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1954-03-09 第19回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月九日(火曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            高木 正夫君            大倉 精一君            大和 与一君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省船員局長 武田  元君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○遠洋かつおまぐろ漁業の用に供す  る船舶についての船舶職員法臨時  特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○運輸一般事情に関する調査の件  (運輸行政に関する件)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず、遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法臨時特例に関する法律案議題といたします。  政府委員から本法律案の詳細について御説明を願いたいと思います。
  3. 武田元

    政府委員武田元君) 提案理由につきましては、大臣から御説明申上げましたのでありますが、私から補足的に更にもう少し詳細に御説明を申上げます。  終戦漁業操業区域マツカーサー・ライン区域の狭い枠内にとじ込められておつたわけでありますが、マツカーサー・ラインが撤廃されたのを契機としまして、水産資源拡充策として、関係者におきまして新漁場の開拓に努力をいたしましたところが、従来予想だにしておりませんでした印度洋オーストラリア海域或いはハワイ方面にまで優秀なかつおまぐろ漁場があることが発見をされたのでございます。沿岸漁業終戦後大変行詰つて参つておりましたので、農林省としましても、沿岸漁業沖合漁業、更に沖合漁業遠洋漁業へと転換策を講じて参つてつたのでありますが、この農林省の政策の推進に伴いまして船型の大型化も進んで参りました。従来遠洋かつおまぐろ業というのは、百二、三十トン級が主力でございましたが、二百五十トン級以上五百トン級へと大型船に切換えられて参つたのであります。そうして競つてこの新らしく発見をされました漁場へ出漁するような態勢になつて参つたのでございます。ところが、この船舶職員法昭和二十六年四月の十五日に改正をされまして、同年の十月十五日から施行になつたのでございますが、まあ改正のときは勿論のこと、その審議の過程におきましても、当時はマ・ラインがございましたし、かつおまぐろ漁業としてこういう遠方、これは職員法上の甲区域でございますが、そのほうまで出るということは全然予想をしておらなかつたのでありまして、かつおまぐろ漁船に乗組む船舶職員は、すべて船舶職員法別表に示す乙区域で従業する場合の資格で十分であると考えておつたわけであります。ところがかような新事態が生れまして、勢いこれに乗組む船舶職員資格を、甲区域で従業するものとして現在より一段上の資格者を必要とすることになつたのであります。私どものほうで現在これら漁船かつおまぐろ漁業従業者として乗組んでおります船舶職員資格を調べましたところが、資料にもございますが、一部を除きまして乙区域相当資格しか持つておりませず、これを満たすに足る船舶職員を得ることが急速には困難な状況にございまして、一部では操業難を来たしつつあるような状況になつて参つたのであります。この遠洋かつおまぐろ漁業というのは、我が国漁業では屈指のものでございまして、昭和二十八年の実績を見ますと、年間約五千七百万貫、そのうち三五%が冷凍又は罐詰として輸出されて、その金額は百億円に達しておるような状況であります。こういつたかつおまぐろ漁業の占める地位の重要性考え、又予期しなかつた事態の結果生じた船舶職員不足のため操業も困難であるという状況考えまするとき、円滑に法の定める職員の補充ができるようになるまでの間、又船舶個々の安全からみて、本来の甲区域相当資格を必要とすることは当然でございますが、それまでの間、おおむね現在の乗組んでおる職員で合法的に甲区域操業し得るような暫定措置を講じたいということが、本特例法案提案の趣旨でございます。  御理解を頂くのに都合がいいようにと思つて図面が添付してございますが、関係資料の「まぐろ漁業操業海域」という別表図面でございます。その北緯六十三度、南緯十三度、東経百八十度、東経九十四度の線に囲まれましたこの中の区域職員法にいう乙区域でございます。それからその中に点線で示してありますのがマツカーサー・ラインでございます。今の囲いの外が職員法にいう甲区域でありまして、この中に斜線が引いて線で囲んであります所が新らしく発見をされましたかつおまぐろ漁場でございます。  法案の要綱は、遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する総トン数百五十トン以上千トン未満船舶船舶職員法甲区域、今申しました囲いの外でございますが、甲区域で従業する者は、船舶職員法の規定にかかわらず、二年を限りまして、船舶職員として船舶職員法乙区域で従業する者と、それから甲区域で従業する者との大体中間程度資格を有する者を乗り組ませることを以て足りるものとするという内容でございます。その資格の表は法律案別表にございますが、船舶の欄の総トン数百五十トン以上二百トン未満船舶につきましては、船舶職員として最下欄に掲げまする資格を有する者を乗り組ませるを以て足りる。次に総トン数三百トン未満船舶、次に総トン数五百トン未満船舶、最後に総トン数千トン未満船舶船舶の大きさを四段階に区切つてございますが、それぞれ最下欄資格を有する船舶職員を乗り組ませるを以て足りるというふうな内容を規定してございます。  以上、簡単でございますが、御説明申上げます。
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 御質問のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 岡田信次

    岡田信次君 二年間に特例じやない定例の資格を有する船舶職員の何というか、充当の具体的な計画、それから二年後に大体こういう遠洋漁業船舶がどの程度になるか、従つて何人の人員が要るのか、それに対する養成機関がどうなつているのか、その辺を一つお伺いしたい。
  6. 武田元

    政府委員武田元君) 二年間の充足計画でございますが、現在甲区域出漁可能船舶は二百十隻でございます。そうして現行法によりまして所要の職員は、甲種一等航海士五十四名、甲種二等航海士が二百十四名、甲種一等機関士五十四名、甲種二等機関士二百十四名を必要とすることになつております。これを二年間にどうして充足するかという方法につきまして、水産庁並びにかつおまぐろ漁業経営者団体或いは全日本海員組合意見を徴しまし七研究をいたしたのでございますが、充足方法につきましては、乙種免状受有者につきましは、充足は比較的容易でございますので、甲種免状受有者について、第一には、現在遠洋かつおまぐろ漁船に乗組んでおる船員講習会を開催いたしまして再教育をする。この講習会に対しましては、農林省において来年度千七十九万円の予算を計上しております。再教育者は、現在乗組員のうち、乙種免状受有者甲板部百人、機関部百十人、そのうち八〇%が受講するものとしまして、六〇%は合格するという計算によりまして、二十九年度におきまして甲板部二十四名、機関部二十六名、三十年度において甲板部二十四名、機関部二十七名の充足が可能であると考えております。それから第二といたしましては、水産関係学校卒業者の乗船も配意いたしておるのでございますが、二十九年度におきまして甲板部八十名、機関部十五名、三十年度におきまして甲板部九十名、機関部十五名を予定しております。それから第三に、遠洋かつおまぐろ漁船乗組員以外の船員遠洋かつおまぐろ漁船転船することにつきまして、関係者と協力し、船員職業安定所を通じてこれが獲得に努力する計画で、二十九年度におきまして百名、これは甲板部を除きまして機関部百名、特に不足機関部につきまして百名、三十年度におきまして、同じく機関部百名を計上いたしております。以上の方法によりまして二年間において充足が可能であるという見通しを立てておる次第であります。
  7. 岡田信次

    岡田信次君 今の数字はあれですか、今後二年間に殖える漁船のことも勘定に入つているのですか。今のお話は、大体現在どのくらいあつて、現在それに対する職員が要るんだ、それに対してはこうだというのですけれども、二年間にはさつきのお話のようにこの漁業が盛んになれば当然船も殖えて行く。それに対する船舶職員の数も考えに入つて充足計画ですか。
  8. 武田元

    政府委員武田元君) 新規に殖える船についてどうするかという御質問でございます。只今申上げました二百十隻という数字でございますが、その中で百五十トン以上二百トン未満のものが百五十六隻ございます。それで甲区域に出ますものは、関係方面意見を聞きましたところ、そのうち約半数が実際に出るという見通しだそうでございまして、そういうことを併せ考えますると、現在乗組んでおる者につきましての再教育、或いは水産関係学校卒業者による充足、或いは他の漁船或いは汽船からの転船方法によりまして、新規に殖える船舶に要します職員について併せ考えましても大体充足可能であろうという見通しでございますが、なお予想外に船が殖えます場合には、以上述べましたうち、第三の他の船舶からの転船について更に格別の配意をいたしたいと、かように思つております。
  9. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、要するにこの特例法は二年たつたらもう効力がなくなるというのですが、確実に二年後にはもうできるお見込ですね。
  10. 武田元

    政府委員武田元君) 現在の見通しは確実に充足できると考えておりますのでございますが、万が一今後の実施状況を見まして、新らしい事態が生まれるようであれば、更に検討をしなくちやならんかとは思つております。
  11. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると今のお話では、二年たつて怪しくなつたら又これを一年なり二年延ばすという虞れがなきにしもあらずというふうに伺われるのですが、そうなんですか。
  12. 武田元

    政府委員武田元君) 現在の見通しといたしましては、二年間で大丈夫だと考えておる次第であります。
  13. 村尾重雄

    村尾重雄君 私も、只今あなたの説明伺つただけで詳しいことを知らないのですが、今伺つてつて、これの改正が成立した当時マツカーサー・ラインというものがあつて、予期しなかつた、これが撤廃され、なお漁場が拡大されたので、それに応ずるために臨時特例を出したと、これはまあ結構です。ただ予期しなかつたということで、船員法の全体の問題であろうと思いまするが、漁船関係の点においても一応二年間の猶予をおいて船員の質をよくし、こうした臨時特例法をなお延期しなくてもいいようにするんだとおつしやつておるが、その前の改正当時、この法自身に無理があつたのじやないでしようか。法の改正というようなこともお考えになつておるか、それをちよつとお伺いしたいのですが。
  14. 武田元

    政府委員武田元君) このたびの措置は全く予想しなかつた新らしい事態が発生したためにこういうことになつたのでございますが、只今お話は、現在の職員法改正当時無理があつたのじやなかろうか、行過ぎがあつたのじやなかろうかというお話でありますが、要するに船腹が激減しましたにかかわらず、海難は非常に多く、統計の示すところによりますと、昭和二十一年以来漸次海難が増大して参つておりまして、これは終戦後の特殊事態にもよることと思いますが、特にその海難事故原因を見ますると、船舶職員の質が悪いとか、或いは怠慢であつたことというふうな、船舶職員の質によるものが過半数を占めている。そういうような点もいろいろと検討されまして、職員法改正当時、関係方面権威者を網羅して、この海難事故防止の見地から、船員の質の向上を図るために十分な審議をいたしまして、一般に妥当と認める線をきめて改正をされましたわけであります。必ずしも行過ぎだとも思わないのであります。併し船舶そのものにつきましても、占領下にあつた事情もあり、いろいろ問題となる点もありまして、関係方面からいろいろと意見提出もされておりますので、いずれ近く関係権威者を集めて審議会作つて十分に検討いたしたいと思つておる次第でございます。
  15. 村尾重雄

    村尾重雄君 ちよつと私質問を留保しておきます。
  16. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本件は本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  17. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、運輸一般事情に関する調査中、運輸行政に関する件を議題といたします。  先ず、自動車行政に関して質疑の通告がございますので、順次発言を許したいと思います。
  18. 高木正夫

    高木正夫君 私は自動車道路運送、こういうものにつきまして全面的にいろいろ、又ガソリン問題についていろいろ御質問を申上げたいと思いまして、各省の関係局長さんを呼んで頂くように手配をしておきましたが、本日は差支えがあるそうでお出ましがありませんので、陸上交通に関する根本的の問題について、運輸大臣の御所信を伺いたいと思うわけでございます。  御承知通り運輸交通国民経済上又民生安定上極めて重大であるということは、これは誰しも言うことでありますが、併し政府の従来の施策を見ておりますると、必ずしも動力部面等に対するほどには熱意がないように私は思われるのであります。併しこの際にその点を抽象的な議論をするのではないのでありますが、海運関係航空関係というようなものもありまするが、今日はその問題は別問題にいたしまして、主として陸上交通についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。陸上交通と申しましても、御承知通り鉄道軌道等と、つまり一定の線路を持つて輸送するものと、それから国の大動脈になるような、そういう輸送のものと、それから全国至る所にある交通網と申しますか、いわゆる毛細管的の仕事をしておる、作用をしておるところのものと二つに大別することができると思うのでありまして、そのいずれが国民経済に一番必要であるのか、こういう問題になつて来ると、私はこれは甲、乙がないと、こういうように考えるのであります。それにもかかわらず、従来我が国としましては、鉄道軌道というものは諸外国に比べて遜色のないまでに発達して来た。然るに一方の最も民衆的である道路交通というものが非常に遜色がある。殊に道路至つては、誠に諸外国に比べてお恥しい話である、こういうことになつておると思うのであります。鉄道軌道は非常な長足の進歩をしておる。にもかかわらず、このほうになお重点をおくような傾向がある。この間も本会議で私質問をいたしましたが、建設線のごとき、新線建設のごときは、もうこれは道路に委すべきものじやないかというような考えを持つておりますが、今なお持つておりまするが、今日そうでなくても国有鉄道採算がとれない。独立採算制を強いられながら、採算がとれていないにもかかわらず、更に赤字の出る新線を設けて国有鉄道に負担をかけて行く、そこまで行つておると思うのであります。私は今申上げて外国に比べてお恥かしいから、だからどうすると、こういう議論では決してないのでありまして、その本来の機能から考えまして、鉄道軌道というものは、必ずその両端に小運送というものが付かなければならん。そうでなければ目的は達せられない。一方陸上交通目的地から目的地、これだけでも非常な機能的にも優つておると思うのであります。従つてこの線路に沿うた住民のみならず、自動車道路運送というものによるものは極めて大衆的で、民衆的で民生安定上、又経済の復興上非常にこれは重大な意義を持つものだと思うのであります。  然るに今日まで何故に我が国道路交通というものが発達していないか、こう申しますと、それはまあいろいろな問題もありましようが、私の観測では、大体鉄道というものは一つ企業体である。とにかく今まで官庁がやつておられても収支バランスが合う事業である。ところが道路というものはそういうことがない。およそ企業発達には必ず収支が伴わなければ企業発達しないということは、経済の原則であると思うのですが、道路というものは国が所有し、又地方団体が所有しているという観点から、どうしても発達が遅れているのじやないかということが一つであろうと思うのであります。もう一つは、政治力が非常に乏しい、鉄道なり軌道というものは、大企業であるために相当政治力があるように思う。ところがこの道路運送に従事する人たちは、これは極めて小企業、やや大きくても中企業に属するもので政治力が非常に欠けておる。それが一つの大きな原因じやなかろうかというようにも考えるのであります。なお、従つて又それにもかかわらず、政府のほうで十分認識をして頂けばそういうことはないだろうが、従来の歴代の内閣においてもこの認識が薄い。又立法府でもやはりそうではなかろうかと思うのであります。これは政府ばかりを責めるわけにいかんので、立法に携つておる我々も大いに反省しなければならんのじやなかろうかというようにも考えるのであります。そういうような原因で、今日まで極めて我が国のこの交通状態から見ると、諸外国に比べて跛行的であるということが言えるであろう、極端な跛行であろうと思うのであります。  ところで、従来のことはさておきまして、然らば今日これからどういうようにやつて行くかというまさに私は転換期が来ておるのじやないか。真に国民経済を憂えているならば、このままの交通状態で放つて置いていいものかどうかというまさにその時期が来ておると思うのであります。従つて私の考えといたしましては、鉄道のほうはこれは又予算委員会等においていろいろ質問したいと思いまするが、大体改良に重点を置いてやつて行くということが然るべきであつて、そして収支バランスをよくされて行くという方向に持つて行かなければならんと思いまするが、それよりも更に重大な問題は、道路をよくし、従つて道路交通を活溌にして行くということに交通重点を持つて行くということが、本当に国策の線に沿うたものであろうと私は考えておるのであります。これらの点につきまして、運輸大臣としての御所信を承わりたいと思う次第であります。
  19. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 国内陸上交通で、今までは鉄道軌道重点が置かれておつたようだが、自動車輸送という問題を特に気を付けなくちやならんじやないかという御説は全然同感でございます。先ごろも本会議高木さんの御質問にお答えしたのでございますが、鉄道の問題は今日はお尋ねありませんが、まあ鉄道には鉄道の使命がございまして、今後といえどももうこれでたくさんだという状態には私はないと思うのでございます。予算の許す範囲におきましては、又政府資金の支出を許す範囲におきまして、私は新線もやつて行きたいというふうに思うのでございますが、それはそれといたしまして、国内自動車交通というもの、その前提となりまする道路整備ということは、これはもう最も重要な日本の交通行政の上の残された問題でございまして、お説のように、今までは誠に道路とは名ばかり、近代的の道路というものが非常に僅かしかないというような状態でございました。もうただ車が通ろうとすれば通れるというだけの状態でございまして、こういうことでは本当に国内輸送関係の上においては非常に又不経済でもあり、又そのために十分な輸送力を発揮することができないという状態なのでございますから、私どもは全内閣のこれは声と言つていいと思うのでございますが、道路を完備せよ、道路整備に向つて前進せよということが、昨年現行予算を作るときもその声が上つてガソリン税道路に殆んどまあ目的税的に使うということの話もでき、来年度もその方針でやるわけでございまするが、是非これはどんな方法によりましても、少しずつでも多く道路整備して行く。現に、各地において地方庁が大体主になりました形で政府資金の一部を借りまして、専用道路をこしらえておる所も出て来ておるのは、まあ政府公共事業だけではなかなか追つかない、併し道路はよくしなくちやならないという窮余の一つの策として、そういうのがぼちぼちとられかかつておるということの問題もあるのでございます。更にこの問題は、できれば外資も、そういうふうなことにペイするような道路が、あちらこちらにまだ作らなくちやならんが作られてない所でぺイすると思われる所もあるのでございますが、そういう所には或いは外国の資本も導入できるんじやないかと、まあそういうふうな線において、建設大臣を中心といたしまして、私どもも、同じことに影響するところ非常に大きい行政部面を持つておりますので、私どもも協力いたしまして、是非立派た道を早く全国的に少しずつでもよく延ばして行きたいというふうに努力いたしたい、又努力しつつあるつもりでございます。
  20. 高木正夫

    高木正夫君 只今大臣の御答弁で、大変私も安心をしたのであります。その前半の御意見に対しては、建設線の問題については、やや考えを異にいたしておりまするが、これは今日ここで申上げるのは差控えておきまするが、私の申上げたいと思いまするのは、御同感を頂けましたが、どちらに将来重点を置いてやられるか。鉄道もまだやつて行くんだ、道路もよくして行くんだと、こういうことでありますが、道路はまあ主管大臣運輸大臣と違いますが、道路交通についてまだまだ私は重点を置いてやつて行かなければならんと思うのですが、その点をまだもう少しお聞かせ願つておきたいと思うのであります。
  21. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 現に交通状況と申しまするか、道路状態がよくなりつつある証拠には、まあそれだけではないのでありまするけれども道路がよくなりますると、自然その上に通りまする車というものの量が殖えるわけでございますが、自動車局で扱つておりまする自動車の数にいたしましても、この数年間は非常な増加でございまして、昨年、これは届出を要する二輪車以上の動力を持つておるものでございますが、七十何万、八十万を切つてつたのが、本年はもう百万の声を聞くということぐらいになつておる状態を見ましても、如何にこの道路による交通というものが頻繁に用いられ、それが如何に国民生活に重要な関係を持つかという証拠にもなるわけでございます。道路のよくなつ証拠にもなり、又如何にその重要であるかということの証拠にも、両方なるわけでございます。そういうふうなことを考えましても、どうしてもこの道路というものをよくし、そうしてこの上を走る交通機関が、十分に国民経済的或いは民生の立場から見まして、需要を満たし得るような状態になるように施策をいたしたいと思うのでございます。
  22. 高木正夫

    高木正夫君 只今お話では、自動車の数が殖えて来たということのようでありまして、私のお尋ねしたのと少し御答弁が違うようにも思うのでありますが、私の申すのは、今の自動車の殖えて来たということは、これは社会の要求から殖えて来たのだと思うのであります。政府施策として、自動車に関するいろいろな施策がまだまだ私は足らんと思うのです。例えばガソリンの問題にしましても、或いは自動車に対する税にしましても、政府認識が非常に薄い、その結果がこういうことになつて来ておると思うのであります。そこで最初に申上げたのは、いずれに重点を置いてやられるか。一方は大人になつて、一方はまだ子供だ、そうすればその子供のほうにもつと力を入れて頂かなければならんのじやないかというのが私の本筋の質問であります。今の大臣の御答弁は少し違つておると思うのでございますが……。
  23. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お尋ねの筋は、もう少し陸上交通を、特に道路による交通を盛にして行くために車両に関する、平たく申しますれば、自動車に対する政府の援助、又その自動車交通の促進に向うような施策をもつと政府がやるべきじやないかというお尋ねでありますが、私ども考えは、今申しましたように、自動車交通というものが陸上交通の上に非常に大きな部面をだんだん日本においても占めて来るようになるということは、はつきりした事実として私ども認識をいたしております。これをそれじや国民の需要が盛んであるのを抑制するような形になるような、税の上だとか、その他の取扱の上において政府の取扱の上において抑えるような形に見えるものがあるのじやないかということが、次の御心配だと思うのでありますが、私どもがこれを盛んにしても、問題といたしましてお話ちよつと出ましたが、ガソリン税の問題にいたしましても、これは日本が道路をどんどんよくして行かなければ、その上を通ります自動車の安全、又その耐久力、速度等に大きな影響があるものでありますから、立派な道路をこしらえなくちやならない。そうするにはさつき申しましたように、政府の財政、即ち公共事業費だけでは到底間尺に合わない。どうしてもこれは先進国なんかでやつておりますように、道路の補修のためにガソリン税をそのほうに、殆ど目的税的に使つて、そして少しでも早くよくするということのためには、これはみんなが、車を使う人たちが一緒にこれに協力する心持になつて行くという意味において、そうすることが、ガソリン税そのものよりは遥かに私は利益になると思うのであります。道がよくなつて輸送力が多くなつて、早くなつて耐久力がよくなるならば、それがガソリン税と比較しまして必ずいいという状態が私は来得るものだと思うのでございますから、これは一つ御辛抱願わなければならんと思うのでございます。そのほかの扱い方、例えば自動車税というのが、更に今度地方税なんかで大幅に上げるということ等が一つの大きな問題なんでございまするが、これは私どもも成るべくこの税金の少いことを期していろいろ折衝をいたしておりまするが、担税力があるということも一つの理由でありましようが、その他或るものによつては非常にほかよりも割高につけられるものは、或る意味の普通生活から見れば、少しく贅沢という言葉が当てはまるかわかりませんが、要するに担税力ありというものになりまするか、余計かかる状態に陥つているということは御承知通りであります。これは税金といたしまして、どんないい税金でも急激に増すことは、そのことそのものが悪税だと私は考えるのでありまして、その意味から言いまして、自動車税が又上るというのはどうにも了承できないというので、折角折衝いたしましたが、原案より一部分の値下りだけで増税ということになつたのは、甚だ遺憾でございますが、これらの問題がいろいろあることはありまするが、これが私は自動車交通陸上交通に対しまして大きな障害になり、これがあつたらばどうしても陸上交通は発展しない。又発展させなければならんと口で言いながら、阻害しているじやないかということは、どうかと言いますと、そこまでは行つてないのじやないか。ここまで大体負担してもらつてもいいのじやないかというふうに、これは皆さんの見方でございますが、私ども結局そういう点で折れたわけでございます。こういうふうにいたしまして自動車交通というものは現在あるわけでございますが、これから先どうなるか、外国から入れたいというのであるが、為替問題その他によつてなかなかこれも問題になつている状態でございまするが、私どもは日本の陸上交通の重大性はさつき申しました通り、これに伴いまして自動車交通発達ということそのものには、何らの異論もないばかりでなく、そうであるべきだと思うのでございます。どういう自動車がどういうふうに走つて行くかということ等につきまして、今のようないろいろ負担をかけて相済まんわけでありまするが、日本の国の財政その他の情勢からいたしますと、止むを得ずこれらの負担はしてもらつて、そうしてその中で一つ自動車交通ができるだけ伸びて行くということを念願しておるわけでございます。
  24. 高木正夫

    高木正夫君 いろいろ御説明を頂きまして誠に有難うございましたが、先ずこれらの問題については、先般本会議でも私指摘をいたしまして、主管大臣から御答弁を頂きましたが、甚だ不満に思うものであります。今のガソリン税目的税のような趣旨に持つてつておるということだけの説明でありましたが、今日その程度の御認識であると、誠に私は心細いような気がするのです。今のような二百億や二百五十億くらいのことでは、それこそあの当時も申上げましたが、建設省の案として持つている理想的なものを実現するのには百四十年ばかりかかる。そのくらいのようなことでは、本当に認識が足らんじやないかと思うわけであります。こんなことで満足しておつたら、本当に我が国としては国民経済に消極的な抑圧を加えていると同じやないかということが考えられるわけで、この際に抜本的に、例えばMSAを何とか利用するとか、それができなければ、御承知通り外資を導入するとか、或いは又最近問題になつておりまする道路公債を発行して、失業対策と同時に国内の金を吸収して、そうして低物価政策に持つて行くというような根本的の考えからいたしましても、この際公債なんかも発行するということは一つ考えて頂いたらいいのじやないか、こういうようにも考えておるわけでありますが、これらの問題はこの運輸委員会で論議すべき問題じやないと思いますので、この程度にいたしておきます。  税金の問題につきましては、これは大分細かく御質問申上げたいと思いますが、これは大分細かく御質問申上げたのでございますが、これはまあ大臣に直接御答弁頂く問題でもないかと思いますので、大蔵省又通産省、経審関係の方に一度来て頂きまして、いろいろお尋ねをしたいと思つておるけわでございますが、何と申しましても、話は又元へ戻りまするが、運輸省と建設省で研究された結果を見ましても、同じ道を旧道路つまり砂利のある道を走るのと、それからぺーヴしたところの道を走るのと、建設省では八〇%違つておる。つまりタイヤ、チユーヴから修繕費から燃料の消費から考えまして、運輸省の御調査によると五〇%違う。そうするとそれは年間に見積つてみますと、数百億と言いたいが、数千億になるのじやないか、これはまだ計算をいたしておりません。それだけ重大な意味を持つものだと私は思うのであります。この際に電源開発があのように行詰まつてから漸くやつたようなことをしないで、今から十分に一つ御研究願つて、抜本的な内閣の方針として一つお立て願うのがいいんじやないか。これは閣僚のお一人として運輸大臣の御奮闘を切にお願い申上げたいと思うのであります。  道路の問題は先ずそのくらいにしておきまして、又大分細かいことをお聞きしたいのですが、大臣も時間どうかと思いますので、まだ他にも質問あるようでありますから、次の問題に移りたいと思うのでありますが、次は、この道路の上を走つておる道具、主として自動車について申上げたいと思うのでありますが、その前に、先ずこの自動車が贅沢であるかどうかという根本観念を確めてみたいと思うのであります。私の見るところでは、運輸省はそうでは決してないと思いまするが、大蔵省なり経審庁或いは日銀の幹部あたりには、ややもするとこれは贅沢視する傾向があるように思うのであります。過日の、明日も閣僚審議会があるそうですが、輸入の関係の、為替関係につきましても、自動車はテレビ、その他と同じように不急不要なる品物だというようなことが新聞に出ておりました。この点はよほどはつきりと確めておかんと、こういう観念からいろいろな政策が出て来ると私は思うのであります。先ず御所管の運輸大臣は、自動車をそういう点から考えてどういうようにお考えになつておるか。最高級車というものは、これは贅沢であるかも知れませんが、普通大衆車である車が贅沢品であるかないか、一つはつきりお答えを願つておきたいと思うのであります。
  25. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今お話範囲におきましての自動車は、私は贅沢品とは思つておりません。
  26. 高木正夫

    高木正夫君 誠に意を強うする御答弁を頂きまして安心をいたしたのでありますが、どうぞその思想を関係の所管庁に十分に御普及を願いたいと思うのでございます。特にその点でもう一度お尋ねしておきますが、この贅沢品でないという御思想なら、これに必要な品であるという観点から立ちまして、税金といたしましても、これは物品税のごとき、今度改正になりました物品税のごときも、その前にお尋ねいたしておきますが、国産車は贅沢でない、外国車は贅沢であるという考えをお持ちであるかどうかという点も一つ確めておきたいと思います。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 国産車、今出ている程度のものは、私今寡聞でありますが、間違いかも知れませんが、今こしらえている程度のものは、国産車は贅沢品という部類に入るものではないように思いますが、外国品なるが故に贅沢品とは勿論思つておりません。外国品の中の非常に実用車というものが大部分を占めておるのでございまして、私どもが本年いろいろの輸入自動車の大きさ、力等で制限をいたしましたが、これは私どもが今入れることに、今までやつて来、これからも主張しようと思つている自動車の種類は、いわゆる大衆車と申しますか、贅沢車と思つておりません。
  28. 高木正夫

    高木正夫君 それでは更にお尋ねしたいと思いまするが、ガソリンの問題でありますが、今日の新聞を見ますると、明日閣僚審議会にかかるという話ですが、外貨の確保のために二割とか三割とかガソリンの輸入を抑えるということになつておるようでありますが、私は、石油類のごときはこれは本当に国の生産の手段である、外貨が今減つて来たから、すぐに使わんで置いておくのだというような近視眼的な措置は甚だ面白くないと思うのであります。輸入にしましても、生産を増強する、いわゆる低物価に寄与するものは入れるべきではないかと、こういうふうに考えるのでありますが、大臣はどういうふうにその点をお考えになりますか。
  29. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは私どもまだガソリンを半減するとか何とかいう案も聞いておりません。これはただどつかのまだ噂の程度ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、ガソリンを制限することは日本の生産を制限するようなものではないかというようなお話でございますが、これは全般の経済の動きと申しまするか、貿易の全般を睨み合せて見なければならんという点もあるのでございまして、或いはこういうものは是非もつと入れたい、そのほうが遥かに有利だというようなものも、例えば外貨の関係その他において制限しなくちやならんものも或いはこれからも出て来るだろうと思いますが、だから一概に有利だから、有益だから無制限に入れろということだけでも言えないものもあると思うのであります。ガソリンに関する限りにおきましては、まだ今あなたの御心配のような数字の話は私どもは聞いてもおりませんし、事務当局にも何もまだその話はないそうでありますが、頭に入れておいて、よく事情を聞きながら進んで行きたいと思います。
  30. 高木正夫

    高木正夫君 私の申上げるのは、つまり緊縮予算で、又而も外貨が減つて来ておる、だからこれを減すということは一応尤もな点があると思うのであります。併し政府としては、結局こういう状態になつて来たのは、国民経済が貧弱になつて来た。言い換えると、最も大事なことは、これから輸出も振興して行かなくちやならんので、どうしても低物価政策によつて行かなければならん。低物価ということを根本的に持つて行くなら、物をたくさん作る。金融や財政の引締めだけではいかんのではないか。半面において、物資を多くする、生産を多くする、国内消費を節約してでも物資を多くするという、その政策を根本的に持つて行かん限りにおいては、いつまでたつても貿易の収支バランスとれるはずがないと思う。そこの根本観念を十分に研究せなければならんではないかと思うわけなんです。従つて、石油だとか、機械類だとか、又自動車とか、そういう生産資材になるようなものはどんどん入れて生産を増して行くということこそ、本当に根本的に国の経済を建て直すゆえんではないか。それを今近視眼的に、ドルが足らんようなときだから輸入を抑えて行くのだと、そんなことをして行つたら、だんだん尻つぼみになつて行くにきまつているのです。運輸大臣としては、国務大臣としてそういうお考えを持つておるかどうか、そこをお尋ねしておるわけなんです。
  31. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は丁度この頃の経済界、これから先の暫らくを見渡しますと、まごまごすると、丁度終戦の直後、二十一、二年頃の縮小再生産の様相を呈する虞れありということを心配するものでございます。生産を上げ、物価を下げ、そうして輸出し得るものは輸出を盛んにできるようにするということが、一つの狙いでなければならんのでございます。その線に沿うての施策として考えるものと、それからそういうふうに見えるが、実際はそれほどまでその働きがないとか、外貨は余計食うというようなもの等がありますれば、そこいらでよく睨み合せて、生産を増強するという点において遅れをとらんような施策は当然とつて行かなくちやならんと思つております。これをどうするかということの簡単な問いのようでありますが、全体を見渡しながら、今申した線に沿うて私は善処して行きたいと思つております。私の関係していない方面の問題につきましても、そういう心持を持つて皆と話合いをいたして行きたいと思つております。
  32. 高木正夫

    高木正夫君 まだガソリンの抑制問題が表面に出ていないそうですから、一つ出ましたら、今のような御観点から運輸大臣の御善処を切にお願い申上げておきます。  次に、自動車は本年度どのくらい要るか。これはまあ幾らでも需要があると思いまするが、毎年通産省と運輸省で査定をされているようでありますが、需要量はどのくらいに本年は見積つておられるのでありますか、これは中村局長にお聞きしたいと思います。
  33. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自動車の需要量と申しましても、バス、トラツク、それから乗用車関係と、こうあるわけでございますが、バス、トラツクにつきましては、大体御承知のごとく国産で賄つておりまするし、国産車の供給もそれほど逼迫しておりませんので、まあ通産省との間にさして議論もないわけでございます。我々としましては、大体バスにつきましては、年間に三千台くらい、トラツクにつきましては、これはまあ大型車ですが、一万五、六千台もあればいいと思うのですが、乗用車については、運輸省の考え方と通産省の考え方とに多少食い違いがあるわけでございます。乗用車につきましては、普通の自然増加的な様子というものの見込と、それから今ある老朽車を廃車して、それを補充するに要する車と、この二つの分があるわけでありまして、あとの廃車補充用の数が非常に多いわけでございます。これはトラツクやバスと比べものにならない乗用車についての特殊な事情でございます。その両面を噛み合わせますと、私のほうで現在事務的に考えておりますのは、年間約二万五、六千というふうに考えております。
  34. 高木正夫

    高木正夫君 そのうちで国産車もあり、組立車もあり、若干の中古車もありましようが、それで賄えんものを輸入に待つわけでありますが、これはまあ外貨の関係もありましようが、これのお見通しはどのくらいになつておりますか。
  35. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 二万五、六千台に対して、最も大きな供給源は、国産車でございます。国産車については、通産省は非常に努力しておりますし、運輸省もこれを援助助長するにやぶさかでないので、大分生産が上つて参つたのでありますけれども、勿論それを一〇〇%まるまる消化は……、購入するにしましても、まだまだ不足があるわけでございます。次に考えられる供給源は、国内にいます外人から中古車として払下げ売渡しのある車でございます。これについては、とかく抜け道として悪用されるものでありますから、その横道のほうをできるだけ防いで行きたいと思つておりますので、二十八年ほど払下げはされないと思います。余り多数は期待できないと思うのであります。第三の供給源は、輸入車でございますが、輸入車にも、部品を輸入して国内で組立てる組立車というものと、完成車でそのまま輸入するものとあるわけでございます。組立車につきましては、現在国産メーカー三社がやつておることは御承知通りでございますが、これも生産が伸びておるので、それも助長しておりますが、これ又まだ五、六千台の程度じやないかと思いますので、そういうものを差引いて、止むを得ず輸入に依存しなければいけないというもの、この苦しい外貨の情勢でもどうしても輸入に依存しなければいけないというものを最小限度見積りますると、現在の我々の事務としては、まあ四千台くらいが要るのではないかと、かように思つております。併しこれは全く事務的な計算の数字でございまして、外貨のほかの事情考えてない、ただ自動車だけを取り出した事情でございます。
  36. 高木正夫

    高木正夫君 甚だ数量が少くてびつくりしたようなわけでありますが、私どもの観点から申すと、まだまだ多く入れなければならんと思いますが、併しいろいろの御関係もありましようから、まあ私もいろいろな立場もありますので、これ以上申上げることはどうもちよつとおかしく考えますから、この辺でとめておきますが、又その結果によりましてお願いするかも知れません。とにかく一つ御善処を特にお願いを申上げたいと思います。  なお、甚だ言葉が悪いようでありますが、どうも自動車関係は、先ほどの税金やガソリンの問題その他から考えまして、継子扱いされているような気がいたしますので、もうちよつと詳しくそれらの問題を掘下げて、この次の機会に、これは委員長にもお願い申上げておきますが、主として税金関係の役所の方をお呼び頂きまして、時間を取つて頂きたいと思います。まだ大分御質問があるそうですが、私ちよつと御了解を得て先にさして頂いたようなこともありますので、本日は先ず第一といたしまして、右の通りに御質問を申上げたわけであります。要は大臣に御質問を申上げておきたいのは、ちようど陸運交通といたしまして転換期にもある時でありまするししますので、この際特にこの方面にお力添えを願いたいということを希望申上げまして、今日の質問は終つておきたいと思います。
  37. 大和与一

    ○大和与一君 私は運輸省の陸運関係行政整理について主として御質問いたしたいと思います。  その前に、一つ二月四日の運輸委員会大臣臨時公共企業体調査委員会、まあこういうものを設けて根本的な相談をしたい、こういうふうなお話がございましたが、それは三月二日に公共企業体合理化審議会ができた、こういうふうに聞いております。で、これが所管が行政管理庁になつておりますが、私としては、やはり運輸大臣、郵政大臣が主軸になつてこの審議会は主宰をさるべきじやないかと思いますが、どういうわけで行政管理庁がやられるのか。それから二十人という大変たくさんの委員が指名されて大変並び大名というと叱られるかも知れませんが、今日に至るまで第一回の会合も持つていない。こういうお話ですが、一体どういう運営をなさろうとしているか。それから第三点は専門委員を設ける、御指名になる、こういうふうなことも聞いておりますが、その専門委員の構想は、大体どういうふうな人を選ぼうとしているか。この程度のことを初めに御質問いたしたいと思います。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この審議会は三公社の問題が主眼でありまして、大蔵省、郵政省、運輸省に亘りまして、それで行政関係の中心のいろいろ世話の部には、丁度この間からの行政整理その他のものをやつておりました塚田君の所であれの継続的な意味を含んで、公社のあり方は如何あるべきかというような点からスタートしたので、まあそこが中心だということが言えると思います。そういうことで置いたわけであります。  それからまだ一回も、みんなちぐはぐの時間でありまして、開いておりません。成るべく早く開いてどういうふうに行くかということを相談しようじやないかということを一応話したままでございます。  まだ、それについての専門委員をどういうふうにするかというようなこと等は何も話し合つておりません。何かこの機会に御注意等を承わることができれば私ども参考にしておきたいと思います。
  39. 大和与一

    ○大和与一君 この審議会は大体、例えば五月頃までに早期研究といいますか、解決というか、そういう努力をされるということも聞いておりますが、なかなかそんな簡単に行くものかどうか、非常に大きな問題でもあるから、その辺の見通し、それからもう一つは、専門委員に選ぶとした場合に、この審議会の人間を、学者の方が三、四人おられますけれども、ともするとこういう委員会が利益代表の方が非常に多い、こういうことでは殆んどまあ公正な委員会としての本当の検討なり、運営ということは非常に危ぶまれると思います。従つてこの専門委員の中にでも、まあ労働者代表といいますか、勿論法律にも相当程度詳しいし、又経営の内容をも研究をしておる、まあ適当な人間がおればそういう人をも入れる、まあこういうふうなお気持がおありになるかどうか、お尋ねいたします。
  40. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 専門委員をどういうふうにするかという点は、今申しましたように、まだ私ども塚田君から相談も受けていないのでございますが、今のあなたの御希望と申しまするか、御忠言は含んでおきまして、相談をいたします。  それから半年内で結論を出すということでありますが、半年……
  41. 大和与一

    ○大和与一君 五月くらいまでに……。
  42. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 何か時期が、やる期間があるのでありまして、そうしないとああいうようなものはだらだらになつてしまいますので、是非一つこれは馬力をかけてやるようにというので、私どもとしては、早く結論を出さないと、ただ何かそれに頼つてばかりいて、ほかのものが動かんようでは困るからということから期限を置いたわけであります。その間に一つ馬力をかけて是非できるだけの結論を出す、そうして答申は一応するということのできるように是非やつて行きたいと、この思つております。
  43. 大和与一

    ○大和与一君 又そのときに、前の委員会で交通政策についての委員会、こういうふうなものも何かお考えがあるというような御発言が多少議事録にあつたと思いますが、これはどういうふうなことですか。ちよつと補足しますと、何か例えば自家用車の営業類似行為とか、交通調整なり、いろいろな交通全般の問題がうまくコントロールされていない。それで私は随分前にも自動車局長にも御質問申上げたことがありましたが、多少、例えば都市交通にしても、全体的に、計画的に交通の調整といいますかを考えなければいけないのじやないか。そのときには具体的な案がないというようなお話があつたと思いますが、大臣ちよつとそんなふうな御発言をされたように記憶しておりますが、若し違つておれば……。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私申したことはあります。それは東京都内の交通関係が、実にこれから先どんどん人が殖えるばかりで、このままでいいかという問題がいつも心配になります。又話をすると、皆誰も心配するという状態だが、一向これが進まないで、少くも先ずこの帝都の交通調整の委員会というようなものを何か形をこしらえてやつてつたらどうだろうかというような話を私は意見として申上げたと思います。それで、私は思いながら進まないのですが、現在におきまして運輸省内にこれを設けるということは今すぐ考えていないのですが、運輸省内というよりは、もつと広い意味でこれを設けなければなるまいと思うのです。これは一遍私は何ができるようにお話した頃だつたと思うのですが、建設大臣に話をいたしましたことがあります。建設大臣も趣旨は賛成だ。併しこの委員会としても、広く人を集めるとなかなか議論ばかりで本当の筋の所に行かないから、そうしてそのままだらだらと時がたつてしまつて、何か聞かれると、今委員会では研究中だというような逃げ口上になるので、実行的にはできないから、君と僕のところだけでよく話合おう。それでそれはどういう形でやるか、ちやんとわからないと困るから、これも話合おうというと、前の委員会と同じことになるのだという話を去年の暮頃実はしたまま進行していないのであります。この間私は、これは余談になりますが、五島慶太君の何か書きましたものを読んで見ますと、しまいには東京の交通調整の問題を頻りにいたしております。私は是非これは何とかしなければならんと思つております。もう一遍これを建設大臣とも話合い、これをどういうふうにするか、これは一つ成るべく早く進めることにいたします。
  45. 大和与一

    ○大和与一君 今からの質問は、自動車局長にもお答えを受けたことがあるかも知れませんが、一月二十八日の本会議で吉田首相は、行政を簡素化するにあらざれば行政整理などはとてもできない。機構の簡素化については十分に考えておる。こういうふうな御答弁があつたと思うのです。で、今回の、じや、運輸省の陸運関係行政整理という考え方は、機構の簡素化という具体的な変化があるかどうか。そういうことを実際に考えておつて、それに伴つて人員を減らす、こういうふうなことになつておるかどうか、お尋ねをします。
  46. 中村豊

    政府委員(中村豊君) このたびの行政整理で相当仕事が苦しくなるものでありますから、お話のごとく機構の簡素化をしなければならないと思いますが、ただ機構の簡素化につきましては、もう相当程度今までにやつて来たので、これ以上きわだつた画期的なことは到底できないと思うのでありますから、ですから機構の簡素化というよりも、事務の重複しておる部分を整理するとか、又事務の内容を合理化するというようなことが、そういう地味なことしか残されていないと思うのであります。例えば、現在自動車局関係の仕事の内容を申しますと、本省と陸運局を陸運事務所という三段階になつております。これは如何にも三段階で機構が重複しておるから、簡素化して二段階にすればいいじやないかというような議論があるわけでありますけれども、その三つの個所にもおのおのその分量と性質と地域に応じて仕事を配分しておるものでありますから、自動車の特殊性から見て、これはいずれを間引くというわけにも行かないと思うのであります。そこで、その三段階にすべての仕事が行われるのでは、これは暇も取るし、人手も取るし、従つて予算も足りないということになりますので、成るべく本省の権限を陸運局に落す。陸運局の権限を陸運事務所に落すということによつて簡素化をし、又仕事の配分を陸運局だけでやれること、陸運事務所でやれることをきれいに分けてしまう、きれいというか、まあできるだけ分けてしまうというようなことを考えておるわけであります。又仕事の内容としましても、検査のやり方、登録のやり方、或いは免許、許可のやり方について、できるだけ範囲を狭め、手数を省くことを考えておるわけであります。そういうことによつて、できるだけ仕事を楽にして重点だけを押えることにして、少い人間によつて処理して行こうと思うわけであります。
  47. 大和与一

    ○大和与一君 今おつしやつた事務の重複を避けるというようなことは、明らかに機構簡素化ということではないと思うのです。そうすればこれは天引整理、ちよつと変な言葉だけれども、そういうことになると思うのですが、そういうふうな考え方でしようか。
  48. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 天引整理、人についての天引整理ではございませんで、人が減つて来るということを前提にしまして、それに応ずるように仕事を重点的に整理をする。天引でなく、仕事を重点的に整理をするという考えでございます。で、欲を申せば、いろいろとあれも調べたい、あれも統制、統制といいますか、国で以てコントロールしたいというものもいろいろありますけれども、それはまあ戦後の混乱とか、或いは戦時中の惰性で来たようなこともありますので、こういう事態になれば、そこまでしなくてもいいというような仕事について落して行こうというわけであります。天引ではございません。
  49. 大和与一

    ○大和与一君 機構の簡素化でもないし天引でもない、それでは一体何か。これはもう別に行政整理という言葉を使わなくても、すでに経営の合理化ということは、お考えになつてもわかつておるわけです。ですから、そういう意味で合理化が促進されることは、これは誰しも好ましいことだ。併し、それが必ずしも人員の整理なり削減なりを必然的に伴うものではないと思います。若しあるとすれば、常識的に言つてもそれは極めて、何といいますか、極めて少い人間が、或いは一人くらい行くかも知れん、こういうふうな行き方になつて来ると思うのですが、その辺は本当はそうでなくて、やつぱり何人か切りたい、どうしても切りたい、機構の簡素化でもないし天引でもなくて切りたい、こういうようなところに根源があつて、無理な考えをしておるのではないかと、こういうふうに考えられますが、どうでしよう。
  50. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 切りたいのが目的ではないのでありまして、仕事がいろいろ従来からの沿革やいきさつで積み重なつて参りまして、無駄な、無駄といいますか、現在の段階では余分なこともあるから、何かこういう際にそれを切捨てるということが必要で、それが現在の苦しい財政状態からも必要じやないかということでやつたことでございます。そこで例えば、まあ一カ所にして見れば、僅か減らすだけでありまして、例えばこれを陸運事務所というもので見れば、全国で五十数カ所あるのに対して、全国で四十一に減らすということになれば、一カ所一人にも当らない。まあ大きな事務所は二人になることも多少ありますが、小さな事務所はこれ以上減員は不可能でありますから削らないというわけであります。ただまあ全国的な組織でありますので、集めて見れば四十一人という数字になる、こういうわけであります。
  51. 大和与一

    ○大和与一君 十六特別国会で衆参の運輸委員会は、車両数の増加に伴う適切な人員の増加の請願をいたしてそれを採択されております。それがその後具体的にはどのような措置がなされたか、お伺いいたします。
  52. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 大体毎年々々車が殖えて来るに応じまして陸運事務所、特に自動車検査関係の定員は殖えて来ているのであります。最近でも二十人ぐらいずつ殖やしております。ただ来二十九年度は逆に減ることになつたわけでありますが、丁度この辺で物の考え方を変えまして、自動車検査についても簡素化を図りまして、又その余地を何とか考えようということで、減員になつたのでございます。
  53. 大和与一

    ○大和与一君 先ほどこの整理の人員は非常に少い、一つの職場で一人ぐらいだから大したことはないのじやないかというお話がございましたが、二十四年度陸運局は千七百十六名であつた。それが二十六年度には千十七名、二十八年度には九百二十六名、一人当りの車両数からいうと、二十四年は四百六両、二十六年は五百四十六両、二十八年は七百四十七両、こういうふうな数字が明らかに示されていることも御承知だと思いますが、こういうふうに非常なオーバー・ロードといいますが、だんだんと大きな負担がかかつて来ているということはお認めになられますか。
  54. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 数字的にはお説の通りでございます。多少今のお話数字を聞き漏らしましたので、ちよつと正確かどうかわかりませんが、そのような傾向はまさにございます。そこで一人当りのロードがこのままではかかつて行くこともお説の通りであります。そこでたびたび申しましたように、一人当りのロードの可能な限度にとどめるように、それ以上は重くならないようにということで、仕事の内容を軽くしよう、仕事の性質を考え直そうと考えているわけであります。
  55. 大和与一

    ○大和与一君 又この死傷者の数なども、二十三年度は二十三万五千百六十一人、二十五年度は三十六万七千九百十六人、二十七年度は六十五万二千百五十人。事故の件数なども、二十三年度は二万一千四百五十七件、二十五年度は二万九千六百五十二件、二十七年度は四万八百十七件、こういうふうに非常に殖えている。こういうこともお認めになられると思いますが。それで今度は現実に、今可能な限度という言葉が何か抽象的に出ましたが、現実にこの前の委員会でも局長から御答弁があつたように、自家用車の営業類似行為、こういうものがとても横行濶歩しておつてどうにもならん。実際に道路運送法における免許というだけで全くあつてなきがごとし、こういうような実情もよくお認めになつているような気がするのですが、如何ですか。
  56. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自家用の横行濶歩ということは、トラツクに関してのみ言えることで、バス及びタクシ、ハイヤーには殆んどございません。ただ特殊な自家用トラツクの問題でございます。これは非常に困つておることだけは正直に申しますが、この問題は実は日本にのみ起つている特殊な問題ではございませんで、世界各国とも共通の現象であるそうでございます。そこでそうなつて来ると、免許制度というものがどうかという議論にまで触れて来るほど根本的な問題なので、いろいろ研究はしておりますし、又その取締を厳重にやろうとしておりますけれども、これを徹底的に取締るというのならば、現在の定員を三倍乃至五倍にしたつて到底不可能だと思うわけでございます。それはほかにいろいろほかの部門、食糧にしても何にしてもいろいろ統制規則があるのに対して、その違反者が跡を絶たない。これはもう追いかけごつこで、殆んど結局追いかけるほうが疲れておるというような、他の部門にも現象があると思いますが、同様なことでありますので、これはそういう規制をして、できるだけのことをやつて行くということで、根本的には経済界の安定とか、或いは遵法精神の確立とかということが徹底して来ないことには、自動車部門だけを捉えて定員増加で以て賄うということでは解決できない問題だと思つておるわけであります。そういうような情勢でありますけれども、我々としてはその範囲内で努力して行きたいと思つているわけです。
  57. 大和与一

    ○大和与一君 又東京都の車両数が一月末現在で十二万二千九百、軽車両も含んで……。こういうふうにたくさんある車両を、この輸送秩序の確立に当るべき事務所の輸送課の人員がたつた十一名だ、こういうようなことになつているわけですが、これでまだこれを一人減らして大丈夫だ、三倍に減らすということは別としても、何もトラツクの類似行為だけを取締るために二倍、三倍の働きをしているのでなくて、全体の自動車行政の立場からこれをこれ以上は減らされない。もう少し殖やす、それでなければ困る、こういうふうな、立場が妥当だというふうに考えておつて質問しておるわけですが、これはたつた十一名でこれだけのことをやつているということになるのですが、その辺はこれでどうやら常識的に何とかなつている、こういうふうにお考えになられますか。
  58. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 物事は程度問題だものですから、十一名では不足だが何名がいいということがわからないわけであります。それは恐らく私は徹底しようと思えば何倍にしても間に合わんと思いますので、まあ与えられた定員というものでできるだけのことをして行く、それに応ずるように仕事は合理化して行く、こういうことで行くのが現実の問題としては必要じやないかと思うのであります。ただあらゆる機会に絶えず、又予算折衝ごとに増員ということは要求しておるわけでございますけれども、それはそのときの財政状況その他によつておのずから限界があることは御了解願わなければいかんと思うわけでございます。又ただ一人だからいいのじやないかと言いましたのは、ただあやでございまして、一人でも整理すべきではなくて、それでそのまま維持できるならば、それが勿論結構ななことでございます。
  59. 大和与一

    ○大和与一君 又事務所が四谷に一カ所しかなくて十一名、車両のほうの検査登録ですか、これをやる所が品川に一カ所あつて、これが三十七名、これについては衆議院の内閣委員会の方が現地に行かれ、それでよく現状を見られてとてもこれではいけん。これを減らすということは考えられない、こういうようなことをはつきりと結論が出たように聞いておりますが、その点は御了解ですか。
  60. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自動車検査場の問題については、特に東京はお説のごとく非常に窮迫しておるものでありますから、二十九年度の予算折衝で漸くその要望が容れられまして、江東地区に新らしく一カ所検査場を増設するということがきまりました。予算面に計上してあるわけであります。従いましてそれに対しては内部でやりくりして、勿論人間を配置するつもりでおります。
  61. 大和与一

    ○大和与一君 今の検査では三輪車には全然検査が手が廻つていないということを聞いておりますが、事実ですか。
  62. 中村豊

    政府委員(中村豊君) そういうわけでもございませんで、ただ検査する個所、ポイントを減らして、四輪車についてそれだけの検査を百カ所近く検査……、十カ所で検査するとすれば、三輪車については四カ所というように検査の個所を必要な程度に減らしてあるだけでございまして、勿論検査した以上は、そのときにおいては十分その安全度について責任を持つているわけであります。
  63. 大和与一

    ○大和与一君 業務行政よりは車両行政のほうが悪いことは認める、こういうふうにこの前の委員会で局長ははつきりおつしやつたわけです。それで速記録にもあると思いますが、だから今言つたお話は、何だか可能の限度とか、何とか責任を持てると言うけれども、その責任を持つた検査の結果が、自家用車が横行したり、或いは実際に事故件数が多かつたり、こういうふうな現実が生まれていると思います。程度問題と言うけれども、それじや今よりももつと下げてもいい、こういうようなお考えが実際に出るのですか。出なければ殖やすほうに対して三倍か四倍、こういうことは好ましいかも知れんけれども、そう簡単に行かん。それはわかるけれども、これを今よりももつと減らして十一名を八名とか、七名とかでやつてつても、その責任を持つていれば、何とかかんとかうまく行く、こういうような確言が局長としてできるのかどうか、お尋ねしたい。
  64. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 検査の問題につきましては、人手だけの問題で解決できる問題でもございませんので、できるだけこれを機械化する、そうすれば科学的に而も迅速に処理できる問題でありますから、そういう機械の整備、増設ということについても予算を折衝しておりますし、少しずつではありますけれども、増備されつつあると思います。そういつた面においてもこの問題は解決して行く一つの方向があると思うわけであります。
  65. 一松政二

    ○一松政二君 人員と事故の問題で関連質問を……。今大和さんのお話の中に事故の件数をお挙げになつて、人員の問題をおつしやつているようですが、事故原因が車両の検査不備なのであるのか、或いは運転手の不注意によるのか、ともかく事故原因はいろいろあるだろうと思います。それが運輸省の自動車行政の欠陥から或いは事故が増加しているのじやないかというような印象を私は受けるのですが、事故が殖えているのに人員は殖えていないというような御発言のようでしたが、その点を自動車局長はどういうふうにお考えになりましようか。事故の件数と人員とはちよつとそう簡単に論断されないと思うのですが。
  66. 中村豊

    政府委員(中村豊君) お説の通りでございまして、大和委員が申されるのは、人員が少いために検査或いは整備のほうに対する取締監督が十分じやないから、事故が殖えているのに対して人間も考えなければいかん、こういうお話だと思うのであります。その意味で私も拝聴していたわけでありますが、お話のごとく事故原因には整備検査といいますか、整備機械関係の不良という原因と、それから運転方法の不良、運転手関係に関する不良、道路交通取締の不良といいますか不完全、それに対して無視して乱暴な運転をするという、交通取締関係といろいろ部門があると思うのであります。そうして主として運輸省が責任を持ちますのは、第一の車両検査及び整備の点でございまして、第二は、これは国家警察の問題、第三も同様であります、警察関係でございます。第三に関しては、又道路の不十分ということが関係して来まして、建設省関係も入るわけであります。第一の点については、まさに運輸省が責任を持つことでございますが、現在の法律による規制は車の検査を定期にして、そのときにおける状況を判断して有効検査証をやる、そうしてこれならばまだこのくらいの期間は大丈夫だろうというところの先を見通して有効期間を与えるわけでありまして、その間においては絶えず自動車所有者或いは運転者が注意をして、自分で整備をし修繕をするという態勢にあるのでありまして、そこまでは国としては直接介入する必要を認めないし、不可能であろうと思います。ただ自動車所有者に対しては、法律で以て整備を十分にやれということを要求し、又大きな事業者、車を多数持つておる者に対しては整備士或いは検査士という、車両管理士というものを置くことを要求して、内部で絶えず整備に努力します。又外部の修理業者、整備業者に対しては認証制度をとり、又そこに働く技工である整備士については技能検定をやるということにして、全体のレベルを高めることに国として助長しておるわけでございます。そういう形であとは全部自動者関係者に自発的に、自主的に努力をさせる、こういう恰好にしております。もう一度繰返して申しますと、最初の車の検査、又途中における期間が切れたときの車の検査というだけを国でやつておるわけであります。あとは自主的にやらしておる、こういうわけであります。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 今の御回答で結構でございますが、今車の事故発生の原因になるような車を知りながら運転する運転手は殆んどいないと思います。もう危いと思えばあらかじめ修繕に、その修繕も検査ではございません。少しブレーキがおかしいといえば直ぐ修理工場へ行つて、それを直しておるのが普通であつて、私は事故原因は車両の整備不良に基く事故よりも、おおむね不注意か乱暴な運転が非常に事故原因になるのじやないかと思います。私はこれについて別に回答を求めませんが。  それからもう一つ、大和さんの御質問に、人員が非常に少くてオーバー・ロードになつておる、だから人員をむしろ減すことはいけない、或いはこれ以上増すことが正しいのじやないかという御議論でございましたが、この御議論は自由なんです。でありますけれども、私ども一般的に国民感情からすれば、これはひとり自動車業者についてのみじやなくして、役人が多過ぎる、役人を減らさなければいかんという声は巷に満ちていると思うのです。そうして民間の者が役所に行つて受ける印象は、役所で実際忙がしそうに仕事をしている人が何人おるか。役所におれば役所の仕事に慣れておるからそれが普通だと思つておる。けれども一たび役所以外の民間の本当に人員を倹約しておる所に行くと、これはびつくりするほど仕事が多いわけであります。そこで私どもはまだまだ人員は大きく整理せなければならんと考えております。それで私が常々言う、自動車行政でも、余り世話をやき過ぎる、タクシーの数を減すのまで一々書類を出してお伺いを立てなければならんというようなことは、当然私は整理すべきであつて、儲かると営業をやるのですから、儲かるような仕事があれば誰かがそれを求めて、必ずそれを補充して行こうとする。やめる人があれば新規に免許を必ず、若しそれが儲かるなら……、不景気でどうにもならんから車両を減らそうとするところへ以て行つて、車両を減すのも一々お伺いを立てなければ車両を減すこともならんというような何だか、私は常々言うのだが、自動車の需給を自動車局長が図るようなお考え行政をされているということは、余計な人が私は要るだろうと思います。むしろ私はそういう仕事を整理して、そうして人民の要望に応えるべきであつて、ただ機械的に車両を増すから、車両といつたところで、それは軽車両もあるし、それは届出だつて何もかも自動車の部類に入つているのですから、いわゆる特に自動車の数が非常に多いように思えるけれども、トラツクや乗用車にしてみると、びつくりするほど少い。それと人員とのバランスをお考えになつて私は申されているように承わるけれども、私はこれは現場で働く人の一日の作業量は、これは或いは比例になるかもわからんけれども、机上の働きは紙一枚書くのを、或いは時間的に計数を見てやるということであれば別問題でありますけれども、ただ人間の能力というやつは遊ぼうと思えば遊べるし、それからやろうと思えばやれる。今日の日本は今までと丸つきり違つた考え方をしなければ、もうどうにも経済的に破綻するより仕方がない段階に来ているということは、これは我も人も殆んど日本人全体心ある者はそういう考え方を持つているのですが、そこで私は一人でも人員を節約してやり、余つた人間はどうするかということになると、これはさつき高木委員が言われたように、日本の道路とか交通或いはその他なすべき仕事が山ほどあるのにかかわらず、ただ金がないというのでやれない。これほど貧弱な日本の政治というものはあるものじやない。山と仕事がありながら金がないからやれない。金がなくてもやれる方法はあるはずなんです。それから私は整理すべき人は私は一人でも多いほうが、私は国民的にはそういう希望であろうと思う。従つて今大和さんの仕事の分量、この分量というてもその性質によりますけれども、今非常に一ぱい仕事があつて、これ以上は非常に過大になるというのは、よほど一々研究してみなければわからんと思うので、国民感情から言えば、役人を減らしてもらいたい。それから役人はおおむね仕事をしていないという感情が私は一般国民感情であろうと思う。でありますから、私はその辺も自動車局長においても、運輸大臣におかれても、この国民感情及び納税者の立場ということも十分お考えの上にやつておることだろうと思いますから、一応大和さんの御発言したのに私は関連してそういうことを申上げたいと思います。
  68. 大和与一

    ○大和与一君 只今一松委員からお話がございましたが、国民の一部の気持としてはそういうような意見もあるだろうと思いますが、私の知る限り、国民の多数はもつと政府の政策が、例えば軍事予算をやらない、再軍備をしない、こういうふうなことが明確になれば、その予算全体でも国民生活安定の第一義的な方向が現実に政治として行われる。そのことをむしろ国民が双手を挙げて賛成をしておるのだろうと、こういうふうに私は考えておるわけです。別に反撥するわけでないのだから、そのくらいにしておいて、ただ先ほどお話があつた車両整備ということが、実際に運転手が車が悪いと絶対に乗らない、すぐ修理に出す、こういうふうなことは、なかなか商売だから、雇われておる人としてそういうわけには実際はむしろ行つていないと思う。そんなことが行つていれば問題はむしろ非常に極限をされるので、実際はそうではなくて、随分無理をしておる。その無理をするのに、やはり検査なんかが今のように人員が少くて……、私は必ずしも職場の適正な定員をきめるときに、それに対する話合いに応ずることを否定するのではないのです。それは大いにやつていいと思う。今出された自動車行政整理のこの科学的な数字に基いた私の質問というものは、決してこれは誇張でも何でもないと思つている。これを局長なり大臣なりが認めないというなら別だけれども、これはよくわかつている。実際に相当無理をしておる。この数字が明らかに示しておるじやないか。それでもなお、どうしてもお上の命令か誰の命令か知らんけれども、もつと偉い人の命令で止むを得んというような気持が本心だと思います。そうでなければこれは嘘で、今のお話のように役人をもつともつと減してよろしい、特に今の自動車の陸運行政内容について、もつと人間を減しても十分賄えるというふうにおつしやるのならこれは別ですが、それはむしろ承わつておきたいと思うのですけれども自動車局長の言われておる経営の合理化ということはわかるのだけれども、それが資格基準といいますか、そういうものを割ることはできないと思う。自動車の絶対運行安全性の程度というか、そういうものは割れないと思うのです。合理化という名において検査をゆるめる、いい加減にやつて行くということでは、結局迷惑をこうむるのは国民だから、そこら辺はきつちりなつているかどうか。それを堅持するという立場に立つならば、そんなこれより減していいという議論は出ない。それで三倍にしろということは言わぬけれども、それは今の限度を守つて行く。何とか殖やしたいというそういうような考え方が基本でなくちやならんと考えるのですが、こういうふうに考えるのですが、どうでしようか。
  69. 中村豊

    政府委員(中村豊君) いろいろと御質問でございますが、事故に対する原因としては、私は整備不良によるものと運転手の不良によるものと、その他道路交通取締その他の原因によるものと三種類あると申しました。そして第一の原因について主として運輸省が責任を感じなければいかんわけですが、整備不良によるものの事故における比率は、昭和二十五年全事故のうち一七%であつたのが、二十六年は一五%、二十七年は一三%、二十八年は一二%と非常に減つて来ておるわけです。そして運転不良によるものが四四、四四、五〇%というふうに殖えて来ておるわけでございまして、この意味では運輸省の整備政策は成功したものだと思つております。そこでこの勢いで押して行きたいのでありますけれども、人間を減すことは決して望ましくはないのでありますけれども、減つた人間でも仕事を十分に能率的にやつて行くことに我々は努力しなければいけないわけでございまして、その意味で一松委員が申されたように、仕事の合理化という名前で、決して負担過重という意味じやなしに、まだまだ仕事を簡素化する余地は私は十分あると思うのであります。その点は私はまだ十分我々として、役人として努力しなければいけないと信じておるものでありますから、そのように努めたいと思つております。
  70. 大和与一

    ○大和与一君 その簡素化ということは機構の簡素化ですか、人間を減すというような意味ですか。人間を減して行くということですか。
  71. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 人間を減すということを先ず考えまして、これは国民感情はどうのこうのといろいろ御意見がございましたが、減すことを一つ我々としても考えよう。そしてやつて行けるかどうかというと、やる余地が私はあると思いますから、そのほうに努力したいと思うのでありますが、これはひとり整備のみならず、業務管理についても同じことであります。この点は、先般の委員会でも一松委員初めほかの方からも御意見のあつた点を我々も十分注意しなければならんと思つております。
  72. 大和与一

    ○大和与一君 今のお話は、一応政府行政整理案があるから、そういうふうな御意見が出るのか、或いは自動車局長は公務員として、良心的に、天下におれは公務員としてこれはもつと人間を減していいのだというふうなお考えに立たれるのですか。
  73. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 公務員としてその余地があると思つてやるわけでございます。
  74. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つお尋ねしたいのは、大変好ましい措置ではありませんけれども、先ほどもちよつとお話がありましたように、例えば道路運送法の一部を改正する、或いは免許制を改正するとか、そんなふうなお考えなり、或いは道路運送車両法の一部を改正する、さつき言つたように三輪車なんというものは手が及んでいないのだから四輪車以上をやるとか、何かそういうふうなお考えがあるか、お気持がおありになるか、一つお伺いしたい。
  75. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 道路運送法及び道路運送車両法を改正しなければいけないと思つております、主として簡素化の方向に向つて……。ただその具体的な内容については、目下本当に研究中なものでありますから、まだ申上げる時期に至つておりません。
  76. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、先ほどから数字を挙げていろいろと御質問をいたしましたけれども自動車局長としてはというか、政府としては、どうしても人間は減しても大丈夫だ、全責任は持てる、こういうふうな確信に立つて御回答になるわけですか。
  77. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 大丈夫責任が持てるように努力すべきだと思うわけです。責任を持つ持たんの問題は、これは結果でございますから、今からお約束はできませんけれども、そのように努力するつもりでございます。
  78. 大和与一

    ○大和与一君 重ねてお尋ねしますけれども、今でも相当職員が過重な仕事をしている職場がたくさんあると思うのですが、そういうことも十分にわかつてはおるけれども、なおそれを減してもいいと、こういうことですか。
  79. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 非常に仕事が忙がしくて仕事に追われて非常に苦しんでおるという職場があることは私もそう思います。この点については、一松委員が申されたのと場所によつては違う、場所によつてはそういう一松委員が申されたところもあると思うのでありますが、現場に行くほど本当に仕事が忙がしくて苦しんでおると思うのであります。そういう職員諸君のおることを考えるならば、それじや人の配置の問題、仕事の分配の問題を考えなければならん、さように思うわけでございます。
  80. 大和与一

    ○大和与一君 それぞれの職場において十分に科学的に検討をしてから適正な定員が考えられると、こういうことですね。
  81. 一松政二

    ○一松政二君 僕はちよつと局長の言うたことを訂正というか、僕の発言中にはそのことがちやんと、私はそのことは保留してありますよ。私の発言内容を調べて見なさい。所によつてはということを言つておる。私も一応発言するからには、場所によつてはやはり相当忙がしくやつている人があるということは認めます。
  82. 高木正夫

    高木正夫君 行政整理の問題については、私は本会議質問申上げたのですが、一松委員とほぼ同意見なんですが、余り国が世話をやき過ぎると、こう思うのです。従つて民間に委ねるべきものは委ねたらどうかという意見を出したと記憶しておるのでありますが、丁度自動車問題について御議論があつた問題ですが、これも例えば定期検査とか、ああいう修理関係のものは、民間団体を法人化して強力なものにして、それにやらしたら行けるのではないか。それを官庁のほうで更に監督するということで、この程度まで行けば行けるのではないか。登録制度を我々がここでこしらえたあの問題ですが、自動車抵当法案というのをやつさもつさで作り上げたが、その効果は私は極めて薄いと思う。今日の商取引から考えて、あれなんかもあれがために登録の人間が非常にたくさん要つておる。こういうものも民間団体を強化して、それに譲つてつたらいいのではないかという考えを持つているのですが、これに対する御意見一つお聞きしたいと思います。  それからもう一つは、自動車の運転手に関する事故が多いのですが、最近高等学校の定時制において自動車の運転手の養成をする個所が全国で三カ所ほどできているように思うのです。これを少し方針として普及して行つたらどうですか。定時制の高等学校自動車課程を置いて進んで行つたらいいじやないか。速急には間に合わんかも知れないが、だんだん陸運行政が、陸運交通が盛んになつて来るにつれて、運輸省としてそういう一つ考えを持つて御研究されたらいいのじやないか、そういうふうに私は考えているわけなんですが、これらに対する御所見をお伺いしたい。
  83. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自動車の検査を民間に委譲してはどうかという御提案でございますが、これは確かに肯綮に値することであろうと思うのであります。ただそれについてどのような欠陥が起るか、これは又そういうことを申上げると叱られましようが、民間にお委せすると何かそこにルーズな問題でも起りはしないかという心配が起るので、そこまで世話をやき過ぎるということでありますけれども、事が保安ということに関するものでありますので、政府で最後の責任はやつぱり持たなければならないのじやないか、そうするとどの程度まで民間にお委せして、どの程度最後まで責任を持つかという、そのやり方によつては重複して二重手間で時間や費用もかかるのじやないかというふうにいろいろ考えられますので、確かに研究問題であると考えますが、そういう点をとくと勉強さして頂きたいと思います。  又登録制のことについての御批判でございますが、これは私たちが聞いておるのは、動産抵当のために必要なことというので非常にヒツトしまして、利用者が非常に多いのでございます。もつとこの動産抵当を活用したいために、登録制のない例えば小型軽車両なんかについても登録制にしてくれんか、そうすれば動産抵当が実行できるので、むしろこの制度を拡張してくれということが多いくらい受け入れられているように聞いておるので、今のお話ちよつと意外に思いましたが、ただ動産抵当のためのことと、それから何でもかんでも全部車を登録するということは、少し範囲が違うものですから、その辺についてはいろいろと簡素化する余地がないとは限らないというふうに考えて、これ又目下研究しておるわけでございます。  それから定時制高校に自動車科を置いて教育を普及さしたらいいじやないかというお説も誠に結構だと思います。が、これは主として運転者の技能検査の問題でございますので、私のほうも非常に関係は深いことでございますが、主管としては国家警察であろうと思うわけでございます。
  84. 高木正夫

    高木正夫君 私の聞いたのとは反対なんですけれども、私はあなたのほうの下の官庁から聞いて来たのです。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつと大臣にお伺いするのですが、今の自動車局長の答弁をずつと聞いておると、陸運局関係は人間は減らしてもいいのだ、減らす意思があるのだというふうに伺つておるのですが、結論的に大臣もそういうふうにお考えになつているかどうか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  86. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 止むを得ず減らさなければならないというふうなことでありますので、それに従いまして人と仕事の振合いをよくつけるように局長に話をしております。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 止むを得ずという言葉があるのですが、そのお言葉の中には、現在の仕事の量或いは性質からいつて現在の人員が余つていないというように私は聞き取れる。而もこの前の委員会でちよつと申上げましたが、現実に陸運局の地方事務所においては、人員だけで仕事の処理ができないところから、部外の業者関係から人間の協力を求める、そうして協力しておる人に事務の一部をとらしておる、而もその人間についての給料は業者関係から払つておるという事実があるのですが、そういう事実を以てしても、なお且つ止むを得ず減らす。これはどうも納得できないのですが、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  88. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 止むを得ずと申しましたが、その通りでございまして、今のままの仕事を今の通りにやつて行けば、今の人間は決して無駄な人間を使つておるとは思つておりません。併し行政整理の大きな旗印しの下に、できるだけ役所の費用の節約をするという一つの場面といたしまして、人を減らさなければならんことになつております。それからいたしますると、陸運局においては、局長から説明いたしました程度の人を減らさなければならない。そうするとこの人たちに過重にもならないで、併し手一ぱいには働いてもらわなければなりませんが、ただ仕事をそのままにしておいて人間を減らしてやれやれというだけではいけませんので、どうしたらそれに合うようになるかということで、さつきから局長が説明しているような方向において仕事の整理をいたして行きたいと思つております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は労働過重になるかならんかということも問題ですが、それよりもやはり陸運局という機関を置いておる以上は、やはりこれは社会的に一つの必要な存在だと考えているのであります。又大臣もそう考えていると思います。そこで労働過重もさることながら、ここで仕事ができない、現実に仕事の面において特に齟齬を来たす、監督の面において齟齬を来たすというような状況ということは、これは政府としても非常に大きな社会的な責任を感じなければならんと思うのです。そういうような結果になると私は思うのですが、ただ単に事業の合理化とか、ちよつと局長さんから伺いましたが、その内容につきましても、それだけでは私は陸運局の本当の使命というものは達成できないのではないかというふうに考えまして、その辺の責任の保証はあるかどうか、その確信のあるところをお伺いしたいのであります。
  90. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今はつきりこれこれを今までやつておるが、これをやめてこれをどうするというものをお答えするところに至つておりませんが、大体の自動車局においての見通しは、交通上の安全を阻害しない程度において、検査の方法等を節約すると申しまするか、今までよりも重点的にやつて行くことで大丈夫やつて行けるという見込でありますが、それについての責任は負います。
  91. 一松政二

    ○一松政二君 今大倉さんの発言で、政府としてはそのまま聞き逃しておくというのはどうかと思う点がありますから、ちよつと今の陸運事務所の人間が非常に少く、忙がしいので手が廻らないから、民間の人に手伝つてもらつて、民間の人から仕事の加勢をしてもらつたものについては、民間から、給料か手当か何か知りませんが、支給しておるというふうな発言のようですが、そういう事実があるとすれば、それは私はそのまま聞き捨てておくわけに行かない。若しそういうことがあれば、それは重大問題だ。そういう問題があるかないか。私はこの前大倉さんの発言のときに、鉄道の従業員の中で田舎で夜家へ持つてつて仕事をやらなければならないほどオーバー・ワークがあつたというときに、そういうことがあつたかどうかということを政府は責任を持つて調べろ、そういうことはあつたということならば、それに対する対策をしなければならない。ないということになれば、ないということをはつきりして誤解を解かなければいかん。今の大倉さんの発言は、私は政府としては、そのまま聞き逃すべきことじやない。であるからそういう事実があるのかないのか。或いは気がつかずにあるのか。それをはつきりさせてもらいたい。局長如何ですか。
  92. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 政府の仕事を民間が手伝つているということはございません。ただまあ大倉委員が申される例というのは、例えば輸送秩序の確立のような問題を取上げて、街路上で積荷の検査をするというときに、トラツク事業関係者がこれを手伝うというようなことが一つの例だろうと思います。併しそれはトラツク事業者の協会が、自発的に参加して、輸送秩序を確立してもらうことは自分たちの利益のためだというので、自発的に参加してその雑務に従うというものであろうと思います。又車両検査のときに、整備振興会とかそういう関係の人が出て、いろいろ書類を取り継いだりする。それから民間の人の申請人の代りに代書的にいろいろ書類を書いたり取り継いだりするということだろうと思うのですが、そういうことは政府の仕事のもう一つ外側のことで、ただ受けるほうのものにとつてみれば、便利なことを、その事業者の関係のものが手伝うということはこれはあろうと思います。そうしたほうが、まあ輸送秩序の確立は、私は事業者自分自身のため、又登録検査のときには、申請人という民間の人の便宜のためにその代理としてそういう整備関係事業者の人が手伝う。こういうことであろうと思います。すべて政府の仕事の外側のことであろうと思います。勿論そういうことでございますから、それに対して金銭謝礼を出すというようなことは一切ございません。まあ謝金として、整備技能検定というようなことで、技能の検定試験をやつておりますが、これは国が検査試験をやるので、それに対してこれは正式に委員の発令をして、又補助者の任命をして、それに対して正式に謝金を与えている。こういうことはございます。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題は、この前の委員会で私がやはり一応指摘したのですが、そのときは、局長さんはなければないと言つて頂ければいいんですが、頭から否定もされなかつたように記憶しております。なおこれが事実ないということになれば、私はこれは当事者からちよつと聞いたことがあるのですが、こういう話もあるがという発言なんですが、これがないということになれば、私は、あるとすれば重大だという一松委員発言から、具体的に一つ調査してみたいと思います。とにかくそういうような、いわゆる業者のほうでもやらなければならん仕事、陸運事務所のほうでもやらなければならん仕事、こういうようなものがあるらしいです。それを陸運事務所の中で、関係業者から人間をそこへ駐在させてそしてやらしている。従つてこの仕事は半ば業者の仕事であり、半ば政府の仕事である。こういう仕事をやらしているということを私は聞いておつたわけです。従つてそういうものがあるとすれば、この人員整理というものは全くこれはナンセンスであつて、どうも了解ができない。こういうことで質問申上げているんですが、そういうことはあるかないか。私にもはつきり一つお話願いたいと思うのです。あるかないか、或いはあつたかなかつたか。
  94. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 先ほど御説明申上げましたように、ないと思いますが、なおその点は実情をよく調査いたします。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうですが。続いて申上げますが、この陸運局関係事故関係は、非常に密接な関係を持つているが、私はこの事故というものについて、別の観点から一つお伺いしたいと思うのですが、先ほどの他の委員発言からいつて教育の面で十分やつたらどうか。いわゆる精神力だけに期待しておられるようですが、私はこの交通事故というものは非常に大事な問題であつて、社会的な問題であつて、これは単なる精神力のみに頼つて、精神力のみに、その要素のみに頼るということは、私は非常に不十分であると思う。従つてこれにはやはり物質、いわゆる労働者の労働賃金なり、或いは賃金制度なり、或いは労働の度合というようなものを十分考えなければならんと私は思います。特にこの交通運輸関係は、ほかの産業と違つて、人間の問題、人の問題というものをやはり重点的に考えなければ事故の問題も、或いは能率の問題も、一切これは骨抜きになつてしまう、従つてこの事故原因、先ほども局長はいろいろこの統計数字お話になりましたが、整備による事故は減つて、運転者によるところの事故が非常に多くなつて来たということは、考えようによつては非常に重要な問題であつて、その原因は私はこの賃金或いは賃金制度、労働の量というようなこと、或いは又そこから生じるところの不当競争というような点から事故が非常に多くなつて来るというような工合に考えておるのですが、その点はどうでしよう。大臣はどういうふうにこの事故の問題についてお考えになつておりますか。
  96. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 事故の起る場合の問題として、労働条件が悪いから起ると、そうはつきり出るかどうかわかりませんが、労働条件がよくても出る場合が多いようでありますが、労働条件が悪くて出る場合もそれは勿論あるだろうと思います。極端に言えば、ろくすつぽ飯も食えないというふうな状態に置けば、ふらふらして事故を起すかもわかりませんが、今日の場合の運転に、如何でございましよう、そういうふうな労働条件が悪いから事故を起し、事故を起せば自分の身命にもかかわるような問題でありますが、そういうふうなのが、すぐ労働条件が悪い、即事故がということには私はまあ考えないのですけれども、どんなものでしようか。これは私確信を持つて言うのじやありません。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは確かにきちんとした数字には出て来ないものだと私は考えます。ただ例えば労働条件、或いは事故の発生度合等を比較検討すると或いはわかつて来ると思うのです。大臣或いは局長さんは、ハイヤーというようなものは余りお乗りになつたことないかも知れませんが、一つハイヤーに乗つて見られて、そうしてぐんぐん走つて行く運転手にどうしてこんなに走るのか、そうして賃金制度はどうなつておるか、一体幾らぐらい月に収入があるのだ、何時間働くのだ、一回の勤務時間何時間なんだ、一昼夜だというようなことを一つお尋ねになると私は切実にわかると思う。これは賃金或いは労働条件は事故原因では余りないと言われることは、これは私は大臣としては、重大問題だと思う。大臣はそういう工合にその労働条件というものが事故の大きな原因になつていないということを確信を持つて言いきれますか。
  98. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今お答えしたときも、思いまするがと申上げた程度の確信でございますから、非常に怪しいものでございますが、同時に私はあなたと違うような話をこの間聞いたのであります。ハイヤーに乗りますると、それはもう自分がなぜあんなに危険を冒して縫つて出て行くのだろう、あんなことせんでもよさそうなものだが、親方の車だから壊れたつて構まわんというのだろうが、それも幾らか自分も賠償のうちに入るだろうがという話をして、或る人に聞きましたところが、要するに回数を多くして行くのはメートルで出るものは当り前なんだ。メートルの計算通りやれば、その人の定額賃金というものは、仮に一万円ならば一万円ということになる。それでまあ早く廻わつて、早くお客を降して、回数を多くする。そうすれば、八十円のを百円置いて降りて行く、二十円返えしますと言つても汽車に遅れると言つてつてつてしまうのだから、止むを得ずもらわないつもりでも入つて来るのだということで、それがだんだん殖えて来るのだから、回数を多くしなければ勤まらないのだ、これが腕なんだということを私は聞いたので、あなたのさつきのお話とは違うような例でございますが、まあそういうふうなことですから、実はどうも、又どういう約束で、小さい自動車会社で昔のように親方と運転手が二、三人で、二、三台でやつているタクシーならばこれは別でございますが、今のタクシーというものは、闇で中に入らざる限りは、相当多くの台数を持たなくちやならん。そこの会社と運転する人との契約において、そういう極端な状態には私はどうかと、私はまだ疑問に思いますけれども、これは確信ございません。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはまあ人間の問題、労働者の問題になると、どうも大臣と私と根本的に認識が違うようで、話がぴつたり来ませんが、これはやはり交通運輸関係はその大部分が人間の問題にかかつておる。従つて人間という問題を重点的に考えなければ、交通というものを安全にしろ、或いは適正な運営にしろということは私は考えられないと考えておる。そこでそういうような状況が更に又不当競争という、この間の話のむし返しのようなんですけれども、この点もちよつとお伺いしておきたいのですが、中村局長は、この免許をするときに、その方針として不当競争にならないようにというお話ですが、ところでこの不当競争というものの内容について、私はこれ又政府当局、或いは局長さんとはちよつと見解を異にしておるのですが、この不当競争の内容というものが、いわゆる運賃料金のダンピングということもありましようが、やはりその従業員の賃金、労働条件というものを比較検討するということも又不当競争の一つの要素を発見する要点だと私は考えているわけです。そこで先般は一松委員から、日本の労働者の一般の賃金状況とか、いろいろなことを仰せになりましたが、私は今の日本の労働者の賃金状況というものは決して、不満足と言つては何ですが、生活し得る十分な賃金だとは考えていない。そこでこういう不当競争の原因というものも、やはり事故と同じように労働条件の格差といいますか、非常に劣悪な労働条件という、こういうものから不当競争の原因も起つて来ると、こういう工合に考えるのですが、その点は大臣どうお考えですか。
  100. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 不当競争の場合には、やはりそこに使われております人たちの、そういうふうな賃金問題というものも勿論考慮のうちに入れなくちやならんと私どもも思います。考慮の中に入れ方の程度でございますが、一体経費の中のどういうふうな部面を人件費に使つているか、労務者にどういうふうに使つておるかということ等は、恐らくはそういう程度のものは出て来て、それを見て行くわけでございますが、一人々々何時間労働をし、どういう休暇を与え、どういうことをしておるかという細かいところまで入つて、これは人によつて、ダンピングをやつておるということを判定するというところまで、そこまで入りますのは少し行過ぎるのじやないかと思いますが、そういたしますと、今までやつてつた人、いわゆるその前に仕事をしておつた人が今度新規に申込んでいる、これが非常に労働賃金が安い、そうすると前のやつはどうだという問題になると、独占資本だつたのだから、これは少し世間の波より低かつた、これも不適格者ということになつてしまいますと、これはどれもこれも不適格者ということにその点からなつて来るわけでございますが、そこらの点は、私どもとしましては、今申したような程度のくらいなところで、全体の経費等も睨みの上で、この辺ならば、余り何と申しますか、極端に悪い状態でない、非常にダンピングをしているような程度のものじやないというところの大よその認定という以上のことは、ちよつと運輸省としては少し出過ぎるのじやないか、こういうふうに思つております。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは運輸省として、この自動車行政、或いはそういうようなものの監督指導される面から、この自動車業者、或いはそういう業者の労働条件、或いは経営内容なり、こういうものについてお調べになつておるのですか。或いはそういうものはお調べになつていないのですか。
  102. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 給与ベース、人件費という点を運賃の構成要素として検討するだけでございまして、それ以上の詳しい労働条件、雇用契約の内容というようなものには全然触れておりません。到底そこまで、今大臣お話もありましたように、触れることは運輸省の仕事ではないと思つておるわけでございます。それは又別の個所でやつておると思つております。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 この運輸省の関係云々ということよりも、私どもお尋ねしているのは、そういうものの監督指導の衝にあられるところの運輸省として深い関心を持つていなくてはならんということを申上げておるのです。従つてそういうものが今の大臣の御説明によると、労働条件というものは不当競争の原因に果してなるかどうかというような疑問をお持ちのようですが、そこから行くと、どうもこの労働条件というものに対して大きな関心を持つておられないような気がするんです。そこでこの問題については、一九五一年十二月十四日から十五日の間にゼノアのネルヴイで開かれましたところの内陸運輸労働委員会がございましたが、そこに明らかにこういうことがあります。「労務費が運輸費の重要な要素をなしている事に留意して運輸企業間の競争が労働条件の低下に乗じて追及され、斯くして運輸調整の公正な基盤を確立せんとする企てを覆えしてはならない事を考慮し、運輸業に「同一労働同一資金」の原則の適用が望ましい事を考慮し、一九五一年十二月十五日次の原則を採択する。」という一文があつて、運輸事業に対するところの労働条件は非常に重要であるということに関して、このような条項があるのですが、こういうものについて運輸省としては、これは深い関心を持つておられるかおられないか。それは単なる一つのILOの決定として聞きおく程度のものか、これをお伺いいたしたい。
  104. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その今のILOのお話は、先般の委員会で大倉委員から御指摘を頂いただけで、それ以前には実は知らなかつたのですが、よく研究したいと思います。なお労働条件については、運輸省はそこの所管ではないと申上げたので、関心は勿論持つべきだと思います。そこで具体的には東京のこのタクシーの問題なんかは、いろいろと労働条件が根本的には問題になつているということも感じられますので、この労働省関係のほうと、私のほうの陸運局と、それから交通取締をやる警視庁とが集つていろいろとその労働条件といいますか、経営に関するそういう細目に入つて懇談会をして、勿論経営者なり労働者が入つて懇談会をしたり、打合会をすでに始めているということを聞いて非常にいいことだと思つているのでございます。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題が運輸省に関係がない、他の省の関係だと言うが、ILOの今の決議ですね、私はそうじやないと思います。この決議をお調べになればわかるのですが、その第五項に明らかにこういうようなことがあります。「経営者が旅客又は貨物の運輸を行うにつき、許可、認可、特許を与えられることを条件としている場合には、上記第3号及び4項に規定する賃金(手当を含む)、労働時間及びその他の労働条件の遵守を保障する規定が既に存在していない際には、それら基準の遵守が許可、認可、特許の下付又は保留の条件とされるべきである。」、こういう工合に明らかにこれは運輸行政の担当を規定している要素が入つております。我が国は御承知のようにILOには正式に加盟をしておりますので、こういう条約については、これは当然行政担当官としては重要な関心を持たなければならないと思います。然るにもかかわらず、今の大臣の御説明によると、この条約の労働条件というものは不当競争の理由にはならないのだというような御認識を持つておられるようですが、これは非常にILOの条約と大きな開きがある、こういう点について私はどうも納得できないところがあるのですが、この点について大臣はどのようにお考えになりますか、この条約について……。
  106. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は今日初めて承わりますので、どういうところ、又どういう条件、どういうふうにしてありますか、私一つよく運輸省で勉強して、報告を取つておきまして研究いたしたいと思います。さつき申上げました労働条件は、許可、免許の条件にならないというはつきりした意味で、さつき申した程度のことは、許可の場合の不当競争云々という線の一部として考慮は勿論しておるし、余りひどいものがありますれば、勿論それが問題になるわけでございますが、余り深くまで掘り下げて、労働条件が今のお話のようですと、同じような条件でなかつたならば、許可なんかの場合には問題にすべきだということのように承わりましたが、その通りまで行けまするか、同じ条件というのはどういうところまでやるのか、どうも私どもにははつきりしないんでございますが、いずれにしても、労働条件が全然無視されておるということでないことはさつき私が申上げた通りでございます。どこまでもそれを深く掘り下げなくちやならんかというところに、私どもはさつき言うた程度までしか実は考慮に入れてないということを申上げたわけであります。なおよく一つ今のお話の点も研究いたさせまして、私も意見をきめたいと思います。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題については、考え方が私と根本的に違うし、ILOのこういう関係条約も一遍も見たことがないという。少くともその関係閣僚として、而も日本が正式に加盟しておるところのILOが、日本の政府代表もこれに参加しておるのですよ。政府代表も参加し、使用者代表も参加し、そして労働者代表も参加をして、そういうものが国際的に寄つて討議、討論をして作つたこの条約、こういうものを全然見たことがない。然らば、そうであるとするならば、ILOというのは、日本が正式に加盟するような、そんな努力をしなくてもよかつたはずだ。多くのドルを使つてのこのこと行かんでも私はいいと思う。日本が正式加盟に熱心に運動をして加盟をして、この会議に参加している以上は、この条約というものは日本の政府としても十分に尊重しなければならんと私は思う。然るにもかかわらず、これを全然知らなかつた、それから改めて目を通して協議しますじや、これはもう今ここで私が論ずる何ものの根拠もなくなつてしまう。今の例えば同一労働、同一賃金ということを取上げて言われましたが、これは確かにそういう文句が書いてあります。これを厳格に適用せいとは書いてない。この条約というものは各国共にそれぞれ国内事情も違いますし、非常にゆるい適用条約を作つておるので、一つの基準をここに条約でやつて、各国は各国の国情に適合するようにこれを適用するということになつておるのです。これはよく、これからでも遅くないから一つ研究してもらわなければならんと思うのですが、要するにこの条約の内容というものは、ともすればこういう簡単にできる運輸事業、簡単に開業できる運輸事業というものは、そして又その大部分の基礎を人間というものに、労働者というものに置いておるというような事業にとつては、いわゆる労働者のそういう賃金或いは労働条件の犠牲において不当競争をする虞れが十分にある事業であるということをILOでも認識をして、そういうような場合にはいわゆる公益性にも反するし、そうして経営も又従つて不健全な経営になり、延いては社会的に非常に有害なものになる。従つていわゆるこの競争というものが不当な競争に陥らないようにするのは、やはりこの大部分を占めるところの労働条件というものに大きな関心、考慮を払わなければならん。こういう趣旨の下にこの条約が作られておる。従つて私はこの条約を一つ政府の閣僚として十分読んで頂いて、研究して頂いて、そしてやはりこれに合うような、合うというのはおかしいのですが、この趣旨に副うような運輸行政一つつて頂きたいと、こういうことを特に希望しておきます。
  108. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 先ほどの大和委員高木委員との質疑応答に関連して二、三の質問をいたしたいと思います。  先ず先ほど自動車局長が、自家用の営業行為或いは営業類似行為の監督について大分困つておられるような答弁があつたのでありますが、この局長の答弁の趣旨によれば、類似行為が特定の車両主であるかのようにその答弁が理解せられたのでありますが、そういうことであれば、この問題が発生してから今日まで大分時間がもうたつておりますので、そろそろもうこの問題に解決を与えても遅くとも早くはないという時期ではないかと思う。そうかと言つてこのまま打つちやつておくのは監督行政上よろしくないんじやないか。さように考えますので、の解決案の一つとして、運輸省はその類似行為をする者に営業権を与えて営業者としての活動をさせて、その代り営業上の税金なり、その他の負担をせしめて行くといつたような方針をとられる考えがあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  109. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自家用トラツクの常業類似行為の取締に手をやいていると申上げましたが、お話のごとく特定のものと大体わかりますので、たび重なる検査のときに大体その相手方がわかつたわけであります。それらに対しては処罰、制裁といたしましては、一等ひどいのでは車両の使用停止、これを数カ月に亘つてし、又その間にナンバーの取上げもしております。又事情の軽いものには戒告をしておる。併しながらそういうことでは根本的に解決されませんので、止むを得ず営業類似行為をせざるを得ないのであるか、事情をとくと調べると気の毒な事情にあり、そこに営業トラツク会社も少く、車も配置されてない。荷主は非常に困るから荷主の要望が非常に強い。又トラツク所有者の側としては、資力、信用が認められるというよう場合にはむしろ免許をやるべきであるという考えを積極的に持ちまして、昨年頃からはどんどんともう免許を与えておるわけでございます。而もそれについては、経営規模が十台とか二十台とかいう高いことを言わずに、極端な場合には二台でも、三台でも免許を与えて、すでにそういう会社なり、場合によつては個人ですが、各地にできておるわけでございます。そこで今までのそういう営業類似行為者に対してはだんだんと問題が解決し、いい者には免許を与え、悪い者はこれを取締るということで進んで来たのでありますが、私は心配されますのは、その跡を絶たないということでございまして、折角今までのものを整理して、そういう軌道に乗せて参りますと、又新らしく不心得の人が出て来て車を勝手に買うのは自由でありますから買つて、同じことをやり出し、跡を絶たないのが困つておるわけでございます。そこでそういうような初めから免許も持たず、又免許を取る資格もない者が全く営業をやるつもりで自家用を買うという人に対しては、最初にそれをお断りして禁止したらどうかという考え方があるわけでございます。これは自家用自動車を所有することを制限する、禁止するという考え方でございますが、これは現在の憲法その他の考え方で所有権の自由ということを認められておるわけでございまするから、それを不当に侵害することはいけないと思いまするので、そういう方法はとりたくない。又そのためには、先ほど議論になりました陸運事務所の末端の職員を殖やさなければいけないという意味から、是非そういう方法はとらずに、何とか軌道に乗せて行きたい、かように思つております。そういう意味からなかなかやりにくいことであると申したわけであります。
  110. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この問題は解決を更に講じて行かなければならない問題であると思いますが、大体において了といたしまして、次の質問に移ります。  それは車両検査行政であります。私は大体において車両検査行政は今日の通りで十分にいい結果が出ておると、かように思いますが、ただ車両検査を申請する間際になつて車両主は急いでこの整備をする結果、その期間が余り遅れますと、従つて不備な車両で運転しておるという実情もありますので、その辺を御勘考の上車両整備にお当りになつて頂きたい。  その次に、それに関連いたしまして、整備行政の点でこの運輸省の成功を自動車局長は揚言せられましたが、私も確かに自動車整備行政は運輸省のやり方がよかつたということを認める次第でありますが、それはどういう原因かというと、その原因の一半は、運輸行政がうまく行つたと同時に、又運輸省の態度が、いい車をたくさん輸入したからだ、ぼろ車を排除して、いい車をたくさん輸入させたからだという原因も又同時に大きな原因であろうと思う。そこで先ほど高木委員質問せられましたのに答えて、大体本年度は四千台の予算考えられておるようでありますが、この四千台がどういう方面に割当てられるのでありますか。その割当方針について、公平なる監督行政という観点からいたしましても多少の関心を持つのであります。お答えを願いたいと思います。
  111. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 最小限度の外国自動車は是非輸入して行きたいと思うのでありますが、その輸入した車を割当てる方法につきましては、二十八年度下期は、御承知のように営業用重点ということでいたしましたが、これについては、その結果についてもまだいろいろと問題も考えて来ましたので、必ずしも営業用に重点を置くということでなくてもいいのじやないか、自家用でもどうしても必要な部分があるわけでございますから、車そのものが回収車なり中型車以下の必需品であるならば強いて自家用を排除する必要もない。要は必要な所に行き渡るようにすることだと、かように考えております。
  112. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 つまりその結論は自家配達用のみならず、自家用車にも割当がある、かような考えでありますね。
  113. 中村豊

    政府委員(中村豊君) そうしたほうがいいと思うわけであります。
  114. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 了承いたしました。
  115. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は先ほどから局長並びに政府委員各位のお話を承わつておりましたけれども、陸運関係の人員を減らすというようなことは、大臣も御答弁の中に、止むを得ずというようなことを言つてつて政府の緊縮予算の中から止むを得ずやることであつて議論する場合にも、又実際を我々が見る場合にも、全般的ないわゆる人員の整理という問題に対しては別な角度がありましようが、この陸運関係に関する限りにおいては、少し私は無理ではないかというように考える。大臣或いは局長が各地方においでになつたことがあるかどうか知りませんが、地方の陸運関係自動車の検査なんということは非常な無理をしておる。勿論局長の言われるように機械が整備されて、そして機械力によつてこれがカバーできるような段階に来ていればいいが、併し、これからやろうというときに、先に人を減らしてあとから機械を備えるということは、まあ泥繩式になるというか、非常に危険な段階に陸運関係があるのじやないか。これは陸運関係ばかりでなく、運輸省全般に亘つてそういうことが言えると思うのでありますが、特にこの陸運関係の現場の検査官を減らすというような考え方は無謀に近い考え方じやないかと私は考えておる。先ほど局長の言われた車体の検査によるところの事故が漸減しておる数字が挙げられましたが、どこの数字であるか更に教えて頂きたいが、私ども考え方から行くと、例えば長野県の例を見ても、新潟から来る、或いは長野から来るというような形で、その人たち交通費もなくそして人手もないというような状態に苦しまれておるのが、殆んど全国の陸運関係の実態ではなかろうか。勿論政府の大方針の下に人員整理なり或いは機構改革なりをやらなければならんことは当然であります。けれども、こうした現場に働く人たちを一人、二人減らすというようなことよりは、もつとほかに運輸省としても、予算から来ることでありますが、思い切つた別な処理方法があるのじやないか。冗費の節約も結構でありましようし、余り触れたくはないが、運輸省関係としての、現在の日本におけるところの疑獄が運輸省に関係したのが一番多い。余分な金がある所があるのじやないか、こういうようなことを考えて来たときに、今の陸運関係の人員を減らすというようなことは、私は再考をすることが必要じやないか、このように考えるのですが、その点、大臣なり局長はどのようにお考えになつておるか。今までの議論では、やらなければならんのだというようなことは説明の中ではわかつています。併し何か大臣も局長もほかに削れる所があり、ほかから生み出すような所があるならば、この面は削らんでもやつて行けるのだというような感じがしないでもないようなことを言われたのです。以上お伺いしたいと思います。
  116. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 地方の局の人員整理問題は、さつきからもういろいろ申上げましたので私の心持は尽きておると思うのでありますが、今度の行政整理におきまして、中央、地方を通しましてできるだけ相当広く人員の整理をし、行政費の節約をするという一つのあれになつておるわけでございまして、これをやめてほかのほうを減らすというようなら、減らし得るような所はほかのほうも一応も二応も当つておるわけでございまして、地方としては、ここの仕事はほかよりも忙がしいというところはこのくらいだというので、説明を、それぞれの省それぞれの局において主張し、説明をいたした結果、この数字が出て来ておるのでございまして、私は先ほど、まだできるならほかのほうで、こいつは残すことができるなら残しておきたいと聞えるとおつしやつたのは、今は止むを得ず削つたのは、今の仕事をそのままやつて行くのにはこれだけどうしても要るのだけれども行政整理という大きな旗印しの下に全面的に全国的に全機構に人員を減らすときには、これは止むを得ずこれだけの人間を減らすのだ、それにはこの人たちの仕事ができるように、そしてより有効に仕事を運んで行くようにするにはどうしたらいいかということを、我々はここで工夫をして行かなければならない。そのつもりであり、又そのことについては私どもは責任を持つのだというお返事をいたしたのでございまして、私どもはそのような心持でこの実行に当つて行きたいと思つております。
  117. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 只今大臣から説明申上げた通りでございますが、どうしてもできないことを決して我々は引受けない、承知しておるわけではございませんので、この程度ならば先ほど縷々申上げました方法によつて対処して行けると、かように信じておるわけでございます。なほ念のために整理率を申上げますと、これはほかの一般行政整理の公務員に対する割合よりは遥かに少いのでございまして、陸運局においては一五%、陸運事務所においては五・七%、特に車両検査はそのうちでも少くて三・九%というふうに減らしてございます。まあここまでならできるということで、ここまで引下げたわけでございまして、ただ天引に二割減らすというのをそのまま引受けたのじやなしに、仕事のやはり十分めどをつけて引受けておるわけでございます。
  118. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 先ほどの資料のことは……。
  119. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それから資料につきましては、これは運輸省が最も関心を持つております事業自動車、つまりお客さんなり賃物を載せて営業しておる自動車についての重大事故、支障を起した事故というものに限つておるわけでございます。支障を起さないような事故、或いは自家用に関する事故については、警察の取締になるものでありますから、私どものほうは警察からの報告なり連絡で知るだけでございますので、その原因別は、こちらでは責任を持つていないわけです。事業自動車の重大事故についての原因調査でございます。
  120. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうしますと、警視庁の数字ではなくて、運輸省で取つた数字だということですね。
  121. 中村豊

    政府委員(中村豊君) さようでございます。警視庁はこれは東京管内でありますから……、警視庁は東京都内に関する全事故でありますが、これは「全」ですが、全自動車ではないわけで、そこに範囲が違うわけでございます。ですから国家警察がまとめた全国の自動車事故の統計、或いは警視庁管内の、東京都内の全自動車の統計というものは別にあるわけでございますが、これはそのうちの一部分である。尤も、併し、重要な事業自動車の重大事故、但し全国というわけでございます。
  122. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 これは中村さんが、まことしやかに説明する数字に私はけちはつけないけれども、今言うような内容数字であろうと私も察しておりました。これは五大都市を中心とする最も繁華な所を逆にとつてそして見なければ事故の率はわかりませんし、それから一松さんの御意見などとは少し違うかも知れませんけれども、やはり一番多いのは自動車の欠陥から起きる事故が多い。そして大きな事故が一番多い。技術者の拙劣な点からも起ることもありますし、不注意の点からも起るのもありますけれども、そういう場合の処罰とか処置とかいうものは交通取締法なんかに出ておる。ところが自動車整備が不完全なために起きた事故は比較的緩慢で処罰も緩慢である。これは否応なしに自動車整備も完全にしなければならぬ。強化もしなければならない。強化するというのは何かというと、先ほど来言いましたように、民間にやらして、民主的な方法でやつたらどうかというお考えもある。私どももそこまで業者が進めば結構ですが、命がけでとんで歩いている運転手は、先ほど大倉委員も言われましたように、一日幾ら稼ぎがなければならない。会社に幾らを納めなければならないというような無理なやり方をしている面やら、或いは車の整備の部分やらから起きて来る事故が一番多いように考えておりますので、私は飽くまでこの陸運関係の人員は減らしてもらいたくないということ、そうして機械の整備化ができたら、整備化ができてやるならば結構ですが、そういう進歩的な方向に進んでもらうようにお願いして、一応この問題はやめておきます。  更に、大臣が来られましたので、私二、三回委員会を休んでおつたので、やはりその間にいろいろあつたことと存じまするので、重複するかと思いますが、ただ一言お伺いしておきたいことは、御承知のように衆議院の予算委員会、或いは法務委員会その他関係方面で汚職といいますか、不正事件が取上げられて議論されておる。その議論をされておる中を見ますると、大蔵省関係のものもたくさんありますが、遺憾ながら運輸省に関係しておるものは非常に多い。造船疑獄、或いは鉄道会館問題、交通公社或いは弘済会乃至は航空関係のこともあるかも知れませんが、そのようにたくさん運輸省に疑獄といいますか、不正の問題が起きているわけです。これに関しまして、大臣のその都度の答弁を拝見しておりまするが、その答弁内容等から行きますると、何かもう一歩進んで、大臣自身が運輸省内におけるところの方針を一つ自主的にやることがあるのじやないか。従つて言い換えますならば、運輸省の中に起つているところの汚職というものに対して、どのように調査をなされているか。自発的な処理というものはどういうふうにしているか。或いは起つた現実において、将来大臣はどのようにこれをやろうとなさつているのか。一言運輸委員としてお聞きしておきたいと思います。
  123. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ちよつと議事進行について。大臣に対する質問で、非常にお急ぎの質問があるというので、一応私、保留したのですが、ちよつと関連して……。
  124. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 いや、これ一つです。これが急ぎの質問です。
  125. 前田穰

    委員長前田穰君) じやこれを一つ先に答弁願います。
  126. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) その問題はよく聞かれる問題でございまして、先ず私どものほうの省内に起りました不祥事件で誠に申訳ないことでございます。恐縮いたしております。私どもといたしましては、運輸省を中心にして、黒雲が覆いかぶさつているように、今おつしやるようないろいろな問題が、あれやこれやと問題になつております。併し私どもが運輸省におりまして、自主的にどう調査するか、又それにどう善処して行くかという問題になりますと、私はまあ表向きのこと、例えば交通公社を問題にしますれば、私どものほうから海外宣伝のための補助金が出ている。それが適正に使われているや否やという問題、そのほかの関係は、私の鉄道を通しての、もう一つ先の問題でございまして、殆んど手さぐりのような状態でございますが、私のほうの直接の事業行政事務の関係での海運の問題等にいたしましては海運関係、造船関係人たちに、全般的な話を聞くという以外には、起つております問題は、事、私どものほうの力でどう調べるとか、又どう処理するとかいうことのできない範囲のことだと思うものでありますから、ただ心を痛めて、一応こういうものがどんどん調べるものが調べられて、大よその線が明僚になつて、そうして造船にすれば、次の第十次造船というものについての予算も、私ども提出いたしているのでございます、こういう仕事が滞りなく進行する、そういう本体の仕事がいいということであるならば、いい線に沿いまして、そうして今までやつて来ましたのは、昨年よりは今年、今年よりは来年と、だんだん扱い方もなれ、扱い方も上手に、扱い方もより公正にだんだんなつて来ていると、私は信ずるのでありますか、更に来年度の造船をやる場合におきましては、もつと何かいい方法はないかということを、いろいろ見なければならないこともあるし、皆さん方の御意見等もその中に織込むだけ織込んで、そうして立派な明るい下で、計画造船を続けて行きたいと、こういうふうに思つているわけでございまして、いろいろ問題が次から次に伝えられるものでありますから、ともすれば運輸省の中の空気が沈滞し勝ちになるものでございます。本体の仕事をしつかりと、かねてよりはもつと元気を出して、どんどん仕事をして行かなければならんということで、皆を励まし、そうして仕事を運んでいるわけでございます。まあ私といたしましては、省内に対する人事の問題、その他機構の問題等についても、考えていることなきにしもあらず、これはもう少し様子を見まして、私の責任において万事やつて行きたいと思つております。
  127. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 許認可事項について、三点私お伺いいたします。第一点だけを大臣の御出席中にお伺いします。この許認可事項の第一点は、国鉄バスと民間バスの問題でありますけれども、今国鉄は非常に厖大な資本を持つでおりますので、民間バス、殊に弱小民間バスとの競争状態にあります所は十分に、民間業を圧迫しないような方針で許認可しておられるということは承知いたしておりますが、さて認可した後の実情を申しますと、例えば一定区間について、民間の大型貸切バス、観光バスが一万円取つておるものを国鉄バスは六千円で行つているということもある。そういつた料金差が現実に行われておるという実情に鑑みまして、国鉄の組織、資本金、それらを勘案いたしますと、例えば国鉄から、この前も大臣質問したわけでありましたが、国鉄の税金等、その固定資産、或いは又収益に応じた税金等を民間と同じような基礎の下に納める。その代りこの国鉄バスは公共性に基いて営業した結果、赤字は一般会計から埋め合せるといつたよう方法に、民間バスと国鉄バスと同じレベルにおいて競争状態に立たせるならばわかつているのでありますが、そのような同じレベルにおくということがむずかしい実情であるとすれば、そこにやつぱり許認可のときに十分にそれらの点を勘案して、民間バス業者との間に競争状態が起きないように、殊に不当圧迫がないように許認可に当つては更に一層の注意をせられますると同時に、許可認可せられた後においても監督を厳重にして頂きたい。かようにお願いいたしておきますが、その点についての答弁自動車局長からで結構でございます。それからあとの二点は大臣の御出席を私としては必要といたしませんです。  第二点は狭い道路に大型バスが東京都内、東京以外でもそうでありますが、許されている、通つておりますが、これは十分に一つもう一遍考え直してもらいたい。すれ違いさえも車両、の往復交換さえも不便である。バツクしなければお互いに交換できないような所が非常に、道路安全という点において考え直さなくちやいけない実情にあると思います。この点も将来許認可に当られて十分考えると同時に、すでに許可してある路線に対しましても御再考を煩わしたいと思います。その点に対する自動車局長の御答弁。  それから第三点は、許認可の事務でありますが、非常に非能率的である。申請してから六カ月乃至十カ月たたないと許認可或いは却下という結果が生れて来ない。これが若し民間の業者であつたならば、てきぱきと行こうと思います。又その原因としては、事務の捌き方もさることながら、印鑑をたくさん捺さなければならん。非常に捺すべき判がたくさんあつて煩雑であり、又関係官が捺印しても殆んど内容など見ない。題目だけちよつと見て判を捺す。俗にいう盲判式で判を捺すといつたような煩雑さがある。判を捺すばかりではない。事務をとるのを見ておりましても、もつと作文を簡略にし、議案を簡略にしたり、或いは持ち廻りでどんどんてきぱき事務が捌ける、民間業者から言いますと、役所の事務の煩雑さを考えさせられるので、その点も今後十分の御改革を願いたいと思います。以上の点について……。
  128. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 国鉄バスと民間バスに料金差があるというお話は、大型貸切については、昨年の初め頃まではさような事例があつたのでございます。これは我々の本意ではございませんので、国鉄の末端に対する本省からの申達が徹底していなかつたことを発見しましたので、厳重に国鉄の告示で以て民間バスと大体同額の運賃を励行するようにという示達をしましたので、それ以後は正式にはそのようなことはないはずでございます。若しあるとすれば、これは違反でございますから、厳重に取締るつもりでございます。  なお国鉄バスに対する税金も課して民間と同じコマーシヤル・ベースにおいてするならば競争もいいけれどもということに関しましては、これは根本問題で、国鉄の性格にも関係することでございますので、私限りでは御答弁できせんが、それができなければ、十分に民間を助長させたり、国鉄に対しては許認可について十分注意しろという御注意は御尤もと思いますので、そのようにしているわけでございます。  第二点の狭い道路に大型車を通すということは、これは成るほど各地で確かに困つた問題が起つているのでございます。これは実はあつといううちにああいう状態になつてしまつたのであります。というのは、戦後だんだん燃料が自由になつて来まして、軽油も使用が自由にできるようになりました。ところが軽油の使用のほうが経費節約上、燃料節約上よろしいということで、軽油、つまりヂーゼル自動車が非常に急激に勃興したわけでございます。ところが御承知通りヂーゼル自動車は大型であればあるほど能率的になり経済的価値がよろしいわけなので、ヂーゼル自動車が、発達するということは、大型が急に殖えたことになるわけでありまして、道路との不均衡が起つたわけであります。それでこれについては、今後は車を大きくするについては十分に注意して、一々道路管理者の意見を聞いて、道路管理者の同意がないと現在認可を受けている車よりも大きくすることはできないようになりました。併しながらそれは今後のことでありますので、従来すでに通つているものについての不均衡につきましては、一つとくと研究したいと思います。これは実は先般衆議院の予算分科会におきましても、主として建設省に対して、関連して運輸省に対して、道路自動車との均衡がとれていなくて、非常に大きな自動車が通るために道路を壊したりするから、その関係を十分に注意しろというお言葉もございましたので、近く建設省と私のほうと又警察のほうとで集つて根本的に考えて行かなければいかんと思つておりますので、その一環に考えたいと思います。  それから許認可の事務処理が遅いことは絶えず御注意を受けますので、その都度注意しておるのですけれども、いつの間にか自然に又なつてしまう、又判この多いことも絶えず整理する、と又殖えるということで、何度御警告を受けても受け過ぎることはないと思いますので、注意いたしたと思います。ただ制度上道路運送委員会なんかがあつたとき、従つてその公聴会があつたときよりは、先般の改正で以て少し事務は簡略になりますから、最近は前よりは少しは早くなつたと信じておりますけれども、なお御注意のほど、努力をいたしたいと思います。
  129. 一松政二

    ○一松政二君 一ことだけ、もう五時になりますから……、今の植竹さんのお言葉は、大型バスというようなふうに聞きましたが、私の最近の下町で大きな営業用のトラツクが狭い道路を入つて来てですよ、往生しているんだ。私自身がもう毎日それを経験している。それともう一つは、道路取締を一週間なり十日間なりやつて、やつている時でも道路を非常に問屋などが占有している。殆んどもう、これは取締のほうですから、あなたのほうじやないかもしらんが、この道路を我が物顔に自動車が使つておる。殊に営業用の大きなトラツクが狭い……今植竹さんが言つたように、交叉も何にもできない。私は事務所が最近日本橋にあるもんですから、殆んど毎日そういうことを経験してにがにがしく思つているんです。それが運転手が不心得で、遠慮した気分でやつていればいいが、当然のごとく自分の所有地でやつておるかのごとく、うしろからぶうぶういわしておる、いわしておくほうが悪い。ちよつとよけて通してやるというような、或いはできるだけ片隅へよせてやるというような心掛けがあればいいけれども、そういうものもない者が非常に東京都、特に下町の方面に横行しておりますから、これは一つ業者に注意を与えると同時に、私はこの取締の部面も甚だあきたりない。その点についてこれは運輸省の管轄でないと言えばそれまでですが、どうも各地の交通の取締が非常ににぶい。それが又非常に事故原因になつている。そういうところへ持つて来てたまたま無免許の……今のオート三輪とかなんとか、私は自分の自動車に二、三遍引つかけられたことがあるが、ことごとくそれが無免許なんです。そういうのが狭い所を縫つてつて来る。そういうことに対しても一つ何かの機会にそういうことを大きく今後注意するような方面に運用をしてもらいたいということを申上げまして私の発言を終ります。
  130. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会