○甘利政府
委員 今
お話のように、造船労務者及びその造船所の所在する地域の
労働者にと
つて、十次船の
遅延が非常に大きな打撃にな
つておることは
お話の
通りであります。本来ならば、われわれとしても三月の末までには一応二十九年度の造船計画をきめ、あるいは場合によ
つては船主なり造船所をきめまして、四月一日から着工すべき段取りにすべきじやないか、こういうふうに
考えてお
つたのでありますが、ただ昨年九月にやりました九次の後期を行うときにもすでに市中銀行側から非常に金融面において苦しい、
従つてやりたくないというふうな空気が非常に強か
つたのであります。そのおもなる理由は、船会社に担保力が非常に少くな
つて来た。それから一方運賃の悪いために、貸した金の償還期間が来ても償還できない、償還はもちろん利子を補給してや
つても、その残りの利子もかつかつというような状態になりましたので、市中銀行としては担保の点及びその他の点から、造船融資はしたくないという空気が非常に強か
つたのでありますが、今おつしや
つたようないろいろな社会問題及び造船所の労務の
問題等また海運の必要性から、政府としても強行したのであります。しかしその当時から、昭和二十九年度の新造船については、銀行の要求する担保の問題あるいは財政資金と市中銀行の比率の
問題等について、何らかの
措置をとらなければ、市銀は融資するのは非常に困難だということがわか
つてお
つたのでありましてわれわれもその点について鋭意考慮して参
つたのでありますが、本問題は市銀の融資が造船所に対して困難だというところにあ
つたわけであります。しかし大臣初め、みな十次船のやり方について根本的に
考え直して、その問題はそれじや担保をどうして増すか、たとえば開銀及び市中銀行の担保の見方について、何らか緩和する
措置はないかというような問題、あるいは来年度特に困りますのは、担保以上に全般の市中銀行の金融が非常にきゆうくつにな
つて来たということがそれに加わりましたものですから、この点について財界及び海運界あるいは造船界、
労働界いろいろな方の意見を、大臣が今まで聴取いたしておりまして、おそらく近々皆様の意見をとりまとめて、第十次造船に対する根本施策を編み出しまして、経済閣僚懇談会、あるいはその他の
会議において
関係閣僚その他とも話合いされて、その基本方針を出されるのじやないかと
考えます。またその基本方針が出ましても、財政資金の規模から言いまして非常に少くなる。現に一応予算としては百八十五億を出しておりますが、開銀に対する出資が幾分減るために、多少それより減るのじやないかというようなことも言われておりますので、財政資金全体としても少くなります。その面で造船量が非常に少くなるということも言えると思います。
従つて量も少くなりますし、時期的にも、平素に比べて相当遅れておりますが、ただ従来新しい年度の造船計画が、一体予算の通
つたあといつごろ出るかといいますと、大体三月末に予算が
通りましても、船主の選考とかいろいろな問題で、七月の初め及び中ごろに大体許可が出ておるわけであります。
従つて今年度は、その点については例年に比べて少し遅れておりますので、あるいはもう少し遅くなるのじやないかと予想されますが、しかし先ほどの造船所の所在地の社会問題あるいは労務の問題も、大臣は十分考慮しておられますので、鋭意早急に着工できるように今施策を練
つておるような状況でございます。