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1954-09-22 第19回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十二日(水曜日)    午後二時七分開会   —————————————   委員の異動 九月十八日委員鈴木一辞任につき、 その補欠として松浦定義君を議長にお いて指名した。 九月二十日委員松浦定義辞任につ き、その補欠として鈴木一君を議長に おいて指名した。  出席者は左の通り。    委員長     高木 正夫君    理事      重盛 壽治君    委員            仁田 竹一君            村上 義一君            大倉 精一君            大和 与一君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸政務次官  岡田 信次君    運輸大臣官房長 山内 公猷君    中央気象台総務    部長      北村 純一君    中央気象台予報    部長      肥沼 寛一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (昭和三十年度運輸行政基本方針  に関する件)  (気象業務に関する件)   —————————————
  2. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  運輸一般事情に関する調査中、先ず定点観測に関する件を議題といたします。  御参考までに申上げておきますが、中央気象台長海外出張中でありますので、その代りに予報部長肥沼寛一君、総務部長北村純一君が御出席なつておりますから申上げておきます。ちよつと速記とめて。    〔速記中止
  3. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 速記を始めて下さい。  それでは昭和三十年度運輸省基本政策要綱、これについて先ず政務次官から一つ説明願います。
  4. 岡田信次

    説明員岡田信次君) それでは私から三十年度の運輸省基本政策要綱につきまして概略説明申上げます。細かい点につきましては、或いは官房長が補足いたすかも知れませんが、その点御了承願います。  我が国の経済自立の速かなる達成及び国力の進展に資するために運輸省といたしましては、次のような基本政策を立てたわけでございます。  その先ず第一といたしまして、国際収支改善に関する方策。  国際収支の現況に鑑みまして、これが改善に資する施策を強力に推進いたしたいというのが骨子でございまして、その内容といたしましては、先ず第一に、外航船舶整備拡充昭和二十九年度から昭和三十三年度までに、百万総トン建造を行うものといたしまして、昭和三十年度においては二十二万総トン建造確保すると、これがために所要財政資金確保でありますとか、或いは市中資金導入方策確立でありまするとか、或いは優秀船員確保というような事柄を実施いたしたいと、かように考えております。  なおこれに関連しまして、三国間の輸送奨励、或いは外航旅客船及び移民船建造ということも是非実現を図りたいと存じおてる次第でございます。  更に国際航空整備拡充も図りまして外貨の獲得に資したい。  又観光事業振興のために、外客の受入態勢整備でありますとか、或いは海外宣伝強化でありまするとか、こういう施策も実行して参りたい。  又船舶及び車両輸出振興を図りたい。二十九年度或いは二十八年度の実績から見まして、相当船舶並びに車両輸出が振つておりますので、三十年度におきましてもこれが一層の進展を図るために諸般施策を実行して参りたいと、かように考えておるのでございます。以上が大体国際収支改善に関する方策でございます。  次に、交通網緊急整備に関する方策といたしまして、先ず第一に、国鉄の新線建設及び幹線輸送力増強考えております。資源の開発産業振興の見地から国鉄新線の建設を重点的に行うことといたしまして、これが所要財源に充てるため国鉄への政府出資を図る。又国鉄貨物輸送需要量の増大に鑑みまして、幹線複線化等輸送力増強を図つて参りたいという次第でございます。  その二といたしまして、大都市における旅客輸送力増強整備、最近大都市及びその近郊における通勤、通学者の増加に起因するいわゆるラツシユ・アワーの輸送難を打開するために、旅客輸送力を増加するほか、輸送機関相互輸送力の調整を図る。このために運賃制度の面からも更に再検討をいたして参りたいと、かように考えておるのでございます。航空路整備拡充につきましては、国際線を強化するということは先ほどの外貨改善ところで申上げましたが、これと共に北海道、北陸、四国、九州等国内線をも新設して参りたいと、かように存じておる次第でございます。この航空路網整備拡充に関連いたしまして、航空気象業務整備拡充ということも一つの重要なる政策なつておるのでございまするが、国際及び国内航空の安全且つ経済的運航に資するために、民間航空用の飛行場における気象観測予報及び通信業務整備拡充いたしまして、航空気象サービス充実を図る次第でございます。  次に、港湾施設整備の問題でございまするが、最近世界海運の状況から非常に船が大きくなつた。これに対応いたしまして、外国貿易港並びに重要港湾等の諸設備を緊急に整備して参りたいと、かように考えておるのでございます。  企業合理化方策といたしましては、輸送費を引下げて日本の商品に国際競争力を持たせるという意味合いにおきまして、運輸関係諸般企業合理化しなくてはならないという意味合いから、海運合理化の問題について是非実行して参りたい。更に造船につきましても同様でございまして、造船企業合理化を推進して参りたい。鉄道につきましても、国鉄は勿論、地方鉄道軌道等につきましてもいろいろ合理化を実施いたして参りたいと、かように考えておるのでございます。  それから今の海運合理化に関連いたしまして、船員労働関係改善に関する方策といたしまして、労使協力態勢確立及び雇用の安定、船員労働力維持強化ということを実施して参りたい所存でございます。  災害防止並びに交通安全の確保に関する方策といたしまして、海上保安庁におきましては、巡視船及び航空機の増強整備、或いは航路標識充実整備水路業務機械化及び大型測量船建造気象業務整備小型船舶海難防止というような諸施策を実行して参りたい所存でございます。陸上におきましても、鉄道における老朽施設の取替えでありまするとか、或いは踏切保安設備強化でありまするとか、自動車検査完全実施、或いは自動車賠償責任保障制度確立して参るというような諸方策を実行して参りたく存じておるのであります。又この災害防止に関連いたしまして、気象業務拡充といたしまして、水害緊急対策のための気象業務水理気象業務農業災害対策のための気象業務、更にいろいろ当委員会でも御質問を頂いておりまする北方定点再開に伴う新船建造等の諸施策を強力に実行して参りたい所存でございます。  最後に、海上治安に関する方策といたしまして、日本漁船保護対策強化、或いは海二犯罪の立体的捜査網確立海上保安庁非常業務に対する準備態勢確立等施策を実施して参りたいと、かように考えておるのでございます。  以上甚だ概略を申上げましたが、三十年度におきまする運輸省基本政策のほんの概略を申上げた次第でございます。
  5. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 御質問のある方は随時御意見の御発表を願います。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 この三十年度の基本政策につきましては、いずれ大臣に御出席願つて御質疑を申上げたいと思うのでございますが、取りあえず二、三の点について御質問申上げたいと思います。  自動車関係事業合理化というところに、通運業者の有する後納鉄道貨物運賃債務保証する特殊機構確立を期すると、こういう項がありまするが、これは具体的にどういうような構想をお持ちになつていらつしやるか、ちよつとそれを伺つておきたいと思います。
  7. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 只今質問のありました自動車に関する事項保証制度の問題でございますが、現在におきましてはこれに関する特別な機構がございませんで、通運業者は、御存じのようにいわゆる新しい事業者におきましては、最近資力の或る程度少いものもありまして、それらに対する後納制度金融面におけるお世話を何らかの格好自動車局としてはいたしたい、こういう目的のために、これに関する一つ組織を作りまして、そういう事業者にその制度を利用して後納制度をさせたい、そういう目的のために特別な制度をここに作りたいということを考えておるわけであります。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと通運事業者のいわゆる弱体企業者に対するところ鉄道後納貨物運賃債務というものをどういう形で保証されようと思つておられるか、その点についてもう少し具体的にお伺いしたいと思います。
  9. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 具体的な事項につきましては、現在自動車局でどういう制度にするかということは目下検討中でございまして、はつきりいたしましたら又当委員会におきまして御説明を申上げたいと思いますが、一応現在建築、或いはそういうものにこういつたにおいの制度がありますので、そういうものを参照いたしましてやりたいというふうに考えておるわけでございますが、現在これは御質問大倉委員よく御存じのように、鉄道貨物運賃収入につきましては、現金授受でありますとか、或いは現場の事務が繁雑のために大体後納制度にしておるということが一般の通例でございますが、その後納運賃保証というものは、一般市中銀行が一定の保証の枠を与えまして行なつておるということも又通常の姿になつておるわけでございます。ところがこの運送取引が非常にいつも浮動しておりまして、一定しておらないということのために、いつもきまつた銀行保証というものの枠との間にギヤツプがあるわけでございまして、そのために鉄道通運業者との荷主の三者の間にいろいろこの間いざこざが起るということが、後納制度債務保証機構というものを作ろうとしたもとでございまして、基本的にはそのものを合理化いたしますためにドイツにおきますところ交通通信銀行というものがあるわけでございますが、その例に倣いまして後納保証制度ということを考えまして、特殊な保証機構を設立し、その保証機構につきましては国の監督を適切に加え、又必要な場合には財政的な援助もやりたいということで、これをやりますためには立法措置が必要でありますために、目下この具体的内容をどう盛り込もうかということにつきましては、主管局におきまして研究を進めておるところでございます。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 では、この問題は私のほうとしてもなお研究もしお尋ねもして、後ほど又御質問申上げるとして、次に、この際これは大臣にお聞きするのが本当かも知れませんが、鉄道運賃値上げということが最近又話題になつておるようでございますが、これに対するところ運輸省としての御意見、御方針がありましたら、この際お聞きしておきたいと思います。
  11. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 只今大倉委員お尋ね国鉄運賃の問題でございまするが、国鉄自体財政、会計の面からは何がしかの運賃値上げしたいということは希望をいたしておるのでございまするが、何しろ二千五百億円に余る貨物旅客両方運賃でございまして、日本の最大の企業でございますので、その価額と申しますか、運賃の額は一般国民生活産業その他に非常な影響がございますので、これが取扱いは非常に慎重を要するという意味合いにおきまして、まだ運輸省といたしましてははつきりした態度に出ておらない、まだ研究の一歩を踏出したという程度なつておるというふうに御了解願いたいと思います。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 ではこの問題もあとから大臣にいろいろお尋ねしたいと思いますが、それに関連しまして、この基本方針の中で国鉄に対するところ政府出資ということが謳つてありまするが、これはやはり国鉄運賃値上げ等によるところ国鉄自体収支の問題とも関連すると思うのですが、例えば国鉄鉄道債券とか或いは減価償却の問題とかそういうようなものに対するところ政府として何らかの面倒を見るというような御方針がおありであるのかどうか、それもお尋ねいたしたいと思います。
  13. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 基本政策に掲げてございまする国鉄への政府出資は、実は現在のところ国鉄の新線建設限つてというふうに御了解願いたいのでございまして、先ほど申上げましたように、国鉄自体経営では新線の建設はなかなかむずかしい。併し一方国の開発等から考えますと、やはり或る程度鉄道線路を新設して行かなくちやならんということになりますので、国策的の新線を作る意味合いにおきまして、これに対しては政府が当然出資を行うべきじやないかということで運輸省基本政策一つとして掲げた次第でございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 次にもう一点だけお伺いしておきたいのですが、気象業務について北方定点再開に伴う新造船というのがあるのですが、これは具体的にどのくらいの船を何隻いつ頃までに作つて、或いはその他に飛行機その他の気象業務強化に対する計画なり、お考えがおありかどうかということについても伺つておきたいと思います。
  15. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 北方定点再開のためには三隻の観測船を作らなければ運用ができないということになつておりまして、従前アメリカと共同でやりました定点観測におきましては、大体千二十トン海防艦を以てこれに充てておつたわけでございますが、御存じのように南方定点のみならず、特に北方定点におきましては、非常に荒れる海に出ますために、そういう船では非常に人命上危いということが一つの原因になりましてやめたわけでございまして、各国の例を見ましても大体二千トン以下の船を以ちましてそういう定点観測をやつておるところはないのでございまして、大体今回大蔵省に折衝いたしております船は二千トン三隻、約十九億近い費用を要求いたしております。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 北方定点所要の船が三隻と、それから今南方定点所要の船についてはお考えなつていないのか。或いは更に観測用飛行機の創設といいますか、そういうものを持つということについてもお考えなつているのかいないのかという点もお伺いしたい。
  17. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 南方定点につきましては、完全を期しますためにはやはり新しい定点観測の船がほしいわけでございますが、国の財政の点も考えまして、今年の予算の要求におきましては、是非達成いたしたいというのは、北方定点を主力に折衝いたしております。南方定点につきましては、この定点観測南方の半面に限りましたときに、五隻の船を海上保安庁に移管いたしまして、その船をくり廻してやつておるという状態でありまして、そう一時に全部というわけにも参らないと思いますので、来年度は是非北方定点観測船予算をとりたい、かように運輸省としては考えます。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は後ほど定点観測気象業務の問題に関連して更にお尋ねすることがあると思いまするが、この三十年度の基本政策につきましては、この程度にとどめまして、更に大臣に対する質問をいたしたいと思います。
  19. 大和与一

    大和与一君 三十年度の基本政策説明されるのに、大臣おいでにならんことにはお話しにならん。大臣おいでになるというので今日は開いて是非お尋ねしたい、こういうことなんですから、当然次の継続審査に当つて次回に大臣に出て頂く、こういうことを前提として、委員長一つあとからお諮り願いたいと思います。これを先ずお願いしておきます。  第二は公共企業体合理化審議会経過報告に漏れておると思いますので、その点一つ具体的に御説明頂きたい。
  20. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 公共企業体合理化審議会につきましては、実は本日或いは最終的な委員会になるかも知れないと思うのでございまして、この点に関しましては、非常に重大な問題でございますので、鉄監局長がずつとそれに出席しておりますので、次回に鉄監局長から直接御説明申上げたほうがいいのではないか、かように考えますので御了承願います。
  21. 大和与一

    大和与一君 それではこれも次回に譲りまして、その次に、基本政策の中で観光事業振興というのがございます。これは地方公共団体に対して国庫補助による助成を行う、こういうふうに書いてございますが、実際には現在何千万円か補助をしておる金を何とかもつとしぼりたい、うんと減らすのだ、こういう運輸省の動きがあることを知つておりますが、その基本政策と違うように思うのですが、その点はどうでございますか。
  22. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 観光事業につきましては、現在いわゆるビユーローが海外宣伝の仕事をし、全日本観光連盟国内受入れのための観光宣伝機関として活躍いたしておりまして、それぞれに対しまして国家からの補助金が与えられておりますことは御承知の通りでございますが、観光事業が非常に著しい発展を来たしておりまして、特に来年度におきましては、アメリカにおきましては特にアメリカ市民海外旅行奨励というものをアメリカの国策として取上げて、ドルによる諸外国への援助アメリカ市民旅行という格好でやるということが非常にいいのだという考え方から、アメリカ政府自体アメリカ市民海外における観光奨励するという段階なつておりますために、日本といたしましては、特にアメリカ或いはカナダという方面観光宣伝の網を伸ばしまして、いわゆるインヴイジブルの貿易を進めたいという意図の下に、来年度の観光に関する方針考えておるわけでございまして、このためには或いは現在の観光のあり方でいいかということを根本的に組織的にも目下検討いたしております。只今指摘のありましたのは私たちの気持とは、甚だ失礼な申し方になるかも知れませんのですが、違つたことでございまして、運輸省といたしましては、そういう世界的な情勢からできるだけ観光に関する国家の支出をもつと面倒を見てもらいたい、数字を挙げてもよろしゆうございますが、非常に観光収入というものがぐんと伸びておりまして、外貨不足日本といたしましては、現在こういう収入を殖やすということは国策的に非常に必要ではないかと運輸省としては考えておりますので、減らすということは考えておりません。ここに書いてあります地方公共団体に対する補助をいたすということは、結局地方公共団体もそれぞれの自治体の議会を以ちましてそういうものに力を入れておりますが、国がこの点につきまして補助金を出して、或いは観光客受入れ施設に対する補助というものがあれば更に公共団体のそういうものに対する熱の入れ方も違つて来るという話もほうぼうからお話を伺うところでございまして、事実問題といたしましては、全観連では一部そういう方面補助金の一部を使つておりますが、それならばもつと普通の姿で国から補助金を出したほうが事業の性質上いいのではないかという意味を以ちまして、今回大蔵省にそれらに関する補助金の要請をいたしておる次第でございまして、結局運輸省といたしましては補助金を減らしたいという意図は毫もないことをはつきり申上げられると思います。
  23. 大和与一

    大和与一君 今のお話は大体わかつたのですが、それでは具体的に運輸省として拡充整備のために今の観光組織といいますか、形では不十分な点があれば再編成するとかそういうことをしたい、こういうふうな具体的な積極的なお考えもお持ちになつて御検討されておるということも聞いておりますが、それは今年中くらいに大体そういうことは何とかまとまるわけでございますか。
  24. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 只今申上げましたように、観光事業というものを大きく伸ばして行きますためには、そういう制度を早急にとるということが必要であるという考えの下に、基本的なそういう計画を推進いたしておりまして、できるだけ早い機会にそういうものの実現を期待しておるわけであります。
  25. 大和与一

    大和与一君 その時期は大体来年度の予算を睨み合せてきめなければならんと思います。それをはずしてしまうとずつと遅れてしまうので、大体早いということは今年中とかそういう目安がございますか。
  26. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 予算の提出は、御存じのようにすでに現在大蔵省と折衝いたしておりますので、それぞれ分けて折衝いたしております。そういう新らしい機関ができれば、一つになりますか、二つになりますか、それはこれからきまることでありますが、そういうものを意図いたしまして大蔵省にも説明いたしております。ですからこれが来年の四月以前にできれば新しい機関補助金として出るということに考えております。
  27. 大和与一

    大和与一君 次に踏切り保安設備ですが、これについて運輸省としていろいろ御検討をされておると聞いておりますが、詳しいことは次回でもよろしいですけれども、大体どういうところまで御検討されておるのか、或いは文案でもできておるのか、或いは次の機会にそれをプリントにしてでも渡すところまで行つておるのじやないかというふうにも考えますが、その辺の経過をお聞きしたい。
  28. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 先般の国会におきましていろいろ御審議願いまして、すぐ運輸省といたしましては、踏切りに対する特別の対策委員会を作りまして、国鉄私鉄を通じて如何にして踏切りの保安施設を向上させて行くかという面におきまして検討を続けて来ております。まだ主管局が目下検討いたしております段階でございまして、研究を進めてみますと、非常に道路との関係その他建設省との関係におきましてむずかしい問題もいろいろ出て来まして、まだ省議としてこういう方向をきめるというところまでには至つておりませんが、大体の考え方は、鉄監局長から次の機会に御説明できるのではないかと、かように考えております。
  29. 大和与一

    大和与一君 その場合に機械化ということ、或いは科学的な検討ということは、人情とか人間とかそういうことを離れて一応基本的にきめられるべきものだと思います。実際そういうふうに一歩前進をするということは、この前私たちが聞いて呆れたほど手がつけてなかつたものですから、今度はそれは幾らかでも前進をすることは、やはり人間の面でもどうしてもこれを補うための人員の補助と申しますか、ということも考えられると思いますが、その点は大まかにいつてそういうこともある、そういうことも併せて考えなくちやいかん、勿論予算面も関連がありますけれども、そういうふうに理解をしてよろしうございますか。
  30. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 実は基礎的データにつきましては、大分前から国鉄私鉄とも危険度と申しますか、踏切りを通過する人とそれから踏切り施設の、御存じのように踏切り番のいる所といない所、或いはベルでやつおる所といろいろな点につきまして、基礎的データは過去数年に亘りまして詳細なデータを取つておりまして、一応こういう段階でなければならないというものはできておるわけでございます。これはもう純粋に何らの意図を加えない技術的なものができておるわけでございまして、それを基礎に特に国鉄につきましては、只今指摘のようなものもありますが、私鉄につきまして、これ又会社経営にも関しますことでございまして、その辺如何に機械化するか、どういう程度でやるかということを目下審議しておるわけであります。
  31. 大和与一

    大和与一君 その経営機械化の問題はわかるのですが、人間を殖やすということ、当然殖やさなければならん。全部一遍に機械化できたらいいんですけれども、なかなかそういうわけに参りませんでしようから、それぞれ人間の踏切り番というものが必要になると思いますが、当然人間も殖えるというふうに大体考えてよろしゆうございますか。
  32. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その点につきましては、私実は特に国鉄或いは私鉄会社が当面の対象になると思うのでありますが、具体的詳細のことを聞いておりませんが、結論といたしまして、現在の踏切りが不十分である。もつとたくさん作らなければならないという場合になりますと、或いは機械化するか、或いは人を殖やすかという問題も起ることは当然ではなかろうかと考えておりますが、どの程度どうなるかということは、甚だ申訳ないのでありますが、詳細なデータを見ておりませんので、ここではつきり申上げられないのでございますけれども。
  33. 大和与一

    大和与一君 次は自動車検査完全実施、特に「完全」と謳つておるのですが、これもこの前自動車検査についても自動車局長からいろいろお話を承わつたんです。併し、あのときのデータによる数字的な見地からいつても、どうしても人間が足りないからできない、こういうことに帰着したと思うのです。それから人間を殖やすということを考えないでこれ又実施なんかできないと思う。何万台という自動車があつて、品川と東京と二カ所しかないので、作ろうと思う。作ろうと思うけれども人間が足らない。どうもならない場合にそれには事務所の人間を下す、そういうようなことを非常にやりくりして御苦労をしておることはわかるのですが、それでは完全実施なんてできつこない。そういう点も含めて検討し又施行したいと、こういう意向を持つておるのでしようか。
  34. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 自動車検査につきましては、御指摘通りでございまして、今回の予算折衝におきましても強力に折衝いたしておるわけでございまして、自動車数が増加するのにかかわらず、人員の増加がこれに伴わないということは、相当自動車の検査そのものにも或る程度利用者に御迷惑をかけているのではないか。又たまたまこの自動車の検査というものは、検査料を取つてつておる次第でございまして、現在においてはいわゆる人件費よりも検査料のほうが上廻つておる状態でございますので、実は私自身も大蔵省にこの辺矛盾ではないか。少くとも自動車の検査の金の上がる高と人の使い方というものは、或る程度のバランスがなければとても仕事はやつて行けないということを私自身も大蔵省に申上げておるわけでございまして、この点につきましても、大蔵省一つ理解のある予算の査定をして頂きたいと強力にやつておるわけでございます。御指摘の、それでは具体的にどういう施策があるかと申しますと、先般自動車局長が御説明申上げたと思いますが、昭和二十六年度を初年度といたしまして、この車検所の整備五カ年計画というものを運輸省は持つておりまして、これを毎年実施して行きたいというので、かすかながら少しずつ殖えているというのは御了承の通りでございますが、本年度におきましては、新設の検査所を大阪、京都、静岡の三カ所に置きますほか、機械器具の充実を図る検査所を十六カ所やりたいということで予算の策定をいたしております。  それから次に出張検査ということを従来やつておるわけでございますが、検査の施設が殆んどありませんために非常に非科学的な検査の方法をとつておつた。このために仕事そのものも非常に非能率的になつておりますので、来年度におきましては、六大都市及び静岡の陸運事務所に一台ずつ出張検査用の自動車を買いまして、それに検査用機械器具を載せて出張検査を実施し、民間のそういう御要請に応えたいということで予算の現在要求をいたしております。  次に自動車検査はいろいろやり方があるわけでございますが、現在いろいろの車種が出ておりますのですが、それらに対してあらかじめ本省で具体的に審査をいたしまして、保安基準に比べて各項目ごとに計数的にこれらを調べまして、その資料を陸運事務所に渡して検査の基準というものをはつきりすることによりまして能率を高めたい。これは或いは御説明する必要もない、事務的なことかも知れませんが、そういうふうに事務の能率化という点につきましても一段と進めたい、さように考えております。一番重要な点は、何と申しましても人手が不足であるということは我々も考えておりますので、何とかこの点解決をいたしたいと現在努力しておる次第であります。
  35. 大和与一

    大和与一君 次に放射能緊急対策、これは大変立派だと思うのですが、併しこれはなかなか言うべくして行うには大変なことだと思うのです。一体これに対して政府はどの程度予算考えられ、予算というものの一体内容は、大まかに言つてどういうことをやる……、ここにもちよつと何か書いてありますが、抽象的でわからん。もう少し具体的にわかるように説明してもらいたいと思います。これは太平洋からも来るし、新潟の雨はソ連の原爆だろうというし、随分大きな問題で国策的なことで、而も実際に被災せられてからは安藤国務大臣などかんかんになつて怒つておるんだけれども、やはりその前の措置が一番大事なんですから、もう少しこれを具体的に、非常に結構なことと思うのですが、どういう施策なり、或いは財政面でどんな程度考えておられるか、或いは計画が一次、二次、三次とあるなら、そういうふうな年次計画的なものでもいいし、もう少し詳細に御説明頂きたいと思います。
  36. 山内公猷

    説明員山内公猷君) どうも私事務屋で御満足頂けるかどうか知りませんが、一応現在計画いたしております大綱につきまして御説明いたします。放射能につきましては、実は問題になつたときにやるということでは意味がないわけでございまして、大気中の放射能を常時観測をいたしておりませんと、ときどきのそういう点が出て来ないというので、この問題を取上げる場合には常時の仕事としてやらなければいけないんじやないかということを基本的に考えまして、全国的に常時観測というものを行いまして、常に放射能の状態を把握しておきまして、原爆実験などによりまして人工放射能の影響がありました場合には、それによつて明らかになる。又これらの基礎統計調査というものを行いまして、そういう科学的な基礎に基きました上で放射能の災害対策のために資したということから、以下申上げるような計画をいたしております。気象台におきましては、基準観測といたしまして全国に十カ所、管区気象台及び地方気象台に十カ所の基準観測をさせるということを考えております。それから次に簡易観測といたしまして四十七カ所、これは府県区担当測候所に簡易の観測をさせたい。それから海上観察といたしまして、先般お話をいたしました北方定点から帰つて参りました気象台の観測船の凌風丸と南方定点観測船を使いまして三隻で海上観測をやりたいということと、それから微気圧振動観測ということを九カ所重要地点でやりたいということでございまして、大体所要経費といたしましては五千八百万円、これに要するということで、現在大蔵省に折衝いたしております。
  37. 大和与一

    大和与一君 まあ今のお話少しわかるのですけれども、併しそんなくらいな金で、今おつしやつたようなことでは放射能測定緊急対策ということにならぬような気がするのですよ。これは何もおたくが悪いのじやなくて、運輸省の或る所だけがこういうことをやつてそれで事足れりとすることはできないと思う。もつとやつぱり総合的に政府が大きな見地から何かそういうふうなものを対策を立てる委員会というかな、そういうものをやつぱり持つほうが適切じやないかと思うのですがね。わかる人にやつてもらつていいですよ、官房長でなくても。これは特に今始まりですからね。始まりに本当に国策としても大事なことなんですから、これはアメリカのほうでやめる気ないのですからね。外務大臣は喜んで受けると言つておるのだからね。ずつとありますからね。そうすると、今非常に大事なときだから、本当に抜本塞源的に根本的な対策を立てるということをやつぱりあなたのほうからも提案をされて、そうして政府としてしつかりしたものを作つて、作つた上で、それはまあ分担業務でやればいいと思うのだけれども、そういうふうなお考えはございませんか。
  38. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 適切な御意見でございまして、私たちも勿論そういうふうに考えておるわけでございますが、現在やつておりますのは運輸省だけでないのでございまして、御承知のように厚生省もやつておりますし、又私どものほうにおきましても海運局、水路部、或いは船員局におきましては、船員と船体の放射能検査、各省でやつておりまして、はつきり名前を覚えておりませんが、たしか放射能対策審議会というものがありまして、各省がそれぞれの分野をもちまして研究したものを総合的にそこで対策の根本を立てるという仕事をやつておるわけであります。只今説明いたしましたのは、主として気象台関係、私どもといたしましては気象台が一番関係が深いのでありますがまあ政府といたしましては、できるだけそういう各省の力の集中を図りまして、その審議会で根本的なものをやつて行こうとやつておるわけでありまして、本年度も一応そういう建前でやつてつております。
  39. 大和与一

    大和与一君 その何とか審議会というのは、慣例によれば、きつとそれは各省でやつたものを集めて、それを聞いたりなんかして帳面にとじる、これくらいだと思うのです。審議会が本当に全体をしつかりマネージメントする実力なり、そういう内容を持つたものであればいいですよ。恐らく有機的に動いていないと思う。それをそうするためには、あなた方のほうでもただ言われたことを一分科分を持つのでなくて、これはやつぱり全部を審議会そのものが一つなつて本当に検討し、実行できるという対策を打立てられる、こういうものにするように是非とも仕向けて参らなきや、恐らく今言つたようなことじやとてもちよつと話にならんような気がするのですが、是非そういうふうにやつてもらいたいと思う。これは希望です。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 関連してお伺いするのですが、放射能の問題ですね、これは委員会を作ろうが対策を立てようが、私の聞いておる範囲によるというと、放射能に対するところ対策なり、手当なり、治療なりというのは人智の外にある、人間の知恵の外にあるということを聞いております。従つてそういうものは一体対策は立つのですか。むしろ政府としては、それは大臣にお伺いしなきやならんと思うのですが、放射能が大気にあるということはわかつておる。そうしてまぐろにもある。雨にもあるということはわかつておるのだから、岡崎さんみたいに協力するというのでなくて、こういうものはやめてもらいたいということを政府みずからが国際的に運動するというほうが先決であつて、実際対策は立つのですか。
  41. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 大倉委員のおつしやる通り、なかなかむずかしい問題だと思います。殊に近代の放射能の本質というものが、どうもまだ今日科学技術の上にあるような状態にあるのだろうと私考えますことは大倉委員と同じでございますが、従いましてまだ未知の点が非常に多いので、何とかして、放つておくわけには参りませんので、何とかして防ぎ得るなら防ごうという意味合いで、甚だ放射能の緊急対策と大きな題目になつておりますが、実は内容は少し申訳ないのでありますが、何とかしてこういう方策が立つなら立てたい、そういう意味合いで今考えられる方策を講じたいというような次第なんでございます。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 あまり追及しませんが、これをやらんと国民が承知せんから何とか気休めにやるというだけであつて、その実験に協力すると言つておいて、片方で対策を立てるなんというのは全くナンセンスで、むしろそういうところに金を使うのは勿体ない。もつとそれは学術研究に重点をおいてどんどんやつたらいいと思うのですよ。これはまあ大臣に申上げることなんですけれども、政府としてはもつと根本的にやつぱり国際的に働きかける、外交手段によつてこいつを解決するということでないというと、日本人はしよつちゆう人体試験にさらされておる。黄変米で人体試験をやらされておる。放射能で人体試験をやらされておる。日本人たるもの誠にどうも不幸な目にあつておるのですが、これは一つそういう根本問題を政治的に十分お考え願いたい。
  43. 大和与一

    大和与一君 私は三十年度の基本政策要綱については質問を終ります。
  44. 高木正夫

    委員長高木正夫君) これについてなお御質問ございませんか。
  45. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私はたくさんありまするが、一点だけお聞きしておきたいと思いますが、これに大都市における旅客輸送力増強整備という項目が挙げられておりますが大都市といつても六大都市中心の考え方だろうと思うのですが、特に東京を例にしてお聞きしてみますならば、東京の輸送状態というものは、実際には混乱状態に陥つている実情です。そこでここに書いてある「運賃制度の面よりも再検討を加える。」というようなことはどういう意味を表わしておるか。例えば運賃値上げをしなければいかんというようなことであるのか、これらの合理化をどういうふうに図ろうというのか、こういう点が一点。それからこれらの問題を取上げるということについて、国家がこれに補助を与えるとか、或いは融資をするというようなことを運輸省として考えておるかどうか、これが二点。それから東京都における一番今手つとり早いことは、地下鉄を拡大強化して行くことだろうと思いますが、今やつておるような、地下鉄のやつておることが悪いということでなくて、あのような三キロくらいのものを作るのに三年も四年も費しておるというような状態では、東京都の交通網の完備は図られない。こういう点に対しても国家の力でやるか、或いは公共企業体の力に待たなければならん段階に来ておると思うのだが、こういう点に対してどういう考えを持つておるか。一応その三点をお聞きしておきたい。
  46. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 現在運輸省におきまして考えております基本的な考え方を御説明いたしましたその上で御質問の要点に触れてみたいと思いますが、一応どういうふうに考えておりますかと申しますと、御指摘のように現在、特に東京都を例に挙げますと、ラツシユのピーク時におきますところの乗車効率が、国鉄私鉄ともに甚だしいところは三〇〇%を越しておる現状でございます。これはまあ戦後各般の社会情勢が非常に緩和したにもかかわらず、特に東京におきましては、このラツシユの輸送というものは緩和しておりません。又人口の趨勢を見ますと、東京都におきましては年々四十万の人口が増加して参つたわけでございまして、どちらかと申しますと、輸送が混雑を緩和するというよりは、混雑の度を増しつつある現状であります。と申しますのは、輸送力を殖やしますということは、先ず第一に必要なことは、既設線区の輸送力を殖やすというここが第一でありまして、次に新一い需要のための線を新設するということになるわけでございまするが、大体におきまして国鉄私鉄及び都電ともに戦前の状態程度輸送力の復興はなつたと我々は考えております。というよりは、国鉄におきましても、私鉄におきましても、連結両数の増加は戦前を凌駕する状態でございまして、現在の既設の輸送力といたしましては、これ以上の連結車両数の増加というものはちよつともう不可能に近くなつて来ておるのじやないか、大体国鉄におきましては八両編成を越しまして九両にも及んでおりますし、まあ私鉄におきましては、まだ郊外線区におきまして相当の拡張の余地があるわけでございますが、大体東京都内に近い所になりますと、なかなか用地が求められないというような状態になつております。それでもまだまだそういつた面の輸送力強化方策もないわけではないのでありまして、現在山ノ手線の分離というものも行われておりますので、先ずそういう既設の高速鉄道輸送力を増加して行くということを先ず第一に考えております。  次に、只今指摘になりました抜本的な解決はどうしても地下鉄道の普及によらなければならないということは勿論でございまして、その地下鉄の急速な建設を促進をいたしますためにどうしたらいいか、特に只今指摘のありましたように、これには相当高い費用がかかりまして、なかなか経済べースに乗りません。現在帝都高速度交通営団におきましてお茶の水から丸の内線をやつておりますが、大体現在では一キロ十億というような建設費用になつておりますので、なかなか経済ペースに乗つて参りません。そうしますと、これに対する建設資金というものを或る程度国家資金に依存しなければならんという問題を現在取上げております。  次に問題になりますのは、近郊輸送と都市内の輸送との連絡の円滑化をどう図るか。これは一般に交通というものを考えますと、静的なものではないわけてありまして、動的なまあフアンクシヨンを特に交通は考えなければならないわけでございますが、御存じのように現在渋谷でございましても、池袋でも、新宿でも、連絡駅の混雑は非常におびただしいものがあるのでございまして、現在地下鉄がやつておりますように環状線の一点から都内に入つて来るという線の引き方がますます混雑させるのじやないか。環状線から外へ出て連絡駅をもつとずらす必要があるのじやないかというような交通計画上の諸問題、それと現有施設において如何にして連絡をよくするかということを検討いたしております。次には都、私電、バスというようなものがいわゆる都内輸送のやはり大きな分野を占めておりますので、これらをどう整備し、又その施設をどう改善して行くかというような点につきまして考えておるわけでございまして、取りあえず来年度におきましては交通調査をし、又今申上げましたようないろいろの施策実現いたしますために各界の代表者にお集まりを願つて審議をして行きたいということを考えておるわけでございます。  只今の御説明で残りましたのほ運賃関係でございますが、交通調整と申しましても、如何にいい施設をする、如何にいい施設を作りましても運賃が高ければ乗らないわけであります。非常に我々その点を研究いたしまして奇異に感じますことは、国鉄私鉄の平均運賃というものが相当開いて参りました関係で、どうしても国鉄を利用する関係が大きいわけでございます。どうしても交通調整をやる場合には運賃分野にまで食い込んで検討いたしませんと、適当な運輸施設に、それに適切な旅客というものを算定することはできませんので、基本的にそういう点の運賃検討までしたいというわけでございまして、明日すぐこの運賃を改正するとかいうことを考えていないわけでございます。或る程度国鉄私鉄、都電あらゆるそういう総合的な運賃制度というものの関係を、従来はそのものそのもので検討されて参りましたのを、総合的に運賃の設定を考えて行かなければ、終局的にこの交通調整の目的は達せられないのではないかという意味におきまして、運賃問題を取上げなければならないということを基本方策に書いてあるわけでございます。
  47. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうしますと東京都のような場合は国鉄私鉄、これらを包含した交通調整をやらなければならんというように聞えるのだが、交通調整をおやりになる意思があるかどうかということ、更に今の御説明の中にもございましたように、東京都を中心として考える場合には、何といつても急速なる地下鉄の大幅な開通をさせることを考えなければならんのであります。そういう点に対しまして、これは少し専門的になつて来まするが、今の営団法といいまするか、そういう形で現在の姿では非常に困難のようにも考えられますが、交通調整をし、而も交通緩和を図るということのために、例えば営団法などでも変えてまでやつて行くというような飛躍的なお考えがあるかどうか。それをお聞きしてみたいと思います。
  48. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 現在取上げておりまするのは、交通調整の基礎的なそういう輸送の実態を把握いたしまして、どうしたらそういうものがよくなるかという段階調査でございまして、具体的に交通のそういつた規模というようなものにまでまだ研究は及んでおりません。
  49. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると、掲げてはあるんだが、先ほどの定点観測と同じように、どういう方法をやるということはこれから研究をするのだということに結論はなると思うのだが、実際にそういう状態では、すでにもはやこういうような状態になつておる東京のことを考えた場合には、今から研究してやつて行くということであつては、東京都の交通の解決はつかないのじやないか、こういうように考えますので、次回までにもう少し具体的に一つ、本年度の例えば予算ならばどの程度まで行くとか、大臣がどういうような構想で行くということを一応出して頂きたいと思うのだが、この点どうです。
  50. 山内公猷

    説明員山内公猷君) まだ予算をどれだけ出すという状態には遺憾ながらなつていないわけでありまして、もう一遍敷衍いたしまして御説明いたしますと、交通調整と申上げましても、前に交通調整法ができたような調整を考えておるわけではないわけでありまして、従前交通調整法の基礎考えましたことは、当時はいわゆる各輸送機開聞の不当競争が行われておりまして、その間非常に国家経済的なロスができるという意味におきまして交通調整がとられたわけでございまして、又たまたま非常に強力な国家の何といいまするか、強権による方法もとれたわけでございますが、現在の状態におきましては、各交通機関はまだ不当競争という段階ではないのでございまして、余りある需要者に対して如何にして輸送力を提供するかという問題がありますために、先ず第一に取上げなければなりませんのは、先ほど申上げましたように、それぞれの輸送機関を如何にしてこの交通需要に応じさせるかという個々の輸送機関に対する輸送力増強を取上げております。それからそれらの連絡というようなことを考えておりまして、先ほども申上げましたように、地下鉄網の構成につきましては非常に高い金がかかりますために、これを解決いたしますためにはそう一朝一夕では参りませんので、これから緻密な計画を立てまして資金の裏付けをいたしたいというふうに、基礎的なまだ調査をやつておる段階でございます。その先ず手初めに、来年度におきましては大都市におきまして交通動態調査をやりたい。その結果を握つた上で、もう一遍現在の地下鉄網の路線を再検討いたしまして、的確な路線を引いて行くというふうな仕事をやつて行きたいというのが現在運輸省考えております実情でございます。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 この問題が終つたならば、気象台のほうからちよつと気象業務について伺いたいと思います。
  52. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 これは少しこの問題とはずれておりますが、私は御承知なら教えて頂きたいのですが、まあ六大都市の都電が去年或いは今年の春というように値上げがされておるのですが、大阪、東京がまだ据置きで、例えば横浜と同じように十三円というようなことを聞いておるが、そういう程度値上げをしようというようなことを運輸省に要請をしたというようなことが聞かれておるのですが、それに対して運輸省はどういう態度をとられたのか。妥当と見たのか、或いは不適当と見たのか。私はこれは上げなければならんとか、又上げるべきじやないということは別として、あなたのほうの考え方を聞いておきたいのです。
  53. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 私ちよつと今その所管をやつておりませんので或いは聞違いがあるかも知れませんが、そういうことで一つ御了承を願つて説明申上げたいと思いますが、正式にまだ東京都電のほうから運賃値上げをしたいという御要請はなかつたようでございますが、まあ或いはこれも当り前なことかも知れませんが、内々にこういう数字が出るのでどうであろうかという御相談は主管局のほうにあつたようでございます。それに対しまして運輸省といたしましては、各都市が十円から十三円になつておることは只今指摘通りでありまして、いわゆる原価計算方式上そういう御要請のあることは無理もないということはわかつておるわけでございますが、現在政府がデフレ政策を非常に遂行しておりますときに、特に東京だからということは、非常に語弊があるかも知れませんですが、こういう東京都電の運賃値上げをするということはいわゆる都民の生活に非常に響きますことでありますので、できるだけ我慢できたら暫らく我慢して頂きたいということを申上げておるやに聞いております。そのために若しも必要があれば起債については、運輸省におきましても東京都電についてできるだけ御斡旋申上げたいというようなことのように伺つておりますが、或いは誤りがあるかも知れませんので御許しを願いたいと思います。
  54. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 結構です。
  55. 高木正夫

    委員長高木正夫君) ほかにございませんか。それでは私からも一つ簡単なことについてお尋ねいたしますが、自動車の融資問題というものが出ておりますが、必要な低利資金の確保を図る、これをもう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  56. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 低利資金の融資、御存じのようにどこでもさようでございますが、現在運転資金その他が枯渇しておりますのと、なかなか市銀から金が借りられないということで困つております。非常に矛盾した言い方になるかも知れないのでございますが、運輸省関係しております企業におきまして、主として我々問題にいたしておりますのは、開銀或いは長期信用銀行でございますが、本当に必要な中小企業における融資がなかなかできないわけでございまして、この点何とか御斡旋申上げて、必要な資金を借りられるようにいたしたい、かような面で具体的に申しますと、開銀、長期信用銀行或いは中小企業金融公庫というような点についての資金の融資の御斡旋を申上げたい、そういうつもりでございます。
  57. 高木正夫

    委員長高木正夫君) これは大変結構なことでありまして、自動車抵当法設置の際に私からも特に要望しておいた点でありますが、その後何ら政府は手を打つていないわけでありますが、そういうお考えなつて頂いたことは非常に私は満足するわけでありますが、現在のところお説の通りに市銀から借りるということも殆んど不可能であります。それから今中小企業とかおつしやいましたが、そういう点もこれは又甚だ小さくて問題にならん。丁度適当なところがないわけであるのでありますから、こういう金融関係の措置を是非一つこの際強力に御推進願いたいと思うわけであります。それから自動車に関する問題はただこれだけしかないように思いますが、これだけしかないのでしようか、その点についてちよつとお伺いしたい。
  58. 山内公猷

    説明員山内公猷君) そのほか自動車として取上げておりますのは、自動車賠償責任保障制度というものを取上げておりまして、これは自動車事故による賠償責任を明らかにいたしまして、又賠償能力の確保内容といたしましたそういう保障制度確立しようということを考えておりますことと、ターミナル・ステーシヨン、パーキング・プレースにつきまして何らかの措置をいたしたいということを自動車としては取上げております。
  59. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 自動車に関する方策基本政策としては私は甚だ運輸省としては貧張なものだと思うのです。大よそ運輸省の所管のうちでいろいろ大きな問題もあります。海運問題、造船問題或いは観光問題、国有鉄道の問題、又気象の問題いろいろ大きくありますが、自動車輸送、陸上輸送並びに道路ということについて、従来政策が甚だ貧弱だと私は考えるのです。現に貨物にいたしましても、鉄道で運ぶ貨物の二倍半から三倍半ぐらいまでの間に輸送されておるわけであります。これが国民経済に重大なる影響を及ぼすことは、これはもう識者のかねて認めておるところだと思うのであります。これに対する行政措置が十分でない、甚だ貧弱である、これが私は根本の問題であろうと思うのであります。そういう現われがここに少しも出ていない、それが甚だ遺憾に思うわけであります。例えばこれは主管省の、他の官庁の問題だということに言われるかも知れませんが、一般自動車を利用する大衆の面からいたしまして、もう少し安くサービスするようにやつて行かなければならない。例えば一例を申上げますと、税金も、自動車には御承知の通りに各種の税金がかかつていて、非常に負担過重になつている。これはもとより他省の関係でありまするが、運輸省としてはそれに対して相当力を入れて御交渉を頂くというようなことも一つの、この文面には出せないかも知れませんが、基本方針であつて然るべきだと思う。そのほかガソリンの問題が出ておりますが、これは逆に規制の方針のようでありますが、いろいろの自動車にからんだ問題がたくさんある。又需給の問題にいたしましても、年々御覧の通りの紛争を極めている。それに便乗して各種の業者がいろいろの動きを見せ、毎年々々くだらない紛争を続けている。そういうことは確固たる方針がきまらぬからだろうと思う。国産車と外国車の問題、いろいろな問題が私はあると思うのです。これらについてちつとも触れていないことは遺憾に思いますがその点については政府はどういうようにお考えなつているか、運輸省の立場をお聞かせ願いたいと思います。これはむしろ大臣に伺うことでありますが、本日は見えないので、又改めて伺うことといたしますが、とにかく政務次官なり官房長の御意見を聞きたいと思います。
  60. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 私はこの自動車は完全に鋪装された道路を走つてこそ本当に経済的で、又フルの能力を発揮するというふうに考えますので、自動車交通の問題はとにかく我が国の道路の状態を一日も早く速かに改善するということが根本でなくちやならない、かように考えているのでございます。又自動車輸送鉄道輸送との調整を図りまして、日本のような貧乏な国におきましては、それぞれおのおのの長所を発揮して、而も調和をとりつつやつて行くということが、今後の陸上交通の根本問題ではなかろうかと、かように考えているのであります。更に、只今いろいろお話がございました自動車の税金の問題、或いは輸入車の問題等がございまするが、日本自動車工業の進展のためにも、或る程度外国車を入れるということは必要欠くべからざる措置であろうと考えております。従いまして委員長お話の輸入の問題が、いろいろ論議のために遅れているということもございますが、基本の考えといたしましては、飽くまで或る程度外国車を輸入せしめて、日本の国産自動車の進歩のためにもなるし、又自動車輸送力整備という点にも資するという意味合いにおいて、これを進めるということが基本でございまするが、いろいろ数字その他を調べまして、現在そのところに至つておらない点は遺憾でございまするが、今後はできるだけ速かに諸般の資料を分析いたしまして、只今申上げました基本の線に則つて、外車の輸入の問題は解決いたしたい、かように考えている次第でございます。只今委員長から仰せられたように、自動車に関する行政上の項目が非常に薄弱だというお話がありましたが、運輸省自体でできないこともかなりございますので、運輸省自体で速かにできることだけのものを掲げたというふうに一つ御了承を願いたいと思います。
  61. 高木正夫

    説明員高木正夫君) 只今の御答弁によりましてやや満足する点もありましたが、私の申上げるのは、現在、只今問題になつていることを言うているのじやないのであります。それは次の委員会或いはその次の委員会ぐらいに申上げることにしたいと思います。基本的の運輸省考え方が、如何にも自動車というものが細かい問題であるので、世間一般考えている程度のことしか考えておらない。自動車行政の根本についてもつと重点をこれに置くべきじやないかという点にあるわけであります。税金の問題にしましても、ガソリンの問題にしましても、これは一国国民経済に及ぼす影響が極めて重大である。鉄道と匹敵するくらいの重要問題であるが故に、これに対して重点を置いた考え方をして行くのがいいのじやないかという今日は基本的問題について申上げたのであります。岡田政務次官お話は、単に外国車の問題だけであります。これは他日に譲りたいのであります。基本的態度について、これは大臣にお伺いすることでありますが、幸いにエキスパートの政務次官おいでになるので、そのお考えを伺つたわけであります。
  62. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 委員長から今重ねてのお尋ねでございますが、先ほどお話がございましたように、国鉄の年間の貨物輸送量は一億数千万トンである。自動車による輸送は、自動車だけによる輸送を見ましても三億何がしというわけで、倍以上になつておりますので、我が国におきまして自動車輸送というものが如何に必要であるかということは申上げるまでもないのでございまして、運輸省といたしましても、この点につきましては十分考えをめぐらしておる次第でございます。
  63. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと関連して、最後にお尋ねするのですが、これは一つエキスパートの政務次官の御意見を伺うのですが、最近デフレというものがどんどん進んで来て、そうして自動車輸送業者、或いは小運送業者というものが非常に苦しくなつて来ておるのであります。そこで苦しまぎれといいますか、非常に不当な競争が出て来た。最近何か岐阜におきましては、不当競争に関する勧告を陸運局から出されておるように聞いておりますが、こういうような不当競争の激化、それに伴うところの業者の自滅状態、或いは荷主の迷惑、一般大衆の迷惑ということについて、何か方策がおありになるかどうかということについて伺いたい。
  64. 岡田信次

    説明員岡田信次君) 大倉委員のおつしやつたような現象が各地に出ておりますことは、誠に遺憾なことでございまして、結局そうなりますると、輸送コストが高くなる。結局廻り廻つて、一時的には安く運べるというようなことも起りまするが、結局輸送コストが高くなるということになりますので、運輸省といたしましては、できるだけ行政的の指導によつてこれを防止して参りたいと、陸運局長その他にも通達を発しまして、その防止に努めておる次第でございます。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 これは非常に無理な質問かも知れませんが、先般のいつかの運輸委員会におけるところの私の質問に対しまして前自動車局長のお答えでは、新規免許というものについては不当競争にならないように措置するというようなお話がございました。無論そうでなくては免許制度というものの価値がないと思うのでありますが、運輸省が免許をなすつたそのものについて、非常に不当競争がほうぼうに起つておるということになれば、これは運輸省の責任だろうと思うのであります。従つてその責任に対してやはり具体的な措置を、免許をした当局としての措置を、講じなければならん。例えばそういうような不当競争をやめるような勧告をどんどんおやりになる方針であるか、或いはその他の何か具体的な対策がおありになるかということについて、もう一回お答え願いたい。
  66. 岡田信次

    説明員岡田信次君) この自動車業の免許後の実績につきましては、各陸運局におきまして取調べておりまして、初めの免許の趣旨、目的に違反するものに対しましては警告を発し、或いは更に言葉が悪いかも知れませんが、悪質なものに対しては免許を取消すというような措置も講じておるのでございます。
  67. 大倉精一

    大倉精一君 そこで現在運輸省が免許なすつた小さなと言つては失礼かも知れませんが、日通以外のいわゆる新免店といいますか、そういう業者が非常に苦境に陥つているという状態なんですが、私が聞いたところによつても、健全経営をやつておるところの運送店というものはあまりたくさんないように考えておるのです。このような小さな運送店について、何か運輸省では育成強化といいますか、そういう方法をお考えなつておるのか、或いはこれは放任主義でもつて潰れて行くものは潰れて行けというような御方針を持つておるのか、その点をちよつと。
  68. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 新免店の問題でございますが、現在非常に新免店が苦境に陥つて来たということは、結局一般経済がデフレになりまして金廻りが悪くなつた、特に何といいますか、未収の問題が非常に大きな隘路になつて来たのではないか、かように考えております。それで運輸省といたしましては、勿論免許するまでには十分な資産の内容及び成業し得るという十分なる目算のあるものでなければ免許しないことはこれ又当然のことでございますが、一応免許いたしました上においては、公益事業といたしまして経営者がまじめに経営し、又民衆に対するサービスが十分な場合には、やはり成立ち得るように助長しなければならないということも、これは免許した行政官庁として当然の責務ではなかろうか、かように考えております。その点におきましていろいろお手助けをする方法もあろうかと思いますが、一番現在隘路になつておりますのは、先ほど委員長から御指摘のありましたように、いわゆる金融面におきまして非常に困つているという点は、何らかそういう点におきましてお助けをいたしたい、或いは先ほど御説明いたしましたような制度をとることによりまして、幾分なりともそういつた金融的な措置の助けになる制度も別途考えておるわけでございます。どうしても荷物が少くなりまして立ち行かないという場合になれば、これはまあその企業の基本的な経済関係が変つたわけでございますから、又別途何らか行政措置をしなければならんと思いますが、その場合に独立企業でございますから、企業者の意思というものも十分に尊重した上で措置をしなければならん、さように考えております。
  69. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は大臣ともう少し問答をして見たいと思うのですが、今おつしやつておる金融難、或いは運賃の未収というようなこと、こういうことから非常に危険に陥つているというお話、これも確かにそうだと思うのです。もう一つ大きな要素は、やはり平生の常態のときの経営状態というものが非常に問題になるのじやないか。例えば従業員の給料、労働条件にしましても、いわゆる非常に低い条件でやつておる。そうして収入運賃につきましても競争のために非常に低くやつておる。従つてそういう面において少しも弾力性のない経営状態であるので、こういう苦境な事態においても例えばベース・ダウンをするとか、或いは運賃をどうするかというようなそういう弾力性がない、そういう無理な経営をやつておる。いわゆる平常において非常に無理な競争をやつておる。こういうことを監督、指導するということが非常に大事だと思います。そこでこれはタクシー業者の場合も言えるのですが、いつかの委員会におきまして、私はその後の質問を保留しておるのですが、例えば運送業者におけるところの不当競争の防止の一つの大きな要素としまして労働条件というものがある。これがILOの国際内陸運輸委員会においてこの問題の決議を出されておる。この問題は運輸大臣自動車局長もその決議は全然知らなかつた、初めてだというお話があつて、更に研究をして見る、研究してから更に御質問しましよう、こういうことになつておつたのですが、これも一つ大臣に申上げておいて是非ともこのILOの決議を運輸省として或いは政府としてどのように取扱い、どういうふうに考えておるかということを一つ御結論を出して頂きたい。  それからもう一つ、ここで一つ資料を委員長を通じてお願いをするわけですが、現在の運輸審議会の委員の氏名とその略歴といいますか、経歴と、それからこれは推薦母体があるはずなんですが、その推薦者母体というものについて一つ一覧表をお願いしたいと思います。
  70. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 今の御要望なんでありますが、ちよつと御説明申上げたいと思いますが、略歴、氏名はお出しできるのですが、運輸審議会の推薦母体というのは法律上ないのでございますが……。
  71. 大倉精一

    大倉精一君 誰かが推薦するのじやないですか。
  72. 山内公猷

    説明員山内公猷君) これは大体運輸省におきまして推薦いたしまして、内閣総理大臣が任命することなつております。国会の承認を得るということでありまして、推薦母体というのはないのでございます。
  73. 大和与一

    大和与一君 次回には、自動車局長がかわられましたが、ぼつぼつ落着かれたと思うのです。ですから自動車行政全般について、重要な問題を項目別に自動車局長の所見といますか、そういうようなことを一つ運輸委員会で発表頂く、こういう機会を次回に持つて頂きたい。
  74. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それではそのほかにございませんか。実はこの問題は相当重要だと思いますので、本日は大臣がお見えになりませんので、この程度にとどめておきたいと思います。  官房長にお願いいたしておきますが、この次はもう一、二回やりたいと思います。その節には委員の要望が大臣出席を切に要望しておりますので、必ず御出席頂くようにお手配を願いたいと思います。  それではこの問題は本日はこの程度にいたします。   —————————————
  75. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 次に、気象行政の問題に移りたいと思います。御質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 気象業務についてこの際若干お尋ねしたいのですが、その前に大臣に対する質問を保しておき留ます。  大体気象業務ということは、台風が来たときには最近のように大騒ぎをするのですが、平常時はさつぱりこれは忘れてしまつておるというような関係から、予算なんか真先に削られてしまう、こういうようなことになつておるのですが、これは非常に残念なことで、第十九国会におきまして、台風期を前に控えて、この委員会におきまして私としましても繰返し繰返しこの問題を追及をしたのですが、幸いと言つてちよつと変ですが、十二号台風、十四号台風において大変貴重な体験をしまして、その余燼がまださめておりませんので、この機会に若干質問してみたいと思います。この二つの台風のときに、進路の予報に対して非常に次から次へ変つて、結局予報はずれというような感が出て参りまして、新聞等にもこの問題も非常に大きく取扱つたがために、国民の間では何か知らん我が国の気象業務に対して気遣わしいというような動きが出て来たように思うのです。これは非常に大事なことだと思います。そこで私はこの際専門的にこの予報がこういう工合に狂つたという根本的な原因について、専門的な御意見一つお伺いしてみたいと思います。
  77. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) お答え申上げます。昨年ああいう大きな気象災害がございまして、その関係かと思いますが、気象のことになりますと非常に最近敏感になりまして、台風が出て参りましたときの、どこへぶつかつて来るかという予想は、在来北緯三十度、と申しますと、海岸から五百キロくらいでありますが、その辺に来てから大体今までは発表していたのであります。ところが今回の十二号台風、十四号台風になりますと、北緯二十四、五度くらいからどこへ来るのだ、どこへ来るのだと言われまして、そして私ども今その辺の所から日本のどこへ来るということを言うだけの技術も持つておりませんし、自信もないのでありますが、併し大体のことでも言つて準備して頂いたほうがいいという、そういう観点から或る程度の幅を持たせまして要求されるままに発表いたしました。それで在来のより狂つたという感じを与えたのだと思います。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 いろいろ新聞等で肥沼さんの御意見も拝見をしておるのですが、只今の御説明によりますと、そういう技術もなく、又自信もおありにならないというようなお話のようですが、私は必ずしもそうじやないと思います。これは日本の気象台、気象業務に対しては設備なり或いはその他の状態が非常に欠けておる。いわゆる気象業務というものをやる上において非常に不十分な状態に置かれておるということが非常に大きな原因じやないかという工合に考えております。特に台風の進路等につきましては、これは飛行機観測も必要なのですが、飛行機観測というのは、大体台風のある場所がわかつて、そのほかはわからないということを聞いておりますが、従つて進路の予測ということが大事なことですが、これは北方の高気圧の配置とか、或いはその変化というようなものに対していろいろ大きな影響があるということを聞いておるのですが、そうなると北方定点を廃止したということが非常に大きな今度の齟齬を来たした原因になつておるのではないか、こういう工合に考えられるのですが、この点について御意見を承わつておきたいと思います。
  79. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 気象の予報につきましては、ああいう台風のような大きなものになりますと、資料は非常に広い範囲で正確な資料があるほどよろしいのでございます。ところ日本の地理的位置から考えまして、東のほうが海でありまして、海のほうの資料と申しますと、一般商船が片手間にやつておる観測であります。それから南方には多少の島がありまして、島の観測がありますが、これも極く少数であります。それから西のほうは中共から満洲のほうが全然気象情報の入手の手段がございません。そういう点では私ども非常に資料が足らないということについて困つております。併しこれを例えばアメリカやソ連のように、ああいう陸上でたくさん観測所の整備されたような状態に持つて来るということは、これは日本の位置からいつて不可能だと思うのであります。今希望しておりますことは、この海の中に正確な観測所をたくさんということはとても望めることではございませんので、せめて前にやつておりました定点観測の復活をお願いしたいということと、それから島と申しますと小笠原列島と沖繩列島がございますが、その島の上で多少の観測が、観測と申しますとこれは高層の観測でありますが、そういうものが殖えれば、そういう少い、但し正確な資料によつて、どうやつたら予報ができるかという、そういう技術の研究をやつて行きたい、こう考えております。これにつきましては、今までのような経験を主とした予報ではなくて、計算によつて、計算と申しますと、その出発点となる正確な資料がやはり要るのでありますが、それによつて計算してやつて行くという方法を将来とつて行きたい、これはまだ正確なものにはなつておりませんが、或る程度見込みはつきそうに考えております。そういうほうへ進んで行きたい、そのために少数でもいいから正確な資料をほしいというのが私どもの希望でございます。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 一つ肥沼さんも今日は遠慮なく御所見を述べてもらいたいと思うのですが、私は台風の観測と北方定点という問題に関して御質問申上げたいと思いますが、この前の国会の場合に、私は北方定点の廃止ということが台風の予報に非常に重大な影響がある、こういう観点から私ども論争をしたのですが、そのときに運輸大臣は、北方定点をなくしても大した間違いはないという御答弁でございました。ところが今度の台風によつてみて、この北方定点がなくなつたということが、進路予報に大した影響があつたのだ、こういう私は観点に立つておるのでありますが、その観点は誤りでございますか、その点についてお伺いしたいと思います。
  81. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 先ほども申しました通り、気象の資料は多いほどいいのでありまして、そういう意味で北方定点がなかつたことは確かにマイナスだつたと思うのであります。併しその点がなかつたからどれだけマイナスかと言われますと、その点が今申上げられないのが残念でありますが、確かに多少のマイナスはあつたということは申上げられます。その理由を申しますと、これはあまりに技術的になつて申訳ないのでありますが、台風は東のほうの高気圧と西のほうの高気圧の間を進んで参ります。そのどちらの高気圧が強いかというようなことによつて、東のほうへよせられるか、西のほうへよせられるかという可能性が出て来るのでありますが、その高気圧の勢力がどうかという判定は、これは北方定点が役に立つはずであります。その程度でありまして、北方定点限つて申しますと、これが必要だという意見の出て参りました理由は、いろいろなことが前に話は出ておりましたが、大きなものが二つございます。一つは、これは夏の凶作と申しますか、或いは夏の温度が高い、そういつた長期の予報をするにはあの点が非常に必要であり、これは長期の予報をやりますためには、凶作は海からという言葉が昔からあるそうでありますが、海の状況を知る必要があり、それから今の気象学の考えから申しますと、高層の広い範囲のことを調べなければならない、それには日本の東のほうに全然資料がない、せめて一つでもほしいというのがその理由であります。そういう長期の予想に関した主として夏の予想に関した問題があります。  それからもう一つの理由は、この前五月の十日にあそこに非常に大きな強い台風が吹きまして、漁船が二、三百隻遭難した例がございました。で、これは五月としては珍しいのでありますが、三月、四月頃は特に珍しくもない非常に大きなものでありまして、中程度の台風、それ以下ぐらいのものは冬になりますと始終あの辺を通つておるのであります。台風より始末の悪いことは速度が非常に早いので、正確な観測が一つでもあつて、即刻その資料がほしいというのがもう一つの理由でございます。気象台で台風或いは低気圧が出たということを放送いたしますと、船舶は大部分は待避してしまいます。そして大事なときに資料がなくなつてしまいます。一般商船の資料はそれほぼ正確ではありませんけれども、これはあるほうがいいのでありまして、ところがそれさえも得られなくなつてしまう。それで非常な危険になつてしまつたらこれは観測船も待避しなければなりませんけれども、或る程度までは危険をしてそこにとどまつている船がせめて一艘でもほしいというのが第二の理由であります。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 私は今日は気象台の方を責めるというのではなくて、そういうことは何ら思つておりません。ただ今までの御答弁は非常に消極的な態度つように思われます。私はずつと新聞に目を通しておりますと、九月十八日の東京新聞によりますと、部長はやはり今度の進路の測定について一番障害になつたのは小笠原高気圧の方向がわからない、これが一番大きな原因だろうと言つておられます。とすれば、小笠原高気圧をつかむということになれば北方定点が是非必要になる、こういうふうに私は考えておるのですが、今の御答弁によると、あればあるに越したことはない、多ければ多いに越したことはないというような御答弁ですが、併しこれは非常に大事なことであると思うので、やはりもう少しあなたのお考えを、北方定点は是非要るものか、或いはなければないでいいものかという点をお述べ願いたいと思います。
  83. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) その点はこれは私ども天気図を書いて予報をやつているときに、資料があればあるほどいい、これはふだん感じていることをそのまま申上げたのでありまして、一点ぐらいは是非ほしいと思います。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 私はこの北方定点は是非必要であるという御意見のように伺うのですが、そうしますというと、先ほど官房長の話もありますが、北方定点のために三隻の船を建造される、南方定点のほうは今考えていない。こういうお話ですが、やはり南方定点のほうも現在の程度では非常に不十分だと思いますので、これを完全に、やはりああいうような場合において一点において観測させるためには、更に完備した船が必要だと思うのですが、その点はどうでしよう。
  85. 北村純一

    説明員北村純一君) お話通りだと思います。私どもも南方定点につきましても、北方定点に劣らず極めて重要だと思うのでありますが、先刻来北方定点を一時的にしろ廃止しなければならんような事情になりました原因は、主として財政的なものでございまして、非常に大きな経費がかかる、或いは北方定点再開につきましても、一番大きな障害は、この再開につきまして非常に多額の経費がかかるという点にございますので、そういう点を勘案いたしまして、速かにこの南北両定点の観測を再開するというふうに持つて行くためには、現在閉止しておりますところ北方定点のほうから順次手をかけて行くのが却つて早途だというふうに考えまして、先ず北方定点の問題を解決して、それから現在曲りなりにもやつております南方定点のほうに手を伸ばしたいという、こういうふうな順序を考えたわけであります。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 まあ順序をお考えになるということは結構なんですが、これは何もあなた方気象台のほうから前以て準備を考える必要はないと思う。これはやはり気象業務を完遂するにはこれこれのものが必要だということは誰に遠慮もなく、これは国民のために、国家のために御要求になるということが、私はそういう態度が必要ではないかと思うわけです。そこで費用がたくさん要る、費用がたくさん要るとおつしやるのですが、この費用を考えてみまするときに、災害によるところの損害に比べたら、これはそう大したことはない。而も日本の国土防衛というようなことで軍隊か何かわからないような自衛隊というのを作つて、いつ侵略するかわからないようなのに非常な国費を使つておる。ところが台風というものは、これは自然の而も必ず確実に毎年やつて来るところ一つの侵略でありますから、こいつを一つやはり防衛する、予防しなければならん。これは国土防衛の第一番です。従つてこの問題に対するところの熱意をもつと示してもらわなければならないと思うのですが、この熱意を示す根元がぐらぐらしておつたのでは、どうもしようがないのじやないかと思う。それで新聞等見ましても、南方定点の今度の船は非常にぼろ船であつて、非常にそのため困難をなすつたと書いてありますが、私はこういうような問題についてももう少し積極的に新しいちやんとした船を作る、そういう決意を示してもらわなければならんと思うのですが、取りあえずこれでやつて行くというようなこともちよつと私は腑に落ちない点があるのですが、この点はもう少し積極的な御意見なり御意思を持たれるべきじやないかと思いますが、これについてお尋ねいたします。
  87. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 私の先ほどの答弁は、南方定点は必要てないということではないのでありまして、補足させて頂きますと、実は先ほど御説明いたしましたように、現在行なつておりますのは、南方定点だけでございます。南方定点につきましては、只今指摘のありましたように、もつと北方定点に今度我々が要求しておりますような二千トン級の観測船を配船いたしましてやるということは望ましいことでございまして、これは決して必要がないというつもりは一つもないわけであります。併しまあいろいろ気象台の専門的な御意見を伺いますと、南方定点におきましては、北方定点におけるほど海が荒れることも少いということと、時期的にも北方定点が、最も北方定点における観測船が活躍しますのは冬期の荒天期でございますので、南方定点におきましては、現在海上保安庁に移籍いたしました船でやつて行きましても、或る程度その目的を達し得られるのであつて、全然気象の観測船のない北方定点を一日も早く再開するということが運輸省としては勿論必要であるという見地から、南北の両定点を只今大倉委員から御指摘がありましたように要求いたしまして、できれば我我としても最も望ましいところでありますが、現在の国家財政状態を考えまして、一時にそういう多額な要求をいたしましても、却つて予算を獲得するという技術上、と言つては或いは語弊があるかも知れませんが、得策ではないのじやないか。本当に必要ならば、北方定点を先ずお願いいたしまして、それからその上で南方定点予算、新しい造船の要求をしたほうが予算をつけてもらうという意味からはいいのじやないかという意味で南方、定点は次の段階ということを考えておるわけでございまして、御指摘のように南方定点の現状を以て満足をいたしておるわけではないのであります。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 南方定点はあまり海が荒れないから海上保安庁の船でいいというお話ですが、今度の台風の場合に、新聞等で伝えられるところによるというと、あつみ丸という船が非常に危険な状態で、本当に命がけの仕事をやつておるというふうに伝えられておる。又小学校の生徒から何か贈られたとか又天皇陛下からまで言われたとかいうような話が出ておりましたが、あつみ丸、或いはその後に向うへ行つた船はそういう危険な状態で仕事をしたのかどうか、その観測船の観測業務に従事した状態についてちよつと部長からお伺いしておきたいと思います。
  89. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 南方が今それほど荒れないと官房長がおつしやつた意味は、これは台風はとにかく将来どちらへ来るかというのを、私ども予報を誤つて御迷惑をかけておりますが、現在およそどの進路をとつておるかということは図の上に刻々わかつておりまして、北方のような非常に早い変化がないために、危険の度合を見ていてこちらから待避の指令ができるのであります。で、観測に行つた者の話を聞きますと、風が最大二十二、三メートルぐらいまで吹いて、勿論中心ではそれ以上五十メートルという風が吹いておりますが、これは米国の飛行機が測つておりますが、そういうところへは行つておりません。波が七、八メーターぐらい立つておる。そして船の傾斜が最大は四十五度と聞いておりますか、三十三、四度ぐらいの傾斜かしよつちゆうある。その程度の観測をしております。で、これは現在船員のほうは半分ぐらい海上保安庁の新しい人で、非常に危険を感じて、早く逃げなくちやというような話があつたようでありますが、残りの半分くらいの人と気象台の観測員は、北方で五年間の経験を持つておりますので、このくらいはまだ大丈夫だと、こちらから指令するまでもなく、向うで大体の見当をつけて観測しておる。そういう事情がわかつておりますのと、変化がどう変つて行くかということの予測がつきますために、割合危険がないと、こういう意味でございます。北方の低気圧と申しますと、これは非常に速度が速く、又暴風日数も非常に長いのでございます。半月ぐらい続くことがあるのでありまして、そういう意味で北方のほうが非常に危険なのでございます。  それからここでちよつと補足さして頂きますが、先ほど私の説明が消極的だという御指摘でございましたが、災害について気象台がどう考えているかということを一言補足さして頂きます。災害は、ああいう台風のようなものが参りますと、これはどうしようもないので、応急のことしかできません。それで本当の災害予報というのは、少くとも十日或いは半月前に出さなければ、本当の災害予報にはならないと私ども考えております。こういうことができるような自信が持てれば、これは国家予算として相当な厖大なものになつても、災害を防げるのですから要求すべきだと思つております。併しこれは今不可能であります。私ども今大よその腹づもりをしておりますのは、台風などを一日か二日、二日と申しても少し無理なのでありますが、せめて二十四時間か三十六時間前にどの辺に来るかということを予報して、そして応急の対策をして頂きたいということを念願しております。その程度のことならば、まだそこまで完全に行つておりませんが、ここ暫らくのうちにその程度のことが自信が持てるようになる。その程度のことをやるならば、今案しているくらいで先ず先ずと考えていると、こういう意味でございます。
  90. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私実は大阪なんです。今度の十二号台風と、それから十四号台風ですか、これについては新聞、ラジオ等について近畿地方がどういう状態であつたかということは御承知だと思いますから、私は触れませんけれども、私はただ大倉委員からいろいろお尋ねされていることを裏付けする意味ではありませんけれども、予報ということについてお尋ねしたいのですが、この予報ということは、飽くまであれ以上のことは望めないのですか。というのは、いろいろこれについて特に僕らにも質問があるのです。まあ測候所の予報について非常に悪口も申します。それらについては、僕らも弁解の立場に立つておるのですが、今あなたのお言葉を聞きますと、長年の経験と現在の係員のいろいろな台風の進路についての観測から予報というものは出すのであつて、これ以上設備をしても予報というのは十二号、十四号以上の的確性はつかめないというお考えかどうかということを聞きたいのですよ。というのは、この十二号台風でも、何らの応急の用意をせずに受けたよりか、二日成り三日なり用意をして応急対策をして受けたほうが得なことはわかつておるのですが、今度の十二号台風で関西の産業は三日間とまりました。その台風災害予防のために、非常にラジオ、新聞がかなり扇情的に大きく、毎年の台風で、又水で懲りておりますから、かなり警戒をやかましく言い立てたわけです。それに応じて又各官署が人を動員して、随分予算も出してそれの対策をしたわけです。一カ所がやり出すと、次もやり出して、遂に工場の機能が完全にとまりました。それが三日間、一日はその用意のため、一日は台風がずれますから、今日は来る、今日は来るというので、それが二日続いて、もうはずれた時分に、やれやれという瞬間まで、又跡始末のために仕事が全然できないというように、恐らく三日、四日というものが、これが単に大工場だけでなくして、小工場は勿論のこと、商店がそうです。商店が雨戸をおろしたのです。まああれは台風を受けたよりも、それだけの応急策を施したほうが非常に経済的に得であつたかも知れませんが、幸にそれたので、あとで問題は、予報というものは当にならんと、こういうことになつたのですが、予報は飽くまで予報だという考えを持てばいいと思うのですが、あれ以上予報に対して設備を完備するとか人を殖やすとかいうことで予報をもう少し正確につかむということはできるものでしようか、できないものでしようかということが一つ。  それと、十四号台風なんです。あれが来たときには、前のに懲りて何もしないのです。資材も手持があつて、前にはずしたやつを積んであるのですが、台風に対して何も用意しないのです。こういうときには却つてひどい目にあうぞと思つたのですが、これも幸にそれたのです。十四号台風が十二号よりずつと小さくて弱い台風であつても、幸にそれたからよかつたけれども、あのままで来ますと関西は大変なことになります。こういうような点で、やはり予報というものはあの程度以上には、まあ今の日本の置かれた地理的な地域の関係とか、海上観測というようなことも非常に至難なことだというような点でむずかしいものかどうか、もつと設備ができて予算をうんととつてもう少し予報を的確なほうにやつてつてもらえるものかどうか、こういう点をちよつとお伺いしたいと思います。
  91. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 只今の御質問でございますが、今のあとのほうの御質問にお答えしますと、大阪は曾つて非常な室戸台風に襲われて災害を受けた経験がありますので、台風については、私大阪に在勤していたことがありますが、非常に敏感なのでございます。そういう点と、それから今度は、どういう理由だつたか知りませんが、先ほど申しましたように、台風が北緯二十五、六度の所に来たときに、新聞、ラジオが非常に騒ぎ出しまして、気象台へ未だ曾つてあんなにたくさんの新聞記者が来たことはないのでありますが、地方新聞も合せて四、五十人来ておりまして、騒ぎ立てました。そういう点で、今まで気象台がそういう経験がなかつたというようなことから、幅を持たしてやつたと、それが又うまく行かなかつたというようなことだと思います。  それから前のほうの御質問の点でありますが、今度の十二号と十四号に関しましては、日本の丁度南のほうから上つて参りました。で、西のほうには沖縄列島がございます。この島には幾つかの観測所がございます。東のほうには小笠原列島がございまして、ここにも幾つかの観測所がございます。丁度その間両方の幅は約千キロございますが、その何もないところを上つて来たわけであります。それであの定点観測のあつみが一つありましたために、これは非常に役に立つたのでありますが、そういう点で今後島の観測とあの定点を維持すれば、今までよりはよくなるということはこれは申上げて差支えないことだと思います。その東のほうの島につきましては、あそこに硫黄島というのがございます。これは日本で管理しておりまして、夏だけラジオ・ゾンデの観測をしておりましたが、今年は残念ながらいろいろなことでその臨時観測を取りやめたのでございますが、こういう所、それから鳥島、八丈島というようなところの資料が十分つかめれば、今までよりはずつとよくなるということは申上げていいと思います。
  92. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 室戸台風ですね、これはあなたも御経験なさつたというが、私も大阪でこれは経験したわけですが、室戸台風と匹敵する今度の台風だということは測候所が言われたのか、或いはこれを聞いている新聞記者が言つたのか知りませんが、新聞記者では室戸台風がどの程度の被害だということを知らないのです。非常に室戸台風でものずごい被害があつたように記事、ラジオ放送というものが行われたわけなんです。又大阪に現在住んでいる人も戦後、室戸台風がどの程度のものだという経験を持つておるものが大勢おりますが、又ない人も多いわけです。御承知のように室戸台風の被害というものは、勿論風の被害も全市一円に及びましたが、これは特別の地域だけに高潮の被害がひどかつた。被害が予想外だつたわけです。これを防がなければならんというので努力しておつたわけなんでありますが、風の被害というものは、高潮の被害以外に、やはり弱い物干が飛び、看板が飛ぶ、その程度で、これに対する対策をするとしたら、家の中は全部四寸角材を裏表に打ち付け、その上外には全部板囲いをしてしまうというような、それはひどいものなんです。こういうものなんかに随分金をかけて、その対策に人を動員して待機するというような状態で、想像外の風の準備をしたわけです。まあ万全を期することは決して私は悪くないと思いますが、あの大げさに使われた労力、それから皆の持つた恐怖、それから産業の遅滞状態というようなものを見ると、やはり責任のあるところの台風に対する対策だとか、勿論大きく言つておけば間違いないと言えばきりがないのですが、相当やはり的確なものを握つて、それに対する妥当な対策方法というものを指示して頂かないというと、今度のように行き過ぎた場合にその反動というものが出て、何も用意しないというようなことも起るだろうと思うので、まあ一つ注意して頂きたいというのが私の希望なんです。
  93. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 只今の御発言につきまして、実は私ども予報や警報を発表して、一般にラジオ、新聞に出しておりますが、今度のように騒がれたことはないと先ほども申上げましたが、これにつきまして、私どもの発表の事実、それが対社会の問題として相当反省しなくちやならない。これは主として言葉その他については考えております。で、その室戸台風という意味は、こちらでは十二号台風が九州に上る前日か前々日だつたかと思いますが、その中心示度が九百十ミリバール、これは室戸台風が室戸に上陸しましたときに九百十二ミリバール、で、今度の十二号台風の現在の強さは室戸に匹敵するということを一回言つたのであります。その言つたことがあと新聞に伝わつてしまいまして、上陸する頃は衰えるのは、これはどの台風でも当然でありますので、それは知つていたのでございますが、もうこつちからそういうことを言わない間にあちこちに伝わつてしまいまして、最後まで室戸台風で押されてしまいました。これは私どもの発表が幼稚であつた点であつて、今後反省しなくちやならない問題だと思います。
  94. 大倉精一

    大倉精一君 私はさつきの続きを御質問申上げるのですが、これは大臣にお伺いしなければならんのですが、官房長にお伺いします。さつきの南方定点のぼろ船の問題ですが、これは私は非常に心配になつたことは、若しああいうような船を少くともこの台風時に、台風時には海が荒れることはきまつているのですから、そこへああいう不完全な船を廻したということ、これはもつと完全な船がなかつたかどうかということと、それから万が一あのあつみ丸に不幸な事態が起つた場合には、一体それはどこの責任になるのですか。これは気象台の責任になるのか、或いは海上保安庁の責任になるのか、運輸省の責任になるのか、これは仮定の問題で答えられないとおつしやるかも知れませんが、こういう重大な問題は、そういうことを十分に考慮に入れて計画をし、準備をしなければならんと思うのですが、若しそういうような事態が起つた場合には、責任はどこにあるのですか。官房長に参考までに伺つておきたい。
  95. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 今度の南方定点について観測船が出ますときに、ちよつと船の整備が不完全でございまして、そのために修理その他をやつたわけでございます。私も素人なものでございますから、只今指摘のような危惧を持ちまして、海上保安庁に大丈夫かという疑問を持ちまして聞いたわけでございますが、少しあれは船は古いことは古いけれども決して観測には心配がないという技術者の意見をとりまして、それではというふうに考えました次第でございまして、そういう不幸な事故はないと思いましたが、若しも御指摘のようなことがありますれば、勿論運輸省としての責任でございますから、その点は海上保安庁の技術者が十分な確信の下に今回も出したわけでございまして、我々といたしましては、そういう事故は決して起らないであろうということも確信し、又起るという疑念があれば出すべきではないというふうに考えております。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、そういう場合の責任は運輸大臣にあるわけですか。
  97. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 最終的には運輸大臣にあると思います。
  98. 大倉精一

    大倉精一君 そこでそういうことはないだろう、起らんだろうというお話なんですが、あの当時の新聞情報を見ますと、修繕をしなければ出航ができないというような船だつたように聞いております。で、海上保安庁にはもつと完全な船はないものか、どうなんですか。
  99. 北村純一

    説明員北村純一君) 海上保安庁には現在定点観測をなし得るような程度の船と申しますと、最近に中央気象台で使つておりました五隻の船以外にはないわけでございまして、それでそのうち今年定点観測に使いましたおじかとあつみ、この二隻はそのために特別に整備をいたしました結果、本年度におきましては二船が最適船ということになつておるわけでございますが、事故があれば他の船を代りに出すという予定も組んでおりまして、現に一時はつがるというのを舞鶴のほうに配置しているのを廻しまして、第一線に使つたこともあります。大体その五隻以外には海上保安庁には適船はないわけでございます。
  100. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、やはり南方定点に使う船も、これは人命その他に関する重要な問題ですから、もつと完備した船を作らなければならんということになると思います。そこで先ほども部長がおつしやつたのですが、予算がないからというようなお話なんですが、これは気象台長が今おいでにならんのですけれども、気象台に働くたくさんの人のためにも、この国会においてやはりもう少し積極的な態度でもつて意見なりを開陳されたほうがいいのじやないかと思います。丁度衆議院の決算委員会において佐藤検事総長かああいうなまぬるい態度をとつているものですから、中堅検事が非常に不満を持つているというのと同じことであつて、これはここに出て来られたところの皆さん方にも責任があると思います。それから新聞等によりまするというと、危険手当が一時間十円という誠に時代離れのした危険手当を出して平然としておられるようですが、そういう点についても非常にすべての点において不完全か。もつとこれを積極的に改善をして、そうしてさつき同僚委員が言われたように、完全とは言えないまでも、できるだけ完備した観測業務をやつて頂くということが必要じやないか。そのためには南方定点に使う船も建造しなければならん。それから乗組んでおるところ業務関係する職員の危険手当なり何なりというものの保証ももつと十分にしなければならん、こういう工合に考えるのですが、その点は御意見どうですか。
  101. 北村純一

    説明員北村純一君) お答えいたします。南北両定点に必要な船を同時に建造するということは、もともと中央気象台といたしましては当初から考えておりました点でございます。南北両定点に同時に開始いたしますと、五隻の観測船を持ち得れば大体実行し得るということで、その建造費三十億というものを目算いたしまして、これまでいろいろと折衝を続けておりました。前の国会におきましてもたびたびその点につきまして私どもも三十億の経費が入用だということを繰返して申上げて参つた次第でございますが、大倉委員も御承知だと思いますが、当時大蔵当局或いは運輸大臣もこの席上におかれまして、三十億という経費は非常に大きい負担で、そのために大きい問題になつておるので、適当な経費を節減する手はないかというふうなこともございましたので、そういう点を勘案いたしまして、結局船を小さくすることは職員の生命の安全にも若干影響するように思います。特に職務遂行という意味合いで危険を避けますと十分な成果が上がらないというふうに考えまして、二千トンの大きさというものを譲りたくない。むしろこういう方法を一気に解決することができなければ、継続事業といたしまして一つずつ解決するほうが早いのではないかというふうな考えを持ちまして、南北両定点に実施の準備を考えたわけでございます。その場合にも両定点に軽重の差があるというのでなくて、南点につきましては現在一応やつておりますので、完全に欠けてしまいました北点から先に開始するように手配をいたしましたわけで、別段熱意を欠いておるというふうな気持は実は持つていないのでございます。むしろ熱意を持つておりまして、何とかしてスムーズにこの両定点業務を早く完全に実行し得るような途はないかというふうに考えたわけでございまして、その点を御了承願いたいと思つております。
  102. 大倉精一

    大倉精一君 そういうようなお考えは、それは運輸省なり或いは政府当局がどんどんやること薫つて、あなた方は心配する必要はないと思う。さつき新聞がどんどん余り大きく報道したとか、ラジオが余り大きく報道したとかいうようなことを何か迷惑そうな御答弁でありましたが、私はむしろ結構なことだと思う。これは恐らく定点観測の問題がこの前の国会で問題になつて、新聞でも若干書くようになつた。或いは船員組合のほうも、或いは漁業組合のほうも大会でもつて決議するというようなことで世間にアツピールするようになつてから、気象業務について若干世間の関心が高まつて来た。それがために今度の台風あたりで観測業務について新聞報道、ラジオ報道を十分にやる、これは大変結構なことだと思う。そうしてこれがはずれたということでもつて更に大きな国民的関心が出て来た。こういうときにこそ遠慮なく専門的な立場から国民に訴え、このようにして中央気象台は政府から継子扱いされているということをどんどん訴えて、そうして必要なものを全部作つてしまう。これは逐次やる、逐次やるとおつしやるのですけれども、ほかの仕事と違つて、さつき申しましたように、台風なんというものは毎年定期的に日本国土を侵略するものだ、これは厳然たる事実である。この侵略する事実に対して今年は一隻、来年は一隻、再来年は一隻なんということになると、これはその間台風は待つておりません。どんどん来る。従つて私はこの際、国民が非常に大きな認識を持つたと同時に、政府も恐らくこの認識を持つたと思う。であるからしてこれは日本財政の許す最小限度の設備をするとしましても、少くも私は北方定点の三等、それから南方定点の二隻、それから更にこの気象業務に必要なところ飛行機、これは是非とも私は予算に計上して持つように政府に強く要望しなければならんと思うのです。そういうふうに私は考えておるのですが、御意見は如何ですか。  ちよつと飛行機のことに触れましたついでに申上げますけれども、現在飛行機気象観測というものは、戦後気象観測業務に対して進歩した一つの点だろうと私は思うのです。然るにこの飛行機気象観測日本の手では何もやつていない、専らアメリカ軍の飛行機に頼つておる。少くとも日本の本土に非常な影響があるところの台風予報業務に対して、外国飛行機に全部頼りきつてしまう。而もこのアメリカ飛行機というものは、この台風時期において日本気象業務のためにやれという命令は受けていない。これは専らアメリカの軍隊のために適当に気象業務に従事しておるのであつて、これは日本の気象台から注文をつける筋合いでもなければ、どうすることもできない。そういうような状態に放置しておいて、そうして予算がない、予算がないとこういうようなことが私は非常に大きな欠点じやないかと思いますが、この点についても一つ意見を伺つておきたい。
  103. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 先ほどの全面的に予算をというようなことは、これは台長が今おいでになりませんので全般的のことを私申上げられませんが、飛行機のことについてお答えしたいと思います。  飛行機の問題は米軍が日本を占領しましたときに、空軍の活動に必要だということで米軍が台風の観測をしておりました。で、その資料をこちらもほしいからというのでもらつたわけでございます。で、講和が成立いたしましてからは、行政協定によりまして米軍の活動に必要な気象の資料は日本から差上げる、その代りそちらからもこちらの希望するものをよこしてもらいたい、こういう協定でございまして、ただ向うから下さるのを使つているというよりは、成る程度こちらの希望も申出てそのときどき話合いをして仕事をやつております。そういう現状でございます。  で、台風につきましても、普通の天気図へ書いて台風が出たらしいということを米軍のほうで先に確認いたしますと、向うから台風偵察飛行というものの命令が出まして出かけます。こちらが先に確認いたしますと、どうもこの辺が怪しいから観測をしてくれということを申出ております。そういう状況でございます。  それから日本自体で飛行機を持つという問題でございますが、今この台風のような暴風雨の中へ突つ込んで行つて観測する飛行機はB二九でございまして、この程度飛行機日本には一機もないわけでありますし、又そういうものを操縦する人も恐らくないのだと思いますが、それほどの性能のあるものをこういう技術官庁であります気象台が持つて、それを保守し、運営して行けるかどうかということについては、多少私疑問を持つているわけでございます。搭乗員が、これは台風時期のことを考えますと相当の数を確保しなくちやいけないし、而もふだんはその人は遊ばしておかなくちやならない、そういう問題も考え、それから飛行機の性能等いろいろな点から考えて、飛行機を持つということについては多少の疑問を持ちます。但し一般気象観測飛行機となりますと、これは気象台で持てば持てないことはないのです。それは普通の天候状態に特殊の観測をする場合でありまして、これは話は別問題だと思います。
  104. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は、おかしな話になりますけれども私は気象台のためを思つてつているのですよ。それでああいう飛行機気象業務では持てないということになつたら、一体アメリカ軍が日本を引揚げたらどうなるか。そうしたら肝心の飛行機による台風時の気象観測はさつぱりできないのです。アメリカからよこされれば……。
  105. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 現在ああいう暴風雨の中に観測をやつておりますのは、米国が丁度日本と同じように、大西洋の西側にハリケーンという暴風雨があります。これは台風と同じであります。これに対する観測は米国の海軍がやつております。気象台でああいうことをやつているところはどこにもないのであります。
  106. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、日本にも陸海空軍の立派な軍隊ができて、再軍備を完成しなければ気象業務もできないということになるのですが、日本の憲法では再軍備はできない、日本の現在では……。吉田さんはやろうと思つているかも知れないけれども、できないことになつているのです。そうしますと、結論において、さつき私が言つたように、アメリカ軍が引揚げて、これは引揚げてもらわなければならんのですが、引揚げてしまつたら、アメリカからB二九を呼んで待機させる、これよりほかに手はないですか。
  107. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 再軍備とか、軍にやらせるとかいう問題になりますと、私お答えできないのは残念でございます。
  108. 大倉精一

    大倉精一君 まあ再軍備を聞いておるわけではなくて、さつきの御答弁からいつてアメリカは海軍がやつておるということで、それであれば日本も軍隊がなければできぬということになるので、そういうお尋ねをしたので、私はそういう極端なことではなくて、気象観測上、特に台風時におけるところの観測に飛行機が絶対必要だという専門的な結論であれば、やはりそれも作り、そして保管、維持の方法も考えて、搭乗員の養成ということも考えなければならんのです。これを何の計画もなしに、アメリカに依存して、外国に依存して、そして、何といいますか、頬かぶりをするというか、そういうことは私は気象業務のためにとらざるところではないかと思うのです。特に台風というのは、新聞等によりますと、飛行機等で、技術者の勘によつてちよつとあそこに飛んでくれ、あそこら辺の気圧を見てくれということができないように新聞に書いてあるのですが、そういう場合に、自由自在に日本気象業務の手足になる格好アメリカ飛行機が使えるのですか、その点お聞きします。
  109. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 現在のところは、米軍が観測をしたその資料をこちらへもらうということと、先ほど申しましたように、台風が出たらしいから観測を始めたらどうかということをこちらから申すだけで、それ以上のことは何も向うに申しておりません。それから先ほどの問題でありますが、米軍が撤退した場合どうするかということでございますが、米軍が撤退して、日本に毎年災害を起す台風の問題が残りますと、そのときは、これはどこもやらなければ気象台がやらなければならん問題だと思います。
  110. 大倉精一

    大倉精一君 まあ米軍撤退後のことは気象台でやらなければならんとおつしやつているが、やる手段がなければできないのです。要は飛行機がなければならんのですが、それはさておいて、米軍の飛行機によつて観測をしてくれるのですが、その米軍の飛行機には日本気象業務関係の専門家が乗ることができるのですか。乗せてくれるのですか。
  111. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは向うの軍の中に日本人が入つて行くのは不可能でございます。
  112. 大倉精一

    大倉精一君 そこで一つの問題が出て来るのですが、この大事な気象観測の、飛行機による気象観測というのは戦後進歩した一つの観測方法ですが、日本気象観測技術者が飛行機に乗つて台風の眼玉を見たことはない。台風の状態を上空から見たことがないということは、これは非常に重大な問題ではないかと思うのですが、この点は如何ですか。
  113. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは気象観測者自身が飛行機に乗せてもらつて、直接台風の眼を見、或いはその中の風、雲その他の変化の状況を見るということは、予報に非常に参考になることだと思います。
  114. 大倉精一

    大倉精一君 従つて日本の技術者が今飛行機の上から台風を観測する自由を持たない、そういうことができないということは、日本気象業務に対して非常に重大な支障になると思うのでありますが、如何ですか。
  115. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 確かにそれは御尤もなことだと存じます。ただ私は、今の日本の置かれた現状からいつて、そうして日本飛行機関係したところにさえ全然ないような高性能の飛行機を気象台が持つようなことは、どうかと先ほど申上げたのであります。併しこれはB二九のようなああいう飛行機ができましたために、台風の観測ができるようになつた。併し技術の進歩は一日々々と進んでおります。私ども終戦後使つております機械は、気象台は貧乏だとよく言われますが、年々に変つた機械を使うようになつて来ておるのであります。レーダーもその一つであります。マイクロ・ウエーブ等の通信を使うようになつたのもその一つであります。天気図の電送というようなことも起つて来ております。今のは台風の中に突つ込んで行く観測であります。又これはまだ将来でわかりませんが、スフエリツクスという観測が現在ヨーロツパでかなり進んで来ております。こういうものが仮に発達いたしますと、或いは飛行機を持たないでもいいという時が来る可能性があるのであります。そういう意味で先ほど申したのでありまして、米軍が撤退する頃になれば、又そのときには別の技術が進歩しておれば、何も非常な困難を冒して飛行機を持つまでもないのじやないかということが肚にあつたから、ああいうふうに申したのでございます。
  116. 大倉精一

    大倉精一君 この問題はあまりお尋ねしても埒があかないのですが、私は、専門家としては飛行機による観測は必要だ、従つて飛行機を持つことは必要だが、併し日本の国は貧乏だから、気象台は貧乏だからということに尽きると思うのであります。そこで欧州に何とかいうものが発達しておる、それができれば飛行機は要らなくなるだろう、併しその間にも台風は来るということです。そこで気象台は貧乏だというお話ですが、誰が貧乏にさしておるか。これは気象台のほうで貧乏にしておるのじやないか。これは日本国家予算を組むときに、気象台は一番びりつこに廻されておる。今度の運輸省の計画でも、気象台は一番びりつこに、ちよつぴり書いてあるだけで、それほど気象台に対する政府一般の関心がまだ不十分だと思うのであります。加えて気象台の態度も消極的じやないか。例えば新聞で見ますというと、南方定点で風船の観測をしたい、レーウインというものもほしい、ほしいけれども、予算がないからと言う。初めから予算がないからときめてかかつておる。そういうものが要るなら要るで、是非そういうものが要るのだということを強くアッピールするということが必要だと私は考えるのでありますが、その点について一つ御所見を承わつておきたい。
  117. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 気象台が貧乏だということを一言申上げますが、これは気象台の仕事の歴史的過程と申しますと、ちよつと変かも知れませんが、気象学というものがだんだん進歩して来まして、それが使えそうだからというので、世間の要求が次々に高まつて来たのでございます。或いはお聞き及びかも知れませんが、夏、測候所という言葉を言いながら生水を飲めば当らないという言葉があつたくらい、気象台の予報は不確かなものであつたのであります。こういうときには気象台のようなものはどこの政府にもあるのだと、政府一つのアクセサリーくらいに考えられていたのであります。その予報の精度がだんだん、上つて参りまして、これは役に立つから、そして又次々に来る災害からこれは大事だという評価がだんだん出て来たのでありまして、やはり貧乏ということはそのときの要求とどの程度マッチしているかということなのでありまして、昔から貧乏だということは当らないのじやないかと思います。
  118. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  119. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それじや速記を始めて下さい。
  120. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 大倉委員との間でいろいろ話がありました南方定点北方定点ということですが、今度の十二号台風のような場合には、これは南方、北方総合的な観測が必要なんですか。南方定点に属するのですか。
  121. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 北方定点が先ほど申上げましたように高気圧の強さを判定する意味では必要でありますが、南方定点のほうが重要さではずつと上でございます。中心の位置をきめるのに南方定点と、それからマーカス島、硫黄島、それから鳥島、西のほうで名瀬、こういう幾つかの点できめますが、先ほども申しましたように、その列島が千キロも離れておりますので、中心附近に何もない、そういう意味で南方定点の資料は非常な重要性を持つております。
  122. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 そこで今度のような場合北方定点といいますか、至急にやはり用意が必要なんですか。それなくてもこのたびのようなたびたび鹿児島を襲うところの進路を迫る台風というもの、又四国を襲う台風というようなものは、今の南方定点だけで予報や観測ができるのですかどうですか。
  123. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) それは技術の問題になりまして非常にお答えにくい問題でございますが、私ども使つておりますのは、天気図というものを使つております。これを正確に書くということが一番の予報の基本になつております。それで台風が来ますと、どうせ天気図の範囲の縁のほうになりますところは推定が入つておりますので、大ざつぱなことになつております。そういうもので今は間に合せているわけでありますが、北方のほうは台風からかなり離れておりますので、多少の誤差はこれは許容できる。それは多少というのがどの程度と言われると困るのでありますが、ただ高気圧が強いか弱いか判定するのに必要だ、併し南方定点の台風の中心或いは中心に近いというところの資料が間違つていたのでは、これはもう例えば九州に来る台風を東京に来るという判定をしなくちやならんようになるかも知れない、非常な重要性を持つております。
  124. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 結論として総合的にやはり南北定点ということが必要だということになりますね。
  125. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) そうでございます。
  126. 大和与一

    大和与一君 今まで気象台の課長さん、部長さんですかのお話を承わつて非常に謙虚な気持でお答えになつているものですから、何か隔靴掻痒の感があつてこつちのほうが歯痒くなるほどなんです。それでこれはやはり民主主義の原則は個人の基本的人権を認めることなんで、この問題に対しても気象台がしつかりした意思を持ち、やはり明確に発表するというふうにして頂かなくちやならない。やはり今回は台長がおられないのでその点は少し皆さんが御遠慮されているのではないか、今まで台長からもいろいろ質問に御回答頂いた場合には、或る程度台長も明確にお答えになつたと思います。いない場合にはどちらかが台長の代理で責任を持つてお答えをされるのですから、やはり気象台としてはどうしても三十年の予算にはこれこれ入れてもらいたい、こういうことを具体的にやはり明確にされなければならない。これからぼつぼつ資料も整えておられると思いますから、この点明後日はどうかわかりませんけれども、次回にはなぜこういうことになるかということを具体的に資料を作つて、そうしてどの程度大蔵省あたりに、今回の輿論的な新聞に出た内容によつて認識を改めておるのか、全然同じなのか、同じだつたらやはり一つ今度委員会に来てもらつて大蔵省にも認識を改めてもらう、こういう具体的な推進を考えなければ、ただ来て頂いてお話を承わつて、そんなことで終るのだつたら運輸委員会をせんでもいい。大臣にも十二分に反省してもらいたいし、かねがね運輸委員会としては、気象台の非常な御労苦を十二分に衷情を察して全委員が一致して決議もし推進のための努力もしているわけですから、その点是非又一つ重ねてお尋ねする点があると思いますが、一つそのときには気象台としての立場を明確にお話して頂く、こういうふうなこれはお願いをしたいと思うのです。それから官房長はこれは運輸省で監督をされるから、あまり気象台で言つて来ないからおれのほうは軽い気持で……、そういう顔はしておられないが……、一つそういうやさしい非常に台長以下学者的な良心的な方が多いのですから、あなたのほうでも一段と積極的に勇猛心を振つて是非とも三十年度もこの予算を具体化し、運輸委員会としてはどうしてもやらなければならんという不退転の熱意を持つておるのですから、官房長も台長の気持、気象台の気持を十分くんでその意思を行動に現わしてもらう、こういう積極的な努力をしてやることを大臣に代つてあなたが一番偉いのだろうから、その点一つ十分肝に銘じてこれからの運輸委員会に臨まれるように、今日はこのくらいお願いして又次回から発言をさしてもらいたいと思います。
  127. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと部長さんにお尋ねするのですが、予算関係ないのですが、中共の気象情報、これが入らずに非常に支障を来たしておるわけなんですが、中共の気象情報を相互に交換するということを外交折衝によつてつてくれということを政府当局に御要請になつたことがありますか。
  128. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは外交と申しましても、日本が戦時状態というようなこともございまして、一方では気象のことは世界的の関連をとらなければいけないということから、国連の中に世界気象機関というものがございます。そこの所へ中共の資料が入るようなことをしてもらいたいという申入れをしたことがございます。それだけでございます。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 官房長、それから大臣にもお願いするのですけれども、最近盛んに中共との出入りの途が開けて来たように見受けられるのです。そこでこの問題は別に予算にも関係がないので、政府としても中共に対してあまり意地の悪い、旅券を発行するとか発行しないとかいうことを言わずに、もう少しやはり気象に関することは国際何とかいう廻りくどいことではなしに、お隣のことだから、中共との気象情報を交換するというような工合に是非お願いしたい、その努力をしてもらえますか。
  130. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 気象の事情から申しますと、縷々予報部長が御説明申上げましたように、資料が多ければ多いほど確実な予報ができるということは勿論でございましては、中共の問題につきましては、どうも我々ここですぐちよつとお答えしにくいのでございます、外務省との関係もございますので、御意見一つ承わつておくということだけにして頂きたいと思います。
  131. 大倉精一

    大倉精一君 これはそういうことではなしに、皆してやらなければいかんと思うので、別に中共といつても鬼や蛇が住んでいる国ではないのだから、やはりそういうことは十分関心を持つて積極的な方向に向うような御努力をして頂きたいと思います。これは一つ大臣にもお伝え願いたいと思います。
  132. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それでは本日はこれをもつて閉会いたします。    午後四時五十七分散会