○石井国務大臣 その線を早く出すために、今せつかくいろいろな努力をいたしておるのでございますが、私
どもといたしまして、各業界別にいろいろ
お話を聞き、先ごろは各業界の代表の人に一、二名ずつ集ま
つてもらいましてフリー・トーキングをやりました。一方経済
関係の閣僚の集まりをいたしまして、政府のこれから先の考え方についても、いろいろ相談を始めておるところでございます。今はどういうところにあるかと申しますと、今
お話がありましたが、船主はみなしり込みをしておる—みながしり込みをしておるというわけではありませんが、大体としてはそういうふうな傾向であり、それにはこういう部面もあ
つたということを申し上げたのであります。中には熱心に早くやるべきだということを言うておる人も、もちろんあります。問題は、金融方面の問題だと私
ども考えるのです。それで、今どうするかと申しますと、開銀の担保は今本船担保のほかに増担保をと
つておる。これが前からの問題でありまして、開銀が本船担保だけでや
つてくれれば、そこに大分担保力ができて来る。これを市中の担保力の方にまわしてくれぬかということが、前から出ておるのであります。開銀の方としましては、なかなかそうは行かないというので、これはもう去年からいろいろデイスカツスし合
つておる問題であります。そういうことができるかできぬかということが、一つの問題であります。担保力というものに相当余力ありと市銀の方が思いましたならば—それは、市銀からも集ま
つて、いろいろ言われるときはみな反対されております。しかし、それぞれ船会社にも造船所にも、金融上のいろいろ
なつながりが金融業者としてはあるわけでありますから、むげにこれを排せられることはないと私は思います。ただ、銀行の心配されておりますものは、担保力のないものにどんどん金を貸す、そういうことは、まごまごすれば仕事の上の背任にもなるのじやないか、そういうことがあ
つてはならぬということが心配されておる。まずそういう力をつけるところの方法はないかということで、相談いたしておるわけであります。
それから、根本の問題をひ
とつ考えなくちやならぬと思うのは、今年はうまく話合いがついたといたしましても、三十年度からは担保力というものもほとんどとま
つて来るという状態であることを考えますと、一方において船はどうしてもつくらなければならぬ。私
どもが今三百十万トンの船があると申しますが、これは少くとも戦前までとは申しませんけれ
ども、戦前の六百何十万トンに対して四百万トンぐらいまでは、ぜひ船をこしらえなければならぬと私
どもは思うのであります。そうしますと、昨年度から四箇年計画で年々三十万トンつくりたいということで、昨年は三十万トンできたのでありますが、今年の予算によりますと、うまく行
つて十七、八万トンぐらいじやないかと思うのであります。年限の四年が、かりに五年とか六年に延びても、この造船計画だけは遂行して行かなければならぬと思うのでございますが、それには一体金融面をどうするか。それにつきまして、先ごろから予算の
会議のときにこの問題は取上げられまして、どうや
つて行くんだ、今の状態では、今お尋ねにありましたように、金融界がついて来ぬというようなことを聞くが、それについては政府はどうするんだ。それには一つの方法としては、政府が自分でストック・ボートのような船をどんどんこしらえてそれを船会社に貸して運営するなり何なりして、それから先は別問題として造船すべきじやないかということも言われたのでございますが、どんな形にするかは別といたしまして、政府が中心にな
つて何かの方法を講じなければならない。それは私
どもかりに名前をつけて海事金融公庫というようなものを設けて、それには今の開銀がや
つております財政融資の仕事を持
つて行く。また同時に、これはまだほんとうに案までも行かないもので、今日もその相談をいたしてお
つたわけでございますが、今申しましたように、銀行に聞けば、なかなかできない、金はないと申しますが、船会社の方で自分の力で金をこしらえ得るところもあると思うのです。どれだけかのものができれば、それと政府の金とを持ち寄
つて共有のような形で船を持
つて行けば、かりに今年のようにして百七、八十億の金しか来年にも財政資金が出ぬとすると、七・三の割で出しても十六、七万トンできるだろう。これを全額こちらでやりますと十万トン近くに下
つてしまうのであります。で政府が船をこしらえるということは、非常に簡単のようで、法規を設けてもらえばすぐできるようでありますが、そうすると造船量がさらにうんと減
つて参りますので、何か民間で出せる限りの資金が出せたら、それは七、三でも、中には五、五出せるところもあるかもわかりません。とにかく多く出せて、そうして信用の置けるようなところと造船をや
つて行くというようなことはどうだろうかというようなこと等も含めまして、今しきりに案を運輸省としてまず練り、各省と相談をするつもりですが、これはこの間の経済閣僚懇談会に、いずれにいたしましても、三十年度になりますと、どうしても市中に頼ることが普通の方法では困難だから、何か別な方法を講じなければならぬということを申しておるわけでございます。それで、そういうふうな政府において基本的なあるものが一つ出て参りますれば、本年度の融資問題については、やがて、たとえば開銀なら開銀にいたしましても、来年はそういうふうなものを引継ぐ、あるいはそういう組織の方に向けて行くことができるとすれば、本年度はあるいは本船担保だけでもや
つて行ける—これがずつと続いては困るけれ
ども、今度だけならそういうことができるというようなめ
ども、あるいは立ち得るたろうと思うのであります。三十年度から先の根本の行き方がきま
つて、二十九年度は暫定的にやるというだけならば、何とか考えようじやないかということになると思うのであります。こういうふうな方法によりまして、政府が政府の方策を立て、そうして開銀と話し合い、そうして一般に本年度は今まで
通りの計画の線に近いものからと
つて、今度の七対三という割合でできるものから申し込ませる。一人でできないなら、三つか四つのものが一緒にな
つて申し込むというような形もとらせまして、何とかして今年はやるということで、今せつかく話を急いで進めておるところであります。