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1954-05-17 第19回国会 参議院 外務委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十七日(月曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            重宗 雄三君            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   政府委員    国家地方警察本    部刑事部長   中川 董治君    調達庁総務部長 山内 隆一君    自治庁財政部長 後藤  博君    外務政務次官  小滝  彬君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   説明員    農林省農地局入    植課長     和栗  博君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国における国際連合軍隊の地  位に関する協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○日本国における合衆国軍隊及び国際  連合軍隊共同作為又は不作為  から生ずる請求権に関する議定書の  締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では只今より外務委員会を開きます。  日本国における国際連合軍隊の地位に関する協定締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合軍隊共同作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言をお願いするわけでありまするが、実は本日は本会議がありまして日程は第五までが法律案等でありまして、第六から請願に入るわけであります。それで本日のこの委員会での採決が若しありまするならば本会議緊急上程をすることに交渉してあります。そして請願に入る前にこちらの委員会承認を与えた件を上程することになつておるのでありまするが、若し午前中の本会議のときにそれが間に合わないようでありましたならば本会議は一時休憩をしてこちらが上がるのを待つてくれることになつております。が併し成るべく午前中の日程の順を追うてそして請願の前にかかるようにしてもらえば一番つごうがいいと、こういつたようなことが先ほど議運の小委員会のほうから通知がございましたことを御参考までに申上げておきます。  それから政府委員といたしまして御列席のかたがたを御紹介いたしておきます。外務政務次官の小瀧君、外務省国際協力局長伊関君、調達庁総務部長山内君、国家地方警察本部刑事部長中川君、そのほか大蔵省主計局次長及び自治庁財政部長は間もなくこちらに到着されることになつております。そのほか説明員として大蔵省管財局総務課長の亀岡君が来ておられます。  繰返しますが、大蔵省主計局次長の原君、自治庁財政部長後藤君はそれぞれ役所を出られてこちらに向つておられるというようなことでありますからして、これらのかたがたは間もなく全部お揃いになるわけでありまするが、時間の節約のために質疑を始めて頂きたいと存じます。
  3. 高良とみ

    高良とみ君 前例御質問申上げましたことを総括いたしまして二つの点についてお伺いしたいのです。外務省から御返事願いたいのですが、この国連軍の活動について起る漁業補償の件については、米軍並には今まで行われていなかつたと了解いたしますが、今回の提出予定土地等使用及び漁船操業制限法律案において補償される見通しがあるでしようか、それが一つ。  それからもう一つは、大蔵省伺つていいと思うのですが、国連軍駐留に伴う代表施設事業費として地方からは約三十八億円以上のものが、どうしても代替施設として道路港湾埋立地工場施設等について要望が出ているのですが、私の了解しますところでは過日宮澤委員からの御質問で、平和処理についてはこれをカバーできるような見通しがあるやに外務大臣からお話があつた点ですが、大蔵省としては如何なのですか、その二つをお伺いしたいと思います。
  4. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 漁業補償につきましては法案は今国会に提出してございますので、これが成立いたしますれば米軍の場合と全然同様な取扱になるわけであります。
  5. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、演習等で海上を使用しておりますときに船舶が損失を受けた、その損失においては他の漁業地域と同じような補償を事後においてお払いになるというように了解していいのですか。
  6. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 使用条件はいろいろございまして演習しているときは使えんとか、演習しないときは使つてもいいというのもございますし、弾薬庫周辺のように弾薬庫が近いので常時危いというような所もございます、使用条件はいろいろございますが、要するに、その使用制限をいたしまして与えた損害については補償するという点はおつしやる通りでございます。
  7. 高良とみ

    高良とみ君 了解いたしました。
  8. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 主計局次長が来られましたので高良委員の御答弁を。
  9. 原純夫

    政府委員原純夫君) 大変遅くなりまして申訳ございません。国連軍関係呉方面でいろいろ御要望が出ておりまする道路港湾等関係費用についてどういうふうなことが考えられるか、できるかという点について申上げるようにという委員長お話でございますが、具体的な場合の中味に従いましていろいろ答えが違つて参るわけでございますが、概して大ざつぱに大筋の点を申上げますれば、道路等につきましては若干従来からのいきさつもございますが、一応まあ平和回復善後処理費というもの、それから安全保障諸費というもの、それと通常公共事業関係経費というようなものが関連を持つ経費でありますが、まあ公共事業費でやりますのは通常公共事業費としてメリツトに従つて順位をつけてやるということでございまして、御要望の趣旨は恐らく平和回復なり或いは安全保障諸費なりというようなこういう特殊な関係に、これは経費を発動させ得るかどうかということであろうと思います。先ず大きな筋といたしましては、こういう国連軍のために提供する施設というのは非常に長い間の提供でなくて、朝鮮の事態が鎮静するに連れまして返してもらいたい、使用するのをやめてもらいたいというような角度で提供しているものと考えるのでありますが、従いましてそういうものは随時共同使用であるとか、或いは使用解除するとかいうようなチヤンスが出て来るというふうに考えております。こういうような場合におきましては、いわば一歩々々そういう意味平和回復的な色彩が出るというような考え平和回復善後処理費をどういう際に使う、つまり共同使用なつた、そのためにこの専用中の状態を直さなければならんというような考えで使う、或いは完全にこちらが使用権を取戻すというような場合に、解除に伴いまして施設状況を直すというようなことを考えることはあり得ることではなかろうかというふうに考えております。先ずやはり大体そういう線が大きな線になると思いますが、当初に申上げましたように道路の場合におきましては実際問題として連合軍米軍というものの区分が、呉あたりでは大部分連合軍でありましようけれども、従来の実際の扱いで車両数が相当多いという場合におきましては安全保障諸費で出しておるのが実情でございます。従いましてこれを何と言いますか、更に将来細かく分けて連合軍は見ないというふうなことまでいたす必要はなかろうというふうなことも考えておるわけであります。まあそういうようなやり方で御要望の筋についてリーズナブルな限度におきましてはやつて参りたい。まあ頂きました御要望は非常に実は大きな御要望で、これの大部分又はその相当額が出るというふうにお考え頂くと困るわけでありますが、リーズナブルな限度においては只今申しましたような筋で処理をいたして行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 高良とみ

    高良とみ君 了承いたしました。で農林省土地関係のかたにお願いしておいてございますが、おいでになつておられましようか。
  11. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 農林省でございますか、まだ。
  12. 高良とみ

    高良とみ君 それではあとで。
  13. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 農林省はまだ来ておられませんが、農地局入植課長が来られておりますけれども、まだ見えておられませんからあとで。
  14. 高良とみ

    高良とみ君 それでは先ほど御返事のありました通り、それからこの間外務省条約局長からも、平和処理費と共にこの安全保障諸費の中からも公平に、成るべく米駐留軍国際連合軍との及ぼした影響については公平に偏ぱなく扱いたいという御要望もありましたので、どうぞ一つ大蔵省におきましてその辺を、米軍及び国際連合軍使用しておりまするために民道を圧迫し、或いはそこに漁業、農業、土木私生活等影響を及ぼしておりますことを成るべく公平に不満のないように御処理願うことを希望いたしまして、財政のそれだけの総額要求することは無理であるとおつしやる点も私としては了解できると思います。是非一つ不平のないように御処理を願います。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 ちよつと只今高良委員の御質問大蔵省主計局の御等分に関連してもう少し大蔵省はつきり伺いたいのですが、これ、いろいろ地方自治団体及び地方住民要望しておりまする補償、補てん、いろいろな形態があるわけでして、只今お話なつ道路港湾等に対する補償と言いますか、地方自治団体負担増加に対する国の援助については、大体まあ今まで道路等については安全保障費で、連合軍米軍とが必ずしも関係はつきりしてなかつた安全保障費で出していた部分もあるし、そこは安全保障費でもいい。併し要すれば建前から言えば平和回復善後処理費でも出し得る。ただその金額等についてはまあ公正な査定をするからというような御意向であつたと思うし、更に一般的には公共事業費からも出し得る余地もあるはずだ。こういうようなお話つたと思うのです。その点は了承しますが、ただややもすれば実質的にはアメリカのほうは安全保障費、いつでも出せるのです。連合軍関係というと、まあ安全保障費で突つ込みで扱つてくれる場合もあるけれども、やつぱり法的根拠従つてこの財源はつきりしてなかつたというきらいがあつたわけです。厳正な査定については異議はありませんが、そういうことから現実には呉等が損をすることのないように、要すれば平和回復善後処理費からはつきり出せるのだ、予算の厳正な解釈において。だからその点は十分に見てやるということの御言明を改めて頂きたい。それから更にそういうものでない地方税収入が得られないということが今度協定はつきりするわけですから、これは一体どういう財源から出るのであるか、これは自治庁関係もおありでしようが、地方交付税等で特にその関係からこれも厳正な査定はするが、改めて総額ひも付きでやつてやるというふうにお考えであるか。この点も財源方法についてはつきり伺いたい。第三の種類は、主としてこの補償の問題で今度国会に提出しておられるような土地使用及び漁船操業制限等に対する法律、この法律等によつて個人に対する補償もできるわけです。その場合の財源是非これはやはり平和関係善後処理費なのか。それとも国の予備費からでもお出しになるのか。これもはつきりした財源はどこにあるのか、これも勿論査定の問題がありまするが、私ども政府として予算執行はつきりした財源がおありであるか。なければどんな小さなものでも改めて補正予算なり何かの措置が必要でないか、というような観点からはつきりした財源をお示し願いたい。こういうような意味質問しているわけです。
  16. 原純夫

    政府委員原純夫君) 第一点の道路等に関する経費の支弁の問題でありますが、平和回復善後処理費でいわば何と言いますか、かなり広くこれを使つて出すということについてはなお検討いたしたいというふうに思います。と申しますのは、平和回復善後処理費をそういう面に無条件に使うということについては、この費目が設けられました性質からいつて疑問がございました。先ほど申上げましたように、一部使用解除になりましたり或いは共同使用を認められるというような平和回復そのものという事態が出て参りますそこをとらまえてやるというようなことが妥当ではなかろうか。又それで相当処理をし得るのではなかろうかというように考えるわけであります。なお道路につきましては先ほど申上げました通り、実際上米駐留軍との区分がむずかしいままにと言いますか、便宜そういうふうに扱つております額が呉周辺でたしかすでに一億円前後になつておると思います。まあこの系統の処置はなお事態性質によりましてやつて参りたいというように思つております。  それから施設以外のいろいろな補償予算財政措置でありますが、この協定にあります事故補償につきましては、平和回復善後処理費からでも出して参ろうというふうに考えておりますが、特損及び漁業補償のほうは御承知通りこちらが払うというのでなくて先方に払つてもらう、とつて払うという建前でやるように交渉して頂いておるところでありますので、これにつきましては別段日本側としての予算措置はないというふうに考えております。  第二の地方税関係の問題につきましては自治庁のほうからお答えがあろうと思います。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 ちよつともう一点。それは平和回復善後処理費も余り拡張解釈しないほうが正しいと思います。その点は同感ですが、まああなたの言つておられる平和回復という意向に副うようなものであるならば多少の余地があるわけであります。それで了承します。
  18. 原純夫

    政府委員原純夫君) その通りでございます。
  19. 曾禰益

    曾祢益君 自治庁にお伺いいたします。私の質問は大体おわかりでしようけれども、今国が負担してやる一種の公共事業的なものとか事故補償のうちで日本政府が受持つべきものの財源は大体今伺つた通りです。そうでなくて地方税収のロスに対すること等考えて当然に私は建前から言つてこういうものは地方自治団体が負担すべきでないので、これは中央が負担すべき建前であろうと思うから、どういうふうにこの地方に対する交付税等現実に増額してお考えになつているか、その点をお示し願いたいと思います。
  20. 後藤博

    政府委員後藤博君) 地方税関係についてお答えいたします。国連軍協定に基いて今度減税になりまするので、二十九年度の平衡交付金の算定に用います基準財政収入額から電気ガスに関する分を落して、差引いた計算にいたして行きたいと思います。従つてその限りにおいては、平衡交付金がその分だけ増額される恰好に相成ると思います。
  21. 曾禰益

    曾祢益君 その税収のあれのほかに、これはもう御承知のように警察費等駐留のために特別なやつぱりあれがあるわけで、これはもう勿論協定の発効にかかわらず前からあつたことなんです。それらの点は今までどう見ておつたか。この点について必ずしも十分でないというきらいがあるので、どういうふうにお考えでございますか。
  22. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今までは軍港所在地でありますということと、もう一つ渉外関係費用多額に要るということで特別交付金で見ておつたのであります。昨年度はたしか合せて一千万円ぐらいだと思います。そのうちで約八百万円を渉外関係費用の需要の増加、こういうことで見ておりました。二百万円ぐらいを軍港所在地であるという関係特別交付金を出しておりました。勿論この額では足りません。総額の枠がきまつておりますものですから思うように出せないのでありますが、毎年軍港所在地であり渉外関係費用多額に要るというので、大体一千万円前後の特別交付金が出ておると考えております。それでは不足でありますので他の起債の面その他で、例えば水道でありますとかそういうものの、他の起債の面で併せて考えて行きたい、かように考えております。この考え方は将来もやはり続けて行きたいと思います。
  23. 曾禰益

    曾祢益君 今年度はどうですか。二十九年度は。
  24. 後藤博

    政府委員後藤博君) 二十九年度もやはり同じように考えて行きたいと思つております。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 欧米局長はいないのですか。
  26. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 欧米局長は来ておられません。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 それから今度の政府委員の補充はどうなりますか。
  28. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 武内欧米局長事務取扱政府委員に任命されたはずです。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 巷間伝えるところによると大局長を以て任じて国会あいさつにも来ないというような情報もあつていろいろ問題があると思うのですが、もうお帰りになつてから大分間がたつと思うのですがどうなんですか。
  30. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 御あいさつに来るのが筋合か知りませんが、国会審議もお忙しいときにあいさつだけに出るのも。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 あいさつではない。欧米の新知識を、そういう観点から、国連本場から帰つているのですから、国連協力の基本的な世界的な動向について知らせることはもうエチケツト、あいさつではない、この協定審議の基本的な前提です。ところがその大局長を以て任じて国会なんかに出かけるとうるさいからというので出ないという風聞があるのですが、如何ですか。
  32. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) それは事実ではないと思いますが、勿論欧米局長説明しなければならぬ必要があるような場合には、委員会からも連絡があることでございますし、当然こちらに出て喜んで御質問にお答えすることと存じます。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは私は儀礼的な問題ではなしに、国連本場からお帰りなつたのですから、そういう一般的な外交問題について是非お伺いしたいと思いますから、手が空きましたら次の機会に御出席願いたいと思います。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 只今大蔵省お話ですと、代替施設事業費等々については平和回復善後処理費、或いは安全保障諸費等々から何か若干のものが考えられはしないか、考えるつもりだというような御答弁つたと思うのですが、併しこれは主計局長もちよつとお話のように、そういう一体余裕がこの経費性質上そういうことができるのかどうかという問題と、もう一つは、実際上平和回復善後処理費等々から代替施設事業費として考えられているような金額が出せる状態にあるのかどうかという問題についてもう少し御答弁を願いたいのですが。というのは一体平和回復善後処理費というのは二十九年度は幾らに見積つておられるのか。而もそれは事実において費途はもうきまつていて、あとこういうものに更に使い得る金額は非常に少くしか残つていないので、そういうものからどうして出そうとされるのか、その点をもう少し計数的に詳しく御説明願いたい。というのは国連軍駐留に伴う代替施設事業費としては、市当局その他から出されている資料によると、普通土木が十億、港湾が二十七億、その他で三十八億程度のものを一応見るというような要求が出ている。こういうものに対して少くとも代替施設事業費と思える程度に出せるとお考えになつているのかどうか。  それから安全保障諸費からも若干何とか考えられるというお話ですが、併し安全保障諸費はもつとこれは厳格な、アメリカ駐留軍関連をした経費ということに非常に厳密に規定をされておるので、ここから出す余地はそういう経費性質上からもあり得ないような感じがするし、更にこの経費自体も相当経費配分ができていて、あとに残つている金は殆んどないように私は承知しているのですが、それにもかかわらず、出すとか出せんとか言つておられるのはどういうことを考えながらそういうことを言つておられるのか、そこのところをもう少し明瞭にはつきりさして頂きたい。
  35. 原純夫

    政府委員原純夫君) この呉周辺で三十億程度に上る御要求の書類を頂いておりますが、このオーダーにおいては我々とてもこれだけのオーダーのものは出せないと思つているし、又中に港湾関係の御要求多額に上つております。それだけで二十六、七億になるようなお話でありますが、先ほどたびたび申上げましたような、妥当な、どうしても必要なという範囲において考えるというふうにいたしますと、遥かに数字は減つて参る、例えば道路関係で申しますれば、先ほど申しましたように、ここ数年の間にこの呉周辺道路に出しておりますのが約一億程度でございますから、今後まあ例えば道路関係で追加の御要求があるという場合におきましても、経費の大きさの大体の、何と言いますか、程度というものは、そう多額なものとは我々考えておりません。なお附言して申しますれば、代替施設という考え方よりも、むしろ損傷がはげしいために、それによる地方民地方産業等の困難を防ぐ意味でこれを修繕いたすというような経費が多いのではないかと、代替施設を設けてというこのいわば永い使用前提とした考え方というものは、原則としてとつて参りたくない考えで私ども考えております。そういうようにこの経費のめどをかなりにまあそうやつて、こう常識的な勘でありますが、しぼつて参りますれば、おのずから只今指摘になりました安全保障諸費乃至平和回復善後処理費における位置というものも、まあ非常に大きくて入りにくいということでないようなものになつて来るかと思うのであります。一方御指摘通り安全保障諸費にいたしましても、平和回復善後処理費にいたしましても、まあかなりに流動的な面もございますけれども、特に安保諸費のごときは、もうこれで三年目になるわけでございますから、残つておりますものについても大体の見当はついているというような意味で、そう自由に多額をあれこれいたすというわけには参らないのでありますが、只今申しました程度経費でありますならば、場合によつて考えられないこともないというふうなことを思うわけであります。平和回復善後処理費のほうにいたしましても、御存じの通り部分賠償関係に予定いたしているわけでありますが、これも賠償関係の交渉、その成行というものは多分に動きます。従いましてそれらの状況を見ながら先ほど申しましたこの事故補償乃至返還時の原状回復というようなことは、必ずしも非常に困難だというふうには考えられないと思つている次第でございます。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや今の御説明によつて一億とか五千万円とかそういう程度のものであるならば、今おつしやつたような費目から何とかすることができるんでしようけれども、ここで問題になつているのはもつと根本的な問題なんで、そうだとすればやはりその駐留軍駐留伴つて代替施設その他をやる、やらなければならないということを認められるのならば、国連軍自体にこの負担してもらう以外にないんじやないか。国連軍駐留の性格から言つて、それ以外に方法はないんじやないかと思うんですが、そういうことはお考えにならないのかどうか。そういう努力はされたのかどうか。
  37. 原純夫

    政府委員原純夫君) 重ねて申上げますが、この国連軍のおりますことの契機となりました事由から考えましても、代替施設というような形でのこの提供施設考えるということは、かなりに永いいわば何と言いますか一時の駐留ではないことを意味することになりますので、そういうことはないという前提で私どもものごとを考えているわけであります。それで御了承願いたいと思います。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると代替施設を作るまでもなく、もうすぐ一両年の間には国連軍駐留はなくなるのだというお見通しなんですか。
  39. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 米軍の場合につきましても、代替施設を作つておりますのは、主としてこの大都市の中心から郊外へ移して行くというふうな観点でやつているのでありまして、これは日本が独立いたしましたにもかかわらず東京とか横浜とか大阪等中心部米軍施設があるということは、国民感情上おもしろくないという観点から、このリロケーシヨンというものを考えているのでありまして、米軍の場合でも各地に施設がございますので、それにつきましてすぐ代替施設考えるというふうな考え方はいたしておりません。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 後藤部長にお伺いしますが、この点をはじめアメリカ駐留軍は、まあ両面の性格を持つて国連軍的な性格も持つて駐留して、両者併せて、地方財政に対して、いろいろなこの先に曾祢委員から御発言のあつたように、財政需要が増高する面と財政収入が減る面と両面があるわけですが、全般的にそれによつて財政上のマイナスになるのを、地方公共団体に、大体平衡交付金でどれくらい一般分並びに特別分で補われているのですか、大体。
  41. 後藤博

    政府委員後藤博君) 普通平衡交付金の算定のほうの基準財政収入の減少といものは、はつきりこれは私ども計算したことがないのでありますが、特別交付金で大体合せて私どもが見ておりますのは、都道府県、五大市、市町村が合せて三億ぐらいだと私、記憶しております。それくらいのものを出しておりますが、ただ市町村及び都六府県から言つて参ります財政需要なるものもこれが測定が見込んでありまして、はつきりしたものを持つて来ておりませんので、総額どのくらいの財政需要がそれによつてつているかということは、はつきりわからんのであります。とり得るデータをとりまして私どもが出しておりますのは大体三億ぐらいになつております。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、例えば国連軍なり駐留軍がいることによつて治安が乱れて警察の費用が要るとか、或いは交通量がふえて道路の損傷がたくさん多いというようないろいろなことがあるのですが、そんなのはまあ余りかまつていない、こういうことになるのですか。
  43. 後藤博

    政府委員後藤博君) 総額的にかまつているということではなくて、例えば道路の問題でありますと、道路の単独事業の起債をふやして行くとか、水道関係経費の増を見ましてこれに起債をつけて行くとかいうふうに個々の問題をとらえて私どもは解決を図つております。どんなでも解決ができないような問題、これは財政需要が一般的にふえることでありますが、そういう場合につきましては特別交付金あと或る程度補てんをしよう。こういう考え方に立つておりますので、総括的な数字を私どもは出したことはございません。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 具体的にこの呉の数字ですがね、いろいろさつきのようなお話を開いたのでは、大体財政負担の八分の一くらい、十分の一とはまあ行かんでしようが、その程度しかみられていないのじやないかと思つているのですが、呉の財政収支はどうなんですか。
  45. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どもちよつと細かいデータを持つておりませんが、相当な実質的な赤字を持つております。併しその原因が果して国連軍に帰すべき赤字であるかどうか。市の財政運営の巧拙にも私は多分によつていると思います。それから他に失業者が非常に多いとか生活保護者が非常に多いという別な財政需要から来ている面もございます。従つて国連軍だけの責任において赤字が出ているということは、私は呉の場合にも言えないのではないかと思います。一部は確かに国連軍のいるために財政収入がない、又財政需要が増加していることは言えます。併し財政運営そのものにもう少し検討すべき点があると私は考えております。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう財政上の運営の何もあると思うのですが、この詳細な資料を一々点検してみましてもそう多くの無理があるともまあ思えないのですが、併し年々財政需要増高の八分の一なり十分の一しか補てんされていないとすれば、これは数年かかればなかなか莫大なことになるのじやないかということも予想されるのですが、後藤さんは呉市がどういう財政連帯をやるというお手並を知つておられるのですが、私はやはり一億、九千万円近いもののうちたつた一千万以上か補てんされないとすれば、これは数年たてば大変なことにかさんで来るのじやないかと思いますが、その辺はどうですか。
  47. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私ども考え方では毎年特別交付金で或る程度補てんをいたしておりますが、併し呉のやはり市政の大きな問題は国連軍との問題であろうと思います。従つて市政の中心はそこに置いて、そこを中心考えて行くようなやはり財政運営もやつてもらいたい。何もかもやれということは現在の情勢においては不可能であるから、ポイントをそこにおいた財政の締め力をすればもつと適切な財政運営ができるのではないか、こういうふうに考えられる点があるのであります。まあ税収入の点から申しましても、やはり滞納整理をもう少しやればいいじやないか、もう少し徴収率を向上することを考えてもいいじやないか。そういうところへ単に電気ガス税の収入がないから財政収入が非常に少いのだという理窟でなくて、もつと努力すべき点は努力した上で補てんを考えるようにしてはどうか、こういうことをたびたび申上げているのであります。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういうことはよくわかるのですが、呉はまあ戦前から海軍の町なんですが、従つて呉の財政収入におきまして、海軍の諸施設から得る何ですか、補助金のようなものを海軍から年々たくさん納めてもらつたそうですが、今この協定によつてまだ相当部分国連軍が利用され、そのために例えば固定資産の使用者税と言いますかそういうものが入らん。ところがそういう建物があることによつて地方公共団体としては消防その他のために、やはり建物にふさわしい防火の設備を持たねばならんのでそういう面からもかなり負担がかさまつて入るということが考えられるのですが、それはどうなんですか。
  49. 後藤博

    政府委員後藤博君) お説の通り考えております。併し先ほど申しましたように、一体どの程度それが国の財政との関連があるかという問題になりますと非常にむずかしい問題になつて参ります。従つて一方におきまして財政の運営そのものの考え方をもう少し考えられないだろうかということと合せて考えて行かなければなりませんし、又平衡交付金制度そのものにも、やはり私どもは補てんの限界がある、かように考えておるのであります。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題に関連して。そういう一般的な、市の財政の問題でなしに我々が聞きたいのは、ここに当局から出ておる資料ではつきりしておるように、財政需要を基準とする額、国連軍駐留によつて特に要する財政需要額が三千六百万円と出ているのですね。これは明らかに、失業対策とか何とかいうことをおなたは言つておられるが、そういうものをこみにやつたのではなくて、ちやんと警察消防費、保健衛生費、土木費、而も直接それが駐留軍がいるための増高を一応計画をしておるのです。これを仮定されることはちつとも妨げないと思うのですけれども、こういう特にこれに面接に関連をして出ておる三千六百万円というようなものをどれくらい一体見得るとお考えになつておるのか。先ほどは何か昨年度は一千万円程度みたとおつしやるが、一千万円程度でそういう財政需要の増高費、特に国連軍駐留によつて増高した経費が全部カバーしておるとお考えになつておるのかどうか。これらの点は直接に国連軍駐留することによつて出るものであるから、ほかの地方団体の要求とは違つた、直接の国が負担すべき経費としてお考えにならなければならない性質のものだと思うのですが、それをどういうふうにお扱いになつておるのかというのが第一点。  それから第二点は、先ほど税収入が減るのでそれは基準財政収入の減少としてみておるというお話でありますが、その金額も一応五千九百万円が収入減に立つということがはつきり資料として出ておるのですね。これだけの減を当局は考えているのだが、基準財政収入の減少を見積つた場合には、これがどの程度カバーされるとお考えになるのか、而もその程度カバーしさえすれば国が見なければならない負担は全部見たというふうにお考えになつておるのかどうか。この両点をもう少し正確に御説明を願いたいのです。
  51. 後藤博

    政府委員後藤博君) お答えいたします。第一点の三千六百万円の需要の増は、私どもはその資料を持つておりませんのでどういう資料かわかりませんが、先ほど申上げましたのは呉の赤字の原因のことを申上げたのであります。呉の赤字の原因は、国連軍財政需要の増と合せて、生活保護法の関係とか失対の関係によるところの赤字であります。大部分がそういうものであります。そういう意味の赤字でありましてその国連軍財政需要の増とそういう他のものとの間の区分が非常にむずかしいということを申上げたのであります。三千六百万円の私はデータを今持つておりませんのでわかりませんですが、このうちで細かく査定して参りますれば必ずしも三千六百万円の補てんをしなくてもいいのではないか、かように考えております。  それからもう一つ平衡交付金で補てんすべきものは、その財政需要の増額を補てんするという考え方に立つておりません。これはあるべき財政需要を考えておりまして、現実財政需要をそのまま補てんして行く考え方を現在私どもはいたしておりません。従いまして現実財政需要よりも落ちたところで補てんをして行く考え方に立つておるのであります。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、特別交付金の総枠自体の制約がございますので、その総枠の中で障害関係を幾らとるかという問題に関連して参りますので、やはり殆んど落ちた数字になつて申訳ないのであります。  それから第二の税収でありますが、五千九百万円、まあ六千万円の収入減があるということも私どもは聞いておりますが、私どもはむしろ少いのではないかと思つております。で、この問題ははつきりデータはつかむことも可能でありますので、本年、二十九年度の基準財政収入の額からはつきりきまつた数字を国としてその分は交付税で補てんするということになりますので、今までのような問題はなくなる、こう思つております。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 財政需要の増高額を、全部見る建前になつていないという御説明ですが、これは一般の地方財政の場合の一般的な考え方としてはその通りだと思う。併しこれは今ここで言つている増高額は特に国連軍駐留することによつて直接に生じた金額なんです。これは本来は国自体が負担をすべきものだし、我々から言えば国連軍自体が負担をしなければならん経費であると思うのですね。それがいろいろな協定その他の関係国連軍自体は負担をしないことになる。そうすれば当然に国家が負担をしなければならない性質のものである。これは普通の財政需要増とは別個にお考えにならなければならん。そういう考え方の問題としてこれをどう扱おうとしておられるのか、その点をもう少しはつきり御説明願いたい。
  53. 後藤博

    政府委員後藤博君) 地方財政の運営の場合にこういう問題があるのでありますが、例えば市の予算に或る一つの事業を組んでおります。それを一般財源で組むか、つまり税でその財源を補てんするか、起債でそれをやりますかという問題がございます。税でやればそれだけ穴があくわけでありますが、それを起債で振替えまするとそれだけ一般財源が浮いて参ります。従つて他のほうにその一般財源を持つて行くことができるのであります。そういうやりくりによりまして、つまり全体の財政運営をつまり起債その他の面で考えて参りますと、これは公共事業の起債、単独起債両方ありますが、公共事業の起債の充当率を上げますとか或いは単独の起債を特別に認めますとか、そういうことによつて一般財源が浮いて参ります。その浮いたものは他の財政需要に振替えられて参るのであります。従つてそういう振替え得るところの財源もこれは呉の会計の中にはあると思います。従つてそういうものをできるだけ国連軍関係財政需要に振向けていくべきである。そのためには起債を或る程度認めなければならんし、又認めておるのでありますが、そういうやりくりを一方にやりながら特別財政需要としての国連軍財政需要を見ていく、両々相待つて財政補てんを考えていくという考え方を現在いたしておりまして、必ずしも私は全額を交付金で補てんすべきものではない、又そういう建前にはなつていないというように考えておるのであります。
  54. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは農林省関係高良委員
  55. 高良とみ

    高良とみ君 呉関係でこの国連軍使用しております中に相当量の農地があつたのでありますが、その善後の措置はどうなつておりますか。農地関係のかたに伺いたい。
  56. 和栗博

    説明員(和栗博君) ちよつと御質問の内容についてわからないのでありますが。
  57. 高良とみ

    高良とみ君 この呉地区特に広地区に国際連合軍隊の兵舎を建てますために、曾つて農地であつたひとの土地を依然として民有地のままで置いておいて、そうしてそれを借地の形にしてそこを埋めてそうして兵舎が建つておる所が約二万坪以上或いはもつとあるかと思います。その総数と、それからそれをどうして国が買上げるとか或いはそれに補償をするとかというふうにしないでただ借地料的な形で長年放つておくようなことがあるのだが、その経過を伺いたい。
  58. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の御質問の借地料とかいう問題につきましては、むしろそれは調達庁の問題になつてくるんじやないかと考えます。農林省のほうへ只今質問がありました呉市の広町関係の問題につきましてはキヤンプができましたので、その附近の水路が壊されたりその他が起きまして湛水するために、その附近に従来よりも相当そういつた浸水による被害が起きて困つておる。何とかその点について解決を図つてもらえんだろうかという申請がございます。本件につきましては実情を一応当りまして目下大蔵省ともその処理方針を協議中になつておるというような状況でございます。
  59. 高良とみ

    高良とみ君 私が農林省に特にお伺いしたいのは、その農地を持つてつた農民の生活についてそのキヤンプができて埋立地になつたものは、いつまでも将来農地として返る見込はないのだと思う。それに対して農地については農地法で相当やかましく言つておるにかかわらず、特別調達庁あたりでこれをキヤンプに使うからといつて借地の形で取上げられたことに対して、農林省の農地法で処置なさる方面としてはそれでいいのですか。これを依然として農地として置いておられるのか、それを宅地に変更されたのか、その点がわからない。
  60. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の問題につきましては実は誠に申訳ないわけでございます。私は現地の実情を詳しく存じておりませんが、大体想像いたしますと、キヤンプ敷地になりました分はこれは又農地に戻るということは困難だろうというふうに考えております。
  61. 高良とみ

    高良とみ君 私どもはその個々のケースを追及していくことは十分でないと思うのですけれども、併し農林省が農地法を施行していく上にそれに対しては何か処理があるのじやないのでしようか。それをただ特別調達庁が、これはキヤンプにしてしまつたから借地料的な形でいくというようなあつさりしたことによつて農地法そのものが侵害されておらないのでしようか。それについてお調べになつたこともないのですか。これは呉の広町の農民の立場とすれば、自分たちは寸土といえども耕すべき立場にあるのに、駐留軍がおるためにいつのまにか僅かなる借地の金を少しもらつて、そうしてほかに転業していかなければならない。それは将来農地として返る見込もないのか或いはあるのか。それに対して非常に泣寝入のような形なんですが、そういうことなんですか。
  62. 和栗博

    説明員(和栗博君) 取扱方といたしましては、いわゆる駐留米軍の場合も大体同じ取扱になつておると考えております。その農地がキヤンプ敷地になるというために引続き農耕ができないというような場合は、いわゆる希望によりましては買上げの形で政府側でその農地をキヤンプ敷地にするというような恰好がとられておると思います。
  63. 高良とみ

    高良とみ君 それでは農林省はその点もう少し是非お調べ願いたいと思います。そういうようなところでルーズにしていつてほかの寸土についても農地法違反であるといつて非常にやかましいことがあると思うのですが、是非一つお調べになつて御報告願いたい。特別調達庁のほうはどういう立場でそういう農地名目のものを御使用になつているのか。或いは米軍なみとおつしやいましたが、米軍でも国連軍でも農地であるところを取上げてキヤンプ・サイドその他演習地等になさる場合には、それぞれの手当をしてからあと特別調達庁の外国軍との交渉をなさるのだろうと思うのですけれども、どういうことになつていますか。
  64. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 国連軍地区にあります土地使用提供問題は、やり方は駐留軍の場合と全く同じであります。ただ今まで無協約状態でありましたものですから、どうするかということでかねてからこの問題について何とか話をつけて、便宜の措置を講じて行かなければ困るという意味で、国連協定はできませんけれども、所有者の希望なり或いは国連軍或いは調達庁の立場としてもほつておけませんので、駐留軍の場合に取扱つておりますと同じやり方で取りあえず話合をつけて、そして先方の責任者と調達庁の次長との間に調印をして、昨年の一月と思いますが、それから実際駐留軍の場合と同じようなやり方で賃貸借契約をいたしまして国連軍提供をいたしております。そこで只今も問題になりました、農地を収用又は使用して、或いは賃貸借契約によつて軍に提供したものが、現在はもう農地ではなくなつて実際は宅地のような形を成している。それでこれが非常に農民に対して、将来農耕をやるという希望を非常にまあ阻害、それに対して非常なまあ不安を与えるというようなことがありますが、過去においてすでに長く使つて来ました。軍に提供いたしておりますし、又将来駐留軍の場合とは違いますけれども、どれくらい必要とするかということもはつきりしませんから、希望がありますれば買上げることができるようにはなつております。それから又解除にでもなつた場合には、この変更の仕方によりまして又宅地に返す、いわば原状回復というような意味でそういうような工事をやつて返すとか、或いは経費補償するとかいう途もあります。これは要するに駐留軍の場合と同じやり方で処理しておるということを御承知願いたいと思います。
  65. 高良とみ

    高良とみ君 今調達庁から国連軍との話合のことがあつたのですが、併しこれはむしろ国内の問題であろうと思うのです。駐留軍は、そこが農地であろうが宅地であろうが、とにかくそこをキヤンプ・サイドにして提供されたのだというふうに考えるでしよう。それが調達庁農林省の間で、或いは日本の農地法というような法律をそのまま何だかないがしろにする。それでその駐留軍提供した土地が、これは国連軍でも米軍でも同じでしようけれどもね、未解決のままに何年も何年もこの弱い農民の上にしわ寄せされているというその姿について私どもは遺憾に思うのですが、調達庁としては農林省お話合になつてそしてそれを将来農地に返さないということがわかつているならば、それをはつきりとして御処理なさらないところにこの農民の不安が又あるのじやないでしようか。役所同士で話合をつけて、ちやんと法的にこれは宅地にしたのだ、或いはああいうふうに立派な、というほどでもないでしようが兵舎がずらつと並んでいるところを、そこだけは田んぼに返すというわけには行かないのですから、そういうことに対して農民や或いはその小さな零細な土地所有者に対して調達庁は何か適当な満足の行くような、将来返るかも知れないというようなことだけでなくて、このああいう大きな施設を先にしておいて、元の所有者には何ら説明がないというようなことは非常に遺憾なことのように思うのですが、如何なものでしようか。ここは小さな土地の所有者の集まりだと思う。これに対しては調達庁としては何か考えておられるのか。これは仕方がないから泣寝入しておれ、こういうのですか。
  66. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) なかなかこの土地提供の問題はむずかしい問題でありまして、建物ならばこれも用途によりましてこの接収当時の建物が非常な中に変更を加えられて解除のときに所有者が非常に迷惑するということは非常に多いのでありまするが、併しこれらに対して先ほど申しましたような意味合で原状回復を原則として補償するとか、或いはときによればこの工事をやるとかというようなことで極力所有者に対して迷惑を少くするような処置をとつて、初めから契約にそういう意味のことを書いております。土地につきましてもその点においては変りはないのでありますが、どうも用途によりまして、農地でありまして提供いたしましても、その演習場とかそういうような用途の場合にはそんなに根本には変更はありませんけれども、それがその土地に何か建物を作るとかというようなことになると、もう農地がはつきり埋立もされるとか、或いはその他の工事の上でもう完全に農地の形をなくしてしまうということが前以てわかる場合が非常に多いわけであります。要は用途によつて非常に変化する、而もその変化がなかなか原状に回復するということが、大きなまあ国家経済国民経済の上から見て不利益で、どうも原状回復することはまずいじやないかと思うような場合も非常に多いのであります。原則は原状回復でありましてもそういう場合もありますものですから、そういう場合にはそれに応じた措置をとりまして、所有者に迷惑の極力かかり方の少くなるようにやつておりまして、決して弱いものであるからどうというようなことは毛頭考えておりません。むしろこの農地法の精神から言つても、或いは農民の生活等から見ましても、できるだけの所有者に、私どもとしては理窟のつく限り有利な解決を図るような考え方処理いたしているつもりでございます。
  67. 高良とみ

    高良とみ君 了解しました。一応是非一つこれは明朗な解決を願いたいのですが、もう一ぺん農林省のかたに伺いたいのですが、この農業土木のために、先ほどお話なさりかけた、大きな今まで水田があつたところが今取られてしまつて兵舎の敷地になつた。その結果更に下のほうにあつたところには潮が差す。その他農業用施設或いは農業用水路の費用を市としてはやむなくかけているわけなんです。まあ大したことではありませんが、これに対して相談をお受けになつたそうでありますが、どのくらい農林省としてはこれに対して援助或いは起債などをお許しになつたのでしようか。それはもう極く僅かなものですから、実際そういう兵舎を建てたために起つたことであるから、市でやれということになつているのですか。その点どうでしよう。
  68. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 ちよつと、高良委員のお許しがあれば、同じ質問を敷えんしてよろしうございますか。伺つておきたいのですが。只今高良委員の御質問意味は、入植課長に伺いますが、つまり排水路がありましたものが、排水路が中断されると言いますか、たまたま排水路がキヤンプ・サイドの中を通つてつた。そこでキャンプが、その排水路の中の一部の土地の高さを変更したために、上手の農地から海に向つております排水路が、つまり水が流れないで逆流をした。こういう出来事であると思いますので、そこで第一に、従いまして上手の農地に水が逆流したことによる被害というのだが、それに対して農林省として処置をおとりになるとすれば、如何なる処置をおとりになるだろうか。或いはなり得るか。それからその状態は一時の状態でありませんで継続して、つまりそういう状態がそのまま継続をしておるわけでありますから、上手にある農地というものの排水は事実上できないので新しく排水路を明けることしかこれを救済する方法がない。従つて新しい排水路を啓開することについて国として何らかの処置をお考えになるか。その二つのことにつきまして農林省としてお考えになるならば、そういう経費財源をいずこに求めるべきだとお考えになつておるか。大体その三つの点が恐らく高良委員の御質問の趣旨であるように承わるのです。
  69. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の問題は先ほど申上げましたように地元から要求がございまして、そういつたいわゆる従来ございました排水路がキヤンプから出て来る上であるとか或いは土取場が附近にございまして、そこから流れ出して来る土によつて排水路が埋まつてそのために水はけが悪くていろいろとその附近の水田に浸水が起きて非常に困つておるというようなお話がございますので、水路の改修とか或いは何か排水ポンプを一方には考えなければならないというような案が今作られておりまして、そういつた改修の工事につきまして一応設計も考えられておりまして、それを以て大蔵省と話合を現在いたしておる状況でございます。経費がどこから出るかというお話でございますが、その経費の出方につきましては、これは大蔵省のほうでいわゆる駐留米軍の他の施設の場合と同様にいろいろ実情に応じて考慮をして頂くということになつております。なおこの問題につきましては特損、特別損失補償法の関係もあるように考えられますので、その面におきましては大蔵省調達庁農林省との間でこういう場合には話合を進めましてその対策を講じて参つている、そういうようなやり方を取つておる次第でございます。
  70. 高良とみ

    高良とみ君 今の地元から国連軍がいるための三千数百万円の要求が出ているのでありますが、これから大蔵省外務省、或いは農林省の三者で話合をつけて何とか処置する余地がおありになるかどうかということを大蔵省からも何つておきたいのです。そういうものに対して農林省が推せんしてこれは補償すべきものであるというお考えならば、大蔵省としてもそれには何とか補償をする、特別補償の中から出る余地があるかどうかを大蔵省からも伺いたいと思います。
  71. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 只今の問題こちらのほうからも関連としてお話がありました。併せてお答え申上げます。只今農林省からもお答えがありましたが、まだこの問題は具体的の取扱としてどうすべきかということをきめたわけではありません。ただ一つ考え方として御参考に申上げたいと思いますが、この今のお話が軍の施設をやるに当つて軍の施設に瑕疵があつたかどうかということも多少結論に影響して参りますが、それが明らかに瑕疵があつて而も占領中から今日までずつと継続して、そういう地元に被害を与えているということになりますれば、これは国連協定の十八条の不法行為に対する損害の賠償、この項に該当して行き得るか、或いは又これにはつきり該当せんけれども、非常にまあ止むを得ない事情でお気の毒であるというようなことになりますれば、見舞金を差上げるようなことで解決するような途もないではございません。併しそれがそういう瑕疵とかいう問題じやなくて、当時の工事としてはこれは立派にやつたのだけれども、その排水の処置が十分でなかつたためにというようなことになりますれば、或いは特損法の趣旨によつて取扱う途がありはせんかと、これは無論まだ国連協定もできておりませんし、正式に処理を進めておるわけでありませんけれども、そういう問題があることは承知いたしておりますので十分調査して適当な処置をとりたいと考えております。
  72. 高良とみ

    高良とみ君 大蔵省は如何でしようか。大蔵省はもう帰られましたか。
  73. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) お帰りになられました。
  74. 高良とみ

    高良とみ君 どなたか大蔵省はおられないのですか。
  75. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ここにはおられません。
  76. 高良とみ

    高良とみ君 では特別調達庁に伺いますが、これは今の特別損失補償もありますけれども、この国連軍のほうはこういうことに対する弁償に応ずる余地があるのですか。そういうことは話合われたことがあるのですか。
  77. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 或いは私の言葉が足りなかつたかと思いますが、今度国連協定ができますれば国連協定実施のために調達庁として当然立法措置を講じなければならん問題があるわけでございまして考えかたとしては駐留軍の場合と同じような被害者に対して措置をとる必要があると、こういう前提に立つて今他の委員会のほうに必要な法案を提出いたして御審議中になつておりますので、それが通りますればという前提に立つて考えますと、先ほども申しました特損法によるものも同じようにして取扱いたい。或いは又漁業補償につきましても或いは又土地の収用等の問題につきましても、すべて同じように取扱いたいという意味で提案をいたしておるのでございまして、それが通過いたしますればいろいろの問題をそれらの法律によつて適当な処置をしたいと、かように考えております。
  78. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 本会議緊急上程関係もありますのでこの辺で質疑を打切りたいと思いますが、まだおありですか。
  79. 高良とみ

    高良とみ君 一点だけ。土地等使用及び漁船操業制限等に関する法律案、これは大蔵委員会に出されたのですか。
  80. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) これは両院の建設委員会審議いたしております。
  81. 中田吉雄

    中田吉雄君 後藤部長が先に言われましたように、呉市の財政問題はできるだけ財政上の緊縮をやつたり或いは調整を強化したりすることも必要ですが、併しカンガニのところは踏んで、やはりそれによつてもたらした財政負担だけは何とか平衡交付金で賄うとか善後処理費でやるとかしなければいかんと思いますので、その一つの判断のなにとして国警からおいでになつておるようですから、この犯罪統計を頂いているんですが、このほうでは呉市は二十万ですか、大体警察人員は人口二十万の市に比べてどういうふうになつておりますか。そういう関係から呉市は、これでは六十八名このために増員されて二千万円以上の財政負担が加わるということになつておるんですが、どうなんですか。
  82. 中川董治

    政府委員中川董治君) 御質問の呉の警察吏員の定員を御要求によりまして差出したわけですが、御質問の点、詳細承知しておりませんが、この定員は大体呉の人口等に基いての定員であろうとこう考えております。
  83. 中田吉雄

    中田吉雄君 そこで後藤部長に申上げますが、もう時間もないので大体まあ二十万で四百人、これはまあ私の計算では三百九十名ですから大体四、五百人に一名というのが大体の標準なんです。そして又これだけのいろいろな兇悪犯罪からすれば、やはり私は二千万くらいならば六十八人に平均単価の二十八名を加えて、それに燃料費や行動費等を加えればやつぱりこの数字というものはそう過当な数字ではない。若し国連軍なかりせば自治体警察の費用がそれくらい少いのじやないかと思うのですが、その点どうですか。
  84. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私広島県に前におつたことが、ございまして呉の警察におりまして、あの辺のことを大体知つておるのでありますが、大体あの辺は三百人から三百五十人くらいの警察官でやり得ないかという考え方を持つておるのであります。四百人以上というのは昔の考え方で、警察の機構も大分変つて参りましたから私はまだ圧縮する余地がありはしないか。犯罪はやはり昔からも非常に多かつたのであります。従つて現在の定員が私はそのまま当然にそれは必要であるという考え方は、私はどうしてもわからないのであります。まあ併しその問題は自治体でありますから四百人私は必要であるとすれば、やはり四百人は置いた勘定で現在の財政運営をやつておるのでありますから、その実情は認めなくちやなりません。従つてまあ今度自治体警察が廃止されますると、その二千万円の持ち出し分だけが浮いて参りますので、この際財政上非常に楽になつて参る、かように考えております。
  85. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しですね、この頂きました国連軍要員による犯罪調を見ましてもなかなか兇悪な犯罪が多いわけなんです。これがやはりこの呉市以外の一般的な平均が大体五百人くらいなんです。ですからそれだけは当然捜査費用がかさんで、従つてまあ警察、消防費一つつて見ても大体私はこの資料は肯綮に値するとまあ見ておるわけなんです。私このほうは相当専門家なんですが、(笑声)そこで地方自治体として三百億ともいわれ四百億ともいわれる赤字があるのですから、徴税を強化したり財政を緊縮したりすることは必要ですが、これをガンガン踏んでやはり一般交付金なり特別交付金でできるだけ消化してもらう。それでこなせんところはやはり善後処理費等で何とかする。この面から来る赤字はやはり国の施策に伴つて起る財政負担ですからして、もらうことが必要じやないかと思うのですがその点。
  86. 後藤博

    政府委員後藤博君) 御趣旨はよくわかるのでございますが、ただ私は財政運営の場合に、全部を特別交付金にしわを寄せて行くという考え方じやなくてやはり一般財源を出すべき単独事業を起債に振替えるとか、それで一般財源を余すとか、全体としての財政運営のやりようがもう一つつて然るべきじやないか。その上に立つて特別交付金というものを如何ほど出すべきだということをきめて行つたらどうか。その前提の話も先ほどちよつと申上げたのでありますが、そういうことも併せてやはり財政需要というものを見て行きたいと考えております。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう一つだけ、伊関さんにお伺いしますが、十五条ですね、但書があることによつて、無償で使えるということから、普通なら有償ならもつと規模を縮小されるというようなことが、但書によつてそういうことはないものですか。その関係はどうですか。若しそういうことで狭めてもらえば固定資産税も払えるし財政負担も少いと思うのですが、それはどうですか。
  88. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) この点は極力返せるものは返させるように努力いたしておるのでありまして、無償だから金を払わんから余計使つている、そういう人情のそういうふうな面もあるかも知れませんが、我々としましては十分見ておりまして、必要以外のものは返さすというふうに従来とも努力いたしておるわけであります。
  89. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつとその点に関連して。私前からこの資料の提出を、英連邦軍が使用している施設、その他講和条約発効時にどういう状態であつたか。それからその後現在までにどういうふうに変化をしたか。それからこの協定によつてどういうふうに更に変化をしたか。特にこの協定を結ばれるに当つて返還を要求されたものとそれが実現したものとを対比して、どういう実績が得られたかというようなことのはつきりわかるような資料を出して頂きたいということを前々から繰返し要求をしているんですが、出て来たのは何かこの英連邦軍使用施設表という一枚のぺらぺらした紙で、こういうものでは今言つたことははつきりわかりませんので、私は今時間がありませんので要求しませんが、後ほどそういうことがはつきりわかるような資料を御提出願いたい。それを要求しておきます。
  90. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは質疑はこれで尽きたものといたして御異議ございませんか。
  91. 曾禰益

    曾祢益君 質疑が大体終るに当りまして、私は同僚委員諸君の御賛成願いまして次のような政府に対する委員会としての要望を提出したいと思うのでございます。簡単なものでございまするから一応、要望を読み上げまして簡単に更に御説明いたします。要望の内容は、   政府国連軍駐留する市町村に対して、米軍駐留の場合におけると同様の補償及び代替施設の建設等を実施し、且つ、喪夫した財源の補填をなすよう、法的予算措置を講じ善後措置に遺憾なきを期せられたし。 もはや多言を要せずして明らかなように、国連軍に対する負担というものはこれは一地方一団体等が負担すべきことでなくて、これは国家として負担すべきものと我々は考えておるのであります。殊に国連軍は非常に駐留軍と異なりまして偏在しております。さような関係からこの協定の実施されるような場合を考えまする場合には、従来の政府のやりかたでは甚だ我々として納得できないので、いろいろ質疑を通じましての政府の施策等につきましても伺いましたのですが、まだこれを以て十分とは心得てないのであります。なおこの案文におきましては「駐留する市町村に対して」云々と言つておりまするが、その趣旨は、市町村に対するのみならず当該市町村の住民に対する補償等も当然にやつて頂くという趣旨でございます。従いましてこれは附帯決議にするのも一法でございまするが、何分にも協定に対する我々の見解等によつては必ずしも一致しない場合もあると存じますので、附帯決議の形を避けまして質疑の終了に当つて要望ということならば、恐らく同僚各委員の御賛成を得られるのではないかと存じますので、先ずこの要望について御賛成願えるかどうか。願えるならば全会一致の要望として政府にこの際これを申上げ、政府からこれに対する答弁伺つておきたいと思います。お諮り願います。
  92. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今曾祢委員より政府に対する要望がございましたが委員会としてこれを要望することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  政府側から発言を求められました。
  94. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) これまでの答弁を通じまして申上げておりまするように、政府といたしましては国連軍に対しましても米軍駐留の場合におけると同様の取扱をいたす所存でありまするので、只今の御決議の趣旨は十分体しまして今後善処して行きたいと存じます。
  95. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではこれで質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。
  97. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は日本社会党を代表いたしまして只今議題になつています、日本国における国際連合軍隊の地位に関する協定、並びに、日本国における合衆国軍隊及び国際連合軍隊共同作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書締結について承認を求めるの件に反対するものであります。  先ず第一にこの協定締結に至りますまでの外交的な不手際について指摘しておきたいと思うわけであります。一九五二年の四月二十八日講和条約が発効いたしまして以来、二十カ月の長きに亘りまして国連軍の地位が明確化されないことは外交上の不手際としてきびしく指摘しておく必要があるのではないかと思うわけであります。このことは一九五一年九月八日の吉田内閣総理大臣とアチソン国務長官との間に交換されました公文を以てしても、この外交上の不手際の弁明を許すものではないと思うわけであります。  第二に私の党といたしましては、外国軍隊駐留に関する基本的な立場から反対するものであります。御存じのように無条件降伏に入りましてアメリカ日本に講和条約を準備しました当初におきましては、国務省としましては日本から撤退して沖縄、小笠原、硫黄岳、ハワイ等に後退して日本を守るという国務省の見解が当初準備されたわけでありますが、アメリカの国務省が勝を占めまして日本駐留を許すような講和条約、安保条約、行政協定等になつて今日に及んでいるわけであります、そして現在七百数十カ所の軍事基地がありますが、この状態は丁度一八四〇年ですか、阿片戦争以来中国が香港を失い、租借地、租界或いは軍事的権益、勢力範囲等六百カ所を中国全土に許した状態をほうふつせしめるものがあると思うわけであります。そういう点からいたしましてイギリスのレスター女史はこの講和条約は日本に原子爆弾を落した以上の罪悪であるとすら言つているわけであります。とにかくそれはいずれにいたしましてもヘレン・ミアーズが言いましたように、軍事基地なければ講和条約なしという軍事基地の貸与と講和条約とがすり替えられて今日に及んでいるわけで、従つて今回締結されましたところのこの国連軍に対する協定もその一環をなすものであろうと思うわけであります。我が党は無防備、無抵抗、或いは反米、反英等の外交政策をとるものではないわけですが、そういうことをしなくても我が国の安全は保障できるという立場をとるものであります。例えば一九五二年ですか日本に来ましたロイヤル長官の戦略的な地位に関する検討、或いはウオルターリツプマン或いはハンソンボールドウヰン等の見解を以てしましても、日本には外国軍隊駐留なしにも中ソ両国の侵略は不可能あるというような見解を取つているわけであります。そういう一般的な見解から我々は軍事基地に、そして外国軍隊駐留に反対するものであります。そして外国軍隊駐留は、その国の全政治の支配に及ぼすところの、八千万の同胞としては忍びがたい重大な影響を及ぼすものであるからであります。特に今回締結されました国連協定ですが、国際連合憲章の基本的な精神から言いましても、現実に戦争の危機等がある場合においてのみこの国際連合憲章の三十九条或いは四十二条、四十四条等が発動できるわけでありまして、そういう危険があるかも知れないというような予防的な措置は、これは国際協力の美名にかくれるところの外国軍隊駐留という意味から言いまして、我々はそういう形における外国軍隊駐留国連の基本的な精神にも反するのではないかと思うわけであります。我が党は国連に対して協力する、隣国に敵を作らないというような外交政策を持つているものですが、そういう基本的な立場から本協定に反対するものであります。そうして朝鮮事変が休戦になつてからすでに二カ年以上も経過いたしましたのになおこのような外国軍隊駐留がある、国連軍駐留があるというのは占領の延長ではないかと思うわけであります。そういつた点から我々としましては国連協力の立場を取りながら、なお外国軍隊駐留には反対せざるを得ないわけであります。なおこの協定は若しNATO方式によるような形で国連軍駐留という形で認めるとすれば、これまでの状態よりか労働関係その他いろいろな点で改善の跡は認めるにやぶさかではございませんが、先に言つたような外国軍隊駐留そのものに対する反対、そして国連の名をかりる予防的な意味における駐留、そうしてこれがイギリスの極東政策の地位からいつて香港のような役割をなすかも知れない駐留に対しては特に反対するものであります。いろいろまだこの協定に対しては審議したい点もありますが、駐留軍関係その他のほうで審議の促進を必要とする面もあると思いますので、以上をもつて我が党の反対の立場を明らかにしておく次第であります。
  98. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私はこの協定承認することに賛成いたします。  この協定の内容自体を見ますと、おおむねこれは妥当だと思います。ただ一言附言しておきたいと思いますが、今中田委員からは、この協定締結が非常に遅れてその間非常に不手際があつたということを指摘された。成るほどこの協定締結が非常に遅れて、日本国会がこういう協定を今頃審議せなければならんという点は私も非常に遺憾だと思うんです。本来からいえばこのいわゆる吉田・アチソン交換公文なるものと同時に、又遅くとも講和条約発効のとき、占領終結のとき、独立回復のときまでにはこういう協定が実はできておらなければならん事柄だと思うんです。そういう点からもこの協定締結が非常に遅れ、そうして而も内容からしますと、或いは締結の当事国の関係からしましても、これは国連という非常に立派な精神を持つた国連の精神に基いてすべてが律せられなければならんようなものである。その中には言うまでもなく国連の精神の中の大きな原則としては、主権の尊重ということを大きな原則として実現されなくちやならん事柄なんです。それが今日まで日本の主権に非常に重大な関係がある事柄が、そしてそれが実際の現実事態そのものがもう四年近く前にそういう事態は発生しておりながら、それを規制すべき条約というものを今日までに締結されなかつたということは非常に私も遺憾だと思うんです。又恐らく政府でも非常にその点は遺憾なことだと思つておられることだと思うんです。併しそういつたことはこの協定を否定する理由には私はしたくない、今後こういうふうなことがあつてはならんことだと思う。その点十分政府でも留意してもらいたい。  それからもう一つは、こういつた内容からしますと、これは一方外交上の非常な問題を含むと同時に、直接に国家の又国民の権利利益等にもこれは関係を持つておる内容を含んでおるものであります。それだけにこれの実施ということは、これは非常に注意しなくちやならん、そういうことが不手際なためにいろいろと外交上、又国連との関係等に悪い影響を及ぼすようなことがあつてはいかん、従つてこれの実施の面においては、政府としても念には念を入れてやつてもらいたいと思うんです。つまり先ほど曾祢君から要望案が出ましたが、あの趣旨のこと、つまりこの補償補填等の善後措置については、くれぐれも遺憾のないようにやつて頂きたいという要望を附してこれに賛成いたします。
  99. 曾禰益

    曾祢益君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本件に対して賛成の意向を表明するものであります。  実は同僚中田委員の御意見も伺つてつたんですが、この問題について意見が分れるのを私は非常に残念だと思いまするが、併し日本社会党といたしましては、実は朝鮮動乱が始まつたときから、日本としてはこの国の基本的な方針として、憲法の精神に則り、憲法の範囲内においてこの国連の集団保障に対する措置については、でき得る限りの協力をすべきである、かような基本的な態度をとつてつたものであります。而して日本が独立の際におきまして、安保条約には我々は不平等なるものとしてこれに賛成いたしかねる態度を明らかにしましたが、国連に対する協力については、平和条約にもこれを明白に語つておることでございますので、朝鮮動乱が現に継続しておる間、このいわゆる国連軍日本附近における指示に対しては、基本からいつてこれに賛成し協力すべきであろうと、かような態度を一貫して持つて来たわけであります。その方針は一向変つておりません。ただ中田委員及び杉原委員からの御指摘があつたように、ただその方法におきまして吉田・アチソン交換公文等の形において、而もこれだけ重大な国家の主権に関し、又国民の権利義務に至大の関係のある、いわゆる国連軍の地位に関する具体的な権利義務の協定を伴わない吉田・アチソン交換公文で、この問題を律するというやり方は甚だ不当である。少くとも平和条約に認めておる発効後九十日の期間内においては、かような今般議題になつておるような協定を正式に結ばなければならない。このことを我が党は常に主張して参つたわけであります。然るにそのことが約二年遅れて、平和条約発効後二周年の今頃になつてからできたということは、事の困難性についての理解がないんではないけれども、誠にこれは悲しむべき交外の失態であろうと考えるのであります。併し本質的にはこれを作るのが正しいんだという態度からしまするならば、問題はこの内容において我々の態度を決定するのは当然であろうと思うのであります。さて内容につきましては、一番重要な点は、裁判権の問題については、これは別個の協定を我々は賛成したのでありまして、それと同じ内容に、いわゆるNATO方式に変えられることについて、重要な点においてこの協定は内容的によろしい。更に又我が党といたしまして特に重点を置いておりました国連軍に働く労務者諸君の地位が、いわゆる間接雇用の線を貫き通したという点によつて大きく私たちは賛意を表するものでございます。更に又私たちが特に重点を置いておりましたことは、成るほど朝鮮動乱が継続中、この国連軍日本におることは、これは容認すべきであるけれども、いわゆる無期限的に国連軍と称するものが日本にずるずると残るようなことがあつてはならない。この点は日本国連軍に対する協定とは別に、そういうふしだらな外交であつてはならないという点でございます。この点におきましてもこのたびの協定においては、明白に朝鮮に平和が到来するならば、而してその結果といたしまして、国連軍が朝鮮から撤退する場合には、九十日以内に日本における国連軍も撤退すべきであるということを明らかにしておるのであります。これは勿論当然のことでありまするけれども、不明確な点を明確にした点において我々の賛同するところであります。更にこの点に関連いたしまして、元来吉田・アチソン交換公文の内容が、この点非常に不明確であつて見方によりましては、ただ単に朝鮮動乱継続中だけ国連軍日本に置くことを認めるんでなくて、いわゆる国連軍が行動する場合には、吉田・アチソン交換公文でいつでも日本にいらつしやい、その根拠を与えたかのような字句もあるのであります。私たちはこの点を非常に問題にしておりましたが、これは政府の明確な答弁によりまして、吉田・アチソン交換公文の解釈も含めて、このたびの協定と併せて、さような誤解はないということでありますから、これ又本協定関連いたしまして重要なプラスと認めているものであります。  以上のような見地に立ちますならば大体内容においても差支えない、もとよりこれがために一面におきましては本来安全保障条約の当否は別といたしまして、日本の安全のために行動するアメリカ軍隊といわゆる国連軍軍隊とが日本の税法上その他の便益上、財政経済上必ずしも同等の地位に立つべきいわれはないと私たちは考えるのでありますが、諸般の関係からこれらの点においておおむねアメリカ軍と同等の待遇を与えた点については我々は必ずしも納得しないではないのであります。併し問題はそれらの不備をつくよりも、先刻私から同僚各委員の御賛同を賜わりまして政府に対して要望いたしました、政府又これに対して善処を約されたところの、この国連軍所在地における市町村或いは住民等に対して現実国連軍日本政府との間で日本の負担に帰せられるべきものについては、飽くまで地方自治団体や住民が、いわゆる米駐留軍との関係において差別待遇を受けないような補償財政補填等の立派な措置をとる、それがために立法措置或いは予算措置を講ずるという、この点に特に重点をおいてこの意味におきまして厳重なる希望と警告を付しまして人件に対しては賛成すべきものと判断する次第であります。
  100. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は本件の協定に賛意を表するものであります。  国連軍の地位に関する問題のごとき、我が国にとつて極めて重要な問題が国連軍の引揚が極めて近い機会に想定せられておるというこの段階まで決定に至らなかつたということは、これは極めて遺憾なことであります。併しながら時期は遅れましたけれども、この協定締結される運びに至つたことは非常に結構なことと思うのであります。この種の問題の基礎は勿論日本の主権、国民の権利義務に関する重要な事柄であつてこれが今日まで不明確な状況に置かれて来たというふうなことが、国民の国際連合に対する正しい認識、理解或いは国連軍の朝鮮に対する行動が我が国に対して持つている意味なり、価値への正しい認識なり理解に、どちらかといえば不十分な結果を招来した私は原因の一つではないかと思うのであります。こういう意味合からして本件協定の実施上、正しい実施が行われますことは勿論であり、同時に先ほど曾祢委員から要望がありましたごとく、損害の補償等の点についても十分な努力を払うということは私は日本の外交の立場から見て当然であり、外交の立場からしてももつと努力は払われて然るべきじやないか、かように思うのであります。そういう点についての今後の外務当局としての努力を私は要望することを付け加えまして賛意を表する次第でございます。
  101. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 別に御発言もないようでございますから討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。日本国における国際連合軍隊の地位に関する協定締結について承認を求めるの件、及び、日本国における合衆国軍隊及び国際連合軍隊共同作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認することに賛成のかたがたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 多数であります。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことにたつておりまするが、これは前例によつて委員長に御一任願いたいと思います。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから原案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     梶原 茂嘉  曾祢  益     加藤シヅエ  重宗 雄三     宮澤 喜一  鶴見 祐輔     團  伊能  杉原 荒太
  103. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を止めて下さい。    [速記中止]
  104. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を付けて。  それでは本日の日程はまだ全部尽きておりませんけれども、これは残つた部分は次回に廻すことにいたしまして本日はこれで散会いたします。  次回は明日午前十時から開会することにいたします。