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曾祢益君 私は
日本社会党第二控室を代表いたしまして、本件に対して賛成の
意向を表明するものであります。
実は同僚
中田委員の御意見も
伺つてお
つたんですが、この問題について意見が分れるのを私は非常に残念だと思いまするが、併し
日本社会党といたしましては、実は朝鮮動乱が始ま
つたときから、
日本としてはこの国の基本的な方針として、憲法の精神に則り、憲法の範囲内においてこの
国連の集団保障に対する
措置については、でき得る限りの協力をすべきである、かような基本的な態度をと
つて参
つたものであります。而して
日本が独立の際におきまして、安保条約には我々は不平等なるものとしてこれに賛成いたしかねる態度を明らかにしましたが、
国連に対する協力については、平和条約にもこれを明白に語
つておることでございますので、朝鮮動乱が現に継続しておる間、このいわゆる
国連軍の
日本附近における指示に対しては、基本からい
つてこれに賛成し協力すべきであろうと、かような態度を一貫して持
つて来たわけであります。その方針は一向変
つておりません。ただ
中田委員及び杉原
委員からの御
指摘があ
つたように、ただその
方法におきまして吉田・アチソン交換公文等の形において、而もこれだけ重大な国家の主権に関し、又国民の権利義務に至大の
関係のある、いわゆる
国連軍の地位に関する具体的な権利義務の
協定を伴わない吉田・アチソン交換公文で、この問題を律するというやり方は甚だ不当である。少くとも平和条約に認めておる発効後九十日の期間内においては、かような今般議題にな
つておるような
協定を正式に結ばなければならない。このことを我が党は常に主張して参
つたわけであります。然るにそのことが約二年遅れて、平和条約発効後二周年の今頃にな
つてからできたということは、事の困難性についての理解がないんではないけれ
ども、誠にこれは悲しむべき交外の失態であろうと
考えるのであります。併し本質的にはこれを作るのが正しいんだという態度からしまするならば、問題はこの内容において我々の態度を決定するのは当然であろうと思うのであります。さて内容につきましては、一番重要な点は、裁判権の問題については、これは別個の
協定を我々は賛成したのでありまして、それと同じ内容に、いわゆるNATO方式に変えられることについて、重要な点においてこの
協定は内容的によろしい。更に又我が党といたしまして特に重点を置いておりました
国連軍に働く労務者諸君の地位が、いわゆる間接雇用の線を貫き通したという点によ
つて大きく私たちは賛意を表するものでございます。更に又私たちが特に重点を置いておりましたことは、成るほど朝鮮動乱が継続中、この
国連軍が
日本におることは、これは容認すべきであるけれ
ども、いわゆる無期限的に
国連軍と称するものが
日本にずるずると残るようなことがあ
つてはならない。この点は
日本の
国連軍に対する
協定とは別に、そういうふしだらな外交であ
つてはならないという点でございます。この点におきましてもこのたびの
協定においては、明白に朝鮮に平和が到来するならば、而してその結果といたしまして、
国連軍が朝鮮から撤退する場合には、九十日以内に
日本における
国連軍も撤退すべきであるということを明らかにしておるのであります。これは勿論当然のことでありまするけれ
ども、不明確な点を明確にした点において我々の賛同するところであります。更にこの点に
関連いたしまして、元来吉田・アチソン交換公文の内容が、この点非常に不明確であ
つて見方によりましては、ただ単に朝鮮動乱継続中だけ
国連軍を
日本に置くことを認めるんでなくて、いわゆる
国連軍が行動する場合には、吉田・アチソン交換公文でいつでも
日本にいらつしやい、その根拠を与えたかのような字句もあるのであります。私たちはこの点を非常に問題にしておりましたが、これは
政府の明確な
答弁によりまして、吉田・アチソン交換公文の解釈も含めて、このたびの
協定と併せて、さような誤解はないということでありますから、これ又本
協定に
関連いたしまして重要なプラスと認めているものであります。
以上のような見地に立ちますならば大体内容においても差支えない、もとよりこれがために一面におきましては本来安全保障条約の当否は別といたしまして、
日本の安全のために行動する
アメリカ軍隊といわゆる
国連軍軍隊とが
日本の税法上その他の便益上、
財政経済上必ずしも同等の地位に立つべきいわれはないと私たちは
考えるのでありますが、諸般の
関係からこれらの点においておおむね
アメリカ軍と同等の待遇を与えた点については我々は必ずしも納得しないではないのであります。併し問題はそれらの不備をつくよりも、先刻私から同僚各
委員の御賛同を賜わりまして
政府に対して
要望いたしました、
政府又これに対して善処を約されたところの、この
国連軍所在地における市町村或いは住民等に対して
現実に
国連軍と
日本政府との間で
日本の負担に帰せられるべきものについては、飽くまで
地方自治団体や住民が、いわゆる
米駐留軍との
関係において差別待遇を受けないような
補償、
財政補填等の立派な
措置をとる、それがために立法
措置或いは
予算の
措置を講ずるという、この点に特に重点をおいてこの
意味におきまして厳重なる希望と警告を付しまして人件に対しては賛成すべきものと判断する次第であります。