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政府委員(
植田純一君) 鉄道監督局関係の御
説明を申上げますが、御承知の
通り国有鉄道それから民営鉄道、鉄道車両工業に関します事項を所管しておるわけでございまするが、詳細につきましては、お手許に鉄道監督行政の現状という
資料を配付してございますから御覧頂きたいと存じます。なお、全部を御
説明申上げておりますと相当長くもなりますので、このうち特別に抜出しまして御
説明を申上げたいと思います。
先ず鉄道車両工業の現況でございますが、二十一頁でございます。鉄道車両工業につきましては、主な車両メーカーは二十社、二十三工場ございます。これの年間設備能力は、金額に換算いたしまして約六百億円、稼働能力は約四百億円でございます。二十七
年度の生産額は約百七十億円でございますので、稼働能力に比較して見ましても五〇%に満たないような状況でございます。二十八
年度におきましては、受注額におきまして約二百五億円の予定でございます。この鉄道車両の需給状態は、戦前におきましては国鉄が四、輸出が四、私鉄が二、かような割合であ
つたのでありますが、終戦後は国内需要が主でございまして、二十七
年度におきましては国鉄が七、輸出及び特需が二、私鉄が一、かような割合にな
つておるのでございます。今後この鉄道車両の輸出という面につきましては、極力これを伸ばして参りたい、かように存じまして、この企業の合理化ということを強く主張いたしておるわけでございます。鉄道車両の輸出の状況は、二十七
年度の契約実績は二十四億七千四百万円という状態でございましたが、二十八
年度におきましてはいろいろ各
方面に
努力をいたしました結果、非常に伸びて参りまして約二倍以上の五十四億七千六百万円、一月末現在でかような成績を示しております。
造船に次ぐ輸出としまして重要な業種にな
つておりまして、この輸出を今後ますます伸ばして参りたい、このためのいろいろの方策を
考えて参りたい、かように存じておるような次第でございます。
次に国鉄の関係でございまするが、国鉄の関係につきましては、先般国鉄の経理局長からも国鉄の現状につきまして詳細に
説明がありましたところでありますので、大部分省略させて頂きたいと思いまするが、このうちの国鉄の新線建設につきましてでございまするが、この国鉄の新線建設につきましては、本
年度当初は九十億の
予算を計上いたしておりました。途中補正で七十一億くらいに削減になりましたが、本
年度着工いたしております線が合計で三十線、約八百八十一キロの工事に着手いたしておるわけでございます。本
年度中にこのうち六線完成の予定でございます。現在までに四線が完了いたしまして、この三月になお二線が完了いたす、かような予定にな
つております。従いまして二十九
年度に引継きます工事は二十四線になるわけでございまして、この二十四線を経済速度で実施いたしまするといたしますと約百十億の
予算が要るわけでございます。実はこの百十億の
予算を要求したわけでございまするが、
政府の
財政規模の縮小の方針もございまして、この資金の関係で二十五億ということで現在
予算に計上いたしまして御審議を願
つておるような次第でございます。ただこの二十五億ということで具体的にどういう建設計画をやるかということを現在検討中でございまするが、実はなかなかその案が立たないような状況であります。と申しまするのは、二十五億でこの二十四線を予定
通り遂行できないということは勿論のこと、どうも細々ながらも継続が困難である、即ち
年度途中で自然に打切りにな
つてしま
つたり、或いは中には仕事をストツプしなければならんというような線も出て来るような状況でございまして、こういう事態を極力なくしまするように、何とか細々ながらでもこれを継続して参りますように、現在その方策につきまして目下検討いたしておるような次第でございます。なおこの建設費の
予算につきましては、実は国鉄
財政の現状からみまして、
政府出資で是非やるようにして頂きたい、まあかような
考えで百十億の
政府出資ということを当初要望いたしたわけでありますが、なかなか
財政の状態から申しまして到底
政府出資ということが受入れられない、まあ止むを得ずこの点につきましては実現ができなか
つたわけでありまして、この
政府出資ができない場合には、せめてこの
建設線の利子の補給という点につきましても協調いたしましたようなわけでございまするが、この点につきましても遺憾ながら実現をみなか
つた、かような状況でございます。
次に私鉄の関係でございますが、私鉄の関係のうちにおきまして、昨年の国会で成立いたしました
地方鉄道軌道
整備法によりますところの補助を二十九
年度の
予算におきまして要求いたしまして、まあ初めて計上にな
つておるわけでございます。御承知の
通り北海道に関しましては、北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律というのがございまして、実はこの法律も今度の
地方鉄道軌道
整備法に吸収されたわけでございまするが、本
年度におきましても約一千万円近くの補助費が実は計上されておるわけでございまするが、
地方鉄道軌道
整備法といたしましては、北海道の従来からございます分も含めまして相当多くのものを実は要求いたしたのでございまするが、新規補助に対しまするところの非常に厳格なる査定の方針もございまして、二千五百万円ということに相成
つております。この二千五百万円の具体的な補助の対象につきましては、現在
政府部内におきましてなお実は打合せ中でございます。従来からございますところの北海道の鉄道のほか、新たに
地方鉄道軌道
整備法の対象として補助の対象になります鉄道は、法の趣旨に沿いまして極めて厳重に審議いたします関係もありまして、極めて少数なものになるのではないか、かような見通しでございまするが、現在具体的に検討中でございます。
次に鉄道鉱害復旧費の補助でございますが、特別鉱害復旧費補助といたしまして、二十六
年度以降毎年計上されてございます。これは戦争中の石炭濫掘に基因する鉱害復旧に対しますところの補助でございまして、二十九
年度におきまして四千百万円を計上いたしております。なお実はこの鉱害に関しましては、先に申しました戦時中の石炭濫掘に基因する鉱害復旧、いわゆる特別鉱害復旧臨時措置法によります補助のほかに、それ以外の
一般鉱害につきまして、臨時石炭鉱害復旧法というものが
昭和二十七年に制定されまして、この
一般鉱害につきましても、国の補助によりまして復旧を促進するという建前にな
つておるわけでございまして、鉄道関係におきましても、先の特別鉱害のほかに、この臨時鉱害の復旧につきましても、実は当然その対象となる鉱害がございますので、実は補助を要求いたしてお
つたわけでございまするが、この
一般鉱害に対しましては、実は
政府部内におきまして鉄道に対する補助は話がまとまりませんで、その
予算の計上に至らなか
つたような次第でございます。かような状況にな
つておるわけでございます。
非常に簡略に申上げまして、或いは重要な問題が抜けましたかと存じまするが、なお御不審の点につきましては、御
質問に応じましてお答えすることにいたしまして、一応
説明を終りたいと思います。