○堀
眞琴君 五千万ドルの小麦を
日本に供給するのだ、而もドルを節約して円で買い得るのだから、これ以上
日本にと
つて有利なことはない。若し円で買えるような小麦を供給する国があ
つたら示してくれというお話でありますが、例えば中国でありますね。これはバーター制で以て貿易を促進するならば、私はドルを使わんでもこういう問題は解決できるのじやないかと思いますか、併しそういうような問題はここで私は余り議題にしたくない。それから無防備で平和が確保できるならもうそれに越したことはない。併しそういうことは現実の問題として不可能だ。あなたのお話によるというと、
防衛力というものを
増強することによ
つて日本の平和が保たれる。そういう観点の上からこの
MSA協定を結んだのであり、又
防衛力の
増強ということも
従つて行われるのだ。こういうお話でありますが、私が言うのは防衛と言いますか、自衛と言いますか、こういうことは軍隊によ
つてのみこれをしなくても可能だということは、昨日も、一昨日も
憲法論に関連してここで議論された。政府の当局においては、これは防衛というのはそれに見合うところの実質的な力の裏付が必要だという観点に立
つている。私どもは勿論自衛のための武力的な裏付も
一つの防衛する手段としては
考えられると思います。併し防衛の手段というのは必ずしもそれのみに限るのじやないということは繰返し私どもも述べているわけであります。そういう点については両方とも完全に並行線の形にな
つておりまして、幾らこれ以上政府当局にお尋ねしても私は結局同等を得ることが困難だと思います。それはそれとしまして、要するに
アメリカの今日までと
つているところの政策というものが力による政策であるということは間違いないと思う。西の方面においても同様であるし、東の方面においても同様ではないかという工合に
考えられるのであります。ところが力による政策というものが、最近国防政局の面においてかなり行詰りを来たしているということも
岡崎外相十分御
承知のことだと思うのであります。こういうような力の政策によ
つて果して平和が確保できるだろうかということが私どもの
考えるところです。尤も
吉田首相も国際緊張は緩和されたということを述べておられる、で、国際緊張が緩和されたということは、つまり力による政策というものから一歩退却したということを私は意味するのじやないか。力によ
つて国際緊張の緩和がもたらされたのではなくて、むしろあべこべに、平和的な或いは外交的な折衝によ
つてそういう問題が解決されつつあるんだと思うのであります。そういう意味ではジユネーヴの今度の会議というのは非常に大きな意味を持
つていると思うのですが、そういうその国際政局の中にあ
つて、
アメリカの力の政策の片棒を担いで
日本が
MSA協定を結び、そうして
日本の
防衛力を
増強するというようなことは、むしろこの最近の国際政局の動向と照し合せて逆の方向をと
つているのじやないか、こういう工合に
考えるのでありますが、その点についての外相の御見解をお伺いしたいと思います。