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高橋参考人 ただいま
委員長の方から指名されました
高橋でございます。
日平産業の
労働組合が直面しておりますところの現在
賃金遅払いによります問題につきまして、一応
組合の
意見を述べたいと思います。
日平産業は、昨年生産の不振並びにいろいろ手違いから、昨年の十二月三十日、ようやく十一月分の
給料が間に合
つた。しかも、これは他の銀行から融資を受けて、ようやく間に合
つたような状況にありまして、本年二月に至りましては、二月分の
給料が一箇月遅れまして三月
末日にようやく支払われた。さらに三月分の
給料につきましては、今日まで二千二百万円
——これは
組合の推定によりますが、
臨時工を含めました全
従業員二千二百万円の
給料のうち、現在まで二回に分割になりまして、最初に一人頭千五百円、次に千円、こういうような僅少な額が出ております。総額について大体三百五十万円という
金額が二千二百万円のうちから支払われているという
状態にな
つております。この
賃金遅払いの問題が、現在まで二月分の
給料が三月
末日に解消されまして、今、四月の今日に至りまして、三月分の
給料の
支払いを一日も早くするように、
労使両方の間にいろいろ
具体策を
練つて解決をはか
つておりますけれ
ども、他面われわれの
会社にいろいろ
債権を有している各
下請工場数百軒
——日平産業は
茨城県と
横浜と
二つ工場がありまして、
横浜工場の
従業員が大体
臨時工を入れて千六百人くらい最近こういう
状態になりましたので、どんどん人がやめて行くようなことにな
つておりますので、その点は若干の減少をいたしております。それから
茨城の方が大体三百人くらい、これらを合算して、非
組合員その他を全部入れて二千人近くの
従業員がおります。それから
下請工場は、正確な数字は私のところにはちよつとわかりかねますが、最近
横浜関係の
下請業界の
協力会が結成されたときに集ま
つた数だけでも、
横浜では二百軒ばかり、宇佐美などを合計いたしますと、約五百以上の
下請業者がいるんじやないかと考えております。それらの
下請業者並びに
従業員の数を合算いたしますと、相当な数にな
つて来ます。
従業員のわれわれのみならず、一般的な
人たちの窮状も、現在やはりわれわれと同じようにな
つているんじやないか。こういう
遅払いは、
日平産業の
従業員だけでなく、それに伴う
業者の上に大きく問題を投げております。
私
どもはこの点について、現在まで、もつ
ぱら営業収入を引当てにしておりまして、これをわれわれの
賃金に振り当てて一日も早く解消するようにや
つておりましたけれ
ども、最近他の
債権者がいろいろな形でこれを差押えするような
状態にな
つて参りましたので、われわれの予定します
営業収入もなかなかか思うように入
つて来ない、こういう問題が最近頻発いたして参りました。
組合といたしましては、
本件についていろいろ
上部団体と連繋をと
つてお力添えを願
つておりますけれ
ども、日一日と迫
つて来るところのこの
遅配に対しましては、何とも
解決の
方法も今ないような
状態であります。というこは、われわれがつく
つた製品を出そうとすると、これを差押えされる、あるいは手形のものを差押えられてしまうというような
状態で、これに対して、
組合は法的な手段にも訴えなければならない。こういうことは、
下請業者に刺激を与えることが非常に大であり、われわれとしては行いたくないのでありますけれ
ども、そういう段階に今追われて来ておる。
先般
労働省の
職員の方がこちらでちよつと申されておりましたけれ
ども、三月分の
給料は、四月
一ぱいに
会社側は完納する予定である、こう言
つておりますが、二月分の
給料は三月
一ぱいに完納する、この一箇月間のずれというものは、われわれ
労働者にと
つて非常なる
打撃を与えております。さらに二月分の
給料が四月
一ぱいにたとい完納されるようなことがあ
つても一日一日疲労しているわれわれ家庭の
経済というものは、非常な
打撃にぶつか
つて、各人今非常に苦しんでおるというような
状態であります。
これがこの先このような
状態でも
つてどこまで続くかということについては、全
従業員が非常に心配いたしておりますが、現在
日平産業の
最高幹部である
社長が、いろいろな
事件のために検束されておりますので、この方の問題が
解決しなければ、なかなか当面の
日平産業の
再建という問題についてもいろいろ支障がある。現在各
方面でいろいろや
つております。しかしながら、
従業員の
生活は刻一刻苦しく追い込まれておる。同時に、多くの人は、この先このような
状態が続くなれば、次次と自分の
企業から離れて行くような
状態にな
つている。なお、非常に熟練しておる
人たちは、そういう場合にも他に雇われる率は多いといたしましても、六百人からの
臨時工の
人たちは、一体どうするのか。こういう問題に対しまして、私
どもは
企業がこのまま
再建される
可能性が一日も早く
見通しがつくならば、われわれとしても、全
従業員に一層のしんぼうを願わなければならないと考えておりますけれ
ども、しかし
再建については、われわれにはまだまだ明るい
見通しが今ない。同時に
日平産業は、過去においては
通産省からも
重要指定工場として指定されたこともあります。このような重要な
工場であるにもかかわらず、今日までいろいろこういうような苦境にある場合、そういう
通産省などからも、積極的にこれの
救済の手が延べられていないようにわれわれは考えておるわけです。
従つて、
日平産業にいろいろ問題があるといたしまして、こういうような、か
つては
重要指定工場にまでした
工場に対して、
通産省あたりからも積極的な
援助をわれわれとしては期待したい。同時に、
万が一日平産業が
再建が不可能であるというような
状態に
なつた場合、この多くの
臨時工並びに
従業員の
人たちのあすからの
生活を保障して行くことが、
労働省あるいは
監督省の方においてはどのように考えられるか。そういう点を考えるならば、当然
日平産業の
企業の
再建ということには、いま少し各
方面から積極的に御
援助をわれわれはしていただきたいということをここで述べたい。
以上
日平産業の
従業員の苦しい
立場を述べまして応の御
援助を願いたいということを
意見として述べさしていただきます。