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政府委員(
荒木茂久二君) 来年度の航空に関する計画の概要を御
説明申上げたいと思います。
運輸省としましては、一昨年本年度予算を要求いたしまして昨年来
考えておりますことは、航空路網の拡充と、それから空の
交通航空管制を
日本側において行う、即ち室を
日本の支配下に置くということ、それからもう
一つは、乗員を養成して
日本人のパイロツトを作り上げるというこの三つを
中心として努力して参
つたわけでございます。
第一番目の航空路網の拡充でございますが、これは国際線と国内線と二つに分れるわけでございます。国際線のほうにつきましては、諸般の準備が整いまして、御承知のように二月の初めからサンフランシスコと沖繩までの
航路を週二回開設いたしたわけであります。ところが御存じのように現在東京に乗入れて来ております外国航空
会社は十一社あるわけでございます。ところがこの十一社がパン・アメリカンは週六回、一番少いのがエア・フランスの週一回でありますが、これがいろいろと回数を増すという希望を持
つているのでありますし、或るものはすでに正式に増便の申請書を提出して来ているものもあります。そのほかに新たに
日本に乗入れて来ようということを希望して条約の締結を申入れて来ているもの、或いは条約締結前にもう航空局の許可を得て乗入れたいというようなものが相当にあるわけでございます。相当具体的な話とな
つておりますものについて申上げましても、イタリア、パキスタン、インドというところでございます。そのほかベルギーからも強い要望があるわけであります。これは又非常に意外なところでありますが、アイスランドからも申入が来ているような次第でありまして、ますます羽田に乗入れて来るものが多くな
つて来る
状態であります。かくして次第に地盤ができまして、
日本が伸びて行くのに、一年たてば一年だけ不利な
状態にな
つて来るわけでございますので、できるだけ早く一応国際航空路網を整備したいと
考えているわけでございますが、相当の資金を必要といたしますので、遺憾ながら一挙に進むわけには参りません。二十九年度におきましては、サンフランシスコまで伸びました路線をブラジルのサンパウロまで伸ばし、それから西のほうはパキスタン
程度まで行きたいと
考えておりましたけれ
ども、現地の
実情では、先ずバンコツクというところまでにとどめざるを得ないだろうかと
考えております。再来年度におきましては、できればこれをロンドンまで伸ばしたい。又折角条約ができております。これに従いましてシンガポール、ジヤカルタの
方面にも伸ばしたい、こう
考えておりますが、これは将来の計画でございまして、来年度におきましては、先ほど申上げました二線を開設したいと
考えているわけでございます。
国内線につきましては、現在日航が飛んでおります路線以外に大阪・高松・別府・福岡、福岡・熊本・鹿児島、東京・新潟、小松・大阪、千歳・釧路、千歳・稚内、こういう路線を開設したいと
考えましてそれに必要な予算の要求をいたしたのでございますが、これにつきましては御存じのように緊縮予算の年でもあるので、一年待てないわけはないというわけで遺憾ながらこの予算は認められなか
つたわけでございますから、国内航空につきましては来年度は遺憾ながら新たな路線を開設するということができないわけでございます。
次に空の何といいますか、
日本の空は
日本人の手によ
つてコントロールするという体制を作りたいという問題であります。これは御存じのかたもあると思いますが、現在飛行機が飛びますのはどこまでも飛ぶというわけでございませんで、十五マイルの幅のところを航空路を指定しておきまして、そこを飛ぶことにな
つております。
従つてその路線の下にはビーコンを付けまして飛ぶという建前にな
つております。
従つてそれを出て行きます前には一々フライト・プランを出しまして高度は幾らというふうに指定しまして、出て行く時間も指定いたしまして空中の衝突を避けるという体制をと
つておるわけであります。空に道ができておるわけであります。その道の管理というものが目下駐留軍によ
つて行われておるわけであります。
従つてそのコントロールは全部英語によ
つて行われておりますために、
日本のパイロツトでは飛ぶのに非常な困難をするという
状態であります。そこで向うと話合いをいたしまして、
日本側が空の航空
交通管理を完全にやり得るという体制を整えたと両当事者間において認定したときにこれを
日本側に移す、こういう約束にな
つておりますので、一昨年度十八名、本年度百五名の増員を頂きましてその
訓練をいたしておるわけでございます。なお相当数を要するわけでございますので、今年度は六十名の増員を認められましてこの
訓練をいたすわけであります。これだけのものが約一年を要しますが、一人前になりますというと
日本語で飛ぶことが、それでもまだ完全に我がほうの手にコントロールの力が移るというわけではございませんけれ
ども、
日本語で飛ぶことは相当楽になると、こう
考えるわけであります。
次は乗員養成の問題でございますが、申上げるまでもなく
日本人がパイロツトとして或いはナヴイゲーターとして、フライ・エンジニアとして優秀な素質を持
つているということはすでに太平洋戦争中の実績その他から十分立証されておるわけでありますが、七年余のブランクがあります
関係上、航空法が非常に進み、特に航法、飛ぶほうの体制がすつかり違
つて来た、飛行機も大型にな
つて来たというようなことからして直ちに現代的航空に間に合いませんので、これを
訓練するということが必要なわけでございます。そこで昨年度三千万円、本年度当初五千万円でありましたが、節約を受けまして四千五百万円の補助金を受けましてパイロツトの養成補助をいたしておるわけであります。これでは足りませんので、来年度は乗員養成所を作るということになりまして、僅かに一億五千万円の予算を認められまして宮崎の飛行場で開始することにな
つたわけであります。その内容は、何千時間か飛んでおります既経験者に三カ月の再
訓練をいたしまして、一応上級事業用の免状を与える、即ち定期航空のパイロツトになれるまでの
訓練をする、こういう計画であります。その数が僅かに三十人でございます。それから終戦以来今日まで新らしいフレツシユマンの養成をいたしておりません。
従つてそこに年齢的断層ができておりまして、相当金をかけて新たに
訓練いたしましても、もうすでに三十を過ぎた人ばかりでございまして、寿命も短い、その年齢的断層を補うという
意味において新人を十名でございますが採りましてこれを
訓練して、二カ年間で上級事業用のパイロツトにまで行くという計画であります。以上が航空局としまして多年といいますか、この数年来
考えておりました項目を逐次実現して参
つて来たいきさつを申上げましたが、同時に来年度予算において認められたことを申上げたわけであります。
なお日航の予算は、日航の資本金は官民おのおの十億円で、二十億円でございますが、来年度におきまして更に倍額を増資して、その半分の十億を
政府出資にするという予算が提出されておりますが、
政府出資でございますので、大蔵省から直接に日航のほうに出資されますから、
運輸省所管の予算には計上してございませんが、そういうことにな
つておる次第でございます。