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椎熊委員 私が
労働委員会に、きよう初めて同僚とかわ
つてもら
つて出て来たゆえんのものは、非常に重大な
責任を感じたからなんです。というのは、
赤松委員長が
労働委員長に就任せられる際の
事情を顧みて、その後におけるあなたの
行動に対して、私は実に心痛にたえないものがあるのであります。昨年
選挙の後に、
国会の
構成をきめる際には、
自由党は
委員長を全部独占したいという
主張でありました。私は、新
憲法発布以来、
国会の
構成は各派の
按分比例で
委員長をとるべしとの
主張を長く続けて来ておる。その私の念願が、去年の
選挙の後に初めてかなえられました。
自由党もこの私の
主張に屈服いたしまして――たいへん失礼な
言葉だが、賛成いたしまして、
按分比例でやるということになり、その際にいろいろな
いきさつで、
社会党右派は
委員長を固辞して受けないということに
なつた。しかしながら、
社会党左派は進んで受けようということであ
つた。けれ
ども、受けるについてはポストに注文がある、
労働委員長だけは
左派が確保したい、というのが、勝間田君の切なる
主張でありました。
自由党は、ほかの
委員長ならいいが、
労働委員長だけは特に
左派にはやりたくない。そういう
いきさつがあ
つたのですが、それをきめる日は深夜に及びました。ここに同席しておられる
川崎君等非常に御心配にな
つて、私
どもはあつ
せんの労をとりました。
自由党に、
責任をも
つて不公平あるいは不当なる
行動は断じてさせぬ、
赤松君のごとき、終戦以来ずつと続けて来てお
つて、議会の状況を知
つておる人が、そん
なつまらぬことをするわけはないのだから、われわれ二人は
責任をも
つてこの
委員長を補佐もし、進言も申し上げて、間違いのないように
委員長を勤めさせるから、どうか
委員長だけ
左派に譲
つてくれ。
佐藤幹事長その他党の三役等は、そのことで非常に悩みましたが、私
ども川崎君と二人のあつ
せんにこたえてくれて、それではどうか頼む、
労働委員会は非常に大事な
委員会だから、公平に案件を処理してもらうように、君
たちからも御注意を願いたい。そういうことで、あなたの
立場は、われわれがいわば
自由党に対する
保証人のようなかつこうで
委員長をと
つたのです。これは事実です。あなたも、そのために私
どもに感謝してくれたくらいだ。その後、私は長い間あなたともおつき合いしているし、懇意の中だから、よく好意的にあなたの
行動を見ておるのですが、たまたま私
どもの目から見てもはなはだ遺憾千万なことが、大きな問題で今回と合せて二つあるのです。その
一つは、昨年あなたは、
個人の
資格と称して、
国会開会中に
旅行せられて、そして名古屋、
関西方面において、
労働委員長の名において、
労働委員会が主催しておるがごとき
印象を社会に与えつつ
聴聞会を開いた事実がある。これは
議運でも重大問題になりました。
国会開会中は、
一般議員の出張も
議長の
許可なくしてはできないし、
調査等がありましても、緊急やむを得ざることのほか、
原則としては許さぬという、あなたも長い
間議運にお
つたから、それは御
承知のはずだ。それにもかかわらず、あなたは重大なる
委員長の職責を放擲して、
個人の
資格で
旅行せられて、そして世間的には
労働委員会の主催のごとく、
委員長の公式の
名前を利用して
公聴会を開いた。これは当時非常な問題になりましたが、
社会党左派の方からの
釈明等もありまして、
国会の
組織運営の上からは惑乱的な
行動をしたものだという強い
意見もあ
つたが、今回だけはひ
とつ見のがして、さらにこのようなことのないようにということを
社会党の――その当時は
正木君が
議運に来てお
つたので、十分御注意申し上げ、
了承せられた。しかるに、今回またまたこういうことをや
つて――あなたは、私
文書であるとか、
旅行中の
通信連絡であるとか言うが、公然と
労働委員長の名をも
つて北海道庁に
文書を出した。
北海道庁は、それは
労働委員会の正式の
調査かと念のために反問しておる事実がある。そうしてあなたは電報その他において、
北海道庁に出迎えを命じておる。
自動車の請求をしておる。その他
国会開会中の多忙な身をも
つて、わざわざこの
事件で来られたというので、
道庁では非常なる待遇をしております。私は宴会などのことはあまり言いたくないのですが、それとても不謹慎な
行動です。こういう問題の
調査に
行つて、向うにしては官費をも
つてあなたを招待しなければならぬ状態に仕向けて、そういうことをやられたということは、
労働委員長としてのあなたは、断じて適正な
行動ではありま
せん。
島上君が行かれたかどうかというようなことは問題であのま
せん。この人がか
つてに行くのだから、
行つたつてしようがないでしよう。しかも、そんなことで行くについては、それとても公式な行き方ではありま
せん。あなたは
個人的の私用で
行つたにかかわらず、
理事会の
許可を得ておる。それから
委員会にはそういうことを報告しておる。しかしながら、
調査の結果というものは何ら報告されてないという。それで、実は今回のこの問題が、表面化されてはいないが、
議運の問題にな
つておる。私は
議運の
理事で
委員でもありますし、特にあなたの
労働委員長としての身分上については、
就任早々から多少の
責任を感じておるので、事の真相をきわめたいために私はこの
委員会に出ておる。今
篠田君が言われたごときことであるとするならば、私
どもは
自由党に対してあなたを保証した建前からい
つても、あなたが今日
労働委員長とな
つておられるということを、私
どもは申訳ないとさえ考える。私は長年のつき合いであるが、
篠田君が
言つた通りの事実があるとすれば、私はあなたに辞職を勧告しなければならぬはめになるかもしれぬのです。私は
労働行政にはまことにしろうとではあるが、
国会運営についてはあなたとともに苦労した。あなたとともに
国会法をつく
つた。あなたとともに
国会運営の
原則をつくり上げた。そうして、あなたが
労働委員長になるについては、私
どもは良心的な
一つの感覚を持ち、しかも
責任を感じて、あなたが
労働委員長になることに援助を与えた。それですから、この問題は、単なる
議事進行ではない、非常に重大な問題だ。これに端を発して、現に
証人か
参考人かを呼んでおるという事実、そういう公式な
行動に出るならば、あなたとしては当然
議長の
許可を得て、堂々たる
旅行をなすべきである。それにもかかわらず、あなたのやり方というものは、ことごとく
党利党略に流れ、この
労働委員長という
肩書を悪用しておるがごとき
印象を与えるということは、私は残念です。そういう点については、あなたはほんとうに良心的な
弁明をなさらなければいけま
せん。私はあなたの
弁明の筋が通るならば、あなたの地位、あなたの今日の
立場擁護の側にまわらなければならぬ
立場の人間なんです。あなたを
労働委員長にするために奔走した一人なんですから。それですから、ほんとうに――あなたはさつきから、こんな問題は何でもないとせせら笑
つておられるように考えておられるかもしらぬが、私が同僚とかわ
つて労働委員会に出て来るに至るについては、私は相当深刻なる決意を持
つて来ておるのです。あなたは、この前の名古屋、関西の
旅行といい、今回の
行動といい、それをあなたは良心的に正しい
行動であ
つたと断言できるのかどうか。そうして
篠田君指摘のごとき事実があ
つたかないかということを、もう一度明確にあなたの口から聞いておかなければならぬと思うのであります。