○兼田
参考人 会社側からも、
海員組合の
石山さんからも言われた
言葉で、私
ども組合の
立場を明確にしておかなければならないと思う点がございますので、ちよと申し上げますが、この
宇部元山
争議の場合に限らず、私
どもの
組合では、
会社の拡大再生産と申しますか、
会社が一応何がしかの利益をあげて大きく
なつて行く、その
過程の中で、
労働者の生活の安定を闘いとるのだ、こういう建前をと
つております。従いまして、今度の元山
争議の場合の
紛争につきましても、これを平和裡に解決をする
ために、現行法が与えてくれた
わく内で、きわめて厳重に、それにはずれないようにや
つて参りましたことも、
地労委なり山口地裁なりがよく認めておるところでございます。けれ
ども、今度の
紛争で遺憾なことには、一昨日来ここで聞いておられる方も、いろいろお困りの様子が見えるのでございますが、やはり
立場々々がございますから、何ほどか自分の主観が入るのでありましようけれ
ども、ともかく前に
言つたことを、いや、そうじやなか
つたという、前言を翻すということが、この
紛争のきわめて大きな特徴であ
つたというふうに私は思
つておるのです。事実私自身が昨年の暮れ、十二月二十九日に
現地に参りまして、この
元山運輸の百衣という専務さんに会いまして、こういうことではいけないからということで話し合いましたところ、全
港湾との間に
団体交渉を進めるということの約束もして参りましたし、ただの口約束ではいけないからというので、大みそかの十二月三十一日に、山口
地労委が中に入
つて、そういう方法で解決をつけるという協定書を
調印いたしております。にもかかわりませず、またぞろそういう約束をした覚えがないとかあるとかいうことで、ごろごろかわ
つて行く、これがこの
紛争を長引かせておる大きな特徴だと思うのです。従いまして、私
どもは、やはり人間のことですから、間違いを起す場合もあるでありましようけれ
ども、事実は事実として率直に認めなければならない、そういう
態度をこれからとるのでなければ、幾らた
つてもいろいろかわ
つて来る。先ほ
ども、何か
現地の方の風評というものを言われました。私も
現地に行
つたときに二、三聞いた風評、これは風評でございますから
責任は持てないのですが、このごろごろかわるという裏には、
会社の
社長さん並びにここに
おいでの
松重部長さんは、親子の間柄であるそうでありますけれ
ども、専務さんは違う人なんで、
会社の中に内紛があるということ、その内紛の
ために、
会社の統一された意思が表面に出ないのだということも聞いております。これも風評でございます。そのほか、密貿易で拿捕された船があ
つて、これの国籍証書の隠滅に奔走したという話が飛んでおる。これは冒頭に申し上げましたように、風評でございますので、私は言うまいと思いましたけれ
ども、一応風評としてお伝えしておきます。それから
海員組合と
協約を結ばれた裏にも、いろいろな動きがあるという風評を聞いておりますけれ
ども、私
どもはここでそういうことを問題にしようというのではありません。たださようなこの
元山運輸という
会社の中にあるいろいろな家庭の
事情と申しますか、そういうもので、私
どもの話を聞いてやるとか、いや聞いてやらないというふうに言われるのでは、
労働者は実に困るのであります。そういう点では、私
どもはできないことはできないと
言つたらいいので、
会社に二言をついてもら
つては話が積み重
なつていけないと考えます。一昨日と本日とや
つていただいても、こういうことでありますと、
現地の
事情というものも十分に把握される必要があるのではないかということを考えますので、どうかそういうふうにしていただきたいと思うものでございます。
なお
海員組合とのことでございますが、私
どもは、当面
海員組合を敵にまわしてどうのこうのというようなことは考えておりません。ただ
会社が、われわれに与えられておる
団体交渉という権利を否定する場合に、
海員組合さんとの約束を守らなければならないから、遺憾ながらあなた方と話合いはできませんということが、一番前面に出て来る団交拒否の理由でございます。ですから私
どもは、
海員組合さんが、同じ
労働組合で、全
港湾を相手にするな、あんなものをつぶしてしまえということをおつしや
つたとは思いませんけれ
ども、
会社は、ともかくそれでも、
海員組合さんが切におつしやるのでいたし方がございませんということを、しきりに理由にするからということで、三月十七日に
海員組合の陰山
組合長と私が会見いたしました際にも、このことはとくとお願いをしてあります。つまり、
会社側が団交を拒否する理由に、
海員組合からいろいろ注文がつけられておるから、そういうことはどうしてもできませんというふうに、いつでも言うから、あなたの方でほんとうにそういうことを言
つていないならば、
会社がそういうことを逃げ口上の理由に使
つてはならない、
海員組合をだしに使
つてはならぬというように、
会社側に厳重に勧告をしてほしいということも、陰山
組合長にお願いしました。陰山
組合長は、そういう場合のことがあるなら、
現地の方にも連絡をと
つてみようということも言
つておりました。けれ
ども三月三十一日には、あの通告書というものが出て来た。いわゆる
付属協定書がその日に
締結されて、その日に通告書が出て来た、こういうことに
なつております。先ほどから申し述べておりますような、ぐるぐるかわ
つて行くという現象が、幾らでも果てしなく続いておるわけです。それからほかにも山九運輸という
会社がありますが、そういうところでもこういう事件が起きて、一つの
会社の中に
組合が二つできて争
つて行くと、小さな経営はつぶれるような危機に瀕するということも、私
どもはよく心を配
つております。ですから、そういうことにならないようにということも、十分な
用意を持
つておるはずなんです。はずというように言いますと、人ごとみたいですが、私
どもは、ともかくあそこの中では、
従業員みんなが一本になるとか、どつちかに片寄
つてしまうということをきめない限りは、共存して行くよりほかに手がないのじやないかというように考えております。ともかく平和的に妥結をして行くという最後の腹を持
つておるわけでございます。今までお聞き取りいただいた点で、まだぐるぐるかわ
つておるような証言を私も聞きますので、でき得ますならば、国会の
立場から事実をよく調べるという方法をと
つていただきまして、私
どもの
紛争の解決に御指導を賜わりたいと考えるわけでございます。