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1954-05-25 第19回国会 衆議院 労働委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)     午前十一時一三分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 池田  清君 理事 鈴木 正文君    理事 丹羽喬四郎君 理事 持永 義夫君    理事 稻葉  修君 理事 多賀谷真稔君    理事 井堀 繁雄君       大橋 武夫君    尾関 義一君       木村 文男君    倉石 忠雄君       篠田 弘作君    苫米地英俊君       村上  勇君    山本 正一君       川崎 秀二君    椎熊 三郎君       島上善五郎君    正木  清君       稲富 稜人君    大西 正道君       日野 吉夫君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         参  考  人         (札幌交通局         労働組合書記         長)      木村 貞雄君         参  考  人         (札幌助役) 原田 與作君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 五月二十一日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として今  井耕君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員安藤正純君、池田勇人君、田中伊三次君、  三和精一君、荒木萬壽夫君、今井耕君、黒沢幸  一君及び中沢茂一辞任につき、その補欠とし  て尾関義一君、苫米地英俊君、村上勇君、山本  正一君、椎熊三郎君、川崎秀二君、正木清君及  び日野吉夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  労使関係に関する件     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  まず労使関係に関する件に関連いたしまして、札幌交通局の争議問題について調査を進めます。  本問題につきまして参考人として原田与作君、木村貞雄君、以上二名の方が御出席になつておりますから御了承願います。  それでは初めに札幌助役原田与作君より、札幌交通局の労使紛争問題につきまして、その事情について御発言をお願いしたいと思います。
  3. 篠田弘作

    篠田委員 議事進行に関して発言をしたいと思います。本日呼ばれました両君は、証人として呼ばれたものでありますか、参考人としてでございますか。
  4. 赤松勇

    赤松委員長 参考人であります。
  5. 篠田弘作

    篠田委員 参考人意見を聴取せられるのですね。
  6. 赤松勇

    赤松委員長 そうでございます。
  7. 篠田弘作

    篠田委員 その前に赤松委員長に御質問いたしたいのであります。それは、赤松委員長は、島上善五郎委員及び社会党左派正木清代議士と去る四月十三日飛行機で千歳においでになり、十四日市電当局労組側の代表をお呼びになりまして、この問題について公式な調査をされたと聞いておりますが、そういう事実はありますか。
  8. 赤松勇

    赤松委員長 ございます。
  9. 篠田弘作

    篠田委員 それでは島上君とあなたとは、公式な資格調査に行かれたのでありますか。
  10. 島上善五郎

    島上委員 関連して。これは十時開会が十一時二十分になつておりますし、きよう午後から本会議がありますから、議事進行ならけつこうでありますけれども、そういうようなことでやつていると、議事進行になつてしまうのです。あなたは労働委員であつて、私の知る限りにおいては、一ぺんも労働委員会おいでになつていない。四月九日の委員会開会前の理事会において、調査に出張することを、赤松労働委員長から理事会に諮つて了承を得て、ただちに開かれました委員会においても了承を得ている。ちやんと労働委員会議録第十七号に載つておるのです。そのような手続を経ている…。
  11. 篠田弘作

    篠田委員 それは関連じやない。
  12. 島上善五郎

    島上委員 関連ですよ。
  13. 篠田弘作

    篠田委員 何もそれは正式なものではない。
  14. 島上善五郎

    島上委員 正式であろうがなかろうが、発言中ではないか。
  15. 篠田弘作

    篠田委員 関連だというから……。
  16. 島上善五郎

    島上委員 何言つているか、君の質問関連しておるじやないか。
  17. 篠田弘作

    篠田委員 何を言うか。
  18. 赤松勇

    赤松委員長 島上善五郎君、発言を続けてください。
  19. 島上善五郎

    島上委員 それが関連だ。ぼくは委員長から許可を受けているではありませんか。それで関連だ……。
  20. 篠田弘作

    篠田委員 そんならぼくも関連だ、関連だ……。
  21. 赤松勇

    赤松委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時二十二分休憩      ――――◇―――――     午前十一時二十四分開議
  22. 赤松勇

    赤松委員長 では再開いたします。篠田君。
  23. 篠田弘作

    篠田委員 今、私の発言の途中で、島上君が関連質問をやりましたが、この問題について疑義があるから、私が今委員長に御質問しておるのです。  四月九日の理事会におきましての発言――その発言において委員長は、私は北海道労働事情視察のために十三、十四の両日北海道に行きますので、十四日は定例日ですが、十四日は開会せず、十五、十六の両日委員会開会いたしますから御了承願いたいということで理事会了承したのであのます。言いかえれば、この了承事項は、委員長個人北海道労働事情調査のために行かれるために定例日に開けないということを了承したのであつて、別に労働委員会から公式な委員が派遣されるといつたようなそういう了承事項ではありません。また委員会における発言速記録によりますと「なお先ほどの理事会で御了承を願いましたが、来る十三、十四の両日、私労働事情調査のため北海道に出張したいと思いますので、御了承願います。」ということを言つておる。あくまでも赤松委員長個人労働事情という一つの抽象的なものを調査するためにおいでになるのであつて市電争議の問題について、委員会として委員は派遣されておりません国会法によりますと、委員会国政調査議運了承を得る、議長許可を得ることになつております。しかるに、国会法上の手続は何ら行われておらない。また委員長自身も、委員長でありながら議長に対する請暇許可も受けておられない。言いかえれば、これはあくまでも個人的な旅行であると考えざるを得ないのであります。しかるに、同じ日に委員長北海道知事田中敏文にあてて、   昭和二十九年四月九日       衆議院労       働委員長 赤松  勇    北海道知事田中敏文殿  拝啓時下益々御清適の段大慶に存じます。   扨て今般札幌交通年末闘争に於ける解雇事件に関しまして現地調査の為来る十三日(火)午前十時三十分、日本航空千歳飛行場着、翌十四日(水)午前十一時二十分同飛行場発の日程にて貴地方え出張数すことに相成りましたので甚だ御手数で恐縮でございますが左記の点御取計い賜わりますよう御願ひ致します。   四月十三日到着時刻千歳飛行場自動車一台差廻し下度、又宿舎の御あつ旋につきましても御高配賜らば誠に幸甚に存ずる次第でございます。尚同行議員島上善五郎君並びに正木清君でございます。右宜敷く御願い申します。     敬白  追伸   尚十三日午後一時道庁に於て左記の者と懇談致し事情を聴取致したいと思ひますので、夫々左様御連絡の上御出席相成るよう宜敷く御手配被下度御願申します。    札幌市南三条西十一丁目        九里 正蔵(局 長)    札幌市南十四条西十八丁目        藤田 猛(委員長)    札幌市南二十四条山元町        川村 一男(副委員長)    札幌市北十六条東六丁目     加藤方 斉藤嘉男(副委員長)    札幌市北一条西八丁目        木村 貞雄書記長)  この問題について、昭和二十九年四月十三日正午、道庁労政課から、交通局労働組合幹部解雇問題について、赤松衆議院労働委員長が公式の資格で午後二時道庁内において交通局長より事情を聴取することになつたので、交通局長に出頭されたい旨道庁総務課長から電話連絡があつた。そこで交通局長は出頭の上、解雇問題について種々審問を受けた。なお道庁労政課では、赤松衆議院労働委員長到着の際、来道の資格について聞いたところが、労働委員長としての資格である旨言明あり、また翌十四日労政課では、十四日同知事あて別添付依頼通知が正式に到着いたしました。そうしますと、赤松委員長は、労働委員会理事会並びに委員会におきましては、あたかも個人資格において北海道労働事情調査するがごとくおつしやつて――これは速記録にも残つております。また委員長であるならば、それだけの旅行について、当然議長許可を得られ、請暇も得られなければならない。委員会公式派遣であるならば、議運了承も得られなければならない。しかるにもかかわらず、そういう手続は何らふまない。言いかえれば、委員会理事会を欺瞞して、左派だけの委員をもつて労働事情調査すると言つて道庁に対しては、あるいは市電に対しては、あたかも公式の資格のごとく自分たち立場を擬装して、そうして証人を呼び出した。しかも、島上君は委員でありますが、正木君は労働委員ではありません。そういう人を参列せしめて、衆議院労働委員会の名において取調べ行つたということは、明らかに赤松労働委員長越権行為である、権力の濫用である。また国会を欺瞞するものである。こういう点につきまして、まず第一に御質問をいたしたいと思います。  第二の御質問であります。それは何かと申しますと、あなたがもし労働委員長資格においてお出かけになつたとするならば、調査をされた事項は、東京にお帰りなりましてから、労働委員会に諮つて結論を出さるべきが当然であろうと私は考える。にもかかわらず、現地において、無責任にも新聞に対して、解雇理由は認められない、札幌交通局問題はさらに調査を進めるという委員長談話を発表されております。これは新聞にはつきり載つておる。こういう談話を発表された覚えがあるかどうか、何の資格においてこういうものを出されたか、あるいはこの談話はうそであるか、こういう点についてお伺いをいたしまして、御答弁いかんによつて質問をいたしたいと思います。
  24. 赤松勇

    赤松委員長 答弁いたします。実はこの問題につきましては、島上労働委員より、参考人招喚の正式な提案がございました。それでこれを理事会了承を得て、委員会の御決定をいただきまして正式に決定したわけでございます。私といたしましては、さらに完全なる調査を進めるためには、一応現地の実情を知りたい、かように考えまして、理事会にお諮りし、これは自由党、改進党、左右社会党理事出席の際、正式なる公報でもつて告示いたしました理事会決定を見たわけでございます。本来、委員会決定は必要ないと思いましたけれども、なお念のため委員会にお諮りをいたしまして、委員会の御決定をいただきまして私は現地へ参つたわけであります。むろん、これは議運決定を得ておりません。従いまして、あくまで私個人資格におきまして、事後の調査をより慎重に進めるために現地に参つたわけでございます。新聞談話につきましては、その通りでございます。私現地北海道タイムスと、それから北海道新聞を見ましたが、その通りでございまして、どうも不当労働行為の疑いがきわめて濃厚であるということを、現地において新聞記者に問われましたから、さよう答えました。しかし、委員会がどのような結論を出すか、それはわからない。さらに委員会において調査を進めることになるから、その結論をまつて不当労働行為であるかないかということの結論を得たいと思つている、かように語つたのでございます。以上です。
  25. 篠田弘作

    篠田委員 ただいまの委員長答弁には、満足できません。先ほど私が島上君の関連質問の前に、公式な資格おいでおいでなつたかと聞いたところが、あなたは公式な資格においておいでなつたというお答えがありました。しかるに、今話を聞いておりますと、あくまでも個人資格においておいでなつた。個人資格においておいでなつたものが、なぜ公文書をお出しになつたか、それは公文書の偽造であるかどうか。(「公文書じやないよ、手紙だよ。」と呼ぶ者あり)――君に聞いているのではない。衆議院労働委員長から田中知事にあてて出す以上は、公文書と見なければならぬ。  それからいま一つ正式決定と言われるけれども、あなた個人旅行をされるということについては、速記録を見ても確かに残つておる。委員会が少くとも委員長北海道旅行を認めたことは、私も認めます。それでは何のために島上善五郎君や正木君を連れて行つて、そうして市電当局なり労働組合なりを、委員長の名においてお呼びなつたか。委員長というものは、少くとも国会機関であります。個人的な旅行国会機関としての旅行というものを、あなたは混同してやしませんか。  それからいま一つ、さらに完全なる調査をするために自分は出かけたとおつしやるが、完全な調査をするためには、国会調査機関がある、そのために調査員がおる。なぜあなたが出かけなければ完全な調査ができないか、そういう点であります、その点いかんによつては、本日ここにおられるところの参考人取調べといいますか、意見の聴取といいますか、そういつたものも、一切これに出発している以上、こういうものは私は認めることはできない。
  26. 赤松勇

    赤松委員長 お答えいたしますが、私は別に正式云々ということを、あなたに答弁したことはありません答弁したのは今初めてなんです。  もう一点は、より調査の正確を期するために行つたことがいいか、悪いかという問題につきましては、これは御自由にひとつ御判断願いまして、私といたしましては、適当なる措置である、こう考えております。  それから島上委員の問題でありますが、御承知のように、島上委員全国都市交通に所属しておられる方なんです。だから、たまたま私が出張する際に、ぜひ同行したいということでございましたから、これは私として拒む理由はないのでありまして、御本人からそういう申出があります以上は、それでは一緒に行こうということになつたので、たとえば、あなたが大野伴睦さんと御一緒北海道行つたのと同じことであります。決して私は違法でもなんでもないというふうに考えております。  それから正木代議士の件につきましては、これは特に北海道関係でありまして、御了承つておきたいのでありますが、正木代議士は、こういう点につきましては非常に慎重で、実は行かれる際にも、たまたま他の用件もありまして現地に参りましたが、現地調査を進める席上におきましても、労働委員ではございませんから、その点を十分わきまえて、一言も発言されておりません。また実際に調査もやつておられません。そういうことでありまして、御了承つておきたいと思います。
  27. 篠田弘作

    篠田委員 もう一つ島上善五郎君は、全国都市交通労働組合関係しておられる、それだけに、こういう問題について委員長とともに行かれたということは、不適当だと思う。この問題は札幌交通労働組合から裁判所に提訴されておる。裁判所に提訴されておる以上は、もちろん裁判の決定にまつべきものである。ところが国会調査に擬装して全国都市交通関係ある議員が出かけて行つて、そうして委員長とともに一方的なつるし上げのようなことをやつてつて来ておる。そういうことは、明らかに職権濫用であります。こういうことを許すことはできません。  いま一つ札幌社会党支部には、三十万円献金問題というものがあつて、首切りでもうけた社会党という題で、地方新聞に書かれておる。そういうようなときに軽率にも委員長の名において公文書を出し、都市交通という一方的な労働組合利害関係を持つておる委員を帯同して、あたかも公式調査のごとき形をとつて行かれたということについては、委員長はどういう心境でおられるか、正しいと思つておられるかどうか。
  28. 赤松勇

    赤松委員長 私は、間違つておるとは思いません田中君に出しました手紙は、繰返して申し上げますが、公式文書でもなんでもありません連絡文として出したものでありますから御了承願います。  なお、今の問題につきましては、島上君の名前が出ておりまして、これは島上君としましても弁明したいことと思いますので、島上君の弁明を許します。
  29. 島上善五郎

    島上委員 私は、先ほど来の篠田君の発言は、きわめて不穏当だと思う。一体国会を侮辱したとか、擬装したとかいう不穏当の言葉使つて――君が北海道行つたときも、衆議院議員肩書使つているだろう。それと同じことだ。衆議院議員島上善五郎が来たと言うのは、あたりまえじやないか。私ども北海道に行く際に、北海道知事は、かつて社会党推薦で出たわれわれの無二の同志だ。その同志に対して、北海道に行くから頼むという手紙をやるのが何が悪い。(「それじやなぜ労働委員会の承認を得るのだ」と呼ぶ者あり)――労働委員長が留守をして、そのために、たとい一日でも労働委員会が延びるということについて了承を求めるのは、当然だと思う。私はあなたが議事進行に名をかりて一体何を言おうとするかさつぱりわからぬ。私は、労働委員であると同時に、衆議院議員として、当然この問題については、やがては委員会参考人として呼ぶことがきまつておるんですから……(「だれがきめた」と呼ぶ者あり)委員会ちやんときめておるんですから、そのことに関しまして、私は特に関係が深いことでもあるし、事前に現地において十分調査する必要があると自分で考えたから行つたまでで、このことについては、とやかく言われることは何もない。
  30. 赤松勇

  31. 椎熊三郎

    椎熊委員 私が労働委員会に、きよう初めて同僚とかわつてもらつて出て来たゆえんのものは、非常に重大な責任を感じたからなんです。というのは、赤松委員長労働委員長に就任せられる際の事情を顧みて、その後におけるあなたの行動に対して、私は実に心痛にたえないものがあるのであります。昨年選挙の後に、国会構成をきめる際には、自由党委員長を全部独占したいという主張でありました。私は、新憲法発布以来、国会構成は各派の按分比例委員長をとるべしとの主張を長く続けて来ておる。その私の念願が、去年の選挙の後に初めてかなえられました。自由党もこの私の主張に屈服いたしまして――たいへん失礼な言葉だが、賛成いたしまして、按分比例でやるということになり、その際にいろいろないきさつで、社会党右派委員長を固辞して受けないということになつた。しかしながら、社会党左派は進んで受けようということであつた。けれども、受けるについてはポストに注文がある、労働委員長だけは左派が確保したい、というのが、勝間田君の切なる主張でありました。自由党は、ほかの委員長ならいいが、労働委員長だけは特に左派にはやりたくない。そういういきさつがあつたのですが、それをきめる日は深夜に及びました。ここに同席しておられる川崎君等非常に御心配になつて、私どもはあつせんの労をとりました。自由党に、責任をもつて不公平あるいは不当なる行動は断じてさせぬ、赤松君のごとき、終戦以来ずつと続けて来ておつて、議会の状況を知つておる人が、そんなつまらぬことをするわけはないのだから、われわれ二人は責任をもつてこの委員長を補佐もし、進言も申し上げて、間違いのないように委員長を勤めさせるから、どうか委員長だけ左派に譲つてくれ。佐藤幹事長その他党の三役等は、そのことで非常に悩みましたが、私ども川崎君と二人のあつせんにこたえてくれて、それではどうか頼む、労働委員会は非常に大事な委員会だから、公平に案件を処理してもらうように、君たちからも御注意を願いたい。そういうことで、あなたの立場は、われわれがいわば自由党に対する保証人のようなかつこうで委員長をとつたのです。これは事実です。あなたも、そのために私どもに感謝してくれたくらいだ。その後、私は長い間あなたともおつき合いしているし、懇意の中だから、よく好意的にあなたの行動を見ておるのですが、たまたま私どもの目から見てもはなはだ遺憾千万なことが、大きな問題で今回と合せて二つあるのです。その一つは、昨年あなたは、個人資格と称して、国会開会中に旅行せられて、そして名古屋、関西方面において、労働委員長の名において、労働委員会が主催しておるがごとき印象を社会に与えつつ聴聞会を開いた事実がある。これは議運でも重大問題になりました。国会開会中は、一般議員の出張も議長許可なくしてはできないし、調査等がありましても、緊急やむを得ざることのほか、原則としては許さぬという、あなたも長い間議運におつたから、それは御承知のはずだ。それにもかかわらず、あなたは重大なる委員長の職責を放擲して、個人資格旅行せられて、そして世間的には労働委員会の主催のごとく、委員長の公式の名前を利用して公聴会を開いた。これは当時非常な問題になりましたが、社会党左派の方からの釈明等もありまして、国会組織運営の上からは惑乱的な行動をしたものだという強い意見もあつたが、今回だけはひとつ見のがして、さらにこのようなことのないようにということを社会党の――その当時は正木君が議運に来ておつたので、十分御注意申し上げ、了承せられた。しかるに、今回またまたこういうことをやつて――あなたは、私文書であるとか、旅行中の通信連絡であるとか言うが、公然と労働委員長の名をもつて北海道庁文書を出した。北海道庁は、それは労働委員会の正式の調査かと念のために反問しておる事実がある。そうしてあなたは電報その他において、北海道庁に出迎えを命じておる。自動車の請求をしておる。その他国会開会中の多忙な身をもつて、わざわざこの事件で来られたというので、道庁では非常なる待遇をしております。私は宴会などのことはあまり言いたくないのですが、それとても不謹慎な行動です。こういう問題の調査行つて、向うにしては官費をもつてあなたを招待しなければならぬ状態に仕向けて、そういうことをやられたということは、労働委員長としてのあなたは、断じて適正な行動ではありません島上君が行かれたかどうかというようなことは問題であのません。この人がかつてに行くのだから、行つたつてしようがないでしよう。しかも、そんなことで行くについては、それとても公式な行き方ではありません。あなたは個人的の私用で行つたにかかわらず、理事会許可を得ておる。それから委員会にはそういうことを報告しておる。しかしながら、調査の結果というものは何ら報告されてないという。それで、実は今回のこの問題が、表面化されてはいないが、議運の問題になつておる。私は議運理事委員でもありますし、特にあなたの労働委員長としての身分上については、就任早々から多少の責任を感じておるので、事の真相をきわめたいために私はこの委員会に出ておる。今篠田君が言われたごときことであるとするならば、私ども自由党に対してあなたを保証した建前からいつても、あなたが今日労働委員長となつておられるということを、私どもは申訳ないとさえ考える。私は長年のつき合いであるが、篠田君が言つた通りの事実があるとすれば、私はあなたに辞職を勧告しなければならぬはめになるかもしれぬのです。私は労働行政にはまことにしろうとではあるが、国会運営についてはあなたとともに苦労した。あなたとともに国会法をつくつた。あなたとともに国会運営原則をつくり上げた。そうして、あなたが労働委員長になるについては、私どもは良心的な一つの感覚を持ち、しかも責任を感じて、あなたが労働委員長になることに援助を与えた。それですから、この問題は、単なる議事進行ではない、非常に重大な問題だ。これに端を発して、現に証人参考人かを呼んでおるという事実、そういう公式な行動に出るならば、あなたとしては当然議長許可を得て、堂々たる旅行をなすべきである。それにもかかわらず、あなたのやり方というものは、ことごとく党利党略に流れ、この労働委員長という肩書を悪用しておるがごとき印象を与えるということは、私は残念です。そういう点については、あなたはほんとうに良心的な弁明をなさらなければいけません。私はあなたの弁明の筋が通るならば、あなたの地位、あなたの今日の立場擁護の側にまわらなければならぬ立場の人間なんです。あなたを労働委員長にするために奔走した一人なんですから。それですから、ほんとうに――あなたはさつきから、こんな問題は何でもないとせせら笑つておられるように考えておられるかもしらぬが、私が同僚とかわつて労働委員会に出て来るに至るについては、私は相当深刻なる決意を持つて来ておるのです。あなたは、この前の名古屋、関西の旅行といい、今回の行動といい、それをあなたは良心的に正しい行動であつたと断言できるのかどうか。そうして篠田君指摘のごとき事実があつたかないかということを、もう一度明確にあなたの口から聞いておかなければならぬと思うのであります。
  32. 赤松勇

    赤松委員長 今労働委員長就任時の話が出ましたが、この点につきましては、椎熊君や川崎君から当時いろいろ仲介の労をとつていただいたということは、私も当時の国会対策委員長から聞いております。こういう点についてはその労を多とします。ますます公正なる立場委員会の運営をやつて行きたい、こう考えております。  その次の問題でございますけれども、実は今、お前参考人を呼んだというお話がございましたけれども、私が現地へ参ります前に、参考人を呼ぶということは決定されているのです。これは島上君から出されまして、理事会了承を経て委員会決定したのです。これは最初に決定してあるのです。参考人を呼ぶということは、私が独断でやつたわけでもなんでもなくて、委員の正式な要求で、それは理事会決定され、さらに委員会決定されているのです。その後私が現地へ、個人資格であつて行つたことが妥当かどうかという点につきましては、いろいろ議論もあろうか思います。私としましては、先ほど申し上げましたように、党利党略ということよりも、そういう委員会正式決定もございますし、なお現地調査をばしておきたい。今椎熊君から、お前の心境はどうかというお話がございましたから、重ねて私は申し上げておきます。私は現地で――原田助役は御存じであるかどうかわかりませんけれども交通局長に来ていただきまして、そうして交通局長に対しましては、こういうようなことを相談しております。これは組合側にも同時に言つたと思います。とにかく花見どきを前に控えて、そうして団体交渉もやらないで三六協定も結ばないで超過勤務ができぬということになると、市民の迷惑になる。すみやかに三六協定を結んでもらえないか。解雇の問題については、今裁判中だし、いろいろ問題があるだろう。その解雇した者を直接の当事者として団交をやるということについて、どうしても市の方で行かなければ、また電車が超勤を拒否すれば、市民が迷惑するのですから、だから三六協定だけは結んで――面子かあるだろうから、組合として結ばれたらどうか。そういうような御努力を払つていただいて、そうしてあとの解雇の問題については、地労委に提訴中でもあり、あるいは裁判所にも提訴中でもあるので、とにかくこの問題をすみやかに解決するようにということは、労使双方、当局にも組合側にも私は申し上げております。組合側に対して闘争しろとかなんとかいうことは、ちつとも言つておりません。なお聞いていただけばわかりますけれども道庁の労働部長に対しましては中へ入つてすみやかに円満なる解決をするよう努力してもらいたい。そうすれば、私は参考人お呼びすることについても、私はそういうチャンスに恵まれるならば、委員会に再び御相談をして、そうしてあるいは参考人が来ていただかなくてもいいような状態をつくるために努力したいと思うということは、道庁の労働部長にも言つております。そういうふうに誠意を披瀝して、現地におきましてつるし上げたというような事実は全然ございません。そんなつるし上げというような調査はしておりません。私が現地道庁自動車を呼びましたのも、実はその日に調査をやりませんと、委員会があと控えておりますから、そういう手続をとつたので、その日も労使双方を呼んで一ぺんにやりますと、討論会みたいな形になる、そういうことはできるだけ避けて、午前中は当局の方、午後は労組の方というふうにわけまして、きわめて友好裡にあの調査は終つております。そういう心境で臨んだということを、ひとつ御了解願いたいと思います。
  33. 椎熊三郎

    椎熊委員 一応のあなたのお話は承りましたが、私はあなた個人行つたとかなんとかおつしやつても、道庁側から見れば、労働委員長としての肩書調査事項などを指示し、それから召喚してもらう人名等も羅列して出したということになれば、常識上あなたを個人的な旅行だとは思わない。その上自動車を呼んでおる。それは道庁としては、そのくらいの敬意を表してもいいでしようけれども、それを個人的の旅行だと主張するには、あまりにあなたは権限を逸脱し過ぎておるんではないか。ことにそれだけの重大なことの調査に行くのに、一応議長に届け出るくらいは――国会構成中でも、議長、副議長と常任委員長だけが役員ということになつてつて、特別の待遇を受けておるのです。そうして国家的の特別な配慮も受けておる。そういう者が、個人旅行委員会旅行かわけのわからぬようなことで行つて、そうして重大なる調査事項などに関与し、しかもあなたは、目下裁判係争中の事件に対して、批評がましい意思表示を労働委員長として新聞に発表しておる。これなども非常に不謹慎なことじやないですか。そういうことはただ一度じやない、そういうことをあなたはたびたびやられるものですから、労働委員長というものは、公平なる委員長としての職責を全うしておらぬという印象を与えつつある。それは私ども非常に残念だ。私は一応あなたの弁明を聞きましたが、今日のこの会議進行過程において、真相をもう少し究明して行きたいと思います。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 議事進行について。どうも委員会に初めて見えて事情のわからない方が、いろいろおつしやつておるのですが、実はこの出張をお諮りなさつた日に、やはり委員会決定しておるわけです。札幌交通局の争議問題について、札幌交通局長九里正蔵君、札幌交通局労組書記長木村貞雄君、以上二名を参考人として出席をお願いし意見を聴取することといたしますと、同じ日に決定しているのです。理事会でもしております。ですから、これは抽象的な問題でなくて、やはり具体的な争議行為について参考人として呼び、また出張しておるわけですから、ひとつ議事進行をお願いしたい、かように思うわけです。
  35. 赤松勇

    赤松委員長 参考人も出ておられますから、先ほどの通り発言をお願いしたいと思います。よろしゆうございますね。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  36. 赤松勇

    赤松委員長 静粛に願います。  それでは原田與作君、御発言願います。
  37. 原田與作

    原田参考人 この要点は、解雇理由書に明白になつておりますので、この理由書を、簡単でございますから読み上げたいと存じます。    解雇理由書        札幌交通局電車課          技師 藤田  猛        同    自動車課          雇員 川村 一夫        同    電車課          雇員 木村 貞雄        同    自動車課          雇員 滝田 一彦        同    車両課          雇員 斎藤 嘉男   昭和二十八年十一月九、十の両日及び十二月十六、七の両日従業員による安全運転、完全車運転と称する行為並びに休暇闘争の実施により、電車、自動車の正常な運行を阻害せられた事実が発生した。これらの事実について慎重に調査を遂げた結果、かねてより交通局労働組合理事者との間に団体交渉中であつた特殊勤務手当の値上げ、その他及び後に追加要求の年末手当に関する要求貫徹の手段として、主として前記五名の共同謀議、教唆扇動によるものであることが諸種の証憑によつて明らかとなつた。この行為は、地方公営企業労働関係法第十一条第一項に抵触することが明らかなので、同法第十二条第一項により解雇する。  これが解雇理由書でございます。  これがてんまつとして最も簡明に表現されたものと存じますので、読み上げまして理由と経過にかえさせていただきます、
  38. 赤松勇

  39. 木村貞雄

    木村参考人 今、市の理事者側から、解雇理由書が読まれたわけでございますが、去年の十一月の九日十日、それから十二月の十六日十七日の安全運転、完全車運転あるいは休暇ということが、正常な業務を阻害した、こういうことで解雇するということを言つておるわけでございます。このことにつきましては、三月の二十二日に地方労働委員会に提訴したわけでございますが、この提訴に対して、この解雇理由書の中では、慎重にその事態を調査した、共同謀議、教唆扇動あるいは正常な業務を阻害した、こういうことを言つていながら、今日に至るまで、まだ具体的な何ものも出されていない、こういうような実態でございます。  なお休暇については、第一回の調査の際に局長が、これは全部仕事にさしつかえないと思つたので与えた、こういうことを言つております。われわれとしても、まだ具体的に理事者側がどういうような理由解雇したのか、明確な資料が出されておりませんので、この点については全然わからないというような状態であります。
  40. 赤松勇

    赤松委員長 参考人に対する御質疑がございましたら……。
  41. 島上善五郎

    島上委員 まず最初に原田参考人にひとつ念を押してお伺いしておいて、それから質問をしたいと思います。  私どもは、九里というのですか局長がおいでになることを期待しておりましたが、きようは病気だということでお見えにならぬ。聞き及んでいるところによると、病気と言つておりますが、実際に局に毎日出勤して局長の事務をとつているそうです。そういうことは別としまして、原田助役は、この紛争、特に解雇理由なつた具体的な事実等につきまして、責任を持つてお答えできると存じますが、お答えしていただけるかどうか、私はよくそのことはわかりませんでしたと言われるのではどうも困るので、責任を持つてお答えしていただけるかどうか、これをまず最初に伺つて、それから次々と質問したいと思います。
  42. 赤松勇

    赤松委員長 それは島上君どうでしよう。一応あなたから質問をしていただいて、そうしてその都度わからないところがございましたら、また適当な方法で知るというようにしてください。
  43. 島上善五郎

    島上委員 それではそういたします。ただいま解雇理由書をお読みになりましたが、それによりますと、解雇理由がきわめて漠然としている。この五名が共同謀議、扇動教唆をしたことが、地方公企労法第十一条第一項に抵触する。それで第二条第一項によつて解雇した。こういうことでございますが、言うまでもなく、労働者を解雇するということは、これはたいへんなことで、労使関係においては労働者に対する極刑です、いわば死刑の宣告にひとしい極刑です。従つて、これは事実を十分に調査して、慎重にしなければならぬということは、言うまでもないことです。特にこの五名が解雇に値するという判断をされましたことに対しては、私どもいろいろな点で多くの疑義があるわけであります。この五名を解雇するに際しましては、この紛争に際して組合本部が指令を出しているが、その指令の責任を問うて解雇したものであるかどうか、まず最初に伺いたい。
  44. 原田與作

    原田参考人 もちろん、この指令の内容も、解雇理由一つになつております。
  45. 島上善五郎

    島上委員 そういたしますと、指令は、中央委員会で選ばれた十三名の闘争委員会でつくつたもので、もしその指令に責任があるとすれば、十三人の共同責任だと考えられますが、特に五人を選んだ理由は、どこにありましようか。
  46. 原田與作

    原田参考人 この五名は、いわゆる戦術委員として中心的な役割をやつたということを、われわれが判断いたしたからでありまして、これは御承知と思いますけれども、こういう行政法には、刑法と違いまして、法に触れた者はすべてそれに該当せしめて、適当な措置をとらなければならないということは、必ずしもございません。従つて理事者が適当と認めた判断の範囲でやつたわけでございます。
  47. 島上善五郎

    島上委員 戦術委員として指令を出した中心になつた、その責任を問うたということでございますが、そういたしますと、その指令の中に、何か業務の正常な運営を阻害する行為というふうに判断するものがございましたら、それを御指摘願いたい。
  48. 原田與作

    原田参考人 単にその指令だけを取出してみますと、それ自体の表面的な文字からは、そういうことはくみとられませんけれども、少くともこの指令なるものが、一つの闘争の手段として出され、それに基いて起つた結果を、組合も適当な結果であつたと判断しております限り、単に文字上の判断だけではいけないのであります。これらの文字は、必ずしも字義通りではないので、場合によれば、不法とも解釈し得ることが往々あるのであります。それらを通覧してみますと、これは組合から出されました申立書にもあります通り、今回の争議についてとられました一貫した方針というのは、いわゆる完全車運転、安全運転、賜暇戦術である、こう申しております。従つて、指令それ自体には、法律を守れ、こう書いてありましても、全体を考えますならば、その内容は、明らかに完全車運転、安全運転あるいは賜暇戦術であることが正しいと考えております。
  49. 島上善五郎

    島上委員 今あなたは、私が質問しましたら、指令がその責任の対象となつていると答えられたのです。ところが今の御答弁だと、指令そのものの文字は大して問題ではないが、その現われた結果を問題にしていると言われる。ここでもう一度はつきりと御答弁願いたいのですが、指令が処分の対象として問題になるような性質のものであるか、その指令の結果として起つた事態を、あなた方が正常なる運営を妨げるものと解釈しておるのか、どちらなのかということです。
  50. 原田與作

    原田参考人 指令もその一部分であります。
  51. 島上善五郎

    島上委員 指令も一部分だとおつしやいますが、指令が一部分だとすると、現われた結果が大部分だ、こういうことですか。
  52. 原田與作

    原田参考人 争議行為は、すべて一貫された行動でありまして、断片的に判断することは適当でないと考えます。
  53. 島上善五郎

    島上委員 私はここに指令を持つておりますが、この指令は、たとえば昭和二十八年八月三十一日政令第二六一号、道路交通取締法施行令第十七条全文を実施されたいということ、あるいは電車運転取扱手続の四十八条を実施されたい、このように――、ここに私はあなたの局で発行しました電車乗務員服務心得というものも持つていますし、その道路取締法施行令の写しも持つておりますが、この実施をされたいということだけなんです。そうして添付した書類にも、この服務心得及び道路取締法施行令の該当事項を抜萃しただけなんです。それ以外に、この指令には何らの言葉も入つておらない。かりに一部であつても、一体どこに処分の対象とされる理由があるのか承りたい。
  54. 原田與作

    原田参考人 その指令に基いて、組合員がいわゆる安全運転あるいは完全車運転が実行されております。そしてそれらのことが、組合としても相当の目的を達成したということが、組合情報によつてはつきりと知ることができる。そうすれば、われわれの判断といたしましては、単に文字の通常の解釈のほかに、そういうことが当然予期された指令だ、こう判断いたしたわけでございます。
  55. 島上善五郎

    島上委員 私はこの行為が地公労法第十一条に該当するとは考えませんけれども、おそらくはこの指令によつてつた事態、その起つた結果を、あなた方は正常な業務の運行を阻害した、こう解釈しているのではないかと思うのです。指令そのものよりも、起つた事態をそのように解釈するのではないか。今の答弁からも、大体そういうふうに察知される。そうだといたしますならば、この五名の人が指令以外にそういう行動をした。たとえば、現場へ行つて、お前、電車の運転をやめろとか、早過ぎるからもつとのろくしろとか、もうこの辺でひつ返してしまえとか、そういうような指示をしたものかどうか。したものであるとすれば、その結果に関連があるわけですが、私の聞いているところでは、五名の諸君は、そういうように現場で直接運転手や車掌に、早過ぎるからもつとのろくしろとか、あるいはこの車は不完全な車だから運転するなとかいうような具体的なさしずをしたとは承知していない。そういうようなことに対して、五名の者が何か責任を問われるような事実がありましたならば、はつきりさしていただきたい。
  56. 原田與作

    原田参考人 これは私の方に事実を現認いたしまして、証言を求めた資料がございます。
  57. 島上善五郎

    島上委員 その資料は今ここに御提示を願えますか。
  58. 原田與作

    原田参考人 国会の正式な要請とあれば提出をいたします。
  59. 島上善五郎

    島上委員 これは重大なことですから、ぜひ御提示を願いたいと思います。
  60. 赤松勇

    赤松委員長 よろしゆうございますか、資料の提出……。
  61. 原田與作

    原田参考人 それは正式の国会の要請と認めてよろしゆうございますか。
  62. 島上善五郎

    島上委員 これはぜひ出していただきたい。  先ほど篠田君から言われましたが、私ども北海道へ行きました際に、局長に伺いましたが――これはつるし上げでも何でもありませんで、伺いましたら、そういうような資料については、何ら提示もなかつたし、具体的な御説明もなく、ただ一生懸命汗をふいているだけだつた。さらに私どもの聞いているところによると、四月二十日の札幌地裁の第一回の公判の際も、十一条違反を立証する書類が何もない、これでは審理ができぬ、至急提出するようにと言われたということを聞いておりますが、それは事実かどうか、伺いたい。
  63. 原田與作

    原田参考人 私承知いたしておりません
  64. 島上善五郎

    島上委員 それではもう一つ伺いますが、地労委の四月十七日の第二回の調査で、市側が出した資料が非常にずさんであつたということが指摘されております。たとえば同じ番号のバスがかりに十二時二十分に発車する、そうするとそのあと五分間にまた同じ番号のバスが同じ方向に向つてつている、こういうような資料を出している。一回発車して一時間かからなければ帰つて来れないところを、十五分後に帰つて来たように、途中から帰つて来たわけでもないのに、途中から帰つて来たような資料を出しておる。同じ番号の車が、十五分後にまた発車した、こういうような資料が出されて、その誤りを指摘されたという事実を聞いておりますが、これは原田参考人と同時に組合の木村参考人からも、私が今質問しました札幌地裁のことと、今の地労委の第二回の、調査における資料のずさんであつたという問題に対しまして、伺いたいと思います。
  65. 原田與作

    原田参考人 資料が、たしか統計の資料だつたと思いますが、統計のとり方についてそそうがあつて、間違つた部分があつたということは聞いております。その後正確な資料を出すように準備をいたしておつたことまで、私承知いたしております。
  66. 木村貞雄

    木村参考人 札幌地裁の件については、団体交渉の経過のみを理事者側で出しまして、具体的に十一条に違反する具体的なものがないじやないかということは、指摘されております。それから第一回の地労委の調査の際に安全運転によつて車が非常に遅れたということの資料を出して来たわけでございます。その遅れた具体的な点を出してもらいたいということになりまして、第二回の調査の際に、やはりまたその遅れた具体的な点を出しに来たわけです。その中で今言われましたように、同じ時分に同じバスが逆な方向に走つておる、あるいは同じバスが一分ぐらい違つて別な方向に走つているというような資料が出て参つたことは、事実でございます。
  67. 島上善五郎

    島上委員 かりそめにも組合の代表的な幹部を首切る際に、そういうようなずさんな資料で、根拠の薄弱なことで首を切るということは、私どもは非常に遺憾だと思う。これが不当労働行為に該当する疑いが非常に濃厚であると判断される一つ理由でございます。  そこで私は組合側にこの際承りたいのですが、組合としましては、先ほど私が読み上げたような指令を出しまして、それをどのような形で組合員に伝達、徹底せしめましたか。その方法、どのような方法でされたかを伺いたい。
  68. 木村貞雄

    木村参考人 当初大きな紙に書いて張ろうというような考え方でおつたわけでございますが、これは理事者側が全部はがしてしまうというようなこともございまして、後にはザラの半分にその法規をそのまま印刷したものを個人個人に渡した、こういうことでございます。
  69. 島上善五郎

    島上委員 原田参考人に承りたいのですが、そういう法規の写しを組合が組合員に配つたということが、何か正常な業務の運営を阻害するものに該当するというふうに解釈されるのでしようか。私どもは、これはふだん当然実行すべきことを、注意を喚起したにすぎないのだと思つておりますが、これが不当な行為として処断される対象になるのか、この点どのように御解釈されておりますか。
  70. 原田與作

    原田参考人 先ほど申し上げました通り、それが単純に法規の抜書きであつたといたしましても、それを受取る人が、争議行為に突入することを言うという意味に受取りましたならば、われわれとしては、単にその文字の表面解釈だけで判断してはならないと思います。また法規を遵守したと申しますけれども、われわれが定めております電車の速度なり自動車の速度も法規の範囲内で、しかも現地の実情に応じて、実行し得るものを示しておりまして、それによつて運転することが正常な運営でございます。従つて、かりに一例を申しますならば、スピードの制限ということが、法律によりまして三十五キロを越えてはならないといつた場合に、都市の交通機関としては、その制限の範囲内で、どこの路線は何分で行つて来れるということを判断いたしまして、それによつて運転するように、われわれの業務というものは運営されておるわけでございますが、それがいわゆる正常な運営なのでございます。ところが、単に法規に触れないということでありますならば、われわれの定めた制限をオーバーしても、それは法規に触れないかもしれません。しかし、法規に触れないこと自体が、正常の運営を阻害しないのだということにはならないわけでございます。
  71. 島上善五郎

    島上委員 私どもは法規に定めた通り守る、それが正常な運行だと思うのです。当局は大目に見ているからかまわないということで、法規を無視してやることが正常な運転だとはどうしても考えられない。そこで私は伺いたいのですが、一体今あげましたような組合が指令しました法規――道路交通取締法あるいは運輸省の省令六七号あるいは電車乗務員服務心得――これは交通局でつくつたものですが、こういうようなものをふだん実行するように、当局においてはときどき従業員に対して注意を喚起し、あるいは奨励していると思いますけれども、そのような措置をおとりになつていますか。
  72. 原田與作

    原田参考人 われわれといたしましては、法規の範囲内で札幌地方事情に応じた標準の速度を定めて、それによつて運転するということをきめまして、それを従業員に徹底せしめて運営をさせております。
  73. 島上善五郎

    島上委員 そうだといたしますと、組合の指令は、むしろ交通局がなすべきことにお手伝いをしたようなものだ。一体どうしてそのことが理由で幹部が責任を問われるか、私はさつぱりわからない。そういう指令を出したが、実際に行われた行動はそれよりさらに逸脱しておつた、逸脱して正常な運行を妨げた、こういうことであればそれはわかる、組合本部が出した指令を逸脱した者があつて、それが正常な運行を妨げたのか、それとも組合の指令、すなわち交通局も絶えず従業員諸君に対して指示し命令しておる事柄の範囲内でやつたが、それが正常な運行を妨げたのか、その点をはつきり伺いたい。
  74. 原田與作

    原田参考人 少くともこの指令は、一つの争議の実行手段として行われたものであります。それが争議の実行手段である限り、やはり相手方に打撃を与えることが目的でなければならぬ。その打撃とは何かといえば、いわゆるダイヤが乱れたり、あるいは車の出庫数が少かつたりする、こういうことが目標であることは明らかであります。何ら打撃を与えない通常の運行をさせようとするならば、何もあらためてそういう指令を発する必要はないわけでございます。少くともこれは争議の手段として発せられた指令である。こういうことを前提として考えなければならないと思います。またこの指令に基いてなされた結果がどんなふうに現われたか、こういうことも一つの判断の資料にしなければならぬと思います。そういうような前後の資料を判断いたしまして、この指令は単に法律の文字を抽出したといつても、その文字の外といいますか、文字の裏といいますか、それは明らかに相手に打撃を与える目的を含んでおつたのだ、こう解釈することは当然だと存じます。
  75. 島上善五郎

    島上委員 今出庫数が少くなつたとか、あるいは運転の速度が落ちたとかいいますけれども、もし法規に定められたような完全な車が備わつていなければ出庫が少くなる。完全な車がないということは当局責任である。速度にしましても、この規定を守つた結果、速度が落ちる場合もあり得るのです。それは何も従業員の責任に期すべきものではない。表向きは規定を守れといつておるが、実際にはこの規定の範囲をさらに逸脱しておつた、そういう事実が正常な運行を妨げる結果になつたのかどうか。私はさつきから聞いておりますが、この規定の範囲内で規定を実行するように指令した、実行する従業員も、またその指令の範囲で、すなわち規定の範囲でやつた、しかし、それが正常な運行の妨げになつたのか。それとも、その指令は規定通りだ、しかし実行した方はその規定をはるかに逸脱しておつた、そのことのために正常な運行が妨げられたのか、その点をはつきり聞きたい。
  76. 原田與作

    原田参考人 それは指令と結果が相まつて一つの争議手段なのですから、それをこま切れのように切つて、この部分がどうか、この部分がどうかということは、いろいろ見解の相違があろうかと思います。
  77. 島上善五郎

    島上委員 それは私に対する答弁になつておらぬ。それは指令と結果とは一貫しておるかもしれないが、少くともこの指令の範囲で実行しておるとすれば、何も問題は起らぬはずだ。ただこういう指令を表向きに出しておるが、実際にはこの指令を逸脱した行動が各所にあつた、それが正常な運行を妨げる結果になつた。――私はあなた方の立場で考えれば、多少そういうことについては、しろうとではないのですけれども、もしそういうことで問題にするとすれば、そういうことのみが問題になると思う。規定の範囲でやつたなら、問題になることはどこにもない。ですから私は、規定を実際には逸脱した行為があつた、それが正常な運行を妨げて、それをあなた方は問題にしておるのか、こう聞いておるのです。
  78. 原田與作

    原田参考人 指令を出され、それに基いて起きた結果、それらを総合して今度の解雇措置をとつたわけであります。
  79. 島上善五郎

    島上委員 さつぱり答弁になつていないのです。(「何べんも同じことを言うな」「希望通り答弁が得られなくてもしようがないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)――黙つておれ、発言中だ――この規定の範囲内の行動とすれば、問題になることはない。総合して判断することはよろしい。しかし、実際にこの指令した行動以外の行動をとつてつて、それが正常な運行を妨げたことになつたのか、この規定の範囲内であつたけれども、正常な運行を妨げたのか。これは問題のわかれ目だから重大です、それをはつきりしなければならない。
  80. 原田與作

    原田参考人 それはむしろ組合側の方に御質問なつた方がはつきりすると思います。
  81. 島上善五郎

    島上委員 組合側は処分された被害者です。君たちが正常な運行を妨げたとして処分をしたんじやないか。労働者を解雇するときに、はつきりした理由なしに解雇できるものではない。解雇理由に対しては、さつきから非常に抽象的な言いのがれしかしていないので、私は不満なんです。少くとも労働者五人を解雇する以上は、解雇理由がもつとはつきりしていなければならぬ。その正常な運行を妨げたという事実は、一体どこにあるのか。現場にあるのか、組合本部の指令にあるのか。あなた方は共同謀議だと言つておる。共同謀議だと言つておるけれども、出した指令は少くともこの通りだ。ですから、私はさつきから言つておる。組合の処分された五人の諸君は、指令を出したほかに、車庫へ行つてこの車を出してはいかぬ、お前たちは早過ぎるからのろのろしろ、この辺でもう帰つてしまえ、こういうようなさしずをしたのか。現場における行動が指令以外に逸脱しておる事実があるかどうか、それが正常な運行を妨げるという地公労法十一条、十二条によつて処分される際の具体的な、最もかんじんな事実でなければならぬと私は思う。それを聞いておるのです。
  82. 原田與作

    原田参考人 少くとも自己が要求する争議の手段として指令を出すことが、法規通りで正常な運行に行くならば、わざわざそんな指令を出す必要はないと思う。われわれのきめております運営の方法というのは、法律では時速三十五キロを越えてはならないというふうに制限しておるだけでございますから、単にその制限を越えなければよろしい、あるいは五キロで走つても、三キロで走つても法には触れないでしよう。けれども、われわれは札幌市の実情に応じて、この区間は最高時速二十四キロ、何分で走れるということは、長年のやり方ではつきりいたしております。従つて、その標準速度に基いて運行されなければ、これは正常な運営を阻害されたと判断して、私は一向さしつかえないものだと思います。従つて法規を守れと言つたところで、法規自体が守られたといたしましても、われわれの定めた運行表が守られなければ、これは正常な運営が阻害されたのであります。従つてどもは、処分理由としては、法規を無視したとは申しておりません
  83. 島上善五郎

    島上委員 それでは法規を無視した行動ではないということが、はつきりしました。法規を無視した行動ではないということがはつきりしておるので、これは非常に重大な点だと思います。  組合の方にこの際念のために伺つておきたいのですが、組合の解雇の対象とされました五人の諸君は、私の聞いておるところでは、指令を出し、その他情報を集めるとか、組合首脳部としての任務を負つてつたので、現場へ行つて直接この車は出してはいかぬとか、この車はあそこが故障だとか、この車は少し早過ぎるとか、そういう当局からいえば運行を妨げるような行動をとつたことを聞いておりませんが、そういうような行動をおとりになつたか、それともどのような行動をおとりになつたか承りたい。
  84. 木村貞雄

    木村参考人 そういうような行動はとつておりません。ただ電車の運行の間隔を正常にさせるという意味合いにおいて、ということは、かりに一台の電車が走つているのに対して、電車があまりくつつき過ぎるということになると、そのついた電車と次の電車の間隔は相当長距離になる。正常な間隔を維持させるために、いろいろと各路線を見てまわるというようなことはございましたけれども、直接おそい、早い、あるいはとめろというようなことを申し上げたことはございません
  85. 島上善五郎

    島上委員 規定の範囲を越えてなかつたということは、明らかになりました。  もう一つの問題について承りたいのですが、賜暇休暇も、この処分の対象として考えられておるか。
  86. 原田與作

    原田参考人 それも一つ理由になつております。
  87. 島上善五郎

    島上委員 これは両方に承りますが、賜暇休暇は、労働基準法の第三十九条第三項によりましても、当局が正常な業務の妨げになると判断したときには、許さないこともできるわけです。賜暇休暇は許しを受けて休暇したのか、それとも許しを受けた者のみが休んで、許しを受けないで出た者もあるかどうか、当局において許しを与えたかどうか、この点を当局と組合側と両方から承りたい。
  88. 原田與作

    原田参考人 賜暇は、現場の電車、自動車に乗る者につきましては、これは配車の都合がありますから、配車、運転上に支障のある者は許しませんでした。ただそれ以外の者については、一日や二日の休暇でおつたならば、あとで取返しのつく問題でもございますので、そういう一部の日勤者に対しては休暇を与えております。それは、私どもは、いたずらにその当時の混乱を起すことをなるべく避けようということで、いろいろな内勤事務等については、できるだけ希望をいれるような措置でございます。
  89. 木村貞雄

    木村参考人 休暇の問題でございますが、休暇のあれは、所持している者のみを一応対象としたということです。それから一応労働基準法でいうところの年次有給休暇ということがございまして、これはわれわれとしては一応届出というような考え方でおりましたが、そういう際でもありますので、一応所定の手続に従つてやれということで申入れをして、上司の許可を得た者のみを休ませた。また地労委の第一回の調査の際においても、局長はそのように言つております。なお休暇については、電車、自動車は全然やつておりません。一応日勤者のみを対象としてやつております。
  90. 島上善五郎

    島上委員 地労委の調査の際に、局長もそう言つている。賜暇の申出に対しては、正常な業務の運行に支障がないと認めた者については許可をした。業務の運行に妨げのあると思うある部分については、許可しない者もあり、許可されない者はもちろん出勤しておる。当局において業務の正常な運行に支障ないと認めて許可しておいて、そのことが処分の対象にされるということは、どうも私どもには了解ができない。許可しておいてそれが処分の対象になる理由は、一体どこにおありでしようか。
  91. 原田與作

    原田参考人 賜暇については実害が生じなかつたということは――賜暇はふだんより非常に多かつたのですが――計数的にいつもより何人よけいだということは、はつきりしておりますけれども、それが正常な業務にはなはだしい支障を及ぼしたかどうかということは、なかなかつかみがたいものでございますから、一応実害が生じなかつたと私どもは判断いたしておりますけれども、少くともこの賜暇というものは、何も組合幹部の指令とか闘争戦術によつて利用さるべき問題ではなくて、個人々々が適当な手続によつてとるのがほんとうであります。ところがこの際は、それを闘争の手段として用いたわけでございまして、そのことは組合の情報によつても明らかであります。すなわち、こういうことが書かれております。「日勤組合員休暇保持者の平均三割が賜暇を」「賜暇戦術は当組合として初の試みであり、趣旨徹底の不足、職制の悪質な妨害等により予定通り実施されなかつたとはいえ、各々の良心的な組合員の協力により約三割が休暇をとつた」こういうことを組合情報で述べております。従つて、これもでき得るならばもつと大量にという含みを持つて指令されたものだと存じます。
  92. 島上善五郎

    島上委員 かりに組合が指令して賜暇をとつたにいたしましても、それが業務の正常な運営に支障を来さぬと当局が判断して許したことであり、実際においても業務の正常な運行に支障を来さなかつた。そうすれば、これはいかなる点から考えても、処分の対象にされるいわれはないと思う。業務の正常な運行に支障は来さぬでも、組合が指令したら一切処分の対象になるということになると、これは大問題です。組合は一切指令を出せないことになる。私どもの解釈するところによると、組合の指令を行つた行動が、業務の正常な運行に支障を来したという事実が現われておりますならば、これは論議の対象になるでしようけれども、そうでないと当局も判断して賜暇を許した。これが一体地方公企労法のどこの項に抵触するのか、これをはつきり承りたい。
  93. 原田與作

    原田参考人 組合が明らかに争議の手段として使つたということなんです。休暇は本来個人々々が手続してやるべき問題であるのに、争議の手段として、組合の指令に基いてどんどん願い出ておる、その点が問題であります。
  94. 篠田弘作

    篠田委員 ただいま島上委員から御指摘になつている賜暇の問題も含めてでありますが、先ほどから、法規に違反していないというお話がありました。法規と言われる意味はどういう意味であるか、もちろん明確でありませんが、国家の定めた法律なり法規なりに違反した場合は、国家が処分をするのがあたりまえであると思います。私の感ずるところによりますと、市電の服務規程に違反をしたという解釈のもとに処分をされたと思うが、その点お伺いをしたい。
  95. 原田與作

    原田参考人 法律はその運営について幅がございますが、その幅のうちで、札幌市は札幌市の特別の事情を考慮して運営するという服務規程をつくつております。その服務規程に違反をしたということが問題になつて解雇をいたしたのでございます。
  96. 篠田弘作

    篠田委員 その服務規程という意味は、たとえば円山から出た電車が一条橋の終点に着くまでに、三十分なら三十分という規定があつて、それを一時間二十分で、あるいは一時間で運行したということが服務規程に反するという意味ですか。
  97. 原田與作

    原田参考人 それは特別の事故でもあつた場合であるならば、やむを得ないといたしましても、そういうことが特別の事情なしに行われたとすれば、当然職務違反になるわけであります。
  98. 篠田弘作

    篠田委員 今度は組合にお伺いをいたしますが、ちようど争議の原因が年末闘争資金の獲得にあつた。それで年末は一般市民にとつても忙しいし、また市当局にとつても書入れどきであることは、組合もおわかりであろうと思いますが、そのときに特に服務規程を無視して、新聞で伝えるところのかめの子運転をやられた理由はどこにあるか、お伺いしたい。
  99. 木村貞雄

    木村参考人 先ほど理事者側の方で申しました交通局の服務規程ばかりでなく、自動車の道路交通取締法というものに違反している。この二つの法律が問題になるわけです。それから電車の業務は――自動車でも同じことですが、御承知のように運転手あるいは車掌が非常に責任を持たせられているものだとわれわれは考えております。ということは、かりに理事者側が言うように円山―一条橋を四十分で走れ、こういうことを言われて、かりに四十三分で走つて事故を起した場合、これは運転手、当務者の責任になるわけであります。そうすると、運転手がいろいろ状況判断をいたしまして、かりに交通頻繁なところ、あるいは何かあぶないという場合は、当然問題になつて来ます。従つて、いつもそういうように労働者の犠牲によつて市民にサービスしている。われわれはたまたま小さな要求を出して、その要求さえもいれられないということになると、われわれとしては、われわれを犠牲にしてまでそういう危険な状態で走ることはできないというような考え方でやつたわけでございます。
  100. 篠田弘作

    篠田委員 そうしますと、あなた方はふだん今おつしやつたように円山―一条橋というものは四十三分で走るという、一つ市電従業員としての服務規程の範囲内において、それを平素実行しておられるのでありますか。ふだんはそれを実行されているんじやないですか。
  101. 木村貞雄

    木村参考人 それは乗務員の犠牲において実行しております。
  102. 篠田弘作

    篠田委員 乗務員の犠牲という意味は、どういう意味かわかわませんが、実際の犠牲を払わなければ四十三分で走れないということであるたらば、ふだんからその時間を四十五分に延ばし、四十七分にすべきものであると、われわれ市民の側から言えば考えるのであります。私も円山に住んでおりますから、札幌市民の一人であります。そこで口先の問題は何と言われても、争議の手段として使われたということは事実でありまして、その問題がいいか悪いかということで、ただいま地労委にも訴えておられ、裁判所にも提訴されておりますから、われわれがここで組合がよかつた、あるいは市当局側がよかつたというようなことをここで結論を下すべきではない。ただ労働委員会としては、参考資料としてあなた方の言い分を聞かれるのだと思います。ただ不思議な問題が一つあります。おそらく原田助役の感違いではないかとも私はここで考えるのですが、いわゆる賜暇戦術というものが組合の手段として使われたとしても、処分の対象となるためには、賜暇をとつた、そのとつたことが、上司の許可を受けないで賜暇をとつたというときには、確かにこれは処分の対象となるけれども、しかしそれによかれあしかれ一つ許可を与えております以上は、先ほど島上君が言われたように上司の責任である。これは常識上、だれしもそう考える、われわれもそう考えます。そうすれば、上司が許可をしておきながら、それを解雇理由にするということは、これはりくつに合わないのであるから、先般私が子供の結婚式でもつて札幌へ帰りましたときに、局長に会いまして、おかしいじやないかという質問をしましたところ、賜暇の問題はこれは問題になりませんということを局長が言つておられましたが、あなたはやはり賜暇の問題も、たとい上司の許可を受けたものであつても、闘争の手段に使われたものは、一切これは処分の対象となるというふうに今でもお考えになつているかどうか、また考え直す余地があるかどうか、それをひとつつておきたい。
  103. 原田與作

    原田参考人 これは常識論と法律論と二つに考えなければならぬと思いますが、常識論でありますれば、実害が生じなかつたらそれでいいんじやないかと、こういうことが言われます。しかし、法律上の理論から参りますと、いかなる争議手段であつても、また実害が生じなかつたとしても、それを教唆扇動することによつてある目的を達成しようとするならば、これは解雇理由になるわけでございます。  なお申し上げますが、今回の解雇は、いわゆる懲罰の解雇ではございません。少しも懲罰を含んでおらないわけであります。服務規程違反による処罰ではないわけであります。地方公営企業労働関係法による労務者の排除であります。「解雇することができる。」ということなのでございます。その点もあわせて申し上げておきます。
  104. 篠田弘作

    篠田委員 これはどうも法律規定上はそうだと、りくつ上はそうだとおつしやるけれども、そういう争議の手段に使われるような休暇というものが争議の手段に使われておる、これは扇動教唆によつてやられたものであるということがわかつてつて、どういうわけで上司が許可をしたか、この点をひとつお伺いしておきたい。
  105. 原田與作

    原田参考人 これは先ほどもちよつと申し上げましたが、さような事態に至りますれば、われわれといたしましては、できるだけ組合と衝突することを避けようという気持があります。可能な限り最大限度までそういう場合には与えるようにということを、私が指示をいたしまして、そうしてやつたわけであります。
  106. 篠田弘作

    篠田委員 それは非常に市当局の配慮によるものとは思いますが、たとい衝突を避けるためにやつたにしろ、原因は何であつても、結果から言つて上司が許可をしておるという一つの事実というものは、動かすことができない。それを処分の対象にされたということは、私が考えましても、これは不適当じやないか、こういうふうに思います。ただ、市電従業員が正常運転に名をかりて、いわゆるかめの子運転をやつて、歳末の忙しいときに市民に非常に迷惑をかけた、また市当局に非常な損害を与えた、これは十分その処分の対象になるが、今申しましたように、自分許可をしておきながら、そういうものを解雇理由にするということは、ちよつと納得ができない。やはり両方とも処分の対象になるべきものと、ならないものとを、はつきり区別しておつしやられた方が私はいいと、こういう考えを持つております。
  107. 島上善五郎

    島上委員 私ばかり質問しても悪いから、これで十分満足な答弁が得られればこれでやめますが、あなたは常識論と法律論とわけて御答弁されましたが、法律論とおつしやいますが、法律のどこかに準拠していなければ法律論にならぬと思う。あなたが解雇に適用した条文は、言うまでもなく地方公企労法の十一条違反であつて、第十二条によつて解雇したものだ、この第十一条は「業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」こうなつておるのです。組合が、かりに争議手段としてとつて、あるいは組合が指令をしたにしても何にしましても、この十一条の業務の正常な運営を阻害する行為でなければ、これは法律に抵触しないのです。あなたはどういう根拠で法律論を振りまわすか知りませんけれども、私どもはどう考えましても、この地方公企労法を全部ひつくり返して見ましても、業務の正常な運営に何らの支障を来さない行為が処罰の対象とされるというところは、どこにもない。その点をもう一ぺん――業務の正常な運営を阻害しなくとも、組合が指令した以上はみな処罰の対象になるかどうか、その点をもう一ぺんはつきりしてもらいたい。
  108. 原田與作

    原田参考人 いわゆる争議の手段として――一斉休暇ということの意味もいろいろありましようけれども、休暇を持つているだけの人は皆休暇をとれ、こういう指示をしたわけです。もしこのような、その日われわれが許した程度の休暇がもし持続されましたならば、明らかに業務上支障を来すわけであります。単に一日だけやつたために実害ができなかつたというだけであります。そういうことを争議の手段として用いた。しかも、その争議の手段である限りは、相手に打撃を与えるということが目的である以上、この指示というものを、相手に打撃を与える目的をもつて争議の手段として用いられた、こういう点にわれわれは考えをいたして、その理由一つにしたわけであります。
  109. 持永義夫

    ○持永委員 ただいまの問題につきまして、労働省当局に法律的解釈を聞きたいのですが、業務の正常な運営を阻害したという行為と事実があるならば、その行為がたとい合法的行為、すなわち、ただいまお話がありました、上司の許可を受けて賜暇を受けたという場合でも、第十二条の解雇理由になるかどうか、この点をひとつ判例との関係もありましようから、御説明願いたいと思います。
  110. 中西實

    ○中西政府委員 ただいまの行為と結果がございますれば、いいのでありますが、賜暇の場合に上司の許可があれば、これはやはり違法性を阻却するのではないか。従つて賜暇で上司の許可があれば、やはりこれは処分の理由にはならない。そのことは、賜暇というのは先ほどもお話がありましたように、個人々々が許可を得て休む、従つて上司が許可をすれば、これは正当な手段になります。従つて、正常な運営を阻害する行為というようなことの責任は問われないというふうに解釈します。
  111. 持永義夫

    ○持永委員 今の問題は、私は常識的にはお答えの通りだと思うのです。正常な許可を受けたのですから、違法性はなくなると思いますが、しかし、ただいまの場合の解雇は、刑事上の処分ではない。要するに、業務の正常な運営を阻害したという事実があり行為があるならば、たといそれが合法行為であつても、第十二条の違反になるのではないかというふうに思いますから、これは判例等もありましようから、十分ひとつ御検討の上で……。
  112. 篠田弘作

    篠田委員 これはただいまの労政局長のお答えによつて許可を受けて休んだ人には、処分される理由一つもないと、私は常識的に考えます。ただこの場合に、一つの疑問が残ります。自発的な意思によつて休んだ人は、これはもちろん処分の対象にはならない。もし法律がそれをも処分の対象にするというなれば、法律の方が無理だろうと思いますが、その場合に、自分の意思でなく、教唆扇動した者があつたという場合に、教唆扇動したという者の方が法律上対象になるかどうかということをひとつ……。
  113. 中西實

    ○中西政府委員 賜暇をとつた個人につきましては、おつしやるように、上司の許可を得てとつた者につきましては、責任がございません。ただ指令が出た場合、その指令の内容を具体的によく検討しなければいけませんけれども、もしそれが正常な業務の運営を阻害するということを目的にしまして出た場合には、そういう行為をそそのかし、あるいはあおるというところに該当する場合があり得るということが言えるわけです。
  114. 井堀繁雄

    ○井堀委員 たいへん時間がかかつておりますので……。
  115. 赤松勇

    赤松委員長 井堀君に申し上げますが、まだ多賀谷君が残つておりますから、なるべく簡単に願います。
  116. 井堀繁雄

    ○井堀委員 木村参考人原田参考人にお尋ねしたいと思いますが、今まで参考人からお答えになりました内容だけで判断をいたしますと、原田参考人のお話を総合してみますと、今度の解雇は最初地方公労法の十一条と十二条をもちまして処分をしたことが明らかにされ、その後だんだん内容がかわつて来ておるようであります。そこでお尋ねをいたしたいと思いますのは、この種の争いの中心になるものは、それがはたしてこの十一条でいつております争議行為になるかならぬかということが、問題を決することになると思うのであります。私はその事実を十分知ることは、わずかの時間では困難だと思う。ただこの機会に、非常に重視いたしたいと思いますのは、この事業場が、たとい地方でありましても公共事業であります。公共事業のもとにおける労働関係は、その地方公企労法の精神に高くうたつておりますように、他に及ぼす影響が、ただちに公共の福祉を阻害するようなことをおそれまして、平和的な関係を強調しておるわけであります。こういう関係からいたしますと、労使関係の問題については、一体何が原因であり、その原因についてどのような折衝が行われたかということが、私どもにとつてはむしろ重要なのです。地方公企労法にも明らかにしておりますように、第七条において団体交渉の内容を明らかにし、第十三条、第十四条、第十五条に、それぞれ苦情処理の手続やあるいは調停、仲裁等に対するそれぞれの詳しい規定があるわけであります。この規定は、申すまでもなく、こういう公共団体のもとにおける労働関係は、できるだけ事態を他に派生させないようにということを、きびしく規定しておるわけであります。従つて十一条はこういう精神を受けて、やむを得ない場合の処分を言つておるのであつて、この法規に首を切ることができるということだけでこの法律を使つてはならぬことは、この法律全体の精神から行けば、明らかなのであります。そういう意味で私はお尋ねをするわけでありますが、原田参考人は、雇い主の立場をとると同時に、市民に対してはまた別な責任もあるわけでありますから、もしこの問題が――話合いができないで今裁判になつておるようでありますが、裁判所決定をすなおに待つということになればまたこれも別でありますが、しかし解雇された方の側から言いますと、その問題が処理される間、賃金がもらえるかもらえないかということが大事だと思います。市としては、その解雇者に対して内払いなりあるいは別な方法で生活の保障を見ながら問題の解決を待つというようなことをおとりになるのかどうか。ただ首を切つたのだから、あとは知らぬという態度でお臨みになるのかどうか、この点をお尋ねしておきます。
  117. 原田與作

    原田参考人 われわれがとりました手段が不当であるという主張の続く限りは、これはやはりその審判の期間を待たなければならないと存じております。
  118. 井堀繁雄

    ○井堀委員 そこで審判が下りましてあなたの方が敗訴になれば、もちろんさかのぼつて賃金給与の支払いが行われるわけであります。それはわかつているのですが、ただこのことのために、たとい四名でも五名でもの人が、その間無収入の状態に置かれるわけであります。そういう問題に対して、雇い主の立場をとる当局者としては、何らかの措置をおとりになる御意見があるかないか、お尋ねしたい。
  119. 原田與作

    原田参考人 ただいまそのことについて、言明をいたしかねます。
  120. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それでは無理にお尋ねはできませんが、この法の精神については、先ほど私がお尋ねいたしましたように、その決定がどう下るかということは、相当期間を要するわけであります。その期間は労働組合の方からの団体交渉の申入れがあると思うのでありますが、そういう話がある場合には、それに応ぜられる御意思があるかないか。それから組合の方については、そういう交渉をなさる御意思があるかないか。お尋ねいたしたい。
  121. 原田與作

    原田参考人 五名の解雇された者を含まないものによつて交渉に来ます場合には、緊急の問題については事実上の話合いをしてもよろしいと思います。それが法律的に団体交渉になるかどうかということは全然別問題にして、私はそういうふうに考えます。
  122. 木村貞雄

    木村参考人 話し合う意思は持つておるのでございますが、とにかく理事者側ではわれわれとは会わないということで、一切会つてもらえない。また別な者をやつても、それは正式な団交ではない、ただ話し合う、あるいは臨時的なものだということで、具体的な面には入つて行けないような状態になつております。
  123. 井堀繁雄

    ○井堀委員 この際労働省にお尋ねいたしますが、以上で明らかになりましたように、地方公企労法によつて一切が処理されなければなりませんが、その場合に、団体交渉を一方が拒否する場合には、これは明らかに違法行為だと私は思うのです。必ず団体交渉に応じなければならぬ義務は、この法律で命じておると思うのですが、この点の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  124. 中西實

    ○中西政府委員 解雇自体は、理事者の方で十一条の違反があるということを認定してすれば、それは一応有効になります。従つて、この解雇者と団体交渉ということはないのでありますが、その属しておつた職員組合におきまして団体交渉を申し込むという場合には、正当な事由があれば別でございますけれども、そうでなければ団体交渉は行わるべきものと思います。
  125. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それではつきりしました。原田参考人も私の質問に答えたよりに、裁判所決定を待つというわけでありますから、その決定があるまでは、解雇はもちろん成立しないわけでありますが、その人が加わつたということで、団体交渉を拒否するという解釈を認めますかどうか、もう一ぺん念のためにお尋ねしたいと思います。
  126. 原田與作

    原田参考人 地方公企労法によりますと、職員でなければ組合員になるここはできないし、また職員をもつて構成された職員団体が団体交渉権がある、こう規定されておりますので、職員でない者が含まれた団体が、はたしてわれわれの交渉の相手方となり得る団体かどうかということについて、私は多分の疑問を持つておりまして、そういうものはわれわれの団体交渉の対象になり得ない団体だという解釈を現在とつております。
  127. 井堀繁雄

    ○井堀委員 労働省にお尋ねいたします。この場合の解雇者は、一方は解雇の意思を明らかにしたが、一方は否定しておる。しかも争いが法廷にかかつておるわけです。この場合は、法律的に言えば、解雇の成立と断ずることはできないと私は考えるのでありますが、こういう場合に、団体交渉のメンバーに加えることの可否を労働省はどのように判断するか、お伺いしたい。
  128. 中西實

    ○中西政府委員 先ほども申しましたように、解雇自体は、理事者の方で、十一条違反行為があつたということで十二条によりまして解雇すれば、その解雇は有効でございます。従つて職員でなくなります。純理論的に申しますれば、それが入つておる団体は、この法律でいう職員組合でない。少くとも瑕疵があるということになると思います。
  129. 井堀繁雄

    ○井堀委員 きわめて重大だと思いますが、そうしますと、裁判所の判決が十一条違反でないという判決が下つた場合には、どういう方法でその労働組合なり組合員のそれによる救済の道が、この法律で考えられておるかということについて、お尋ねいたします。
  130. 中西實

    ○中西政府委員 そういつた法律関係は、この事態に限つたことではございませんで、ほかにもいろいろと例があるのでございます。一応そういうふうに確定しまして、後に裁判で逆な結果になりますれば、これはそれぞれ民事上、あるいは損害賠償とか、そういつたことは、もちろん許されるわけであります。この法律関係は、特にこの際特別なものではございません
  131. 井堀繁雄

    ○井堀委員 そこで私がお尋ねいたしましたのは、労働法の特別法としての使命を労働省にお尋ねしておるわけであります。労働法の精神は、あくまで裁判に持ち込むことは余儀ない場合であつて、それ以外には団体交渉もしくは調停、仲裁、苦情処理といつたようなきびしい規定があるわけであります。すなわち公労法を運用する上におきまして、指導官庁である労働省としては、裁判の結審を待つてのまつたく法律的な最後の処置である。そのことはいずれにいたしましても、労働者にとつては、耐えがたい犠牲を強要されるわけであります。この法律の精神からいえば、あくまでそういう処置に落ちないように事前の処置を命じておると思いますが、こういう点に対して、労働省としてはこういう問題に対して、何らかの対策を持つて処置をされたことと思いますが、その点についてお尋ねをいたします。
  132. 中西實

    ○中西政府委員 この十一条、それから公労法にも同じ規定が十七条にあるのでありますが、これらの規定によりまして処分をするということにつきましては、やはり当事者間で相当な慎重な考慮のもとに行われるものと思つております。従つて、特にこの際にどうということではございませんが、やはり法律にこういつた規定が明らかにあり、また地方公企体の性格から考えましても、こういう規定が置かれておる以上は、これに従つて進められておるということは、やむを得ないのじやなかろうか。従つてもし不服があれば、最後にやはり裁判所の判定にまつというよりしようかないじやないかと思います。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の問題は、きわめて重大でございますが、当面の問題について、私は参考人にお尋ねいたしたいと思います。それは、さつき篠田委員からの質問の際に、服務規程違反だ、こういう話でした。ところがまた後になつて、いや服務規程違反じやなくて、懲罰委員会の対象にならない、こういうお話でもあつたのですが、一体今度の解雇は、どちらの違反ですか。
  134. 原田與作

    原田参考人 服務規程に定められた準則によらないで、正常な運営が阻害されたということによつて、地公労法十二条によつて解雇をいたしたのでございます。
  135. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では服務規程によつたという最初のお話が違うわけでございますね。
  136. 原田與作

    原田参考人 服務規程によつて処罰をしたのではないということです。
  137. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、この事件について、団体交渉を持たれたかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  138. 原田與作

    原田参考人 この事件というのは、不当解雇と言われた事件ですか――この問題について団体交渉にいたしておりません
  139. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうして団体交渉をされていないのか、お尋ねしたいと思います。
  140. 原田與作

    原田参考人 先ほど申し上げましたが、交渉の相手方がまだないわけでございます。
  141. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 交渉の相手方がないから団体交渉をされてない。しかし交渉の相手方ができれば、団体交渉をされる意思ですか。
  142. 原田與作

    原田参考人 その交渉というのは、内容は何でございましよう。
  143. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたが指摘されたように、不当解雇についての団体交渉をされるかどうかということであります。
  144. 原田與作

    原田参考人 不当解雇についての取消しの団体交渉でございますか。
  145. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 必ずしも取消しかどうかわかりませが、この事件に対する不当解雇についての話合い、こういう意味であります。
  146. 原田與作

    原田参考人 労働法規に定められた組合員の正当な要求でありますならば、何どきでも正当な団体に対して交渉に応ずるつもりでおります。
  147. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、この不当解雇について、組合の方から団交してくれという話があれば、団交されるわけですね。
  148. 原田與作

    原田参考人 その団交の内容がはつきりいたしませんと、単に件名だけでは返答いたしかねます。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 不当と言えば悪いのですが、今度の解雇について組合の方から話合いを要求されれば、されますかという話をしておるのです。
  150. 原田與作

    原田参考人 今までのお答えと同じでございます。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この解雇の問題について、団交を組合の方からやろうと言えば、やられますかということを聞いておるわけです。
  152. 原田與作

    原田参考人 組合が団交をなし得る事項は、法令上きまつております。それですから、不当解雇ということがその内容に該当するのであるならば、何どきでもこれに応じます。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、あなたの答弁を推測して質問いたしますが、今度の解雇は団体交渉の対象にならない、こういう意味なんですか。
  154. 原田與作

    原田参考人 解雇といつても、それが法規に定められた団体交渉の項目に該当する内容であるならば、団体交渉に応ずるつもりでおります。ただ解雇についてといつても、いろいろな問題があることですから……。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 意思をもう少し明確にしてもらいたいと思うのです。これは私だけにわからないのじやないと思うのです。皆さんおわかりにならないと思うのですが、この五名の解雇は、団体交渉の対象にならないというようにお考えですか。団体交渉の対象になればすると言つておる。私は特定の事件を指して言つておるのであつて、抽象的なことを言つておるのじやない。
  156. 原田與作

    原田参考人 それですから、団体交渉の内容というのは法令に列記されておりますので、それに関する限りは団体交渉に応じます。ですから、単に不当解雇という表題だけでなくて、どういう内容であるかということによつて判断されるべき問題だと思います。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 なるほどここに書いてあるわけですが、第七条の問題について、それじや今度のこの解雇に関して話合いをしたい、こういうふうに組合が具体的に申し込みましたら、応じられますか、こう聞いておるのです。
  158. 原田與作

    原田参考人 それは団体交渉に応じなくとも、もうすでにはつきりする時期が迫つておるのですから……。
  159. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 何がはつきりしておるのですか、これは何年かかるかわからぬでしようしこういう労働事件を、何年かかるかわからぬような不安定なことにしておくこと自体が問題ですが、私が質問しておるのは、きわめて明確です。これはできないならできない、できるならできる、やる意思があるならある、あるいは組合が出直してくれればやるということを、はつきりおつしやつていただきたい。
  160. 原田與作

    原田参考人 ですから、はつきり申し上げておりますことは、第七条にいろいろあげてある項目に関することなら、応じます。応ずるか応じないかは、内容を見なければわかりません
  161. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、この解雇のことについて話合いをしたいという申出をいたしました場合、これに該当しませんか。該当しないということになれば、どの条文に当りますか。
  162. 原田與作

    原田参考人 私の申します趣旨を、もう少しはつきりしてお答えいたしましよう。第七条の二項の二号に「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」とありますから、そういう基準がいけないとかどうとかいうことであるならば、団体交渉に応じます。そうでなければ応じません
  163. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、実質上の、あるいは懲戒かもしれませんが、免職であると考えまして、この問題が解雇の基準としてどうかという問題です。これは行政整理のときでも、団交されると思うのです。行政整理の場合に、幾らにするかという話合いは、されると思うのです。ですから、今度の争議についてどういう取扱いをするか、こういう話合いは、当然これに入るのですか、こういう考えでしようか。
  164. 原田與作

    原田参考人 それは入らないと思います。
  165. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうして入りませんか。
  166. 原田與作

    原田参考人 それは、どういつたような場合に解雇するとか、あるいはこういうような場合には降職、昇職するといつたような一般的な基準に関する条件の協定をするということが団体交渉になります。
  167. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国鉄の場合でも――委員の方で見えなかつた方もありますが、現行法でもできるというお話があつたわけです。それを、ほかの方はそのとき見えていなかつたので、いろいろ疑問を出しておられますけれども、団体交渉の対象になり得ると私は考える。ですから、私は当然団交の対象にさるべきだ、行政整理のときでもされるわけでありますから、当然されてしかるべきだと思いますが、される意思はないかどうか、お尋ねいたします。
  168. 原田與作

    原田参考人 先ほど申し上げましたように、一般的な基準の問題については団交に応じます。しかしながら、すでに起つた過去の事実のことを取消せとかなんとかいう団交であつたならば、応じません
  169. 赤松勇

    赤松委員長 それでは暫時休憩したいと思いますが、私の行動につきまして、多少公私混同をするような印象を与えたことは、遺憾に存じます。  暫時休憩いたします。     午後一時二十三分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかつた