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説明員(
唐沢勲君) この
インターンの
学生に対する
定期乗車券を発売するという問題は、この
制度ができましたときから問題に
なつてお
つたものでありますが、実は
昭和二十三年の三月までに
医学校を
卒業した者は、
卒業と同時に医師としての
資格が得られたものでございますが、
昭和二十四年の三月の
卒業生からは、
国民医療法の改正によりまして、
卒業後一カ年
間厚生省医務局長の指定する
病院において、
実地修練、いわゆる
インターンを行
なつた上で、
国家試験に合格しなければ、その
資格を得ることができないということにな
つたのでありまして、そこで当時
厚生省のほうから、この
インターン生について、
学生と同じような
運賃上の
取扱をして欲しいという
お話があ
つたことはございます。併し
インターン生は、
学生としての身分を持
つていないばかりでなく、又その
インターンは
学校長の
指導監督の下に行われる教育ではないという
考えからいたしまして、
学生と同様な
取扱はできないと私
どもは
考えておるのでございます。ただ実質的には、
学生と同じような
状態に一カ年置かれるという
状態にな
つたのでありまして、特に
国民医療法の施行前に
医学校に入学した者、いわゆる
インターン制度を予期していなか
つた者に対しては、特に気の毒ではないかということからいたしまして、便宜的にその人にだけは、
通学定期乗車券を発売するということにしたのでございまして、その
取扱期間を、
昭和二十四年の八月から、
昭和二十七年三月までといたしたのでございます。つまりこの
制度を予期せずに入
つた人から言えば、いわば
学生と大体似たような
状態に置かれる
期間が一年延びたわけでございますので、そういう便宜的な
措置を講じたのでございます。ところがその後この
医学校の中には、
修業年限の長いものがある、或いは
事情によ
つてその
学校に長くおらざるを得なか
つたという者もあるというような
関係からいたしまして、それを一カ年
期間を延ばしまして、二十八年三月まで延期したのでございます。ところがその後又
厚生省のほうから、
インターン生は、従来無給与を
建前としてお
つたのだが、二十九年度以降は、国家的な
補助制度を確立する
考えであるというようなことで、この
補助制度が確立される
昭和二十八年度末までは延期をして欲しいという
お話もございまして、結局そういう便宜な
扱いをすることにつきまして、二十九年の三月まで、今年の三月まで、この
制度を続けて来たのでございますが、そのときの
厚生省との話におきましても、二十九年度以降、二十九年の四月以降は、その
制度は打切るということで御返事申上げてあるような次第でございます。従いまして
厚生省としましては、或いは特別な補助的な
制度が
予算の
関係で或いはどの
程度にできておるか知れませんが、従来のいきさつ、それからこの
学生に対する
運賃制度というものの
性質から見ましても、
学生と同じように、この
インターン生を扱うということは、私
どもとしては困難な
事情にあるわけでございます。
以上のようなことでございまして、
学生と同じように扱うということは、今年の三月三十一日限りで
廃止と
なつたわけでございますが、ただここで
一つ問題となりましたのは、この
インターン生は
病院との間に完全な
雇用契約というものがない。そういう
関係ではないので、
普通定期乗車券しか購入できない、いわゆる
通勤定期の
乗車券も買えないと、こういう
状態に
なつておるので、この点非常に気の毒であるというような問題がございまして、これにつきましては、
通学の
定期乗車券は買えないにしても、せめて
通勤の
定期乗車券は買えるようにしたほうがいいじやないかということでございまして、この点につきましては、今申上げましたような
病院との間に、特に
雇用関係というような
関係があるわけではありませんが、実際一定の
期間毎日そこへ出勤しまして、
事務をとり研究をしたりするというわけでございますので、その点は
通勤の
定期乗車券を買えるということにはしようということでございまして、これをまだ実ははつきりした文書でそういうことを
厚生省のほうに言
つておりませんので、まだ徹底しない点があるかも知れませんが、一、二の
病院ではもうそういう
制度をしているようで、私
どももそれを認めているわけでございますが、これを確立しまして、
通勤の
定期だけは買えるということにするつもりでございます。
そういたしますと、
普通定期でありますと、
割引の率が五〇%から七八%くらいに
なつておりますが、距離その他によりまして違いがありますが、大体そのような
程度の
割引率でありますが、
通勤になりますと、六〇から八六%になりまして
相当率も高率に
なつております。
通学の
定期に比べると
割引率は少いのでありますが、この
程度のところで御辛抱をして頂いたらと、かように
考えておる次第であります。
なお、この
インターンの
制度に似たような
制度が
美容師においてもありますし、或いは又弁護士の
資格を与えるとい
つたようなことにもございますし、似たような問題がございまして、
学生と同じ
性質のものであるということで、同じような
運賃の
割引等についての特別の
扱いをするということはいたしかねる困難な問題であると
考えておる次第でございます。