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羽生三七君 この
MSA協定がまだ本当にきまつたわけではないのでそれが明確にな
つてから又改めてお尋ねしたい意いますが、併しまあいろいろな
只今の
説明や或いは
新聞等を通じて或る
程度のことはわか
つておりまするので、それに基いて二三の疑点を今日は大まかな線でお尋ねしてみたいと思います。
その第一はこの
MSA援助の性格について
政府が御
説明なさ
つておりますが、その御
説明によると今度の
協定による
米側の
援助は、いわゆる
完成装備の
供与を主としたもので、
装備の
供与等は
我が国の国費の節約となることは勿論である。又他に一方
MSAの
関係から
域外買付の増加等でも附随的に経済的にも効力を来たらす、こういうふうに
MSAの性格を
規定しておるわけです。
そこで
政府がこの自衛力の漸増という
立場に立つ限りにおいては、
完成装備の
供与を受けるということは、
一つのまあ好ましい
条件になるのでしようが、まあ伝えられるところによると僅か一億とか一億二三千万ドル
程度と言われておる
域外買付も、恐らくこの数千万ドルから多くても一億ドル
程度と言われておるわけです。そうすると私はこの
政府の
MSAによる
日本についてのごの拘束力というものは、日米
安全保障条約に
規定されたこと以外にはないのだという
立場に立
つておるようですがね。どうも私はそごが腑に落ちないんで、この
MSAの
援助については、五百十一条の(a)項の六
条件ならば相当
意味があると思う。まあ
政府に言わせれば世界
各国皆それを受けておるというように言われておりますが、それはとにかくとしてまあそういう
意味から
政府は差支えないんだと言われておりますが、僅か、僅かということはまあ
日本の現在の経済カから言いますると非常に語弊を生みまするので、これはまあものの見方として判断を願いたいんですが、一億ドル内外の
完成装備で、それから
域外買付にも期待したほどのものではない。それから
小麦の円払の問題にしても、まあいろいろそれならむしろ
域外買付にそれだけ減らされるのではないかという説もあ
つて、それやこれや
考えるとそれだけの
政府が何といいますか
MSAの
援助に恐しい期待をかけるほどのことはないのだという気がするのですね。若し額面
通りに受取るんならば。額面
通りならばとにかく一億や二億の金は
我が国の現状では重大といえば重大ですが、むしろ
日本の
政府が本格的に自立経済の達成をお
考えになるならば、そういう
援助をもらわなくてもほかにもつと何か方法があると思う。私はそう思
つておる。
そうするとこの先ほど申上げました五品ド一条の(a)項の六
条件というものが非常に問題にな
つて来る。つまり経済的に言うならばそう大したプラスにならない。そうすると五百十一条の(a)項の六
条件というものを見て行くと、それは日米
安全保障条約に定められた義務の履行でよろしいのだ、こういうふうにな
つておる。そうすると全体としては
MSAの相互
安全保障というものはそんなに生まぬるい大して
意味のないものかどうか、ということに私は非常に疑点を持つわけであります。むしろこの五百十一条の
規定は今現在は格別のことはないようでありますが、併し問題によ
つては客観情勢の変化によ
つては非常な重大な
意味をも
つて来る。そういう
意味で
MSAというものが
日本というものの将来に非常に大きな拘束力を持つと私は
考えておるわけであります。そういう
意味でお尋ねしたいことは、この
安全保障条約にきめられておる軍事的義務の履行で足りるとこういうふうに言われておりますが、それを正確に言うと、
安全保障条約にある義務
規定というものは、例えば米駐留軍の駐留を期待したり、或いはそれに基地を提供したり或いはそれに兵舎を提供したり、そういう便宜の
供与、一方においては
我が国の経済の許す
範囲内の自衛力の
増強、こういうことだと思うのです。結局それだけのことなんでありましようか。それ以外にはもう何も
MSAというものは拘束力は何もない。つまり日米
安全保障条約にきめられており、それから
政府が解釈しておるような義務履行だけで足りるとこういう性格のものであると解釈してよろしいでありましようか。