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政府委員(
松尾金藏君)
国際収支の
見通しにつきましては、前に本
委員会におきまして二十八年度の
見通しといたしまして、
最後の
バランスにおきまして一億九千万ドルの
赤字、二十九年度につきましては約九千万ドルの
赤字というような
国際収支の
見通しを
説明いたしたのでありますが、最近の実際の何といいますか、
バランスの
状況を辿つてみますと、二十八年度につきまして若干或いは
かなりの
収支バランス上の食い違いが出て来るのではないかというような
状況に
なつておることは御
承知の
通りでございます。この点を今お
手許に配付してございます
資料につきまして御
説明を申上げたいと存じます。
この
資料は少し詳細過ぎまして、
却つてお読み取りにくいかと思いますが、最初の頁から見て頂きますと、
為替収支の
受払を二十六年、二十七年、二十八年と、こういうふうに従来の
実績を取つてございます。二十六年におきましては、ここにございますように、
最後の
バランスにおきまして三億三千百万ドルの
黒字が出てお
つたのであります。それから三段目に二十七年の計がございますが、このときにおきましても、事後の
収麦バランスにおきましては三億一千四百万ドルの
黒字であつたわけであります。その当時におきましては、
外貨の
保有量が、更に右側の欄にありますように十一億八千二百万ドルの
外貨の
手持ちがあつたわけであります。そういう形で二十八年に入つて行くのでありますが、二十八年に入りましても、初めのほうはそう大きな変化もないことは、
ただ下のほうで
数字を辿つて見て頂きますとお読み取り願えると思うのでありますが、その次の頁、第二頁に至りまして二十八年の七、八月以降の経過をここに読んで頂けると思うのであります。先ず
受取の欄で見て頂きますと、一番左側の
受取の
貿易欄でありますが、大体七月以降におきましても、
各月一億ドル前後の
貿易受取を示しておりまして、いわゆる
輸出の面におきましては余り大きな
変動がなかつたことを示しておるのであります。ところがその次の
支払の欄で、更にその内訳の
貿易の欄を見て頂きますと、七月のところでは一億五千二百万ドルの
支払に
なつております。八月も
大同小異、九月も
大同小異でありますが、十月に入りますとここで
かなり増加をいたしまして、一億千六百万ドルという言うに
なつております。十一月はやや
支払が落ちていますけれども、十二月になりますと、ここにございますように二億三千八百万ドル丁度三負目の一番上の所に
数字が出ておりますが、二億三千八百万ドルというふうに、この辺になりますと、
貿易に伴う
支払が急に
増加を示しておるのであります。そういう
関係からいたしまして、その次の欄で二十八年の
暦年の計が出ておるのでありますが、ここで御覧になりますように、二十八年の
暦年におきましては、
受取が、
貿易外を合せまして二十一億二千万ドル、それに対しまして
支払が二十三億一千三百万ドル、その結果二十八年
暦年の間の集計におきましては一億九千三百万ドルの
赤字が出たわけであります。その結果二十八年十二月末の
外貨の
保有量は、その更に右の欄にございますように、九億七千七百万ドルというような
状況にな
つたのであります。この二十八年の計と申しますのは
暦年の計でございまして、ここで一億九千三百万ドルの
貿易収支の
赤字が出ておるのでありますが、前に二十八
会計年度の
国際収支の
見通しといたしまして、二十八年度には大体一億九千万ドルぐらいの
国際収支の
赤字が出るだろうという
見通しを持つてお
つたのでありますが、勿論二十八
会計年度の
国際収支の
最後の
数字はまだはつきりした
見通しはつかないわけであります。ただたまたくここで二十八年
暦年と比較してみますると、二十八年
暦年で、偶然ではありますけれども、一億九千万ドルというような
国際収支の
赤字が出ておるのであります。併しながらこの表は
為替収支の
現実の
受払を示しておるのでありますが、この
現実の
受払が更に二十九年の一月—三月、つまり二十八年度の第四四半期においてどういう
実績になるかということを見てみないといわゆる二十八
会計年度の
国際収支の
赤字がどういうふうになるかということはわからないわけであります。
その点は、現在までのところでは、二十九年の一月におきまして八千七百万ドルほどの
赤字が出ておるということは新聞で報道された
通りでございますが、二月—三月の
バランスはまだわからないわけであります。便しこの二月—三月の
状況を推測する
意味におきまして、その次の第四頁以下におきまして、
輸出入の
関係につきまして、
現実に
為替の落ちる前の、
外貨の
受払の前の段階における
状況をここに掲げておるのであります。先ず
輸出の
関係でどぎいますが、四頁に
輸出の
関係を掲げておりますけれども、ここでは
通貨地域別に掲げておりますが、
最後の
合計欄で見て行きますと、ここでBの欄が
信用状の受高であります。それからDの欄が
船積高でありますが、更にEの欄が
信用状の月末
残高、これらはいずれも二、三カ月後に
現実の
外貨の
受取になるということに出て参るわけでございますが、これらの欄のいずれのを見て頂きましても、やはり
各月余り大きな
変動はないということをお読み取り願えると思うのであります。ところがその次の五頁には、同じような
状況を
輸入について示しておるのでございます。これの
通貨地域別の
合計が
最後の欄に出ておりますが、先ずAの欄は
輸入に伴いましてこちらで
信用状を開設する毎月の
信用状の
開設高であります。これを見て頂きますとわかりますように、
合計のAの欄におきましては、先ず九月頃までは大体一億五千万ドル前後で進んで来ております。ところが十月になりますと、ここで一億九千万ドルというふうに上昇を示しております。更に十一月には二億五百万ドル、十二月には二億三千二百万ドル、二十九年の一月におきましては二億四千六百万ドル、こういうふうにこちらで
信用状を開設しました毎月の金額が急激に殖えておるということは、いわゆる
輸入の
スピードがかかつて来ているいるということを示すことになるわとであります。更に、
最後の
信用状の月末
残高を見てみましても、これにおきましては、
最後の一月の欄におきまして、四億三十万ドルという
信用状の月末
残高があることは、近い将来において
外貨の義務が殖えつつあるということを物語つておるわけであります。大体その期間のズレは二、三カ月と言われておりますが、こういう実勢をみてみますと、一月までの
信用状の
状況が、二月、三月、四月頃に
現実に出て来ることを考えてみますと、最近のいわゆる
輸入に伴う
外貨支払の
スピードが
かなりかかつて来ておるということを示すものでありまするが、先ほどの表で申上げましたように、十二月末におきまして、九億七千七百万ドルの
外貨手持が、一月中の
国際収支、の
赤字が、約九千万ドルほどあるわけでありますから、すでに一月末では九億ドル台を割つておるわけでありますが、これが二月末、三月末にどういうふうになるだろうかということは、
推定も
かなりむづかしいのでございますが、只今申しましたような
信用状の動きを見てみますと、ここで従業の
外貨の落ち方よりも、やや高い
外貨の
支払がでて来るであろうというふうに想像がつく、わけであります。現在二月或いは三月の
状況を
検討中でございますが、これらの点が来年度の
国際収支の
見通しと併せまして、来年度にどれだけの
貿易規模を維持することができるかということと関連して来るわけであります。そういう推測の
推定の
資料といたしまして、お
手許に配付いたしたわけでございます。一応これだけ御
説明しておきます。