○
佐多忠隆君 どうも私たちが今まで聞いていたのでは、武力の行使、
従つて戦争は自衛権によるものといえども放棄しているのだというふうに
政府は主張してお
つたのです、例えばこの憲法ができるときの第九十回帝国議会ですか、憲法制定議会、そのときに吉田
総理は、原夫次郎氏、これに対する答弁で、こういうことを言
つております。「
戦争放棄に関する本案の
規定は、直接には自衛権を否定しておりませぬが、第九条第二項において、いつさいの軍備と国の交戦権を認めない結果自衛権の発動としての
戦争も、また交戦権も放棄したのであります。従来、近年の
戦争は多くは自衛権の名において戦われたのであります。満洲事変然り、太平洋
戦争また然りであります。……故に、我が国においては、いかなる名義をも
つてしても、交戦権はまず第一みずから進んで放棄する、放棄することによ
つて、全
世界の平和の確立の基礎を成す、全
世界の平和愛好国の先頭に立
つて、
世界の平和確立に貢献する意思をまずこの憲法において表明したいとおもうのであります」ということを言
つております。
更に野坂參三氏の
質問に対しても、もつとその点をはつきり言
つておられると思うのですが、「
戦争放棄に関する憲法草案の条項におきまして、国家正当防衛権による職印は正当なりとせらるるようでありますが、私はかくのごときことを認むることが有再であるとおもうのであります。近年の
戦争は、多くは国家防衛権の名において行われたることは、顕著なる事実であります。故に正当防衛権を認むることがたまたま
戦争を誘発するゆえんであるとおもうのであります。……正当防衛による
戦争がもしありとするならば、その前提においてに
侵略を目的とした国家があることを前提としなければならぬのであります。故に、正当防衛、国家の防衛権による
戦争を認むるということは、たまたま
戦争を誘発する有害な考えであるのみならず、若し平和団体、国際団体が樹立された場合におきましては、正当防衛権を認むるということそれ自身が有害であるとおもうのであります」こういうふうに言
つて自衛権そのものを放棄する或いは否定するような言葉すらあ
つたのでありますが、それはまあそうでなさそうにあとから改変されて行きますからいいですが、とにかく自衛権によるものであろうとも、武力の行使或いは
戦争は完全に放棄してるんだというのが憲法の
規定じやないかと思うのですがその点はどうなんですか。