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説明員(小峰保栄君) 五百八号以下の印旛沼、手賀沼の問題について御
説明いたします。
この
工事は
昭和二十一年から起工になりましたところの御承知の
通り非常に大きな
工事であります。いわゆる
只今専門員からも御紹介がありましたが、二十四年度までに年々八千万円或いは九千万円という金が支出されたのでありますが、二十六年になりまして
只今も
ちよつと御紹介がありましたように、不祥
事件が起りまして、これは業務上横領等とも、絡みまして、大勢の幹部
職員が起訴されたわけであります。それで裁判のほうはまだ全部解決しておりませんが、私どものほうとしてはそれとは別に会計
経理ということを中心に
検査をした結果、ここに並べましたような、多数の
批難事項が一箇所の
事業所から出たわけであります。
五百八号は、これは先ほどほかの
事業所につきましても同種の案件がありましたが、この五百四号以下は架空
経理の大規模なものであります。六千五百万余りの金を幽霊人夫賃なり或いは架空の材料費ということで
予算を落してしまいまして、それに更に買収しました用地の補償金、それを二百四十万円或いは
請負人から寄附を受けた二十二万円というものを一緒くたにいたしまして、合計六千七百八十余万円という大金を右から左に
使つてしま
つたのであります。そうして一部は接待費に使
つたり或いは
職員の諸手当に使
つたという案件でありまして、前年来建設省或いは電通省あたりで非常に多額の架空
経理が行われましたが、それにも劣らないくらい、これは一箇所の架空
経理としては大規模なものであります。そうして先ほど申上げましたように、買収しました土地の補償というようなものは、こういうものに
使つてしまいましたので足りなくなりまして、二年目に二十六年度に又改めて支出をするというようなことさえや
つているのであります。
それから五百九号でありますが、これは最初今の不祥
事件を起しましたときの
請負人、これは青森に本拠を持
つております穗積建設であります。穗積建設を、問題が起きましたので、排除いたしました。そうして三幸建設というのをその代りに入れたのであります。ところが実際には三幸建設は従来からおりました穗積建設の下請をやりまして、実際の仕事は穗積建設にやらしたのであります。三幸建設を入れましたにつきまして水路の掘さくということを、ここにございますように、五百五十三万四千円で請負わしたのであります。名義人は三幸建設にな
つておりますが、実際は従来からおりました穗積建設がや
つたわけであります。穂積建設は従来もこの種の
工事をや
つておりまして、そこにサンドポンプを持
つてお
つたのであります。そして三幸建設を入れるにつきまして、
契約の基礎になる設計の価格をきある際に、新らしくサンドポンプを持
つて来るような計算をしておるのであります。実情を申しますと、今申上げましたようなことでおわかりと思いますが、穗積建設が従来からサンドポンプを持
つて仕事をしてお
つたのでありますから、改めてよそからサンドポンプを持
つて来るというような設計にする必要はないのであります。三幸建設は随意
契約であります。これは一般
競争契約というような考え方とも違うのでありまして、随意
契約でやるのでありますから、そこにあるサンドポンプを使うというこうことは、そういうものをやる必要はないというのがこの案件であります。
それから五百十号でありますが、これもやはり三幸建設に請負わした九百七十七万円の
工事であります。疏水路を掘さくして行く
工事であります。これは従来川の水路のなか
つた陸地を掘りまして水を入れて行く
工事であります。この
工事に使うサンドポンプの吃水が六十センチから九十センチの深さに入るわけであります。結局約一メートルを手掘りで掘
つて水をどんどん通して行く。そうすると、その手掘りで掘
つた所にサンドポンプが入
つて行くわけであります。約一メートルずつ手で掘
つて行けば、そこにサンドポンプが入
つて行
つて所要の深さに入
つて行ける、こういうわけであります。それで約一メートルぐらい掘
つて行きます分には一万三千五百三十九—ここにございますが、一万三千立米あたりを手掘りにして、
あとは安い機械掘さくでサンドポンプで掘
つて行くわけであります。それを設計では一万三千掘るところを、二万一千立米を人力掘さくによ
つてやるというような設計にな
つておるのであります。その一万三千と二万一千の差というものは、安い機械掘さくでできるのを、高い手掘りで設計しておる。こういう次第でそのために約九百七十七万円の請負
代金にな
つておりますが、これは九百十五万円あれば十分だ
つたはずだ、こういう批難にな
つております。
それから五百十一号でありますが、これは今の印旛、手賀沼の水路を掘さくするために浚渫船が要るということで、東京の月島にありました船を印旛、手賀沼の
工事場に廻航したのであります。それが又ゆつくりしておるのでありまして、二十三年六月に月島を出発したのでありますが、それが到着いたしましたのが二十五年の三月にな
つております。二年近くかか
つて月島から印旛、手賀沼の現場に来たわけであります。ところがそういうような廻航方法というものは……元々これは中古の船でありまして相当傷んでお
つたのでありますが、二年近くかか
つて持
つて行く間にこれがさんざん傷んだ。こういうことで二十六年の一月に十三万七千円を加えて修理をしたのであります。ところが修理をいたしましたが、余り使いものにならないというので、僅か四十日間ばかりの仕事をしただけで、これを
工事場にほ
つたらかしてあ
つたという事実であります。その後に二十八年の十一月、昨年の十一月でございますが、ほかの船と併せまして払い下げしてしま
つたのであります。わざわざ月島からあそこまで二年もかか
つて廻航して参りましたが、殆んど使いものにならずに売
つてしま
つたという、こういう
事態であります。
それから五百十二号でございますが、これは二十五年の十二月やはり先ほど申上げました穗積建設でございますが、これに水路の掘さくを請負わせたのでありますが、非常に不便な所でありまして、電気が近所まで来ておらない。もともと発電船、これは前年度に見返
資金で買いました発電船でありますが、その発電船を
使つて電気を起してサンドポンプを働かせる、こういう計画をしたわけであります。それで請負わせたのであります。ところが近所の電気を引つ張る変電所の
工事が早く完成いたしまして、二十五年の十二月中にこれができてしま
つたわけであります。そうするとわざわざ発電船を引つ張
つて来て、そこで電気を起すということは非常にこれが高くつくわけでありますが、そういう必要はないので、
工事用の変電所を
使つてそこから電気を引つ張るならば、安い電気が買えるわけであります。ところが実際にはその
工事用の変電所から安い電気を買
つて請負人は仕事をしたわけであります。これは二十五年度も発電船を買わなくてよか
つたのじやないかという批難をいたしたのでありますが、その後この発電船は当時は
使つておらない。ところが
物品経理の油の受払を調べますと、
使つていない発電船のために三万九千九百リッター、価格といたしまして大した価格ではありませんが、それでも四十四万余円であります。その三万九千九百リッターという重油がこの発電船で使われた、こういう事実にな
つていた。実際には発電船のメーターを調べますと、発電船は試運転程度をや
つただけで、特に電気を起して使
つたという形跡は見られないのであります。油だけ払い出して
使つてしま
つた、こういう
事態でいろいろ不思議に思いまして、これは調べたのでありますが、今のような電気を起しもしないものに三万九千という相当大きな油を使
つたというふうにな
つておるのはけしからん、こういう
事態であります。この三万九千九百リツターの行方を調べますと、その次の五百十三号に関連するのでありますが、五百十三号の百五十三頁の
最後の行に「重油二万九千五十五リッター外」云々とございますのが帳簿外
物品といたしまして現品が残存していたわけであります。この五百十三号というのは
物品の整理が悪い、セメントを固まらしてしま
つたり、或いは行方不明にな
つているというような案件をまとめたわけでありますが、その中で一番大きいのが今の二万九千五十五リツターという油が簿外品として現物が上
つたというわけであります。結局五百十二号と睨み合して考えますと、三万九千九百リツター使
つた、こういうことでありますが、そのうち二万九千五十五リツターというものは現物が
あとから簿外品として見付か
つた。こういう
事態が起
つたのであります。問題は一万八百リツターばかりになりますが、これはどうも
請負人に大部分渡してしま
つた。そうして試運転などに千五百リツターほど
使つてしま
つた事実があ
つたわけであります。
あとの八千数百リツターというものは結局これはわからない、こういうことで会計
検査の結果始末がついております。印旛、手賀沼の案件は非常に
経理も悪うございますし、
工事等の計画なり、施行なりというものについても、こういうような
事態がたくさん出まして、いわま非常に直轄
工事といたしましては遺憾に思う案件であります。