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1954-11-15 第19回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十九年十一月十五日(月曜日) 午後二時十四分開会
—————————————
委員
の異動 十月十九日
委員
三橋八次郎君
辞任
につ き、その
補欠
として
鈴木一
君を
議長
に おいて指名した。 十月二十日
委員松岡平
市君
辞任
につ き、その
補欠
として
草葉隆圓
君を
議長
において指名した。 十月二十五日
議長
において
大倉清一
君 を
委員
に指名した。 十月二十八日
委員吉田法晴
君
辞任
につ き、その
補欠
として
大和与一
君を
議長
において指名した。 十一月十三日
委員岡田信次
君
辞任
につ き、その
補欠
として
松平勇雄
君を
議長
において指名した。 十一月十五日
委員大和与一
君
辞任
につ き、その
補欠
として
森崎隆
君を
議長
に おいて指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
高木
正夫
君 理事
重盛
壽治
君
委員
仁田
竹一君
松平
勇雄
君 村上 義一君
大倉
精一君
森崎
隆君
村尾
重雄君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷
善亮
君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
運輸政務次官
岡田
信次
君
中央気象台長
和達
清夫君
中央気象台予報
部長
肥沼
寛一君
日本国有鉄道総
裁
長崎惣之助
君
日本国有鉄道営
業局長
唐沢 勲君
日本国有鉄道営
業局船舶課課長
補佐
荒木 善之君
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
○
派遣議員
の
報告
○
運輸一般事情
に関する
調査
の件 (
洞爺丸遭難事件等
に関する件)
—————————————
高木正夫
1
○
委員長
(
高木正夫
君) それではこれより
運輸委員会
を開会いたします。 先ず
洞爺丸遭難事件
及びその後の
北海道
・
内地
間の
輸送対策
のため
議員派遣
をいたしましたが、本件につきまして、
派遣議員
の御
報告
を願います。
重盛壽治
2
○
重盛壽治
君 私から代
つて
御
報告
いたしたいと存じますが、
皆様方
のところにまだ
報告書
が届いておりませんので、私
ども
が簡潔に
作つた報告書
を朗読してやらして頂きたいと思います。それでは私から朗読させて頂きます。 今回の
洞爺丸事件
に対しまして、私
ども
は
高木委員長
を初め
重盛
、
仁田
、
村尾
の四
委員
が
青函連絡船遭難事件
及び今後の
北海道
・
内地
間の
輸送対策調査
のため、
函館
及び
札幌
に派遣されましたので、
現地
において
調査
いたしました事項について御
報告
を申上げます。
日程
について申上さして頂きます。九月二十三日東京を出発しまして、二十四日
青森
から第十二
青函丸
に乗船しましたので、船中におきまして、
貨車
航送船の
構造
及び
貨車積載個所
を
実地
に
見学
、
貨車
の
緊締状況等
も
見学
をいたしました。
函館
に到着してから直ちに
洞爺丸遭難現場
に赴きまして、弔慰を捧げました。二十五日は
海上自衛隊
、
海上保安部
、
函館鉄道管理局
、
函館海洋気象台
の順序で当時の
事情
を聴取いたしました。二十六日は二班に分れまして、一班は市役所及び
北海道庁渡島支庁
を訪問し、第十五
号台風
の被害に対する
見舞い
と
連絡船遭難事故
の際の
協力援助
に対する謝意を表しました。他の一班は
連絡船事故
による遺族をお
見舞い
をいたしたのであります。二十七日は午前中に小樽港を視察した後に、直ちに
札幌管区気象台
に行きまして、第十五
号台風
当時の状況を聴取し、午後は
北海道庁知事室
で開催されました
臨時青函間輸送対策協議会
第一回
協議会
に出席し、おのおの
経済団体
、
産業団体
、
道庁
、
海運局
、
国鉄等
の当事者の希望並びに
意見
を聴取をいたしました。 以上の
通り
の
日程
で
調査
を終りましたが、以下これらの
機関
でどのような
調査
をいたしましたかを後
報告
いたしたいと存じます。 先ず
最初
に、私
ども
が明らかにしておかなければならないことは、
調査
の方向についてでありますが、私
ども
の
調査
は立法府たる国会の職能、殊に第二院たる参議院の性格に鑑みまして、
事件
の
再発
を防止するための
制度的解決
に資することを目的として行われるべきである、こういう
意見
の一致を見たのであります。従いまして、我々はこのような見地から
調査
いたしたのでありますが、主なる問題について私
ども
の
意見
を逐次申上げてみたいと思います。
青函鉄道管理局
の
機構
、
人事
について申上げます。
青函鉄道管理局
は十四隻四万八千トンの船を
運航
し、一日に約一万人の
旅客
と一万トン
程度
の
貨物
を
輸送
しておる
機関
であります若しこれが民間の
会社
であ
つた
ら、大
汽船会社
に
相当
するものである。その
機構
全体が
船舶
の
運航
ということに対して比較的軽く見ている気配がある。例えば局の
幹部職員
の
経歴等
を調べてみますると、
当局
から資料として提出されたものによ
つて
見ましても、
船舶部課長補佐
以上の
幹部職員
中、
船舶
の
運航
に
関係
のある者は、僅かに
高等商船学校航海科卒業
一名、
機関科卒業
一名あるのみであります。又
船舶
の
乗組員
についても、五万トンに近い
船舶所有者
であるにもかかわらず、
高等商船
乃至
商船大学
の
卒業者
は極めて少く、大部分は
実地出
の者によ
つて
構成されており、その
原因
の
一つ
は、
国鉄当局
の
船舶乗務員
に対する処遇が妥当でないからよい
船員
が集まらないのだという議論さえ出てお
つたの
であります。勿論
国鉄当局
としては、その
業務量
の点から見ましても、
鉄道
に
重点
を置くことは了解できるのであるが、
函館
・
青森
間の
鉄道管理局
のごとき特殊な
機関
は、
海上輸送
の安全という点に
重点
を置くべきであ
つて
、
人的構成
についても
専門家
を揃えていたら、或いは今度の
事故
も最小限にくいとめることができたのではないかということさえ痛感されるような次第であ
つたの
であります。この際
国鉄当局
としては、
青函局
の
機構
並びに
人事
について再考する必要があるのではなかろうかと考えられたのであります。 次からは一問一答式の形になろうかと思うのでありますが、私
ども
は先ず
事件
当時における
鉄道管理局
の
警戒態勢
についてお尋ねをしたのでございますが、
洞爺丸
から二十一時二十六分「エンジン・ダイナモとまりつつあり、突風五十五メートル」という
無線連絡
があ
つて
から二十二時四十分SOSを
受信
するまで、一時間以上の時間があ
つたの
に、その間局としては如何なる
措置
をしたか、こういう点につきましては、二十時十分LSTの
座礁
について、
洞爺丸
と
海上保安部
が交信しているのを傍受して、
洞爺丸
も
事故
が起きたようだということを知
つたの
で、二十時二十七分、二十一時三十一分及び二十一時三十七分に
連絡
をとり、更に二十二時一分にその後の
状態
を詳しく知りたいと思い、
無線電話
によ
つて連絡
をとろうとしたが、
陸側
の停電によ
つて無線電話
による
連絡
は不可能と
なつ
た。他方二十時十五分頃からは
石狩丸
、
十勝丸
、
大雪丸
、第十二
青函丸等
も
相当
危険な
状態
にな
つたの
で、各船の
情況把握
については十分の
注意
をしていたが、
洞爺丸
のほうは
座礁
後僅かの時間で横転したことは知ることができなか
つた
。又その間の
警戒態勢
については、
海上
では
補助汽船
の
出動準備
をするくらいの
程度
であ
つた
ということでありまして、当時他の
官庁
はいわゆる
警戒態勢
に入
つて
いたのに、
管理局
は一体何故に
警戒態勢
に入らなか
つた
か、こういう点につきましては、
青函局
としては、
船舶
は
船舶自体
で
荒天準備
をしているので、陸上に当面の
責任者
が多数つめかけても実際にやるべき
仕事
はなく、他の
官庁
と同じような
態勢
をとることは意味がないというような弁明がありましたが、前述のごとき多数の
船舶
を管理し、而もそれが稀有の
荒天
にさらされている場合においては、日曜日の
平常勤務態勢
のままでいいものかどうか、ここにイージー・ゴーイングな志気の弛緩があ
つたの
ではないかと深い疑問を抱くのであります。
気象情報連絡通信施設
の
改善
と
観測施設
の
整備充実
について、
函館海洋気象台予報室
は
本庁舎
より約五キロ離れた分室にありますが、この間の
連絡
は
公衆電話
一本でありまして、又この僅か一本の
公衆電話
によ
つて予報室
は、NHKとか、
電報局
、
海上保安部
、
支庁
、消防署、
国警
、
海上自衛隊
、
鉄道等
に
気象情報
を流し得るに過ぎないのでありまして、従いまして一度
情報
を出しまして、これらの
関係機関
に
連絡
するには実に一時間半もかかるという
状態
でありました。又
海洋気象台
と
札幌管区気象台
を結ぶものは
専用有線電信
であります。
予報室
は
中央気象台
の
無線放送
を
受信
して
天気図
を書くのでありますが、この
受信
の電源は
一般
の
電燈線
によるが、或いは蓄
電池
によ
つて
なされております。
予報室
では、
事件
当日十五時頃から
電燈線
がついたり、消えたりして
無線放送
の
受信
が困難に
なつ
たため、
電池
を使用することにいたしましたが、そのため
受信機
は一台しか使用できず、又
電池
による
受信
でありましたので長時間は不可能であ
つた
。当日事態を案じて応援にかけつけた
職員
も、
電話
一本、
受信機
一台という
状態
では徒らに手を供いて傍観せざるを得ない
状態
であ
つた
とのことであります。 このように
気象情報
の
連絡通信施設
が貧弱なため、このたびの十五
号台風下
におきましては、次に申述べるように、遂には全く
気象官署
間の
連絡
も又
外部
との
連絡
も共に断絶するに
至つたの
であります。即ち十九時三十分頃
予報室
と
本庁舎
との
電話線
は
不通
になり、又二十時過ぎには
予報室
の
電話
も
不通
となりました。一方
本庁舎
と
札幌管区気象台
間の
専用有線電信
も十九時三十五分頃の
連絡
を最後に杜絶するに至りました。かくて
予報業務
は全く断絶するに
至つたの
であります。さて電線が
暴風
や強度の地震によ
つて
切断されることは過去の多くの
経験
で明らかであります。
気象情報
や
気象官署
間の
通信連絡
が最も切実に要求されるのは
異常気象
時にあるのでありますから、
暴風
のために
気象情報
の発表や
気象業務
の
連絡
が杜絶するような
施設
しかないことは看過し得ない問題ではなかろうか、又
外部
との
連絡方法
が
公衆電話
一本であるため、
関係機関
に対する
気象情報
の
連絡
に一時間半もかかるという
事情
も放置することを許さない実情ではないかと言わざるを得ません。従いまして
有線通信
を
基本
とする現在の
施設
を
無線施設
を
基本
とするよう
改善
するとか、或いは
関係機関
に対する
気象情報
の迅速なる
連絡
を可能ならしめるために、
関係機関
の
共同施設
による
専用通信施設
を設けるとか、
施設
並びに
業務
の
改善
に特段の意を用いる必要があることを強調いたしたいと思います。 次に、
観測施設
の
整備充実
について申述べたいと存じます。
函館気象台
による
事件
当日の
気象予報
は、
台風
の速度、風向について適切でなく、ために
連絡船
の
船長
をして
気象判断
に錯誤を生ぜしめたのではないかという推測をする
向き
もありますが、
気象台側
の
説明
によると、現在における
気象技術
の段階や我が国の
観測施設
よりして、
気象予報
の精度において限度のあることもやむを得ないものがあると考えられますので、本
委員会
がしばしば強調して来たように
気象災害
による毎年の莫大なる国富の
喪失
に鑑みて、
国家財政
の許す限り、逐次
定点観測
の増強、レーダーの設置、航空機の
使用等
、
気象業務
の
整備充実
について
努力
いたさなければならないと存ずるのであります。
函館
港における
港湾施設
の
整備
について、
函館
港の
整備
は遅々として進まず、
港湾施設
の
基本
たる
防波堤
の
修築
は殆んど顧みられず、二千六百七十六メートルのうち千七百五十八メートルが未完成の
現状
にあるのであります。このたびの十五
号台風下
において
防波堤外
に投錨又は避難した
連絡船洞爺丸
ほか四隻はいずれも遭難沈没いたしましたが、
防波堤
内にあ
つた
大雪丸
ほか七隻の
連絡船
と一隻の
大型外国船
はいずれも難を免れ、而もこのうち
石狩丸
及び第六
青函丸
はそれぞれ二十一両及び四十三両の
貨車
を搭載していたのであります。
事件
前
青函航路就航連絡船
は十四隻四万八千総トンに達し、
運航数
一日十数
運航
、一日
旅客輸送数
は約一万人、
貨物輸送量
も一日約一万トンに達しているのでありまして、
函館
港がこのような
日本最大
の
定期航路
の
発着港
であるという特殊な
事情
を重視し、従来の
港湾修築計画
を再検討して、安全な繋留に必要な広さの水域を確保するため
港湾施設
の
基本
たる
防波堤
及び
繋船浮標
のごときは急速に
整備
する必要を痛切に感じたのであります。 大体以上主なる問題につきまして、私
ども
の
所見
を申述べたのでありますが、
大正元年北大西洋
において氷山と衝突沈没いたしました
英国旅客船タイタニツク号遭難
の大
惨事
が
海上
における
人命
の安全のための
国際条約成立
の端緒となり、
事件
後四十年を経過した現在におきましても、同
条約
は
海上
における
人命
の安全の確保に偉大な貢献をなしている事実に鑑みましても、
タイタニック号事件
以来の
海上
における
最大惨事
たる今回の
青函連絡船遭難事件
につきまして、
政府
は特別に
調査機関
を設置いたしまして、その
原因
を徹底的に且つ広い視野において究明し、
連絡船
の船体の
構造
、
港湾
の
修築
、
気象業務
の
運営
、
国鉄連絡船
の
管理体制
の
適否等
を再検討し、この
種悲惨事
の
再発
を防止する
対策
を講ずべきことを強く
要望
いたしたいと存ずるのであります。なおまたこのたびの貴重な
経験
に鑑みまして
関係機関
はもとより、その地の各職場においても平時の惰性に流れず、従来の
施設
や
仕事
の
やり方等
について十分再検討し、
改善
を図るべき問題については自主的に、而も積極的にその実現に
努力
せられるよう望んでやまないものであります。 次に、
青函連絡船遭難事件
後における
北海道
・
内地
間の
輸送
問題につきまして若干の御
報告
を申上げたいと思います。たまたま当日
道庁
におきまして
道庁
、
海運局
、
陸運局
、
国鉄
、
荷主団体
、同議会の各
関係機関
より構成されました
臨時青函間輸送対策協議会
の第一回の
会議
が開催されましたので、
我我
もこの
協議会
に参加いたしましたので、この
会議
の経過を簡明に御紹介いたしますと、
国鉄
総支配人の
説明
によりますと、
事件
前におきまして、本年第三・
四半期
における青函航送
貨物輸送
が一日十八
運航
、六百三十五両の
計画
でありましたが、
事件
後におきましては、
連絡船
五隻の
喪失
によりまして一四・六
運航
、四百五十九両、即ち
事件
前の
貨物輸送計画
に比較いたしまして七二%に落ちましたが、
応急処置
といたしまして実施いたしました
宗谷丸
の
就航
と
道南海運株式会社
の
連絡運輸
とによりまして、
欠航
を
計算外
にいたしますれば、
事件
前の
貨物輸送計画
の八四%まで回復し得ることとな
つたの
であります。さて当初
計画
に対しまするこの青函航送力の
不足
につきまして、
海上輸送力
はどのような
事情
にあるかにつきまして、
北海道海運局長
の
説明
によりますと、
事件
前の十八
運航
による本年第三・
四半期
青函航送力、
宗谷丸利用等
による
応急措置実施
後の第三・
四半期
航送
計画
が
欠航率
より勘案して本年第三・
四半期
において七万トン乃至十万トンが一
般海送用
の対象となるものと認められるのであります。これに対しまして
海陸輸送経費
の差の問題は一応別として、
船腹
は、現在
北海道
・
内地間定期貨物船
は、
定期貨客船
一隻を含め十七隻あり、この
貨物輸送力
は月間約九万三千トンであり、現在の
船腹利用率
は、
積出貨物
について五八%に過ぎず、
従つて積荷能力
はまだ
余裕
がある。
輸送要請
が
相当
大きい場合において、内
航貨物船
が
過剰気味
の
現状
なので、
定期船
の
臨時配船
或いは又
不定期船
の
配船
により、
海運転換
に対する
受入れ能力
は十分と思われるとのことでありました。 なお
青函経由
の滞貨について申上げますと、十月二十日現在十八万四千トンでありまして、前年同月同日の十九万六千トンに対し
減少
を示しておるのでありますが、この現象に対しましては、
関係者
よりデフレの影響による
工業生産
の
減少
或いは
輸送面
の不安による手控え或いは海送
転移
による等の
意見
が述べられました。 次いで各
荷主団体代表者
より、それぞれ各物資について特殊な
事情
が述べられたのでありますが、各
荷主団体代表者
は一致して
国鉄
による青函航送を熱望しておりまして、中には青函航送
不足分
については、
国鉄
が
船舶
を傭船して
貨車運賃プラス保険料
の
枠内一般
で全
輸送
を引受けよと強調する
向き
もありまして、このように
荷主側
は
海運
に
輸送
を
転移
するのを躊躇する。
海運輸送
を躊躇する理由の大きなものは、
運賃差
以外に、
貨車輸送
の場合に比し
保険料
が極めて高くなること、船でやる場合には
保険料
が高くなるというようなこと、或いは
品傷み
の危険がより大きいこと、戦後
荷主
の
資本力
が弱体化したこと等が挙げられたのであります。併しながら青函航送
能力
の復元はにわかにこれを望むことを得ず、一部は海送に
転移
されなければならないという
現状
でありまして、このため青函航送による
貨物
に
ランク
をつけられたいこと、
海陸輸送経費
の差について、国において
補償措置
を講ぜられたいこと等の
要望
が強く主張されたのでありますが、
輸送貨物
の
ランク
をつける等の技術的な問題については、
協議会
において至急解決すべきことが決定されるに
至つたの
であります。我々
調査団
といたしましては、
海上輸送力
は
余裕
があるのであるから、これが利用されるよう、この
協議会
において早く
対策
を決定し
道庁
より
政府
に提出することとし、我々としても各種の
隘路
について
政府
を鞭撻し、善処したいとの
意見
を申述べたのであります。この
協議会
においても明らかにせられましたように、
海上輸送力
は十分あるのでありますから、
北海道
、
内地
間の
貨物輸送
が著しく停滞することのないよう、
海運転移
を妨げる
諸種
の
隘路
の緩和に努めまして、年末の
出荷最盛期
を控えた
荷主
の切実な
要望
に応えてやらなければならないようなところが多いというふうに存ぜられます。 いろいろと細かい点の
報告
はございますが、大体以上をもちまして一応の御
報告
に代えたいと思います。
高木正夫
3
○
委員長
(
高木正夫
君)
只今
の
報告
に基きまして、
政府
並びに
国鉄
のほうから御
意見
を拝聴したいと思います。先ず
国鉄側
から
一つ
これに
関係
のある点につきまして御
所見
を承わりたいと思います。
長崎惣之助
4
○
説明員
(
長崎惣之助
君)
只今
御
報告
がございましたように、当
委員会
の御方針といたしましては、今後再びあのような
海難
を惹起しない方途並びに当面の
輸送
に対する
諸種
の
方法等
についても、御
意見
並びに御
注意
、御
示唆等
があ
つたの
でございます。いろいろの点でこれは方々に
関係
のある点でございますが、
国鉄
といたしましては、
只今
の御
意見
を体し、直接最も
関係
の深いと考えられまするのは、いわゆる
船舶運営
の
機構
というものについてなお一層留意し、又
船員方面等
につきましても、立派なものを作らなければならんというふうに拝聴いたしたのであります。誠に御尤もでございます。
船員
の
採用
或いは養成その他につきましては、これ又決して等閑に付しておるわけではございませんので、再教育或いは
最初
の
採用
に当
つて
の厳選というようなことも留意いたしております。又
給与
その他の待遇につきましても、それぞれ十分にとは言えないかも知れませんが、我々といたしましては、できるだけの優遇の途、
船員法
、
船舶法
の規定或いは
会社
のほうの
給与
との振合い、いろいろのものを見まして十分私
ども
としては
努力
はいたしておるつもりでございます。何と申しましても、
お話
のように
トン数
は割合に多い
トン数
を持
つて
おりまするけれ
ども
、これがやはり
船員
としましては、
海洋
を航行する、いわゆるオーシャン・ナヴィゲーシヨンという
方面
に行きたがる傾きがありまするので、ああいうような
航路
にいい人を置くのがなかなかむずかしいというような点もございます。いずれにいたしましても、御
注意
の点は今後十分に私は考えなく
ちや
ならん点であろうと思います。 それから五万トンの
船舶
を持
つて
おれば立派な
会社
ではないかというふうな
お話
も、これも又御尤もだと私は存じますが、
只今
のところ
曾つて青函
だけじやない、
関釜
の
航路
をや
つて
おりましたときに比較いたしますと、
むしろ船
が
減少
しておるという点もございます。なおこれ又十分に私は今後も
研究
問題として、又早急にすべきではないかと考えております。私
ども
として今一番恐れております、これが杞憂になればいいと思
つて
おりますことは、あそこを航行するについて、
船員諸君
の士気と申しますか、それが沮喪しやせんかということでございます。そういうことがあ
つて
はならんと思いますので、私先立
つて
函館
に参りまして
船長
と懇談をいたし、そういうことのないように
一つ
十分な
努力
をしてもらいたいということを
お話
をし、
船長諸君
も誠にその
通り
であるということで大いに勇気を振
つて
、そうして
青函連絡航路
というものは我々の手で死守して行くのだというような意気に燃えてやろうというふうな気持にな
つて
くれたので、その点はすぐにそういうふうになりますか、それはまあ多数の
船員
がおりますから、なんでありますが、一番先頭に立
つて
やる
船長
がそういうふうにな
つて
くれたということは有難くもあり、私としては非常に心強く感じていることであります。何分にも今後季節風の強くなる
荒天期
に入りますので、徒らに心配ばかりをして
欠航
が多いというふうなことでは、これは非常に重大な問題でございますので、その点も十分に戒めて参
つた
次第であります。 目下の
措置
といたしましては、御
報告
がありましたような手を打
つて
おりますが、併し更に大体はこの
種薯
の
輸送
ということに
重点
を置いて考えたのでありまして、
宗谷丸
も
種薯
の
輸送
が終りましたならば、丁度
ドック
に入れなく
ちや
ならんということにな
つて
おりますので、それでもう打切りにしたいと考えておりますが、なかなかそういうわけに参らないのでありますので、
ドック
に入れなく
ちや
どうしてもならんというぎりぎりのところまであれを
運航
いたしまして、幾分なりとも
輸送
に支障のないようにいたしたいと考えております。
種薯
の
輸送
は少し遅れましたが、もはや両三日乃至一週間ぐらいの間に終了いたすつもりであります。これにつきましては、
北海道
の
只今
御
報告
のありました
臨時対策協議会
というところで、非常に御
協力
をお願いしたのでございまして、私過日参りましたときも、副
知事
にもお目にかか
つてお礼
を申上げた次第でありますが、立派な実績を挙げまして、我々としては誠に感服いたしている次第であります。 その他いろいろな御
報告
がございましたが、御
報告
の御趣旨につきましては、十分に
一つ反省
もし、実際速かに
実行
のできるものは速かに
実行
に移し、又将来十分に
研究
しなく
ちや
ならんものは
研究
を続けるというつもりでございます。これだけの大きな
海難
を起しまして、誠に、
お話
がございましたように、将来にかかる
事故
を起さないようにするということが、私
ども
に課せられた一番大きな
責任
であろうと考えるのであります。簡単でございますが、これで……。
高木正夫
5
○
委員長
(
高木正夫
君) 次に
運輸省側
として……。
岡田信次
6
○
説明員
(
岡田信次
君) 先般当
委員会
から
青函連絡船事故
に関しまして
現地
の御
調査
を頂き、
只今
御
報告
を有難く承わ
つた
次第でございまするが、
運輸省
におきましても、あの
事件
の直後
青函連絡船事故対策協議会
を設けまして、
国鉄
と密接なる
連絡
の下に
原因
の
調査
、将来の
対策等
を講じて参
つたの
でありますが、大体今日まで二、三の点を除きまして
結論
に近いものは得ましたので、来年度の予算として計上すべきものは直ちにそれらの手続をとる。又即時実施し得るものは実施する。又今後なお
暫らく研究
、
調査
を続けなくてはならないものは、早急に
結論
を得るようにいたしている次第でございます。いずれにいたしましても、この
気象関係
或いは
港湾
の
関係等相当
の
経費
を要しますので、今後
委員各位
の絶大なる御支援の下に、再びかかる
事故
の起らないような
対策
を樹立、実施して参りたいと、かように考えている次第でございます。 なお
事件
直後
衆参両院
並びに衆議院の
運輸委員会
からも御
調査
においで下さいましたので、これらの御
報告
に対しいろいろ参考に供し、又本日拝聴いたしましたいろいろな貴重な御
意見
、御
示唆
を十分織込んで今後に対処して参りたいと、かように考えておる次第であります。
高木正夫
7
○
委員長
(
高木正夫
君)
只今
の
国鉄総裁
並びに
岡田政務次官
の
御所感
は、
報告
の細部に
亘つて
のことは無論でき得なか
つた
ように思いまするので、これから質問の形で審議を進めて行きたいと思います。つきましては、この
報告
なり、
只今
の
政府
並びに
国鉄
の
御所感
につきまして、御質問のある方は順次御発言を願いたいと思います。
重盛壽治
8
○
重盛壽治
君 その前に気象台長が来ておられるようだから。気象に関連した御
報告
の時間を頂いて、その点の
意見
をちよつと……。
和達清夫
9
○
説明員
(
和達
清夫君)
只今
の御
報告
によりまして、適切な御批判、又御理解ある今後の御
示唆
を頂きまして有難うございました。 今回の遭難
事件
につきまして、
気象判断
、即ち予報警報の発布につきましては、私
ども
といたしましては先ず適当にいたしたものと存じております。併し御指摘のように今後
努力
改善
しなければならないことも確かに存在いたしております。気象台は日頃人員、
経費
の
不足
から、特に庁費の面における
不足
から、例えば
電話
の数の
お話
におきましてもわかりますように、十分な
業務
遂行をいたすのに困難をいたしてお
つた
ことは事実であります。私
ども
は
只今
の御指摘の中でも、日頃
業務
をいたすもとになりますところの庁費というものにつきまして、今後できるだけ
努力
して十分な
業務
の遂行できるようにいたしたい。又皆様の御
協力
を、或いはお助けを得まして、そういうふうになりたいと熱望しております。なお通信におきましては確かに災害時に障害を受けるような気象通信は意味がないのでありますから、今後何年かの継続になりましようとも、これを
改善
いたしまして、少くとも障害を受けるような有線は無線に切替えるというような気象通信全般に関する
改善
をいたしたいと存じております。又
観測施設
におきましても、できるだけ御指摘のような近代的設備をいたしまして、そして今後気象に関する限りかかる種類の災害防止が完全に行われますように最大の
努力
を払いたいと存じております。
高木正夫
10
○
委員長
(
高木正夫
君) 御質問のある方は順次御発言を願います。
大倉精一
11
○
大倉
精一君 ちよつと参考のためにお伺いするのですが、
気象関係
の問題なんですが、
洞爺丸事件
の当時に波のうねりですね、波のうねりというものに対する気象観測並びに気象警報については、どういうような格好にな
つて
おるのか御
報告
願いたいと思います。
肥沼寛一
12
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
洞爺丸事件
のときの気象通信の問題でございますが、気象台の通信は電電公社の有線を専用しておりまして、
中央気象台
から
札幌
へ、これは気象専用線の幹線が二本、一番線と二番線とございます。どちらも有線でございます。それから
札幌
から
函館
に対しまして一本有線で
連絡
しています。それが現在持
つて
おります線でございまして、
函館
といたしましては、気象の予報を出しますのには、
中央気象台
で放送をいたします。MBという放送とJMCという放送と、これをと
つて
天気図
を作成して予報をいたします。それからこれは地方におりますと、
受信
能力
その他の点で外国の
受信
までできませんので、
中央気象台
で作成いたしました
天気図
の上から、
台風
その他の正確な位置、速度、強さ、そういうものは今の有線によりまして指示報という形で
函館
へ流しております。こういう形ででき上りました予報警報というのが、先ほど御
報告
にありましたような非常に貧弱な通信でございますが、
函館
の分室で予報警報を作成いたしまして各所に通知をする、そういう形態をと
つて
おります。
大倉精一
13
○
大倉
精一君 私のお伺いしたいのは、この
洞爺丸事件
の当時に、あの海峡の波のうねりが非常に異常なうねりを来たしてお
つた
、平生大体強風の時でも三メートル乃至四メートルの波のうねりが、突如として六メートル、七メートルの波のうねりが出て来た。又、而もそれが日本海
方面
からずつと入
つて
来たというようなことを聞いたのですが、そういうような予報というものは、一応
気象業務
としてそれぞれや
つて
おられるのかどうかという点ですね。
肥沼寛一
14
○
説明員
(
肥沼
寛一君) 海岸の測候所ではどこでもうねりの観測をや
つて
おります。又船の観測からもうねりの
報告
は入
つて
来ております。
函館
といたしましては、あすこの分室で港内の波の状況は一応見ている形になりますが、実際予報警報の中にそのうねりの状況を盛込みますためには、風の強さを予想いたしましてそれからの推定を加える趣旨にな
つて
おります。
大倉精一
15
○
大倉
精一君 やはりその場合に、
洞爺丸
の時に、今度はこういう風が吹いて、今度は六メートル、七メートルの波が来るかも知れない、こういうようなことはわか
つて
お
つたの
ですか、どうですか。その辺どうお考えになりますか、ちよつとお伺いいたします。
肥沼寛一
16
○
説明員
(
肥沼
寛一君) これは非常に風が強いというような時には、そういうことを入れるのが建前でございますが、
函館
のあの時の警報の中には、風が二十五メートル乃至三十メートルの平均風速ということで、波のことはたしか触れてなか
つた
ように記憶しております。
大倉精一
17
○
大倉
精一君 そこであの
洞爺丸
がひつくり返
つた
というのは、風が強いためにひつくり返
つたの
か、或いは波が高か
つた
ためにひつくり返
つたの
か、こういうふうなことが出て来るのですが、これは
国鉄側
のほうからでもお伺いしたいのですが、風が何メートル吹いたから、風によ
つて
倒れてしま
つたの
か、或いは波によ
つて
決定的な
事故
とな
つたの
か、その辺についての御見解をどなたか専門的な方から。
荒木善之
18
○
説明員
(荒木善之君)
原因
につきましては、
海難
審判庁が全貌を明らかにするだろうと思いますが、
国鉄
といたしましては、
調査
の結果から見ると、風よりもむしろうねり、波浪による転覆が考えられております。
大倉精一
19
○
大倉
精一君 そこで波のうねりの予報がなされていなか
つた
。従
つて
、
船長
はやはりそういう強い風が吹いた場合においても、三メートル乃至四メートルの波というものを予定して出航したのじやないか。そうして途中で、或いは
座礁
時において、こういう予想もつかないような大きな波にぶつか
つて
、どうすることもできなく、翻弄に任せた、こういうように思うのですが、この点の御見解どうでしようか。つまり風の予測はついてお
つた
。
相当
強い風が吹いてお
つた
。併しあそこの海峡の今までの実績から言えば、六メートル乃至七メートルというような波は殆んど予測されなか
つた
。従
つて
波に関する限りは予測のつかないままに、あまり考えないままに出航をし、そうして突如として異常の六メートル乃至七メートルという波にぶつか
つて
、処置なし、こういうことにな
つて
お
つた
と思うのですが、その点どうでしようか。
荒木善之
20
○
説明員
(荒木善之君) 大体風が三十メートル
程度
吹きますと、それに伴
つて
三メートル
程度
の波高が生ずると思うのですが、あの場合は、
気象予報
で行きますと、風が北西に変るということを盛んに放送されておりましたので、北西に変りますと、波の高さも大したことはないというような判定を
船長
がしたのだろうと思います。ところが実際は北西に変らずに、南西の風が吹きまして、日本海のうねりが直接港内に入りこんだというところに問題があるかと思います。
大倉精一
21
○
大倉
精一君 そこで私は非常にこの問題が将来に
亘つて
重要な問題だと思うのですが、こういう
海難
事故
に対するところの、波のうねりの予報というものは、是非とも必要じやないか。特に日本海
方面
からこの波が入りこんで来たということが大体想定をされるのですが、その場合に、日本海
方面
の波のうねりの観測をし、それが大体いつ頃、どこで、どのくらいのうねりが出て来るのだ、こういう予報があ
つた
ならばという気がするのですが、その点について如何でしようか。
和達清夫
22
○
説明員
(
和達
清夫君) 波の予報或いはうねりの予報、こういうものは、当然
中央気象台
系統の気象観測におきましては行うことにいたすべきものと存じております。風が強ければ、それに従
つて
どのくらい波を生ずるか、勿論風向にもよりますし、継続時間にもよります、その他地形にもよりますが、それらはおよそ
海上
で実際
仕事
をしておられる方は或る
程度
は御存じなのでありますけれ
ども
、警報その他においては、成るべくいろいろなことを漏れなく申すのが本当であろうと私は考えます。
大倉精一
23
○
大倉
精一君 まあ波のことはこのくらいにしたいと思うのですが、ただ将来こういうような場合に、波のうねりの予報も、予報作業の中に加えて、そうして予報をする、こういうふうなことが是非必要だと思うのですが、台長さんどうですか。
和達清夫
24
○
説明員
(
和達
清夫君) このたびのは通信その他の問題がありますけれ
ども
、将来においては必ずそういうものを加えまして、特報警報を作るようにいたしたいと思います。
大倉精一
25
○
大倉
精一君 この問題は、大体風で船がひつくり返るというよりも、むしろ波のうねりの予報とそれから
現地
の
関係
というものが決定的な要素にな
つて
おると私は思うのですが、更にもう
一つ
お伺いいたしたいのですが、従来人員整理というような
関係
でも
つて
、当時
函館
その他におけるところの無電に従事しておるところの従業員が一名ですべての操作をしたということを聞いているのですが、そうした場合に、方々から入
つて
来る、そういうことになれば、一応そこで
報告
その他に時間的なズレが出て来ると思うのですが、そういうような
関係
、当時の状況はどういう状況であ
つたの
か、御
説明
を願いたい。
肥沼寛一
26
○
説明員
(
肥沼
寛一君) あすこの分室では、ふだん三名勤務が建前にな
つて
おりまして、当日
台風
が来まして警報を出したということで、あすこの予報の係長と予報官と二人これに応援しまして、五人でや
つて
いたはずでございます。実際無線機は、あすこでは一台しか電源その他の
関係
で動いていなか
つた
ようでありますが、これは一台で
中央気象台
の放送だけならとれる建前にな
つて
おります。
大倉精一
27
○
大倉
精一君 ですから、その一台だけでということになると、
中央気象台
だけのものはとれるのですが、その他のデータがとれない。そこでやはり
気象予報
関係
についての時間的なズレというものが出て来て、これが当時の状況判断に非常に大きな影響があ
つたの
ではないか、こういうように私は考えるのですが、その点どうでしようか。若しあすに二台三台というものがあ
つて
、或いは人員配置も適正にやられてお
つた
ならば、逐次入
つて
来たデータを機を逸せずその
方面
に
連絡
をとる、こういうことができたと思うのですが、その点について欠陥がなか
つた
かどうか、ちよつとお伺いします。
肥沼寛一
28
○
説明員
(
肥沼
寛一君) 気象の放送は、先ほど申しました
通り
JMCというのは三時間ごとに放送をいたしております。これを
受信
いたしまして、
天気図
を書くので、三時間おきの作業でしておけば、次の新しい資料が入
つて
来る建前にな
つて
おります。その間絶えず資料が入
つて
来るという形にはな
つて
おりません。但し今申し忘れましたが、
中央気象台
のほうでは、一時間ごとの
天気図
を書きまして、そのときそのときの
台風
の位置、速度、強さは指示報として
函館
のほうへ知らしております。但し
函館
・
札幌
間の線が切れましたために、十九時三十分以後には指示報が残念ながら届いていなか
つた
と想像します。
大倉精一
29
○
大倉
精一君 その
中央気象台
との
関係
はJMB、JMCというのがあるのですが、その間に有線
電話
が切れてしま
つた
、こういうことで、その他の
方面
のデータというものはやはり無電でと
つて
おられると思いますが、
中央気象台
関係
だけでなくて、その他の
現地
方面
のデータは無電でおとりにな
つたの
ではないのですか。
肥沼寛一
30
○
説明員
(
肥沼
寛一君) その他の
無線放送
というのは、必要があれば
函館
といたしましてはハバロフスク放送をとりますが、これは外国のもので日本の資料は入
つて
おりませんが、これをとります場合には、大陸の
方面
から強い低気圧などが来て、その状況をつかみた、ときにとるのであります。あの場合にはこれをとる必要はなか
つた
と思います。従いましてJMCの放送をと
つた
ということは……。もう
一つ
先ほど申し忘れましたが、
札幌
でJMFという放送をしております、これは三時間ごとでございます、これはと
つて
いたと思います。
森崎隆
31
○
森崎隆
君 今のに関連しましてお聞きしますが、すべて
情報
が
函館
へ行
つて
聴取されますには、停電であ
つた
場合にはこれはだめだということがはつきりわか
つて
おるのですね、それを停電があ
つた
場合に、
暴風
があれば停電があるという可能性は非常に増大して来るわけです。このプロバビリティに対する
措置
をきめておくということは日頃から考えられておると思いますが、停電がある場合には処置なしということで、何にもその場合の応急
対策
はとられてないわけですね。そのとられてないという
責任
はどこへ課すべきですか。どういうことで停電になれば全然
情報
は向うへ通報されないという、こういう非常によくない制度の欠陥がどこかにあると思う。これはどなたがお
つて
も遠慮なく言
つて
頂きたい。ちよつとその点素人の我々の常識ではわからない。普通でしたら何か、親父の危篤のとき電報でも行かなければ、自転車で行くとか走
つて
行くとか、何かの手はとるのです。自動車の
事故
があ
つた
場合に、
電話
が
不通
という場合には、誰かが走
つて
行くという手は必ずとる。何もないから、停電だということで捨てておくというのでは全然ないと思いますが、そういう点についても全然代替設備、手段がないですね、それについて御
意見
を
一つ
聞きたい。
肥沼寛一
32
○
説明員
(
肥沼
寛一君) これは気象の警報を出しますには、どうしても
受信
ができなくては差支えがございますので、予備発電機まではまだ設備があちこちできておりませんけれ
ども
、
電池
式のは持
つて
おるのが多いのでございます。
函館
もそれがあ
つた
はずでございますが、ただふだん使
つて
おりませんと、
電池
の電圧が下
つて
来て、大事なときにとれないということが今まで往々起
つて
おるので、これは残念でして、今後
整備
しないといけないと思
つて
おります。
電池
はあ
つた
はずです。
森崎隆
33
○
森崎隆
君 やはり代替の聴取
機関
はあ
つた
わけですね。それが事実上十六時以降ですか、十八時以降ですか、役に立たなくてキヤツチできないことに
なつ
たわけですね。而もそれ以後の
情報
というのは非常に重大な
情報
であ
つた
ということは、これは我々確認してよろしいのでございましようか。
肥沼寛一
34
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
函館
の夕刻の状況をまとめて申上げますと、午前十一時半に警報を出したのでありますが、
函館
の風の状況は十七時、午後五時でございます、これまでは予想
通り
東風が吹いていました。東風が吹いておりますということは、警報の中にも盛られた内容でございまして、予想
通り
と思
つて
いたわけでございます。十七時を過ぎまして風が南に変りました。これは少し予想とは違
つた
方向へ行
つたの
ではないかということは、恐らく
函館
は気がついたろうと思います。ところがその次の資料、というのは十八時の資料ですが、十八時の資料の放送が全国のものを中央に集めまして、JMCとして放送するのにたしか二時間くらいかかります。それを待
つて
いる間に
函館
の有線は切れて指示報ももらえなくな
つて
、それを
受信
した時期は二時間くらいあとにな
つて
おりますから、そういう点であそこでは
情報
が一番大事なときに、自分のところの観測以外のものが手に入らなか
つたの
だろうと想像されます。
大倉精一
35
○
大倉
精一君 どうもさつきの無電の話がわからないのですが、あそこの無電の
受信
先はどこなんですか。大体
函館
なら
函館
の無電が一台ある。その無電の
受信
先というものはどこからなんですか。
肥沼寛一
36
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
中央気象台
の発言の無電であります。
大倉精一
37
○
大倉
精一君
中央気象台
からだけの
連絡
ですか。あとはハバロフスクですか。
肥沼寛一
38
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
中央気象台
と
札幌
でございます。
大倉精一
39
○
大倉
精一君 一応これで終ります。
高木正夫
40
○
委員長
(
高木正夫
君) ほかに御質問ありませんか。
仁田竹一
41
○
仁田
竹一君 総裁の御答弁ですか、
説明
ですか、十分聞きとれなか
つたの
で、或いは私の質問にお答えにな
つて
お
つた
かもわかりませんが、ちよつとお聞きしたいと思います。私
ども
の
調査
委員
の
報告
いたしました事柄は、
海上
職員
もさることでありますが、それに対する陸上の
職員
中に海事
専門家
が
機関
と甲板の商船学校を出た者は二人しかいない、こういうふうなことがありますと、海陸一体になりませんと十分救助作業はできません。然るにこれだけの
船舶
とこれだけの
トン数
を所有している
青函局
から見まして、あまりに陸上に
専門家
が不十分ではないかということで、主として陸上におきまする
専門家
の
職員
が不十分であ
つた
ろうということを
報告書
に申上げておいたのでありますが、今回の
洞爺丸
の問題でも考えられますが、若し陸上の
専門家
がもう少し充実しておりましたならば、すでにもうエンジンが両方ともとま
つて
、そうしてSOSが発せられた、それも
受信
したということになりますと、これはもう当然あのときの
状態
が沈没すべきであるということはきまりき
つて
いることなんです。それを船が沈んで、そのうちの誰かが自分で泳ぎついて、その人が
電話
をかけて初めて
洞爺丸
が沈んだのだというふうなことが知れたという形にな
つて
おりますが、恐らくそれは数時間のちに
洞爺丸
が沈んだということがわかることになると思うのでありますが、これはもう
専門家
が若し陸上
職員
のうちに充実しておりまして、あのときの
状態
、あの風や、そうして何回かエンジンの動いている間は風に向
つて
舳を向けて三時間往復した。その後エンジンがとま
つた
、SOSがもう二回も三回も来たということで、これは沈没するであろう。そのときにもうすでに救助作業の対象としなければならない。それを船が沈んで、而もそれが何千海里、何百海里先じやない。目と鼻のあの狭い港内のことであります。こういうようなことを考えてみましても、結局は陸上の
職員
中にそのような事態に関する
専門家
がおらなか
つた
ことが、数時間のちに而も漂流した人の
電話
によ
つて
初めてそれがわかるというふうな結果にな
つたの
であろう。従
つて
陸上の
職員
にもう少し
専門家
がおられるべきであろうというお尋ねをしたわけでありますが、その答弁を聞き漏らしたのですが、その点
一つ
将来そういうふうにやらなければならないというお考えを持
つて
おりますかどうか、御答弁を願いたい。 もう
一つ
は、
船長
の権限でございますが、私、今これを拝見してみましたので当
つて
おりますかどうかわかりませんけれ
ども
、御承知のように
船長
の権限は、
船員法
によりまして、
船長
は航海に関する最高指揮者としての
責任
を負わされておるわけでございます。まあ普通そうなんでございますが、ところが一方
国鉄
の
職員
としての
船長
の地位になりますと、服務規程によりまして、
船長
の直接の指揮者は
鉄道
の
管理局
長にな
つて
おります。而もその
船長
は最高の
責任
を
船員法
によ
つて
負わされておりながら、一方においては
船長
の直接の指揮者というものがお
つて
自分の自由にならない。従
つて
船長
として最も肝要な事柄であります天候とか、或いは海の
状態
に考慮を要する場合といえ
ども
、これに適応する航海をするように努めなければならないという義務が
船長
に負わされておるのでありますけれ
ども
、これに対して、
船長
がその船をとめることもどうすることもその権限は与えられておらない。その裏には、何か航海不能その他の場合の
連絡
等につきましても、船が出せない場合には淺橋長に
連絡
するという義務は負わされておりますけれ
ども
、それも自分で航行を中止するという権限は結局与えられておらないようでありますが、一方では
船員法
によりまして、航行に対する一切の
責任
は
船長
に負わされておる。この点私
一般
の
船舶
と
国鉄
の
船舶
従業員の職制の服務規定と矛盾を来たすのではないか。
船長
の権限は、
船員法
によ
つて
お考えになりまするか、或いは
国鉄
職員
によります
船舶
従業員の職制というものによ
つて
、特に今度のような場合はお考えなさるかということをお尋ねいたしますると同時に、何か
船員法
か或いは特別法でもお作りになりまして、ここらをはつきりさせませんと、実は船を預
つて
おります
船長
は、特殊な
運航
でありますだけに、いろいろ何と申しまするか、
運航
上の大きな悩みを持
つて
おるのじやないか。従いまして先般のごとき何か上司の連中が乗
つて
お
つたの
で云々というふうな話も出ておりまするが、やはりこういうふうなことがそのようなことをなさしめなければならないように
船長
に強要さるべき一応の筋が通
つて
おるのだし、
管理局
長が
船長
の直接の指揮者にな
つて
おるというふうな事柄がやはり
一つ
の裏付けとなりまして、あのような話も、成るほどそういうことがあるのではないかと思わせる
原因
を作
つて
おるのだと、こういうふうに思いますが、特に
洞爺丸
の場合の
船長
の権限はどういうふうにお考えにな
つて
おられますか、この点
一つ
お尋ねいたしたいと思います。
唐沢勲
42
○
説明員
(唐沢勲君)
只今
の
お話
の
最初
の点でございますが、陸上勤務者に
海上
経験
の者が少いという
お話
でございますが、これにつきましては、或る
程度
の
経験
者もおるわけでございますが、この数字もここにございますが、いずれにいたしましても、もつと陸のほうに
海上
の
経験
者といいますか、船の実務者が
相当
おれば、あの場合にもつと適切な
措置
がとれただろうというような
お話
でございますが、この点は先ほど総裁が
お話
になりましたように、全体といたしましてどういう
機構
か、或いはどういう人の配置を考えたらよいかという点につきましては、今後更に十分検討いたしたいと思うのでございますが、当時の
状態
といたしましては、十分
責任
のある海務課長が、又
海上
の実務経歴のある課長を
責任者
としておりまして、それぞれの指揮をしてお
つたの
であります。又その他のいろいろな
運航
指令とかそういうようなものも、実際にはそうい
つた
海務課長の指揮の下にいろいろ
連絡
調整をするというような
仕事
をしておりますので、海の実務者がどれだけおることが一番いいか、もつと多くしなければならんかという問題につきましては、なお検討をする必要があると思いますが、いずれにいたしましても、海のいろいろなそうい
つた
場合のことをよく頭にある者が一人でも多く陸上におるということは、いきおいそうい
つた
海のほうとの
連絡
が円滑に行くということは間違いないことでありまして、それらのことにつきましては、十分そうい
つた
方面
を考え併せまして人員の配置というようなものについても考えて行きたいと思
つて
おる次第でございます。 それから次の
船長
の権限の問題につきましては、
鉄道
の服務規程の面と
船員法
の面とにおける問題でございますが、これは
船員法
におきまして、
船長
の権限、義務というものがきめられておりまして、これに対しましては
国鉄
の職制というものは及ばないというふうに考えております。従いまして
船長
が天候その他におきまして危険なりと認めた場合におきましては、全
責任
、全
責任
といいますか、権限を持
つて
それをとめるということができるわけでございまして、これを棧橋長を通じて
報告
をいたしまして、それによ
つて
あとの船繰りをどうするかというような、いわば船主としてと申しますか、そうい
つた
輸送
上の観点からいろいろな手配をする必要がありますので、そういうことを
報告
するのでございまして、
船員法
にきめられました航海の安全という見地からいたしましての航海をするとかしないとかいうような
責任
は挙げて
船長
が持
つて
いるというように考えておりまして、この点につきましては、今後はもつと明らかに規定の上においてもそういう点を何らか明らかにする必要があるというふうに考えております。
仁田竹一
43
○
仁田
竹一君
只今
の御答弁ですけれ
ども
、海務課長ですか、これは何か
高等商船
を出た人らしゆうございますが実はずつと話合いをしたのでありますけれ
ども
、前言
つた
ことを繰返すようでありますけれ
ども
、当然沈没すべき、素人が考えてみましても当然沈没すべきはずの
状態
にあるのにもかかわらず、一体これがなぜこれに気がつかなか
つた
か、この点については先生何もよう答えません。これは五十マイル、百マイル先でなく、目の前のことで、それだけの
報告
があれば当然これは沈没するものと考えるべきなんだ。それを前申しましたように、数時間後、而も遭難した人が浜辺まで泳ぎつきまして、その人からの
報告
を聞くというようなのは、これはもう殆んど想像のつかない手落ちなんだ。なぜ一体手配をしなか
つた
かと言いますというと、私
ども
のほうで如何ようにもすることができなか
つた
と、こういうことなんてす。それは何も百トン、二百トンの鉄を持
つて
おるのを……タッグ・ボートをも
つて
あの大きな船を曳いて行くこともできませず、
鉄道
自身としてはどういうこともできなか
つた
かも知れんけれ
ども
、このときにこそ
海上
保安庁、或いは自衛隊にいたしましても、或いはあらゆる
官庁
或いは民間の各種の団体等にも呼びかけて、これは必ず沈むのだ、早く救助作業を
一つ
お願いすると、なぜ一体君たちしなか
つた
かと言いまと、これに対しても何も答弁もありません。特に自衛隊のごときは全然
報告
を受けておりません。
海上
保安庁が漸く
報告
を受けておるので、自衛隊のごときは承知しないようなことで、特に専門的に当らなければならない自衛隊に対しては何ら通知しておらない。自衛隊のほうが初めて警察へ行
つて
事情
を聞いたというような実情にあるわけです。結局は
専門家
というあの人自身が、沈んだということを知らされるまで沈むことを予期しておらなか
つた
。こんな
専門家
じやだめですよ、こんなものを置いた
つて
。だから言葉はいろいろに申されますけれ
ども
、要するに陸上と
海上
との何といいますか、海事
専門家
のバランスがとれておらない。だからこんなことにな
つたの
だということを私は申上げておるのでありまするが、それからなおその
船長
の権限でございますが、
船長
は
船員法
によ
つて
、御承知のように絶対の
責任
を与えられておるのでありますが、その
船長
に直接の指揮者があるということはどういうようなことになるのでありましようか。指揮者がありまする以上、指揮者の命令によらなければ、
船長
は如何に今日は
荒天
だから船をとめようと思
つて
も、法的にはとめ得るかも知れませんが、実際は指揮者があるのだから、指揮者の
意見
を聞かなければ、実際問題としてはやはりとめられないのじやございませんか。指揮者があるのでございますから、法の上においては権限は与えられておりますけれ
ども
、実際問題として、指揮者がおりますのに指揮者の言葉を聞かずに
船長
が船をとめ得るでしようか、実際問題といたしまして。そうしてなおいろいろのそのほかに小さな問題はいずれともみんな義務が負わせられておりますけれ
ども
、権限は殆んどない。
国鉄
のほうの職制のほうでは、勿論それはもう本法があることでございますから、
船員法
によ
つて
やればやれるのだと言えばそれだけでありますけれ
ども
、それはまあ法的な理由はそうかも知れませんけれ
ども
、実際は何と言
つて
も
船長
のもう少し権限を、危険だと思えば自分で船をとめられるだけの権限を与えてやりません限り、これは
船長
は非常に苦しいと思うのです。この職制の行き方ではそういうふうなことが、まあ今度の場合はどうか知りませんけれ
ども
、多分にそういうふうなことが欠陥となりまして、今度の問題も起した
一つ
の隠れた力にな
つて
おるのじやないか、こんなふうに考えますが、御
意見
どうでございましようか。
唐沢勲
44
○
説明員
(唐沢勲君) 先の問題につきましていろいろの
お話
、誠に御尤もと思いますのでございますが、あの時ももつと早く、今にして思えばもつと早く皆を招集する手配とか、その他の手配ができたのじやないかと私
ども
実は考える点もあるのでございまするが、非常にまあ、結局あまりに想像を絶したような事態であ
つたの
で、今までよりもつと早く、こういう船の
状態
をキヤツチして、すぐいろいろな
方面
へ手配するということも考えられることでございます。恐らくそれほどと思わなか
つたの
じやないかと思うので、いろいろ船の
状態
を何度も繰返して確めてみたり、いろいろなことをやつおるようでございまするが、あの
状態
だ
つた
ら、もつと早く万一のことを想像して、もつと手配をしたほうがよか
つたの
じやないかというふうにも考えられるので、いろいろと今後の問題としては、もつと万全の策をやるように考えなければならんのじやないかというふうにも考えまして、例えば局長その他の招集にしましても、もつと或いは早くし、或いは部外の
協力
にしてもそういうふうなことも考えられるのでございまして、
海難
の救助の
態勢
というようなことにつきましては、今後はなお万全の策を講じなければいけないというふうに考えておるわけでございます。あとの
船長
の権限の問題につきましては、識者としては勿論総括的な指揮は、指揮といいますが、監督といいますか、上長には
関係
局長がおるのでございますが、局長につきましてはいろいろの船繰りの問題であるとか、その他いろいろな身分上の問題もございますし、あらゆる問題について
船長
を指揮するわけでございますが、航海の安全に関しましては、
船長
が全
責任
を、法律上も
責任
を持
つて
おり、従いましてこの出航をしないというような、天候によ
つて
、不安全と見た場合には
運航
をとめるというような権限は、法律によ
つて
持
つて
おるという考えでございます。今回の場合におきましても、例えば天候見合せも、
船長
独自の判断で、天候見合せをしております。又出航の判断も自分から判断をいたしまして、何時に出航するということを通知しておるのでございまして、従来もそういうふうに慣例でも
つて
全
責任
を
船長
で持
つて
出航、
欠航
をきめておるというようなことでございまして、それに基きまして船便を変えるとか、或いは客をどうするとか、積荷をどうするとかい
つた
ような指示は局長で、或いは局長を代行しております
船舶
運航
指令のほうでいたしますけれ
ども
、その出航とか
欠航
とかい
つた
天候に基く判断は、
船長
自体がや
つて
おるような次第でございまして、これは全部
船長
自身も知
つて
おり、そういう慣例にな
つて
おる。ただはつきりとそういう点を明らかに明文をも
つて
示してなか
つた
という点について、御指摘のような遺憾な点がありますので、こういう点については、今後はつきりさして行きたいと思
つて
おります。
森崎隆
45
○
森崎隆
君
函館
の
気象関係
の方が来られておりますか。
高木正夫
46
○
委員長
(
高木正夫
君)
函館
は今日は見えておりません。
森崎隆
47
○
森崎隆
君 では
中央気象台
の方にさつきお聞きしたことについて、関連してお聞きしたいと思いますが、今の
中央気象台
からの通報が普通ならキヤツチできるが、停電のときはできなか
つた
。そのときにはまあ
電池
設備でこれをキヤツチすることにな
つて
おる。事実上これは役に立たなか
つた
ということは、
一つ
の重大なポイントだと考えるわけでありますが、それで
電池
が役に立たなか
つた
ということはいつ発見されたかどうかということ、並びにその
電池
設備では十分でないから、例えば二十年度予算の当初予算の中に、気象台として、
函館
局に限りませんけれ
ども
どこでも停電の際に十分に
中央気象台
からの天気予報の通報をキヤツチできるような設備をもつと
改善
してもらいたいという要求をした事例があるかないか。又その事例があ
つた
場合ない場合といえ
ども
、旧年度予算の当初に、国家予算の中にそういうような
改善
の予算が組まれるように、気象台として要求したかどうか。そういう点について、はつきりおわかりになりましたらお聞かせ願いたいと思います。
肥沼寛一
48
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
只今
の御質問に答える前に一言別のことをお答えしたいのでありますが、あの当時、
中央気象台
にも
札幌
も放送はいたしておりましたけれど、気象台の通信線が有線でありますために、
北海道
各地の資料が
札幌
に集まらず、従
つて
中央にも集ま
つて
いない、放送はしておりましたけれど。その中に
北海道
では、たしか数地点しか資料が放送されていないという、こういう事実です。従いまして無線を
受信
いたしましても、受けた結果としては
北海道
の資料が殆んど得られていないという、こういう事実が
一つ
ございます。 それから
電池
のことでございますが、これは毎年きま
つて
ということではございませんが、私も
札幌
の気象台長をしておりましたときに、
北海道
の通信
施設
が非常に悪いんで、
電池
その他の要求をしたことも何回かございました。併しそれは全面的にはなかなか不可能で、やりくりで
電池
を少しずつ
整備
して行
つた
状況でありましたために、
函館
のはつきりした状況は私今わかりませんけれ
ども
、どうであ
つた
かそこはわかりませんが、
北海道
全般としましては、
電池
で停電のときは
受信
するという状況はと
つて
おります。
森崎隆
49
○
森崎隆
君 更に聞きますが、有線であるために十分に
北海道
管区のほうからの気象通報の資料が得られなか
つた
ということは、今度初めてじやないわけですね、これまでに……。停電すれば全部そういうような
情報
収集は不可能であ
つた
という事実は再三あ
つた
わけですね。この点如何ですか。
肥沼寛一
50
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
電池
がドロップしてしまいましたためにとれなか
つた
。そういう場合には、有線が切れておりませんときには、
札幌
まで気象の専用線で有線で聞き合わしていたという事実はございます。併しそれが非常に頻繁であ
つた
ということはないと思います。そういう事実は過去において何回かございます。
森崎隆
51
○
森崎隆
君 では、そういうような手段で今度の場合ですね、十五
号台風
の急襲の場合には、資料の交換はできなか
つたの
ですか。
肥沼寛一
52
○
説明員
(
肥沼
寛一君) 今回は先ほ
ども
申しましたように有線があつちこつちで遮断されてしま
つた
ということで、今回は非常に残念ながらできなか
つたの
であります。
只今
ここへ資料を持
つて
来ておりませんが、
北海道
の気象管区のたしか数地点だけが線が残
つて
いたという状況でございます。勿論これはあの半日或いは一日の間全部ではございませんで、大事のときにこつちが切れ、片方が残
つた
ときに又片方が切れていたということで、そういう或る時間切れたということだけを申しますれば、全部切れております。
森崎隆
53
○
森崎隆
君 そういうような数個所で切れて一分の交換ができなか
つた
ということは、今までもあ
つた
わけですね。
肥沼寛一
54
○
説明員
(
肥沼
寛一君) 何回かはございました。併しああいう全面的のは非常に稀でございます。
森崎隆
55
○
森崎隆
君 そんな場合、やはり部分的にも不可能な場合があ
つた
ということは今もお認めに
なつ
たわけですが、そんな場合、これに対して
中央気象台
の
責任者
としましては予算の面、設備の充実という面で今までも単にやりくりを何とかしてお
つた
と思いますが、これは
人命
に
関係
することだと考えると重大な問題だと存じますが、そういう予算的な
措置
について
努力
をされました経過がありますかどうか。
肥沼寛一
56
○
説明員
(
肥沼
寛一君)
只今
のようなことは当然予想されますので、気象台といたしましては、有線だけに頼るのは危険だということで全国で二十四、五個所だと思いますが、無線の交信
施設
を持
つて
おります。それでこれだけでは
不足
なんでありまして、これを漸次殖やしたいということを考えていた段階でございます。現在二十四、五個所は無線で直接資料は交換できるような
施設
を持
つて
おります。
北海道
の例を申しますと稚内と浦河と
札幌
だけでございます。
森崎隆
57
○
森崎隆
君 勿論それでは十分でないというお考えはよくわかりますが、まあ漸増的にこれを
整備
して行くというお考えでこれまでの予算には逐吹出してお
つた
わけですね。
肥沼寛一
58
○
説明員
(
肥沼
寛一君) 漸増的に増加して行きたいという希望で
計画
をして来ております。
森崎隆
59
○
森崎隆
君 この点は、非常に今度の
事件
につきましては私は重大なポイントだと考えるわけですが、これにつきましては又日を改めまして他の
委員
から御質疑があろうかと思いますが、これは非常に大切だと、これは極端に言いますると気象台
関係
では万全を尽したと、現段階までの御答弁の結果から見ますと私
ども
はそう考えます。而もこの
事件
が起きたということになりますと、これは明らかに
政府
の
責任
にな
つて
来るわけですから、
船長
の問題は別にいたしましても、
政府
の
責任
にな
つて
来る。ところがそういうような予算も要求せずに、バツテリも十分でない。そういうことで今まで気象通報の資料の交換ということが十分得られないままに放置して、事もなか
つた
からそのままでよか
つた
が、今度こういう問題に
なつ
たということになると、これは気象台
関係
にも大きな
責任
があろうと考えるわけであります。そういう点も非常に大事なポイントと思いますので、それ以上の質疑は今後に保留したいと思います。 それからもう
一つ
、政務次官が来られておりますからお聞きしたいのですが、補償の問題でございますね、補償はいつ御決定になるのですか。犠牲者に対する補償金は……。
岡田信次
60
○
説明員
(
岡田信次
君)
只今
事故
の
原因
につきまして
海難
審判所において糾明中でございますので、その
結論
によ
つて
補償問題を解決したいと、こういう考えです。
森崎隆
61
○
森崎隆
君 この問題の
原因
が最終的に
結論
が出るまでは補償を決定できないということですが、それはどういうような理由に基くのですか。例えばこの
原因
の糾明の中に、
乗組員
全体が決議をして、とにかく船を出せと強力に言
つて
、
船長
に圧力をかけたという事実があるということになりますと、これは補償に対して非常に大きな問題が出て来ると思う。恐らくそういうことは私はないと思う。そうしましたならば、
原因
糾明は
相当
時日もかかることだし、それはまあ個別的な事項につきましても、非常な
努力
も傾けなければならんので、
原因
糾明は
相当
時間かけてやるべきだと思いますがね。それとは別個に補償の問題はやれるのじやないかと思いますが、そういうことについて……。
岡田信次
62
○
説明員
(
岡田信次
君) 補償の問題でございまするが、
国鉄当局
に何らかの手落ちがあ
つた
とか、或いは欠陥があ
つた
とかという場合でないと、現在の法律の建前から補償はできないと、かように承知いたしております。
森崎隆
63
○
森崎隆
君 それじや
国鉄側
に全然
責任
がなか
つた
という
結論
が出た場合には、補償は全然やらないのですか。
岡田信次
64
○
説明員
(
岡田信次
君) 恐らくそういうことになりましよう。
村尾重雄
65
○
村尾
重雄君 今の問題ではないのですが、先ほどから
森崎
委員
、ほかの
委員
から気象台の、この
現地
気象の、当時の十五
号台風
のキヤツチと通報についていろいろと質疑が取交わされたのを聞いておりまして私少し疑念に思う点があり、それからして発言しようと思うのです。それは
現地
へ行かれた
仁田
さんなり、
委員長
なり、又
重盛
さんおられるので、私のと考え方が食い違
つた
らいつでも訂正したいと思います。正確な資料に基いて私申上げるのではないが、今
委員
と気象台長との
お話
伺
つて
いると、非常に
現地
の気象台が当時中央から受けた通報に対するキヤツチ、その資料ですね、それに基いて予報をしたことが何だか杜撰な、実にあいまいな感じを受けたのですが、我々
現地
で伺
つたの
には、例えば
函館気象台
にしても、
札幌
気象台にしても、
責任
をも
つて
のこの答弁を伺
つて
おりますと、日本海を北上する十五
号台風
が、三陸を渡
つて
行く、
最初
この方向が北上した、それが急に津軽海峡を通過する様子に見えた、これも正確にキヤツチして、それを通報していると僕らは聞いている。それが急に西南に、而も時速五十メートルという、あの当時の
事件
を起した突風に変
つた
ことすらキヤツチしたと、ただそれを通報するのについて、その予報として正確に西南に変わり、五十メーターというほどの恐しい風になるということだけは十分にみんな……、それを予報だからしてそこまで織り込まなか
つた
。ただそれもはつきり津軽海峡通過ということと、それから西南に変
つた
ということと、それから或る
程度
その風も二十メーターから三十メーターという枠内で通報した。その通報も受取
つた
が、受取
つた
側の各
機関
での
連絡
において
電話線
が切れたり、通信の不備な点から、又怠慢から十分な伝達はなか
つた
が、
函館気象台
としては、そこまでやはり
責任
上通報を出したということを我々は
調査
して知
つたの
ですがね。今の伺
つて
いると、何だか非常に十五
号台風
について、気象台として不備であ
つた
という点のような、御答弁を通じての感じを受けたのですが、もう一応その点でどうお考えにな
つて
いるかを伺いたい。
和達清夫
66
○
説明員
(
和達
清夫君) 私は一番
最初
に、気象台としては先ず適当に予報警報を出したと思うと申上げました。これはもう大筋は通
つた
ものとして、細部について予報部長が答えられたと私は信じております。
森崎隆
67
○
森崎隆
君 ちよつと
一つ
……。今政務次官が申されました
国鉄側
にさえ
責任
がなければ補償はしないというようなことでありますが、
国鉄
に
責任
がなければしないという意味じやないのですか、どうなんですか、その点をはつきり……。例えばですね、気象台
関係
に
責任
があ
つて
も
政府
に
基本
的な
責任
があ
つて
も、
国鉄
が直接持つべき
責任
がなければ補償しないというのか。そのあたりをはつきりして下さい。
岡田信次
68
○
説明員
(
岡田信次
君) 今の
海難
審判所におきましては、
国鉄
のみならず、
政府
の
責任
はどうかと思いますけれ
ども
、或いは気象台その他に
責任
があるかどうかというような点も取調べ、審理中でございますので、それらの点がはつきりいたしまして、
国鉄
として
責任
があるということになりますれば、補償の
措置
を講ずるはずでございます。ただ
政府
の
責任
は果して
海難
審判所あたりでやるかどうかはちよつとお答えしにくいのでございます。
森崎隆
69
○
森崎隆
君 私が申しますのは、それでわかりますが、私が申しますのは、例えば気象台としては、
政府
が決定した予算の枠内で与えられた設備を十二分に活用しまして、できるだけの善処をした。而もこういう悲
惨事
が起きたことに対しましては、設備全体については
政府
に
責任
があろうと思います。そういう場合の
責任
は、この補償の
基本
的な原則、条件には入らないのかどうかという問題は別にしまして、これはまあ今や
つて
いるところでなんだろうと思いますが、結局さつき、
国鉄側
に
責任
がなければ、補償はしないというお言葉は、
国鉄側
にさえ
責任
がなければ問題はないという意味じやないんですね。全体を含めてなんですね。
岡田信次
70
○
説明員
(
岡田信次
君)
政府
の
責任
の点を除きましての限度でございます。
森崎隆
71
○
森崎隆
君
政府
にはもう全然
責任
がないという
基本
原則に立
つて
おられるのですね、現
政府
は。
防波堤
の問題とか、今の予算上設備は不十分で明らかに今の場合はあるわけですね。有線がストップすれば殆んど
情報
がキヤツチできないということがはつきりしている。そういうことの
責任
がどこにあるかということ、そういうことは全然考えないで、
政府
にはもう
責任
がない。
連絡船
を
運航
している
国鉄側
に、或いは
船長
とかそういうところに
責任
がなければ補償はしない。
政府
の
責任
ということは全然枠外に考えていられるのですか。
岡田信次
72
○
説明員
(
岡田信次
君)
只今
までのいろいろな調べました資料に基きましては、
政府
には
責任
がないというふうに考えております。
森崎隆
73
○
森崎隆
君 これは政務次官が考えておるので、最終決定の問題じやない、予想しているわけですね。あなたの御予想ですね。
政府
が
責任
ないものと確信しておるわけですね。
岡田信次
74
○
説明員
(
岡田信次
君) その
通り
でございます。
森崎隆
75
○
森崎隆
君 それじやわかりました。
重盛壽治
76
○
重盛壽治
君 これは
岡田
さんに別にいろいろ文句を言うわけじやないのですが、
国鉄
に
責任
がなければ補償しないとか、
政府
に
責任
がなければ補償しないとかいうことじやなくて、今度の問題は運輸事業に携わる者としての
責任
問題として補償をしなければならん。これは当然のことで、だから補償の限度に軽重はあ
つて
も、補償はする。
国鉄
に
責任
がなければ補償しないとか、
政府
に
責任
がなければ補償しないということじや困る。何か少しお考え違いがその辺にあるのじやないか。私は私なりの考え方から行けば、こういう問題が起きれば、当面の
責任者
は
国鉄
であるから
国鉄
が補償する、ただ額の問題とかいろいろな問題はこれからの
海難
審判所の或いは各
調査機関
の
結論
が出ましたときに額は決定されるということでよかろうと思います。その点別なことですが、その点御認識を政務次官に伺
つて
、それがはつきりせんければ、先ほ
ども
言われたように、
責任
がなければ支払いませんよということになれば、又別の角度からの議論が出ることになると思う。これは大体僕の推測の
通り
だと思いますが、その点の見解を明確にしておかなければまずいことができて来ると思います。それから、全般的の問題として、その後の
洞爺丸事件
がどうな
つて
おるか。それから
運輸省
全体の処理して来たところのその他の処置はどういうふうに進んでおるか。更に又
洞爺丸
の引揚げの
状態
はどこまで来ているのか、その後の情勢をもう少しつまびらかにこの際
国鉄
としてしなければならん、
報告
する必要があるのじやないかと思いますが、前段の問題は
岡田
さんから
一つ
お聞きしておけば結構です。
岡田信次
77
○
説明員
(
岡田信次
君)
責任
がないといたしますと、今の
国鉄
に
責任
が、
国鉄
だけの
責任
じやなくて今気象台その他の
職員
が怠慢だ
つた
というために若し
責任
があるとします。そういう
責任
がないといたしますと、ちよつと賠償金を支払う根拠がないのでございますね、現在の法律では。ただ残るのは道義的と申しますか、精神的と申しますか、そういうのをどうするかということでございますが、それにつきましては、先般お見舞金ということでも
つて
処理をしたというふうに考えておるので、どうも
責任
がない場合に賠償金を払うということは不可能なことだろうと思います。
重盛壽治
78
○
重盛壽治
君 今日まだ
責任
の所在が明確にされておらんから私はあえて政務次官と議論するのはやめますけれ
ども
、総合的な
責任
というものは
政府
に持
つて
行くべきか
国鉄
に持
つて
行くべきかというところだと思います。誰が見ても、素人の私が
調査
の結果から見ても、先ほど来私が言うように、この災害にあわれた方々の遺族や
一般
国民がどの
程度
で納得するかという軽重の問題はありましよう。ありましようが、総合的な面は、
責任
は仮になか
つた
としても、
責任
を感じて処理すべき問題だと私は考えます。この問題はそういうことになりますと、これは非常にむずかしくな
つて
、
海難
審判所の
機構
の問題、
機構
の問題を
一つ
取上げても、
海難
審判庁長官が今の理事官とかその他の任命権を持
つて
おる。こういうことに対する考え方も
相当
変えて行かなければならない。これは本当に理事官が明確な考え方を出し、明確にものを打ち出そうとするとすれば、その上におる審判庁長官が
人事
権を把握しているということになると、日本人の常として、弱いところを握られておる人の前などでは、正当な
意見
でも、まあこの人たちはそういうことがなかろうと思いますが、話さないということが従来の
官庁
の悪い例にな
つて
おる。この問題と結びつけて気象台を言うのではないが、気象台は学者の人が非常に多いために、こうもしてもら
つた
らああもしてもら
つた
らという実情もなかなか言い出されておらないということが至るところの気象台に行
つて
見ると出ておるのでありまして、こういう点も考えなければならんと私は思います。私は従
つて
政府
の考え方、特に
運輸省
の考え方としては、この問題に対する総合的な意味合いからあの
連絡船
を扱
つて
お
つた
、持
つて
お
つた
というところから考えても、
責任
の一端を持ち、そうして補償して行くという考え方の上に立つべきじやないか、これは私の
意見
ですが、そういうことでなければなりません。そこでそういう問題にな
つて
来ますと、私は今言
つた
ような
機構
の問題とか、それから今までの
調査
、更に進んで、ここに
調査
報告
がありますが、こういう
関係者
だけによるところの
調査
でなくて、もう少し専門的な
調査機関
を設置し、そうして将来の問題をなくすると同時に、もつと大きな問題として取上げて行かなければならん問題じやないかというふうに考える。こうい
つた
点をやはり
政府
、
運輸省
ということじやなくて、あなたの言われた道義的という面からも十分考えて補償を処理したいという形の御返事を承わらんことには私は納得できないと思いますが、その点どうですか。まあ従来と同じことだということなら、それならそれなりの御返事であ
つて
も結構ですが。
岡田信次
79
○
説明員
(
岡田信次
君)
重盛
さんの後段にお答えいたしますが、この
事故
のその後の二度と起らないというための
対策
でございますが、部内だけでや
つて
おるわけではないのでございまして、例えば今後の青函
連絡
の船体の問題、それにつきましては、日本のあらゆる造船界その他の機能をしぼる
委員会
を作り、それぞれ慎重に検討いたしております。又
港湾
等につきましても同様にあらゆる
方面
の智恵を拝借していろいろな
対策
を講ずる
措置
をと
つて
おります。
重盛壽治
80
○
重盛壽治
君 この問題はいずれもう少し明確にな
つて
から議論する問題であるし、
責任
の所在云々の問題もそのときに論議すべき問題だと思うのですが、ただ私
ども
参議院
運輸委員会
の
委員
としての立場から申上げますならば、
運輸委員会
もそうであろうし、
運輸省
全体としても、この問題を起したことは甚だ遺憾であ
つた
、遺憾であ
つた
という一面には
青函局
の局長であるか或いはどうであるか、局長であろう、局長のとられた
措置
の中に、その下におられた人々の
措置
の中に、或いは気象台に働く人の
措置
の中にも、どこにも一人で負う
責任
じやないかも知れませんが、この点がこうされたらということを考えるならば、若干の
責任
は皆にあると私は思う。確かにこの問題は大きな問題ではないか。強いて突つ込んで言うならば、
政府
が今までこういう面に比較的金を出さなか
つた
ということに大きな
責任
があると存じますが、これはおきます。これに関連して私は一遍気象台に聞いておきたいのだが、気象台と
現地
との
連絡
は、私
ども
が調べたところでは、まだ若干不十分ではないかというふうに考えるが、特にあのときには、先ほど
村尾
さんが言われたのだが、気象台が十六時頃までに入れた
連絡
というものは、大体三陸沖を抜けるのではなかろうか、そうして十七時、十八時頃にな
つて
入
つた
ものは、
函館
湾に行くのじやないか、西南風に風が変
つて
須津
方面
に抜けるということが入
つた
ときには、すでに遺憾ながら
国鉄
の
関係
方面
にあの地方の気象台が通報
連絡
を十分とることができ得ない
状態
のときに、西南風に風が変
つて
、
函館
湾へ行くように変
つて
来ているんだ。そういうことを考えるならば、これはもう気象台としても
責任
がないと、やるだけのことはや
つた
、併し万全は期したけれ
ども
、限られた人と限られた設備の埓内においての万全を期したということであ
つて
、あの
台風
に対する万全を期したということは言えないのではないかと私は思う、このように考える。従
つて
こういう面から特にあのとき非常に問題に
なつ
たし、私
ども
も考えたことは、例えば日本海
方面
にレーダーが二、三カ所あ
つて
、それの
連絡
が十分であ
つた
とするならば、これは西南風に変る、さつき風と波がどつちが中心であ
つた
かというので、今度は波のほうが大分強か
つた
ということを言われたが、風も波も、そうしていろいろな
連絡
等の不備とも総合してああいうことにな
つたの
で、あの時の風の方向もぐるぐる変
つて
お
つた
。即ち船の
構造
にも
原因
があ
つて
、そうして大きなことに
なつ
た。前に進むような形でできている船にうしろから波が入るのは当然である。つまり船が風の変化で反対の方向にな
つて
、そこへも
つて
来て波が高か
つたの
でうしろからどんどん入
つて
来た、これは誰しも見て考えることですよ。これでは完全に
責任
を完遂できたんだということにはならない。持
つて
おる力とそうして持
つて
おる機械という限度においてはやるだけのことはや
つた
。だがもう少しやるべきものがあ
つた
んじやないかという問題がそこに残されておる。それに関連して、日本海
方面
からも気象観測をもう少し完全にとる方法が
一つ
、これを気象台長はどういうふうに考えておるか。 更にこれは若干私的になりまするが、この間中国
派遣議員
団のほうに、私
ども
の
関係
議員を通じて、中国との気象交換をしたいがどうかという要請書をお持ち願
つた
と思うが、その結果はどういうふうにな
つて
おりますか。若しそれがわか
つて
お
つた
ならば教えてもらいたい。以上二点について。
和達清夫
81
○
説明員
(
和達
清夫君) 中国のことについてお答えいたします。中国には要請書は持
つて
参りません。私が周恩来総理と議員団、文化団の代表の方々の会見のときに列席しておりましたので、この席で機会を得て、このことについて周恩来総理にお願いしたんであります。そして原則的に理解を得たと思います。但しそれは原則的でありまして、あとでそのほうの担当の人たちといろいろ
お話
いたしましたけれ
ども
、現在の中国の
状態
では早急にこの問題を解決することは困難であるということが私にも了解できましたので、将来においてできるだけ早くそういう機会があ
つた
ならば
情報
をこちらが入手できるようにしてもらいたいということと、そして部分的でも何とかならないかという希望を強く向うに述べて終
つたの
であります。
重盛壽治
82
○
重盛壽治
君 日本海
方面
へレーダーを取付けたことについて……。
和達清夫
83
○
説明員
(
和達
清夫君) 次に日本海の
事情
について申上げます。日本海に
定点観測
がありますれば、勿論基礎資料としては非常に有力なものとなります。我々気象をや
つて
おるものは、基礎資料があればそれだけに正確な予報や警報が出ることは申上げるまでもございません。併し非常な多額の
経費
を要することも申上げるまでもないと思いますし、先ほど来の警報の出し方につきましても、先ずさきほどの
経費
がかからずに、なお取残されている気象
施設
の
整備
こそ第一番にやるべきものと私は信じております。その基礎なくして、ただ金の莫大にかかるものは、それが非常に効果的でありましても、丁度たとえてみますならば、食の十分でないのに着物を十分に着るというようなことの
関係
にも当るのではないかと思うのであります。 なおレーダーにつきましても、非常に有効な武器でありまして、まあこのほうは
定点観測
ほどの多くの費用は要しません。これにつきましてもできるだけそれを活用したいと考えておるのであります。 話を元に戻すようでございますが、日本のように狭い土地で少し
台風
の道筋が変りますというと災害の起ることが非常に違うのであります。このようにむずかしい予報警報を出さなければならないところは恐らく世界にも珍しいのじやないかと思うのであります。こういうようなところで私
ども
は大筋を通して、今回は私
ども
はその大筋を通すということにおいては、先ず適当に行
なつ
たと思
つて
おります。警報を出しまして、そしてそれには修正をして、そして災害が起らないようにすることが万全の
措置
でありまして、私
ども
はできるだけそれに
努力
をしなければならないことはよく存じておりますし、又今後もできるだけいたすつもりでおります。ただ警報を修正し得なか
つた
、もう少しよくする……、警報を修正し得なか
つた
というところにおいて、我々がこういうことができるように日頃の
施設
をもつとしておかなければならなか
つた
という点につきましては、誠に仰せの
通り
であると思いまして、今後も一層に
努力
をしてその
措置
をとりたい、又そういうような御理解も頂いて、何とか
施設
を充実して頂きたいと存じておるのであります。
重盛壽治
84
○
重盛壽治
君 気象台長のほうは、今最終的な言葉でよくわかりましたが、大体予算をお組みになる立場じやなくて、
仕事
を如何にして、どうして災害を防ぐかというお立場でございますので、その点最後に付加えて頂いたから結構でありますが、これに関連して一応
運輸省
に聞いておきたいことは、この問題が起きたから特に刺激を与えたということもありましようが、仮に起きなか
つた
としても、日本のような地理的な
関係
から考えますというと、
港湾施設
の問題或いは気象台に対する予算が非常に貧弱であ
つた
と私は痛感しているのです。従
つて
今年度の新しい予算、それから特に補正予算、これは補正予算は風水害予算で、これは単なる
函館
の
洞爺丸事件
の問題ばかりでなく、
北海道
全般を見る場合に、汽車の中から見ても全部立木が途中からへし折られている。山は皆なぎ倒されておる。こういうような
状態
から見たならば、やはり災害の補正予算というものが当然とられなければならないし、特に根本的に私は今年の新しい
運輸省
の予算は組替えをする必要があるのじやないか、こういうように考えるので、補正予算にどのくらいの考え方を持
つて
おるか、恒久予算に対してどういうようなお考え方を持
つて
おるかを、一応
運輸省
から聞いておきたいと思います。
岡田信次
85
○
説明員
(
岡田信次
君) 災害に関しましての補正予算は、目下大蔵省と折衝中でございまして、大体
政府
といたしましても、或る
程度
の補正予算を組まざるを得ないという態度にな
つて
おりまして、
運輸省
関係
についてはその額、内容を折衝中でございますから、いずれ近いうちにきまると思います。
重盛壽治
86
○
重盛壽治
君 恒久予算のほうは別にまだ、いわゆる今度の新年度の予算に関連して、この間三十年度の
運輸省
の
一般
方針というものは一応私
ども
の目の前に現われたのですが、あの形、あの姿だけではいかん段階に来ているのじやないかと私は考えるのですが、その点について、
運輸省
として何かお考えがあるか。
岡田信次
87
○
説明員
(
岡田信次
君) 三十年度の予算につきましては、今回の災害その他に鑑みまして、先般お手許に出しました
基本
方針の予算に修正が加えられるはずでございまして、修正を加えて目下大蔵
当局
と折衝中であります。
大倉精一
88
○
大倉
精一君 ちよつと先の
重盛
委員
の質問に関連して気象台長にお伺いするのですが、台長があちらへ行かれて中共との
気象情報
交換について
お話
されることについて非常に期待を持
つて
私はお
つた
んですが、帰朝談にも、
只今
の御答弁にもあるように、中国との交換が今のところ困難である、こういうような御
報告
がありましたが、その困難な内容がどういうわけで困難なのか、ちよつとお聞かせ願いたい。
高木正夫
89
○
委員長
(
高木正夫
君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止]
高木正夫
90
○
委員長
(
高木正夫
君) 速記を始めて下さい。
唐沢勲
91
○
説明員
(唐沢勲君) 先ほどお尋ねの
洞爺丸
の
只今
までの状況を申上げますと、遺体の引揚げ、その確認というような点を先ず申上げますと、結局目下不明の者は、
一般
のお客さんにつきまして五十八でございます。外人が八、計六十六でございます。総計いたしますと、
職員
その他みんな合せまして百六十三でございます。それからまだ遺体はありましても引取者のないというのが二十四ございます。その後は船体からもう出ませんので
一般
の今までの方式を変えまして、御承知のように船体の浮揚にかか
つて
おるわけでございます。浮揚をしながら捜査を進める、こういう方法をや
つて
おります。
洞爺丸
、北見丸、
十勝丸
、目高丸、第十一
青函丸
全部これをサルベージの
会社
に請負せまして、この作業にかか
つて
おります。いずれもいろいろなこの浮揚の準備作業と、それから遺体の捜査をその線に並行してやるというふうにしておりますが、目標としまして
洞爺丸
が三十年の三月三十一日、
十勝丸
が四月十五日、日高丸が五月三十一日、第十一
青函丸
が五月十日、それから北見丸が深いところにありますので遅くなりまして八月二十日というのが一応引揚げの目標にな
つて
おりまして、それから遺族
関係
の方につきましては、御
事情
をよく
お話
申上げまして、それぞれ不明の方につきましては、
情報
あり次第御
連絡
するというふうにいたしまして、
函館
からはお引取り願
つて
おるというような
関係
でございまして、なお弔慰金等につきましての引渡し等の準備も着々進んでおるというような状況でございます。
重盛壽治
92
○
重盛壽治
君 犠牲者の合計は何人でございますか。
唐沢勲
93
○
説明員
(唐沢勲君) 死亡の合計は千十九名、それから不明が六十六名でございます。この不明は恐らく勿論死亡でございましようから、この合計が犠牲者であるということになるわけでございます。
高木正夫
94
○
委員長
(
高木正夫
君) 私からちよつとお聞きしますが、年末
輸送
及びその後の
輸送
状態
はどうでございますか。
唐沢勲
95
○
説明員
(唐沢勲君)
輸送
の状況につきましては、先ほどの御
報告
にもありましたように、本年度は六百五十両
程度
の航送を目標としてお
つたの
でありますが、こういうことになりましてから、もつと能率的にということで、いろいろ工夫しまして、十月前から四百六十四両くらいの
計画
を立てましたが、いろいろと天候の加減や
欠航
もありましたりしまして、結局実績は四百たしか十両くらいの実績にな
つて
おりまして、去年の実績に対しまして七一%か二%くらいでございますが、
宗谷丸
の
就航
と道南
海運
の活動によりまして、
宗谷丸
のほうは大体予想
通り
順調に一日平均五百トンくらい運んでおりまして、道南
海運
が三百トン余りだと思います。結局昨年の実績に対しまして八二・三%の
輸送
力でや
つて
おりまして、十一月になりましても大体同様な成績でございまして、去年の実績に対しましては、航送とそれから
宗谷丸
及び道南
海運
合せまして去年の実績の八四%ぐらいの成績でございまして、滞貨といたしましては、二十一万トン
程度
でずつと横ばいでございまして、去年などに比べれば、おしなべてと申しますか、
輸送
状況は割合に去年よりも低いように思われます。又一番問題になりました馬鈴薯の
輸送
につきましては、我々としましては、これだけは特に
努力
をいたしたつもりでございますが、出荷の
方面
の
協力
も相待ちまして、大体修正しました
計画
で運びまして、種馬鈴薯はおおむね所期の
通り
十一月二十日頃までは約二百二十万俵でございましたか、一応種馬鈴薯として
計画
すべきものとして、この
事故
以後において
計画
しました数量が運べる見込みが立
つて
おります。他の
海運
関係
への経緯につきましては、的確な数字がなかなかつかみにくいのでございますが、これも少くとも馬鈴薯などにつきまして、その他まとま
つた
ものにつきまして、
相当
実績が挙
つて
いるのが事実でございまして、なお若干の資料がございますが、必要があればあとで調べて申上げます。
海運
の
方面
におきましても、昨年よりは
一般
のほうへも
相当
行
つて
いると思うのでございます。今後年末に対しましてどういうことになるかと思うのでございますが、これにつきましては、我々としましても最大の
努力
を続けまして、船繰りがつく限り、
船員
のほうや
職員
な
ども
努力
をしてもらいまして、できるだけの
輸送
を確保しようと思うのでございますが、先ほど総裁からも申上げましたように、
宗谷丸
につきましても、大体十一月一ぱいの予定でお
つたの
でございますが、滞貨の模様等も考えまして、
ドック
へ入れる時期が来るまで臨時にでも
運航
して滞貨を捌くことに
努力
して行きたいと、かように考えております。
高木正夫
96
○
委員長
(
高木正夫
君) その
ドック
へ入れるというのは、ぎりぎり一ぱいというのはどのくらいでございますか。
唐沢勲
97
○
説明員
(唐沢勲君) 十二月の二十五日にはどうしても期日がありまして入れなければならんだろうと考えております。
高木正夫
98
○
委員長
(
高木正夫
君) そうすると年末
輸送
は、大体お見通しとしては、先ず先ず行けるというお見込みですか。
唐沢勲
99
○
説明員
(唐沢勲君) どの
程度
の滞貨がずつと残りますか疑問でございますが、去年の様子から見ますと、大体十二月二十五日頃まであ
つたの
でございますが、今年の滞貨もこれだけ
輸送
力か落ちているけれ
ども
、まあ去年よりもむしろ低いくらいの二十一万
程度
でございますから、年末にな
つて
そうひどい混乱といいますか、大きな滞貨の山ということはなくて済むのじやないかというふうに一応考えております。
高木正夫
100
○
委員長
(
高木正夫
君) それからもう
一つ
、
対策
協議会
の手配ですがね。あれは私
ども
行
つた
ときにも、私
ども
意見
を出しておいたのですが、それがスムーズに行
つて
おりますか。荷物の種類によ
つて
いろいろ違
つて
来るわけですね。それは主として
道庁
が主宰した
協議会
で調節してくれということを
お話
をしておいたのですが、別に今のところ問題が起
つて
いないのですか。
唐沢勲
101
○
説明員
(唐沢勲君)
対策
協議会
の
お話
も承わりましたが、
輸送
の順序といいますか、そうい
つた
ようなものをつけるということは、
輸送
機関
の私
ども
としては、これは送る、これは送らない、これは先にするということはなかなかできませんので、
道庁
のほうで各出荷団体とか、それらのものと協議しまして、こういう荷物は成るべく船で送る、こういうものは早く送る、これはあとにしましようとい
つた
ような
輸送
の調整を自主的にして頂きたいというような
お話
があ
つた
と思うのでございますが、この点は
現地
においてそれぞれいろいろと御相談してや
つて
頂いておると思いますが、先ほど言いましたように、
海運
のほうに行
つた
数字も
相当
あるように思いますし、又現実に私
ども
のほうでいろいろの苦情もそう切実に聞いておりませんが、併し品物によりましては、馬鈴薯に
重点
をおいたために小豆が送れなか
つたの
で値段が上
つた
とか、いろいろの点の
お話
はございますが、なかなかこの
輸送
調整という問題は我々としてもなかなかむずかしい問題でありますし、又
道庁
その他においても困難だと思いますので、部分的には、又ものによりましては、いろいろと御不満あると思いますが、大きな筋としては、そうい
つた
方法をとるより仕方がないと思いますし、又大きなものにつきましては、或る
程度
の効果は挙
つて
いるんじやないかと、かように考えております。
大倉精一
102
○
大倉
精一君 ちよつと関連してお伺いしますが、津軽海峡のあそこの航送は大体
欠航
が多いようなんですが、風速何メーターくらいまでは航行するに差支えないんですか。
唐沢勲
103
○
説明員
(唐沢勲君)
欠航
の率は、実は過去において見ましても、そのときに上
つて
大体違うのでございますが、去年の実績を見ますと、たしか
計画
したのに比べて、十月は
計画
通り
行
つて
おりますし、十一月が二%、十二月で四%くらいの
欠航
だ
つた
と思
つて
おります。その前年などを見ましても、多いときはやはり一〇%くらいの、しけもあるし、いろいろでございますが、殊に風や冬分の季節風の強いときは吹雪をあそこは非常に伴うと思うのですが、そういう
関係
でレーダーを設置する前は非常に
欠航
が多か
つたの
でございますが、レーダーを設置しましてからは、そういう点で
欠航
は非常に比較的少なくな
つて
おります。 それから風が何メートルという問題でございますが、これは航行の安全は私も素人でございますけれ
ども
、聞いてみますとその風の
向き
とか或いは波の高さ、うねり、いろいろなもの等が複雑でありまして、単に風速だけではなかなか何とも言えない、又突風というようなものにつきましても、瞬間に強く出ても、航行しているときには心配が比較的少いというようなことでありまして、過去の実績から申しますと二十五メートルくらいの風では皆航行をしていた例がたくさんございます。一概に風速だけで何メートルという基準もつきかねますし、そのときそのときの判断で、
船長
が判断をいたして航行しているような実情でございます。
大倉精一
104
○
大倉
精一君 どうも最近
洞爺丸事件
が起
つた
り、それから相模湖の
事件
が起
つた
りするというと、途端に機械的にものが運ばれるようで、相模湖の
事件
が起れば定員々々ということで、エレベーターも定員でも
つて
動かされる、非常に変なことにな
つて
いるようなんですが、特に
洞爺丸事件
以来、あそこは十メートルか、十五メートル風が吹くと、もうとま
つて
しまうということで非常に困難を来たしているようですが、先ほど総裁の
お話
によるというと、士気が衰えることを心配しているが、幸いに士気旺勢でこの航行は
我我
の手によ
つて
確保するのだというお言葉があ
つたの
ですが、どうも
現状
を見ると、そぐわないような気がするのですが、これはどうなんでしようね。
現状
はどうも
欠航
々々でも
つて
、本省べ出て来るのに大体予定の日にちの一日か二日前にみておかないとうつかり来れないというようなことにな
つて
いるのですが、そんなようなことにな
つて
いるのですか。
唐沢勲
105
○
説明員
(唐沢勲君) あの
事故
以来
欠航
の率が多くな
つて
いることは事実でございまして、十月の実績を見ましても、去年は殆んどなか
つたの
でございますが、今年は一〇%近く
欠航
にな
つて
おりまして、これは天候そのものを去年と精密に比べてみないと何とも言えないわけでございますが、まあ常識といいますか、によ
つて
考えまして、この
事故
に鑑みて非常に安全率をみているということははつきり言えると思うのでございます。そこでまあ万一ということを、一応どうしてもそういうことになる虞れがあると思います。又気象の通報のほうにいたしましても、恐らく念を入れていろいろな場合を想定して結局安全度を強くみるということにな
つて
いることは争えないことであると思うのでございます。そうかとい
つて
大丈夫と判断して行けということも言えませんし、又実際
船員
にしてみますれば、安全をとるということも尤もだと思うのでございまして、結局今までの
程度
とか、いろいろなもので判断をするのに
経験
で及ばないような意外な
事故
があ
つた
ために、その
経験
をそのまま、今まで
通り
その
経験
によ
つて
や
つて
行くというわけにも行かないという点に非常に問題があると思うのでございまして、これらの点はやはり各
方面
のいろいろの
研究
なり、それから
意見
を交換しましたりして、いろいろ判断をしまして常識的な線をおのずからの間に打ち出して行くというふうな方法をとる、或いは又これをもつと科学的、合理的にしていろいろな設備を更に
改善
するなりして、どこまではいいかというようなことについて、いろいろな方法をとりましてや
つて
行く、勿論ただ単に怯えるだけでなくていわゆる
対策
といいますか、そういう点も考えなければいかん、いろいろな面からも科学的であり、合理的であり、而も常識的であるとい
つた
ような線が打ち出されなければならないと思うのでございますが、そういう点がにわかに整うということは言えないと思いますので、結局各
方面
の設備なり、
研究
なり或いは何といいますか、制度なり、いろいろな面から考えて、こういう点は漸次
改善
して行かなければならないというふうに考えております。
大倉精一
106
○
大倉
精一君 あとでもう少しその他の点に関連してやりたいと思いますが、甚だうまく御答弁にな
つたの
ですが、安全率を求めることは是非ともや
つて
もらわなければならないが、度を過ぎるととんでもない迷惑をするということになる。或いは又
洞爺丸事件
当時におきましても、あそこの
輸送
は万難を排してこれを確保するというような方針であ
つた
ようなのですが、
洞爺丸事件
以来、その御方針がちよつと変
つた
というような現象場的なものがあるわけです。で、そういうようなことは度を過ぎないようにや
つて
もらわないというと工合が悪いと思うのです。で、最近の
状態
を見ておると、
洞爺丸事件
以来、或いは相模湖の
事件
以来、
注意
するということよりも、むしろ萎縮してしま
つた
、萎縮してしま
つて
各
方面
に誠に迷惑をかけておるというような現象が出て来ておるように思います。従いまして、私はそういうようなことに関して、萎縮をしないように、
注意
すべきは十分
注意
してもら
つて
、安全度を見るときは十分安全度を見てもらうと同時に、やはり積極的に目的の成果を挙げて頂くようなことをや
つて
頂きたいと申上げたいわけです。なおいろいろその他の問題について御質問申上げたいことがあるのですが、今日はこの
程度
にしてもら
つて
、明日この問題及びその他の問題で用いてもらいたいと思うのですが……。
高木正夫
107
○
委員長
(
高木正夫
君) 他に……。
仁田竹一
108
○
仁田
竹一君
札幌
の
輸送対策
協議会
でいろいろ各種団体から希望がありましたが、私
ども
それを承わ
つて
非常に適切だという
意見
も出て来たのですが、あの協議以来、多少物資
輸送
の面に従来よりか変
つた
というようなものがあるのでございますか。やはり従来
通り
の
輸送
をや
つて
おられるのでしようか、どうですか。その点は大分
鉄道
の方からもお見えになりまして、納得したらしい顔をしてお
つた
ようですが、この実情はどうですか。
唐沢勲
109
○
説明員
(唐沢勲君) 先ほ
ども
若干申上げましたように、この馬鈴薯などにつきましては、
国鉄
のほうで
計画
を立てまして、
定期船
を利用し、或いはチャーターしまして、
相当
の量を舞鶴
方面
或いは京阪神
方面
へ運ぶことをや
つて
おりまして、そのほか的確な数字は今ここに資料を持
つて
おりませんが、
相当
従来よりも
海運
のほうへ行
つて
いると聞いておりまして、室蘭或いは稚内あたりの港からも去年あたりも出ているところが多いということを聞いております。品目別に、本来ならば
鉄道
に行くべきものが海に行
つた
という的確な数字を部門別に持
つて
おります。
相当
そういう点の効果は挙
つた
と思
つて
おります。
高木正夫
110
○
委員長
(
高木正夫
君) 本日はこれで散会いたします。 午後四時四十四分散会