士という者から金を借りた。その借入れに対して庶務課長支払保証をした。ところがあとにその改修工事代金請負人たる白井のほうへ払つたのであります。ところが白井に対する債権者高士のほうは、支払保証庶務課長がしておるから、その金を請求したので、又そこに払わなければならないといつたような妙な関係を生ずるようになつた。  それから最後に、3のところで支払いができていないところのその金を支払うために、予算示達を受けまして、二十七年五月から七月までにそれぞれ工事費支払い終つたというので、まあどうかこうか支払い関係は済みましたが、その最後工事内容を見ると、検査院のほうでは、どうもその事実の確認が困難であるというようなふうに報告されているのであります。事柄が非常に混雑をいたしておりますので、ちよつとこれを読みましてもわかりにくいのでございますが、要するに経理が非常に紊れておつたという一つの例がここに出ております。当局においても全く検査院指摘通りであつて、甚だ遺憾であるということを申されております。  次に、四百八十六号は、これは入院患者支払いが間違いなく取れるように、あらかじめ前納させておきまして、預つた金を一時銀行にでも預けておく。ところがその途中において不都合なことをして、関係職員が領得したとか何とかいつたような不当な出来事が起つているという御指摘でありまして、当局においても全く事実その通りである。将来は、そういうふうの取扱いはしなくなつているはずであります。正規出納保管をするように十分注意をしているということなのであります。    〔理事菊田七平君退席飯島連次郎着席〕  次の四百八十七号は、ほうぼうの国立病院薬品などを取扱うのに、取扱いが厳重に扱われておらないで、その医者なり看護婦なりがどれだけの薬品を受入れたか、又どれだけそれを使つたかというようなことを正確に記入もしておらないし、それから又、自然、料金を徴収すべきはずのものを徴収をしておらない例が多いといつてたくさん実例か挙げられているのであります。  その次の四百八十八号から四百八十九号は、その職員が犯罪を犯して国損を生じたという例が挙げられております。  その次はもう是正されたことではありまするが、健康保険保険料厚生年金保険料、それから船員保険保険料、それらの徴収が不足しておつた、それを是正されたというのでありまして、船員保険関係は五百号から五百二号、それから健康保険及び厚生年金のほうは四百九十号から四百九十九号、それだけでございます。  最後にあります五百三号はこれは補助金関係で小委員会のほうに移すことになつております。
  15. 飯島連次郎

    委員長代理飯島連次郎君) それでは会計検査院の第二局長から御説明を願います。
  16. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 四百八十五号は経理紊乱しておるという事態でございます。これは三つに書き分けてございますが、第一点は津病院で二十五年一月から二十六年十二月までの間に、予算外白井某笠井某外来診療棟その他の修繕工事を施行させたということでありまして、これに対しては別途物品購入代金として振出しました小切手百一万余円の一部をその代金に充てたり、或いは、その物品購入代金を他の物品購入に充てるというような事態がありまして、その後工事関係予算が来ましたので百三十三万余円を振出しまして、これを請負人に渡し、請負人にすでに渡しておつた金額に相当する物を受取りまして、その金で先に物品購入代金額を正当に支払わないで使つてつたほうに充てているというような事態が行われたわけでありましで、検査当時なお物品購入代の未払いがあつたわけでありますが、その後これは支払われております。  それから第二点は病棟の改修工事白井某に請負わせまして、    〔委員長代理飯島連次郎退席理事菊田七平君着席〕  その間白井某資金関係上、高士某から借入金をして、その借入金をいたしましたのに対しまして庶務課長山口某支払保証をする、こういうふうなことをいたしたわけでありますが、これは支払保証と申しますか、白井某に払う代金支払う、こういうふうなとりきめになつてつたわけでありますが、工事代金白井払つたために高士某から問題が提起されまして、その結果国が九十二万五千円ほどを高士某に対して支払債務を負担する、こういう事態が起つたわけであります。  更に第三点は第一で申上げましたように工事予算外にいろいろそのほかにもやつてつたわけでありますが、その後厚生省調査されました結果、その金額が三百十一万余円になるということでありまして、これから先に支払われました百三十三万余円を差引きまして、この金額白井とほか一名に支払われるということになつたわけでありまして、白井はその支払いを受けたものから第二番目で申上げました九十二万五千円に相当するものを国に返した、こういうふうになつておるわけであります。なお、工事が三百十一万余円だということになつておりますが、これは設計、図面、見積書等工事関係書類のないものがございまして、検査院といたしましては果してこれがこれほどであるかどうかということは確認が困難な状況でございます。  それから四百八十六号でございますが、これは入院保証金でありますと、正規歳入歳出外出納官吏が保管して正規扱いをする、こういうのが建前でありますが、正規の扱をしないで出し入れをしておつた事態でありまして、その間に一部は関係職員に領得され、或いは看護料等の使用に立替えられたというような事態が起つたわけでございまして、これにつきましては、その後正規出納官吏を設けて取扱をされることに改めておられます。  それから四百八十七号でありますが、これは薬局から薬を払い出して使つた先との辻棲が合わないという点が一つと、それから薬を使われたということはわかつているが、その薬の代金徴収される措置はとつていない、こういう二つの事態でございまして、薬の扱いはいろいろ品目がありまし困難なこととは思いますが、やはり十分注意されて、こういうふうな事態のないことが望ましいと考えております。  それから四百八十八、四百八十九でありますが、これは不正行為でございます。で、このうち特に百八十九号は佐賀県民生部保険課事態でございまして、不正行為金額は千百万ばかりに上つておりまして、関係している人が十数名に上つて期間も相当長くなつているのでありますが、こういう事態が生じましたのは、結局相当の人数の人が一緒に悪いことをするということで、相互牽制ができなかつたというような面と、それから書類その他について十分調査すればわかり得た事態でありますが、監督が不十分のために、こういう大きな事態が生じたということでございまして、今後は十分監督されることが望ましいと、こういうふうに考えております。  それから四百九十号から五百二号は、いずれも保険料徴収不足の問題でありまして、毎年検査報告に記されておりますが、相当事業所の数も多く調査も困難だとは思いますが、各関係機関とも十分調査されて適正な保険料徴収が望ましいと考えております。
  17. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に当局説明を求めます。
  18. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 四百八十五号の国立津病院における経理紊乱でございますが、本件会計検査院の御指摘通りでありまして、誠に遺憾に存ずる次第であります。  この病院は明治四十五年にでき上りました津衛戌病院を引継いだものでありまして、非常に老朽いたしておりまして、補修整備の必要があつたことは、これは事実であります。当時予算の不十分なために備品の調達等がなかなかできかねておりまして、一方病院におきましては、病院運営上承認のままに工事を進めましたので、検査院指摘のような事態を生じたものであります。病院庶務課長山口某は、只今申上げましたごとく、本省の未承認のままに工事白井某及び笠井某に請負わせて外来診療棟等補修工事を施工させ、それから自動車会社に故障中の自動車を修理させ、これ又後日本省に対して予算示達をお願いするという措置をとつたのでありますが、先ほど申しましたように、早急にはその実現の運びに至らなかつたので、薬品、或いはその他石炭、医療機械、そういうようなものを購入する代金として出しました百一万九千四百五円、これを正当債権者に交付しないで現金化して一時流用し、そのほかなほ自動車及び電話の交換台設備補修料として同様なことによつて五十一万七千三百円、こういうふうにしまして、請負人白井に対しまして工事資金として四十九万五千九十円の融資を行い、残額の七千十五円は手持現金として保管しておつたのであります。その後白井に対しまして融資した四十九万五千九十円は返還されましたので、これを先ほどの手持現金と併せまして一時流用して未払になつておりました購入先についてそれぞれ返しましたが、なお三十一万七千三百円は未払の残として残つておりまして、これを又処理するために、大公自動車株式会社というところへ自動車の修繕料の名義で九万七千二百七十円と、それから二十二万三十円の二口に分けて、先ほど申上げました物品購入等の代金の未払金に充当した。それからこの九万七千二百七十円につきましては、正当債主に支払済になつておりましたが、たまたま検査院の実地検査の当日には、先ほど申しましたように二十二万三十円については支払を了していなかつたので、検査院の御指摘のようなことになつたのであります。  それから越えて二十六年に至りまして一月になりまして、B病棟の改修工事費として三百二万円の予算示達厚生省から受けましたので、この白井某との間に第一次工事百六十万円、第二次工事百四十二万円としてそれぞれ請負契約を締結しましたが、先ほど申しましたような未承認工事に多額の未払金が残つておりましたので、請負人白井某は工事資金に窮乏いたしましたので、先ほど御説明に出ました高士某、これは農業協同組合の理事長でございますが、これから運転資金の融資を受けておりました。そこで白井某の頼みによりまして同病院庶務課長山口某は単独で高士某に対しまして、同人に代金支払うという支出負担行為担当官名義の支払証明書を交付したのであります。ところが工事は遅々として進まない状況でありますのに、この白井からは、高上某に山口庶務課長支払うと言つた支払証明書は、高士の了解を得て取戻すから、すんだ工事工事代金六十九万円は、自分に支払つてもらいたいという申出がありましたのであります。これにつきまして、病院の山口庶務課長は、工事を早急に完成したいということの気持の余り、ついに竣工をまたず、この代金白井某に直接支払つたのであります。そこで支出負担行為担当官名義の支払証明書を高士某に発行いたしました関係上、この金額が国としての負担に残つたわけであります。高士某はこの支出を全然知らなかつたものでありますから、これに対する請求の訴訟を提起しました。その結果、報告書にございますように、九十二万五千円の支払債務を負担することになつたのであります。  そこで以上のような、白井及び笠井に請負わしめた未承認工事がありましたので、厚生省といたしましてはこれを調査いたしまして、報告書にございますように三百十一万一千八百八円と  いう金額に認定しまして、これが予算配賦を行なつたのであります。そこで前に支払いずみとなつておりました百三十三万一千三百四十八円を差引ました百七十八万四百六十円のうち、百四十七万四千三百六十円については、白井某支払うべきところを実際は二十七年五月、白井某に対しては五十四万九千三百六十円を、高士某に対しましては和解によつて国の債務となりました九十二万五千円をそれぞれ支払いました。それから残額の三十万六千百円については笠井某支払いました。そこで一応一切の支払いが完了したというふうなことであります。  以上のようなことでありまして、誠にそのやりくりは病院の運営のために止むを得ずやつたとは言え、経理紊乱につきましては誠に申しわけない次第でございます。今後かようなことのないように十分注意いたします。一応工事責任者に対しては、それぞれ処分をいたしております。  それから四百八十六号の、入院料の前納金の取扱い当を得ないものでございますが、本件は大阪病院、それから長野分院におきまして、あとで料金が非常に徴収しにくいので、保証金として受領いたしました金額を、正規に歳入歳出の管理現金として出納官が扱つておればよろしかつたのに、さような手続をしなかつたものでありますので、その間に不正事故の発生したことがありまして、御指摘のような批難を受けたものでありまして誠に遺憾に存ずる次第であります。  一般のモデル病院としての国立病院におきまして、かような前納金制度がいいかどうかという点につきましては問題でありまして、必ずしもこの制度が当を得たものではございませんが、ただ大阪病院におきまして、こういうふうな制度をとるに至りましたのは、短期入院患者中、特に病状の特質患者は身元を隠して入院しまして、治癒に近ずくに従いまして無断退院逃亡する者、それから或いは診療費の支払能力があるにもかかわらず、再三再四督促しましても、なお且つ支払わない。そういうふうなことのために収納未済が生じましたので、止むを得ずこういうふうな措置をこれらの患者につきまして取つたのでございます。ただこの制度を適用するに当りましては特に慎重を期しまして、身元確認が困難であるというふうな者のみに限定されております。この制度をずつと続けますことは、国の直接の医療機関としては適当な措置は考えておりませんので、これについての対策は目下考究中でありますが、取りあえずこの受領いたしました入院料前納金につきましては、先ほど申上げましたように歳入歳出外現金として出納官吏正規取扱いをいたさせております。  それから看護料等に使用いたしました十二万五千円につきましては、二十七年十二月までに全額国庫回収済であります。それから職員に領得されました二十一万七千五百円のうち五万八千二百二円、これは補てん済でありますが、残額につきましては二十七年十二月十八日大阪簡易裁判所におきまして和解が成立しましたので、その和解の条件によつて、今後回収いたすということになつております。  なお植田某なる犯人につきましては、司法当局におきまして不起訴処分となりまして、二十七年の六月に辞めさした次第であります。なお、その他の関係者につきましては厳重な注意をいたした次第であります。  それから四百八十七番の薬品等の取扱いの当を得ないものとしての御指摘でございましたが、お医者或いは看護婦、これらはそれぞれそれらの本来の業務に非常に多忙でございますので、ついつい薬品類の使用量を正確に記載しない、或いは記載がないので、使用量があとでわからないということのために、かような御指摘を受けたのでありまして、誠に遺憾に存ずる次第であります、現在国立病院なり或しいは療養所で使用されておりますところのこれらの品物、品目は数百に亘りまして、その料金を幾らと算定するというようなことは事務的に複雑なことでありますが、併しそうは言つておられませんので、伝票制度を採用する等の手段を講じまして、できるだけかようなことのないように十分な指導をいたしております。なお収入漏れの分につきましては、調査決定の上、それぞれ収納に努めております。今後はこういうことのないように十分注意いたします。なお、当時の責任者につきましてもそれぞれ適当な処置を加えております。  それから四百八十八乃至四百八十九の職員の犯罪によつて国に損害を与えた件でありまして、こ種事故の防止につきましては従来とも十分注意いたしております次第でありますが、さような事案を生ずるに至りましたことは誠に申訳ない次第と存じております。今後は一層注意いたしまして、かようなことのないようにいたしたいと思います。  四百八十八号につきましては五十三万七千七百三十四円の横領金のうち、一万円が弁償されまして、残額については二十八年六月三十日に裁判の和解が成立いたしまして、それによつて執行いたしております。それから四百八十九号は特に他人数が共謀いたしまして、多額の金額の領得の結果を来たしましたことは、これ又先ほど来会計検査院の御指摘通りでございまして、誠に残念に存ずる次第であります。特に監督業務取扱上、直接監督指導に欠くるところがございまして、不正を容易ならしめたと思われる点がありますので、誠に遺憾に存ずる次第であります。犯人につきましてはそれぞれ免職その他の適当なる処置を講じております。  それから四百九十号乃至四百九十九号、健康保険厚生年金保険料徴収徴収不足であります。これも保険料徴収は標準報酬を十分調査いたしまして、事業の実態に十分なる調査を加えて決定したその標準報酬に基いて算定するのでございますが、その調査が不十分な点がありましたので、今回御指摘のような結果を来たしたのでありまして、十分かようなことのないように注意いたしたいと思います。四百九十号乃至四百九十九号の千二百九十八万六千九百五円の徴収不足金につきましては、二十八年度十二月末現在で一万八千五百七十円だけが徴収残額になつております。これにつきましては鋭意徴収に努力いたしております。  それから五百号乃至五百二号も、前段申上げました四百九十号乃至四百九十九号と同様でございまして、これ又会計検査院の御指摘通りでございまして、誠に遺憾に存ずる次第でございます。本件につきましても、前段申上げましたと同様でございますが、これは二十七年の十二月末日、全額徴収済みでございます。今後もこういうことのないように十分注意をいたしたいと存じます。
  19. 菊田七平

    理事菊田七平君) 以上の問題で質疑を願います。
  20. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 四百八十五号について一、二お尋ねをいたします。当時の責任者の山口庶務課長ですかについては、その後どういうふうな処置をとられておりますか。
  21. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 山口某は、これ以外の別途の事件かありまして起訴されまして、その後有罪判決が確定いたしましたので、国家公務員法七十六条及び三十八条に該当したということでございます。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから四百八十七号並びに四百八十五号等は、いずれも今後はこのようなことのないよう十分注意するということでありますが、注意すると言つておきながら、一年もたたないときに似たようなことが次から次に出て来るのが各官庁のこういう批難事項に対する常養的な点であります。ですからこれは何回のみならず何年となしに同じことをこの決算委員会に出て繰返しておられるんですが、この問題については改めて、これは意見もありますから、別途に協議することにいたしますから、ここへ配付されておる。昭和二十六年度決算検査報告善後処分調、厚生省昭和二十八年二月四日付の資料が配付されておる。このうち四百八十七、この回収未済の残額ですね、これはその後どういうふうな進捗の状況を示しておりますか。この資料を提出した後、つまり昭和二十八年二月四日以降の回収未済についての当局の処分の状況を一つ知らして頂きたいと思います。
  23. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 誠に申訳ございませんが、提出申上げました書類の二十八年二月四日とございますのは二十九年二月四日の間違いでございまして、昨日現在のものでございます。よろしくお願いいたします。
  24. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 では次に四百八十九の井田某に対する処分については目下審議中となつておりますが、この説明書を提出した当時とその後の進行状況について……。
  25. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 井田と申しますのは保険課長でございますが、事件が発覚しました二カ月か、或いはそこらの前に赴任いたしました課長でございます。事件の大部分はその前の課長のときに起つておりました。これにつきましては、この井田某につきましては戒告処分をいたしました。
  26. 菊田七平

    理事菊田七平君) ほかに御質疑ございませんか。ありませんでしたら厚生省関係補助金関係のものを除き質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 菊田七平

    理事菊田七平君) 御異議ないと思います。   —————————————
  28. 菊田七平

    理事菊田七平君) それでは次に農林省関係一般会計の部を問題に供します。  それでは農林省一般会計五百四号から五百七号を問題にいたします。先ず専門員説明を求めます。
  29. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 只今議題となりました農林省関係の一般会計の部につきましては、先ず最初に検査報告の百四十五ページを御覧願いたいと思います。そこに検査院の一般的の見解が記されてございますが、極く簡単でありますから読んでみます。   「昭和二十七年においては公共事業費に重点をおいて会計検査を実施したが、農林省の直接使用した経費について、統計調査事務所で架空の調査手当等の名義により資金をねん出して食糧費等に使用したもの、農業水利、開墾、干拓の直轄事業所等で経理のびん乱しているもの、工事の計画又は施行が不良で工事費の増大を来したもの、地方公共団体に委託した工事費について監督又は検収が不十分のため設計に対し工事の出来高が不足しているものなどが別項に記載したとおり二三件になつている。」  その次に書いてありますることは補助金関係のことが出ておりまするので、それは小委員会のほうで別途御審議になるわけでありまするから省略いたします。それに対する当局説明書の八十九ベージを御覧下さいますると、丁度今の検査院の御指摘に対する一般的な弁明が出ておりまするので、これ又ほかの問題の、今後の問題の御審議の御便宜のために、ちよつと簡単に読んで行きます。   「昭和二十六年度一般会計において特に公共事業費に対して検査の重点がおかれ、その結果多数の不当事項を指摘されたことはまことに遺憾である。   地方出先機関の経理に関しては、すみやかに指導、監督を強化して、経理の方法を誤るようなことのないよう厳重に指導監督する。   直轄事業については各農地事務局をもつて直接事業を実施する管下の事業所に対し従来から厳重に指導、監督を実施させて来たが、たまたま二十六年七月東京農地事務局管下印旛沼手賀沼干拓建設事業所において不正事件に伴い多数の不当事項が発生したことはまことに遺憾であつて、右事業所に対しては、実施計画の再検討、関係職員の更迭等を行い、事業実施について支障のないよう万全を期している。   また委託工事に対するもの及び特に補助事業」云々とありまするが、この補助事業のほうは小委員会のほうでありまするので、只今は朗読を省略いたします。  さて只今議題となりました五百四号乃至五百六号は、架空経理の問題でございまするが、検査報告の百四十九ページに一覧表のような形になつて出ておりまする通り工事費の中から架空の人夫賃などの名儀によつて支払いに充てまして、その金を以て食糧費などに使用した。即ち架空経理。こういう問題なのであります。これにつきましては実は二十五年度の場合に電通省や建設省などにこのような事件がたくさん発見されましたので、この決算委員会におきましても、特に小委員会を設けて架空経理の問題を審議したことがあるのでございます。ところがそのときには、検査報告の中に農林省関係については現われてはおりませんでした。それは恐らく検査院のほうで農林省関係のほうにそのときには手が廻らなくて、翌年度、即ち二十六年度の検査のときに農林省についてこの問題を検査されたことと思いまするが、それがたまたまここ現われ来ておる。こういうようないきさつであると存じます。なおそれでは二十七年度にはどうであつたろうかといつて聞き合せてみましたところが、幸いにも二十七年度にはないように聞いたのでございます。  次に五百七号は同じ事柄なのでありまするけれども、特に統計調査事務所だけが抜き出されて記されておるのであります。これは二十五年度のときにも三カ所においてこういう問題があり、又只今ここに出ておりまするところの三カ所において、こういう問題が起つておるのであります。そういうような関係なのでございます。
  30. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に検査院説明を求めます。
  31. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 只今専門員から詳細に御説明がありましたので特に加える必要はないかと思いますが、五百四号から五百六号までは、今仰せになりましたように、ほかの建設省などでは前年度に非常に大きな架空経理が発見されまして、本委員会の小委員会で御審議を受けたわけでありますが、農林省関係につきましては少し遅れましたがこの五百四号以下の事実が発見されたわけであります。一つ一つについては若し御質問がございましたら御説明いたします。  それから五百七号は、これは前年度にも統計調査事務所で三カ所ほどやはり調査費というようなもので予算を落しまして、それをほかの費途に使つたというのがございましたが、だんだんこれも減つて来るようでありまして、二十七年度ではこの種の検査上批難すべき事態は発見されておりません。
  32. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に当局説明を求めます。
  33. 平川守

    政府委員(平川守君) これは只今説明がございました通り誠に遺憾な事柄でございまして、これに対しましては厳重にかような架空経理というようなことのないように、監督及び注意をいたしますると共に、一面経理事務に関する教育等もいたし、かかる事案のないように努めております。又この事態を発生せしめました責任者に対しましては、それぞれ事態に応じまして、或いは降格というような処置、処分もとり、又経理の不当な内容のものにつきまして、一部国庫に返還せしめるというような措置もとりまして、今後かかる事態の起らないことを期しておるわけであります。御報告のありましたように漸次改善されておるかと思うのであります。
  34. 菊田七平

    理事菊田七平君) 以上の問題に対して御質疑がありましたら……。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 五百七号について統計調査事務所のほうのお尋ねをいたします。特に二十五、二十六両年に跨つて、和歌山では二年連続してこういつた批難が発生しておりますが、その理由はどこにありますか。
  36. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 飯島委員から御質疑もありまして、又専門員からも、会計検査院局長さんからも御説明がありました通りでありまして、誠に遺憾に存じておりますが、特に御指摘の和歌山につきましては、二年重なりまして同種のことが起りましたため、誠に私どもの指導よろしきを得ず、又文書、経理及びその内容となつております事業の事務のいたし方につきまして、誠に恐縮に思つておるのでございますが、和歌山の五百七号に関しますることは総計十八万八千九百六十四円でございまして、そのうち七万五千七百四十円を旅費、通信費、七千七十五円を食糧費、十万六千百四十九円を展示会費に他の科目の予算を流用して支出いたしたものでございます。これは実はこの年は作柄がかなり異常な年でございまして、農林省の本省から与えております調査要綱によりまして仕事をいたしましたものが、異状被害その他におきまして、要綱以上に作業をいたしませんと職員の可能な範囲におきましても、予算額は別にいたしまして能力的に可能な範囲におきましても十分でないというので、被害調査などを特別余計に実はいたしましたことがあとでわかりました。その関係で以ちまして、旅費、通信費の不足を来たしましたので、雑給与より、所定の雑給与を払つたあと予算の若干の余裕がございましたので廻したのが旅費、通信費への流用でございまして、もう一つは夜勤作業が非常に多くなりましたので、特に異常被害の関係でございますが、職員が余り超勤、夜勤が多かつたものですから、所長が夜食を支給をいたしました。違法で、適当でないことにおいて間違いありませんので、その後よく訓戒を与えておりますが、そういうふうになりました。かたがた以て兵庫の場合でも同じようでありますが、県内の各農業団体その他市町村のお方々などにつきまして、統計調査部の作物統計に対する理解を徹底いたしませんと、やはり御納得も得られない、こういうこともございまして、統計方法から、統計結果から、どのようにしてこれがこういう数字を私どもは出すかということについて、展示会を開きましたものの経費を所定の予算がございませんでしたので、雑給与から支払つた次第でございます。  これに対しましては二年続いて、目的は甚だしく悪いとは思いませんけれども、行いましたる経理及び事業というものにつきまして反省をし、又反省をせしめる必要もあると存じまして、所長、庶務課長には特に責任者として厳重な訓戒を与えまして、所長は他へ転勤をせしめました。庶務課長も他へ転勤をせしめまして、本人及び職場に対しまして不当経理の今後なからんことを期するようにいたしました。又その後におきまして会計検査院の御指導的な意見も伺いまして、経理事務に関しまする指針を編纂、配布いたしましたり、本省から事務所への配分する予算につきましても、いいことは伸ばして行く。悪いことは特にその際も厳重に事前に予防措置を講ずるというようなことをいたしまして、二十七年度におきましては、一応会計検査院から御指摘を受けることがなくなつたように存じておりますが、なお只今も努力中でございます。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今までの説明で了解しましたが、特に和歌山に関して特殊の事由があつたというふうには私には聞きとれないのです。ジエーン台風の被害を受けたのは和歌山に限つたことではない。展示会その他をやつているのは和歌山の統計事務所に限つたことではない。従つてこういつた展示会に関しては、当該年度の計画外の事業をやつたためにと、こういうことが事由になつておりますが、他の統計事務所等の状況から考えると、つまり既定予算、既定経費ではこういう本来の業務を遂行するのに差支えがあるという一般的の事由があるのですか。
  38. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私どものほうの予算におきましては、面積調査、収量調査から被害調査につきまして、特に水稲関係、この関係の、水稲が夏作の時期について申上げますと、六月以降ほぼ一カ月に一回ずつの定期調査をやる予算が事業費としても実は組まれておりまして、あとは人件費及び人に伴う庁費を計上しているだけございますが、この前年度約一割の人の減員も行政整理としてございまして、それがその整理事務か終る直後に、すでに調査もしつかりやらなくちやならんという時期でございましたので、地方事務所の幹部職員につきまして、その減員となりました労力と、これに伴いまする照応しまする予算で、従前からもつとしつかりした調査をしなくちやならんという一般的な要望がありますものに対して対処する仕方が足りなかつたと存じます。加うるに特別の大被害が参りまするというと、日額旅費及び超過勤務手当についてかなり不足を生ずる事態でございましたので、その後例えば昨年などにつきましてはそれに応じまする予備費の支出、補正予算の追加などお願いしまして、業務と経理とがマッチするようにいたしました。同時に又御指摘になりましたこの年のあとの二十七年につきましても、最初から全部予算を地方に配賦いたしませんで、応急調査費を本省で一部保留しておきまして、被害に応じまして、大きい被害が来て特別の経費を要するときには追加配賦するような運用をいたしました。もう一つ各地で実施いたしておりまする展示会とか、農林統計の普及の施策につきましては、その後予算の編成自身を大蔵省ともお話いたしまして、庁費として組みまして、科目の名前があがつておるわけじやありませんが、その中で必要な支出を最小限度支出いたしますれば、会計法上違法でないという措置を講じました。このときはそういう事前の計画的な手を打つことを本庁としても適当でなかつたような気もいたしまして、かたがた支出科目が雑給与から出しましたものですから、これは明らかに会計法上よろしくないという御指摘を受け、又私どももその後反省をいたしておるような次第であります。
  39. 菊田七平

    理事菊田七平君) 御質疑がありませんか……。御質疑ないようでしたらばその次に進みたいと思います。  では次に五百八号から五百十三号までを議題に供します。専門員から説明をいたさせます。
  40. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 五百八号から五百十三号までは農林省の印旛沼、手賀沼干拓建設事業所で行われた事柄なのでございますが、それにつきましては先ず一般的な検査院の御説明検査報告の百五十頁にございまして、そうしてその内容がいちいち5百十三号までの間に記されているのでございまするので、これにつきましては、直接に検査院なり、当局なりから御説明を願つたほうがよろしいかと存じまするので、私からはもう附加えて申上げることはございません。ただこういう事件が起りましたのは、勿論この関係者が悪かつたり、特に刑事事件を起しておりまするので、そんなことも人が悪いということもありましようが、私の聞きましたところでは、或いは聞きそこないでありますれば、どうぞ御訂正を願いたいと思いまするが、昭和二十五年度の対日見返資金が開放されて、政府で何か必要のところへ使うことができるようになりました。その一部分がこちらのほうへ廻されましたので、この建設事業所では普通の年は、この干拓工事は数年に亘つておる工事でありますので、普通の年には予算が八千万円とか九千万円とかというぐらいな程度の仕事をしておりまするところであります。この二十六年度には年度の途中に突然四億円余りの金が天から降つて来たような工合に変つたものでありまして、而もそれは見返資金関係などもあり、繰越は許されないとかいうようなこともあつたという、そんなことがこういう事件を起す一つの補助的な要素にもなつているんじやないかというような話を聞いたことがございまするので、ちよつと御参考にここに記しておきます次第でございます。
  41. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に検査院から説明を求めます。
  42. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 五百八号以下の印旛沼、手賀沼の問題について御説明いたします。  この工事昭和二十一年から起工になりましたところの御承知の通り非常に大きな工事であります。いわゆる只今専門員からも御紹介がありましたが、二十四年度までに年々八千万円或いは九千万円という金が支出されたのでありますが、二十六年になりまして只今ちよつと御紹介がありましたように、不祥事件が起りまして、これは業務上横領等とも、絡みまして、大勢の幹部職員が起訴されたわけであります。それで裁判のほうはまだ全部解決しておりませんが、私どものほうとしてはそれとは別に会計経理ということを中心に検査をした結果、ここに並べましたような、多数の批難事項が一箇所の事業所から出たわけであります。  五百八号は、これは先ほどほかの事業所につきましても同種の案件がありましたが、この五百四号以下は架空経理の大規模なものであります。六千五百万余りの金を幽霊人夫賃なり或いは架空の材料費ということで予算を落してしまいまして、それに更に買収しました用地の補償金、それを二百四十万円或いは請負人から寄附を受けた二十二万円というものを一緒くたにいたしまして、合計六千七百八十余万円という大金を右から左に使つてしまつたのであります。そうして一部は接待費に使つたり或いは職員の諸手当に使つたという案件でありまして、前年来建設省或いは電通省あたりで非常に多額の架空経理が行われましたが、それにも劣らないくらい、これは一箇所の架空経理としては大規模なものであります。そうして先ほど申上げましたように、買収しました土地の補償というようなものは、こういうものに使つてしまいましたので足りなくなりまして、二年目に二十六年度に又改めて支出をするというようなことさえやつているのであります。  それから五百九号でありますが、これは最初今の不祥事件を起しましたときの請負人、これは青森に本拠を持つております穗積建設であります。穗積建設を、問題が起きましたので、排除いたしました。そうして三幸建設というのをその代りに入れたのであります。ところが実際には三幸建設は従来からおりました穗積建設の下請をやりまして、実際の仕事は穗積建設にやらしたのであります。三幸建設を入れましたにつきまして水路の掘さくということを、ここにございますように、五百五十三万四千円で請負わしたのであります。名義人は三幸建設になつておりますが、実際は従来からおりました穗積建設がやつたわけであります。穂積建設は従来もこの種の工事をやつておりまして、そこにサンドポンプを持つてつたのであります。そして三幸建設を入れるにつきまして、契約の基礎になる設計の価格をきある際に、新らしくサンドポンプを持つて来るような計算をしておるのであります。実情を申しますと、今申上げましたようなことでおわかりと思いますが、穗積建設が従来からサンドポンプを持つて仕事をしておつたのでありますから、改めてよそからサンドポンプを持つて来るというような設計にする必要はないのであります。三幸建設は随意契約であります。これは一般競争契約というような考え方とも違うのでありまして、随意契約でやるのでありますから、そこにあるサンドポンプを使うというこうことは、そういうものをやる必要はないというのがこの案件であります。  それから五百十号でありますが、これもやはり三幸建設に請負わした九百七十七万円の工事であります。疏水路を掘さくして行く工事であります。これは従来川の水路のなかつた陸地を掘りまして水を入れて行く工事であります。この工事に使うサンドポンプの吃水が六十センチから九十センチの深さに入るわけであります。結局約一メートルを手掘りで掘つて水をどんどん通して行く。そうすると、その手掘りで掘つた所にサンドポンプが入つて行くわけであります。約一メートルずつ手で掘つて行けば、そこにサンドポンプが入つてつて所要の深さに入つて行ける、こういうわけであります。それで約一メートルぐらい掘つて行きます分には一万三千五百三十九—ここにございますが、一万三千立米あたりを手掘りにして、あとは安い機械掘さくでサンドポンプで掘つて行くわけであります。それを設計では一万三千掘るところを、二万一千立米を人力掘さくによつてやるというような設計になつておるのであります。その一万三千と二万一千の差というものは、安い機械掘さくでできるのを、高い手掘りで設計しておる。こういう次第でそのために約九百七十七万円の請負代金になつておりますが、これは九百十五万円あれば十分だつたはずだ、こういう批難になつております。  それから五百十一号でありますが、これは今の印旛、手賀沼の水路を掘さくするために浚渫船が要るということで、東京の月島にありました船を印旛、手賀沼の工事場に廻航したのであります。それが又ゆつくりしておるのでありまして、二十三年六月に月島を出発したのでありますが、それが到着いたしましたのが二十五年の三月になつております。二年近くかかつて月島から印旛、手賀沼の現場に来たわけであります。ところがそういうような廻航方法というものは……元々これは中古の船でありまして相当傷んでおつたのでありますが、二年近くかかつてつて行く間にこれがさんざん傷んだ。こういうことで二十六年の一月に十三万七千円を加えて修理をしたのであります。ところが修理をいたしましたが、余り使いものにならないというので、僅か四十日間ばかりの仕事をしただけで、これを工事場にほつたらかしてあつたという事実であります。その後に二十八年の十一月、昨年の十一月でございますが、ほかの船と併せまして払い下げしてしまつたのであります。わざわざ月島からあそこまで二年もかかつて廻航して参りましたが、殆んど使いものにならずに売つてしまつたという、こういう事態であります。  それから五百十二号でございますが、これは二十五年の十二月やはり先ほど申上げました穗積建設でございますが、これに水路の掘さくを請負わせたのでありますが、非常に不便な所でありまして、電気が近所まで来ておらない。もともと発電船、これは前年度に見返資金で買いました発電船でありますが、その発電船を使つて電気を起してサンドポンプを働かせる、こういう計画をしたわけであります。それで請負わせたのであります。ところが近所の電気を引つ張る変電所の工事が早く完成いたしまして、二十五年の十二月中にこれができてしまつたわけであります。そうするとわざわざ発電船を引つ張つて来て、そこで電気を起すということは非常にこれが高くつくわけでありますが、そういう必要はないので、工事用の変電所を使つてそこから電気を引つ張るならば、安い電気が買えるわけであります。ところが実際にはその工事用の変電所から安い電気を買つて請負人は仕事をしたわけであります。これは二十五年度も発電船を買わなくてよかつたのじやないかという批難をいたしたのでありますが、その後この発電船は当時は使つておらない。ところが物品経理の油の受払を調べますと、使つていない発電船のために三万九千九百リッター、価格といたしまして大した価格ではありませんが、それでも四十四万余円であります。その三万九千九百リッターという重油がこの発電船で使われた、こういう事実になつていた。実際には発電船のメーターを調べますと、発電船は試運転程度をやつただけで、特に電気を起して使つたという形跡は見られないのであります。油だけ払い出して使つてしまつた、こういう事態でいろいろ不思議に思いまして、これは調べたのでありますが、今のような電気を起しもしないものに三万九千という相当大きな油を使つたというふうになつておるのはけしからん、こういう事態であります。この三万九千九百リツターの行方を調べますと、その次の五百十三号に関連するのでありますが、五百十三号の百五十三頁の最後の行に「重油二万九千五十五リッター外」云々とございますのが帳簿外物品といたしまして現品が残存していたわけであります。この五百十三号というのは物品の整理が悪い、セメントを固まらしてしまつたり、或いは行方不明になつているというような案件をまとめたわけでありますが、その中で一番大きいのが今の二万九千五十五リツターという油が簿外品として現物が上つたというわけであります。結局五百十二号と睨み合して考えますと、三万九千九百リツター使つた、こういうことでありますが、そのうち二万九千五十五リツターというものは現物があとから簿外品として見付かつた。こういう事態が起つたのであります。問題は一万八百リツターばかりになりますが、これはどうも請負人に大部分渡してしまつた。そうして試運転などに千五百リツターほど使つてしまつた事実があつたわけであります。あとの八千数百リツターというものは結局これはわからない、こういうことで会計検査の結果始末がついております。印旛、手賀沼の案件は非常に経理も悪うございますし、工事等の計画なり、施行なりというものについても、こういうような事態がたくさん出まして、いわま非常に直轄工事といたしましては遺憾に思う案件であります。
  43. 菊田七平

    理事菊田七平君) 次に当局説明を求めます。
  44. 平川守

    政府委員(平川守君) 印旛沼の問題は、只今指摘通り不正事件を起しますようなものを所長においておりましたのは、誠に遺憾でございまして、経理のやり方その他万事非常に遺憾な点が多いわけでございます。遂に刑事事件まで引起しまして誠に申訳のない次第でございます。只今問題になりました点について、事情を若干御説明申上げますと、刑事事件といたしましては、ここに表てに出ておりますもの以外に収賄事件がございまして、それぞれ有罪の判決を受け控訴中というようなものもあるわけでございます。この不当経理の六千数百万円の大きな部分は、切投工事と申しておりますけれども、直営工事という形をとりながら実質上は請負をさせる、その金額が約五千万円ほど、そのほか直営の材料費等に九百万円ほど使つておりますが、そういう程度の仕事を実際は請負の形でやらしておりまして、それを形式上直営という形にして、自分で人夫を雇つて仕事をしたような形にしている。それによつて金額を捻出いたしまして、それを他のいろいろな雑工事或いは接待費等に用いたというような次第でございます。これは勿論会計法の禁ずるところでございまして、先ほど出ました案件と性質上は同じような案件でございます。これは先ほども申上げましたように厳に戒めることに努めておるわけでございます。  それから五百九号の問題は、実は事件がありまして、我々のほうといたしましても極めて慎重に、従来そういうことに関係したような業者は排斥をするといつたようなことで仕事を続けて参ろうとしたわけでありますが、実はこの仕事につきましては競争入札に付したのでありますけれども、落札をしない、指名競争入札で、遂に落札をいたしませんで、止むを得ず随意契約をいたしたのであります。その際、只今指摘のありましたようにサンドポンプを実際は運搬しないで、つまり下請をさせることによつて、現在その場所にサンドポンプを持つておる穂積建設に下請させることによつて仕事をしてしまつたというのでございますが、一応役所のほうといたしましては、これを持つておらない業者に請負わせます関係上、他から持つて来るという建前で計算をいたしたのであります。これもそういうことまで考慮して、もつと安く随意契約をさせるということが、国費としては利益になるわけでございます。こういう点につきましては、なお今後とも十分注意するようにいたしたいと思います。  それから五百十号でございますが、これは水路を掘つて参ります場合に、或る程度の深さまでは人力を用いませんと、ポンプ船は入らないのでございまして、その深さがどの程度まで掘ればよいかということにつきましては、余り厳密なところまでははつきりわからない点もあるわけでございます。一応当局といたしましては、一メートル五十ぐらいの深さまで人力で掘れば、あとは船が入るだろう、こういう想定で請負をさせたのでございますが、その年たまたま水が割合に多くありまして、一メートルぐらいのところで船が入り得るような状態になつた。そこで当初からそれを予測して、その見積りで設計をいたしますれば、更に安くできたという批難でございます。これにつきましてはそういう点も十分考えまして、必要に応じ設計の変更等の措置をとりまして、安く行くような方法をとるべきであつたというふうに考えまして、関係者に対しましては厳重に注意をいたしておいたのであります。  それから五百十一号の問題は、これは当時の事情といたしまして、こういう種類の機械の入手が必らずしも容易でありませんで、中古品を入手いたしまして、これを使おうといたしたのでありますけれども、これについては非常な過誤と申しますか、目算が外れまして、修理費に意外の金がかかるということで、再度修理をいたしまして、使おうかともいたしたのでありますけれども、余りに修理費が嵩んで、これは不利であるというふうに考えまして、最後には処分をいたしてしまつたわけでありますが、これは明らかに当初の考え方を、判定を誤つたということでございまして、これに対してもかようなことのないように十分に注意をいたしたいと考えておるわけであります。  それから五百十二号の問題は、これは当時電力の事情が非常に予測が困難でございまして、配電線が先ほどお話のありましたような事情で、非常に急いで大量の工事をしなければならんという場合に、配電線が間に合うかどうかということが非常に危惧されたのでありまして、その場合においては発電船で重油を使つて発電しようという計画を持つてつたのであります。実はたまたま配電線のほうが間に合いまして、そちらのほうを実際は使つたのであります。従いましてこれは契約を変更いたしましてその電気料金のほうを支払つて、重油のほうは払わないというのが当然の措置でございます。それをそういう変更をおこたりまして、重油を支給してそうして電力の料金にかえた、元の契約のままで黙認してしまつたというのでありますから、明らかにこれは不当なる措置でありまして、これについてもかようなことは当然許されないことでございますから、厳重に注意をいたしておるわけであります。  五百十三号はこの物品経理が甚だ粗漏であるということでございまして、もとよりこれも一言の弁明の余地もないところであります。これらすべてが印旛沼の事業者につきましては非常に粗漏でありましたわけであります。事件が発生いたしますると共に関係者はそれぞれ休職等の措置をいたしまして陣容を新たにいたしまするとともに、監督を厳重にいたしましてこれらの帳簿その他もすつかり整理をいたしまして、只今ではさような事態は起らないで仕事は大体において年三億程度の仕事を運行しておるというふうに考えておるわけであります。かような不祥な事態を、これは極めて特殊な、特に悪い例でありますが、惹き起しましたことにつきましては誠に申訳ないと考えておる次第でございます。
  45. 菊田七平

    理事菊田七平君) 以上の問題に関して質疑をお願いいたします。
  46. 山田節男

    ○山田節男君 農林省は建設省と共に政府の部内では、最も予算的に言つて、相当建設関係の金を使い、又資材を使用するのですが、こういつたような不当な支出が行われないために、従来も相当な力を入れておられたということは認められておるわけです。これは単に農林省だけでなく、他の官庁におきましても、殊に終戦後非常に批難事項が多いと思う次第です。一方においては戦後における一般の風潮かとも思いますが、何といいますか非常にモラル・スタンダードが下つているから、こういうことが行われるので、反対にこういうことができないような監督或いは会計、殊に伝票、こういう組織が不完全ではありませんか、私、欧米の建設関係の一部を見まして、或いはその官庁内において官庁の物品、官物を使用する、その収入支出は非常に厳重を極めておる。私は欧米人に比べて日本のそういうモラリティというものは必ずしも劣つておると思わないけれども、問題はそこにシステムか何か足りない点があるのじやないか。農林省のように、こういう相当大きな予算を動かして行かなくちやならない、金を扱い、資材を扱うということにつきまして、従つてこういう批難事項も非常に多いのですが、年々私はこういう批難事項がないように考えて工夫しておられるのだろうと思いますが、殊にあなたとしては多年の経験からして、こういうようなことなからしむるような何かいい案がないか、例えば監察制度にしても、各官庁ともありますけれども、あつてなおかくのごとき批難事項が夥しい数に上つておるわけです。農林省として何かこれに対していい将来の構想を以てもつと積極的に、できないような防禦措置をするということについて、どの程度まで関心を持つてどの程度まで努力しておられるか、そういう点について何かお考えなり案があれば一つお聞きしたいと思います。
  47. 平川守

    政府委員(平川守君) その点は極めてむずかしい問題でございまして、我我といたしましては一応現在の会計規則、取扱規則等に準拠して、且つこれを運用の面において只今のような間違いのないようにということは、結局人の監督以外に方法はないということで、監督の制度を強化するということはやつておるわけなのでありますけれども、どうも制度的に必然的にこういうことを起さないようにということはちよつと我々の知ではなかなかうまい方法が発見できないのでございまして、いろいろ専門的にそういう方面の専門家である或いは検査院、或いは大蔵省というような方面にも智慧をお借りしたいと、かように考えておるのでありまして、今のところではいろいろそういうこともそれぞれ専門家のほうに御意見を伺つております程度であります。あと我々直接に努めておりますことは、やはり人間の監督、教育というようなところに重点をおいておるわけでございます。
  48. 山田節男

    ○山田節男君 それはおつしやるように、結局は人の問題に帰するのですが、併しもうこれほど多数の公務員を使つておられるので、これがひとしく道義の程度が高いということは到底望めないことでありますから、機構的にできないようにする。これは極く簡単に一例を申上げると、私なんか非常に感心しておることは、例えば呉の英連邦軍と文書の往復をする場合に、その封書に、エンヴイローブに、若しこれを私用に使つた場合には何とかの規則によつて処罰すると書いてある。同時にこの封筒が差出人に逆に、これを新しい封筒を使わないでその封筒を又使えるというように考案しておる。ここらあたりが大体私は英米のブツク・キーピングなり、こういう維持管理ということについて非常な苦い経験をして、いろいろと工夫をしおるわけです。私も日本の諸官庁だけを見ても、これは各官庁の封筒なり或いは便せんを使うということは、全く公私区別のないように思うのです。それに対していろいろ監督警告等もあるにかかわらず、これはもう殆んど常識のようになつておるわけです。この一端を見ましても、我々先ほど申上げた欧米の建築関係或いは会社等を見ましても、非常に伝票組織が科学的にできておる。勿論検査、査定ということは人の問題になるでしようけれども、機構的に金を動すとか、支出するとかいうことについては、非常に科学的に、非常に複雑ではあるけれども、やはり人間性の弱みというものは飽くまで科学のそういつたような方法で予防しようという努力が非常に強いのです。これは一農林省だけの問題ではないのですけれども、殊に農林省とか建設省というような非常に大きな国費を使用しなくちやならんというところでは、殊にこの点論議して、むしろ創意を働かして成るべくそういつた組織的にできないようにするという努力をもつと払うべきじやないか、それがためには特別の研究機関を置いてもペイするのじやないかと思つておるから、まあそういうふうな質問を申上げたのですけれども、農林省のような非常に仕事が多岐多端に互つて金額の多い、又人の多数あるところでは困難ではありますが、私は総理府でどうのこうのということではなくて、各官庁でそういうような面で一課でも設けられて、こういう浪費或いは不正な支出がないようにするということは、十分私はペイするのじやないかと思う。今のような状態ですと、むしろ各庁で自発的にこういうものを考慮に入れられて、次第にこういう批難事項をなくするという努力が必要じやないかと思うので、この点は特に私は質問申上げたのです。
  49. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この印旛沼、手賀沼の問題はもうかねて新聞紙等で大分人口に膾炙しておりますし、これらが延いては今度の災害復旧費等の予算獲得等をめぐつて、国会でも、かなり災害復旧費に無駄があるので、今度の使途については厳重に監視監督をしよう、こういうふうな声も高まつておる時期ですから、こういつた農林省としては今後も土地改良なり災害復旧等に使う国費の大きさ、それから世人のこれに向けられておる非常な大きい関心等を考えて、これは曾つての経験ではありますけれども、こういうことを繰返さないように、現在行われている工事場等に対しても、十分一つ監督或いは指導を密にされて、そして一般の疑惑を一掃すると同時に、事業の性質に対して世間全般の信頼度を高めるように、一つ特にこの機会に私は局長に要望して置きます。
  50. 東隆

    ○東隆君 この問題を通して平川さんに伺いますが、人的構成ですね、私は干拓事業のようなものになつて来ると、相当専門の技術を持つた者が、特に土木方面の技術を持つたものが相当必要であううと思います。ところが農林省関係とすれば、農業土木関係の専門の技術者が必要であると思う。そういうことで設計をした者との間に、これは非常に設計を通していろいろな資材とかその他の関係のものに合理的なものがない、こういうふうな面があるのではないかと思うのですがどうですか、そういう面は……。そのためにはつきり設計ができていないそういうような関係でこういう不合理な面が出て来る、そういう面はありませんか。
  51. 平川守

    政府委員(平川守君) この干拓事業等につきましては、むしろ農業土木の関係者が多年の経験をむしろ持つております。干拓という事柄の性質上経験を持つておりますが、併しいずれにしましても、農業土木事業については、一般土木の専門家も参加してもらうことが非常に結構なわけであります。そういうことについては、建設省方面とも連絡をして、いろいろ努めて参つたのでありますが、只今では、何分そちらのほうでも非常に忙がしくて、いい専門家を手離さないというような事情で、なかなか頂けないような事情でございます。終戦後暫くの間はいろいろ外地引揚等の関係もあつて、かなり土木の人も入つてもらつたようでありますが、最近はだんだん取戻されるという状態であります。併しできるだけそういう人々も、そういう知識もできるだけとり入れて行きたい。殊に先ほどからちよつと問題になつておりますような機械等につきましては、やはり相当いろいろな専門的知識が必要である、そういう方面のエキスパートも必要であり、各種のエキスパートが揃うことがこの事業を完全に行うためには非常に必要であろうということはかねて考えておるのであります。できるだけそういう専門家を揃えて無駄なことのないようにいたしたいというふうに努めておるわけであります。そういう問題を離れましてもいろいろ計画につきましては、余ほど慎重を要するということはその通りでございまして、特に私のほうでは、食糧増産が目的でありますので、その目的に比べて余り不釣合の計画にならないようにする経済的な面というようなことも、十分考えて設計を立てるということに努力をいたしておるわけであります。或る意味から申しますと、そういう経済的な制約というものが逆に設計を非常にむずかしくする。金の面をいとわず、やれるならば、非常に安全な工事ができるけれども、地元の負担とかいろいろな問題がありますので、できるだけ安く仕上げなければならんという要素が一つからまつて参ります。そういう意味で非常にむずかしくなつて参ります。併し計画が粗漏であつたということのないように、十分努め、又御趣旨のような、各種の専門的な知識をできるだけ応用するということについては、できるだけ努めたい、かように考えております。
  52. 東隆

    ○東隆君 私は設計をやる場合に、やはり技術を根底に積み重ねた設計を、これはどうしても通さなければならんと思うですが、その設計通りに行かない、そういう場合にとかく問題が起きると思うのです。例えばそれに必要な予算がどうしても必要だという場合に、やり繰りをやらなければならん、そんな問題が起きて来る場合が非常に多いだろうと思うのです。この関係はそういうのじやなく、例えばこの干拓事業のような場合には、やはり設計を積み上げて、技術を中心にした計画を先ずがつちり立てて、そうしてそれに必要な予算、そういうようなものはこれは十分に盛つて行く。その場合に大蔵省の査定、そんなようなものによつて事務的に崩されて行くというようなことを避けて行つて、その前提の上に見合つて行かないと、その経理の方法だのなんだのは、今度は私は事務の方面の関係の粗漏になつて来ると思うのです。だからあとの方面のことは、事務的な関係で以てきちつとやつ行く、こういうような形で干拓事業のような場合には、技術の面と、それから事務的の面とがやはり両立になつて行かなければならんのじやないかと思うのです。この場合なんかやはり所長が事務屋で、そうして技術屋で、その下に事務屋系統のものが、余りしつかりした者がいない、こんなような形がこんな事件を起しているのじやないかと思うのです。その点はどうですか。技術関係の者が経理の方面において暗い、そのために地方民その他とぶつかるときに、技術関係の者だけが参画をして、そうして技術をする上のほうからの命令で経理をやる。そのために事務の方面が間違つて行く、経理の方面が間違つて行く、こういう問題が出て来ていると思うのです。それでもう少し現場における事務屋の経理関係、これを相当強くすれば、計画がうまく行つておればうまく行く。そういう関係で設計の場合における考え方は飽くまで技術を中心にして作り上げて行く。それから現場で執行するときには経理関係の者が相当強くそれを執行して行けるように、経理をやつて行けるようにする。こういう体制を作つておかないと、経理関係は技術屋は知らないですから、それでいろいろな間違いを起す。こういう面が出て来ると思うのです。ここの場合もそういう面があるのではないかと思うのですが、どうですか。
  53. 平川守

    政府委員(平川守君) 御指摘のように、現場における経理関係の事務の陣容というものが比較的貧弱であるという点は、確かに私も御指摘のように思うのであります。これにつきましては、できるだけ経理面については一階級上の農地事務局なり或いは本省なりから監督をするというような形をとつておるわけでございますが、各事業所に非常に優秀な経理の事務官を配置するということがなかなか困難でありまして、そういう人というものはこれが又なかなか数が少くあるわけであります。我々といたしましては、できるだけ経理関係の専門家の養成、講習というようなことに努めまして、各事業所責任者内容の充実と質の向上ということに努め、それから一方経理面の監督としては一階級上のところから監督をするいう両方に努めておるのであります。確かに御指摘のような点も相当にございますが、これにつきましてはなお今後とももう少しいい人事のやり方が研究の余地があろうかと思つております。できる限りそういうほうも努めて参りたいと思つております。
  54. 菊田七平

    理事菊田七平君) ほかに御質疑ございませんか。ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  55. 菊田七平

    理事菊田七平君) 速記を始めて下さい。  次に五百十四号より五百二十二号及び七百九十六号より八百号までを問題に供します。  先ず専門員説明を求めます。
  56. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 五百十四号から五百十八号までは、直轄工事につきましてその計画が悪いとか或いは施行が悪かつたとかということでありまして、数件ここに掲げられておるのでございます。その内容につきましては、又関係方面からそれぞれお話を伺うことといたしまして、特に検査院の御意見に対して当局のほうで必ずしもそうでないというふうに、多少意見が食違つているというような問題が五百十七号なのでございます。これは浚渫船を使つた。そのときに電力を使いまするが、当局では過去の実績に照して、一立米あたり電力が四キロワツト・アワー入用だということで見積りを立てておられるのであります。    〔理事菊田七平君退席委員長着席〕  ところが検査院の御意見では二・七キロワツト・アワーでよいはずだ。特に業者の実績を調べてみると、二・六キロワツト・アワーでやつておるじやないかと、こういう御指摘なのでありまするが、当局のほうのそれに対する弁明では、当時電力事情が非常に逼迫をしておつたので、請負人はあらゆる犠牲を忍んで電力の節約ということに努めたのである。それがために成るほど電気の使い方は少くつて済んでおるけれども、それがためには船をあちらこちらへ動かすとかいろいろ経費をたくさんかけて、そちらのほうで大変損をしておるのだから、金額の上からいえば別段これを訂正するとか、一部返させるとかというような必要は認めないというふうに、そこに意見の対立があるのでありまする。ここで注意すべきことは、若しもその業者のやつたことが本当であるとするならば、手続上からいえば設計変更という手続でもしてあれば、それでよいわけでありまするが、その手続のしていなかつたということは、この際における失態といわなければならないかと思われまする。その手続上の点はとにかくといたしまして、電力の量が果してそれでよいかどうかということが特にこの際問題になるのじやないかと思います。  それから次に五百十九号から五百二十二号までは北海道開発局及び市都の農地事務局及び岡山の農地事務局で、北海道、愛知県、鳥取県などに受託をして開墾建設工事などをやらせたのでありまするが、出来高の不足があるにもかかわらず、調査が不十分で、完全にでき上つておるものとして金を支払つておられるものがこの通りあるということで、百五十八頁に詳細記されているのであります。  それからそのあと国庫補助の問題でありまするので、小委員会に移すことといたしまして、ずつと番号がとびまして、検査報告のページ数を申しますると二百十一頁に出て参りまするが、これらはすべて事柄はもうすでに是正されておる事柄であります。その七百九十六号は、弁償金の徴収措置が緩慢であつたということ。  それから次の七百九十七号と八号とは直轄工事でありまするが、その計画又は施行がよろしくなかつたということ。  それから最後の七百九十九号と八百号とは委託工事でありまするが、これ又出来高不足であるにもかかわらず、全額支払つておるといつたようなことで、勿論これらはすべて是正されておるのでございます。  これだけでもつてまあ一般会計の部に属するものは一応済むわけでございます。  なお、ついででありまするから一言付け加えまするが、検査報告の二百十九頁のところに既往年度の決算報告に掲げた事項であつてもその後の処理状況が悪いというようなものが数件ここに掲げられてございます。これらにつきましては毎年の検査報告に出ました事柄で、例えば金を返えさせるのにその金が十分返つて来ないとか、いろいろな事件がございまするが、それは検査院は絶えず注意されておりまして、今もここで申しまするように、次の年度の検査報告に特に注意すべきものは掲げられておるのでございますし、それからなお又別に当局からは国会のほうへ毎年の善後処置の報告が別冊になつて来ることになつておりまするので、その点をもちよと併せて申上げておきます。
  57. 小林亦治

    委員長(小林亦治君) 次に検査院説明をお願いします。
  58. 吉田信義

    説明員(吉田信義君) 小峰局長が衆議院のほうの決算委員会に参つておりますので、私が代りまして御説明させて頂きます。  五百十四号でございますが、これは水路の巻立コンクリートを両面型枠を使いまして、両方で型枠を合せて中へコンクリートを入れるわけでございますが、それを一部のものにつきまして片面型枠だけでやつた案件でございまして、平米当りの型枠代は三百五十四円から五百十三円くらいになつておりまして、従いましてその分だけは浮かせるべきであつたということ、これを引かせなかつたのは当を得ないという認定をいたしております。  次は五百十五号でございますが、これは明治用水の農業水利用の頭首工の工事でございまして、大きな頭首工でございまして、井筒を四個打込むわけでございますが、その岩盤の位置、つまりこれは長さ七米くらいのものでございます。まこれを打込みますのに、岩盤のあり場所が予定よりももつと浅いところにございました関係上、二号の井筒と三号の井筒でございますが、これが二米二〇乃至二米八五だけ余計に出つ張つちやつたわけでございます。それで出つ張りますと都合の悪いことがありますので、これを折角打ちましたものを又取除かなきやなりません。その経費として四十六万四千円くらいかかるという当局の御説明でございましたが、その後におきまして御当局で無駄な経費を使わないようにいろいろ研究なさいましてこの出つ張りました部分をそれを堰体で埋めて生かして使うというような御工夫をなさつて頂きました関係で、国損額もその撤去費はいらなくなりまして、それから出つ張りました分もそれは堰体として使われます関係上、約六十万九千円程度の手戻りで済むことになりました。  それから五百十六号でございますが、山口県の阿知須の干拓でございまして、これも簡単な案件ではございますが、干拓地の造成をいたしますときに、石がけの堤とうを築くわけでございますが、その堤とうを築きましてサンドポンプでそのうしろへ砂を吹き上げるのでございます。その吹き上げますところの土止めの柵の位置が、設計では一番下の幅でございますが、これが十四米五十、それから石がけが上のほうずつと中へ倒れたような恰好になつておりますから、上のほうで盛土いたしますところの幅が十米でございます。これが実地検査に参りまして実測いたしましたところ約三十サンチ中に入つておりまして、従いましてその土量の関係が狂つてつております。設計よりも少くて七百十三立米、工事金にいたしまして小さいものでございますが十三万九千円だけ狂つて出来高不足となつたわけでございます。  次は五百十七号でございますが、これは先ほど専門員から詳細に御説明がありましたサンドポンプの電力量の問題でございます。この浚渫船は千馬力のものでございまして、普通こういう船の一時間当りの所要電力量は八百キロワツト・アワー、これが大体こういう機械の性能といたしましては、これが常識的なものと我々は見ております。それから本件につきましては熊本農地事務局のほうへも照会を発しましてこの船の性能、所要電力量を照会いたしましたところが、やはり八百キロワツト・アワー前後というところの御回答を頂いております。それで八百キロワツト・アワーで、浚渫能力は毎時三百立米でございますから、これを割りますと立米当りの消費電力量は二・七キロワツト・アワーとなります。それから建設省関係工事あたりも調べましても、大体これが普通常識的な標準の所要電力量になつておるようでございます。  次は五百十八号でございますか、これは大浦の干拓でございまして、第一工区の先に第二工区、約三百七十町歩の干拓の予定がございまして、これは三十年に完成の予定だそうでございますが、第一工区の排水路とか樋門の設備はこれは第二工区ができました場合を予定いたしまして、その断面がいろいろ計算されているわけでございます。それがまだ第二工区ができ上つておりませんので、現在の状態におきましては、この水路や堤とうを直しましてもちよつと水のはけ方が、計算上全部水がはけ切れませんで、雨が降るたびに水が溜まるわけでございます。で、この第一工区をどうしても使おうといたしますと、ポンプのような設備をうんとつけまして、そこに計画を立てなきやいけないものと思われるものでありますが、その第二工区ができた場合に丁度当てはまる第一工区の水路、樋門、こういうものが計算されておりますので、どうしても今のところ雨が降ると水が溜まるのでございますが、それで水路を直しましても、結局やはり無駄になつてしまうという案件でございまして、現に本件復旧のあとの状態を見ましても、又雨のための湛水によりましてそれが崩壊している状態でございます。  それから五百十九号から五百二十二号の四案件でございますが、これは百五十八頁の摘要に詳しく記載してございますように、五百十九号は農道の盛土、切土それから敷砂利の不足でございます。五百二十号はこれも道路の掘鑿が不足している案件でございます。五百二十一号はやはり道路の盛土の不足でございます。五百二十二号は排水路の練積石垣の胴込みコンクリート、裏込栗石というものが不足している案件でございまして、この委託工事と申しますのは、都道府県に国が委託いたします工事で、直接は県が工事をやつておるのごでざいますが、これが県営のような工事において出来高不足があるのはちよつと珍らしい、まあ監督、検収の悪いことによるものと思いまして、ここに掲載いたしました次第でございます。  それから二百十一頁の七百九十六号でございますが、これはやはり先ほど御審議頂きました印旛沼、手賀沼の工事関係いたしました案件でございまして、この分だけが是正されております関係上、こちらに整理いたしました。これは東京鉄道工業株式会社に対しまして大和田支区の土運搬工事用にレール、それから継目板、枕木、犬釘、そういう附属の材料を貸して工事をさせたわけでございますが、無償でこれは貸したと思います。ところが返して参りましたときに枕木その他でなくなつているものがありましたのですが、それを求償もいたしませんで、そのままにしてございましたので、これは業者から弁償させるべきであるということを注意いたしまして、その弁償金として二十四万余円を収納して頂きました。  次は七百九十七号でございますが、これは熊本農地事務局の嘉瀬川の農業水利の工事でございます。佐賀県でございますが、これの大きなダムを作る工事でございますが、ここの現地を廻つて見ますと、設計では軟岩掘鑿が一万九千七百八十六立米、硬岩掘鑿が一万四千九百十七立米というふうな設計になつておりまして、そしていずれもダイナマイトを使う設計でございます。ところが現地に行つて見ますと、その軟岩と称するものの中には真砂土、固いような砂地の土でございますが、砂の固まつたような土の部分が相当部分ございますので、いろいろ調べて見ますと、この分につきましてはダイナマイトを使つた実績もございません。ダイナマイトの所要量がほかの農地事務局の工事に比べまして、少し多いようでございました。それから又この購入価格が、大量に買つておりますのに、小売の価格で経費を計算してございます。大量に使います場合にはやはり卸売価格で計算するのが正当じやなかろうか、そういう点で御注意いたしましたところが、当局におかれまして業者契約を更改いたしまして、減額の処置を講じて頂いたわけであります。  次は七百九十八号でございますが、霧島の開拓建設事業の道路工事でございます。これはちよつと珍しい案件でございますが、三面張りのコンクリートの水路をこしらえたわけでございますが、砂利、砂の四割を、白砂と申しまして、あの鹿児島地方に白砂地帯とございますが、火山灰の一種でございます。それを砂利、砂の代用品として混ぜて使つておりました、そういう案件でございまして、これは注意いたしましたところが、手直しをした旨の回答が参つております。  七百九十九号は、これは先ほど申上げました委託工事の出来高不足の案件でございまして、それが検査報告に載りますまでに手直しずみの回答が参つておりました関係上、この是正事項のほうに案件を整理いたした次第でございます。  八百号もこれも堤とうの捨石、目潰栗石、こういうものの不足でございまして、これも是正されてございます。
  59. 小林亦治

    委員長(小林亦治君) それでは農林当局説明を求めます。
  60. 平川守

    政府委員(平川守君) 五百十四号の案件は、只今お話しがございましたように出来高の不足という部類に属するものでありまして、これにつきましては誠に遺憾のことでございまするので、業者に対しましてその不足分を計算いたしまして、その部分は雑工事において負担せしめる。つまり当初必要と考えました板が地盤の関係上不必要なものが出て来たわけでございます。その部分だけ他の仕事をやらせるということにいたしております。  それから五百十五号は、只今お話の通り、これは計画が疎漏であつたということになるわけでございまして、これについては止むを得ませんので、できる限り国損を少くするという意味において、利用できる部分をできるだけ利用するということによつて損失を減少するように努めたのでございますが、まあかような事態が起りましたことにつきましては、誠に遺憾に存じまして、関係者に注意を与えております。  五百十六号はこれもでき高不足のものでございまして、これに対しましては、業者に対しても厳重に注意をいたしまして、その不足量を埋めさせるということに措置をいたしました。  それから五百十七号につきましては、お話のありましたような電力料金の問題について問題が持ち上つたのでありますが、いずれにいたしましても設計を実際に合うように直すべきであるという問題はございますわけでありまして、我々といたしましては、料金の算出については意見を持つておりまするけれども、その点についていずれにしても設計をその実際の通りの設計に直すべきであるという点において注意をいたしております。  それから五百十八号につきましては、これは御指摘通り、他の第二工事等との関係工事の段取の関係において適切でない点があつたわけでございます。これについてはそういう危険のないように改めることに努めまして、その後工事も進捗いたしましたので、実際上の被害は起らないように現在では直つておるわけであります。  それから五百十九号から五百二十二号までにつきましては、これは委託工事において出来高不足が発見された事例でございまして、これも誠に遺憾なことでございます。これに対しましては関係者に対しまして厳重注意を与えますと共に、その不足分を手直しせしめる措置をこの各号につきまして講じまして、それぞれ完了をいたしております。  それから七百九十六号以下につきましては、只今説明がございましたように、出来高不足その他いずれも遺憾の点がございまして、会計検査院のほうから御注意を受けまして、早速それぞれ是正の措置をとりましたわけでございます。
  61. 小林亦治

    委員長(小林亦治君) 御質疑を願います。
  62. 東隆

    ○東隆君 私は五百十九と五百二十の件について、ここにあるような事態は、私は北海道のような雪の降る所ではあり勝ちなことだと、こう考えるわけです。それから昨年のように予算が非常に遅く決定をされ、それから補正予算が行われた、こんなようなときには、もうこういう事態が発生するのが普通である。それで会計検査院が六月、七月の候くらいにやりましたときには、これは何とかなつたであろう、こういうような事態ではないかと考えます。それでこれについては、どうしても今の会計年度が四月一日から翌年の三月三十一日に終つておる会計年度が、これが私は無理だろうと、こう考える。それでできるだけこういう気候条件に阻まれておる所では十一月の候であるとか、十二月の候に進行検査をするとか、そんなようなことをしても、これは無駄だろうと思う。それで検査は雪がとけて十分に手直しもできた上で検査をする、こういうことになると、北海道のような所では六月の三十日くらいまで待たなければならん。そういうことをやることによつて国費を効率的に使えるし、いろいろな問題が起きて来ると思うのであつて、そういう問題について、何とか救済をしたい、こういうので準備をさせておりますが、平川さんのほうでどういうふうにそれについて考えますか。
  63. 平川守

    政府委員(平川守君) この二つの案件は御指摘通り、それぞれ六月、七月に手直しをいたしたものでございます。御指摘のように会計年度とこの事業の、殊に寒冷地帯における事業の段取りとがうまくマッチしない点は確かにあると思います。若しお話しのような点が解決できますと、余ほど寒冷地帯における不足違反のうちでこういう種類のものが緩和されることになると思います。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 この五百十四号でございますが、これを見ますと、減額に相当する工事費約二百五十万円は、その後精算の結果二百四万四千三円となるので、本相当額は左の調書によつて請負業者をして雑工事において施工せしめておる、こういうことがございます。これは併しこういうやり方をすることは、私はやはり少し不正を何か糊塗するような方法にとれてしようがないのでありますが、これはそういうことであれば、最初からそういう契約はとれないのを、大きな額を契約しておいて、その分は工事で以てなかなか全額が請負えないから、こういう不正行為でもして、残つたものは又雑工事で別にほかの業者に任してもいいのだけれども、自分のほうで請負つてやらせる、結局余分のものをたくさん業者が請負うということになるので、これは別個の措置を講じて雑工事は雑工事としてやらせる、この業者は不正なことをやるので信がおけないかと、別の業者にやらせるということで信賞必罰をやらないと、こういうことは払拭できないのじやないかというようなことが第一点。  それから五百十五号の一項に書いてあります、その終りのほうに、国損となる徒費額をできる限り縮小し、橋桁基礎工事は二十七年度完了したというので、国損をできる限り縮小しということですが、その国損になつたやつは、そのままやつぱり業者が負担して払うべきが至当じやないかと思うのですが、そういうようなことでどんどん業者から国に損害をかけたものは徴収して行くという方針をとつたらどうかと思うのですが、その点はどのような見解を持つておられますか。
  65. 平川守

    政府委員(平川守君) 第一の点につきましては、御指摘通り、このような便宜の手段を講ずることは不適当であると思います。これはすでに過去の事実でございますけれども、少くとも今後においてはかような場合にははつきりと取るべきものは取る、負担すべきものは負担をして処置をするというのが正当であろうかと思います。御注意のように運用いたしたいと思います。  それから第二の点につきましては、これはこの設計といいますか、こちらのほうの計画が悪かつたわけでございまして、業者のほうに不当なことがあつたわけじやないのでありますから、これは関係の役所のほうが悪いということになりまするのでありまして、結局責任者に対しましては厳重に注意をいたし、又できる限りその負担の少いように努めるというものでございます。
  66. 永岡光治

    ○永岡光治君 五百十七号でございますが、ここで第二項に、会計検査院指摘の約百七十二万円の差額については、請負人は作業実施面で契約外の種種の冗費を負担し、実損となつているので返済の措置を取つていないと、こういうようなことを言つているが、これは一体どういうことなんでしようか。これは実に怪しからんと思うのですがね。その作業実施面で契約外の種種の冗費を負担したというのはその冗費というのはどういうものですか。これを請負わした側の、つまりこれは請負わした政府乃至地方公共団体の責任者の冗費なんですか。それとも業者の冗費なんですか。どちらですか。
  67. 平川守

    政府委員(平川守君) これは冗費という言葉が適切でなかつたのかと思います。つまり、この契約通りに運行をいたしますと電力が非常にかかる。例えば砂を送ります管を非常に長くしないと届かない、当初の事情からいたしまして、電力そのものをできるだけ節約したいということのために管を非常に伸ばします、そういう措置、それから船をいろいろ動かしてできるだけ砂を送る距離を少くする。電力そのものは下るけれども、そのために能率が落ちるといつたようなことをやつたわけであります。これは冗費という言葉は適当でないと思いますけれども、そういう方法であれば、初めからそういう方法に設計するものを変えてかかるべきであつたという点について遺憾な点があつたのであります。これは冗費という言葉は不適当であると思いますが、そういう点であります。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、委託させたほうの公共団体乃至は政府のほうの責任で、そういう計画をしたことに間違いがあつたと、こういうことになるわけでありますか。
  69. 平川守

    政府委員(平川守君) まあ当時の事情から申しますと、政府のほうもまあ普通の形で請負わさしておりますから、必ずしも非常に悪かつたということも言えないかと思うのでありますけれども、会社のほうで工夫をいたしまして、当時の電力事情からして、ほかのものには多少金を注ぎ込んでも、電力そのものの量を節約しないとうまく行かないのじやないかということで、業者自体がいろいろ工夫をいたしたわけであります。併し、そういうやり方を変える場合には、勿論設計変更の手続を必要とする場合が多い。それをせずに適当に運用をした、それを政府のほうで黙認しておつたということにおいて遺憾の点があるわけであります。
  70. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうもこういうので余分な金が出たけれども、それは冗費という言葉は或いは適当でないにしても、計画は誤まつたのだからその分はここで補填しておしまいだというやり方は実に不明瞭だと思うので、これは是非一つ明確にして行かなければならないと思いますが、以上いろいろなこの面について大分欠損を生じているような結果になつておりますが、その責任はどういうふうな取り方になつておりますか。例えば施工者或いはその設計に当つた人或いは請負つた業者、そういう者を次の指名には除外するとか何かはつきりした措置を講じているのですか。
  71. 平川守

    政府委員(平川守君) 設計者は政府の公務員でありまして、これに対してはいろいろなその過ちの段階におきまして処罰をする、軽微なものについては、注意、戒告等を与えるということでございます。業者に対しましては、非常に大きな不都合を働きました場合には、事実上これを指名から除外するといつたようなことはいたしております。ただ公にはつきりと損失を与えました場合につきましては、これを工事を完全にさせるという形、或いは補修をさせるという形において、業者に補償させているわけであります。その中に先ほど御指摘のような可成りあいまいな形のものが現在もあるわけで、指名そのものから外すというような措置は、これは事の大小に応じまして運用いたしております。
  72. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはこの事件そのものに直接関係はないことですが、私たちが地方に参りますと、こういうことをよく聞くのです。例えば、直轄工事乃至は県に対する委託の工事で、或る業者に請負わす、その場合に配電設備なんかをしなければならないという場合があります。そのときにその業者に対してその施工者のほうから電線についてはこれこれの業者から買つて欲しいとか、どういう機械はこういうところから買つて欲しいということを非常に注文をつける。その中に非常に不純なものも感じているということをしばしば聞きますが、そういう点はあなたのほうで全然聞いておりませんか。或いは又聞いているとすれば、どういう措置を講じておられましようか。
  73. 平川守

    政府委員(平川守君) 少くとも国の直接扱いますものにつきましては、そういうことはいたしておらないつもりでございます。ただ県に対する補助事業等の場合には、これの工事そのものは県に任せておりますので、或いは世の中にそういう噂が立つといたしますると、極く少数ではあろうと思いますが、そういうケースがないとも保し難いと思います。  私どもといたしましては、要するに工事そのものが完璧に行つているかどうかという監督は厳重にいたしております。その一つ一つの請負契約そのものについては、県以下の事業になりますと、直接に干渉いたしておりません。直轄工事についてはお話のような点はないと思つております。
  74. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでいろいろ国会ではスキヤンダルなどが問題になつているから、やはり特に本年度は災害等で大きな工事が次ぎ次ぎとやられるようでありますので、それについて非常に心配を私たちはしているのです。従つてそういう観点から、水害の特別委員会でもそういう不正のないよう厳重に政府に申入をしたわけであります。具体的にどうこうということはまだ申上げる段階じやなかろうと思いますが、よく私の今申上げましたような趣旨のことがしばしば地方で行われているようであります。従つてこれらに関係ある当局におきましては、厳重に一つ注意して欲しい。そのことが又スキヤンダルを生み、工事の不正を起すことになり、いろいろ会計検査院指摘された事件だけでは済まされないような事件になるのじやないかということを、こういうことを非常に虞れますので、厳重にこのことは一つ地方のほうにも通達をして欲しいと思います。
  75. 小林亦治

    委員長(小林亦治君) ほかにございませんか。なければ農林省の部分は林野庁、食糧庁及び補助金関係のものを除いて、質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 小林亦治

    委員長(小林亦治君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会します。    午後四時四十一分散会