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仲川参考人 私が前に言つたことが事実であるならばということですが、それ確かにそうです。われわれの
組合の方ばかり聞いて、それをも
つて事実とするのは、誤解を招くもとだと思います。またあらゆることに対しても
両者の言い分を聞くというのが当然でありますから、だれかが先ほど言つたように、
会社の夏川一族に出てもらうと同時に、また旧
組合の人もまだおりますから、その人も呼んでもら
つて、ここで
両者の言い分を聞いてもらえば、どちらが事実であるかということもある程度断定できると思う。私
参考人としてこんなことを言
つては悪いと思いますが、それを私は望みます。それと先ほど来言
つております賃金の体系の問題、あれは
資料が幾つもあ
つてあいまいです。こちらも言
つておる通り、勤続年数とかまた年少者とかいう問題もあります。それも関連あるでしよう。そういうあなた方の知
つておるのは、
会社側のパンフレットによ
つて知
つておる。また私は人事課の者であ
つて、各所へ人を受けに行つたときに聞かれます。初任給と年に四回昇給しますと言います。それ以上は職安の人もつつ込んで聞きま
せん。それから三年以上になるとぐつと安くなるんだ、差が出て来るんだということを変に思
つて、熱を持
つてそれを追究したら必ずわかると思いますが、今のところは、どうして差があるかわか
つていないと思います。三年以上は、極端にいえば給料がストップするようにできておる。それまでは多分御
承知ないと思うのですが、御
承知なくてもつともだと思うのです。しかし、私はそれを担当しておる労務係として
資料もありますし、どれが事実だかわからないのだつたらいけま
せんから、これも暴露という形になるかもしれま
せんが、私明日はここへ来たくないと思いますから、今日言
つておきます。初任給は十五歳から十六歳が一日百七十八円、月に換算して大体四千六百円、これから新入昇給というものがあります。三年まで上るのはいいとします。たとい安いにしろ上
つて来ます。問題は、これはさつきの法に触れると思いますが、三年以上になりまして、二十に
なつたとしまして四年になる。すると成績の悪い者は半数昇給しないということになる。成績の悪いというのは大体同じなんです。
組合意識のある者、向学心に燃えておる者が成績の悪い者になる。そうすると成績の悪い者というのは大体いつも同じですから、その人は一生昇給がないということです。最低の生活をするとして、結婚まで認めるというのが基本的人権としたら、ここでも基本的人権をうまいぐあいにしてごまかして与えないようにできておるのではないか。結婚はできま
せん。三年間で昇給して二百円ぐらいに
なつたところでストップしたら、結婚はできないと思います。としたならば、ほかの十大紡と比較して確かに安い。だからとい
つて、それが違法であるとは言えないと言いますけれ
ども、三年でストップするという点まで追究されたら、違法じやないかと思うのです。しかし私がこれを言
つても、私一人だけの言い分だが、事実であると言えば、それは違法であると言
つていいかもしれま
せん。あしたはほかに言う人がいるかもしれま
せんが、ほかの重役の人事の人とか旧
組合の人がこの場へ来てや
つて、一日も早くどちらが真実であるかという線を出してやらなかつたら、
争議が長引く。長引いたら、またまた犠牲者が出ると思います。さきの手紙のことでも、ただ犠牲者が出ただけじやない、そのために動揺したり何かして、自分の考えでは考え切れないから、死を選んで自殺をする人も出て来る。私はこれは今後も長引かせればまだ出て来ると思
つております。どちらが真実であ
つて、どちらが正しいのだということを断定するのが必要じやないかと思うのです。
それと、この問題まで言つたらあれかと思いますが、先ほどどちらの方か知りま
せんが、
工場の今後のことについて、これは家庭の人ばかりじやなくて、
従業員の人も心配なんです。それにも
関係かあることてす。
争議が長引いてあやふやでずるずるやつちや、
会社の方でも莫大な金を投下するでしようし、尼鋼のストのようにならないとも限らないと私は思う。それをおそれている。こんなささやかな
争議に対して、早く真実がどちらであるかということをきめて、それなりに国家でも
つてや
つていただきたいと思うのです。そうすれば、また希望に燃えて働くことができるのじやないかと思います。それをしなくて、
工場が永久
閉鎖だ何だということに
なつたら、また失業群がそれだけぐんと出るだけであ
つて、また現に命を投げ出して闘
つている人たちが何にもならないことになる、そして社会のためにも何にもならないことになる。大分話が変な方に行
つているのですが、先ほど言つた賃金の問題は、そんなわけで労政事務所の方たちは知らない。それはそれ以上に追究しない。大学の指導係でも何でもそうです。初任給と昇給、それだけしか知らない。
近江絹糸だけでなくて、ほかにもあるかもしれない。それを知るためには入
つてから何年後にはどのくらいにな
つているということを調べたらいいと思います。それはやめた人や何かを調べればいいと思います。ただ誠意と熱意さえあればできる。こういうふうに信書の開封をしました、こういうことをや
つておりますということを言
つても、だれもあとを追
つてそのことについて真相を早く知りたいから教えてくれというのは現在の
政府にもいないし、また新聞記者にもあまりいないですね。それでも新聞社の方には多いけれ
ども……。一般の農村とかそういう貧しい人たちの間なら、そういう真相発表を聞いたあと、あくまでもあとをついて来て聞きます。そういう熱意さえあつたら、今度の問題はもつとも早く
解決できるのではないかと思います。
それで私あしたは出たくないと思いますから、今日労務管理のことで、私でなければできないような質問がありましたら、それ点だけぐんぐん言
つていただければ、できるだけのことをしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。