○濱口参考人
造船総連
調査部長の濱口と申します。御承知のように十次
造船並びに輸出船の現況から非常な苦難な
状態が現出されております。この
状態につきまして簡潔に
報告をしろということでございますので、できるだけ簡潔に御
報告申し上げます。
現在臨時工の
首切りが続出をいたしておる
状態でございます。新三菱神戸
造船所におきましては、十二月に臨時工は千六百六十三名でございました。しかしながら七月末現在におきましては、これが約七百名に減
つております。日立築港におきましては、これの百八十名が全部
解雇に相な
つております。それから日立の因ノ島につきましては、十二月三百十五名が、現在二十五名
程度残
つておる実情でございます。林兼
造船につきましては三百四十二名が全員
解雇に相な
つております。現在
造船総連の方といたしましての
関係労組を
調査いたしました結果、十三事業所につきまして、昨年十二月には四千百八十七名の臨時工がおりましたけれども、これが現在約八百名に減
つております。臨時工の
状態につきましては、先般のたしか
労働省の
発表した数字と考えますが、七千七百名の臨時工を四月現在で擁してお
つたという数字が出ております。現状におきましては、この
状態からいたしますと、これがその六割といたしましても大体五千人の人が
首切りの対象にな
つておるというふうに考えられるわけでございます。
それから御承知の通り
造船産業につきましては、その持つ特殊性から、一つの市を形成いたしておる実情にございます。なお関連
産業につきましては重大な影響を持つ
造船産業でございます。現在この関連
産業につきましては、との前の
労働省の
地方労働部長
会議に
報告にな
つております。本年の六月十五日の日づけをもちまして
報告にな
つておりますが、この中で兵庫県におきましては、御承知のように新三菱神戸
造船所、川崎
造船所、それから播磨
造船所の三大
造船所を有しております。この中で四月末、倒産または休業
状態にあるのは五十六工場と
報告をされております。なおこれが五月から七月までに至りますと、休業に入
つた事業所は十六事業所、転業が五事業所、倒産が六事業所、閉鎖が四十七事業所という
状態が
報告されておるのでございます。その他東京都あるいは神奈川県、愛知県、大阪、長崎県というふうに、相次いでこの関連
産業が倒産休業の
状態に入
つて行く
状態でございます。
それから現在この
造船企業につきまして、御承知のように新聞紙上に
発表にな
つておりますが、命休の問題が出ております。現在命休が実施されておる
造船所は、日立因ノ島
造船所が六月から命休に入
つております。これは現在は一日約五百名ばかりの人が休んでおります。仕事量の手持ちによりまして休んでおる
状態でございます。これが八月に入りますと七百五十名から八百名という命休が出るわけであります。なお日立築港におきましては七月八日から命休に入
つております。七月の十八日までに二千三百一名が命休、休業の
状態に入
つておるわけであります。なお相生播磨につきましては、相生播磨の
委員長がおいでにな
つておりますが、現在会社が申しておりますのは、八月に八百七十人、九月が一千七十人、十月が一千七十人、十一月が九百六十人、十二月八百五十人の命休を提案しておるわけでございます。なお御承知のように、仕事量不足によりまして笠戸ドックにつきましては、
組合員五百三十六人が全員
解雇を通告されておる実情でございます。
なお、これが及ぼします賃金の遅配の問題が当然起
つて参
つております。この問題につきましては、川南
造船所におきましては三箇月の遅配が行われております。佐世保
造船所におきましても〇・五箇月分の遅配に相な
つております。荒田
造船におきましては一箇月、大正
造船一箇月、日立
関係におきましては〇・五箇月分の遅配が出ております。鶴見ドック一箇月、
東北ドック三箇月というふうな遅配の
状態が出ております。御承知のように、
造船企業に働く
労働者におきましては、大体通常一日二時間残業、一箇月を通じまして五十時間残業を行
つて、ようやくその
生活を維持して行くというのが
造船企業に働く
労働者の実情でございます。しかしながら、現状の仕事量不足によりまして、現在時間外はおろか命休が続出しておる実情でございます。そういう
状態の中におきましては、当然実質賃金は低下を示さざるを得ないのでございます。なおその持つ
ところの特殊性から考えまして、御承知のように日立因ノ島におきましては人口四万二千に対しまして、そこに働きます従業員は四千六百名でございます。この四千六百名とその家族を含めますと、日立因ノ島の町は
造船によ
つて左右されておる実情でございます。なお玉野におきましては五万六千名の人口でございまして、三井
造船に働く従業員が六千二百名でございます。
造船企業におきます家族構成は一世帯主・五人の構成でございます。そういう
状態から考えまして、大体二万八百名ぶ
造船研の常用
労務者でございます。なおそれに続きまして臨時工、社外工というものを入れますと、三井
造船におきまして玉野の町の盛衰ははかられておる実情でございます。しかもこの
状態は、そういう地帯だけではありません。神戸地区におきましては、御承知のように新三菱神戸
造船所、川崎
造船所、神戸ドック、こういう
ところで働きます従業員の数は、神戸市の三分の一を持
つておる実情でございます。その神戸市の三分の一を持つ実情にある
造船所の従業員が、こういう実情に追い込まれておる
状態は、その町の繁栄のためにも重要な影響を及ぼしております。なおその他長崎市、あるいは佐世保市、下関、呉、広島というように、その地区によりまして
造船企業の持つ重要性から、非常なその市の衰微が見られるわけでございます。
なお、こういうふうになりまして
解雇になりました臨時工並びに社外工は、その
解雇が、
失業保険に該当する期間工場に勤務しておる人は、半年間の
失業保険である
程度の
生活を維持することができますけれども、日雇い並びに臨時工の中におきまして、これが半年間の就業が不可能の場合におきましては、ただちにその日から
生活に困
つております。その
生活に困
つた失業者の
人たちは、当然失対事業に参るわけでございますが、御承知のように
失業が増加しておる現在におきましては、失対事業も思うように参らぬ実情でございます。そういう
状態の中から
造船産業の持つ特殊性から社会的な不安の温床になりつつある実情にございます。
なお、通常におきましては、進水につきましては
造船所の町をあげましてとの進水を祝い、そうしてその船の前途を祝福するのでございますけれども、今日の実情におきましては、その船が船台を離れるときには全市が、並びにその従業員は涙のうちにこの船の進水を見るのでございます。はたしてこの船が進水いたした後におきましては、
あといつに
なつたら船台に船が上るかという非常に不安な
状態の中にその進水を迎える実情にございます。簡単にということでございますけれども、大体そういう実情の中で現在
推移をいたしておるのが実情でございます。
なお賃金その他の
内容につきましてこまかい数字も持
つて来ておりますけれども、簡単にというようなお話もございましたので、数字の点は省かしていただきますが、現在そういうように都市を形成している
造船企業の持つ特殊性から重大な
段階に来ておる実情でございますので、十分御賢察くださいまして、この実情を何とか緩和していただくような御処置をお願い申し上げたいと思うのでございます。