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説明員(横田正俊君) お話の順序といたしまして、只今通産当局のほうから申上げました問題から触れて参りたいと思いますが、この
鉄鋼、
石炭等の
基礎産業のいわゆる再編成と申しますか、この問題は御承知のように主管省、主として
通産省の問題でございますが、結局押詰めましたところでは、
企業の
合理化によりまするところの
中小産業の確立というところにあると思いますが、この点につきましては、先般の国会におきまして
合理化を目的といたしまするカルテルにつきまして特別の除外措置を
独禁法に設けてございまして、趣旨といたしましては我々といたしましても必らずしも反対をするものではなく、むしろ結構なことと思
つておりますが、ただ、そのやり方自体につきましては、例えば不況カルテルを、不況切抜けのための安易なる不況カルテルというようなものを許すような形になりましては困りますので、その点につきましてはこの特別立法と申しますか、これがどういう形に今後できますかにつきましては、
公正取引委員会としても非常な重大な関心を持
つておる次第でございます。
なお、再編成には当然合併、或いは営業の譲渡というような問題が伴うわけでございまして、この点につきましても、実は現在の
独禁法自体が、一般に了解しておりまするよりは、よほど合併或いは営業譲渡につきましてそうやかましいことは申しておらないのでございますが、併しこの特殊の
基礎産業につきまして併しこの
独禁法の一般的な線を越えて、なお
合理化を図るために
企業の合同、或いは場合によりましては独占というようなものまで認める必要があるということになりますれば、これはやはり国の
一つの
経済政策としてそういう考え方もあり得るわけでございまするので、そういう必要が若し広められます場合につきましては、独占禁止法を或る
程度緩和するということは勿論考えられまするが、この場合につきましてはやはり業者のカルテルというような形をとりませんで、国家の責任によるところの統制というような形にすべきものであり、且つその場合には当然にそういうような独占等から出じますところのいろいろな諸弊害を除去することに足る強力な手段が伴わなければならんというように考えておるわけであります。これは
鉄鋼、
石炭に限りませず、その他の
産業につきまして、若しそういう措置をとることが
日本の
産業に必要でありますれば、全体として、公取としてはそのように考えておる次第であります。それから先ほど
生産品種の制限が、やはり
鉄鋼の再編成について必要とされるであろうということですが、私もそういうことであろうと思います。これは先ほど触れました
合理化カルテル、
独禁法の認めます
合理化カルテルの範囲内ですでにできることでございますが、これも或いは場合によりまして、もう少しドラステツクなやり方がどうしても必要であるということになりますれば、先ほど申しました線に副
つて多少特別な措置が必要ではないかと思います。それからなお細かい点につきましては、実はまだ
合理化問題につきましては、通産当局からもまだ構想という
程度で、公取にお話が正式にございませんので、我々といたしましては、いろいろ想像を申上げるので、どうかと思いますが、今お話に出ました点だけにつきまして申上げるにとどめたいと思います。
それから
輸出入問題につきましては、九月に通達
事務当局におきまして大体一応の案ができたようでございまして、それを各
方面にいろいろ示されまして意見を聞かれておるようでありまして、十月に公取の
事務当局にも話がございまして、公取で一応の説明を聞き
質問等をいたしまして、これからだんだん意見
調整の段階に入る、今週あたりから意見
調整の段階に入ることになりそうでございます。併し
委員会には先般一応の
報告がございましただけで、
委員会自体の正式な議には諮
つておりません。この点につきまして今いろいろお述べになりました届出制、認可制を改めて届出制にすること、或いは
生産業者のカルテルをもう少し
はつきり認める、アウトサイダーの規制をもう少し強化するというような点につきましては、いずれもこれは
相当重要な問題でございまして、私どもも
輸出或いは
輸入に関しまして、
輸出を振興し、或いは
輸入取引の正常な
状態を持ち来たすことについては、双手を挙げて賛成をいたすのでありますが、従いまして只今の
輸出入取引法の中に、多少
実情に即しないものがあることはやはり認めますので、それらの点の改正につきましてはむしろ反対ではないのでございます。ただ認可制をすべて届出制にする、或いは
生産業者のカルテルを大巾に認める、或いはアウトサイダーの規制を余りひどく強化するということになりますと、これはいずれも問題がいろいろございますが、このいずれの点につきましても、実は今後公取の考えをいろいろ申上げまして、できるものなら政府部内の意見を完全に
調整いたしました形で国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、案を頂戴いたしまして今検討し始めたという段階でございますが、その
個々の細かい内容につきましては、まだ
はつきりここで申上げることはできない次第でございます。
それから話は
中小企業対策の問題になりますが、この点につきましては、すでに国会におきましても
中小企業、殊に下請
企業の気の毒な
状態を如何に救済すべきかという点、殊に下請代金の支払い遅延を如何にして
促進するかという問題、或いは問屋或いは一般小売商に対しまする百貨店の圧迫というようなものから、これらの業者を如何に護るかというような自由につきましては、真剣に御検討を頂いておるわけでございまして、私どもも国会の御意向を十分に汲みまして、いろいろできる限りの手を打
つておるのでございますが、先ず第一に下請代金の支払い遅延の問題につきましては、昨年の暮にいろいろ
調査をいたしまして或る
程度の措置をいたしたのでございますが、デフレが進みますと、ますます下請業者が苦境に陥ることがわか
つておりますので、今年の五月になりましてから、
通産省の
中小企業庁と緊密な連絡をとりまして、再び親
企業及び下請
企業双方の
実情の
調査に入りまして、大体造船、造機
関係の上場会社百三十一社を一応選びまして、これから第一段階といたしましては会社自体からいろいろ細かな質問事項を出しまして、書面による
報告を徴しまして、親
企業側を
公正取引委員会が担当いたしまして、
中小企業庁に下請側を、これは
工場にいたしまして千二百の
工場を
中小企業庁側に
調査して頂きました。その結果細かいことは省略さして頂きますが、支払い遅延は昨年
調査いたしましたときよりも、或る意味では
改善されておる結果が出ております。この
調査の場合倍率ということを用いておりますが、つまり一月の買用代金、それから或る親
企業につきましてその買用代金残と、それから一月の購入金額との比率をとりまして、これを倍率と名付けまして、倍率の高いものは結局非常にたくさん支払いを怠
つておることになるわけでございまして、昨年調べましたときに著しい十とか或いは六とか、つまり六というのは半年分を溜めておるということになるわけでございますが、そういう著しいものがございまししたが、今度の百三十一の
工場の
調査の結果はそういう著しいものは殆んどなくなりまして、大体二・一或いは多いもので三点幾つというような倍率にな
つております。つまり中には一或いはそれ以下、こういうようなものも出ております。これを通覧いたしまして、大体非常に支払いがいいものはやはりこの通調べましたときも比較的支払いのよかつたものである、それから非常に支払いが悪いものが比較的たく
なつたこと、それから支払いが非常にいいものは
割合に少くなりまして、大体二というような、一点幾つというような、一を多少越しましたような線で、
かなり各業種につきまして
平均して参
つておるということが今度の
調査の結果の特徴として見受けられます。大体支払いの悪い業種といたしましては計器、計算をする
機械であります。兵器、造船、
産業の諸
機械、精密
機械というようなものがどうも支払いの
状態がよくない。それからミシン、自動車というようなものが前回に引続き比較的支払いの良好のものに属しておるようであります。
それから支払いの方法と申しますか、支払いの方法は現金払いが少くなりまして、手形払いが激増しておるということが見受けられます。それから更に手形期限が百二十日、二百十日というようなものもやはりあるようでございます。これは余りに手形期間が長い、余りよいものとほ申されないのであります。結局全般的に申しますれば、先ほど申上げましたように極端に支払いが悪い親
企業は見られない。それでまあこれは実は昨年の暮に
相当悪いものは
かなり厳格に
調査いたしまして、その後引続き
調査いたしました結果が出ておるのではないかと思いますので、この種の問題につきましては、常に
調査を繰返し繰返しやるということが非常に必要であるということは、このことからもわかるように思うのであります。それからこの結果、更に親
企業のうちでどうも成績のよくないと思われますものを十四社選びまして、この会社につきましては更に下請
工場を、これは
中小企業庁のほうにも実態
調査をお願いいたしまして、両方の面から調べました結果、これは数を申上げますと、造船が二社、電気
機械が三社、
産業機械が二社、紡織機二社、計器、計算の
機械二社、自転車一社、自動車一社、精密
機械一社というような振合にな
つております。これにつきましては一々会社に乗り込みまして、帳簿、その他質問をいたしましたり、帳簿を詳細に
調査いたしましたり、
かなり精密な
調査をいたしました。その結果十月中にその結果が、一応
調査を終りまして、公取が非常に手不足でございますので、
中小企業庁から人を拝借したりしまして大体二十六名ほどの人を動員いたしまして、約二カ月かかりまして十月一ぱいで一応の細かい
調査を終りまして、これからその
調査に基きまして問題を
委員会に取上げまして、その後の処置を考えたいというのが只今の段階でございます。
なお申し落しましたが、昨年の四月でございましたか、これは国会
方面の強い御要望もございまして、下請代金の支払い遅延とい
つても漠然としているから、何か基準を設けろというお話がございましていろいろ検討いたしまして、支払い遅延の一応認定基準というものを作りまして一応公表いたしたのでございますが、どうも徹底しておらんきらいがございましたので、これは詳細な内容の解説を付けましたパンフレツトを作りまして、各地方通産局、各都道府県庁、各都市の商工会議所、
中小企業団体等を通じまして、このパンフレットを
相当広範囲に配付いたしまして、なおいろいろ苦情があれば遠慮なく
公正取引委員会に申出てくれるようにと申しまして、下請
企業のほうに徹底を図つた次第でございます。
それから次に百貨店の問題でございますが、これは
昭和二十七年に一度
日本デパートメント・ストアー協会を通じまして、百貨店のやり方の中で面白くないもののうち一応の警告をいたしましたが、どうもそれが余り励行されておらないというきらいがございますので、二十八年の七月から独占禁止法の改正の規定と睨み合せまして、更に
相当広範囲の
調査をいたしました結果を一応まとめたのでございますが、その間にいろいろデパート側でも反省するところがございまして、今年の七月になりまして百貨店側で業務
調整委員会というようなものを作りまして、仕入れ、販売方法に関しまして、いわゆる自粛内容の議決をいたしまして、いろいろその線に沿
つて是正をいたすべく努力をいたしておるように見えたのでごこざますが、併しやはりこれは下請の場合と同じように
独禁法の規定だけでは余り
はつきりいたさん面もございますので、百貨店の特有な面白くないやり方は、丁度法律でその
権限が
公正取引委員会に与えられておりますので、そういう面白くない不公正な取引方法を指定いたしまして、百貨店の自粛態勢と相待ちまして、いざという場合には公取がそれを取り上げるという態勢を整えるために、先般十月十九日でございますが、百貨店業における特定の不公正な取引方法に関する指定試案というものを作成いたしましてこれを発表し、且つそれについても説明会等を開きまして、実は明日東京におきましてこの試案を
中心にいたしまして公聴会を開催いたし、それから十二日に大阪に参りまして更に同趣旨の公聴会を開きまして、その公聴会に現われました百貨店側、問屋側、一般小売商側、並びに一般消費者側等の意見を参酌いたしまして、更にこの案を練りまして、大体只今の予定では十二月の上旬あたりに指定をいたしたいと考えております。この指定をいたしました上は、それに副いまして恐らく
業界でもこれに対応するいろいろな手を打たれることと思いますが、公取はその線に沿
つて百貨店の不当なやり方を監視をして参りたいと考えております。
なお、やはり国会でこれに関連いたしまして今年になりまして特に御検討を頂いております百貨店法の問題につきまして、これは不公正な取引方法の取締よりもなお広範囲なものでございますので、我々といたしましてはいろいろ拝見いたしまする案の中に盛られておりますいわゆる不公正な取引の問題につきましては、大体
独禁法の規定、殊に今回指定をいたします線で公取がこれをちやんと励行して参りますれば、大体よろしいのではないかと考えておりまするが、併しその他の点、例えば売場面積の拡張でございますとか、出張販売の問題とかということになりますと、これは
独禁法本来の問題にもやや拡張された問題のように考えますので、そういう問題につきましてはなお百貨店業法を作る必要がありますれば、あるのではないかと思いますが、併しこれもしばしば申されておりますように、余り百貨店そのものの
機能を制約いたしますることは、一般消費者に対する
影響というようなことも十分に考えなければなりません。これは或いは
公正取引委員会の考えることではないかも知れませんが、そういう点が百貨店法の制定については考慮されるべきではないかと考えております。
まだいろいろな問題もございますが、只今公取で扱
つておりまする問題或いは現段階で考えております問題を一応御説明を終ります。なお、ほかの
個々の問題につきましては御質問に応じてお答えいたします。