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曾祢益君
只今同僚羽生委員も言われましたが、確かに十九
国会が終
つてから今日までの間に世界の情勢にいろいろの変化があ
つたと思うわけであります。そこで、まあその情勢の変化をどういうふうに見るかについては、これは人によ
つていろいろ変りがあると思いますが、私の見るところによれば、少くともインドシナ戦争という局地戦争がなくな
つて、世界中どこでも局地戦争はや
つておらない。
従つて、何と言
つても世界の危機がやや遠のいた感があることが第一点だろうと思うのであります。併し、だからとい
つて、世界がいきなり百八十度理想の平和に突入したものではないことは、これは常識の示すところであろうと思います。
従つて私はこれを冷たい平和と、こう言
つているのですが、併しその中にもおのずとインドシナ停戦ができたというところに、自由国家群の中にもアメリカの性急な
外交戦略方式は行き詰
つておる。同時に共産陣営のいわゆる武力を背景とした、その援助によるところの膨脹政策にも
一つの行き詰りが来ておる。こういう点。殊にアメリカとイギリスとの
関係、マンデスフランスのいわゆる自主の
外交、これらの点を
考えてみると、やはり自由陣営の中にある日本としても、今までみたいなアメリカ一辺倒と呼ばれるような姿を根本的に直して行かなければならないという要素が出て来る。私はまあかように
考える。更にアジアの独立国或いは独立を要望する世界の国々の声というものに対しては、いわゆる植民地を圧迫しながら共産陣営と対抗して行くという方式は駄目だ。アジアの独立国の声は大きく聞かれなければならないという
一つの現われがある。更に今
一つの問題は、何と言
つても中共というものの国際的地位が強化されておる。これを我々が現実の姿を率直に捉えて、そうして冷たい平和、即ち
チャーチルの言葉を以てすれば、まだ十分に警戒しながらの共存であるかも知れない。そういう制限付きのいわゆる平和共存といいますか、この問題に十分な
考えを置いて日本の
外交方針をきめなければならないじやないか。まあ非常に私独断的で恐縮ですが、そうい
つたようないろいろな大きな要素があるとするならば、今までの
政府の
外交はとかくその都度
外交である。とかく秘密である。とかく向米一辺倒である。こういう点から今や自由党内部に
おいても
外交の検討が行われていると私
どもは聞くのであります。
従つてこれらの新らしい情勢に応じて、以下いろいろな点について、時間のある限り、御
質問を申上げたいのですが、最初に伺いたい点は、新らしい情勢に応じてやはり正確な情勢分析をする。そうして日本の
外交の
一つの路線、基本的方向というものを立てて、それを目標に立ててその上に、
外交は勿論相手方があるのですから、目標
通りに行かないことは幾らもある。そういう意味に
おいては、その都度という言葉は非常に悪意に満ちた言葉であ
つて、岡崎外務
大臣としてはケース・バイ・ケースという言葉を使われたの、たと思います。やはり時宜に適した弾力性ある
外交をやる。非常に講義がましくて恐縮でありますが、我々はそう思うので、
従つて岡崎外務
大臣がこの際如何なる
外交の基本方針を立てられるか。或いは立てられんとしつつあるか。全然そういう必要はないと、今まで
通りにケース・バイ・ケースでや
つて行かれるのかという基本的なお
考えをお漏らし願いたいと存ずるのであります。