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説明員(
岡田修一君) 外航船舶による外貨収入並びに外貨払節約の実績並びに今後の見通しでございますが、
昭和二士五年以降を申上げますと、海運
関係の貿易外収入といたしまして二十五年度が二千七百四十万ドル、それから二十六年度が一億四千五百二万ドル、二七年度が一億八千五百六十万ドル、二十八年度が一億八千八百九十万ドル、二十九年度が大体二億七十万ドル、三十年度が二億一千万ドル、私ども三十二年度の見通しを持
つておりませんで、私どもも外航船舶拡充五カ年
計画といたしまして二十九年度から三十年度までの五カ
年間に百万総トンの船を造る、こういう考えであります。
従つて二十四年度の見通しといたしましては、一億三千六百万ドル、かような一応の推算を立てておるわけでございます。只今申しました二十七年度と二十八年度の存続が余り差がございませんのは、この間において船腹が相当殖えましたけれども、運気か非常に低落を示している。こういうことから余り差がございません。それから三十四年度の見通しが二十九年度並びに三十年度の見通しに比べて非常に殖えておりまするのは、実は二十九年度の建造量が当初二十万総トンを
予定しておりましたところ、これが十五万総トン
程度しかできない。
従つて五万総トンの建造量が後年度にしわ寄せに
なつている。それから三十四年度頃になりますと、二十九年度、三十年度の外貨収入見込というものが現在の非常に低落いたしました運賃を
基礎にして、これはトランパー貨物運賃については余り変りはございませんでしようが、定期航路運賃につきましては今が一番底でございます。現在すでに相当の立直りを示しております。それが三十四年度頃になると相当の安定した運賃になるであろう。こういう運賃高の見通しと、更に
経済審議庁その他による
輸出が相当伸びるという、
輸出量が相当増加する、
日本船による積取りが増加する、こういう見通しから三十四年度の見込が非常に多い。こういうことでございます。或いは
経済審議庁の立てておりますものと多少の狂いがあろうかと思います。そういうのが多少出ております。で、今後の建造
計画でございますが、私ども只今申上げましたように、二十九年度以降五カ
年間に百万総トンの船腹を造る。これによりまして大体現在の船腹が多少数年が違うかと思いますが、三百三十万総トン、そのうち外航船が二百六十万総トン、これに更に百万総トン造りますと四百三十万総トンになる。そのうち、或いは古い船で流れるもの、或いは海難で沈没するもの等がございまするから、大体このままで行きますと四百十万トンとか、或いは十四、五万トンぐらいになりますか、いわゆる四百万
程度という
目標になるわけでございます。今後の船腹拡充の方法でございますが、実は十次船につきまして、前の同公で御
説明申上げました方法は、大体財政金七割、それから市中
資金三割、その市中
資金に対しては例の利子補給損失神仙制度をつけてある。こういう方法で今御
説明申上げまして、実は今その方法で実施すべく募集をした。その募集の方法といたしましては、これは
小林委員長からそのときにも御指摘がございましたが、できるだけ自由競争的な方法をと
つたらどうかという御指摘がありました。私もかねがねそういうふうな考えで
政府が造船を割当てる、そういうような形は避けたいという気持を持
つております。
従つてその方法といたしましては三割の市中
融資をつけ得る力がある船主、これを申込ませる、そこで船主の力の
能力を判定して、そうしてセレクトされたものがオーバーした場合に、
開発銀行並びに私どものほうでセレクトするようにしたい、こういうわけで三割というものについて市中
融資の確約をつけて出すようにというわけで募集をしたわけでございます。ところが現在の海運会社の経理
状況が非常に
悪化いたしておりまして、
開発銀行に対する金利はこの前の国会で申上げましたように滞
つて、
従つて市中銀行から借りている金に対する金利が非常に滞りの額が多い、或いは金利として払
つているかも知れませんが、その半分は運転
資金として借りまして、運転
資金の借入が非常に多い、そこで
市中銀行としては、現在のような船会社の経理
状況ではこれ以上貸せない、殊に金融引締めで手許の金がないのに金利すら払えないようなものについては絶対出せない、こういう強い線が出まして、まあ二カ月余りもみにもんだわけですが、結局まあ
市中銀行との話合いの結果財政
資金は八割、市中
資金は二割、但し市中
資金のほうも二割分は出せないから一割に相当する額についてはすでに
市中銀行から造船
融資に出しているものについて
開発銀行からその一割に相当する額を肩替りしてもらいたい。こういう話です。でまあ最後はそういうことで財政八割、市中二割、更にそのうちの船価の一割に相当する額は
開発銀行で既往の分を肩替りして市中に
資金を供給する。こういうことで目下船主を募集し直しまして、その選定の準備をや
つております。そのときに
市中銀行から強い申入れがありまして、あらかじめ
市中銀行のほうで確約書を出すということは是非かんべんしてもらいたい、
政府側のほうで、
政府側と申しますか
開発銀行並びに運輸省のほうでこれはと思う船主を選定される、その船主に対して
市中銀行が金をつけるようにいたしましよう。こういうことでいろいろもみにもんだのでございますが、結局船主選考の方法は従来のやり方通りに
なつたということでございまして、この点大変残念に思
つているわけです。そこで目下
開発銀行のほうでは船会社の資産、信用
状況を詳細に調べており、私どものほうは船会社の出しておりまする航路の
状況、殊に定期航路は非常に競争
状態がございまするので船会社の申入れている定期航路の船をそのまま認めてよいかどうかということを只今審査しております。この審査を運輸省だけの意見できめるのではなく、民間のいわゆる中立者で且つ海運に相当の経験のあるかたがたを航路審査員にお願いしてその審査を受けているというのが現在の
状態です。そこで十次船は非常にまあ差迫
つた問題でございますし、まあ途中で馬を乗換えるということができませんので、まあ従来の方法で行かざるを得ないのですが、今後それではこれをどういう形で進めて行くか、これは非常にむずかしい問題です。いろいろの考え方がございまして、例えば社会党あたりでご提案に
なつておりまする
政府の機関をこしらえて、そこでまあ全額船を注文して持つまあ国有の形にする、これが
一つの形。それから昔ありました船舶公団に似たようないわゆる私ども海事公社と
言つております、やはり国の機関、海事公社という機関をこしらえて、それで七割
程度を持つ、あとの三割を船会社に
資金を調達して持たす。この場合も従来のような船舶公団の供与方式ですと
市中銀行の金がつきませんので市中のほうの金を元利とも優先弁済というふうな
状況、或いはそういう海事公社で船会社の株を持つ、船会社が新造のために金が必要だという場合に、その額だけ増資させる、そうしてその増資した額をまあ七割なら七割に相当する分をその国の機関で持つ、これは無論国或いは国の機関が船会社の経営に関与するということになりますと、船会社の活動というものが鈍りますし、対外的な
関係もございまするので、議決権のない株で以て配当は優先的にするというふうな、いわゆる
投資の形態をとるというふうなこと、それから又もう
一つは
開発銀行から従来のような形で
融資をさせるのだが、併しすでにもう海運に対する
融資というのは普通の他の
産業の
融資とは違
つた性格に
なつている、いわゆる普通の金融ベースに乗らないもう性格に
なつていますので、たとえ開銀から出すにしましても、これが共同
融資という形をと
つて、
市中銀行からの金を導入しなければならんとなりますと、そこのどうしても市中の金利並びに元本を或る
程度優先的に返すという方策を講じなければ返
つて来ないであろう、こういうふうないろいろのまあ考え方がございまして、実はまだその辺についてのもう
一つ最後の肚がきまらないわけであります。大蔵省その他
経済審議庁、そういう
方面とも十分打合せをいたしまして、何らかの方法を講じないと、来年度以降の船舶拡充というものは非常に困難な
状態であるというのが現状でございます。