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1954-08-05 第19回国会 参議院 経済安定委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月五日(木曜日)    午後一時十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 五月二十九日委員苫米地義三辞任に つき、その補欠として八木幸吉君を議 長において指名した。 六月十九日委員早川愼一君辞任につ き、その補欠として奥むめお君を議長 において指名した。 八月五日委員松本治一郎辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。   委員長補欠 六月三日早川愼一君委員長辞任につ き、その補欠として小林政夫君を議長 において委員長に指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 政夫君    理事            岩沢 忠恭君    委員            奥 むめお君            岡田 宗司君            八木 秀次君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君   説明員    経済審議庁政務    次官      森田 豊壽君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁審議    官       葦澤 大義君    経済審議庁審議    官       今泉 兼寛君    経済審議庁審議    官       山村  章君    経済審議庁審議    官       宮前 憲三君    経済審議庁審議    官       大川 一司君    中小企業庁長官 記内 角一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○日本経済の安定と自立に関する調査  の件  (現下地方経済事情に関する件)   ―――――――――――――
  2. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それではこれより開会いたします。  私小林政夫でございますが、去る六月三日委員長選任をいたされました。甚だ不束者でありまして、よく責を全うするかどうか危惧に堪えないのでありますが、各委員の御協力によりまして大過なく勤めさして頂けば幸いだと思います。どうぞよろしく。  それでは理事補欠互選の件についてお諮りいたします。去る五月二十九日本委員会理事苫米地義三君が委員辞任いたされました結果、その後理事に欠員を生じていたのでありますが、この際理事補欠互選をいたしたいと存じます。つきましてはその互選方法は前例によりまして委員長の指名に御一任願いとう存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 御異議ないと認めます。それでは私から理事笹森順造君を指名いたします。  議題に入る前にちよつとお諮りいたしますが、只今は御出席がないのでありますけれども、本日の議題並びにかねて御案内の明日の議題即ち現下経済情勢と将来の見通しに関する件及び対米借款交渉の経過に関する件につきましては、一般的に広く関心を持たれておる事柄でもありますので、前経済安定委員各位にもこの旨御案内を申上げた次第であります。御了承をお願いいたしたいと存じます。なおこれら委員外議員各位の御質問等その発言につきましては、この際委員各位の御了承を得てあらかじめお許しを願つておきたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 御異議ないと認めます、   ―――――――――――――
  5. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは本委員会閉会中の継続審査事件日本経済の安定と自立に関する調査に関していわゆる現デフレ経済下における地方経済事情について先般六地域亘つて現地調査した五名の経済審議官から実情報告を聴取することといたします
  6. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) 先ず東京地方におきまして調査をいたしました概要につきまして御報告を申上げたいと存じます東京地方と申しましても、東京には全国の経済組織団体本部がございますので、この本部意見のほうから申上げたいと存じます経済団体として我々が懇談をして事情を伺いましたところは経団連、日経連、経済同友会、日本商工会議所という四団体でございます、そのうち経団連との懇談会長会員業種別亘つてそれぞれ会員のかたから発言をされましておのおのの業界事情を述べられて、それを以て一応まあ経団連の意向とするというような状況でありまして、ほかの三団体のほうは団体として大体まとまつたお考えをお持ちであつたとい、りような状況でございましたが、これらを総合いたしまして御報告を申上げたいと存じます、  一枚紙に概要資料としてお手許に差上げてあるわけでございますが、デフレ政策滲透状況、これは本年三月頃までは一般に何とか切抜けて来たけれども四月以降景気が急激に悪化しておる。製造業では特に財政投融資に関連いたします産業、即ち造船であるとか、或いは電源開発等に基きます電気機器製造業というようなもの、又繊維工業というようなものの景気が特に悪い、この不況の様相は卸売業から漸次製造業のほうに及んで参つて来ておる。小売につきましては特殊な業種を除きましては下降状況になつておるわけでありまして、医薬品とか高級カメラというようなものについてはまだそう影響がないというようなお話もあつたわけであります政府の施策に対する批判、意見要望というようなものを総合して参りますと、総合的に見ますと先ず現在のこの物価の低落は先行き不安や換金投げによつてもたらされたものでありまして、本質的にコストが下つたから製品の販売価格を下げたんだというようなものではないんだ、こういう事情でありまするからこのまま政策を推進しますならば半恐慌状態になる。政府は早急に物価下落の先行きの見通しを示すべきであるというような意見がありました。又デフレ影響は偏在しておる、デフレの基調を変える必要はないけれども、滲透している部面と、していない部面とあるので、これを平均化するために総合的な政策が必要である、特にこれは農村にはデフレ影響が余り及んでない農村と都市との比較において議論が相当ございました。それから消費購買力の規制をすることが根本であるというような意見もありました。政府としてこの際強力な経済自立機関を設定してはどうかというような意見もございました、なお具体的に資料のうち主なものを申上げますならば、物価についてでございますが、物価政策政府一貫性を持つてない、自由価格の面では金融引締で無理に下げさせられておるけれども政府の手の届く公定的な価格、麦価とか或いは電力料金かいりものは、その当時話題になつてつたのでありまするが、こういうものはむしろ逆行しておる、こういうものは絶対に値上げすべきでないという意見がございました。コスト引下げ産業合理化、こういう面が重要になつて来るのでありまするが、そういう対策としましては、使用します原材料を節減をする、それは設計の研究によつて相当引下げられるんじやないか、或いは生産の仕方を集中生産専門生産というようなものを考える必要がある、又企業の安全のみを考えて多角経営に走り過ぎておる老朽施設に対しては原料、資材の割当を廃止するように外貨の割当の基準を考え直すべきだというような意見もあつたわけでございます。  輸出につきましては最も重要事項であるのでありまするが、各社が無用な競争をして輸出価格を徒らに引下げておる、これに対しては輸出価格の協定を行う等或いは輸出についてはこの組合等で一本で輸出する、輸出の窓口を一本で対外的に処すべきではないかというような意見もあつたわけでございます。  それから賃金労働関係につきましてはデフレ政策は労賃の引下げにまで及ばなければ十分でないのであるが、失業問題が個々の経営者の責任の範囲を越えた一般的な問題になつて行きます場合に、結局社会不安として事業家としては自分の手に負いかねるという事態があるということを指摘されておる部面相当つたのでありまして、この失業問題の解決には健全財政の枠内で事業を興すべきであつて、必要があるならばこのためには増税も又止むを得ないのではないかという意見、又このデフレ政策による離職者に対しましては、優先就職カードというようなものを作成して、特に就職の斡旋をするというような措置をとるべきではないかというような意見がございました。  ベースアップ防止策としましては、これは公務員のベースアップをしたのはけしからんというような非難もございましたけれども臨時優却を大幅に認めて、利潤部分をできるだけ社内留保にするように、資本の充実を図つてはどうかというような意見もございました。  なお地方財政を至急健全化する必要があるので、地方への補助金は農林、建設関係のものを徹底的に再検討して重点化する必要があるというような意見が大体主な意見でございました。  この四団体との懇談によりますと、以上御報告申上げましたような意見があつたのでありまするが、なお成るべく広く各業界意見を聞くようにという計画の下に、相当数の各業界団体首脳部のかた、或いは業界自体のかたにいろいろ意見伺つたのでありまするが、そういつたかたがた意見のうち共通した見方といたしましては、支払方法が従来は現金払手形払が四分六の割合であつたものが、このデフレが滲透して参りましてから、現金払が四分乃至三分というように少くなりました。逆に手形払が六分乃至七分というように多くなつて来ておる。而も手形期間が九十日から百二十日、更には台風手形というようなことを言われておるそうでありますが、二百十日という手形さえも出ておる。勘定合つて銭足らずという現象が各業種相当程度行渡つておるというように思われるのでありますデフレ影響相当流通段階に現われたのでありまするが、最近はメーカー段階に及んで参りました。メーカー在庫の増大を告げるものが相当あります。従いまして、操短をするという傾向も現われておるようでありまするが、なお操短コストの逓増を招きますので、業界によりましては模様眺めデフレの腰くだけを待つて生産縮小ためつておるという向きもあるように伺いました。なお先ほど申上げましたように、価格下落コストの逓減によつてつておるのではない、換金急ぎという面から起つておるということは、先ほど申上げましたように、各業界においても共通した事項に存ぜられたのであります。他面デフレ影響の積極的な方面としましては、こういつた事態に逼迫されまして、輸出意欲が沸き起つて来ておるという面が見られるのでありまして、海外の競争力相当程度強くなつて来ておるものもあると共に、何とかこの場を切抜けますために、合理化によりまして、コストの切下げをしようという努力が現われているというように存ぜられるのであります、こういつた共通した事態の上から眺めまして、いろいろな業種、多方面亘つておりまして、我々は意見をお伺いできなかつた面もありますが、大体意見なりお話の上で、まあこのデフレ状況の下においても、比較的悪影響が少いと思われる凝視は高級写真機光学機械というようなものが輸出の力強さも伴なつておるようであります。又繊維業も非常にデフレ影響で苦吟をしておるのでありますが、輸出向に出て参りますものは、或る程度むしろ活況を呈しておるというような報告があつたのであります、又この農村購買力を対象といたします雑貨業、或いは農機具製造業というようなものも相当力強い歩みを歩んでおるというようなふうに思われるのであります。なお板ガラス、セメント、ビール、非鉄関係、保険案いうような業種はまあまあデフレ影響もそう大したものではないというようなふうに伺つたのであります。いろいろ業界お話を承わつておりまして、特に指摘されなければならん点は、私は綿糸布国際価格より下廻つておる。今回のデフレ政策一つの眼目が国際物価に鞘寄せをするということであるならば、むしろ綿糸布国際価格に匹敵するどころでなく、英米のそれに比してむしろ下廻つておるという状況でありまして、この綿糸布輸出を確保いたしますためには、これらの価格引下げるというよりはむしろこれらの価格を安定いたしまして、買手側安定した買付を待つような態勢を作るのが急務ではないかというように考えられたのであります。なお我々の伺つたうちでは、輸出陶磁器でございますが、日本輸出陶磁器は独得な地位にありまして、国際価格との問題というよりは、これもやはり角度は違いますが、価格の安定ということが第一条件でありまして、徒らにバイヤーに買叩かれて出血輸出をするという事態をむしろ改善することが急務であるというように考えられたのであります。  以上デフレ影響として比較的悪影響がないものについて申上げたのでありますが、その他一般的には基礎産業鉄鋼石炭繊維というような広く基礎的な産業はそれぞれ相当苦しい状況を呈しているようでありますが、デフレ影響と全然別個に不況と申しますか、対策要望している業種としましては、十次造船の遅延に基く造船関連産業、或いは個別的な事例ではありますが、日平の下請の関連産業というようなものはむしろデフレという問題と離れまして、特殊な事態において不況をかこつておる、こういう状況でございました。  概略でございますが、以上私からの御報告を終らせて頂きます
  7. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 一応審議官の皆さんの意見報告を聞いて、入つて頂くというほうがいいと思うのですが、ただ審議官の都合もありますので一人ずつ説明を聞いた都度お願いいたしたいと思います。その質疑に入る前に新任の政務次官から皆様に挨拶をしたいという要望かあります
  8. 森田豊壽

    説明員森田豊壽君) お暑いところでありますので簡単に御挨拶申上げたいと思います。私このたび文字通り図らずも経審政務次官の重職を承わりまして、誠に力及ばざる者でありまして、到底その重責を果し得るかどうかは誠に瞬間だと思うのであります。これはひとえに皆様方の御支援と御援助によらなければならんのでありまして、是非とも今後不肖なる私に対しまして御支援と御援助のほどを重ね重ねお願い申上げる次第でございます。お暑いところでありますが、何ら抱負もありません、全く至らない者と言わなければなりませんが、重ね重ね御支援のほどをひたすら申上げる次第であります、何分今後ともよろしくお願いいたします、(拍手)
  9. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは葦澤君の総括的な説明といいますか、経済団体との懇談中心とした説明に対して何か御質疑がございました
  10. 奥むめお

    奥むめお君 報告になかつたのでお調べがなかつたと思いますけれども、こういう東京のような大消費地をお調べ下さるんだつたら、商工会議所とか、経団連とかいう面だけでなしに、例えば東京都内にあるこういう問屋筋とか、授産所とか、これは東京都がやつておりますが、或いは労働組合とか、そういうような方面は予定に入つていないんですか。
  11. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) 成るべく広く意見なり、要望なりを受けるのがよろしいというわけで計画をされておるのでありますが、只今お尋ね通り御尤もでありまして、まだ期間が短い期間でございまして、これからも更に継続して、今まで伺つていない方面で聞くべき意見のところは伺わなければならんという状況にございまして、御指摘のような面につきましても意見を伺うようなことを今考えておりますが、これは中問的な御報告になつている点を御承知願いたいと思います
  12. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 今のお話ですけれども、これからいろいろな方面を御調査なさる、こういうお話なんですが、今の報告の中には、資本家団体とのいろいろな懇談会の形式になつておるのですが、労務者関係の、労働団体のほうの意見一つ今後の報告一つお願いいたしたいと思います
  13. 小林政夫

    委員長小林政夫君) では葦澤君は次の中部地域報告をしてもらいますから、まだ次の機会がありますから……。
  14. 奥むめお

    奥むめお君 中部地区もそういう経団連とか、関西経団連とかというだけの調査でありますか。
  15. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それはそのときに一つ。  それでは次は北海道地域調査して参つた今泉審議官に御報告を願います
  16. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) 私今泉でございますが、五月の十五日付を以ちまして大蔵省のほうから審議庁のほうに出向を命ぜられまして、前安本時代に三年おつたようなよしみで、もう一回又行つて審議官を勤めろということで、私十五日付審議官を拝任したような次第でございます。何分ともよろしくお願いいたします。  私北海道に参りましたのは、先月の十八日に参りまして、道内には二十五日までおりました。行き帰とも飛行機で参りましたので、大体行く日と帰る日は除きまして、約中一週間くらい道内におつていろいろな方面から検討して参つたのでありますが、まあ主として団体的にお会いしましたのは、十九日の日に、丁度私参りましたときは、経団連石川会長の一行と一緒に参りまして、十九日の日は経団連の主催で札幌商工会議所におきまして、大体北海道業界代表というかたがたは大抵網羅されて、百六十名ほど集まつて非常な盛会でございました。そこで一日いろいろなお話を聞いたわけでございますが、更にその翌日、二十日の日には、これは半日でございましたが、半日といつても九時半くらいから始めて午後の一時くらいまでまあみつちり聞いたわけでございます。この会合には北海道に行つております中央の出先き官衙の長、それから北海道にあります金融機関の大体長のかたに集まつて頂いて半日いろいろなお話伺つて、その後私四日ほど札幌の東のほうを、帯広とか、釧路といつたような、ああいつた方面に、主として農村地帯を歩いて廻つて見たわけでございます。そういつた一週間の見聞から見ました結果について御報告申上げるわけでございますが、御承知の通り北海道は地理的な特殊性から申しまして、中央の動きが実際に北海道に波及するのは、まあ遅いものは半年も余計あとになる。早くて一、二カ月から二、三カ月は立遅れて影響する、こういう建前もございまして、デフレ影響葦澤審議委員東京でいろいろな調査したのとは、相当影響の速度の問題について遅い関係もありましようし、それからもう一つ北海道が何といつて農業、それから水産業、それに石炭中心とした鉱工業というものが主体を成しているわけでございますが、何といつて農業水産業が主たる産業である、こういう北海道特殊性からいつて、今回のデフレ影響は、まあ京阪神或いは京浜、こういつた地区ほどさほど直接的、又影響力もそう大きくないというふうに私どもは見て参つたわけでございます。そこでまあ一番私ども北海道へ行きまして、全道がどういう一番関心を持つているかということを見たり聞いたりしたのでございますが、一番北海道で心配しておつたのは今年のやはり冷害の点でございました。私が行く前までは、内地と同じく非常に寒くて破天荒の寒さであつて、而も内地は、非常に雨が多かつたのでございますが、北海道は逆に私が行つたときまでに約二ヵ月間、殆んど雨らしい雨は降らない。ですから冷害早魃型であつたわけでございます。丁度私たちが行つたときから天候のほうというか、温度のほうは持ち直しまして、やつとまあ夏らしい温度にはなりましたが、そういつた暑さの点についてはやつと夏らして夏になつたということで、昨今も私北海道の出張所について聞きましたら、まあ気温は大分それから持ち直して高くなつておるけれども、雨は私が帰つてから少し、若干の雨はあつたが、旱魃を完全に解消するほどの雨が降つてないということで、依然として現在もどちらかというと旱魃型の天候である。こういうことでまあ最初の冷害という面は立ち直つたようでございますが、旱魃関係で畑作が非常に憂慮されるということで、むしろ私が参つた当時は全道がもう今年は何年にもない冷害じやないかということを非常に心配しておつたようでございます。  そこでまあデフレの問題よりか、むしろこういつた作柄を心配しておつた。これがまあ北海道の一番の関心事じやなかつたか。  それから水産物のほうでございまするが、春にしんが非常に今年は不漁でございまして、例年の半分ぐらいしかとれない。ただ昨今北洋に出たさけ、ます鮭鱒でございますが、さけ、ます漁業割合に好調を呈しておるので、それでどうやらまあカバーしておるのじやないか、こういう状況でございました。先ほど京浜地区ほどデフレ影響は直接的ではないと申上げましたが、併しながら北海道も非常に広い範囲内でございまして、これを北海道内を地域的に見た場合、或いは業種的に見た際に、まあ個別的には相当深刻な影響を受けつつあるものもございます。  不渡手形の問題でございますが、これは昨年の十二月が一番のピークでございまして、その後一旦減少はしましたけれども、又最近になつてだんだん漸増しつつある、こういう現況でございます。昨年のピーク時代の十二月、どのくらいのそれじや不渡手形があつたかということを調べて見ましたら、枚数にして千百三十九枚、金額で一億二千八百万円、こういう十二月の統計になつております。  それから金融引締ためのといいますか、業者倒産でございまするが、これは昨年の十月デフレ政策が始まつてから今年の四月末までの統計でございまするが、倒産したのが二百七十五件ございまして、主としてこれは食料品医療品関係が主でございます倒産原因についてはいろいろな原因があるのでございまするが、金融引締が直接原因になつて、つまり金融引締だけで倒産したというのは極めて少いように見て参つたのでございます。むしろ金融引締自体というよりか、従来経常上の欠陥を内包しながら融手や、或いは高利貸等によつてやりくりつてつた、これが銀行貸出の抑制を機会に破綻した、こういつたものが大体大部分でございまして、まあ銀行側から言わせればそれはもう当然なことだと、こういうふうに申しますが、業者のほうから言うとそうじやなくて金融引締が直接原因だと言つておりますが、公平な見方から行つて倒産した大部分のものというのはそういつた従来の放漫経営、或いは売掛先の焦付き、こういつたような点から更に又焦付き、或いは東京あたり取引先の大きな商社が倒れた、それがためにそのあふりを食つて、やはり相当北海道漁業関係会社が倒れた、こういうものもございますが、まあ本当の原因はやはり従来の放漫経営であつた、或いは非常に高利貸等から高い金を借りてやりくりつてつた。よく世間で言われる自転車操業か、自転車経営といつたような、そういつた借りて、或いは先借りして営業を続けておる間はそれで立つてつたが、営業がストップして来るとその途端に倒れてしまつた。こういつた現況から倒れたというのが主だつたようでございます。  それからデフレの狙いである物価がどういうふうになつておるかということを調べて見ましたら、卸売物価は大体三%乃至五%平均して下落しております。併しながら小売物価は下らないころじやなくて、逆に少し上つておる現況でございまして、例えばデパート等の今年のお盆の売上等を昨年等に比べて見れば、むしろ増加している。更に競輪場売上高が昨年より非常に殖えている。これは北海道の新聞が何か論評しておりましたが、競輪の殖える原因がおかしいが、これは殆んどもデフレなので一か八かというので非常に競輪入場者が多くなつたのじやないかと批評しておりますが、或いはそういうものも一つ原因かと思いますデパート売上げも減つておりませんし、競輪場売上げも昨年より増している、こういう状況でございます。  それから預金でございますが、営業用預金は大体減少いたしている。逆に貯蓄性預金はだんだん増しつつある、こういう状況でございます。  それから中小炭鉱でございますが、北海道の一番やはり中心をなす点でございますが、これはもう炭価の値下りで相当つておるようでございます。それがため会社側から掛ける失業保険の掛金の猶予を申請しているものもあるし、それから賃金支払現金を出さずに、会社で金券を発行している、それで月給の現金の代りにしている、こういう会社もあるようでございます。  それから失業問題でございまするが、これは中小炭鉱はまた本当に首切りには至つておりません。一番目立つて現に整理を発表しましたのは、室蘭の日本製鋼ございますが、二千四百九十五名を整理するという案を組合に示したところが、組合との闘争関係に入りまして、私が来るまでは会社側はロック・アウトを宣言しましたが、組合はこれに応ぜずして、やはり操業しているということで、知事が中に入つて調停に立つてつたようでございますが、私の帰るまではまだこれは未解決のままであつたようでございます日本製鋼がなぜそう悪くなつたかということは、兵器関係造船関係の備品を受持つておるのでございますが、造船関係からのあれが一番大きな打撃だということを聞いて参りました。  それからこれはもうデフレ影響というよりはむしろほかの原因でございますが、例の駐留軍が北海道から内地に引揚げるということで、千歳地区におりました駐留軍関係の引揚関係に伴う失業が、直接雇用で雇つてつたものが約二千名、それから間接雇用、これは国がといいますか、国の代表として北海道知事が雇用しているという関係が四千名、合せまして六千名が失職するということになつておりましたので、地区別に言つて室蘭地方と千歳地方については相当失職問題から大きな波紋を残しておつたよう状況でございます。  デフレの進行状況は一応そのぐらいにしまして、第二に政府デフレ政策に対する各界の批判について申上げて見たいと思つております。これは相当方面から手厳しい批判もございまして、現在国際収支を悪化したためデフレ政策をとらざるを得なくなつた、こう言うけれども、一体国際収支を悪化さして、現在の経済危機をもたらしたのは一体誰なんだ、政府自体じやないか、というような非常に手厳しい反撃もあつたわけでございます。それから政府デフレ政策金融引締一本に偏している。それに対して総合対策に欠けているという批判。それから第三に政府デフレ政策金融引締一本で流通部門にのみ偏している。中小企業を徒らに苦しめているのだ。総合対策に欠けているから消費規制の面、貯蓄増強の面、これについては何らの施策がなされていないのじやないか。本当に物価を下げるなら、単に金融引締だけでは目的を達せられないので、消費規制なり貯蓄増強について、もつと根本的な施策が必要じやないか、こういう意見がございました。  それから失業救済の問題にしても、まだ何ら本当に見るべきものがない。この間の帰休制度というのは帰休制度ができるような会社なら、帰休制度であと再雇用できもような会社なら、初めから首切る必要がないのだ。あれは一種の糊塗策ではないではないか。もつと根本的に首切らなくてもいいような対策をやるべきである。併し止むを得ず首切りになつたら、それに対応するもつと根本的な失業対策をやつて欲しい。  それから消費規制の問題と関連いたしまして、何か政府は失業者を出して失業すると、その連中は失業手当はもらうけれども、手当が減るから消費節約になつて来る。その消費節約から今度は購買力を減じてそして物価引下げるという、そういう緩慢な政策だけ出しているのじやないか。そんなことで本当のコスト引下げ物価引下げということになり得ないというような批判もございました。  それからデフレ政策の狙いである低物価政策について、国民に政府要望しているけれども政府同体が第一今年になつてどういう政策をとつているのだ。たばこの値上げはどうだ。鉄道運賃もああいつた恰好においてですけれども、やつぱり上つている。麦価もやつぱり上つているのじやないか。電力料金はまだあの当時は未決定でございましたが、電力料金についても政府が値上げを認めているというようなことを聞いている。こういう低物価政策と、こういつた一連の値上げ政策とは全然矛盾しているじやないか。デフレ政策に一番逆行しているのは政府自身じやないかというような、相当手厳しい批判もございました。  第三に、政府に対する要望意見でございますが、輸出振興対策をもつと積極的にとるべきじやないか。国際収支の均衡と申しますか、国際収支を改善するなら輸出振興策をもつと思い切つてつたらどうか。それがためには商社の統合とか、輸出組合の結成による無用のダンピングを是正したらどうか。これは葦澤審議官から要望のあつた点でございます。  それからコスト引下げため合理化投資、投資は、大分まあ財政投資その他大分引締められているけれどもコスト引下げため合理化投資は金融引締とは別に是非やつて欲しいという要望でございました。  それから輸出増進と格安な原料を輸入するために、東南アジアの開発関係と賠償問題を早期的に解決するということをやつてもらいたい。  それから北海道が、曾つて中共地区、ソ連地区に対する非常な輸出、輸入取引関係相当密接な関係にありました関係上、特に中共貿易及び対ソ貿易については、これは自由に出せるような仕組にやつてくれという要望もございました。更に先ほどもちよつと申上げましたが、消費を抑制する、真に物価引下げるなら、消費を抑制する政策を行わなくちや駄目だ。その一面やつばり貯蓄増強、これをもつと国民運動として徹底させる必要があるのじやないかという意見でございました。  それから先ほども申上げましたように、失業対策については、もつと積極的に、真剣な失業対策政府は樹立すべきである。  それからこれは私どもだけじやなくて、石川経団連会長等も中に含めてのあれでございましたが、自立経済を達成するためには、今後強力な政治力で乗り切らなくちやならん。ところが今中央の政界はどんな現状だ、もう思い切つて政治においても、それから労働者、資本家等においても、政治休戦、労働者休戦三カ年間ということを一つ約束して、そしてこの三カ年間国民が本当に血みどろになつてこの経済直立策を講ずべきじやないか。こういうような建設的な御意見もございました。まだいろんな案もございますが、大体要点をつまんで申上げると、以上申上げだようなことに相成るかと思います
  17. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 何か御質問ございませんか……それでは今泉君は、次の東北地域、仙台方面中心とした地域へも行かれているし、大川君とお二人のようですが、東北地区一つ報告を願います
  18. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) それでは引続き東北地方について申上げて見たいと思います。仙台には、私二十八日の汽車で参りまして、二十九日午前中県庁に中央宮衛の出先のかた、それから銀行の代表者に集まつて頂いて、午前中ここで懇談いたしまして、午後は商工会議所主催のやはり仙台市及び宮城県の有力な業界の代表者に集まつて頂いたわけでありまするが、午後の会合は、約百名近くの相当盛大な会合であつたように記憶しております、まああとは個人的に懇談したり、帰りに私の郷里である福島県等に寄りまして、福島県の実情等を聞いて来たり、その結果非常に短い時間内の見聞でありますが、その点をまとめて御報告申上げたいと思つております。  東北地方も御案内通り、もう農業生産によつて支えられております関業上、それから地域関係から育つて、むしろ中央影響というものは、東北を飛び越して北海道に行くということになりまして、北海道より東北地方のほうがなお影響力が遅れるというような面もございまして、そんな関係で先に申しましたデフレ影響京浜地方とか、西日本程度には直接的ではないように見て参つたわけでございます北海道と同じく、東北は、つい二週間くらいまでは、もう異常の冷害でございまして、この三週間くらい前の状況であれば、もう何年にもない非常な冷害凶作になるのじやないかということを非常に心配しておつたわけでございます。併しながらこれは丁度二週間ほど前から大分東北地方の気温も高まつて参りまして、今朝も朝日の新聞に出ておりました通り、まあ岩手、青森等の星はなかなかこれはもう今あたりになつても回復がむずかしいという面もあるようでございますが、それ以外の地区等においては、大分稲作等も立直つてつて相当平年作よりは落ちる見込である。けれども、当初予想されておつた五割或いは五割を切るのじやないかといつた稲作状況は、目下の状況ではもつと立直つて、まあこれも達観でございまして、まあいろんな人の話を聞いたところでございますが、一、二割減ぐらいのところで収まるのじやないかというような話を聞いて参つたわけでございます北海道と同じように、やはり一番東北で心配に思われておつたことは、デフレ影響そのものよりか、やはり今年の作柄はどうなるという点を非常に心配しておつたわけでございます。  御承知の通り、昨年の非常な国際収支が赤になつたという大きな原因は、昨年の東北の冷害、それから西日本の風水害のために非常な主食その他の減産があつた。それで追加輸入として、まあ昨年だけで一億五千万ドル、今年のを混ぜると二億を越す程度のやはり追加の穀物、追加の主食の輸入があつたことが国際収支を非常に悪化した原因でございまして、昨年ですらそういう状況でございましたから、今年がこの二週間ぐらい前のああいう冷めたい天候が、若しこれが真夏続いたとしたならば、もうえらい米穀その他の減収になつて、昨年以上の主食の追加輸入が必要になつて来る、そうすればデフレの問題も吹つ飛んでしまうんじやないかというふうに私どもも実は心配したのでありますが、その点はこういう暑さに東北も大体なつて来たようでありまして、一応今のところはそれほどのひどい不作じやないという判断を下しまして、私も胸を撫で下しておるような状況でございます。それから相当業界の方々から、やはり金融引締によつて苦しい、倒産相当出ているという実例も聞かされて参りましたが、これもやはり北海道と同じく、金融引締をされたから、それだけから倒れたというのは割合に少いのでございまして、やはり北海道と同じように、従来の放漫経営というか、高利貸からのやりくりでやつてつた、それが引締によつて経営難に陥つた、こういうのが大部分のようでございます。まあ東北がこの中央との取引も相当多い関係上、水産物或いは木材等の関係から、東京に出しておつたところが、東京の相手方の商社が倒れたために、そのあふりを食つて倒れた、こういう例も相当多いようでございます。それでまあ倒産した会社なり個人営業というものは、これはまあ止むを得ないといいますか、立上る元気もないのでございますが、まだ倒産一歩手前で、金融機関から締出しをされたために、何とかしてこれはやはり続けて行きたいということから、金融機関からは金融を受けられないから、街の金融機関から相当高利で借金して何とか営業を続けて行こうというの、で営業を続けている、これなどは倒産寸前の姿であるということを聞いて参つたわけでございます。それから卸売物価はやはり若干下つておりますが、小売物価は、まあ一部デパートその他の廉売なり投売といつたような以外には余り下つておりません。やはり東北地方農村消費に支えられている関係上、農村購買力が衰えない以上、需要面からの小売価格の低下ということは考えられないのでございまして、案外昨年ああいう冷害があつたにもかかわらず、やはりに冷害に対する措置、それから米価の引上げ等によつて農村の収入は減つていない、従つて今年のやはり盆あたりの購買力というものは余り減つていない、従つて東北の物価も、そう小売価格面においては下つていないというのが実情であるように考えられます。  それから第二に、政府デフレ政策に対する批判でございまするが、これも相当手厳しい批判がございまして、政府デフレ政策金融引締の一本じやないか、それでいてデフレ政策という、その政策という政策は何もないじやないかというような手厳しいあれもありました。単に金融引締一本でその金融引締のやり方も、どうも銀行のやり方を見えていると画一的である、それでいいものも悪いものも中小企業に皆しわ寄せされて、中小企業は一番苦しんでいるんだ、こういう批判でございましたしそれから政府デフレ政策は、一体どこまで行つたら執着点があるのか、一体いつになつたらそれがやまるのかということについて何ら明示されていない、国民はどこまで一体辛抱すればいいのか、そういう点が皆目わからん、非常に不安この上もない状況である、早くこの一体物価が何者下つたらそれをやめるんだ、それは物価の何%下るのはいつ頃だ、それから政策はこういうふうに転換するんだというようなことは何も知らされていない、その点をもつと政府は明確にすべきじやないかという意見がございました。それから先ほども報告がありました通り、現在の卸売物価はまあ下つておりますが、それはコスト引下げの結果ではなくして、金融難から投売をやつている、その結果卸売物価は下つているんだ、まあ中には全然コスト引下げになつてつたものがないとは言えませんけれども、大部分の今の卸売の価格の値下りというのは、そういつた金融難からの投売である、こういうふうな批判がございました。それから先ほども北海道のときに申上げました通り消費購買力を低下さして物価引下げるということにおいては、何らまだ根本的な手が打たれていないじやないか、もつと物価計画的にコスト引下げによつて引下げるような方策を構ずべきじやないかというような批判、それから不渡手形が増加し、貸倒れ等で取引の安全が極度に害されており、もう危なく商売はできん、それかためにそういつた流通部門から更にそれが生産部門に波及して、こういう国民経済に必要な生産までだんだん減退しているという非常に悪い兆候が今見てえて来ている。今にしてそういつた悪い兆候をやめなければ、悪いものが整理される、ばかりでなくていいものも整理される。それからほかに必要な生産まで減退するんじやないか、そのことを非常に心配するんだ、こういう意見がございました。  第三に、政府に対する要望意見でございますが、デフレ総合政策を樹立して、中小企業を早く救つてくれ、それから失業者を救つてくれ、こういう御意見北海道と同じように非常に痛烈な叫びでございました。それから物価引下げためコスト低下策、消費規制方策を速かに講ぜられたい。それから政府の宣伝啓蒙が不足のために、政府はもう一兆円予算と金融引締等、国民に単に無理に押いつけているというような感じを国民はとつているから、もつと国民に経済事情を理解させるような必要がある、ただ聞くもで、上からただ引締めているような感じである、これのもつと啓蒙運動を起してくれ、こういう要望がございました。それから金融引締も画一的でなく、もつと選択的な弾力性を持つた運用にしてもらいたい。画一的な引締は無駄なものを整理するばかりでなくて、育成を要する企業も倒産に瀕しているような危険がある、それかために通常の預金を減らして、箪笥預金もだんたん増している、こういう傾向がある。それからこれは北海道で申しましたが、輸出増進のためには、相手国を自由選択できるようにして欲しい。特に中共、対ソ貿易を自由にしてもらいたい。これは特に東北、北海道は、従来の取引の関係がございました関係上、特に強い声として叫ばれたわけでございます。それからちよつと重複いたしますが、現在の国情をもつと国民に認識させるための精神運動を起したらどうか。それから最後に国策を強力に推進するために、中央の政局も一日も早く安定して、強力な手を打つてくれ、こういう要果でございました。  以上概略的に申上げます
  19. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは大川君。
  20. 大川一司

    説明員(大川一司君) 今、今泉審議官から申上げた通りでありますから、省略いたします
  21. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは何か東北関係について御質疑はございませんか。
  22. 奥むめお

    奥むめお君 三回の御報告の中に、まあ同じ言葉があつたが、物価引下げための消費規制方策というお言葉がごさいましたが、それはどういう内容でございましようか、具体的におつしやつて頂きましたら……。
  23. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) これは聞く人によつていろいろな思惑があるようでございまして、例えば経営者のほうから一言うと、こういうデフレになつて、片一方においては失業という問題が起きながら賃上げを組合のほうが要望し、而も賃上げをやつている所がある。甚だ矛盾するじやないか。そういうベースアップということは断固としてやめるべきじやないか。ベースアップをやるだけの財源があるならば、失業者を出さんようにやるべきじやないか。ベースアップをやるから購買力を殖やして物価に響いて来るのだ、決して今こういう現状においてベースアップをやることはもう労働者のためにもならんだろう、こういう経営者の面のほうからは要望があつたわけであります。そのほか全般としてやはり特に国会の声のほうが強いのでございますが、今一番苦しんでいるのはやはり中小企業だ、中小企業にしわ寄せされているけれども農村農村の、つまり米価にしたところで、麦価にしたところで、これは殆んど半ば統制価格のような面であつて、それについては殆んど手がつけられない、金城鉄壁だ、農村経済方面に全然手をつけずして、そしてほかのほうの価下りといいますか、流通部門でだけの値下げ、それで倒産というと中小企業が困る、こういうことは片手落ちじやないか、もつと農産物価格の引下全般について努力すべきじやないか、こういう声でございます
  24. 小林政夫

    委員長小林政夫君) そうすると消費規制ということは労働者、勤労者及び農民の購買力を今以上殖やさない、殖やすなということだけの内容を持つたものですか、
  25. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) そういう批判はございましたが、もつと具体的にどうしろということは皆さんから申としては聞かなかつたのですが、恐らくはもつと深く何かもつと積極的な手を打つて、つまり貯蓄運動みたいな精神運勅を起すか、或いはもつと根本的な手を打つとすればやはり切符制とか、そういうことまでやれというのか、その辺の声はわかりませんが、単に消極的に賃上げをやめるというだけではなくて、もつと積極的な方策を講じて物価抑制策を講ずべきじやないかという、具体的な方策は示されませんが、もつと消極面ばかりでなくて、積極的な手を政府は打てというふうに聞いて参つたわけであります
  26. 大川一司

    説明員(大川一司君) 今今泉さんからお答えの通りでございますが、一点補足させて頂きますと、消費規制というよりむしろ貯蓄運動ということに重きを置いた発言相当ございました。他の一点は小売物価引下げるように国民的な運動を起してはどうであろうか、曾つて奥さんが御熱心になさいましたようなものを意味しておつたのたと思います。補足までに……。
  27. 奥むめお

    奥むめお君 それはどういう事情を、調査にいらしたというのが、何かお話を聞いていると何か非常に政府が言うようなことであつて地方で誰から聞いていらした言葉だろうかというふうな気かするのです。例えばそういう問題でも貯蓄をしなければならんということを誰が一体言うのかというのです。それから例えば労使三年の休戦というようなことを、誰がそういうことを言うのか知らん、若し資本家がそういうことを言うのか、労働組合もそれを願つているのかということが私どもから言うといつでも人間社会全体の声が聞きたいので、そういうことを具体的にどういう内容を持つているかということと、誰かそれを言うているのかということを社会全体の層として、公平に見て、どこらの声であるかということを知りたい、そういうことが私も非常に必要だろうと思いますけれども、今の時世でそれが行えないということにつきまして、あなたがたが調査していらした対象ということがどこにあるかということを、関心を持つているのはそういう意味で考えているわけなんです。
  28. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) 先ほど葦澤審議官から申上げました通り、まあ極めて短い期間に第一義的の調査をするということの関係上、大衆を集めて大衆の前で聞くとか、そういうようなことをいたしておりませんので、農業関係についても遠く北海道については農業関係団体の代表者といつたようなかたは見えましたが、面接農民の声、直接消費者の声、直接労働者の声というような点は聞くあれがございませんので、今申上げましたのは大体商工会議所関係が各界の代表として選んでくれた人たち、それから公正な見方としては金融機関とか、出先の官衛の長がいろいろなそいうことをやつた結果によつてこういう声があつたとか、直接的ではございませんが、そういつた官衙の長あたりが近く会つてしよつちゆう見たり聞いたりしていることを私たちにまとめて伝えてくれた、そういう意味においては間接的に農民の声も労働者の声も入つていると思いますが、併しこれは飽くまで間接的でございまして、直接的に農民の声が集まつたとは申しませんので、そういうふうに御了承願いたいと思います
  29. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 中部地域に移ります。山村君、宮前君御両名が中部地区、特に名古屋方面中心調査されております
  30. 山村章

    説明員(山村章君) 私山村でございますが、小部地区は私と宮前審議官が参りましたが、便宜私から御報告をさせて頂きます。  名古屋を中心とします中部地区調査は大体今泉審議官と同じように極めて短い僅か一日で広汎な方面調査をしたのでございまして、いろいろな面でまだ調査の徹底していない面もございますし、今から又逐次進めて行きたいと思つておりまして、或いは皆様方の御希望に副わない極く概括的なものであるかもわかりませんが、一応御報告を申上げます。  中部地区は御承知のように名古屋を中心にいたしまして繊維生産が最も多いのでございます。大体毛織物、陶磁器等の生産は全国の七、八割を占めております。その他紡織機とか、綿織物、自転車、車両というようなものが多いのであります。従つてこれらの面に及ぼしております影響もかなり強いのでありまして、大体東京大阪方面と歩調を一つにしまして二月頃から逐次この流通面と申しますか、御問屋そういう流通面に影響が現われております。そうして四月、五月頃まではまあ生産はそう下つておらなかつたのでありますが、五月の頃から生雑面にも逐次影響が及んで来ているようでございます。例えば毛織物は五月末には本年の初めから比べますと大体五割程度操短をやつているようです。それから綿布、木綿、そういうものも大体半分以下ぐらいに操短をやつているような模様であります。それから名古屋地区生産だけでも陶磁器、或いは自転車工業、そういつたようなものも逐次内需が不振であり、又東南アジア方面輸出も思わしくないので逐次生産を制限しているような状況になつております。従つてこの生産制限をやりながらもなお且つ最近では生産者の在庫がだんだん殖えて来ているというような状況でありまして、主なものを取つてますと、例えば生糸関係は一月に比しまして五月は大体倍程度のストックを持つておるようであります。それからスフ糸あたりは四倍のストックになつておる、織機類が六割の増、ミシンが五割の増、電動機が五割程度の増という工合に在庫か殖えております。逐次生産を制限しつつもなお且つ在庫が殖えておる、こういうような状況が見えております。  それからこの金融引締影響もかなり深刻であります。特に中京地区は大企業もございますが、中小企業がかなり多いのでありまして、これらに対する金融引締影響はかなり強く現われておるようでありまして、例えばこの中小企業に対する融資の状況を見てみますと、商工組合中央金庫の貸出残高は昨年の十二月に比べますと、今年の五月は一割三分ぐらい減つておるわけで、中小企業に対する金融の何と申しますか、圧迫がかなり強いということが見られるようでございます。なお不渡手形の発生等も毎月殖えておるような状況でございます、併し御承知のように中京地区は従来何と申しますか、各企業の経営がかなり堅実でございまして、資本の蓄積もほかの地区に比べます相当何と申しますか、良好なんでありまして、本年の一月から六月までの繊維関係の整理企業数を見てみますと、一月から六月までに大阪が二百十、東京が百十、名古屋が七十というような程度になつております。又同じ期間手形交換高に対する不渡の発生状況を見ましても、手形交換高に対する不渡の発生割合は、大阪が一・一%、東京が同様の一・一%、名古屋が〇・八%という工合で、名古屋が元来かなり資本が蓄積されておつて経営がかなり従来から堅実であるというような状況が現われておるので、デフレに対する抵抗力は比較的強いというような状況が見られるのであります。併し先ほども申上げましたように、中小企業がかなり多いのでありまして、それらに対する影響はかなり強く現われておるのでありまして、本年の上期から廃業する事業所というものがかなり殖えております。前年同期に対しまして、本年一月から六月までの廃業事業所数、これを前年同期に比べますと、大体一割程度殖えております。特にそり中でも紡績業或いは卸業、そういうものの廃業数が目立つておる、而もそれらの廃業数の従業員は非常に少い、大体三十人以下というようなものが非常に多い、従つて中小企業に対するデフレ影響が非常に深刻であるということが見受けられるように思われます。又雇用とか、失業面につきましてもその影響は三月頃から逐次現われておるようでございます。例えばガラ紡だとか、毛織物、或いは染色工業といとような中小企業の一部から逐次大企業へ波及している。新規採用を途中でやめたり、或いは人員整理をやる、或いは時帰休制度をとるとか、二流繊維商社あたりが支店をやめるとか、出張所を整理するというような関係で、人員整理をやるのが逐次表面化しておるようでございます。なお大企業につきましても、最近は逐次賃下げだとか、臨時工の整理というようなものが殖えておるのでありまして、例えば名前を挙げて申上げますと、豊田自動織機というのがございますが、これは最近一割三分の賃下げを実施しております。又名古屋市内の大同製鋼等につきましても、又大隈鉄工所等につきましても臨時工を整理しております。それから名古屋にあります渡辺製菓と申しますか、ああいう大きな製菓会社につきましても、従業員の二割五分、四百十六名の整理をするというような実情でございます。いずれも過剰人員を抱えて、而も生産を縮小してデフレをどうして切抜けるかということについては、かなり積極的な対策に乗出しておるように考えられる次第でございます。  大体中京地方デフレ滲透状況と申しますか、影響は以上のようでございますが、これらに対していろいろ民間側からの希望なり意見なりがあるのでございますが、それらの点について民間からの意見というものを一応私ども取りまとめて見たのでございますが、その主なものについて申上げますと、デフレ政策も或る業種については相当限界に来ているんじやないか、今後金融一本槍で締めて行くのは相当壁に突当つておる。今後は金融引締め、今のような量的一本槍でやるのでなくて、おのおの目的をきめて、例えば輸出振興だとか、企業の合理化だとか、そういう面についてはそれぞれに一つ考えて積極的にその方面を伸ばすというような方向へ是非向つてもらいたい、少くとも、そうして明るい、先の見通しと申しますか、先に希望の持てるようなやり方をやつてもらわないと、ただ金融一本槍で締められるだけでは、特に中小企業あたりは資金面も非常に逼迫しおるし、又なかなか金融と言つても中小企業に対する合理化資金等は非常に出にくい、そういう面から言つても非常に困つておる。今後は特に伸ばす面について積極的に考えてもらいたい、こういうような希望が中小企業あたりから非常に多うございました。  それから輸出の振興についても、中共貿易あたり、もう少し方針をはつきりして、英国なり西欧あたりは相当つておるのに、日本については何だか中央の方針がはつきりしない。これは名古屋だけでなくて、中国地方も九州地方も皆ありました。中共貿易にかなり期待を一般に寄せておるようでございますし、又貿易振興につきましても、現在の貿易振興に関する助成は非常にもの足りない、もつと積極的にやつて、国内で生産されたものが国内で消費されず、国外に貿易で出て行くようなルートをもつと強力に作つてもらわないと、勢い国内に流れざるを得ないじやないか、というような意見が非常に強うございました。  それからいろいろございましたが、例えば重油の消費規制などについても、政府政策がどうも一貫していない、特に中京地区では陶磁器とか鉄鋼とか、重油を相当使つておるのに、又これを消費規制をされるというようなことでは非常に困るんで、どうしても或る程度見通しをつけた総合的な施策を考えてもらいたい、こういうような意見が強うございました。  なお輸出関係業者からは、これは新聞紙上にも出ていますが、英国のポンドの交換制の実現が近いじやないかというようなことが新聞に出ているものですから、今後日本の円というものはどうなるんだ、円レートを堅持している堅持していると言つておるが、併し政府はいつもそう言つていて、土壇場になつて切下げをやるというようなことがあるので、輸出業者としては非常に困る、それらの方針についてもつ確固たる方針を一般に十分周知せしめてもらつて、円レートを堅持するなら、こういう方向で堅持して行くんだからという安心感を与えて一つつてもらえば輸出商社としても十分協力してやつて行くつもりであるというような意見もございました。  時間の関係もありますので、私からはこれぐらいで……。
  31. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは中部地域について何か御質疑はございませんか。  それでは近畿地域に移ります。近畿地域葦澤君と宮前君と二人で調査されたものですが、宮前君。
  32. 宮前憲三

    説明員(宮前憲三君) それでは大阪地方におきまする概況を便宜私から申上げたいと思います。  先ほど来お話がありましたように、調査の時間が極めて限られておりまして、その点の制約から十分な調査もできず、なお今後若干調べて見たい問題もございますが、取りあえず只今まで調べましたところで御報告申上げたいと思います。七月の三十日でございましたが、午前中各官衙の長に集まつて頂きまして、午後から商工会議所業者かたがたからいろいろお話を伺つたわけであります。丁度当日日本患者同盟でごげいますか、あれの座込みに遭遇いたしまして、急遽会場を変更いたしまして国際見本市会館のほうへ参りましたものですから、午前中の会議は若干時間がずれまして、大体主な官衛は御出席下さいまして大阪の状況につきましていろいろお話を伺つたわけであります。で、大阪地方状況は皆さんも大体御承知の通りだと思いますが、私どもの気の付きました点といたしましては、まあデフレ影響というものがここ一、二カ月の間に急に深くなつて来てはつきりと現われて来た。こういうことを申しております。数字を挙げるのも甚だ恐縮でございますので簡単にいたしますが、金融引締の効果といつたふうなもの、即ち商取引の減退というものは割引手形の減少とか、或いは手形交換が不活溌になつておるとか、不渡手形が非常に殖えておるというふうなところに現われております。一方先ほど山村審議官からの御説明のありました通り生産のほうは或る程度つております。そうして成る程度つておりますが、最近ではやや下つたのではないかいうふうに考えられております。在庫がそれに伴つてだんだん殖えまして五月が戦後の最高に達しておる。一方事業の休廃止の関係は一月四百くらいであつたものが六月には千件にもなつておる。離職者の数も一月が三千三百くらいでありましたのが六月が七千九百くらいになつておるというふうにだんだんと深刻化しておるようでございます。併しその傾向の中にもいろいろでこぼこがございますが、繊維、商社並びに中小企業というものが一番デフレ影響をひどく受けておるようでございます。特に注目すべき点は、これはまあデフレ影響だけに限らないかも知れませんが、尼ケ崎製鋼とか、中山太陽堂とか、或いは五綿八社の一つに数えられております岩田とか、丸栄とかいつたような企業、これはまあ比較的堅実だと思われておつたのでありますが、こういうものが整理に入つたということで非常に商取引における不安というものが増大しておるんじやないかというふうに見られておるようでございます。この心理的の不安の問題につきましていろいろお話伺つたのでございますが、いろいろ新聞に出ます、それがまあ大阪のことでございますから直接ぴんぴんと響くわけであります。例えば一時デフレの手直し論というふうなものが出て来ますと、大阪の商人としては何かしらこれはいいことがあるんじやないか、全体の感じといたしまして非常に苦しい、真暗なトンネルの中へ入つておる、何か出口がないかとみんなで探しておる、そこでまあデフレの手直し論というのが出ますと遥か向うの彼方に何かこう出口がめつかつたんじやないかというふうな気持を与えるというふうなことを申しておられました。それから又これは非常に具体的な、例に挙げるのもどうかと思います。例えば不安の状況と申しますと、今日は一つ、中小企業あたりで運動会、レクリエーシヨンをやるために店を閉めたということになりますと、あそこはいよいよ整理して店を閉めるんじやないか、そういうふうなデマも飛ぶといつたふうなことでございます。それからこの聞一万田さんが参られましていろいろお話になつた点などにつきましてもいろいろと財界方面影響を与えておるようでございますが、例えばその際に繊維はこれ以上下げさせないのだというふうなことを言われるということが今のトンネル出口論の一つになりまして、何か少しいい希望が見えて来るんじやないかというふうな感じを抱かせるというふうな具体的な話をしておられました。全般としてデフレ政策というものを進行することについては、これはまあ止むを得ないだろう。で、その結果いろんな影響が現われて来るのでございますが、業界がこれについて十分な受入態勢を持つていなかつた。それから又金融の量的引締ということで主としてやられたというので、卸売物価が下るとか、輸出がよくなるとか、国際収支が若干よくなるというふうな面で好影響が現われておりますが、又いろんな副作用も現われておる非常にたくさんの例を挙げておられましたが、先ほど申上げました企業整備だとか、離職者の数がだんだん殖えておる。それから健全な企業でも倒れた企業に関連いたしましてそこで倒産の危険が殖えて来る。それからこれは各地に見られる現象でありますが、企業というものが、どうしても下請乃至その他の中小企業ヘデフレのしわが寄せて来る。そういう点が非常に困つた点ではなかろうか。  それから又卸売物価、これの下落でございますが、これも大体在庫の払出しによつてつて来ておるのだ。従つてコスト引下げというものはむしろ余り進展していない。操短などをやると却つてこのためコストアップになるというふうな部面も若干現われておる。それから消費購買力というものが隠然としてあるように思われる。従つて消費者物価というものが殆んど下つていない。それから各方面のアンバランスは、先ほど今泉審議官説明していましたが、農業とか、鉱工業、商業、各部門でデフレ影響が非常にアンバランスに現われておるのではなかろうか。それから又国際価格に比べて高いものも低いものも、これも一律に影響を受けておるというふうな点は如何であろうか。それから輸出面で若干伸びておりますと申しましても、金詰りから海外に投げておるというふうな点も見られるのではないか。殊に中小企業等について更に言われます点は、金融機関が非常に選別融資を強化する。従つて金融のコネクシヨンのないものかだんだん脱落して、日陰の企業と日向の企業というものの差が更にいよいよ甚だしくなつて来るのではないか。従つて今後デフレをこのまま進めるにいたしましても、そういつた点を考えながらやりませんと経済的にも社会的にもいろいろなフリクシヨンが生ずるというので、その辺の点を総合的な見地に立つて一つ考える必要があるのではなかろうかというふうな考えでございまして、具体内な意見といたしましては、例えば金融引締の速度というふうなものもいろいろな影響を示す指標、つまり物価指数でありますとか、企業の整理の数とか、在庫がどうなつおるかということをいろいろ考え合せながら必要に応じて緩急をよろしく調整してもらいたいというふうな意見が出ております。  更に又中小企業の犠牲というものを最小限度にとめるために強力な中小企業の対策の手を打つてもらいたい。それには具体的な話はなかなかむずかしうございましようが、優良企業を例えばかばつてやるとか、或いは問屋商社等の倒産による連鎖倒産というものを避けるために何らかの措置を講ずるとか、或いは必要な業種に中小企業安定法の発動を行なつて過剰設備の買上げというふうなことを考えて見たらどうか。或いは止むを得ない操短等についての資金の融通を考えてもらいたい。或いはこれは官需等につきましてもできる限り中小企業のほうへ発注してもらいたい。  それから課税、税金の問題でございますね。これらにつきましても特に中小企業には実情に即して考えて頂けないか、こういう意見でございます。  それから物価の問題でございますが、これにつきましては物価政策というものを検討いたしまして国際物価に比較して割高であるものについては特にコスト引下げについて積極的な合理化をやらなければならないが、併し綿、繊維関係等で国際並みのものにつきましてはこの際何らか価格の安定の方途を講じてもらつて、先行きの不安とか、投げとかいうふうなものがないようにしてもらいたい。それからまあ輸出ダンピングの傾向があるのでございますが、これには指定商社制をとるとか、チエツク・プライスをやるとか輸出組合を作るとか、そういうふうな措置で何らか対処する方法を考えてもらいたい。労働問題の悪化という点が非常に心配せられておりますが、現状におきましては非常な悪化ということはございませんが、先行きのいろいろな問題がございまして、将来大きな問題になる余地がある、この辺からでもデフレ政策が非常な進行上影響を受けますので、ここで何か一つ大きな手を打つて、それを解決する方法をあらかじめ考えておいてもらいたい。こういうことでございました。それからまあ輸出の促進につきましていろいろ御意見伺つたのでございますが、その中に、これはまあ全般に関連することでございますが、余りにも経済のやり方というものが無計画ではないか。何か計画経済というと少し言葉が過ぎますが、一種の目標みたいなものを作りまして、それによつて何かの目安を作つて行く必要があるのじやなかろうか。例えば輸出品の価格につきましても品種別にコスト引下げの目標というものを作つて、それによつて合理化の施策というものを考えることといつたふうなことができないだろうか。更に雑貨とか農水産物、軽機械、そういつたふうな将来性があるというふうに考えられるもの、まあ国内の原料を主として使うもの、これの育成の措置を強化すること、或いは輸出カルテルの結成、指定商社或いは輸出の共販会社制等によりまして価格の安定を図るというふうな措置を考えてもらつたらどうかということを言つておりました。  それから商社の問題に多少関連いたしますが、商社の整理統合の問題でございますが、これはまあ一万田さんがこの間来られまして整理統合ということを非常に言われた。まあこれは議論としては非常に結構なのでありますが、大阪の商社というものは非常に歴史的な伝統を持つており、従つて一律にこれを整理統合すると言つてもなかなかむずかしい。商社の歴史的な伝統というものを或る程度考える必要があるのじやないか。戦時中に大建産業と申しましたか、二村ばかり商社を統合して新らしい会社を作つたところが、中の経営は全く別々な計算で行われておるようなことになつて、戦争が済めばすぐ分れてしまつたというような前例もあることだから、両社の育成というようなことも大阪は古い商社なんか多いのですから、その辺のところもよく考えてもらいたい。こういうことであつたようでございます。  以上が大体の意見でございますが、そのほか懇談会に出ました主な意見を若干申上げますと、大阪の特徴といたしましては、先ほど申上げましたような点がございますが……。
  33. 小林政夫

    委員長小林政夫君) ちよつと待つて下さい。三時から官邸で経済審議官会議があるので、企画課長と次長がそちらのほうに行かれ、又葦澤審議官もそつちに行かれるそうですが、各地を見られたかたは一人ずつは来られる。次長及び企画課長の退席の前に何か注文があれば……次長にお伺いいたしますか、今日の三時からの会合でこういう各地の調査の結果を長官等にも報告されて、明日の午後長官のいろいろ今後の経済政策等についての意見を聴取するわけですから、そのときにはこれら現地調査の今いろいろ審議官から述べられた民間の要望等については十分織込んだ上での対策として拝聴していいわけですね。
  34. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 大臣は御報告申上げますが、明日おいでになつてその質問をお聞きの上で御答弁があると思います
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 二、三日前の新聞でしたか、新らしい経済政策、とにかく計画化された経済をやるんだというのでずらつと作文が出ておりましたが、あれは一体経済審議庁のほうで何か試案としてお作りになつたものですか。どうも新聞で知つたんでちよつとあれですが……。
  36. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 新聞等で経済政策と申しますか、いろいろ出ておりますが、新聞に出て我々のほうといたしましてはこれは与党のほうでいろいろお考えもあるように伺つておりますので、まだ我々のほうでは事務的に差当り今御説明申上げましたようにいろいろ問題もありますので、この点について事務的な検討をいたしておりますので、まだ成案を得たものはございません。従つて新聞等で或いは経済審議庁の案として出ておりますが、まだかようなまとまつたものはございません。今事務的にそれぞれの問題について研究をしておる段階でございます
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだまとまつたものが出てないが、何かここで以て少くとも二十九年度予算の編成の際に当つて、大蔵大臣なり経済審議庁長官なりが国会で以て説明をしたものと違つた政策をとらなければならんということは考えられておるのですか。
  38. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) その点は大臣、或いはその上のほうで如何なる御判断でどういうふうな政策をお取極めになるか、まだその辺伺つておりませんので、その辺の御質問でしたら明日大臣がおでましになりました際、一つ大臣から御答弁を聞いて頂きたい。事務的にまだはつきり結論を出しておりません。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく研究を命ぜられて何かを、お作りになつておるんなら、そういう下心が大臣のほうにあるからおやりになつておるのだから、何もないで以てその試案を作つておるはずはないと思う。どうですか。
  40. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) お話のようにいろいろ今の政策を施行して参りまして、影響相当出ておりますので、まあそうした点の実情をよく調べた上で、いろいろ民間のほうの意見を承わつて、又地方に参りましていろいろ実情を調査しておるわけでございます。その結果相当方面影響が出ておる点もございますので、それから又積極的にこうした民間なり地方からの政府に対する要望も出ておりますの行れその辺について何らか新たな手を考える必要があるかどうかというような点を検討いたしておりますお話のように考えといたしましては何か新らしい構想と申しますか、手を打つということに相成るかと思いますが、その辺はまだ事務的にどうするというふうには決定はいたしておりません。今ここでちよつと御返事をいたしかねるわけであります
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは事務当局としてのお答えを願いたいのですが、今経済審議官の諸君から地方報告を聞いておりますと、まあ大体同じようですが、それと今の何か新らしい方策をとるお考えの下にその試案の作成をやつておられるのでありまするが、そこでこういう状況が進んで来ると、これは相当急いでやらなければならん、まあ政府のほうで臨時国会を開かんと言つてつて、十二月以降の通常国会まで持込むつもりらしいが、あなたがたの考えとしてそういうような若し案が急いで施行されなければならない事態にあるとするなら、これはやはり国会を開いてそれらのものを審議する必要があると思うのです。そういうふうなことは、事務当局としてはそういう必要はないとお考えであるかどうか。(「それは無理だよ」と呼ぶ者あり。笑声)
  42. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 非常にむずかしい御質問で、ちよつと臨時国会の問題でございますと事務当局から御答弁をいたしかねますが、いろいろ今の問題にいたしましても、例えば金融の問題でありますとか、国会が開かれるまで一切新らしい手はないというわけでもないと思います。国会開会につきましてはこれはいろいろ単なる事務的な見解だけではなくて、いろいろ政治的な御判断もあろうと思いますので、我々事務当局といたしましても国会のほうの問題はこれは上層部のさような御判断に待つわけでありまして、若しその前に今お話のように取急いで何らかの手を打つ必要があれば、国会の手続を要しない部分につきまして先ず先に何らかの手を打つというふうに考えるべきだというふうに考えております
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 じや行政措置で至急やらなければならん案だけを先ず第一次のものとして目下考究しているのですか、それとももう少し全体的なものを考究しているのですか。
  44. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) その点は考えておりますのは必ずしも国会を要するとか、或いは国会を要しない範囲内でできるとかいうことの区別なしに、この際何か手を打つ必要があるかどうかということを先ず実体的に考えまして、そのうち行政的にだけできるというものと、立法その他の措置を要するというものと二つ出て来ると思いますが、その点は包括的にと申しますか、そういうことで考えております
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく二十九年度予算の審議の際にはこういう結果は現われないはずの説明つたのですが、現われたところを見ると、結局二十九年度予算の施行の際に大蔵大臣なり審議庁長官なりの説明した財政経済政策が行詰つたために新らしい政策の転換を要する、そのために慌ててやつておるのだ、そういうふうに解釈してよろしうございますね。
  46. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 只今いろいろ考究をいたしておりますのは、今までたびたびお語いたしましたように、差当り現在のデフレ政策が滲透して参りましてその影響という点もございますし、それから又今後もう少し長い眼で考えましてデフレ政策自身が目的でありませんので、経済の安定或いはその後の発展という問題もございますので、それら併せて考えておりますので今直ちに国会の開会におきまし立法的な措置その他をとらなければならんというふうにも考えておりませんので、今事務的に検討いたしておりますのはもう少し差当りの問題もございますし、もう少し先の問題と併せて考えておる次第であります
  47. 八木秀次

    八木秀次君 長官にお伺いするようなことは今は伺いませんが、委員長から審議官に何か注文でもあるかといつたようなお言葉がありましたので、先ほどからの御説明を承わつた所感を査ちよつと申上げておきます。  各地区でのことをお調べになりましたので大体予想したお話ばかりと申していいかも知れません。予想外のことは殆んど出なかつたと思うのであります。もうそういう実情は財界ではもう常識になつているのじやないかと思う。それでいろいろな機会に私も只今お述べになつたような各方面意見を聞きますが、いつも感じますことはこれは経済界の人が、ということでなく、日本人が、ということであるかも知れませんが、言論界、例えば新聞、雑誌、ラジオ専守で述べられるとそれをおうむ返しをする人が非常に多いのです。ですから多分各地方においでになつて同じようなことを言われるのではないか、みつちり考えてないかの感じがするのであります。それで練達な審議官が各地方においでになつて意見をお聞きになりますと、何か反問し、問返したくおなりになつたことであろうと思うのであります。こういうふうに言われた、そこでこういうふうに聞き直して見たが、それでこういう意見が出たというふうなことをさぞかし繰返しなすつたと思うのでありますが、先ほど来時間がありませんからそこまでお話がなかつたのですが、聞いておつて今一息突つこんで頂きたかつたという感じがいたしました。お話の中から例をとつて申すのは……、ちよつと思い付きを申しますと、まあ例えば貯蓄を奨励して購買力を規制する場合購買力が少くなれば物価が下るというのは自由取引の観念であると、当然その通りでありまして、それだけ聞けばその通りです。ところがこれはいや貯蓄ばかりではない、小売物価を下げるということであるという追加の御説明があつた小売物価が下ればつまり物価は下り得るわけです。これもそれだけ、その言葉だけに関しては尤もである。そういうことがどうも多いのでありますが、例えば金融引締によつてのみデフレ政策をとつておる、これがどうもよくない、お話通りで、誰でもそう申します。それではコストの切下げにも生産合理化にもなつていない。その通りです。ところが購買力を何とか規制すればデフレの効果がありましようが、購買力規制によるところのデフレの結果というものはそれだけで果してコストの切下げであるのか、生産合理化ができておるのか、こう反問したいのです。やはりその点では同じく実際にコストの切下げにもなつていない、購買力のほうはつまつて来るので業者は苦しむだけです。小売物価を下げるにしても購買力を削るにしてもそれは中小企業の利潤を下げろということになつて来はしないか、ところが片方は中小企業にしわ寄せが来ている、中小企業をどうするのだ、恐慌状態にもなりそうだと言いながら購買力はただ少くすればいい、小売物価を何とか強制的にも下げればいいという、こういうことは中小企業を圧迫しろということでそこらは互いに撞著する意見である、ですから意見をお聞きになつたときにこういうことになりますが、ということを反問をして、それに対してどんな意見を各地の人が出されるかまで聞いて頂きたかつた感じがするのです。  で私ども今の問題は先ほどの御説明の表面のところではなくして、そのもう一段底のところを考えたいという感じがしておつたということを申上げたい。審議庁審議官かたがたとしては勿論私ども以上にそういうことがおわかりかと思いますので、承わつたところでは何か上をずつと撫でたような感じがいたしましたよというだけであります。甚だ失礼を申上げましたが、そういう所感でございます
  48. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは次長は明朝経済白書等について御説明をしてもらいますし、今八木委員の言われたような印象、今後の見通しですね、上説明を聴取するわけですが、八木委員の今お話になつた意見は我々も同様な感じがするのです。なお部内においてよく御柳討の上明朝及び午後には説明に当つて頂きたい。今日は御苦労様でございました、今の三人のおかた。  それでは宮前君途中でやめておりましたが、続けてもらいます
  49. 宮前憲三

    説明員(宮前憲三君) 商社の問題でございますが、大阪に関する限り商社の合併というふうなことよりもむしろカルテルというようなものを作りまして、それによつて輸出の統制を図るというようなほうがいいので、無理に合併しろといつてもそれは事実上別離な部面が多いというお話がございました。  それから先ほどお述べになりました点にも関連いたしますが、コストの低下という問題は非常にむずかしい問題でございまして、これについての感じといたしましては、直接の労務費をこの際思い切つて切下げるというふうな点はまあ非常に困難じやなかろうか、それ以外の間接費の部面について相当節約すべき部面があるように思われる、そこを先ず重点的に手をつけるということのほうが早道ではなかろうかというふうな意見がございました。  で最後にまとめた感想といたしまして副会頭から述べられた意見を御紹介申上げて見ますると、経済の第一線というものはまあ暴風圏に入つたように感じている、政府筋の感覚とは少しズレがあるように思うと、こういうお話でございますが、まあ実務に携わつておるおかたはその通りであろうと思いますが、倒産もだんだん殖えおりますし、鉄鋼、繊維、商社、いずれもだんだん悪いと、このまま放任すれば八月には本当の危機が訪れて来るのじやなかろうかというふうな予感もする。又今のお話でございますが、今の物価引下げ方法論という点につきましては、結局現在のやり方が一応単に先行きの不安と投げだけである、要するに購買力相当待機しておるのだ、従つて物価が一応底をついたときには待機しておる購買力が解放せられるのじやないかというふうな観点からいたしましてやはり真先に先ず購買力の抑制措置、例えば貯蓄奨励といつたふうなことをこの際根本的に考えて見るべきじやなかろうか。今までのような一律一体の金融の引締では優良企業も非常に危なくなつて来る、金融の質的な統制というふうなことまで考える必要がある段階に来ておるのじやなかろうか、こういうお話でざいました。  以上、甚だ簡単でございますが、一応御報告を終らして頂きます
  50. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは次は中国地域に移ります。山村君。
  51. 山村章

    説明員(山村章君) 中国地域デフレ滲透状況を簡単に御説明申上げます。いろいろ重複している点もございますのでできるだけ端折りまして各地区の特色だけをかいつまんで申上げたいと思います。  中国地区は御承知のように工業活動が集団しておる地帯が少いのでありまして、主として農村経済を背後に打つておる地方が多いのでありまして、従つてデフレ滲透状況も大阪地方あたりに比べますとかなりずれております。大体ニカ月程度遅れて逐次まあデフレ影響が波及しつつあるというような状況で、一般に中京或いは北九州、大阪辺に比べますとまだかなり、どう申しますかそれほどデフレデフレと言うてその影響で騒いでいるというような状況ではなく、比較的落ちついておるように見受けられました。特に岡山なり、或いは鳥取、島根というような方面は主として、農村経済の地帯でありまして多少この農機具その他の売行きが悪いとか、或いは代金回収が悪いというような意見はありましたのですがが、工消地帯のように非常に困つているといような状況ではございませんでした。ただ広島地方、それから山口の一部宇部地方は御承知のように出炭地帯でもあります。又広島地方は三菱の造船所、或いは鉄鋼関係のかなり大きいものもございまして、こういうよな方面についてはよそと大体同じよ、な傾向が現われておるように見受けられました。ただ併しその程度も例えば石炭等についても北九州地区ほど急激に深刻に来ているというような状況は見受けられませんでした。併しやはり或る程度はごの面についても現われておる。例えば山口の宇部炭鉱地帯では昨年の五月に炭鉱が七十一カ所ばかりあつたのでございますが、出炭をやつております炭鉱か七十幾つばかりあつたのが、本年五月末には五十に減つておるんであります。それから労務者も大体昨年の五月から比べますと一割七分程度すでに整理されておるというよ、うな状況でありました、その他例えば中どころの紡績関係につきましても、或るれ度人員の整理が行われておる。例えば忠海にある中どころの紡績工場はすでに閉鎖をしておるというような状況もところどころに現われておるようでございました。この生産面に対する影響もかなりずれて現われて来ておるのであります。二、三カ月は大阪あたりから見ますると、遅れておりますが、併しこれも逐次現われておるようでありまして、例えば広島地区は御承知のように縫針の非常な特産があるんでありまして、戦前はインドの他南米あたりに非常な輸出をやつてつたんでありますが、併しこれがやはり余りに設備を拡充し過ぎて、朝鮮動乱で非常に伸びたその反動で、昨年の十月以来のデフレの反動で今は価格がもうコストを割つている。  それでなお且つインド方面輸出も出ないということで整理する工場もかなりあるようで、非常に苦境に立つておるような状況でございます。  それから一つつた意見としましては、これは官庁から出ていたんですが、公共事業のセメント、これは御承知のように今度予算の節約で、公共事業か成る程度削られたので、同じ量をやるのにはどうしてもセメントの量が要るが、併しセメントはむしろ中国地方では六月が最高の生産を挙げておる。価格も非常に強いしこれらについて、このセメントについてはそういうような状況デフレ影響を全然受けてないというような意見がございました。  それからこれはいずこも同じかも知れませんが、証券業界がやはり非常に悪い。大体昨年に比べて月平均の取引高が本年に入つて半減しておる。証券業界はいずれも赤字で経営不振で、まあ対策に腐心している。こういうような状況であるようでございました。  それから税の面から言いますると、やはり多少現われておるんで、減額申請等が昨年に比べて三%程度殖えている。併し徴税面は相当ずれるので、今は影響は余り現われておらんが、今後かなり影響が現われて来るのではないかと思われる。こういうような状況説明しておりました、  それから輸送、運輸等の状況をここで聞いて見たのでありますが、例えばこれは東京、大阪と同じかも知れませんが、ハイヤーだとか、タクシーというものは大体一日の稼ぎ高が三分の一くらいに一つておるというような状況であります。トラックの輸送量も大体四割程度つておる。そうして非常に値引き競争をやつている。取引の決済方法も従来現金手形との割合現金のほうが多かつたのが逆転しておると、こういうような状況になつておるということでございました。  このデフレ状況はそういう工合に各地で違つておるのでありまして、中国地方は比較的デフレ状況に対しては敏感でない、相当ずれておる。今後併し逐次波及して来ると思われるが、今のところ金融もさほどつまつておらん。当地方の地場銀行は高率適用の関係、日銀からの借入がないんであります、従つて高率適用、金融引締による影響がそれほど来ておらん。それから又輸入金融のいろいろ制度廃止による影響もそれほど強くないというような状況で、金融機関の引締も勿論中小企業あたりはかなり来てはおるんでありますが、一般的に見て他地区ほど強くはないというような状況が見受けられたんであります。簡単でございまするが、御説明を終ります
  52. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは次に九州地域に関してやはり山村君に願います
  53. 山村章

    説明員(山村章君) 九州地区について簡単に御説明申上げます。  福岡を中心とします北九州地区は、御承知のように炭鉱の中心地でありまして、九州全体としては南九州は周辺に農村地帯が多いので、余りデフレ影響は受けておりません。併し炭鉱を中心とする北九州のデフレ影響は、すでに御承知のように非常に深刻でございます。炭鉱業は勿論のこと、これに関連する、或いは炭鉱機械、その他鉄鋼関係或いは九州地方の特産である博多織であるとか、或いは大島紬、そういう面にまでかなり波及しております。それから又農村は一般はデフレ影響が遅いのでありますが、北九州周辺の炭鉱周辺の農村には非常にかかる影響が現われており、副収入等が減つておるというような点に特色があつたようでございます。この炭鉱業に対するデフレ影響はもはや皆様十分御承知のことと思いますが、例えば福岡通産局で調べましたケースから見てみますと、北及び西九州炭鉱業界に所属しておる二百三十六社の炭鉱業についてこの未払が五月末でどのくらいあるかということを見てみたのでございますが、勿論賃金の未払が非常に多い、これが六月末までに九億七千万円くらいの賃金の未払がございます。ところが賃金の未払だけでなくて、その他あらゆる面で未払が溜まつて、全体としては六月末に六十一億程度の巨額の未払がある、例えば電力料金がこの二百三十六社について見ますと、二億五千万円ばかり、それから租税、公租公課か五億九千万それから資材の未払代金が三十九億、合せて六十一億程度の未払があるというような状況で、まあ炭鉱業が非常に金融引締め、又業況不振で困つておるというような状況がわかるわけでございます。北九州では主として炭鉱方面調査をいたしたのでありますが、例えば出炭状況を見ましても、北九州地区四月以降の出炭状況を見ますと、四月二百十万トン程度であつたものが、六月には百九十万程度に減つております。而も出炭の状況は、昨年は大手筋がかなり手控えておつたのでありますが、本年に入りましてから、むしろ中小炭の出炭が非常に減つて、大手筋のほうはむしろその比率は逆になつておるというような状況が見受けられます。それから又貯炭も四月以降は非常にふえております、本年四月大体、百二十万トン和度あつたものが、六月には百七十万程度にふえております。中小炭は約半カ月分の程度の貯炭を控え、大手筋は大体一カ月分くらいの貯炭を控えおるというような状況でございます。元来この北九州の炭鉱業は昨年の六月頃から或る程度いわゆる業況が不振であつたのでございまして、御承知のように災害だとか、或いは長期のストという工合で、昨年の六月から逐次状況が悪化しておつたのに。昨年十月にとられました金融引締めで、それに拍車をかけられたというような状況になつておるのでありまして、本年一月以降四月までに大体運転資金が、北九州の石炭の貸出高の中で運転資金が十九億程度減少しております。そういうような点が非常に響いて経営が苦しくなつたというような状況になつておるようであります。炭鉱の労務者の関係を見ておりますと、二十八年の四月、大体二十二万一千名程度のものがおつたんでありますが、本年の三月には十八万八千名、約三万三千名がすでに減少しておるのであります。昨年の下期は殊に大手筋が相当減員したのでありますが、最近中小炭鉱のほうにしわ寄せられまして中小炭鉱のほうの減員がかなりひどいというような状況になつております。で、こういうようなデフレ影響がかなり北州には強いのでありますが、そのまあ一つ原因、新聞紙上にもございますが、原因と申しますか、現象としては最初中小炭あたりから賃金の不払いを金券でやりくりするというようなことをやり出しまして、最近は大手筋もかなり影響しておる。金券の流通高か大体一億二千から三億数千万円ぐらいあるだろう。こういうような推測を福岡の財務局でございますか、財務局がしておるのでございます。これはデフレ影響一つである、こういうふうな話をしております。それから又炭鉱業についてはいろいろ社会的な不安と申しますか、治安問題と申しますか、非常に深刻な状況が現われておるのでございまして、学童が学校に行けなくて長期欠席をしておるとか、或いは弁当が持つて行けないとかいうようないろいろな話を聞くのであります。炭鉱業としてもコスト引下げとかその他いろいろの手を打つておるのでありますが、現在でもなお重油転換の影響もう強く現われておらん。このまま行けば中小の炭鉱及びそれに関連する炭鉱機械の製造業者、その他非常な不況に立つだろうという、こういうような意見が非常に強いのでございまして、それから失業が申上げましたように非常に植えておるので、特に北九州地区では失業対策を至急にやつてもらいたい、それにはまあいろいろと案もあるが、なかなか姑息な方法ではできないので、最も九州地区に適した失業対策としては、御承知のように鉱害が非常にたくさんあるのでありまして鉱害復旧をやつて頂くことが一挙両得だ、それによつて鉱害地は勿論山の中にもあるのでありますが、この食糧増産のできる水田畑地等が鉱害を相当受けておる、これを復旧してもらえれば食糧増産にもなり一挙両得だということで、県庁あたりかなり詳細に鉱害復旧によつてどれだけの失業者を吸収できるか、どの程度の金が要るかというようなことを調査しております。大体鉱害復旧は毎年やつておるのでありますが、二十九年度は大体十億程度の予算で国が七割持ち、炭鉱関係者が二割、自治体が一割ということで大体十億程度の資金でやつておるのでありますが、これを三十年度のものを繰上げて二十九年度で合して大体二十億程度のものをやつてもらえれば北九州地区としては今石炭鉱業の失業者が各地区に集団的に失業保険をもらつてただ食つている、非常な社会問題、治安問題、それを解消することができるので是非これをやつてもらいたい。こういうふうな意見が強うございました。  それからもう一つは、地方財政の問題でございますが、これも御承知のことと思いますが、佐賀県あたりは職員の給料の遅配をやつておるのでありまして、各県とも去年の災害、それから警察法の改正等でかなり二十九年度早早から自治体の財政は赤字が見込まれておるというような状況で、地方財政について是非一つ恒久的な財源の方策を考える必要があるという点が関係方面に強かつたと思います。  大体九州地区は以上のような点が主なものでございます
  54. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 何か御質問ございませんか、九州地区のことについて。今の、各地区を御調査になつた審議官報告を聞いてやはり私も八木委員と同じような印象を持つのですけれども調査に行かれるときに一応テーマをきめてこういうところだけは是非見て来ようというような調査項目といいますか、短期間調査なんだからそういうような準備はして行かれたのですか。ただどういうふうなデフレ政策の反響かと、こういうことで白紙で行つて各界の意見を聞かれたのですか。
  55. 山村章

    説明員(山村章君) 調査いたしますのには、ただ漫然と行きましても、期間も非常に短くありますし、十分調査が徹底しませんので、あらかじめ調査のテーマをきめましてデフレの湯透状況、或いは速度がどういう工合であるか、又輸出振興対策にはどういう方法をとつたらいいか、コスト合理化を図るにはどういう方法をとつたらいいか、或いは失業対策についてはどういう要望があるか、或いはその他現在の政府デフレ政策にとつては一般にどういう希望なり御批判があるというようにテーマをきめまして、これをあらかじめ関係方面に連絡をいたしておきまして、県庁或いは官庁あたりには必要な資料を整えておいてもらいたいということを連絡いたしまして、各審議官打合せをして調べております
  56. 小林政夫

    委員長小林政夫君) そうすると今日は大体概括的に特に特色のある点を報告してもらつたので、そういつた項目に基いての数字的な裏付等の、部内であなたがたが報告される報告書というものは別に作られるわけですね。相当詳細な具体的な……。
  57. 山村章

    説明員(山村章君) 資料は各地方から官庁なり民間からかなり数字の入つた資料を持つて帰つておるわけでありまして、それらについて内部といたしましては資料を整理しまして各地の状況をまとめ、そしてその結論として各地の意見はこうであつた、それに対して我々としてはどういう見解を持つておるというようなことをまとめまし、一応部内の資料を一括して御報告申上げるという行き方をしたいと方えております
  58. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それではそういう報告書がまとまつた一つ頂きたいと思います。  それで今日は特に中小企業庁の長官に出席を願つたのでありまするが、というのは、大体このデフレ政策のしわは中小企業へ寄るであろう、こういうこと長官にも列席をして聞いてもらつておけば非常に参考になるのではないか、こう考えて列席をしてもらつたのでありますが、北海道、東北或いは中国というような地点はデフレの滲透の速度等から言つて大した問題でない、中京地区割合資本蓄積があるのでそうひどい影響じやない、結局今の報告から考えると近畿地区と北九州、こういうようなことになるわけですか。その中小企業へのしわが寄つているという点ですね。これはしわが寄るであろうということは誰も考えているし、寄つているであろうとも思つておりますが、一体どういうふうに寄つているのか、その点少し具体的な御説明が願ええますか。
  59. 宮前憲三

    説明員(宮前憲三君) その点につきまして多少詳細な資料も持つておりますが、何分にも中小企業の実態というものが非常にとらえにくいという点もございまして、全体としてまとめで数字的に現わすということになりますと、非常な困難を感ずるというふうに関係官は申しておりました。具体的な細かい点はいろいろと長くなるかと思いますが、大体しわのより方は、これは大阪の例でございますが、国内関係に比較的比重の高い業種はどうなつているか、それから原材料を輸入する関係の企業は中小紡績であるとか、或いは中小ゴム、そういつたものはどうなつているか、それから製品を輸出している広幅織物であるとか、亜鉛鉄板、琺瑯鉄器、ミシンとかいつたようなものがどうなつているかというような点について具体的にいろいろと調べております。その他自転車工業或いは線材二次製品いろいろございまして、一々申上げることは煩雑でもございましようが、一般的に言いまして先行きというのは非常にむずかしうございますが、一般的に申しますと朝鮮動乱で非常に好景気に恵まれまして一段落のときに非常な痛手を受けている、従つてこれをしつかり直し得るような好況にはその後恵まれていない、その影響が今まで響いて来まして経営の基盤が極めてひ弱いものになつてしまつたということが一口で言えるかと思います。それから銀行の支持が非常に少い、殆んど手形割引で単名融資が見られないというふうなことから、大きな企業であります相当銀行の救済というふうなものが考えられますが、そういう救済融資も銀行からはもらえないというふうなことでございまして、企業の耐久力が弱い、銀行からの支持が少いということで先行き非常に不安を持つで、いる。殊に八月に財政資金の引揚げがあるという点で非常に不安を持つているようでございますが、この点につきましては若干引揚げが緩和されますので必ずしも先ほど申上げたようなひいことにはならないと思いますが、それと先行きに不安を持つている、こういうのが簡単に申上げれば申されることだと思います。各業種それぞれ特色があますので、なかなか一口に申上げることは困難かと思いますが……。
  60. 小林政夫

    委員長小林政夫君) じや記内さん、あなたのほうへ入つている最近の中小企業関係の状態及び中小企業庁としてこのデフレのここまでの事態に対して今後どうするとかというふうな点話して頂けますか。
  61. 記内角一

    説明員(記内角一君) 今経済審議庁のほうからお話がありましたけれども、中小企業に対するデフレ影響と申しますか、我々の承知いたしている範囲につきましてもそれぞれその影響の度合なり或いはあり方なりというものが違つているように存じております。ただ概括して申しますと、その第一は売行きが不振になつて来ている、従つて滞貨が生じ始めている、それから来る影響生産を縮小せざるを得ない、そうなりますと労働意等を整理して行かなければならない。そういうことがいわゆる一種の縮少再生産といいますか、生産態勢の縮小、この面から来る一つは事実上、例えば職員の首切り、或いは労働時間の短縮、それによる労務者の手取りの減少による不安というものを、労務者と一体になつている企業家との間の非常な不安心という面が非常に大きな精神的な圧迫になつて来ているという面がございます。又そういうことが事実問題として行い得ないむずかしさがあるというところが一つの大きな原因になつているかと思うのであります。  第二の点は、いわゆる金融問題であります。今言つたような従来相当膨脹した生産態勢から縮小生産のほうに入つて参りますから、今までの例といたしまして、いわゆる手形を発行して、これを泳いで来ておるところが、この手形の支払時期に、いわゆる生産を継続しておれば、その売上金で金で以て繋いで参るわけでありますが、縮小して参りますと、その前に発行した手形を十分カバーするだけの現金が手に入らない。そこから来る既存発行手形に対する不安というものをそれを金融機関に求めましても、金融機関が店を縮小して、金融機関自身も戦線を縮小しておりますので、これが手に入らない。まあこの三つに集約されて参ると思うわけであります。  で、第一の点につきましては、勿論労務者の整理が事実問題としてむずかしいという問題と同時に、精神的な不安という問題も多分にあろうかと思うのであります。併し今日のデフレという金融引綿ということは、御承知の通り物を作らない。使わない。従つて売れない。又使わない。作らない。それによつて輸入も抑えて行く。一面においては、これによつて物価引下げて、海外に対する競争力を増して、戦線の整理をしないでおけばしないでおいて、輸出のほうにこの力を向けて行くということになろうかと思うのでありまして、その意味におきまして、輸出が伸びまする間は、やはり現在の段階におきましては縮小の方向に向いて行かなければならない。従つて、この精神的な不安、又労務者を整理せざるを得ないような態度に対する不安な問題はありますけれども、これはどうしても或る程度我漫して頂かなければならない。ただ併しながら、これを或る程度縮小し、又それによつて引下げた値段をベースにしまして、輸出の振興に何と申しますか、追い込んで参ると申しますか、この方向へ持つて行かざるを得ないと思つておるわけであります。一面、中小企業の非常に困つておる実情は、そういう精神的な不安が非常に大きいのでありますので、この面と、今後とも中小企業の理解を深めてもらうということが一つの大きな主眼になるんじやないかというように考えます。  第二の点は、いわゆる金融問題でありまして、この既存、すでに発行の手形のあとをも繋いで参る。それを逐次縮小して参つて行くという点をどうやて行くか。それが一朝破綻を来たしますれば、忽ちいわゆる不渡になり、破綻を来たさざるを得ない。従いまして、差当つての問題としましては、やはり何と申しましても金融方面に手をつけて行かざるを得ないと思つておるわけであります。で、従いまして既存の商工中金なり、或いは中小企業金融公庫なり、又これらを利用いたしまして、第一線で直接中小企業に接触して、金融を扱つておりまする各種の中小企業金融機関につきまして、今後ともそれらの資金上なり、或いはそれを援助する信用保険なりというものを伸ばして行くようにして行かなければならないというように考えて目下そのように努力をしておるわけであります。  第二の点といたしましては、そういうように現在におきましては、いわゆる信用取引が相当盛んに行われておりますが、その信用不安が非常に困難な状態になつております。而もそれを一つベースにいたしまして、いわゆる税金というものが現金でかかつて参ることになつております。過般大蔵省の方面と折衝いたしまして、受取手形で以て現金に換えなくとも、現金でなくとも税金を納めることができるように決定いたしました。従つて今後は銀行に資金がないために割引いてもらえない、割引はむずかしいという場合におきましても、受取手形を以て現金の代りに税金として納めることができるようになるわけであります。それから又売掛金の問題につきまして、一年以上の滞りになつている分につきましては、そのうちの利益に相当する部分、例えば売上げのうちの一年以上になります分の一割とか二割とかは利益になつて、これに課税されるわけであります。その分は一応棚上げされるということにいたしまして、又不渡手形或いは最近はやりになつておりますような会社更生法による更生決定、或いは極端に言いますと、破産開始というような場合におきまして、これが非常に不安な状態に、いつ払つてもらえるかという不安な状態になるわけであります。破産の手続が済みまして、債権債務がはつきりいたしまして、どれだけで打切るというふうな債権の切捨というところまで入つて参りますと、勿論税務署においてもこれを損金に落してもらえるわけであります。その打切りの以前において、手続、或いは不渡になつてから後、そういう最後の肚をきめるまでには、相当期間がかかるわけであります。その間利益があつたものを課税されるということは、非常な負担になりますので、こういう際におきまして、不渡手形が、銀行から不渡手形の宣告があつた、或いは破産の開始の決定があつた、或いは又会社更正手続の決定があつたということで、一つの大きな不安定な状態、而も相当損失が予想されるような事態が発生いたしました場合は、その業者に対する債権の半分はこれを損失と見て、爾後余計に回収できたら――五割以上を損失と見ます――それ以上回収ができれば、勿論利益に計上するわけであります、取りあえずの措置といたしまして、そういう破産開始、或いは不渡手形の発生ということになりますれば、そのものに対する債権は半分を損金と見て、利益から落して行くということに決定いたしました。そうなりますど、今言つたようなことによつて不安定な債権であるにかかわらず、又現に現金化されておらない、果して利益かどうかわからないものに対して、利益として課税され、これを又現金で納めなければならんというふうな不利益が、非常になくなつて参るわけであります。最近そういう手続を踏んで参つている次第であります。  なおこういう際におきまして、一般的に打つ手もなかなかむずかしうございます。結局デフレ対策というものは、単に中央だけの手では行なつて参れません。各種各様にそれぞれケース・バイ・ケースに、事態の発生いたしましたことに対する応急の措置を講ずるということも、必要になつて参るわけであります。先ほど大阪のほうから、大阪についての御報告がありましたが、例えば岩田商事の破産というような際に対しましては、いわゆるこれによる連鎖倒産というようなことのないようにということで、日本銀行を通じまして各銀行に申入れをし、又我々直接監督いたしております商工中金に対しまして、例えば岩田商事の発行している受取手形金融機関が割引いている際、不渡になりますれば当然買戻をしなしければならんのでありますから、その買戻しの猶予を認める、或いは単名手形に切換えるという方法によつて、この岩田商事の倒産によつて、次々と起る破産を防止するというふうな手も打つてつたような次第であります。こういうようなことによりまして一面には制度的に是正して参りますと同時に、又それぞれの起きます悪現象に対しまして、応急の措置も講ずるような次第であります
  62. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 例えば今の岩田商事の倒産の連鎖反心を防ぐために、商工中金等の融資について考えられたようですが、そすれば結局まあ資金量の問題も関係して来るわけで、デフレ金融引締という、まあ一般的にはそうであるけれども、健全なる中小企業を潰さんという意味においてこれは予算審議の際にも問題になつたことでありますが、中小企業金融公庫だとか、商工中金だとかというものの、二十九年度の資金量ですね、これが当初予算当時に考えられて、おつた資金量で、今の事態を織込んで考えて見て十分なんですか、足らないのですか、その点はどうですか。
  63. 記内角一

    説明員(記内角一君) まあこれはいろいろの見方もあろうかと思うんではございますが、例えば公庫の資金あたり、この四月―六月の実績を見ますというと、大体予定通りの、或いは若干余つているという程度の貸付の状況でございとぼしてまあこれは金融機関がいわゆる代理貸によつて貸付けているから余り貸したがらないんだという見方もございますけれども、一応長期資金としましては取りあえずの、現在の段階におきましてはどうやら賄つているという状況でございます。なお今後の事態におきまして、若し不足を生ずるというふうな場合におきましてはまあ繰上げ融資と申しますか、一応事態を緩和する意味において四半期ごとに予定しているものを繰上げて使用するという途もございますので、差当りのところとしては今すぐどうこうということはないかと思つているわけでございます。ただ下半期になりまして、果してそれで足りるようになるかどうかという問題が生じて来るわけでございまして、それには一般の金融も、例えば米の集買資金の撒布というふうな問題もございますので、これらと睨み合せ、金融の情勢すべてを睨み合せまして、更に措置を考えたいといふうに存じております。商工中金につきましても、現在のところ大体毎月吉備くらいの回収と、新規の貸付がございますので、公庫よりも比較的短期の資金でございますだけに、回転は相当早い回転率を示しております。従いましてこれも或いは見方によりまして十分とは申せないかとも思いますけれども、どうやら需要に応じられているというところでございます。これも現在問題になつております政府余裕金の預託の引揚げ等も今後今月の一応の予定はされているわけでございますが、目下これの引揚げ延期を大蔵省と折衝いたしております。恐らく我々としては少くとも今月はこれが猶予されるというふうに期待いたしているわけでございます。九月以降になりますれば又新らしい金融の事態も発生して参るかと思います。そのときに応じて又それぞれの措置を講じたいというわけで、取りあえずの措置といたしましてはいろいろ要望もありますけれども、とにかく資金量から見まして現在不足しそうだというふうには考えておりません。一応手持の資金で賄つてつて、不足を生ずる場合には又それぞれの応急の措置を講じて参りたいというふうに考えている次第でございます
  64. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 中小企業金融公庫の資金が一般的には設備資金に限られていると、こういう認識で例えば先ほどお話になつたこの操業縮小による売上げ減による一時的な運転資金の増加というようなものは、まあ一時的と言つてもかかりこれは固定するかも知れない、そういう操業縮小のため……運転資金、増加する運転資金というものは中小企業金融公庫の融資対象となるわけですね。そういうことについての一般的な窓口金融機関がそれを欲しないということもあるのじやないかと思いますけれども、そういう際の融資を中小企業金融公庫へ仰ぐと、こういう観念も一般中小企業には徹底していないような憾みもあると思う。そういう点を併せ考えて見ると、どうも私は中小企業金融公庫の予定された資金量だけじや足りないじやないかと思うのですが、何とか今間に合つているということはある金の範囲においてやつているのだということも言えるし、そういう点がどうも従来から中小企業金融の需給推算を関係当局にもお願いしておるのだけれども、数字的にはつきりしないので、どうも金なんていうのは、金融機関というのは強いから今とにかくあるだけの範囲で何とかおし込めるということがやられておつて、これで十分ですというわけのものでもないじやないか。その点もまあ次の国会までには大蔵大臣が責任を持つて中小企業金融の需給推算をした数字を出すと、こういう約束をされておるのでそれを期待しておりますけれども、まあそういう点が問題として私は考えられる。それからこれはまあ少し小さい問題になるが、先般の税制改正と言うか、貸倒準備金の、中小企業金融向けの金融機関の貸倒準備金の率を変えましたね、あれによつて出やすくなつたという影響が見られますか。
  65. 記内角一

    説明員(記内角一君) まだあれを実施いたしましてから間もないことでございますので、実績的に結果は出ておらないのであります
  66. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから審議官のほうへお伺いしますが、中小企業へのしわ寄せというものが大企業の支払代金の繰延べですね、こういう点と、それから今の金融の量的引締による中小企業へ出るべき供給資金の不足と、こういう点まあ疑義があるわけですが、そのいずれもあろうと思うのですけれどもね、そういう点についてそれは業種によつて非常に却つていい、一般に不況々々と言われておるけれども、現在むしろいいという業種もあることも聞違いないです。非常に困つているのもあろうというわけですが、そういうデフレのしわ寄せとい点からいつて、そういうことから分析して見ての何か数的なデータありますか。先ほどの中京地区については商工中金の融資は一割三分減になつておるとかいうような何かありましたね。
  67. 山村章

    説明員(山村章君) 丁度資料があるのでございますが、名古屋の商工会議所が中小企業の景況調査というのを本年の六月にやつておりますしそれを見ますと三月末に比しまして六月には未収金の増加がどの程度あるかというようなことを調査したわけでありますが、未収金の増加を訴えるものが、これは調査対象がどのくらいかがわからないのでございますが、商工会議所の調べたところでは未収金が増加しておる。六月末には三月に比べて増加しておるというのが大体六割でございます。それで、その中で特に機械製造業は一〇〇%未収金が増加しておるという回答があつた。それからその中でも特に下請代金の支払の遅延が非常に殖えていて、手形期日も大体六〇%が九十日以上になつておるという回答が来ておる。その中でもこの中小企業の不渡中形の発生が本年一月以降が大体殖えて来て、五月には大体昨年同期に比べると枚数で一倍半、金額で二倍半になつておる、こういうような報告がございます。  それから廃業事業者の数を特に中小について調べて見ますと、従業員が五人乃至二十九人の小企業が三百のうちで大体三百六十九がそうだ。こういうような報告が来ております。名古屋地方では大体そういう工合に中小企業にしわ寄せがされておる。  それから福岡市の商工会議所が企業の整理倒産について本年の一月から大体五月までの五カ月間を調べたのがございますが、それについて見ますと、資本金別には大体資本金が三百万円以下で企業の閉鎖倒産休止をしたものが全体の六七%を占めている。五百万円以上一億のものは大体五・四%しかない。こういうような状況が出ておるのでございます。企業の倒産整理は殆んど資本金の三百万円以下の低いところが圧倒的に多いということが出ておるようでございます
  68. 八木秀次

    八木秀次君 この機会一つお伺いしたいのですが、先ほどの報告についてであります。九州地区の特徴というか、一つ特殊のこと、これは炭鉱の出している金券のことです。東京におつていささか事情がわかりません。あの金券というのは或る緩和作用、乃至潤滑作用という作用が、これは利益のほうを主としておつたろうと思うのですが、そういうことがあるだけに弊害があとへ時間的にしわ寄せして来るだろう、それがどんな悪影響を受けているのか、もう始末のできないような状態に来ているのか、そういう点についてどういう状態ですか伺いたいと思います
  69. 山村章

    説明員(山村章君) 金券の状況につきましては、詳細なところまでは調査する時間がなかつたのでございますが、昨年の夏から大体小炭鉱が賃金の未払の三割程度を金券で払う、金券のやり方といたしましてもいろいろあるので、紙幣類似、或いは商品券類似のものを出しているところもある、或いは帳簿に記載して日用品の食料だとか野菜、そういうものを一応「つけ」のような恰好にしておいて、あとからそこへ炭鉱が現金の手持ができると払うというような状況でやつている。いろいろやり方の方法もあるようでございますが、最近の状況では金券は一応発行したが、それの裏付けになる現金がないということで、小炭鉱あたりの金券に対する裏付けの資金のないために、金券自体が何と申しますか、不信になつている。日用品を買うのにも差支えるというような状況も出ているようでございます。大体先ほど申しましたように流通高もこれも推定でありまして、福岡財務局が調べたところでは、中小炭鉱七、八カ所で一億乃至三億程度と推定される。或いは中で相当何と申しますか、資金の裏付けがなくて、流通が円滑に行つていないところも起つているというお話であります
  70. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それじや本日はこれで散会をいたします。どうも御苦労でした。    午後四時四分散会