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1954-02-04 第19回国会 参議院 経済安定委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月四日(木曜日)    午後二時五分開会   —————————————  委員氏名    委員長     早川 愼一君    理事      高橋  衛君    理事      八木 幸吉君            泉山 三六君            岩沢 忠恭君            奥 むめお君            岡田 宗司君            永井純一郎君            笹森 順造君            鮎川 義介君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            奥 むめお君            笹森 順造君            鮎川 義介君   国務大臣    国 務 大 臣 愛知 揆一君   政府委員    経済審議政務次    官       深水 六郎君    経済審議庁次官 長村 貞一君    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    経済審議庁調査    部長      須賀 賢二君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本経済の安定と自立に関する調査  の件  (昭和二十九年度の経済見通しに  関する件)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 只今より経済安定委員会を開会いたします。  御通知申上げましたように、日本経済の安定と自立に関する調査を議題といたしまして、本日は経済審議庁長官その他の関係官が多数出席されましたので、先ず昭和二十九年度の経済各般見通しについて長官から御説明を聴取いたしたいと思います。大体先般の本会議において長官経済演説がございましたが、それを更に敷衍して何かお話を承われば結構だと思います。
  3. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 御説明いたします前に御挨拶を申上げたいと思います。先般は図らずも経済審議庁長官の大役を命ぜられまして誠に責任の重大さを痛感いたしております。御承知のように全く経験も浅い未熟者でございますので、当委員会先輩各位の御指導と御鞭撻によりまして何とか一つこの大役を金うさせて頂きたいと思います。何とぞ従来の御厚誼に増しまして、改めて先輩皆様方の御協力をお願い申上げる次第でございます。  只今委員長からお話がございましたので、先般本会議で申上げました二十九年度の経済政策につきまして更に細かくその背景或いはその基礎として考えておりましたようなことを敷衍して御説明申上げることにいたしたいと思います。二十九年度の見通しに入ります前に、お手許にお配りしてあると存じますが、たまたま一月末に前月末まで、即ち二十八年の十二月末までのいろいろの経済関係指数等を大体取揃えることができましたので、先般二十八年の経済動向を振返りまして新聞等にも審議庁から御説明をいたしたわけでございますが、それを更に要領を取りまとめましたものがお手許に届いておると思います。それなどを参酌いたしまして、ざつと先ず二十八年の動向を振返つて見たいと思うのであります。ここに取上げておりまするように、主な特色を挙げて見ますると、大体六つほどの特徴が二十八年の経済動向として挙げられるかと思います。第一は、鉱工業生産上昇率が二十八年においては大きくあつたことがその第一の特徴でございます。第二の特徴といたしましては、消費水準上昇も引続き相当顕者でございます。特に都市方面におきまする消費水準上昇が大きかつたということがその特徴と考えられるわけでございます。その三といたしまして、国際収支逆調が立つて参りましたことが非常に顕著でございます。それから第四の特徴は、災害や凶作の影響もございまして、物価水準上昇いたしております。その結果と申しますか、総合的に見ましていわゆる二重価格が輸出面におきまして顕著になつております。それからその五といたしまして、投資活動が非常に旺盛であつたことが指摘されると思うのであります。第六の特徴といたしまして財政資金撒布超過額が増大いたしましたことと、これと相並びまして日銀信用増加が目立つたことが挙げられることと思うのでございます。その六つの特徴数字的にどういうふうになつて参りましたかということは、この表によつて御覧を願いたいと思うのでありまして、詳しい説明は省略させて頂きたいと存じます。  で、こういうような特徴となりましたことを概観して申上げますと、要するに生産消費も異常な増大を来たしたけれども、それが輸出の伸張を伴わなかつた。国際収支の著しい逆調なつて現われたということが昨年の特徴であると、一口に申しましてさようなことが言えるかと思うのでございます。只今申したことの細かいことは別といたしまして、その概観いたしましたところを簡単に数字の上でも御説明申上げて見たいと思うのでございま  先ず企のほうの面からこれを見て参りますると、いわゆる財政資金撒布超過日銀信用の膨脹ということのほうから見て頂きたいと思うのでございます。昨年の国庫金の民間に対しまする収支状況は百七十四億円の支払超過でございました。これはその前の年の昭和二十七年の、同様の支払超過額の三百八億円というものがありましたことに比べますと非常に減少いたしております。従つて一見いたしますると、二十七年に比べまして二十八年のほうが一見いたしまするとバランスが改善されたかに見えるのでございますが、これはいささか細かいことになつて恐縮でございますが、外国為替特別会計のほうで国際収支逆調なつ関係で、前年に比べまして八百四十九億円のいわゆる揚超額が増大したためにこのような様相を呈したわけでございまして、若しこの関係を調整して対民間の収支を見ますると、逆に二十七年は四百八十一億円でありましたのが千百九十六億円というように撒布超過額が実に七百十五億円増大しておる。こういうことが言えるのでございまして、この点はいわゆる通貨の面から見ましてインフレ的の様相が顕著になつておつたんだということが指摘されると思うのでございます。一方日本銀行の信用の増勢のほうを見てみますると、二十八年一カ年間に千七十五億円の膨脹を示しておるのでございます。これは国際収支逆調から参りますデフレ作用を相殺しておるだけではなくて、設備融資等が非常に増大したということを意味しているのでございまして、経済循環の拡大にこの数字というものが非常に大きな役割を示しておつたということが指摘できると思うのであります。で、こういつたような状況の結果一年間に日本銀行券発行高は五百三十四億円、五百三十四億円というような増加を示したという情勢に相成つておるのでございます。  それからその次に先ほど特徴一つとして指摘いたした点でございますが、投資の活動のほうの状況はどうかと申しますると、そのうちの最も問題になりまする設備資金関係はどうかと申しますると、これはまだ十二月までのはつきりした実績が出ておらんのでございますが、二十久年の一月から十月までの実績を調べて見ますると、二十七年の同時期に比べまして二割五分の増加なつておるのでございます。即ち投資活動は前年に比べて二五%の増加ということが一つ特徴なつております。而もその二五%も投資活動が殖えたのでありまするが、それがどこから出て来た金かと申しますると、株式とか社債とかいうなものはそのうちの僅か一割なのでありまして、銀行の貸のほうは前年に比べて実に六割近くも増加しておる。これが一つ特徴なつておるのであります。然らば、どういうものにその投資増加があつたのかということになりますと、例えばセメントでございます。又電気機械というようなものもそのうちの顕著なものでございますが、セメントで申しますならば一二%の増加で十八億円の増加ということになつております。それから電気機械類で申しますと、金額で十九億円、パーセンテージにいたしますると一一四%の増加というようなふうに非常に顕著なものと言えるのでございます。その他の部門におきましては大体一般の機械類でありますとか輸送用機械であります。食糧品繊維工業といつたような方面に対する投資が非常に殖えておるわけでございます。  それからその次に先ほども指摘いたした点の一つでございますが、国内生産水準のほうはどうかと申しますると、鉱工業生産指数のほうは昭和九年—十一年を例によつて一〇〇といたしますると一五〇程度なつております。これは前年に比べますると大体二割の増加ということになつておるのであります。更にこれは二十八年の大体十二月までを考えたわけでございますが、現在のこの一月二月三月、いわゆる二十八年度の第四四半期は第三四半期に比べては季節的な原因等によりまして減るでございましようが、第三四半期におきましてはこの一五〇というものは非常に殖えておるのでありまして、恐らく正確な数字はまだ出ないのでありますが一六〇以上になつておるのであります。  それからその次の消費のほうの関係でございますが、先ほど申しましたように、大体戦前の水準を一割以上上廻るに至つたわけでございまして、かなり上昇向を辿つておりますが、同時にいわゆるエンゲル係数関係は、二十七年に比べて或る程度よくなつておるわけでございます。  それから次に今度は物価関係はどうなつておつたかと申しますと、金属や燃料等は或る程度下落いたしました。併しながら災害によりまする建築材料の騰貴は非常に顕著でございまして、概して申しますると、木材等の騰貴がありましたために、全体を比べると二十七年よりも物価上昇しておるのでありますが、若しこの木材関係などを除きますれば、大体横這いであつたということが言えるかと思います。更に農産物水産物のほうの関係を見ますると、御承知のように凶作や海流異変等によりまして生産が減りまして、その結果主食や生鮮食料品が高騰いたしました。この点がやはり昨年の特色であつたと思います。それからいま一つ物価の動きで昨年中の特色と見られますことは、一時、繊維製品に御承知のようにかなりな思惑による動きが見えたのでありまして、物価水準といたしましては、そういうようなことから全体として見ますれば或る程度上昇いたしたのであります。数字で申しますと、先ほど申しました木材等建築材料は二九%八というような前年に比べて大体三割上つております。それから食糧は一割六分六厘という程度でございます。繊維製品については一割二分八厘と、こういうような内容なつております。そうしてこういうような結果から国際収支状況先ほど来たびたび申しておりますように、逆調でございますが、その内容を申上げますと、輸出のほうは十一億五千六百万ドルでございまして、数量的には一割ほど増加いたしておりましたが、輸出単価の値下りの結果、金額的には一億三千二百万ドル減少いたしておるわけでございます。  それからそれに対しまする輸入のほうでございますが、輸入は凶作に基きます食糧緊急輸入、それから思惑を抑止いたしまするために、繊維原料を追加輸入いたしましたことは御承知通りでございますが、そういつた関係で二十一億二百万ドルになりました。前年に比較いたしますると三億八千三百万ドルの増加でありまして、特に注目すべきことは、数量において約四割の増加をしておるということ、これは金額の増加よりも遥かに数量のほうで増加したことが特徴として特に注目すべきことではなかろうかと思うのでございます。然らばどうしてこんな輸入が殖えたので止めろうかというような、この内容について検討して見ますると、主な品目を数点挙げて見ますると、原毛、機械、屑鉄、原油、大豆、米、木材、砂糖といつた、ようなものがいずれも二十七年に比べまして相当増加いたしておるわけでございます。そのうち更に二、三の例を拾つて見まするならば、木材が六八%、羊毛が三四%、原油が四八%、大豆が五三%といつたようなふうになつておるのでございます。そういつたような関係から、結局外国為替収支は一億九千四百万ドルの赤字になりまして、昭和二十七年におきましては、二億二千三百万ドルが黒字であつたことに比較いたしますると、僅か一年の間に四億一千七百万ドルというような逆転を示したわけでございます。従つて若し二十七年と二十八年を比べて四億ドル以上も逆転を示したこの事実をはつきり認識いたしますると、この勢いでこのまま参りましたならば、手持外貨が昨年末は九億七千六百万ドルでありましたけれども、今後の状態というものが極めて悲観すべき状態にあるということが、この点からはつきりすると思うのでございます。先ほど申しましたように、生産消費は伸びたけれども、そうして又それ自体は好ましいことではありますけれども、輸出の伸張を伴わないものであつたために、かくのごとき国際収支逆調を来たしたということは、今後の我が国経済自立を考えて参りまするときに相当の電荷となつて参つた。そこでこの際我々といたしましては、たとえ一時的に消費水準生産上昇することが停滞しても国際収支の均衡を回復いたしたい。消費水準生産がずつと下降するということを凌んでまでもということではございませんで、消費水準生産上昇することを停滞してもそれはあえて国際収支改善のほうに努力を向げるべきだと、こういうような考え方をかねぐ申しておるような次第でございます。そこでこれから何をして行くかということでございますが、その大綱はすでにお聞き及びの通りと思いますが、先ず第一に日本経済正常化ということを頭に置きながら、国際的に割高の物価を何とかして是正する、国際水準に少しずつでも鞘寄せをいたしまして、国際収支改善、できれば二十九年度中に均衡を回復したいということにあらゆる政策の焦点を合せて行くべきではなかろうかというのが私どもの考え方でございます。で、こういつた考え方から御承知のようにいわゆる一兆予算というものを組んだわけでございますが、この点につきましては、更に後ほど申上げて見たいと思いますのは、一兆円予算国民経済との関係でございますが、その点は暫らくあとに廻しまして、先ずこの一兆円予算を編成する財政支出を圧縮するということが必要でありますると同時に、過剰投資というようなことにも着目いたしまして、金融面におきましては引締めを同時に強化する、或いは強化とは申しまするが、同時に重点的な配慮を加えて行かなければならないことは勿論でございますが、結果において通貨の収縮を何とかして図りたい。先ほど申しましたように、二十八年一年間のような通貨の膨脹が招来されることは非常に好ましくないことである、同時に通貨の収縮を図ることは国内購買力の抑制ということになり、それを通じて物価水準引下げになる、こういうふうな考え方を持つておるわけでございます。併しながら重要部門に対する合理化近代化、これは国際収支改善にも勿論直接にも役立つことであります、更に端的に言えば、コスト引下げということについての必要の資金につきましては、何とかしてその確保を図りまするように一段と工夫する要があると思うのであります。それから又同時に経済演説の中でも特に指摘さして頂いたつもりでございますが、徒らにこの物価下落を妨げるようないわゆる不況カルナルというようなものを安易に認めるようなことがあつてはならないのではなかろうか、これは一つの行政上の指針として守つて参りたいと考えておるわけでございます。  それから次に輸出振興でございますが、私は特に通商産業省の方面におきましては、一切の行政上の工夫を輸出振興ということに凝集して参りたいと思うのであります。先に申しました国内賦質力を何とかして減少させる必要がある、又物価引下げをやりたいということも又申すまでもたくこの輸出振興ということについての基礎的な考え方であるということに立脚しておるつもりでございまして、この輸出振興なくしては到底これからの経済拡大発展はできなかろうというふうに考えておるわけでございます。で、この輸出振興については大小取りまぜいろいろのことを考え、又政策として打出して参りつつあるわけでございますが、その詳細のことは省略いたしますが、私は一つはやはり海外の市場開拓を目標とする、いわば外交的な政策の推進ではなかろうかと思うのであります。幸いにしていろいろの御批評があるようでございますが、日英会談が率直に申しますと、私どもがひそかに予期しておりましたところよりは相当な成績を挙げたと私は確信いたしておるのであります。ただ日英間におきましてドミニオンを含めて輸出輸入それぞれが二億九百万ポンドというような枠ができたということは、これは従来の日英間の関係から見れば非常に好ましいことであると思うのでありまして、併しながら例えば輸出を見ますると、この二億ポンド以上の輸出が果してできるかどうかということは、これからの問題であります。外交上の難関の一つが打開できましたけれども、いよいよそれだけに国内輸出努力というものがこれに伴わなければ、折角の外交が推進されましても実効を挙げることができないところに一つの大きな問題が当面しておると思うのであります。この日英会談の問題を初めといたしまして、対外信用の確保、或いは通商航海条約早期締結とか、ガツトヘの正式の加入とか、東出用アジア諸国に対する賠償の問題の解決でありますとかいうよな点については申すまでもございませんが、従来にも増して更に推進して参りたいと考えておるわけでございます。細かいことは省略いたしまするが、今後早急に今申しましたような交渉を一方において進めて参りまして、例えばアルゼンチン、ブラジル、トルコといつたようなところとの貿易協定の改訂や締結の問題がございまするが、時を移さずに適切な交渉と妥結を図つて参りたいと考えております。  それから東南アジアとの経済協力の推進につきましては、いろいろ従来、民間においても或いは当該国において、或いはその他の国々との間におきましても、いろいろの案があるわけでございまして、問題は、これをどうやつて実現の緒につかせるかということにあるのではなかろうかと思うのであります。それらの面におきまして一層努力を傾けて参りたいと思いますが、一方、事務的な方面におきましても、二十九年度の予算は実に緊縮された幅の狭いものではございますが、例えば貿易斡旋所機能活用、或いは新設、増設、又重機械類技術相談室海外市場調査機能整備拡充でありますとか、或いは海外見本市への積極的参加をすることでありますとか、旅商団を派遣するとかいちような意味合いにおきまして、予算で申しますると、比率にすれば二十八年度に比べまして七割強の増額を漸く図ることができたわけでございます。  それから東南アジア関係で、特に御報告を申げておきたいと思いますいま一つのことは、最近、多年の懸案でございますプラント輸出というものが相当増加を見込まれるようた情勢となつて参りました。大体只今の見込みでは一億ドル乃至一億二千万ドル程度プラント輸出よく実現の緒につくというよりも、実現できるのではなかろうかというような見通しになつて参つておりますが、更にこれらに関係する、長期に亙つて延払いをするというような、優遇措置をとるというようなことを併せ考えて参りたいと思うのであります。  それから又、東南アジアの、その現地の方面におきまする資源の開発促進のためには、先ほどもちよつと申しましたが、いろいろの国で日本の協力を求める、或いは日本側が積極的に出るにおいては参加できるというような話もぼつくあるのでありますが、これを一段と促進する措置を考えて参りたいと思います。  それから、このやはり貿易の伸張に関連いたしまして、貿易商社の問題が一つございます。コスト切下げ合理的輸出活動振興するという面におきましては、輸出商社の強化ということも当然考えなければならんことでございまして、この面におきましては、幸い第十六国会で独占禁止法改正がありました。法律的にもやや緩和されておりますが、これらの緩和された規定を援用するというようなことも一つの方法かと思うわけでございます。  又生糸の輸出については、アメリカ側でもそんなに先行きを悲観しなくともいいのではないかというような意向もあるようでございますので、生糸は勿論でございますが、その他の繊維類輸出振興に必要な措置をしたいと考えておるわけであります。  なお又機械なり、石炭なり、鉄鋼なり、硫安なりにつきましては、緊縮された予算財政投融資の規模内ではございますが、原則的にそれぞれの部門におきまして、或いは生産コスト引下げ計画、或いは増産の何カ年計画というようなものが、立案されたものがすでにあるわけでございますが、全体の線としては、その既定の計画というものを尊重して参りたいと思うのであります。それらの点については、財政投融資計画の総枠が切られたけれども、重点的の配当ということを是非考えて参りたいと思つておる次第でございます。  なお税の関係法律案が、まだ国会に提出するに至つておらないものが多いのでありますが、輸出につきましては、輸出所得の控除の特別措置を税法の上にはつきり謳い込むか、或いはその優遇措置程度を更に改善するというようなことを、是非今回の税制改正案の上で考えて行きたいと考えております。  それから経済演説の中で申し上げたのでありますが、特に設備近代化と、近代化された設備を完全に操業さすということは、最近の日本における繊維工業の現状から見ましても、実に大事なことと思うのでありまして、繊維工業はその点において非常に進歩をしていると思います。今西ドイツ機械工業が世界的に制覇しつつあるのと、その揆を同じうするのではないかと思うのでありますが、そういつた観点からも、私は企業の再評価ということに相当の重要性を置いて参りたいと思うのでありす。私は実はできれば資産再評価は法律で強制して頂くということのほうが、端的で率直であると思つたのでありますが、いろいろ各業態の内容或いはその他の関係を、更に深刻に検討いたしました、結果、法律による強制ということは如何かと思うようになりましたけれども、少くとも税法上その他、従来再評価を妨げておりましたような原因を除去するということに力を入れて参りたいと、そういう点から税法の改正をやつてもらうことにきめて参つたような次第でございます。この点はやはり私は企業努力にしても、或いは労働生産性の向上ということにいたしましても、それぞれの関係の企業の内容、実態というものが、合理主義の上にはつきりされなければいけない、又そのはつきりされた実態というものが、労使両面とも理解をすることによつて、根本的に労使協調と申しますか、生産意欲の向上ということに、非常に役立つことではなかろうかというような観点から、この点には非常に重要性と期待とを持つているような次第でございます。  次には、又国際収支の均衡と言えば、単に当面の輸出の促進だけの問題ではないと思うのでありまして、国内自給度の向上や、資源の開発や、或いは科学技術振興ということが、根本的に外貨節減の方策になると思いますので、これらの点についても、できるだけの努力を払いたいと考えているわけでございます。  食糧につきましては、その増産対策についてどういうことをやつて参つたかということは、すでに詳しく御承知のことと思いますが、丁度この輸入の問題にいたしましても、二億ドルも外米の輸入をやつているような現状でございますから、食生活の合理化改善というようなことが、この点からも一つ是非取上げて頂きたいものである、いわゆる米食偏重の是正というようなことも、この際外貨を節約し、併せて財政負担を軽減し、税の負担を軽減するということから申しましても、非常に必要な政策ではないかと思うので激りまして、これらの点につきましては、特にこの国民的な納得と理解の上に、できるならば大きな運動が展開されて然るべきものではなかろうかとも考えるような次第でございます。  水産とか畜産とかの振興等につきましても同様でありますが、これらにつきましても、余り細かくなりますので、又御質疑等にお答えすることにいたしたいと思つております。  それから先ほどもちよつと申上げたかと思いまするが、合成繊維については、やはり国際収支関係から、又国内の自給度の拡充ということから言つて、特に重点を置いて参りたい一つの目標にいたしております。で、昨年度末即ち現在におけるところの合成繊維の設備能力は、日産大体五十一トンでございます。これを昭和二十九年中一つ日産七十六トンまで増加しようやないか、で、そのことができますると、約千五百万ポンドの増産ということになるのでありまして、若しこれが可能であるといたしますれば、原毛に換算して八万五千俵、二千万ドル程度に相当するわけでございます。こういう観点から合成繊維というものについては特に重点を置いて参りたいと思います。  石炭につきましては、これも余り細かくなりますので、詳細は省略いたしますが、総合的な燃料の対策の一つの大きな問題として引続き竪坑の開鑿、その他を進めることによつてコストを切下げる乞いうことは勿論必要なことでありまするが、同時に石炭の需給を安定するということに一つ需要者側の御協力も頂き、その線の上に石炭業の合理的な開発ということも続けて参りたいと存じます。  それから石油の増産ということにつきましては、やはり二十九年度の乏しいけれども、新らしい思想を出して参りたいと思います一点でございまして、石油試掘等補助金として一億三千万円を今回の予算にも計上してございますが、これは我々の考えとしては五年間百万キロリッターの国内原油の渓掘というものを目標にしてのはしりであるというふうに御理解が願いたいものと思うのであります。  その次の問題は電源開発の問題でございますが、昭和三十二年でございますか、それまでの五カ年計画として五百十万キロワットの新規開発計画がありますことは御承知通りでありまするが、大綱においてこの計画を何とか一つ緊縮財政の下においても守り抜きたいと思うのであります。昭和二十九年度中に約百万キロそのうち完成させる目標の下に財政資金は全部を合せまして六百億円乃至七百億円を投融資することをにいたしたいと、只今資金計画を鋭意作つているような次第でございます。  造船につきましては、やはりこれも五カ年計画があるわけでございますが、二十九年度中に当初の希望は二十数万トンでございましたが、いろいろの関係から十七万総トンということに一応いたしております。併しこれは十一万トンは何としても二十九年度に完成いたそうということで、開発銀行のし資金計画の中でも特に百人十五億円を特計する予定でございます。  鉄鋼、機械、硫安或いは全体としての設備近代化コストの低下を図りまするために全般的にさような問題に対しても開発銀行からの融資としても、少くとも九十五億円程度は融資をいたしたいと考えているわけでございます。  国際航空事業は予策書で御承知のように十億円を二十九年度においても一般会計から投資いたすことになつております。  次に食糧とか、綿とかというようなものにつきましては、どうしてもやはり緊要な原料、材料でございますから、輸入を締めると申しましても、こういうふうなものについてそうドラステイツクに締めることは一つには国内物価を考え、又思惑が起ることを考え、又どうしても必要であるという性格のものであることに鑑みまして、必要量の輸入は確保するということで外に貨予算の編成もいたしたいと思いますが、奢侈品や高級品その他不急の外貨支払は勿論徹底的に抑制するつもりでございまして、大体以上申述べましたような政策を政府も、企業界も、一般民間も一体的な協力によつて着々その実を挙げて参りますならば、先ほど申しましたような基本的な考え方が充足され、現在の憂慮すべき事態は逐次改善されるようなことになるだろうと信ずるわけでございます。  そこでそういつたような政府の施策が今後よろしきを得ること、それからそれに対して国民的な御協力を得られるであろうこと、この二つを前提にいたしまして二十九年度の国民経済の率がどうなるであろうかということの極く概略を次に御説明申上げたいと思うのであります。  先ず最近のこの巷間におきましても一方には期待があり、一方においては危惧の念があるようでございまするので、先ず第一に物価についての点をやや詳細に御説明いたしたいと思うのであります。私どもは昭和二十八年度と二十九年度とを比較いたしまして、年度間を通ずれば物価が五乃至一〇%下るであろう、又それを期待して総合政策をやりたいということを申上げたのであります。その根拠の一端を御説明いたしたいと思うのでありますが、先ずいわゆる生産財と消費財に分けて申上げたいと思います。勿論申すまでもございませんが、生産財にしても消費財にしても需要供給がその根本において物価を制するものであることは明らかであるか思うのであります。  そこで先ず生産財のほうについて申上げますならば、第一に、先ほど来申しておりまするように財政投融資というものが二十八年度に比べて非常に減額されております。その額は大体五百八十四億円ぐらいになります。これは前年度に比べてパーセンテージにいたしますと八割二分八度でございますから一割以上の減額になるわけでございます。それからそれと相並びまして民間の、日銀を中心とする設備資金とでも申しますか、平たく申しましてさような表明を使わして頂きますならば大体の見込として二十八年度が設備資金の総額が六千二百億円余り投入されておつたのでありますが、二十九年度におきましては五千五百億円ぐらいの程度に見通されております。そういたしまするとこれがやはり比率にいたしまして八八%ぐらいの程度に縮減されるわけでございます。  更にいま一つは、一般会計の予算の上で、例えば公共事業費でありますとか、災害復旧費でありますとか、食糧増産対策費でありますとか、こういうふうないわゆる国内投資需要に直接関係あるものが客観的に申しまして九%減額になつております。従つて以上申しましたことをつつ込みに、総体的に申しますると、国内投資需要が約一割二十九年度においては減少するということが言えるかと思うのであります。それでこれに対しまして、こういうふうな事柄といいますか、要素は要するに生産財の需要滅に現われて来ると思うのであります。それで、それに対しまする今度は供給のほうはどうかと申しますると、これも経済演説の中で簡単にその結論だけを申上げたのでございますが、大体鉱工業生産指数をとつて申上げますならば、二十八年度は年度を通じて一五二の生産指数になるであろうと想像されますが、先ほどもちよつと申上げましたように、そのうちで二十八年の十、十二の三カ月間、いわゆる第三四半期におきましては、この水準は非常にもつと高いのであります。併し恐らく一月から三月まででは又低くなる、そうして二十九年度に入りましてから四月から六月頃までは大体二十八年度の第三四半期と大体同程度生産水準をとるのではなかろうか、即ち一五二よりは遥かに上の水準になると思います。併しながら先ほど申しましたような国内投資需要がるということがだんだんにその結果を現わして参りまして、二十九年度の第二四半期以降におきましては鉱工業生産上昇が停滞する、或いは或る程度下に下るということで結局年度間全体を通じて見れば二十八年度と同様の一五二程度に収まるであろうと見ておるのであります。従つて生産財につきましては、供給のほうは概して言えば変らない。需要のほうは一割或いはそれ以上の減退を生ずるということから申しまして、平均して年度と年度を比べれぱ生産財については六七%の下落ということになるのであります。これは生産財の各物資別につきまして相当分析して提出しただけでございます。併しながら例えば本年の三月と二十九年度末である来年の三月、この両年の生月という時点同士を比較して見ますならば、生産財の価格の値下りというものは一〇%を或いは超えるかも知れません。そこでそれをとりまして、客観的に五一〇%の下落ということを申したわけでございます。  それから次に消費財の物価でございますが、これは生産財の場合と逆でございまして、主として供給の増加によつて消費財の物価が下る、結論的に言えばさように考えております。即も消費財は日常生活に最も関係が深く、又御案内の通りCPIのウェイトから申せば食べる食品の関係が非常に比重が多いわけでありますが、その最もCPIの比重に関係する農産物、或いは水産物等の供給のほうを見ますると、二十九年度の農林水産生産指数見通しますると、戦前に対しまして、大体一一一・一というような程度に見られるのであります。これは二十八年度におきましては九七・九でございました。従つて二十八年度と二十九年度だけを比ぺますると、一三・五%だけ農産物の供給が殖えるのであります。又更に二十七年度と比べますると、大体三%くらいの増加になるのではなかろうか。但しこれは二十九年度においては平年作であるということを前提にいたしております。又水産物等に関しましては天候不順による海流の異変というようなことで魚が不漁であるというようなことは考えないで、大体二十七年度、年間をちよつと上廻る程度にとれるということが前提であることを申添えておきますが、要するに簡単に申しますと、前年に比べて一三・五%くらいの供給が農産、水産等において期待ができる。勿論CPIの他の部門におきまして住居費でありますとか、光熱費でありますとか、その低下が顕著には予想されない、或いは却つて多少上るというようなものもあるかも知れませんが、同時にそれを相殺する要素として国内在庫高が増加するというようなことを考え合せますと、多少の低下要因はこの方面からもあるのではなかろうかと考えます。  この消費物資に対する今度は需要の面はどうであろうかということをその次に考えて見たいと思いますが、これは取りも直さず国民所得がどらなるかということに関係するわけでございます。現在は私は率直に申しますのですが、二十九年度はどえらい不景気にでもなろうかというような、少しこれは政府側の言い方もまずかつたのかとも思いますが、そういうふうな不安があるようであります。例えば賃金の予想などをいたして見ましても、やはり二十九年度は二十八年度に比べまして三%程度は上ると思うのであります。これは公務員のベース・アップもございましよう。そのほかのいろいろな要因もございまして、細かいことは省略いたしますが、結論的には三%程度は上る。それからCPIの下落ということも考えられる。併し同時にこれを相殺する要因としては今回の予算が例えば軍人遺家族の恩給でありますとか、社会保障費でありますとか、そういういわゆる購買力に向う性質のものもございますから、これを差引きして検討しなければなるまいと思いますが、大体におきまして結論を申しますと、やはり経済演説の中にも織込みましたように、五兆九千八百億というような大体二十八年度をちよつとだけ上廻るというような数字がここから出て参ります。これを先ほど消費財の物価で申しますならば、消費財のほうは生産財と逆になりますが、供給は相当殖える。それから需要の分は大体もちくになるんじやなかろうか。更にその土に将来物価が下るであろうというような気風が出て来る、買控えの傾向が生ずるということになれば、いわゆる貯蓄性向が前よりも高くなりはしないだろうかというふうな関係になるわけでございまして、消費財の物価は大体四%前後くらいがやはり年度間を通じれば下るのではなかろうか、消費財の傾下りほどは強くはございませんが、先ずく四%或いはその前後の値下りになるのではなかろうか。大体物価につきまして極く概略申上げますと、さような結果になるわけでございます。  なお先ほど鉱工業を総括して申しましたが、その中を鉱業と工業、即ちマイニングとインダストリーに分けて考えますと、鉱業のほうは二九の程度生産指数、それからインダストリーのほうは一五六程度というふうに考えられるわけでございます。  以上大変長くなりましたが、大体物価についてはその程度にいたしまして、輸出輸入の今度は姿がどうなろうかということにつきましては先ほど総体の数字は申上げたわけでございますが、それを更にドル別、ポンド別にいたしまして予想を作つたものがございますが、余り長くなりますので、省略さして頂きたいと思いますが、要するに輸出は十三億七千五百ドル、これは非常に達成が困難だという御意見がございます。成るほど前年に比べて御覧になりますと、こんなに輸出がどうしてできるだろうかという御説が一応出て来ると思います。併し私どもはこの中の一番大きな点は対英輸出だと考えておるのでありまして、先ほど申しましたように日英間の支払協定或いは貿易の規模がきまりました以上は、対英輸出については今度きまつた枠が前年の実績に比べて六割輸出を殖やしてよいことになるのであります。それにつきましては英国側も相当いろいろな点で協力してくれると思いますが、やはり日本側のこれは努力次第ということになろうかと思いますが、是非ともこの対英輸出は昨年に比べて六割ぐらい伸張させばければならない、但し努力目標はこの中に織込んであるわけであります。  一方対ドル輸出につきましては、最近出ましたランドール報告などを見ましても、或いは又そのほかのアメリカ経済の前途についていろいろな情勢判断から申しまして、必ずしも対ドル輸出は前年通りには伸びまい、若干これは自制して見おるような次第であります。  それから輸入につきましては先ほどもちよつと申上げましたが、これは日本の基礎産業が外国の基礎材に期待しておるものが圧倒的に多いのでありますから、ただ単純に公式論で輸入をぶつた切ればよいのだというのではいかない。この点は先般参議院の本会議場におきまして苫米地義三さんが言われたように、私は外貨予算の編成と運用が非常にこれからむずかしいと思うのであります。で苫米地さんが御指摘になりましたように、外貨予算の編成は武士の商法であつてはならないということを言つておりましたが、まさにその通りだと思うのでありまして、対外的にいろいろ外国関係のものを手際よく入れるという観点からして、或いは国内約に思惑を抑止したいということ、或いは物価の急騰を抑止したいというようなことから申しまして、外貨予算の編成につきましては、できるだけ武士の商法でないような手際のよい編成と運用が必要かと考えておりますが、大体におきまして輸入の今予想いたしております二十一億四千万ドル程度というものは、昨年度における食糧緊急輸入ということを別にして考えますならば、昨年度と余り変りはないのでありまして、いわゆるドラスティックな輸入節減というようなことは、主として高級の贅沢品というものを切るということに重点を向けなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  大体以上極めて長いお時間を頂きまして恐縮でございましたが、私どもが今日まで考えましたことと申しまするよりは、むしろ先般一月二十七日に経済演説をさして頂きましたそれまでにおけるところの私どもの研究の結果がこういうふうなものでございまして、それを取りまとめて一つの何と申しますか、演説の表現にさせて頂いたような次第でございます。
  4. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 長官はちよつと……三時までというお約束ですが、まだ御質問があれば……如何ですか。御質問ありますか。
  5. 奥むめお

    ○奥むめお君 私は非常に素人のことをちよつと伺いたいのですが、私ども消費者の立場から見ておりますと、輸入のほうで、例えば今日お砂糖が上りましたれ。あれは外貨割当がきつと減つたからだろうと思うのですが、お砂糖は随分たくさん入つていて、そうしてその割合に安くない。お砂糖はどうしても買わなければならないのでございますね。家庭砂糖の量の三倍ほど輸入されておる。だからお菓子がどんどん売れているのじやないかと私どもただ数字を眺めただけで思うのですが、この消費の、輸入の中の、この中で相手方で是非買つてやらなければならんもの、こちらは余り欲しいのじやないけれども、自動車を買つてやらなければならんとか、砂糖も買わなければならんというような、こういうものは何と何でございましようか。そういうことで、例えば今度砂糖の割合等お減らしになるとすぐ上る、消費税も上るというようなことになりますと、羊毛なんかも戦前より余計入れているように私ども素人で数字で見ているのですけれども、この中で余り生産資材にならないもの、必需品でなくて買つてやらなければならないものは何でございましようか。
  6. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはもう誠に御尤もなお尋ねでございまして、実はそういう点もございまするので、それならば例えばお砂糖を幾らに切るというようなことを仮にも私どもがちよつとでも口の端に乗せるようなことになると、これは非常な暴騰になりまして、少くとも当座のこの我々が物価引下げということをスローガンにして国民生活の安定ということに何とかしたいと思つておりますときに、そういう思惑によつて折角の考え方が先ずスタートにおいて泥を付けてしまわれるということは非常に私どもとしても歓かわしいことなんでありまして、そこは要するに要領よくやらないといかんと思うのであります。砂糖は実際の正常な消費量よりも現実には多く入つてれると申しても差支えないかと思うのでありますが、にわかにこれが切れないというところに悩みがあるわけであります。  それからいま一つは、これも今御指摘の通りでございまして、やはりこちらが輸出をするについては今度の日英会談の問題にも実はそれがあるわけでありますが、こちらのものを買つてもらうにつきましては、例えばウイスキーとか、お菓子も若干入るようでありますが、そういうものをやはり向うから買わなければならん。それは併しできるだけ少くしてもらいたい。併しイギリスとしてもやはり、面目もあるようでございますから、或る程度のものはこれは入れなければならない。併しながら自動車でありますとか、香水でありますとか、こういうものは先ず先ず全部切つても大した弊害はないのじやないか。ところがこれは切りましても総体の二十何億ドルというような輸入全体の所要量から言うと額は極めて僅かなんでありますが、併しこれはもう心理的、社会的、政治的にもどうしてもこういうものぱ切りたい。それからどれとどれとどれが必要かというお話でございましたが、これは先ほどもちよつと挙げましたが、まあ日本の……抽象的になりますけれども日本の産業を動かして行くために必要なものと、それから一定の機械類とか、それから或る程度の油、それから食糧というようなものが抽象的に申しましてこちら側としてもどうしても入れなければならんものだ。  それからもう一つ更に附加えて申上げますと、大体二十八年度で輸入いたしましたものの中で、奢侈品とか或いは常識的にお考えになつて高級の、こんなものは今の日本の国民生活に要らないじやないかと思われるものが大体問題の商品であると思います。ただこれは頭から何を幾ら、何を幾らという外貨割当をするのだということをこちらが発表したならば外国にも筒抜けになつてしまいます。日本の従来の外貨の買い方が下手だというのも外貨の建て方とそのプレゼンテーシヨンが下手であつたからだ思うのであります。こもいう点については私は率直に申しますが、政府の責任において秘密経済と言われても、私は日本の国のためならその責任は政府が負いまして或る程度秘密行政をやらざるを得ないとさえ考えるくらいであります。
  7. 奥むめお

    ○奥むめお君 続けてもう一つ、電燈料の値上げの問題ですが、アメリカから電源開発の借款をしたときに電気料金を値上げするという条件がついておつたと伝えられるのですが、それは発表されておるのでありますか、又本当でございますか。
  8. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は発表されておるものがあつたかどうかという点はつまびらかでございませんが、こういうことだ思います。火力の借款をいたしますにつきまして、貸す対象の電力会社の経理が健全でなければならないということから言つて日本の現在の電気料金は国際的に見て安いのじやないか、それからこれから開発を進めて行けば料金を上げたければ電力会社即ちその借款をしたところの会社としての経営は健全とは言えないではないかということを指摘しておるのでありまして、これは電気料金を値上げするという条件で金を借りたのではない。で、これは言い過ぎになるのかも知れませんが、日本政府の立場としては、現に御承知通り去る一月の二十日に九電力会社から電気料金の値上げをさせてくれという申請を私は受取つております。その申請をしております根拠は一口に言えば開発に伴う資本費が非常に増嵩をして、例えば金利だとか償却だとか背負い切れないから、そこで将来の経世の健全性ということから言つて一割四分四厘の平均の値上げ率が必要だという申請書であります。これは勿論これとして、徹底的にその根拠というものが正しいかどうか調べなければたりません。同時に政府の立場におきましては国民生活に与える影響、それから国内産業に対するコストの上に占める割合というようなことを慎重に考究しなければならないわけでありまして、特に私は今日縷々申上げておりますように、物価引下げということが何と言つても今回の政策の中心であるということにできるだけの重点を置いて、私の申上げておりますことは筋の通るようにこの問題は処理いたしたいと思うのであります。  要するに今日この時間におきまして私は値上げは認めないと言い切ることはできませんし、それから上げるとすればどの程度認めるつもりだということもまだ遺憾ながら今日この時間に申上げることはできませんが、今申しましたように電力会社の値上げを要請しておる理由というものも相当徹底的に検討しなければなりませんが、更に大きい要素として国民経済に与える影響ということを相当大きな重点として考えなければならない。更に政府としては物価引下げということをスローガンに掲げておるというような、そういう条件の下にこの問題は一つ何とか国民的に御納得の行くような方法で結末をつけたいと考えております。
  9. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ほかにございませんか。まだ御質問がたくさん残つておると思いますが、長官のほうの時間もありましようから、一応この程度長官への御質問を……。又次回に時間をお願いしておいでを願いたいと思います。  まだほかに審議庁の次官初め調整部長計画部長調査部長、皆さん見えておりますが、如何でございますか、何か御質問を継続して頂きますか……。  ちしよつしと速記をとめて下さい。    午後三時十二分速記中止    —————・—————    午後三時四十九分速記開始
  10. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて下さい。  それでは散会いたします。    午後三時五十分散会