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説明員(
山内公猷君) 現在
運輸省におきまして
考えております基本的な
考え方を御
説明いたしましたその上で御
質問の要点に触れてみたいと思いますが、一応どういうふうに
考えておりますかと申しますと、御
指摘のように現在、特に東京都を例に挙げますと、ラツシユのピーク時におきます
ところの乗車効率が、
国鉄、
私鉄ともに甚だしい
ところは三〇〇%を越しておる現状でございます。これはまあ戦後各般の社会情勢が非常に緩和したにもかかわらず、特に東京におきましては、このラツシユの
輸送というものは緩和しておりません。又人口の趨勢を見ますと、東京都におきましては年々四十万の人口が増加して参つたわけでございまして、どちらかと申しますと、
輸送が混雑を緩和するというよりは、混雑の度を増しつつある現状であります。と申しますのは、
輸送力を殖やしますということは、先ず第一に必要なことは、既設線区の
輸送力を殖やすというここが第一でありまして、次に新一い需要のための線を新設するということになるわけでございまするが、大体におきまして
国鉄、
私鉄及び都電ともに戦前の状態
程度の
輸送力の復興は
なつたと我々は
考えております。というよりは、
国鉄におきましても、
私鉄におきましても、連結両数の増加は戦前を凌駕する状態でございまして、現在の既設の
輸送力といたしましては、これ以上の連結
車両数の増加というものは
ちよつともう不可能に近く
なつて来ておるのじやないか、大体
国鉄におきましては八両編成を越しまして九両にも及んでおりますし、まあ
私鉄におきましては、まだ郊外線区におきまして相当の拡張の余地があるわけでございますが、大体東京都内に近い所になりますと、なかなか用地が求められないというような状態に
なつております。それでもまだまだそういつた面の
輸送力の
強化方策もないわけではないのでありまして、現在山ノ手線の分離というものも行われておりますので、先ずそういう既設の高速
鉄道の
輸送力を増加して行くということを先ず第一に
考えております。
次に、
只今御
指摘になりました抜本的な解決はどうしても地下
鉄道の普及によらなければならないということは勿論でございまして、その地下鉄の急速な
建設を促進をいたしますためにどうしたらいいか、特に
只今御
指摘のありましたように、これには相当高い費用がかかりまして、なかなか経済べースに乗りません。現在帝都高速度交通営団におきましてお茶の水から丸の内線をや
つておりますが、大体現在では一キロ十億というような
建設費用に
なつておりますので、なかなか経済ペースに乗
つて参りません。そうしますと、これに対する
建設資金というものを或る
程度国家資金に依存しなければならんという問題を現在取上げております。
次に問題になりますのは、近郊
輸送と都市内の
輸送との連絡の円滑化をどう図るか。これは
一般に交通というものを
考えますと、静的なものではないわけてありまして、動的なまあフアンクシヨンを特に交通は
考えなければならないわけでございますが、
御存じのように現在渋谷でございましても、池袋でも、新宿でも、連絡駅の混雑は非常におびただしいものがあるのでございまして、現在地下鉄がや
つておりますように環状線の一点から都内に入
つて来るという線の引き方がますます混雑させるのじやないか。環状線から外へ出て連絡駅をもつとずらす必要があるのじやないかというような交通計画上の諸問題、それと現有
施設において如何にして連絡をよくするかということを
検討いたしております。次には都、私電、バスというようなものがいわゆる都内
輸送のやはり大きな分野を占めておりますので、これらをどう
整備し、又その
施設をどう
改善して行くかというような点につきまして
考えておるわけでございまして、取りあえず来年度におきましては交通
調査をし、又今申上げましたようないろいろの
施策を
実現いたしますために各界の代表者にお集まりを
願つて審議をして行きたいということを
考えておるわけでございます。
只今の御
説明で残りましたのほ
運賃関係でございますが、交通調整と申しましても、如何にいい
施設をする、如何にいい
施設を作りましても
運賃が高ければ乗らないわけであります。非常に我々その点を
研究いたしまして奇異に感じますことは、
国鉄と
私鉄の平均
運賃というものが相当開いて参りました
関係で、どうしても
国鉄を利用する
関係が大きいわけでございます。どうしても交通調整をやる場合には
運賃分野にまで食い込んで
検討いたしませんと、適当な運輸
施設に、それに適切な旅客というものを算定することはできませんので、基本的にそういう点の
運賃の
検討までしたいというわけでございまして、明日すぐこの
運賃を改正するとかいうことを
考えていないわけでございます。或る
程度国鉄、
私鉄、都電あらゆるそういう総合的な
運賃制度というものの
関係を、従来はそのものそのもので
検討されて参りましたのを、総合的に
運賃の設定を
考えて行かなければ、終局的にこの交通調整の
目的は達せられないのではないかという意味におきまして、
運賃問題を取上げなければならないということを基本
方策に書いてあるわけでございます。