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1954-05-13 第19回国会 参議院 外務委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十三日(木曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    調達庁次長   堀井 啓治君    調達庁総務部長 山内 隆一君    外務省条約局長 下田 武三君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国における国際連合軍隊の地  位に関する協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○日本国における合衆国軍隊及び国際  連合軍隊共同作為又は不作為  から生ずる請求権に関する議定書の  締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開会いたします。  日本国における国際連合軍隊の地位に関する協定締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合軍隊共同作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題に供します。昨日に引続いて質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 外務大臣はどうですか。
  4. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 外務大臣は午前は差支えがあつて出られないそうです。午後は衆議院の本会議に出ることになつておるので、その時に都合をつけてこちらにも出てもらうようにと交渉はしてあるそうです。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 この協定に関しまする賛否はいろいろ立場もある思うのでありますが、できるだけ慎重な審議をしながら早く決をとりたいと思うのですが、私国際連合に関する基本的な問題について岡崎大臣の所見を聞きたいと思うのですが、どうなのでしよう。
  6. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではこういたしましようか、午前中協定それ自身に関する質疑をやつて頂いて、そして午後外務大臣出席を求めて、今の基本問題に関する質疑をやつて頂く、こういうことに願いましようか。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると衆議院の本会議関係はそれがすんでからお出でになるのですか、どうなのですか。
  8. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 衆議院のほうは何時に開けるかわかりませんからして、衆議院に出る前にこつちに来てもらうというようなことにしてはどうでしようか。そう長い時間は要しないでしよう。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 いやこれはやはり長時間を要する基本的な問題で、尤も答弁の如何によつては極めて簡単に済むのですが。
  10. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ですから衆議院本会会議の開けるまで外務大臣に来てもらう、こういうような何で。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 余り短時間でも私なんですから、今日は今日でやつて、仕上げのときにでも改めて出て頂いてもいいと思います。
  12. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは目下政府委員としましては、下田外務省条約局長伊関外務省国際協力局長堀井調達庁次長そのほか安川外務国際協力局第三課長、これらのかたがたが出席しておられますので、質疑を続行して頂きます。
  13. 曾禰益

    曾祢益君 私この間この前の委員会のときに外務次官にこの協定実施に伴いまして、今まで協定ができていなかつたためにおろそかになつておつた、特に地方自治団体財政上の損失或いはその他税収の減少等に関しして、更には又施設返還等に関しまして御質問申上げたのですが、その後主として関係を持つておるのはこれは呉市なんですが、この呉市から本院に対しても、又政府に対しても正式に陳情請願等の形でかなり詳しい補償等に関するデータを出しておるのであります。従いましてそれらの具体的なデータに即して改めて政府の御見解を伺いたい。  そのことが一つと、それに入る前にもう一つ私が気が付かなかつたことで、この自治団体に対する補償或いは財政補填というような問題のほかに、実は個人に対する補償の問題があるのではないか、例えばいわゆる演習地関係漁業補償とか、或いは農地であつたものが接収されてその接収地の問題については一応解決は勿論ついておりましよう。ところが接収した元の農地の管理の仕方によつては近接した農地に対してやはり灌漑上その他排水上の問題が起つておる。そういうような問題があるやに聞いたのですが、そこで先ずこれは所管調達庁ですか、調達庁のほうでこの農地及び今言つたような漁港、それから漁業のできないことに対する等の補償問題はどうなつておるのか、今後どういうふうにやつて行くかという問題を先に伺いたいと思います。このアイテムに即して大体の御見解を伺いたいと思います。
  14. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それは何でしよう。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 大変失礼しました、国連軍協定締結に伴う善後措置に関する陳情書、呉市からこれは本院にも正式に請願陳情の形で出ておるそうです。私はそのコツピイをもらつておるのです。
  16. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) アイテムアイテムによつて説明するということになると、その資料が…。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 説明を求めるのではなくて、例えばこういうことなんです。簡単に申上げますと、例えば財政補填補償に関する要望というものが出ておりまして、それを総額が九千五百四十八万二千二百四十一円、内訳を簡単に申上げますと、この市税基準とする額が約五千九百万、これはつまり固定資産税等が入らないことに対する補填であります。それから第二項はその財政需要基準とする額三千六百万円、これは主として駐留軍のために警察等費用がかさむという見地からの要求額、それからこれが今申上げました財政補償要求額、それから第二には国連軍駐留に伴う代替施設事業費調、これが三十八億七千万円、こういうものが出ておるのであります。そういうアイテムアイテムと言いましてもそうたくさんあるわけではございません。それであとはその算定の基礎を書いてありす。これだけから見るとむしろ簡単でございまして、そういうとにかくデータがあるのでありますから、この間私が質問の際に申上げましたように、これは財政上のロスがあるだろうということで、見方によつて駐留によつて何らかの自治団体としてもいろいろな却つて金が落ちる。雇用量がふえるとかいろいろなプラスマイナスがあるのじやないかという議論があるけれども、むしろこれはプリンシプルの問題として国が外国軍隊を許容することから生ずる負担、或いは得べかりし利益の喪失なんであるから、これは自治団体に任すべきものじやないのじやないか。やはり筋道から言つて国がつかみ金でなくて具体的に当つて補償なり補填なりをするという建前で行くべきである。こういう意味から私は要望的な質問を申上げたわけです。具体的な数字が出ておりますから、もう一遍政府の御見解を伺いたい、こういうことであります。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつとそれに関連して。大体我々もできるだけ審議に協力したいと思うのですが、審議前提条件が整つていないと思うのです。我々が審議するに必要な資料が、例えば今曾祢さん言われたように、資料はたくさん陳情請願等もあつて、この協定審議するに必要なそういうもの、更にこの第一条の「国際連合の諸決議」、一九五〇年六月二十五日、六月二十七日、七月七日の国際連合安全保障理事会決議、或いは一九五一年の二月一日の国際連合の総会の決議というようなものはこの法案審議前提資料として非常に必要だと思いますのですが、私も要約したコピーは持つておりますが、そういうものも出して頂いてできるだけ迅速に審議ができるようにしてやつて頂きたいと思いますので、合せて希望しておきます。
  19. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 曾祢委員の御質問、基本的な考え方といたしましては、成るべく外国軍隊がいるために、その所在地市町村等に特別の負担をかけたくないという点は、この前も政務次官からも御返事いたしました通りでありますが、今までその点において必ずしも十分でなかつたということは政府としても認めておるわけでありまして、今後も一段の努力をいたしたいと考えております。呉市から出ておりますその要望書なるものは私のほうももらつておりまして見ておりますが、これは国連軍の場合と行政協定による米軍の場合と皆同じように考えなければなりませんので、米軍の際におけるいろいろな前例がございますから、それと照し合せまして、そうしてもう少し詳しい事実の調査をいたしました上で、そうした要望に対してどの程度それを認めるかという点は今後検討いたしたい、こう考えております。
  20. 曾禰益

    曾祢益君 特別調達庁は来ましたか。
  21. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 調達庁次長でございますか、来られました。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 それではもう一遍私から調達庁質問いたします。  この国連軍所在地ですね、特に呉市におきまして、施設返還等の問題もありますが、それではなくて、漁業ですね、漁業禁止海域があるとか、或いは漁港が使えないという問題から、これは地方自治団体に対する補償の問題でなくて、いわゆる漁業補償と言いますか、漁民或いは漁業組合等に対する補償、この問題があるのではないか、それがどうなつておるのか。今までとかくアメリカ軍関係のほうは大分解決の緒に着いておりますが、国連軍関係協定それ自身がなかつた等の関係もあつてなおざりになつてつたのではないか。従つてこれをこの機会にそういうものを解決してほしいが、その見通しはどうか。なおそのほかに接収地がありますね、接収地があつて接収地それ自身の何と言いますか、補償と言いますか、個人に対する収用の補償、これは一応すんでおるかも知れないけれども、その接収地に近接する農地に灌漑とか排水とかに被害を与えておるその補償問題があるのではないか、そういう問題については一体どういうふうになるのか、この点を伺いたいわけであります。
  23. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 原則といたしまして米駐留軍の場合と同様な扱いをいたすべきであるというふうに考えております。従いまして米駐留軍に対しましては御承知通り只今質問漁業に関しましては漁船操業制限に関する法律がございます。  それから又第二の御指摘の問題につきましては多分駐留軍の行為によりまして損害を受けた場合という意味だと存じますが、駐留軍につきましては略称でありますが特別損失補償法というのがございます。只今申上げました漁船操業制限或いは特別損失補償法、これらにつきましては新たに立法をいたしまして本国会に提案し御承認を得たいというふうに考えております。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 その点はこの前も杉原委員からも特に御質問があつたのですが、早急にお出しになる準備ができていないと間に合いませんよ。
  25. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 只今すでに提案いたしておりまして委員会におきまして審議をされておると存じます。
  26. 曾禰益

    曾祢益君 それからこの他にもやはり立法或いは予算措置が要るのじやないかと思われるのは、仮に米軍並にやるといたしますと今の問題ばかりでなくてもつと広い道路の修理とか或いは改善とか、こういうことについては米軍のほうについては安全保障費でやるとか、何と言いますか便宜と言つちやおかしいかも知れませんけれども方法がある。ところが法的根拠から言うとそういうところは出せない。そうすると予算的な措置としてどういうところから出せるのか。予算的措置でできない場合はそういう財政的な立法措置が要るのじやないか、こういう点についてはどうなつておりますか。これは外務省調達庁両方にかかる問題かも知れません。
  27. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 米軍の場合には御承知のように安全保障諸費というものがございましてまだ本年もこれが使い残しがございます。国連軍につきましてはおつしやる通り何も予算的措置ができておりません。併しこうしたものが必要だというので大蔵省と我々のほうでよくよく話をいたしておりまして、どうするかという点、まだ大蔵省としてはつきりした方針をきめておらないようでございますが、何かしなければならんという点だけは我々のほうもそれを話しておりまして、大蔵省も今考えておるわけであります。ちよつとここでまだどの費目からどういうふうに出すかというふうな点までは私のほうとして御返事いたしかねる段階です。
  28. 曾禰益

    曾祢益君 くどいようですけれども、それはどうなんですか。今の予算から出し得るのですか。そういう見込がないとすれば早く補正予算なり或いは法律を作らなければできないでしよう。予備費から出すというなら別です。安全保障費からは幾らなんだつてこれは出せませんよ。財政法上そんなことはできない。金額査定等につきましてはあるでしようが、基本方針としてやはりちやんと予算法律従つて出す以外にはないのだから、国会も会期が迫つておるのだから、間に合わなければこの次の補正予算に出すとかなんとか明確な基本方針だけはこの際おきめになるのが正しいのじやないですか。
  29. 杉原荒太

    杉原荒太君 今のに関連して。今曾祢君が質問しておる点は当然なことで、私もその通りだと思うのですが、これは今外務省とか特調のほうで説明ができんというだけでなく、政府としてその点が説明できないというのではないかと思う。いやしくも財政負担を伴う補償等に関する法案を提案しておいてそれに伴う財源のほうが何も説明もできないという、そういうものじやなかろと思う。若し特調のほうなどで説明できないとすれば、大蔵省の人からでも一つ説明してもらいたい。
  30. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 先ほど申上げました漁船操業制限或いは特別損失補償法、或いは施設の提供に伴いますレソト支払い等につきましては、勿論大蔵省予算只今折衝中であり、この予算措置については何ら考究しておらないじやないかというお話でございますが、その点は十分に考慮しております。ただ御指摘道路につきましては、これは道路等の補修という特殊な問題につきましては、これは一般建設行政として考えるより方法がないじやないかと考えております。
  31. 曾禰益

    曾祢益君 もう少し具体的に当ると、道路の場合にアメリカ駐留軍の場合には安全保障費から出しておるが、同様の財源がない場合、然らば平衡交付金ひも付きで出すという方法があるのかないのか、必ずしも現行のあれで出せないものとは考えない。運用の面でできる部面とできない部面とあると思うが、できないものについては財政的、予算的にどうするのだという方針を立てて、少くともこの委員会審議政府から責任のある返事をもらいたいと思う。これは委員長に私要求しておきます。政府の一貫した方針を改めて相談されて御開陳願いたい。
  32. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 曾祢委員の御発言を布衍するようなことでありますが、二十九年度の一般会計財源を求めようとすれば、今私予算書を持つておりませんので記憶誤りがあるかも知れませんが、平和回復善後処理費というのが百億あると思うのでございますが、これは元来賠償という含みで計上してあるのが本来の姿であると思いますが、予算書の規定によりますと、この費目は流用し得るという解釈ができるのではないかと思つておりますのですが、その点についての御研究が特別調達庁或いは国際協力局でおやりになつておれば承つておきたいと思います。
  33. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私のほうは大蔵省只今話をしておるわけでありまして、私どもが受けておる印象では大蔵省といたしましてもまだ道路と申しましてもどの程度やればいいという、これは基準があるわけでありまして、米軍の場合は道路を通る車両のトン数によりまして直すとか直さんとかいう点がございます。そういうものから調べまして果してどれくらいの金がかかるか、もう少し現地から精密な資料を出してもらいまして、私は呉からそれを持つて来ましたときももう少し事務当局とよく連絡して、米軍の場合も例があるのだから、それにならつて資料を出してくれということを申上げておつたのでありますが、そういうものが出ました上で金額が大体めどがつきませんとどこから出すかという点についてもいろいろ考えがあるのじやないか。いずれにしろ出すなら大した金額でも、そう大きな金額にもなりませんし、何とか出せるだけのものはどつかから出すというふうな大蔵省はお考えのように私は折衝しておりまして見ておるわけであります。
  34. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 事後補償につきましては、平和回復善後処理費から支出する見込になつております。それから一般国連軍に対しまする経費というものは、国連側から御承知通り償還を受ける建前でございますので、予算的にはその了解が十分につきませんとなかなか困難な問題ではないかというふうに考えております。但し施設レソトにつきましてはこれはすでに昭和二十八年以降暫定的に立替払いをいたしておりますので、その予算措置も計上してございます。
  35. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 つまり問題はこういうことであろうと思いますが、お話のように傷害その他についてはこの平和回復善後処理費から出す、これは百億と申しましたが百五十億でして私の記憶誤りであります。曾祢委員の言つておられますのは、この直接に負担をする、或いは被害を受ける地元からの財政要求というものにまあいろいろなものがございますと思いますが、ひつくるめまして政府が応ずる場合に、その財源があるかないか、現在の予算に。こういう御質問であるわけでありまして、若し傷害というものについて平和回復善後処理費から出し得るとおつしやるというのであれば、それは何故に出し得るかということを逆に今度は伺うことができるわけです。若しそれが出し得るとすれば、財政負担地元に対する財政補償を幾ばくすべきかということは、これは国際協力局長の言われますように御調査をなさらなければ無論わからないのでありますが、少くとも傷害については出せるということならば財源がないということも言えないという論が可能であり、現実にこれは大蔵省所管平和回復善後処理費という項でありますが、その予算書説明はこういうふうに書いてあるわけでございますから、御承知かも知れませんが、恐縮ですが、ちよつと読ませて頂きます。「平和回復に伴い、条約の履行その他善後処理に関し諸般の施策を講ずる必要が生ずるので、その処理のため必要な経費である。」こういう説明であります。従いまして、この国連協定の場合は、これにきつちり当てはまる。ただこの説明そのものが実は賠償その他先刻曾祢委員の御指摘のようなものを頭に置いてこの予算が細まれているとは思いますが、通過した姿の予算ではこの百五十億というものは明らかにこの場合に該当し得る財源である、その解釈そのものには恐らく間違いなかろうと私は思いますので、要するにそこでその次の問題としては、政府行政上の判断としてこれを財源について幾ばくかの財政補償をされるかされないか、される御意思があればここに財源はございます。そういうふうに考えておりますので、これは直接の御所管のかたがおいでになりませんので、特段の御答弁がありませんでも結構でございますが、念のため申上げておきます。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 国連軍費用は講和後は日本負担しないということにならないのですか。その関係はどうなんですか。今の問題とは私は違うように思うのですが、善後処理費とそういう国連軍駐留に伴う費用占領中と占領後とは私は違うように承わつておるのです。
  37. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 私の申上げようとしておりましたのは国連軍に対する経費負担という意味ではなくて、国連軍駐留をするという、これは行政協定の場合と違いまして、これが全国民的な負担というよりは、非常に局地的な負担であるということから、先刻曾祢委員の御発言のように、その直接負担を受ける一定の非常に限られた地区に対して、国が何らかの補償をすべきではないか。つまり端的に申せば、国民全体に代つて呉市なら呉市の特定の地域の人が、集中的にそれの負担をするということから、生ずる国の地方団体に対しての、これは法律的のオブリゲーシヨンでないかも知れませんが、オブリゲーシヨンになるであろう、こういう意味で申上げたのであります。
  38. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定の第十五条に「日本国国際連合軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」「日本国負担をかけないで同軍隊負担しなければならない。」中田委員仰せ通り国連軍日本にあることについて伴う経費はすべて先方負担するということになつております。でございまするから、民有地或いは民有家屋を借りるような場合の借料は、米軍の場合でありましたら日本防衛分担金から出すのでありますが、国連軍の場合は先方が出す、又公務上日本人の財産或いは生命に傷害を与えたという場合の補償先方負担するということになろうと思います。そこで問題になりますのは、只今宮澤委員の御指摘になりましたように、この協定ですでにこの先方負担をかけない、つまり地方税免除、これはもう協定地方税免除してやる、一定地方税免除してやるということになつているわけでありまして、その結果曾祢委員の御指摘になりましたように、地方自治団体負担がかかるということは、これは事実でございます。そこでどういう負担がかかるかということの実情をきわめまして只今宮澤委員仰せになりましたように、私ども承知しております点では、米軍関係防衛分担金、その他のこの平和条約並びに平和条約と同時に結ばれました吉田、アチソン交換公文、それの実施取りきめ的な性格を持つところのこの協定、そういうあらゆる協定に附随する経費は、これは平和回復善後処理費、そういうものから出すという大蔵省基本的考えであるというふうに私どもは承わつておりますので、曾祢委員の御指摘の問題につきましては、大体その方向で処理されるものである、現実負担その他の査定は今後の事務的な問題として残つておりますが、基本的な考えはやはりそういうことであろうと了解いたしております。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 その地方税はまあ課税されないということになつて、そういうことでなければ呉市は固定資産税その他が入るわけですね、それだけ財政の穴が空く、そうすればそういうものは財政収入が少くなるという形で曾祢委員の御発言のあつたような平衡交付金、今度は交付税に変るわけですが、それだけ財政収入が少くなるから、その分だけはそのほうからでも出得る根拠はあると思うのですけれどもね。それはどうなんですか。
  40. 下田武三

    政府委員下田武三君) 国有施設借料でありますとか関税の免除とかいうことは、実は国が得べかりし収入を我慢して取らないでいいわけなんですが、曾祢委員の御提起になりました問題は、国が我慢するのでなくてしわ寄せが地方自治団体に来る。その問題をどうするかというお尋ねでございまして、その点は基本的な考えは、先ほど宮澤委員仰せになりました、平和回復善後処理費という大きな枠から処理するのでありますが、具体的な実情に基くその算定というものは、今後の事務的な問題として残されておる。この点につきましては、地元からもしばしば御陳情がございまして、問題の所在は政府当局でよく存じておりますが、更に慎重に、事務的に考究するという問題が残つておるわけでございます。
  41. 杉原荒太

    杉原荒太君 さつきの条約局長説明の中に、十五条のことがあつたのだが、ここの一国際辻合軍隊を維持することに伴うすべての経費」、この「伴う」という具体的の範囲ですね。これは非常に明瞭なのもあるけれども、必ずしも限界のはつきりせんところもあるのだけれども、これは日本側政府としては、一定解釈を持つておられるのだろうが、併しこれは条約だからこつちだけの解釈ではいかん。向うとはつきりした了解でなければいかん。これの内訳の問題について向うとのはつきりした了解というのはどういうことです。
  42. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) このはつきりいたしません部面は、要するに米軍の場合は特別損失補償法律に該当するケースでありまして、施設を提供することに直接伴つて起きる日本側の負担漁業その他のものは国連軍が払うべきだ、こういうふうに考えておりますが、演習場がございます、その演習場の使い方によつて演習場の中の木がだんだん減つて行つたとか、或いはまあそういうふうなことから水が出る、それで周辺の田が冠水をするような、雨でも降ると従来よりも余計水が出るというふうな、こういう間接損害、米軍の場合には防風林を伐つたために、又農作物などに被害があつた、いろいろございますが、こういつた間接被害、こういうものはやはり今のところ日本側で負担するというふうな考え方でおります。
  43. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうするとはつきりしていない点は、今の間接損害に対する、いわゆる特別損失に対する補償の問題、いわゆる漁業補償のやつは、これははつきり向うとの了解がついているのですか。向うで持つということが。
  44. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これは海面を提供して、それに伴いまして漁業上の損害があるわけでございますが、これは当然向うが払うものとして交渉いたしております。最終的な返事は参りませんが、その筋で初めから交渉しております。
  45. 曾禰益

    曾祢益君 漁業のほうは筋道から言うと向うからとつて来る、それから水田等が、先ほど申上げたのに対するあれは、これはどつちにつきますか、向うからとつてもいい、日本から出さないほうがいいと思つているのですが。
  46. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これはどちらにも議論が立つわけでございまして、この点は話をいたしておりますが、私はこれは恐らく日本側の負担ということになるのではないかと思つております。これは今議論はいたしておりません。非常に因果関係が薄い、そう直接なものは出て来ないのです。道路にしても同じでありまして向うの車両が通るためにいたむことはわかるのですが、日本の車両が全然通らんということではない、日本側も使つておる。水が出るが、必ずしも木を伐つたからどれだけ水が出るということもはつきりしませんが、この点はやはり常識的に言えば、日本側の負担になるのではないか。とれるべきものについては交渉をいたしております。
  47. 曾禰益

    曾祢益君 これは大体、大分わかつて来たのですが、やはり建前の問題がありますので、平和回復善後処理費から、国として地方に補償し、或いは補填するようなものは出すという、予算上立派な根拠があるという点のはつきりした言明を、やはり大蔵当局から委員会で正式に承わりたい、適当な機会に。
  48. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 大蔵当局から説明を求められるのですね、承知しました。ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  49. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記始めて下さい。
  50. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 今、最後に曾祢委員の御発言に関連いたしましてもう一点伺つておきます。先刻の特別調達庁政府委員から御答弁のありました傷害その他について、これは十八条の関係のことをおつしやつたと思いますが、これにつきましては、平和回復善後処理費から出すことにきめておるという意味のことの御発言があつた。それは政府としてそういうふうにすでにおきめになつておられる、こういう御答弁解釈してよろしいわけですか。
  51. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 只今申上げましたのは、大蔵省との折衝経過を申上げましたので、大体大蔵省との話合では、平和回復善後処理費の中から支出しようという話合になつております。
  52. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 そういたしますと、特別調達庁大蔵省とのお話合の現在までの経過では、この協定実施のための、どういうふうに申しますか、実施の結果として生ずる国の経費の少くとも一部は平和回復善後処理費から支をするという先例が、すでにそこでお話合の現段階では開かれつつある、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  53. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 大体その通りでございます。
  54. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではお諮りいたしますが、今の段階におきましては、今朝に関する限り質疑はおありにならないようでありまするが、この質疑は続行することにいたしまして午後外務大臣の都合を聞きましたところ、午後一時半までは出られないが、その後ならばこちらに都合して参るということであります。併し、先ほども申しました通り衆議院の本会議が今日午後あるそうでありますからして、そのほうの時間と繰合せがどうなりまするかわかりかねますが、と申しますのは、衆議院の本会議が開かれまする時間が不確定であろうと思いまするから、わかりかねると申すのであります。従いまして、午後一時半に外務大臣に来てもらうことにいたしまして、そしてこの委員会を続行したいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 そのときに、一つもう少し資料を、先日の委員会でもお願いしてあると思うのですが、国連軍駐留の大要といいますか、貸与しておる基地の数とか面積、建坪、或いは犯罪の動向とか、或いはそれによつて地方公共団体が受ける財政的なマイナスとか、そういう具体的なもう少し数字を出して頂いたほうが審議の促進になると思うのですが、そういう資料は完備しておると思うのですが、如何でしようか。
  56. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 大体数字は揃つておるそうでありますけれども、書面にして出すということになると時間がかかると思いますから、書面はあとで出すということにして、口頭で大体御説明申上げるということでよろしゆうございますか。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあそういう説明でもいいのですが、一つ是非はつきり数字をタイプに打つてお願いいたします。
  58. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) タイプに打つて出すとなると、昼からの委員会には間に合わないかも知れませんが。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 ですから、午後はそれを口頭で御説明つて、大体全貌を知れば結構ですからそれを研究のためにお願いいたします。
  60. 杉原荒太

    杉原荒太君 もう一つ。この条約に関連する国内立法を提案しておるのを参考にほしいと思います。
  61. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは午前の委員会はこれで休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時四分休憩    —————・—————    午後二時五分開会
  62. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは午前の会議に引続いて外務委員会を開きます。  日本国における国際連合軍隊の地位に関する協定締結について承認を求めるの件、日本国における合衆国軍隊及び国際連合軍隊共同作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。質疑のあるかたは順次御発言を願います。  そこで質疑に入る前にお願いをしておきたいと思いまするのは、外務大臣の時間が限られておりまするので、本日の大臣に対する質疑はできるだけ国連軍に直接関係のあるそういう質疑にとどめて頂きたいのでありまして一般的の質疑は又この次の機会にお願いするということにいたしたいと思います。
  63. 中田吉雄

    中田吉雄君 外務大臣のここに御出席の時間の予定は如何ですか。
  64. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 衆議院の本会議の始るまで、まだ時間はさまつていないそうですけれども、大体一時間ぐらいということであります。
  65. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今委員長の御発言があつたんですが、実は昨日外人記者団と会見されているので、私そのことについてちよつとお伺いしたいと思うのですが、如何でしようか。
  66. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) よろしうございましよう、どうぞ。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 大変恐縮ですが、それでは簡単に。外務大臣は昨十二日外人記者団との会見におきまして、いろいろ当面しますところの日本の外交政策について御発言になつているようですが、そのことについて簡単にお尋ねしてみたいと思うわけであります。  その一つの中に、反共同盟に対して一般的には賛成であるというような御発言があつたようですが、この数種の新聞を検討いたしますと、いろいろニュアンスは違うようですが、そういうことにつきましてお伺いしたい。
  68. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 質問は別に反共同盟というのではありません。私の説明は地域的安全保障措置というものは国際連合の憲章に予定されておるものであつて国際連合の安全保障措置は各地域的安全保障措置と相待つて世界の平和と安全を守る形になつておる。従つて一般的に言えば地域的安全保障措置というものができることは結構なことである。併し現実の問題としてはどういうものができるかまだわからないからコメントをする限りではないけれども、ただ一般に言われるようなものでありとすれば、日本としては憲法の制限があつて兵力の提供というようなことはできない。従つて仮に国連憲章の枠内の安全保障措置であつても、そうしてそれが善意のものであつても、いわゆるモーラル・サポートをする程度に止まるかも知れないが、若し国内の法制等の許す範囲で、その他の寄与することがあれば寄与することも結構であろう、こういうのが私の趣旨であります。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体の御趣旨はわかりましたが、そういう御発言に鑑みまして、極東情勢に視野を向けてみますると、まあ地域的な安全保障の形態としては、従来は日米安保条約、米韓の協定或いは米比協定等があるんですが、将来太平洋同盟とか東南アジア防衛機構というようなものがいろいろ課題になつているわけですが、そういうものについて只今発言なつたような、憲法上或いは法制上の許す範囲内について、そういうものについてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  70. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これもやはり具体的になつておりませんから一般的なことを言う以外に方法はないのでありまして一般的のことを言えば先ほど申した通りと同じことだと思います。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 この二月の十日でしたかアリソン大使が滞米されて、そしてその後間もなくワシントン筋の電報としましては、非公式にこの太平洋同盟と言いますか或いは東南アジアの防衛機構と言いますか、そういう地域的な集団保障に対する日本の参加の問題がせぶみされておる、非公式に交渉されておるということがありましたが、そのワシントン特電については如何ですか。
  72. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そのような事実はありません。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 この五月五日にアイゼンハウアー大統領の特使としましてヴアン・フリート大将が羽田の空港に着いて、今韓国に行つていると思いますが、今月末には帰つてそして日本の再軍備の問題或いは地域的な集団保障に対する参加の問題というようなことについていろいろ重要な会談があるように伝えられているが、そういうことについては如何ですか。
  74. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私の了解するところではヴアン・フリート将軍は大使という資格を以て主として対外援助、つまりMSA関係の実施状況、その他これに関連する事項を視察するものと了解しております。従つてその太平洋同盟とかそういうものについてどういうことがあるか、ちよつと予想がつきません。私ども承知するところでは、いわゆるMSA関係のことであります。こう了解しております。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと非公式の会談もないし、ヴアン・フリート大将の来日もMSAに関してであつて、そういうこととは関係ない。そうしますと、近く吉田総理は外遊されるということですが、我々はこのアメリカの考えている太平洋の新たなる集団安全保障機構に対しての日本の参加の問題が大きな問題となると思うのですが、そういうことは全然ないんですか、今後当分。
  76. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) なかろうかと思います。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 じやこの辺で。
  78. 曾禰益

    曾祢益君 一点だけ今の中田委員の御質問に関連して伺いたいのですが、最近の新聞に中華民国政府から日本の元の駆逐艦を返還してやつてもいいというような話があるという記事が出ておりました。この問題について外務大臣が御承知であるかどうか。又この問題についてこの際発表して頂き、又意見を交換する御準備があるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  79. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私はその新聞記事は気が付かないんですが、見落したかも知れませんが、中華民国政府からそういう話は日本側に対してはないと思つております。併し沈んだ船が海の中にあることは、これは事実だろうと思います。
  80. 曾禰益

    曾祢益君 生きている船の話らしいのですが、そういつたような話ないしは私は単なる軍艦の問題でなくて、只今中田委員が御質問なつたことに関連して、やはり何らかの軍事的な集団保障体系に入るというか、そういつたような相互援助というような構想等についても、台湾政権からアプローチして来たような事実はないかどうか、この点。
  81. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 今までのところは全然ありません。なお吉沢大使が先般帰国されましたが、吉沢大使の報告の中にもそれとおぼしきようなものは全然ありません。
  82. 羽生三七

    ○羽生三七君 最初に国連軍協定のことで先日下田条約局長からお答えになつたことをここでもう一度確認する意味で重ねてお尋ねするのですが、この協定の基礎をなすものは言うまでもなく吉田・アチソン交換公文でありますが、若し新らしい何らかの事態が起つた場合には、新らしく別途の措置が要ると思うので、今後の交換公文というようなものから、かかる地位の発生を承認するというようなことは、これは例外的な問題であるだろうと思われることが第一点と、もう一つ曾祢委員の御質問とも関連することなのですが、この現在の国連軍協定はもとよりその対象となるものは朝鮮戦争に関連する国連派遣軍の地位についてであります。従つて若し新らしくインドシナ或いはその他の地域に何らかの事態が起つてそのことから新らしい駐留というような問題が起つた場合には、全くそれは別途の問題で、この協定から援用さるべき性質のものではない、こう考えておるわけで、条約局長もそういう御答弁があつたのですが、今の二つの問題についてはそういう立場を外務大臣も御確認になるかどうか承わりたいと存じます。
  83. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) あとのほうはその通りであります。初めのほうは、新らしい事態云々と言われたのは、ちよつと私には意味がとれないのですが、若し朝鮮以外のところに国連軍と称すべきものが何か活動するという場合が新らしい事態とすれば、おつしやる通り、別のものがなければそういう事態は起らない。
  84. 羽生三七

    ○羽生三七君 いや、私の申すことをもう一度正確に申上げますと、現在はこの朝鮮事変に関連しての国連軍の地位というものがこの協定で問題になつておるわけです。仮にこの問題が一応片付いてしまつて、何らか新らしい問題が別の地域から起つて、そしてその地域的な関係から再び日本駐留することが最も便宜だと思われるような事態が起つた場合に、ひよつとそれが協定とは別個に交換公文のようなことで地位が承認されるというようなことは、前例としてこれは一つの例であつたけれども、今後こういうことはしばしば起る例ではないと解していいかどうかという問題であります。
  85. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それはそういう協定を交換公文の形で結ぶのは適当でない、こういうお話でありますか。
  86. 羽生三七

    ○羽生三七君 そうです。
  87. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこの点は必ずしも御意見通りとは思わない。交換公文であろうとも、或いは条約の形であろうとも、その他の形であろうとも、国際約束という意味においては別段変りはないので、ただ交換公文であつても、これをはつきり国会でこれは条約と同じ性格を持つ交換公文であります、こう申して国会承認を得ればそれは差支えないのである。ただこういう外国の軍隊を国内に置くということが交換公文という形では適当でないかどうか、これについては我々も十分そのときの事態を考慮して適当に考えなければなりませんけれども、必ずしも交換公文じや絶対にいけないんだという理窟にはならんかと思います。
  88. 羽生三七

    ○羽生三七君 それは或る程度はやはりよくわかるのです。併し例の平和条約締結の際から今日に至るまで相当の期間を経て初めてこの地位に関する具体的な取極めがこの協定となつて現われた。交換公文自体にはこの協定に関する具体的の内容というものは全然ないわけですよ。ただ日本の国内における或る周辺における国連軍の地位を支持することをきめておるわけで、そういう具体的な取極めをそういう一片の交換公文で、若しこの日本の周辺の非常に大規模な何らかの同種の問題が起つた場合には、交換公文だけを基礎として取極めが行われることは必ずしも適当でない。だからそういうことはあの場合における止むを得ざる一つの事例として、今後あれがあつたからそれでいいのだということにならんだろうと思つてお尋ねするわけです。
  89. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは私も同感でありまして、つまり軍隊の地位をきめる細目の協定を普通ならば同時に作つて、基本的な軍隊を置くという協定と細目の協定、つまり行政協定というようなものを同時に作つて国会に提出するのがそれが筋道であります。そうやるべきが原則であります。ただ事態が非常に急を要するときには、国連軍なんかの問題ではそういうことはあるまいかも知れませんが、とにかく国連に協力という意味日本の領土を利用させるということで取りきめてそうしてあとから細目の協定を作るという場合もなきにしもあらずだと思いますが、それは決して正道ではなくて、正道はやはり同時にそういうものを作つてはつきりしてやるべきものだと私も考えております。
  90. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一点だけ。これは国連軍協定以外のことなんですが、先ほどの中田委員の御質問に関連してのことであります。やはり先日の外国記者団との会談の際に、吉田首相の外遊の際、アメリカにおいての経済援助を期待される旨を述べられておるようでありますが、これは実際問題としてどうなんでしようか。アメリカにまだ経済援助というものが首相の外遊の際の話合で期待できるものがあるでしようか。これは別にどうこうということはなしに一つ率直にお話願いたいと思うのですが、どうも私その辺は幾らか違うのじやないかという気がするのですが。
  91. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私はそのニッポン・タイムズですか、今朝のを見まして、表題にそういうことが書いてあるのでちよつとびつくりしたのですが、中味はそうは書いてない。私が総理の答弁についての話をした趣旨は、総理は具体的の問題を話すということは私には考えられない、従つてジェネラル・ラインでいろいろのことを話されるだろう、それのラインの中味はどうかと言えば、自分の想像では、終戦以来の各国の好意ある態度についてアプリーシェイトするという意味一つと、それから日本の国内の情勢、政治経済、社会情勢というようなものをよく説明するということが一つ、相手国の同様な情勢を聞くなり、或いは見て来るということが第三、それだけであつてその他の具体的の問題はないであろう。従つて又おみやげというようなものもないであろうという趣旨を申したのであります。従つて借款等について話合をするだろうなんということは全然言つていないのであります。それはニッポン・タイムズでも表題はそうでありましたが、中味はやはり私の言つたように書いてあります。で、今度その借款の問題ですが、我々も外国の借款ということが必要であることは認めるのです。例えば日本の工場の機械を新らしくしなければなりません。なかなか一挙にできません。こういうものは借款によつてするということも必要だろうと思うのであります。併しながらこれはビジネスの借款であつて堂々と利息も払い、元金も払う約束で貸と借の問題であつて、何もこれは援助でも何でもない。日本にから利益があると思えば外国が金を貸すだけの話であつて従つてこれは私は差支えないと思う。併しながら、一般に言う援助の意味の借款と言いますか、援助の意味の入つているものをもらうということは、それは一時しのぎには結構だと思います。結構だと思いますが、実は私の言い方は少し悪いかも知れませんが、日本の国民は自力でしつかり節約すべきものは節約して経済の回復をすればできると私は思つておるのです。そのときに、徒らに何か外国からイージー・マネーが来て自力で働くという気力を失うことが仮にありとすれば、一時よくつても、これは長い目で見れば決して日本国民の得じやないと思う。そういう意味で、堂々とビジネスで借りて来るものは別としまして、それ以外のものに頼るような気持は、せつかくの国民の今経済復興に努力しているこの際、むしろ長い目で見ては利益じやないのじやないか。まあ非常にそんなことを言うと、このつらいのにどうするかと言われるかも知れませんが、私は自分の意見としてはそんなふうに考えております。
  92. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一点。首相の渡米の際の話合の中に、やつぱり債務返還の問題も予定されておりましようか。
  93. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど申しましたように、一般的の問題に恐らくなるであろうと思いますが、債務返還等の問題につきましては、東京で会談をする予定になつておりまするから、そういう具体的の問題には触れられないことになりはせんかと思います。併しこれは向うに行つての話の模様でありますから、そういうことが出るかも知れませんが、私の想像では、そういうことはなかろうかと、こう思つております。
  94. 羽生三七

    ○羽生三七君 そこで私この間本会議の緊急質問の際に外務大臣の御答弁を頂いたのですが、この日本の終戦処理費、五千二百億に上る日本の終戦処理費と債務との関係ですけれども占領されておる国が債務を或る程度負担するということは各国の私は例であろうと思うのです。併し、それが非常に長期に亘る場合と、一、二年の占領で独立できた国との間には相当の相違があると思うのであります。それから特に日本のように非常な脆弱な経済条件の国においては、やつぱりその点を十分話合つて、社会党の立場から言えば言いたいことは一ぱいありますが、併しまあ現実的にいろいろ考えてみた場合に、この終戦処理費との関係で、これは党の如何を問わず、政府としては十分お話合を願う筋の問題じやないかと思うのですが、仮に首相が渡米の際に触れられなくとも、今度の東京会談がその中心になる場合においては、なお更外務省当局がこの問題について積極的な熱意を示されんことを希望として私申上げておくわけであります。
  95. 中田吉雄

    中田吉雄君 最後にもう一つ。太平洋の新たなる集団保障の問題について岡崎大臣のこれまでアメリカとの交渉その他について全然ないというお話があつたのですが、アメリカはやはりまだそういう構想を棄てていないようですが、そういう要請がありました際にどういう態度をとられますか。その点をはつきり一つ開いておきたいと思います。
  96. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほど申しました通り、具体的の問題がわかりませんから、今のところはジェネラル・ステートメント以外に言い方がないのであつて、ジェネラル・ステートメントとしては、国連憲章の下における集団安全保障措置であるならば原則として結構だと、こう私は思つております。併しながら、これに日本が参加できるかどうかということになると、兵力提供の義務がありやなしや、或いは日本の保安隊或いは自衛隊が自衛のためのみに発動するという限界を超えることができない、そういう点で、日本が加入できるかどうかということはこれは又別問題であります。そういうものが全然ないような集団安全保障措置というものも全く考慮できないものじやない。理窟から言えば考慮できるわけでありまして、そういうことがなければ或いは加入できるかも知れません。ちよつとわかりません、こう申しげるほかはありません。
  97. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは国内法や日本の経済力等の限界内においては参加もあえて辞せないと、こういうことになるのですか。
  98. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは内容を見ないと私もはつきり申上げられません。国連憲章の下における予定されておつたような形の地域的安全保障措置であつてその目的が正しいものでありとすればそれはその法律上或いは経済上の許す範囲でこれに少くともサポートをするということはあり得ると、こう考えております。
  99. 高良とみ

    高良とみ君 只今の集団安全保障法についてなお一点だけ伺つておきたいのですが、大臣の言われるのは国連の集団安全保障の枠外であり、日本が兵力を提供しないで、併しサポートするとおつしやる意味は何か朝鮮戦争のときのような経済的な、又軍事施設その他を利用する面で日本に利益のあることならばサポートするというような意味でしようか。
  100. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうたびたび今お断わりしおるよう具体的な問題がないのだからわからないのです。ただ原則論を言つておるだけです。何にサポートすると、そんなことはわかりません。
  101. 高良とみ

    高良とみ君 まあその点ではやはりいつも私が申上げて意見の違いになると思うのでありますけれども、アジアに戦争を持つて来ないというような一定日本の道義的義務があると思うのです。それは共産側の侵略があつたらということになりましようけれども、少くともアジア地区の戦争の影響を成るべく少くするということのためにそちらの方面に努力する義務が私は戦犯国であつた日本にはあると思うのであります。もうかることならばどこの方面に戦争があつてもまあこれは日本が手を下さない限りは、というような考え日本の指導者の中にあるのでしようか、ないのでしようか、大臣御自身でなくそのことはどういうふうに考えていらつしやいますか、伺いたいと思うのですが。
  102. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) アジアに限らずどこでも同じですが、戦争がないようにする、これは戦敗国であろうと戦勝国であろうと如何なる国といえども当然の義務だと思います。我々はそれに向つて努力するのが当然であり、日本の指導者の意見を一々聞いてみませんけれども指導者とも言われる人は皆同意見だと私は思つております。
  103. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますとこの前の域外買付の話がありましたときにも、戦争の予防としての武器の発注には応ずるけれども、戦争を遂行することによつて火薬、武器等が消耗されることに日本が域外買付を期待しておるのではないというふうに我々は公然と諸外国の人に言うことができましようか。
  104. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 戦争の予防のために防備を強くする、これは当然であります。それから私は、これはもう見方の相違になりますが、不当に侵略を受けた国、それにもうとにかく戦いがあるのだから手を出さないと言つて知らん顔をしておるのがいいかどうか。よく終戦直後に電車や汽車の中で暴行する人が随分あつた、そのときに触らぬ神にたたりなしということで知らん顔をしておるということがこれは社会秩序を守るゆえんじやないと私は思う。そういうときに乱暴する者があつたら皆なでとり抑えて社会の秩序を守る、同様に不当の侵略を行なつたものがあるとすればこれは世界中が皆な立つてそれをさえぎるのが当然であつて、そのときにとにかくもう戦いになつてしまつたのだから手を引くといつて知らん顔をしておるとすれば、それは間接には不当の侵略をむしろ奨励するような結果になると、こう思いますから戦いの性質にもよろうかと思つております。
  105. 高良とみ

    高良とみ君 それと共に今度は半面から申しますならば平和のために防衛の援助をする、手伝う武器の注文に応ずるということは、そういう考え方もあるということはよくわかりますけれども、それと共に若しどこかに戦争が起つたならば十分な援助をすると、いわゆる一種の火薬庫となり武器倉庫としての備えを、日本がその役をすることによつて戦争の、熱戦が発したときにも大丈夫であるという、そういう意味の保障もあり得ると思う、国連の元来の趣旨から申しますならば、武力によるところの、武力行使及びその威嚇はこれを極めて慎んで使わなければならないということを憲章にも申しておる通り、その安全保障というものが最近は多少威嚇的な意味を持つて来たばかりでなく、又直接間接そのひどい目に会つたアジア全体としては、やはり日本に対しても疑いを持つておる国国もあると思うのです。朝鮮のみでたくアジア全体において日本がみずから戦争を始める侵略国でなくなつたことは初めて信じた。併し武器製造国とし或いは火薬庫としての日本というものに対してアジア全体にはまだ不安の念がある。若しお差支えなければ日本外務大臣としてそういう面には日本は戦争によつてもうけようとか或いは火薬庫としての安全保障というようなことではなく、極力外交を生かして戦争をアジアから遠ざけるようにするだという面の安全保障の御主張を御発表願えれば安心する国もあるのではないかと思うのですが如何ですか。
  106. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) お話につい  ては全く同感であります。その通りであります。
  107. 高良とみ

    高良とみ君 問題を変えまして、こ  の国連軍及び米軍駐留しておりまする或る地区には、租借地という、名前を用いておられるところがあるのでありますが、そういう御意思がおありですか。米軍租借地という看板を出しておるところがあるのですが、そういう観念はこういう国連軍及び米軍協定による使用地というものは、将来租借地になる可能性があるのでしようか。
  108. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 少くとも日本においてはそんなことは絶対にありません。
  109. 高良とみ

    高良とみ君 私どもその租借地というものを随分暫く、横浜の租借地、神戸の租借地というものを見てから随分長いことたちますから忘れておるんですが、その観念はよほど今回の米軍及び連合軍の居住地とは違うわけで、併し工事をします人たちがそれとそういうことを混同して使つておるところが現にあるんでありまして、これはこの外務省自身の立てられたかんばんではないのでありますが、代々木の最近に工事施行中の明治神宮外苑にあたりまして一万二千七百坪に四階建コンクリートを建てております地区の周りには、はつきりと米軍租借地と大きく書いてあるんであります。これは間違いであろこと存じますが如何でしよう。
  110. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そう書いてあれば全く間違いであります。
  111. 高良とみ

    高良とみ君 それはつまり請負業者の仕事と私は住民には説明するより仕方がないと思うのですが、併しそういう訴えがあると思うのですが、外務省としても監督をしておられる、或いは大蔵省としても監督をしておられるときに、近所の住民としてはそういう不安をたしか思うので、そういう点一つ租借地的な性格は将来といえども帯びないものであるということのわからない工事施行者などにもわかるように一つ説明を願いたい。
  112. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) さつそくそういうものを調べて、ありましたら取除けさせます。
  113. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと米軍及び連合軍が使用しておりまする土地のまあ周辺と申しますか、まわりのものとしてはこれがどういう限度になつているかということ、安保条約及び行政協定の性質なんでありますが、長いことになつて参りますとどういう見通しであるかということを非常に心配している。でありますが、これについて、これは九十九年、或いはもつと永いんだというように、又安保条約というものが日本の立場からこれは永くなくならないんだというふうに考えている人も多いんです。どうでございましようか。
  114. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはたびたび申す通り、アメリカ側は一日も早く日本から撤退したいと考えているのであります。従いまして今の自衛隊がだんだん増強されますれば、アメリカ軍はいなくなります。その前にも一部増強されれば、一部いなくなります。我々はできるだけ早くアメリカ軍がいなくなるような状態にいたしたいと考えております。
  115. 高良とみ

    高良とみ君 すると今回の呉地区におきますように、返還された借用地が十数カ所ある。それはまあ酒保とか、船着場とかというようなもののようでありますが、そういうふうに徐々に国連軍の場合におきましても返還されて行く土地が多いと考えて間違いございませんか。
  116. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍のは一度にかなり減らしましたからこれからだんだん減らしましてもそうたくさん減るということは今直ぐには考えられますまいが、これはもう朝鮮事変が片付けば撤退するのでありますから、勿論永いことはないと思います。
  117. 高良とみ

    高良とみ君 少し問題が違うほうでありますが、この英連邦軍の使つている中に、民有地取び民有建物が大分あります。土地についても八万七千数十坪、民間宿舎、兵舎等の私有建物があるのでありますが、これに対してこの単なる東洋パルプ会社とか、広造機こういう会社に対する貸付の賃金を払うほかに、家賃、土地代を払うほかに、何かそれが永い間返つて来ないことに対する補償賠償と申しますか、補償というふうなものは、代りの土地を与えるとか、代りの建物をあつ旋してやるとか、国有財産でも土地を使つておられないのが今十六万坪もあり、建物も数千坪あるのでありますが、こういうものは必ずしも直ちに役に立つとは行かないでありましようけれども、国民、市民に対して誠意のある代替物を与えるとか、弁償してやるというようなことについて御努力をなすつたことがありましようか。
  118. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはつまりそういうことの不便も混ぜた家賃を払つているのであります。或いは土地代を払つているのでありまして、従つて、民間の所有者は、まあ非常に満足しているかどうかは知りませんが、適当なる家賃を払われていると考えていると思います。従つて補償とか賠償とかということを更に考慮するつもりはありません。併し産業を開発する、産業を奨励するという意味で、代りの土地を、ほしいというところがあれば、これはあつ旋するのには決してやぶさかではありません。
  119. 高良とみ

    高良とみ君 内灘の場合などでも、代りの埋立地を作つて与えるとか、或いは補償金、或いはほかの産業奨励金の約束が一年目はあつたようでありますが、最近は又減らされ、だんだんにそういうふうに必ずしも国の予算が許さないままに減されて行くときに、やはり貧困な農漁村或いは呉、広というようなところの人たちは非常に頼りなく思うのですが、この点もう少し何とか国連軍等の駐留に対して民間の反感を起さないような方法について調整して行く努力は、どちらにお聞きしたらいいのでしようか。それは大蔵省関係でしようか、外務省ではそういうことはできないのでしようか。
  120. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 第一に内灘等、決して予算が減つたから約束を破つてもうやらないというようなことはありません。新聞にはちよつとそんなことが出ておりますけれども、そんなことは絶対にありません。約束通りつております。  それからこれは担当としては特別調達庁であります。併し勿論外務省としても、大蔵省としてもみんな一緒になつて地元の人々の迷惑にならんように、又反感等が起らんようにはいずれも努力をいたします。
  121. 高良とみ

    高良とみ君 大変細かいことを伺つて恐縮でありますが、例えば今まだ未決定になつております代々木のまわりの住宅指定地区になつたものの、学校の校舎が足らないわけで、年々三万なり四万なりの小中高等学校の生徒が、今度特別調達庁の周旋で与えられました学校の敷地といこのは駐留軍の今度できます寄宿舎の真中を通つて行かなければならない、こういう個所にあるわけなんです。そうなつて来ますと父兄や住宅指定地区の人たちは非常に不安を感ずるのですが、これは国有財産がほかにないということならば、これはまあないものずくしでございましようけれども、何とかそういう点で土地の住民と話合をつけるために調整機関のようなものを、住民の間からも出して国有財産部或いはこういう条約の施行の国際協力局あたりとよく話合をして行くような機関をお作りになつたらばどうなんでしようか。そういうお考えありませんか。
  122. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはこの特別調達庁の管轄でありますから御意見は特別調達庁に伝えておきます。
  123. 高良とみ

    高良とみ君 どうぞ一つ
  124. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今のにちよつと関連して。
  125. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今の問題ですか。これは特別調達庁関係だからして、外務大臣と直接お話になつても結果は得られないと思いますが。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時四十八分速記中止    —————・—————    午後三時五分速記開始
  126. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をつけて下さい。外務大臣に対する質疑を続行いたします。時間がだんだん迫つて参りましたからこの国連の協定に関する質疑を始めて頂きたいと思います。
  127. 曾禰益

    曾祢益君 すでに外務政務次官その他政府当局から大体御意向を伺つておりましたが、私は最後に外務大臣に総括的に確かめる意味でもう一遍念のために伺つておきたいのですが、この今度の協定ができましてその結果、日本として正式に国連軍の使用しておるところの国有財産等についても無償でやるとか、或いは地方税免除するとか、その他国連軍駐留することに関連いたしまして、地方自治団体、特に呉市といたしましての財政上のロスとか或いは負担という問題があります。更に国連軍駐留に関連いたしましてれこの協定の十八条等の関係で、従来やや懸案となつておつたような市民に対する補償の問題等もございまするので、我々はどうしてもこういうような場合にアメリカ駐留軍の場合なみの待遇を与えてやることは理論的に正しいのではないか。国連軍駐留を受けるということは国家としてやることである。従つて駐留に伴つて、成るほど或る一面においては地方自治団体をうるおしておるような幾多の財政的その他の事情もあると思う。併しそれと相殺すべきものではなくて、やはり建前から言つて中央政府地方自治団体負担をかけないで、そうして始末をしてやつて行くというこの根本原則に立つて、別に討論の機会に正式に決議案を提出したいと思つておるのでありまするが、そういつた関連で、この問題については処理して頂くことにいたしましても、先ず第一に法令の整備ができていない、この点については強く杉原委員からも御要望がありました。又更に他の同僚委員からも、一体政府はこの協定の実施に伴つてどういう財源を持つておるか、平和関係処理費ならやつて行けるじやないかというような非公式のお話がありましたが、政府を代表して然らば平和関係処理費を政府としては合法的にこういつたような支払に対する財源として認めて、計数の整理の問題とかいろいろありましようけれども、少くとも支払財源は準備がある。別に補正予算を出すとか、その他法令の必要、立法の必要はないのだといつたような、はつきりとした御答弁政府を代表してやはり外務大臣からこの際伺つておきたい。
  128. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろ内容によつて異なるわけでありますから、具体的の事例を一々挙げないと正確なことは申上げられないわけですが、地方公共団体に対するものは主として特別平衡交付金として考慮するという建前政府はとつております。例えば固定資産税が入らないというような場合が著しい例でありますが、特別平衡交付金ということで従来もやつております。今後もその方針で行こう。それから例えば地方の税外収入その他、又水道であるとかいろいろなものがありましようが、そういうものについては、場合によつてはこれは何らかの法的措置ができる場合があろうかと思います。それから補償等につきましては、これは額にもよりますが、この内容、性質によりまして平和関係処理費を支出する場合もあるし、或いは予備費を支出する場合もある。予算内で賄えることは確実であろうと思います。こう考えております。
  129. 曾禰益

    曾祢益君 道路の場合なんカどうなりますか。
  130. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはアメリカの場合と呉市の場合はちよつと事態を異にするのは、駐留軍の場合においては都心から郊外に移る。そのために新らしく郊外に設備をする。その設備に関連して道路が必要になる。その意味安全保障費から道路費用も出しております。ところが国連軍の場合は、現在おるところにおりますからして、従つてその新らしい設備を設けて呉市から出るというようなことは今のところ考えておりません。従いまして問題はそのために道路を使用して破損が多い場合、或いは通行に非常に困難な場合、こういう場合でありまして、これは建設省等とよく連絡をいたしまして、建設省、県、それから地方自治団体等おのおの応分の費用を出し合いまして、道路を拡張するなり或いは鋪装を直すなり或いは別の道路を設けるなんというようなことは、普通の道路費によつて賄える予定にしております。
  131. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 安全保障条約に基くアメリカ軍の駐留軍につきましては、漸次これ撤収して行くということがまあ計画されております。国連軍は勿論朝鮮動乱に関連して駐留の事態というものは起つておるわけであります。朝鮮の動乱ももう休戦後相当時間がたつわけであります。さきざきはジュネーブの会議等で何らかの結論が出るでしようけれども、状態からいえば国連軍の撤収も比較的速かな時期に行われるのではなかろうかと想定されるのでありますけれども、現在の国連軍駐留が今後どれほど続くものか、これの撤収についての何らかの話合がされつつあるのか、その間のお見通しを伺いたいと思います。
  132. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 駐留軍のほうは、むしろ撤収といいますか、まあ一部でも撤退する問題については話をいたしておりますが、国連軍側は、ジユネーブ会議の模様にもよりましようけれども、いずれにしてもそう長くおるということはちよつと考えられません。又朝鮮の事変が仮に片付かなくてもそれでも撤退というか、兵を引上げるという場合もあり得ると思いますので、まだ話をいたしておりません。併しそれは今申したようなわけで長いことはかからないであろうという予想であります。
  133. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題ですが、第二十四条には、国際連合軍隊は、まあ国際連合が撤退するということを決定してから九十日以内に日本から撤退するということになつているのですが、なかなか見通しがつかんし、これは結局占領中の駐留軍を国連の名においてやはり継続するように一つ悪用されているのじやないかと思う面があるのですが、その関係はどうなんですか。
  134. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そのようなことは全然ありません。これは丁度その時期に平和条約締結の以前において朝鮮事変がこのようになりましたから、結果的に見ると何かそんなようにお考えになるかも知れませんが全然さようなことはありません。又国連軍日本におつて何か特殊の利益があるかというとそれは考えられないのであります。それから費用の点からいいましてもなかなか予算を喰う問題であつて、納税者としてはいずれも税を払うことは好まないのでありますから、やはり早く撤退したいという気持が非常に多いようであります。これはまあ占領の事態とは全然違います。
  135. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しまあ呉地区なんかの、かつての軍港その他使えるのですから、若しそれがなければイギリス本国その他で要る、そういう費用だけでも要らんわけで、むしろそれがおることによつてイギリスの極東政策の睨みがきくというようなことで、必ずしも岡崎大臣が言われるように、新たな負担が要るというふうに取れんじやないかと思うんですが、それはどうですか。
  136. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはやはり外国におれば費用は非常に余計かかるのであります。現に豪州政府でも国会でも問題になつているわけであつて、又これはいわば人のところに来ておるのですからいろいろ遠慮もしなければなりませんし、家賃その他も払うべきものは払わなければならない。これは決して将兵としても望んでおるわけでもない。イギリスの極東政策が国連軍がここにおるからそれでどうということは私にはちよつと考えられません。
  137. 中田吉雄

    中田吉雄君 この朝鮮派兵の国連憲章上の根拠は憲章の第三十九条と思うのですが、その決議従つて加盟各国が朝鮮事変に対して、その勧告を受けてとつた措置、各国がどういうふうな軍隊を派遣し、それが現在どういうふうになつているか、又イギリス軍隊というものは、朝鮮におるかというような問題について、一つ勧告があつてすでに相当長い間経過したのですが、そういう勧告に応じて、派兵し、それが一九五二年のいつですか、なかばの停戦のああいう協定からどういうふうな変遷をしておる。こういう質問をしますのは、実は私の手元に持つているのでは、イギリスは、この勧告に従つて出した軍隊というものは、シンシウエル国防相が言つたのは、大体国会で発表したのは三万三千五百から四千、朝鮮に地上軍ですか、そういうものを派遣する、こういうことをいつておるのですが、そういうことからすると、現在あとからお伺いしようとするのですが、呉地区等におるのは、もう殆んど朝鮮なんかにおらずに、日本におるのじやないかと思うのですが、そういう関係とからんで、三十九条による勧告以来の国連軍の年次的な変遷というようなものについて、一つこれは局長さんのほうからでも結構ですから。
  138. 下田武三

    政府委員下田武三君) 協定の第一条に、四つの国連の決議を引用しております。これらはいずれも御指摘のように国連憲章第三十九条に基きまして、朝鮮における国連の行動に参加することを勧告したものでございます。これに応じまして、十数カ国の国が兵を派遣したわけでありまするが、その後の変選とおつしやいますが、これは朝鮮における軍隊は増減はあつたかも知れませんが、日本呉広地区におります軍隊は、先般国際協力局長からも申上げましたように、最高限約一万、少いときで四千くらい、大体四、五千から一万の間を移動しておるわけでございます。これは呉広地区に滞在することを目的とするというよりは、それぞれの本国から朝鮮に行く中継ぎ港としての呉方面を利用するわけでございまするから、朝鮮から部隊が帰つて参りますと一時的に呉広におります部隊がふえる、それが去りますと又減るという工合でありまして決して非常な部隊が日本に来たこともございませんし、又全然いなくなつたこともない。要するに中継ぎ地として四、五千から一万の間を移動しているというような状態でございまして、現在では大体四千前後というように了解しております。
  139. 中田吉雄

    中田吉雄君 四千前後ということはわかるのですが、各国が勧告に応じてとつた措置、それとの関係をもう少し詳しく一つ説明願いたい。
  140. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連して。特に今中田委員説明をされたのは、日本にどれだけたまるかという問題の前に、朝鮮における国連軍、特に米軍もそうでしようが、それ以外の国連軍の変遷がどうなつているかということをもう少し具体的に詳しく御説明を願いたいという点だろうと思うのです。
  141. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうなんです。
  142. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこをはつきり。
  143. 下田武三

    政府委員下田武三君) これも一昨日国際協力局長が御説明申上げたことでございますが、大体在鮮兵力の詳細は軍事機密になつておりまして発表されておりませんが、大ざつぱに申しますと朝鮮におります国連軍が全部で二個師団、つまり英連邦関係が一個師団、その他の国々の関係が一個師団というように、それは最大限、一番多いときの兵力でありますが、現在は大分減つておるのではないかと推定されます。それから兵力、つまりコンバット部隊を出しております国もございますが、そういう戦う兵隊は出さないで、赤十字と申しますか、病院衛生兵、そういうものしか出していない国もたくさんございます。
  144. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは今の御報告は、昨日から二個師団という話はよく出ているのですが、これは朝鮮の戦争が熾烈なときに大体二個師団ということなんですか、それが逐次減つて現在の状態として殆んど戦闘行動その他がなくて二個師団だけは滞留しておるということなんですか、その辺の変化がどうなつたかとうことが、さつき問題になつた今後折衝の問題と関連して問題になるので、そこのところを一つはつきりしてもらいたい。
  145. 下田武三

    政府委員下田武三君) 朝鮮戦線が最も激しかりし時においてのマキシマムの二個師団であります。同じ師団でもそういう場合には最も充実した師団であるかも知れません。併し現在は形骸と申しましては言い過ぎかも知れませんが、充実していないほうの部隊として残つておるものではないかと推察されるのでございます。
  146. 中田吉雄

    中田吉雄君 二個師と言われたんですが、一個師大体幾らのものですか。
  147. 下田武三

    政府委員下田武三君) これも実は発表されておりませんので、正確に申上げることができません。
  148. 中田吉雄

    中田吉雄君 そんなことはありませんですよ。例えばアメリカのニューズ・アンド・ワールド・リポートなんかには詳しく実際駐留軍の数を報告しておるんですよ、何もそう軍事機密とかいうようなことでなしに。それではお尋ねしますが、イギリスの軍隊は幾らおるんですか、朝鮮に。
  149. 下田武三

    政府委員下田武三君) 新聞雑誌等には出ておりましても、オフィシャルなものとしての発表はないのでございまして、日本政府が受けております通報も極くあらましのことしか通報されておりません。従いまして正確な数字を申上げるわけには参らないのでございます。
  150. 中田吉雄

    中田吉雄君 朝鮮の停戦の協定ですがね、あれがありましたが、あれの大体の経過を一つ知らしてもらえませんか、板門店ですか、あすこでいろいろありました年月日その他大体のいきさつを。
  151. 羽生三七

    ○羽生三七君 それを調べられておる間にちよつと一言。二十四条の「国際連合軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の」という、その「撤退していなければならない」ということを基礎づけるものは、例えばジュネーブ会議等の話が妥結した場合とか、或いはほかには国連が何らかのこの問題に関連する発表をする場合とか、いろいろあると思うのですが、その形式の如何を問わず、実質上会議ができて撤退する日を指すのか、何かやはり国連の決議があつてこういう行動が起つたのだから、国連の決議等で明らかになつたときからを指すのか、具体的にはどうなんでしようか。
  152. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは恐らく国連の決議もやめるとか変えるとか何とかということがあり得るかも知れませんけれども、ここで考えておるのは停戦協定に基く政治会議、或いはジュネーブの会議、その後の実際上の南北側の話合によりまして撤退する日がきまる、こう考えております。国連もその趣旨でやつておるのでありまするからその意味であります。
  153. 中田吉雄

    中田吉雄君 さつきの問題について。
  154. 下田武三

    政府委員下田武三君) 朝鮮休戦交渉の成行につきましては只今資料を持つておりませんし、又私、主管者でもないのでございますが、御承知のように従来の国会でそのつど御説明申上げて参つたのでございますが、要するに板門店の休戦交渉で敵対行為は終止いたしましたが、その後俘虜の交換の問題につきまして共産側と国連側との間に非常な意見の相違を来たしております。而もこの俘虜の取扱の問題がジユネーヴの俘虜条約でも又一般国際法でも未決定である分野に立ち入つた機微な問題を生じまして、或る程度話合がつかないままにもう既成事実として成立つておる。そうして或る者は釈放され、或る者はそれぞれの本国に帰還するというような事態になりまして、そしてその既成事実に対しましてはもう只今いかなるほうからもむし返すということをあえていたさないでそのまま鎮静しておるというのが只今の現状でございます。
  155. 中田吉雄

    中田吉雄君 敵対行為を、停戦のあれは一九五二年でしたね。
  156. 下田武三

    政府委員下田武三君) 一九五三年の七月ではないかと記憶しております。
  157. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう近く一年にまあもう少ししたらなるわけですが、新たなるそういう何の発生する虞れもないと思うのです。アメリカは先般新聞でも発表していましたように一箇師団も本国に還す、これについて国連の決議従つてその統一行動の指揮者であるアアリカすら事態の安全性見て、或いは韓国軍の増強と睨合せて一箇師団の朝鮮からの撤退をするほどまあ見通しは必ずしも暗くないと、そういう事態であるのに国連の名において日本駐留することが果して国連憲章の基本的な何に反することはないかどうか。地域的なとりきめにしてもそういうことは一切国際連合の目的及び原則と一致することが条件になつているのですが、そういう戦争の危機といいますか、紛争の危機というものは緩和しているのに、いわば一種の予防駐留というようなことが国際連合憲章の目的と原則に背反しないか、そういう点はいかがですか。
  158. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは全然予防駐留じやありません。まだ朝鮮の事態は御承知のように、いいほうに向いておるかもしれんが解決はいたしておらないので解決したら撤退するでありましようが、それまではやはり必要なものは必要で、これは国連憲章に全然違反しておりません。
  159. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はまあイギリスなり英豪軍等が占領中の惰性といいますか、そういうことなしにはこれはこういうことはなかつたであろうと思うのです。やはり私大分いろいろ調べてみるとまあその点の認識が問題ですが、横田さんなり或いは田畑氏その他のを見ても将来そういう虞れがあるかもしれないということで駐留することは重大な主権に影響を及ぼす、駐留をすることはやはり国際連合憲章の趣旨に反するというようなこともあつてやはり岡崎大臣の言われたようにまだ紛争は継続中だというようなこともありますが、この連合憲章の趣旨から言うとアメリカ自身すら最も北鮮軍と相対峙しています朝鮮からすでにアメリカの公式な発表でも一箇師撤退するというほどまあ危機が緩和しておる際に、することは予防駐留の虞れが多分にあるのじやないか。占領中の惰性に名を借りておるように思うのですがその点はいかがですか。
  160. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはさようなことは全然ありません。そして仮に今駐留軍がもう一カ月でいなくなるとしてもやはりこの協定は要るのであります。というのは過去にずつと朝鮮事変中駐留しておつたのでありますからそれの跡仕末の意味もあるわけで、いろいろ払うべきものは払う、払わないものは払わない、はつきりしなければならないわけであります。今まではその協定ができておらなかつた。又裁判権の問題等についてもそうでありますが、従つてこの協定はいずれにしても要るんで、まあ早く済めばこれはあと始末になります。併しそれにしても同様であります。
  161. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあいろいろ対英貿易その他の交渉等あつて、いろいろ微妙な国際関係もあると思うのでそういう点は十分よくわかるんですが、できるだけです、そういう朝鮮の危機も緩和しておるのですから、この交渉の折衝に対して国際連合の最終的な決定なしでも、できるだけ早く撤退してもらうような交渉をされたでしようか、その辺の消息について。
  162. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは撤退してもらうということではなくして、この二十四条の規定してあるのは、これはそれだけのことであつて、つまり南北の間の話合か何かが適当な解決になれば撤退することになりますが、その話合ができないうちに早く撤退してくれという交渉はいたしておりません。
  163. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いろいろ御説明を昨日から聞いているのですが、根本的にわからないことは、一体ごの日本に滞留する国連軍の任務というか目的、それとアメリカの駐留中の任務或いは目的、それはおのおのどういうものだというふうにお考えになつておるのか、或いは条約上規定されておるのか、その辺の説明を。
  164. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍の任務目的的等についてはこの前文に引用してあります国連の決議に明らかであります。アメリカ軍は二重性格を持つておりまして、国連軍としての働きをする場合にはやはり国連の決議に従う。然らざる場合は日米安全保障条約に基く、こういうことであります。
  165. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、その国連軍の任務の目的、前文に明らかだと言つておるのはどの点なんですか。
  166. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) この協定の前文、二ページ目であります。
  167. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると今の御説明によると国連軍とそれからアメリカ軍との任務或いは目的、それはおのずから違つたものを持つて来ておる。アメリカ軍は二重のまあいろいろな任務なり機能なり或いは目的を持つておるんでしようが、そういう意味ではおのずから違つておるというふうには考えていいのですか。
  168. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ軍が国連軍として行動する場合は同じ。日本における駐留軍として行動する場合は違います。
  169. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとアメリカ軍に対する地位の規定或いはいろいろな待遇、そのことと国連軍に対する国連軍の地位或いは待遇等々に関しては両軍の間に相違があると考えていいのか、この協定によつてその相違はなくなつたというふうに考えていいのか、この点はどうですか。
  170. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 大体これは自主的に相違はなくなつたと考えられて結構と思います。
  171. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると先ほどの御説明によると、両軍の任務、機能、そういうものについては相違があるにかかわらず、それの地位或いは待遇については何ら相違がないというのはどういうところから出て来るわけですか。
  172. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうさんざんむし返した議論で佐多君も耳にたこができたかと思いますが、念のため繰返して言えば、或る国によその国の軍隊駐留しておる、それの目的とか関係は違つても、国際法上は要するに一国の領土内に他国の軍隊駐留しておる、こういう関係においては差異がないという意味で同等の待遇をいたしております。
  173. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこのところが僕はよくわからないのですが、任務なり機能なり目的なりは違つておるにかかわらず、ただ滞留をしておるという事実から、従つて地位なり待遇は変らないんだということがよくわからないのですが、任務なり目的なりそういうものが違つておるとすれば、おのずから地位も待遇も変つて来てもいいはずじやないのか。例えばもつと正確に言えば、アメリカ軍は日本の安全を直接に防衛をする、そういうような任務を持つておるから、それならばそれとしてのいろんな待遇の仕方もあるだろうし、地位の与え方もあるでしようが、国連軍のほうはそういうものは持つていない、ただ間接的に近接地域の安全なり平和を守るという任務が、ひいては日本のためにもなるだろうというような関係で、而もこれはさつきの御説明によると、中継的にここを経由しておるというような利用の仕方なんだから、それならばそれとしておのずから性格的に非常に違つたものになつているんじやないか。そういうものとしての待遇を別途考えなければならない性質のものじやないかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  174. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) つまり何と言いますか、法律的に見ると、軍隊に対する地位をきめるのは、その軍隊の目的の如何を問わないということが一つあるわけであつて従つて実質的には同様の協定国連軍にしても駐留軍にしてもする、ただおつしやるような点は多少あるのであつて、つまりまあ早く言えば、駐留軍日本が頼んで来てもらつている、日本のために血を流す場合もあるが、国連軍のほうは朝鮮のために国連の任務を行うのであり、日本のために直接行うわけじやない。併し日本の安全にもこれは大いに影響するから、日本としてもできるだけの協力をするという趣旨でやつておるので、法律的には例えば裁判管轄権の問題、或いはその他の問題については、一国の領土に他国の軍隊がある。それに対しては同等の待遇を原則的に支える、こういうことでありますが、おつしやるような意味の点も、これはまあ自然加味されるわけであつて、いろいろな点で、これは例えば行政協定国連軍協定とは違う点があります。例えば駐留軍に対しては、私有財産に対しても日本政府が賃貸料を払つておる。国連軍の場合には国連軍が賃貸料を払うとか、或いは防衛分担金日本政府も半額を分担するが、国連軍の場合にはそういうものは日本政府としては負担しない。或いはこれは当然なことでありますが、日本の区域においイ急迫した事態が起つたという場合には、日米両国間で共同措置に対して協議をするが、国連軍協定にはそういうものはない。その他細かいことはたくさんありますが、そういうふうにして多少目的によつて違う点も出て来るのでありますが、ただ裁判管轄権とかいうような種類のものについては、軍隊としての待遇を認めるのでありますから、この点は同等にいたしておる、こういう趣旨であります。
  175. 團伊能

    ○團伊能君 今の佐多君の御質問に連関して一つ伺いたいと思います。日本に近接している国連参加国の軍隊で、その国の国際事情からその自国に軍隊が置けないで、一時的にも日本に待避することがあつたような場合、それらの国の軍隊はやはり大体においてこの法律と同じような形において取扱われるものでございましようか。その点を伺います。
  176. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと御質問の趣旨がはつきりわかりませんが、この協定は朝鮮事変に関連して国連の決議軍隊を送つていた国に対して適用する協定であつて、それ以外の国は全然関連がありません。
  177. 團伊能

    ○團伊能君 そうすると国連軍の中に加わつている軍隊で、朝鮮事変に応援に来ている軍隊でなく、韓国軍なら韓国軍自身が一時的、戦略的に自国にとどまることができないで日本に待避している、とどまつている場合は又別途のこれ以外のものになりますか。
  178. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういうものは今のところ予想しておりません。この中に入つておりません。
  179. 團伊能

    ○團伊能君 そうすると、この中にある国際連合軍隊という中で、国分けの違いになるわけになりましようか。
  180. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) この協定の第一条の(d)のところを御覧になりますと国際連合軍隊とは、派遣国の陸軍、海軍又は空軍、ということになつております。派遣をする国であります。
  181. 團伊能

    ○團伊能君 そうすると仮にこれは非常に今決定した一地区でありますが、もつと広く考えた、日本で一部にそういう状態が起つた場合は、これはどういう形において取扱われるのでございましようか。
  182. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと非常にデリケートな問題ではつきりおつしやいませんから、私にもはつきり申上げられないのですが、これとは全然関係ありません。全然別個の問題として考慮しなければなりません。
  183. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この協定にフィリピン政府が署名するようでありますけれども、現在フィリピン軍が或る程度駐留しておるのでしようか。
  184. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) フィリピンの軍隊日本の国内には駐留いたしておりませんが、朝鮮におりますフィリピンの軍人が病気なり或いは休養なりで日本に来る場合があります。その場合にはやはりこの協定によつて規制されます。
  185. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 前文にありますように、この協定根拠が吉田・アチソン交換公文であり、同時に平和条約の発効によつて日本が国連憲章の趣旨にのつとつて国連に協力するということにあると思うのであります。平和条約締結して日本と平和を回復し、正常の外交関係にあることがやはりこの協定の参加国の一つ前提条件ではなかろうかと、こういうふうに思われるのであります。勿論国連軍として朝鮮動乱に参加する、これは直接平和条約には関係ないでしようけれども、この協定締結して、そこの権利関係等を明白にして行くということになれば、やはり基本の平和条約における関係というものから少くとも平和条約に参加していることを前提のように思われるのであります。フィリピン政府との関係はまだその羽目に至つておらないし、或いはサンフランシスコ平和条約じやなくて別個の平和条約考えられているやにも伝えられているわけであります。その点は如何考えればいいのか、御説明を願いたいと思います。
  186. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは日本平和条約ができている国、できていない国は政府としてはあえて差別をつけておりません。要するに国連軍の一部としてやつて来る軍隊に対して考えておりますので、その中にはおつしやるような国もあり得るわけであります。
  187. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 外務大臣に対する質疑は大体この辺で…。
  188. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと関連して。
  189. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 時間がありませんので簡単にどうかお願いいたします。
  190. 中田吉雄

    中田吉雄君 この国連協力というような見地からまあこういう協定が結ばれるわけですが、これはまあ国連憲章の第三十九条によるのですか、四十二条、或いは四十三条、或いは第百六条の過渡的安全保障のとりきめというような、もつとがつちりした勧告でなしに、がつちりしたとりきめの場合との、我が国がその協力の仕方について外務大臣は、それは無差別に取扱つていいというふうにお考えですか。
  191. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 原則として協力するという事実は、特に区別はないと思いますが、併し実際上その協力の方法として、例えば国内に国連軍駐留を認めるというような場合になりますと、別個にこのただ原則的に協力するということだけじやできないわけであつて協定を結び、そうして国会承認を得て実現するということになりますから、実際上は、これはもうすべて新らしい別の協定がなければ実質的にはできないことになります。
  192. 中田吉雄

    中田吉雄君 そのことはわかるのですが、第三十九条のような勧告の場合と、四十二条、四十三条のような特別協定によつて軍隊、兵力の割当等をするような場合と、我が国が協力する場合の、この心構えと言いますか、そういうものについて、国会承認はまあ必要なわけですが、その差別です。そういうことについて。
  193. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはひとしく国連の精神に基き、国連の憲章に従つて起す行動でありますから、原則論としては同じであります。
  194. 中田吉雄

    中田吉雄君 幸い国連に協力しても報復爆撃等がなくてよかつたわけですが、やはり我々としてはそういう場合も予想しながら、慎重な配慮を以て対処することが必要だと思うのですが、例えば第三十九条による勧告につきましても、国連の加盟国すら、その派遣している状況を見ますると、実際殆んど国定とは言いながら殆んどこのアメリカ軍隊だけで、あとはまあイギリス軍が若干と、例えばインド等はただ看婦を派遣する、或いはボリビアは現役将校三十名を提供するというような申入に過ぎない。或いはオランダのごとき、或いはノルウエーのごときは商船を一そう提供する。フィリピン政府のごときは、政府は義勇旅団の編成をして援助するという言明をしたが大してやつていないというように、国連の加盟国すらそういう立場をとつているのに非加盟国である我が国がそういうふうに殆んど全面的な協力と言いますか、言いなり放題のような駐留を認めるというような形が主権国家として如何なものでしようか。加命国すらその加盟国が勧告に応じた実情を見ると想像以上に実際朝鮮戦線に派兵していたいという際に、非加盟国である我が国がそういうことはあまり自主性がないじやないかと思うのですが、その点は如何でしようか。
  195. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは意見の相違になるかも知れませんが、吉田・アチソン交換公文条約一つの形式であるとして国会承認を求めて、国会の非常な多数の承認によつて成立したものであります。従いまして今おつしやるのは国会の多数がそういうことを認めちやけしからんという議論ならばわかりますけれども、私に御質問されてもちよつと困るのです。
  196. 中田吉雄

    中田吉雄君 いや、国会が多数で認めたということは、無差別にそういう国連の名において駐兵することを無制限に国会が認めているということでは私はないと思うのです。その点如何ですか。
  197. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) とにかく吉田・アチソン交換公文国会の多数によつて承認されております。
  198. 中田吉雄

    中田吉雄君 それはわかるのですが、その国会承認にもかかわらず、そういうことが日本の自立性、それが日本のより安全になるというような配慮をもつてやはりやるべきで、私としては加盟国すらなかなかいろんな立場をとつているわけですから、もう少し朝鮮の事態も停戦協定以来一年近くなるのですし、もつと自主的な立場をとられてもいいのではないか。それはあの決議の趣旨に反するものではないとこういうふうに思うわけですが如何ですか。
  199. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 政府としては国会承認を得た決定に基いて行動をいたしております。
  200. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどのお話によると、大体国連軍とアメリカの駐留軍とには任務或いは目的、機能に相違があるから、待遇、地位等については若干の違いもあるのだということで、特にこの私有財産に対する賃貸料ですか、等々の問題に対してはむしろ国連軍自体から支払を受けているのだというようなお話だつたかと思いますが、これを貫けば、このそういう相違から勘案して、むしろこれは私有財産だけでなくつて、国有財産についても同じ原則がむしろ原則として確立されて、差別的に考えることのほうが合理的じやないかという気がするのですが、その点はどういうふうにお考えになるでしようか。殊にこの民有のものはとおつしやいますけれども政府から提出された英連邦軍使用施設表によると、例えば土地のごときは国有地は百五十万坪にも及んでいるが、民有地は九万六千坪しかない。建物にしても国有は十六万坪以上に及んでおりますが、民有のものは千坪にしか過ぎない。従つて民有のものは賃貸料を取つていると言つても、これはもうほんの名目的なもので、認めなくてもいい程度のものにしか過ぎないので、実際は全部国有財産に対してこちらが負担をしているというような結果になつてしまつていて、両方違いを付けることは実際には何ら行われていないような結果に、結果的にはなつているのです。その辺の事情をどういうふうにお考えになるか。
  201. 岡崎勝男

    外務大臣岡崎勝男君) お話のような説も実際政府部内にもありまして、それが一つ交渉の長引いた理由でもあるのです。併し最終的な結論は、国際連合に協力する以上は、政府の国有のものは一つ無償で提供しようじやないかということに結論はなつたのです。ただ民有のものまで政府が金を出してやるほどのこともあるまいというものの、そこに差別ができた。これは理窟から言つて、どつちが正しいという、これは法律的な見解もないわけでありまして、ただ協力の趣旨から、その程度でよかろうという結論になつたのであります。
  202. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それに関連して、日本負担はどういうふうに将来は違つて来ることになりますか。
  203. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつとはつきりした数字は私覚えておりませんし、又これは単価の算定によつていろいろになりましようが、大体年三億と四億の間ではないかと思います。
  204. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一応それ若しおわかりでしたら、正確に一つ何か資料で、若し国有財産その他について普通の適正な賃貸料その他を取るとすればこれくらい取るべきだつたのだと、それがこの協定によつては取れていないのだというようなことを、もう少し正確にわかるような資料がありましたならば、それを作つてお示しを願いたいと思います。  それからもう一つ。この協定を作る前に刑事裁判権条項はNATO方式によつてやるということになつておりますが、それ以外の財政経済に関する条項等をこの協定でおきめになつたと思うのですが、その財政経済条項に関するNATO方式というようなものはどういうことになつているのか、原則的に、その点を。
  205. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ちよつとお待ち下さい。外務大臣は、衆議院の本会議が開かれたそうでありまして、これから退席されますから、どうぞ。
  206. 下田武三

    政府委員下田武三君) NATO方式の問題は、当初から日本はこの刑事裁判権の問題の処理の指針といたしまして堅持いたして参つたのでありまするが、財政経済条項その他の条項につきましては、実はNATO方式をそうも問題にしておらなかつたわけでございます。つまりNATO協定でございますと完全に相互的で、フランスの兵隊がベルギーにおることもあるし、ベルギーの兵隊がフランスにおることもあるというわけでありまするが、国連軍協定では日本兵が豪州、ニュージーランドにおるというようなことは全然ないので、全く一方的に先方軍隊だけが日本におつて、その態度をきめるというだけの問題でございますので、刑事裁判権以外の問題につきましてNATO方式の問題を指針といたしたことは全然ございません。それで比較ができないわけでございます。ただこの軍用車両その他公用品の免税でございますとか、或いは輸入の際の関税免除、そういうような点はこれはまあ一般軍隊の待遇の問題でございますから、NATO協定とも共通いたしておりますが、これは特にNATO協定に合せるたにそういたしたものではございません。
  207. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、そうNATO方式はちよつとこの場合とは違うことは非常によくわかるのでずが、同時にNATO方式の歩合には相互に駐留し合う等々のことを前提にしていろいろな条項がきめられていると思いますが、これによると一方的に駐留し或いは滞留をするのだから、そうだとするとNATO方式の場合と又違つた別な角度から判断がされなければならないと思うのです。そこでそれらを明瞭にするために、NATO方式では今のそのそういう各経済、財政条項についてどうなつているかをもう少し正確に表なり何なりにして、一つ、お示しを願いたいと思うのですが、殊に施設その他を使用している場合等々について、そういうものの負担がどういうふうになつているか、それらの辺も詳しく一つお示しを願いたいと思います。それによつて更に日本従つて、どういう原則でどうすべきかということが合理的に判断されるのじやないかと思いますので、その点一つもう少し正確に詳しく御説明を願いたいと思います。
  208. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定で取上げております主な事項について御説明申しますと、二条、三条の出入国、或いは船舶、航空機、車両の取扱等について与えおる便宜は恐らく協定当事国間でも認められております。第五条の施設の点につきましては、NATO協定当時国間でも国有施設を無償で定供し合うという原則を採用しております。それから運転免許状或いは車両番号についての便宜もNATO協定当事国でも与えております。外国為替管理或いは軍票免税、関税等も殆んどNATO協定当事国で行われておるのと大差はございません。経費につきましては特別でございますが、特に相手国のために積極的な財政支出をしないという点は、やはりこの協定と同様であります。つまり防衛分担金みたいなものを受入国が負担しない、これはこの協定と同じでございます。それから刑事裁判権、民事裁判権につきましては、これはNATO方式でございまするから、完全に同じでございます。その他は会同会議や形式規定でございますので比較することは無意味だと存じます。大体におきまして先ほど外務大臣が申しました、軍隊として外国に存在するがために必要となつて参ります取扱に関する規定は、実はこの行政協定、NATO協定、本協定、大差ないのでございまして、国対国の関係で、異なる経費負担、その他他の取扱が定められる、そう御了解下さいまして結構だと存じます。
  209. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとこの第十五条の経費分担の問題あたりで、NATO方式でも国有財産の賃貸料というのは駐留されている国が負担しているのですか。
  210. 下田武三

    政府委員下田武三君) 国有財産はただで貸しておるようでございます。ただその当事国の分掛金というものがございますので、例えばパリの近くに大きな司令部の建築、こういうものを建てるということをフランスが一国で負担することはできませんので、これはやはり共同経費で建てているのではないかと了解しております。
  211. 中田吉雄

    中田吉雄君 私の狭い見解では、国連憲章の第四十三条の特別協定によつて、そして割当等をして編成したものが正規の国連軍であつて、この三十九条の勧告によるものは、実際国連軍と称し得るかどうか問題だと思うのですが、国際法上の相手国なる概念規定を一つお願いしたい。みなし得るかも知れないが、実際の国連軍というものは四十三条の特別協定によつたものだけだというふうに私理解しているのですが、その点は如何ですか。
  212. 下田武三

    政府委員下田武三君) その点はまさに仰せ通りでございまして、国連憲章が当初予想しておりました国連軍というものは、実はこの四十三条の特別とりきめによつて各国に割当てられた兵力を以て構成されるのが当初の国際連合軍でございました。ところが四十三条の規定はヴィートーの存在のために実は死文に化しておりまして、ちつとも行われておりません。そこでなぜ今度の協定の対象になる軍隊国連軍かと申しますと、やはり一九五〇年の国際連合決議でこれを国際連合軍隊と称し、そうして国連旗を授け、そうして米国人である最高司令官の下にあるユニフアイド・コマンドを作成するということが国連自体の決議で定められておりますので、その決議に基きましてでき上りました軍隊国連軍と称しております。併しこれは憲章の当初予想しておりました御指摘国連軍とは全然法律的性格を異にするものでございます。
  213. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういうところから岡崎外務大臣ともう少しやりたいと思つていましたが、おられんので次に譲つてこの問題はやはりもう少し憲章の基本的な理念に立つて取組まねばいかんと思うのでありますが、併しこの協定に対する賛否は別にして、この協定のために特別な地方公共団体の受ける財政上の負担、或いはこの協定なかりせば得らるべき財政収入というものに対しては十分な措置がなされねばならんと思うのですが、これは岡崎大臣も先に言われたように、アメリカ駐留軍はまあ両面の性格を持ち、この呉等におるのと併せて考えますと、地方財政に対する影響は非常に大きいと思うのですが、先に岡崎大臣が言われたように、平衡交付金の特別分で措置されているんですが、それでは賄い切れんです。結局ですからそういう所が国会の取りきめ承認によつて不当に財政上の圧迫を受けているというふうに見ているんですが、アメリカ駐留軍を両面の性格を持つものとしてその駐留によつて地方公共団体の受ける財政上の実際のマイナスはどの程度になりますか。これは下田条約局長にお願いするのは無理だと思いますので、所管が違いますから。曾祢委員の出しておられるこの決議案を本当にいかす意味からいつてもやはりこの担当の、実際この問題を取扱つている自治庁或いは大蔵省等の出席を得たい。私の知つているのでも朝鮮の爆撃のために出る航空機のために、もう騒音のために学校の授業ができなくて最近学校を移転するというような問題で非常に財政負担が増高し、国からは措置がない。例えば黒板の所にそろばんを入れて授業をしていると騒音のために全部ごわさんになつてしまつて授業ができないという所を私実地調査をしたこともあるんですが、一つそういう具体的な問題について是非自治庁、特に自治庁はこの方面には相当タッチされていると思いますが。
  214. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 只今例に挙げられました騒音の問題につきましては、これは法律関係で申しますれば特別損失補償法の対象になる事案でございまして、或る限界以上のものについてはできるだけそういうものにつきまして騒音を防止するような補償方法を講じております。
  215. 中田吉雄

    中田吉雄君 どうもその程度では先に言いましたようにアメリカの駐留軍国連軍との両面の性格を持つている。それから今問題になつています呉市に駐留するイギリス軍隊というようなものが地方財政にどういう影響を及ぼしているか。例えばそれがなければ固定資産税が当然入るものが入らない、或いは駐留軍がおるためにいろいろな犯罪が多くて、普通ならば千五百人に一人ぐらいな警察官でいいのが警察官をたくさんおかねばならん、或いは衛生上の必要のために病気に対する防疫の費用がたくさんいつて地方財政負担を過重するといつたような問題があつて、これは協定の賛否にかかわらず国会としてはできるだけ速かに措置を要する問題だと思うんです。ですからこういう問題をやる際には具体的に、そういうことによる負担駐留の主なところでどうなつているということを一つお示しを願いたい。そういうものはありませんか。
  216. 高良とみ

    高良とみ君 その資料としてはこれは地方から、広島県呉市から出ているのでは、市税基準とする額として五千九百万何がしの平衡交付金に算入されない額という陳情があるわけです。それから財政需要基準とする額としては、国連軍駐留により特に要する財政需要額としては三千六百余万円というものがあつて、合計九千五百万何がしというものが、明らかに市財政のほうから出る。これについて外務省に伺えばなおいいと思うのですが、防衛分担金によつてアメリカ軍のほうは随分多額なものが出しおりますから、米軍のおりますところに対してはやはり米軍の半分、日本側の半分ということによつて随分施設費用が出て行き、道路その他の事業が進みつつあるわけであります。ところが国連軍がおりまする地域に対しましては、これは非常に片手落ちなんです。殊にこういう確立した地位に関する協定のなかつた間というものは、全く何ともいえない奴隷的な状態であつたことは、私ども体験してよく知つているのでありますが、如何なものでしようか。この今度の地位に関する協定の御説明にあります通り、我が国と国連軍との問はそこに統一司令部としての米国政府があるのでありまするから、而して呉地区にも米国軍の使つておりまする建物或いは施設、又軍事用の江田島その他の基地もあるのでありますから、これをもう少し公平にして、これらの財政的な補償に対しては平衡交付金で見るもう一段前に、米統一司令部としての米軍を通して、日本米軍及び国連軍がおるのに対して、公平な措置を、何と申します。か、財政的な基礎づけを作るようにお運びになる考えはないでしようか。これは国際協力局の仕事であろうと思うのでありますけれども外務省としては如何なものでしようか、条約上そういう話はできませんか、下田局長に伺いたい。
  217. 下田武三

    政府委員下田武三君) 条約上から見ますと、やはり在日米軍国連軍駐留目的が違います結果、御指摘の点を同一に取扱うというわけには法律的には参らないと思います。つまり経費の分担からして在日米軍については日本防衛分担金を出すという建前でありますから、従つて国連軍に対してはそういうものは全然出さないという建前でありますから、どうしてもその点はいたしかたないと思うのであります。そこで第十五条によりまして駐留に伴うすべての経費国連軍負担するという、結局そのボーダー・ラインのケースの問題になるわけであります。先ほど来御指摘になりました漁業補償の問題でございますとか、これは国としては、日本側は成るべくそういうものは先方負担してもらいたいというわけでありまして、米軍の場合には外交交渉と無関係防衛分担金から出せるという面があるにかかわらず、国連軍のほうには、一つはやはり対外交渉とも関連して、日本側の出し前をきめなければならないという複雑な関係があります点が一番困難を生ずる点なんでございます。併し外務省特別調達庁大蔵省と協議いたしまして、仰せのように公平な処理をしたいという点はお考えと全く同一でございまして、まだ事務的に算定の手続きその他ございまするが、大体方針はそういうようにいたしたいというのが外務省考えでございます。
  218. 高良とみ

    高良とみ君 そういう御意思を伺えば非常に明るいと思うのでありますが、今までの国連軍駐留を受けておりました地域というものは、広島県全部ですが、各地に分散しておりますけれども、実際その点ではつきりしないのです。その財源措置を、先ほどの曾祢委員がお出しになりました決議にも、或いは申合せ希望条項にあるのでありますが、先ほど大臣の御説明ですと、平和処理費から出すか、予備費から出すか、研究中だというお話があつたのです。そういうお話がさつきあつたようでありますが、道路のことは建設省、それからそういう民間人の或いは自治体の損失に対しては平衡交付金でというお話は余り出なかつたようでありますがどうなんですか。それは処理費でとおつしやつておりましたが。
  219. 下田武三

    政府委員下田武三君) 地方自治体の迷惑に対しては平衡交付金ということはあると思います。それから全般的には、やはり平和回復善後処理費の問題だろうと思います。予備費といわれましたがこれは大蔵省でどうお考えになりますか、予備費はそうやたらに何でも予備費から出せるというものではないというように私ども了解しておりますので、やはり建前平和回復善後処理費から出すべきものじやないかと思います。
  220. 高良とみ

    高良とみ君 そうすると、平衡交付金についての先ほどの次長の御説明ですか、あつたのでありますが、どういうふうに考えておられるでしようか。呉市或いはその他国連軍駐留地に対する平衡交付金にこれを十分に見積つておるというように考えておられるのですが、先ほど統計等もお持ちでなかつたようでありますが、地元としては非常に苦しんでおるわけです。今後道路或いは農業土木費、港湾の修理費、或いはその他水産の損害費その他に対して御考慮に入れて頂けるお見込でしようか。平衡交付金に入れて頂けるお見込でしようか。
  221. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 只今質問のありました中で、漁船の操業船等に関しまする補償につきましては、これは只今他の委員会に提案になつております、その法律が適用されるようになりますれば補償されると思います。一般平衡交付金、たしかに自治体等が費用を要しまする点は私どもよくわかりまするけれども、その点につきましては、私ども所管外で私から御返事は申しかねるのであります。
  222. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつとその点ですがね、実際の例で申上げますと、私鳥取県ですがアメリカの軍隊駐留している。それから呉地区の何としてイギリス軍隊もおつたのです。そうしてその財政的な措置がまあ非常に差があるようですから、アメリカ軍隊でない国連軍のおるところは地元としては非常に負担が多いのです。そうして又英豪軍は撤退しましたが、そのときには私もそこを大学にするので関係したのですが、もうドアの金具から何から撤退するときに全部もう持つて、これはイギリス軍の名誉のために言いたくないんですが、実際全部金具を外して持つて帰るくらいです。それは大変な地方財政に対する負担というものは差があるんです。実際これは私は地方公共団体の議会に関係していまして実際関係したのですが、その点は一つ自治庁がおいでになつたときに質問しますが、よほど今後の措置として御考慮願つておきたい。
  223. 高良とみ

    高良とみ君 調達庁がおいでになるので伺いますが、市の施設を随分民間団体や或いはNBCの外国の会社などに貸付けておられる、これらのものが皆国庫に入るんですが、ざつと計算いたしまして一億三千九百万余りの金になりますが、こういう収入が一面あり、そうしてそれが国有財産であるが故に固定資産税等が入らないというような矛盾した面を市側としては感じているわけで、これが駐留軍に使われたならば、もともと市に所属するものでありますので、そこには農地どもあるんです。非常に広い水田などがあつたところが埋立てられて、ただ兵舎のグランドになつているようなところがあるんですが、こういう一方に収入がある、これを今度民間のほうに、本当を言えば、平衡交付金で下つて行けばいいんですが、そういうような考え方を持つておられるか。或いは特別調達庁でこういうものの貸賃を取つておられる、それらの行方はどういうふうになつていますか、誠に素朴な質問をいたしますがこれは国庫の財源にそのまま入つてしまうのか、それに間違いありませんか。
  224. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 国有財産の貸付は、実は大蔵省でやつておりますので、私のほうではございませんが、これはそのまま国庫に入ると思います。
  225. 杉原荒太

    杉原荒太君 今政府が出しているこの法案を見ると、特別補償の対象になる損失はどういうものかというと、これは非常に制限してあつて、安保条約が効力を発生した後に起つた損失に限定してあるのですがね。そして併し実際には損失そのものは国連軍駐留したときから発生し得べきものなんですね。その間随分とこれは五十年から五十二年までの期間があるわけなんです。その間の損失を見ないことになつているのはどういう理由ですか。
  226. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 御趣旨は特別損失補償法は、平和発効以後の事案につきまして処理するという建前になつております。その以前の占領期間中の種々の事案につきましては、全部とは勿論申上げませんけれども補償を要すべき事案につきましては見舞金等を出しまして処理したものが数多くございます。
  227. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうするとつまりそういうものが、実際上解決してしまつておるからという理由ですか、そこの理由はどうなんですか。それで私の聞いているのは言うまでもなく、これはアメリカ軍に関係することじやない。いわゆる国連軍関係することですよ。はつきりした理由を伺いたい。あなたはこれを立案したのでしよう。立法理由をもつと明確に説明できんというのはどういうことですか。
  228. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 漁船の操業につきましても……。
  229. 杉原荒太

    杉原荒太君 それを聞いているのではない。それはあとで聞きます。
  230. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 占領後の措置について処理しようという建前でございまして、占領期間中につきましては、私はおおむね著しい事案につきましては今まで措置がされておると考えております。
  231. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の聞いているのをはつきり答弁して下さい。つまり占領期間中は、そういう損失補償すべきものがあるならば、これは日本側で負担するのであつて、向う側に負担させんという理由からこういうふうに切つたのか、そうじやなくして実際上その前のは、もう補償措置ができているからここで切つたのか、どつちなのか。
  232. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 今の御質問の、なお或いは御趣旨に副わないかも知れませんけれども措置考え方が米駐留軍の場合と同様な措置をするという建前でございまして従つて米駐留軍に対しましては講和発効後の特損に対して補償する、国連軍に対しましても同様の考え方で補償する、こういうふうに考えております。
  233. 杉原荒太

    杉原荒太君 それでは別の問題ですが、この法案によると、いわゆる漁業補償に関するものについては、この協定の効力発生したとき、現に使用している水面だけに限定してあるのです。僕は実際問題よく知らんけれども、具体的の場合としてこの協定が効力を発生したときは使用していないけれども、その前は使用していたものが若しありとすれば、この協定では見ていない、これは一体どうするのですか。若しそれが実際それがないから必要がないというのでやつていないのか、あるとすればその問題どう処理するのですか。
  234. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) 若しそういう事案がございますれば法律建前は確かにそういうものを含んでおりませんが、講和発効後のそういう事案に対しましては、予算措置を以て見舞金を出したいと考えております。
  235. 杉原荒太

    杉原荒太君 それはおかしな話だね。法律を今つくるとき、そういうものをここに見てやるというのなら、そういうものがここに入るように書いておかなければならん、おかしいじやないか。
  236. 堀井啓治

    政府委員堀井啓治君) その点につきましては、確かに私ども政府部内におきましても議論になつたところでありますが。
  237. 杉原荒太

    杉原荒太君 その理由を、はつきりした理由を一つ。それは見ないのならそれは一体どうするのですか、なぜか。もう一つ前の問題もそうですよ。現に使用している施設、これだけに限定してあるのだな、その前に使用しておつたけれども、今は使用していないのならそれは見てない、どうしてそうしたのか。
  238. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) いろいろ喰い違いまして申訳ありませんが、この法案で効力発生の日以後のことははつきり書いてありますがそれ以前のことは書いてありませんので、講和条約発効後から協定効力発生までの聞はどうするのかという御不審だろうと思います。
  239. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の質問した通りのことで明瞭じやないですか。これでわからんかつたらどうかしている。
  240. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) その間規定しておりませんけれども予算措置で公平な見舞金を支給するという予定でおります。何故、特損法の場合と違いまして遡及効を見なかつたのかということですが、原則として法律の遡及効は見たくないということと、もう一つは呉地区につきましては駐留軍も水面を利用いたしております。過去においてこれについても特に法律上の手続をとらないでやつておりますので、それに対しましてもやはり損害を調べまして、見舞金で支給するという予定になつております。それとの均衡もありまして、その分だけは法律にはつきり書かないで遡及効を認めないで予算措置処理するという予定でございます。
  241. 中田吉雄

    中田吉雄君 国連軍駐留による地方財政負担の問題ですが、この五月十三日附の大蔵省脚の何で、国有財産で旧海軍工廠の跡ナシヨナル・バルク・キヤリア・コーポレーシヨン、播磨造船、尼ヶ崎製鉄などその他がずつと使つているんですが、これですと固定資産の使用者税というものが市に入るわけです。ところが国連軍のほうになるとそれが入らん。併し呉の市役所としてはその地区の秩序を保つための消防その他で、その建物があることによつていろいろな負担がいるんです。ですからどうしてもそういう措置がなされんと、こういこ、建物がありますれば呉の消防の費用というものは前より遥かに多いんです。ですからそういう固定資産の使用者税というようなものが入らんのですが、そういうことによつて、これから換算すると幾らぐらい財政上の負担が増高するようになりますか。その点はわかりませんか。
  242. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 予算関係を主管いたしておりますけれども、今の公共団体に対する間接のいろいろ損害の起る事項につきましては、自治庁が所管になつておりますから責任あるお答えはできませんですが、明らかにこの税金が減るとか当然入るべきものが入らんとか、或いはもつと積極的に市に対する損害であるというような場合に、極力平衡交付金で見るという話合になつております。
  243. 曾禰益

    曾祢益君 ちよつと議事進行について申上げたいのですが、同僚委員の御質問政府として答える態勢になつていないんです。これはどうしても大蔵省の主計局、それから国有財産の管財局ですか、それから今日来ておられませんですけれども、やはり外務省国際協力局、地方自治庁、こういう人に一遍来てもらつてやらないと、これはただ時間をかけるだけで進みませんから、今日はこの程度にして、至急理事会でも開いて頂いて、或いはここの委」員会できめて頂いても結構ですが。次の機会に全部首を揃えてもらつて、そこでどんどん進めるようにして頂きたい。こういう長いのはいやです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  244. 高良とみ

    高良とみ君 そのときに是非一つ農地関係の人に来てもらいたい、田畑のほうの関係から。それで一つできれば特調のかたにお伺いしたいのですが、市の施設ですね、病院とか、学校とか、これは講和発効前なんですけれども、呉市の駐留軍が犯罪隠匿の目的を以て入替りのときに随分火をかけて焼いて行つた、そういうものに対しては地方自治体に対して見舞金を出されましたか。
  245. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) そういう市の施設等を駐留軍が使つてつて駐留軍の行為によつて被害が起つた、或いは焼いたというような場合には、これは当然公共団体でありましても調達庁のほうから不動産に対する被害の損害賠償をするわけであります。
  246. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは今曾祢委員から議事進行についての御意見がございました。そうして皆さんそれに御賛成の模様でありましたので、明朝午前十時からこの委員会を再開して、今御指摘になりました政府委員の諸君に来てもらいまして、そうして一括質問を進める、こういうことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 中田吉雄

    中田吉雄君 その際資料として、国連軍のおること」よるところの犯罪、それが又治安の費用、警察に対する人員等、これは相当大きいのです、非常に大きいのです。その点を一つ資料として、これは自治庁か何かに出て頂けば平衡交付金の計算単位に入つているからわかると思いますからお願いいたします。
  248. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) わかりました。それでは本日Hはこれで散会いたします。    午後四時四十三分散会