○森松
参考人 非常に貴重な時間を拝借いたしまして、まことに恐縮でございます。私は秋田県
労働部長の森松でございます。
本日、秋田県の特殊事情等について、皆様方にお聞きいただく機会をつく
つていただいて、まことに感謝いたしております。本件につきましては、すでに国会の方に請願の形式をも
つて手続をと
つておりますし、きようは時間も切迫しておりますので、ごく簡単に請願の
内容、骨子について御説明申し上げまして、皆様の御理解と御高配をいただきたいと存ずる次第でございます。
御
承知の通り、秋田県は非常に寒冷単作、後進未開発の地帯でございます。さようなここから、まことに特殊な労働市場を形成いたしておりまして、どうしてもこれらの失業労働力というものは、自然他県にその雇用を期待しなければならぬという宿命的な背景を持
つておるのでございます。かような
関係から、われわれあらゆる機関、組織を動員いたしまして、いろいろ対策に腐心いたしておりますが、どうしても県だけでできないことがございまして、それも今回県の労働対策
連絡協議会あるいは県議会などの
意見に基きまして、先般国会並びに
労働大臣の方にもお願いを申し上げた次第でございます。
その中の第一は、知識階級の
失業対策をすみやかに確立していただきたい。これは政府の方におかれましても、着着その方向にお進めのようで、私
たちもまことに安心をいたしておりますが、秋田県のようなところにおきましても、今日高等学校以上の卒業生は、大体五十パーセントぐらいは就職ができないというような
実情、また
失業対策事業にも、最近調べましたところ、一割強高等学校以上、旧制中学以上の者が入
つておられるというような
実情でございます。どうかこの知識階級の
失業対策を、すみやかにひとつ確立していただきたい。
第二は、
失業対策の大都市重点主義を改められて
——これは失業発生を根元で、一番最近のところで押えるというのが適切かもしれませんが東北のようなところは、どうしても若干のずれがあります。最近の傾向を見てみますと、都会の失業者が、どんどん秋田などに転落して来るというような状況でございまして、もちろん都市の
失業対策も非常に重要でございますが、こうしたわれわれのような東北のずれのあるようなところを閑却しないで、ひとつ御配慮いただきたい、こういうことでございます。
第三は、身体傷害者の国立補導所を秋田に山形、青森、秋田を代表するブロツクとして
一つぜひつく
つていただきたい。これは非常になまいきのようでありますけれども、まあ秋田は一応鉄道の管理局、あるいは高検、高裁の文部などもあり、一応裏日本の要衝の地にな
つております。われわれは五百人の身体障害者と、いわゆる要求職者をかかえて、非常に困惑をいたしておる次第であります。何とい
つても、技術を身につけてやらなければ、いわゆる雇用週間で勧奨いたしましても進捗しないわけであります。この点はぜひともお願いいたします。
第四は、失業保険受給者の多い地域に、特別に
失業対策事業を興していただきたい。秋田県は、大体先ほど申し上げたように、非常に県外に依存しておりますので、一方数千名、ことに北海道には一万二、三千の者が出かせぎをいたしておりまして、これらが帰
つて来ますと、失業者が普通のときは三千人ぐらいが、二月ごろには一万八千名にも上るという
状態で、出張所へ毎日一万八千人の
人たちが押しかけるので、交通巡査まで来てもら
つて整理していただく窓口の
職員が、ほとんどお金を数えるひまもないほど、強奪に近い
状態で金を持
つて行く、いわんや求職相談にも応ずるひまがないというような雑踏する状況でありまして、それで、失業保険をやめていただくというのではありませんが、こういう地域に特別な事業を興していただきたい。せつかくの政府の金でありますから、失業保険としてやるよりも、何か事業としてや
つていただきたい。今日そういうことで、非常に惰民を養成するとか、いろいろ失業保険に対して非難がありますので、この失業保険の方をやめるというわけではありませんけれども、どうかそういう者に仕事を与えていただきたい。
この四点を特に申し上げる次第であります。